JP2006266459A - 高角固定式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定式等速自在継手のボール溝をテーパ形状にして高角化を容易にしつつ、それに伴って増大するポケット荷重にケージがよく耐えるようにし、早期破損を防止する。
【解決手段】外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、前記開口端に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、内側継手部材のボール溝の、外側継手部材の反開口端側溝底を、前記反開口端側に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、ケージ外径Doのボール径dに対する比の値Do/d、ケージ肉厚tのボール径dに対する比の値t/d、ケージ幅wのボール径dに対する比の値w/dを次のように設定する。
3.9≦Do/d≦4.1
0.31≦t/d≦0.34
1.8≦w/d≦2.0
【選択図】 図2

Description

本発明は高角固定式等速自在継手に関する。等速自在継手は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において、駆動側の回転軸と従動側の回転軸を連結して等角速度でトルクを伝達するもので、固定式と摺動式があり、摺動式が角度変位と軸方向変位を許容するのに対して固定式は角度変位のみを許容するタイプである。
一般に、固定式等速自在継手は、駆動側または従動側の軸とトルク伝達可能に結合する外側継手部材と、従動側または駆動側の軸とトルク伝達可能に結合する内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在してトルクを伝達する複数のトルク伝達要素と、複数のトルク伝達要素を駆動軸と従動軸とがなす角度の二等分面内に保持するケージとを備えている。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフト等の連結用継手として使用されている固定式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
高角化のニーズに対する固定式等速自在継手としては、トルク伝達要素が転動するトラックを構成する外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝の底をテーパ状にすることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2001−153149号公報 特開2001−304282号公報 特開2001−349332号公報
特許文献1〜3に開示された固定式等速自在継手では、外側継手部材および内側継手部材のボール溝をテーパ形状にすることで高角化を容易にしている。しかしながら、ボールと接するケージのポケット側壁が受ける荷重(以下、ポケット荷重という。)がテーパ角度に比例して大きくなるという問題がある(図9参照)。
本発明の主要な目的は、固定式等速自在継手のボール溝をテーパ形状にして高角化を容易にしつつ、それに伴って増大するポケット荷重にケージがよく耐えるようにし、早期破損を防止することである。
本発明は、高角固定式等速自在継手の内部諸元の中で、ボール溝をテーパ形状にすることによって等速自在継手内部に発生する力(とくにポケット荷重)を検証し、等速自在継手の強度に与える影響を考慮し、ケージの形状を最適設定することにより課題を解決したものである。
すなわち、本発明の固定式等速自在継手は、内球面に、開口端まで軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した外側継手部材と、外球面に、軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した内側継手部材と、対をなす外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在し、ボールを収容するポケットを円周方向に配設したケージとを備え、外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、前記開口端に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、内側継手部材のボール溝の、外側継手部材の反開口端側溝底を、前記反開口端側に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、ケージ外径Doのボール径dに対する比の値Do/dが3.9以上4.1以下であり、ケージ肉厚tのボール径dに対する比の値t/dが0.31以上0.34以下であり、ケージ幅wのボール径dに対する比の値w/dが1.8以上2.0以下であることを特徴とする。
ケージ外径Doのボール径dに対する比の値Do/dは、従来の固定式等速自在継手では3.7≦Do/d≦3.8であったところ、本発明では3.9≦Do/d≦4.1にする。作動角が大きくなるとボールがポケット内の径方向に移動する量が増える(図3参照。図3において、符号mはボールとケージが接触する最外径位置を示し、符号nはボールとケージが接触する最内径位置を示す)。最大作動角時でもボールの接触点がケージから外れてはならないことから、ケージ外径の下限値は必然的に決まる。また、ケージ外径が過大であると外側継手部材のボール溝深さが不十分となり耐久性が悪化する。したがって、耐久性を最小限確保することのできる外径寸法をケージ外径の上限値としたものである。
ケージ肉厚tのボール径dに対する比の値は、従来の固定式等速自在継手では0.24≦t/d≦0.27であったところ、本発明では0.31≦t/d≦0.34とする。ケージ肉厚tは上記のDo/dより決まる外径と後述する内径とで規定することができる。その内径寸法の規定の考え方はDo/dの場合と同様で、上限値はボールの接触点を確保するという観点から決まり、下限値は内側継手部材のボール溝深さ、すなわち耐久性を確保するという観点から決まる。
ケージ幅wのボール径dに対する比の値w/dは、従来の固定式等速自在継手では1.7≦w/d≦1.9であったところ、本発明では1.8≦w/d≦2.0とした。ケージの、増大したポケット荷重を受けるポケット側壁の応力値を、従来の高角固定式等速自在継手(UJ)並み以下に設定するため、ポケット側壁の断面係数を確保する必要があるが、外径、内径は上記Do/d、t/dによって決まるため、幅寸法にて調整する。このとき、応力値が従来の固定式等速自在継手(UJ)並みとなる幅寸法を下限値とすることで、従来の高角固定式等速自在継手(UJ)と同等以上の強度が確保できることになる。また、幅寸法を過大に設定すると重量および材料費が増加するため、上限値は、下限値からの範囲(規格規定範囲)を従来の高角固定式等速自在継手と同等に設定したものである。
請求項2の発明は、請求項1の高角固定式等速自在継手において、外側継手部材および内側継手部材のボール溝のテーパ角度が12deg以下であることを特徴とする。従来必要な基本性能である強度や耐久性を確保しながら、内部力解析、有限要素法(FEM)解析を用いて検討を進め、テーパ角度の範囲を絞り込んで最適設定した。そして、テーパ角度を変えたサンプルの評価結果と解析結果との整合性を確認した。ボール溝をテーパ状とすることにより、外側継手部材の外径を大きくすることなく、作動角の高角化を容易に実現する上で、外側継手部材の肉厚を薄くしてもその外側継手部材の強度および加工性を低下させないように、この高角固定式等速自在継手の内部諸元の中で、ボール溝をテーパ状にすることによる影響および傾向を検証し、テーパ角度の最適値としてその上限値を12°に規定した。
請求項3の発明は、請求項1または2の高角固定式等速自在継手において、ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせてあり(このオフセットをケージオフセットと呼ぶこととする。)、前記オフセットの量fの、外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが、0.018以上0.150以下の範囲であることを特徴とする。
ケージオフセット量fはケージの縦断面における肉厚差に関係するため、この点を考慮に入れてケージオフセット量fを設定するのが望ましい。たとえば、ケージオフセット量fを大きく設定することにより、請求項4の発明のように、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させて強度向上を図ることができるという利点がある。また、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させることによって、作動角をとった時、外側継手部材の開口端から飛び出そうとするボールをケージで拘束することができる。
ただし、ケージオフセット量fが大きすぎると、ケージのポケット内におけるボールの周方向移動量が大きくなり、ボールの適正な運動を確保するため、ケージのポケットの周方向寸法を大きくする必要が生じるので、ケージの柱部が細くなり、強度面が問題となる。また、ケージの、外側継手部材の奥側つまり開口端とは反対側の肉厚が小さくなり、強度面が問題となる。
このように、ケージオフセット量fが過大であるのは好ましくなく、ケージオフセット量fを設ける意義と前述の強度面との均衡を図り得る最適範囲が存在する。ただ、ケージオフセット量fの最適範囲は継手の大きさによって変わるので、継手の大きさを表わす基本寸法との関係において求める必要がある。そこで、外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRに対するケージオフセット量fの比の値f/PCRを用いるならば、ケージオフセット量fは、f/PCRが0以上0.12以下の範囲内となるように設定することが望ましい。
f/PCRが0.12より大きいと前述の強度面での問題が生じる。逆に、0より小さいとケージオフセット量fを設ける意義がなくなる。すなわち、ケージオフセットは、高作動角の時にボールがケージのポケットから飛び出すことを防ぐのが目的の一つであるところ、0より小さい範囲ではその目的が達成できない。したがって、ケージ強度の確保、耐久性の確保の点から、f/PCRが0以上0.12以下となる範囲が、ケージオフセット量fの最適範囲である。
請求項5の発明は、請求項3の高角固定式等速自在継手において、外側継手部材のボール溝の曲率中心と内球面の中心が一致し、内側継手部材のボール溝の曲率中心が外球面の中心と一致していることを特徴とする。外側継手部材のボール溝の曲率中心を内球面の中心に対して、また、内側継手部材のボール溝の曲率中心を外球面の中心に対して、軸方向に互いに反対側にオフセットさせた場合(このオフセットをトラックオフセットと呼ぶこととする。)、外側継手部材の奥側にゆくほどボール溝が浅くなるため、作動角をとった時に外側継手部材の最奥部に位置するボールがボール溝の肩に乗り上げるおそれがある。このトラックオフセットをなくすことにより、外側継手部材の奥側でもボール溝が浅くならず、したがって、作動角をとった時でも外側継手部材の最奥部に位置するボールの乗り上げを抑制することができる。
本発明によれば、増大したポケット荷重にもケージがよく耐え、早期破損を防止することができるため、固定式等速自在継手のボール溝をテーパ形状にして高角化を容易に達成することができる。
以下、図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す固定式等速自在継手は、外輪10と、内輪20と、ボール30と、ケージ40を主要な構成要素としている。この固定式等速自在継手によって連結すべき二軸を第一の回転軸と第二の回転軸と呼ぶならば、第一の回転軸を外輪10と結合し、第二の回転軸を内輪20と結合して、両者が角度をなした状態でも等速でトルクを伝達するようになっている。なお、図2に図1の主要部を拡大して示す。また、図3に外輪10の回転軸Xと内輪20の回転軸Yとがなす角すなわち作動角θが最大(例えば52°以上)の状態を示し、図1では作動角θが0°の状態を示してある。
外側継手部材としての外輪10はマウス部16とステム部(図示せず)とからなり、ステム部にて第一の回転軸とトルク伝達可能に結合する。マウス部16は一端にて開口したベル型で、その凹球面状内周面(以下、内球面という。)12に、軸方向に延びた複数のボール溝14が円周方向等間隔に形成してある。ボール溝14はマウス部16の開口端18まで延びている。
内側継手部材としての内輪20は、凸球面状外周面(以下、外球面という。)22を有し、その外球面22には軸方向に延びた複数のボール溝24が円周方向等間隔に形成してある。ボール溝24は内輪20の軸方向に切り通してある。内輪20は第二の回転軸とトルク伝達可能に結合するためのスプライン(またはセレーション)孔26を有している。
外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24とは対をなし、各対のボール溝14,24で構成されるトラックに1個ずつ、トルク伝達要素としてのボール30が転動可能に組み込んである。ボール30は外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24との間に介在してトルクを伝達する。各ボール30はケージ40の円周方向に配設したポケット46内に収容されている。ボール30の数、したがってまたボール溝14,24の数は任意であるが、例を挙げるならば6あるいは8である。
ケージ40は外輪10と内輪20との間に摺動可能に介在し、外球面42にて外輪10の内球面12と接し、内球面44にて内輪20の外球面22と接する。外輪10の内球面12の曲率中心とケージ40の外球面42の曲率中心とは一致し、図2に符号O4で示してある。同様に、内輪20の外球面22の曲率中心とケージ40の内球面44の曲率中心とは一致し、図2に符号O3で示してある。なお、図面では、外輪10の内球面12とケージ40の外球面42との間、内輪20の外球面22とケージ40の内球面44との間のすきまが誇張して示してある。
外輪10のボール溝14は円弧部分14aと直線部分14bとからなり、円弧部分14aはマウス部16の奥側つまり反開口端側に位置し、直線部分14bは開口端18側に位置する。そして、ボール溝14は、開口端18側の溝底を、開口端18に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としてある。
内輪20のボール溝24は円弧部分24aと直線部分24bとからなり、円弧部分24aは外輪10の開口端18側に位置し、直線部分24bは反開口端側に位置する。そして、ボール溝24は、外輪10の奥側つまり反端面側の溝底を、反端面側に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としてある。
この実施の形態では、大きな作動角θを取り得る構造とするため、図2に示すように、外輪10のボール溝14の曲率中心O1は内球面12の中心O3に対して、内輪20のボール溝24の曲率中心O2は外球面22の中心O4に対して、等距離Fだけ軸方向に互いに逆向きにオフセットさせてある(トラックオフセット)。
同様に、ケージ40の外球面42の曲率中心O4と内球面44の曲率中心O3は、継手中心Oに対して等距離fだけ、軸方向に互いに逆向きにオフセットさせてある(ケージオフセット)。
図3に示すように、外輪10の回転軸Xと内輪20の回転軸Yが0°以外のある作動角θをとったとき、両回転軸X,Yのなす角度θの二等分線に垂直な平面すなわち継手中心面P内にすべてのボール30があれば、ボール中心から両回転軸X,Yまでの距離が相等しく、したがって、両回転軸X,Y間で等角速度で回転運動の伝達が行われる。継手中心面Pと回転軸X,Yとの交点を継手中心Oと称する。固定式等速自在継手では、作動角θに関わりなく継手中心Oは固定されている。
対をなす外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24とで構成されるトラックは、外輪10のマウス部16の奥側から開口端18側に向かって徐々に拡大する楔状を呈している。そして、継手が作動角θをとった状態でトルクを伝達するとき、図2に白抜き矢印で示すように、楔状のトラックの狭い方から広い方へボール30を押し出そうとする推力が作用する。この推力によってボール30からケージ40のポケット46の壁面に作用する荷重をポケット荷重と呼ぶ。
最大作動角(例えば52°以上)をとったとき、外輪10のマウス部16の開口端18から飛び出そうとするボール30をケージ40で拘束できるように、ケージオフセット量fを従来のものよりも大きく設定する。ボール30の中心軌跡半径値すなわち、外輪10のボール溝14の曲率中心O1または内輪20のボール溝24の曲率中心O2とボール30の中心O5とを結ぶ線分の長さをPCRとしたとき、ケージオフセット量fのPCRに対する比の値f/PCRが0.12以下となるように設定する。
継手の縦断面において、外輪10のボール溝14および内輪20のボール溝24の溝底をテーパ状とすることにより、最大作動角の高角化に加えて、外輪10のボール溝14におけるボール30との接触長さを確保することができるので、外輪10と内輪20との間における安定したトルク伝達が達成される。また、作動角θをとった時にボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)(図3および図4参照)のトラック荷重およびポケット荷重が低減するので、高角域において有利である。トラック荷重とは、接触するボール30からボール溝14,24の壁面が受ける荷重を意味する。
また、ケージ40の外球面42は外輪10の内球面12に接触案内され、ケージ40の内球面44は内輪20の外球面22に接触案内されることから、トルク伝達時にケージ40と外輪10または内輪20との間で球面力(球面同士で押し合う力)が作用するが、その球面力の最大値が低減し、継手内部での発熱の抑制につながる。さらに、鍛造型が抜きやすい形状であるため冷間鍛造による加工性がよく、製造コストの低減も図れる。
外輪10および内輪20のボール溝14,24の溝底をテーパ状とすることによって、前述のトラック荷重、ポケット荷重および球面力からなる内部力に及ぼす影響およびその傾向を検証し、有限要素法(FEM)による解析を行い、テーパ角度αの範囲を絞り込んで最適設定した。まず、テーパ角度αを大きくすることによって内部力に表1に示すような傾向が認められる。なお、表1において、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)と、内部力が最大値となるボール30の位相(例えばボール30が最も奥に入る位相近辺(位相角φ=180°))について検証した。また、球面力について変動幅とは、球面力の最大値と最小値との差を意味する。
Figure 2006266459
表1から明らかなように、テーパ角度αを大きくすると、ポケット荷重の最大値が大きくなるが、ボール30が外輪10の最も奥に入る位相近辺(位相角φ=180°)で外輪10の肉厚を大きくし、また、ケージオフセット量fを大きくしてケージ40の肉厚を大きくすることによって、外輪10やケージ40の強度を確保することができるので、問題にはならない。
次に、テーパ角度αの上限値を決定するために有限要素法(FEM)解析を行った。テーパ角度αが大きくなれば、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)では内部力(トラック荷重およびポケット荷重)が小さくなり、強度的に有利になるが、外輪10の開口端18の肉厚が小さくなるため、ボール溝14に発生する応力値を継手強度に換算して傾向を確認した。その結果は図5に示すとおりである。テーパ角度α(deg)に対する継手強度の関係を示す同図から明らかなように、テーパ角度αが12.9°で継手強度が必要強度を下回ることから、テーパ角度αの最適範囲としてその上限値を12°として規定した。
なお、上述の実施の形態はトラックオフセットを設けた場合を例示したが、トラックオフセットを設けなくてもよい。つまり、トラックオフセットが設けてあると、外輪10のボール溝14のうち、マウス部16の奥側に位置する円弧部分14aが奥側にゆくほど浅くなることから、作動角をとった時にボール溝14の最奥部に位置するボール30の乗り上げが生じる可能性がある。そこで、このトラックオフセット量を0とすることにより、外輪10のボール溝14のうちマウス部16の奥側に位置する円弧部分14aが均一な深さとなることから、作動角をとった時に外輪10のボール溝14の最も奥に位置するボール30の乗り上げを抑制することができる。
トラックオフセット量F、ケージオフセット量f、テーパ角度αの各因子を変動させて内部力解析を行った結果を次に述べる。ここで、トラックオフセットについては、高角域に入っても許容負荷トルクが落ちない超高角固定式等速自在継手の特性を考慮してトラックオフセット量F=0すなわち「トラックオフセットなし」とした。ケージオフセットについては、内部力の観点からはできるだけ小さい方がよいが、継手の機能確保のためにはある程度ケージオフセットをつけなくてはならないことから、0≦f/PCR≦0.150で変動させた。テーパ角度αについては、0degから12degまでの範囲で変動させた。
f=0(f/PCR=0)ならば、テーパ角度αが1.1deg以上のとき0deg位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
一方、テーパ角度α=12degならば、f=3.94(f/PCR=0.114)以下のとき0deg位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
つまり、ケージオフセット量fとテーパ角度αとの関係が図6の斜線領域内に設定されていれば、0deg位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。ここで、図6は内部力解析により算出したデータに基づいて作図したもので、横軸がテーパ角度α(deg)、縦軸がf/PCRを表している。
これより、0deg位相に負荷される荷重を極力小さくし、より高角作動域において有利となる内部仕様は次のようになる。
トラックオフセット:なし
ケージオフセット量f:f/PCR≦0.12
テーパ角度α:1deg≦α≦12deg
また、この実施の形態では、0deg位相における荷重が低減する一方、ピークの荷重は従来の等速自在継手と比較して大きくなることから、強度を確保するため、ケージ40の肉厚部を外輪10の開口端18側に向けた配置とするのが好ましい。
上記の内部仕様で寸法を設定した本発明による固定式等速自在継手(実施例)と従来のUJタイプ高角固定式等速自在継手(比較例)について、0deg位相におけるポケット荷重の最大値を負荷した時の、ケージ40の側壁48の応力値を解析したところ、結果は図7のとおりであった。なお、作動角は実施例(56°)の方が比較例(50°)よりも高角設定である。百分率表示は比較例の応力値を100としたときのものである。このように、実施例は比較例よりも低応力であるため、上記寸法仕様のケージは比較例よりも大きな作動角時に同等以上のケージ強度を発揮すると判断できる。
次に、比較例と実施例とについて、ボール溝のテーパ化による内部力(特にポケット荷重)の影響および傾向を検証し、比較を行ったところ、最大作動角時においてボールが最も飛び出す位相(位相角0deg)のポケット荷重は大幅に低減できたが、その他のすべての位相のポケット荷重を確認したところ、比較例のポケット荷重(最大値)が4671Nであったのに対して実施例のポケット荷重(最大値)は5939Nであった。このように、ポケット荷重の最大値は比較例よりも実施例の方が約30%程度増大する(図8参照)。このときの負荷トルクは同一であるが、最大作動角は異なり、比較例(50°)よりも実施例(56°)の方が高角設定である。表2に上記比較例および実施例における仕様を示す。
Figure 2006266459
ポケット荷重の最大値が増大したのは、ボール溝のテーパ化と、最大作動角アップによる影響である。この増大したポケット荷重に耐え、早期破損を防止し得るケージ仕様として、次のような設定を採用する。カッコ内は従来の固定式等速自在継手(BJ)や高角固定式等速自在継手(UJ)における値である。なお、ケージの外径Do、内径Di、幅wについては図2に示すとおりであるが、ケージの肉厚tは軸方向中央部の肉厚である。
ケージの外径Doのボール径dに対する比の値Do/d:
3.9≦Do/d≦4.1(3.7≦Do/d≦3.8)
ケージの肉厚tのボール径dに対する比の値t/d:
0.31≦t/d≦0.34(0.24≦t/d≦0.27)
ケージ幅wのボール径dに対する比の値w/d:
1.8≦w/d≦2.0(1.8≦w/d≦1.9)
ケージ内径Diのボール径dに対する比の値Di/dは、ケージ外径および肉厚で決まるが、参考までに示すならば次のとおりである:
3.25≦Di/d≦3.45(3.10≦Di/d≦3.25)
このとき、ポケット荷重の作用する方向は、外輪のマウス部奥側から開口端に向かう方向となるため、開口端側にケージの厚肉側を配置する。なお、ケージのマウス部奥側は薄肉となる。これは、内輪組み込み用のインロー径を設ける必要があるためである。外輪の開口端側からマウス部奥側に向かう方向のポケット荷重は比較的微小であるため、特に不具合は生じない。
本発明の実施の形態を示す固定式等速自在継手の縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 図1の継手が最大作動角をとった状態を示す縦断面図である。 ボールを収容したケージの横断面図である。 ボール溝のテーパ角度と継手強度の関係を示す線図である。 テーパ角度とf/PCRとの関係を示す線図である。 最大ポケット荷重を負荷したときのポケット側壁の応力値を比較例と実施例とで対比して示すグラフ図である。 ポケット荷重(最大値)を比較例と実施例とで対比して示すグラフ図である。 テーパ角度とポケット荷重の関係を示す線図である。
符号の説明
10 外輪
12 内球面
14 ボール溝
16 マウス部
18 開口端
20 内輪
22 外球面
24 ボール溝
26 スプライン(またはセレーション)孔
30 ボール
40 ケージ
42 外球面
44 内球面
46 ポケット
α テーパ角度

Claims (5)

  1. 内球面に、開口端まで軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した外側継手部材と、外球面に、軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した内側継手部材と、対をなす外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在し、ボールを収容するポケットを円周方向に配設したケージとを備え、
    外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、前記開口端に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、
    内側継手部材のボール溝の、外側継手部材の反開口端側溝底を、前記反開口端側に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、
    ケージ外径Doのボール径dに対する比の値Do/dが3.9以上4.1以下であり、ケージ肉厚tのボール径dに対する比の値t/dが0.31以上0.34以下であり、ケージ幅wのボール径dに対する比の値w/dが1.8以上2.0以下であることを特徴とする高角固定式等速自在継手。
  2. 外側継手部材および内側継手部材のボール溝のテーパ角度が12deg以下であることを特徴とする請求項1の高角固定式等速自在継手。
  3. ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせてあり、前記オフセットの量fの、外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが、0.018以上0.150以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2の高角固定式等速自在継手。
  4. 外側継手部材の開口端側にケージの厚肉側を位置させたことを特徴とする請求項3の高角固定式等速自在継手。
  5. 外側継手部材のボール溝の曲率中心と内球面の中心が一致し、内側継手部材のボール溝の曲率中心が外球面の中心と一致していることを特徴とする請求項3の高角固定式等速自在継手。
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