JP2006199019A - 平版印刷用原版、親水性基板および平版印刷方法 - Google Patents

平版印刷用原版、親水性基板および平版印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 露光後、現像処理を行うことなく印刷することが可能であって、耐刷性に優れ、地汚れが起き難く、インキ払いも優れた平版印刷用原版を提供する。
【解決手段】 親水性ポリマーおよび熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含む親水性画像記録層と支持体からなる平版印刷用原版において、主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む親水性ポリマーを用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、親水性ポリマーおよび熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含む親水性層と支持体とを有する平版印刷用原版に関する。また、本発明は、親水性ポリマーを含む親水性画像記録層と支持体からなる親水性基板にも関する。さらに、本発明は、無処理または機上現像処理を採用する平版印刷方法にも関する。
近年進展が著しいコンピュータ・ツウ・プレート用印刷版については、多数の研究がなされている。処理工程を合理化し、廃液処理問題を解決するため、露光後、現像処理をすることなしにそのまま印刷機に装着して印刷できる平版印刷用原版や、印刷機上で露光し、そのまま印刷できる平版印刷用原版が研究され、種々の方法が提案されている。
親水性表面を有する基板上に、熱可塑性ポリマー微粒子をマトリックス(例、親水性樹脂)の中に分散した親水性の画像記録層を有する感熱性平版印刷用原版が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。赤外線を光熱変換することにより、画像記録層に熱を加えると、熱可塑性ポリマー微粒子が溶融して、親水性画像記録層表面が疎水性の画像部に変換される。画像部が形成された平版印刷版を印刷機に装着し、版胴を回転しながら印刷版に湿し水とインキを供給することによって、未加熱部分を除去する。この機上現像処理により、従来行われていた自動現像機を用いる現像処理を省略することができる。
また、光または熱のエネルギーにより分解する基を表面に有するミクロゲルと赤外光吸収剤を画像記録層に含有する平版印刷用材料を機上現像することが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、従来の機上現像型の無処理平版印刷版には、未露光部の除去が印刷機の運転開始条件によって左右されたり、親油性成分を多く含んだ除去物が湿し水ローラや湿し水を汚染するため、良好な印刷物を得るのに、数十〜数百枚の印刷が必要だったり、ローラの洗浄を必要とするなど、コストおよび手間のかかる問題がある。
熱可塑性ポリマー微粒子を架橋した親水性樹脂中に分散した感熱層を有する感熱性平版印刷用原版が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、架橋した親水性バインダーポリマー中に親油性微粒子として親油成分を内包するマイクロカプセルを分散した親水性層を有する感熱性平版印刷用原版も提案されている(例えば、特許文献5〜8参照)。これらの感熱性平版印刷用原版は、露光による熱で形成された親油性画像部と未露光部の親水性非画像部との表面構成を印刷面として用いることにより、機上現像を必要とせず完全無処理で、湿し水を使用する平版印刷を行える。
しかしながら、基板上に設けられた親水性層の親水性や耐久性が不充分であり、印刷条件によっては徐々に地汚れ(非画像部の汚れ)が発生する問題点があった。
従来の親水性層としては、アクリルアミド−ヒドロキシエチルアクリレート共重合ポリマーをメチロールメラミン架橋剤で硬化した親水性層(例えば、特許文献9参照)、ゼラチン又はポリビニルアルコールを用いた親水性層(例えば、特許文献10参照)、第4級アンモニウムカルボキシレート基を含む繰り返し単位を含む親水性の熱感受性ポリマーを含む親水性画像記録層(例えば、特許文献11参照)が提案されている。いずれの親水性層も、親水性と保水性が不足しており、印刷時のインキ払いと非画像部の汚れに問題があった。
特許2938397号公報 特開平9−127683号公報 国際公開第99/10186号パンフレット 特開2000−238452号公報 特開平7−1849号公報 特開平7−1850号公報 特開平10−6468号公報 特開平11−70756号公報 特開2002−370467号公報 特開平11−95417号公報 特表2003−527978記載 リサーチ・ディスクロージャー誌、1992年1月、第33303号
本発明の目的は、露光後、現像処理を行うことなく印刷することが可能であって、耐刷性に優れ、地汚れが起き難く、インキ払いも優れた平版印刷用原版を提供することである。
また、本発明の目的は、耐刷性と保水性が優れている親水性基板を提供することでもある。
本発明は、下記(1)〜(9)の平版印刷用原版、下記(10)の親水性基板および下記(11)〜(13)の平版印刷方法を提供する。
(1)親水性ポリマーおよび熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含む親水性画像記録層と支持体からなる平版印刷用原版であって、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含むことを特徴とする平版印刷用原版。
(2)分岐鎖が親水性鎖と連結基からなり、親水性鎖と主鎖との間に連結基が介在している(1)に記載の平版印刷用原版。
(3)連結基がイオン結合を含む(2)に記載の平版印刷用原版。
(4)主鎖が二種類以上の繰り返し単位からなる(1)に記載の平版印刷用原版。
(5)主鎖の一種類の繰り返し単位に分岐鎖が結合し、主鎖の他の種類の繰り返し単位には分岐鎖が結合していない(4)に記載の平版印刷用原版。
(6)分岐鎖が親水性鎖と連結基からなり、親水性鎖と主鎖との間に連結基が介在しており、主鎖の他の種類の繰り返し単位と連結基とが同じ分子構造を有する(5)に記載の平版印刷用原版。
(7)主鎖が1000乃至200万の質量平均分子量を有する(1)に記載の平版印刷用原版。
(8)主鎖が架橋構造を有する(1)に記載の平版印刷用原版。
(9)架橋構造がイオン結合を含む(8)に記載の平版印刷用原版。
(10)親水性ポリマーを含む親水性層と支持体からなる親水性基板であって、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含むことを特徴とする親水性基板。
(11)熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤および親水性ポリマーを含む親水性画像記録層と支持体からなり、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む平版印刷用原版を画像に対応して加熱し、親水性画像記録層の一部を疎水性領域に変換して、表面に親水性領域と疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
(12)親水性ポリマーを含む親水性層と支持体からなり、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む親水性基板と親水性層上に設けられている疎水性画像記録層からなる平版印刷原版から、疎水性画像記録層の一部を画像に対応して除去し、露出した親水性層からなる親水性領域と残存する疎水性画像記録層からなる疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;そして、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
(13)親水性ポリマーを含む親水性層と支持体からなり、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む親水性基板の上に、画像に対応して疎水性物質を付着させ、親水性層表面からなる親水性領域と疎水性物質が付着した疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;そして、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
本発明者の研究の結果、主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万(好ましくは1000乃至100万)の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む親水性ポリマーは親水性が非常に高く、この親水性ポリマーを含む親水性層は強度(耐刷性)も優れていることが判明した。上記の親水性ポリマーは、密度が高く、強度が優れた3次元ポリマー分子構造を有することができる。このような親水性ポリマーは、片末端に反応性基を有する親水性(原料)ポリマーと化学結合剤とを反応させることにより得ることができる。化学反応の結果、親水性鎖の一つの末端が、親水性ポリマーの3次元分子構造中に化学結合により固定される。反応において複数の化学結合剤を併用すると、親水性ポリマーの密度と強度がさらに改善される。
親水性ポリマーの3次元分子構造において、親水性鎖は一つの末端のみが固定され、他の末端が固定されていないため、自由度が高く、運動性に優れた構造になっている。
以上の理由から、本発明の平版印刷原版から製版した平版印刷版は、印刷時に、湿し水の給水排水を、効率よく行うことができる。さらに、親水性ポリマーの3次元分子構造には、分岐鎖に親水性鎖を大量に導入できるため、必要に応じて多くの湿し水を保水することができる。多量の湿し水を保水できる高親水性層を用いると、地汚れが生じにくく、インキ払い性が良好になる。
従来の現像処理を行わない(完全無処理の)平版印刷原版では、一般に、親水性ポリマーの親水性基の一部を架橋剤で架橋したポリマーを親水性層に使用している。従来のポリマーは、親水性部分の自由度が低く、保水機能が低かった。
なお、以上のように耐刷性と保水性に優れた親水性層は、熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含む画像記録層として使用する以外にも、親水性層と支持体からなる親水性基板における親水性層としても有利に利用できる。例えば、親水性基板の上に、疎水性の画像記録層(画像に対応して除去できる層)を設けるか、あるいは直接疎水性の画像を形成しても、良好な親水性領域を有する平版印刷版を得ることができる。
[親水性ポリマー]
親水性ポリマーは、主鎖と分岐鎖からなる。分岐鎖は、鎖状構造の一つの末端においてのみ主鎖と結合する。親水性ポリマーは、3以上の分岐鎖を有することが好ましく、5以上の分岐鎖を有することがさらに好ましく、10以上の分岐鎖を有することが最も好ましい。
分岐鎖は、200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む。
分岐鎖は、親水性鎖と連結基からなり、親水性鎖と主鎖との間に連結基が介在していることが好ましい。連結基は、イオン結合を含むことができる。連結基がイオン結合を含むと、親水性ポリマーの親水性をさらに向上させることができる。
分岐鎖の含有量は、親水性層の全量に対して、10乃至95質量%が好ましく、20乃至90質量%がさらに好ましく、30乃至80質量%が最も好ましい。
主鎖は、分岐鎖が分岐する幹(backbone)との意味であって、分岐鎖(あるいは親水性鎖)よりも主鎖が短くてもよい。主鎖は、低分子量のオリゴマーであってもよい。また、主鎖は、1000乃至200万の質量平均分子量を有するポリマーであるか、あるいは架橋構造を有するポリマーであってもよい。
主鎖は、二種類以上の繰り返し単位からなることが好ましい。主鎖の一種類の繰り返し単位に分岐鎖が結合し、主鎖の他の種類の繰り返し単位には分岐鎖が結合していないことがさらに好ましい。
分岐鎖が親水性鎖と連結基からなる場合、主鎖の他の種類の繰り返し単位と連結基とが同じ分子構造を有することができる。主鎖が架橋構造を有する場合、主鎖の他の種類の繰り返し単位と架橋構造とが同じ分子構造を有することもできる。
架橋構造は、イオン結合を含むことができる。架橋構造がイオン結合を含むと、親水性ポリマーの親水性をさらに向上させることができる。
(親水性鎖)
親水性鎖は、親水性原料ポリマーの一つの末端のみ(片末端)に反応性基を導入して形成できる。
親水性原料ポリマーは、天然ポリマー(例、多糖類、タンパク質)、半合成ポリマー(例、デンプン誘導体、セルロースエーテル、セルロースエステル)および合成ポリマーを含む。
親水性鎖の主鎖(親水性ポリマーの主鎖ではない)は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリウレアまたはそれらの組み合わせが好ましく、炭化水素、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリウレアまたはそれらの組み合わせがさらに好ましく、炭化水素が最も好ましい。炭化水素主鎖の一部の炭素原子が、ヘテロ原子(例、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子)と置き換わっていてもよい。
親水性鎖は、側鎖あるいは主鎖または側鎖の置換基として親水性基を有することが好ましい。親水性基は、カルボン酸基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ、ポリオキシアルキレン基(例、ポリオキシエチレン)が好ましく、カルボン酸基、アミノ基、スルホン酸基、ヒドロキシル、アミド基、ポリオキシアルキレン基がさらに好ましい。
カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基は、アニオンまたは塩の状態になっていてもよい。カルボン酸基の対カチオンは、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンが好ましい。スルホン酸基の対カチオンは、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンが好ましい。
アミノ基は、カチオン(アンモニウム基)または塩の状態になっていてもよい。アミノ基の対アニオンは、ハライドイオンが好ましい。
親水性基は、親水性鎖の繰り返し単位当たり少なくとも一つ含まれていることが好ましい。
親水性鎖の主鎖と親水性基との間に連結基が介在していてもよい。連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、およびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
親水性鎖は、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーの重合体であることが好ましい。親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーの例は、(メタ)アクリル酸およびその塩、イタコン酸およびその塩、マレイン酸およびその塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、3−ビニルプロピオン酸およびその塩、ビニルスルホン酸およびその塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレートおよびその塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩、ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびその塩、アリルアミン、ヒドロキシプロピレンを含む。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンも、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーの重合体に含まれる。ポリビニルアルコールのケン化度は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
親水性鎖は、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーのホモポリマーであってもよい。親水性鎖は、二種類以上の親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーのコポリマーであってもよい。親水性鎖は、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーと他の(親水性基を有していない)エチレン性不飽和モノマーとのコポリマーであってもよい。
親水性鎖の一つの末端のみに、反応性基を導入する。「反応性基」は、主鎖または主鎖を形成するためのモノマーと反応して化学結合を形成できる官能基を意味し、主鎖またはモノマーの反応性基との関係で決定される相対的な概念である。親水性鎖に相当する親水性原料ポリマーは水溶性であり、主鎖と結合することにより水不溶性になることが好ましい。
なお、本明細書において、化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
反応性基は、一般には、ポリマーの架橋剤に含まれる反応性基と同様である。架橋剤については、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載がある。
反応性基の例は、カルボキシル(HOOC−)、その塩(MOOC−、Mはカチオン)、無水カルボン酸基(例えば、無水コハク酸、無水フタル酸または無水マレイン酸から誘導される一価の基)、アミノ(HN−)、ヒドロキシル(HO−)、エポキシ基(例、1,2−エポキシエチル)、メチロール(HO−CH−)、メルカプト(HS−)、イソシアナート(OCN−)、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基を含む。片末端に2以上の反応性基を導入してもよい。2以上の反応性基は、互いに異なっていてもよい。
反応性基は、親水性基と異なる官能基であることが好ましい。反応性基の方が親水性基よりも反応性が高いことが好ましい。なお、ここで「反応性が高い」とは、主鎖またはモノマーの反応性基との関係で決定される相対的な概念である。
親水性鎖と反応性基との間に連結基が介在していることが好ましい。連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、およびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。連結基は、−O−、−S−、あるいは−O−または−S−を含む組み合わせであることが好ましく、−O−または−S−で親水性鎖の繰り返し単位と結合することがさらに好ましい。
反応性基を有する親水性鎖は、下記式(I)で表されることが好ましい。
Figure 2006199019
式(I)において、Rcは、反応性基である。反応性基は、カルボキシル、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合またはテトラゾール基であることが好ましい。
式(I)において、Lは、単結合または二価の連結基である。二価の連結基は、−O−、−CO−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基、二価の複素環基、およびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
式(I)において、−X−は、−O−または−S−である。−S−の方が、−O−よりも好ましい。
式(I)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至10のアルキル基である。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基がさらに好ましく、水素原子またはメチルが最も好ましい。
式(I)において、Hyは、親水性基である。親水性基は、カルボン酸基およびその塩、アミノ基およびその塩、リン酸基およびその塩、スルホン酸基およびその塩、ヒドロキシル、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノおよびポリオキシエチレン基から選ばれることが好ましい。
式(I)において、Lは、単結合または二価の連結基である。二価の連結基は、−O−、−CO−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基、二価の複素環基、およびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
片末端に反応性基を有する親水性鎖の例を以下に示す。
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片末端に反応性基を有する親水性鎖は、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter (Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルエステルカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィドを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基(例、カルボキシル)を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。ただし、連鎖移動剤を用いるラジカル重合法は、目的とするポリマーの分子量の制御が容易であるため、好ましい。
片末端に反応性基を有する親水性鎖の質量平均分子量は、100万以下が好ましく、200乃至100万がさらに好ましく、1000乃至10万が最も好ましい。分子量が100万をこえると、塗布液を調製する際に溶媒への溶解性が低下する。また、高分子量では、塗布液粘度が高くなり均一な被膜を形成し難いとの問題が生じる可能性がある。
片末端に反応性基を有する親水性鎖を二種類以上併用してもよい。
(主鎖)
主鎖は、三以上の反応性基を有し、少なくとも一つの反応性基が片末端に親水性鎖の反応性基と反応して化学結合を形成でき、少なくとも二つの反応性基が互いに反応して化学結合を形成できる化合物を使用して合成できる(本発明の第1の態様)。あるいは、主鎖は、二以上の反応性基を有し、少なくとも一つの反応性基が親水性鎖の反応性基と反応して化学結合を形成できる化合物A、および三以上の反応性基を有し、少なくとも一つの反応性基が化合物Aの反応性基と反応して化学結合を形成でき、少なくとも二つの反応性基が互いに反応して化学結合を形成できるか、あるいは、三以上の反応性基がいずれも化合物Aの反応性基と反応して化学結合を形成できる化合物Bとを併用して合成できる(本発明の第2の態様)。化合物Bは、さらに、親水性鎖の反応性基と反応して化学結合を形成できる反応性基を有していてもよい。
主鎖を形成する化合物は、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい。二種類以上の化合物を用いる場合、相互の結合をイオン結合にすることができる。
主鎖を形成する化合物として、ポリマーの架橋剤として知られている化合物を用いることができる。架橋剤は、一般に、熱によりポリマー間に架橋を形成できる化合物である。架橋剤について、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載がある。
主鎖を形成する化合物の反応性基は、カルボキシル、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、イミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、アルデヒド、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、エチレン性不飽和二重結合、配位結合基、エステル結合またはテトラゾール基であることが好ましい。
カルボキシルを反応性基として有する化合物の例は、α,ω−アルカンジカルボン酸(例、コハク酸、アジピン酸)、α,ω−アルケンジカルボン酸、ポリカルボン酸(例、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ポリアクリル酸)を含む。
アミノ、イミノを反応性基として有する化合物の例は、アミン(例、ブチルアミン、スペルミン、ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、アニリン、フェニレンジアミン、1,2−エタンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン)、イミン(例、ポリエチレンイミン)を含む。
エポキシ基を反応性基として有する化合物の例は、ポリエポキシ化合物(例、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル)を含む。
ヒドロキシルを反応性基として有する化合物の例は、アルキレングリコール(例、エチレングリコール、プロピレングリコール)、オリゴアルキレングリコール(例、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール)、ポリアルキレングリコール、ポリオール(例、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール)を含む。
アルデヒドを反応性基として有する化合物の例は、ポリアルデヒド(例、グリオキザール、テレフタルアルデヒド)を含む。
イソシアナート、ブロックイソシアナート基を反応性基として有する化合物の例は、ポリイソシアナート(例、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジフェニルメタンイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、シクロヘキシルジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアナート、ナフタレン−1、5−ジイソシアナート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアナート付加反応物)、ブロックポリイソシアナート化合物を含む。
アルコキシシリル基を反応性基として有する化合物の例は、シランカップリング剤(例、テトラアルコキンシラン)を含む。
配位結合基を反応性基として有する化合物の例は、金属架橋剤(例、アルミニウムアセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート)を含む。
メチロールを反応性基として有する化合物の例は、ポリメチロール化合物(例、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトール)を含む。
メルカプトを反応性基として有する化合物の例は、ポリチオール化合物(例、ジチオエリスリトール、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート))を含む。
主鎖を形成する化合物は、水溶性であることが好ましい。
主鎖を形成する化合物として、1000乃至2000000の質量平均分子量と10以上の反応性基とを有するポリマーを用いることもできる。主鎖の形成にポリマーを用いることで、少ない反応で高分子量の親水性ポリマーを形成でき、親水性層の耐久性を向上させることができる。
ポリマーは、主鎖を構成する他の化合物との反応性基として、イオン性基(アニオン性基またはカチオン性基)を有することが好ましい。アニオン性基の例は、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性ヒドロキシル基およびこれらの塩を含む。カチオン基の例は、アミノ基、イミノ基、含窒素複素環基(例、ピリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル)を含む。
アニオン性基を有するポリマーの例は、ポリ(メタ)アクリル酸、その塩(例、ナトリウム塩、アンモニウム塩)、ポリスチレンスルホン酸、およびこれらの共重合体を含む。
カチオン性基を有するポリマーの例は、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、それらの塩(例、ポリアリルアミンクロライド)、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、およびこれらの共重合体を含む。
天然のポリマー(例、アルギン酸、でんぷん)や半合成ポリマー(例、カルボキシルメチルセルロース)を用いてもよい。
(親水性鎖と主鎖との結合)
親水性鎖が片末端に有する反応性基がカルボキシル基またはその塩である場合、主鎖またはそれを構成するモノマーとして、ポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリメチロール化合物、ポリイソシアナート化合物、ブロックポリイソシアナート化合物または金属架橋剤を用いることが好ましい。
親水性鎖が片末端に有する反応性基がメチロール基、フェノール性水酸基、グリシジル基である場合、主鎖またはそれを構成するモノマーとして、ポリカルボン酸化合物、ポリアミン化合物またはポリヒドロキシ化合物を用いることが好ましい。
親水性鎖が片末端に有する反応性基がアミノ基である場合、主鎖またはそれを構成するモノマーとして、ポリイソシアナート化合物、ブロックポリイソシアナート化合物、ポリエポキシ化合物またはポリメチロール化合物を用いることができる。
親水性鎖が片末端に有する反応性基がヒドロキシル基である場合、主鎖またはそれを構成するモノマーとして、ポリイソシアナート化合物、ブロックポリイソシアナート化合物、ポリアルデヒド化合物、ポリカルボン酸化合物を用いることができる。
親水性鎖が片末端に有する反応性基がアルコキシシリル基である場合、主鎖またはそれを構成するモノマーとして、テトラアルコキシシラン、多価アルコールを用いることができる。
親水性鎖が片末端に有する反応性基がエチレン性不飽和二重結合である場合、主鎖またはそれを構成するモノマーとして、ポリチオール化合物、アミン、イミンを用いることができる。
主鎖を構成するモノマー間の反応は、以上の反応に加えて、エポキシ基間の反応も利用できる。
主鎖および親水性鎖と主鎖との間の連結基にイオン結合を導入することもできる。ただし、親水性鎖の片末端の反応性基と連結基、主鎖またはそれを構成するモノマーの反応性基との結合は、共有結合であることが好ましい。
親水性鎖が片末端に有する反応性基がエチレン性不飽和二重結合であり、主鎖またはそれを構成するモノマーが二種類の成分からなり、一方がアミンまたはイミンであり、他方がアニオン性基を有することが好ましい。親水性鎖のエチレン性不飽和結合とアミンまたはイミンとは共有結合を形成でき、アミンまたはイミンと、アニオン性基を有する主鎖またはそれを構成するモノマーとはイオン結合を形成できる。
親水性鎖が片末端に有する反応性基がエポキシアルキル基であり、主鎖またはそれを構成するモノマーが二種類の成分からなり、一方がカルボン酸またはフェノールを有し、他方がカチオン性基を有することも好ましい。親水性鎖のエポキシアルキル基とカルボン酸またはフェノールとは共有結合を形成でき、カルボン酸またはフェノールとカチオン性基を有する主鎖またはそれを構成するモノマーとはイオン結合を形成できる。
親水性鎖が片末端に有する反応性基がエポキシアルキル基であり、主鎖またはそれを構成するモノマーが二種類の成分からなり、一方がアミンまたはイミンであり、他方がアニオン性基を有することが特に好ましい。親水性鎖のエポキシアルキル基とアミンまたはイミンとは共有結合を形成でき、アミンまたはイミンと、アニオン性基を有する主鎖またはそれを構成するモノマーとはイオン結合を形成できる。
親水性ポリマーの3次元分子構造では、親水性鎖の片末端のみが主鎖に結合しているため、親水性鎖の自由度が高く、運動性に優れた構造を有している。
[親水性−疎水性変換剤]
疎水性に変換可能な親水性画像記録層の態様では、親水性画像記録層が親水性−疎水性変換剤を含む。
親水性−疎水性変換剤は、加熱により化合物自体の物性が親水性から疎水性に変化する化合物(好ましくはポリマー)または疎水性化合物の熱可塑性粒子、熱硬化性粒子、熱反応性粒子またはマイクロカプセルが好ましい。
親水性から疎水性に変化する化合物は、熱により脱炭酸を起こして親水性から疎水性に変化する官能基を有するポリマー(特開2000−122272号公報に記載)が好ましい。親水性から疎水性に変化する化合物を塗布したときの被膜表面の空中水滴による接触角が、加熱前に20°以下であり、加熱後には65°以上に変化することが好ましい。
熱可塑性粒子、熱硬化性粒子、熱反応性粒子を構成する疎水性化合物は、ポリマーであることが好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子は、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号、同9−171250号の各公報および欧州特許第931647号明細書に記載がある。
熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は、0.01乃至2.0μmが好ましい。熱可塑性ポリマー粒子は、乳化重合法、懸濁重合法または溶解分散法(モノマーを非水溶性の有機溶剤に溶解し、これを分散剤が入った水溶液と混合乳化し、さらに熱をかけて、有機溶剤を蒸発させながら粒子状に固化させる方法)により合成できる。
熱硬化性ポリマー粒子は、熱硬化性ポリマーを用いて形成する。
熱硬化性ポリマーは、フェノール骨格を有する樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂を含む。フェノール骨格を有する樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂およびエポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性ポリマー粒子の平均粒径は0.01乃至2.0μmが好ましい。熱硬化性ポリマー粒子は、溶解分散法で製造できる。熱硬化性ポリマーの合成と同時に粒子を形成することもできる。
熱反応性ポリマー粒子は、熱反応性基を有するポリマーを用いて形成する。
熱反応性基は、ラジカル重合性基(例、アクリロイル、メタクリロイル、ビニル、アリル)、カチオン重合性基(例、ビニル、ビニルオキシ)、付加反応性基(例、イソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ)および反応相手である活性水素原子を有する官能基(例、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル)、縮合反応性基(例、カルボキシル)および反応相手である官能基(例、ヒドロキシル、アミノ)、開環付加反応性基(例、酸無水物)および反応相手である官能基(例、アミノ、ヒドロキシル)を含む。
ポリマーの重合において、熱反応性基をポリマー粒子に導入できる。
重合において熱反応性基を導入する場合は、熱反応性基を有するモノマーを乳化重合または懸濁重合することが好ましい。熱反応性基を有するモノマーの例は、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、2−(ビニルオキシ)エチルメタクリレート、p−ビニルオキシスチレン、p−{2−(ビニルオキシ)エチル}スチレン、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレートまたはそのブロックイソシアナート、2−イソシアナートエチルアクリレートまたはそのブロックイソシアナート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートを含む。ブロックイソシアナートは、例えば、アルコールによりブロックできる。
熱反応性基を有するモノマーと他の(熱反応性基を持たない)モノマーとのコポリマーを用いてもよい。他のモノマーの例は、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルを含む。
ポリマーの重合後に高分子反応を行って、熱反応性基を導入してもよい。高分子反応は、国際公開第96/34316号パンフレットに記載がある。
熱反応性基を有するポリマー粒子の平均粒径は、0.01乃至2.0μmが好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好ましく、0.1乃至1.0μmが最も好ましい。
親水性−疎水性変換剤として機能するマイクロカプセルは、疎水性化合物を内包する。疎水性化合物は、熱反応性基を有することが好ましい。熱反応性基は、熱反応性基を有するポリマー粒子の熱反応性基と同様である。熱反応性基を有するモノマーの例は、熱反応性基を有するポリマー粒子のモノマーに加えて、複数のエチレン性不飽和基を有するモノマーを含む。複数のエチレン性不飽和基を有するモノマーは、多価アルコールのアクリル酸エステル(例、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、多価アルコールのメタクリル酸エステル(例、ジペンタエリスリトールジメタクリレート)、多価アルコールのイタコン酸エステル(例、エチレングリコールジイタコネート)、多価アルコールのマレイン酸エステル(例、エチレングリコールジマレエート)、多価アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)を含む。
マイクロカプセルは、公知の方法で製造できる。マイクロカプセルの製造方法は、コアセルベーション法(米国特許第2800457号、同第2800458号明細書に記載)、界面重合法(英国特許第990443号、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号の各公報に記載)、ポリマー析出法(米国特許第3418250号、同第3660304号の各明細書記載)、イソシアナートポリオール壁材料を用いる方法(米国特許第3796669号明細書記載)、イソシアナート壁材料を用いる方法(米国特許第3914511号明細書記載)、尿素−ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法(米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書記載)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(米国特許第4025445号明細書記載)、ヒドロキシセルロース壁材を用いる方法、モノマー重合によるin situ法(特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報記載)、スプレードライング法(英国特許第930422号、米国特許第3111407号の各明細書記載)、電解分散冷却法(英国特許第952807号、同第967074号の各明細書記載)が採用できる。
マイクロカプセルを水媒体中に安定に分散するための分散剤として、水溶性ポリマーを使用することができる。水溶性ポリマーとして、天然ポリマー(例、多糖類、タンパク質)、半合成ポリマー(例、セルロースエーテル、澱粉誘導体)または合成ポリマーを用いることができる。多糖類の例は、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウムを含む。タンパク質の例は、カゼイン、ゼラチンを含む。セルロースエーテルの例は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースを含む。合成ポリマーは、炭化水素主鎖を有するポリマー(例、ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルピロリドン)が好ましい。コポリマーを用いてもよい。コポリマーの例は、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体を含む。
水溶性ポリマーは、イソシアネート化合物と反応しないか、極めて反応性が低いことが好ましい。イソシアネート化合物と反応性が高いポリマー(例、ゼラチン)を用いる場合は、予め反応性の官能基を除去またはブロックしておくことが好ましい。
マイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤することが好ましい。マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、これらのコポリマーまたは混合物が好ましく、ポリウレア、ポリウレタンこれらのコポリマーまたは混合物がさらに好ましい。マイクロカプセル壁に熱反応性基を有する化合物を導入してもよい。
マイクロカプセルの平均粒径は、0.01乃至3.0μmが好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好ましく、0.10乃至1.0μmが最も好ましい。
ポリマー粒子及びマイクロカプセルの親水性画像記録層への添加量は、固形分換算で、画像記録層固形分の50質量%以上が好ましく、70乃至98質量%がさらに好ましい。
親水性画像記録層にマイクロカプセルを添加する場合、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。ポリウレアまたはポリウレタン壁からなるマイクロカプセルの場合、溶剤は、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−3−ブタノール)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル)、アセタール、エステル(例、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチルラクトン)、ケトン(メチルエチルケトン)、多価アルコール、アミド(例、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、アミン、脂肪酸が好ましい。二種類以上の溶剤を併用してもよい。
溶剤の添加量は、塗布液の5乃至95質量%が好ましく、10乃至90質量%がさらに好ましく、15乃至85質量%が最も好ましい。
[光熱変換剤]
疎水性に変換可能な親水性画像記録層の態様では、親水性画像記録層が光熱変換剤を含むことが好ましい。
光熱変換剤は、光を吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換して、発熱する機能を有する物質である。光は赤外光であることが好ましい。言い換えると、光熱変換剤は、赤外線吸収剤であることが好ましい。
赤外光を吸収できる顔料、染料または金属微粒子を、光熱変換剤として好ましく用いることができる。粒子としてマイクロカプセルを使用する場合は、光熱変換剤として赤外線吸収染料を用いることが特に好ましい。
赤外線吸収染料については、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシーに記載がある。好ましい赤外線吸収染料は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料(特開昭58−112793号、同58−224793号、同59−48187号、同59−73996号、同60−52940号、同60−63744号の各公報記載)、アントラキノン染料、フタロシアニン染料(特開平11−235883号公報記載)、スクアリリウム染料(特開昭58−112792号公報記載)、ピリリウム染料(米国特許3881924号、同4283475号の各明細書、特開昭57−142645号、同58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号、特公平5−13514号、同5−19702号の各公報記載)、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料(特開昭58−173696号、同58−181690号、同58−194595号の各公報記載)である。メチン染料は、シアニン染料(特開昭58−125246号、同59−84356号、特開昭60−78787号の各公報記載)を含む。
赤外吸収染料については、米国特許4756993号、同5156938号の各明細書および特開平10−268512号、特開2004−306582号の各公報にも記載がある。市販の赤外吸収染料(例えば、エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125、エポリン社製)を用いてもよい。
光熱変換剤は、マイクロカプセルに内包させてもよい。添加量は、親水性画像記録層の全固形分に対し0.001乃至50質量%が好ましく、0.005乃至30質量%がさらに好ましく、0.01乃至10質量%が最も好ましい。
[重合開始剤]
重合性化合物を重合させるために、重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤は、光、熱、あるいはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな総合を有する化合物を使用することができる。
ラジカルを発生する化合物は、好ましくは熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物(熱ラジカル発生剤)である。熱ラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物から適宜、選択して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物を2種類以上併用してもよい。
ラジカルを発生する化合物は、特開2004−306582号公報に記載がある。ラジカルを発生する化合物の例は、ハロゲン化有機化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オキシム塩化合物を含む。オニウム塩が最も好ましい。
[支持体]
支持体は、紙、ポリマー(例、セルロースエステル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール)フイルム、金属(例、アルミニウム、亜鉛、銅)板、ポリマーをラミネートした紙、金属を蒸着した紙、金属を蒸着したポリマーフイルムを用いることができる。ポリマーフイルムおよび金属板が好ましく、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板がさらに好ましく、アルミニウム板が最も好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板またはアルニウム合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例は、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンを含む。合金中の異元素の量は、10質量%以下である。
アルミニウム板の厚みは、0.1mm乃至0.8mmが好ましく、0.15mm乃至0.6mmがさらに好ましく、0.2mm乃至0.4mmが最も好ましい。
アルミニウム板には粗面化処理を実施することが好ましい。
粗面化処理の前に、表面の圧延油を除去するための脱脂処理を行ってもよい。脱脂処理は、界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液を用いて実施できる。
粗面化処理は、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理、化学的粗面化処理を含む。
機械的粗面化処理は、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法を含む。
電気化学的粗面化処理は、例えば、酸(例、塩酸、硝酸)を含む電解液中で交流または直流により行うことができる。混合酸を用いる方法(特開昭54−63902号公報記載)も採用できる。
アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も実施できる。機械的エンボス加工でも凹凸を設けることができる。さらに、グラビア印刷などで表面に凸部を形成して粗面を設けてもよい。固体微粒子(マット剤)を含有する層を、塗布あるいは印刷のような手段で支持体表面に粗面を設けてもよい。固体微粒子は、高分子フイルムを作製する段階で高分子フイルム中に含有させ(内添し)、高分子フイルム表面に凹凸を形成することもできる。溶剤処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、X線照射処理により粗面を形成することもできる。以上の手段を組み合わせて実施してもよい。サンドブラスト加工もしくは樹脂の印刷により粗面を形成する手段、もしくは固体微粒子を添加して凹凸を形成する手段が、特に好ましい。
粗面化処理されたアルミニウム板は、アルカリエッチング処理、さらに中和処理を実施することが好ましい。
アルミニウム板は、陽極酸化処理することが好ましい。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の好ましい条件は、電解質濃度が1〜80質量%、液温が5〜70℃、電流密度が5〜60A/dm、電圧が1〜100V、電解時間が10秒〜5分である。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/mが好ましく、1.5〜4.0g/mがさらに好ましい。
[その他の層]
支持体と親水性層との間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層に、密着性を改良する機能を付与することができる。下塗り層は、特開平6−316183号、同8−272088号、同9−179311号、特開2001−199175号の各公報に記載がある。
親水性画像記録層の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、結晶性が優れている水溶性ポリマー(例、ポリビニルアルコール)を用いて形成できる。保護層は、米国特許第23458311号明細書および特開昭55−49729号公報に記載がある。
[平版印刷用原版]
親水性画像記録層を有する態様では、親水性画像記録層および支持体からなる平版印刷用原版を用いて印刷する。
具体的には、親水性画像記録層と支持体とを有する平版印刷用原版の親水性画像記録層の一部領域を画像に対応して疎水性領域に変換し、画像記録層の表面に親水性領域と疎水性領域とを有する平版印刷版を製版し、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給し、親水性領域の上に湿し水が付着し、疎水性領域の上に油性インクが付着している状態で印刷する。
親水性層と支持体とが親水性基板を構成する態様では、親水性層の上に画像記録層を設けることにより、平版印刷用原版を得ることができる。
画像記録層は、露光によりアルカリ水溶液に対する可溶性が向上するポジ型と、逆にアルカリ水溶液に対する可溶性が低下するネガ型とに分類できる。ポジ型とネガ型のいずれも公知である。油性インクまたは湿し水により画像記録層の未露光部または露光部が除去できると、露光後に現像処理(画像記録層の未露光部または露光部を除去する処理)を実施することなく、直接印刷機に装着して印刷することもできる。そのような画像記録層も提案されている。
具体的には、親水性層と支持体とを有する親水性基板と親水性層上に設けられている疎水性画像記録層からなる平版印刷原版から、疎水性画像記録層の一部領域を画像に対応して除去し、露出した親水性層からなる親水性領域と残存する疎水性画像記録層からなる疎水性領域とを有する平版印刷版を製版し、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給し、親水性領域の上に湿し水が付着し、疎水性領域の上に油性インクが付着している状態で印刷する。
親水性層の上に設けられる疎水性画像記録層は、加熱により化合物自体の物性が親水性から疎水性に変化する化合物(好ましくはポリマー)または疎水性化合物の熱可塑性粒子、熱硬化性粒子またはマイクロカプセルを含むことができる。これらの詳細は、親水性画像記録層に添加する親水性−疎水性変換剤と同様である。
疎水性画像記録層は、光熱変換剤や重合開始剤を含むこともできる。光熱変換剤および重合開始剤の詳細も、親水性画像記録層に添加できる光熱変換剤および重合開始剤と同様である。
親水性層の上に疎水性領域を直接形成する(例えば、インクジェット方式で疎水性油滴を画像状に付与する、電子写真記録方式で疎水性のトナー画像を形成する)ことにより、平版印刷版を製版することもできる。
具体的には、親水性層と支持体とを有する親水性基板の上に、画像に対応して疎水性物質を付着させ、親水性層表面からなる親水性領域と疎水性物質が付着した疎水性領域とを有する平版印刷版を製版し、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給し、親水性領域の上に湿し水が付着し、疎水性領域の上に油性インクが付着している状態で印刷する。
[実施例1]
(末端カルボン酸親水性鎖(CA−1)の合成)
メタクリル酸3−スルホプロピルエステルカリウム塩147.8g、メルカプトプロピオン酸3.82g、重合開始剤(和光純薬社製VA−044)0.582gを水151.5gに溶解し得られた水溶液を、窒素雰囲気下、50℃に保たれた水:151.5g中へ2時間で滴下し、更に滴下後、50℃で2時間、60℃で2時間攪拌し、冷却後、アセトン:4.5Lへ徐々に滴下すると、白色の固体が析出する。
得られた固体をろ過し、乾燥し、末端カルボン酸親水性鎖(CA−1)145gが得られた。乾燥後の酸価は0.086meq/gであった。
(アルミニウム支持体の作製)
Al:99.5質量%以上、Fe:0.30質量%、Si:0.10質量%、Ti:0.02質量%、Cu:0.013質量%を含有し、残部は不可避不純物のJIS A1050アルミニウム合金の溶湯に清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理としては、溶湯中の水素等の不要なガスを除去するために脱ガス処理し、更に、セラミックチューブフィルタ処理を行った。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊の表面を10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。ついで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中、500℃で60秒間、中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、厚さ0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均粗さRa を0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。得られたアルミニウム板を、以下に示す表面処理に供した。
まず、アルミニウム板の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施し、その後、30質量%硝酸水溶液を用いて50℃で30秒間、中和およびスマット除去処理を施した。
ついで、画像記録層と支持体との密着性を良好にし、かつ、非画像部に保水性を与えるため、粗面化処理を施した。具体的には、間接給電セルに供給された、硝酸1質量%および硝酸アルミニウム0.5質量%を含有する水溶液(液温45℃)中を、アルミニウム板のウェブを通過させながら、電流密度20A/dm2 、duty比1:1の交番波形で、アルミニウム板が陽極時の電気量が240C/dm2 となるように電解して、電気化学的粗面化処理を施した。
更に、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて35℃で30秒間、エッチング処理を施し、その後、30質量%硫酸水溶液を用いて50℃で30秒間、中和およびスマット除去処理を施した。
その後、耐摩耗性、耐薬品性および保水性を向上させるために、陽極酸化処理を施した。具体的には、間接給電セルに供給された、20質量%硫酸水溶液(液温35℃)中を、アルミニウム板のウェブを通過させながら、電流密度14A/dm2 の直流で電解して、2.5g/m2 の陽極酸化皮膜を作製した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、1.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて70℃で15秒間、シリケート処理を施した。Siの付着量は10mg/m2 であった。その後、水洗して、支持体を得た。得られた支持体の中心線平均粗さRa は0.25μmであった。
(マイクロカプセル分散液の調製)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、下記の赤外線吸収剤(1)0.35g、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成製ODB)1g、下記の重合開始剤(1)0.75g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてカルボン酸変性ポリビニルアルコール(KL−506,クラレ(株)製)の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液(1)の固形分濃度を、20質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.4μmであった。
Figure 2006199019
Figure 2006199019
(親水性層の形成)
上記支持体上に、下記組成の親水性層塗布液をバー塗布した後、140℃、10分でオーブン乾燥し、乾燥塗布量2.0g/m2の親水性層を形成して平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 100g
前記のマイクロカプセル分散液 (固形分換算で)6.0g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(CA−1) 2.5g
主鎖を形成する化合物(1) 2.5g
主鎖を形成する化合物(2) 1.0g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩) 0.2g
────────────────────────────────────────
Figure 2006199019
Figure 2006199019
[実施例2]
(末端カルボン酸親水性鎖(CA−2)の合成)
アクリルアミド30g、3−メルカプトプロピオン酸3.8gをエタノール70gに溶解後、窒素雰囲気下60℃に昇温し、2,2−アゾビスイソブチルニトリル(熱重合開始剤、AIBN)300mgを加えて6時間反応した。反応後白色沈殿を濾過しメタノールで十分洗浄して、末端カルボン酸親水性鎖(CA−2)30.8gを得た(酸価0.787meq/g、分子量1.29×10)。
(平版印刷用原版の作製)
親水性鎖を(CA−2)に変更した以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作製した。
[実施例3]
親水性鎖を(AM−2)に変更し、化合物(1)を化合物(3)に変更した以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作製した。
Figure 2006199019
[実施例4]
親水性鎖を(DB−1)に変更し、化合物(1)を化合物(3)に、化合物(2)を化合物(4)に変更した以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作製した。
Figure 2006199019
[実施例5]
実施例1の親水性層塗布液を下記の親水性層塗布液に変更した以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 100g
実施例1で用いたマイクロカプセル分散液 (固形分換算で)6.0g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(CA−1) 2.5g
ソルビトールポリグリシジルエーテル(主鎖を形成する化合物(5)、デナコールEX−614B、ナガセエムテックス(株)製) 3.5g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩) 0.2g
────────────────────────────────────────
[実施例6]
実施例1の親水性層塗布液を下記の親水性層塗布液に変更した以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 100g
実施例1で用いたマイクロカプセル分散液 (固形分換算で)6.0g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(CA−1) 2.5g
主鎖を形成する化合物(1) 2.5g
主鎖を形成する化合物(4) 1.0g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩) 0.2g
────────────────────────────────────────
[実施例7]
実施例1の親水性層塗布液を下記の親水性層塗布液に変更した以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 100g
実施例1で用いたマイクロカプセル分散液 (固形分換算で)6.0g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(CA−1) 2.5g
主鎖を形成する化合物(1) 3.0g
ポリアクリル酸(主鎖を形成する化合物(6)、質量平均分子量5000) 0.5g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩) 0.2g
────────────────────────────────────────
[比較例1]
実施例1の親水性鎖(CA−1)を使用しなかった以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作製した。
[比較例2]
実施例1の化合物(2)を使用しなかった以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作製した。
[比較例3]
実施例7の親水性鎖(CA−1)を使用しなかった以外は、実施例7と同様に平版印刷用原版を作製した。
(露光および印刷)
得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には細線チャートを含むようにした。得られた露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水を供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を500枚行った。その後、一旦、版面上にインキを付着させ、湿し水を供給してインキが版面上からなくなり、印刷物の非画像部に地汚れが発生しなくなる枚数を計測した。その後、地汚れが発生するまで、印刷を行った。
(1)地汚れ
刷りだし500枚の時点で、印刷物上の非画像部におけるインキ付着量を目視評価した。そして、インキが全く付着せず地汚れしていない状態が、インキが少しでも付着している状態かを判断した。
(2)インキ払い
上に記載した方法で印刷を行い、インキ払い枚数を計測した。親水性に優れる親水性層ほど、インキ払い枚数が少ない。
(3)耐刷性
非画像部が摩耗して地汚れが発生した時点を刷了とし、そこまでの印刷枚数を計測した。親水性層の強度が大きいほど印刷枚数が多くなり、耐刷性に優れる。
結果を第1表に示す。
第1表
────────────────────────────────────────
平版印刷 インキ
用原版 親水性鎖 主鎖を形成する化合物 地汚れ 払い枚数 耐刷枚数
────────────────────────────────────────
実施例1 CA−1 (1)+(2) なし 10枚 10000枚
実施例2 CA−2 (1)+(2) なし 5枚 12000枚
実施例3 AM−2 (2)+(3) なし 15枚 12000枚
実施例4 DB−1 (3)+(4) なし 20枚 12000枚
実施例5 CA−1 (5) なし 15枚 15000枚
実施例6 CA−1 (1)+(4) なし 10枚 10000枚
実施例7 CA−1 (6)+(1) なし 20枚 15000枚
比較例1 なし (1)+(2) なし 200枚 1000枚
比較例2 CA−1 (1) あり 印刷不能 0枚
比較例3 なし (6)+(1) あり 500枚 5000枚
────────────────────────────────────────
(註)
化合物(5):ソルビトールポリグリシジルエーテル
化合物(6):ポリアクリル酸
[実施例8]
(親水性層の形成)
実施例1で作製した支持体上に、下記組成の親水性層塗布液をバー塗布した後、140℃、10分でオーブン乾燥し、乾燥塗布量2.0g/m2の親水性層を形成して平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 100g
実施例1で用いたマイクロカプセル分散液 (固形分換算で)6.0g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(EP−1) 2.5g
質量平均分子量1万のポリエチレンイミン(主鎖を形成する化合物A1)2.0g
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(主鎖を形成する化合物B1)1.5g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩) 0.2g
────────────────────────────────────────
[実施例9]
下記の組成の親水性層塗布液を用いた以外は、実施例8と同様に平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 100g
実施例1で用いたマイクロカプセル分散液 (固形分換算で)6.0g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(CA−1) 2.5g
3,6,9−テトラアザ−1,11−ウンデカンジアミン(主鎖を形成する化合物A2) 2.5g
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(主鎖を形成する化合物B1)1.0g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩) 0.2g
────────────────────────────────────────
[実施例10]
実施例8の親水性鎖(EP−1)を(CA−1)に変更した以外は、実施例8と同様に平版印刷用原版を作製した。
[実施例11]
下記の組成の親水性層塗布液を用いた以外は、実施例8と同様に平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 100g
実施例1で用いたマイクロカプセル分散液 (固形分換算で)6.0g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(AM−3) 2.5g
質量平均分子量1万のポリアクリル酸(主鎖を形成する化合物A3) 2.0g
3,6,9−テトラアザ−1,11−ウンデカンジアミン(主鎖を形成する化合物B2) 1.5g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩) 0.2g
────────────────────────────────────────
[実施例12]
実施例9の親水性鎖(CA−1)を(EP−1)に変更した以外は、実施例9と同様に平版印刷用原版を作製した。
[実施例13]
実施例11の親水性鎖(AM−3)を(EP−1)に変更した以外は、実施例11と同様に平版印刷用原版を作製した。
[実施例14]
実施例8の親水性層塗布液を下記の親水性層塗布液に変更した以外は、実施例8と同様に平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 100g
実施例1で用いたマイクロカプセル分散液 (固形分換算で)6.0g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(EP−1) 2.5g
質量平均分子量1万のポリエチレンイミン(主鎖を形成する化合物A1)2.0g
質量平均分子量5000のポリアクリル酸(主鎖を形成する化合物B3)1.5g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩) 0.2g
────────────────────────────────────────
(露光および印刷)
得られた平版印刷用原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には細線チャートを含むようにした。得られた露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水を供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を500枚行った。その後、一旦、版面上にインキを付着させ、湿し水を供給してインキが版面上からなくなり、印刷物の非画像部に地汚れが発生しなくなる枚数を計測した。その後、地汚れが発生するまで、印刷を行った。
(1)地汚れ
刷りだし500枚の時点で、印刷物上の非画像部におけるインキ付着量を目視評価した。そして、インキが全く付着せず地汚れしていない状態が、インキが少しでも付着している状態かを判断した。
(2)インキ払い
上に記載した方法で印刷を行い、インキ払い枚数を計測した。親水性に優れる親水性層ほど、インキ払い枚数が少ない。
(3)耐刷性
非画像部が摩耗して地汚れが発生した時点を刷了とし、そこまでの印刷枚数を計測した。親水性層の強度が大きいほど印刷枚数が多くなり、耐刷性に優れる。
結果を第2表に示す。
第2表
────────────────────────────────────────
平版印刷 インキ
用原版 親水性鎖 主鎖を形成する化合物 地汚れ 払い枚数 耐刷枚数
────────────────────────────────────────
実施例8 EP−1 A1+B1 なし 15枚 18000枚
実施例9 CA−1 A2+B1 なし 10枚 10000枚
実施例10 CA−1 A1+B1 なし 5枚 15000枚
実施例11 AM−3 A3+B2 なし 10枚 18000枚
実施例12 EP−1 A2+B1 なし 15枚 12000枚
実施例13 EP−1 A3+B2 なし 20枚 20000枚
実施例14 EP−1 A1+B3 なし 15枚 18000枚
────────────────────────────────────────
(註)
化合物A1:質量平均分子量1万のポリエチレンイミン
化合物A2:3,6,9−テトラアザ−1,11−ウンデカンジアミン
化合物A3:質量平均分子量1万のポリアクリル酸
化合物B1:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸
化合物B2:3,6,9−テトラアザ−1,11−ウンデカンジアミン
化合物B3:質量平均分子量5000のポリアクリル酸
[実施例14]
(親水性基板の作製)
厚さ0.24mmのポリエチレンテレフタレートフイルム表面にコロナ放電処理を施し、支持体とした。
支持体上に、下記組成の親水性層塗布液をバー塗布した後、140℃で10分間オーブン乾燥し、乾燥塗布量が1.0g/mの親水性層を形成した。
────────────────────────────────────────
親水性層塗布液
────────────────────────────────────────
水 2500g
片末端に反応性基を有する親水性鎖(CA−1) 60g
主鎖を形成する化合物(1) 25g
質量平均分子量10万のポリアクリル酸 20g
コロイダルシリカの20質量%水分散液(スノーテックスC、日産化学(株)製)
1200g
界面活性剤(スルホこはく酸ジエチルヘキシルナトリウム塩)の5質量%水溶液
20g
────────────────────────────────────────
(感光液の調製)
下記の組成からなる感光液を調製した。
────────────────────────────────────────
感光液(1)
────────────────────────────────────────
バインダーポリマー(1) 16g
重合開始剤(2) 10g
実施例1で用いた赤外吸収染料(1) 2g
重合性モノマー(アロニックスM−215(東亜合成(株)製) 40g
フッ素系界面活性剤(1) 4g
メチルエチルケトン 110g
1−メトキシ−2−プロパノール 860g
────────────────────────────────────────
Figure 2006199019
Figure 2006199019
Figure 2006199019
(マイクロカプセル分散液の作製)
油相として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75%酢酸エチル溶液)10g、エチレン性不飽和モノマー(アロニックスM−215、東亞合成(株)製)6.00g、界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。
水相として、ポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ製)の4質量%水溶液37.5gを調製した。
油相および水相を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
(マイクロカプセル液の調製)
下記の組成からなるマイクロカプセル液を調製した。
────────────────────────────────────────
マイクロカプセル液
────────────────────────────────────────
作製したマイクロカプセル分散液 260g
水 240g
────────────────────────────────────────
(疎水性画像記録層の形成)
感光液とマイクロカプセル液を混合し攪拌することで、疎水性画像記録層の塗布液を調製した。
塗布液を調製後直ちに、作製した親水性基板上にバー塗布した。塗布層を100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの疎水性画像記録層を形成した。
(無機粒子分散液の調製)
イオン交換水193.6gに、合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル社製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法で測定)が3μmになるまで分散した。得られた分散無機粒子のアスペクト比は100以上であった。
(機上現像型平版印刷用原版の作製)
下記組成の保護層塗布を画像記録層上にバー塗布し、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/mの保護層を形成した。
このようにして、機上現像型平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
保護層塗布液
────────────────────────────────────────
無機粒子分散液 150g
ポリビニルアルコール(PVA105、(株)クラレ製、ケン化度:98.5モル%、重合度:500) 6g
ポリビニルピロリドン(K30、東京化成工業(株)製、質量平均分子量:4万)
1g
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(LUVITEC VA64W、ICP社製、共重合比=6/4) 1g
ノニオン系界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)1g
イオン交換水 600g
────────────────────────────────────────
(印刷評価)
得られた平版印刷用原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には細線チャートを含むようにした。得られた露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインクを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行ったところ、1万枚まで非画像部の汚れがない印刷物が得られた。
[実施例15]
(樹脂粒子の製造)
ポリドデシルメタクリレート14g、酢酸ビニル100g、オクタデシルメタクリレート4.0gおよびアイソパーH286gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソバレロニトリル)1.5g加え、4時間反応した。さらに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.8gを加えた後、温度80℃に加温して2時間反応し、続けて2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.6g加えて2時間反応した。その後、温度を100℃に上げそのまま1時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通して得られた白色分散物は重合率93%で平均粒径0.35μmのラテックスであった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
(油性インクの作製)
ドデシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比:98/2質量比)10g、アルカリブルー10gおよびシェルゾール71.30gをガラスビーズとともにペイントシェーカー(東洋精機(株)製)に入れ、4時間分散し、アルカリブルーの微小な青色分散物を得た。
上記の樹脂粒子50g(固形分量として)、上記の青色分散物5g(固形分量)および、ナフテン酸ジルコニウム0.06gをアイソパーGの1リットルに希釈することにより青色油性インクを作製した。
(インクジェットによる平版印刷版の作製)
パソコン出力により描画できるグラフテック社製サーボ・プロターDA8400を改造し、ペン・プロッター部にインク吐出ヘッドを装着し、1.5mmの間隔をおいた対向電極上に、実施例15で作製した親水性基板を設置した。親水性基板上に、作製した油性インクを用いて印字を行ない製版した。製版に際しては、印刷用支持体のアルミ裏層と対向電極を、銀ペーストを用いて電気的に接続した。
製版された版を、版面温度が70℃となる様に調整したリコーフュザー(リコー(株)製)で10秒間加熱しインク画像を定着した。得られた製版物の描画画像を光学顕微鏡により、200倍の倍率で観察して評価した。いずれも、細線・細文字等の滲みや欠落のない鮮明な画像であった。
(印刷評価)
得られた平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインクを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行ったところ、5000枚まで非画像部の汚れがない印刷物が得られた。

Claims (13)

  1. 親水性ポリマーおよび熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含む親水性画像記録層と支持体からなる平版印刷用原版であって、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含むことを特徴とする平版印刷用原版。
  2. 分岐鎖が親水性鎖と連結基からなり、親水性鎖と主鎖との間に連結基が介在している請求項1に記載の平版印刷用原版。
  3. 連結基がイオン結合を含む請求項2に記載の平版印刷用原版。
  4. 主鎖が二種類以上の繰り返し単位からなる請求項1に記載の平版印刷用原版。
  5. 主鎖の一種類の繰り返し単位に分岐鎖が結合し、主鎖の他の種類の繰り返し単位には分岐鎖が結合していない請求項4に記載の平版印刷用原版。
  6. 分岐鎖が親水性鎖と連結基からなり、親水性鎖と主鎖との間に連結基が介在しており、主鎖の他の種類の繰り返し単位と連結基とが同じ分子構造を有する請求項5に記載の平版印刷用原版。
  7. 主鎖が1000乃至200万の質量平均分子量を有する請求項1に記載の平版印刷用原版。
  8. 主鎖が架橋構造を有する請求項1に記載の平版印刷用原版。
  9. 架橋構造がイオン結合を含む請求項8に記載の平版印刷用原版。
  10. 親水性ポリマーを含む親水性層と支持体からなる親水性基板であって、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含むことを特徴とする親水性基板。
  11. 熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤および親水性ポリマーを含む親水性画像記録層と支持体からなり、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む平版印刷用原版を画像に対応して加熱し、親水性画像記録層の一部を疎水性領域に変換して、表面に親水性領域と疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
  12. 親水性ポリマーを含む親水性層と支持体からなり、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む親水性基板と親水性層上に設けられている疎水性画像記録層からなる平版印刷原版から、疎水性画像記録層の一部を画像に対応して除去し、露出した親水性層からなる親水性領域と残存する疎水性画像記録層からなる疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;そして、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
  13. 親水性ポリマーを含む親水性層と支持体からなり、親水性ポリマーが主鎖と分岐鎖からなり、分岐鎖が200乃至100万の質量平均分子量を有する親水性鎖を含む親水性基板の上に、画像に対応して疎水性物質を付着させ、親水性層表面からなる親水性領域と疎水性物質が付着した疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;そして、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
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