JP2006309948A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガス濃度を推定することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 水素と酸素との電気化学反応により発電を行なう燃料電池を有する燃料電池システムであって、反応に用いる水素のガスを燃料電池に供給する水素供給部と、水素供給部から供給されるガスが流れる水素流路と、水素流路上であって、反応において生成される水蒸気の流れを免れる所定位置に配置し、該水素流路を流れるガスの流量を検出する熱線式流量計と、水素流路を流れるガスの状態量を検出し、検出した状態量から熱線式流量計を流れるガスの流量を推定する流量推定手段と、所定のタイミングで、熱線式流量計による検出値と流量推定手段による推定値との差分を求め、該差分に基づいて、水素流路内のガスにおける水素ガスの濃度を推定する濃度推定手段と、推定された水素ガスの濃度に基づいて、燃料電池の制御を行なう制御手段とを備える。
【選択図】 図4

Description

本発明は、水素と酸素との電気化学反応により発電を行なう燃料電池システムに関し、詳しくはシステム内の水素のガス濃度を推定する技術に関する。
水素ガスと酸素ガスとの供給を受けて発電する燃料電池システムでは、起動時にアノードガス流路に水素ガスを導入し、発電に十分な水素分圧をアノードガス流路内に生じさせる必要がある。すなわち、起動時には、アノードガス流路内には不純物を含む混合ガスが存在するため、これを排出して新たに水素ガスを導入し、発電に十分な水素ガスを供給する必要がある(いわゆる水素置換処理)。
かかる水素置換処理の実行に際しては、アノードガス流量内の混合ガスのガス組成を知ることが重要となる。ガス組成が分かれば、不純物の量に応じた適切な排出処理などを実行することができるからである。従来から、こうしたガス組成を推定する技術が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、混合ガス中の超音波伝播時間より不純物ガス濃度を演算し、不純物ガス濃度、圧力、温度から不純物ガス存在量を演算する技術が開示されている。かかる技術によれば、不純物ガス濃度を推定し、ガス濃度に応じた水素置換の処理が実行できるとされている。
特開2003−317752号公報 特開平4−292542号公報 特開2004−281132号公報 特開2004−265667号公報 特許第3137511号公報
しかしながら、かかるガス濃度の推定手法では超音波を利用するため、超音波発信機を備える必要があった。すなわち、燃料電池システムとして部品点数が増えるという問題を抱えると共に、通常、燃料電池システムでは用いられることがない特殊な装置を設けることから、機器の取扱いが煩わしく、また、コストが高いという問題があった。
本発明は、特別な装置による部品点数の増加といった問題を踏まえて、特別な装置を用いることなく、ガス濃度を推定することができる燃料電池システムを提供することを目的としている。
本発明の燃料電池システムは、上記課題を鑑み、以下の手法を採った。すなわち、水素と酸素との電気化学反応により発電を行なう燃料電池を有する燃料電池システムであって、前記反応に用いる水素のガスを前記燃料電池に供給する水素供給部と、前記水素供給部から供給されるガスが流れる水素流路と、前記水素流路上であって、前記反応において生成される水蒸気の流れを免れる所定位置に配置し、該水素流路を流れるガスの流量を検出する熱線式流量計と、前記水素流路を流れるガスの状態量を検出し、該検出した状態量から前記熱線式流量計を流れるガスの流量を推定する流量推定手段と、所定のタイミングで、前記熱線式流量計による検出値と前記流量推定手段による推定値との差分を求め、該差分に基づいて、前記水素流路内のガスにおける水素ガスの濃度を推定する濃度推定手段と、前記推定された水素ガスの濃度に基づいて、前記燃料電池の制御を行なう制御手段とを備えることを要旨としている。
また、本発明の燃料電池システムの制御方法は、水素と酸素との電気化学反応により発電を行なう燃料電池を有する燃料電池システムの制御方法であって、前記反応に用いる水素のガスが流れる流路上であって、該反応において生成される水蒸気の流れを免れる所定位置に配置した熱線式流量計によって、該流路を流れるガスの流量を検出し、前記流路を流れるガスの状態量を検出し、該検出した状態量から前記熱線式流量計を流れるガスの流量を推定し、所定のタイミングで、前記熱線式流量計による検出値と前記推定値との差分を求め、該差分に基づいて、前記流路内のガスにおける水素ガスの濃度を推定し、前記推定された水素ガスの濃度に基づいて、前記燃料電池の制御を行なうことを要旨としている。
本発明の燃料電池システムおよびその制御方法によれば、熱線式流量計による流量の検出値と、ガスの状態量による流量の推定値との差分に基づいて、水素流路内の水素ガスの濃度を推定する。したがって、熱線式流量計という一般的な機器を用いて不純物ガスの増加を判断することができる。また、熱線式流量計は、水蒸気の流れを免れる所定位置に配置されているため、流量検出において水蒸気の影響を受けることはない。したがって、安定した検出を行なうことができ、流量検出(つまり、水素ガス濃度の推定)を適切に行なうことができる。その結果、水素ガス濃度に基づく燃料電池の制御を、適切に行なうことができる。
上記構成の燃料電池システムにおいて、熱線式流量計を配置する所定位置は、前記水素供給部と前記燃料電池との間の前記水素流路上であるものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、水素供給部から燃料電池までの水素流路を流れるガス中の水素ガス濃度を推定することができる。例えば、水素供給部に近い位置での水素ガス濃度の推定により、水素供給部からの水素ガス濃度が所定基準より低いと認識した場合には、水素供給部に異常があると判断することができる。
上記構成の燃料電池システムは、更に、前記水素供給部から前記燃料電池に供給するガスの圧力を調整する調圧弁と、前記調圧弁の下流であって、前記燃料電池から排出されたガスが循環する循環流路と、前記燃料電池よりも上流の前記水素流路とが合流する合流部とを備えており、前記熱線式流量計を配置する所定位置は、前記調圧弁と前記合流部との間の前記水素流路上であるものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、調圧弁と合流部との間の水素流路上に熱線式流量計を配置する。すなわち、熱線式流量計は、排出されたガスを再度燃料電池に供給するための合流部よりも上流に設けられるため、燃料電池内の反応により発生する水蒸気が循環されても、熱線式流量計に流入することはほとんどない。したがって、適切な流量検出を行なうことができる。
上記構成の燃料電池システムは、更に、前記合流部を介して循環するガスの一部を前記水素流路から排出するパージ弁を備え、前記制御手段は、前記推定された水素ガス濃度に基づいて、前記パージ弁の開閉制御を行なうものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、パージ弁の開閉制御に推定した水素ガス濃度を用いる。したがって、燃料電池内、水素流路内の水素ガスの状態に適した制御を行なうことができる。
上記構成の燃料電池システムにおける所定のタイミングは、前記燃料電池への水素ガスの供給開始直後のタイミングであるものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、水素ガスの供給開始直後に水素ガス濃度の推定を行なうため、反応による水蒸気が熱線式流量計を流れることがない。したがって、適切な流量検出を行なうことができる。なお、水素ガスの供給開始直後とは、燃料電池への水素ガスの供給開始(いわゆる起動時)から、発電開始(負荷への接続)までの期間(つまり、水蒸気が生成される前の期間)のみならず、発電を開始してから所定時間(例えば、数秒)の経過までをも含む概念である。
上記構成の燃料電池システムの流量推定手段は、前記ガスの状態量として前記水素流路内を流れるガスの圧力を検出し、該水素流路内の圧力変動に基づいて流量を推定するものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、ガスの状態量として一般的に検出されている圧力の変動を用いることで、容易に流量を推定することができる。さらに、ガスの状態量の直接的な検出値により流量を推定するため、例えば燃料電池による出力電流から流入した水素量を推定する場合に比べて、適切に流量推定を行なうことができる。
上記構成の燃料電池システムの水素供給部は、燃料電池における反応に用いる水素を貯蔵する水素貯蔵装置であるものとしても良い。水素貯蔵装置としては、高圧水素タンク,液体水素タンク,水素吸蔵合金タンクなど、純水素を貯蔵している装置を用いることができる。こうした装置から供給される水素には水蒸気がほとんど含まれず、熱線式流量計による適切な流量検出を行なうことができる。
本発明の別の態様の燃料電池システムは、水素と酸素との電気化学反応により発電を行なう燃料電池を有する燃料電池システムであって、前記反応に用いる水素のガスを前記燃料電池に供給する水素供給部と、前記水素供給部から供給されたガスが流れる水素流路と、前記燃料電池から排出されたガスを循環する循環装置と、前記循環装置により循環されるガスの一部を前記水素流路から排出するパージ弁と、前記パージ弁の下流に配置し、前記水素流路から排出されたガスの流量を検出する熱線式流量計と、前記パージ弁の上流であって、前記水素流路を流れるガスの状態量を検出し、該検出した状態量から前記熱線式流量計を流れるガスの流量を推定する流量推定手段と、前記燃料電池への水素ガスの供給開始直後のタイミングで、前記熱線式流量計による検出値と前記流量推定手段による推定値との差分を求め、該差分に基づいて、前記水素流路内のガスにおける水素ガスの濃度を推定する濃度推定手段と、前記推定された水素ガスの濃度に基づいて、前記パージ弁の開閉制御を行なう制御手段とを備えることを要旨としている。
本発明の燃料電池システムによれば、燃料電池への水素ガスの供給開始直後のタイミングで、パージ弁の開弁の際に、排出されたガス中における水素ガス濃度を推定する。したがって、パージ弁の開閉処理を行なう場合にのみ、水素ガス濃度を推定し適切な処理を実行することができる。また、水素ガスの供給開始直後のタイミングであるため、反応により生成される水蒸気が熱線式流量計に影響を与えることはない。
以下、上述した本発明の作用・効果を一層明らかにするため、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの全体構成:
A−2.水素ガス濃度の推定の手法:
A−3.パージ処理:
B.第2実施例:
B−1.パージ処理:
C.第3実施例:
C−1.膜劣化判断処理:
D.変形例:
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの全体構成:
図1は、本発明の第1実施例としての燃料電池システム100の全体構成を示す説明図である。本実施例の燃料電池システム100は、図示するように、車両90に搭載されており、水素と酸素の電気化学反応によって発電する燃料電池10や、水素ガスを貯蔵する水素タンク20、燃料電池10に空気を供給するブロワ30、燃料電池10によって発電された電気により充電される二次電池40、燃料電池10によって発電された電力によって車軸55を駆動するモータ50、車両90や燃料電池システム100を全般的に制御する制御コンピュータ400等を備えている。
燃料電池10は、固体高分子電解質型の燃料電池であり、構成単位である単セル(図示せず)を複数積層したスタック構造を有している。各単セルは、電解質膜を挟んで水素極(以下、アノードと呼ぶ)と酸素極(以下、カソードと呼ぶ)とを配置した構成となっている。各々の単セルのアノード側に水素ガスを供給し、カソード側に酸素を含有する空気を供給することで、電気化学反応が進行し、起電力を生じる。燃料電池10で生じた電力は、燃料電池10に接続された二次電池40,モータ50,各種補機など,所定の負荷に供給される。
ブロワ30は、燃料電池10のカソードに空気を供給するための装置である。ブロワ30は、空気供給流路34を介して燃料電池10のカソードに接続されている。ブロワ30から燃料電池10に供給された空気は、燃料電池10のカソード側出口と接続したカソードオフガス流路36を通じて、外部に排出される。
水素タンク20には、数十MPaの圧力を有する高圧の水素ガスが貯蔵される。この水素タンク20は、水素供給流路24を通じて燃料電池10のアノードに接続されている。つまり、燃料電池システム100における水素ガスの流れは、上流の水素タンク20から下流の燃料電池10に向かって流れる。水素タンク20から燃料電池10に供給された水素ガスは、燃料電池10のアノード側出口と接続したアノードオフガス流路26に流れる。なお、こうした高圧ガスを貯蔵する水素タンク20の他、液体水素タンク,水素吸蔵合金タンクなど、純水素を貯蔵する貯蔵装置を、水素の供給源として使用することができる。
水素供給流路24の流路上には、上流から順に、開閉弁200,第1の調圧弁210,第2の調圧弁220,水素流量計300,循環装置70が設けられている。
開閉弁200は、内部の弁を開閉することで、水素タンク20内に貯留された高圧の水素ガスの燃料電池10への供給を調整する機器である。制御コンピュータ400による指令を受けて開閉弁200が開弁状態になると、水素タンク20から水素供給流路24を通じて燃料電池10に水素ガスが供給される。
開閉弁200の開弁により水素供給流路24へ供給された高圧の水素ガスは、第1の調圧弁210によって調圧され、400K〜2MPa程度の中圧状態に減圧される。中圧に減圧された水素ガスは、更に、第2の調圧弁220により調圧され、100K〜250KPa程度の低圧状態まで減圧される。こうして低圧状態に減圧された水素ガスは、水素流量計300,循環装置70を通過して、燃料電池10のアノードへ供給される。以下の説明では、第1の調圧弁210と第2の調圧弁220とによって異なる圧力状態となった水素供給流路24中の区間をそれぞれ、図示するように、高圧部HS、中圧部MS、低圧部LSと呼ぶこととする。
水素流量計300は、発熱部を備えた熱線式の流量計であり、2点間を流れる流体の温度差に基づいて流量を測定する。第1実施例では、調圧弁220によって減圧された水素ガスが水素供給流路24を流れる流量を検出している。この水素流量計300の近傍には、差圧センサ350が設けられている。差圧センサ350は、水素流量計300の上流および下流の(低圧部LSにおける)水素ガスの圧力を差圧として検出する。水素流量計300および差圧センサ350は、制御コンピュータ400に接続されており、所定のタイミングで各検出値を制御コンピュータ400に出力している。
水素供給流路24の高圧部HSと中圧部MSと低圧部LSとには、それぞれ圧力センサ310,320,330が設けられ、各区間を流れる水素ガスの圧力を計測する。各圧力センサ310〜330は、制御コンピュータ400に接続されており、各圧力部の圧力P0,P1,P2を検出して制御コンピュータ400に出力している。
水素供給流路24の低圧部LSに配置された循環装置70は、アノードオフガス流路26上の水素ガスを水素供給流路24側へ流す水素循環流路28と接続しており、アノードオフガス流路26上の水素ガスを燃料電池10に循環している。換言すると、循環装置70は、水素供給流路24と水素循環流路28との合流箇所に配置されている。燃料電池10に供給された水素ガスは、燃料電池10内の電気化学反応に供され、アノードオフガスとして排出されるが、アノードオフガス中には、燃料電池10による発電に供しきれなかった水素ガスが残存している場合がある。こうした水素ガスを水素循環流路28を介して、再度、水素供給流路24に供給することで、効率的に水素ガスを利用することができる。
本実施例では、エジェクタを循環装置70として採用し、所定量のアノードオフガスを再度、燃料電池10に供給している。循環装置70としては、エジェクタに代えて循環ポンプを用いるものとしても良い。
循環装置70と接続する水素循環流路28は、アノードオフガス流路26上に設けられた気液分離器60と接続し、気液分離器60を介してアノードオフガス流路26上の水素ガスを循環装置70,水素供給流路24側へ流す。燃料電池10を通過してきたアノードオフガス中には、電解質膜を介してカソード側から透過してくる水分が含まれる場合がある。気液分離器60は、かかる水分をアノードオフガス中から分離し、外部に排出する。
気液分離器60にはパージ弁240が接続されており、所定のタイミングでパージ弁240を開弁することで、水分等を外部に排出する。パージ弁240は、制御コンピュータ400に接続されており、こうしたパージ弁240の開弁は、制御コンピュータ400による制御によって定期的に実行される。アノードオフガス中には、上記の水分が含まれる他、カソード側から電解質膜を介して透過する空気中の窒素等の不純物が含まれる。パージ弁240の開弁は、上記の水分の排出と共に不純物を排出するために実行される。
また、かかる不純物は燃料電池システム100の停止中にも電解質膜を介してアノード側に漏れ出す場合がある。この場合、燃料電池システム100の起動時には、アノード側は純粋な水素ガスで満たされず、窒素などの不純物を含んだ混合ガスの状態となる。パージ弁240の開弁は、特に、こうした起動時にも制御コンピュータ400の指令により実行され、混合ガスを排出して水素ガスの置換を実行している。以下、起動時に実行するパージ弁240の開弁処理をパージ処理と呼ぶ。
制御コンピュータ400は、CPUやROM,RAM,タイマ,入出力ポート等を備えている。ROMには、上述のパージ処理の他、種々の処理を行うためのプログラムや、車両90や燃料電池システム100の運転を制御するためのプログラムが記憶されている。CPUは、これらのプログラムをRAMに展開して実行する。入出力ポートには、水素流量計300,差圧センサ350,圧力センサ310〜340の他、アノードオフガス流路26上に設けられ、燃料電池10の出口温度を検出する温度センサ360や、パージ弁240上流の圧力P3を検出する圧力センサ340など、種々のセンサやイグニッションスイッチ等が接続されている。さらに、入出力ポートには、開閉弁200,循環装置70,パージ弁240、ブロワ30など、種々のアクチュエータが接続されている。制御コンピュータ400は、こうした入出力ポートを介して、燃料電池システム100の状態を検出し、各種アクチュエータに指令することでシステム全体を制御している。
以上の構成を有する本実施例の燃料電池システム100では、制御コンピュータ400によるパージ処理が行なわれる。このパージ処理では、水素供給流路24やアノードオフガス流路26など、水素ガス流路内のガスの組成(濃度)を推定し、推定した濃度に対応して適正な量の水素ガスの置換を行なう。以下に、かかる処理の基本となるガス濃度の推定について説明する。
A−2.水素ガス濃度の推定の手法:
図2は、水素流量計300の流量検出の原理を説明する説明図である。本実施例では用いる水素流量計300は、上述のように熱線式の検出器であり、図示するように、流れの下流にヒータ等の熱源を備えている。その熱源付近の地点Bと、地点Bよりも上流の地点Aとには、温度センサを備えており、両地点A,Bの温度差ΔTを検出している。この水素流量計300は、検出された温度差ΔTの大小により、水素ガスの流量を検出する。
図2の上段に示すように、水素ガスの流れがない場合には、熱源付近の地点Bの温度は上昇し、両地点A,B間の温度差ΔTが増加する。これに対して、図2の下段に示すように、水素ガスの流れが生じた場合には、上流からの水素ガスにより熱源付近の地点Bは冷やされ、両地点A,Bの温度差ΔTは低減する。こうして温度差ΔTの変化により流量を検出することができる。
こうした原理で水素ガスの流量を検出する水素流量計300は、予め検出対象となる水素ガス濃度(純度)に対応したセッティングが行なわれており、設定された純度のものであれば、適切な流量検出を行なうことができるが、検出対象が水素ガス以外のガスを含む混合ガスである場合には、検出流量に誤差を含むこととなる。すなわち、かかる熱線式の流量計は、検出対象となるガスの比熱の影響を受けるからである。
例えば、検出対象が水素ガスよりも比熱の大きいガスであれば、所定流速で地点Bを通過しても水素ガスの場合に比べて地点Bの温度は低くなり、逆に、検出対象が水素ガスよりも比熱の小さいガスであれば、所定流速で地点Bを通過しても水素ガスの場合に比べて地点Bの温度は高くなる。したがって、水素ガスよりも比熱の大きいガスが混在する混合ガスの場合には、実際に流れる流量よりも多い流量が検出され、水素ガスよりも比熱の小さいガスが混在する混合ガスの場合には、実際の流量よりも少ない流量が検出される。
図3は、実際に流れる流量(実流量)と熱線式の流量計による出力との関係を示す説明図である。図中の横軸は流路を流れる実流量を、縦軸は熱線式流量計出力を、それぞれ示し、実線で水素ガスが100%の濃度である場合の流量計の出力特性を示している。図示するように、実線よりも傾きが小さい領域は水素ガスに水素ガスよりも比熱の小さいガスが混在する領域を示し、実線よりも傾きが大きい領域は水素ガスに水素ガスよりも比熱の大きいガスが混在する領域を示している。
例えば、水素ガスに、水素ガスよりも比熱の小さい窒素ガスが混在している場合には、流量計の出力特性は破線で示すように傾きが小さくなる。ここで、所定流路に実流量として流量Qjが流れているときに、熱線式流量計の出力が流量Qjよりも少ない流量Qf(Qf<Qj)であった場合には、検出対象の水素ガスは100%濃度ではなく、窒素ガスが混在したものであると推定できる。
すなわち、熱線式流量計の出力流量と実際に流れる(または、実際に流れると推定される)実流量とを比較することで、水素ガスの濃度を推定することができる。本実施例では、こうした原理を用いて水素ガス濃度を推定し、パージ処理や、システムの異常検出などの種々の起動時の処理に利用している。なお、起動時に各種処理を実行するため、混合ガス中には生成水(水蒸気)は含まれず、混合ガスのガス組成は水素ガスと窒素ガスとからなるものと推定することができる。したがって、水素ガス濃度の推定により窒素ガス濃度も推定することができる。以下に、水素ガス濃度(窒素ガス濃度)を推定した処理について説明する。
A−3.パージ処理:
図4は、制御コンピュータ400がROMに記録されたプログラムに基づき実行するパージ処理のフローチャートである。この処理は、燃料電池10内の不純物を排出して水素ガスの置換を行なう処理であり、運転者のイグニッションスイッチのON操作の後、燃料電池10の発電前の起動時に実行される処理である。したがって、この処理が実行される前提として、開閉弁200,パージ弁240は閉弁状態にあるものとする。
この処理が実行されると、制御コンピュータ400は開閉弁200に開弁指令を出力する(ステップS400)。指令を受けた開閉弁200が内部の弁を開くことで、水素タンク20内の水素ガスが水素供給流路24に放出される。
続いて、制御コンピュータ400は、水素供給流路24を流れるガスの流量Qfを水素流量計300により検出する(ステップS410)。ここで検出される流量Qfは、窒素ガスを含む混合ガスの流量である。すなわち、前述のように、燃料電池システム100の停止中に電解質膜から窒素ガスが漏れ出すため、システム起動前における水素供給流路24やアノードオフガス流路26などの水素系統は混合ガスが滞留する状態となっている。こうした状態の水素系統に、開閉弁200の開弁により高圧の水素ガスが供給されて所定の流れを生じることとなる。
水素流量計300によるガスの流量Qfを検出すると共に、制御コンピュータ400は、差圧センサ350による検出値である差圧ΔPを入力し、差圧ΔPに基づいて水素流量計300を実際に流れていると推定される実流量Qjを算出する(ステップS420)。具体的には、いわゆる絞りによる流量検出を行なっている。絞りとしてオリフィスを考え、オリフィスを流れる流量が差圧ΔPの1/2乗に比例することから流量を求めている。
こうして水素流量計300によるガス流量Qfと、差圧による実流量Qjとを取得した制御コンピュータ400は、水素系統の混合ガス中における水素ガスの濃度を推定する(ステップS430)。具体的には、実流量と熱線式の流量計出力との関係(図3参照)に基づいて予め設定した水素ガス濃度のマップから、流量Qf,実流量Qjに対応する水素ガス濃度を推定している。
現状の水素系統の水素ガス濃度を推定した制御コンピュータ400は、推定値に基づいて水素の置換に費やす時間(水素置換時間)tを決定する(ステップS440)。水素置換時間tとは、パージ弁240を開弁する時間である。つまり、パージ弁240を開弁して混合ガスを排出し、水素タンク20からの高純度の水素ガスを水素系統に充填するのに必要な時間、換言すると水素ガスの置換を行なうのに必要な時間を決定する。具体的には、水素ガス濃度に対応したパージ弁240の開放時間を予め設定してあり、これに基づき決定している。
水素置換時間tを決定した制御コンピュータ400は、パージ弁240に開弁指令を出力する(ステップS450)。この指令を受けたパージ弁240が内部の弁を開くと共に、窒素ガスを含有する混合ガスが排出される。
続いて、パージ弁240の開弁時間が、決定した水素置換時間tを経過したか否かを判断する(ステップS460)。具体的には、制御コンピュータ400は、パージ弁240の開弁と同時に内部のタイマを起動して経過時間をカウントし、経過時間と水素置換時間tとを比較する判断処理を行なっている。
ステップS460で、水素置換時間tを経過していない(No)と判断した場合には、水素置換時間tに至るまで判断を繰り返す。他方、ステップS460で、水素置換時間tを経過している(Yes)と判断した場合には、パージ弁240に閉弁指令を出力し(ステップS470)、推定した水素ガスの濃度に応じた一連のパージ処理を終了する。
以上の第1実施例におけるパージ処理によれば、水素ガスの状態量である圧力値に基づく流量Qjと、熱線式の流量計による流量Qfとを用いて、水素系統の不純物ガスの増加を判断(水素ガス濃度の推定)する。したがって、水素ガス濃度に応じて適切なパージ処理を行なうことができる。例えば、水素ガス濃度の推定手段を備えていないシステムでは、水素ガス濃度が最も低い状態を想定して多量の水素ガスを供給する必要がある。この場合、パージ処理でも多量の水素ガスが排出されるため、多量の空気で水素ガスを希釈する必要がある。これに対し、本実施例では、水素ガス濃度を推定可能であるため、多量の空気を供給して希釈を行なう必要もない。
また、一般的な熱線式の流量計を利用し、特別な水素ガス濃度の検出装置を備える必要がない。したがって、汎用性の高いシステムを構築することができる。特に、水素ガスの流量を検出する目的で水素流量計を備えるシステムでは、新たに部品を追加することなく、既存のシステムを利用して水素ガス濃度を検出することができる。
また、本実施例では、発電前の起動時のタイミングでパージ処理を実行しているため、水素系統に電気化学反応により生成される水蒸気が流れることがない。したがって、熱線式である水素流量計300内に水蒸気が流れ込むことはなく、適切な流量検出を行なうことができる。さらに、水素流量計300を調圧弁220の下流であって循環装置70の上流(水素供給流路24と水素循環流路28との合流箇所よりも上流)に配置しているため、発電後の所定タイミングであってもパージ処理を行なうことができる。
また、本実施例では、水素ガスの直接的な状態量である差圧に基づいて実流用を推定するため、出力電流を検出して水素ガスの量を推定するような場合に比べて、比較的精度良く実流量を算出することができる。
なお、実流量の算出には、差圧センサ350による検出値を用いるものとしたが、システム上に設けた圧力センサによる検出値を用いるものとしても良い。この場合、圧力センサによる検出値から所定流路間の差圧を求め、その流路間に配置される機器の圧損等を補正して、実流量を算出するものとすれば良い。また、差圧センサ350による検出値に代えて、水素タンク20に圧力センサを設け、タンク圧の減少等を検出することで行なうものとしても良い。さらには、調圧弁220の開度が制御可能である場合には、開度を固定し、予め開度により決まる流量を実流量とするものとしても良い。
B.第2実施例:
第1実施例では、パージ処理における水素ガス濃度の推定に、調圧弁220の下流であって循環装置70の上流に配置した水素流量計300の出力を用いたが、水素流量計300をさらに下流に配置して水素ガス濃度の推定を実行するものとしても良い。
図5は、第2実施例としての燃料電池システムの一部の構成を示す説明図である。図示するように、第2実施例では、水素流量計300をアノードオフガス流路26上のパージ弁240の下流に配置している。すなわち、パージ弁240の開弁時に、水素系統から排出される水素ガスの濃度を検出する。なお、各機器、および、その他のハード構成は第1実施例と同様であるため、符号を同一として説明を省略する。
B−1.パージ処理:
図6は、第2実施例のパージ処理のフローチャートである。第1実施例同様、この処理は、運転者のイグニッションスイッチのON操作の後、燃料電池10の発電前の起動時に制御コンピュータ400にて実行される処理である。したがって、この処理が実行される前提として、開閉弁200,パージ弁240は閉弁状態にあるものとする。
処理が実行されると、制御コンピュータ400は開閉弁200に開弁指令を出力する(ステップS600)。指令を受けた開閉弁200が内部の弁を開くことで、水素タンク20内の水素ガスが水素供給流路24に放出される。
続いて、制御コンピュータ400はパージ弁240に開弁指令を出力する(ステップS610)。指令を受けたパージ弁240が開弁することで、水素系統の混合ガスが系外へ排出される。ここで排出される混合ガスには、上述のように窒素ガス等の不純物が含まれている。
制御コンピュータ400は所定時間のパージ弁240の開弁後、パージ弁240に閉弁指令を出力する(ステップS620)。こうしたパージ弁の開閉動作において、制御コンピュータ400は、パージ弁240下流に配置された水素流量計300により排出された混合ガスの流量Qfを検出すると共に、圧力センサ340の検出値に基づいて排出された実流量Qjを検出する。
実流量Qjの検出は、圧力センサ340の圧力P3の時間変化を検出することで行なう。図7に示すように、パージ弁240上流に設けた圧力センサ340の検出圧力P3は、パージ弁240の開弁と共に低下し、閉弁により再度設定した圧力まで回復する。このパージ弁240の開閉時間t1における圧力変動は、排出した混合ガスの流量に起因し、図示する斜線部分の面積Sは排出した流量にほぼ比例する。かかる関係により、制御コンピュータ400は変動する圧力P3の積算値を用いて実流量Qjを検出している。なお、圧力の積算値と実流量との関係は予め設定されている。
制御コンピュータ400は、水素流量計300の検出流量Qfと実流量Qjとを比較し、水素ガス濃度を推定する(ステップS650)。この処理における水素ガス濃度の推定は、第1実施例と同様である。
水素ガス濃度を推定した制御コンピュータ400は、推定値が所定の基準値αよりも小さいか否かを判断する(ステップS660)。すなわち、水素系統内の水素ガス濃度が所定の基準値α内に収まり、燃料電池10に適切な量の水素ガスが行き届いているか否かを判断している。
ステップS660で、推定値が所定の基準値α以上である(No)と判断した場合には、ステップS610へ戻り、再度パージ弁240の開閉処理を繰り返す。他方、ステップS660で、推定値が所定の基準値αよりも小さい(Yes)と判断した場合は、一連のパージ処理を終了する。
以上の第2実施例におけるパージ処理によれば、推定した水素ガスの濃度に応じて、パージ弁240の開閉回数を変更する。つまり、予めパージ弁240の開閉回数を設定しておく必要がない。したがって、燃料電池システム100の状態に応じた適切なパージ処理を実行することができる。
また、本実施例では、発電前の起動時のタイミングでパージ処理を実行しているため、水素系統に電気化学反応により生成される水蒸気が流れることはない。したがって、反応により生成される水蒸気が水素流量計300内に流れ込み、流量検出の精度を低下させることがない。
なお、実流量Qjの算出には、パージ弁240の上流、下流の圧力差を利用するものとしても良い。この場合、下流側は大気圧であるため、パージ弁240の上流側である圧力センサ340による検出圧力P3を取得することで、実流量を算出することができる。
第1、第2実施例では、実流量Qjを圧力変動に基づいて算出するものとしたが、実流量Qjも水素流量計による検出値として求めるものとしても良い。図8は、第2実施例の変形例としての燃料電池システムの一部の構成を示す説明図である。図示するように、水素供給流路24の中圧部MSに新たな水素流量計380を配置して、水素ガスの実流量Qjを検出する。中圧部MSには、通常、水素タンク20からの純度の高い水素ガスが流れ、不純物を含んだ混合ガスは存在しない。こうした箇所に水素流量計380を配置することで、水素流量計380による検出流量の誤差は低減し、水素流量計380自体の検出流量を実流量Qjとして使用することができる。なお、かかる実流量Qjの検出に用いる水素流量計380は、熱線式の水素流量計300と同一でも良いし、熱線式とは異なる流量計であっても良い。
例えば、出力特性が同一である2つの水素流量計300のうち、一方を図1および図5に示す水素流量計300の位置に、他方を図8に示す水素流量計380の位置に、それぞれ配置し、両者の検出流量を比較することで、水素系統における水素ガス濃度を推定することができる。これは、燃料電池システムにおける水素系統では、水素タンクからの水素ガスが流れる流路の位置によって、流路内のガスの組成が異なるからである。こうしたシステムに熱線式流量計を適用することで、比較的容易に水素ガス濃度を推定することができる。
C.第3実施例:
C−1.膜劣化判断処理:
第1、第2実施例では、推定した水素ガス濃度をパージ処理において利用するものとしたが、推定した水素ガス濃度は、電解質膜の劣化の判断基準としても利用できる。以下に、ガス濃度の推定による膜劣化判断処理について説明する。なお、第3実施例におけるハード構成は、第1実施例と同様であるため説明を省略する。
図9は、第3実施例としての膜劣化判断処理のフローチャートである。この処理は、水素系統内のガス濃度の推定から電解質膜の透過速度を推定し、これに基づいて膜の劣化具合を判断する処理であり、起動時の所定タイミングで制御コンピュータ400にて実行される処理である。第1、第2実施例と同様、この処理も、開閉弁200,パージ弁240は閉弁状態であることを前提とする。
処理が実行されると、制御コンピュータ400は開閉弁200に開弁指令を出力する(ステップS900)。指令を受けた開閉弁200が内部の弁を開くことで、水素タンク20内の水素ガスが水素供給流路24に放出される。
続いて、制御コンピュータ400は、燃料電池システム100の放置時間と燃料電池10の温度Tを取得する(ステップS910)。具体的には、制御コンピュータ400は、内部のタイマによるカウント値と温度センサ360による温度Tとを読み取っている。内部のタイマによるカウント値は、燃料電池システム100の停止中の時間を示している。この処理により、燃料電池システム100が停止し、放置されていた時間を認識する。
放置時間と温度Tとを取得後、制御コンピュータ400は、水素流量計300による流量Qfを検出する(ステップS920)。つまり、第1実施例と同様、低圧部LSに配置された水素流量計300により、起動時の水素系統の混合ガスの流量Qfを検出する。この検出と共に、制御コンピュータ400は、差圧センサ350による検出値である差圧ΔPを入力し、差圧ΔPに基づいて水素流量計300を実際に流れていると推定される実流量Qjを算出する(ステップS930)。
水素流量計300による流量Qfと、実流量Qjとを取得後、制御コンピュータ400は、窒素ガスの濃度を推定し、併せて窒素ガスの電解質膜の透過速度を推定する(ステップS940)。起動時の水素系統(アノード側)における混合ガスは、前述のように、水素ガスと窒素ガスとからなる。かかるアノード側の窒素ガスは、カソード側から電解質膜を透過し、漏れ出した(クロスリークした)ことに拠るものである。
制御コンピュータ400は、第1、第2実施例で説明したように流量Qfと実流量Qjとによって水素ガス濃度を推定すると共に窒素ガスの濃度を推定し、電解質膜を移動してきた窒素ガスの量を算出する。
この移動量と、燃料電池システム100の停止時間と、温度Tとから、単位時間あたりに電解質膜を透過してきた移動量、つまり、窒素ガスの透過速度を推定する。なお、透過速度は温度による影響を受けるため、透過速度の推定に際しては検出した温度Tによる補正を行なっている。
こうして窒素ガスの透過速度を推定した後、制御コンピュータ400は、推定した透過速度に基づいて電解質膜が劣化しているか否かを判断する(ステップS950)。具体的には、推定した透過速度と所定の基準値とを比較することで、劣化の有無の判断を行なっている。
ステップS950で、推定した透過速度が所定の基準値よりも小さく、電解質膜は劣化していない(No)と判断した場合には、一連の処理を終了する。他方、ステップS950で、推定した透過速度が所定の基準値以上であり、電解質膜は劣化している(Yes)と判断した場合には、所定の警告を出力し(ステップS960)、一連の処理を終了する。なお、所定の警告は、車両90における図示しない警告等を点灯することで行なっている。
以上の第3実施例における膜劣化判断処理によれば、熱線式の流量計を用いた水素ガス濃度、窒素ガス濃度の推定により、電解質膜の透過速度を推定することができる。熱線式の流量計による出力により容易に膜の透過速度を推定することができ、膜劣化判断の処理を迅速に行なうことができる。
なお、本実施例では、膜の劣化を判断した場合には、単に警告を行なうこととしたが、警告と共に、または、警告に代えて、燃料電池システム100を停止し、あるいは、燃料電池システム100の出力を制限した運転モードに切替えるものとしても良い。こうすることで、燃料電池システムを安全に運転することができる。
また、循環装置70として循環ポンプを使用し、水素流量計300による検出に先立って、循環装置70を駆動して、水素ガス(混合ガス)を循環するものとしても良い。こうすることで、水素系統内の窒素ガスが攪拌して均一化され、水素流量計300を用いた窒素ガス濃度の推定における精度を向上することができる。
D.変形例:
以上、本実施例の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
例えば、本実施例では、熱線式の水素流量計300を用いて水素ガス濃度(窒素ガス濃度)を推定し、これをパージ処理や膜劣化の判断処理に利用するものとしたが、水素ガス濃度を推定することで、水素タンク20からの供給水素ガスの適否の判断(異常検出)にも利用することができる。
図10は、変形例としての燃料電池システムの一部の構成を示す説明図である。図示するように、水素供給流路24の中圧部MSに水素流量計300,差圧センサ350を配置し、水素タンク20から放出され、水素供給流路24を流れる水素ガスの流量を検出する。この水素流量計300の位置は、通常、水素タンク20からの高純度の水素ガスが流れる位置であるため、水素タンク20内に適切な水素ガスが収納されている場合には、水素流量計300による検出流量は精度の高いものとなる。こうした箇所に配置した水素流量計300を利用して、適切な水素ガスが燃料電池システムに供給されているか否かを判断する異常検出処理を実行する。なお、その他のハード構成は第1実施例と同様であるため省略する。
図11は、制御コンピュータ400がROMに記録されたプログラムに基づき実行する異常検出処理のフローチャートである。この処理は、起動時の所定タイミングで制御コンピュータ400にて実行される処理である。
処理が実行されると、制御コンピュータ400は開閉弁200に開弁指令を出力し(ステップS800)、水素流量計300により流量Qfを検出する(ステップS810)。水素流量計300は水素タンク20に近い位置に配置されており、ここで検出される流量Qfは、水素タンク20内のガスそのものと等価であるとみなすことができるガスの流量である。
制御コンピュータ400は、水素流量計300による流量Qfと共に、差圧センサ350による差圧ΔPを検出し、これに基づいて実流量Qjを算出し(ステップS820)、水素ガス濃度(純度)を推定する(ステップS830)。具体的には、流量Qfと実流量Qjとの差分をとり、差分に基づいて水素ガスの純度を推定している。すなわち、差分が小さい場合には水素流量計300で検出したガスには不純物が混入しておらず、純度が高いガスであると推定でき、他方、差分が大きい場合には水素流量計300で検出したガスに不純物が混入している可能性があり、純度が低いガスであると推定できる。
制御コンピュータ400は、推定した水素ガスの純度が所定の基準値βよりも低いか否かを判断する(ステップS840)。ステップS840で、推定した純度が所定の基準値β以上であり、純度は低くない(No)と判断した場合には、そのまま一連の処理を終了する。
他方、ステップS840で、推定した純度が所定の基準値βよりも低く、純度は低い(Yes)と判断した場合には、開閉弁200に閉弁指令を出力する(ステップS150)。つまり、本来の水素ガスの純度に満たない不純物を含んだガスが水素タンク20から放出され、燃料異常であると判断し、燃料電池10への水素ガスの供給を中止する。その後、制御コンピュータ400は、燃料異常の警告を出力し(ステップS860)、一連の処理を終了する。なお、警告は、車両90における図示しない警告等を点灯することで行なう。
こうした異常検出処理を実行することで、燃料電池システムの安全性を向上することができる。なお、予め水素流量計の出力特性をガスの種類に応じてセッティングすることで、ガスの種類を推定することもできる。
本発明の第1実施例としての燃料電池システムの全体構成を示す説明図である。 水素流量計の流量検出の原理を説明する説明図である。 実際に流れる流量(実流量)と熱線式の流量計による出力との関係を示す説明図である。 制御コンピュータがROMに記録されたプログラムに基づき実行するパージ処理のフローチャートである。 第2実施例としての燃料電池システムの一部の構成を示す説明図である。 第2実施例のパージ処理のフローチャートである。 圧力センサによる検出圧力の時間変化を示す説明図である。 第2実施例の変形例としての燃料電池システムの一部の構成を示す説明図である。 第3実施例としての膜劣化判断処理のフローチャートである。 変形例としての燃料電池システムの一部の構成を示す説明図である。 制御コンピュータがROMに記録されたプログラムに基づき実行する異常検出処理のフローチャートである。
符号の説明
10...燃料電池
20...水素タンク
24...水素供給流路
26...アノードオフガス流路
28...水素循環流路
30...ブロワ
34...空気供給流路
36...カソードオフガス流路
40...二次電池
50...モータ
55...車軸
60...気液分離器
70...循環装置
90...車両
100...燃料電池システム
200...開閉弁
210,220...調圧弁
240...パージ弁
300...水素流量計
310,320,330,340...圧力センサ
350...差圧センサ
360...温度センサ
380...水素流量計
400...制御コンピュータ

Claims (9)

  1. 水素と酸素との電気化学反応により発電を行なう燃料電池を有する燃料電池システムであって、
    前記反応に用いる水素のガスを前記燃料電池に供給する水素供給部と、
    前記水素供給部から供給されるガスが流れる水素流路と、
    前記水素流路上であって、前記反応において生成される水蒸気の流れを免れる所定位置に配置し、該水素流路を流れるガスの流量を検出する熱線式流量計と、
    前記水素流路を流れるガスの状態量を検出し、該検出した状態量から前記熱線式流量計を流れるガスの流量を推定する流量推定手段と、
    所定のタイミングで、前記熱線式流量計による検出値と前記流量推定手段による推定値との差分を求め、該差分に基づいて、前記水素流路内のガスにおける水素ガスの濃度を推定する濃度推定手段と、
    前記推定された水素ガスの濃度に基づいて、前記燃料電池の制御を行なう制御手段と
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記熱線式流量計を配置する所定位置は、前記水素供給部と前記燃料電池との間の前記水素流路上である燃料電池システム。
  3. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、更に、
    前記水素供給部から前記燃料電池に供給するガスの圧力を調整する調圧弁と、
    前記調圧弁の下流であって、前記燃料電池から排出されたガスが循環する循環流路と、該燃料電池よりも上流の前記水素流路とが合流する合流部とを備えており、
    前記熱線式流量計を配置する所定位置は、前記調圧弁と前記合流部との間の前記水素流路上である燃料電池システム。
  4. 請求項3に記載の燃料電池システムであって、更に、
    前記合流部を介して循環するガスの一部を前記水素流路から排出するパージ弁を備え、
    前記制御手段は、前記推定された水素ガス濃度に基づいて、前記パージ弁の開閉制御を行なう
    を備える燃料電池システム。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記所定のタイミングは、前記燃料電池への水素ガスの供給開始直後のタイミングである燃料電池システム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記流量推定手段は、前記ガスの状態量として前記水素流路内を流れるガスの圧力を検出し、該水素流路内の圧力変動に基づいて流量を推定する燃料電池システム。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記水素供給部は、前記燃料電池における反応に用いる水素を貯蔵する水素貯蔵装置である燃料電池システム。
  8. 水素と酸素との電気化学反応により発電を行なう燃料電池を有する燃料電池システムであって、
    前記反応に用いる水素のガスを前記燃料電池に供給する水素供給部と、
    前記水素供給部から供給されたガスが流れる水素流路と、
    前記燃料電池から排出されたガスを循環する循環装置と、
    前記循環装置により循環されるガスの一部を前記水素流路から排出するパージ弁と、
    前記パージ弁の下流に配置し、前記水素流路から排出されたガスの流量を検出する熱線式流量計と、
    前記パージ弁の上流であって、前記水素流路を流れるガスの状態量を検出し、該検出した状態量から前記熱線式流量計を流れるガスの流量を推定する流量推定手段と、
    前記燃料電池への水素ガスの供給開始直後のタイミングで、前記熱線式流量計による検出値と前記流量推定手段による推定値との差分を求め、該差分に基づいて、前記水素流路内のガスにおける水素ガスの濃度を推定する濃度推定手段と、
    前記推定された水素ガスの濃度に基づいて、前記パージ弁の開閉制御を行なう制御手段と
    を備える燃料電池システム。
  9. 水素と酸素との電気化学反応により発電を行なう燃料電池を有する燃料電池システムの制御方法であって、
    前記反応に用いる水素のガスが流れる流路上であって、該反応において生成される水蒸気の流れを免れる所定位置に配置した熱線式流量計によって、該流路を流れるガスの流量を検出し、
    前記流路を流れるガスの状態量を検出し、該検出した状態量から前記熱線式流量計を流れるガスの流量を推定し、
    所定のタイミングで、前記熱線式流量計による検出値と前記推定値との差分を求め、該差分に基づいて、前記流路内のガスにおける水素ガスの濃度を推定し、
    前記推定された水素ガスの濃度に基づいて、前記燃料電池の制御を行なう
    燃料電池システムの制御方法。
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