JP2006288149A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次側直列共振回路を備える電圧共振形コンバータの実用化を図る。また、ワイドレンジ対応化を図る。
【解決手段】二次巻線N2A,N2Bを巻装し、N2Aに対応して二次側並列共振回路、N2Bに対応して二次側直列共振回路を形成する。絶縁コンバータトランスPITの結合係数k=0.7程度以下として、中間負荷時において、スイッチング素子のオフ期間が終了する以前のタイミングでスイッチング素子に電流が流れる異常動作を解消する。また、これにより、スイッチング周波数制御による定電圧制御特性について急峻な単峰特性として、安定化に必要なスイッチング周波数の制御範囲を縮小する。電力変換効率について良好な特性が得られるようにして、一次側並列共振周波数fo1、二次側並列共振周波数fo2、二次側直列共振周波数fo3の設定を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、電圧共振形コンバータを備えて成るスイッチング電源回路に関するものである。
共振形によるいわゆるソフトスイッチング電源としては、電流共振形と電圧共振形の形式が広く知られている。現状においては、実用化が容易なことを背景に、2石のスイッチング素子によるハーフブリッジ結合方式の電流共振形コンバータが広く採用されている状況にある。
しかし、現在、例えば高耐圧スイッチング素子の特性が改善されてきている状況にあり、電圧共振形コンバータを実用化するにあたっての耐圧の問題はクリアされてきている状況にある。また、1石のスイッチング素子によるシングルエンド方式で構成した電圧共振形コンバータについては、1石の電流共振形フォワードコンバータと比較して、入力帰還ノイズや直流出力電圧ラインのノイズ成分などの点で有利であることも知られている。
図8は、シングルエンド方式による電圧共振形コンバータを備えるスイッチング電源回路の一構成例を示している。この図に示す電源回路は、AC100V系、AC200V系の何れかのレンジの商用交流電源入力に対応する、いわゆる単レンジ対応とされる。
この図に示すスイッチング電源回路においては、商用交流電源ACをブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路により整流平滑化して、平滑コンデンサCiの両端電圧として、整流平滑電圧Eiを生成している。
なお、商用交流電源ACのラインに対しては、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLから成り、コモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが設けられている。
上記整流平滑電圧Eiは、直流入力電圧として電圧共振形コンバータに対して入力される。この電圧共振形コンバータは、上記しているように、1石のスイッチング素子Qを備えたシングルエンド方式による構成を採る。また、この場合の電圧共振形コンバータとしては他励式となっており、MOS−FETのスイッチング素子Q1を、発振・ドライブ回路2によりスイッチング駆動するようにされている。
スイッチング素子Q1に対しては、MOS−FETのボディダイオードDDが並列に接続される。また、スイッチング素子Q1のソース−ドレイン間に対して一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。
一次側並列共振コンデンサCrは、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1とによって一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成している。そして、この一次側並列共振回路によって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として電圧共振形の動作が得られるようにされている。
発振・ドライブ回路2は、スイッチング素子Q1をスイッチング駆動するために、スイッチング素子Q1のゲートに対して、ドライブ信号としてのゲート電圧を印加する。これにより、スイッチング素子Q1は、ドライブ信号の周期に応じたスイッチング周波数によりスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1 のスイッチング出力を二次側に伝送する。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えば、フェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と、二次巻線N2を、EE型コアの中央磁脚に対して巻装している。
そのうえで、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの中央磁脚に対しては1.0mm程度のギャップを形成するようにしており、これによって、一次側と二次側との間で、k=0.80〜0.85程度の結合係数kを得るようにしている。この程度の結合係数kは疎結合としてみてよい結合度であり、その分、飽和状態が得られにくくなる。また、この結合係数kの値が、リーケージインダクタンス(L1)の設定要素となる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、スイッチング素子Q1と平滑コンデンサCiの正極端子間に挿入されるようになっていることで、スイッチング素子Q1のスイッチング出力が伝達されるようになっている。絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、一次巻線N1により誘起された交番電圧が発生する。
この場合、二次巻線N2の一端に対して二次側直列共振コンデンサC2を直列に接続していることで、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって二次側直列共振回路(電流共振回路)が形成される。
そのうえで、この二次側直列共振回路に対して、図示するようにして整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoを接続することで、倍電圧半波整流回路を形成している。この倍電圧半波整流回路は、二次巻線N2に誘起される交番電圧V2の2倍に対応するレベルの二次側直流出力電圧Eoを、平滑コンデンサCoの両端電圧として生成する。二次側直流出力電圧Eoは負荷に供給されると共に、定電圧制御用の検出電圧として、制御回路1に入力される。
制御回路1は、検出電圧として入力される二次側直流出力電圧Eoのレベルを検出して得られる検出出力を発振・ドライブ回路2に入力する。
発振・ドライブ回路2は、入力される検出出力が示す二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じて、二次側直流出力電圧Eoが所定のレベルで一定となるようにして、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を制御する。つまり、制御すべきスイッチング動作を得るためのドライブ信号を生成して出力する。これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化制御が行われる。
図9及び図10は、上記図8に示した構成の電源回路についての実験結果を示している。なお、実験にあたっては、図8の電源回路の要部について下記のようにして設定している。
絶縁コンバータトランスPITは、コアにEER-35を選定し、中央磁脚のギャップについては、1mmのギャップ長を設定する。また、一次巻線N1及び二次巻線N2のターン数T(巻数)については、それぞれN1=39T、N2=23Tとし、二次巻線N2の1ターン(T)あたりの誘起電圧レベルについては、3V/Tを設定した。絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.81を設定した。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=3900pF、二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスについてはC2=0.1μFを選定した。これに応じて、一次側並列共振回路の共振周波数fo1=230kHz、二次側直列共振回路の共振周波数fo2=82kHzが設定される。この場合、共振周波数fo1,fo2の相対的関係としては、fo1≒2.8×fo2と表すことができる。
二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vであり、対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wである。
図9は、図8に示した電源回路における要部の動作をスイッチング素子Q1のスイッチング周期により示す波形図であり、図9(a)には、最大負荷電力Pomax=200W時における電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線電流I2、二次側整流電流ID1、ID2が示されている。図9(b)には、中間の負荷電力Po=120W時における電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線電流I2が示されている。図9(c)には最小負荷電力Pomin=0W時における電圧V1、スイッチング電流IQ1が示される。
電圧V1は、スイッチング素子Q1の両端に得られる電圧であり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状の共振パルスとなる波形である。この電圧V1の共振パルス波形が、一次側スイッチングコンバータの動作が電圧共振形であることを示している。
スイッチング電流IQ1は、スイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)に流れる電流であり、期間TONにおいて図示する波形により流れ、期間TOFFにおいて0レベルとなる波形として得られる。
一次巻線N1に流れる一次巻線電流I1は、期間TONにおいて上記スイッチング電流IQ1として流れる電流成分と、期間TOFFにおいて一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成したものとなる。
また、図9(a)のみにおいて示しているが、二次側整流回路の動作として、整流ダイオードDo1,Do2に流れる整流電流ID1,ID2は、それぞれ図示するようにして正弦波状に流れるものとなる。この場合、整流電流ID1の波形のほうが、整流電流ID2よりも、二次側直列共振回路の共振動作が支配的に現れたものとなっている。
二次巻線N2に流れる二次巻線電流I2は、整流電流ID1,ID2が合成された波形として得られる。
図10は、図8に示した電源回路についての、負荷変動に対するスイッチング周波数fs、スイッチング素子Q1のオン期間TON、オフ期間TOFF、及びAC→DC電力変換効率ηAC→DCを示している。
先ず、AC→DC電力変換効率ηAC→DCを見てみると、負荷電力Po=50W〜200Wまでの広範囲で90%以上となる高効率が得られていることが分かる。このような特性は、シングルエンド方式による電圧共振形コンバータに、二次側直列共振回路を組み合わせた場合に得られるものであることを、先に本出願の発明者は実験で確認している。
また、図10のスイッチング周波数fs、オン期間TON、オフ期間TOFFによっては、図8に示す電源回路についての負荷変動に対する定電圧制御特性としてのスイッチング動作が示されることになる。この場合、スイッチング周波数fsは、負荷変動に対してほぼ一定となっている。これに対して、オン期間TON、オフ期間TOFFが図示するようにして相互に逆傾向となるようにしてリニアに変化を示している。このことは、二次側直流出力電圧Eoの変動に対してスイッチング周波数(スイッチング周期)はほぼ一定とされたうえで、オン期間とオフ期間との時比率を変化させるようにしてスイッチング動作を制御しているということを示す。このような制御は、1周期内のオン/オフ期間を可変する、PWM(Pulse Width Modulation)制御であるとみることができる。このPWM制御によって、図8に示す電源回路では、二次側直流出力電圧Eoについての安定化が図られる。
図11は、図8に示す電源回路の定電圧制御特性を、スイッチング周波数fs(kHz)と二次側直流出力電圧Eoとの関係により、模式的に示している。
図8に示す電源回路では、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路を備えることから、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に応じた共振インピーダンス特性と、二次側直列共振回路の共振周波数fo2に応じた共振インピーダンス特性との2つの共振インピーダンス特性を複合的に有することになる。また、図8に示す電源回路では、fo1≒2.8×fo2の関係を有しているとされるので、図11にも示しているように、一次側並列共振周波数fo1に対して二次側直列共振周波数fo2が低い関係となる。
そのうえで、或る一定の交流入力電圧VACの条件でのスイッチング周波数fsに対する定電圧制御特性を想定すると、図示するようにして、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線A,Bとして示され、二次側直列共振回路の共振周波数fo2に応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線C,Dで示されるものとなる。そして、この図11に示す特性の下で、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルであるtgにより定電圧制御を図ろうとすると、そのために必要なスイッチング周波数fsの可変範囲(必要制御範囲)は、Δfsで示される区間として表すことができる。
図11に示される必要制御範囲Δfsは、二次側直列共振回路の共振周波数fo2に応じた最大負荷Pomax時の特性曲線Cから、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に応じた最小負荷電力Pomin時の特性曲線Aまでに至るもので、その間に、二次側直列共振回路の共振周波数fo2に応じた最小負荷Pomin時の特性曲線Dと、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に応じた最大負荷電力Pomax時の特性曲線Bをまたぐ。
このために、図8に示す電源回路の定電圧制御動作としては、スイッチング周波数fsはほぼ固定とされたうえで、1スイッチング周期における期間TON/TOFFの時比率を変化させるPWM制御の状態により、スイッチング駆動制御を行うものとなる。なお、このことは、図9(a)(b)(c)に示す最大負荷電力Pomax=200W時、負荷電力Po=100W時、最小負荷電力Pomin=0W時に示される1スイッチング周期(TOFF+TON)の期間長についてはほぼ一定とされたうえで、期間TOFF,TONの幅が変化していることによっても示されている。
このような動作は、電源回路における負荷変動に応じた共振インピーダンス特性として、一次側並列共振回路の共振周波数fo1の共振インピーダンス(容量性インピーダンス)が支配的となる状態と、二次側直列共振回路の共振周波数fo2(誘導性インピーダンス)が支配的となる状態との間での遷移が、狭いスイッチング周波数の可変範囲(Δfs)のもとで行われることにより得られるものであるとされる。
特開2000−134925号公報
上記図8に示す電源回路では次のような問題を有している。
先に説明した図9の波形図において、図9(a)に示される最大負荷電力Pomax時のスイッチング電流IQ1は、ターンオンタイミングであるオフ期間TOFFの終了時点に至るまでは0レベルで、オン期間TONに至ると、先ず負極性の電流がボディダイオードDDに流れ、この後に反転してスイッチング素子Q1のドレイン−ソースを流れるようにして動作する。この動作は、ZVS(Zero Voltage Switching)が適正に行われている状態を示している。
これに対して、図9(b)に示される、中間負荷に対応するPo=120W時のスイッチング電流IQ1は、ターンオンタイミングのオフ期間TOFFの終了時点に至る以前のタイミングで、スイッチング電流IQ1がノイズ的に流れる動作が得られている。この動作は、ZVSが適正に行われていない異常動作である。
つまり、図8に示されるようにして、二次側直列共振回路を備える電圧共振形コンバータでは、中間負荷時においてZVSが適正に実行されない異常動作となることが分かっている。図8の電源回路の実際としては、例えば図10に示す区間Aとしての負荷変動範囲の領域で、このような異常動作となることが確認されている。
二次側直列共振回路を備える電圧共振形コンバータは、先にも説明したように、傾向としては負荷変動に対して高効率が良好に維持できる特性を本来有しているが、図9(b)のスイッチング電流IQ1として示すように、スイッチング素子Q1のターンオン時において相応のピーク電流が流れることになるので、これによるスイッチング損失の増加を招き、電力変換効率の低下要因を抱えることになる。
また、いずれにせよ、上記のような異常動作が生じることで、例えば定電圧制御回路系の位相−ゲイン特性にずれが生じることとなって、異常発振状態でのスイッチング動作となる。このために、実用化することは、現実的には困難であるとの認識が現状においては強い。
また、各種電子機器の多様化に対してできるだけ電源回路については共通化が図られるようにすることなどを目的として、電源回路に関してはは、AC100V系とAC200V系との何れの商用交流電源入力にも対応して動作する、いわゆるワイドレンジ対応とすることも求められている。しかしながら、図8に示す電源回路では、上記もしているように、中間負荷時における異常動作が存在するものであり、そのままでは、AC100V系とAC200V系との両者の商用交流電源入力に対応した正常な動作を得ることは難しい。
そこで、本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成することとした。
つまり、直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、少なくとも、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が誘起される二次巻線として、第1の二次巻線と第2の二次巻線とを巻装して形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されて、スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路を備える。
また、絶縁コンバータトランスの第1の二次巻線に対して並列となる関係により二次側並列共振コンデンサを接続することで、少なくとも、第1の二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側並列共振回路を備える。
また、絶縁コンバータトランスの第2の二次巻線に対して直列となる関係により二次側直列共振コンデンサを接続することで、少なくとも、第2の二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側直列共振回路を備える。
また、第1の二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って得た整流電流を1組の二次側平滑コンデンサ部に対して充電するとともに、第2の二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って得た整流電流を1組の二次側平滑コンデンサ部に対して充電することで、1組の二次側平滑コンデンサ部の両端電圧として二次側直流出力電圧を生成するようにされた二次側直流出力電圧生成手段を備える。
そして、絶縁コンバータトランスは、中間負荷とされる所定の負荷条件範囲においても適正なゼロ電圧スイッチングが得られるようにして、かつ、一次側並列共振回路と二次側並列共振回路とを少なくとも有して形成される電磁結合形共振回路についてスイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対する出力特性が単峰特性となるようにして、疎結合とみなされる所定の一次側と二次側との結合係数を設定し、所定の負荷条件の下で一定以上の電力変換効率が得られるようにして、少なくとも、一次側並列共振回路の共振周波数と、二次側並列共振回路の共振周波数と、二次側直列共振回路の共振周波数を設定することした。
なお、本願発明において「結合係数」とは、電磁的な結合の度合いを示すものであり、数値として1が最も結合の度合が高いことを示し、数値として0が最も結合の度合いが低い(結合していない)ことを示す。
また、ここでの「1組の二次側平滑コンデンサ部」とは、その両端電圧が二次側直流出力電圧となる1以上の平滑コンデンサ素子の組をいう。例えば、倍電圧整流回路などでは、直列接続された複数の平滑コンデンサ素子の両端電圧が二次側直流出力電圧となるので、これらの直列接続された複数の平滑コンデンサ素子が「1組の二次側平滑コンデンサ部」として扱われる。また、複数の平滑コンデンサ素子を並列接続した回路の両端電圧を二次側直流出力電圧とするような場合には、これらの並列接続される複数の平滑コンデンサ素子が「1組の二次側平滑コンデンサ部」となる。
上記構成による電源回路は、電圧共振形コンバータとして、二次側に対して二次側並列共振回路と二次側直列共振回路を備えることになる。そのうえで、絶縁コンバータトランスの結合係数について所定の疎結合の状態を設定することにより、中間負荷とされる負荷条件範囲の下でZVS(Zero Voltage Switching:ゼロ電圧スイッチング)動作が得られなくなる異常動作を解消して、適正なZVS動作を得ている。また、上記構成の電源回路は、一次側と二次側とにそれぞれ二次側並列共振回路を備えることで、コンバータトランスの電磁結合による結合形共振回路を形成することになる。そして、上記のようにして、コンバータトランスについて所定の結合係数による疎結合とすることで、当該結合形共振回路に対する入力であるスイッチング周波数の周波数信号(スイッチング出力)に対する出力特性として、急峻な単峰特性を得ることが可能となる。この結果、二次側直流出力電圧の安定化に要するスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)を縮小することができる。さらに本発明の構成では、二次側並列共振回路と二次側直列共振回路を形成するのにあたり、第1の二次巻線に二次側並列共振コンデンサを接続し、第2の二次巻線に二次側直列共振コンデンサを接続している。つまり、二次側並列共振回路を形成する二次巻線と、二次側直列共振回路を形成する二次巻線とをそれぞれ別個のものとしている。これにより、上記したスイッチング周波数の必要制御範囲は、さらに縮小される
また、電圧共振形コンバータを形成する一次側並列共振回路の共振周波数と、二次側並列共振回路の共振周波数、及び二次側直列共振回路の共振周波数の設定により、所定の負荷条件の下で、一定以上の電力変換効率特性が得られるようにされる。
このようにして本発明は、中間負荷とされる負荷条件範囲の下でZVS(Zero Voltage Switching:ゼロ電圧スイッチング)動作が得られなくなる異常動作が解消され、かつ、定電圧制御に必要なスイッチング周波数の制御範囲が縮小されることで、これまでよりも対応可能な直流入力電圧レベルの範囲が拡大され、例えばワイドレンジ対応化が容易に実現化される。つまり、本発明によっては、広範な直流入力電圧のレベル範囲に対応可能で、かつ、対応すべき負荷変動範囲の全領域にて安定した動作が得られるスイッチング電源回路が実現化される。
さらに本発明によっては、一次側並列共振回路の共振周波数と、二次側並列共振回路の共振周波数と、二次側直列共振回路の共振周波数の設定により、所定の負荷条件の下で一定以上の電力変換効率が得られるようにしている。電圧共振形コンバータは、高い電力変換効率特性を本来有するが、本発明によっては、電圧共振形コンバータを備える電源回路として、より良好な電力変換効率特性を得ることができる。
図1の回路図は、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)として、第1の実施の形態の電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路は、シングルエンド方式による電圧共振形スイッチングコンバータとしての基本構成を採る。
この図に示すスイッチング電源回路においては、まず、商用交流電源ACのラインに対して、図示するようにして、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLが挿入される。これらコモンモードチョークコイルCMC、及びアクロスコンデンサCL,CLにより、商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが形成される。
商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)は、ブリッジ整流回路Diにより整流され、その整流出力は平滑コンデンサCiに充電される。これにより平滑コンデンサCiの両端電圧として整流平滑電圧Eiが得られる。この整流平滑電圧Eiが、後段のスイッチングコンバータのための直流入力電圧となる。
この図において、上記整流平滑電圧Eiを直流入力電圧として入力してスイッチング動作を行うスイッチングコンバータは、例えば1石のスイッチング素子Q1を備えたシングルエンド方式の電圧共振形コンバータとして形成される。この場合のスイッチング素子Q1には高耐圧のMOS−FETが選定されている。また、この場合の電圧共振形コンバータの駆動方式は、発振・ドライブ回路2によりスイッチング素子をスイッチング駆動する他励式である。
スイッチング素子Q1のゲートに対しては、発振・ドライブ回路2から出力されるスイッチング駆動信号(電圧)が印加されるようになっている。
また、スイッチング素子Q1のドレインは、後述する絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の巻始め端部と接続される。一次巻線N1の巻き終わり端部は、平滑コンデンサEiの正極端子と接続される。従って、この場合には、直流入力電圧(Ei)は、一次巻線N1の直列接続を介してスイッチング素子Q1に供給されるようになっている。スイッチング素子Q1のソースは一次側アースに接続される。
この場合のスイッチング素子Q1には、MOS−FETが選定されていることから、図示するようにして、ソース−ドレイン間に対して並列に接続されるようにしてボディダイオードDDを内蔵する。このボディダイオードDDとしては、アノードがスイッチング素子Q1のソースと接続され、カソードがスイッチング素子Q1のドレインと接続される状態を形成する。このボディダイオードDDは、スイッチング素子Q1のオン/オフ動作(スイッチング動作)により生じる、逆方向のスイッチング電流を流す経路を形成する。
そして、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対しては、一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。
一次側並列共振コンデンサCrは、自身のキャパシタンスと絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンスL1とによって、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流に対する一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成する。この一次側並列共振回路が共振動作を行うことによって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として電圧共振形の動作が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン−ソース間電圧)V1としては、そのオフ期間において正弦波状の共振パルス波形が得られる。
発振・ドライブ回路2は、例えば他励式によりスイッチング素子Q1を駆動するために、発振回路と、この発振回路により得られた発振信号に基づいて、MOS−FETをスイッチング駆動するためのゲート電圧であるドライブ信号を生成して、スイッチング素子Q1のゲートに印加するようにされる。これにより、スイッチング素子Q1は、ドライブ信号の周期に応じたスイッチング周波数に従って連続的にオン/オフ動作を行う。つまり、スイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、一次側と二次側とを直流的に絶縁した状態で、一次側スイッチングコンバータのスイッチング出力を二次側に伝送する。
図2は、図1の電源回路が備える絶縁コンバータトランスPITの構造例を示す断面図である。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2(N2A,N2B)を巻装する。本実施の形態では、後述するようにして二次側巻線として二次巻線N2A,N2Bの2組を巻装するものとしているが、これら二次巻線N2A,N2Bについて特に区別することなく、また、一括して扱う場合には、二次巻線N2と記載する場合がある。
このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE型コアの中央磁脚に対しては、図のようにして、例えばギャップ長2mm程度以上のギャップGを形成する。これによって、結合係数kとしては、例えばk≒0.7程度又はそれ以下による疎結合の状態を得るようにしている。つまり、従来技術として図8に示した電源回路の絶縁コンバータトランスPITよりも、さらに疎結合の状態としている。なお、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、前述もしたように、スイッチング素子Q1のドレインと接続されている。これにより、スイッチング素子Q1のスイッチング出力が一次巻線N1に伝達され、一次巻線N1には交番電圧が生じる。
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線N2に発生する。
本実施の形態では、先に述べたように、絶縁コンバータトランスPITに巻装される二次巻線N2として、二次巻線N2A,N2Bが巻装される。
二次巻線N2Aに対しては、並列となる関係により二次側並列共振コンデンサC2を接続する。そして、この二次巻線N2Aの巻始め端部と二次側並列共振コンデンサC2の一方の極端子との接続点を整流ダイオードDo1のアノードと接続し、整流ダイオードDo1のカソードを平滑コンデンサCoの正極端子に対して接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は、二次巻線N2Aの巻き終わり端部と二次側並列共振コンデンサC2の他方の極端子との接続点と二次側アース電位にて接続する。
一方、二次巻線N2Bに対しては、巻き終わり端部側にて直列となる関係により二次側直列共振コンデンサC3の一方の極端子を接続している。二次側直列共振コンデンサC3の他方の極端子は、整流ダイオードDo2のアノードと整流ダイオードDo3のカソードとの接続点に対して接続する。
整流ダイオードDo2のカソードは、上記平滑コンデンサCoの正極端子と接続される。整流ダイオードDo3のアノードは二次巻線N2の巻始め端部及び平滑コンデンサCoの負極端子に対して、二次側アース電位にて接続される。
上記二次側の回路構成では、先ず、二次巻線N2AのリーケージインダクタンスL2Aと二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって、二次側並列共振回路が形成され、二次巻線N2Aに交番電圧が誘起されるのに応じて電圧共振動作を生じる。また、二次巻線N2Aと整流ダイオードDo1及び平滑コンデンサCoとにより半波整流回路(二次側半波整流回路)が形成される。
また、二次巻線N2BのリーケージインダクタンスL2Bと二次側直列共振コンデンサC3のキャパシタンスとによって、二次側直列共振回路が形成され、二次巻線N2Bに交番電圧が誘起されるのに応じて電流共振動作を生じる。また、二次巻線N2Bと整流ダイオードDo2,Do3及び平滑コンデンサCoとにより倍圧全波整流回路(二次側倍圧全波整流回路)が形成される。
二次側半波整流回路は、二次巻線N2Aに誘起される二次巻線電圧V2について、二次巻線N2Aの巻始め端部側が正極性となる半波の期間において整流ダイオードDo1に順方向電圧を印加して整流ダイオードDo1を導通させて二次側整流電流ID1を流し、平滑コンデンサCoに充電する。一方の二次巻線N2Aに誘起される二次巻線電圧V2について、二次巻線N2Aの巻終わり端部側が正極性となる半波の期間においては、整流ダイオードDo1には逆方向電圧が印加されるので、整流ダイオードDo1は導通せず、平滑コンデンサCoに整流電流を充電する動作は生じない。このようにして、二次側半波整流回路においては、二次巻線N2Aに誘起される二次巻線電圧V2について、二次巻線N2Aの巻始め端部側が正極性となる半波の期間においてのみ平滑コンデンサCoを充電する半波整流動作が得られる。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線N2Aの誘起電圧レベルのほぼ等倍に対応するレベルの直流電圧が得られることになる。
また、二次側倍圧半波整流回路は、二次巻線N2Bに誘起される二次巻線電圧について、二次巻線N2Bの巻始め端部側が正極性となる半波の期間において整流ダイオードDo3に順方向電圧を印加して整流ダイオードDo3を導通させることで、整流ダイオードDo3の整流動作により得られる整流電流を二次側直列共振コンデンサC3に充電する。これにより、二次側直列共振コンデンサC3の両端電圧としては、二次巻線N2Bの誘起電圧レベルの等倍に対応するレベルが生じる。
そして、続く二次巻線N2Bに誘起される二次巻線電圧について、二次巻線N2Bの巻終わり端部側が正極性となる半波の期間において、二次巻線N2Bの誘起電圧と二次側直列共振コンデンサC3の両端電圧との重畳電位により整流ダイオードDo2を導通させ、整流ダイオードDo2の整流動作により得られる整流電流を平滑コンデンサCoに対して充電する。このようにして、平滑コンデンサCoへの充電は、二次巻線N2Bの誘起電圧の半波の期間においてのみ行われる。そして、この整流動作によって、平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線N2Bに誘起される交番電圧の2倍に対応するレベルの直流電圧が生成される。つまり、倍電圧半波整流動作が得られている。
ところで、上記説明によると、上記二次側半波整流回路と二次側倍圧半波整流回路は、1つの平滑コンデンサCoを共有した回路形態となっているが、この場合の一次巻線N1と二次巻線N2Aとの極性は加極性となっており、スイッチング素子Q1がオンの期間に対応するとされる二次巻線N2Aの交番電圧の半波の期間において整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに対して二次側整流電流ID1を流す。一方の二次巻線N2Bは一次巻線N1との極性の関係により、スイッチング素子Q1がオフの期間に対応するとされる二次巻線N2Bの交番電圧の半波の期間において整流ダイオードDo2が導通して平滑コンデンサCoに対して二次側整流電流ID2を流す。従って、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2A,N2Bの交番電圧の半波の期間ごとに整流電流ID1、ID2が交互に充電される動作となる。
このようにして、本実施の形態では、半波整流回路(等倍電圧整流回路)と倍電圧半波整流回路とにより共通の平滑コンデンサCoに対して充電を行うようにされている。この平滑コンデンサCoの両端電圧が二次側直流出力電圧Eoとされて、負荷への供給電力となる。
電源回路としては、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは予め定められている。そこで、上記二次側半波整流回路及び二次側倍圧半波整流回路においては、それぞれ、上記二次側直流出力電圧Eoの定格レベルに対応する平滑コンデンサCoの両端電圧を生成できるようにして、二次巻線N2A,N2Bの巻数などを設定するようにされる。
また、本実施の形態では、上記二次側半波整流回路の整流動作とともに、二次側並列共振回路による電圧共振動作が得られることになる。また、二次側倍圧半波整流回路の整流動作とともに、二次側直列共振回路による電流共振動作が得られることになる。このような構成では、二次側半波整流回路は、二次側並列共振回路の共振出力について整流平滑化を行い、二次側倍圧半波整流回路は、二次側直列共振回路の共振出力について整流平滑化を行っているものとしてみることもできる。
制御回路1は、入力された二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1を駆動する。
上記のようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変制御されることにより、電源回路における一次側、二次側の共振インピーダンスが変化し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量、また、二次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動がキャンセルされるようにして、二次側直流出力電圧Eoのレベルを制御する動作が得られることになる。つまり、二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られる。
ここで、上記図1に示した回路形態の電源回路の実際として、要部については、下記のように設定を行って構成している。なお、この電源回路の対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=300W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)としている。
先ず、絶縁コンバータトランスPITは、コアについてEER-35を選定して、ギャップGについては2.2mmのギャップ長を設定した。一次巻線N1及び二次巻線N2A,N2Bの各巻数(ターン数)Tについては、N1=45T、N2A=32T、N2B=23Tを選定した。このような構造に基づいて、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.685が設定される。
なお、上記EERのコアは、よく知られているように、製品としてのコアの型式、規格の1つであり、この型式には、EEのあることも知られている。本願においてEE型という場合には、断面がEE字形状であることに応じて、EER、EEの何れのタイプについてもEE型のコアであるとして扱うものとする。
また、メインスイッチング素子Q1については900V耐圧のものを選定し、整流ダイオードDo1は400V耐圧、整流ダイオードDo2,Do3にはそれぞれ200V耐圧品を選定している。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=3300pFを選定し、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスについてはC2=0.027μFを選定している。また、二次側直列共振コンデンサC3のキャパシタンスについてはC3=0.018μFを選定する。
また、一次側並列共振回路の共振周波数fo1は、上記一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1とにより、fo1=182.8kHzが設定される。また、二次側並列共振回路の共振周波数fo2は、二次巻線N2AのリーケージインダクタンスL2Aと二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとにより、fo2=111.9kHzが設定される。また、二次側直列共振回路の共振周波数fo3は、二次巻線N2BのリーケージインダクタンスL2Bと二次側直列共振コンデンサC3のキャパシタンスとによって、fo3=104.1kHzが設定される。このような共振周波数fo1,fo2,fo3の設定は、共振周波数fo2,fo3に対して共振周波数fo1を高く設定し、共振周波数fo2,fo3については、ほぼ同等としているものとしてみることができる。また、共振周波数fo1と、共振周波数fo2,fo3との相対的な関係としては、共振周波数fo1は、共振周波数fo2,fo3に対して約1.6倍〜1.8倍程度であるものとみることができる。
図3の波形図は、上記構成による図1の電源回路における要部の動作を、スイッチング素子Q1のスイッチング周期により示しており、図3(a)には、最大負荷電力Pomax=300W時におけるスイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線N2A側の二次巻線電圧V2、二次側整流電流ID1,ID2、二次巻線N2Aに流れる二次巻線電流I2が示される。図3(b)には、最小負荷電力Pomin=0W時における、上記各波形が示されている。
スイッチング電圧V1は、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧であり、スイッチング電流IQ1は、ドレイン側からスイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)に流れる電流となる。スイッチング電圧V1及びスイッチング電流IQ1によっては、スイッチング素子Q1のオン/オフタイミングが示される。1スイッチング周期は、スイッチング素子Q1がオンとなるべき期間TONと、オフとなるべき期間TOFFとに分けられ、スイッチング電圧V1は、期間TONにおいては0レベルで、期間TOFFにおいて共振パルスが得られる波形となる。このスイッチング電圧V1の共振パルスは、一次側スイッチングコンバータの動作が電圧共振形であることにより、正弦波状の共振波形として得られる。
スイッチング電流IQ1は、期間TOFFにおいては0レベルであり、この期間TOFFが終了して期間TONが開始されてターンオンタイミングに至ると、先ず、ボディダイオードDDを流れることで負極性の波形となり、続いてドレインからソースに流れることで正極性に反転する波形となる。このようなスイッチング電流IQ1の波形は、適正にZVSが行われていることを示している。
一次巻線電流I1は、一次巻線N1に流れる電流であり、スイッチング電流IQ1に流れる電流成分と一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成したものとなる。一次巻線電流I1における期間TOFFの波形は、一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流波形に対応している。
二次巻線N2Aに交番電圧が誘起されることで、二次巻線電圧V2が正極性で一定以上のレベルとなる半周期の期間ごとに、二次側半波整流回路の整流ダイオードDo1が導通して、この導通期間内に整流電流ID1を流す。これに対応して、二次巻線電圧V2としては、二次巻線N2Aの誘起電圧レベルが二次側直流出力電圧Eo以上のレベルの電圧となって整流ダイオードDo1を導通させている期間に対応しては、二次側直流出力電圧Eoによりクランプされ、整流ダイオードDo1が非導通となる期間は、負極性による所定レベルにてクランプされる波形となる。また、スイッチング素子Q1の期間TON、TOFFの位相関係から、整流電流ID1は、前述もしたようにスイッチング素子Q1のオン期間に対応して流れていることが示されている。つまり、一次巻線N1と二次巻線N2Aが加極性であることが示されている。一方の二次巻線N2B側の倍圧半波整流回路において、整流ダイオードDo2がオンとなって整流電流ID2を平滑コンデンサCoに流す期間は、上記整流電流ID1の非導通期間に対応している。つまり、前述のようにして、二次側半波整流回路による平滑コンデンサCoに対する充電期間と、二次側倍圧半波整流回路による平滑コンデンサCoに対する充電期間とは、二次巻線N2A,N2Bに誘起される交番電圧の半波の期間ごとに交互に行われることが、この図の整流電流ID1,ID2により示されている。
なお、最小負荷電力Pomin=0W時においては、二次側直流出力電圧Eoの負荷電流が0レベルとなるのに応じて、整流ダイオードDo1,Do2の導通期間内にあっても整流電流ID1,ID2は0レベルとなる。
二次巻線電流I2は、整流電流ID1と、二次側並列共振コンデンサC2に流れる電流とが合成された波形として得られる。
上記した各部の動作をふまえて、図3(a)に示される最大負荷電力Pomax=200W時と、図3(b)に示される最小負荷電力Pomin=0W時の波形を比較してみると、一次側スイッチングコンバータの動作としては、無負荷の傾向となっていくのに従って、1スイッチング周期(TOFF+TON)の期間長は短くなっている、つまり、スイッチング周波数fsが高くなっている。このことは、安定化動作として、先に説明した、負荷変動に応じてスイッチング周波数fsが可変されるスイッチング周波数制御の動作が得られていることを示す。また、図3(a)(b)とで期間TOFFはほぼ同等であることは、スイッチング周波数を可変するのにあたり、期間TOFFはほぼ一定で、期間TONを可変するようにしていることを示している。
図4は、図1に示した電源回路についての実験結果として、交流入力電圧VAC=100V時における、負荷変動に対するAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)、スイッチング周波数fs、及びスイッチング素子Q1がオンとなる期間TON、オフとなる期間TOFFの時間長の変化特性を示している。
これらの図によれば、先ず、スイッチング周波数fsは、上記もしているように、軽負荷の傾向となるのに応じて高くなっていく傾向で変化している。また、ここでは図示していないが、交流入力電圧VACが上昇するのに応じて高くなっていく傾向で変化している。このことは、定電圧制御動作が、軽負荷傾向及び交流入力電圧の上昇傾向に応じて二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じて、スイッチング周波数fsを高く制御する動作であることを示している。
また、期間TONの時間長は、軽負荷の傾向となっていくのに応じて短縮する特性となっている。また、期間TONは、交流入力電圧が上昇するのに応じて短縮する特性となる。これに対して、期間TOFFは、負荷変動に対してほぼ一定となる特性が示される。なお、期間TOFFは、交流入力電圧変動に対してもほぼ一定である。このことは、定電圧制御動作として、期間TOFFは固定としたうえで、負荷変動に応じて期間TONを可変することでスイッチング周波数を可変する動作であることを示している。
上記スイッチング周波数fsの具体値としては、交流入力電圧VAC=100V時では、最大負荷電力Pomax=300W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=104.2kHz〜129.9kHzで、Δfs=25.7kHzとなり、このスイッチング周波数の変化に対応する期間TON、TOFFの変化幅(ΔTON、ΔTOFF)は、ΔTON=1.8μs、ΔTOFF=0.1μsとなる。このΔTOFFの値は、ほぼ一定とみてよい値である。
また、交流入力電圧VAC=230V時では、最大負荷電力Pomax=300W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=165.5kHz〜178.5kHzで、Δfs=13.0kHzとなり、このスイッチング周波数の変化に対応するTON、ΔTOFFは、それぞれΔTON=1.2μs、ΔTOFF=0.2μsとなる。このΔTOFFの値も、ほぼ一定とみてよい値である。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)は、重負荷の傾向となるのに従って増加し、また、交流入力電圧VACが高くなるのに応じて増加する傾向となっている。
最大負荷電力Pomax=300W時のAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)として、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=92.5%、交流入力電圧VAC=230V時ではηAC→DC=91.9%であり、両者の交流入力電圧VACの条件において、最大負荷電力Pomax=300Wから負荷電力Po=50W程度までの広範な領域で90%以上のAC→DC電力変換効率値が維持されるという結果が得られた。
ここで、従来から知られている電源回路の一構成例として、図1の電源回路から、二次巻線N2Bと、この二次巻線N2Bと接続される倍圧半波整流回路、及び二次側直列共振コンデンサC3を省略して、二次側としては一組の二次巻線N2と並列共振コンデンサC2から成る二次側並列共振回路と、半波整流回路を備える回路形態としたうえで、絶縁コンバータトランスPITについては、従来例として図8に示したのと同等の結合係数k=0.80〜0.85程度を設定した構成(従来一次側電圧共振−二次側電圧共振電源)を想定してみる。
このような従来一次側電圧共振−二次側電圧共振電源の定電圧制御特性としては、例えば交流入力電圧VAC=100Vの入力で、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの変動に対して、スイッチング周波数fsは100kHz程度から200kHz程度の変動となり、必要制御範囲Δfsとしても100kHz程度となる。
これに対して、図1の電源回路では、交流入力電圧VAC=100Vの入力で、最大負荷電力Pomax=300W〜最小負荷電力Pomin=0Wの変動に対して、fs=104.2kHz〜129.9kHzで、Δfs=25.7kHzとなっており、上記した従来一次側電圧共振−二次側電圧共振電源の特性と比較して大幅に必要制御範囲が短縮されていることが分かる。さらに図1の電源回路では、交流入力電圧VAC=230Vの入力で、最大負荷電力Pomax=300W〜最小負荷電力Pomin=0Wの変動に対して、fs=165.5kHz〜178.5kHzで、Δfs=13.0kHzとなっており、この条件においても、必要制御範囲は、上記従来一次側電圧共振−二次側電圧共振電源の特性と比較して大幅な短縮が図られている。
このような図1の電源回路のスイッチング周波数fsの特性は、最大負荷電力Pomax=300W〜最小負荷電力Pomin=0Wの対応負荷電力の条件で、AC100V系〜AC200V系の範囲(例えばVAC=85V〜264V)の商用交流電源入力に対応して安定化が可能な、いわゆるワイドレンジ対応が実現化されていることを示している。以下、この点について説明する。
先ず、図1に示す電源回路は、二次側共振回路として、二次巻線N2A側の二次側並列共振回路と、二次巻線N2B側の二次側直列共振回路の両者を備える電圧共振形コンバータの基本構成を採っている。この構成におけるワイドレンジ対応化への寄与は、一次側並列共振回路と二次側並列共振回路との組み合わせが支配的となる。
図1の電源回路の構成として、上記した一次側並列共振回路と、二次巻線N2A側の二次側並列共振回路との組み合わせに着目すると、図1に示す電源回路は、絶縁コンバータトランスPITの電磁誘導を介して一次側と二次側にそれぞれ並列共振回路を備えている、といえる。このような構成を、一次側並列共振回路と二次側共振回路との関係によりみれば、スイッチング周波数fsに対応する周波数信号が入力される、電磁結合による結合形共振回路を形成しているものとして等価的にみることができる。
このようにして電磁結合形共振回路を含むとされる、図1の電源回路の二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性は、絶縁コンバータトランスPITの結合度(結合係数k)に応じて異なるものとなる。この点について図5を参照して説明する。
図5は、上記した電磁結合形共振回路についての、入力(スイッチング周波数信号)に対する出力特性を示している。つまり、二次側直流出力電圧Eoについての制御特性をスイッチング周波数fsとの関係により示している。この図では、スイッチング周波数を横軸にとり、二次側直流出力電圧Eoのレベルを縦軸にとっている。なお、この図5の説明にあたっては、図1の回路において実際に備えられる二次巻線N2Bについては、便宜上省略したものと考え、図1の回路における二次巻線N2Aを、ここでは二次巻線N2として扱うものとする。
図1にて説明したように、本実施の形態としては、一次側並列共振回路の共振周波数fo1は、二次側並列共振回路の共振周波数fo2の約1.5倍程度となるように設定されているので、共振周波数fo1と共振周波数fo2とでは、共振周波数fo1のほうが高い周波数となる。図5においてスイッチング周波数fsを示す横軸に対しては、共振周波数fo1,fo2を対応させて示しているが、この図5においても、上記共振周波数fo1,fo2の関係に対応させて、共振周波数fo1のほうが共振周波数fo2よりも高くなるものとして示している。
ここで、絶縁コンバータトランスPITの結合度について、結合係数k=1となる密結合とされる状態を設定したとする。すると、この場合の一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1、及び二次巻線N2(N2A)のリーケージインダクタンスL2(L2A)は、それぞれ、0であることになる。
このようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側とが密結合とされる状態での定電圧制御特性としては、図5の特性曲線1として示すように、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と二次側並列共振回路の共振周波数fo2とは異なる周波数f1、f2において二次側直流出力電圧Eoがピークとなる、いわゆる双峰特性となる。
ここで、周波数f1は、
Figure 2006288149
で表され、
周波数f2は、
Figure 2006288149
で表される。
また、上記(数1)(数2)における項の1つであるfoは、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と、二次側並列共振回路の共振周波数fo2との中間に存在する中間共振周波数であり、1次側のインピーダンスと2次側のインピーダンスと、一次側と二次側とで共通となるインピーダンス(相互結合インダクタンスM)により決定される周波数である。
なお、相互結合インダクタンスMについては、
Figure 2006288149
により表される。
また、上記した結合係数kについて、k=1の状態から徐々に小さくしていったとする、つまり、密結合の状態から徐々に疎結合の度合いを高くしていったとすると、図5に示される特性曲線1は、双峰の傾向が徐々に希薄となって、中間共振周波数fo近傍で平坦化していくような変化を示す。そして、ある結合係数kにまで低下した段階で、いわゆる臨界結合の状態となる。この臨界結合の状態では、特性曲線2として示すようにして、双峰特性としての傾向ではなくなっており、中間共振周波数foを中心として曲線形状が平坦となる特性となる。
そして、さらに、上記臨界結合の状態から結合係数kを小さくしていって、疎結合の状態を強めていったとすると、図5の特性曲線3として示すように、中間周波数foにおいてのみピークとなる単峰特性が得られる。また、この特性曲線3と、特性曲線1,2とを比較してみると、特性曲線3は、ピークレベルそのものは特性曲線1,2より低下するものの、その二次関数的な曲線形状として、より急峻な傾斜を有していることが分かる。
本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITは、結合係数k≒0.7程度以下とされる疎結合の状態が設定されている。この結合係数kの設定では、上記特性曲線3として示される単峰特性による動作となる。
先に説明した従来一次側電圧共振−二次側電圧共振電源の定電圧制御特性の実際は、上記図5に示す単峰特性に対して、二次関数的には相当に緩やかな傾斜となる。
このようにして従来一次側電圧共振−二次側電圧共振電源の特性が曲線的に緩やかである結果、二次側直流出力電圧Eoについて定電圧制御を行うためのスイッチング周波数の必要制御範囲は、例えば交流入力電圧VAC=100Vの入力による単レンジ対応の条件下であっても、スイッチング周波数fsは、100kHzから200kHz程度の範囲で変動し、Δfsも100kHz程度となる。
このため、従来一次側電圧共振−二次側電圧共振電源は、スイッチング周波数制御による定電圧制御のみによって、ワイドレンジ対応とすることは非常に困難とされていた。
これに対して、本実施の形態の定電圧制御特性としては、上記図5の特性曲線3により示される単峰特性であることで、定電圧制御動作としては、図6に示すものとなる。
図6においては、図1に示す本実施の形態の電源回路についての、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線A,Bと、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線C,Dとの、4つの特性曲線が示されている。
この図6から分かるように、先ず、AC100V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=100V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs1で示されることになる。つまり、特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Bにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
また、AC200V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=230V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs2で示される。つまり、特性曲線Cにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Dにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
前述したように、本実施の形態における二次側直流出力電圧Eoの制御特性である単峰特性は、先に図5に示した制御特性と比較して、二次関数曲線的に相当に急峻である。
このために、上記した交流入力電圧VAC=100V時、VAC=230V時の各必要制御範囲となるΔfs1、Δfs2は、図6に示されるΔfsと比較して相当に縮小されたものとなる。
また、これにより、Δfs1における最低スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)から、Δfs2における最高スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)までの周波数可変範囲(ΔfsA)としても、相応に狭いものとなる。
確認のために、図1の電源回路において測定されたΔfs1、Δfs2、ΔfsAの実際は、それぞれ、
Δfs1=25.7kHz(=129.9kHz−104.2kHz)
Δfs2=13.0kHz(=178.5kHz−165.5kHz)
ΔfsA=74.3kHz(=178.5kHz−104.2kHz)
となる。
そして、上記周波数可変範囲ΔfsAとしては、現状におけるスイッチング駆動用IC(発振・ドライブ回路2)が対応するスイッチング周波数の可変範囲内に充分に収まるものとなっている。つまり、図1に示す電源回路では、スイッチング周波数について、現実に、周波数可変範囲ΔfsAで可変制御することが可能とされている。
このようにして、図1に示す本実施の形態の電源回路は、AC100V系とAC200V系の何れの商用交流電源入力にも対応して、適正にメイン直流電源である二次側直流出力電圧Eoを安定化可能とされている。つまり、スイッチング周波数制御のみによって、ワイドレンジ対応を可能としている。
ちなみに、電磁結合による結合形共振回路は、例えば中間周波トランス増幅器などのようにして、通信技術において、トランジスタによる増幅回路の増幅帯域幅を拡大するための手法として既に知られてはいる。しかしながら、このような分野では、密結合での双峰特性、或いは臨界結合での平担特性を用いているものであり、疎結合での単峰特性は用いられてはいない。本実施の形態では、このような電磁結合による結合形共振回路の技術において、通信技術の分野では採用されていなかった疎結合での単峰特性を、共振形スイッチングコンバータの分野において積極的に用いている、ということがいえる。これにより、上記のようにして、二次側直流出力電圧Eoを安定化するために必要なスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)を縮小し、スイッチング周波数制御での定電圧制御のみによるワイドレンジ対応を可能としているものである。
本実施の形態の他に、共振形コンバータを備えたスイッチング電源回路として、ワイドレンジ対応を実現する構成としては、例えばAC100V系/200V系の商用交流電源入力に応じて、一次側スイッチングコンバータの構成をハーフブリッジ/フルブリッジで切り換える構成を採ることが知られている。あるいは、商用交流電源ACについての整流動作を行う整流回路の動作を、AC100V系/200V系の商用交流電源入力に応じて、全波整流/倍電圧整流で切り換える構成とすることが知られている。
しかしながら、AC100V系とAC200V系とに応じて、上記のようにして回路構成の切り換えを行う場合には、以下のような問題点が生じる。
例えば、このような商用交流電源レベルに応じた切り換えには、入力電圧についての閾値(例えば150V)を設定し、これを上回った場合はAC200V系、下回った場合はAC100V系に対応した回路切換を行うようにされるが、単純にこのような切り換えのみを行っていたのでは、例えばAC200V系の入力時の瞬間停電等による一時的な交流入力電圧の低下に対しても、AC100系に対応した切り換えが行われてしまうおそれがある。整流動作を切り換えるようにしたワイドレンジ対応の構成を例に挙げれば、AC200V系の入力であるにも関わらず、AC100V系であるとして倍電圧整流回路に切り換えられてしまい、これによってスイッチング素子などが耐圧オーバーとなって破壊される可能性がある。
そこで、実際には、上記のような誤動作が生じないようにするために、メインとなるスイッチングコンバータの直流入力電圧だけではなく、スタンバイ電源側のコンバータ回路の直流入力電圧も検出する構成を採るようにされる。
しかしながら、このようにしてスタンバイ電源側のコンバータ回路を検出するということは、基準電圧と入力電圧との比較を行うための例えばコンパレータIC等を実装することになるが、これにより部品点数が増加して、回路製造コストの増加、及び回路基板サイズの大型化が助長されてしまうことになる。
また、このように誤動作防止を目的としてスタンバイ電源側のコンバータの直流入力電圧を検出するということは、メイン電源の他にスタンバイ電源を備える電子機器でなければ、実際に使用することができないということになる。つまり、電源を実装可能な電子機器の種類が、スタンバイ電源を備えたものに限定されるわけであり、それだけ利用範囲が狭くなっているという問題も生じる。
また、ハーフブリッジ/フルブリッジの切り換えを行う構成では、フルブリッジ構成を可能とするためにスイッチング素子を少なくとも4つ備える必要がある。つまり、切り換えが不要であればハーフブリッジでよく、スイッチング素子が2つで済むものを、この場合はさらに2つ追加しなくてはならない。
また、整流動作の切換を行う構成としても、倍電圧整流動作を得るために平滑コンデンサCiを2本備えるようにしなければならない。つまり全波整流のみとする構成と比較して、平滑コンデンサCiを1本追加しなければならなくなる。
これらの点でも、上記したような回路切換を伴うワイドレンジ対応の構成では、回路製造コストの増加、及び電源回路基板の大型化を招く。特に、整流動作切り換えの構成において、平滑コンデンサCi等は電源回路を構成する部品のうちでも大型の部類に入ることから、このような基板サイズの大型化はさらに助長される。
また、先に説明したようにしてスイッチング周波数の制御範囲が広範となることによるもう1つの問題点としては、二次側直流出力電圧Eoについての安定化の高速応答特性が低下してしまうということが挙げられる。
特に近年の電子機器では、例えば各種駆動部のオン/オフ等に応じて負荷電力が最大負荷と無負荷とで瞬時的に変化する、いわゆるスイッチング負荷といわれる負荷条件となることがある。これに応じて電源回路側としても、このように高速且つ広範に変動する負荷電力に応じて、二次側直流出力電圧Eoの定電圧制御を行う必要がある。
しかしながら、上述のようにスイッチング周波数制御範囲が広範であると、最大値と最小値とで変化する負荷に対応して定電圧制御に必要なスイッチング周波数へと変化させるまでに、その分多くの時間を要してしまうことになる。つまり、定電圧制御の応答性が鈍くなる。
これに対して、本実施の形態のようにしてスイッチング周波数制御のみによるワイドレンジ対応化が実現されるのであれば、先に説明したような、商用交流電源の定格レベルに応じて、直流入力電圧(Ei)を生成するための整流回路系について整流動作を切り換えたり、あるいは、ハーフブリッジ結合方式とフルブリッジ結合方式との間でスイッチングコンバータの形式を切り換える構成を採る必要はなくなる。
そして、このような回路切り換えのための構成が不要となれば、例えば平滑コンデンサCiは1つのみとすることができ、またスイッチング素子としては少なくともハーフブリッジ結合に必要な2つのみとすることが可能となって、その分回路構成部品の削減、回路規模の縮小、及びスイッチングノイズの低減などが図られる。
また、回路切換の構成が不要となれば、切り換えによる誤動作防止のために特別な構成を備えるような必要もなくなり、この点でも構成部品の増加とコストアップの抑制が図られる。さらには、誤動作防止のためにスタンバイ電源を必須としないので、電源回路が使用可能な機器範囲を広げることができる。
また、このような実施の形態としての効果を得るのにあたって、一次側にのみ並列共振回路を備えるこれまでの電圧共振形コンバータの構成に対して追加すべき必要最小限の部品は、二次側並列共振コンデンサの1点のみである。つまり、従来の回路切換方式による構成を採る場合よりもはるかに少ない部品追加で、ワイドレンジ対応を実現することができる。
また、上記のようにして、AC100V系とAC200V系の各商用交流電源入力の条件の下で、定電圧制御のためのスイッチング周波数fsの必要制御範囲(Δfs)が縮小されることによっては、定電圧制御の応答性、制御感度も大幅に改善されることになる。
電子機器においては、負荷電力Poについて、いわゆるスイッチング負荷といわれる、最大負荷と無負荷との間で比較的高速にスイッチングする(切り替わる)ようにして変動させるような動作を行うものがある。このようなスイッチング負荷としての動作を行う機器として、例えば、パーソナルコンピュータの周辺機器であるプリンタや、プラズマディスプレイ装置などを挙げることができる。
このようなスイッチング負荷としての動作が行われる機器に対して、例えば図9に示したような必要制御範囲Δfsが比較的広範な電源回路を搭載した場合には、前述もしたように、急峻な負荷電力の変化に追随して相応に多くの変化量によるスイッチング周波数fsの可変制御を行うことになる。このために、高速な定電圧制御の応答性を得ることが困難とされていた。
これに対して、本実施の形態では、特に単レンジごとの領域で必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されていることから、負荷電力Poの最大と無負荷とでの急峻な変動に対して、高速に応答して二次側直流電圧Eoを安定化することが可能である。つまり、スイッチング負荷に対する定電圧制御の応答性能としては大幅に向上している。
また、先に図4に示した図1の電源回路の電力変換効率特性をみると、例えば図10に示した従来の電源回路の特性よりも良好であるととらえてよい特性となっている。さらに、図8に示した従来の電源回路は、例えばAC100V系の単レンジ対応に限定されるのに対して、図1に示す電源回路はワイドレンジ対応であり、交流入力電圧VAC=230V/最大負荷電力Pomax=300W時において、ηAC→DC=91.9%となっている。さらに、図8に示した従来の電源回路が対応する最大負荷電力が200Wであるのに対して、図1の電源回路の最大負荷電力は300Wにまで引き上げられている。
このことから、本実施の形態の電源回路と、従来の電源回路とを同じ負荷条件で動作させたとすれば、本実施の形態の電源回路のほうが相当に良好な電力変換効率特性であることになる。
本実施の形態において、上記のように電力変換効率の向上が図られることの理由としては、先ず、二次側に対して直列共振回路を形成していることが基礎的な要因として挙げられる。
図1の電源回路は、シングルエンド方式の電圧共振形コンバータとして、二次側並列共振回路と二次側直列共振回路とを備えるが、電圧共振形コンバータとして、一次側並列共振回路に対して二次側直列共振回路を組み合わせた構成は、電力変換効率に関しては特に有利であることを先に本願の発明者が試験等により確認している。例えば、二次側直列共振回路を備えることで、二次側直列共振回路の共振動作により得られるエネルギーの増加分を含めて二次側直流出力電圧Eoとしての電力を供給することが可能となり、その分、一次側から二次側に伝送すべき電力量を低減することが可能になる、これにより、一次側における電力損失が低減されるることとなって、高い電力変換効率が得られる。
また、二次側直列共振回路を備える電圧共振形コンバータの構成は、最大負荷電力から軽負荷の傾向となるのにしたがって、電力変換効率が増加していくという傾向の特性を有している。図1に示す本実施の形態の電源回路も、図4に示されるように、二次側直列共振回路を備えることでその特性を引き継いでおり、例えば最大負荷電力Pomax=300から負荷電力Po=150W程度までの領域範囲において同様の特性の傾向となっている。このような特性が、負荷変動に対する電力変換効率特性を良好なものとしている。
そのうえで、本実施の形態における電力変換効率の向上は、各共振周波数の設定も関係している。
つまり、本実施の形態の電力変換効率特性(ηAC→DC)としては、上記もしているように負荷電力Po=300W〜50Wまでの負荷変動範囲に対し、ηAC→DC=90%以上が得られているが、このような負荷条件に対する電力変換効率特性は、最終的には、共振周波数fo1,fo2,fo3の調整により得られたものである。つまり、共振周波数fo1,fo2,fo3について各種設定を行って実験を行い、最終的に前述した共振周波数fo1,fo2,fo3の各具体値を設定したことで、最終的に得られた特性である。
そして、このような共振周波数の設定による電力変換効率の向上は、先の図3に示したスイッチング電流IQ1の波形によっても示されている。
つまり、実施の形態に対応する図3(a)と、従来に対応する図9(a)のスイッチング電流IQ1を比較してみると、先ず、図9(a)では、スイッチング素子Q1のオン期間TONが終了するまで上昇傾向を維持して、期間TONが終了する時点でピークレベルとなる波形である。これに対し、図3では、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFに至る以前のタイミングで既にピークレベルとなって、以降、オフ期間TOFFに至るまで、そのピークレベルを維持するような平坦な波形となっている。
このようなスイッチング電流IQ1の波形は、二次巻線電流I2の波形が影響している。つまり、スイッチング電流IQ1は、並列共振回路と直列共振回路とが組み合わされた二次側の共振回路に流れる電流に応じた波形成分を持つことになる。二次巻線電流I2の波形は、共振周波数fo1に対する共振周波数fo2、共振周波数fo3の設定によって決まる。
このことから、図3(a)に示されるスイッチング電流IQ1の波形は、一次側並列共振回路と二次並列共振回路と二次側直列共振回路の各共振周波数fo1,fo2,fo3の然るべき設定により得られているものである、ということになる。
この図3(a)のスイッチング電流IQ1の波形は、ターンオフ時におけるスイッチング電流IQ1のレベルが抑制されているということを意味する。ターンオフ時のスイッチング電流IQ1のレベルが抑制されれば、その分、ターンオフ時のスイッチング損失、導通損は低減されることになる。
なお、スイッチング電流IQ1のピークレベルは、図3(a)では5.2Ap、図9(a)では4Apとなっており、図9(a)のほうがレベルは小さい。しかしながら、この差は、最大負荷電力の条件が図3(a)では300W、図9(a)では200Wで異なることに対応している。同一の負荷条件であれば、本実施の形態のほうが、スイッチング電流IQ1についてターンオフ時以前にピークとなる動作が得られることで、スイッチング損失や導通損は低減される。
このようして、スイッチング素子のスイッチング損失、導通損について低減が図られることが、本実施の形態の電源回路について高電力変換効率特性が得られていることの1つの要因となっている。
ここで、これまで説明したように、本実施の形態の電源回路において良好な電力変換効率を得るための基本構成は、二次側に対して直列共振回路を備える電圧共振形コンバータとしての構成となる。しかしながら、従来の問題として説明したように、図8に示した電源回路のようにして、従来からのシングルエンド方式の電圧共振形コンバータに対して、単に二次側直列共振回路を備える構成とした場合には、中間負荷時に異常動作が生じる。つまり、図9により説明したように、中間負荷時において、スイッチング素子Q1のオフ期間(TOFF)が終了しないうちにスイッチング素子Q1に正極方向(この場合はドレイン→ソース方向)に電流が流れてZVSの動作が得られなくなる。このために実用化は困難とされていた。
上記のような中間負荷時の異常動作は、電圧共振形コンバータを形成する一次側並列共振回路と、二次側直列共振回路とが同時に動作することによる相互作用が原因となっている。
本実施の形態では、先に図2に示した構造により、絶縁コンバータトランスPITのギャップGの拡大を図り、これによって一次側と二次側との結合係数kを従来よりも低い所定以下に設定するものとしている。これにより、一次側並列共振回路と二次側並列共振回路の関係としては、急峻な単峰特性による電磁結合による結合形共振回路を形成することになる。これによりワイドレンジ対応化が図られている。
一方、このような結合係数kの設定について、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路との関係からみた場合には、結合の度合いがより弱められたたことで、上記した一次側並列共振回路と二次側直列共振回路と相互作用について希薄化していくはたらきを持つものである、ということがいえる。これにより、例えば、スイッチング電流IQ1の動作としては、スイッチング素子Q1のターンオン時のノイズ的な電流の発生がなくなり、通常のZVS動作に対応する波形が得られることになる。また、これに伴って、異常発振動作も解消される。つまり、対応負荷電力の全領域において、ZVS動作が維持された安定したスイッチング動作が保証される。
また、上記のようにして中間負荷時における異常動作が解消されることも電力変換効率の向上要因としてみることができる。異常動作の現象としては、図9(b)に示したように、ターンオン(期間TON開始)より以前のタイミングでスイッチング素子Q1がONとなって、正極性のスイッチング電流IQ1がソース−ドレイン間を流れる動作となるのであるが、このようなスイッチング電流IQ1の動作によっては、スイッチング損失を増加させる。本実施の形態では、異常動作に対応するスイッチング電流IQ1の動作が生じないことで、これによるスイッチング損失の増加が無くなる。
これまでの説明から、図1に示した本実施の形態は、一次側並列共振回路に対して二次側直列共振回路を組み合わせた構成を、実用化可能なものとして実現している、ということがいえる。
また、上記したことから、本実施の形態において、絶縁コンバータトランスPITを一定以上の疎結合とすることは、スイッチング周波数制御のみによるワイドレンジ対応化を図ることと、対応負荷電力の全領域においてZVS動作を確保することの両者を目的として行われるものである、ということがいえる。
なお、本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITが有する結合係数k(≒0.7)にまで疎結合の状態とすることは、従来の電圧共振形コンバータでは、一次側から二次側への電力伝送ロスの増加による電力変換効率の低下を招くということを理由に、これまで行われてこなかったという背景がある。しかしながら、本実施の形態の電源回路は、図4にも示しているように、対応負荷電力のほぼ全領域にわたって非常に良好な電力変換効率特性を得ているものであり、その理由、根拠については、これまでに述べたとおりである。
また、図1に示す本実施の形態の電源回路では、二次側巻線として二次巻線N2A,N2Bの2組を巻装することとして、二次巻線N2Aに対して二次側並列共振コンデンサC2を接続することで二次側並列共振回路を形成している。二次巻線N2Bに対して二次側直列共振コンデンサC3を接続することで二次側直列共振回路を形成している。つまり、本実施の形態では、二次側並列共振回路と二次側直列共振回路とを、それぞれ異なる二次側巻線のリーケージインダクタンスを用いて形成している。
このような本実施の形態の二次側の構成とは別に、二次側において二次側並列共振回路及び二次側直列共振回路を備えるための回路形態としては、例えば、共通の二次側巻線に対して、二次側並列共振コンデンサを並列接続し、二次側直列共振コンデンサを直列接続するというものが考えられる。このような二次側の回路形態であっても、本実施の形態と同様にして、ワイドレンジ対応が図られ、中間負荷時における異常動作も解消されることが本願発明者の実験により確認されている。
しかしながら、本実施の形態では、上記したように二次側並列共振回路と二次側直列共振回路とで二次側巻線を共有する回路形態とするのではなく、二次側並列共振回路と二次側直列共振回路を形成する二次巻線は、それぞれ別個とされている。そのうえで、二次側並列共振回路の共振周波数fo2と、二次側直列共振回路の共振周波数fo3とについて、先に説明したように、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に対して、1.3倍〜1.5倍程度としたうえで、ほぼ同等の周波数値を設定した。このような構成を採った結果、図1に示す電源回路についてのΔfs1、Δfs2、及びΔfsAは、二次側並列共振回路と二次側直列共振回路とで二次側巻線を共有する回路形態よりも大幅に縮小されることが、実験結果の比較として確認されている。
本実施の形態では、このようにしてスイッチング周波数の制御範囲について、これまでよりも大幅に短縮されているものであり、このことが、対応可能な最大負荷電力Pomaxについて300Wにまで引き上げ可能になったことの大きな要因となっている。つまり、本実施の形態の二次側の回路形態は、重負荷条件への対応に好適とされる。
図7の回路図は、第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路においても、二次巻線N2Aに対して二次側並列共振コンデンサC2を並列接続することで二次側並列共振回路を形成し、二次巻線N2Bに対して二次側直列共振コンデンサC3を直列接続することで二次側直列共振回路を形成している。この点は、図1の回路と同様である。
また、この第2の実施の形態における一次側並列共振回路の共振周波数fo1と、二次側並列共振回路の共振周波数fo2と、二次側直列共振回路の共振周波数fo3については、例えば図1の電源回路と同等の作用効果が得られるようにして、各周波数値を設定するようにされる。
第2の実施の形態では、二次側整流回路として、整流ダイオードDo1,Do2,Do3,Do4からなるブリッジ整流回路と平滑コンデンサCoとを備える1組のブリッジ整流回路のみが備えられる。
この場合、二次巻線N2Aの巻終わり端部と二次側並列共振コンデンサC2との接続点は、二次側ブリッジ整流回路の正極入力端子である整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードとの接続点と接続される。また、二次巻線N2Bの巻始め端部も、二次側直列共振コンデンサC3の直列接続を介して、同じく二次側ブリッジ整流回路の正極入力端子に対して接続される。
また、二次側ブリッジ整流回路の負極入力端子である整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードの接続点に対しては、二次巻線N2Aの巻終わり端部と二次側並列共振コンデンサC2との接続点が接続され、さらに、二次巻線N2Bの巻始め端部が接続される。
ブリッジ整流回路の正極出力端子とされる整流ダイオードDo1,Do3の各カソードの接続点は平滑コンデンサCoの正極端子と接続される。また、ブリッジ整流回路の負極出力端子とされる整流ダイオードDo2,Do4の各アノードの接続点は、二次側アース電位にて、平滑コンデンサCoの負極端子と接続される。
このような二次側の回路形態では、二次側並列共振回路の共振出力を入力して整流動作を行う整流回路と、二次側直列共振回路の共振出力を入力して整流動作を行う整流回路とが、同じ二次側ブリッジ整流回路で共通化された構成を採ることになる。そして、この場合の二次側における整流動作は次のようになる。
先ず、二次巻線N2Aに誘起される交番電圧V2と二次巻線N2Bに誘起される交番電圧V3について、巻き終わり端部側が正極性となる半波の期間においては、二次巻線N2A→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo4→二次巻線N2Aによる整流電流経路が形成されるようにして平滑コンデンサCoに対する充電が行われる。また、これとともに、二次巻線N2B→二次側直列共振コンデンサC3→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo4→二次巻線N2Bによる整流電流経路が形成されるようにして平滑コンデンサCoに対する充電が行われる。
また、二次巻線N2Aに誘起される交番電圧V2と二次巻線N2Bに誘起される交番電圧V3について、巻き始め端部側が正極性となる半波の期間においては、二次巻線N2A→整流ダイオードDo3→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo2→二次巻線N2Aによる整流電流経路が形成されるようにして平滑コンデンサCoに対する充電が行われる。また、これとともに、二次巻線N2B→二次側直列共振コンデンサC3→整流ダイオードDo3→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo2→二次巻線N2Bによる整流電流経路が形成されるようにして平滑コンデンサCoに対する充電が行われる。
このような整流動作によって平滑コンデンサCoの両端電圧が生成され、二次側直流電圧Eoとして得られることになる。
上記した二次側の構成は、二次側並列共振回路に対応する二次巻線N2Aと、二次側直列共振回路に対応する二次巻線N2Bが、二次側ブリッジ整流回路の入力に対して並列に接続されているものとしてみることができる。
なお、本発明としては、上記各実施の形態として示した構成に限定されるものではない。例えば、一次側電圧共振形コンバータの細部の回路形態や、二次側の回路形態の構成などは他にも考えられる。特に、二次側の構成に関すれば、二次側並列共振回路を形成するために二次側並列共振コンデンサが接続される二次巻線(第1の二次巻線)と、二次側直列共振回路を形成するために二次側直列共振コンデンサが接続される二次巻線(第2の二次巻線N2)とがそれぞれ異なる巻線として巻装される構成であれば、二次側整流回路などの二次側の回路形態は適宜変更されてよい。
また、スイッチング素子については、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなど、MOS−FET以外の素子を選定することも考えられる。また、上記各実施の形態では、他励式のスイッチングコンバータを挙げているが、自励式として構成した場合にも本発明は適用できる。
本発明の第1の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 実施の形態の電源回路に備えられる絶縁コンバータトランスの構造例を示す図である。 第1の実施の形態の電源回路の要部の動作をスイッチング周期により示す波形図である。 第1の実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対するAC→DC電力変換効率、スイッチング周波数、スイッチング素子のオン期間及びオフ期間の変動特性を示す図である。 実施の形態の電源回路についての定電圧制御特性を示す図である。 実施の形態の電源回路の定電圧制御動作として、交流入力電圧条件及び負荷変動に応じたスイッチング周波数制御範囲(必要制御範囲)を示す図である。 本発明の第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 従来例としての電源回路の構成例を示す回路図である。 図8に示した電源回路の要部の動作を示す波形図である。 図8に示した電源回路についての、負荷変動に対するAC→DC電力変換効率、スイッチング周波数、スイッチング素子のオン期間の変動特性を示す図である。 従来の電源回路についての定電圧制御特性を概念的に示す図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、Q1 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、Cr 一次側並列共振コンデンサ、N1 一次巻線、N2A,N2B 二次巻線、C2 二次側並列共振コンデンサ、C3 二次側直列共振コンデンサ、Do1,Do2,Do3,Do4 整流ダイオード、Co (二次側)平滑コンデンサ

Claims (3)

  1. 直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    少なくとも、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、該一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が誘起される二次巻線として、第1の二次巻線と第2の二次巻線とを巻装して形成される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されて、上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路と、
    上記絶縁コンバータトランスの第1の二次巻線に対して並列となる関係により二次側並列共振コンデンサを接続することで、少なくとも、上記第1の二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と、上記二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側並列共振回路と、
    上記絶縁コンバータトランスの第2の二次巻線に対して直列となる関係により二次側直列共振コンデンサを接続することで、少なくとも、上記第2の二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と、上記二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側直列共振回路と、
    上記第1の二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って得た整流電流を1組の二次側平滑コンデンサ部に対して充電するとともに、上記第2の二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って得た整流電流を上記1組の二次側平滑コンデンサ部に対して充電することで、上記1組の二次側平滑コンデンサ部の両端電圧として二次側直流出力電圧を生成するようにされた二次側直流出力電圧生成手段とを備え、
    上記絶縁コンバータトランスは、
    中間負荷とされる所定の負荷条件範囲においても適正なゼロ電圧スイッチングが得られるようにして、かつ、上記一次側並列共振回路と上記二次側並列共振回路とを少なくとも有して形成される電磁結合形共振回路について、上記スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対する出力特性が単峰特性となるようにして、疎結合とみなされる所定の一次側と二次側との結合係数を設定し、
    所定の負荷条件の下で一定以上の電力変換効率が得られるようにして、少なくとも、上記一次側並列共振回路の共振周波数と、上記二次側並列共振回路の共振周波数と、上記二次側直列共振回路の共振周波数を設定する、
    ことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    上記第1の二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行うために所定の接続態様によって上記第1の二次巻線に対して接続される所定数の整流素子から成る第1の整流回路部と、
    上記第2の二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行うために所定の接続態様によって上記第2の二次巻線に対して接続される所定数の整流素子から成る第2の整流回路部とを備え、
    上記第1の整流回路部の整流動作によって得られる整流電流と、上記第2の整流回路部の整流動作によって得られる整流電流を、上記1組の二次側平滑コンデンサ部に対して充電するようにして構成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    交番電圧を入力して整流動作を行って得られた整流電流を上記1組の二次側平滑コンデンサ部に対して充電するようにして、所定数の整流素子を備えて成る1つの整流回路部を備え、
    上記1つの整流回路部に対して、上記第1の二次巻線に誘起される交番電圧と上記第2の二次巻線に誘起される交番電圧とが共に入力されるように構成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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