JP2006241535A - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶銑に酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を施すに当たり、生成するSiO2 濃度の高い高粘度のスラグのフォーミングを安価に且つ確実に抑制する。
【解決手段】 処理容器2に収容された溶銑13に酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を施す溶銑の予備処理方法において、溶銑の脱燐処理で発生したスラグから回収した、スラグを付着する地金16を、処理中に前記処理容器内に上置き添加してスラグ19のフォーミングを抑制する。その際に、前記地金に付着したスラグ中のCaO含有量を30質量%以上とすること、前記スラグを付着した地金中の鉄分の比率を30質量%以上とすることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶銑に酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を施す溶銑の予備処理方法に関し、詳しくは、溶銑の脱燐処理工程で発生したスラグから回収した地金をフォーミング鎮静剤として使用し、酸素源の供給によって生ずるスラグのフォーミングを抑制しながら脱燐処理或いは脱珪処理を行う溶銑の予備処理方法に関するものである。
高炉から出銑された溶銑は、転炉で脱炭精錬される前に、溶銑予備処理と呼ばれる脱硫処理及び脱燐処理が施される場合が多い。当初、これらの予備処理は、鋼材の品質面上から低硫化や低燐化が要求されるものについて実施されていたが、近年では、転炉における生産性向上、転炉でのMn鉱石の還元によるコスト削減効果などにより、銑鋼一貫の製鉄所における製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、出銑されるほぼ全ての溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理が施されるようになってきた。この場合、溶銑の珪素含有量が高いと脱燐反応が阻害されるので、脱燐処理を効率的に行うために脱燐処理に先立って脱珪処理を行う場合もある。この脱珪処理も溶銑予備処理の1つである。
これらの溶銑予備処理のうちで、脱燐処理及び脱珪処理は、溶銑に酸素ガス或いは鉄鉱石のような酸化鉄を供給し、これらの酸素源によって除去対象成分である燐及び珪素を酸化除去している。しかしながら、溶銑は、一般に4質量%程度の炭素を含有しており、酸素源を供給することによって炭素とも反応し、反応生成物としてCOガスが生成する。このCOガスに起因して、脱燐処理及び脱珪処理に生成されるスラグの泡立ち現象、所謂スラグのフォーミングが起こる。特に、SiO2 濃度の高い、高粘度のスラグはフォーミングが激しく、この種のスラグの生成される脱燐処理の初期、及び、脱珪処理の全期間では、スラグのフォーミングが激しく、スラグが処理容器から溢れ出だすなどして、操業を大幅に阻害する。
そのため、スラグのフォーミングを抑制する手段が、多数提案されている。例えば、特許文献1には、石炭、石灰石、プラスチック及び紙スラジのうちの1種以上と、微粒鉄粉との混合物を主原料とし、これにバインダーを添加して混合し、次いで圧縮してブリケットに成形したスラグのフォーミング鎮静剤が提案されている。また、特許文献2には、溶銑の予備処理において、スラグ中に上方から棒体を挿入し、ガス抜き用の開孔を形成させる方法が提案されている。更に、特許文献3には、溶銑の脱炭精錬によって生じた脱炭スラグ(転炉スラグ)の破砕したものを、溶銑の脱燐処理の際に添加し、スラグのフォーミングを抑制する技術が開示されている。また更に、特許文献4には、スラグのフォーミングの状況に応じて、上吹きランスから溶銑に向けて吹き付ける酸素ガスの供給量を変更する溶銑予備処理方法が提案されている。
特開平11−50124号公報 特開平10−183217号公報 特開2001−81511号公報 特開2004−149876号公報
しかしながら、これら従来技術にはそれぞれ問題点がある。特許文献1に開示されるようなフォーミング鎮静剤は高価であり、溶銑予備処理のコストを増大させることから好ましくない。特許文献2に開示される方法は、スラグ中に上方から棒体を挿入する設備を設置しなければならず、設備投資を伴うという欠点がある。特許文献3に開示される脱炭スラグを添加する方法では、脱炭スラグは溶銑の脱燐処理の際に生成されるスラグと同等の密度であり、フォーミング鎮静効果は極めて少なく、鎮静剤の代替にはなり得ない。また、特許文献4に開示される方法では、確かにフォーミングは抑制されるが、酸素ガスの供給量を下げることから、処理時間が延長して生産性が低下するという欠点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑に酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を施すに当たり、生成するSiO2 濃度の高い高粘度のスラグのフォーミングを、安価に且つ確実に抑制することのできる、酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を行う溶銑の予備処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の予備処理方法は、処理容器内の溶銑に酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を施す溶銑の予備処理方法において、溶銑の脱燐処理で発生したスラグから回収した、スラグを付着する地金を、処理中に前記処理容器内に上置き添加してスラグのフォーミングを抑制することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の予備処理方法は、第1の発明において、前記地金に付着したスラグ中のCaO含有量が30質量%以上であることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の予備処理方法は、第1または第2の発明において、前記スラグを付着した地金中の鉄分の比率が30質量%以上であることを特徴とするものである。
本発明によれば、溶銑の脱燐処理において発生するスラグから回収した、スラグを付着する地金を溶銑の脱燐処理或いは脱珪処理の際に上置き添加する。回収した地金は、スラグを付着しているとはいえども、脱燐処理或いは脱珪処理において生成されるスラグよりも密度が大きく、脱燐処理或いは脱珪処理において生成されるスラグは地金によって開口され、脱燐処理或いは脱珪処理の際に発生するCOガスの抜け道が形成される。また、地金に付着したスラグ中のCaO分によって脱燐処理或いは脱珪処理において生成されるスラグの塩基度が上昇し、スラグの粘度が低下してスラグ自体がフォーミングしにくくなる。その結果、鎮静剤を使用しなくても、また酸素ガス供給量を変更しなくても、スラグのフォーミングが抑制され、安定した脱燐処理及び脱珪処理を実施することができると同時に、回収した地金を鉄源として有効に利用することができる。また、地金を上置き添加するので、溶銑温度や溶銑成分に基づいて地金の添加量を設定可能であり、従って、未溶解の地金を発生させずに、熱余裕を最大限に利用した添加量を設定することができる。更に、地金に付着したスラグは、一旦溶融された所謂プリメルトの状態であるため、新たに添加される生石灰などの精錬用造滓剤の滓化を促進させ、特に脱燐反応を促進させる。地金に付着したスラグは一旦脱燐処理に使用されたものではあるものの、いまだに脱燐能を有しており、脱燐処理に何ら支障とならない。このように、溶銑の脱燐処理並びに脱珪処理が従来以上に促進され、地金の有効活用も相まって、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明による脱燐処理並びに脱珪処理を実施する際に用いた溶銑予備処理設備の1例を示す概略断面図である。
図1において、高炉(図示せず)から出銑された溶銑13を収容した溶銑鍋2が、台車3に搭載されて溶銑予備処理設備1に搬入されている。この溶銑予備処理設備1は、溶銑13に対して脱燐処理及び脱珪処理の双方を実施することができるように構成されている。溶銑予備処理設備1には、上吹きランス4とインジェクションランス5とが設置されており、上吹きランス4及びインジェクションランス5は、溶銑鍋2の内部を上下移動可能となっている。上吹きランス4からは気体酸素源として酸素ガスが溶銑13に吹き付けられる。用いる酸素ガスとしては工業用純酸素であり、窒素ガスなどの不純物を体積%で数%程度含んでいてもよい。空気及び酸素富化空気などの酸素含有ガスも、気体酸素源として使用することができるが、反応速度が速いことから、酸素ガスを使用することが好ましい。酸素源として酸素ガスなどの気体酸素源を用いることで、酸化熱によって溶銑13の温度は上昇する。
インジェクションランス5は、貯蔵タンク6及び貯蔵タンク7と接続されており、貯蔵タンク6に収容された鉄鉱石など酸化鉄からなる粉状の固体酸素源14、並びに、貯蔵タンク7に収容された粉状の生石灰15を、窒素ガスやArガスなどの非酸化性ガスまたは不活性ガスを搬送用ガスとして、溶銑13に吹き込み添加することができる。固体酸素源14は酸素ガスと同様に酸素源として機能するものである。但し、固体酸素源14を添加することにより、酸化熱は発生するものの、固体酸素源14の顕熱及び潜熱のために溶銑13の温度は低下する。この場合に、生石灰15に蛍石などの他のフラックスを混合してもよい。尚、貯蔵タンク6に収容された固体酸素源14及び貯蔵タンク7に収容された生石灰15は、それぞれ独立に添加量及び添加時間を制御して吹き込むことができるようになっており、また、インジェクションランス5から窒素ガスやArガスなどの非酸化性ガスまたは不活性ガスのみを吹き込み、溶銑13を攪拌することもできる。
溶銑予備処理設備1には、更に、ホッパー8、ホッパー9及びホッパー10と、原料搬送装置11と、シュート12とからなる原料供給設備が設置されており、この原料供給設備を用いて、ホッパー8に収容された回収地金16、ホッパー9に収容された粒状或いは塊状の固体酸素源17、及び、ホッパー10に収容された粒状或いは塊状の生石灰18を溶銑鍋2の内部に上置き添加することができるようになっている。粒状或いは塊状の固体酸素源17は、粉状の固体酸素源14と同様に酸素源として機能する。固体酸素源14,17としては、鉄鉱石、焼結鉱、ミルスケール、集塵ダストなどを用いることができる。
回収地金16は、溶銑の脱燐処理で発生したスラグを冷却水などによって冷却し、破砕・分級した後に磁力選別したものであり、付着スラグとして30〜80質量%のスラグ分を含むものである。脱燐処理で発生したスラグから回収した地金であることから、「脱燐滓地金」ともよばれている。回収地金16のサイズは特に制限するものではないが、ホッパー8、原料搬送装置11、シュート12からなる原料供給設備で投入可能なサイズであることが必要である。この原料供給設備で投入可能なサイズである限り幾らであっても構わない。回収地金16は、鉄分を含むことから生成されるスラグ19よりも密度が高く、添加することでスラグ19に開口が形成され、スラグ19のフォーミングが抑制される。
図2は、回収地金16の鉄分の比率を変化させてフォーミングの抑制効果を調査した結果を示す図であり、回収地金16の鉄分の比率が30質量%以上になると、フォーミングの抑制効果が高くなることが確認された。従って、回収地金16としては、鉄分の比率が30質量%以上である回収地金16を使用することが好ましい。
回収地金16に付着するスラグの組成は次の通りである。即ち、溶銑の脱燐処理で発生するスラグは、スラグの塩基度(CaO/SiO2 質量比)が、2〜3程度と高いことが一般的である。これは、スラグの塩基度が高いほど、脱燐反応によって生成される燐酸化物の吸収能力が高く、多量の燐酸化物をスラグ中に固定することができるからである。また、スラグには1〜2質量%の燐が含まれている。但し、スラグは脱燐能を有し、酸化雰囲気下で且つスラグの塩基度がおよそ1程度以上の条件下では、スラグ中の燐は溶銑13に戻ることはない。
従って、回収地金16を脱燐処理で使用した場合には、回収地金16に付着したスラグによって生石灰15及び生石灰18の滓化が促進され、脱燐反応が促進されることはあれ、脱燐滓地金に付着したスラグによって溶銑13の燐がピックアップすることはない。一方、回収地金16を脱珪処理で使用した場合には、回収地金16に付着したスラグのCaO分が、スラグの塩基度調整用として機能する。脱珪処理においても、酸化雰囲気下であることから、スラグの塩基度をおよそ1程度に調整すれば、回収地金16に付着したスラグから溶銑13に燐が戻ることはない。尚、スラグの塩基度が低く、回収地金16に付着したスラグから溶銑13に燐が戻ったとしても、後工程に脱燐処理工程が控えており、ピックアップした燐は除去される。
回収地金16に付着するスラグのCaO分は、生成されるSiO2 濃度の高い高粘度のスラグ19と反応してスラグ19の塩基度を高め、スラグ19の粘度を下げ、スラグ19のフォーミングを抑制する作用も備えている。そこで、付着スラグ中のCaO含有量とフォーミング抑制効果との関係を調査した。その結果を図3に示す。図3に示すように、付着スラグ中のCaO含有量が30質量%以上になると、フォーミングの抑制効果が高くなることが確認された。従って、回収地金16としては、付着スラグのCaO含有量が30質量%以上である回収地金16を使用することが好ましい。
尚、回収地金16は溶銑13の脱燐処理及び脱珪処理においては冷却材として機能するので、同様に冷却材として機能する固定酸素源14,17との配合比率を考慮する必要がある。本発明の効果を十分に発揮するためには、固体酸素源14,17の使用量を抑え、回収地金16の使用量を多くすることが好ましい。
先ず、このような構成の溶銑予備処理設備1を用い、本発明に係る溶銑の脱珪処理を実施する方法を説明する。
溶銑13にインジェクションランス5を浸漬させ、インジェクションランス5を介して窒素ガスやArガスなどを攪拌用ガスとして溶銑13に吹き込みながら、溶銑鍋2に収容された溶銑13に向けて上吹きランス4から酸素ガスを連続的に吹き付け、溶銑13の脱珪処理を開始する。溶銑中の珪素は吹き付けられた酸素により酸化して、SiO2 となりスラグ19に移行して脱珪反応が進行する。その際、生成するスラグ19の塩基度を調整するために、生石灰15,18を添加してもよい。この場合、粒状或いは塊状の生石灰18を、シュート12を介して溶銑鍋2の内に上置き投入してもよいが、溶銑13の攪拌を強める観点から、インジェクションランス5を介して粉体の生石灰15を溶銑13に吹き込んで添加することが好ましい。
そして、上吹きランス4から酸素ガスを吹き付けながら、ホッパー8に収容された回収地金16を溶銑鍋2の内部に連続的或いは断続的に投入する。回収地金16の投入量は、脱珪処理終了時の溶銑13の温度が1400℃〜1450℃の任意の温度となるように調整する。脱珪処理終了時の溶銑13の温度が1400℃未満になると、溶銑13の顕熱が少なくなり、後工程の転炉脱炭精錬などにおいて熱不足となり、効率的な精錬ができなくなる恐れがあるため好ましくなく、一方、1450℃を超えると、溶銑鍋2の耐火物やインジェクションランス5の耐火物の損傷が激しくなり、コスト上昇を来すため好ましくない。
脱珪処理終了時の溶銑13の温度は、脱珪処理前の溶銑13の成分(特に珪素濃度)及び温度、並びに、脱珪処理終了時の溶銑13の目標珪素濃度によって変わるので、脱珪処理終了時の溶銑13の目標温度が同一であっても、回収地金16の投入量は変化する。従って、操業データを解析し、脱珪処理前後の溶銑の条件から、回収地金16の投入量を求める回帰式、或いは、リストを予め作成しておき、それに基づいて回収地金16の投入量を定めることが好ましい。
回収地金16と同時に固体酸素源14,17を添加してもよく、その場合にも、操業データを解析し、脱珪処理前後の溶銑の条件及び回収地金16と固体酸素源14,17との供給比率から、回収地金16及び固体酸素源14,17の投入量を求める回帰式、或いは、リストを予め作成しておき、それに基づいて回収地金16及び固体酸素源14,17の投入量を定めることが好ましい。
脱珪処理後、溶銑13を収容した溶銑鍋2を排滓場に搬送し、ドラッガーなどを用いて溶銑鍋2からスラグ19を排出し、溶銑13を収容した溶銑鍋2を次工程に搬送する。
このようにして溶銑13に対して脱珪処理を施すことにより、生成されるスラグ19は添加される回収地金16によって開口され、脱珪反応に並行して起こる脱炭反応によって発生するCOガスの抜け道が形成されると同時に、回収地金16に付着したスラグ中のCaO分によって脱珪処理において生成されるスラグ19の塩基度が上昇し、スラグ19の粘度が低下してスラグ自体がフォーミングしにくくなる。その結果、鎮静剤を使用しなくても、また酸素ガス供給量を変更しなくても、スラグ19のフォーミングが抑制され、安定した脱珪処理を実施することができる。また、同時に回収地金16を鉄源として有効に利用することもできる。更に、回収地金16を上置き添加するので、溶銑温度や溶銑成分に基づいて回収地金16の添加量を設定可能であり、従って、回収地金16の未溶解を発生させずに、熱余裕を最大限に利用した添加量を設定することができる。
次に、上記構成の溶銑予備処理設備1を用い、本発明に係る溶銑の脱燐処理を実施する方法を説明する。尚、脱燐反応を効率良く行うために、脱燐処理の前に予め溶銑13の珪素含有量を0.2質量%以下程度まで脱珪処理によって低減させておくことが好ましい。
溶銑13にインジェクションランス5を浸漬させ、インジェクションランス5から攪拌用ガスとして窒素ガスやArガスなどを吹き込むとともに、粉状の生石灰15をインジェクションランス5から溶銑13に吹き込むか、或いは、粒状或いは塊状の生石灰18をシュート12から溶銑13に上置きして、溶銑鍋2に収容された溶銑13に向けて上吹きランス4から酸素ガスを連続的に吹き付け、溶銑13の脱燐処理を実施する。その際に、粉状の固体酸素源14を、インジェクションランス5を介して溶銑13に吹き込む、或いは、粒状或いは塊状の固体酸素源17を、シュート12を介して溶銑13に上置きしてもよい。
このようにして精錬することで、溶銑13に含有される燐は供給される酸素ガスまたは固体酸素源14,17の酸素によって酸化してP25 となり、生石灰15,18が溶融して生成されるスラグ19に移行して脱燐反応が進行する。
この脱燐処理において、ホッパー8に収容された回収地金16を、シュート12を介して溶銑鍋2の内部に連続的或いは断続的に投入する。回収地金16の投入量は、脱燐処理終了時の溶銑13の温度が1250℃〜1400℃、望ましくは1250℃〜1350℃の任意の温度となる範囲に調整する。脱燐処理終了時の溶銑13の温度が1250℃未満では後工程で熱不足になって正常な精錬の妨げになり、一方、脱燐処理終了時の溶銑13の温度が1400℃を超えると脱燐反応が進まず、所定の濃度まで脱燐できなくなるので、好ましくない。
回収地金16の投入時期は、SiO2 濃度の高いスラグが形成される脱燐処理の初期に添加することが好ましい。脱燐処理の場合、生石灰15或いは生石灰18が添加され、最終的にはCaO含有量の高いスラグが形成されるが、処理初期には、溶銑13に含有される珪素が優先的に酸化されて多量のSiO2が生成され、一方、生石灰15或いは生石灰18の滓化は十分でなく、従って、脱燐処理の初期にはSiO2 濃度の高いスラグが形成される。
脱燐処理終了時の溶銑13の温度は、脱燐処理前の溶銑13の成分及び温度、並びに、脱燐処理終了時の溶銑13の目標燐濃度によって変わるので、脱燐処理終了時の溶銑13の目標温度が同一であっても、回収地金16の投入量は変化する。従って、操業データを解析し、脱燐処理前後の溶銑の条件から、回収地金16の投入量を求める回帰式、或いは、リストを予め作成しておき、それに基づいて回収地金16の投入量を定めることが好ましい。
回収地金16と同時に固体酸素源14,17を添加してもよく、その場合にも、操業データを解析し、脱燐処理前後の溶銑の条件及び回収地金16と固体酸素源14,17との供給比率から、回収地金16及び固体酸素源14,17の投入量を求める回帰式、或いは、リストを予め作成しておき、それに基づいて回収地金16及び固体酸素源14,17の投入量を定めることが好ましい。
生成するスラグ19の組成は、スラグ成分の塩基度(CaO/SiO2 質量比)が1.5〜4.0の範囲となるように、生石灰15,18の使用量を調整することが好ましい。スラグ成分の塩基度が1.5未満では、スラグ19の燐酸化物の吸収能力が低く、脱燐反応が促進しない。スラグ成分の塩基度が4.0を超える範囲とすれば、スラグ19の燐酸化物の吸収能力はそれなりに高くなるが、必要以上に高くすることは却って生石灰のコストを増加させることになり、好ましくない。
脱燐処理後、溶銑13を収容した溶銑鍋2を排滓場に搬送し、ドラッガーなどを用いて溶銑鍋2からスラグ19を排出し、溶銑13を収容した溶銑鍋2を次工程に搬送する。排出したスラグ19を冷却し、冷却後に破砕・分級し、更に磁力選別して脱燐滓地金を回収する。回収した脱燐滓地金は回収地金16として使用する。
このようにして、溶銑13に脱燐処理を施すことで、生成されるスラグ19は添加される回収地金16によって開口され、脱燐反応に並行して起こる脱炭反応によって発生するCOガスの抜け道が形成されると同時に、回収地金16に付着したスラグ中のCaO分によって、特に脱燐処理の初期に生成されるスラグ19の塩基度が上昇し、スラグ19の粘度が低下してスラグ自体がフォーミングしにくくなる。その結果、鎮静剤を使用しなくても、また酸素ガス供給量を変更しなくても、スラグ19のフォーミングが抑制され、安定した脱燐処理を実施することができる。また、同時に回収地金16を鉄源として有効に利用することもできる。更に、回収地金16を上置き添加するので、溶銑温度や溶銑成分に基づいて回収地金16の添加量を設定可能であり、従って、回収地金16の未溶解を発生させずに、熱余裕を最大限に利用した添加量を設定することができる。また更に、回収地金16に付着したスラグは、一旦溶融された所謂プリメルトの状態であるため、新たに添加される生石灰15,18の滓化を促進させ、脱燐反応を促進させる。回収地金16に付着したスラグは一旦使用されたものではあるものの、いまだに脱燐能を有しており、脱燐処理に何ら支障とならない。
尚、上記説明は溶銑鍋2を用いた例で行ったが、本発明を実施する上で処理容器は溶銑鍋2に限るわけではなく、トーピードカーや装入鍋であっても上記に沿って本発明を実施することができる。勿論、転炉型の精錬容器でも適用可能であるが、転炉型精錬溶器の場合には、フリーボードが大きく、スラグフォーミングの影響が溶銑鍋やトーピードカーで実施した場合に比べて少ない。従って、本発明は、溶銑鍋やトーピードカーなどのフリーボードが小さい容器を用いた脱燐処理及び脱珪処理に特に好適である。
高炉から出銑された溶銑を容量が200トンの溶銑鍋で受銑して図1に示す溶銑予備処理設備に搬送して脱燐処理を施した。脱燐処理前の溶銑成分は、珪素濃度:0.05〜0.30質量%、燐濃度:0.08〜0.12質量%であった。処理開始2分後から回収地金(脱燐滓地金)を200〜400kg/分の添加速度で上置き添加した。使用した回収地金は、鉄分比率が30〜50質量%、回収地金に付着したスラグ中のCaO含有量は30〜50質量%であった。使用した回収地金の平均組成を、表1に示す。
Figure 2006241535
回収地金の使用量は、処理前の溶銑温度、溶銑成分に応じて決定した。その結果、使用量は、溶銑トン当たり4〜15kgになった。所定量の回収地金を添加したあとは、固体酸素源として焼結鉱を上置き添加した。上吹きランスから酸素ガスを供給し、インジェクションランスから生石灰を吹き込んだ。図4に操業条件の概要を示す。
この脱燐処理において溶銑鍋から噴出したスラグ質量を測定し、スラグフォーミングの発生程度を調査した。図5に、回収地金の添加量(原単位)と噴出スラグ量との関係の調査結果を示す。図5からも明らかなように、回収地金を添加することによってスラグフォーミングは軽微となり、鎮静剤の投入、酸素ガス供給量の低減などの対応は全く必要としなかった。
本発明を実施する際に用いた溶銑予備処理設備の概略断面図である。 回収地金の鉄分の比率とフォーミング抑制効果との関係を示す図である。 回収地金に付着するスラグ中のCaO含有量とフォーミング抑制効果との関係を示す図である。 実施例1における操業条件の概要を示す図である。 回収地金の添加量と噴出スラグ量との関係を示す図である。
符号の説明
1 溶銑予備処理設備
2 溶銑鍋
3 台車
4 上吹きランス
5 インジェクションランス
6 貯蔵タンク
7 貯蔵タンク
8 ホッパー
9 ホッパー
10 ホッパー
11 原料搬送装置
12 シュート
13 溶銑
14 固体酸素源
15 生石灰
16 回収地金
17 固体酸素源
18 生石灰
19 スラグ

Claims (3)

  1. 処理容器内の溶銑に酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を施す溶銑の予備処理方法において、溶銑の脱燐処理で発生したスラグから回収した、スラグを付着する地金を、処理中に前記処理容器内に上置き添加してスラグのフォーミングを抑制することを特徴とする、溶銑の予備処理方法。
  2. 前記地金に付着したスラグ中のCaO含有量が30質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  3. 前記スラグを付着した地金中の鉄分の比率が30質量%以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の予備処理方法。
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