JP2006242475A - バッチ式雰囲気炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】パッキン部分にゴミが入ることがなく、メンテナンス作業の容易な台車昇降型のバッチ式雰囲気炉を提供する。
【解決手段】炉体1に対して炉床6を備えた台車3を昇降させるハットキルンと呼ばれる形式のバッチ式雰囲気炉において、炉体と台車との間をシールするパッキン7を、炉体の下面側に設けた。これにより、ゴミがパッキンの間に入り込むおそれはなく、シール用ガス供給孔を閉塞させるおそれもない。なお、シール用ガスを供給する管路に、シール漏れを検出するための圧力センサ12を設け、シール漏れを検出させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハットキルンと呼ばれる下面が開口された炉体に対して台車を昇降させる形式のバッチ式雰囲気炉に関するものである。
各種セラミック製品や電子部品の焼成に、炉床を備えた台車を昇降させる形式のバッチ式雰囲気炉が用いられている。この形式のバッチ式雰囲気炉は、台車を下降させてその上面に被焼成品を積載したのち、台車を上昇させて炉床を炉体の下面と密着させ、その内部に雰囲気ガスを供給して雰囲気焼成を行うものであり、その一例が特許文献1に記載されている。
この形式の炉では、上昇させた台車と炉体とによって密閉空間を形成する必要がある。そこで従来は特許文献1の図1に示されているように、台車上面の外周部にパッキンを取付け、炉体下面との間をシールしていた。またパッキンを内外2重に設けてそれらの間にシールガス供給孔を設け、より確実なシールが行えるようにする工夫もなされていた。
ところが炉体から下降させた台車上面にはゴミ等が落下し易く、パッキン部分の掃除が行いにくいという問題があった。特にパッキンを内外2重にした場合にはそれらの間に入り込んだゴミを取り除きにくく、上向きに開口しているシールガス供給孔に入り込んだゴミによって、シールガス供給孔が閉塞される可能性があった。このため台車のメンテナンス作業が容易ではないという問題があった。
また従来は、シールが完全に行われているかどうかを、シールガスの流量により監視していた。すなわち、シールが不完全な部分があるとシールガスが漏出するため、シールガスの流量が増加する。そこで流量が多い場合にはシール不良の警報を出していた。しかしシールすべき空間容積は炉のサイズにより大きく変化し、シールガスの流量も変化する。このため設計段階においては警報を出すべき流量を正確に設定できず、個々の炉に合わせた設定が必要となるという問題があった。
特開平9−287878号公報
従って本発明の第1の目的は、パッキン部分にゴミが入ることがなく、メンテナンス作業の容易な台車昇降型のバッチ式雰囲気炉を提供することである。また本発明の第2の目的は、炉のサイズに左右されることなく、シール漏れの警報を正確に出すことができる台車昇降型のバッチ式雰囲気炉を提供することである。
上記した第1の目的を達成するためになされた本発明は、下面が開口された炉体に対して炉床を備えた台車を昇降させる形式のバッチ式雰囲気炉において、炉体と台車とをシールするパッキンを炉体下面側に設けたことを特徴とするものである。なお請求項2の発明のように、パッキンが内側パッキンと外側パッキンとからなり、それらの間にシール用ガス供給孔を設けた構造とすることが好ましく、請求項3の発明のようにシール用ガス供給孔にシール用ガスを供給する管路に、シール漏れを検出するための圧力センサを設けた構造とすれば、上記した第2の目的を達成することができる。
請求項1の発明のバッチ式雰囲気炉は、炉体と台車とをシールするパッキンを炉体下面側に設けた構造としたので、台車を降下させた際に炉床上にゴミが落下してもパッキン部分に入り込むことがない。このために清掃作業が不要となり、シールガス供給孔も下向きに形成されるため、閉塞されるおそれがない。従ってメンテナンス作業の負担を軽減することができる。
また請求項2,3の発明のように、シール用ガス供給孔にシール用ガスを供給する管路に圧力センサを設けた構造とすれば、圧力変動によってシール漏れの有無を検出することができ、しかもシール用ガスの圧力は炉のサイズに関係なく一定であるから、炉のサイズに左右されることなく、シール漏れの警報を正確に出すことができる。
以下に本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明のバッチ式雰囲気炉の断面図であり、1は支柱2によって上方に支持された炉体、3は台車である。炉体1は下面が開口されている。台車3は従来と同様、図示を略した昇降機構により炉体1の下方から垂直に昇降されるようになっている。台車3は中央の台4上に棚組み5が形成され、被焼成物Wが積載されている。またその周囲には水平な炉床6が形成されている。この実施形態では炉床6は耐熱金属製である。
図2、図3に拡大して示したように、本発明では炉体1と台車3の炉床6との間をシールするパッキン7を、炉体下面側に設けてある。すなわちこの実施形態では、炉体1の下端部に耐熱金属製のボックス8が設けられており、その下面に内側パッキン7aと外側パッキン7bとが一定間隔で下向きに突設されている。これらのパッキン7は耐熱性のもので、その両側を金属板7cにより支持されている。内側パッキン7aと外側パッキン7bとは台車3が上昇してきたときに炉床6の上面と密着し、シール空間を形成する。
図2と図3に示すように、内側パッキン7aと外側パッキン7bとの間には、シール用ガス供給孔9が所定ピッチで設けられている。この実施形態では、シール用ガス供給孔9はボックス8の底面に形成されている。図1に示すように、このボックス8にはシール用ガスである窒素ガスを供給する管路10が接続されており、シール用ガス供給孔9からシール空間内に例えば1.5kPaのシール用ガスを供給する。
なお炉体1の内部にも、雰囲気ガスである窒素ガスが管路11を通じて供給される。雰囲気ガスの圧力は例えば2kPaである。このようにシール用ガスを雰囲気ガスと同じガスとしておけば、仮に内側パッキン7aが損傷してシール用ガスが雰囲気ガスと混合しても問題がない。しかもシール用ガスの圧力を雰囲気ガスの圧力よりもやや低くしておけば、シール用ガスが炉体1内に侵入しにくく、仮に外側パッキン7bが損傷しても外気が侵入することがない。
図1に示されるように、この実施形態ではシール用ガスを供給する管路10に、シール漏れを検出するための圧力センサ12が設けられている。圧力センサ12としては例えば所定の圧力になったときに出力を発する圧力スイッチを用いることができる。上記したようにシール空間内に例えば1.5kPaのシール用ガスを供給した場合、シールが不十分であるとシール用ガスが外部に流出するため、管路10の圧力は1.5kPaに達しない。そこで圧力センサ12の信号に基づいて、シール漏れを検出して警報を出すことができる。
このように圧力センサ12によりシール用ガスの圧力を検出する方法によれば、炉体1のサイズが異なる場合にも、圧力センサ12の設定値を一定にしておくことができる利点がある。これに対して従来のような流量計を用いる場合には、炉体1のサイズが異なるとシール用ガスの流量が異なるため、設計段階で警報の設定値を定めることができない。
以上のように構成された本発明のバッチ式雰囲気炉は、台車3を降下させた状態でその上面に被焼成物Wをセットし、台車を炉体1の下方から垂直に上昇させて、炉体1の下面のパッキン7を台車3の炉床6に密着させる。この状態で管路10を通じてシール用ガス供給孔9からシール用ガスを供給し、内側パッキン7aと外側パッキン7bとの間のシール用空間を満たす。また雰囲気ガスである窒素ガスが管路11を通じて炉体1の内部に供給され、図示を略したバーナ−などの加熱装置によって炉体1の内部が加熱されて雰囲気焼成が行われる。
もしシール漏れが生じた場合には、圧力センサ12によりシール用ガスの圧力低下が検出され、警報が出される。また焼成完了後には台車3を降下させ、焼成物Wの取り出しが行われるが、その際にゴミが発生しても台車3の炉床6上に落下するのみであり、従来のようにパッキン7の間に入り込むおそれはないので清掃作業が容易であり、シール用ガス供給孔9を閉塞させるおそれもない。従って本発明のバッチ式雰囲気炉は、メンテナンス作業が容易であり、また炉体のサイズに左右されることなく、シール漏れの警報を正確に出すことができる利点がある。
本発明の実施形態を示す断面図である。 炉体の下部の拡大断面図である。 炉体の下部の拡大底面図である。
符号の説明
1 炉体
2 支柱
3 台車
4 台
5 棚組み
6 炉床
7 パッキン
7a 内側パッキン
7b 外側パッキン
7c 金属板
8 ボックス
9 シール用ガス供給孔
10 シール用ガスを供給する管路
11 雰囲気ガスを供給する管路
12 圧力センサ

Claims (3)

  1. 下面が開口された炉体に対して炉床を備えた台車を昇降させる形式のバッチ式雰囲気炉において、炉体と台車とをシールするパッキンを炉体下面側に設けたことを特徴とするバッチ式雰囲気炉。
  2. パッキンが内側パッキンと外側パッキンとからなり、それらの間にシール用ガス供給孔を設けたことを特徴とする請求項1記載のバッチ式雰囲気炉。
  3. シール用ガス供給孔にシール用ガスを供給する管路に、シール漏れを検出するための圧力センサを設けたことを特徴とする請求項2記載のバッチ式雰囲気炉。
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