JP2006282546A - マンデル酸類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 以下の(1)〜(4)の工程を含む、マンデル酸類の製造方法。
(1) マンデロニトリル類を加水分解する工程。
(2) 工程(1)で得られたマンデル酸類を結晶化し、固液分離する工程。
(3) 工程(2)で固液分離されたマンデル酸類結晶を再結晶させる工程。
(4) 工程(3)で得られる母液を、工程(1)〜(3)のいずれか一つの工程に循環使用する工程。
【選択図】なし
Description
以下の(1)〜(4)の工程を含む、マンデル酸類の製造方法。
(1) マンデロニトリル類を加水分解する工程。
(2) 工程(1)で得られたマンデル酸類を結晶化し、固液分離する工程。
(3) 工程(2)で固液分離されたマンデル酸類結晶を再結晶させる工程。
(4) 工程(3)で得られる母液を、工程(1)〜(3)のいずれか一つの工程に循環使用する工程。
;並びに、
以下の(1)〜(4)の工程を含む、マンデル酸類の製造方法。
(1) マンデロニトリル類を加水分解する工程。
(2) 工程(1)で得られたマンデル酸類を結晶化し、固液分離する工程。
(3) 工程(2)で固液分離されたマンデル酸類結晶を再結晶させる工程。
(4) 工程(2)で得られる母液を、工程(1)に循環使用する工程。
工程(1)では、マンデロニトリル類を加水分解する。本発明で使用されるマンデロニトリル類は、例えば、式(I)に示すアルデヒド類に青酸を付加することにより調製することができる。
鉱酸の使用量は、加水分解に供するマンデロニトリル類に対して0.5〜20当量使用することが好ましい。使用量は、0.9〜10当量とすることがより好ましく、1〜5当量とすることが特に好ましい。
溶媒の添加量は、マンデロニトリル類に対して重量比で0.5〜20倍とすることが好ましい。添加量は、1〜10倍とすることがより好ましく、1〜5倍とすることが特に好ましい。なお、このときの水の量として、鉱酸中の水は含まない。
鉱酸を多く使用すれば、必ずしも溶媒を添加する必要はないが、酸性廃液が増加することによる廃水負荷が大幅に増大する。また、副生物であるアンモニウム塩やマンデル酸類あるいはマンデルアミド類等の析出により、撹拌が困難となる場合があるため、鉱酸の使用量を低減できると同時に反応効率を向上できる点より、上記のように水を添加する方法が好ましい。
また、加水分解工程中においては、マンデロニトリル類を鉱酸中へ添加する時の反応温度と、該反応液に溶媒を添加する時の反応温度は同じでも、異なっていても良い。例えば、酵素反応によりマンデロニトリル類を製造し、溶媒を留去したマンデロニトリル類を、鉱酸中へ添加する時の反応温度は−5℃〜溶媒の沸点温度とすることが好ましい。温度は、10〜40℃とすることが特に好ましい。該反応液に溶媒を添加する時の反応温度は10℃〜溶媒の沸点温度とすることが好ましく、30〜90℃とすることが特に好ましい。
また、必要により、分離後のマンデル酸類を洗浄することもできる。洗浄に用いる溶媒は、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール溶媒、または、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤を用いることができる。これらの溶媒は単一で用いても混合して用いても良い。
活性炭処理に用いる溶媒は、マンデル酸類が溶解するものであれば特に限定されない。例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の極性溶媒、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール溶媒または、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤を用いることができる。これらの溶媒は単一で用いても混合して用いても良い。
活性炭処理条件は、不活性ガス雰囲気下又は大気中でも良い。着色を防止する点から不活性ガス雰囲気下とすることが好ましく、窒素雰囲気下とすることが特に好ましい。
活性炭処理後のマンデル酸類を含む溶液は、再度、上述の方法に従い結晶を析出させ、固液分離を行う。
再結晶後、工程(2)で説明した固液分離に準じてマンデル酸類を取得することができる。固液分離後、必要に応じて結晶を洗浄しても良い。洗浄操作に関しても、工程(2)に準じて実施することができる。
分離母液とは、工程(3)において、再結晶操作に次ぐ、固液分離後の分離母液、及び洗浄操作による洗浄母液が含まれる。再結晶操作、固液分離、洗浄を複数回繰り返すこともでき、その再結晶溶媒も循環使用することができる。それらの母液は、何ら調整する必要はなく、工程(3)で再利用されるが、母液中に含まれるマンデル酸類の二量体を分解することができる点から、pHを調整することが好ましい。pHの範囲は、必要に応じてpH2.0〜14.0とすることが好ましい。pH6.0〜14.0とすることがより好ましく、pH10.0〜14.0とすることが特に好ましい。通常、pHを調整するためには塩基を使用する。塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、アンモニア、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
第2の発明は、工程(2)で得られる分離母液を循環使用する点で第1の発明と相違する。工程(1)から工程(3)における反応条件、操作条件等は、上述した第1の発明と同様に実施することができる。工程(4)において、循環使用の対象となる分離母液、使用方法等も上述と同様に実施することができる。
以上の製造方法により、マンデル酸類の回収率を向上させることができ、酸性廃液による廃水負荷を低減することが可能となる。
試料調製方法: 試料20mgをキャリヤー25mLに溶解
装置: カラムオーブン 日本分光社製 865−CO
UV 日本分光社製 870−UV
ポンプ 日本分光社製 880−PU
インテグレーター 島津製作所社製 C−R3A
カラム: ODS−2 GLサイエンス社製
キャリヤー: アセトニトリル:水=3/7(リン酸でpH3.0に調整)
カラム温度: 40℃
流速: 1mL/min
波長: 220nm
検出限界値: マンデル酸結晶中の二量体含有割合0.015%(面積百分率)(マンデル酸とその二量体の HPLC分析結果の吸収ピーク面積合計を100面積%とした場合)
試料調製方法: 試料20mgをキャリヤー25mLに溶解
装置: カラムオーブン 日本分光社製 865−CO
UV 日本分光社製 870−UV
ポンプ 日本分光社製 880−PU
インテグレーター 島津製作所社製 C−R3A
カラム: CHIRALCEL OJ−H(4.6mm×250mm)ダイセル化学工業社製
キャリヤー: Hexane/IPA/トリフルオロ酢酸=90/10/0.1
カラム温度: 35℃
流速: 1.0mL/min
波長: 220nm
検出限界値: 99.9%ee
[実施例1]
(1)(S)−マンデル酸の調製
2Lフラスコ中に35%塩酸275g(HCl 2.64mol)を仕込み、この中に光学純度97%eeの(S)−マンデロニトリル222g(1.67mol)を添加した。その後、30℃で5時間撹拌した後、水600gを添加した。次いで、攪拌しながら80℃で2時間加水分解を行った。その後、減圧下、加水分解反応液を(S)−マンデル酸の濃度が30%になるまで濃縮した。次いで、30%水酸化ナトリウムで濃縮液をpH2.0に調整し、30℃まで冷却し(S)−マンデル酸を析出させた。析出した(S)−マンデル酸を遠心分離しながら水45gで洗浄した。次いで、遠心分離機に付着した結晶を回収した。得られた(S)−マンデル酸結晶238g(化学純度91.0%、収率85%、光学純度98.9%ee)のマンデル酸二量体含有割合は1.4%(面積百分率)であった。
1Lフラスコ中に実施例1の(1)で得られた(S)−マンデル酸結晶8.6g及び水18.3gを仕込んだ。これを60℃まで加温して(S)−マンデル酸結晶を溶解した。次いで、溶解液を60℃から冷却速度10℃/時間で30℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した(S)−マンデル酸を遠心分離しながら水2gで洗浄した。次いで、遠心分離機に付着した結晶を回収し、減圧下で結晶を乾燥した。(S)−マンデル酸7.0g(化学純度99.4%、再結晶収率89%、光学純度99.8%ee)及び洗浄液を合わせた再結晶母液20gが得られた。得られた(S)−マンデル酸結晶のマンデル酸二量体含有割合は0.3%(面積百分率)であった。
1Lフラスコ中に実施例1の(1)で得られた(S)−マンデル酸結晶172.8g、水320g及び活性炭2gを仕込んだ。これを60℃で1時間撹拌した。この溶液から加熱ろ過によって活性炭を除去し、水48gで活性炭を洗浄した。ろ液と活性炭洗浄液をあわせた溶液を60℃から冷却速度10℃/時間で30℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した(S)−マンデル酸結晶を遠心分離しながら水32gで洗浄した。次いで、遠心分離機に付着した結晶を回収し、減圧下で結晶を乾燥した。(S)−マンデル酸結晶136g(化学純度99.5%、再結晶収率86%、光学純度99.8%ee)及び洗浄液を合わせた再結晶母液398gが得られた。得られた(S)−マンデル酸結晶のマンデル酸二量体含有割合は0.3%(面積百分率)であった。
100mLフラスコ中に35%塩酸12.5g(HCl 0.120mol)を仕込んだ。この中に光学純度97%eeの(S)−マンデロニトリル10.1g(0.076mol)を添加して30℃で5時間撹拌した。実施例1の(3)で得られた再結晶母液27.3gを添加して80℃で2時間撹拌しながら加水分解した。減圧下、加水分解反応液を(S)−マンデル酸の濃度が30重量%になるまで濃縮した。30%水酸化ナトリウムで濃縮液をpH2.0に調整し、30℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した(S)−マンデル酸結晶を遠心分離しながら水2gで洗浄した。次いで、遠心分離機に付着した結晶を回収した。得られた(S)−マンデル酸結晶11.2g(化学純度93.0%、収率90%、光学純度99.3%ee)のマンデル酸二量体含有割合は1.0%(面積百分率)であった。
洗浄に用いた水を実施例1の(3)で得た再結晶母液に変えた以外は、実施例2と同様の方法で行った。得られた(S)−マンデル酸結晶11.3g(化学純度94.0%、再結晶収率92%、光学純度99.4%ee)のマンデル酸二量体含有割合は0.8%(面積百分率)であった。
100mLフラスコ中に実施例1の(1)で得られた(S)−マンデル酸結晶10.8g、実施例1の(3)で得られた再結晶母液22.9gを仕込んだ。これを60℃まで加温して(S)−マンデル酸結晶を溶解した。次いで、60℃から冷却速度10℃/時間で30℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した(S)−マンデル酸結晶を遠心分離しながら水2gで洗浄した。次いで、遠心分離機に付着した結晶を回収し、減圧下で結晶を乾燥した。(S)−マンデル酸結晶9.2g(化学純度99.6%、再結晶収率93%、光学純度99.8%ee)が得られた。結晶のマンデル酸二量体含有割合は0.1%(面積百分率)であった。
100mLフラスコ中に実施例1の(1)で得られた(S)−マンデル酸結晶10.8g、実施例1の(3)で得られた再結晶母液20g及び活性炭0.2gを仕込んだ。次いで、60℃で1時間撹拌した。この溶液から加熱ろ過によって活性炭を除去し、水3gで活性炭を洗浄した。ろ液と活性炭洗浄液を合わせた溶液を60℃から冷却速度10℃/時間で30℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した(S)−マンデル酸を遠心分離しながら水2gで洗浄した。次いで、遠心分離機に付着した結晶を回収し、減圧下で結晶を乾燥した。(S)−マンデル酸結晶9.0g(化学純度99.7%、再結晶収率91%、光学純度99.9%ee)が得られた。結晶のマンデル酸二量体含有割合は0.1%(面積百分率)であった。
実施例1の(3)で遠心分離後の洗浄に用いた水を実施例1の(3)で得られた再結晶母液に変えた以外は実施例5と同様の方法で行った。(S)−マンデル酸9.2g(化学純度99.8%、再結晶収率93%、光学純度99.9%ee)が得られた。結晶のマンデル酸二量体の含量は0.1%であった。
100mLフラスコ中に35%塩酸25.0g(HCl 0.240mol)を仕込み、この中に光学純度97%eeの(S)−マンデロニトリル20.2g(0.152mol)を添加した。次いで、これを30℃で5時間撹拌した後、実施例1の(3)で得られた再結晶母液54.5gを添加した。これを攪拌しながら80℃で2時間加水分解した。この加水分解反応液を冷却して55℃で3時間(S)−マンデル酸結晶の一部を析出させながら撹拌した。さらに、これを撹拌しながら50℃で3時間熟成した。減圧下、(S)−マンデル酸の濃度が30重量%になるまで濃縮した。濃縮液を30%水酸化ナトリウムでpH2.0に調整し、30℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した(S)−マンデル酸結晶を遠心分離しながら水4gで洗浄した。次いで、遠心分離機に付着した結晶を回収した。得られた(S)−マンデル酸結晶22.4g(化学純度96.0%、収率92%、光学純度99.5%ee)のマンデル酸二量体含有割合は0.08%(面積百分率)であった。
実施例1の(3)で得られた再結晶母液を30%水酸化ナトリウムでpH12.0に調整した。その後、室温で3時間静置した。実施例1の(3)で得られた再結晶母液を前記再結晶母液(pH12.0)54.5gに変えた以外は実施例7と同様の方法で行った。得られた(S)−マンデル酸結晶22.6g(化学純度96.1%、収率93%、光学純度99.5%ee)のマンデル酸二量体含有割合は0.07%(面積百分率)であった。
Claims (2)
- 以下の(1)〜(4)の工程を含む、マンデル酸類の製造方法。
(1) マンデロニトリル類を加水分解する工程。
(2) 工程(1)で得られたマンデル酸類を結晶化し、固液分離する工程。
(3) 工程(2)で固液分離されたマンデル酸類結晶を再結晶させる工程。
(4) 工程(3)で得られる母液を、工程(1)〜(3)のいずれか一つの工程に循環使用する工程。 - 以下の(1)〜(4)の工程を含む、マンデル酸類の製造方法。
(1) マンデロニトリル類を加水分解する工程。
(2) 工程(1)で得られたマンデル酸類を結晶化し、固液分離する工程。
(3) 工程(2)で固液分離されたマンデル酸類結晶を再結晶させる工程。
(4) 工程(2)で得られる母液を、工程(1)に循環使用する工程。
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