JP2005071751A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 電気化学反応に供された後に燃料電池から排出されるガスを外部に排出する動作を、燃料電池の状態に応じて適切に制御可能にする。
【解決手段】 燃料電池システム10は、アノード排ガス路63からアノード排ガスを排出するために、開閉弁50と開閉弁66とを備えている。開閉弁50は、開閉弁66に比べて、開弁状態となったときの開口面積が小さく形成されている。燃料電池システム10では、燃料電池22の運転状態に応じていずれか一方の開閉弁を選択し、選択した開閉弁の開閉動作を制御して、アノード排ガスを流路外に排出する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、燃料電池を備える燃料電池システムに関する。
従来、燃料電池から排出されたガスを、所定の条件下で外部に排出する機構を有する燃料電池システムが知られている。例えば、特許文献1には、燃料ガスを燃料電池に供給した後にアノードから排出されるアノード排ガスを、再びアノードに供給する再循環流路を有する燃料電池システムにおいて、再循環流路を流れるアノード排ガスを外部に排出するための絞りおよび遮断弁を設けた構成が開示されている。この燃料電池システムでは、アノード排ガスの流量が増大したときには、遮断弁を開状態として、アノード排ガスを絞りを介することなく外部に放出することで、再循環流路におけるガス圧の上昇を抑えることが可能となる。
特開平10−284098号公報 特開2002−289237号公報
しかしながら、燃料電池システムにおいては、アノード排ガスを循環させる流路における圧力調整以外の目的で、燃料電池から排出される排ガスを外部に排出する動作を行なう場合もあり、燃料電池の状態に応じて、排ガス排出の動作をより適切に制御可能にすることが望まれていた。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、電気化学反応に供された後に燃料電池から排出されるガスを流路外に排出する動作を、燃料電池の状態に応じて適切に制御可能にすることを課題とする。
本発明は、燃料電池を備える燃料電池システムであって、
電気化学反応に供された後に前記燃料電池から排出されるガスが流れる排ガス流路と、
前記排ガス流路に設けられ、前記排ガス流路を連通状態とすることによって、前記排ガス流路を流れる前記ガスの少なくとも一部を前記排ガス流路外に排出させる第1の排出部と、
前記排ガス流路に設けられ、前記排ガス流路を連通状態とすることによって、前記排ガス流路を流れる前記ガスの少なくとも一部を前記排ガス流路外に排出させると共に、前記排ガス流路を連通状態とする際の開口面積が前記第1の排出部よりも小さい第2の排出部と、
前記第1の排出部と前記第2の排出部とのいずれか一方を選択して、選択した排出部における連通状態を制御することによって、前記排ガス流路を流れる前記ガスを排出させる制御部と
を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池装置システムによれば、排ガス流路を連通状態とするときの開口面積が異なる2つの排出部を使い分けて一方の排出部を選択し、選択した排出部における連通状態を制御するため、燃料電池の運転状態に適するように、燃料電池からのガス排出の動作を制御することができる。ここで、選択した排出部における連通状態を制御するとは、例えば、排ガス流路が連通状態となる連通時間や、排ガス流路を連通状態とする際のタイミングを制御することをいる。また、燃料電池の運転状態とは、例えば、燃料電池における発電量や、燃料電池の運転温度を挙げることができる。
排ガス流路に設けた排出部から前記ガスを排出することで、例えば、燃料電池内部のガス流路内の不純物を除去する効果が得られる。また、排出部から前記ガスを排出することで、燃料電池に供給されるガスの流れにおいて、脈動を起こさせる効果が得られる。あるいは、排出部から前記ガスを排出することで、前記ガスが流れるガス流路における前記ガスの圧力を低下させる効果が得られる。したがって、本発明では、選択した排出部における連通状態を制御することで、ガス排出によって得られる上記のような効果の程度を、燃料電池の運転状態に適したものとすることができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記制御部は、前記燃料電池に対する負荷要求が大きいほど、前記ガスの排出量が多くなるように、前記第1の排出部あるいは前記第2の排出部によって前記ガスを排出させると共に、前記負荷要求が所定値以上の時には、前記ガスを排出するために前記第1の排出部を選択することとしても良い。
通常は、燃料電池に対する負荷要求が大きく発電量が多いほど、燃料電池内部の前記ガスの流路における不純物濃度が高くなる。そのため、負荷要求が大きいときには、ガスの排出量を増やすことによって、不純物濃度の上昇を抑えることができる。また、負荷要求が大きく発電量が多いほど、燃料電池内部の前記ガスの流路において水詰まりが生じる可能性が高まる。本発明では、負荷要求が所定値以上の時には、排ガス流路が連通状態となったときの開口面積が大きい第1の排出部を用いるため、同じ量のガスを排出する場合にも連通時間を短くすることができる。このように排出部における連通時間を短くすることで、燃料電池に供給される前記ガスの流れにおいて、より強く脈動を起こさせることができ、流路内での水詰まりを解消する効果を高めることができる。
また、本発明の燃料電池システムにおいて、さらに、
前記第1の排出部と前記第2の排出部とのいずれか一方において、前記ガスの排出動作に支障があるか否かを判定する支障判定部を備え、
前記制御部は、前記支障判定部が、前記第1の排出部と前記第2の排出部とのいずれか一方において排出動作に支障があると判定したときには、他方の排出部によって、前記排ガス流路を流れる前記ガスを排出させることとしても良い。
これにより、いずれかの排出部において排出動作に支障がある場合にも、他方の排出部を用いることによって、燃料電池システムにおける発電の動作を支障なく継続することができる。
あるいは、本発明の燃料電池システムにおいて、さらに、
前記第2の排出部において、前記ガスの排出動作に支障があるか否かを判定する支障判定部を備え、
前記制御部は、前記ガスを前記排ガス流路外に排出する際に、通常は、前記第2の排出部を選択すると共に、前記支障判定部が前記第2の排出部の排出動作に支障があると判定したときには、前記第1の排出部を選択することとしても良い。
これにより、第2の排出部において排出動作に支障がある場合には、第1の排出部を選択することによって、燃料電池システムにおける発電の動作を支障なく継続することができる。さらに、通常は、排ガス流路が連通状態となるときの開口面積の小さい第2の排出部によって前記ガスを排出させるため、排出するガス量を精度良く調節することができる。
このような本発明の燃料電池システムにおいて、
前記支障判定部は、前記第2の排出部の温度が氷点下となる可能性がある温度条件に該当する時に、前記第2の排出部の排出動作に支障があると判定することとしても良い。
このような構成とすれば、上記温度条件に該当する場合には、より凍結しにくい第1の排出部を用いるため、排出部が凍結することに起因してガス排出の動作に支障を来たすのを防止することができる。
このような本発明の燃料電池システムにおいて、
前記排ガス流路を流れる前記ガスの流れに対して、前記第1の排出部の方が前記第2の排出部よりも下流側に設けられていることとしても良い。
ガス流路で生じた凝縮水は、ガスの流れに導かれて、上流側から下流側へと移動する。そのため、上流側に配置した排出部ほど、凝縮水の凍結による影響を受けやすい。排ガス流路を連通状態とする際の開口面積の大きな第1の排出部を下流側に配置することによって、第1の排出部をより凍結し難くすることができ、排出部が凍結することに起因してガス排出の動作に支障を来たすのを防止する効果を、より高めることができる。
あるいは、本発明の燃料電池システムにおいて、
前記支障判定部は、前記第2の排出部の温度が氷点下となる可能性がある温度条件に該当する時に、前記第2の排出部の排出動作に支障があると判定し、
前記制御部は、前記支障判定部が前記第2の排出部の排出動作に支障があると判定したときには、支障があると判定しないときに比べて、前記第1の排出部において、前記排ガス流路を連通状態とする単位時間当たりの連通時間を長くすることとしても良い。
このような構成とすれば、上記温度条件に該当して第1の排出部を用いる場合に、上記温度条件に該当しない時に比べて、第1の排出部における単位時間当たりの連通時間を長くするため、第1の排出部を、より凍結し難くすることができる。これにより、上記温度条件に該当する場合にも、排出部が凍結することに起因してガス排出の動作に支障を来たすのを防止する効果を高めることができる。
上記のような本発明の燃料電池システムにおいて、
前記排ガス流路を流れる前記ガスは、前記燃料電池のアノードから排出されたアノード排ガスであり、
前記燃料電池システムは、さらに、
前記第1の排出部および/または前記第2の排出部から排出された前記アノード排ガスが通過する排出流路と、
前記排出流路に設けられ、流路断面積を他の領域に比べて小さくすることによって前記アノード排ガスの流れを規制する絞り部と
を備え、
前記排出流路は、前記絞り部の上流側において、排出された前記アノード排ガスの流れ方向を変更させる流れ方向変更部を備えることとしても良い。
このような構成とすれば、アノード排ガスが通過する排出流路において、アノード排ガスの流れを規制する絞り部を設けたことで、アノード排ガス量が変動する場合にも、絞り部から排出されるアノード排ガス量を均一化し、水素濃度の濃いガスが排出されるのを抑えることができる。このとき、絞り部の上流側に、アノード排ガスの流れ方向を変更させる方向変更部を設けることで、方向変更部によってアノード排ガス中に含まれる凝縮水の流れを妨げ、絞り部が凝縮水によって塞がれるのを防止することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、燃料電池システムの運転方法などの形態で実現することが可能である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の全体構成:
B.開閉弁を用いたアノード排ガスの排出動作:
C.開閉弁50,66の制御:
D.効果:
E.変形例:
A.装置の全体構成:
図1は、本発明の実施例である燃料電池システム10の構成の概略を表わすブロック図である。燃料電池システム10は、発電の本体である燃料電池22と、燃料電池22に供給する水素を貯蔵する水素タンク23と、燃料電池22に圧縮空気を供給するためのエアコンプレッサ24と、を備えている。燃料電池22としては種々の種類の燃料電池を用いることが可能であるが、本実施例では、燃料電池22として固体高分子型燃料電池を用いている。この燃料電池22は、複数の単セルを積層したスタック構造を有している。
水素タンク23は、例えば、高圧水素を貯蔵する水素ボンベとすることができる。あるいは、水素吸蔵合金を内部に備え、水素吸蔵合金に吸蔵させることによって水素を貯蔵するタンクとしても良い。水素タンク23に貯蔵された水素ガスは、水素ガス供給路60に放出された後、圧力調整弁62によって所定の圧力に調整されて、燃料電池22のアノードに供給される。アノードから排出されるアノード排ガスは、アノード排ガス路63に導かれて再び水素ガス供給路60に流入する。このように、アノード排ガス中の残余の水素ガスは流路内を循環して再度電気化学反応に供される。アノード排ガスを循環させるために、アノード排ガス路63には、ポンプモータ65aを備える水素ポンプ65が設けられている。
また、アノード排ガス路63から分岐して、排ガス排出路64が設けられている。この排ガス排出路64は、開閉弁66を備えている。開閉弁66を開状態とすることで、アノード排ガス路63を流れるアノード排ガスの一部を、排ガス排出路64を介して大気中に排出可能となる。すなわち、開閉弁66は、アノード排ガス路63内のアノード排ガスをアノード排ガス路64外に排出するための排出部を構成する。ここで、排ガス排出路64は、排ガス排出路64よりも断面積が大きい容器である希釈器26に接続されている。この希釈器26は、アノード排ガスを大気中に排出する際に、アノード排ガス中の水素を、排出に先立って、後述するカソード排ガスによって希釈するための構造である。
また、アノード排ガス路63には、気液分離器27が設けられている。電気化学反応の進行に伴ってカソードでは水が生じるが、生じた水は、電解質膜を介してアノード側のガス内にも導入される。気液分離器27は、このようにしてアノード排ガス中に溜まった水蒸気を凝縮させて、アノード排ガス中から除去する。気液分離器27には、開閉弁50が設けられており、開閉弁50を開状態とすることで、凝縮させた水が気液分離器27から排出される。また、開閉弁50を開状態とすることで、凝縮水の他に、アノード排ガス路63を流れるアノード排ガスも、気液分離器27から排出することができる。すなわち、開閉弁50は、開閉弁66と同様に、アノード排ガス路63内のアノード排ガスを流路外に排出するための排出部を構成する。なお、開閉弁50は、開閉弁66よりも、開状態となったときの開口面積(開口径)が小さく形成されている。ここで、気液分離器27は、既述した希釈器26に接続されており、開閉弁50を開状態とすることで、気液分離器27と希釈器26とが連通する。そのため、開閉弁50を開状態とすることで、凝縮水とアノード排ガスとが、気液分離器27から希釈器26に流入する。
アノード排ガスが流入する希釈器26の出口部には、絞り部54が設けられている。絞り部54は、局部的に流路断面積を小さくする構造である。このような絞りを介することによって、燃料電池22から排出されるアノード排ガス量が増減する場合にも、大気中に排出されるアノード排ガス量を均一化し、水素濃度の濃いガスが大気中に排出されるのを抑えている。なお、絞り部54は、希釈器26の入り口部側に設けることとしても、大気中に排出されるアノード排ガス量を均一化する同様の効果を得ることが可能となる。また、希釈器26内には、複数の仕切り板52が配設されている。希釈器26内を、絞り部54が設けられた出口に向かって流れるガスは、この仕切り板52に当接することによって流れが妨げられ、ガスの流れ方向が変更される。これにより、希釈器26に流入した凝縮水の流れも、仕切り板52によって妨げられ、凝縮水によって絞り部54が塞がれるのが防止される。図1では記載を省略しているが、希釈器26には、仕切り板52によって絞り部54側へ流れるのを妨げられた凝縮水を排出するための排出弁が、さらに設けられている。
エアコンプレッサ24は、加圧した空気を酸化ガスとして酸化ガス供給路67を介して燃料電池22のカソードに供給する。エアコンプレッサ24が空気を圧縮する際には、フィルタを備えたマスフロメータ28を介して、外部から空気を取り込む。カソードから排出されるカソード排ガスは、カソード排ガス路68に導かれて外部に排出される。ここで、酸化ガス供給路67およびカソード排ガス路68は、加湿モジュール25を経由している。加湿モジュール25では、酸化ガス供給路67の壁面の一部とカソード排ガス路68の壁面の一部とが接触しており、この接触部には、水蒸気透過性の膜が配設されている。水蒸気透過性の膜によって酸化ガス供給路67とカソード排ガス路68とを隔てることで、カソード排ガス側から加圧空気側に水蒸気が供給可能となっている。すなわち、カソード排ガスは、電気化学反応に伴って生じた生成水を水蒸気の状態で含有するが、加湿モジュール25では、上記水蒸気を含有するカソード排ガスを用いて、カソードに供給する加圧空気の加湿を行なっている。また、カソード排ガス路68において、燃料電池22と加湿モジュール25との間には圧力調整弁32が設けられており、燃料電池22と圧力調整弁32との間には圧力センサ33が設けられている。上記圧力センサ33の検出信号に基づいて圧力調整弁32の開度を調節することで、燃料電池22から排出されるカソード排ガスの圧力、すなわち燃料電池22内での酸化ガスの圧力が調節されている。燃料電池22では、圧力調整弁32によって酸化ガスの圧力を高く保つことで、電気化学反応の効率を向上させている。
また、このカソード排ガス路68から分岐して、排ガス分岐路56が設けられている。この排ガス分岐路56は、希釈器26を経由して、再びカソード排ガス路68に接続している。そのため、開閉弁66あるいは開閉弁50を介して希釈器26に流入したアノード排ガスは、希釈器26においてカソード排ガスの一部と混合されることによって一旦希釈される。その後、排ガス分岐路56がカソード排ガス路68に合流することで、アノード排ガスは、残りのカソード排ガスによってさらに希釈されて大気中に排出される。なお、本実施例では、希釈器26を排ガス分岐路56に設けることとしたが、排ガス分岐路56を設けることなく、カソード排ガス路68に希釈器26を設けることとしても良い。この場合にも、開閉弁66あるいは開閉弁50を介して排出されたアノード排ガスを、カソード排ガスによって希釈した後に、大気中に排出することができる。
燃料電池システム10は、さらに、燃料電池22の運転温度が所定温度となるように燃料電池22を冷却するための冷却部40を備えている。冷却部40は、冷却水路41と、冷却ポンプ42と、ラジエータ29とを備えている。冷却水路41は、燃料電池22の内部とラジエータ29との間で冷却水が循環するように、冷却水を導く流路である。冷却ポンプ42は、冷却水路41内で冷却水を循環させる。ラジエータ29は、冷却ファンを備えており、燃料電池22内を経由して昇温した冷却水を冷却する。冷却水路41には、ラジエータ29に流入する冷却水温度を検出するための温度センサ43と、ラジエータ29から流出する冷却水温度を検出するための温度センサ44とが設けられている。この温度センサ43,44の検出結果に基づいて冷却ファンおよび冷却ポンプ42の駆動量を調節することで、燃料電池22の運転温度を制御している。なお、既述したエアコンプレッサ24や水素ポンプ65や冷却ポンプ42、あるいはラジエータファンや流路に設けた弁など、燃料電池22の発電に伴って動作する装置を、以後、燃料電池補機と呼ぶ。
また、燃料電池22には、燃料電池22から電力を供給される電力消費装置である負荷装置30が接続されている。なお、図1では、負荷装置30は、燃料電池システム10から独立した負荷として表わしているが、この負荷装置30には、既述した燃料電池補機が含まれる。すなわち、エアコンプレッサ24や水素ポンプ65等の燃料電池補機は、燃料電池22から電力を供給される。
さらに、燃料電池システム10は、燃料電池システム10の各部の動きを制御する制御部70を備えている。制御部は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行するCPUと、CPUで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROMと、同じくCPUで各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAMと、各種の信号を入出力する入出力ポート等を備える。この制御部70は、既述した温度センサ43,44等の各種センサの検出信号や、負荷装置30における負荷要求に関する情報などを取得する。また、燃料電池システム10が備えるポンプや流路に設けられた弁やラジエータファンなど、燃料電池22の発電に関わる各部に駆動信号を出力する。なお、図1では、燃料電池システム10の構成要素と制御部70との間で信号のやり取りがなされる様子を表わすために、制御部70を燃料電池システム10の外部に記載している。
B.開閉弁を用いたアノード排ガスの排出動作:
本実施例の燃料電池システム10は、既述したように、開閉弁50,66を駆動して、アノード排ガス路63と、このアノード排ガス路63よりも低圧な希釈器26とを連通させて、両者の圧力差を利用することによって、アノード排ガスの一部をアノード排ガス路63から外部に放出可能としている。これによって、アノード排ガス路63内の不純物濃度の低下と、アノード排ガス路63内の水詰まりの解消とを図っている。
本実施例の燃料電池システム10は、アノード排ガス路63を水素ガス供給路60に接続して、アノード排ガスを再び電気化学反応に供する構成となっている。このように、燃料電池22とアノード排ガス路63との間で水素ガスを循環させると、電気化学反応の進行に伴って、水素ガス中にもともと微量に含まれていた窒素等の不純物が濃縮されることによって、水素ガス中の不純物濃度が上昇する。また、窒素を含有する空気が供給されるカソード側からアノード側に窒素がリークしてくることによっても、水素ガス中の窒素濃度が上昇する。そこで、燃料電池システム10では、アノードに供給するガス中の窒素等の不純物濃度の上昇を抑えるために、所定の時間間隔で開閉弁66あるいは開閉弁50を開閉し、アノード排ガスの一部を流路外に排出している。
また、燃料電池22内の燃料ガス流路においては、燃料ガス中の水蒸気が凝縮することによって、水詰まりが起こる場合がある。燃料ガス流路で水詰まりが生じると、電気化学反応に供するための燃料ガスの流れが阻害されるため、電池性能の低下が引き起こされる可能性がある。ここで、所定の時間間隔で開閉弁66あるいは開閉弁50を開閉して、アノード排ガスの一部を外部に排出する動作を行ない、燃料ガスの流れに脈動を起こさせることで、水詰まりを解消させることが可能となる。
アノードに供給するガス中の不純物濃度は、燃料電池22における発電量が増えるほど高くなる。そのため、開閉弁66あるいは開閉弁50を開放する動作は、例えば所定の時間間隔で行なうこととしても良いし、燃料電池22による発電量の積算値が所定値になる毎に行なうこととしても良い。本実施例では、燃料電池22の温度と燃料電池22の出力電流とに基づいて、開閉弁66と開閉弁50とのそれぞれについて、開弁する時間および閉弁する時間を定めるマップを予め作成して、制御部70内に記憶している。開閉弁66の開閉動作を制御する際には、燃料電池22の温度として、温度センサ43が検出する冷却水温を取得している。なお、本実施例では、このようなマップを、開閉弁66と開閉弁50とのそれぞれについて用意している。さらに、開口面積がより大きい開閉弁66については、通常の制御時に参照するための「大バルブ用マップ」と、後述する低温条件が成立するときに参照する「冷間マップ」とを用意している。また、燃料電池システム10は、燃料電池22と負荷装置30とを接続する回路において電流計35を備えており(図1参照)、この電流計35によって燃料電池22の出力電流を検出している。制御部70は、燃料電池22の温度と出力電流とに基づいて上記マップを参照することで開弁・閉弁時間を決定し、決定した時間毎に開弁と閉弁の動作を繰り返すように、開閉弁66あるいは開閉弁50の開閉動作を制御している。
このように、燃料電池22の温度と出力電流とに基づいて、開閉弁50あるいは開閉弁66の開閉動作を行なうことで、アノード排ガス路63中の不純物濃度の上昇が抑えられる。また、それと共に、燃料ガスの流れに生じる脈動によって、燃料ガスの流路における水詰まりを解消することが可能となる。
なお、エアコンプレッサ24によってカソードに供給される空気量は、負荷要求に応じて制御部70がエアコンプレッサ24を駆動することによって、制御されている。これにより、負荷要求が大きいほど供給される空気量は多くなり、所望量の電力を発生するための電気化学反応が進行するのに充分量の酸素がカソードに供給される。また、既述したように、希釈器26には、燃料電池22の出力電流等に基づくタイミングでアノード排ガスが導入されるが、上記のように負荷要求に応じて空気の流量調節が行なわれるときには、希釈器26では充分に水素の希釈が行なわれる。
C.開閉弁50,66の制御:
図2は、本発明の燃料電池システム10の制御部70において実行されるバルブ選択制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、燃料電池システム10の稼働中に繰り返し実行される。
本ルーチンが実行されると、制御部70は、燃料電池22の温度状態に関する情報を取得する(ステップS100)。ステップS100で取得する燃料電池22の温度状態に関する情報として、本実施例では、燃料電池システム10を使用する環境における外気温度、燃料電池補機の温度、燃料電池22に流体を給排する配管(あるいは配管内を通過する流体)の温度、そして、燃料電池22そのものの温度を用いている。燃料電池システム10全体の温度に影響を与える外気温度を検出するために、燃料電池システム10は、図示しない外気温度センサを備えている。また、既述した燃料電池補機のうち、エアコンプレッサ24や水素ポンプ65や冷却ポンプ42等は、燃料電池22が発電するのに伴って昇温するため、これら燃料電池補機の温度は燃料電池22の温度を反映するといえる。したがって、ステップS100で情報を取得するために、これらの燃料電池補機の少なくとも一つにおいて温度センサを設けておけばよい。また、燃料電池22の温度状態を知るための配管温度としては、アノード排ガス路63や、冷却水路41の温度を用いることができる。したがって、アノード排ガス路63において、燃料電池22との接続部付近に温度センサを設けたり、既述した温度センサ43あるいは温度センサ44を用いることとすればよい。また、本実施例の燃料電池システム10は、燃料電池22そのものの温度を検出するための図示しない温度センサも備えている。ステップS100では、制御部70は、これらのセンサから検出信号を取得する。
なお、これらの燃料電池22の温度状態に関する情報は、後述するように、開閉弁50が低温により凍結する可能性があるか否かを判断するためのものである。したがって、ステップS100で取得する温度情報は、燃料電池22の温度、厳密には、燃料電池22から排出されるアノード排ガスが流れるアノード排ガス路63に設けた開閉弁50の温度を反映する情報であれば良く、上記した以外の他種の情報を取得することとしても良い。
温度状態に関する情報を取得すると、次に制御部70は、取得した情報に基づいて、所定の低温条件が成立しているか否かを判断する(ステップS110)。本実施例では、ステップS100で取得する情報のそれぞれに対して予め基準値を定めて制御部70に記憶しており、ステップS110では、ステップS100で取得した温度情報とこの基準値とを比較する。取得した温度情報の少なくとも一つにおいて基準値を下回ると判断されると、制御部70は、所定の低温条件が成立すると判断する。すなわち、制御部70は、開閉弁50が凍結して、開閉弁50を用いてアノード排ガスを排出する動作に支障が生じる可能性があると判定する。
ステップS110において、所定の低温条件が成立すると判断すると、制御部70は、アノード排ガスを排出して不純物を除去するために、開口面積の大きいバルブである開閉弁66を用いることを選択する(ステップS120)。その後、制御部70は、制御部70に記憶しておいたマップを参照し、燃料電池22の温度と発電量とに基づいて開閉弁66を駆動することによって、アノード排ガスを排出する動作の制御を開始して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。このステップS130で制御部70が参照するマップは、燃料電池22の温度と発電量とに対応して開弁時間および閉弁時間を定めておいたマップのうち、低温条件が成立したときに開閉弁66を用いる際に参照するために用意した「冷間マップ」である。
ステップS110において、所定の低温条件が成立しないと判断すると、制御部70は、燃料電池22に接続される負荷の大きさが、予め定めた基準値以上であるか否かを判断する(ステップS140)。ここで、判断に用いる負荷の大きさは、燃料電池22が発電すべき電力量である負荷要求の大きさを用いても良いし、実際に測定した燃料電池22の出力電流としても良い。
ステップS140において、負荷の大きさが基準値以上であると判断すると、制御部70は、不純物除去のためにアノード排ガスを排出する動作のために、開口面積の大きいバルブである開閉弁66を用いることを選択する(ステップS150)。その後、制御部70は、制御部70に記憶しておいたマップを参照し、燃料電池22の温度と発電量とに基づいて開閉弁66を駆動することによって、アノード排ガスを排出する動作の制御を開始して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。このステップS160で制御部70が参照するマップは、燃料電池22の温度と発電量とに対応して開弁時間および閉弁時間を定めておいたマップのうち、低温条件が成立しないときに開閉弁66を用いる際に参照するために用意した「大バルブ用マップ」である。なお、「大バルブ用マップ」と「冷間マップと」とは、いずれも開閉弁66の開弁時間および閉弁時間を決定するためのものであるが、両者は異なる開閉のタイミングを指定する。すなわち、「冷間マップ」の方が「大バルブ用マップ」に比べて、燃料電池22の温度と発電量との組み合わせからなる所定の条件に対して決定される単位時間当たりの開弁時間が、より長くなるように設定されている。単位時間当たりの開弁時間がより長いことで、「冷間マップ」を用いる際には、低温条件が成立していても、開閉弁66は凍結しにくくなる。
ステップS140において、負荷の大きさが基準値未満であると判断すると、制御部70は、不純物除去のためにアノード排ガスを排出する動作のために、開口面積の小さいバルブである開閉弁50を用いることを選択する(ステップS170)。その後は、制御部70に記憶しておいたマップを参照し、燃料電池22の温度と発電量とに基づいて開閉弁66を駆動することによって、アノード排ガスを排出する動作の制御を開始して(ステップS180)、本ルーチンを終了する。このステップS180で制御部70が参照するマップは、燃料電池22の温度と発電量とに対応して開弁時間および閉弁時間を定めておいたマップのうち、開閉弁50を用いる際に参照するために用意した「小バルブ用マップ」である。
なお、「小バルブ用マップ」と「大バルブ用マップ」とは、上記したように負荷の大きさに応じて使い分けることとしているが、本実施例では、それぞれのマップにおいて、燃料電池22から出力し得る電力の全範囲、および使用が想定される温度の全範囲にわたって、開閉のタイミングが記憶されている。これら2つのマップは、制御の対象となる開閉弁は異なるが、いずれも低温条件が成立しないときの開弁時間および閉弁時間を決定するためのものである。そのため、これらのマップは、燃料電池22の温度と発電量との組み合わせからなる所定の条件に対して、ほぼ同量のアノード排ガスが排出されるように、それぞれの開閉弁の開閉のタイミングを指定する。ここで、開閉弁50の方が開閉弁66よりも開口面積が小さいため、「小バルブ用マップ」の方が「大バルブ用マップ」に比べて、燃料電池22の温度と発電量との組み合わせからなる所定の条件に対して決定される単位時間当たりの開弁時間が、より長くなるように設定されている。
D.効果:
以上のように構成された本実施例の燃料電池システム10によれば、開口面積の異なる2つの開閉弁を使い分けて一方の開閉弁を選択し、アノード排ガスの排出を行なうため、アノード排ガス排出の動作を、燃料電池22の運転状態に応じて、より適切に制御することができる。すなわち、本実施例では、通常の運転時には負荷の大きさに応じて2つの開閉弁を使い分けるが、高負荷時には開口面積の大きな開閉弁66を用いることで、高負荷時ほど多くなる燃料ガス流路内の水詰まりを防止する効果を高めることができる。ここで、開口面積の大きな開閉弁を用いる場合には、アノード排ガス中の不純物濃度を低減するために所定量のアノード排ガスを排出する際の開弁時間を、より短くすることができる。開閉弁を開閉させる際には、アノード排ガス路63から燃料電池22に供給される燃料ガスの流れを脈動させることができるが、開弁時間を短くすることにより、開閉弁の開閉動作によって燃料ガスを脈動させる効果を高めることができる。高負荷時ほど、電気化学反応に伴って生じる生成水量が増え、燃料電池22内の燃料ガス流路で水詰まりが生じる可能性が高まるが、上記のように脈動の効果が高まることにより、水詰まりを解消する効果を高めることができる。
また、本実施例では、低温条件成立時には、負荷の大きさに関わらず開口面積の大きな開閉弁66を用いるため、開閉弁の凍結に起因してアノード排ガス排出の動作に支障を来たすのを防止することができる。低温時には、アノード排ガス路63内で凝縮した水が凍結して、開閉弁を凍り付かせてしまう可能性がある。このような低温時には、開口面積のより小さい開閉弁50の方が、開閉弁66よりも早く凍結すると考えられるが、本実施例では、低温条件が成立には開閉弁66を用いることで、凍結した開閉弁を用いようとしてアノード排ガス排出の動作に支障を来たすのを抑えることができる。特に、図2のステップS110で低温条件が成立するか否かの判断に用いる基準値を、充分に高く設定することによって、実際に開閉弁50が凍結する前に、支障があると判定することが可能となる。開閉弁50が開状態のまま凍結してしまうと、開閉弁50からのアノード排ガス放出を止められなくなってしまうが、実際に開閉弁50が凍結する前に支障があると判定することで、このような不都合を防止することができる。
さらに、本実施例では、「冷間マップ」では、「大バルブ用マップ」に比べて、燃料電池22の温度と発電量とからなる条件に対して決定される単位時間の開弁時間がより長くなるように、開閉タイミングが設定されているため、低温条件成立時に開閉弁66の凍結を防止する効果を高めることができる。特に、単位時間当たりの開弁時間を長くする際に、1回当たりの開弁時間を通常よりも短く設定して開閉動作をより頻繁に行なうならば、開閉弁66の凍結を防止する効果をさらに高めることができて望ましい。
また、本実施例では、アノード排ガス路63に対する2つの開閉弁の配置として、開口面積の大きな開閉弁66を下流側に配置しているため、開閉弁の凍結に起因してアノード排ガス排出の動作に支障を来たすのを防止する効果を、より高めることができる。アノード排ガス路63において、生成水が凝縮した水は、ガスの流れに導かれてより下流側に流れる。したがって、上流側に配置した開閉弁ほど、凝縮水の凍結により開閉動作に支障を来たし易いと考えられる。本実施例では、開口面積が大きく凍結しにくい開閉弁66を、凍結の影響を受けにくい下流側に配置することで、開閉弁66をより凍結し難くすることができる。
本実施例では、開閉弁50および開閉弁66の開閉の動作は、アノード排ガス中の不純物濃度の低減と、燃料ガス流路における水詰まり解消を目的として行なっているが、異なる目的で開閉動作を行なうこととしても良い。例えば、燃料電池システム10の稼働中に、水素ガス供給路60あるいはアノード排ガス路63内のガス圧が、何らかの原因で望ましくない程度にまで上昇した場合に、このガス圧を調節するために開閉弁50あるいは開閉弁66の開閉を行なうこととしても良い。この場合にも、開口面積の異なる開閉弁を使い分けることで、排出するアノード排ガス量や開弁時間を調節して、燃料電池22の状態に応じてアノード排ガス排出の動作をより適切に制御することが可能となる。また、このような目的で開閉動作を行なう場合にも、低温条件が成立するか否かによって用いる開閉弁を選択することで、実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施例では、開口面積の小さな開閉弁50は、気液分離器27に設けたが、異なる構成としても良い。気液分離器27とは独立した位置に、開閉弁66よりも開口面積の小さな弁を設けることとしても良い。
また、本実施例では、2つの開閉弁50,66は、開口面積を異なることとしたが、他の構成とすることも可能である。例えば、アノード排ガス路63から分岐する2つの分岐流路を設け、それぞれの分岐流路に開閉弁を設ける場合に、この分岐流路の径を異ならせる等して、2つの分岐流路の流路抵抗を異ならせることとしても良い。流路抵抗が異なれば、それぞれの分岐流路が備える開閉弁の単位時間当たりの開弁時間が同じであっても、排出されるアノード排ガス量を異ならせることができる。これにより、負荷に応じて開閉弁を使い分けることによる同様の効果を得ることができる。また、低温条件が成立するか否かに応じて開閉弁を使い分けることにより、凍結し易さの違いに基づいた同様の効果を得ることができる。
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
E1.変形例1:
既述した実施例では、低温条件が成立しないときには、負荷要求の大きさに応じて2つの開閉弁を使い分けたが、通常は、開口面積が小さい弁を用いることとしても良い。すなわち、開口面積が小さい弁を用いる際のアノード排ガス排出量が充分であれば、また、開弁動作による脈動で水詰まりを解消する必要がない場合、あるいは開口面積が小さい弁を用いることで生じる脈動の効果で充分な場合には、低温条件成立時のみ、開口面積が大きな開閉弁を用いることとしても良い。この場合には、図2に示したフローチャートにおいて、ステップS110で低温条件が成立しないと判断された後は、開閉弁50を選択して「小バルブ用マップ」を参照することとすればよい。
開口面積が小さい開閉弁を用いる方がアノード排ガス排出量を精度良く調節することができるため、このような構成によれば、通常の運転時には、排ガス量調節の精度を高い状態に保つことができる。また、このような場合にも、低温条件成立時には、開口面積が大きい弁を用いることによって、凍結によりアノード排ガス排出の動作に支障を来たすのを防止する同様の効果を得ることができる。
E2.変形例2:
実施例では、低温条件成立により、開口面積の小さい開閉弁50におけるアノード排ガスの排出動作に支障があると判定しているが、異なる条件によって、いずれか一方の開閉弁の排出動作に支障があるか否かを判定することとしても良い。ここで、開口面積の大きい開閉弁66に支障があると判定されたとき、例えば何らかの故障が検出されたときには、負荷の大きさが基準値以上であっても、開口面積の小さい開閉弁50を用いてアノード排ガスの排出動作を行なうこととすればよい。既述したように、「大バルブ用マップ」および「小バルブ用マップ」は、燃料電池22から出力し得る電力の全範囲、および使用が想定される温度の全範囲にわたって、開閉のタイミングが記憶されている。そのため、いずれか一方の開閉弁の排出動作に支障があるときには、負荷要求の大きさや燃料電池22の温度に関わらず他方の開閉弁を用い、この他方の開閉弁に対応するマップを参照することで、アノード排ガスを排出する動作を継続することができる。
このような構成とすれば、いずれの開閉弁においても排出動作に支障のない時には、負荷要求に応じて、開口面積の異なる開閉弁を使い分けることによる同様の効果を得ることができると共に、いずれか一方の開閉弁の排出動作に支障があるときには、異なる開閉弁を使用することで、問題を回避することができる。
既述したように、本発明によれば、燃料電池22の温度や負荷要求の大きさなど、燃料電池の状態に応じて開口面積の異なる開閉弁を使い分けることで、支障なくアノード排ガスを排出する動作を継続することができる。また、開口面積の異なる開閉弁を使い分けることで、排出するアノード排ガス量や、燃料電池内での水詰まり解消動作や、あるいは燃料ガスの流路内の圧力などを、燃料電池の運転状態に応じてより適切に制御することが可能となる。
E3.変形例3:
また、実施例では、開口面積の小さい開閉弁50と開口面積の大きい開閉弁66とのうちのいずれか一方を選択して、選択した開口弁の連通状態を制御することとしたが、動作させる開閉弁を選択する際に、両方の開閉弁を選択する運転状態を有することとしても良い。例えば、実施例では負荷が所定値より大きいときには開口面積の大きい開口弁66を選択しているが、負荷がさらに大きくなったときには、両方の開閉弁を同時に動作させることとしても良い。両方の開閉弁を制御する状態を選択可能とすることで、排出するアノード排ガス量や、水詰まり解消動作や、燃料ガスの流路内の圧力を、燃料電池の運転状態に応じて適切化するための制御の幅を広げることができる。
E4.変形例4:
実施例では、開口面積の異なる2つの開閉弁を用いることとしたが、開口面積の異なる3つ以上の開閉弁を使い分けることとしても良い。この場合にも、開口面積の異なる2つの開閉弁を使い分ける場合と同様の動作により、同様の効果を得ることが可能となる。
E5.変形例5:
実施例では、開閉弁50あるいは開閉弁66を介してアノード排ガス路63から排出されたアノード排ガスを、大気中に排出することとしたが、異なる構成としても良い。例えば、カソード排ガス路68を、酸化触媒を備える触媒部に接続し、カソード排ガスで希釈したアノード排ガスを、この触媒部に供給することとしても良い。このような構成とすれば、水素が大気中に放出されることがなく、アノード排ガス中の水素は、カソード排ガス中の酸素によって酸化触媒上で酸化される。アノード排ガス路63からアノード排ガスをどこに排出するかに関わらず、同様の動作を行なうことができる。
E6.変形例6:
また、実施例の燃料電池システム10は、アノード排ガスを再び燃料電池22に供給する水素循環型の燃料電池システムとしたが、異なる構成の燃料電池システムに本発明を適用しても良い。例えば改質反応で生成した改質ガスを燃料ガスとして用いるシステムにおいても本発明を適用することができる。改質ガスは通常、微量の一酸化炭素および二酸化炭素を不純物として含有しており、これらが不純物として燃料電池内の燃料ガス流路に蓄積される場合がある。あるいは、上記水素循環型の燃料電池システムと同様に、燃料電池内の燃料ガス流路において、水詰まりが生じる場合がある。また、燃料ガス流路において、燃料ガスの圧力を速やかに調整する必要が生じる場合もある。このような場合に、本発明を適用して開口面積の異なる開閉弁を複数設けることで、開閉弁を用いてアノード排ガスを排出して、不純物の除去を行なうことができる。あるいは、水詰まりを解消することができる。あるいは、望ましくない急激な燃料ガス圧の上昇を抑えることが可能となる。その際に、開口面積の異なる開閉弁を使い分けることで、開閉弁を開閉する動作を、燃料電池22の状態に応じて最適化することが可能となる。その際には、開閉弁の凍結等に起因して開閉動作に支障が生じるのを防止して、アノード排ガスを排出する動作を継続することができる。
E7.変形例7:
また、既述した実施例および変形例では、開口面積の異なる開閉弁を、アノード排ガス流路に設けることとしたが、カソード排ガス路に設けることとしても良い。酸化ガスの流路においても、水詰まりが生じたり、酸化ガスの圧力を速やかに調節する必要が生じる場合がある。このような場合に、本発明を適用して、カソード排ガス路68において、燃料電池22との接続部と圧力調整弁32との間に開口面積の異なる開閉弁を複数設け、カソード排ガスの排出を促せば、水詰まりの解消や酸化ガス圧の調節を行なうことができる。その際に、開口面積の異なる開閉弁を使い分けることで、開閉弁を開閉する動作を、燃料電池22の状態に応じて最適化することが可能となる。その際には、開閉弁の凍結等に起因して開閉動作に支障が生じるのを防止して、カソード排ガスを排出する動作を継続することができる。
本発明の実施例である燃料電池システム10の構成の概略を表わすブロック図である。 バルブ選択制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。
符号の説明
10…燃料電池システム
22…燃料電池
23…水素タンク
24…エアコンプレッサ
25…加湿モジュール
26…希釈器
27…気液分離器
28…マスフロメータ
29…ラジエータ
30…負荷装置
32…圧力調整弁
33…圧力センサ
35…電流計
40…冷却部
41…冷却水路
42…冷却ポンプ
43,44…温度センサ
50,66…開閉弁
52…仕切り板
54…絞り部
56…排ガス分岐路
60…水素ガス供給路
62…圧力調整弁
63…アノード排ガス路
64…排ガス排出路
65…水素ポンプ
65a…ポンプモータ
67…酸化ガス供給路
68…カソード排ガス路
70…制御部

Claims (8)

  1. 燃料電池を備える燃料電池システムであって、
    電気化学反応に供された後に前記燃料電池から排出されるガスが流れる排ガス流路と、
    前記排ガス流路に設けられ、前記排ガス流路を連通状態とすることによって、前記排ガス流路を流れる前記ガスの少なくとも一部を前記排ガス流路外に排出させる第1の排出部と、
    前記排ガス流路に設けられ、前記排ガス流路を連通状態とすることによって、前記排ガス流路を流れる前記ガスの少なくとも一部を前記排ガス流路外に排出させると共に、前記排ガス流路を連通状態とする際の開口面積が前記第1の排出部よりも小さい第2の排出部と、
    前記第1の排出部と前記第2の排出部とのいずれか一方を選択して、選択した排出部における連通状態を制御することによって、前記排ガス流路を流れる前記ガスを排出させる制御部と
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、
    前記制御部は、前記燃料電池に対する負荷要求が大きいほど、前記ガスの排出量が多くなるように、前記第1の排出部あるいは前記第2の排出部によって前記ガスを排出させると共に、前記負荷要求が所定値以上の時には、前記ガスを排出するために前記第1の排出部を選択する
    燃料電池システム。
  3. 請求項1記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記第1の排出部と前記第2の排出部とのいずれか一方において、前記ガスの排出動作に支障があるか否かを判定する支障判定部を備え、
    前記制御部は、前記支障判定部が、前記第1の排出部と前記第2の排出部とのいずれか一方において排出動作に支障があると判定したときには、他方の排出部によって、前記排ガス流路を流れる前記ガスを排出させる
    燃料電池システム。
  4. 請求項1記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記第2の排出部において、前記ガスの排出動作に支障があるか否かを判定する支障判定部を備え、
    前記制御部は、前記ガスを前記排ガス流路外に排出する際に、通常は、前記第2の排出部を選択すると共に、前記支障判定部が前記第2の排出部の排出動作に支障があると判定したときには、前記第1の排出部を選択する
    燃料電池システム。
  5. 請求項3または4記載の燃料電池システムであって、
    前記支障判定部は、前記第2の排出部の温度が氷点下となる可能性がある温度条件に該当する時に、前記第2の排出部の排出動作に支障があると判定する
    燃料電池システム。
  6. 請求項5記載の燃料電池システムであって、
    前記排ガス流路を流れる前記ガスの流れに対して、前記第1の排出部の方が前記第2の排出部よりも下流側に設けられている
    燃料電池システム。
  7. 請求項3記載の燃料電池システムであって、
    前記支障判定部は、前記第2の排出部の温度が氷点下となる可能性がある温度条件に該当する時に、前記第2の排出部の排出動作に支障があると判定し、
    前記制御部は、前記支障判定部が前記第2の排出部の排出動作に支障があると判定したときには、支障があると判定しないときに比べて、前記第1の排出部において、前記排ガス流路を連通状態とする単位時間当たりの連通時間を長くする
    燃料電池システム。
  8. 請求項1ないし7いずれか記載の燃料電池システムであって、
    前記排ガス流路を流れる前記ガスは、前記燃料電池のアノードから排出されたアノード排ガスであり、
    前記燃料電池システムは、さらに、
    前記第1の排出部および/または前記第2の排出部から排出された前記アノード排ガスが通過する排出流路と、
    前記排出流路に設けられ、流路断面積を他の領域に比べて小さくすることによって前記アノード排ガスの流れを規制する絞り部と
    を備え、
    前記排出流路は、前記絞り部の上流側において、排出された前記アノード排ガスの流れ方向を変更させる流れ方向変更部を備える
    燃料電池システム。
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