JP2006289613A - 2光子吸収光記録材料、2光子吸収光記録媒体及びその記録再生方法、並びに2光子吸収光記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも(1)2光子吸収化合物、(2)2光子吸収化合物の励起状態から電子移動またはエネルギー移動によって吸収スペクトルが変化する記録成分、(3)2光子吸収化合物または/および記録成分を構成する化合物へ電子を供与することのできる電子供与性化合物を含む2光子吸収光記録材料。
【選択図】 なし
Description
通常、非共鳴2光子吸収を誘起する場合には、化合物の(線形)吸収帯が存在する波長領域よりも長波で吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザーを用いることが多い。いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、非共鳴2光子吸収の2乗特性のために試料内部の1点を極めて高い空間分解能で励起できる。化合物の色が変化するということはすなわち複素屈折率(n+ik)の実部である屈折率nと虚部である消衰係数kが変化することである。したがって、非共鳴2光子吸収により得た励起エネルギーを用いて3次元空間内部の任意の点で色素前駆体の発色や色素の吸収変化を誘起せしめることができれば(即ち、屈折率変化を誘起せしめることができれば)、情報を3次元空間に立体的に書き込める3次元光記録媒体や、画像を立体に表示できる3次元画像表示媒体等への応用が可能となる。
特開2005−15699号公報には、2光子吸収断面積が大きい2光子吸収化合物を用いた光感応性高分子組成物が記載されているが、さらなる改良が望まれている。
(2) 該電子供与性化合物の酸化電位が該2光子吸収化合物の酸化電位よりも卑であることを特徴とする(1)に記載の2光子吸収光記録材料。
(3) 該電子供与性化合物の酸化電位が、該2光子吸収化合物の光励起状態の酸化電位よりも卑であることを特徴とする(1)または(2)に記載の2光子吸収光記録材料。
(4) 該電子供与性化合物の酸化電位が標準カロメロ電極(SCE)の電位に換算して+0.4Vよりも貴でかつ、+1.0Vよりも卑であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(5) 該電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(6) 該電子供与性化合物がアニリン類、トリフェニルアミン類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類のいずれかであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(7) 該電子供与性化合物が2光子吸収化合物と共有結合によって結合した構造を有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(8) 該電子供与性化合物が主鎖または側鎖に共有結合を介して結合した高分子化合物を含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(9) 該電子供与性化合物が下記一般式(1−1)、(1−2)、または(1−3)で表されることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
一般式(1−2)において、R4、R5、R6はそれぞれ独立に置換基を表し、a4、a5、a6はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。a4、a5、a6が2以上の時、複数のR4、R5、R6は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
一般式(1−3)において、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基のいずれかを表し、R9は置換基を表し、a9は0〜5の整数を表す。a9が2以上の時、複数のR9は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
(10) 該電子供与性化合物が一般式(1−1)で表され、かつX1が−S−で表されることを特徴とする(9)に記載の2光子吸収光記録材料。
(11) 該2光子吸収化合物が1000GM以上の2光子吸収断面積を有することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(12) 該記録成分に、2光子吸収化合物からの電子移動により酸を発生させることの可能な光酸発生剤と、酸により吸収帯が発現する酸発色型色素前駆体の少なくとも2成分を含むことを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(13) 該酸発色型色素前駆体が、酸により発色した色素としてトリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン色素を生成する色素前駆体、および/またはフルオラン系色素であることを特徴とする(12)に記載の2光子吸収光記録材料。
(14) 該2光子吸収化合物からの電子移動により酸を発生させることの可能な前記光酸発生剤がジアリールヨウドニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルであることを特徴とする(12)または(13)に記載の2光子吸収光記録材料。
(15) 該記録成分に、2光子吸収化合物からの電子移動により塩基を発生させることの可能な光塩基発生剤と、塩基により吸収が発現する塩基発色型色素前駆体の少なくとも2成分を含むことを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(16) 該塩基発色型色素前駆体が、塩基により発色した色素としてアゾ色素、アゾメチン色素、オキソノール色素、キサンテン系色素、フルオラン系色素またはトリフェニルメタン系色素を生成する色素前駆体であることを特徴とする(15)に記載の2光子吸収光記録材料。
(17) 該光塩基発生剤が、下記一般式(2−1)〜(2−4)で表されることを特徴とする(15)または(16)に記載の2光子吸収光記録材料。
(18) 該記録成分として少なくとも下記一般式(3)を含むことを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
一般式(3)
(19) 該記録成分に、少なくとも吸収を消失させることの可能な消色型色素を含むことを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(20) 該記録成分に含まれる色素の発色および/または消色による吸収スペクトル変化が2光子吸収化合物の線形吸収スペクトルの極大波長よりも長波長領域で発現することを特徴とする(1)〜(19)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(21) 前記2光子吸収光記録材料であって、2光子吸収化合物の線形吸収スペクトルの極大波長よりも長波長領域に発現する記録成分の吸収スペクトル変化が読み出し波長において発現することを特徴とする(20)に記載の2光子吸収光記録材料。
(22) (20)記載の2光子吸収光記録材料であって、2光子吸収化合物の線形吸収スペクトルの極大波長よりも長波長領域に発現する記録成分の吸収スペクトル変化が読み出し波長よりも短波長領域において発現し、かつ読み出し波長での吸収スペクトル変化が存在しないことを特徴とする(20)に記載の2光子吸収光記録材料。
(23) (1)〜(22)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料を用いた2光子吸収光記録媒体。
(24) (23)に記載の2光子吸収光記録媒体であって、1回だけの書き込みが可能なライトワンス型であることを特徴とする2光子吸収光記録媒体。
(25) (23)または(24)に記載の2光子吸収光記録媒体であって、屈折率、散乱、回折または干渉により記録および読み出しを行うことを特徴とする(23)または(24)に記載の2光子吸収光記録媒体。
(26) (23)〜(25)のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体に書き込まれた情報を反射率の違いにより読み出すことを特徴とする2光子吸収記録媒体の再生方法。
(27) (23)〜(25)のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体への光記録における書き込み波長と、情報の読み出しに用いる再生波長とが同一波長であることを特徴とする2光子吸収光記録媒体の記録再生方法。
(28) (23)〜(25)のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体への光記録における書き込み波長と、情報の読み出しに用いる再生波長とが異なる波長であることを特徴とする2光子吸収光記録媒体の記録再生方法。
(29) (26)〜(28)のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体の記録再生方法であって、請求項23−25に記載の2光子吸収光記録媒体を回転または走行させながら情報の書き込みおよび再生を行うことを特徴とする2光子吸収光記録媒体の記録再生方法。
(30) (23)〜(25)のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体と、(26)〜(29)のいずれかに記載の記録再生方法を行う光学ヘッドの相対位置を変化させることが可能な駆動機構を有する2光子吸収光記録再生装置。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
例えば、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、または金属錯体色素。
本発明の2光子吸収化合物がメロシアニン色素の時、好ましくは特開2005−15699号公報の段落番号0037から0048に記載の一般式(2)にて表わされる化合物が用いられる。
また本発明の水素結合性基を有する化合物は溶液または固体状態にて水素結合性基同士の相互作用により会合的相互作用することが好ましく、分子内相互作用でも分子間相互作用でも良いが、分子間相互作用である方がより好ましい。
R11としてより好ましくは水素原子、アルキル基、または−SO2R19基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
R12として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、−COR18基、または−SO2R19基を表し、その際R18、R19としてはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基が好ましい。
R12としてより好ましくは水素原子、アルキル基、または−COR18基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
R13として好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、より好ましくは水素原子を表す。
R14として好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
R15として好ましくはアルキル基、またはアリール基を表す。
R16として好ましくは水素原子を表し、R17として好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
ここで、色素発色団同士が特定の空間配置に、共有結合又は配位結合、あるいは種々の分子間力(水素結合、ファン・デル・ワールス力、クーロン力等)などの結合力によって固定されている状態を、一般的に会合(又は凝集)状態と称している。
本発明の2光子吸収化合物は、分子間会合状態で用いても、2光子吸収を行うクロモフォアを分子内に2個以上有し、それらが分子内会合状態にて2光子吸収を行う状態で用いても良い。会合体の説明は特開2005−15699号公報の段落番号0069から0073に記載を参照できる。
次に、本発明の2光子吸収光記録材料において、好ましい記録成分について詳しく説明する。
したがって、本発明の記録成分は、2光子吸収化合物励起状態から直接電子移動またはエネルギー移動することにより、あるいは2光子吸収化合物励起状態から酸発生剤または塩基発生剤に電子移動またはエネルギー移動することにより発生した酸または塩基により、元の状態から吸収が変化した発色体となることができる色素前駆体を含むことが好ましい。
B)少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤含む組み合わせ、必要によりさらに塩基増殖剤を含む組み合わせ。
C)2光子吸収化合物励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合している際と放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物を含む場合。必要によりさらに塩基を含む組み合わせ。
D)2光子吸収化合物励起状態との電子移動により反応し、吸収形を変化させることができる化合物を含む場合。
その際、エネルギー移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起エネルギーが、色素前駆体の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
また、2光子吸収化合物励起状態が色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤に電子を与えても、電子を受け取っても良い。2光子吸収化合物励起状態から電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起状態における酸化電位が、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤の還元電位よりも卑であることが好ましい。
2光子吸収化合物励起状態が電子を受け取る場合、電子移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起状態における還元電位が、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤の酸化電位よりも貴であることが好ましい。
なお、これらの酸発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、またはカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
R24は好ましくは−CR21R22R23を、より好ましくは−CCl3基を表し、R25は好ましくは、 −CR21R22R23、アルキル基、アルケニル基、またはアリール基である。
R27は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、a21は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR27は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
X21 -は、HX21がpKa4以下(水中、25℃)、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンで、好ましくは例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
a22、a23はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜1の整数を表す。a22、a23が2以上の時、複数のR28、R29は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
具体的には、特開平1−54440号、ヨーロッパ特許第109851号、ヨーロッパ特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
本発明の酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物として具体的には、M.E.Woodhouseetal,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappasetal,J.ImagingSci.,30(5),218(1986)、S.Kondoetal.Makromol.Chem.,RapidCommun.,9,625(1988)、J.V.Crivelloetal.J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146037、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、特開2000‐143796号に開示されている化合物を用いることができる。
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
が挙げられる。
また、
1)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
は、カチオン重合開始剤とラジカル重合開始剤を兼ねることができる。
したがって、本発明の2光子吸収光記録材料及びその組成物に、重合性モノマーや重合性バインダー、反応性バインダーや架橋剤を併用して、記録を行いながら、重合、架橋等による膜の硬化等を行うこともできる。
なお、これらの酸発色型色素前駆体は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
さらには、特開2000-281920号公報に開示されているスピロピラン系色素前駆体も具体例として挙げることができる。
Ma1〜Ma7はそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基を有していても良く、他のメチン基と環を形成しても良い。na1、及びna2はそれぞれ0または1であり、ka1は0〜3の整数を表わす。ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよい。
本発明の酸増殖剤は、酸が存在しない場合は安定であるのに対し、酸が存在すると分解して酸を放出し、その酸でまた別の酸増殖剤を分解させてまた酸を放出する、というように酸発生剤により発生した小量の酸をトリガーとして酸を増殖する化合物である。
その際、酸増殖剤としては、下記一般式(34−1)〜(34−6)で表されることが好ましい。
R101はR101OHがスルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸のいずれかである基であることが好ましく、スルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかであることがより好ましく、その際電子求引性基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基が好ましい。R101はR101OHがスルホン酸である基であることが最も好ましい。
R105、R106、R116は共に水素原子であることがより好ましい。R107、R110、R113はアルキル基であることがより好ましい。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
R201、R202は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
R201、R202のより好ましい組み合わせとしては、R201が置換しても良いシクロヘキシル基でR202が水素原子、R201が置換しても良いアルキル基でR202が水素原子、R201、R202が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
一般式(2−1)にて、n202は0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。n202が2以上の時、複数のR203は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(2−1)にて、R203がニトロ基である時、2位または2,6位に置換することが好ましく、R203がアルコキシ基である時、3、5位に置換することが好ましい。
R204、R205のより好ましい組み合わせとしては、R204、R205共水素原子、R204がメチル基でR205が水素原子、R204、R205共メチル基、R204が2−ニトロフェニル基でR205が水素原子、等が挙げられ、さらに好ましくはR204、R205共水素原子である。
一般式(2−2)にて、n203、n204はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。n203、n204が2以上の時、複数のR206、R207は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(2−2)にて、R206は3、5位に置換したアルコキシ基であることがより好ましく、3、5位に置換したメトキシ基であることがさらに好ましい。
なお、一般式(2−3)で表される化合物はR209からポリマー鎖に連結した化合物であっても良い。
R210、R211は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としては例えばフルオレン環が好ましい。
本発明の塩基発色型色素前駆体としては、塩基により吸収が長波長化する化合物が好ましく、塩基によりモル吸光係数が大きく増加する化合物がより好ましい。
ここで、R91、R92、R96はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR203の例と同じ)、好ましくは水素原子またはアルキル基を表す。R93はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR203の例と同じ)、好ましくは置換しても良いアルキル基または置換しても良いアリール基を表し、置換しても良いアルキル基であることがより好ましく、その際、置換基としては電子求引性であることが好ましく、フッ素であることが好ましい。
R94、R95は、それぞれ独立に置換基を表す(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)が、電子求引性の置換基が好ましく、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基であることが好ましい。
本発明の解離型色素の解離基としては、OH基、COOH基、NHSO2R93基、NHR96基、CHR94R95基がより好ましく、OH基、CHR94R95基がさらに好ましく、OH基が最も好ましい。
本発明の塩基増殖剤は、塩基が存在しない場合は安定であるのに対し、塩基が存在すると分解して塩基を放出し、その塩基でまた別の塩基増殖剤を分解させてまた塩基を放出する、というように塩基発生剤により発生した小量の塩基をトリガーとして塩基を増殖する化合物である。
その際、塩基増殖剤としては、下記一般式(35)で表されることが好ましい。
R121、R122は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。R121、R122のより好ましい組み合わせとしては、R121が置換しても良いシクロヘキシル基でR122が水素原子、R121が置換しても良いアルキル基でR122が水素原子、R121、R122が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
R123、R124は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはフルオレン環が挙げられる。
なお、A1は2光子吸収化合物励起状態との電子移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であることがより好ましい。
PDとしては解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素のいずれかであることがより好ましい。
R72は置換基(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子吸引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、またはハロゲン原子を表す。a71はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a71が2以上の時、複数のR72は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a71は好ましくは1または2であり、2位か4位にR72が置換することが好ましい。
a73は0または1を表す。
a76は0または1を表す。
前記を起こすことができる化合物は、いわゆる「エレクトロクロミック化合物」として総称されている。
本発明で色素前駆体として用いるエレクトロクロミック化合物として好ましくは、ポリピロール類(好ましくは例えばポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(N−メチルインドール)、ポリピロロピロール)、ポリチオフェン類(好ましくは例えばポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリジチエノチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン)、ポリアニリン(好ましくは例えばポリアニリン、ポリ(N−ナフチルアニリン)、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(アニリン−m−スルホン酸)、ポリ(2−メトキシアニリン)、ポリ(o−アミノフェノール))、ポリ(ジアリ−ルアミン)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、Coピリジノポルフィラジン錯体、Niフェナントロリン錯体、Feバソフェナントロリン錯体である。
該電子供与性化合物の酸化電位が標準カロメロ電極(SCE)の電位に換算して+0.4Vよりも貴でかつ、+1.0Vよりも卑であることが好ましい。
一般式(1−1)中、a2、a3はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは0または1を表し、より好ましくは共に0を表す。
a2、a3が2以上の時、複数のR2、R3は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環等が挙げられる。
R9は置換基(好ましい例はR2、R3に挙げた置換基の例に同じ)を表し、 a9は0〜5の整数を表し、より好ましくは0〜2の整数を表す。 a9が2以上の時、複数のR9は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環等が挙げられる。
バインダーとしては、溶媒可溶性の熱可塑性重合体が好ましく、単独又は互いに組合せて使用することができる。
さらに、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、並びにH.カモガワらによりJournal of Polymer Science:Polymer Chemistry Edition,18巻、9〜18頁(1979)中開示されているようなカルバゾール含有重合体、ビスフェノールと炭酸エステルからなるポリカーボネートなどが挙げられる。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2-ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。Pazos氏の米国特許第4,168,982号中に述べられた、ジニトロソダイマ類もまた有用である。
(反応性)バインダー、重合性モノマー、重合性オリゴマー、架橋剤:好ましくは0〜95質量%、より好ましくは30〜95質量%
記録成分:好ましくは3〜80質量%、より好ましくは5〜60質量%
2光子吸収化合物:好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%
電子供与性化合物:好ましくは3〜60%、より好ましくは5〜40%
溶媒としては例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒などが挙げられる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
[実施例]
・2光子吸収化合物:D−104(1質量部)
・記録成分:酸発生剤ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ燐酸(9.1質量部)
酸発色型色素前駆体:クリスタルバイオレットラクトン(9.1質量部)
・電子供与性化合物:10−メチルフェノチアジン(36.3質量部)
・バインダー:ポリメチルメタクリレート(平均分子量120,000)(45.4質量部)
溶媒:クロロホルム(上記成分の合計質量の3倍質量)
・2光子吸収化合物:D−126(1質量部)
・記録成分:酸発生剤:I−101(9.1質量部)
酸発色型色素前駆体:R−7(9.1質量部)
・電子供与性化合物:10−メチルフェノチアジン(36.3質量部)
・バインダー:ポリ(メチルメタクリレート−co−エチルアクリレート)(平均分子量101,000)(45.4質量部)
溶媒:クロロホルム(上記成分の合計質量の3倍質量)
上記2光子吸収光記録材料(1)から電子供与性化合物を除いたもの。
上記2光子吸収光記録材料(2)から電子供与性化合物を除いたもの。
[光照射時における発色性の評価]
本発明の2光子吸収光記録材料の性能評価には発振波長可変のTi:サファイアレーザーを用い、レーザー光を本発明の2光子光記録材料のスピンコート膜へレンズで絞って照射した。
照射したレーザー光の波長は、本材料に含まれる2光子吸収化合物の2光子吸収断面積が極大となる波長付近を用いた。
発色速度の評価には、Ti:サファイアレーザー光照射により発色する色素の吸光度がある一定の値になるまでのレーザー光照射時間を測定することで発色速度を見積もった。電子供与性化合物を含まない比較材料におけるレーザー光照射時の発色色素濃度がある値になるまでの時間から発色速度を求め、これを1として、電子供与性化合物が含まれる場合の発色速度を比較した。
本発明の2光子吸収化合物の2光子吸収断面積の評価は、該化合物が蛍光性の場合には蛍光法を、該化合物が非蛍光性の場合にはZ−Scan法を用いて行った。
2光子吸収断面積の蛍光法による評価は、M.A.Albota et al.,Appl.Opt.1998,37,7352.記載の方法を参考に行った。この測定法は、非共鳴2光子吸収が起こることにより誘起された励起状態からの発光の強度を、基準物質と被測定物質との間で比較する方法であり、2光子発光を起こす化合物でなければ測定できないが、他の方法に比べて簡便で比較的正確な値が得られるのが特徴である。2光子吸収断面積測定用の光源には、Ti:sapphire パルスレーザー(パルス幅:100fs 、繰り返し:80MHz 、平均出力:1W、ピークパワー:100kW )を用い、700nmから1000nmの波長範囲で2光子吸収断面積を測定した。また、基準物質としてローダミンBおよびフルオレセインを測定し、得られた測定値をC.Xu et al.,J.Opt.Soc.Am.B 1996,13,481.に記載のローダミンB およびフルオレセインの2光子吸収断面積の値を用いて補正することで、各化合物の2光子吸収断面積を得た。2光子吸収測定用の試料には、1×10-3の濃度でクロロホルムまたはDMSOに化合物を溶かした溶液を用いた。
2光子吸収断面積のZ−Scan法による評価は、MANSOOR SHEIK−BAHAE et al.,IEEE.Journal of Quantum Electronics.1990,26,760.記載のZスキャン法で行った。Zスキャン法は、非線形光学定数の測定方法として、広く用いられている方法であり、集光したレーザビームの焦点付近で、測定試料をビームに沿って移動させ、透過する光量の変化を記録する。試料の位置により、入射光のパワー密度が変化するため、非線形吸収がある場合には、焦点付近で透過光量が減衰する。透過光量変化を、入射光強度、集光スポットサイズ、試料厚み、試料濃度などから予測される理論曲線に対し、フィッティングを行うことにより、2光子吸収断面積を算出した。2光子吸収断面積測定用の光源には、Ti:sapphire パルスレーザー(パルス幅:100fs、繰り返し:80MHz、平均出力:1W、ピークパワー:100kW)を用い、700nmから1000nmの波長範囲で2光子吸収断面積を測定した。2光子吸収測定用の試料には、1×10-3の濃度でクロロホルムに化合物を溶かした溶液を用いた。
Claims (30)
- 少なくとも(1)2光子吸収化合物、(2)2光子吸収化合物の励起状態から電子移動またはエネルギー移動によって吸収スペクトルが変化する記録成分、(3)2光子吸収化合物または/および記録成分を構成する化合物へ電子を供与することのできる電子供与性化合物を含むことを特徴とする2光子吸収光記録材料。
- 該電子供与性化合物の酸化電位が該2光子吸収化合物の酸化電位よりも卑であることを特徴とする請求項1に記載の2光子吸収光記録材料。
- 該電子供与性化合物の酸化電位が、該2光子吸収化合物の光励起状態の酸化電位よりも卑であることを特徴とする請求項1または2に記載の2光子吸収光記録材料。
- 該電子供与性化合物の酸化電位が標準カロメロ電極(SCE)の電位に換算して+0.4Vよりも貴でかつ、+1.0Vよりも卑であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該電子供与性化合物がアニリン類、トリフェニルアミン類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類のいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該電子供与性化合物が2光子吸収化合物と共有結合によって結合した構造を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該電子供与性化合物が主鎖または側鎖に共有結合を介して結合した高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該電子供与性化合物が下記一般式(1−1)、(1−2)、または(1−3)で表されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
一般式(1−2)において、R4、R5、R6はそれぞれ独立に置換基を表し、a4、a5、a6はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。a4、a5、a6が2以上の時、複数のR4、R5、R6は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
一般式(1−3)において、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基のいずれかを表し、R9は置換基を表し、a9は0〜5の整数を表す。a9が2以上の時、複数のR9は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。 - 該電子供与性化合物が一般式(1−1)で表され、かつX1が−S−で表されることを特徴とする請求項9に記載の2光子吸収光記録材料。
- 該2光子吸収化合物が1000GM以上の2光子吸収断面積を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該記録成分に、2光子吸収化合物からの電子移動により酸を発生させることの可能な光酸発生剤と、酸により吸収帯が発現する酸発色型色素前駆体の少なくとも2成分を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該酸発色型色素前駆体が、酸により発色した色素としてトリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン色素を生成する色素前駆体、および/またはフルオラン系色素であることを特徴とする請求項12に記載の2光子吸収光記録材料。
- 該光酸発生剤がジアリールヨウドニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルであることを特徴とする請求項12または13に記載の2光子吸収光記録材料。
- 該記録成分に、2光子吸収化合物からの電子移動により塩基を発生させることの可能な光塩基発生剤と、塩基により吸収が発現する塩基発色型色素前駆体の少なくとも2成分を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該塩基発色型色素前駆体が、塩基により発色した色素としてアゾ色素、アゾメチン色素、オキソノール色素、キサンテン系色素、フルオラン系色素またはトリフェニルメタン系色素を生成する色素前駆体であることを特徴とする請求項15に記載の2光子吸収光記録材料。
- 該光塩基発生剤が、下記一般式(2−1)−(2−4)で表されることを特徴とする請求項15または16に記載の2光子吸収光記録材料。
- 該記録成分に、少なくとも吸収を消失させることの可能な消色型色素を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 該記録成分に含まれる色素の発色および/または消色による吸収スペクトル変化が2光子吸収化合物の線形吸収スペクトルの極大波長よりも長波長領域で発現することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
- 請求項20に記載の2光子吸収光記録材料であって、2光子吸収化合物の線形吸収スペクトルの極大波長よりも長波長領域に発現する記録成分の吸収スペクトル変化が読み出し波長において発現することを特徴とする請求項20に記載の2光子吸収光記録材料。
- 請求項20に記載の2光子吸収光記録材料であって、2光子吸収化合物の線形吸収スペクトルの極大波長よりも長波長領域に発現する記録成分の吸収スペクトル変化が読み出し波長よりも短波長領域において発現し、かつ読み出し波長での吸収スペクトル変化が存在しないことを特徴とする請求項20に記載の2光子吸収光記録材料。
- 請求項1〜22のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料を用いた2光子吸収光記録媒体。
- 請求項23に記載の2光子吸収光記録媒体であって、1回だけの書き込みが可能なライトワンス型であることを特徴とする2光子吸収光記録媒体。
- 請求項23または24に記載の2光子吸収光記録媒体であって、屈折率、散乱、回折または干渉により記録および読み出しを行うことを特徴とする請求項23−24に記載の2光子吸収光記録媒体。
- 請求項23〜25のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体に書き込まれた情報を反射率の違いにより読み出すことを特徴とする2光子吸収記録媒体の記録再生方法。
- 請求項23〜25のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体への光記録における書き込み波長と、情報の読み出しに用いる再生波長とが同一波長であることを特徴とする2光子吸収光記録媒体の記録再生方法。
- 請求項23〜25のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体への光記録における書き込み波長と、情報の読み出しに用いる再生波長とが異なる波長であることを特徴とする2光子吸収光記録媒体の記録再生方法。
- 請求項26〜28のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体の記録再生方法であって、請求項23−25に記載の2光子吸収光記録媒体を回転または走行させながら情報の書き込みおよび再生を行うことを特徴とする2光子吸収光記録媒体の記録再生方法。
- 請求項23〜25のいずれかに記載の2光子吸収光記録媒体と、請求項26〜29のいずれかに記載の記録再生方法を行う光学ヘッドの相対位置を変化させることが可能な駆動機構を有する2光子吸収光記録再生装置。
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