JP2006256493A - 車両用走行支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 障害物となる物体の挙動が急遽変わった場合にも、物体と自車両との衝突をより回避しやすくする車両用走行支援装置を提供する。
【解決手段】 自車両の前方の画像を入手することで自車両の周辺車両から障害物となる他車両を検出し、その他車両が急遽飛び出してくるような挙動を示すことを想定して他車両の移動可能範囲を求め、自車予測位置と他車両の移動可能範囲とから自車両と他車両とが衝突する可能性があるか否かを求める。そして、自車両と他車両とが衝突する可能性がある場合には、自車両が他車両と衝突しないように走行支援制御を実行する。このように、障害物となる他車両の挙動が急遽変わるような場合を想定して走行支援制御を実行するか否かを決めるようにすれば、実際に他車両の挙動が変わったことが検出されてから走行支援制御を実行する場合と比べて、早い段階で走行支援制御を実行するか否かを決めることが可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】 自車両の前方の画像を入手することで自車両の周辺車両から障害物となる他車両を検出し、その他車両が急遽飛び出してくるような挙動を示すことを想定して他車両の移動可能範囲を求め、自車予測位置と他車両の移動可能範囲とから自車両と他車両とが衝突する可能性があるか否かを求める。そして、自車両と他車両とが衝突する可能性がある場合には、自車両が他車両と衝突しないように走行支援制御を実行する。このように、障害物となる他車両の挙動が急遽変わるような場合を想定して走行支援制御を実行するか否かを決めるようにすれば、実際に他車両の挙動が変わったことが検出されてから走行支援制御を実行する場合と比べて、早い段階で走行支援制御を実行するか否かを決めることが可能となる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両が障害物と接触することを避けられるように走行支援制御を行う車両用走行支援装置に関するものである。
従来、車両用走行支援装置として特許文献1に提案されているものがある。この車両用走行支援装置では、カメラなどにより自車両の進行方向の物体を検出し、その検出された物体が自車両と衝突する可能性があるか否かを予測し、その物体が自車両と衝突する可能性があると予測した場合に、走行支援制御を行うようにしている。
特開2004−110394号公報
しかしながら、上記従来の車両用走行支援装置においては、障害物となる物体が認識されたとしても、その物体の進行方向が自車両の進行方向と一致していなければ、自車両とその物体とが衝突しないと判定されるようになっている。このため、例えば、物体が他車両であったときにおいて、その他車両のドライバの操作ミス等により、自車両の方向に急遽進行方向を変えてきた場合のように、物体の挙動が急遽変わった場合には、走行支援制御が間に合わず、物体と自車両との衝突を回避できなくなる可能性が高い。
本発明は上記点に鑑みて、障害物となる物体の挙動が急遽変わった場合にも、物体と自車両との衝突をより回避しやすくする車両用走行支援装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、自車両の周辺に位置し、該自車両の走行の障害物となる他車両を認識する他車両認識手段(100)と、他車両が自車両の方向に飛び出してくる可能性を予測する飛び出し可能性予測手段(120)と、飛び出し可能性予測手段で予測された飛び出し可能性に基づいて、自車両が他車両認識手段で認識された他車両に衝突することを回避するための走行支援制御を実行するか否かを判定する走行支援制御実行判定手段(140)と、走行支援制御実行判定手段での判定結果に基づいて走行支援制御を実行する走行支援制御手段(150)とを有していることを特徴としている。
このように、自車両の周辺車両から障害物となる他車両を検出し、その他車両が急遽飛び出してくるような挙動を示す可能性を求め、その可能性があり、かつ、自車両と他車両とが衝突する可能性がある場合には、自車両が他車両と衝突しないように走行支援制御が実行されるようにする。
つまり、障害物となる他車両の挙動が急遽変わるような場合を想定して走行支援制御を実行するか否かを決めるようにしているため、実際に他車両の挙動が変わったことが検出されてから走行支援制御を実行する場合と比べて、早い段階で走行支援制御を実行するか否かを決めることが可能となる。このため、走行支援制御によって、より確実に自車両が他車両と衝突することを防止することができる。
具体的には、請求項2に示されるように、自車両の進路を予測する自車進路予測手段(130)と、他車両認識手段で認識された他車両が現在から所定時間後に移動可能な範囲を検出する他車両移動可能範囲検出手段(140)とを備える。そして、走行支援制御実行判定手段にて、自車両と他車両とが衝突するまでの時間および飛び出し可能性と走行支援制御を実行するか否かについての関係を予め記憶しておき、自動進路予測手段で求められた自車両の進路と他車両移動可能範囲検出手段で求められた移動可能範囲とに基づき、自車両が他車両と衝突するまでの時間を求めると共に、求められた衝突するまでの時間と飛び出し可能性と記憶しておいた関係とから、走行支援制御を実行するか否かを判定することができる。
また、請求項3に示されるように、飛び出し可能性予測手段は、他車両認識手段で認識された他車両のドライバに関する情報を入手する他車両ドライバ認識手段を有し、他車両のドライバの性別、年齢、ドライバの向いている方向、該ドライバによる携帯電話の使用の有無の少なくとも1つをパラメータとして該パラメータと飛び出し可能性係数との関係を記憶しておき、この関係に基づき、他車両ドライバ認識手段によって認識された他車両のドライバに関する情報に応じた飛び出し可能性係数を求め、求められた飛び出し可能性係数を所定の関数に代入することで他車両における飛び出し可能性を求めることができる。
さらに、請求項4に示されるように、飛び出し可能性予測手段は、他車両認識手段で認識された他車両に関する情報を入手し、他車両の車種、初心者マークや紅葉マークの有無、傷跡の有無の少なくとも1つをパラメータとして該パラメータと飛び出し可能性係数との関係を記憶しておき、この関係に基づき、他車両ドライバ認識手段によって認識された他車両に関する情報に応じた飛び出し可能性係数を求め、求められた飛び出し可能性係数を所定の関数に代入することで他車両における飛び出し可能性を求めることもできる。
また、障害物となる他車両としては、請求項5に示されるように、自車両が通過するであろう交差点で右折しようと停車している対向車両、中央分離帯の無い車線で対向車線を走行中の対向車両、自車両の近傍で駐停車している他車両等が挙げられる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した車両用走行支援装置のブロック構成を図1に示す。この図に示される車両用走行支援装置は、例えば自動運転可能な車両に搭載される。以下、図1に基づいて、車両用走行支援装置の構成について説明する。
本発明の一実施形態を適用した車両用走行支援装置のブロック構成を図1に示す。この図に示される車両用走行支援装置は、例えば自動運転可能な車両に搭載される。以下、図1に基づいて、車両用走行支援装置の構成について説明する。
図1に示されるように、車両用走行支援装置は、自車両の周辺環境や自車両の状況を検出するための手段として車速センサ1、ミリ波レーダ2、CCDカメラ3、ヨーレートセンサ4および舵角センサ5を備えていると共に、検出された自車両の周辺環境や自車両の状況に基づいて車両支援制御に関わる各種演算などを実行する制御ECU6、さらには、制御ECU6からの制御信号に基づいて実際に車両支援制御を実行する手段となる操舵制御装置7、駆動力制御装置8、警報装置9および制動力制御装置10を備えて構成されている。
車速センサ1は、車両用走行支援装置が取り付けられた車両の速度に応じた出力信号を出力するものである。ここでは、車速センサを例に挙げているが、これに代えて、近年、車両に一般的に取り付けられるようになりつつある車輪速度センサを用いることも可能である。この場合、車輪速度センサから車輪速度に応じた検出信号が出力されるため、その検出信号に基づいて制御ECU6にて車速を求めるようにしても良し、ブレーキECUなど他のECUにおいて車輪速度センサの検出信号から車速が求められている場合には、その車速に関する信号をブレーキECUから受け取るようにしても良い。
ミリ波レーダ2は、例えば、車両の前方や車両の近傍の様子を検出するためのものであり、例えば、歩行者や車両進行方向に存在する障害物となる他車両と自車両との距離や相対速度などを検出するようになっている。具体的には、周波数変調されたレーダ波を送受信することにより、対象物との相対距離や相対速度に関する情報を取り出すことで、他車両と自車両との関係を検出するようになっている。このミリ波レーダ2の検出信号、すなわち障害物と自車両との距離や相対速度を示す電気信号が制御ECU6に出力されるようになっている。
CCDカメラ3は、例えば、車両内外に取り付けられ、車両の前方や車室内の様子を二眼画像として捉えることができる装置である。このCCDカメラ3が撮影した映像の画像データに基づいて、例えば、自車両周辺の障害物となる他車両を解析することや、自車両のドライバの視線の方向を解析することができる。このようなCCDカメラ3における画像データもしくは画像データを解析した後の障害物となる他車両や自車両のドライバの視線などに関する情報が電気信号として制御ECU6に出力されるようになっている。
ヨーレートセンサ4は、車両に発生しているヨーレート(ヨー角速度)に応じた検出信号を出力するものである。このヨーレートセンサ4からの検出信号が制御ECU6に入力され、制御ECU6でヨーレートを検出できるようになっている。
舵角センサ5は、ドライバによるステアリング操作量に応じた信号を検出信号として出力するものである。この舵角センサ5の検出信号に基づいて、車両の旋回状態を求めることが可能となる。
制御ECU6は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを有する周知のマイクロコンピュータによって構成されているもので、ROMに記憶されたプログラムにしたがって、車両走行支援制御処理を実行するものである。
具体的には、制御ECU6は、車速センサ1、ミリ波レーダ2、CCDカメラ3、ヨーレートセンサ4および舵角センサ5からの検出信号等の各種電気信号を受け取り、車速、自車両の周辺に存在する障害物となる他車両やその他車両を運転するドライバの顔、ヨーレート、舵角などを求めるようになっている。そして、制御ECU6は、求められた結果に基づいて、走行支援制御を実行するべきか否かを決定し、走行支援制御を実行するべきと判定した場合に走行支援制御を実行すべく、走行支援制御の形態に応じて操舵制御装置7、駆動力制御装置8、警報装置9および制動力制御装置10に対して制御信号を出力するようになっている。
操舵制御装置7は、制御ECU6からの制御信号に基づいて操舵角の制御を行うものである。具体的には、操舵制御装置7は、操舵角を自動調整するアクチュエータおよびそのアクチュエータを駆動するECU等によって構成され、ドライバがステアリング操作をしていなくても、制御ECU6からの制御信号に示された操舵角への調整を行うことができるようになっている。
駆動力制御装置8は、制御ECU6からの制御信号に基づいて駆動力の制御を行うものである。具体的には、駆動力制御装置8は、エンジンのスロットルバルブの調整や燃料噴射量の調整、さらには、トランスミッションにおけるギア位置の調整などを行う各種アクチュエータおよびそれらのアクチュエータを駆動するECU等によって構成され、制御ECU6からの制御信号に示された駆動力となるように各種アクチュエータの駆動を行うことができるようになっている。
警報装置9は、例えば警報ランプや警報音発生部もしくは警報表示部によって構成される。警報ランプは、例えば、車室内におけるインストルメントパネルに設けられた警告用の表示ランプであり、視覚を通じてドライバに対して危険性があることを警報するものである。例えば、上述した制御ECU6から警報を行うことを示す電気信号が入力されると、警報ランプが点灯して、危険性があることをドライバに対して警告するようになっている。
警告音発生部は、例えば、車室内に設置された警報用のブザーやオーディオ装置もしくはナビゲーション装置に装備されたスピーカなどの音声発生装置によって構成され、聴覚を通じてドライバに対して衝突危険性があることを警告するものである。例えば、上述した警報を行うことを示す電気信号が入力されると、警報音発生部から音声が出力されることで、衝突危険性があることをドライバに対して警告するようになっている。具体的には、警報音発生部がスピーカによって構成される場合には、衝突危険性に応じた内容のコメントが音声で出力される。
制動力制御装置10は、制御ECU6からの制御信号に基づいて制動力の制御を行うものである。具体的には、制動力制御装置10は、ブレーキ液圧制御用アクチュエータやホイールシリンダ、ホイールシリンダ加圧によって制動力を発生させるディスクブレーキ、およびブレーキ液圧制御用アクチュエータを駆動するブレーキECU等によって構成され、制御ECU6からの制御信号に示された制動力となるようにブレーキ液圧制御用アクチュエータの駆動を行うことができるようになっている。
続いて、上記のように構成される車両用走行支援装置の作動について説明する。図2は、本実施形態の車両用走行支援装置の制御ECU6で実行される走行支援制御処理のフローチャートを示したものである。本図中に示したステップが、各種処理を実行する手段に対応する。この走行支援制御処理は所定の演算周期ごとに実行され、例えば図示しないイグニッションスイッチがオンされたときもしくは車両走行中に実行される。
まず、ステップ100では、自車両の周辺の障害物となる他車両の認識が行われる。制御ECU6のうち、この処理を実行する部分が他車両認識手段に相当する。他車両は、CCDカメラ3で得た画像に基づいて認識され、例えば、予め制御ECU6内に障害物となる他車両となる場合の条件をパターン化して記憶させておき、そのパターンと比較することで行われる。具体的には、自車両が数秒後に通過するであろう交差点で右折しようと停車している対向車両、中央分離帯の無い車線で対向車線を走行中の対向車両、自車両の近傍で駐停車している他車両など、様々なパターンの画像が記憶され、どのパターンに該当するかに基づいて、障害物となり得る他車両が認識される。
続く、ステップ110では、対向車両のドライバの顔の認識が行われる。制御ECU6のうち、この処理を実行する部分が他車両ドライバ認識手段に相当する。他車両のドライバの顔は、ステップ100と同様に、CCDカメラ3で得た画像に基づいて認識される。
そして、ステップ120において、他車両が飛び出してくる可能性が予測される。制御ECU6のうち、この処理を実行する部分が飛び出し可能性予測手段に相当する。この可能性の予測は、例えば、ステップ110で認識された他車両のドライバの顔に基づいて行われる。具体的には、以下のようにして可能性が予測される。
まず、他車両のドライバの顔から、ドライバの性別や年齢等のドライバ個別の情報が認識されると共に、ドライバの顔の向きなどドライバの状態を示す情報が認識される。これら各情報は、ステップ110で認識されたドライバの顔の画像データが予めパターンとして記憶されたデータと比較されることで認識される。そして、認識された各情報ごとに予め決められている飛び出し可能性係数を利用して、演算により最終的な飛び出し可能性を求める。
図3は、各情報ごとの飛び出し可能性係数の例を示したものであり、図3(a)は性別ごとの飛び出し可能性係数、図3(b)は年齢別の飛び出し可能性係数、図3(c)はドライバの顔の向きに応じた飛び出し可能性係数を示したものである。
性別ごとの飛び出し可能性係数や年齢別の飛び出し可能性係数に関しては、例えば交通事故調査などの性別分布などに基づいて作成される。例えば、図3(a)、(b)に示されるように、性別ごとの飛び出し可能性係数は男性よりも女性の方が若干高く、また、年齢別の飛び出し可能性係数は免許取立ての年齢が非常に高く、その後徐々に低下したのち、所定年齢に達した後は年齢が高くなると共に再度高くなっていくという形態となる。なお、ドライバの顔の画像から男女を正確に判別できる訳ではないので、性別に関しては男性である可能性および女性である可能性という形で飛び出し可能性を設定している。
ドライバの顔の向きの飛び出し可能性係数に関しては、他車両のドライバの顔が自車向きである可能性に基づいて作成される。例えば、図3(c)に示されるように、ドライバの顔が自車向きである可能性が高ければ飛び出し係数を低くし、自車向きでない可能性が高くなるほど飛び出し係数を高くしていくという形態となる。
そして、このように各情報ごとの飛び出し可能性係数が求められると、各飛び出し可能性係数を次式で示される関数に代入する演算を行うことで、最終的な飛び出し可能性が求められる。
(数1)
飛び出し可能性=f(P、Q、R・・・)
なお、P、Q、R・・・は、各情報ごとの飛び出し可能性を示したものであり、f(P、Q、R・・・)は、P、Q、R・・・によって表される関数を意味している。例えば、この関数は、次式のように各情報ごとの飛び出し可能性を乗算するような形態としても良いし、各飛び出し可能性を足し合わせるような形態としても良い。
飛び出し可能性=f(P、Q、R・・・)
なお、P、Q、R・・・は、各情報ごとの飛び出し可能性を示したものであり、f(P、Q、R・・・)は、P、Q、R・・・によって表される関数を意味している。例えば、この関数は、次式のように各情報ごとの飛び出し可能性を乗算するような形態としても良いし、各飛び出し可能性を足し合わせるような形態としても良い。
(数2)
飛び出し可能性=P×Q×R×・・・
次に、ステップ130に進み、自車進路予測が行われる。制御ECU6のうち、この処理を実行する部分が自車進路予測手段、自車予測位置検出手段に相当する。自車進路は、自動走行が行われる車両であれば、予め決まっているため、その予め決められた進路が予測される自車進路とされる。これにより、現在から所定時間後、例えば1秒後に自車が位置しているであろう自車予測位置や2秒後に自車が位置しているであろう自車予測位置が求められる。
飛び出し可能性=P×Q×R×・・・
次に、ステップ130に進み、自車進路予測が行われる。制御ECU6のうち、この処理を実行する部分が自車進路予測手段、自車予測位置検出手段に相当する。自車進路は、自動走行が行われる車両であれば、予め決まっているため、その予め決められた進路が予測される自車進路とされる。これにより、現在から所定時間後、例えば1秒後に自車が位置しているであろう自車予測位置や2秒後に自車が位置しているであろう自車予測位置が求められる。
なお、本実施形態においては、自動走行が行われるような車両について説明するが、自車走行が行えないような車両の場合、車速や操舵角やCCDカメラ3で映し出されたドライバの視線の方向などから、自車進路予測を行うことも可能である。例えば、車速が所定値よりも速い場合には、仮に前方に交差点などが存在していたとしても交差点で曲がる可能性が少ない。また、操舵角に変化があるか否かや、ドライバの視線が直進方向しか見ていないか又は曲がる方向を見ているか等からも、同様に、自車進路予測を行うことができる。
この後、ステップ140に進み、車両走行制御を実行するか否かの判定処理が行われる。制御ECU6のうち、この処理を実行する部分が走行支援制御実行判定手段、他車両移動可能範囲検出手段に相当する。
具体的には、障害物となる他車両が飛び出してきたと想定した場合に、その他車両が移動し得る移動可能範囲が演算され、ステップ130で求められた自車予測位置と他車両の移動可能範囲との関係に基づいて、走行支援制御を行うべきであるか否かが判定される。この処理により、現在から所定時間後、例えば1秒後に他車両が移動可能であると想定される移動可能範囲、2秒後に他車両が移動可能であると想定される移動可能範囲が求められる。
このときの物体の移動可能範囲は、他車両の取り得る移動経路を想定して求められる。図4は、他車両の移動経路と移動可能範囲との関係の一例を示したものであり、他車両が交差点で止まっている右折車両であった場合の例を示している。
右折車両に関しては、その移動経路の予測がつき、停車している車両が走行し始めた場合に所定時間後にどれだけの距離進むかについても予測がつくため、それをパターン化して予め記憶しておけば、ステップ100で認識された他車両とその記憶内容とを比較することで、他車両の移動可能範囲が一義的に決まる。
このため、このように移動可能範囲が求められた他車両と自車両とが衝突する可能性があるか否かが判定される。つまり、上述したステップ130で求められた所定時間後の自車予測位置と、先程求められた物体の移動可能範囲とに基づいて行われる。
例えば図4(a)に示されるように、自車両20の現在位置がP位置である場合、1秒後の自車予想位置Aおよび2秒後の自車予想位置Bと、1秒後の他車両21の移動可能範囲A’および2秒後の他車両21の移動可能範囲B’とが、図示のような関係となる。この場合には、自車予想位置Aと他車両21の移動可能範囲A’、もしくは、自車予想位置Bと他車両の移動可能範囲B’とが重ならないため、自車両20と他車両21とが衝突する可能性が無い。
一方、図4(b)に示されるように、自車両20の現在位置がQ位置である場合、1秒後の自車予想位置Aおよび2秒後の自車予想位置Bと、1秒後の他車両21の移動可能範囲A’および2秒後の他車両の移動可能範囲B’とが、図示のような関係となる。この場合には、自車予想位置Aと他車両21の移動可能範囲A’、もしくは、自車予想位置Bと他車両21の移動可能範囲B’とが重なり、自車両20と他車両21とが衝突する可能性が有る。
このため、図4(a)に示されるように、自車両20の現在位置がP位置にあるような場合には、他車両21と衝突する可能性が無いものと判定され、図4(b)に示されるように、自車両20の現在位置がQ位置にあるような場合には、他車両21と衝突する可能性があるものと判定される。
このような手法によって自車両と他車両とが衝突する可能性があるか否かが判定される。そして、自車両と他車両とが衝突する可能性があるのであれば、その衝突するまでの時間が求められる。そして、衝突するまでの時間と上記のように求められた最終的な飛び出し可能性とに基づいて、走行支援制御を実行するか否かが判定される。
図5は、衝突するまでの時間および最終的な飛び出し可能性と走行支援制御を行うか否かの関係を示したマップである。
最終的な飛び出し可能性が低いほど、衝突するまでの時間が長いほど、走行支援制御を実行する必要性が乏しい。しかし、最終的な飛び出し可能性が高い場合には、衝突するまでの時間が長かったとしても走行支援制御を実行すべきであり、また、最終的な飛び出し可能性が低い場合であっても、衝突するまでの時間が短い場合にも走行支援制御を実行すべきである。このため、図5に示されるように、衝突するまでの時間が短いほど、また、最終的な飛び出し可能性が高いほど、走行支援制御が実行されやすくなるような関係としてある。
このような関係に基づいて、走行支援制御を実行する必要があるか否かが判定され、走行支援制御を実行する必要がないと判定された場合には、そのままステップ100に戻り、走行支援制御を実行する必要があるものと判定された場合には、ステップ150に進んで走行支援制御が実行される。
なお、ここでは他車両として交差点で止まっている右折車両を例に挙げて説明したが、中央分離帯の無い車線で対向車線を走行中の対向車両、自車両の近傍で駐停車している他車両などについても、上記と同様の手法によって自車両と衝突する可能性があるか否かが判定され、走行支援制御を実行するか否かを決めることができる。
走行支援制御は、自車両と他車両との衝突を回避すべく、自車両を他車両との衝突可能性が無い場所に誘導するものである。制御ECU6のうち、この走行支援制御を実行する部分が走行支援制御手段に相当する。例えば、操舵制御装置7による操舵角の制御によって自車両の進路方向を変更することで他車両から自車両を離したり、駆動力制御装置8による駆動力制御によって他車両と衝突する前に他車両の移動範囲を超えれるように自車両の駆動力を上昇させたり、警報装置9によって自車両が他車両と衝突する可能性があることをドライバに警報したり、制動力制御装置10による制動力制御によって他車両の移動範囲まで自車両が移動しないように制動力をかけたりされる。このような走行支援制御によって具体的に実行される各種制御に関しては、様々な制御形態を採用することができるが、それらに関しては従来より知られているものであるため、ここでは説明を省略する。
以上説明した本実施形態の車両用走行支援装置によれば、自車両の前方の画像を入手することで自車両の周辺車両から障害物となる他車両を検出し、その他車両が急遽飛び出してくるような挙動を示すことを想定して他車両の移動可能範囲を求め、自車予測位置と他車両の移動可能範囲とから自車両と他車両とが衝突する可能性があるか否かを求めている。そして、自車両と他車両とが衝突する可能性がある場合には、自車両が他車両と衝突しないように走行支援制御が実行されるようになっている。
このように、障害物となる他車両の挙動が急遽変わるような場合を想定して走行支援制御を実行するか否かを決めるようにしているため、実際に他車両の挙動が変わったことが検出されてから走行支援制御を実行する場合と比べて、早い段階で走行支援制御を実行するか否かを決めることが可能となる。このため、走行支援制御によって、より確実に自車両が他車両と衝突することを防止することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、他車両の飛び出し可能性を示すパラメータとして、他車両を運転するドライバの顔から検出できるパラメータを例に挙げて説明したが、ドライバの他の動作、例えばドライバが携帯電話を使用していたり、他の乗員と話をしていたりするか否か等をパラメータとし、それらのパラメータに応じて、飛び出し可能性係数を設定することもできる。
上記実施形態では、他車両の飛び出し可能性を示すパラメータとして、他車両を運転するドライバの顔から検出できるパラメータを例に挙げて説明したが、ドライバの他の動作、例えばドライバが携帯電話を使用していたり、他の乗員と話をしていたりするか否か等をパラメータとし、それらのパラメータに応じて、飛び出し可能性係数を設定することもできる。
また、ドライバの顔や動作だけに限らず、他車両の車種や他車両に初心者マークや紅葉マークが付いているか否か、さらには他車両に凹み傷などが付いているか否か等を他車両の飛び出し可能性を示すパラメータとすることもできる。例えば、他車両の車種がスポーツカーである場合、他車両に初心者マークや紅葉マークが付いている場合、他車両に凹み傷などが付いている場合には、飛び出し可能性が高いものとして設定することが可能である。
1…車速センサ、2…ミリ波レーダ、3…CCDカメラ、4…ヨーレートセンサ、
5…舵角センサ、6…制御ECU、7…操舵制御装置、8…駆動力制御装置、
9…警報装置、10…制動力制御装置。
5…舵角センサ、6…制御ECU、7…操舵制御装置、8…駆動力制御装置、
9…警報装置、10…制動力制御装置。
Claims (5)
- 自車両の周辺に位置し、該自車両の走行の障害物となる他車両を認識する他車両認識手段(100)と、
前記他車両が前記自車両の方向に飛び出してくる可能性を予測する飛び出し可能性予測手段(120)と、
前記飛び出し可能性予測手段で予測された飛び出し可能性に基づいて、前記自車両が前記他車両認識手段で認識された前記他車両に衝突することを回避するための走行支援制御を実行するか否かを判定する走行支援制御実行判定手段(140)と、
前記走行支援制御実行判定手段での判定結果に基づいて走行支援制御を実行する走行支援制御手段(150)とを有していることを特徴とする車両用走行支援装置。 - 前記自車両の進路を予測する自車進路予測手段(130)と、
前記他車両認識手段で認識された前記他車両が現在から所定時間後に移動可能な範囲を検出する他車両移動可能範囲検出手段(140)とを有し、
前記走行支援制御実行判定手段は、前記自車両と前記他車両とが衝突するまでの時間および前記飛び出し可能性と走行支援制御を実行するか否かについての関係を予め記憶しておき、前記自動進路予測手段で求められた自車両の進路と前記他車両移動可能範囲検出手段で求められた移動可能範囲とに基づき、前記自車両が前記他車両と衝突するまでの時間を求めると共に、求められた衝突するまでの時間と前記飛び出し可能性と前記記憶しておいた関係とから、前記走行支援制御を実行するか否かを判定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用走行支援制御装置。 - 前記飛び出し可能性予測手段は、前記他車両認識手段で認識された前記他車両のドライバに関する情報を入手する他車両ドライバ認識手段を有し、前記他車両のドライバの性別、年齢、ドライバの向いている方向、該ドライバによる携帯電話の使用の有無の少なくとも1つをパラメータとして該パラメータと飛び出し可能性係数との関係を記憶しておき、この関係に基づき、前記他車両ドライバ認識手段によって認識された前記他車両のドライバに関する情報に応じた前記飛び出し可能性係数を求め、求められた前記飛び出し可能性係数を所定の関数に代入することで前記他車両における前記飛び出し可能性が求められるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用走行支援装置。
- 前記飛び出し可能性予測手段は、前記他車両認識手段で認識された前記他車両に関する情報を入手し、前記他車両の車種、初心者マークや紅葉マークの有無、傷跡の有無の少なくとも1つをパラメータとして該パラメータと飛び出し可能性係数との関係を記憶しておき、この関係に基づき、前記他車両ドライバ認識手段によって認識された前記他車両に関する情報に応じた前記飛び出し可能性係数を求め、求められた前記飛び出し可能性係数を所定の関数に代入することで前記他車両における前記飛び出し可能性が求められるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用走行支援装置。
- 前記他車両認識手段は、前記障害物となる前記他車両として、前記自車両が通過するであろう交差点で右折しようと停車している対向車両、中央分離帯の無い車線で対向車線を走行中の対向車両、前記自車両の近傍で駐停車している他車両を認識するものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用走行支援装置。
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