JP2006272958A - 溶液製膜方法及び設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】テンタークリップでの噛みちぎりと把持不良とを防止する。
【解決手段】セルロースアシレートドープを流延してフィルム66とし、テンタにより乾燥したあと、両側端部を切断する。テンタではテンタークリップ101によりフィルム66の両側端部が把持される。乾燥された後のフィルム66の幅方向における中心部の厚みt1(μm)と切断された両側端部の厚みt2(μm)とが、0.5×(t1)≦t2≦1.2×(t1)となるように流延ダイからセルロースアシレートドープが流延される。これにより、フィルム66のテンタークリップ101による噛みちぎりが防止されるとともに、側端部のカールが抑制されて、テンタークリップ101に両側端部が良好に把持される。
【選択図】図3

Description

本発明は溶液製膜方法及び設備に関するものであり、特に、液晶表示装置等の光学分野に用いられるフィルムを製造するための溶液製膜方法及び設備に関するものである。
オプトエレクトロニクス分野に使用されるポリマーフィルムには、溶液製膜方法によって製造されているものが多くある。溶液製膜方法で製造されたポリマーフィルムは、溶融押出法で得られるフィルムに比べ、光学的等方性、厚み均一性に優れ、また、異物の含有率も低く、例えば、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、透明導電性フィルム等として利用される。中でも、セルロースアシレートフィルムは、透明性、適度な透湿性を有し、機械的強度が大きく、かつ、寸法安定性については湿度及び温度に対する依存性が低いことから、広く用いられているもののひとつである。溶液製膜方法はセルロースアシレート等のポリマー及び各種添加剤を溶媒によってドープにしたあと、このドープをダイから流延支持体へ流延し、自己支持性をもったところで流延膜を剥ぎ取って、これを乾燥工程で乾燥させてフィルムとするものである。流延支持体は連続して回転走行する金属ドラムあるいはバンドとされている。
また近年では、上記のようなオプトエレクトロニクス分野の発達がめざましく、その素材のひとつとしてのポリマーフィルムに対しては、高機能化及び多機能化の要望が強くなっている。特に、光学特性等との兼ね合いからフィルムの厚み精度についての要求特性は厳しく、用途に応じた厚み制御と光学特性の制御とが溶液製膜技術には求められる。
溶液製膜工程の中でも特に支持体上での流延膜の乾燥条件は、フィルムのリタデーション値(Re、Rth)等の光学特性に大きく影響を与えるとともに、幅方向と長手方向とにおける各厚み均一性にも大きな影響を及ぼすので、流延速度に応じて制御される必要がある。例えば、生産効率を上げるための支持体速度を大きくすると、支持体上の流延膜の乾燥時間が短くなるので乾燥の条件幅が小さくなる。したがって、場合によっては、支持体の走行速度に応じて、支持体上の流延膜を乾燥させる乾燥手段や支持体よりも下流の種々の乾燥手段を、製造するフィルムの種類に応じて取り替える等の必要性が生じてしまい、設備の煩雑さやスペース確保の困難、設備コストの上昇等の問題が生じてしまう。さらに、支持体上での乾燥時間が短くなると、乾燥不足により、支持体の下流にあるテンタ装置では、テンタークリップによるフィルム側端部の噛みちぎりやカールによる把持不良等を起こすという問題がある。また、支持体上での乾燥時間の短縮に応じるために流延膜の両側端部の厚みを薄くしすぎると、フィルムの両側端部の機械的強度が小さくなりすぎて、破断してしまうことがある。このように、支持体上での流延膜の乾燥条件により、テンタ装置での把持安定性が左右されることになる。
そこで、例えば、特許文献1では、耳部のばたつきを抑えて後工程を安定化させるために、ドープを流延ダイより支持体上へ流延する溶液製膜方法において、ドープの揮発分が1%未満であって、側端部のフィルム厚みをA(μm)、幅方向の中心部分の厚みをB(μm)とするときに、A≧B+5(ただし、30≦B<45)、A≧B+3(ただし、45≦B≦65)として側端部の厚みを幅方向における中心の厚みよりも大きくする方法を提案している。
特開2002−337174号公報
しかしながら、特許文献1の方法により側端部のばたつきが抑制されるのはフィルムの厚みが極薄い場合であって、例えば70μm以上の場合には効果が無い場合もある。また、テンタークリップによる噛みちぎりやカール発生に対する効果には言及していない。
そこで、本発明は、テンタークリップによる噛みちぎりや把持不良を防止するために、支持体へのドープの流延条件を制御する方法及び設備を提案することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、連続走行する支持体上にセルロースアシレートドープを流延ダイにより流出させて、フィルムとして前記支持体から剥ぎ取り、テンタ装置でこのフィルムの両側端部を把持手段により把持しながら乾燥した後、前記両側端部を切断する溶液製膜方法において、この両側端部が切断されたフィルムの幅方向における中心の厚みをt1(単位;μm)、切断された両側端部の厚みをt2(単位;μm)とするとき、0.5×(t1)≦t2≦1.2×(t1)となるように、セルロースアシレートドープの流延ダイからの流出量を流延ダイの幅方向に沿って制御することを特徴として構成されている。
前記流延ダイから出された前記セルロースアシレートドープの両側端部が外側に広がるように、前記流延ダイから前記セルロースアシレートドープを流出させることが好ましく、前記中心部の厚みt1が70〜200μm、前記支持体の走行速度が40〜80m/分であることが好ましい。
また、本発明は、連続走行する支持体と、この支持体上にセルロースアシレートドープを流出する流延ダイと、前記セルロースアシレートドープを前記支持体からフィルムとして剥ぎ取った後に、このフィルムを把持手段により把持しながら乾燥するテンタ装置とを備える溶液製膜設備において、前記流延ダイが、前記セルロースアシレートドープの流出量を前記支持体の幅方向に沿って変化させるための流出量制御手段を備えることを特徴として含んで構成されている。
前記流出量制御手段は、前記セルロースアシレートドープの流出口の幅方向における中心の開口間隔CL1と両側端部の開口間隔CL2とを独立制御するために前記流延ダイの幅方向に複数備えられた複数のヒートボルトであることが好ましい。
前記流出口の両側端部に、前記セルロースアシレートドープが前記支持体の幅方向へ広がりながら流出するための流れ制御部材が備えられたことが好ましい。
本発明により、支持体へのドープの流延条件を制御することができるので、支持体上での流延膜の乾燥状態が良好となり、テンタークリップによる噛みちぎりや把持不良を防止することができる。
セルロースアシレートフィルムを製造するための原料について説明する。
[原料]
本実施形態においては、セルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)を用いており、これが特に好ましい。TACとしては、リンター綿とパルプ綿とのいずれから得られたものでもよいが、好ましくはリンター綿から得られたものである。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、セルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90質量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、D6S/(DS2+DS3+DS6)は0.32以上が好ましく、より好ましくは0.322以上、特に好ましくは0.324〜0.340である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。
セルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位及び6位の水酸基のアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、より好ましくは2.2〜2.86であり、特に好ましくは2.40〜2.80である。また、DSBは1.50以上であることが好ましく、特に好ましくは1.7以上である。さらに、DSBは、その28%以上が6位水酸基の置換基であって、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。さらに、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.80以上であり特に好ましくは0.85以上であるセルロースアシレートを用いることである。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液(ドープ)をつくることができ、特に、非塩素系有機溶媒を使用して良好な溶液をつくることができる。さらに、粘度が低くてろ過性の良い溶液をつくることができる。
セルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステル等であり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ケプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等を挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等がより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。
また、ドープを調製するための溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコール等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)等が例示される。なお、ここで、ドープとはポリマーを溶媒に溶解または分散して得られるポリマー溶液または分散液である。
これらの中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。そして、TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度、フィルムの光学特性等の特性の観点から、炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類を、ジクロロメタンに混合して用いることが好ましい。このとき、アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2質量%〜25質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることがより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられるが、中でも、メタノール、エタノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物がより好ましく用いられる。
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶媒組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることがある。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。なお、溶媒は、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を化学構造中に有するものであってもよい。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載は本発明にも適用することができる。また、溶媒及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤,光学異方性コントロール剤,染料,マット剤,剥離剤等の添加剤についても、同じく特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
湿度変化や高温経時による質量変化や寸法変化に伴いRe及びRthは変化するが、このRe及びRthの値の変化は少ないほど好ましい。湿度による光学特性変化を少なくするために6位アシル置換度の大きなセルロースアシレートを使用するほかに、疎水性の各種添加剤(可塑剤、レタデーション制御剤、紫外線吸収剤等)を用いることによって、フィルムの透湿度や平衡含水率を小さくする。好ましい透湿度は60℃、95%RH24時間で1平方メートル当たり400gから2300gである。好ましい平衡含水率は25℃、80%RHにおける測定値が3.4%以下である。25℃における湿度を10%RHから80%RHに変化させた時の光学特性の変化量がRe値で12nm以下、Rth値で32nm以下であることが好ましい。好ましい疎水性添加剤の量はセルロースアシレートに対して10%から30%であり、12%から25%がより好ましく、14.5%から20%が特に好ましい。添加剤に揮発性や分解性があってフィルムの質量変化や寸法変化が発生すると光学特性変化が起こる。従って80℃、90%RHで48時間経時した後のフィルムの質量変化量は5%以下であることが好ましい。同様に60℃、95%RHで24時間経時後の寸法変化量は5%以下であることが好ましい。また、寸法変化や質量変化が少々あっても、フィルムの光弾性係数が小さいと光学特性の変化量は少なくなる。従って、フィルムの光弾性係数が50×10-13 cm2 /dyne以下であることが好ましい。
[ドープ製造方法]
次に、ドープ製造方法について説明する。上記の原料を用いて、まずドープを製造する。図1にドープ製造設備10を示す。ドープ製造設備10には、溶媒を貯留するための溶媒タンク11と、溶媒とTAC等とを混合するための混合タンク13と、TACを供給するためのホッパ14と、添加剤を貯留するための添加剤タンク15とが備えられ、さらに、後述する膨潤液を加熱するための加熱装置26と、加熱された膨潤液の温度を調整するための温調機27と、第1濾過装置28、第2濾過装置35と、ドープ濃度を調整するためのフラッシュ装置31とが配されている。そしてドープ製造設備10には、さらに、溶媒を回収するための回収装置32と、回収された溶媒を再生するための再生装置33とが備えられている。そして、このドープ製造設備10は、ストックタンク30を介して溶液製膜設備40に接続されている。
本実施形態においては、上記のドープ製造設備10を用いて以下の方法でドープが製造される。まず始めに、バルブ12を開き、溶媒が溶媒タンク11から混合タンク13に送られる。次に、ホッパ14の中のTACが、混合タンク13に送り込まれる。なお、TACは、計量されてから混合タンク13に送りこまれてもよいし、送出速度を制御する機構を備えた送出手段により、計量と混合タンク13への送り出しとが連続的になされてもよい。また、添加剤溶液は、バルブ16の開閉操作により必要量が添加剤タンク15から混合タンク13に送り込まれる。
添加剤は、溶液として送り込む方法の他に、例えば、添加剤が常温で液体の場合には、その液体の状態で混合タンク13に送り込むことが可能である。また、添加剤が固体の場合には、ホッパ等を用いて混合タンク13に送り込む方法も可能である。添加剤を複数種類添加する場合には、添加剤タンク15の中に複数種類の添加剤を溶解させた溶液を入れておくこともできるし、多数の添加剤タンクを用いてそれぞれに添加剤が溶解している溶液を入れて、それぞれ独立した配管により混合タンク13に送り込むこともできる。
前述した説明においては、混合タンク13に入れる順番が、溶媒(混合溶媒の場合も含めた意味で用いる)、TAC、添加剤であったが、この順番に限定されるものではない。例えば、TACを計量しながら混合タンク13に送り込んだ後に、好ましい量の溶媒を送液することもできる。また、添加剤は必ずしも混合タンク13に予め入れる必要はなく、後の工程でTACと溶媒との混合物(以下、これらの混合物もドープと称する場合がある)に混合させることもできる。
混合タンク13には、図1に示すようにその外面を包み込むジャケット17と、第1モータ18により回転する第1攪拌機19とが備えられている。さらに、図1に示すように、この混合タンク13には、第2モータ20により回転する第2攪拌機21が取り付けられていることが好ましい。なお、第1攪拌機19は、アンカー翼が備えられたものであることが好ましく、第2攪拌機21は、ディゾルバータイプの偏芯型攪拌機であることが好ましい。また、本実施形態で用いた混合タンク13は、ジャケット17の内部に伝熱媒体を流すことにより温度調整されており、その好ましい温度範囲は−10℃〜55℃の範囲である。そして、第1攪拌機19及び第2攪拌機21のタイプを適宜選択して使用することにより、TACが溶媒中で膨潤した膨潤液22を得る。
次に、膨潤液22は、ポンプ25により加熱装置26に送られる。加熱装置26は、ジャケット付き配管であることが好ましく、さらに、膨潤液22を加圧することができる構成のものが好ましい。このような加熱装置26を用いることにより、加熱条件下または加圧加熱条件下で膨潤液22中の固形分を溶解させる。なお、膨潤、溶解における温度は、0℃〜97℃であることが好ましい。また、加熱装置26を用いずに、膨潤液22を−100℃〜−10℃の温度に冷却する周知の冷却溶解法を行うこともできる。加熱溶解法及び冷却溶解法を適宜選択して行うことでTACを溶媒に十分溶解させることが可能となる。ドープを、温調機27により略室温とした後に、第1濾過装置28によりろ過してドープ中に含まれる不純物を取り除く。第1濾過装置28に使用される濾過フィルタは、その平均孔径が100μm以下のものであることが好ましい。ろ過流量は、50リットル/hr.以上であることが好ましい。ろ過後のドープは、バルブ29を介してストックタンク30に送られここに貯留される。
ところで、上記のように、一旦膨潤液22を調製し、その後にこの膨潤液22を溶液とする方法は、TACの濃度を上昇させるほど要する時間が長くなり、製造コストの点で問題となる場合がある。その場合には、目的とする濃度よりも低濃度のドープを調製し、その後に目的の濃度とするための濃縮工程を行うことが好ましい。このような方法を用いる際には、第1濾過装置28で濾過されたドープを、バルブ29を介してフラッシュ装置31に送り、このフラッシュ装置31内でドープ中の溶媒の一部を蒸発させる。蒸発により発生した溶媒ガスは、凝縮器(図示しない)により凝縮されて液体となり回収装置32により回収される。回収された溶媒は、再生装置33によりドープ調製用の溶媒として再生されて再利用される。この再利用はコストの点で効果がある。
また、濃縮されたドープ36はポンプ34によりフラッシュ装置31から抜き出される。さらに、ドープ36に発生した気泡を抜くための泡抜き処理が行われることが好ましい。この泡抜き方法としては、公知の種々の方法が適用され、例えば超音波照射法が挙げられる。ドープ36は続いて第2濾過装置35に送られて、異物が除去される。なお、ろ過の際のドープ36の温度は、0℃〜200℃であることが好ましい。そして、ドープ36はストックタンク30に送られ、貯蔵される。
なお、フィルムの原料となるドープ36と、ドープ36に添加される添加剤液(例えば、紫外線吸収剤液等)とを移送中に混合するインラインミキサ(例えば、スタティックミキサ等)を用いて混合させることが好ましい。また、混合方法の異なる複数のインラインミキサを直列に接続して混合を行うことがより好ましい。
インラインミキサとして、スタティックミキサと、スルーザミキサとのうち、少なくとも1つを備えていることが好ましい。スタティックミキサを備えた場合、スタティックミキサのエレメント数が6以上9以下であることが好ましく、6以上60以下であることがより好ましい。
スタティックミキサと、スルーザミキサとの両方を備えている場合には、スルーザミキサをスタティックミキサの上流側に配置することが好ましい。さらに、スルーザミキサと添加剤液を添加する添加口との距離が5mm以上150mm以下であることが好ましく、さらには、スルーザミキサと添加剤液を添加する添加口との距離が5mm以上15mm以下であることがより好ましい。また、スルーザミキサを構成するエレメントの上流側端部が、前記原料ドープの流される配管の内側壁近傍に位置することが好ましい。
さらに、原料ドープをろ過する第1のろ過装置をインラインミキサの上流側に備え、第1のろ過装置によるろ過後の原料ドープに添加剤を添加することが好ましく、さらには、インラインミキサの下流側に、ドープをろ過する第2のろ過装置を備え、インラインミキサにより混合されたドープを第2のろ過装置によりろ過することがより好ましい。
また、本発明は、以下を満たしていることが好ましい。
(1) 添加剤液の流速をV1、原料ドープの流速をV2としたときに、1≦V1/V2≦5である。
(2) 添加剤液の添加比率が、流量比で0.1%〜50%である。
(3) 添加剤液の粘度をN1、前記原料ドープの粘度をN2としたときに、1000≦N2/N1≦100000、を満たすとともに、20℃の状態において、5000cP≦N1≦500000cP、かつ、0.1cP≦N2≦100cP、を満たしている。
(4) 原料ドープのせん断速度が、0.1(1/s)〜30(1/s)である。
(5) ポリマーがセルロースアシレートである。
(6) 添加剤液が、ポリマー溶液の主溶媒を含んだ溶液である。
(7) 添加剤液が、ポリマー溶液の主溶媒を含んだ溶液であり、かつ、ドープと異なる組成である。
(8) 添加剤液が、ポリマー溶液の主溶媒を含んだ溶液であり、かつ、少なくとも1種類の紫外線吸収剤を含んでいる。
(9) 添加剤液が、ポリマー溶液の主溶媒を含んだ溶液であり、かつ、少なくとも1種類の無機または有機の微粒子を分散してなる。
(10) 添加剤液が、ポリマー溶液の主溶媒を含んだ溶液であり、かつ、少なくとも1種類の剥離促進剤を含んでいる。
(11) 添加剤液が、ポリマー溶液の主溶媒を含んだ溶液であり、かつ、少なくとも1種類の貧溶媒を含んでいる。
以上の方法により、TAC濃度が5質量%〜40質量%であるドープを製造することができる。なお、TACフィルムを得る溶液製膜法における素材、原料、添加剤の溶解方法、ろ過方法、脱泡、添加方法については、特開2005−104148号公報の[0517]段落から[0616]段落が詳しく、これらの記載も本発明に適用することができる。
[溶液製膜方法]
次に、上記で得られたドープ36を用いてフィルムを製造する方法を説明する。図2は溶液製膜設備40を示す概略図である。ただし、本発明は、図2に示すような溶液製膜設備に限定されるものではない。上記のようにストックタンク30を介してドープ製造設備10と接続されている溶液製膜設備40には、ろ過装置44と、流延ダイ50と、回転ローラ51,52に掛け渡された流延バンド53と、テンタ80とが備えられており、さらに、耳切装置82と、乾燥室85と、冷却室87と、巻取室90とが配されている。
ストックタンク30には、モータ41で回転する攪拌機42が取り付けられている。そして、攪拌機42を常時回転させることにより、ストックタンク30の中に貯留されているドープ36は攪拌される。これにより、ドープ36での凝集物の発生が抑制されて均一な状態が保持されている。また、このストックタンク30は、ポンプ43、ろ過装置44を介して流延ダイ50と接続されている。
流延ダイ50の材質としては、2層ステンレス鋼、または、析出硬化型のステンレス鋼が好ましく、その熱膨張率が2×10-5(℃-1)以下であることが好ましい。そして、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316と略同等の耐腐食性を有するものも、この流延ダイ50の材質として用いることができ、さらに、ジクロロメタン、メタノール、水の混合液に3ヵ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有するものが用いられる。さらに、鋳造後1ヶ月以上経過したものを研削加工して流延ダイ50を作製することが好ましい。これにより流延ダイ50内を流れるドープの面状が一定に保たれる。流延ダイ50と後に説明するフィードブロックとの接液面の仕上げ精度は、表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であることが好ましい。流延ダイ50のスリットのクリアランスは、自動調整により0.5mm〜3.5mmの範囲で調整可能とされている。流延ダイ50のリップ先端の接液部の角部分について、そのRは全巾にわたり50μm以下とされている。また、流延ダイ50の内部における剪断速度が1(1/sec.)〜5000(1/sec.)となるように調整されていることが好ましい。
流延ダイ50の幅は特に限定されるものではないが、最終製品となるフィルムの幅の1.0倍〜2.0倍程度であることが好ましい。また、製膜中の温度が所定温度に保持されるように、この流延ダイ50に温調機を取り付けることが好ましい。なお、流延ダイ50はコートハンガー型のものを用いることが好ましい。
流延ダイ50のリップ先端には硬化膜が形成されていることがより好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、セラミックスコーティング、ハードクロムめっき、窒化処理方法等が挙げられる。硬化膜の材料としてセラミックスを用いる場合には、研削でき気孔率が低く脆くなく耐腐食性が良く、かつ流延ダイ50と密着性がないものが好ましい。具体的には、タングステン・カーバイド(WC)、Al2 3 、TiN、Cr2 3 等が挙げられるが、中でも特に好ましくはWCである。WCコーティングは、溶射法で行うことができる。なお、流延ダイ50については、別の図面を用いて後で詳細に説明するものとする。
流延ダイ50の下方には、回転ローラ51,52に掛け渡された流延バンド53が設けられている。回転ローラ51,52は、駆動装置(図示しない)により回転し、この回転に伴い流延バンド53は無端で走行する。流延バンド53は、その移動速度、すなわち流延速度が10m/分〜200m/分で移動できるものであることが好ましい。また、流延バンド53の表面温度を所定の値にするために、回転ローラ51,52には伝熱媒体循環装置54が取り付けられていることが好ましく、流延バンド53は、その表面温度が−20℃〜40℃に調整可能なものであることが好ましい。本実施形態において用いた回転ローラ51,52には、伝熱媒体流路(図示しない)が形成されており、その流路中を、所定の温度に保持されている伝熱媒体が通過することにより、回転ローラ51,52の温度が所定の値に保持されるものとなっている。
なお、回転ローラ51,52を直接支持体として用いることも可能である。この場合には、回転の速度ムラが0.2%以下となるように高精度で回転できるものであることが好ましい。この場合には、回転ローラ51,52の表面の平均粗さを0.01μm以下とすることが好ましい。回転ローラ51,52の表面にはハードクロムめっき処理等を行うことが好ましく、これにより、さらに、十分な硬度と耐久性を持たせることもできる。なお、支持体(流延バンド53や回転ローラ51,52)の表面欠陥は最小限に抑制することが好ましい。具体的には、30μm以上のピンホールが無く、10μm以上30μm未満のピンホールは1個/m2 以下であり、10μm未満のピンホールは2個/m2 以下であることが好ましい。
流延ダイ50、流延バンド53等の流延機器は流延室55に収められている。流延室55には、その内部温度を所定の値に保つための温度コントローラ56と、揮発している有機溶媒を凝縮回収するための第1の凝縮器(コンデンサ)57とが設けられている。そして、凝縮液化した有機溶媒を回収するための回収装置58が流延室55の外部に設けられている。また、流延ダイ50から流延バンド53にかけて形成される流延ビードの背面部を圧力制御するための減圧チャンバ60が配されていることが好ましく、本実施形態においてもこれを使用している。
さらに、バンド53の上方には、流延膜59の溶媒を蒸発させるために風を吹き付ける給気ダクト61と,流延膜59からの蒸発溶媒を風とともに排気するための排気ダクト62が設けられ、給気ダクト61と排気ダクト62との間には、ガイド板64が備えられている。
渡り部70には、送風機71が備えられ、また、テンタ80の下流の耳切装置82には、切り取られたフィルム66の側端部屑を細かく切断処理するためのクラッシャ83が備えられている。なお、テンタ80については別の図面を用いて後で詳細に説明する。
乾燥室85には、多数のローラ84が備えられていると共に、蒸発して発生した溶媒ガスを吸着回収するための吸着回収装置86が取り付けられている。そして、図2においては、乾燥室85の下流に冷却室87が設けられているが、乾燥室85と冷却室87との間に調湿室(図示しない)を設けてもよい。冷却室87の下流には、フィルム66の帯電圧を所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)となるように調整するための強制除電装置(除電バー)88を設けられている。図2においては、強制除電装置88は、冷却室87の下流側とされている例を図示しているが、この設置位置に限定されるものではない。さらに、本実施形態においては、フィルム66の両縁にエンボス加工でナーリングを付与するためのナーリング付与ローラ89が強制除電装置88の下流に適宜設けられる。また、巻き取り室90の内部には、フィルム66を巻き取るための巻取ローラ91と、その巻き取り時のテンションを制御するためのプレスローラ92とが備えられている。
次に、以上のような溶液製膜設備40を使用してフィルムを製造する方法の一例を以下に説明する。ドープ36は、攪拌機42の回転により常に均一化されている。ドープ36には、この攪拌の際にも可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混合させることもできる。
そして、ドープ36は、ポンプ43によりろ過装置44に送られてここでろ過された後に、流延ダイ50から流延バンド53に流延される。回転ローラ51,52の駆動は、流延バンド53に生じるテンションが1.5×104 kg/mとなるように調整されることが好ましい。また、流延バンド53と回転ローラ51,52との相対速度差は、0.01m/min.以下となるように調整する。流延バンド53の速度変動を0.5%以下とし、流延バンド53が一回転する際に生じる幅方向の蛇行が1.5mm以下とされることが好ましい。この蛇行を抑制するために、流延バンド53の両端の位置を検出する検出器(図示しない)を設け、その測定値に基づき回転ローラの速度をフィードバック制御により制御することがより好ましい。さらに、流延ダイ50直下における流延バンド53について、回転ローラ51の回転に伴う上下方向の位置変動が200μm以下となるように調整することが好ましい。流延室55の温度は、温度コントローラ56により−10℃〜57℃とされることが好ましい。なお、流延室55の内部で蒸発した溶媒は回収装置58により回収された後、再生させてドープ調製用溶媒として再利用される。
流延ダイ50から流延バンド53にかけてはリボン状のドープ36の流れである流延ビードが形成され、流延バンド53上には流延膜59が形成される。流延時のドープ36の温度は、−10℃〜57℃であることが好ましい。また、流延ビードを安定させるために、このビードの背面が減圧チャンバ60により所定の圧力値に制御されることが好ましい。ビード背面は前面よりも−10Pa〜−1500Pa減圧することが好ましい。さらに、減圧チャンバ60にはジャケット(図示しない)を取り付けて、内部温度が所定の温度を保つように温度制御されることが好ましい。流延ビードの形状を所望のものに保つために流延ダイ50のエッジ部に吸引装置(図示しない)を取り付けることが好ましい。このエッジ吸引風量は、1L/min.〜100L/min.の範囲であることが好ましい。
流延膜59は、自己支持性を有するものとなった後に、フィルム66として剥取ローラ65で支持されながら流延バンド53から剥ぎ取られる。続けて、このフィルム66を多数のローラが設けられている渡り部70を搬送させた後に、テンタ80に送り込む。渡り部70では、送風機71から所望の温度の乾燥風を送風することでフィルム66の乾燥を進行させる。このとき乾燥風の温度が、20℃〜250℃であることが好ましい。
テンタ80に送られたフィルム66は、その両側端部が把持されており、搬送されながら乾燥される。また、テンタ80の内部を異なった温度ゾーンに区画分割して、その区画毎に乾燥条件を適宜調整することが好ましい。このテンタ80では、フィルム66を幅方向に延伸させることが可能とされている。このように、渡り部70とテンタ80との少なくともいずれかひとつにおいては、フィルム66の流延方向と幅方向との少なくとも1方向を100.5%〜300%延伸することが好ましい。なお、テンタ80におけるフィルム66の把持方法については、別の図面を用いて後述する。
フィルム66は、テンタ80で所定の残留溶媒量まで乾燥された後、その下流側に送り出される。フィルム66の両側端部は、耳切装置82によりその両縁が切断され、切断された側端部はカッターブロワー(図示しない)によりクラッシャ83に送られる。クラッシャ83により、側端部は粉砕されてチップとなる。このチップはドープ調製用に再利用されるので、この方法はコストの点において有効である。なお、この両側端部の切断工程については省略することもできるが、前記流延工程から前記フィルムを巻き取る工程までのいずれかで行うことが好ましい。
一方、本実施形態においては、両側端部を切断除去されたフィルム66は、乾燥室85に送られ、さらに乾燥される。乾燥室85内の温度は、特に限定されるものではない。乾燥室85においては、フィルム66は、ローラ84に巻き掛けられながら搬送されており、ここで蒸発して発生した溶媒ガスは、吸着回収装置86により吸着回収される。溶媒成分が除去された空気は、乾燥室85の内部に乾燥風として再度送風される。なお、乾燥室85は、乾燥温度を変えるために複数の区画に分割されていることがより好ましい。また、耳切装置82と乾燥室85との間に予備乾燥室(図示しない)を設けてフィルム66を予備乾燥すると、乾燥室85においてフィルム温度が急激に上昇することが防止されるので、これにより、フィルム66の形状変化を、より抑制することができる。
フィルム66は、冷却室87では略室温にまで冷却される。なお、乾燥室85と冷却室87との間に調湿室(図示しない)を設けてもよく、この調湿室ではフィルム66に対して、所望の湿度及び温度に調整された空気を吹き付けられることが好ましい。これにより、フィルム66のカールの発生や巻き取る際の巻き取り不良の発生を抑制することができる。
溶液製膜方法では、支持体から剥ぎ取られたフィルムを巻き取るまでの間に、乾燥工程や側端部の切除除去工程等の様々な工程が行われている。これらの各工程内、あるいは各工程間では、フィルムは主にローラにより支持または搬送されている。これらのローラには、駆動ローラと非駆動ローラとがあり、非駆動ローラは、主に、フィルムの搬送路を決定するとともに搬送安定性を向上させるために使用される。
一方、駆動ローラは、フィルムに駆動を伝達し、これを下流へと搬送するために使用されており、通常はサクションローラが使用されている。搬送工程で使用する駆動ローラは、あらかじめその周面を窒化処理や硬化クロムめっき、あるいは焼入れ処理等で硬化処理したものを使用し、また、その周面の表面硬度は、ビッカース硬度で500以上2000以下であることが好ましく、より好ましくは800以上1200以下である。
使用する駆動ローラが周面に多数の空気吸引孔を有するサクションローラのときには、その周面の平滑部の表面粗Ryが、0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上0.8μm以下である。この周面の表面粗さRyは、そのローラにおいて孔のない平滑部の表面粗さが前記周面粗さであるものとする。また、その孔径は1mm以上6mm以下であることが好ましいが、より好ましくは2mm以上4mm以下であり、その孔の面取り量は、孔径の2%以上20%以下であることが好ましい。
また、強制除電装置(除電バー)88により、フィルム66が搬送されている間の帯電圧が所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)とされる。図2では、冷却室87の下流側に設けられている例を図示しているがその位置に限定されるものではない。さらに、ナーリング付与ローラ89を設けて、フィルム66の両縁にエンボス加工でナーリングを付与することが好ましい。なお、ナーリングされた箇所の凹凸が1μm〜200μmの深さであることが好ましい。
最後に、フィルム66を巻取室90内の巻取ローラ91で巻き取る。この際には、プレスローラ92で所望のテンションを付与しながら巻き取ることが好ましい。なお、テンションは巻取開始時から終了時まで徐々に変化させることがより好ましい。巻き取られるフィルム66は、長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましい。また、フィルムの幅が600mm以上であることが好ましく、1400mm以上1800mm以下であることがより好ましい。本発明は、1800mmより大きい場合にも効果がある。そして、本発明は、厚みが70μm以上200μm以下である薄いフィルムを製造する場合に効果が大きい。
本発明では、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを同時積層共流延又は逐次積層共流延させる方法を用いてもよい。同時積層共流延を行う際には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いても良いし、マルチマニホールド型流延ダイを用いてもよい。共流延により多層からなるフィルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとのいずれか一方が、フィルム全体の厚みの0.5%〜30%であることが好ましい。さらに、同時積層共流延を行う場合には、ドープを支持体上に流延する際に高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましい。また、同時積層共流延を行なう場合には、スリットから支持体にかけて形成されるビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。
流延ダイ、減圧チャンバ、支持体等の構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取り方法から、溶媒回収方法、フィルム回収方法まで、特開2005−104148号公報の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されている。これらの記載も本発明に適用することができる。
次に、本発明の特徴的部分について詳細に説明する。図3はテンタ80のテンタークリップによるフィルム66の把持状態を示す説明図である。テンタ80にはフィルム66の側端部の把持手段としてのテンタークリップ101が複数備えられている。このテンタークリップ101は、周知のように所定間隔で無端チェーン(図示しない)に取り付けられ、レール(図示しない)上を移動する。テンタークリップ101は断面がコの字形のクリップ本体101aと、挟持部材101bとを有し、フィルム66の両側端部を挟持する。
ここで、フィルム66の幅方向における中心部PCの厚み(以降、中心部厚みと称することがある。)をt1(単位;μm)、両側端部PSの厚みをt2(単位;μm)とする。ここで、両側端部PSとは、テンタークリップに把持される位置とその把持位置よりも側縁側とを意味し、本実施形態では耳切装置82(図2参照)によりフィルム66から切断除去されてクラッシャに送られる部分、つまりテンタークリップ101のクリップ本体101aに入る符号W1で示される幅としている。本発明では、テンタークリップ101による把持時において、0.5×(t1)≦t2≦1.2×(t1)とするように流延条件を制御する。両側端部PSの厚みt2が0.5×(t1)よりも小さいと、フィルム側端部PSの強度が小さすぎてテンタークリップの把持により噛みちぎれるという問題があり、一方、1.2×(t1)よりも大きいと、従来の方法と同様の理由によりテンタークリップ101による噛みちぎりが生じてしまうという問題がある。
しかし、テンタークリップ101による把持時における両側端部の厚みt2と中心部厚みt1との測定は実際には困難である。また、本実施形態では両側端部PSと中心部PCにおけるドープの組成は同一としているので、乾燥後の両厚みt1,t2の比は乾燥前と乾燥後とでほぼ同じとみなすことができる。そこで、ここでは、テンタ80の下流のクラッシャ83からサンプリングされる側端部サンプルの厚みを上記t2とみなすとともに、巻取室90(図2参照)でサンプリングされるフィルム66の中心部PSの厚みを上記t1とみなす。
中心部厚みt1と両側端部厚みt2との関係は、0.5×(t1)≦t2≦1.1×(t1)であることがより好ましく、0.5×(t1)≦t2≦1.0×(t1)であることがさらに好ましい。
中心部厚みt1と両側端部の厚みt2とを上記式で表される関係とするために、本発明では、以下のような流延条件とする。図4は、流延ダイ50の一部を示す概略斜視図であり、図5は図4におけるV−V線に沿った断面概略図である。流延ダイ50は、複数の部材で組み立てられており、その主たるものは第1及び第2のダイ本体111,112である。第1ダイ本体111と第2ダイ本体112とは、ボルト(図示しない)等の締結部材により締結されることによって一体に組み立てられ、これらのダイ本体111,112の間にドープの流路(スリット)116と液だまりであるマニホールド(図示しない)とが形成される。
流延ダイ50は、スリット開口部116aが位置する先端リップにかけて先細り状に形成されている。マニホールドは、その断面が例えば略円形や半円形とされているが、本発明ではマニホールドの形状は限定されない。マニホールドは、流延ダイ50の幅方向にその断面形状をもって延長されたドープの液溜め空間であり、このマニホールドへのドープの供給は、周知のように流延ダイ50の側面や背面等からなされる。
スリット116は、流延ダイ50の幅方向にほぼ一定の断面形状をもち、支持体側に向けられる開口部116aの両端には、流れ制御部材123が備えられる。この流れ制御部材123は、ドープの流延幅と両端部におけるドープの流れ方向を制御するためのものである。なお、符号111a及び112aは第1及び第2ダイ本体111,112の各スリット形成面であり、符号121はスリットの開口部116aの間隔(以降、開口間隔と称する)CLを調整するための間隔調整機構121を表す。
そして、この間隔調整機構121により、開口部116aの中央部における間隔CL1と両側端部における間隔CL2とが独立して制御される。具体的には、両側端部における間隔CL2を、中央部における間隔CL1よりも小さくし、これにより、両側端部におけるドープの流出量を従来よりも減少させる。フィルムの両側端部厚みt2(図3参照)と中心部厚みt1との関係が、従来法によると1.3×(t1)≦t2であったが、この方法により上記式0.5×(t1)≦t2≦1.2×(t1)を満たすものとなる。
間隔調整機構121としては、例えば、周知の厚み調整ボルト(ヒートボルト)を用いることができ、このヒートボルトを流延ダイ50の幅方向において所定の間隔で設けるとよい。本実施形態におけるヒートボルトは、予め設定されるプログラムによりポンプ43の送液量に応じて、開口間隔CLのプロファイルを設定するものとされている。また、溶液製膜設備40に厚み計のプロファイルに基づく調整プログラムによってフィードバック制御を行ってもよい。厚み計としては非接触計測式のものが好ましい。
また、本実施形態では、流れ制御部材123をスリット開口部116aの両側端に設けることにより、フィルム66の両側端部厚みt2(図3参照)と中心部厚みt1とが、上記式を満たすように調整することができる。流れ制御部材123は、図4に示すように、代1ダイ本体及び第2ダイ本体の各スリット形成面111a,112aに接するようにスリット116の側端に配されている。そして、この流れ制御部材123は、スリット166の内部側に切り欠きがあり、これによりドープ36がスリット開口部116aから外側に広がり出るようにされている。このようにスリット116を流れるドープの両側端部が外側に広がり出ることにより、フィルム66の両側端部の厚みを従来よりも薄くすることができる。この流れ制御部材123を用いることにより、フィルム66の両側端部のカールを抑制することもでき、テンタークリップによる保持が安定してできるようになるとともに、製品部の変形を抑制することができる。
上記のように、本実施形態では、間隔調整機構121と流れ制御部材123とを併用しているが、いずれか一方だけの使用でもよい。
さらに、マニホールドやスリット両側端部からドープを抜き取るためのドープ抜き取り手段を設けて、流延ダイ50から流れ出るドープの両側端部の量を減らすことにより、フィルム66の両側端部の厚みを減少させることもできる。このドープ抜き取り手段は、上記の間隔調整機構121または流れ制御部材123に代えて、または、加えて用いることができる。以上のように製造されたフィルムは、偏光板保護フィルム等に好適に用いることができ、液晶表示装置に用いられたときには良好な表示性能を発現することができる。
次に、本発明の実施例を説明する。まず、フィルム製造に使用したドープの配合を下記に示す。
セルローストリアセテート(置換度2.84、粘度平均重合度306、含水率0.2質量%、ジクロロメタン溶液中6質量%の粘度 315mPa・s、平均粒子径1.5mmであって標準偏差0.5mmである粉体) 100質量部
ジクロロメタン(第1溶媒) 320質量部
メタノール(第2溶媒) 83質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 3質量部
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.6質量部
可塑剤B(ジフェニルフォスフェート) 3.8質量部
UV剤a:2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール 0.7質量部
UV剤b:2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−
クロルベンゾトリアゾール 0.3質量部
クエン酸エステル混合物(クエン酸、モノエチルエステル、ジエチルエステル、トリエチ
ルエステル混合物) 0.006質量部
微粒子(二酸化ケイ素(平均粒径15nm)、モース硬度 約7) 0.05質量部
[セルローストリアセテート]
なお、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1質量%以下であり、Ca含有量が58ppm、Mg含有量が42ppm、Fe含有量が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンが15ppm含むものであった。また6位アセチル基の置換度は0.91であり全アセチル中の32.5%であった。このTACをアセトンで抽出したアセトン抽出分は8質量%であり、その重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、得られたTACのイエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であり、Tg(ガラス転移点;DSCにより測定)は160℃、結晶化発熱量は6.4J/gであった。このTACは、綿から採取したセルロースを原料として合成されたものである。以下の説明において、これを綿原料TACと称する。
(1−1)ドープ仕込み
図1に示すドープ製造設備10を用いてドープ36を調製した。攪拌羽根を有する4000Lのステンレス製の混合タンク13で、前記複数の溶媒を混合してよく攪拌し、混合溶媒とした。なお、溶媒は、すべてその含水率が0.5質量%以下のものを使用した。次に、ホッパ14からTACのフレーク状粉体を徐々に混合タンク13に添加した。TAC粉末は、混合タンク13に投入されて、回転軸にアンカー翼を備えた第1攪拌機19と、ディゾルバータイプの偏芯攪拌機である第2攪拌機21とにより、所定の攪拌条件で30分間分散された。分散開始時の温度は25℃であり、最終到達温度は48℃となった。さらに、予め調製された添加剤溶液を添加剤タンク15からバルブ16で送液量を調整して混合タンク13に送液し、全体が2000kgとなるようした。添加剤溶液の分散を終了した後、高速攪拌を停止した後、第1攪拌機19の周速を所定の値に設定してさらに100分間攪拌し、TACフレークを膨潤させて膨潤液22を得た。膨潤終了までは窒素ガスによりタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際の混合タンク13の内部は、酸素濃度が2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。また膨潤液22中の水分量は0.3質量%であった。
(1−2)溶解・濾過
膨潤液22を混合タンク13からポンプ25を用いて加熱装置26であるジャケット付配管に送液した。そして、ジャケット付配管で膨潤液22を50℃まで加熱してから、さらに、2MPaの加圧下で90℃まで加熱して、膨潤液22中のTAC等の固形分を溶媒に完全溶解させた。このときの加熱時間は15分であった。次に、溶解された液を、温調機27で36℃まで温度を下げ、公称孔径8μmの濾材を備えた第1濾過装置28を通過させてドープ(以下、濃縮前ドープと称する)を得た。この際、第1濾過装置28における1次側圧力を1.5MPa、2次側圧力を1.2MPaとした。高温にさらされるフィルタ、ハウジング、及び配管としては、ハステロイ合金製で耐食性の優れたものを利用し保温加熱用の伝熱媒体を流通させるジャケットを備えたものを使用した。
(1−3)濃縮・濾過・脱泡・添加剤
このようにして得られた濃縮前ドープを80℃で常圧とされたフラッシュ装置31内でフラッシュ蒸発させて、蒸発した溶媒を凝縮器で凝縮して回収した。このようにして、ドープ濃度を表1に記すように調整した。なお、凝縮された溶媒はドープ調製用溶媒として再利用すべく回収装置32で回収された後に再生装置33で再生した後に溶媒タンク11に送液した。また、回収装置32や再生装置33では、蒸留や脱水等が行われる。フラッシュ装置31のフラッシュタンク(図示しない)には攪拌軸にアンカー翼を備えた攪拌機を設け、この攪拌機により、フラッシュされたドープを攪拌して脱泡を行った。このフラッシュタンク内のドープの温度は25℃であり、タンク内におけるドープの平均滞留時間は50分であった。このドープを採取して25℃で測定した剪断粘度は、剪断速度10(sec.-1)で450Pa・sであった。
次に、このドープに弱い超音波を照射することにより泡抜きを実施した。その後、ポンプを用いて1.5MPaに加圧した状態で、第2濾過装置35を通過させた。第2濾過装置35では、最初に公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルタにドープを通過させてから、同じく10μmの焼結繊維フィルタに通過させて、ドープ中の不純物の除去を行なった。それぞれの1次側圧力は1.5MPa,1.2MPaであり、2次側圧力は1.0MPa,0.8MPaであった。ろ過後のドープ温度を36℃に調整して2000Lのステンレス製ストックタンク30内にドープ36を送液してここに貯蔵した。ストックタンク30は中心軸にアンカー翼を備えた攪拌機を有したものを使用して、この攪拌機により内部を常時攪拌した。なお、濃縮前ドープからドープ36を調製するまでの間のドープ接液部には、腐食等の問題は全く生じなかった。
また、ジクロロメタンが86.5質量部、アセトンが13質量部、1−ブタノール0.5質量部の混合溶媒Aを作製した。
(1−4)吐出・直前添加・流延・ビード減圧
図2に示す溶液製膜設備40を用いてフィルム66を製造した。ストックタンク30内のドープ36を高精度ギアポンプ43で濾過装置へ送った。このポンプ43は、ポンプ43の1次側を増圧する機能を有しており、1次側の圧力が0.8MPaになるようにインバーターモーターによりポンプ43の上流側に対するフィードバック制御を行い送液した。ポンプ43は容積効率99.2%、吐出量の変動率0.5%以下の性能である。また、その吐出圧力は1.5MPaであった。そして、濾過装置44を通ったドープ36を流延ダイ50に送液した。
流延ダイ50は、幅が1.8mであり乾燥された後のフィルム66の膜厚が80μmとなるように、流延ダイ50の吐出口のドープ36の流量を調整して流延を行った。また流延ダイ50の吐出口からのドープ36の流延幅を1700mmとした。ドープ36の温度を36℃に調整するために、流延ダイ50にジャケット(図示しない)を設けてジャケット内に供給する伝熱媒体の入口温度を36℃とした。
流延ダイ50と配管とはすべて、稼働中には36℃に保温した。流延ダイ50は、コートハンガータイプのダイである。そしてこの流延ダイ50としては、ヒートボルトが20mmピッチに設けられているものを使用した。このヒートボルトは予め設定したプログラムによりポンプの送液量に応じたプロファイルを設定することもでき、溶液製膜設備40に設置した厚み計(型式;DG−933,(株)小野測器製)のプロファイルに基づいた調整プログラムによってフィードバック制御も可能な性能を有するものを用いた。両側端部20mmを除いたフィルム66においては、50mm離れた任意の2点の厚みの差は1μm以内であり、幅方向における厚みのばらつきが3μm/m以下となるように調整した。
また、流延ダイ50の1次側には、この部分を減圧するための減圧チャンバ60を設置した。この減圧チャンバ60の減圧度は、流延ダイ50から流出されて流延開始位置PSに達するまでの流延ビードの前後で1Pa〜5000Paの圧力差が生じるように調整され、この調整は流延速度に応じてなされる。その際に、ビードの長さが所定の値となるようにビード両面側の圧力差を設定した。減圧チャンバ60は、流延部周囲のガスの凝縮温度よりも高い温度に設定できる機構を具備したものであった。ダイ吐出口におけるビードの前面部、背面部にはラビリンスパッキン(図示しない)を設け、ダイ吐出口の両端には開口部を設けた。
(1−5)流延ダイ
流延ダイ50の材質は、熱膨張率が2×10-5(℃-1)以下の2層ステンレス鋼である。そしてこれは、電解質水溶液での強制腐食試験においてSUS316製と略同等の耐腐食性を有する素材であり、また、ジクロロメタン、メタノール、水の混合液に3ヶ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有する。流延ダイ50の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であり、スリットのクリアランスは1.5mmに調整した。流延ダイ50のリップ先端の接液部の角部分については、Rがスリット全巾に亘り50μm以下になるように加工されている。ダイ内部での剪断速度は1(1/sec.)〜5000(1/sec.)の範囲であった。流延ダイ50のリップ先端には、溶射法によりWC(タングステンカーバイド)コーティングを行って硬化膜を設けた。
さらに流延ダイ50の吐出口には、流出するドープ36が局所的に乾燥固化することを防止するために、ドープ36を可溶化するための前記混合溶媒Aを流延ビードの両側端部と吐出口との界面部に対し、それぞれ0.5ml/min.となるように供給した。この混合溶媒Aを供給するポンプの脈動率は5%以下であった。また、減圧チャンバ60によりビード背面側の圧力を前面部よりも150Pa低くした。減圧チャンバ60の内部温度を所定の温度で一定にするためにジャケット(図示しない)を取り付けた。そのジャケット内には35℃に調整された伝熱媒体を供給した。前記エッジ吸引装置は、1L/min.〜100L/min.の範囲となるようにエッジ吸引風量を調整することができるものであり、本実施例ではこれを30L/min.〜40L/min.の範囲となるように適宜調整した。
テンタークリップ101により把持される部位の厚みが表1の厚みとなるように、流延ダイ50のスリットの開口部116aの間隔を調整した。なお、表1において、厚みとは、テンタークリップで把持された部分のフィルム厚み(単位;μm)を意味する。
(1−6)金属支持体
支持体として流延バンド53を用いて、幅2.1mで長さ70mのステンレス製のエンドレスバンドを利用した。流延バンド53は、厚みが1.5mm、表面粗さが0.05μm以下になるように研磨した。その材質はSUS316製であり、十分な耐腐食性と強度を有するものとした。流延バンド53の全体の厚みムラは0.5%以下であった。流延バンド53は、2個の回転ローラ51,52により搬送させた。その際の流延バンド53の搬送方向における張力は1.5×105 N/m2 となるように、流延バンド53と回転ローラ51,52との相対速度差が0.01m/min.以下になるように調整した。また、流延バンド53の速度変動は0.5%以下であった。また、1回転の幅方向の蛇行が1.5mm以下に制限されるように流延バンド53の両端位置を検出して制御した。流延ダイ50の直下における流延ダイ50のリップ先端と流延バンド53との上下方向における位置変動は200μm以下にした。なお、流延バンド53は、風圧変動抑制手段(図示しない)を有した流延室(図示しない)内に設置されている。この流延バンド53上に流延ダイ50からドープ36を流延した。
回転ローラ51,52としては、流延バンド53の温度調整を行うことができるように、内部に伝熱媒体を送液できるものを用いた。流延ダイ50側の回転ローラ51には5℃の伝熱媒体を流し、他方の回転ローラ52には乾燥のために40℃の伝熱媒体を流した。流延直前の流延バンド53の中央部の表面温度は15℃であり、その両側端の温度差は6℃以下であった。なお、流延バンド53としては、表面欠陥がないものが好ましく、30μm以上のピンホールが皆無であり、10μm〜30μmのピンホールが1個/m2 以下、10μm未満のピンホールが2個/m2 以下であるものを用いた。
(1−7)流延乾燥
流延室55の温度は、温度コントローラ56により35℃に保った。流延バンド53上に流延されたドープ36から形成された流延膜59には、給気ダクト61から風を送った。なお、排気ダクト62により、排気を実施するとともに、ガイド板64により風の流れを制御した。給気ダクト61からの風量VS(m3 /分)及び風の温度TS(℃)を表1に示すように変化させた。また、流延バンド53の下部は、65℃となるように送風機(図示しない)から送風した。それぞれの乾燥風の飽和温度はいずれも−8℃付近であった。流延バンド53上での乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。この酸素濃度を5vol%に保持するために空気を窒素ガスで置換した。流延室内の溶媒を凝縮回収するために凝縮器(コンデンサ)57を設け、その出口温度を−10℃に設定した。
なお、流延開始点から5秒間の流延時間では空気の流れが直接ドープ36及び流延膜59に当たらないようにするために遮風板(図示しない)を設け、流延ダイ50直近の静圧変動を±1Pa以下に抑制した。流延膜59中の溶媒比率が乾量基準で50質量%になった時点で流延バンド53から剥取ローラ65で支持しながらフィルム66として剥ぎ取った。なお、この乾量基準による溶媒含有率は、サンプリング時におけるフィルム重量をx、そのサンプリングフィルムを乾燥した後の重量をyとするとき{(x−y)/y}×100で求める値である。このときの剥取テンションは1×102 N/m2 であり、剥取不良を抑制するために流延バンド53の速度に対する剥取速度(剥取ローラドロー)を100.1%〜110%の範囲で適切に調整した。剥ぎ取ったフィルムの表面温度は15℃であった。流延バンド53上での乾燥速度は、平均60質量%乾量基準溶媒/min.であった。乾燥により発生した溶媒ガスは−10℃の凝縮器で凝縮液化して回収装置(図示しない)で回収した。回収された溶媒は、水分量が0.5%以下となるように調整した。溶媒が除去された乾燥風は再度加熱され乾燥風として再利用される。フィルム66を、ローラを介して搬送し、テンタ80に送った。この搬送時には、フィルム66に対して送風機(図示しない)から40℃の乾燥風を送った。なお、渡り部70のローラで搬送している際には、湿潤フィルム66に対して所定値のテンションを付与した。
(1−8)テンタ搬送・乾燥・耳切
テンタ80に送りこんだフィルム66を、テンタークリップ101でその両端を固定しながらテンタ80の乾燥ゾーン内を搬送している間に、乾燥風により乾燥した。テンタークリップ101は、20℃の伝熱媒体の供給により冷却した。テンタ80におけるテンタークリップ101の搬送はチェーンで行い、そのスプロケットの速度変動は0.5%以下であった。乾燥風のガス組成は−10℃における飽和ガス濃度とした。テンタ80内での平均乾燥速度は120質量%(乾量基準溶媒)/min.であった。テンタ80の出口におけるフィルム66の残留溶媒量が7質量%となるように、乾燥ゾーンの条件を調整した。テンタ80内ではフィルム66を搬送しつつ幅方向における延伸も行った。なお、この延伸前のフィルム66の幅を100%としたとき、延伸後の幅が103%となるように延伸した。剥取用のローラからテンタ80の入口に至るまでの延伸率(テンタ駆動ドロー)は102%とした。また、テンタ入口から出口までの長さに対する、テンタークリップ把持開始位置から把持解除位置までの長さの割合は90%とした。テンタ80内で蒸発した溶媒は−10℃の温度で凝縮させ液化して回収した。凝縮回収用に凝縮器(コンデンサ)を設け、その出口温度は−8℃に設定した。そして凝縮溶媒は、含まれる水分量が0.5質量%以下に調整されて再使用された。
そして、テンタ80の出口から30秒以内にフィルム66の耳切りを耳切装置82により実施した。
(1−9)後乾燥・除電
フィルム66を多数のローラ84を備える乾燥室85に送り込み、さらに高温乾燥した。乾燥室85を4区画に分割して、上流側から120℃,130℃,130℃,130℃の乾燥風を送風機(図示しない)から給気した。フィルム66のローラ84による搬送テンションは所定の値に制御され、最終的に残留溶媒量が0.3質量%になるまでの約10分間乾燥した。ローラ84におけるラップ角(フィルムの巻きかけ中心角)は、90°および180°とした。ローラ84の材質はアルミ製もしくは炭素鋼製であり、表面にはハードクロムめっきを施した。ローラ84の表面形状はフラットなものとブラストによりマット化加工したものとを用いた。ローラ84の回転によるフィルム位置の振れは全て50μm以下であった。また、所定の値のテンション条件下でのローラ撓みは0.5mm以下となるように選定した。
乾燥風に含まれる溶媒ガスは、吸着回収装置86を用いて吸着回収除去した。ここに使用した吸着剤は活性炭であり、脱着は乾燥窒素を用いて行った。回収した溶媒は水分量0.3質量%以下に調整してドープ調製用溶媒として再利用した。乾燥風には溶媒ガスの他、可塑剤,UV吸収剤,その他の高沸点物が含まれるので、これを冷却除去する冷却器およびプレアドソーバーでこれらを除去して再生循環使用した。そして、最終的に屋外排出ガス中のVOC(揮発性有機化合物)が10ppm以下となるよう、吸脱着条件を設定した。また、全蒸発溶媒の内、凝縮法で回収する溶媒量は90質量%であり、残りのものの大部分は吸着回収により回収した。
乾燥されたフィルム66を第1調湿室(図示しない)に搬送した。乾燥室85と第1調湿室との間の渡り部(図示しない)には、110℃の乾燥風を給気した。第1調湿室には、温度50℃、露点が20℃の空気を給気した。さらに、フィルム66のカールの発生を抑制するための第2調湿室(図示しない)にフィルム66を搬送した。第2調湿室では、フィルム66に直接90℃,湿度70%の空気をあてた。
(1−10)ナーリング、巻取条件
調湿後のフィルム66は、冷却室87で30℃以下に冷却した後に、第2耳切装置88により耳切りを行った。搬送中のフィルム66の帯電圧は、常時−3kV〜+3kVの範囲となるように強制除電装置(除電バー)を設置した。さらにフィルム66の両端にナーリング付与ローラ89でナーリングの付与を実施した。ナーリングはフィルム66の片面側からエンボス加工を行うことで付与し、ナーリングを付与する幅は10mmであり、凹凸の高さがフィルム66の平均厚みよりも平均12μm高くなるようにナーリング付与ローラ89による押し圧を設定した。
そして、フィルム66を巻取室90に搬送した。巻取室90は、装置内温度28℃,湿度70%に保持されている。さらに、巻取室90の内部にはフィルム66の帯電圧が−1.5kV〜+1.5kVになるようにイオン風除電装置(図示しない)も設置した。このようにして得られたフィルム66の製品幅は、1475mmである。巻取室90の巻き取りローラ91の径は169mmである。巻き始めと巻き終わりとの各テンションが所定の値となるように制御した。巻き取ったフィルム66の全長は3940mであった。巻き取りの際の巻きズレの変動幅(オシレート幅と称することもある。)を±5mmとし、その巻き軸に対する巻きズレ周期を400mとした。また、巻取軸に対するプレスローラ92を押し圧については所定の値となるように設定された。巻き取り時のフィルム66の温度は25℃、含水量は1.4質量%、残留溶媒量は0.3質量%であった。全工程を通しても平均乾燥速度は20質量%(乾量基準溶媒)/min.であった。また巻き緩み、シワもなく、10Gでの衝撃テストにおいても巻きずれが生じなかった。フィルムロールの外観も良好であった。なお、得られたフィルムの中心部厚みt1(単位;μm)は80μmである。
フィルムロールを25℃、相対湿度55%(以降、55%RHと記す)の貯蔵ラックに1ヶ月保管して、さらに上記と同様に検査した結果、いずれも変化は認められなかった。さらにフィルムロール内においてもフィルムの接着は認められなかった。また、フィルム66を製膜した後に、流延バンド53上にはドープ36から形成された流延膜の剥げ残りは全く見られなかった。
表1に示したテンタークリップ101による把持部のフィルム厚みt2により、フィルム66の側端部のカール量CV(単位;mm)と、テンタークリップ101による噛みちぎり状態と、テンタークリップ101により把持された部分でのフィルム66の破断の有無とについて評価した。カール量CVの測定は、フィルムの両側端部を観察するためのファイバスコープをテンタ80の直前に設置して測定した。表1の噛みちぎりの項目において、○は噛みちぎりがなく、かつカール量CVが5mm以下の場合であり、△は噛みちぎりがなく、かつ5mm<CV≦20mmの場合であり、×は噛みちぎりが発生した場合である。また、表1のフィルム破断の有無の項目では、○は破断しないことを意味し、×は破断したことを意味する。
Figure 2006272958
以上の結果より、流延ダイからのドープの流出量を流延ダイの幅方向で制御することにより、側端部厚みt2を中心部厚みt1で除した値を0.5以上1.2以下とすると、テンタークリップでの噛みちぎりがなく、破断もないことがわかる。
ドープ製造設備の概略図である。 溶液製膜設備の概略図である。 テンタークリップによるフィルムの把持状態を示す概略図である。 流延ダイのドープ流出口を示すための説明図である。 流延ダイのスロット開口部の間隔調整方法の説明図である。
符号の説明
36 ドープ
66 フィルム
80 テンタ
101 テンタークリップ
116 スリット
121 開口間隔調整機構
123 流れ制御部材






















Claims (7)

  1. 連続走行する支持体上にセルロースアシレートドープを流延ダイにより流出させて、フィルムとして前記支持体から剥ぎ取り、テンタ装置で前記フィルムの両側端部を把持手段により把持しながら乾燥した後、前記両側端部を切断する溶液製膜方法において、
    前記両側端部が切断された前記フィルムの幅方向における中心の厚みをt1(単位;μm)、切断された前記両側端部の厚みをt2(単位;μm)とするとき、0.5×(t1)≦t2≦1.2×(t1)となるように、前記セルロースアシレートドープの前記流延ダイからの流出量を、前記流延ダイの幅方向に沿って制御することを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記流延ダイから出された前記セルロースアシレートドープの両側端部が外側に広がるように、前記セルロースアシレートドープを前記流延ダイから流出させることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. 前記中心の厚みt1を70〜200μmとすることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記支持体の走行速度を40〜80m/分とすることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の溶液製膜方法。
  5. 連続走行する支持体と、この支持体上にセルロースアシレートドープを流出する流延ダイと、前記セルロースアシレートドープを前記支持体からフィルムとして剥ぎ取った後に、このフィルムを把持手段により把持しながら乾燥するテンタ装置とを備える溶液製膜設備において、
    前記流延ダイは、前記セルロースアシレートドープの流出量を支持体の幅方向に沿って変化させるための流出量制御手段を備えることを特徴とする溶液製膜設備。
  6. 前記流出量制御手段は、前記セルロースアシレートドープの流出口の幅方向における中心の開口間隔CL1と両側端部の開口間隔CL2とを独立制御するために前記流延ダイの幅方向に複数備えられたヒートボルトであることを特徴とする請求項5記載の溶液製膜設備。
  7. 前記流出口の両側端部に、前記セルロースアシレートドープが前記支持体の幅方向へ広がりながら流出するための流れ制御部材が備えられたことを特徴とする請求項5または6記載の溶液製膜設備。













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