JP2006278505A - カーボンナノチューブの製造方法及びトランジスタの製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブの製造方法及びトランジスタの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の特性の半導体性のカーボンナノチューブが容易に得られるようにする。
【解決手段】基板101の上に配列された金属電極102の間に、金属的なカーボンナノチューブ103a,103b,103cと半導体的なカーボンナノチューブ104とが混在して形成された状態とする。次に、半導体的な状態とするカーボンナノチューブ103a,103b及び半導体特性の変更対象であるカーボンナノチューブ104に電子線が照射された状態とする。照射する電子線は、例えば、加速電圧1kV,照射線量1×10-2以下とすればよい。この電子線照射により、半導体的なカーボンナノチューブ113a,113bと、半導体特性が変更されたカーボンナノチューブ114とが得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子線を照射することでカーボンナノチューブの電気伝導性制を制御するカーボンナノチューブの製造方法およびカーボンナノチューブをチャネルとして用いたトランジスタの製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブ(CNT)は、筒状の巻かれたグラファイト面(グラフェンシート)から構成されており、筒が一層のもの(単層カーボンナノチューブ:SWNT)あるいは多層のもの(多層カーボンナノチューブ:MWNT)が存在する。また、カーボンナノチューブの直径は、数nmから数十nmの範囲で、長さは数μmにおよぶ細線状構造を有している。カーボンナノチューブは、電気伝導性を有することから、デバイス等への応用に関する研究開発が進められている。
カーボンナノチューブは、グラフェンシートが筒状に巻かれた構造となっているが、巻かれた状態によって電気伝導特性が異なり、半導体的になる場合と金属的になる場合の二つに大別された状態が存在することが報告されている(非特許文献1参照)。概略を規則的に示すと、図7において原点(0,0)を点(n,m)に重ねるように巻いて得られるカーボンナノチューブを(n,m)とすると、2n+mが3の倍数になるときバンドギャップがゼロになり、金属的になるが、3の倍数にならないときはバンドギャップが発生し、半導体的になることが知られている(参考文献1)。
例えば、点(0,0)が点(6,6)に重なるように巻かれているカーボンナノチューブは、金属的になる。また、点(0,0)が点(7,5)に重なるように巻かれているカーボンナノチューブは、半導体的になる。図7において、大きい黒丸同士が重なるように巻かれているカーボンナノチューブは、金属的(金属的電気伝導性)になり、大きい黒丸と小さい黒丸とが重なるように巻かれているカーボンナノチューブは、半導体的(半導体的電気伝導性)となる。しかしながら、これら種々の巻き性を制御してカーボンナノチューブを合成する技術は、現在開発されておらず、半導体的なカーボンナノチューブと金属的なカーボンナノチューブとを、合成によって直接的に作り分けることは不可能な状態である。
一方、金属的なカーボンナノチューブを選択的に除去することで、半導体的なカーボンナノチューブを得る技術が提案されている(非特許文献2参照)。非特許文献2に示された技術について簡単に説明する。この技術では、まず、図8(a)の平面図に示すように、基板801の上に配列された金属電極802の間に、金属的なカーボンナノチューブ803と半導体的なカーボンナノチューブ804とが混在して形成された状態とする。この状態で、各金属電極802の間に大電流を流し、金属的なカーボンナノチューブ803のみを焼き切り、図8(b)に示すように、半導体的なカーボンナノチューブ804が残る状態とする。例えば、電界効果トランジスタ(FET)などには、半導体的なカーボンナノチューブ804を用いるため、非特許文献2の方法では、上述した方法により半導体的カーボンナノチューブのみを残すようにしている。
R. Saito, et al.,"Electric structure of chiral grafene tubules", Applied Physics Letters, vol. 60, pp.2204-2206, (1992). P.G.Collins et al., "Engineering carbon nanotubes and nanotube circuits using electronical breakdown", Science, vol.292, pp.706-709, (2001).
しかしながら、半導体的カーボンナノチューブと金属的カーボンナノチューブとは、ランダムに分布しているため、非特許文献2の技術では、図8(b)に示すように、半導体的なカーボンナノチューブ804が残っている部分のみしか、デバイスとして利用できない。また、所望の位置に配置されたカーボンナノチューブがすべて金属的である場合、これらは破壊されるため、所望とする素子を得ることができない。
また、図9に示すように、電極901の間に複数のカーボンナノチューブ902が存在する場合、各々のカーボンナノチューブ902が異なる導電性を有しているため、金属的なカーボンナノチューブだけを除去するための電流値の条件制御が難しく、手間がかかるうえに歩留まりが悪い。例えば、図9(b)に示すように、電流値が大きすぎると、すべてのカーボンナノチューブ902aが焼き切れた状態となる。また、図9(c)に示すように、半導体的なカーボンナノチューブ902aを残せたとしても、熱的なダメージが懸念される。さらに、集積化を考えた場合は、上述のように制御性に乏しい。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、所望の特性の半導体性のカーボンナノチューブが容易に得られるようにすることを目的とする。
本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、基板の上にカーボンナノチューブが配置された状態とする工程と、カーボンナノチューブに電子線が照射された状態としてカーボンナノチューブのバンドギャップが電子線の照射前より広くされた状態とする工程とを少なくとも備えるようにしたものである。このように電子線を照射することで、カーボンナノチューブの電気的特性が変更される。
上記カーボンナノチューブの製造方法において、カーボンナノチューブが、金属的な電気伝導性を備えていれば、電子線の照射により半導体的な電気的特性へと変化させることができる。また、カーボンナノチューブが、半導体的な電気伝導性を備えていれば、電子線の照射によりバンドギャップがより広くなり、半導体の特性が変更される。従って、電子線の照射の量によりカーボンナノチューブのバンドギャップの状態を制御することができる。
また、本発明に係るトランジスタの製造方法は、基板の上にチャネルとなるカーボンナノチューブが配置された状態とする工程と、基板の上にカーボンナノチューブに接続するソース電極及びドレイン電極が形成された状態とする工程と、カーボンナノチューブに電界を印加するゲート電極が形成された状態とする工程と、カーボンナノチューブに電子線が照射された状態としてカーボンナノチューブのバンドギャップが電子線の照射前より広くされた状態とする工程とを少なくとも備えるようにしたものである。従って、配置されたカーボンナノチューブが金属的な電気伝導性を備えるものであっても、電子線の照射により半導体的な電気伝導性を備える状態となる。また、カーボンナノチューブが、半導体的な電気伝導性を備えていれば、電子線の照射によりバンドギャップがより広くなり、半導体の特性が変更される。
以上説明したように、本発明によれば、電子線を照射するようにしたので、所望の特性の半導体性のカーボンナノチューブが容易に得られるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるカーボンナノチューブの製造方法例を説明するための工程図である。まず、図1(a)の平面図に示すように、基板101の上に配列された金属電極102の間に、金属的なカーボンナノチューブ103a,103b,103cと半導体的なカーボンナノチューブ104とが混在して形成された状態とする。
次に、半導体的な状態とするカーボンナノチューブ103a,103b及び半導体特性の変更対象であるカーボンナノチューブ104に電子線が照射された状態とする。照射する電子線は、例えば、加速電圧1kV,照射線量1×10-2C/cm2以下とすればよい。この電子線照射により、図1(b)の平面図に示すように、半導体的なカーボンナノチューブ113a,113bと、半導体特性が変更されたカーボンナノチューブ114とが得られる。電子線の照射対象外であるカーボンナノチューブ103は、金属的な状態が変更されていない。
上述した電子線の照射は、例えば、電子線照射装置などを使用することで行えばよい。リソグラフィ等で使用される高加速電圧(数十kVあるいはそれ以上)の電子線描画装置などを必ずしも使用する必要はなく、表面観察用の走査電子顕微鏡(SEM)などの低加速電圧(数kV以下)で低照射線量の装置を用いればよい。このような電子線照射装置を用い、照射の位置を選択して選択した位置に電子線を照射する。また、これらの電子線照射装置では、照射位置の特定が容易である。
このような電子線照射によって、カーボンナノチューブ構造に部分的な欠陥や結合の形態の変化を誘発し、電気伝導特性の変化が起こる。この結果、電子線が照射されたカーボンナノチューブは、バンドギャップエネルギーの状態が変化し、例えば、金属的なカーボンナノチューブは、半導体的なカーボンナノチューブに変化する。また、電子線の照射量により、照射されたカーボンナノチューブの半導体特性が制御できる。例えば、照射量を増加させることで、もとの導電形の状態でより広いバンドギャップを備えた状態に変化させることができる。また、これらの電子線照射によるバンドギャップの制御は、単層のカーボンナノチューブに限らず、多層のカーボンナノチューブに対しても適用可能である。
上述したように、図1を用いて説明したカーボンナノチューブの製造方法によれば、低加速電圧,低照射線量の電子線で効果を得られる。高加速電圧の電子線や他の粒子線照射あるいはプラズマ中など、加わるエネルギーが大きい場合では、カーボンナノチューブが構造変化などの何らかの変化を起こすことは容易に考えられる。これに対し、図1を用いて説明したカーボンナノチューブの製造方法では、走査型電子顕微鏡などで用いられる低エネルギーかつ少量の照射により、カーボンナノチューブの電気的な特性を変化させているところに特徴がある。
例えば、チャネルの部分にカーボンナノチューブを使った電界効果トランジスタ(FET)の場合では、金属的カーボンナノチューブが混在することで特性が著しく劣化するが、上述した製造方法によれば、カーボンナノチューブを金属的から半導体的伝導特性に変換させることができるので、良好なFET特性の電界効果トランジスタが容易に得られる。また、前述したように、照射量により電気伝導性が制御可能であるため、本実施の形態における製造方法によれば、例えば上述したFETの特性の制御も可能である。
次に、本発明の実施の形態におけるトランジスタの製造方法例について説明する。まず、図2(a)及び図2(a’)に示すように、表面に100nm程度の酸化膜(SiO2)202が形成されたシリコン基板201を用意する。シリコン基板201は、バックゲートとしての役割も持つ。ついで、酸化膜202の上に蒸着により触媒金属の層が形成された状態とする。触媒金属は、Fe、Coなどのカーボンナノチューブの成長触媒として働く金属を用いる。また、蒸着は、電子ビーム蒸着などの極薄膜を均一に蒸着できる方法を用いればよい。触媒金属の層は、Coから構成され、平均膜厚0.01nm程度に形成されていればよい。
ついで、CVD法により、酸化膜202の上にカーボンナノチューブ203が形成された状態とする。カーボンナノチューブ203は、1本ずつ孤立に分離して存在する程度の密度で形成された状態とする。カーボンナノチューブが形成される密度は、触媒金属層の膜厚や、反応温度などのCVD法の条件により制御可能である。CVD法によるカーボンナノチューブ203の形成について説明すると、まず、CVD装置のチャンバー内をアルゴンガスなどの不活性ガスで圧力66kPa程度に保ち、基板を900℃まで昇温する。ついで、メタン,エタノールなどの炭素含有ガスからなる原料ガスを上記チャンバー内に5〜10分間程度流し、原料ガスが基板上に供給された状態とする。このとき、原料ガスの注入と同時にポンプで吸引することで、チャンバー内の圧力が66kPaに保持された状態とする。この原料ガスの供給を行った後、基板温度を室温まで冷却し、チャンバー内より基板を搬出する。
次に、形成したカーボンナノチューブ203に接続する電極が形成された状態とする。まず、フォトリソグラフィー用のレジストをシリコン基板201(酸化膜202)のうえにスピンコートし、露光装置により所定の光像を露光し、この後現像することで、図2(b)及び図2(b’)に示すように、幅1〜5μm程度の溝を備えたパターン204が酸化膜202の上に形成された状態とする。パターン204に形成されている2つの溝が、カーボンナノチューブ203の両端部の上に配置された状態とする。
次に、形成されたパターン204の上からチタンを蒸着し、さらにこの上から金を蒸着し、この後パターン204を除去することで、図2(c)及び図2(c’)に示すように、チタン層205と金層206とからなるソース電極207及びドレイン電極208が形成された状態とする。この結果、カーボンナノチューブ203の両端部に、ソース電極207及びドレイン電極208が接続し、カーボンナノチューブ203の下方に、ゲート絶縁層となる酸化膜202を介してゲート電極となるシリコン基板201が配置された状態が得られる。
次に、原子間力顕微鏡(AFM),ラマン分光分析,又は2つの電極間に流れる電流を観測することで、ソース・ドレイン間にカーボンナノチューブ203が形成されてることを確認する。ついで、室温から低温(40K以下)の範囲で、カーボンナノチューブ203の導電特性を測定する。例えば、シリコン基板201の上に図2(c)に示す構成とした複数の素子が形成されている場合、半導体的特性を示すカーボンナノチューブ及び金属的特性を示すカーボンナノチューブが観測されるが、これらの中より、金属的特性を示すもので、半導体的に変えたい部分を特定する。場所の特定は、導電性測定で測定した位置を、走査電子顕微鏡(SEM)などの、電子線照射装置中で探せば容易に可能である。例えば、基板にあらかじめマーキングしておき、位置を把握できるようにするなどの工夫をし、探す際にカーボンナノチューブに電子線が照射されないようにする。
ついで、基板をSEMなどの電子線照射可能な装置にセットし、特定された所望のカーボンナノチューブに電子線を照射し、当該カーボンナノチューブのバンドギャップがより広くされた状態とする。このことにより、金属的特性を示すカーボンナノチューブが、半導体特性を示すようになる。この際、照射線量を大きくしすぎるとカーボンナノチューブの切断等が起こる。従って、電子線の加速電圧は数kV以下、例えば1kV、照射線量は1×10-2C/cm2以下が好ましく、特に好ましくは、1×10-3C/cm2以下とする。照射線量の決定については、電子線照射に対する感度が、カーボンナノチューブの質にもよる点を考慮する。例えば、欠陥が多いなどの質の低いカーボンナノチューブの方が、欠陥の少ない質の高いカーボンナノチューブよりも、より電子線照射に対して変化が大きいので、これらの点を考慮して電子線量を決定する。
なお、本発明は、図2に例示する構成に限らず、例えば、図3に示す構成とされた素子に対しても適用可能である。例えば、図3(a)に示すように、基板301の上に形成された2つの電極302と、これらの間に架設されたカーボンナノチューブ303とから構成された素子に対しても、前述同様に電子線を照射することで、カーボンナノチューブ303のバンドギャップの状態を制御できる。また、図3(b)及び図3(c)に示すように、3個以上の電極312とこれらに接続するカーボンナノチューブ303とから構成された素子に対しても、前述同様に電子線を照射することで、カーボンナノチューブ303のバンドギャップの状態を制御できる。
また、これらの構成とされたカーボンナノチューブ303の近傍にゲート電極を配置することで、カーボンナノチューブ303を用いたFETが得られる。ゲート電極の配置は、バックゲート構造に限らず、サイドあるいはトップゲート構造であってもよい。また、酸化膜202の膜厚は、100nmに限らず、ゲート電圧による電界効果がカーボンナノチューブに対して及ぶ厚さであればよい。また、上述した各素子の構成は、フォトリソグラフィ技術に限らず、電子ビームや短波長レーザを光源としたリソグラフィー技術を用いるようにしてもよい。また、電極の寸法やこれらの間隔も、適宜設定可能である。同様に、電極の材料も、チタン及び金に限らず、他の導電性材料を用いることが可能である。
また、カーボンナノチューブの形成も、上述したCVD法に限るものではなく、合成済みのカーボンナノチューブを基板の上に配置するようにしてもよい。例えば、分散液中にカーボンナノチューブを分散した後、基板上に展開するようにしてもよい。また、1本あるいは数本単位のカーボンナノチューブを、微小なプローブ等を使って、電極位置などの所望の位置に運ぶようにしてもよい。
次に、実際に作成した素子を測定した結果を以下に示す。前述したようにすることで、図2(c)に示す構成としたカーボンナノチューブ素子を形成し、この素子における電流電圧特性を測定する。測定対象の素子は、形成直後のカーボンナノチューブ203が金属的な状態のものである。前述同様に、40K以下とした極低温状態では、金属状態のカーボンナノチューブ203に対し、ゲート電圧を負から正に変化させていくと、図4(a)に示すように、印加した電圧の範囲全域において、離散的に電流が流れる状態が観測された。なお、図2(c)に示す構成では、カーボンナノチューブ203とソース電極207及びドレイン電極208との間に、あるいはカーボンナノチューブ203の中に障壁が形成されるので、測定結果には、不完全であるが、単電子輸送特性が見られる。
ついで、金属状態のカーボンナノチューブ203に対して、電子線を照射した後、同様に、ゲート電圧を負から正に変化させ、ソース・ドレイン間に流れる電流を測定した。照射した電子線の条件は、8×10-5C/cm2とした。電子線を照射することで半導体状態となったため、図4(b)に示すように、0V付近でソース・ドレイン間に電流が流れない領域が観察された。この測定結果から明らかなように、電子線の照射により、金属状態のカーボンナノチューブが半導体状態となる。
また、上述した電子線量の電子線照射をした後、再度電子線を照射し、電子線照射の全量が4.0×10-4C/cm2とされたカーボンナノチューブ203では、図4(c)に示すように、ソース・ドレイン間に電流が流れない領域がより広くなった。この測定結果から明らかなように、電子線の照射量を増やすことで、カーボンナノチューブ203のバンドギャップがより広がる。このように、電子線の照射量により、カーボンナノチューブの半導体特性が制御できる。従って、成長当初より半導体特性を有するカーボンナノチューブに対しても、電子線を照射することで半導体性を制御することが可能である。
上述した測定結果をもとにすると、金属的なカーボンナノチューブを用いた素子(FET)によれば、図5に示すように、離散的な特性を示す状態と連続的な特性を示す状態とが得られる。まず、図4(a)の測定結果より、40K以下とした極低温状態では、金属状態のカーボンナノチューブ203に対し、ゲート電圧を負から正に変化させていくと、図5(a)に示すように、離散的に電流が流れる状態となり、カーボンナノチューブチャネルにおける単電子輸送特性が表れるものとなる。これは、前述したように、ソース電極207及びドレイン電極208とカーボンナノチューブ203との間などに、障壁が形成されている場合である。これに対し、ソース電極207及びドレイン電極208とカーボンナノチューブ203とがオーミック的に接続されている場合、金属状態のカーボンナノチューブ203に対し、ゲート電圧を負から正に変化させていくと、図5(b)に示すように、連続的に電流が流れる状態となる。
次に、図4(b)に示す測定結果より、単電子輸送特性が表れている場合、ゲート電圧を負から正に変化させていくと、図5(c)に示すように、0V付近の領域以外で、離散的に電流が流れる状態となる。また、単電子輸送特性がみられない条件では、図5(d)に示すように、0V付近の所定領域以外で、連続的に電流が流れる状態となる。言い換えると、電子線を照射することでカーボンナノチューブ203を半導体状態とすると、0V付近でソース・ドレイン間に電流が流れない領域ができ、両極伝導型の状態とすることができる。
次に、図4(c)に示す測定結果より、単電子輸送特性が表れている場合、ゲート電圧を負から正に変化させていくと、図5(e)に示すように、0V付近のより広い領域以外で、離散的に電流が流れる状態となる。また、単電子輸送特性がみられない条件では、図5(f)に示すように、0V付近のより広い領域以外で、連続的に電流が流れる状態となる。言い換えると、電子線を照射することで、カーボンナノチューブ203を、より広いバンドギャップを有する両極伝導型の状態とすることができる。
例えば、一般には、カーボンナノチューブを用いたFETでは、p形の伝導形を示すものがほとんどであり、図6(a)に測定結果を示すような電流電圧特性を示す。一般には、両極性伝導形を示すものは非常に希である。これに対し、前述したように、金属的カーボンナノチューブに対して部分に電子線を照射することで、図6(b)に示すような電流電圧特性を備えた、p形伝導形性とn形伝導形の両方の特性を持つ、両極性伝導形を作製することが可能となる。電子線を照射するときに、照射線量と半導体性の変化の関係について、検量線のような方法によりあらかじめ把握しておくことで、所望の変化量に対応する照射線量を照射すればよい。
また、カーボンナノチューブを発光素子として利用する場合も、上述の方法を用いて半導体性、言い換えるとバンドギャップを制御することで、カーボンナノチューブからの発光波長(発光エネルギー)を制御することが可能となる。このように制御することで、カーボンナノチューブの量子準位間遷移を使った発光のみならず、電子−正孔再結合を使った発光の両方に適用できる。例えば、カーボンナノチューブを使った上記FETにおいて、ソースとドレインからそれぞれ正孔と電子を注入し、バイアス条件を制御することにより、チャネルとなっているカーボンナノチューブより発光を得ることが可能となる。発光波長(発光エネルギー)は、カーボンナノチューブのバンドギャップによって決まるため、本発明による方法を使用することにより、発光波長(発光エネルギー)が制御可能な発光素子が得られる。
本発明の実施の形態におけるカーボンナノチューブの製造方法例を説明するための工程図である。 本発明の実施の形態におけるトランジスタの製造方法例について説明する工程図である。 本発明の実施の形態における製造方法が適用可能な構成例を示す構成図である。 カーボンナノチューブを用いた素子の特性について説明する説明図である。 本発明の実施の形態における製造方法により実際に作成した素子を測定した結果を以下に示す特性図である。 カーボンナノチューブを用いたFETにおける電流電圧特性を示す特性図である。 グラフェンシートを筒状に巻かれた状態とするときの重ね合わせを説明するための説明図である。 半導体的なカーボンナノチューブを得る従来技術を説明するための平面図である。 半導体的なカーボンナノチューブを得る従来技術を説明するための斜視図である
符号の説明
101…基板、102…金属電極、103a,103b,103c…金属的なカーボンナノチューブ、104…半導体的なカーボンナノチューブ、113a,113b…半導体的なカーボンナノチューブ、201…シリコン基板、202…酸化膜(SiO2)、203…カーボンナノチューブ、204…パターン、205…チタン層、206…金層、207…ソース電極、208…ドレイン電極。

Claims (6)

  1. 基板の上にカーボンナノチューブが配置された状態とする工程と、
    前記カーボンナノチューブに電子線が照射された状態として前記カーボンナノチューブのバンドギャップが電子線の照射前より広くされた状態とする工程と
    を少なくとも備えることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  2. 請求項1記載のカーボンナノチューブの製造方法において、
    前記カーボンナノチューブは、金属的な電気伝導性を備えている
    ことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のカーボンナノチューブの製造方法において、
    前記カーボンナノチューブは、半導体的な電気伝導性を備えている
    ことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの製造方法において、
    前記電子線の照射の量により前記カーボンナノチューブのバンドギャップの状態を制御する
    ことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  5. 基板の上にチャネルとなるカーボンナノチューブが配置された状態とする工程と、
    前記基板の上に前記カーボンナノチューブに接続するソース電極及びドレイン電極が形成された状態とする工程と、
    前記カーボンナノチューブに電界を印加するゲート電極が形成された状態とする工程と、
    前記カーボンナノチューブに電子線が照射された状態として前記カーボンナノチューブのバンドギャップが電子線の照射前より広くされた状態とする工程と
    を少なくとも備えることを特徴とするトランジスタの製造方法。
  6. 請求項5記載のトランジスタの製造方法において、
    電子線が照射された前記カーボンナノチューブは、両極性伝導形を備えることを特徴とするトランジスタの製造方法。
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