JP2006244672A - 薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 静電破壊の発生を抑制しつつ、高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを提供する。
【解決手段】再生ヘッド部20では、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上からなり10kΩ・cm以下の比抵抗を有する第1部分181が、上部シールド層19とMR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間に設けられている。第1部分181が微小電流を通過させ、上部シールド層19と、MR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間の電位差を低減することにより上部ギャップ層18の静電破壊を防止する。一方で、第1部分181がX軸方向においてMR素子15よりも十分に高い抵抗値を有するので、センス電流の分流を十分に抑制できる。よって、上部ギャップ層18の薄型化によってギャップ長GLの狭小化を実現し、線記録密度の向上に対応させることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】再生ヘッド部20では、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上からなり10kΩ・cm以下の比抵抗を有する第1部分181が、上部シールド層19とMR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間に設けられている。第1部分181が微小電流を通過させ、上部シールド層19と、MR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間の電位差を低減することにより上部ギャップ層18の静電破壊を防止する。一方で、第1部分181がX軸方向においてMR素子15よりも十分に高い抵抗値を有するので、センス電流の分流を十分に抑制できる。よって、上部ギャップ層18の薄型化によってギャップ長GLの狭小化を実現し、線記録密度の向上に対応させることができる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、再生動作時において積層面内方向に電流が流れるように構成された磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
従来より、ハードディスクなどの磁気記録媒体に記録された磁気情報を再生するにあたっては、磁気抵抗(MR:Magnetoresistive)効果を示すMR素子を備えた薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。近年では、磁気記録媒体の高記録密度化が進んでいることから、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistive)効果を示す巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)利用した薄膜磁気ヘッドが一般的となっている。このようなGMR素子としては、例えば、スピンバルブ(SV:spin valve)型のGMR素子がある。
このSV型のGMR素子は、非磁性の中間層を介して、磁化方向が一定方向に固着された磁性層(磁化固着層)と、磁化方向が外部からの信号磁界に応じて変化する磁性層(感磁層)とが積層された構造を有しており、再生動作の際には、例えばセンス電流が積層面内方向に流れるように構成されている。このようなGMR素子は、特に、CIP(Current in Plane)−GMR素子と呼ばれる。この場合、磁化固着層および感磁層における各磁化方向の相対角度に応じてセンス電流を流した際に電気抵抗(すなわち電圧)が変化するようになっている。
このようなCIP−GMR素子を備えた薄膜磁気ヘッド(以下、CIP−GMRヘッドという。)は、一般的に、図9に示した構造の再生ヘッド部120を有している。図9は、再生ヘッド部120における記録媒体対向面と平行な断面の構成を表している。再生ヘッド部120は、GMR素子115と、GMR素子115の両側に隣接するように、GMR素子115に対してバイアス磁界を付与する一対のバイアス層116L,116Rと、GMR素子115に対してセンス電流を供給する一対の電極層117L,117Rとが設けられている。さらに、磁気記録媒体の記録トラック幅方向と直交し、かつ記録媒体対向面と平行をなす方向において、これらGMR素子115、一対のバイアス層116L,116Rおよび一対の電極層117L,117Rを挟んで互いに対向するように、下部ギャップ層114および上部ギャップ層118が設けられている。これら下部ギャップ層114および上部ギャップ層118の、GMR素子115と反対側には下部シールド層113および上部シールド層119が設けられている。下部ギャップ層114および上部ギャップ層118は、主に、GMR素子115と、下部シールド層113および上部シールド層119との電気的および磁気的な分離を図るように機能するものであり、一般的には酸化アルミニウムによって構成されている。
ここで、下部シールド層113と上部シールド層119との間隔はギャップ長GLと呼ばれる。ギャップ長GLは磁気記録媒体のビット密度(線記録密度)と関連するパラメータであり、近年の線記録密度の向上に伴い、狭小化が進んでいる。このため、GMR素子115と、下部シールド層113および上部シールド層119との間にそれぞれ介在する下部ギャップ層114および上部ギャップ層118の各膜厚が薄型化する傾向にある。
ところが、第1のギャップ層114および第2のギャップ層118の膜厚が薄くなるに従い、薄膜磁気ヘッドまたはそれを搭載した磁気ディスク装置を製造する工程において、静電気の蓄積およびその放電に起因した絶縁破壊(静電破壊)が生じやすくなってしまう。このため、薄膜磁気ヘッドまたは磁気ディスク装置を製造する各工程において静電気の蓄積を低減する方法を採用したり、多少の静電気が蓄積された場合であっても絶縁破壊の発生が抑制されるような構造の薄膜磁気ヘッドとするなどの措置が取られてきている。その一例として、一対のギャップ層のうち、GMR素子を挟んで対向する部分(対向部分)以外の部分を、対向部分よりも低い比抵抗を有する材料により構成するようにしたCIP−GMRヘッドが開示されている(特許文献1参照)。ここでは、一対のギャップ層のうち、GMR素子を基準として記録媒体対向面から遠い側の領域部分を比抵抗の低い材料(アルミニウム、珪素またはこれらの混合物の窒化物、酸化窒化物)により構成するようにしている。これにより、製造工程において過剰な静電気が生じた場合であっても一対のギャップ層を介して微小電流が流れることにより、一対の磁気シールド層と、GMR素子および一対の電極層との間の電位差が低減され、静電破壊が防止されることとなる。
特開2000−331315号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のCIP−GMRヘッドでは、静電破壊の防止に比較的有利な構造となっているものの、一対のギャップ層のうちのGMR素子を挟んで対向する部分(対向部分)が酸化アルミニウム(Al2O3)や二酸化珪素(SiO2)などの高い比抵抗を有する材料により構成されているので、この一対のギャップ層をさらに薄型化した場合には、一対のシールド層とGMR素子との間における静電破壊の発生が懸念される。したがって、今後、さらなる線記録密度の向上に対応することが困難になると予想される。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、静電破壊の発生を抑制しつつ、高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドならびにそれを搭載したヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体と対向する記録媒体対向面を有し、磁気記録媒体からの信号磁界に応じて磁化方向が変化する磁化自由層を含む磁気抵抗効果素子と、磁気記録媒体の記録トラック幅方向に対応する第1の方向において、磁気抵抗効果素子を挟んで互いに対向すると共に磁気抵抗効果素子の少なくとも一部とそれぞれ接するように配置された一対の電極層と、第1の方向と直交し、かつ、記録媒体対向面と平行をなす第2の方向において磁気抵抗効果素子および一対の電極層を挟んで互いに対向すると共に磁気抵抗効果素子および一対の電極層と隣接して第1の方向に延在するように配置され、かつ、磁気抵抗効果素子の100倍以上の抵抗値を有する非磁性の一対の分離層と、第2の方向において磁気抵抗効果素子、一対の電極層および一対の分離層を挟んで互いに対向するように配置された一対の磁気シールド層とを備え、特に、一対の分離層のうちの少なくとも一方が、磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cm以下の比抵抗を有するようにしたものである。ここで、磁気抵抗効果素子と対応する領域部分以外の部分においては、比抵抗が10kΩ・cm以下でもよいし、10kΩ・cmを超えてもよい。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、上記のような薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションとを有するものである。本発明のヘッドアームアセンブリは、上記のヘッドジンバルアセンブリと、上記のサスペンションの他端を支持するアームとを含むようにしたものである。さらに、本発明の磁気ディスク装置は、磁気記録媒体と、上記のヘッドアームアセンブリとを備えるようにしたものである。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、一対の分離層のうちの少なくとも一方が、磁気抵抗効果素子の100倍以上の抵抗値を有すると共に磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cm以下の比抵抗を有するようにしたので、製造工程等において一対の磁気シールド層や一対の電極層などに過剰な静電荷が生じた場合であっても、一対の分離層を微小電流が流れることにより一対の磁気シールド層と、磁気抵抗効果素子および一対の電極層との間の電位差が低減される。その一方で、一対の分離層は磁気抵抗効果素子よりも十分に高い抵抗値を有しているので、一対の分離層へのセンス電流の流入は十分に抑制され、抵抗変化率の劣化や短絡などが防止される。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cm以下の比抵抗を有する分離層は、例えば酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上により構成される。この場合、磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cmを超える比抵抗を有する分離層は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、二酸化珪素およびダイヤモンドライクカーボン(DLC)のうちの少なくとも1種を含むものにより構成する。但し、一対の分離層の双方を酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上により構成し、磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cm以下の比抵抗を有するようにすることが望ましい。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置によれば、上記の各構成要件を備えるようにしたので、製造時または使用時等において一対の磁気シールド層や一対の電極層などに過剰な静電荷が生じた場合であっても、微小電流の流れる経路として一対の分離層を機能させ、静電破壊の発生を十分に抑制することができる。しかも、読み出し動作に悪影響を与えるようなセンス電流の分流を引き起こすことがない。したがって、一対の分離層をより薄型化することによってギャップ長のさらなる狭小化を実現し、線記録密度の向上に好適なものとすることができる。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置においては、特に、一対の分離層の双方を酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上により構成し、磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cm以下の比抵抗を有するようにすると、静電破壊の確率をいっそう低減することができ、ギャップ長をさらに狭小化することができる。よって、さらなる高記録密度化に適したものとなる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
最初に、図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の構成について以下に説明する。
図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置の内部構成を表す斜視図である。この磁気ディスク装置は駆動方式としてCSS(Contact-Start-Stop)動作方式を採用したものであり、図1に示したように、例えば筐体1の内部に、情報が記録されることとなる磁気記録媒体としての磁気ディスク2と、この磁気ディスク2への情報の記録およびその情報の再生を行うためのヘッドアームアセンブリ(HAA;Head Arm Assembly)3とを備えるようにしたものである。HAA3は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA;Head Gimbal Assembly)4と、このHGA4の基部を支持するアーム5と、このアーム5を回動させる動力源としての駆動部6とを備えている。HGA4は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド10(後出)が一側面に設けられた磁気ヘッドスライダ(以下、単に「スライダ」という。)4Aと、このスライダ4Aが一端に取り付けられたサスペンション4Bとを有するものである。このサスペンション4Bの他端(スライダ4Aとは反対側の端部)は、アーム5によって支持されている。アーム5は、筐体1に固定された固定軸7を中心軸としてベアリング8を介して回動可能なように構成されている。駆動部6は、例えばボイスコイルモータなどからなる。なお、通常、磁気ディスク装置は、図1に示したように複数(図1では4枚)の磁気ディスク2を備えており、各磁気ディスク2の記録面(表面および裏面)のそれぞれ対応してスライダ4Aが配設されるようになっている。各スライダ4Aは、各磁気ディスク2の記録面と平行な面内において、記録トラックを横切る方向(X方向)に移動することができる。一方、磁気ディスク2は、筐体1に固定されたスピンドルモータ9を中心とし、X方向に対してほぼ直交する方向2Rに回転するようになっている。磁気ディスク2の回転およびスライダ4Aの移動により磁気ディスク2に情報が記録され、または磁気ディスク2に記録された情報が読み出されるようになっている。
図2は、図1に示したスライダ4Aの構成を表すものである。このスライダ4Aは、例えば、アルティック(Al2O3・TiC)よりなるブロック状の基体11を有している。この基体11は、例えば、ほぼ六面体状に形成されており、そのうちの一面が記録媒体対向面(以下、ABSという。)11Sとして磁気ディスク2の記録面に近接して対向するように配置されている。磁気ディスク2が回転すると、その記録面とABS11Sとの間に生じる空気流に起因する揚力により、スライダ4Aが記録面との対向方向(Y軸方向)に沿って記録面から浮上し、ABS11Sと磁気ディスク2との間に一定の隙間ができるようになっている。基体11のABS11Sと直交する一側面(素子形成面11A)には、薄膜磁気ヘッド10が設けられている。
次に、図3から図5を参照して、薄膜磁気ヘッド10について詳細に説明する。
図3は、薄膜磁気ヘッド10の構成を表す分解斜視図である。図4は薄膜磁気ヘッド10のABS11Sと直交する断面構成を表しており、図5はABS11Sに露出した薄膜磁気ヘッド10の平面構成を表している。薄膜磁気ヘッド10は、磁気ディスク2に記録された磁気情報を再生する再生ヘッド部20と、磁気ディスク2の記録トラックに磁気情報を記録する記録ヘッド部30とによって構成されている。なお、本実施の形態では、ABS11Sと直交する方向(Y軸方向)において、薄膜磁気ヘッド10を基準としてABS11Sの側を「前方」とし、ABS11Sと反対側を「後方」と呼ぶこととする。
再生ヘッド部20は、その再生動作時において、センス電流がMR素子15(後出)の内部を積層面内方向に流れるように構成されたCIP(Current In Plane)−GMR(Giant Magnetoresistive)構造をなしている。具体的には、再生ヘッド部20は、ABS11Sに露出する側において、例えば基体11の上に絶縁膜12(図4のみ示す)、下部シールド層13、下部ギャップ層14、MR素子15、上部ギャップ層18および上部シールド層19が順に積層されたものである。ここで、下部ギャップ層14と上部ギャップ層18との間には、磁気ディスク2の記録トラック幅方向に対応する第1の方向(X軸方向)においてMR素子15を挟んで対向する一対のバイアス層16(16L,16R)と、その上に形成された一対の電極層17(17L,17R)とが配置されている(図5を参照)。一対のバイアス層16L,16Rおよび一対の電極層17L,17Rは、MR素子15の端面とそれぞれ接するように配置されている。これら、一対のバイアス層16L,16Rおよび一対の電極層17L,17Rは、本発明の「一対の導電層」に対応する一具体例である。また、下部ギャップ層14および上部ギャップ層18は、本発明における一対の分離層として、積層方向(Z軸方向)においてMR素子15と、一対のバイアス層16L,16Rと、一対の電極層17L,17Rとを挟んで対向すると共にX軸方向に延在するように配設されている。下部ギャップ層14はMR素子15および一対のバイアス層16L,16Rと接しており、上部ギャップ層18はMR素子15および一対の電極層17L,17Rと接している。特に上部ギャップ層18は、MR素子15の後方をも取り囲むように設けられており、詳細には、MR素子15と対応する領域部分として、MR素子15(および電極層17)の上面およびMR素子15の後方の面を覆うように設けられた第1部分181と、この第1部分181と同一階層において、第1部分181の周囲(前方を除く)を取り巻くように形成された第2部分182との2つの部分から構成されている。なお、下部シールド層13の後方には平坦化膜28Aが充填され、上部ギャップ層18および上部シールド層19の後方には平坦化膜28Bが充填されている。
下部シールド層13および上部シールド層19は、例えば、ニッケル鉄合金(NiFe)などの軟磁性金属材料によりそれぞれ構成され、MR素子15を積層方向(Z方向)に挟んで対向することで、不要な磁界の影響がMR膜パターン15に及ばないように機能するものである。MR素子15と対応する領域において、下部シールド層13の上面から上部シールド層19の下面までの距離は、ギャップ長GLに相当する。このギャップ長GLが短いほど再生波形の半値幅が狭くなり、磁気ディスク2の磁気情報を読み出す際の分解能が向上する。
下部ギャップ層14は、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化珪素(SiO2)またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの非磁性、かつ絶縁性の材料からなり、主に下部シールド層13とMR素子15との電気的な絶縁をおこなうものである。
上部ギャップ層18の第1部分181は、酸化タングステン(例えばWO2)、酸化チタン(例えばTiO2)、酸化亜鉛(例えばZnO)、酸化錫(例えばSnO)および酸化ストロンチウム(例えばSrO)のうちのいずれか1種または2種以上により構成されたものである。第1部分181は、10kΩ・cm以下の比抵抗を有すると共に、X軸方向においてMR素子15の抵抗値(例えば21Ω)の100倍以上(2.1kΩ以上)の抵抗値を有している。
上部ギャップ層18の第2部分182(182L,182R)は、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化珪素(SiO2)またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの非磁性かつ絶縁性の材料からなる。この第2部分182は、主に、第1部分181に対応する領域以外の領域において、上部シールド層19とMR素子15および一対の電極層17との電気的な絶縁をおこなう。
MR素子15は、磁気ディスク2の記録情報に起因した信号磁界変化を検知するセンサ部分として機能する感磁層を含む積層体である。具体的には、例えば下部ギャップ層14の側から下地層、固定作用層(ピンニング層)、被固定層(ピンド層)、非磁性層、感磁層(フリー層)および保護層が順に積層されたスピンバルブ構造をなしている。
一対のバイアス層16L,16Rは、感磁層に対して縦バイアス磁界を付与することにより、感磁層における磁区の向きを揃えて単磁区化をおこなうものである。感磁層が単磁区化されることにより、いわゆるバルクハウゼンノイズの発生が抑制され、良好な再生動作が行われることとなる。
一対の電極層17(17L,17R)は、MR素子15に対して積層面内方向(X方向)へセンス電流を流すための電流経路となるものであり、それぞれ基体11の素子形成面11A上に形成された一対の電極17LP,17RPに接続されている。
このような構成の再生ヘッド部20では、MR素子15に含まれる感磁層の磁化方向が、磁気ディスク2からの信号磁界に応じて変化する。このため、MR素子15に含まれる被固定層の磁化方向との相対的な変化を生じることとなる。ここで一対の電極層17(17L,17R)を介してMR素子15へセンス電流を流すと磁化方向の相対的変化が電気抵抗の変化として現れるので、これを利用することにより信号磁界を検知し磁気ディスク2の磁気情報を読み出すようになっている。
一方、記録ヘッド部30は、再生ヘッド部20の上に絶縁層21を介して設けられており、下部磁極22、記録ギャップ層23、コイル24、絶縁層25および上部磁極26を有している。
下部磁極22は、例えば、NiFeなどの磁性材料よりなり、絶縁層21の上に形成されている。なお、下部磁極22の後方には平坦化膜28Cが充填されている。下部磁極22の上には、Al2O3などの絶縁材料よりなる記録ギャップ層23が形成されている。この記録ギャップ層23は、コイル24のXY平面における中心部に対応する位置に、磁路形成のための開口部23Aを有してる。銅(Cu)や金(Au)などにより構成されたコイル24は、開口部23Aを中心として渦を巻くように記録ギャップ層42上に設けられており、フォトレジストなどからなる絶縁層25によって一部(端末部分)を除いて覆われている。コイル24の両端末はそれぞれコイルリード24A,24Bを介して電極24S,24Eに接続されている。さらに、上部磁極26が記録ギャップ層23、開口部23Aおよび絶縁層25を覆うように形成されている。この上部磁極26は、例えば、ニッケル鉄合金(NiFe)などの高飽和磁束密度を有する軟磁性材料よりなり、開口部23Aを介して下部磁極22と接触しており、互いに磁気的に連結している。さらに、Al2O3などからなる保護膜27が記録ヘッド部30の上面全体を覆うように形成されている。
このような構成を有する記録ヘッド部30は、コイル24に流れる書込電流により、主に下部磁極22と上部磁極26とによって構成される磁路内部に磁束が発生する。これにより記録ギャップ層23の近傍に信号磁界が生じるので、その信号磁界によって磁気ディスク2の記録面における所定の領域部分を磁化し、情報を記録するようになっている。
次に、図3〜図5を参照して、薄膜磁気ヘッド10の製造方法について説明する。
まず、スパッタリング法などを用い、基体11の上に全面に亘って絶縁層12を形成する。ここでは、Al2O3またはSiO2を用いて、0.1μm〜5.0μmの厚みをなすように形成することが望ましい。次いで、絶縁層12上における前方側の領域を占めるように下部シールド層13をフレームめっき法などにより選択的に形成する。ここでは、0.5μm〜3μmの厚みをなすように形成する。下部シールド層13の構成材料としては、NiFeのほか、コバルト鉄ニッケル合金(CoFeNi)、コバルト鉄合金(CoFe)、窒化鉄(FeN)または鉄ジルコニウム窒化物(FeZrN)などを用いることができる。さらに、絶縁層12上の、下部シールド層13の後方の領域を充填するようにAl2O3またはSiO2を用いて絶縁層をスパッタリングなどにより形成したのち、これをCMP(Chemical Mechanical Polishing)などにより平坦化することにより平坦化膜28Aとする。平坦化ののち、下部ギャップ層14を、CVD法やスパッタリング法により全面に亘って、例えば10nm〜50nmの厚みをなすように形成する。
続いて、下部ギャップ層14上における最も前方側の位置にMR素子15を形成すると共に、MR素子15とX軸方向において隣接する一対のバイアス層16L,16Rおよび一対の電極層17L,17R(図4には示さず。図3および図5を参照)を形成する。ここでは、まず、下部ギャップ層14を覆うように全面に亘って下地層、固定作用層、被固定層、非磁性層、感磁層および保護層を順に積層することにより多層膜を形成し、その多層膜を選択的に覆うようにマスクパターン(図示せず)を形成する。このマスクパターンは、一対のバイアス層16L,16Rおよび一対の電極層17L,17Rの形状に対応する開口部を有している。このマスクパターンを利用したミリングにより上記の多層膜をエッチングしたのち、多層膜を除去した領域に、スパッタリング法を用いて一対のバイアス層16L,16Rと一対の電極層17L,17Rとを順に積層する。そののち、マスクパターンをアセトンやN−メチルピロリドン(NMP)等の有機溶剤により溶解除去する。さらに、MR素子15と一対の電極層17L,17Rとを合わせた形状をなす他のマスクパターン(図示せず)を形成し、これをマスクとして利用したミリングにより不要な部分の多層膜を除去する。こうすることにより、MR素子15および一対の電極層17L,17Rの形成が完了する。
こののち、MR素子15、一対のバイアス層16L,16Rおよび一対の電極層17L,17Rを覆うように第1部分181および第2部分182からなる上部ギャップ層18を形成する。ここでは、スパッタリング法やCVD法などにより、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上を用いて、例えば3nm〜10nmの厚みをなすように、MR素子15、一対のバイアス層16L,16Rおよび一対の電極層17L,17Rの全体を覆う薄膜を形成する。そののち、この薄膜上に所定形状のマスクパターンを形成し、これを用いてミリングを行うことにより第1部分181を形成する。次いで、このミリングによって薄膜が除去された領域に、スパッタリング法やCVD法などを用いて、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、二酸化珪素またはダイヤモンドライクカーボンなどからなる第2部分を形成したのち、第1部分181上のマスクパターンをNMPなどの有機溶剤により溶解除去する。このようにして形成した上部ギャップ層18の上に、さらに、フレームめっき法などを用いて0.5μm〜3.0μmの厚みの上部シールド層19を形成する。なお、これら上部ギャップ層18および上部シールド層19は、下部シールド層13と対応する領域に形成する。下部ギャップ層14上における上部ギャップ層18および上部シールド層19の後方領域には、絶縁層をスパッタリング法などにより形成したのち、これをCMPにより平坦化することで平坦化膜28Bを形成する。以上により、再生ヘッド部20の形成が一旦終了する。
続いて、全体を覆うように、スパッタリング法やCVD法を用いて10nm〜50nmの厚みをなす絶縁層21を形成したのち、これを覆うように0.5μm〜3.0μmの厚みをなす下部磁極22をフレームめっき法により形成する。ここでは、NiFeのほか、CoFeNi、CoFe、FeNまたはFeZrNなどを用いることができる。さらに、下部磁極22の後方領域に絶縁層を形成し、これをCMPにより平坦化することで平坦化膜28Cを形成したのち、下部磁極22および平坦化膜28Cを選択的に覆うように開口部23Aを有する記録ギャップ層23を形成する。ここでは、スパッタリング法やCVD法を用いて10nm〜50nmの厚みとなるようにする。
記録ギャップ層23を形成したのち、フレームめっき法により1μm〜5μmの厚みをなすコイル24を形成する。さらに、コイル24の一部を覆うように絶縁層25を形成する。そののち、絶縁層25を覆い、かつ下部磁極22と連結するように上部磁極26を形成したうえ、絶縁層25に覆われずに露出したコイル24の一部と連結するコイルリード24Bを形成する。ここで、絶縁層25は、フォトレジストを所定領域のみ露光したのち加熱処理(キュアリング)をおこなうことにより、0.5μm〜7.0μmの厚みとなるように形成する。上部磁極26およびコイルリード24Bは、フレームめっき法により形成する。
最後に、上部磁極26を含む全てを覆うように、スパッタリング等により保護膜27を形成し、CMPなどにより平坦化処理をおこなう。これにより、記録ヘッド部30が形成され、薄膜磁気ヘッド10の形成が一旦終了する。こののち、例えば、スライダ4Aを機械研磨するなどしてABS11Sを形成するなどの所定の工程を経ることにより、薄膜磁気ヘッド10が完成する。
以上説明したように、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド10によれば、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上により構成され、10kΩ・cm以下の比抵抗を有する上部ギャップ層18の第1部分181を、上部シールド層19とMR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間に設けるようにしたので、製造工程等において上部シールド層19や一対の電極層17L,17Rなどに過剰な静電荷が生じた場合であっても、第1部分181の内部に微小電流を流すことにより上部シールド層19と、MR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間の電位差を低減することができる。このため、上部ギャップ層18の静電破壊を防止することができる。その一方で、上部ギャップ層18の第1部分181が、X軸方向において、MR素子15の抵抗値の100倍以上という十分に高い抵抗値を有するようにしたので、読み出し動作時において上部ギャップ層18へのセンス電流の流入を十分に抑制し、抵抗変化率の劣化や短絡などを防止することもできる。したがって、上部ギャップ層18をより薄型化することによってギャップ長GLのさらなる狭小化を実現し、線記録密度の向上に対応させることができる。
なお、本実施の形態では、図6に示した第1の変形例(変形例1)としての再生ヘッド部20Aのように、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化珪素(SiO2)またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの非磁性かつ絶縁性の材料からなる上部ギャップ層48と、下部ギャップ層44とを備えるように構成してもよい。ここで、下部ギャップ層44は、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上により構成された第1部分441と、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、二酸化珪素またはダイヤモンドライクカーボンなどの非磁性かつ絶縁性の材料からなる第2部分442(442L,442R)とから構成される。但し、下部ギャップ層44におけるMR素子15と対応する領域部分としての第1部分441は、X軸方向においてMR素子15の100倍以上の抵抗値を有しており、その比抵抗は10kΩ・cm以下となっている。
このような変形例1としての再生ヘッド部20Aによれば、下部ギャップ層44の第1部分441の内部に微小電流を流すことにより下部シールド層13と、MR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間の電位差を低減することができる。その一方で、下部ギャップ層44の第1部分441が、MR素子15よりも十分に高い抵抗値を有するようにしたので、読み出し動作時において下部ギャップ層44の第1部分441へのセンス電流の流入を十分に抑制し、抵抗変化率の劣化や短絡などを防止することができる。よって、上記実施の形態の再生ヘッド部20と同様の効果が得られる。
さらに、図7に示した第2の変形例(変形例2)としての再生ヘッド部20Bのように上部ギャップ層18および下部ギャップ層44の双方を備えるようにしてもよい。その場合、上部ギャップ層18の第1部分181および下部ギャップ層44の第1部分441を、いずれも、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上を用いて10kΩ・cm以下の比抵抗を有するように構成してもよい。この場合においても、第1部分181および第1部分441は、いずれも、X軸方向においてMR素子15の100倍以上の抵抗値を有するようにする。
このような変形例2としての再生ヘッド部20Bによれば、上部ギャップ層18の第1部分181の内部に微小電流を流すことにより上部シールド層19と、MR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間の電位差を低減すると共に、下部ギャップ層44の第1部分441の内部に微小電流を流すことにより下部シールド層13と、MR素子15および一対の電極層17L,17Rとの間の電位差を低減することができる。したがって、上部ギャップ層18の第1部分181および下部ギャップ層44の第1部分441の双方をより薄型化することによってギャップ長GLをよりいっそう狭小化し、さらなる線記録密度の向上に対応させることができる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
以下に述べる本発明の各実施例は、上記実施の形態において説明した製造方法に基づき、図5〜図7に示した再生ヘッド部20,20A,20Bを備えた各薄膜磁気ヘッド10にそれぞれ対応するサンプルを各々製造し、これらについて特性調査をおこなったものである。同時に、本実施例の効果を明確にするため、図9に示した構造を有する再生ヘッド部120を有する薄膜磁気ヘッド(比較例1)を作成し、同様の特性調査をおこなった。それらの結果を表1に示すと共に、以下、詳細を説明する。
表1では、図5に示した再生ヘッド部20に対応する実施例1−1〜1−5(以下、まとめて実施例1と記す。)と、図6に示した再生ヘッド部20Aに対応する実施例2−1〜2−5(以下、まとめて実施例2と記す。)と、図7に示した再生ヘッド部20Bに対応する実施例3−1〜3−5(以下、まとめて実施例3と記す。)とについて、それぞれ、下部ギャップ層の構造(第1部分の構成材料および厚み[nm])、上部ギャップ層の構造(第1部分の構成材料および厚み[nm])、ギャップ長[nm]、比抵抗[Ω・cm]、寸法(X軸方向の寸法[μm]×Y軸方向の寸法[μm])、抵抗値[kΩ]および歩留まり[%]をそれぞれ示している。サンプル数(n数)はいずれも30000である。比抵抗[Ω・cm]は、酸化アルミニウム以外の構成材料により形成した上部ギャップ層の第1部分および下部ギャップ層の第1部分における特性値である。すなわち、実施例1では上部ギャップ層におけるMR素子と対応する領域としての第1部分の比抵抗を示し、実施例2では下部ギャップ層におけるMR素子と対応する領域としての第1部分の比抵抗を示す。さらに、実施例3では上部ギャップ層および下部ギャップ層の双方におけるMR素子と対応する領域としての第1部分の比抵抗(これらは互いに等しい)を示す。抵抗値[kΩ]は、酸化アルミニウム以外の構成材料により形成した上部ギャップ層の第1部分および下部ギャップ層の第1部分における各抵抗値を表している。歩留まり[%]は、MR素子と上部または下部シールド層との間に2Vの電圧を印加したときに、上部または下部ギャップ層の絶縁破壊が生じない確率を表している。なお、表1では、図9に示した再生ヘッド部120に対応する比較例1のデータについても掲載する。
ここで、MR素子の構成は、基板側から「NiCr5(下地層)/IrMn7(固定作用層)/[CoFe2/Ru0.8/CoFe2.2](被固定層)/Cu2(非磁性層)/CoFe2(感磁層)/Ta2(保護層)」という順に積層されたものとなっている。各数値は、それぞれの厚み[nm]を示している。したがってMR素子全体の厚みは23nmである。下部シールド層の上面から上部シールド層の下面までの距離、すなわちギャップ長については36nmから43nmの範囲となるようにした。また、光学トラック幅およびMRハイトはいずれも0.150μmとした。さらに、MR素子の抵抗値は21Ωとなるようにした。
表1に示した結果からわかるように、実施例1〜3では、比較例1と同等以下(43nm以下)のギャップ長としたにもかかわらず、いずれも比較例1よりも高い歩留まりを得ることができた。すなわち、上部ギャップ層の第1部分および下部ギャップ層の第1部分のうちの少なくとも一方を酸化アルミニウム(Al2O3)よりも低い比抵抗を有する材料によって構成することにより、薄型化したとしても静電破壊の発生確率を低減可能なことが確認された。特に、上部ギャップ層の第1部分および下部ギャップ層の第1部分の双方を酸化アルミニウム(Al2O3)よりも低い比抵抗を有する材料により構成した場合に、より高い歩留まりが得られることがわかった。この場合、MR素子と対応する領域部分である第1部分の抵抗値がMR素子の抵抗値(21Ω)の100倍以上となっているので、再生動作時の出力劣化等の問題は生じない。
次に、図7に示した再生ヘッド部20Bに対応する構造となるように酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムの各材料を用いて上部ギャップ層および下部ギャップ層の双方における第1部分をそれぞれ構成した場合において、上部ギャップ層の第1部分および下部ギャップ層の第1部分の比抵抗と歩留まりとの関係についてそれぞれ調査した。その結果を表2〜表6および図8に示す。上部ギャップ層の第1部分および下部ギャップ層の第1部分の厚みはいずれも8nmとし、ギャップ長を39nmとした。表2〜表6には、表1と同様に、下部ギャップ層の構造(第1部分の構成材料および厚み[nm])、上部ギャップ層の構造(第1部分の構成材料および厚み[nm])、ギャップ長[nm]、比抵抗[Ω・cm]、寸法(X軸方向の寸法[μm]×Y軸方向の寸法[μm])、抵抗値[kΩ]および歩留まり[%]をそれぞれ示している。
表2〜表6および図8に示したように、いずれの構成材料を用いた場合においても、上部ギャップ層の第1部分および下部ギャップ層の第1部分の各比抵抗がおよそ15kΩ・cm以上となると歩留まりが急激に劣化することとなった。一方、各比抵抗が10kΩ・cm以下であれば、非常に高い水準で安定した歩留まりを得られることが確認できた。
以上、実施の形態および実施例(以下、実施の形態等)を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これらの実施の形態等に限定されず、種々変形可能である。例えば、本実施の形態等では、再生ヘッド部および記録ヘッド部の双方を有する複合型の薄膜磁気ヘッドを例に挙げて説明するようにしたが、再生ヘッド部のみ備えた再生専用の薄膜磁気ヘッドであってもよい。
1…筐体、2…磁気ディスク、3…ヘッドアームアセンブリ(HAA)、4…ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、4A…スライダ、4B…サスペンション、5…アーム、6…駆動部、7…固定軸、8…ベアリング、9…スピンドルモータ、10…薄膜磁気ヘッド、11…基体、11A…素子形成面、11S…記録媒体対向面(ABS)、12…絶縁層、13…下部シールド層、14…下部ギャップ層、15…MR素子、16(16L,16R)…バイアス層、17(17L,17R)…電極層、18…上部ギャップ層、181…第1部分、182(182L,182R)…第2部分、19…上部シールド層、20,20A,20B…再生ヘッド部、21…絶縁層、22…下部磁極、23…記録ギャップ層、24…コイル、24A,24B…コイルリード、25…絶縁層、26…上部磁極、27…保護膜、28…平坦化膜、30…記録ヘッド部、44…下部ギャップ層、441…第1部分、442(442L,442R)…第2部分、48…上部ギャップ層。
Claims (7)
- 磁気記録媒体と対向する記録媒体対向面を有し、前記磁気記録媒体からの信号磁界に応じて磁化方向が変化する磁化自由層を含む磁気抵抗効果素子と、
前記磁気記録媒体の記録トラック幅方向に対応する第1の方向において前記磁気抵抗効果素子を挟んで互いに対向すると共に前記磁気抵抗効果素子の少なくとも一部とそれぞれ接するように配置された一対の電極層と、
前記第1の方向と直交し、かつ、前記記録媒体対向面と平行をなす第2の方向において前記磁気抵抗効果素子および一対の電極層を挟んで互いに対向すると共に前記磁気抵抗効果素子および一対の電極層と隣接して前記第1の方向に延在するように配置され、かつ、前記磁気抵抗効果素子の100倍以上の抵抗値を有する非磁性の一対の分離層と、
前記第2の方向において前記磁気抵抗効果素子、一対の電極層および一対の分離層を挟んで互いに対向するように配置された一対の磁気シールド層と
を備え、
前記一対の分離層のうちの少なくとも一方が、前記磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cm以下の比抵抗を有する
ことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 前記磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cm以下の比抵抗を有する前記分離層は、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上により構成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記一対の分離層の双方が、磁気抵抗効果素子と対応する領域部分において10kΩ・cm以下の比抵抗を有するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記一対の分離層の双方が酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ストロンチウムのうちのいずれか1種または2種以上により構成されたものである
ことを特徴とする請求項3に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと
を有することを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと、
このサスペンションの他端を支持するアームと
を含むことを特徴とするヘッドアームアセンブリ。 - 磁気記録媒体と、ヘッドアームアセンブリとを備えた磁気ディスク装置であって、
前記ヘッドアームアセンブリは、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと、
このサスペンションの他端を支持するアームと
を含むことを特徴とする磁気ディスク装置。
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