JP2009044122A - スペーサ層が非磁性導体相を含む磁気抵抗効果素子 - Google Patents

スペーサ層が非磁性導体相を含む磁気抵抗効果素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2009044122A
JP2009044122A JP2008063785A JP2008063785A JP2009044122A JP 2009044122 A JP2009044122 A JP 2009044122A JP 2008063785 A JP2008063785 A JP 2008063785A JP 2008063785 A JP2008063785 A JP 2008063785A JP 2009044122 A JP2009044122 A JP 2009044122A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
region
oxide semiconductor
phase
nonmagnetic conductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008063785A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Cho
勤 長
Tomohito Mizuno
友人 水野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Publication of JP2009044122A publication Critical patent/JP2009044122A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/33Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only
    • G11B5/39Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects
    • G11B5/3903Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects using magnetic thin film layers or their effects, the films being part of integrated structures
    • G11B5/3906Details related to the use of magnetic thin film layers or to their effects
    • G11B5/3929Disposition of magnetic thin films not used for directly coupling magnetic flux from the track to the MR film or for shielding
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y10/00Nanotechnology for information processing, storage or transmission, e.g. quantum computing or single electron logic
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R33/00Arrangements or instruments for measuring magnetic variables
    • G01R33/02Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux
    • G01R33/06Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux using galvano-magnetic devices
    • G01R33/09Magnetoresistive devices
    • G01R33/093Magnetoresistive devices using multilayer structures, e.g. giant magnetoresistance sensors
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/33Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only
    • G11B5/39Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects
    • G11B2005/3996Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects large or giant magnetoresistive effects [GMR], e.g. as generated in spin-valve [SV] devices
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T29/00Metal working
    • Y10T29/49Method of mechanical manufacture
    • Y10T29/49002Electrical device making
    • Y10T29/4902Electromagnet, transformer or inductor
    • Y10T29/49021Magnetic recording reproducing transducer [e.g., tape head, core, etc.]
    • Y10T29/49032Fabricating head structure or component thereof

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Magnetic Heads (AREA)

Abstract

【課題】ノイズの抑制とスピントルクの影響の抑制とを可能とする抵抗値を有し、且つ大きなMR比を得ることのできる磁気抵抗効果素子を実現する。
【解決手段】MR素子は、信号磁界に応じて磁化の方向が変化する自由層25と、磁化の方向が固定された固定層23と、これらの間に配置されたスペーサ層24とを備えている。スペーサ層24は、それぞれ層状をなしMR素子の各層の面と交差する方向に並ぶ第1の領域41、第2の領域42および第3の領域43を有している。第2の領域42は、第1の領域41と第3の領域43に挟まれている。第1の領域41および第3の領域43は酸化物半導体によって構成され、第2の領域42は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含んでいる。
【選択図】図8

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッド、ヘッドアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
近年、磁気ディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。
MR素子としては、巨大磁気抵抗(Giant Magnetoresistive)効果を用いたGMR素子や、トンネル磁気抵抗(Tunneling Magnetoresistive)効果を用いたTMR素子等がある。
再生ヘッドの特性としては、高感度および高出力であることが要求される。この要求を満たす再生ヘッドとして、既に、スピンバルブ型GMR素子を用いたGMRヘッドが量産されている。最近では、面記録密度の更なる向上に対応するために、TMR素子を用いた再生ヘッドの開発が進められている。
スピンバルブ型GMR素子は、一般的には、自由層と、固定層と、これらの間に配置された非磁性導電層と、固定層における非磁性導電層とは反対側に配置された反強磁性層とを有している。自由層は信号磁界に応じて磁化の方向が変化する強磁性層である。固定層は、磁化の方向が固定された強磁性層である。反強磁性層は、固定層との交換結合により、固定層における磁化の方向を固定する層である。
ところで、従来のGMRヘッドでは、磁気的信号検出用の電流(以下、センス電流という。)を、GMR素子を構成する各層の面に対して平行な方向に流す構造になっていた。このような構造は、CIP(Current In Plane)構造と呼ばれる。これに対し、センス電流を、GMR素子を構成する各層の面と交差する方向、例えばGMR素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に流す構造のGMRヘッドの開発も進められている。このような構造は、CPP(Current Perpendicular to Plane)構造と呼ばれる。以下、CPP構造の再生ヘッドに用いられるGMR素子をCPP−GMR素子と呼び、CIP構造の再生ヘッドに用いられるGMR素子をCIP−GMR素子と呼ぶ。
前述のTMR素子を用いた再生ヘッドもCPP構造となる。TMR素子は、一般的には、自由層と、固定層と、これらの間に配置されたトンネルバリア層と、固定層におけるトンネルバリア層とは反対側に配置された反強磁性層とを有している。トンネルバリア層は、トンネル効果によりスピンを保存した状態で電子が通過できる非磁性絶縁層である。自由層、固定層および反強磁性層については、スピンバルブ型GMR素子と同様である。TMR素子では、スピンバルブ型GMR素子に比べて、抵抗に対する磁気抵抗変化の比率である磁気抵抗変化率(以下、MR比と記す。)を大きくできることが期待されている。
特許文献1には、磁化方向が固着された磁化固着層と、磁化方向が外部磁界に対応して変化する磁化自由層と、磁化固着層と磁化自由層との間に設けられた非磁性金属中間層と、磁化固着層と磁化自由層との間に設けられ、伝導キャリア数が1022個/cm以下の材料からなる抵抗調節層とを備えたCPP−GMR素子が記載されている。特許文献1には、抵抗調節層の材料として半導体または半金属が望ましい旨が記載されている。
また、特許文献2には、磁化方向が固着された磁化固着層と、磁化方向が外部磁界に対応して変化する磁化自由層と、磁化固着層と磁化自由層との間に設けられた中間層とを備え、中間層は、抵抗が相対的に高い領域と抵抗が相対的に低い領域とを有する酸化物からなる第1の層(酸化物中間層)を含み、センス電流は、第1の層を通過する際に、抵抗が相対的に低い領域を優先的に流れるCPP構造のMR素子が記載されている。特許文献2には、センス電流は第1の層を通過する際にオーミック性を有することが記載されていることから、この特許文献2に記載されたMR素子は、TMR素子ではなく、CPP−GMR素子である。このようなCPP−GMR素子は、例えば、電流狭窄型のCPP−GMR素子と呼ばれている。また、特許文献2には、中間層が、更に、第1の層と磁化固着層との間と、第1の層と磁化自由層との間にそれぞれ配置された、非磁性金属からなる第2の層(界面調節中間層)を含むことが記載されている。
特許文献3にも、電流狭窄型のCPP−GMR素子が記載されている。このCPP−GMR素子は、磁化自由層と磁化固着層との間に配置された2つの非磁性中間層と、この2つの非磁性中間層の間に配置された電流制御層とを備えている。2つの非磁性中間層には、それぞれCu等からなる導体性膜が用いられている。電流制御層は、その上下の層を電気的に絶縁する絶縁体を主体としており、この絶縁体中に、上下の層を電気的に接続する導電体が散在するように設けられている。
特許文献4にも、電流狭窄型のCPP−GMR素子が記載されている。このCPP−GMR素子は、磁化固着膜と磁化自由層との間に配置された中間層を備えている。中間層は、絶縁膜と、この絶縁膜の中に形成された柱状の金属導体部とを有している。CPP−GMR素子は、更に、磁化固着膜および磁化自由層のいずれかと金属導体部との間に形成された化合物層を備えている。この化合物層は、イオン結合性あるいは共有結合性の化合物を含んでいる。化合物層に用いられる材料としては、例えばIII−V族半導体、II−VI族半導体あるいは酸化物半導体が用いられている。
特開2003−8102号公報 特開2003−298143号公報 特開2005−86112号公報 特開2006−261306号公報
ところで、TMR素子を再生ヘッドに用いる場合には、TMR素子の低抵抗化が要求される。以下、その理由について説明する。磁気ディスク装置では、記録密度の向上とデータ転送レートの向上が要求されている。それに伴い、再生ヘッドには、高周波応答性がよいことが要求される。ところが、TMR素子の抵抗値が大きいと、TMR素子およびそれに接続される回路において発生する浮遊容量が大きくなり、再生ヘッドの高周波応答性が低下してしまう。そのため、TMR素子には低抵抗化が要求される。
一般的に、TMR素子の低抵抗化のためには、トンネルバリア層の厚みを小さくすることが有効である。しかしながら、トンネルバリア層の厚みを小さくしすぎると、トンネルバリア層に多くのピンホールが生じることによってTMR素子の寿命が短くなったり、自由層と固定層との間で磁気的な結合が生じることによってノイズの増大やMR比の低下といったTMR素子の特性の劣化が生じたりするという問題が発生する。ここで、再生ヘッドにおいて発生するノイズをヘッドノイズと言う。TMR素子を用いた再生ヘッドにおいて発生するヘッドノイズには、GMR素子を用いた再生ヘッドでは発生しないノイズ成分であるショットノイズが含まれる。そのため、TMR素子を用いた再生ヘッドでは、ヘッドノイズが大きいという問題点がある。
一方、CPP−GMR素子では、十分に大きなMR比が得られないという問題点がある。その原因としては、非磁性導電層と磁性層との界面や、非磁性導電層中において、スピン偏極電子が散乱されるためと考えられる。
また、CPP−GMR素子では、抵抗値が小さいため、抵抗変化量も小さくなる。そのため、CPP−GMR素子を用いて大きな再生出力を得るためには、素子に印加する電圧を大きくする必要がある。しかし、素子に印加する電圧を大きくすると、以下のような問題が発生する。CPP−GMR素子では、各層の面に対して垂直な方向に電流が流される。すると、自由層から固定層へ、あるいは固定層から自由層へスピン偏極電子が注入される。このスピン偏極電子は、自由層または固定層において、それらの磁化を回転させるトルクを発生させる。本出願において、このトルクをスピントルクと言う。このスピントルクは電流密度に比例する。CPP−GMR素子に印加する電圧を大きくすると、電流密度が増加し、その結果、スピントルクが大きくなる。スピントルクが大きくなると、固定層の磁化の方向が変化してしまうという問題が発生する。
特許文献1には、抵抗調節層を設けることにより、CPP型素子の抵抗を好適に調節し、抵抗変化量を増大して出力を強化することができると記載されている。しかしながら、単純に磁化固着層と磁化自由層との間に抵抗調節層を挿入しただけでは、MR比を大きくすることができるとは限らない。それは、抵抗調節層またはその近傍における結晶構造が乱れるほどMR素子の抵抗値は大きくなるが、結晶構造の乱れによってスピン偏極電子の散乱が顕著に発生し、その結果、スピンの緩和によりMR比が低下するためである。
例えば特許文献2〜4に記載されているような電流狭窄型のCPP−GMR素子によれば、一般的なCPP−GMR素子に比べて、抵抗値および抵抗変化量を大きくすることができる。しかし、一般的な電流狭窄型のCPP−GMR素子では、以下のような問題点がある。すなわち、一般的な電流狭窄型のCPP−GMR素子では、電流狭窄効果を発現させる層は、例えば酸化処理を用いて形成される。特許文献2には、金属層に対して酸化処理を施すことによって第1の層(酸化物中間層)を形成する方法が記載されている。特許文献3には、金属を酸化、窒化、または酸窒化処理することによって電流制御層を形成する方法が記載されている。特許文献4には、Cu上にAlCu合金を形成した後に酸化処理を行って、AlCu酸化物の中にCuのメタルパスを形成する方法が記載されている。このように酸化処理を用いて形成された層では、その形成過程で大きな組成変化が生じ、その結果、結晶構造の乱れが大きくなる。そのため、このような層を含むMR素子では、結晶構造の乱れによってスピン偏極電子の散乱が顕著に発生し、スピンの緩和によりMR比が低下する。
このように、従来は、ノイズの抑制とスピントルクの影響の抑制を可能とする抵抗値を有し、且つ大きなMR比を得ることのできるCPP型のMR素子を実現することが難しかった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ノイズの抑制とスピントルクの影響の抑制とを可能とする抵抗値を有し、且つ大きなMR比を得ることのできる磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッド、ヘッドアセンブリおよび磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の磁気抵抗効果素子は、外部磁界に応じて磁化の方向が変化する自由層と、磁化の方向が固定された固定層と、自由層と固定層との間に配置されたスペーサ層とを備え、磁気的信号検出用の電流が、上記各層の面と交差する方向に流されるものである。スペーサ層は、それぞれ層状をなし上記各層の面と交差する方向に並ぶ第1、第2および第3の領域を有している。第2の領域は、第1の領域と第3の領域に挟まれている。第1および第3の領域は酸化物半導体によって構成されている。第2の領域は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含んでいる。
本発明の磁気抵抗効果素子において、第2の領域では、酸化物半導体相中に複数の非磁性導体相が点在していてもよい。この場合、酸化物半導体相と第1および第3の領域は全て同じ材料よりなるものであってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、第2の領域は、全体が非磁性導体相によって構成されていてもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、第2の領域の厚みは、0.1〜1nmの範囲内であってもよい。第1の領域の厚みおよび第3の領域の厚みは、それぞれ、0.1〜1.4nmの範囲内であってもよい。スペーサ層の厚みは、1〜3nmの範囲内であってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、スペーサ層全体に対する第2の領域に含まれる非磁性導体相の割合は、1〜50体積%の範囲内であってもよい。
本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法は、固定層、スペーサ層、自由層を形成する各工程を備えている。スペーサ層を形成する工程は、第1の酸化物半導体層を形成する工程と、第1の酸化物半導体層の上に非磁性導体層を形成する工程と、非磁性導体層の上に第2の酸化物半導体層を形成する工程と、第1の酸化物半導体層によって第1の領域が形成され、第2の酸化物半導体層によって第3の領域が形成され、少なくとも非磁性導体層によって第2の領域が形成されるように、第1の酸化物半導体層、非磁性導体層および第2の酸化物半導体層に対して熱処理を施す工程とを含んでいる。
本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法では、熱処理を施す工程により、酸化物半導体相中に複数の非磁性導体相が点在するように第2の領域が形成されてもよい。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、記録媒体からの信号磁界を検出するために媒体対向面の近傍に配置された本発明の磁気抵抗効果素子と、磁気的信号検出用の電流を磁気抵抗効果素子に流すための一対の電極とを備えたものである。
本発明のヘッドアセンブリは、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを弾性的に支持する支持装置とを備えたものである。
本発明の磁気ディスク装置は、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、回転駆動される記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを支持すると共に記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを備えたものである。
本発明では、磁気抵抗効果素子のスペーサ層は、それぞれ酸化物半導体によって構成された第1および第3の領域と、これらに挟まれた第2の領域とを有し、第2の領域は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含んでいる。本発明では、スペーサ層を形成するために、酸化処理によって絶縁体を形成する必要がない。これらのことから、本発明によれば、ノイズの抑制とスピントルクの影響の抑制とを可能とする抵抗値を有し、且つ大きなMR比を得ることのできる磁気抵抗効果素子を実現することができるという効果を奏する。
本発明において、第2の領域では、酸化物半導体相中に複数の非磁性導体相が点在していてもよい。この場合には、電流狭窄効果によりMR比をより大きくすることが可能になるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図2および図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成および製造方法の概略について説明する。図2は薄膜磁気ヘッドの媒体対向面および基板に垂直な断面を示す断面図、図3は薄膜磁気ヘッドの磁極部分の媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面20を備えている。また、薄膜磁気ヘッドは、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この基板1の上に配置されたアルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に配置された磁性材料よりなる第1のシールド層3と、この第1のシールド層3の上に配置されたMR素子5と、このMR素子5の2つの側部に隣接するように配置された2つのバイアス磁界印加層6と、MR素子5およびバイアス磁界印加層6の周囲に配置された絶縁層7とを備えている。MR素子5は、媒体対向面20の近傍に配置されている。絶縁層7は、アルミナ等の絶縁材料によって形成されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、MR素子5、バイアス磁界印加層6および絶縁層7の上に配置された磁性材料よりなる第2のシールド層8と、この第2のシールド層8の上に配置されたアルミナ等の非磁性材料よりなる分離層18と、この分離層18の上に配置された磁性材料よりなる下部磁極層19とを備えている。第2のシールド層8および下部磁極層19に用いる磁性材料は、NiFe、CoFe、CoFeB、CoFeNi、FeN等の軟磁性材料である。なお、第2のシールド層8、分離層18および下部磁極層19の代わりに、下部磁極層を兼ねた第2のシールド層を設けてもよい。
薄膜磁気ヘッドは、更に、下部磁極層19の上に配置されたアルミナ等の非磁性材料よりなる記録ギャップ層9を備えている。記録ギャップ層9には、媒体対向面20から離れた位置においてコンタクトホール9aが形成されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、記録ギャップ層9の上に配置された薄膜コイルの第1層部分10を備えている。第1層部分10は、銅(Cu)等の導電材料によって形成されている。なお、図2において、符号10aは、第1層部分10のうち、後述する薄膜コイルの第2層部分15に接続される接続部を表している。第1層部分10は、コンタクトホール9aの周囲に巻回されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、薄膜コイルの第1層部分10およびその周辺の記録ギャップ層9を覆うように配置された絶縁材料よりなる絶縁層11と、磁性材料よりなる上部磁極層12と、接続部10aの上に配置された導電材料よりなる接続層13とを備えている。接続層13は、磁性材料によって形成されていてもよい。絶縁層11の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となっている。
上部磁極層12は、トラック幅規定層12aと連結部分層12bとヨーク部分層12cとを有している。トラック幅規定層12aは、絶縁層11のうちの媒体対向面20側の斜面部分から媒体対向面20側にかけての領域において、記録ギャップ層9および絶縁層11の上に配置されている。トラック幅規定層12aは、記録ギャップ層9の上に形成され、上部磁極層12の磁極部分となる先端部と、絶縁層11の媒体対向面20側の斜面部分の上に形成され、ヨーク部分層12cに接続される接続部とを有している。先端部の幅は記録トラック幅と等しくなっている。接続部の幅は、先端部の幅よりも大きくなっている。
連結部分層12bは、コンタクトホール9aが形成された位置において、下部磁極層19の上に配置されている。ヨーク部分層12cは、トラック幅規定層12aと連結部分層12bとを連結している。ヨーク部分層12cの媒体対向面20側の端部は、媒体対向面20から離れた位置に配置されている。また、ヨーク部分層12cは、連結部分層12bを介して下部磁極層19に接続されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、連結部分層12bの周囲に配置されたアルミナ等の無機絶縁材料よりなる絶縁層14を備えている。トラック幅規定層12a、連結部分層12b、接続層13および絶縁層14の上面は平坦化されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、絶縁層14の上に配置された薄膜コイルの第2層部分15を備えている。第2層部分15は、銅(Cu)等の導電材料によって形成されている。なお、図2において、符号15aは、第2層部分15のうち、接続層13を介して薄膜コイルの第1層部分10の接続部10aに接続される接続部を表している。第2層部分15は、連結部分層12bの周囲に巻回されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、薄膜コイルの第2層部分15およびその周辺の絶縁層14を覆うように配置された絶縁層16を備えている。絶縁層16の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となっている。ヨーク部分層12cの一部は、絶縁層16の上に配置されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、上部磁極層12を覆うように配置されたオーバーコート層17を備えている。オーバーコート層17は、例えばアルミナによって構成されている。
次に、本実施の形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法の概略について説明する。本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、基板1の上に、スパッタ法等によって絶縁層2を、例えば0.2〜5μmの厚みに形成する。次に、絶縁層2の上に、めっき法等によって第1のシールド層3を、所定のパターンに形成する。次に、図示しないが、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPという。)によって、第1のシールド層3が露出するまで絶縁層を研磨して、第1のシールド層3および絶縁層の上面を平坦化する。
次に、第1のシールド層3の上に、MR素子5と、2つのバイアス磁界印加層6と、絶縁層7とを形成する。次に、MR素子5、バイアス磁界印加層6および絶縁層7の上に、第2のシールド層8を形成する。第2のシールド層8は、例えばめっき法またはスパッタ法によって形成される。次に、第2のシールド層8の上に、スパッタ法等によって、分離層18を形成する。次に、この分離層18の上に、例えばめっき法またはスパッタ法によって、下部磁極層19を形成する。
次に、下部磁極層19の上に、スパッタ法等によって、記録ギャップ層9を、例えば50〜300nmの厚みに形成する。次に、磁路形成のために、後に形成される薄膜コイルの中心部分において、記録ギャップ層9を部分的にエッチングしてコンタクトホール9aを形成する。
次に、記録ギャップ層9の上に、薄膜コイルの第1層部分10を、例えば2〜3μmの厚みに形成する。第1層部分10は、コンタクトホール9aの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第1層部分10およびその周辺の記録ギャップ層9を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層11を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層11の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層11の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、絶縁層11のうちの後述する媒体対向面20側の斜面部分から媒体対向面20側にかけての領域において、記録ギャップ層9および絶縁層11の上に、上部磁極層12のトラック幅規定層12aを形成する。
トラック幅規定層12aを形成する際には、同時に、コンタクトホール9aが形成された位置において下部磁極層19の上に連結部分層12bを形成すると共に、接続部10aの上に接続層13を形成する。
次に、磁極トリミングを行う。すなわち、トラック幅規定層12aの周辺領域において、トラック幅規定層12aをマスクとして、記録ギャップ層9および下部磁極層19の磁極部分における記録ギャップ層9側の少なくとも一部をエッチングする。これにより、図3に示したように、上部磁極層12の磁極部分、記録ギャップ層9および下部磁極層19の磁極部分の少なくとも一部の各幅が揃えられたトリム(Trim)構造が形成される。このトリム構造によれば、記録ギャップ層9の近傍における磁束の広がりによる実効的なトラック幅の増加を防止することができる。
次に、ここまでの工程によって形成された積層体の上面全体の上に絶縁層14を、例えば3〜4μmの厚みに形成する。次に、この絶縁層14を、例えばCMPによって、トラック幅規定層12a、連結部分層12bおよび接続層13の表面に至るまで研磨して平坦化する。
次に、平坦化された絶縁層14の上に、薄膜コイルの第2層部分15を、例えば2〜3μmの厚みに形成する。第2層部分15は、連結部分層12bの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第2層部分15およびその周辺の絶縁層14を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層16を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層16の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層16の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。次に、トラック幅規定層12a、絶縁層14,16および連結部分層12bの上に、ヨーク部分層12cを形成する。
次に、ここまでの工程によって形成された積層体の上面全体を覆うように、オーバーコート層17を形成する。次に、オーバーコート層17の上に配線や端子等を形成する。最後に、上記各層を含むスライダの機械加工を行って媒体対向面20を形成して、記録ヘッドおよび再生ヘッドを含む薄膜磁気ヘッドが完成する。
このようにして製造される薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面20と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドは、記録媒体からの信号磁界を検出するために媒体対向面20の近傍に配置されている。再生ヘッドの構成については、後で詳しく説明する。
記録ヘッドは、媒体対向面20側において互いに対向する磁極部分を含むと共に、互いに磁気的に連結された下部磁極層19および上部磁極層12と、この下部磁極層19の磁極部分と上部磁極層12の磁極部分との間に設けられた記録ギャップ層9と、少なくとも一部が下部磁極層19および上部磁極層12の間に、これらに対して絶縁された状態で配設された薄膜コイル10,15とを有している。この薄膜磁気ヘッドでは、図2に示したように、媒体対向面20から、絶縁層11の媒体対向面20側の端部までの長さが、スロートハイトTHとなる。なお、スロートハイトとは、媒体対向面20から、2つの磁極層の間隔が大きくなり始める位置までの長さ(高さ)をいう。なお、図2および図3には、長手磁気記録方式用の記録ヘッドを示したが、本実施の形態における記録ヘッドは、垂直磁気記録方式用の記録ヘッドであってもよい。
次に、図1を参照して、本実施の形態における再生ヘッドの構成について詳しく説明する。図1は再生ヘッドの媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。図1に示したように、再生ヘッドは、所定の間隔を開けて配置された第1のシールド層3および第2のシールド層8と、第1のシールド層3と第2のシールド層8との間に配置されたMR素子5とを備えている。MR素子5および第2のシールド層8は第1のシールド層3に積層されている。
再生ヘッドは、更に、MR素子5の2つの側部に隣接するように配置され、MR素子5に対してバイアス磁界を印加する2つのバイアス磁界印加層6と、第1のシールド層3およびMR素子5とバイアス磁界印加層6との間に配置された絶縁層4とを備えている。
バイアス磁界印加層6は、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体等を用いて構成される。具体的には、バイアス磁界印加層6は、例えばCoPtやCoCrPtによって形成される。絶縁層4は、例えばアルミナによって形成される。
本実施の形態に係るMR素子5は、CPP−GMR素子になっている。このMR素子5には、磁気的信号検出用の電流であるセンス電流が、MR素子5を構成する各層の面と交差する方向、例えばMR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に流される。第1のシールド層3と第2のシールド層8は、センス電流を、MR素子5に対して、MR素子5を構成する各層の面と交差する方向、例えばMR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に流すための一対の電極を兼ねている。なお、第1のシールド層3および第2のシールド層8とは別に、MR素子5の上下に一対の電極を設けてもよい。MR素子5は、外部磁界、すなわち記録媒体からの信号磁界に応じて抵抗値が変化する。MR素子5の抵抗値はセンス電流より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
図1には、MR素子5の構成の一例を示している。このMR素子5は、信号磁界に応じて磁化の方向が変化する強磁性層である自由層25と、磁化の方向が固定された強磁性層である固定層23と、自由層25と固定層23との間に配置されたスペーサ層24とを備えている。図1に示した例では、固定層23と自由層25のうち、固定層23の方が第1のシールド層3に近い位置に配置されている。しかし、逆に、自由層25の方が第1のシールド層3に近い位置に配置されていてもよい。MR素子5は、更に、固定層23におけるスペーサ層24とは反対側に配置された反強磁性層22と、第1のシールド層3と反強磁性層22との間に配置された下地層21と、自由層25と第2のシールド層8との間に配置された保護層26とを備えている。図1に示したMR素子5では、第1のシールド層3の上に、下地層21、反強磁性層22、固定層23、スペーサ層24、自由層25および保護層26が順に積層されている。
反強磁性層22は、固定層23との交換結合により、固定層23における磁化の方向を固定する層である。下地層21は、その上に形成される各層の結晶性や配向性を向上させ、特に、反強磁性層22と固定層23との交換結合を良好にするために設けられる。保護層26は、その下の各層を保護するための層である。
下地層21の厚みは、例えば2〜6nmである。下地層21としては、例えばTa層とRu層との積層体が用いられる。
反強磁性層22の厚みは、例えば5〜30nmである。反強磁性層22は、例えば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ni、Cu、Ir、CrおよびFeからなる群のうちの少なくとも1種MIIと、Mnとを含む反強磁性材料により構成されている。このうちMnの含有量は35原子%以上95原子%以下、その他の元素MIIの含有量は5原子%以上65原子%以下であることが好ましい。この反強磁性材料には、熱処理しなくても反強磁性を示し、強磁性材料との間に交換結合磁界を誘起する非熱処理系反強磁性材料と、熱処理により反強磁性を示すようになる熱処理系反強磁性材料とがある。この反強磁性層22は、そのどちらにより構成されていてもよい。非熱処理系反強磁性材料にはγ相を有するMn合金等があり、具体的には、RuRhMn、FeMnあるいはIrMn等がある。熱処理系反強磁性材料には規則結晶構造を有するMn合金等があり、具体的には、PtMn、NiMnおよびPtRhMn等がある。
なお、固定層23における磁化の方向を固定する層として、上記のような反強磁性層22の代わりに、CoPt等の硬磁性材料よりなる硬磁性層を設けてもよい。この場合には、下地層21の材料としては、Cr、CrTi、TiW等が用いられる。
固定層23では、反強磁性層22との界面における交換結合により、磁化の向きが固定されている。本実施の形態における固定層23は、反強磁性層22の上に順に積層されたアウター層31、非磁性中間層32およびインナー層33を有し、いわゆるシンセティック固定層になっている。アウター層31およびインナー層33は、例えば、CoおよびFeからなる群のうちの少なくともCoを含む強磁性材料により構成された強磁性層を含んでいる。アウター層31とインナー層33は、反強磁性的に結合し、磁化の方向が互いに逆方向に固定されている。アウター層31の厚みは、例えば3〜7nmである。インナー層33の厚みは、例えば3〜10nmである。
非磁性中間層32の厚みは、例えば0.35〜1.0nmである。非磁性中間層32は、例えば、Ru、Rh、Ir、Re、Cr、ZrおよびCuからなる群のうち少なくとも1種を含む非磁性材料により構成されている。この非磁性中間層32は、インナー層33とアウター層31の間に反強磁***換結合を生じさせ、インナー層33の磁化とアウター層31の磁化とを互いに逆方向に固定するためのものである。なお、インナー層33の磁化とアウター層31の磁化が互いに逆方向というのは、これら2つの磁化の方向が互いに180°異なる場合のみならず、2つの磁化の方向が180°±20°異なる場合を含む。
自由層25の厚みは、例えば2〜10nmである。自由層25は、保磁力が小さい強磁性層によって構成されている。自由層25は、積層された複数の強磁性層を含んでいてもよい。
保護層26の厚みは、例えば0.5〜20nmである。保護層26としては、例えばTa層やRu層が用いられる。また、保護層26は、Ta層、Ru層等の組み合わせの2積層構造や、Ta層、Ru層、Ta層の組み合わせや、Ru層、Ta層、Ru層の組み合わせ等の3積層構造としてもよい。
なお、インナー層33と自由層25の少なくとも一方は、ホイスラー合金層等の、スピン分極率がほぼ1となる合金層を含んでいてもよい。
MR素子5がCPP−GMR素子として適正な動作を行う上で、MR素子5の面積抵抗(resistance-area product;RA)には、適正な範囲がある。すなわち、MR素子5の面積抵抗が小さすぎると、MR素子5の抵抗値が小さくなりすぎ、その結果、MR素子5の抵抗変化量が小さくなると共に、これに起因して再生出力電圧が低下する。また、MR素子5の抵抗変化量は、MR素子5にセンス電流を流すためのリード線等による寄生抵抗よりも大きくなければならない。一方、MR素子5の面積抵抗が大きすぎると、MR素子5の抵抗値が大きくなりすぎると共に、ノイズが大きくなる。これらを考慮すると、MR素子5の面積抵抗は、0.1〜0.3Ω・μmの範囲内であることが好ましく、0.12〜0.25Ω・μmの範囲内であることがより好ましい。
次に、図8および図9を参照して、本実施の形態におけるスペーサ層24について詳しく説明する。本実施の形態におけるスペーサ層24には、図8に示した第1の態様と、図9に示した第2の態様とがある。なお、図8および図9は、本実施の形態における固定層23(インナー層33)、スペーサ層24および自由層25を模式的に表している。図8および図9に示したように、スペーサ層24は、それぞれ層状をなしMR素子5の各層の面と交差する方向に並ぶ第1の領域41、第2の領域42および第3の領域43を有している。第2の領域42は、第1の領域41と第3の領域43に挟まれている。第1の領域41および第3の領域43は酸化物半導体によって構成されている。第2の領域42は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含んでいる。第1の領域41は固定層23(インナー層33)に隣接し、第3の領域43は自由層25に隣接している。
図8に示した第1の態様では、第2の領域42は、酸化物半導体相422中に複数の非磁性導体相421が点在したものになっている。この場合、酸化物半導体相422、第1の領域41および第3の領域43は全て同じ材料よりなるものであってもよい。図8は、酸化物半導体相422と第1の領域41および第3の領域43が全て同じ材料よりなる場合を表している。
図9に示した第2の態様では、第2の領域42は、全体が非磁性導体相421によって構成されている。この場合、第1の領域41と第3の領域43は同じ材料よりなるものであってもよい。
第1の領域41、第3の領域43および酸化物半導体相422を構成する酸化物半導体としては、例えば酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)または酸化インジウム(InO)のいずれかを用いることができる。また、第1の領域41、第3の領域43および酸化物半導体相422を構成する酸化物半導体は、例えば1%以下の酸素欠陥を有していてもよい。このように、酸化物半導体が酸素欠陥を有している場合には、酸化物半導体のフェルミレベルに電子が存在し、酸化物半導体の抵抗値が小さくなる。従って、酸素欠陥を有する酸化物半導体は、CPP−GMR素子のスペーサ層に使用するのに適している。
非磁性導体相421は、非磁性導電材料によって構成されている。この非磁性導電材料としては、例えばCu、Au、Ag、Ru、Pd、Rh、Re、Ir、Sn、Zn、Ti、In、CuOのいずれかを用いることができる。
本実施の形態において、スペーサ層24とこれに隣接する磁性層との間、具体的には、第1の領域41とインナー層33との間と、第3の領域43と自由層25との間に、それぞれ、1nm未満の厚みの非磁性金属層を設けてもよい。この非磁性金属層は、磁性層(インナー層33、自由層25)の酸化によるMR素子5の特性の劣化を抑制すると共に、酸化物半導体よりなる第1の領域41または第3の領域43と磁性層との界面における格子のミスフィットを緩和するために設けられる。この非磁性金属層の材料としては、非磁性導体相421を構成する非磁性導電材料の例として列挙したもの中のいずれかを用いることができる。
次に、図1に示した再生ヘッドの製造方法について説明する。この再生ヘッドの製造方法では、まず、絶縁層2の上に、めっき法等によって、所定のパターンの第1のシールド層3を形成する。次に、第1のシールド層3の上に、例えばスパッタ法によって、MR素子5を構成する各層となる膜を順に形成し、これらの膜の積層体を形成する。次に、積層体をエッチングによってパターニングして、MR素子5を形成する。次に、例えばスパッタ法によって、絶縁層4とバイアス磁界印加層6を順に形成する。次に、MR素子5およびバイアス磁界印加層6の上に、例えばめっき法またはスパッタ法によって、第2のシールド層8を形成する。
本実施の形態に係るMR素子5の製造方法は、MR素子5を構成する下地層21、反強磁性層22、固定層23、スペーサ層24、自由層25および保護層26を形成する各工程を備えている。スペーサ層24を形成する工程は、第1の酸化物半導体層を形成する工程と、第1の酸化物半導体層の上に非磁性導体層を形成する工程と、非磁性導体層の上に第2の酸化物半導体層を形成する工程と、第1の酸化物半導体層によって第1の領域41が形成され、第2の酸化物半導体層によって第3の領域43が形成され、少なくとも非磁性導体層によって第2の領域42が形成されるように、第1の酸化物半導体層、非磁性導体層および第2の酸化物半導体層に対して熱処理を施す工程とを含んでいる。
第1の酸化物半導体層の材料は第1の領域41の材料と同じであり、第2の酸化物半導体層の材料は第3の領域43の材料と同じである。非磁性導体層の材料は、第2の領域42の非磁性導体相421の材料と同じである。
上記の熱処理は、非磁性導体相421の結晶構造の乱れを小さくするために行われる。この熱処理によって非磁性導体相421の結晶構造の乱れを小さくすることにより、非磁性導体相421におけるスピンの緩和を抑制することができる。上記の熱処理は、スペーサ層24を構成する各層の形成後であれば、どの段階で行ってもよい。この熱処理は、例えば、スペーサ層24を構成する各層の形成後、自由層25を構成する膜の形成前に行ってもよいし、MR素子5を構成する各層となる膜の積層体の形成後、この積層体をパターニングする前に行ってもよいし、この積層体をパターニングした後に行ってもよい。熱処理の温度は、250〜290℃の範囲内であることが好ましい。
スペーサ層24を構成する各層の形成後、上記の熱処理を行うことにより、図8に示した第1の態様のスペーサ層24または図9に示した第2の態様のスペーサ層24が形成される。非磁性導体層の厚みが小さいほど第1の態様のスペーサ層24が形成されやすく、非磁性導体層の厚みが大きいほど第2の態様のスペーサ層24が形成されやすい。第1の態様のスペーサ層24が形成される場合には、上記の熱処理により、非磁性導体層が島状に凝集して複数の非磁性導体相421が形成されると共に、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層の少なくとも一方によって酸化物半導体相422が形成される。
次に、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの作用について説明する。薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生する。
再生ヘッドにおいて、バイアス磁界印加層6によるバイアス磁界の方向は、媒体対向面20に垂直な方向と直交している。MR素子5において、信号磁界がない状態では、自由層25の磁化の方向は、バイアス磁界の方向に揃えられている。一方、固定層23の磁化の方向は、媒体対向面20に垂直な方向に固定されている。
MR素子5では、記録媒体からの信号磁界に応じて自由層25の磁化の方向が変化し、これにより、自由層25の磁化の方向と固定層23の磁化の方向との間の相対角度が変化し、その結果、MR素子5の抵抗値が変化する。MR素子5の抵抗値は、第1および第2のシールド層3,8によってMR素子5にセンス電流を流したときのシールド層3,8間の電位差より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
本実施の形態に係るMR素子5において、スペーサ層24は、それぞれ層状をなしMR素子5の各層の面と交差する方向に並ぶ第1の領域41、第2の領域42および第3の領域43を有している。第2の領域42は、第1の領域41と第3の領域43に挟まれている。第1の領域41および第3の領域43は酸化物半導体によって構成されている。第2の領域42は、非磁性導体相421と酸化物半導体相422のうち少なくとも非磁性導体相421を含んでいる。図8に示した第1の態様では、第2の領域42は、酸化物半導体相422中に複数の非磁性導体相421が点在したものになっている。図9に示した第2の態様では、第2の領域42は、全体が非磁性導体相421によって構成されている。
本実施の形態に係るMR素子5は、TMR素子ではなくCPP−GMR素子である。そのため、本実施の形態に係るMR素子5によれば、TMR素子に比べて、抵抗値を小さくでき且つノイズを抑制することができる。
また、本実施の形態に係るMR素子5のスペーサ層24は、それぞれ酸化物半導体によって構成された第1の領域41および第3の領域43を有している。そのため、本実施の形態に係るMR素子5によれば、スペーサ層の全体が非磁性導体層よりなる一般的なCPP−GMR素子に比べて、抵抗値を大きくすることができる。そのため、本実施の形態によれば、スピントルクの影響を抑制することができる。
ところで、スペーサ層の全体が酸化物半導体によって構成されたMR素子では、CPP−GMR素子としては抵抗値が大きくなりすぎ、ノイズが大きくなるおそれがある。これに対し、本実施の形態では、スペーサ層24は、それぞれ酸化物半導体によって構成された第1の領域41と第3の領域43に挟まれた非磁性導体相421を含んでいる。そのため、本実施の形態に係るMR素子5によれば、スペーサ層の全体が酸化物半導体によって構成されたMR素子に比べて、抵抗値を小さくでき且つノイズを抑制することができる。
また、本実施の形態において、第2の領域42が図8に示した第1の態様である場合には、第2の領域42において、センス電流は、非磁性導体相421を優先的に流れる。この場合のMR素子5では、電流狭窄効果によりMR比を大きくすることができる。
ところで、従来の一般的な電流狭窄型のCPP−GMR素子では、電流狭窄効果を発現させる層は、絶縁体中に複数の導体部が点在する構造になっている。このような層は、例えば酸化処理を用いて形成される。この場合、電流狭窄効果を発現させる層では、その形成過程で大きな組成変化が生じ、その結果、結晶構造の乱れが大きくなる。そのため、このような層を含むMR素子では、結晶構造の乱れによってスピン偏極電子の散乱が顕著に発生し、スピンの緩和によりMR比が低下する。これに対し、本実施の形態では、スペーサ層24を形成するために、酸化処理によって絶縁体を形成する必要がない。そのため、本実施の形態に係るMR素子5におけるスペーサ層24では、その形成過程で大きな組成変化およびそれに伴う大きな結晶構造の乱れは生じない。従って、本実施の形態に係るMR素子5によれば、結晶構造の乱れに起因するスピンの緩和によってMR比が低下することを抑制することができる。また、本実施の形態に係るMR素子5では、スピンを保存した状態で大きな電流、例えば約10A/cm以上の電流密度の電流を、スペーサ層24を通過させることができる。これらのことから、本実施の形態に係るMR素子5によれば、大きなMR比を得ることが可能になる。
ところで、本実施の形態において、酸化物半導体よりなる第1の領域41または第3の領域43と磁性層との界面では格子のミスフィットが生じる。そのため、この界面ではスピン偏極電子の散乱が発生し得る。ここで、第2の領域42が図8に示した第1の態様である場合には、第2の領域42において、センス電流は非磁性導体相421を優先的に流れる。そのため、第1の領域41または第3の領域43と磁性層との界面において、センス電流は、非磁性導体相421に近い領域を優先的に通過する。これにより、センス電流が上記界面を均等に通過する場合に比べて、スピン偏極電子が、散乱の原因となる乱れた構造を通過する確率が減少する。従って、第2の領域42が図8に示した第1の態様である場合には、スピンの緩和によってMR比が低下することをより抑制することができる。
以上のことから、本実施の形態によれば、ノイズの抑制とスピントルクの影響の抑制とを可能とする抵抗値を有し、且つ大きなMR比を得ることのできるMR素子5を実現することができる。
なお、スペーサ層24は、固定層23と自由層25とが交換結合しないようにするための厚みを有する必要がある。また、スペーサ層24中でのスピンの緩和が小さいほど、スピンフィルタとしての効果が大きくなるのでMR素子5のMR比を大きくすることができる。スペーサ層24の厚みTが大きすぎると、スペーサ層24中でのスピンの緩和が大きくなって、MR比が低下する。一方、スペーサ層24の厚みTが小さすぎると、固定層23と自由層25とが交換結合してしまい、スペーサ層24の機能を果たせなくなる。これらを考慮すると、スペーサ層24の厚みTは、1〜3nmの範囲内であることが好ましく、1.2〜2nmの範囲内であることがより好ましい。
また、第2の領域42の厚みT2には、第2の領域42が存在することによる効果を発揮させる上で適正な範囲がある。すなわち、T2が大きすぎると、MR素子5の抵抗値が小さくなると共にMR比が低下する。一方、T2が小さすぎると、第1の領域41と第3の領域43の間に非磁性導体相421を介在させることによる効果があまり発揮されないと共に、スピン偏極電子が、散乱の原因となる乱れた構造を通過する確率が増すため、MR比が低下する。これらを考慮すると、第2の領域42の厚みT2は、0.1〜1nmの範囲内であることが好ましく、0.2〜0.8nmの範囲内であることがより好ましい。
また、第1の領域41の厚みT1および第3の領域43の厚みT3にも適正な範囲がある。すなわち、T1,T3が大きすぎると、MR素子5の面積抵抗が大きくなりすぎ、その結果、MR素子5の抵抗値も大きくなりすぎる。一方、T1,T3が小さすぎると、第1の領域41または第3の領域43と磁性層との界面の近傍における結晶構造の乱れが大きくなって、スピンの緩和によりMR比が低下する。これらを考慮すると、第1の領域41の厚みT1および第3の領域43の厚みT3は、それぞれ、0.1〜1.4nmの範囲内であることが好ましい。
また、スペーサ層24全体に対する第2の領域42に含まれる非磁性導体相421の割合にも適正な範囲がある。すなわち、非磁性導体相421の割合が小さすぎるとMR素子5の抵抗値が大きくなりすぎ、非磁性導体相421の割合が大きすぎるとMR素子5の抵抗値が小さくなりすぎて、いずれの場合も、MR素子5がCPP−GMR素子として適正な動作を行うことのできる条件から外れてしまう。これらを考慮すると、スペーサ層24全体に対する第2の領域42に含まれる非磁性導体相421の割合は、1〜50体積%の範囲内であることが好ましく、3〜30体積%の範囲内であることがより好ましい。
なお、スペーサ層24における組成物の形状と組成は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)によってスペーサ層24の断面を観察すると共に、電子エネルギ損失分光(EELS)によってスペーサ層24の組成を解析することによって確認することができる。これにより、スペーサ層24の態様も確認することができる。
次に、本実施の形態の効果を示す実験結果について説明する。この実験では、試料1〜12の12種類のMR素子の試料を作製し、これらの試料(MR素子)の面積抵抗(Ω・μm)、MR比(%)、ヘッドノイズ(μVrms/√Hz)、電流密度(A/cm)および固定層23の交換結合磁界(Oe)を求めた。なお、1Oeは、79.6A/mである。また、電流密度は、MR素子に対する印加電圧を100mVとしたときの値である。
試料1〜7の膜構成は、図1に示した本実施の形態に係るMR素子5と同様である。試料1〜7におけるスペーサ層24は、第1ないし第3の領域41〜43を有している。以下、第2の領域42が図8に示した第1の態様である試料をタイプ(1)の試料と呼び、第2の領域42が図9に示した第2の態様である試料をタイプ(2)の試料と呼ぶ。試料1〜4はタイプ(1)の試料であり、試料5〜7はタイプ(2)の試料である。試料1〜7において、第1の領域41と第3の領域43は、酸化物半導体としてのZnOによって構成されている。試料1〜4において、非磁性導体相421はCuによって構成され、酸化物半導体相422はZnOによって構成されている。試料5〜7において、第2の領域42すなわち非磁性導体相421はCuによって構成されている。試料1〜7は、本実施の形態に係るMR素子5の実施例に相当する。試料1〜7の具体的な膜構成を、以下の表1に示す。
Figure 2009044122
試料8〜12は、本実施の形態に係るMR素子5に対する第1ないし第5の比較例に相当する。試料8は、試料1〜7におけるスペーサ層24の代りに、図10に示した構造のスペーサ層50を有している。このスペーサ層50は、酸化物半導体相51中に複数の非磁性導体相52がランダムに分散した構造になっている。酸化物半導体相51はZnOによって構成され、非磁性導体相52はCuによって構成されている。以下、図10に示した構造のスペーサ層50を有する試料をタイプ(3)の試料と呼ぶ。また、スペーサ層50の厚みは、試料1〜7におけるスペーサ層24と同様に記号Tで表す。
試料9は、試料1〜7におけるスペーサ層24の代りに、図11に示した構造のスペーサ層60を有している。このスペーサ層60は、抵抗が相対的に高い領域61と、抵抗が相対的に低い領域62とを有する酸化物層になっている。領域62は、柱状であり、インナー層33と自由層25とを接続する。以下、図11に示した構造のスペーサ層60を有する試料をタイプ(4)の試料と呼ぶ。また、スペーサ層60の厚みは、試料1〜7におけるスペーサ層24と同様に記号Tで表す。
試料10は、タイプ(2)の膜構成を有するが、スペーサ層24全体に対する第2の領域42に含まれる非磁性導体相421の割合が50体積%を超えているものである。
試料11は、試料1〜7におけるスペーサ層24の代りに、全体が酸化物半導体としてのZnOよりなるスペーサ層を有している。以下、このような試料をタイプ(5)の試料と呼ぶ。試料11のスペーサ層の厚みも、試料1〜7におけるスペーサ層24と同様に記号Tで表す。
試料12は、試料1〜7におけるスペーサ層24の代りに、酸化アルミニウム(Al)膜が設けられたものになっている。従って、試料12は、CPP−GMR素子ではなく、TMR素子になっている。
試料8,9,12以外の試料は、スパッタ法によって、各試料を構成する各層となる膜を順に形成し、これらの膜の積層体を形成した後、この積層体に対して熱処理を施して作製した。熱処理は、1.0×10-4Pa以下の真空中において、250℃の温度で5時間行った。
試料8におけるスペーサ層50は、以下のようにして形成した。まず、ZnOのターゲットとCuのターゲットを用いて、ZnOとCuを同時にスパッタすることにより、ZnOとCuからなる膜を形成した。次に、この膜に対して、250℃の温度で5時間の熱処理を施して、ZnOよりなる酸化物半導体相51中に、それぞれCuよりなる複数の非磁性導体相52がランダムに分散した構造のスペーサ層50を形成した。試料8におけるスペーサ層50以外の層は、スパッタ法によって形成した。
試料9におけるスペーサ層60は、特許文献2に記載されているように、スパッタ法によって形成した金属層に対して酸化処理を施すことによって形成した。試料9におけるスペーサ層60以外の層は、スパッタ法によって形成し、酸化処理は施していない。
試料12は、スパッタ法によって、試料12を構成する各層となる膜を順に形成して作製した。
各試料の上から見た形状は、幅0.06μm、長さ0.10μmの長方形である。この形状は、実際に再生ヘッドに用いられるMR素子5の形状とほぼ同じである。なお、上記の「幅」とはトラック幅方向の長さであり、「長さ」とは媒体対向面20に垂直な方向の長さである。各試料の面積抵抗とMR比は、直流四端子法によって測定した。各試料のヘッドノイズは、スペクトラムアナライザーによって測定した。測定したヘッドノイズは、信号の周波数20MHzにおいて、信号の帯域幅を1Hzとしたときの値である。各試料の電流密度は、面積抵抗に基づいて計算によって求めた。各試料における固定層23の交換結合磁界は、磁気抵抗効果曲線より求めた。なお、以下で説明するような実験の結果から判明した傾向は、試料の形状によらずにほぼ同じであった。
実験の結果を、以下の表2に示す。なお、表2において、「Cu比率(体積%)」とは、スペーサ層に含まれるCuの、スペーサ層全体に対する割合を表し、これは、試料1〜7,10については、スペーサ層24全体に対する第2の領域42に含まれる非磁性導体相421の割合と同じである。
Figure 2009044122
スペーサ層の厚みは、試料1では1nm未満であり、他の試料では1nm以上である。そして、試料1における固定層23の交換結合磁界は1500Oe未満であるのに対し、他の試料における固定層23の交換結合磁界は1500Oe以上である。試料1における固定層23の交換結合磁界が小さいのは、固定層23の磁化に対するスピントルクの影響によると考えられる。固定層23の交換結合磁界の低下を防止するために、本実施の形態におけるスペーサ層24の厚みは1nm以上であることが好ましい。
スペーサ層の厚みTが等しく、Cu比率が同程度の試料4と試料8を比較すると、試料8よりも試料4の方が、MR比は大きくなっている。また、試料8と試料9では、スペーサ層の厚みTは等しく、面積抵抗は同程度になっている。しかし、試料9のMR比は、試料8のMR比よりも小さく、当然、試料4のMR比よりも小さい。これらのことから、タイプ(3)やタイプ(4)の構造に比べて、タイプ(1)の構造の方が、MR比を大きくすることができることが分かる。
また、試料1〜7ではCu比率は50体積%以下であるのに対し、試料10ではCu比率が50体積%を超えている。そして、試料10におけるヘッドノイズは、試料1〜7におけるヘッドノイズに比べて顕著に大きい。これは、Cu比率が50体積%を超えると、スペーサ層24においてスピンの緩和を抑制する効果が十分に発揮されないためと考えられる。ヘッドノイズを抑制するために、Cu比率、すなわち本実施の形態におけるスペーサ層24全体に対する第2の領域42に含まれる非磁性導体相421の割合は、50体積%以下であることが好ましい。また、スペーサ層24の厚みTが1.7nmの試料3〜6について比較すると、Cu比率が大きくなるほど、面積抵抗が小さくなり、ヘッドノイズが大きくなる傾向があることが分かる。
試料11,12のように、スペーサ層が非磁性導体相421を含まないものでは、面積抵抗が大きくなりすぎ、その結果、MR素子全体の抵抗値も大きくなりすぎる。
なお、MR素子5によるヘッドノイズは、主に、スペーサ層24においてスピン偏極電子のトンネル伝導が生じることによって発生するショットノイズであると考えられる。ここで、信号の帯域幅をΔf(Hz)としたときのヘッドノイズVsは、電子の電荷(1.6×10-19クーロン)e、MR素子5に流れる電流I(A)、信号の帯域幅Δf(Hz)、MR素子5の抵抗値R(Ω)を用いて、以下の式で表される。
Vs=R×√(2eIΔf)
なお、前述のように、実験で求めたヘッドノイズは、信号の周波数20MHzにおいて、信号の帯域幅Δfを1Hzとしたときの値である。理論的に予想される、トンネル伝導によるヘッドノイズの値は、4.7×10-4μVrms/√Hzである。試料1〜7のヘッドノイズの値は、いずれも4.7×10-4μVrms/√Hzよりも小さくなっている。従って、本実施の形態に係るMR素子5では、スペーサ層24において、トンネル伝導ではなくオーミックな伝導が生じていると考えられる。
次に、タイプ(1)〜(4)のスペーサ層における結晶構造の乱れについて考察する。スペーサ層におけるスピンの緩和を抑制して大きなMR比を得るためには、スペーサ層における結晶構造の乱れが小さい方が、スピン偏極電子の散乱によるスピンの緩和を抑制できるので、好ましい。タイプ(4)のスペーサ層60において、抵抗が相対的に高い領域61と抵抗が相対的に低い領域62は、金属層に対して酸化処理を施すことによって形成される。そのため、タイプ(4)におけるスペーサ層60では、その形成過程で大きな組成変化が生じ、その結果、結晶構造の乱れが大きくなる。従って、タイプ(4)では、MR比を大きくすることが難しい。
これに対し、タイプ(1)〜(3)におけるスペーサ層では、タイプ(4)において生じるような大きな組成変化およびそれに伴う大きな結晶構造の乱れは生じない。従って、タイプ(1)〜(3)によれば、スペーサ層におけるスピンの緩和を抑制して大きなMR比を得ることが可能になる。
次に、タイプ(1)〜(3)のスペーサ層における電流経路について考察する。タイプ(3)では、スペーサ層50中の複数の非磁性導体相52を経由して、固定層23から自由層25へ、あるいは自由層25から固定層23へ電流が流れる。タイプ(3)では、酸化物半導体相51中に複数の非磁性導体相52がランダムに分散している。そのため、タイプ(3)のMR素子を複数個作製した場合、スペーサ層50中の複数の電流経路はMR素子毎に異なる。そのため、タイプ(3)では、面積抵抗とMR比にばらつきが生じる。これに対し、タイプ(1)とタイプ(2)では、スペーサ層24中の複数の電流経路は、MR素子毎に大きく異なることはない。そのため、タイプ(1)とタイプ(2)では、タイプ(3)に比べて、面積抵抗とMR比のばらつきが小さくなる。図12は、タイプ(1)〜(3)について、面積抵抗RAとMR比のばらつきの範囲を模式的に表わしたものである。図12において、符号(1),(2)で示す範囲はタイプ(1),(2)における面積抵抗とMR比のばらつきの範囲を表し、符号(3)で示す範囲はタイプ(3)における面積抵抗とMR比のばらつきの範囲を表している。以上の考察から分かるように、タイプ(1),(2)のMR素子、すなわち本実施の形態に係るMR素子5によれば、面積抵抗とMR比のばらつきを抑制することが可能になる。
また、前述の実験の結果から、タイプ(1),(2)のMR比を比較すると、タイプ(2)よりもタイプ(1)の方が、MR比が大きくなる傾向があることが分かる。
以下、本実施の形態に係るヘッドアセンブリおよび磁気ディスク装置について説明する。まず、図4を参照して、ヘッドアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。磁気ディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体である磁気ディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に図2における基板1およびオーバーコート層17からなる基体211を備えている。基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、磁気ディスクに対向するようになっている。この一面には、媒体対向面20が形成されている。磁気ディスクが図4におけるz方向に回転すると、磁気ディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図4におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によって磁気ディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図4におけるx方向は、磁気ディスクのトラック横断方向である。スライダ210の空気流出側の端部(図4における左下の端部)の近傍には、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド100が形成されている。
次に、図5を参照して、本実施の形態に係るヘッドアセンブリについて説明する。本実施の形態に係るヘッドアセンブリは、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持する支持装置とを備えている。このヘッドアセンブリの態様には、以下で説明するヘッドジンバルアセンブリとヘッドアームアセンブリが含まれる。
まず、ヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持する支持装置としてのサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。ベースプレート224は、スライダ210を磁気ディスク262のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図5は、本実施の形態に係るヘッドアームアセンブリを示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に、図6および図7を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と本実施の形態に係る磁気ディスク装置について説明する。図6は磁気ディスク装置の要部を示す説明図、図7は磁気ディスク装置の平面図である。ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、磁気ディスク装置に組み込まれる。磁気ディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚の磁気ディスク262を有している。各磁気ディスク262毎に、磁気ディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応し、スライダ210を支持すると共に磁気ディスク262に対して位置決めする。
本実施の形態に係る磁気ディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210を磁気ディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210を磁気ディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、磁気ディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、磁気ディスク262に記録されている情報を再生する。
本実施の形態に係るヘッドアセンブリおよび磁気ディスク装置は、前述の本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の効果を奏する。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、固定層23はシンセティック固定層に限らない。また、実施の形態では、基体側に再生ヘッドを形成し、その上に、記録ヘッドを積層した構造の薄膜磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
また、読み取り専用として用いる場合には、薄膜磁気ヘッドを、再生ヘッドだけを備えた構成としてもよい。
本発明の一実施の形態に係るMR素子を含む再生ヘッドの媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの媒体対向面および基板に垂直な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの磁極部分の媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係るヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の要部を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の平面図である。 本発明の一実施の形態に係るMR素子におけるスペーサ層の第1の態様を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係るMR素子におけるスペーサ層の第2の態様を示す説明図である。 第1の比較例のMR素子におけるスペーサ層を示す説明図である。 第2の比較例のMR素子におけるスペーサ層を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係るMR素子の効果を説明するための説明図である。
符号の説明
5…MR素子、22…反強磁性層、23…固定層、24…スペーサ層、25…自由層、41…第1の領域、42…第2の領域、43…第3の領域、421…非磁性導体相、422…酸化物半導体相。

Claims (13)

  1. 外部磁界に応じて磁化の方向が変化する自由層と、
    磁化の方向が固定された固定層と、
    前記自由層と固定層との間に配置されたスペーサ層とを備え、
    磁気的信号検出用の電流が、前記各層の面と交差する方向に流される磁気抵抗効果素子であって、
    前記スペーサ層は、それぞれ層状をなし前記各層の面と交差する方向に並ぶ第1、第2および第3の領域を有し、
    前記第2の領域は、前記第1の領域と第3の領域に挟まれており、
    前記第1および第3の領域は酸化物半導体によって構成され、
    前記第2の領域は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記第2の領域では、前記酸化物半導体相中に複数の前記非磁性導体相が点在していることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記酸化物半導体相と前記第1および第3の領域は全て同じ材料よりなることを特徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第2の領域は、全体が前記非磁性導体相によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記第2の領域の厚みは、0.1〜1nmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第1の領域の厚みおよび前記第3の領域の厚みは、それぞれ、0.1〜1.4nmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記スペーサ層の厚みは、1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記スペーサ層全体に対する前記第2の領域に含まれる前記非磁性導体相の割合は、1〜50体積%の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 外部磁界に応じて磁化の方向が変化する自由層と、
    磁化の方向が固定された固定層と、
    前記自由層と固定層との間に配置されたスペーサ層とを備え、
    前記スペーサ層は、それぞれ層状をなし前記各層の面と交差する方向に並ぶ第1、第2および第3の領域を有し、
    前記第2の領域は、前記第1の領域と第3の領域に挟まれており、
    前記第1および第3の領域は酸化物半導体によって構成され、
    前記第2の領域は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含み、
    磁気的信号検出用の電流が、前記各層の面と交差する方向に流される磁気抵抗効果素子を製造する方法であって、
    前記固定層、スペーサ層、自由層を形成する各工程を備え、
    前記スペーサ層を形成する工程は、
    第1の酸化物半導体層を形成する工程と、
    前記第1の酸化物半導体層の上に非磁性導体層を形成する工程と、
    前記非磁性導体層の上に第2の酸化物半導体層を形成する工程と、
    第1の酸化物半導体層によって前記第1の領域が形成され、第2の酸化物半導体層によって前記第3の領域が形成され、少なくとも前記非磁性導体層によって前記第2の領域が形成されるように、前記第1の酸化物半導体層、非磁性導体層および前記第2の酸化物半導体層に対して熱処理を施す工程とを含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. 前記熱処理を施す工程により、前記酸化物半導体相中に複数の前記非磁性導体相が点在するように前記第2の領域が形成されることを特徴とする請求項9記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. 記録媒体に対向する媒体対向面と、前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された磁気抵抗効果素子と、磁気的信号検出用の電流を前記磁気抵抗効果素子に流すための一対の電極とを備えた薄膜磁気ヘッドであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、
    外部磁界に応じて磁化の方向が変化する自由層と、
    磁化の方向が固定された固定層と、
    前記自由層と固定層との間に配置されたスペーサ層とを備え、
    前記磁気抵抗効果素子において、前記磁気的信号検出用の電流が、前記各層の面と交差する方向に流され、
    前記スペーサ層は、それぞれ層状をなし前記各層の面と交差する方向に並ぶ第1、第2および第3の領域を有し、
    前記第2の領域は、前記第1の領域と第3の領域に挟まれており、
    前記第1および第3の領域は酸化物半導体によって構成され、
    前記第2の領域は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  12. 薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、前記スライダを弾性的に支持する支持装置とを備えたヘッドアセンブリであって、
    前記薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された磁気抵抗効果素子と、磁気的信号検出用の電流を前記磁気抵抗効果素子に流すための一対の電極とを備え、
    前記磁気抵抗効果素子は、
    外部磁界に応じて磁化の方向が変化する自由層と、
    磁化の方向が固定された固定層と、
    前記自由層と固定層との間に配置されたスペーサ層とを備え、
    前記磁気抵抗効果素子において、前記磁気的信号検出用の電流が、前記各層の面と交差する方向に流され、
    前記スペーサ層は、それぞれ層状をなし前記各層の面と交差する方向に並ぶ第1、第2および第3の領域を有し、
    前記第2の領域は、前記第1の領域と第3の領域に挟まれており、
    前記第1および第3の領域は酸化物半導体によって構成され、
    前記第2の領域は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含むことを特徴とするヘッドアセンブリ。
  13. 薄膜磁気ヘッドを含み、回転駆動される記録媒体に対向するように配置されるスライダと、前記スライダを支持すると共に前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを備えた磁気ディスク装置であって、
    前記薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された磁気抵抗効果素子と、磁気的信号検出用の電流を前記磁気抵抗効果素子に流すための一対の電極とを備え、
    前記磁気抵抗効果素子は、
    外部磁界に応じて磁化の方向が変化する自由層と、
    磁化の方向が固定された固定層と、
    前記自由層と固定層との間に配置されたスペーサ層とを備え、
    前記磁気抵抗効果素子において、前記磁気的信号検出用の電流が、前記各層の面と交差する方向に流され、
    前記スペーサ層は、それぞれ層状をなし前記各層の面と交差する方向に並ぶ第1、第2および第3の領域を有し、
    前記第2の領域は、前記第1の領域と第3の領域に挟まれており、
    前記第1および第3の領域は酸化物半導体によって構成され、
    前記第2の領域は、非磁性導体相と酸化物半導体相のうち少なくとも非磁性導体相を含むことを特徴とする磁気ディスク装置。
JP2008063785A 2007-08-08 2008-03-13 スペーサ層が非磁性導体相を含む磁気抵抗効果素子 Pending JP2009044122A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US11/889,012 US7957108B2 (en) 2007-08-08 2007-08-08 Magnetoresistive element having spacer layer that includes two layered regions composed of oxide semiconductor and nonmagnetic conductor phase sandwiched therebetween

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009044122A true JP2009044122A (ja) 2009-02-26

Family

ID=40346268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008063785A Pending JP2009044122A (ja) 2007-08-08 2008-03-13 スペーサ層が非磁性導体相を含む磁気抵抗効果素子

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7957108B2 (ja)
JP (1) JP2009044122A (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8054587B2 (en) * 2009-01-09 2011-11-08 Tdk Corporation Magnetoresistive effect element, thin-film magnetic head with magnetoresistive effect read head element, and magnetic disk drive apparatus with thin-film magnetic head
US20110200845A1 (en) 2010-02-16 2011-08-18 Seagate Technology Llc Current perpendicular to the plane reader with improved giant magneto-resistance

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004214234A (ja) * 2002-12-26 2004-07-29 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気記録再生装置
JP2006261306A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子、磁気再生ヘッド及び磁気情報再生装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3565268B2 (ja) 2001-06-22 2004-09-15 株式会社東芝 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド及び磁気再生装置
JP3749873B2 (ja) 2002-03-28 2006-03-01 株式会社東芝 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド及び磁気再生装置
JP2005086112A (ja) 2003-09-10 2005-03-31 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、ヘッドサスペンションアッセンブリ、および磁気再生装置
US7423847B2 (en) * 2005-11-03 2008-09-09 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Current-perpendicular-to-the-plane spin-valve (CPP-SV) sensor with current-confining apertures concentrated near the sensing edge

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004214234A (ja) * 2002-12-26 2004-07-29 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気記録再生装置
JP2006261306A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子、磁気再生ヘッド及び磁気情報再生装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20090040662A1 (en) 2009-02-12
US7957108B2 (en) 2011-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4942445B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置
JP4487472B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、及びこれを備える磁気ヘッド、磁気記録装置、磁気メモリ
JP4670890B2 (ja) Cpp構造の磁気抵抗効果素子および磁気ディスク装置
JP4492604B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置
JP4343940B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ハードディスク装置および磁気抵抗効果素子の製造方法
JP5018982B2 (ja) スペーサ層を含むcpp型磁気抵抗効果素子
JP4328348B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置
JP4492617B2 (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気ディスク装置
JP2007287863A (ja) 磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに磁気抵抗効果素子集合体、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置
JP4343941B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ハードディスク装置、および、磁気抵抗効果素子の製造方法
US20090059443A1 (en) Magnetoresistive element including insulating film touching periphery of spacer layer
US7944650B2 (en) Magnetoresistive element including layered film touching periphery of spacer layer
JP3836294B2 (ja) 磁気ヘッド、及びこれを用いた磁気記録再生装置
JP2008004811A (ja) 磁界検出素子の製造方法、磁界検出素子、積層体、ウエハ、ヘッドジンバルアセンブリ、およびハードディスク装置
KR100770813B1 (ko) 자기 저항 헤드, 자기 기록 재생 장치 및 자기 저항 헤드 제조 방법
JP4308109B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、およびハードディスク装置
JP2006286669A (ja) 磁気抵抗効果素子の製造方法
US7573686B2 (en) Thin-film magnetic head including low-resistance TMR element
JP2008124288A (ja) 磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置
JP4471020B2 (ja) Cpp構造の磁気抵抗効果素子および磁気ディスク装置
US7957108B2 (en) Magnetoresistive element having spacer layer that includes two layered regions composed of oxide semiconductor and nonmagnetic conductor phase sandwiched therebetween
JP4539876B2 (ja) 磁気抵抗効果素子の製造方法
JP3823028B2 (ja) 磁気ヘッド
JP2006323900A (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリならびに磁気ディスク装置
JP4962010B2 (ja) 磁気抵抗効果素子の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101214

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110408