しかしながら、上述の如きシリアルーパラレル変換された画像信号を用いて、複数の画素が配列されてなる画素アレイ領域或いは画像表示領域において、データ線群に対応するブロック単位で順次駆動を行った場合に、以下のような問題点が生じる。
即ち、並走する複数の画像信号線は、その束において外側以外に位置する一の画像信号線については、該一の画像信号線の両側に他の画像信号線が存在することになる。これに対して、外側に位置する画像信号線については、その片側(即ち内側)にしか他の画像信号線が存在しないことになる。従って、複数の画像信号線間の容量結合を考えた場合には、外側以外に位置する一の画像信号線については、相対的に大きな容量結合により画像信号が劣化することとなる。これに対して、外側に位置する画像信号線については、相対的に小さな容量結合により画像信号が劣化することとなる。即ち、外側以外に位置する画像信号線については、相対的に画像信号の劣化が大きくなり、外側に位置する画像信号線については、相対的に画像信号の劣化が小さくなる。
以上の結果、従来の技術では、シリアル−パラレル変換した画像信号を用いて駆動する際における、複数の画像信号線間の容量結合の差異に起因して各ブロックの境目で輝度ムラが発生するという技術的問題点がある。
尚、シリアルーパラレル変換を用いた場合に、このようなブロック境界で発生する階調ズレに、特許文献1の技術で対応することは、極めて困難或いは不可能である。
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであり、例えば前述したような各ブロックの境目で輝度ムラが発生するのを防止して、高品質な画像表示を行うことが可能な電気光学装置及び該電気光学装置を備えた各種電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線及び前記データ線の交差に対応して設けられた複数の画素部と、前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号が供給されると共に、並走する配線部分を含むN本の画像信号線と、該N本の画像信号線から夫々供給される前記画像信号を、前記データ線群毎に前記データ線に供給する画像信号供給部と、少なくとも前記並走する配線部分において前記N本の画像信号線の束のうち外側に位置する画像信号線の更に外側に、前記並走する配線部分に沿って配線されており、前記画像信号線を模擬するダミー画像信号線とを備える。
本発明の電気光学装置によれば、その駆動時には、シリアル−パラレル変換されたN個の画像信号が、例えば外部回路接続端子を介してN本の画像信号線に供給され、更に、データ線に対応して配列された中継用配線を含む分岐配線から、例えば画像信号供給部を構成するサンプリング回路へと供給される。例えば、N個の画像信号は、駆動周波数の上昇を抑えつつ高精細な画像表示を実現すべく、外部回路によって、シリアルな画像信号が、3相、6相、12相、24相、・・・など、複数のパラレルな画像信号に変換されることによって生成される。
このような画像信号の供給と並行して、例えば画像信号供給部を構成するデータ線駆動回路によって、データ線群に対応するサンプリングスイッチ毎に、サンプリング信号が順次供給される。すると、例えばサンプリング回路によって、複数のデータ線には、サンプリング信号に応じてデータ線群毎にN個の画像信号が順次供給される。よって、同一のデータ線群に属するデータ線は同時に駆動されることとなる。言い換えれば、複数のデータ線は、所定の本数毎にブロック化されており、ブロック単位で、同時に駆動されることとなる。尚、サンプリングスイッチは、例えば、片チャネル型のTFTにより夫々構成され、ソースが中継用配線に電気的に接続され、ドレインがデータ線に接続され、ゲートにサンプリング信号が供給されることでオン状態とされる。
このようにデータ線が駆動されると、各画素部では、例えば、走査線駆動回路から走査線を介して供給される走査信号に応じて、スイッチング動作を行う画素スイッチング素子を介して、データ線より画像信号が表示素子に供給される。
以上の結果、例えば表示素子である液晶素子は、シリアルーパラレル変換された画像信号に基づいて、アクティブマトリクス駆動方式による画像表示を行うことが可能となる。
ここで特に、N本の画像信号線は、並走する配線部分を含んでいる場合が殆どである。このため、仮に何らの対策も施さねば、N本の画像信号線の束における外側に位置する画像信号線については、その片側にしか他の画像信号線が存在しないことになる。従って、複数の画像信号線間の容量結合の差異に起因して各ブロックの境目で輝度ムラが発生してしまう。
しかるに本発明の電気光学装置によれば、画像信号線を模擬するダミー画像信号線が、少なくとも並走する配線部分においてN本の画像信号線の束のうち外側に位置する画像信号線の更に外側に、並走する配線部分に沿って配線される。ダミー画像信号線は、画像信号線とは異なり、画像信号供給部を介してデータ線に対して画像信号を供給するようには、接続されてない。即ち、ダミー画像信号線は、あくまで画像信号線を模擬するにとどまり、実際に画像表示に供される画像信号を供給することはない。また、ダミー画像信号線は、N本の画像信号線の束のうち外側である、一方の端から数えて第1番目の画像信号線(即ち、一方の端に最も寄った画像信号線)の外側に少なくとも1本配線される。これに加えて又は代えて、ダミー画像信号線は、一方の端から数えて第N番目の画像信号線(即ち、他方の端に最も寄った画像信号線)の外側に、少なくとも1本配線される。好ましくは、両方の外側に、少なくとも1本のダミー画像信号線が夫々配線される。
よって、画像信号線の束のうち外側に位置する画像信号線についても、その両側に他の画像信号線(即ち、その内側の画像信号線及びダミー画像信号線)が存在することとなる。これにより、画像信号線の束のうち外側に位置する画像信号線、例えば、一方の端に最も寄った画像信号線とダミー画像信号線との間に、該一方の端に最も寄った画像信号線とその内側の画像信号線との間に生ずる容量結合と、殆ど又は実践的な意味で完全に同じ大きさの容量結合を発生させることができる。即ち、N本の画像信号線間の容量結合の差異を殆ど又は実践的な意味で完全に無くすことができる。
以上の結果、シリアル−パラレル変換した画像信号を用いて駆動する際における、複数の画像信号線間の容量結合の差異に起因して生じる各画像信号の劣化の程度のばらつきによって、各ブロックの境目で輝度ムラが発生することを防止することができる。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記画像信号供給部は、前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々供給する複数のサンプリングスイッチを含むサンプリング回路と、前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給するデータ線駆動回路とを含む。
この態様によれば、画像信号供給部を構成するデータ線駆動回路によって、データ線群に対応するサンプリングスイッチ毎に、サンプリング信号が順次供給される。すると、サンプリング回路によって、複数のデータ線には、サンプリング信号に応じてデータ線群毎にN個の画像信号が順次供給される。よって、同一のデータ線群に属するデータ線は同時に駆動されることとなる。言い換えれば、複数のデータ線は、所定の本数毎にブロック化されており、ブロック単位で、同時に駆動されることとなる。しかるに本態様によれば、複数の画像信号線間の容量結合の差異に起因して生じる各画像信号の劣化の程度のばらつきによって、各ブロックの境目で輝度ムラが発生することを、ダミー画像信号線によって一層有効にすることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記基板上に、前記N本の画像信号線の入力側の端部及び前記ダミー画像信号線の入力側の端部が夫々接続された複数の外部回路接続端子を更に備えており、前記N本の画像信号線には、前記外部回路接続端子を介して外部回路から、前記画像信号が夫々供給され、前記ダミー画像信号線には、前記外部回路接続端子を介して前記外部回路から、前記外側の画像信号線に供給される画像信号とは異なるダミー画像信号が供給される。
この態様によれば、外部回路から外部回路接続端子を介して、外側の画像信号線に供給される画像信号とは異なるダミー画像信号が、ダミー画像信号線に供給される。即ち、外側の画像信号線とダミー画像信号線の夫々の電位は相異する。よって、外側の画像信号線とダミー画像信号線との間に、外側の画像信号線に供給される画像信号と同じダミー画像信号をダミー画像信号線に供給した場合と比較して、容量結合を殆ど確実に発生させることができる。従って、ダミー画像信号線によって画像信号線を模擬することができる。
上述した異なるダミー画像信号を供給する態様では、前記異なるダミー画像信号は、前記外側の画像信号線以外の画像信号線のいずれかに供給される画像信号と同一の周期及び振幅を有してもよい。
この場合、ダミー画像信号線には、前記外側の画像信号線以外の画像信号線のいずれかに供給される画像信号と同一の周期及び振幅を有するダミー画像信号が供給される。この際、同一の周期及び振幅であれば即ち波形が同一であれば、位相については、異なっていてもよいし、同一であってもよい。よって、ダミー画像信号線と外側の画像信号線との間に、外側の画像信号線と隣接する画像信号線との間の容量結合と殆ど又は完全に同じ容量結合を発生させることができる。従って、ダミー画像信号線によって画像信号線を模擬することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記基板上に、前記N本の画像信号線の入力側の端部が夫々電気的に接続された複数の外部回路接続端子を更に備えており、前記N本の画像信号線には、前記外部回路接続端子を介して外部回路から、前記画像信号が夫々供給され、前記ダミー画像信号線は、前記N本の画像信号線のうち前記外側の画像信号線を除く画像信号線に電気的に接続されており、該接続された画像信号線から画像信号が、前記ダミー画像信号線に対してダミー画像信号として供給される。
この態様によれば、N本の画像信号線のうち外側の画像信号線を除く画像信号線から画像信号が、ダミー画像信号線に対してダミー画像信号として供給される。よって、ダミー画像信号線と外側の画像信号線との間に、外側の画像信号線と隣接する画像信号線との間の容量結合と殆ど又は完全に同じ容量結合を発生させることができる。従って、N本の画像信号線間の容量結合の差異を殆ど又は実践的な意味で完全に無くすことができる。更に、外部回路からN個の画像信号とは別にダミー画像信号を供給するための外部回路接続端子を設ける必要がないので、基板上の面積を有効に活用することもできる。
上述したダミー画像信号線が外側の画像信号線を除く画像信号線に電気的に接続された態様では、前記ダミー画像信号線が電気的に接続される画像信号線は、前記ダミー画像信号線の逆側において前記外側の画像信号線に隣接する他の画像信号線であってもよい。
この場合、ダミー画像信号線は、該ダミー画像信号線の逆側において外側の画像信号に隣接する他の画像信号線と電気的に接続される。よって、隣接する他の画像信号線より内側の画像信号線と電気的に接続する場合と比較して、ダミー画像信号線と交差する画像信号線の本数を少なくすることができる。即ち、配線の複雑化を招かない。更に、複数の画像信号線間で、容量結合のばらつきが発生することを防止できる。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた装置としてDLP(Digital Light Processing)等を実現することも可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図6を参照して説明する。
先ず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る液晶装置における、電気光学パネルの一例としての液晶パネルの全体構成について、説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶パネルの構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線での断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶パネル100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、本発明に係る「画像信号供給部」の一例を構成する、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、本発明に係る「画像信号供給部」の一例を構成する、サンプリング回路200が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
TFTアレイ基板10上には、外部回接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。本実施形態では特に、引回配線90には、後述するダミー画像信号線が含まれている。
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成される。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
次に、液晶装置の全体構成について図3及び図4を参照して説明する。ここに、図3は、液晶装置の全体構成を示すブロック図であり、図4は、液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、液晶装置は、液晶パネル100を備えると共に、外部回路として設けられた画像信号供給回路300、タイミング制御回路400、電源回路700及びダミー画像信号供給回路500を備える。
タイミング制御回路400は、各部で使用される各種タイミング信号を出力するように構成されている。タイミング制御回路400の一部であるタイミング信号出力手段により、最小単位のクロックであり各画素を走査するためのドットクロックが作成され、このドットクロックに基づいて、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号XCLinv、YスタートパルスDY及びXスタートパルスDXが生成される。
画像信号供給回路300には、外部から1系統の入力画像データVIDが入力される。画像信号供給回路300は、1系統の入力画像データVIDをシリアル−パラレル変換して、N相、本実施形態では6相(N=6)の画像信号VID1〜VID6を生成する。更に、画像信号供給回路300において、画像信号VID1〜VID6の各々の電圧が、所定の基準電位に対して正極性及び負極性に反転され、このように極性反転された画像信号VID1〜VID6が出力されるようにしてもよい。
また、電源回路700は、所定の共通電位LCCの共通電源を、図2に示す対向電極21に供給する。本実施形態において、対向電極21は、図2に示す対向基板20の下側に、複数の画素電極9aと対向するように形成されている。
ダミー画像信号供給回路500は、例えば、画像信号VID1〜VID6のいずれか一つと殆ど又は完全に同じ振幅及び周期を有するダミー画像信号VIDd1及びVIDd2を生成し、外部回路接続端子102(図1参照)を介して、後述するダミー画像信号線に供給する。尚、ダミー画像信号は、画像信号VID1〜VID6と異なってもよい。また、ダミー画像信号が1個或いは3個以上生成され、対応する1本或いは3本以上のダミー画像信号線に供給されてもよい。
次に、液晶パネル100における電気的な構成について説明する。
図4に示すように、液晶パネル100には、そのTFTアレイ基板10の周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、サンプリング回路200を含む内部駆動回路が設けられている。尚、図4では、引回配線90を、電気的な接続関係を分かりやすく説明するために概ねストライプ状に示している。しかし、その実際の平面レイアウト或いは配線レイアウトは、後に示すように、より複雑な引回形状をしている(図1及び図6参照)。
走査線駆動回路104には、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、及びYスタートパルスDYが供給される。走査線駆動回路104は、YスタートパルスDYが入力されると、Yクロック信号CLY及び反転Yクロック信号CLYinvに基づくタイミングで、走査信号Y1、・・・、Ymを順次生成して出力する。
データ線駆動回路101には、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXinv、及びXスタートパルスDXが供給される。データ線駆動回路101は、XスタートパルスDXが入力されると、Xクロック信号CLX及び反転Xクロック信号XCLXinvに基づくタイミングで、サンプリング信号S1、・・・、Snを順次生成して出力する。
サンプリング回路200は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFT、若しくは相補型のTFTから構成されたサンプリングスイッチ202を複数備える。
液晶パネル100は更に、そのTFTアレイ基板の中央を占める画像表示領域10aに、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112を備え、それらの交点に対応する各画素部70に、マトリクス状に配列された液晶素子118の画素電極9a、及び画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT116を備える。尚、本実施形態では特に、走査線112の総本数をm本(但し、mは2以上の自然数)とし、データ線114の総本数をn本(但し、nは2以上の自然数)として説明する。
6相にシリアル−パラレル展開された画像信号VID1〜VID6は、N本、本実施形態では6本の画像信号線171を介して液晶パネル100に供給される。そして、n本のデータ線114は、以下に説明するように、画像信号線171の本数に対応する12本のデータ線114を1群とするデータ線群毎に、順次駆動される。
データ線駆動回路101から、データ線群に対応するサンプリングスイッチ202毎にサンプリング信号Si(i=1、2、・・・、n)が順次供給され、サンプリング信号Siに応じて各サンプリングスイッチ202はオン状態となる。各サンプリングスイッチ202は、分岐配線173を介して画像信号線171に接続されている。
よって、6本の画像信号線171から画像信号VID1〜VID6が、オン状態となったサンプリングスイッチ202を介して、データ線群に属するデータ線114に同時に、且つデータ線群毎に順次供給される。よって、データ線群に属するデータ線114は互いに同時に駆動されることとなる。従って、本実施形態では、n本のデータ線114をデータ線群毎に駆動するため、駆動周波数が抑えられる。
図4中、一つの画素部70の構成に着目すれば、TFT116のソース電極には、画像信号VIDk(但し、k=1、2、3、・・・、6)が供給されるデータ線114が電気的に接続されている一方、TFT116のゲート電極には、走査信号Yj(但し、j=1、2、3、・・・、m)が供給される走査線112が電気的に接続されるとともに、TFT116のドレイン電極には、液晶素子118の画素電極9aが接続されている。ここで、各画素部70において、液晶素子118は、画素電極9aと対向電極21との間に液晶を挟持してなる。従って、各画素部70は、走査線112とデータ線114との各交点に対応して、マトリクス状に配列されることになる。
走査線駆動回路104から出力される走査信号Y1、・・・、Ymによって、各走査線112は線順次に選択される。選択された走査線112に対応する画素部70において、TFT116に走査信号Yjが供給されると、TFT116はオン状態となり、当該画素部70は選択状態となる。液晶素子118の画素電極9aには、TFT116を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線114より画像信号VIDkが所定のタイミングで供給される。これにより、液晶素子118には、画素電極9a及び対向電極21の各々の電位によって規定される印加電圧が印加される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶パネル100からは画像信号VID1〜VID6に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、蓄積容量119が、液晶素子118と並列に付加されている。例えば、画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量119により保持されるので、保持特性が改善される結果、高コントラスト比が実現されることとなる。
次に、データ線の駆動に係る主要な構成について、より詳細に図5及び図6を参照して説明する。図5は、データ線の駆動に係る回路構成を示す図である。図6は、画像信号線及びダミー画像信号線のTFTアレイ基板上におけるレイアウトを示す平面図である。
以下では、データ線114の駆動に係る主要な構成について、n本のデータ線114が、その配列方向に沿って片方向に或いは双方向のうちの一方の方向にデータ線群毎に順次駆動される際、データ線駆動回路101から第(i−1)番目、第i番目、及び第(i+1)番目に出力される3つのサンプリング信号Si−1、Si、Si+1に基づいて駆動される3つのデータ線群のうち、特に第i番目のサンプリング信号Siに基づいて駆動される第iデータ線群の構成に着目して説明する。尚、以下に説明する第iデータ線群に係る構成は、第(i−1)データ線群及び第(i+1)データ線群についても同様である。
図5において、第iデータ線群に属するデータ線114e(114e−1〜114e−6)の配列に対応して、分岐配線173のうち6本の分岐配線E1〜E6が配列されている。また、6本の画像信号線171−1〜171−6は、データ線114eの配列方向に交差する方向に沿って配列されている。そして、6本の分岐配線E1〜E6の一端は、6本の画像信号線171−1〜171−6のうち対応する一本に、夫々電気的に接続されると共に、これら6本の分岐配線E1〜E6の他端は夫々サンプリングスイッチ202を介してデータ線114eに電気的に接続される。各サンプリングスイッチを構成するTFT202は、ソースが分岐配線Ekに接続されると共に、ドレインがデータ線114eに電気的に接続される。また、各TFT202のゲートは、制御配線X1〜X6を介してデータ線駆動回路101に電気的に接続されている。尚、制御配線X1〜X6には第i番目のサンプリング信号Siがデータ線駆動回路101から供給される。
TFTアレイ基板10上において、6本の画像信号線171−1〜171−6は、例えば、データ線114eと同一材料の低抵抗のアルミニウム膜によって形成される。また、制御配線X1〜X6は、画像信号線171−1〜171−6と交差する方向であってデータ線114eの延びる方向に配線され、例えばポリシリコン膜によって形成されている。また、各分岐配線E1〜E6は、対応する画像信号線171−kに電気的に接続される一端側よりデータ線114eの延びる方向に、配線されている。そして、各分岐配線E1〜E12の一部はサンプリングスイッチ202のソース電極を形成し、第iデータ線群に属するデータ線114eの各々の一部はサンプリングスイッチ202のドレイン電極を形成し、各制御配線X1〜X6の一部はサンプリングスイッチ202のゲート電極を形成している。
図6において、本実施形態では特に、ダミー画像信号線180−1及び180−2は、画像信号線171−1〜171−6が並走する配線部分において6本の画像信号線の束のうち外側に位置する画像信号線171−1及び171―6の更に外側に、並走する配線部分に沿って配線されている。ダミー画像信号線180−1及び180―2は、画像信号線171−1〜171−6とは異なり、分岐配線173を有しておらず、サンプリング回路200(図5参照)を介してデータ線114(図5参照)に対して画像信号VID1〜VID6を供給するようには、接続されてない。即ち、ダミー画像信号線180−1及び180−2は、あくまで画像信号線を模擬するにとどまり、実際に画像表示のための画像信号を供給していない。また、ダミー画像信号線180−1は、6本の画像信号線171−1〜171−6の束のうち外側である、一方の端から数えて第1番目の画像信号線171−1の外側に配線されている。これに加えて、ダミー画像信号線180−2は、一方の端から数えて第6番目の画像信号線180−6の外側に配線されている。即ち、6本の画像信号線171−1〜171−6の束の両方の外側に、1本のダミー画像信号線180が夫々配線されている。このため、画像信号線171−1とダミー画像信号線180−1との間に、画像信号線171−1と画像信号線171−2との間に生ずる容量結合と、殆ど好ましくは完全に同じ大きさの容量結合を発生させることができる。即ち、6本の画像信号線171−1〜171−6間の容量結合の差異を殆ど好ましくは完全に無くすことができる。尚、本実施形態では、ダミー画像信号線は、画像信号線171−1〜171−6の束の両側に設けられているが、片側にのみダミー画像信号線を設けてもよい。
更に図6において、本実施形態では特に、ダミー画像信号供給回路500(図3参照)から外部回路接続端子102d1を介して、画像信号線171−1に供給される画像信号VID1とは異なるダミー画像信号VIDd1が、ダミー画像信号線180−1に供給される。同様に、ダミー画像信号線180−2には、ダミー画像信号供給回路500(図3参照)から外部回路接続端子102d2を介して、画像信号線171−6に供給される画像信号VID6とは異なるダミー画像信号VIDd2が、供給される。即ち、外側の画像信号線171−1及び171−6とダミー画像信号線180−1及び181−2の夫々の電位は相異する。よって、外側の画像信号線171−1及び171−6とダミー画像信号線180−1及び181−2との間に、外側の画像信号線171−1及び171−6に供給される画像信号VID1及びVID6と同じダミー画像信号をダミー画像信号線180−1及び181−2に供給した場合と比較して、容量結合を殆ど確実に発生させることができる。従って、ダミー画像信号線180−1及び181−2によって画像信号線を模擬することができる。
以上のように、本実施形態によれば、シリアル−パラレル変換した画像信号VID1〜VID6を用いて駆動する際における、6本の画像信号線171−1〜171−6間の容量結合の差異に起因して各ブロックの境目(即ちデータ線群の境目)で輝度ムラが発生することを防止することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電気光学装置について、図7を参照して説明する。ここに図7は、第2実施形態における図6と同趣旨の平面図である。尚、図7において、図6に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図7において、第2実施形態では特に、ダミー画像信号線180−1は、画像信号線171−2と電気的に接続されており、画像信号VID2がダミー画像信号VIDd1として供給される。ダミー画像信号線180−2は、画像信号線180−5と電気的に接続されており、画像信号VID5がダミー画像信号VIDd2として供給される。このため、ダミー画像信号線180−1及び画像信号線171−1間に、画像信号線171−1及び隣接する画像信号線171―2との間の容量結合と殆ど又は完全に同じ容量結合を発生させることができる。同様にダミー画像信号線180−2及び画像信号線171−6間に、画像信号線171−6及び隣接する画像信号線171−5との間の容量結合と殆ど又は完全に同じ容量結合を発生させることができる。従って、6本の画像信号線間の容量結合の差異を殆ど又は実践的な意味で完全に無くすことができる。更に、外部回路から6個の画像信号VID1〜VID6とは別にダミー画像信号VIDd1及びVIDd2を供給するための外部回路接続端子102を設ける必要がないので、TFTアレイ基板10(図1参照)上の面積を有効に活用することもできる。
更に、ダミー画像信号線180ー1は、外側の画像信号171ー1に隣接する画像信号線171ー2と電気的に接続されている。このため、画像信号線171ー2より内側の画像信号線171ー3、171ー4、171ー5或いは171ー6と電気的に接続する場合と比較して、ダミー画像信号線180ー1と交差する画像信号線の本数を少なくすることができる。即ち、配線の複雑化を招かずに、ダミー画像信号線180−1を外側の画像信号線171ー1以外と接続することができる。更に、外側の画像信号線171ー1と、これ以外の画像信号線171ー2、171ー3、171ー4、171ー5及び171ー6との間に容量結合の差異が発生することを防止できる。従って、外側の画像信号線171ー1以外の画像信号線171ー2、171ー3、171ー4、171ー5及び171ー6に供給される画像信号VID2〜VID6の劣化の度合いが、不均一になることを防止できる。
ダミー画像信号線180ー2は、外側の画像信号171ー6に隣接する画像信号線171ー5と電気的に接続されている。このため、画像信号線171ー5より内側の画像信号線171ー4、171ー3、171ー2或いは171ー1と電気的に接続する場合と比較して、ダミー画像信号線180ー2と交差する画像信号線の本数を少なくすることができる。即ち、配線の複雑化を招かずに、ダミー画像信号線180−2を外側の画像信号線171ー6以外と接続することができる。更に、外側の画像信号線171ー6と、これ以外の画像信号線171ー5、171ー4、171ー3、171ー2及び171ー1との間に容量結合の差異が発生することを防止できる。従って、外側の画像信号線171ー6以外の画像信号線171ー5、171ー4、171ー3、171ー2及び171ー1に供給される画像信号VID1〜VID5の劣化の度合いが不均一になることを防止できる。
(電子機器)
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
まず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図8は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図8に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
なお、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
次に、液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図9は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図9において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶装置1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
さらに、液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図10は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図10において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
尚、図8から図10を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10a…画像表示領域、10…TFTアレイ基板、20…対向基板、70…画素部、100…液晶パネル、102、102d1、102d2…外部回路接続端子、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、112…走査線、114…データ線、171…画像信号線、180…ダミー画像信号線、200…サンプリング回路、202…サンプリングスイッチ、500…ダミー画像信号供給回路、VID1〜VID12…画像信号、VIDd1、VIDd2…ダミー画像信号