JP2006298881A - 1,2,3−プロパントリカルボン酸の製造方法 - Google Patents

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義博 木原
Kentaro Tajima
健太郎 田島
Masahide Ishikawa
雅英 石川
Yukio Kitagawa
幸緒 北川
Taiichiro Iwamura
泰一郎 岩村
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Abstract

【課題】過酸化水素酸化法により、1,2,3−プロパントリカルボン酸を高収率且つ効率的に製造する。
【解決手段】2−(2’−アルケニル)コハク酸を、溶媒中タングステン酸、モリブテン酸、及びこれらのヘテロポリ酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の触媒存在下に、過酸化水素により酸化開裂することを特徴とする1,2,3−プロパントリカルボン酸の製造方法。

Description

本発明は、1,2,3−プロパントリカルボン酸の製造方法に関し、詳しくは、過酸化水素を用いて2−(2’−アルケニル)コハク酸を酸化開裂して1,2,3−プロパントリカルボン酸を高収率で製造する方法に関する。
近年、1,2,3−プロパントリカルボン誘導体(特にアミド系化合物)は、ポリオレフィン樹脂の透明性、結晶性及び剛性を改善する樹脂添加剤として注目されている(特許文献1〜3参照)。
これまで1,2,3−プロパントリカルボン酸及びそのトリエステルの製造方法の典型例としては次のものがある。
a)マレイン酸ジエチルとマロン酸ジエチルとをナトリウムエチラート触媒の存在下に反応させ、得られたマイケル付加物を塩酸水溶液中で加水分解し、脱炭酸する方法(非特許文献1、2参照)。
b)クエン酸トリエチルエステルをCuO−Al触媒存在下、テトラヒドロフラン溶剤中、175℃及び10バールにおいて水素化反応させる方法(特許文献4参照)。
c)2−(2’−ブテニル)コハク酸を触媒の存在下に硝酸で酸化する方法(特許文献5参照)。
上記の製造方法に関し、a)は、出発原料が高価である上、煩雑な工程が多い、b)は、低収率であり、しかも特殊な高圧反応設備を必要とする、c)は反応後のNOx処理に高価な設備を必要とする上、副生成物にニトロ化合物が生じて品質純度を低下させる等の問題が多く、工業的には、現在のところ有効な製造方法が確立されていないのが現状である。従って、高収率で且つ容易に1,2,3−プロパントリカルボン酸又はそのトリエステルを製造する方法が望まれている。
酸化剤として、過酸化水素の水溶液は割合に安価で、取り扱いが容易であり、さらに分解生成物が水と酸素であるという点で環境的に許容される。これまで過酸化水素法によるポリカルボン酸(主としてテトラカルボン酸等)の製造方法として、無水マレイン酸とジエン類とのディールス・アルダー付加物及び/又はその有水酸等のオレフィン類をタングステン酸、モリブテン酸、及びこれらのヘテロポリ酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の存在下に、過酸化水素により酸化開裂してカルボン酸を得る方法(特許文献6,7参照)等が開示されている。しかしながら、これらの文献には、本発明で対象とする2−(2’−アルケニル)コハク酸に過酸化水素酸化法を適用して1,2,3−プロパントリカルボン酸が製造できるかどうかについては全く記載されていない。
Org.Syn.Coll.Vol.1,272 Org.Syn.Coll.Vol.1,523 日本特許第3401868号公報 特開平7−242610号公報 WO00/52089号公報 特開平6−192167号公報 フランス特許第1515153号 特開昭62−30737号公報 特公平7−61972号公報
本発明の目的は、過酸化水素酸化法により1,2,3−プロパントリカルボン酸を工業的に安価で効率的よく高収率で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる現状に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の知見を得た。
(1)2−(2’−アルケニル)コハク酸を溶媒中、12−タングストリン酸触媒存在下、過酸化水素により酸化開裂することにより1,2,3−プロパントリカルボン酸を得られること。
(2)更に、副生する有機モノカルボン酸を反応系外に留去しながら反応することにより、予想外に反応速度が格段に向上すること。
(3)上記(1)、(2)により、1,2,3−プロパントリカルボン酸を工業的に安価で、効率よく高収率で製造できること。
本発明は係る知見に基づき完成されたものであり、下記の発明を提供するものである。
〔1〕一般式(1)
Figure 2006298881
[式中、Rは、炭素数1〜7の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。]
で表される2−(2’−アルケニル)コハク酸を、溶媒中、タングステン酸、モリブテン酸、及びこれらのヘテロポリ酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の触媒存在下に、過酸化水素により酸化開裂することを特徴とする1,2,3−プロパントリカルボン酸の製造方法。
〔2〕前記溶媒が、水、炭素数1〜4の水混和性溶媒、又はこれらの混合溶媒である上記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕副生する有機モノカルボン酸を反応系外に留去しながら反応することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕副生する有機モノカルボン酸を水と共に蒸発させて反応系外へ留去する〔3〕に記載の製造方法。
〔5〕一般式(1)においてRが、メチル基又はn−ペンチル基である上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕前記触媒が、ヘテロポリ酸である上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕前記ヘテロポリ酸が、12−タングストリン酸、12−タングストケイ酸又は12−モリブドリン酸である上記〔6〕に記載の製造方法。
本発明の製造方法により、ポリオレフィン樹脂の透明性、結晶性及び剛性を改善する樹脂添加剤として有用な1,2,3−トリカルボン酸トリス(アルキル置換シクロヘキシルアミド)の出発原料である1,2,3−プロパントリカルボン酸を高収率で、且つ効率よく得ることができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明は、2−(2’−アルケニル)コハク酸を酸化開裂して1,2,3−プロパントリカルボン酸を製造するに当り、溶媒中、タングステン酸、モリブデン酸及びそれらのヘテロポリ酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の触媒の存在下、過酸化水素により酸化開裂することを発明の要旨とする。
本発明における一般式(1)で表されるRとしては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプタニル基等の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられ、なかでも、メチル基、n−ペンチル基等が工業的に入手が容易である点で特に好ましい。
側鎖R−CH=CH−CH−の二重結合については、幾何異性体としてシス体とトランス体が存在するが、本発明においては特に限定されず、いずれの幾何異性体であってもよいし、混合物であってもよい。
2−(2’−アルケニル)コハク酸の具体例としては、2−(2’−ブテニル)コハク酸、2−(2’−ペンテニル)コハク酸、2−(2’−ヘキセニル)コハク酸、2−(2’−ヘキセニル)コハク酸、2−(2’−オクテニル)コハク酸、2−(2’−ノネニル)コハク酸、2−(2’−デセニル)コハク酸等の有水酸、これらの無水物が挙げられ、特に2−(2’−ブテニル)コハク酸、2−(2’−オクテニル)コハク酸又はその無水物が好ましい。これらの無水物は、水によって容易に加水分解され、対応する有水酸に変換することから酸化原料として使用することができる。
これらの2−(2’−アルケニル)コハク酸又はその無水物は、市販品を入手できるほかに従来公知の方法に従い容易に製造できる化合物(例えば、フランス国特許第1515153号)である。
本発明に係る触媒としては、タングステン酸、モリブデン酸、及びこれらのヘテロポリ酸が挙げられる。ここにいうヘテロポリ酸とは、2種以上の酸素酸からなる縮合酸であり、ポリ酸原子としては、タングステン及びモリブデンであり、ヘテロ原子としては、以下に示すような各種のものが使用できる。
タングステン酸のヘテロポリ酸におけるヘテロ原子としては、P、As、Si、Ti、Co、Fe、B、V、Be、I、Ni、Ga等が例示される。タングステン酸のヘテロポリ酸の具体例しては、次の構造式、
〔PW1240〕、
〔AsW1240〕、
〔SiW1240〕、
〔TiW1240〕、
〔CoW1240〕、
〔FeW1240〕、
〔BW1240〕、
〔VW1240〕、
〔BeW31〕、
〔TeW24〕、
〔IW24〕、
〔NiW24〕、
〔GaW24〕、
〔P1862〕、
〔As1862〕、
〔PW1133
を有するものが例示できる。
また、モリブデン酸のヘテロポリ酸におけるヘテロ原子としては、P、As、Si、Ge、Ti、Ce、Th、Mn、Ni、Te、I、Co、Cr、Fe、Ga等が例示される。モリブデン酸のヘテロポリ酸の具体例としては、次の構造式、
〔PMo1240〕、
〔AsMo1240〕、
〔SiMo1240〕、
〔GeMo1240〕、
〔TiMo1240〕、
〔CeMo1242〕、
〔ThMo1242〕、
〔PMo1139〕、
〔AsMo1139〕、
〔GeMo1139〕、
〔MnMo32〕、
〔NiMo32〕、
〔TeMo32〕、
〔IMo24〕、
〔CoMo24〕、
〔CrMo24〕、
〔FeMo24〕、
〔GaMo24〕、
〔NiMo24〕、
〔PMo1862〕、
〔AsMo1862
を有するもの等が例示できる。
更に、各々の原子を2種以上配位させた混合配位ヘテロポリ酸、例えば、
PMoW1140
PReW1140
PVMo1140
PVMo1040
PMo40
等も使用可能である。上記に例示したこれらヘテロポリ酸はいずれも公知のものである。合成の容易さ又は入手の容易さの観点からは、ヘテロ原子としてP又はSiを含有するヘテロポリ酸が好ましく、特に12−タングストリン酸(HPW1240)、12−タングストケイ酸(HSiW1240)、12−モリブドリン酸(HPMo1240)等がより好ましい。
また、上記触媒として用いるタングステン酸、モリブデン酸又はこれらのヘテロポリ酸は、水和物であってもよく、更に、反応系内で上記のタングステン酸、モリブデン酸又はこれらのヘテロポリ酸を生成し得る化合物の形態であってもよい。このような化合物としては、MO、MCl及びMS(M=W又はMo)で表わされる酸化物、塩化物及び硫化物の形態が例示される。このような酸化物、塩化物、硫化物を使用する場合には、例えばリン酸、塩酸、硫酸等の鉱酸を反応系内に加え、pH4以下の酸性条件下で反応を行なうことが好ましい。又、触媒を酸の形態で加え、鉱酸を更に用いてもよい。
上記に例示した触媒は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。反応性からはヘテロポリ酸が好ましく、反応性と価格とのバランス上からはタングステン酸が好ましい。
触媒の使用量としては、触媒活性が発揮されるのに有効な量である限り、広い範囲から選択される。しかし、反応速度及び触媒のコストの観点からは、遊離酸(タングステン酸、モリブデン酸又はこれらのヘテロポリ酸)換算で、2−(2’−アルケニル)コハク酸に対し0.01〜30重量%、好ましくは1〜10重量%が推奨される。
反応溶媒としては、水、水と混和可能な有機溶媒、例えば炭素数1〜4のアルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を単独で使用し、又は均一相を保つ範囲で水と併用することも可能である。なかでも水、炭素数1〜4の水混和性溶媒、又はこれらの混合溶媒が好ましく、特に水が好ましい。
反応時の基質の濃度としては、特に限定されないが、その濃度は、2〜70重量%の範囲が好ましく、15〜60重量%の範囲がより好ましい。係る範囲内で反応を行うことにより、高収率、高純度で目的物が得られる傾向にある。
本反応に必要な過酸化水素の化学量論量は、2−(2’−アルケニル)コハク酸1モルに対し4モルであるが、通常4〜12モル、好ましくは6〜10モル使用するのが望ましい。反応混合物中の過酸化水素の濃度は、広い範囲から選択できる。その下限は、2−(2’−アルケニル)コハク酸を酸化した触媒が、過酸化水素により酸化能力を回復するのに充分な濃度であればよく、かなり稀薄なものでも反応速度の低下は避けられないが、酸化反応は進行する。また、上限は特に存在せず、かなりの高濃度であってもよい。しかしながら、反応速度を向上させ、かつ低濃度の過酸化水素を用いて製造コストの低減を図る観点からは、0.1ミリモル/L〜12モル/L、好ましくは10ミリモル/L〜8モル/Lが有利である。過酸化水素は、通常、5〜60重量の%の水溶液の形態で供給され、何れの濃度の過酸化水素も使用できるが、40〜60重量%の過酸化水素が好ましい。
反応温度としては、反応速度の点から、通常、20〜150℃、好ましくは60〜130℃の温度範囲が例示される。反応は、常圧下、加圧下又は減圧下のいずれでもで行うことができる。反応速度の観点及び過酸化水素の分解を防止又は抑制する観点からは、60〜130℃、好ましくは80〜100℃、特に還流温度で反応を行なうのが好ましい。
本発明においては、副生する有機モノカルボン酸を反応系外に留去させながら反応することにより反応速度が格段に向上するという予想外の効果が得られる。このような効果は、これまでの文献には全く記載されておらず、その示唆すら見あたらない。
副生する有機モノカルボン酸を反応系外に留去させる方法としては、特に限定されず、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを流しながら蒸発させる方法、反応系内を減圧して蒸発させる方法、反応溶媒と共に蒸発させる方法等が例示され、これらを併用することもできる。なかでも反応溶媒と共に蒸発させる方法が好ましい。
該有機モノカルボン酸を反応溶媒と共に蒸発させ、系外に留去する場合には、必要に応じて反応系内に溶媒を加えてもよい。溶媒の添加方法に特に制限はなく、留出分を随時添加する方法、予め必要量を添加しておく方法などを用いることができる。また、過酸化水素の分解等により生じる水と共に、副生する有機モノカルボン酸を蒸発させることも好ましい方法として挙げられる。この方法により、反応基質濃度の低下を防止しながら、副生する有機モノカルボン酸を系外に留去することができる。更に、副生する有機モノカルボン酸が水と混和しない場合には、油水分離槽などで水と該有機モノカルボン酸とを分離した後、水を反応系に戻しながら反応を行うこともできる。
反応時間としては、2−(2’−アルケニル)コハク酸の種類、触媒及び過酸化水素の濃度、反応温度、副生する有機モノカルボン酸の留去の有無等により変わり得るが、通常1〜50時間、好ましくは5〜25時間、より好ましくは6〜20時間の範囲である。
反応は、常圧下または減圧下のいずれで行ってもよく、連続式またはバッチ式のいずれの方式で行ってもよい。また、反応は、大気下でも実施することができるが、安全性の観点からは、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
反応終了後、生成した1,2,3−プロパントリカルボン酸は、反応混合物から種々の方法により分離することができるが、一般的には、反応混合物を徐冷してカルボン酸を結晶化させる方法が有利である。特に、触媒としてヘテロポリ酸、特にタングステン酸のヘテロポリ酸を用いると、これらが水その他の反応溶媒によく溶解するため清澄な反応混合物が得られ、また、当該反応混合物を徐冷すると、生成した1,2,3−プロパントリカルボン酸は結晶として析出するため上記触媒や未反応酸化原料を溶解した母液から濾過により極めて容易に分離できる。分離後は、母液は再び反応に供することができ、触媒の失活も認められない。単離された結晶は、そのまま乾燥するか、必要に応じて水等で洗浄し、再結晶して精製する。一方、触媒としてタングステン酸又はモリブデン酸を用いる場合、反応系内の過酸化水素濃度が低下すると、触媒が析出する傾向があり、析出した触媒は生成した1,2,3−プロパントリカルボン酸に混入して目的物の純度が低下する虞がある。そのため、反応終了後の単離工程においても過酸化水素濃度をこれら触媒が溶解状態を保つ濃度以上に保持するか、あるいは反応直後に、析出した触媒を濾過等によ分離しておいてから結晶化を行なうのが望ましい。このような操作を行なうことにより、ヘテロポリ酸を用いる場合と同等の高純度、高収率で目的の1,2,3−プロパントリカルボン酸を単離することができる。
以下に実施例を掲げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕
メカニカルスターラ、温度計、滴下ロート及びコンデンサーを装着したガラス製の500mlの4ツ口フラスコに、2−(2’−オクテニル)コハク酸無水物43.4g(0.2mol)と水130gを入れ、窒素雰囲気下30分間100℃に加熱して有水酸とした後、70℃に冷却し触媒としてタングステン酸1.5gを加え、60%過酸化水素水20gを滴下した。2時間、70℃で反応させた後、還流温度まで昇温し60%過酸化水素70.5gを20時間かけて滴下し、更に同温度で5時間反応させた。反応後、水を留去し、白色固体34.3g(中和価882mgKOH/g)を得た。さらに水から再結晶し、白色固体の1,2,3−プロパントリカルボン酸26.4g(収率75%)を得た。このものの中和価(JIS K0070)は915mgKOH/g(理論値956mgKOH/g)であり、GC分析による純度(面積%)は95.7%であった。
〔実施例2〕
触媒として12−タングストリン酸(HPW1240・水和物、ナカライテスク(株)製)1.5gを用い、60%過酸化水素70.5gの滴下時間を10時間とした他は実施例1と同様に反応を行い、1,2,3−プロパントリカルボン酸の白色固体25.3g(収率72%)を得た。このものの中和価は920mgKOH/gであり、GC純度は、96.2%であった。
〔実施例3〕
メカニカルスターラ、温度計、滴下ロート及びコンデンサー付き水分離器を装着したガラス製の500mlの4ツ口フラスコに、2−(2’−オクテニル)コハク酸無水物43.4g(0.2mol)と水130gを入れ、窒素雰囲気下30分間100℃に加熱して有水酸とした後、70℃に冷却し触媒としてタングステン酸1.5gを加え、60%過酸化水素水20gを滴下した。2時間、70℃で反応させた後、還流温度まで昇温し、60%過酸化水素70.5gを10時間かけて滴下し、更に還流温度で5時間反応させた。この間、副生するカプロン酸は水と共に蒸発させ、カプロン酸は反応系外に留去し、水だけを系内に戻しながら反応を行った。反応後、実施例1と同様の操作を行い1,2,3−プロパントリカルボン酸の白色固体32.8g(収率93.1%)を得た。このものの中和価は938mgKOH/gであり、GC純度は98.1%であった。
〔実施例4〕
メカニカルスターラ、温度計、滴下ロート及びコンデンサー付き水分離器を装着したガラス製の500mlの4ツ口フラスコに、2−(2’−オクテニル)コハク酸無水物43.4g(0.2mol)、水130g、タングステン酸1.5gを入れ、還流温度まで昇温し、60%過酸化水素90.5gを10時間かけて滴下し、更に同温度で5時間反応させた。この間、副生するカプロン酸は水と共に蒸発させ、カプロン酸は反応系外に留去し、水だけを系内に戻しながら反応を行った。反応後、実施例1と同様の操作を行い、1,2,3−プロパントリカルボン酸の白色固体31.2g(収率88.6%)を得た。このものの中和価は935mgKOH/gであり、GC純度は、97.8%であった。
〔実施例5〕
メカニカルスターラ、温度計、滴下ロート及びコンデンサー付き水分離器を装着したガラス製の500mlの4ツ口フラスコに、2−(2’−ブテニル)コハク酸無水物32g(0.2mol)、水130g、タングステン酸1.5gを入れ、還流温度まで昇温し、60%過酸化水素90.5gを10時間かけて滴下し、更に同温度で5時間反応させた。この間、副生する酢酸は水と共に蒸発させ、一定時間毎に留出量と同量の水を添加しながら反応を行った。反応後、実施例1と同様の操作を行い1,2,3−プロパントリカルボン酸のの白色固体33.1g(収率94.0%)を得た。このものの中和価は934mgKOH/gであり、GC純度は、97.7%であった。
〔実施例6〕
タングステン酸1.5gに代えて12−タングストリン酸(HPW1240・水和物、ナカライテスク(株)製)1.5gを入れ、実施例3と同様の操作を行い、1,2,3−プロパントリカルボン酸の白色固体32.5g(収率92.3%)を得た。このものの中和価は939mgKOH/gであり、GC純度は98.2%であった。
〔実施例7〕
タングステン酸1.5gに代えて12−タングストケイ酸(HSiW1240・24HO、ナカライテスク(株)製)6gを入れ、実施例3と同様の操作を行い、1,2,3−プロパントリカルボン酸の白色固体30.9g(収率87.7%)を得た。このものの中和価は935mgKOH/gであり、GC純度は97.8%であった。
〔実施例8〕
タングステン酸1.5gに代えて12−モリブドリン酸(HPMo1240・水和物、ナカライテスク(株)製)3gを入れ、実施例3と同様の操作を行い、1,2,3−プロパントリカルボン酸の白色固体30.7g(収率87.2%)を得た。このものの中和価は927mgKOH/gであり、GC純度は97.0%であった。
本発明の製造方法によりその製造が目的物を得るまでに煩雑な工程を要するか、或いは多量のNOxが発生する反応剤を用いる方法を採用しなくとも1,2,3−プロパントリカルボン酸を工業的に安価で効率よく高収率で製造することが可能となった。このものの誘導体である1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(アルキル置換シクロヘキシルアミド)は、ポリオレフィン樹脂の透明性、結晶性及び剛性を改善する樹脂添加剤として有用である。

Claims (7)

  1. 一般式(1)
    Figure 2006298881
    [式中、Rは、炭素数1〜7の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を表す。]
    で表される2−(2’−アルケニル)コハク酸を、溶媒中、タングステン酸、モリブテン酸、及びこれらのヘテロポリ酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の触媒存在下に、過酸化水素により酸化開裂することを特徴とする1,2,3−プロパントリカルボン酸の製造方法。
  2. 前記溶媒が、水、炭素数1〜4の水混和性溶媒、又はこれらの混合溶媒である請求項1に記載の製造方法。
  3. 副生する有機モノカルボン酸を反応系外に留去しながら反応することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 副生するモノカルボン酸を水と共に蒸発させて反応系外に留去する請求項3に記載の製造方法。
  5. 一般式(1)においてRが、メチル基又はn−ペンチル基である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記触媒が、ヘテロポリ酸である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記ヘテロポリ酸が、12−タングストリン酸、12−タングストケイ酸又は12−モリブドリン酸である請求項6に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008255325A (ja) * 2006-11-22 2008-10-23 Japan Polypropylene Corp プロピレン系樹脂組成物およびその成形品

Cited By (1)

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JP2008255325A (ja) * 2006-11-22 2008-10-23 Japan Polypropylene Corp プロピレン系樹脂組成物およびその成形品

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