JP2006274187A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ハロゲン、リン、窒素原子を有する難燃剤を用いずに優れた難燃性と流動性、高い耐熱性、耐衝撃性を有する新規難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 芳香族ポリカーボネート40〜100重量部とスチレン系樹脂60〜0重量部の樹脂混合物100重量部に下記平均組成式
1 m2 nSiO(4-m-m)/2
(式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7と0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)のシリコーン化合物(C)0.1〜20重量部、pHが8.0以上でSiO2単位が30重量%以上の平均粒子径が1nm〜100μmの金属ケイ酸塩化合物(D)0.5〜40重量部、ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E)0.05〜10重量部からなる組成物により得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハロゲン、リン、窒素等の原子を含有せず、高度に難燃化された上、高い熱安定性、優れた耐衝撃性と流動性を有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂とABS樹脂などに代表されるスチレン系樹脂とのブレンド物は耐熱性及び耐衝撃性が高いため、いわゆるポリマーアロイとして、種々の成形品、例えば、自動車、電気、電子の部品などに幅広く使用されている。前記ポリマーアロイを電気・電子部品やOA機器のハウジング、エンクロージャー、シャーシなどに使用する場合、高い難燃性が要求される。
一方、材料の使用量を低減するためには、部品やハウジングの小型化や薄肉化が有用である。しかし、燃焼の際、成形品の薄肉部から樹脂の溶融滴下(ドリップ)が生じ、他の可燃物を延焼させる危険がある。また、成形品の小型化・薄肉化により溶融粘度の高い材料を用いる必要がある。そのため、難燃性樹脂組成物には、さらに、薄肉成形体を成形可能である高度な流動性とドリップしない高度の難燃性が要求される。
難燃性を付与するため、ポリカーボネートとスチレン系樹脂とのポリマーアロイには、通常、ハロゲン系化合物が添加されている。しかし、ハロゲン系化合物は、加工時あるいは燃焼時に腐食性又は有毒性のガスが発生するという欠点を有する。また、非ハロゲン系難燃剤としては、有機リン系化合物が用いられている。代表的な有機リン化合物としてはトリフェニルホスフェートがよく知られているが、トリフェニルホスフェートは耐熱性に劣り、揮発性が高いという欠点がある。
揮発性の低い有機リン酸化合物に関するものとしては縮合型リン酸エステルを用いる技術があるが(例えば特許文献1、2参照)、これらは樹脂化合物の熱変形温度を低下させるなど、樹脂物性を低下させるといった課題がある。
一方、ポリカーボネート樹脂単体に対しては、シリコーン化合物が難燃化に有効であることが最近報告されている。例えば、R2SiO1.5単位とRSiO1.0単位を構成成分とするシリコーン化合物や(例えば特許文献3、4参照)、フェニル基、アルキル基、アルコキ基を有し分子量が10000以下であるシリコーン化合物が開示されている(例えば特許文献5参照)。しかしながら、これらのシリコーン化合物はポリカーボネート樹脂単体には有効であるが、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂のアロイには殆ど効果が無かった。
シリコーン化合物を用いたポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂のアロイにも有用な難燃性を付与する技術として、SiO2単位を構成成分とする特定構造のシリコーン樹脂や特定溶融特性条件を有するシリコーン樹脂が開示されているが(例えば特許文献6、7、8参照)、経済性の観点から難燃剤として使用するシリコーン樹脂のさらなる低減が望まれている。
他方、金属ケイ酸塩による難燃化効果に関するものとして、ポリカーボネート系樹脂、特定の環状構造のリン酸エステル、フッ素樹脂、および少量のタルクからなり、該リン酸エステル中のリン原子の量とタルクが特定の重量比である難燃性樹脂組成物が開示されており(例えば特許文献9参照)、また、ポリカーボネート樹脂に特定量の金属ケイ酸塩を添加することによる難燃化効果および該組成物に付加的に有機シロキサン化合物を添加する技術が開示されているが(例えば特許文献10参照)、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂とのアロイに対しては金属ケイ酸塩単独では有効な難燃性は認められず、さらに、シリコーン化合物と金属ケイ酸塩の難燃性に及ぼす相乗効果については何ら開示されていない。
さらに、これら従来の難燃性樹脂組成物の検討において、耐衝撃性、耐熱性及び流動性を同時にバランス良く向上させるような検討はされていない。
米国特許第5204394号 米国特許第5122556号 特開平10−139964 特開平11−140294 特開平11−222559 特開2001−311081 特開2001−316671 特開2001−323269 特開11−256022 特開2003−82218
本発明は、上記現状に鑑み、ハロゲンやリン原子を含むことなく、高い耐熱性、耐衝撃性を有し、優れた難燃性と流動性を有するポリカーボネート系難燃性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、シリコーン樹脂がポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂のアロイでもある程度難燃化効果を示すシリコーン化合物の効果に着目し、その難燃性能の向上を鋭意検討した結果、特定の無機化合物との組合せにより少量のシリコーン化合物の添加でも優れた難燃性を有し、さらにヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルを組み合わせることにより他物性を低下させることなく優れた流動性を付与可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、芳香族ポリカーボネート(A)40〜100重量部とスチレン系樹脂(B)60〜0重量部で構成された熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して平均組成式(1)
1 m2 nSiO(4-m-n)/2 (1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)で表されるシリコーン化合物(C)0.1〜20重量部、pHが8.0以上であり、SiO2単位が30重量%以上を占める、平均粒子径が1nm〜100μmの範囲にある金属ケイ酸塩化合物(D)0.5〜40重量部および、ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E)0.05〜10重量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物に関する。
本発明の難燃性樹脂組成物は、塩素、臭素、リン、窒素、等一般に用いられている難燃剤を用いなくても非常に優れた難燃性を示し、さらに樹脂が本来有する性能以上の優れた流動性、耐熱性及び耐衝撃性を示す。かつ安価な原料を用いて比較的容易に合成することが可能である。このような難燃性樹脂組成物は工業的に非常に有用である。
以下に本発明を詳述する。
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とは、2価以上のフェノール化合物と、ホスゲン、または、ジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを反応させて得られるものである。
前記2価以上のフェノール化合物としては、2価フェノールである、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン;1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのジヒドロキシジアリールアルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキシジアリールシクロアルカン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4‘−ジヒドロキシベンゾフェノン;3,3‘,5,5‘−テトラメチル−4,4‘−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4‘−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類などが挙げられる。
また、前記二価フェノール類以外に、ヒドロキノン,レゾルシノール,メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1,5−ジヒドロキシナフタレン;2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類なども挙げられる。
これらの中では、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4‘−ジヒドロキシベンゾフェノンが本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の成形加工性、難燃性および得られる成形体の機械的強度、難燃性の点から好ましい。これらの二価フェノール等は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組合わせて用いてもよい。
前記炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)には、必要に応じて、分岐性を生成させることを目的として分岐剤を用いるものであってもよい。
前記分岐剤としては、例えば、フロログルシン,メリト酸,トリメリト酸,トリメリト酸クロリド,無水トリメリト酸,没食子酸,没食子酸n−プロピル,プロトカテク酸,ピロメリト酸,ピロメリト酸二無水物,α−レゾルシン酸,β−レゾルシン酸,レゾルシンアルデヒド,トリメチルクロリド,イサチンビス(o−クレゾール),トリメチルトリクロリド,4−クロロホルミルフタル酸無水物,ベンゾフェノンテトラカルボン酸;2,4,4‘−トリヒドロキシベンゾフェノン;2,2‘,4,4‘−テトラヒドロキシベンゾフェノン;2,4,4‘−トリヒドロキシフェニルエーテル;2,2‘,4,4‘−テトラヒドロキシフェニルエーテル;2,4,4‘−トリヒドロキシジフェニル−2−プロパン;2,2‘−ビス(2,4−ジヒドロキシ)プロパン;2,2‘,4,4‘−テトラヒドロキシジフェニルメタン;2,4,4‘−トリヒドロキシジフェニルメタン;1−〔α−メチル−α−(4‘−ジヒドロキシフェニル)エチル〕−3−〔α‘,α‘−ビス(4“−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;1−〔α−メチル−α−(4‘−ジヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α‘,α‘−ビス(4“−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,α‘,α“−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5‘−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4‘−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン;4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4‘−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプタン;1,3,5−トリス(4‘−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス〔4,4−ビス(4‘−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン;2,6−ビス(2‘−ヒドロキシ−5‘−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール;ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2‘−ヒドロキシ−5‘−メチルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン;ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2‘−ヒドロキシ−5‘−イソプロピルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン;テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2‘,4‘,7−トリヒドロキシフラバン;2,4,4−トリメチル−2‘,4‘,7−トリヒドロキシフラバン;1,3−ビス(2‘,4‘−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン;トリス(4‘−ヒドロキシフェニル)−アミル−s−トリアジンなどが挙げられる。
また、場合によっては、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)としては、芳香族ポリカーボネート部と、ポリオルガノシロキサン部とからなる芳香族ポリカーボネートポリオルガノシロキサン共重合体であってもよい。この際ポリオルガノシロキサン部の重合度は5以上が好ましい。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の重合時の末端停止剤としては、公知の各種のものを使用することができる。具体的には、一価フェノールとして、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチルフェノール,p−t−オクチルフェノール,p−クミルフェノール,ブロモフェノール,トリブロモフェノール,ノニルフェノールなどが挙げられる。
さらに、難燃性を高めるために、リン含有化合物との共重合体、あるいは、リン含有化合物で末端封止した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することもできる。さらに、耐候性を高めるためには、ベンゾトリアゾール基を有する二価フェノールとの共重合体、あるいは、ベンゾトリアゾール基を有する一価フェノールで末端封止した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することもできる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)として、好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4‘−ジヒドロキシベンゾフェノンから選ばれる1種以上のフェノール化合物、さらに好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから選ばれる1種以上のフェノール化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルとを反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂あるいは芳香族ポリカーボネートポリオルガノシロキサン共重合体が本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の成形加工性および得られる成形体の機械的強度の点から好ましく用いられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、好ましくは10000〜60000であり、さらに好ましくは15000〜45000、最も好ましくは18000〜35000である。粘度平均分子量が10000未満では得られる樹脂組成物の難燃性、強度などが不充分となり、粘度平均分子量が60000を越えると、成形流動性に問題がある傾向がある。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用される。2種以上組み合わせて使用する場合には、組み合わせは限定されない。例えば、モノマー単位が異なるもの、共重合モル比が異なるもの、分子量が異なるものなどが任意に組み合わせられる。
本発明のスチレン系樹脂(B)は、スチレン又はα−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン誘導体の単独重合体又は共重合体、これらの単量体とアクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのビニルモノマーとの共重合体、ポリブタジエンなどのジエン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、アクリル系ゴムなどにスチレン及び/又はスチレン誘導体、又はスチレン及び/又はスチレン誘導体と他のビニルモノマーをグラフト重合させたものであり、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、MAS樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、MBS樹脂などである。
前記の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)とを溶融混合すると、いわゆるポリマーアロイを形成し、耐熱性及び耐衝撃性の高い成形品が得られる。芳香族ポリカーボネートとスチレン系樹脂との割合は、耐熱性、耐衝撃性、溶融流動性などを損なわない範囲で選択でき、例えば(A)/(B)=40〜100/60〜0(重量部)好ましくは50〜100/50〜0(重量部)、さらに好ましくは55〜90/45〜10(重量部)である。芳香族ポリカーボネートの含有量が40重量部未満であると溶融流動性は高いものの成形品の耐熱性及び耐衝撃性が低下しやすい。
本発明の(C)成分であるシリコーン化合物は、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物からなり、Q単位(SiO2)、T単位(RSiO1.5)、D単位(R2SiO)及びM単位(R3SiO0.5)という4種類の構成単位のうち任意の組合わせで構成され、且つ、
1 m2 nSiO(4-m-n)/2 (1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)の平均組成式で表される。
平均組成式(1)で表されるシリコーン化合物は、分子内に炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1及び炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2の両方を有すること、これら全炭化水素基のモル数の和m+nが1.1≦m+n≦1.7であること、炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1と炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2とのモル比n/mが0.4≦n/m≦2.5という範囲内であること、を満たす。なお、各元素および各炭化水素基の割合は、水素、炭素およびケイ素のNMRを用いて算出する。
炭素数が1〜4の脂肪族炭化水素基R1としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、等が例示される。これらの中で難燃化効果に優れるため好ましいのは、メチル基及びエチル基であり、より好ましいのはメチル基である。本願のシリコーン化合物(C)には複数のR1に該当する部分が存在するが、全て同一であってもよいし、異なる基が混在していてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数が5以上になると、シリコーン化合物自体の難燃性が低下するため難燃化効果が低くなる。
炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2としては特に限定されず、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、等が例示される。これらの中で難燃化効果に優れるため好ましいのは、芳香族環上に置換基を有しない芳香族基であり、より好ましいのはフェニル基である。本願のシリコーン化合物(C)には複数のR2に該当する部分が存在するが、全て同一であってもよいし、異なる基が混在していてもよい。
一般式(1)における全炭化水素基のモル数の和m+nは、1.1≦m+n≦1.7である。m+nの値は好ましくは1.15≦m+n≦1.65、より好ましくは1.18≦m+n≦1.6、さらに好ましくは1.20≦m+n≦1.55の範囲である。m+nの値が1.1未満であっても1.7より上であっても、シリコーン化合物の難燃化効果が低下するため好ましくない。上記のような範囲の構造を構築するにはオルガノシロキサン化合物の骨格中にT単位および/またはQ単位を導入することにより達成でき、一般にそれらの単位の導入量が多いほど上記範囲を容易に達成できる。
T単位および/またはQ単位の導入量としては全Si原子中の20%以上が好ましく、25%以上がさらに好ましく、30%以上が最も好ましい。T単位および/またはQ単位の導入量が増えるに従い、本発明の(D)成分である無機ケイ酸塩化合物との相溶性が向上するため、より難燃効果の相乗性が向上する。
炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1と炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2とのモル比n/mは、0.4≦n/m≦2.5という範囲内である。n/mが0.4未満であると、分子内に一価の脂肪族炭化水素基R1が多くなるが、この時にはシリコーン化合物の耐熱性が低下してシリコーン化合物の難燃化効果が低下する原因となる。また逆にn/mが2.5以上であっても、シリコーン化合物の難燃化効果が低下する原因となる。n/mの値は、好ましくは0.43≦n/m≦2.3、より好ましくは0.45≦n/m≦2.1、さらに好ましくは0.47≦n/m≦2.0である。
このようなシリコーン化合物は既知のシリコーン合成法により容易に合成することができる。すなわち、R3SiXで表される一官能性ケイ素化合物、R2SiX2で表される二官能性ケイ素化合物、RSiX3で表される三官能性ケイ素化合物、四ハロゲン化ケイ素、テトラアルコキシシラン、およびそれらの縮合物である有機ケイ素化合物や、水ガラス、金属ケイ酸塩などの無機ケイ素化合物のなかから必要に応じて選択した少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種のケイ素化合物を縮合反応させることにより合成できる。なお、式中、Rは、芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を表す。Xは、ハロゲン、水酸基、アルコキシ基などの、縮合してシロキサン結合を形成しうる基を表す。
反応条件は、用いる基質や目的化合物の組成および分子量によって異なる。反応は、一般的に、必要により水、酸及び/又は有機溶媒の存在下で、必要により加熱しながらケイ素化合物を混合することにより行うことができる。各ケイ素化合物の使用割合は、得られるシリコーン化合物が上記条件を満たすよう、各単位の含量、芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基の比率を考慮して、適宜設定すればよい。
さらに、上記シリコーン化合物の数平均分子量は1000〜200000の範囲にある。好ましくは1500〜1500000であり、2000〜100000の範囲がより好ましい。一般に、従来技術で挙げたシリコーン系化合物においては分子量と難燃性について議論されているが、本発明においては、分子量の大小に関係なく、分子内のシロキサン結合の任意の比率によりシリコーンの耐熱性が制御できるので、上記範囲内においては、分子量が難燃性に致命的に影響を及ぼすものではない。数平均分子量が1000より小さい場合にはシリコーン化合物の耐熱性が低く、難燃性も不十分である。また、数平均分子量が200000より大きい場合は、樹脂中での分散性や加工成形性に劣るといった問題がある。
本発明のシリコーン化合物(C)の添加量としては、芳香族ポリカーボネート(A)とスチレン系樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部であり、物性の発現および経済的な面から添加量は0.3〜15重量部が好ましく、0.5〜10重量部が最も好ましい。添加量が0.1重量部未満では難燃性が不十分である場合があり、20重量部以上では特に物性面での問題はないが、より経済性が求められる。
本発明の金属ケイ酸塩化合物(D)は、pHが8.0以上であり、SiO2単位が30重量%以上を占める、平均粒子径が1nm〜100μmの範囲にあるものである。この成分は特定のシリコーン化合物と併用して添加することにより難燃効果を高める目的で用いられ、SiO2単位は30重量%以上であり、難燃性の観点から35%以上が好ましく、40重量%以上がさらに好ましい。
(D)成分として用いる、SiO2単位が30重量%以上を占める金属ケイ酸塩化合物としては特に限定されず、K、Na、Li、Ca、Mn、Fe、Ni、Mg、Fe、Al、Ti、Zn、Zrのうちから選ばれる一種以上金属元素を含有するものである。具体的な物質としては珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、珪藻土、スメクタイト等が挙げられる。なかでも、マイカ、タルク、カオリン又はスメクタイトが、得られる樹脂組成物の難燃性や機械的強度にも優れるため好ましい。
金属ケイ酸塩化合物(D)は、平均粒子径が1nm〜100μmの微粒子である。平均粒子径が100μmを超えると、得られる成形品の外観が損なわれたり、樹脂組成物の衝撃強度が低下する傾向が見られる。好ましくは1nm〜70μm、さらに好ましくは10nm〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmである。 なお、本発明でいう平均粒子径とはマイクロトラックレーザー回折法により測定する事ができる。
金属ケイ酸塩化合物(D)の形状については特に限定されないが、代表的なものとして、粉体状、粒状、針状、板状等が挙げられる。この無機化合物は天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。
本発明の金属ケイ酸塩化合物(D)は、pHが8.0以上を示すものである。金属ケイ酸塩化合物のpHが8.0以上であるということは、ケイ酸アニオンと金属カチオンとから構成されるイオン結合的性質を有していることであり、金属ケイ酸塩自身は熱的に安定であるものも、シリコーン化合物が共存する場合にはそのイオン結合性により高温条件でシリコーン化合物と化学的相互作用し難燃性に相乗的に効果を及ぼしているものと考えられる。なお、本発明でいうpHは、JIS−K−5101 B法に基づき、デジタルpH計にて測定する事ができる。
このような金属ケイ酸塩化合物(D)は、樹脂との接着性を高めるため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、エポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤は、樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。その他にもポリオキシエチレンシラン等を用いることができる。表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
これら金属ケイ酸塩化合物(D)は、1種類のみを単独で用いてもよいし、平均粒子径、種類、表面処理剤等が異なる2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における金属ケイ酸塩化合物(D)の使用量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及びスチレン系樹脂(B)の二成分の合計100重量部に対して、0.5〜40重量部である。0.5重量部未満であると、得られる樹脂組成物の難燃性が不十分であり、40重量部を超えると、得られる成形品の耐衝撃性や表面性が低下する傾向がある。好ましくは0.7〜30重量部であり、より好ましくは1〜25重量部である。
本発明のヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E)は、多価アルコールと縮合ヒドロキシ脂肪酸を反応して得られるエステルである。使用する多価アルコールに特に制限はなく、例えば、ペンタエリスリトール、グリセリンなどのアルカンポリオール;ショ糖、乳糖、ブドウ糖などの糖類;ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコール;テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリンなどのポリグリセリン;ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのポリアルカンポリオールなどを挙げることが出来る。
ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E)の合成に使用する縮合ヒドロキシ脂肪酸は、水酸機を有する脂肪酸同士のエステル化による縮合物であれば特に制限はなく、例えば、リシノレイン酸、9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、水素添加ヒマシ油脂肪酸、サビニン酸、イプロール酸、ヤラピノール酸、ユニペリン酸、アンブレットール酸、アリューリット酸、カムロレン酸、フェロン酸、セレブロン酸などの縮合物を挙げることができる。
ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E)の製造方法に特に制限はなく、例えば、上記の多価アルコールと縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを、無触媒で、または、リン酸、p−トルエンスルホン酸、水酸化ナトリウムなどの触媒の存在化に、100〜300℃、より好ましくは120〜250℃に加熱し、生成する水を系外に除去することによって得ることができる。このエステル化反応は、不活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。反応の進行状況は、生成する水の量と、反応物の酸価を測定することにより、確認することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E)の使用量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及びスチレン系樹脂(B)の二成分の合計100重量部に対して、0.05〜10重量部である。ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E)を用いることにより成型流動性と得られる成型体の機械的強度が向上できる。その使用量は前記の基準で0.05重量部未満であると、得られる樹脂組成物の溶融粘度低下効果が不十分すなわち成型流動性改良効果が十分でなく、10重量部を超えると、溶融粘度低下効果が一定以上得られなくなることに加えて、得られた成形品の機械強度が低下する傾向がある。好ましくは0.05〜8.5重量部であり、より好ましくは0.08〜7重量部である。
本発明で用いられるフッ素系樹脂(F)とは、フッ素原子を有する樹脂である。具体的には、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素化ポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂などを挙げることができる。また、該フッ素系樹脂の製造に用いる単量体と共重合可能な単量体とを併用し重合してえられた共重合体を用いてもよい。
フッ素系樹脂(F)としては好ましくはフッ素化ポリオレフィン樹脂であり、さらに好ましくは、平均粒径が700μm以下のフッ素化ポリオレフィン樹脂である。ここでいう平均粒径とは、フッ素化ポリオレフィン樹脂の一次粒子が凝集して形成される二次粒子の平均粒径をいう。
さらに、フッ素化ポリオレフィン樹脂で好ましくは、密度と嵩密度の比(密度/嵩密度)が6.0以下のフッ素化ポリオレフィン樹脂である。ここでいう、密度と嵩密度とは、JIS−K6891に記載されている方法にて測定したものである。
フッ素系樹脂(F)は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、組み合わせは限定されない。たとえば、種類の異なるものなどが任意に用いられる。
フッ素系樹脂(F)の使用量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)およびスチレン系樹脂(B)の二成分の合計100重量部に対して0.005〜1重量部であり、好ましくは0.01〜0.75重量部、さらに好ましくは0.02〜0.6重量部である。使用量が0.005未満では、難燃性を向上させる効果が小さく、1重量部を越えると本発明の難燃性樹脂組成物の成形流動性、成形体表面外観性が低下する傾向にあるため好ましくない。
本発明の難燃性樹脂組成物には、更に成形流動性を高めたり、難燃性を向上させるために、本発明の特性(難燃性等)を損なわない範囲で、本発明以外のシリコーン化合物等を添加することができる。
シリコーン化合物は、広義のポリオルガノシロキサンのことをさし、具体的には、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等の(ポリ)ジオルガノシロキサン化合物;メチルシルセスキオキサン、フェニルシルセスキオキサン等の(ポリ)オルガノシルセスキオキサン化合物;トリメチルシルヘミオキサン、トリフェニルシルヘミオキサン等の(ポリ)トリオルガノシルヘミオキサン化合物;これらを重合して得られる共重合体;ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンである場合には、分子末端がエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、エーテル基等により置換された変性シリコーンも有用である。シリコーンの形状には特に制限はなく、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット状など任意のものが利用可能である。
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物は、樹脂組成物の耐熱性や機械的強度をより高めるため、金属ケイ酸塩化合物(D)以外の強化充填剤を更に添加することができる。このような強化充填剤としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維状強化剤;酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物;炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラス粉末、セラミック粉末、金属粉末、カーボンブラック等が挙げられる。これら強化充填剤は単独で用いてもよいが、種類、粒子径や長さ、表面処理等が異なる2種以上を併用してもよい。
上記強化充填剤は、樹脂との接着性を高めるため、表面処理がなされていてもよい。このような表面処理を行うために用いられる表面処理剤としては特に限定されないが、エポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤が、樹脂の物性を低下させることがないため好ましい。表面処理の方法としては特に限定されず、通常の処理方法が用いられる。
これら強化充填剤を使用する場合、その添加量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)の合計100重量部に対して、100重量以下である。添加量が100重量部を超えると、耐衝撃性が低下するうえ、成形加工性や難燃性が低下する場合もある。好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。また、これら強化充填剤の添加量が増加するとともに、成形品の表面性や寸法安定性が悪化する傾向が見られるため、これらの特性が重視される場合には、強化充填剤の添加量をできるだけ少なくすることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物の特性を損なわない範囲でさらに他の任意の熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム状弾性体等を単独あるいは2種以上あわせて添加しても良い。
また本発明の難燃性樹脂組成物をより高性能な物にするため、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、等の酸化防止剤、リン系安定剤、等の熱安定剤、等を単独または2種類以上併せて使用することが好ましい。さらに必要に応じて、通常良く知られた、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤、等の添加剤を単独または2種類以上併せて使用することが出来る。
本発明で製造された難燃性樹脂組成物の成形加工法は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、例えば射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、等が適用できる。
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下では特にことわりがない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。
(製造例1):シリコーン化合物(C1)の製造
ジクロロジフェニルシラン(470g)、ジクロロジメチルシラン(80g)、多摩化学工業社製Mシリケート51(300g)を5Lフラスコに計りとり、MIBK(1200g)を加えた後10℃以下で水(340g)を滴下した。その後反応混合物を70℃に過熱して3時間反応させた。その後室温に戻した後クロロトリメチルシラン(270g)、次いで水(45g)を滴下した後55℃で3時間反応させた。得られた反応混合物は中性になるまで水洗し、分離した有機相を減圧下溶媒を留去することにより目的のシリコーン化合物(C1)を得た。NMR分析から、平均組成式(1)で表される構成比率がm=0.80、n=0.61であり、従って、m+n=1.41、n/m=0.76と算出できた。
実施例、比較例で用いた原料を以下にまとめて示す。
PC:粘度平均分子量が22000のビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート(出光石油化学(株)製タフロンA2200またはFN2200A)
ABS:アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(日本エイアンドエル(株)製ABS GA−501)金属ケイ酸塩化合物
(D1):タルク(日本タルク(株)製 SG−200、pH=9.3、SiO2単位含有量=60wt%、平均粒子径=3.2μm)
(D2):マイカ((株)山口雲母工業所製 A−21S、pH=8.0、SiO2単位含有量=45wt%、平均粒子径=22.5μm)
(E1):ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(太陽化学(株)製 チラバゾールP−4)
(F)フッ素樹脂:テトラフルオロエチレン(ダイキン工業製ポリフロンFA−500)(以下、PTFEと略記)。
(実施例1)
樹脂組成物の調製
芳香族ポリカーボネート樹脂90重量部、ABS樹脂10重量部、製造例1で製造した樹脂添加用難燃剤(C1)5重量部、タルク(D1)5重量部、ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E1)1重量部、並びに、燐系及びフェノール系安定剤としてそれぞれアデカスタブHP−10及びAO−60(いずれも旭電化製で商品名)各0.15重量部、PTFE0.3重量部を予めドライブレンドした後、シリンダー温度を270℃に設定したベント付き二軸押出機[TEX44(商品名):日本製鋼所製]のホッパーに供給し溶融押出することにより樹脂組成物を得た。
試験片の作成
得られたペレットを120℃にて5時間乾燥させた後、100t射出成形機を用い、シリンダー温度295℃、金型温度80℃にて各試験片を作成して下記の評価を行った。
評価方法
Izod衝撃強度:ASTM D256に従い測定した。試験片は、厚みが6.4mmでノッチ付きのものを用いた。
熱変形温度(HDT):ASTM D648に従い測定した。
スパイラルフロー評価:得られたペレットを120℃にて5時間乾燥させた後、75t射出成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定し、射出圧力1100kgf/cm2で、3mm厚みの角型スパイラルを射出成形し、その長さ(mm)で成形流動性を評価した。
難燃性:UL−94規格に従い難燃性をV試験で評価し、総燃焼秒数を求めた。
樹脂の種類、配合量及び、添加剤の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。こうして得られたペレットから、上と同様にして各試験片を作成した。これらの試験片で上記評価方法を実施した。評価結果を表1、表2に示す。
Figure 2006274187
Figure 2006274187
表1に示す通り、実施例ではいずれも非常に良好な難燃性を示し短時間に自己消火している。また、実施例ではいずれもバランスの良い難燃性、耐熱性、耐衝撃性及び流動性を示した。
比較例2から比較例5ではシリコーン化合物または金属ケイ酸塩化合物が単独で添加されており難燃性が不十分であった。比較例6では本発明のシリコーン化合物を用いていないため難燃化効果が不十分であった。また、比較例1にベース樹脂のみの物性を示したが、この結果から、いずれの実施例においても各物性が向上していることがわかる。
表1に示すように、いずれも本発明の組成物を形成することにより難燃性、耐熱性、耐衝撃性及び流動性に優れた樹脂組成物が提供できる。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリカーボネート(A)40〜100重量部とスチレン系樹脂(B)60〜0重量部で構成された熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して平均組成式(1)
    1 m2 nSiO(4-m-n)/2 (1)
    (式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)で表されるシリコーン化合物(C)0.1〜20重量部、pHが8.0以上であり、SiO2単位が30重量%以上を占める、平均粒子径が1nm〜100μmの範囲にある金属ケイ酸塩化合物(D)0.5〜40重量部および、ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(E)0.05〜10重量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. さらにフッ素樹脂(F)0.005〜1重量部含有する請求項1記載の系難燃性樹脂組成物。
  3. (C)成分のシリコーン化合物が、R3SiO3/2単位(式中R3は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜24の芳香族基、からなる群より選択され、同一であっても、異なってもよい)および/またはSiO2単位を全Si原子中の20%以上含有するシリコーン化合物である請求項1または2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. (C)成分のシリコーン化合物が、1000から200000の範囲にある数平均分子量である請求項1から3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. (D)成分の金属ケイ酸塩化合物がK、Na、Li、Ca、Mn、Fe、Ni、Mg、Fe、Al、Ti、Zn、Zrのうちから選ばれる一種以上金属元素を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019198303A1 (ja) * 2018-04-12 2019-10-17 ソニー株式会社 樹脂組成物及び樹脂組成物の製造方法、並びに樹脂成形体の製造方法

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