以下、本発明の実施形態にかかる断熱容器について、添付図面を参照しつつ説明する。はじめに第一実施形態にかかる断熱容器について図1乃至図13を参照しつつ説明する。第一実施形態にかかる断熱容器Aは、図1乃至図3に示すように有底筒状の容器本体1と、該容器本体1の上端側の開口部2に着脱自在に取付けられる蓋部材3と、熱収縮性を有する合成樹脂製の外装体4とから構成されている。開口部2は容器本体1に入れられた飲食物を飲食するために口をつける部分である。
容器本体1は、ポリプロピレンや高密度ポリエチレン等を材料として射出成形により成形された樹脂成形品であり、逆円錐筒状の周壁5と、周壁5の下端開口を閉塞する底壁6とから一体に形成されている。容器本体1の周壁5は上端側に比べて下端側ほど径が小さい傾斜面に形成されている。
さらに具体的には、容器本体1の周壁5は前記開口部2を形成する筒状の上部周壁部8と、上部周壁部8よりも小径に設定され、上部周壁部8の下方に形成された下部周壁部9と、上部周壁部8の下端部と下部周壁部9の上端部とを接続する環状の接続部7とで構成されている。
図2に示すように、上部周壁部8は、接続部7の外周縁部に下端部が連設された筒状の周壁本体部10と、周壁本体部10の上端部に内周縁部が連結された水平環状の環状接続部11と、環状接続部11の外周縁部に下端部が連結された筒状の大径部12と、大径部12の上端部から外方に向けて延出したフランジ部13とで構成されている。
周壁本体部10は、下端側に向かうにつれて外径、および内径が小さくなるように、逆円錐筒状に形成されている。図3に示すように、周壁本体部10の外周面に、軸線方向に延びる複数の凹条10aと、複数の凸条10bとが周方向に交互に形成されている。凹条10aの表面が周方向で凹状の湾曲面をなすとともに、凸条10bの表面が周方向で凸状の湾曲面をなしている。これにより、周壁本体部10の外周面は、凹状の湾曲面と凸状の湾曲面とが交互に形成された波状の曲面をなしている。
換言すれば、凸条10bの断面は緩やかな山形形状をなしており、凸条10b同士の接続部分によって凹条10aが形成されている。例えば凹条10aは、周壁本体部10の中心軸線に対して所定角度(本実施形態においては約7.5°)の間隔を周方向に有して形成されている。したがって、複数の凸条10bについても、凹条10aを介して隣接する凸条10b同士の頂点が、周壁本体部10の軸線を中心にして所定角度(本実施形態において7.5°)の間隔を周方向に有するように形成されている。
本実施形態にかかる周壁本体部10の外周下端部には、容器本体1の径方向の強度を高めるための補強片17が垂設されている。補強片17は、下部周壁部9(後述する下部筒状部16)の外周面に周方向に所定の間隔を有して配設されており、両側端が後述する縦リブ15に接続されている。
前記環状接続部11は、上述の如く、外周縁部が周壁本体部10の上端部に接続されており、周壁本体部10に対して鍔状に形成されている。大径部12は、略真円筒状をなしており、環状接続部11の外周縁部に下端部が接続されている。これにより、大径部12、環状接続部11、および周壁本体部10が上部周壁部8(容器本体1)の開口部2近傍に段差を形成しており、環状接続部11の上面が熱湯等を注ぎ込む量の目安となる入り目線として用いることができるようになっている。
前記フランジ部13は、径方向外方に突出する水平環状の天板部13aと、天板部13aの外周縁部に垂設される垂下部13bとで構成されて、断面略L字状をなしている。フランジ部13の天板部13aの内周縁部に大径部12の上端部が接続されており、この構成によって、天板部13aの上面が断熱容器Aの上端面を構成している。
前記下部周壁部9は、上端部が前記接続部7を介して上部周壁部8に連結された下部筒状部16と、下部筒状部16の外周面に上下方向に延びるように突設された複数の前記縦リブ15とで構成されている。
下部筒状部16は、下端側に向かうにつれて外径、および内径が小さくなるように逆円錐筒状(逆円錐台状をなす筒状)に形成されている。本実施形態にかかる下部筒状部16は、成形時の樹脂の流れを考慮して、接続部7と接続される上端開口側の厚肉筒状部16aと、厚肉筒状部16aの下端部に連結された薄肉筒状部16bとで構成されている。
下部筒状部16は、上述の如く、接続部7を介して上部周壁部8に接続されているため、厚肉筒状部16aは、上端部の外径が接続部7に介在する分だけ上部周壁部8(周壁本体部10)の下端開口の内径よりも小径になっており、下端側ほど小径となった逆円錐筒状に形成されている。
薄肉筒状部16bは、厚肉筒状部16aの内周面と略均一な連続面を形成するように、上端部が厚肉筒状部16aの下端部に接続されている。薄肉筒状部16bの肉厚は、厚肉筒状部16aの肉厚よりも薄く設定されており、本実施形態においては、約0.2mm〜0.4mmに設定されている。薄肉筒状部16bについても、厚肉筒状部16aと同様に、下端側ほど小径になるように略逆円錐筒状に形成されている。
前記複数の縦リブ15は、下部筒状部16の外周面上に下部周壁部9の軸線を中心にして放射状に配置されている。すなわち、該複数の縦リブ15は、厚肉筒状部16aと薄肉筒状部16bとに亙るように下部筒状部16の軸線を中心にして放射状に設けられている。本実施形態にかかる縦リブ15は、上端が接続部7の下面に接続されており、突出量が下部筒状部16の上端から下端側に向けて漸減している。
本実施形態にかかる縦リブ15は、厚肉筒状部16aと薄肉筒状部16bとの接続部分近傍における突出量が薄肉筒状部16bの外周面を基準にして約1.5mm〜2.7mmに設定され、薄肉筒状部16bに接続された部位の肉厚が約0.6〜0.7mmに設定されている。これにより、本実施形態にかかる容器本体1は、周壁本体部10の外周面、縦リブ15の先端、および底壁6の外面が連続的に形成されている。なお、縦リブ15が上記寸法に設定された場合には、厚肉筒状部16aは、薄肉筒状部16bの肉厚よりも厚くすることを前提に、肉厚を約0.3mm〜0.8mmに設定するとともに、軸心の長さを約1mm〜10mmに設定することが好ましい。
前記底壁6は、平面視円形状の底板部6aと、底板部6aを薄肉筒状部16b(周壁5)の下端部に接続する底接続部6bとで構成されている。底板部6aは、略中央部の円形の領域が容器本体1の内部側(上方側)にやや膨出して形成されている。底接続部6bは環状に形成されており、容器本体1の内面を構成する一方の面が凹状の湾曲面をなし、容器本体1の外面を構成する他方の面が凸状の湾曲面をなすように形成されている。底接続部6bの内周端縁に底板部6aの外周端縁が接続され、底板部6aとともに略皿状の前記底壁6を構成している。底接続部6bの外周端縁部は、前記下部筒状部16(周壁5)の下端部に連結されている。
前記蓋部材3は、ポリプロピレンや高密度ポリエチレン等を材料として射出成形により成形された樹脂成形品であり、平面視円形に形成されている。蓋部材3は、前記天板部13aの上面に当接する環状当接部3aとフランジ部13の大径部12に内嵌する筒状部3bとから断面略L字形に形成された環状嵌合部19と、この環状嵌合部19の筒状部3bの内径側に一体に設けられた円板部29とから構成されている。尚、環状嵌合部19(筒状部3b)は、大径部12に弾性的に内嵌するよう大径部12との径が関係付けられており、弾性により容器本体1に内容物を投入した後に開口部2に嵌合される。また、容器本体1内に熱湯を注ぐ際には弾性に抗して手指で開口部2から取外されるものである。
前記外装体4は、熱収縮性を有する樹脂シートから成形されており、容器本体1の周壁5に対向するように、周壁5を覆う周壁外装部20と、周壁外装部20の下端を基端に、該周壁外装部20の内部に向けて延設された(折り返された)底壁外装部21と、周壁外装部20の上端から蓋部材3の外周部3Aに掛かるよう延設された蓋外装部22とから一体に形成されている。蓋部材3の外周部3Aとは、蓋部材3の外周端縁を含んだ領域における周縁部である。
図4に示すように、蓋外装部22は、前記大径部12および垂下部13bを側方で被覆する側方部23と、蓋部材3の外周部3Aをその上方で被覆する上方部24とからなっている。側方部23は上部が下部に比べて大径の筒状となっており、上方部24は内周縁部24aを有して平面視して環状に形成されている。
図4および図5に示すように、このような外装体4は、容器本体1側、すなわち内側の発泡樹脂からなる断熱シート25と、この断熱シート25の外側に積層されて商品(内容物)の情報を印刷する熱収縮性フィルム(印刷を施すフィルム)26とからなる積層構造を基本構造としている。但し、外装体4のうち蓋外装部22では、熱収縮性フィルム26の単層構造となっている。
尚、断熱シート25は発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等の発泡樹脂からなる厚さ100〜500μm程度のシートからなる。発泡ポリスチレンとしては、汎用ポリスチレンを各種発泡剤によって発泡させたものや、ポリスチレンにブタジエン、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エステル類等を共重合させたコポリマを主成分とし、且つそのスチレン成分を50重量%以上(好ましくは70%以上)含有したものを各種発泡剤によって発泡したもの等を採用することができる。さらに断熱シート25は、一方向に熱収縮性を有するものが好ましく、収縮率は50%以上のものが好ましい。
熱収縮性フィルム26はポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエステル系等の非発泡樹脂を延伸して形成した厚さ20〜60μm程度のフィルムからなる。尚、断熱シート25の厚みは熱収縮性フィルム26の厚みよりも厚く設定され、この実施形態では断熱シート25の厚みは311μm,熱収縮性フィルム26の厚みは30μmのものを用いている。
ところで、蓋外装部22が外装体4を占める領域は、この実施形態の場合、接続部7よりもわずかに下方にある位置を始点位置p1(後述の断熱シート25の端縁部25aに相当する)としてこの始点位置p1よりも上方の領域で、且つ蓋部材3の外周部3Aに亙る領域である。尚、蓋部材3の外周部3Aとはこの場合、少なくとも蓋部材3の環状嵌合部19の環状当接部3aを含む範囲である。
すなわちこの実施形態では、上方部24の径方向幅B1は、ほぼ環状嵌合部19を上方に投影した幅か、環状嵌合部19を上方に投影した幅よりもわずかに内径側に位置するよう延設されている。
外装体4の前記周壁外装部20は、断熱シート25と熱収縮性フィルム26の積層構造であり、容器本体1の周壁5(厳密には、周壁本体部10の外周面、および下部周壁部9の外周面上の縦リブ15の先端)に対して所定の間隔を有した状態で、容器本体1の周壁5に外嵌できるように内径が設定されており、本実施形態においては、容器本体1の周壁5に対応して逆円錐筒状に形成されている。
図3に示すように、前記底壁外装部21は、先端側(内周縁側)が周壁外装部20の内周面に対して離間するように形成されている。具体的には、底壁外装部21は、斜壁部27と水平環状部28とからなる。斜壁部27は先端(内周縁)が基端(外周縁)より周壁外装部20の内部側に位置して先端側ほど先細りするようにテーパー状に形成されている。周壁外装部20の内周面に対する斜壁部27の傾斜角は、30°〜60°に設定することが好ましい。水平環状部28は、斜壁部27の内周縁に容器本体1の中心軸線に向けて延設されている。
外装体4に容器本体1が外装された状態で、容器本体1の底壁6の底板部6aと外装体4の水平環状部28とが当接しており、蓋部材3の環状当接部3aを外装体4の蓋外装部22の上方部24が上方から当接している。
図1に示すように、蓋外装部22を周壁外装部20に対して取外すようにして開封するための開封手段30が設けられている。この開封手段30は、蓋外装部22の上方部24から側方部23に亙ってそれぞれ周方向途中に設けられた切取りミシン目線30aと、周壁外装部20と蓋外装部22との境界部分に設けられて切取りミシン目線30aに連続する別の切取りミシン目線30bとからなる。切取りミシン目線30aは、手指ほどの幅(この実施形態では10mmに設定されている)に周方向に離間して一対で形成されており、切取りミシン目線30bは周壁外装部20の周方向に沿って設けられている。
ここで、図1および図6を参照して上方部24および側方部23の切取りミシン目線30a,30bについてそれぞれさらに詳しく説明する。尚、図6の(イ)は後述するように外装体4に用いられるシート体Sの平面図であり、図6の(ロ)はシート体Sを筒状にして熱収縮(熱成形)することで外装体4とした後の切取りミシン目線30aの刻設凹部31aを拡大した図である。
切取りミシン目線30aは、同一線上にある複数の刻設凹部31aとその間の連続部32a(熱収縮性フィルムからなる)とからなる。刻設凹部31aはシート体Sの状態において、熱収縮性フィルム26を貫通する切目であることが好ましく、シート体Sを筒状にして熱収縮させて外装体4とした状態で、各刻設凹部31aは細長形状となることが好ましい。この場合、略楕円形状の孔に形成されている。
図1を参照して、シート体Sを外装体4とした状態において、上方部24における刻設凹部31aは、その周方向中心に対して傾斜するよう配置され、周方向に対向する刻設凹部31aどうしは、径方向外方側が径方向内方側に比べて周方向に離間している。つまり周方向に対向する刻設凹部31aは、平面視してハの字形をなしている。換言すれば、刻設凹部31aの長軸方向31は、径方向外方向32に対して鋭角的な角度θとなるよう形成されている。さらに、径方向に隣合う刻設凹部31aにおいて、径方向内方側の刻設凹部31aの径方向外方側端部33aと、径方向外方側の刻設凹部31aの径方向内方側端部33bとは容器本体1の中心軸線を中心としてみたとき、ほぼ同一半径位置にある。したがって、シート体Sの状態における切取りミシン目線30aの切目は、シート体Sを外装体4とした状態で上記略楕円形状の孔となるように形成されるものである。
外装体4の側方部23における刻設凹部31aはその周方向中心(縦方向中心)に対して傾斜するよう配置されて周方向に対向する刻設凹部31aどうしは、下方側が上方側に比べて周方向に離間している。つまり周方向に対向する刻設凹部31aは側面視してハの字形をなしている。換言すれば、刻設凹部31aの長軸方向31は、下方向32に対して鋭角的な角度θとなるよう形成されている。さらに、上下方向に隣合う刻設凹部31a間において、上側の刻設凹部31aの下端部と、下側の刻設凹部31aの上端部とはほぼ同一平面位置にある。外装体4の側方部23における刻設凹部31aも同様に、シート体Sの状態において、熱収縮性フィルム26を貫通する切目であることが好ましく、シート体Sを筒状にして熱収縮させて外装体4とした状態で細長形状となることが好ましい。尚、図6(ロ)では、上方部24における刻設凹部31a、側方部23における刻設凹部31aの説明を兼用しており、共通の符号を付している。
切取りミシン目線30bの刻設凹部31bは、外装体4の全周に亙って設けられており、各刻設凹部31bは単純な微小な切目に形成されている。切取りミシン目線30bの高さ方向位置は、前記始点p1の上方で、且つ容器本体1の接続部7よりも上方に配置されている。尚、上方部24および側方部23の刻設凹部31aの面積は刻設凹部31bの面積より大きく設定されており、側方部23の最下端の刻設凹部31aは刻設凹部31bの何れかに連続していることが好ましい。このようにすることによって、後述するように、刻設凹部31aの領域を切除し易いからである。
次に、図7乃至図12を参照して、上記構成の外装体4を製造し、また断熱容器Aを製造する方法について説明する。ここで断熱容器Aを製造する方法は、上記構成の容器本体1を製造する工程と、外装体4となる前記シート体(熱収縮性樹脂シート)Sを製造する工程と、シート体Sを円筒状にした後に予備成形(プレフォームともいう)する工程と、外装体4を予備成形した後に容器本体1に装着(外装)する工程と、スープや麺類等のインスタント食品等の内容物を容器本体1内に投入した後に蓋部材3を容器本体1の開口部2に装着する工程と、蓋部材3を開口部2に装着した後に筒状に予備成形した外装体4を熱収縮させる工程とを有する。
まず図7を参照しつつ、後工程により筒状体S2となった後に外装体4となる平面状のシート体Sを製造する工程を説明する。このシート体Sは、断熱シート25と熱収縮性フィルム26との接着によってなる積層体構造を有し、シート体形成用の積層シート体S3を分割することで形成するものである。この積層シート体S3を製造するにあたり、まず、片側表面に文字・図柄等、内容物の情報を印刷した非発泡樹脂製の熱収縮性フィルム26と、発泡樹脂製の断熱シート25とを準備しておく。熱収縮性フィルム26および断熱シート25の厚み、材料は上記した通りであるが、これらの幅B2,B3は複数枚(この実施形態では二枚を例にしている)のシート体Sが得られるように設定しておく。尚、熱収縮性フィルム26および断熱シート25の幅B2,B3は、容器本体1の高さや径に応じて変更される。
また、積層シート体S3の製造では、熱収縮性フィルム26の他の片側表面に接着剤40を塗布する。接着剤40として、ウレタン系、アクリル系等のドライラミネート用接着剤を用いるのが好ましい。この場合の接着剤40は、熱収縮性フィルム26の幅B2方向の中心で且つ長さ方向Cに沿う非接着中間領域41を除いた両側に、熱収縮性フィルム26の幅B2よりも広幅の接着剤塗布ローラ42を用いて行われ、接着剤40は、非接着中間領域41を介して平行な帯状となるように塗布される。そして、接着剤40を塗布し溶剤を乾燥した後、断熱シート25の幅B3よりも広幅の圧着ローラ43を用いて断熱シート25を熱収縮性フィルム26に順次重ねるように圧着することで熱収縮性フィルム26、断熱シート25どうしを固着する。ここで、断熱シート25を熱収縮性フィルム26に重ねる際に、断熱シート25に非接着中間領域41と同幅の切除中間領域45を形成しつつ行う。
切除中間領域45は、断熱シート25に非接着中間領域41と同幅になる位置に対のスリット46を形成することで設けられる。断熱シート25の切除された部分47は、別に設けた巻取りローラ48によって順次巻取られる。尚、図7において、断熱シート25、熱収縮性フィルム26の流れ方向は右方向(上流側)から左方向(下流側)であり、上記のような接着剤40の塗布、スリット46の形成、圧着作業が自動的に一連の動作として行われる(例えば、ドライラミネート装置を応用して行うことができる)。このような一連の工程に加えて、開封手段30としての切取りミシン目線30a,30b(正確には切取りミシン目線30a,30bとなる切目)を形成するようにしている。切取りミシン目線30a,30bは容器本体1の大きさ、すなわち径や高さに応じた位置に配置される。この場合、容器本体1の高さに応じた幅方向所定位置に、長さ方向に沿って切取りミシン目線30bが設けられ、切取りミシン目線30aは、容器本体1の径に応じた長さ方向所定位置に、切取りミシン目線30bに垂直な方向に配置される。
上記のようにして製造した積層シート体S3は、非接着中間領域41の幅方向中心位置41bで長さ方向に沿って分割(この実施形態では二分割)される。非接着中間領域41は分割されることで、断熱シート25の端縁部25aから延長された延長部41aとなる。
さらに、上記のように分割した積層シート体S3をそれぞれ容器本体1の円周長さに応じた長さに切断することでシート体Sとなる。次にこのシート体Sの長手方向両端部どうしを熱シールや接着剤により貼着して筒状に形成する。この状態で、シート体Sは周方向に熱収縮可能である。なお、断熱シート25の熱収縮率は、例えば、所定温度のオイル中に10秒間浸漬した際の収縮率で測定され、本実施形態では80℃において5%以下で、110℃において30〜60%である。熱収縮性フィルム26の収縮率は、20〜80%程度より選定できるが、断熱シート25の収縮率が小さい場合は大きく、断熱シート25の収縮率が大きい場合は小さくてもよい。
一方で、図8および図9に示すように、シート体Sから、周壁外装部20および底壁外装部21となる後述の第一筒状部60を成形する型50、プレス型51を予め準備しておく。型50は一端に軸方向所定長さを有する同径部分50aを有し、この同径部分50aから他端に向けての外径が小さく設定されたテーパー部分50bを有して截頭直円錐状に形成されている。同径部分50aの軸方向所定長さは、一枚のシート体Sの非接着中間領域41の幅に等しい。同径部分50aの外径D1は、容器本体1の最大径である天板部13aの外径D2よりもわずかに大きく設定されている。尚、截頭直円錐とは、直円錐形状の先端部を中心と直交する方向に切除した形状をいう。
型50のテーパー部分50bの小径に設定された他端面に、プレス型51が嵌め合わされる凹部52が形成され、他端面の外周縁部に上端が略水平をなす環状凸部53が形成されている。環状凸部53の内周面は、テーパー状に形成されており、型50の外周面と環状凸部53の内周面とでなす角度は、外装体4の周壁外装部20に対する底壁外装部21の傾斜角度と対応した角度に設定されている。プレス型51は、凹部52に嵌め合わされる凸部54を備えている。凸部54は、環状凸部53の内周面の形状に対応して截頭円錐状に形成されている。
図8(イ)(ロ)に示すように、筒状にしたシート体Sを型50の外周面を覆うように装着し、シート体Sの一端開口縁(非接着中間領域41の縁)が型50の一端に当接するまで中心軸線方向に移動させる。このとき、非接着中間領域41が同径部分50aに外嵌するように装着する。次に、予備成形(プレフォーム)工程として、型50を外嵌したシート体Sの他端側に熱風H1等をあてて加熱する。そうすると、シート体Sは熱収縮性を有しているので、図8(ハ),図9(イ)に示すように、筒状のシート体Sがその中心方向に縮径し、型50の外周面に密接することになる。シート体S(特に他端部)を更に加熱すると、図8(ハ),図9(ロ)に示す如く、シート体Sの他端部が中心に向けて収縮して型50の中心軸線方向に倒れて水平環状をなすことになる。尚、仮に熱風H1の熱がシート体Sの一端側である非接着中間領域41に至るとこの部分も熱収縮することが考えられる。しかしシート体Sの一端側は同径部分50aを外嵌しているから同径部分50aの外径を超えて熱収縮することはない。
この状態で、加熱を停止し、図8(ハ),図9(ハ),図10に示す如く、シート体Sの水平環状をなす他端部を、プレス型51でプレスする。このプレスを行う状態においては、シートに対する加熱を停止しているが、これまでの加熱によってシートは軟化しているので、図9(ニ)に示す如く、シート体Sの他端部は、プレス型51の凸部54によって、環状凸部53の上端部を曲げ支点にして型50の凹部52内に円滑に押し込まれることになる。
そうすると、プレス型51の外周形状に対応したテーパー状の部分が形成されることになる。これと同時に、底壁外装部21より他端側の部位は、水平環状を維持した状態で型50の凹部52の内部に押さえ込まれる。このようにした後にプレス型51を型50から離間させ、シートを型50から取外す。以上が予備成形工程である。
このような予備成形工程によって、筒状にしたシート体Sは図11に示すように、第一筒状部60と第二筒状部61とを有する筒状体S2となる。すなわち第一筒状部60は、前述の周壁外装部20と底壁外装部21とを有することになる。但し、第二筒状部61は型50の同径部分50aによって未熱収縮状態にある円筒状を維持している。ここで、前述のように筒状にしたシート体Sからなる第二筒状部61は延長部41a(非接着中間領域41)によってなっており、後の工程で蓋外装部22となる部分である。尚、シート体Sは上記のように二分割して形成されるから、その幅としては、ひとつの蓋外装部22の倍の長さ寸法が必要であり、且つ熱収縮分を考慮した長さ寸法が必要である。
次に、図12に示すように、上記のようにシート体Sを予備成形してなる筒状体S2を容器本体1に被せる。このとき容器本体1の底板部6aが水平環状部28に当るようにする。そして、容器本体1に内容物を入れ、蓋部材3を容器本体1の開口部2に装着する工程を行う。続いて、同図に示すように、第二筒状部61を熱風H2により加熱する。そうすると図4の仮想線で示すように、熱風H2により第二筒状部61の上部が倒れるように熱収縮し、また第二筒状部61の側部がフランジ部13の大径部12および垂下部13bを側方から外装するよう熱収縮して蓋外装部22が形成される。換言すれば、蓋外装部22の側方部23によって大径部12および垂下部13bを外装するようになり、蓋外装部22の上方部24によって蓋部材3の環状嵌合部19を外装するようになる。そして、第二筒状部61が熱収縮して蓋外装部22が形成され、外装体4(蓋外装部22と水平環状部23)によって蓋部材3と容器本体1の底板部6aとが高さ方向で挟持されることになり、蓋部材3を開口部2に装着した状態が保持される。以上により内容物が入った断熱容器Aが製造される。
ところで、第二筒状部61を熱風H2により加熱するとき、その熱により周壁5の上部を覆う周壁外装部20の上部(熱収縮性フィルム26の単層)も収縮させるようにすることが好ましい。このように、周壁外装部20の上部が径方向内方に向けて熱収縮することで、外装体4の一部は容器本体1の段付きの接続部7を外方から覆い、図4に示すように、周壁外装部20の上部が接続部7に係止する。
本発明の第一実施形態によれば、蓋外装部22を設けるために別のシュリンクフィルムを準備してこれで容器本体1を被覆し、シュリンクフィルムを熱収縮させるといった工程を省略するすることができ、またシュリンクフィルムを省略することができるから、その分だけコストを下げることができる。
そして、蓋外装部22が熱収縮して蓋部材3の外周部3Aを側方および上方から被覆することで、蓋部材3が外れたり蓋部材3が簡単に開けられたりすることを防止できるようになる。あるいは蓋外装部22で蓋部材3を被覆することにより、開口部2に塵埃等が付着することを防止できる。
ところで、内容物を飲食するために蓋部材3を開封する必要がある。この場合、蓋外装部22の上方部24における内周縁部24a上の切取りミシン目線30aの間部分24bを手指でつまみ、これを径方向外方に引くようにする。このとき、周方向に対向する刻設凹部31aどうしは、径方向外方側が径方向内方側に比べて周方向に離間することでハの字形をなしているから、前述のように径方向外方に引いた力が周方向に対向する切取りミシン目線30a間に収束されにくい。さらに径方向内外に隣合う刻設凹部31aどうしは接近していることから、径方向外方に引いた力が刻設凹部31aの連続部32aにかかることになり、蓋外装部22の上方部24が、径方向内外の刻設凹部31aに沿うように切取りミシン目線30aから切断されることになる。
側方部23に設けた切取りミシン目線30aについては上記のように、蓋外装部22の上方部24の径方向内方部分端部の切取りミシン目線30aの間部分24bを手指でつまみ、径方向外方に引いた後、さらに下方に引くようにすることで、切取りミシン目線30aに沿って蓋外装部22を確実に切断することができ、切取りミシン目線30aで挟まれた領域を切取ることができる。そして、蓋外装部22は熱収縮性フィルム26の単層構造であるから、手指の力でもって切取りミシン目線30a,30bに沿って容易に切断することが可能である。
そして、切取りミシン目線30aで挟まれた領域(図1の符号Rで示す)を切取った後は、切取りミシン目線30bを用いるように蓋外装部22を周方向に剥ぐように切取ることで、蓋外装部22を開封する。これにより蓋部材3の外周部3Aが露出する(開放される)から、容器本体1から蓋部材3を取外すことができるようになって、容器本体1内に熱湯を注ぐことが可能となる。そして、容器本体1内に熱湯を注いだ後に内容物を飲食する際には、断熱シート25を介して容器本体1を手指で把持することになるから、容器本体1内部の熱が手指に伝わりにくく安全に把持することができる。
蓋部材3を取外して内容物を飲食する際には、容器本体1のフランジ部13に口をつけることになるが、蓋外装部22は取除かれており、接続部7よりも下方から容器本体1が露出することになるから、フランジ部13に口をつけるようにしても外装体4が邪魔になることがない。尚、外装体4の一部は容器本体1の段付きの接続部7を外方から覆って周壁外装部20の上部が接続部7に係止しているから、蓋外装部22を取除いたとしても容器本体1が外装体4から抜け出るような状態を回避することができる。
図13および図14に第二実施形態を示す。図13は断熱容器Aの斜視図、図14は断熱容器Aの外装体4に用いるシート体Sの平面図である。第二実施形態の断熱容器Aが第一実施形態の断熱容器Aと異なる構成を説明する。すなわち、蓋外装部22を含む全ての外装体4が断熱シート25と熱収縮性フィルム26との積層体から構成されているものである点と、開封手段30の構成とが異なる。
さらに詳しくは、上記第一実施形態では、蓋外装部22の上方部24および側方部23は熱収縮性フィルム26の単層構造から構成したが、第二実施形態では蓋部材3の外周部3Aを外装する蓋外装部22(上方部24および側方部23)、周壁5を覆う周壁外装部20、および底壁6を外装する底壁外装部21が断熱シート25と熱収縮性フィルム26との積層体で構成されている。外装体4における切取りミシン目線30cは蓋外装部22に螺旋状に設けており、切取りミシン目線30cは、螺旋上にある多数の刻設凹部31cとその間の連続部とからなり、刻設凹部31cは外装体4を貫通する孔である。
刻設凹部31cは、蓋外装部22に一本の螺旋状に設けられており、刻設凹部31cは蓋外装部22の上方部24における径方向内方の任意の一箇所を始点p2とし、刻設凹部31c(孔)が漸次径方向外方側に変位している。このような刻設凹部31cの終点p3は側方部23においては容器本体1のフランジ部13よりも下であることが好ましい。尚、第二実施形態では、刻設凹部31cは、微細な切目に形成されている。
このような外装体4を製造するにあたっては、シート体Sの状態において刻設凹部31cを形成するものであり、シート体S製造の後工程においてシート体Sを筒状にして予備成形した際の第二筒状部61となる矩形部分S1に、この矩形部分S1の対角上の隅部を結ぶよう直線的に傾斜させて刻設凹部31cを形成することで、第一実施形態と同様にしてシート体Sから外装体4(断熱容器A)を製造した際に螺旋状となる。予備成形による外装体4の製造工程、およびその後の断熱容器Aの製造工程については、上記第一実施形態と同様であり、また同様の型50、プレス型51を用いる。
しかしこの外装体4では蓋外装部22を含めて全てが積層構造であるから、シート体Sを製造するにあたり、断熱シート25と熱収縮性フィルム26とを接着剤塗布ローラ42、圧着ローラ43を用いて製造するだけで、第一実施形態のように断熱シート25にスリット46を形成する必要はない。これにより、第一実施形態に比べて外装体4(シート体S)の製造のための設備がその分だけ簡素化できる。
また、蓋外装部22を設けるために特別にシュリンクフィルムを準備してこれで容器本体1を被覆する必要がないから、シュリンクフィルムを被せるといった工程を省略するすることができ、またシュリンクフィルムを省略することができ、その分だけコストを下げることができる。
そして、蓋外装部22が熱収縮して蓋部材3の外周部3Aを側方および上方から被覆することで、蓋部材3が外れたり蓋部材3が簡単に開けられたりすることを防止できるようになる。あるいは蓋外装部22で蓋部材3を被覆することにより、開口部2に塵埃等が付着することを防止できる。
第二実施形態の断熱容器Aでは、蓋外装部22を開封するにあたり内周縁部24a上の刻設凹部31cの始点p2付近を手指でつまんで、刻設凹部31cの形成方向である螺旋方向に切取るようにすると、刻設凹部31cに沿うように蓋外装部22が裂けて螺旋形状に沿って終点p3まで到達して蓋外装部22が開封されることになる。この場合、発泡の配向により断熱シート25は横方向(径方向)へは裂け易いから、蓋外装部22が断熱シート25と熱収縮性フィルム26との積層構造で断熱シート25が断熱のために所定の厚みを有し、また発泡樹脂であっても、蓋外装部22を手指の力で容易に開封して蓋部材3を取外すことができる。
その後は容器本体1内に熱湯を注ぎ、内容物を飲食する際に断熱容器Aを把持しても断熱シート25を介して把持することになるから安全に扱うことができる。そして、蓋部材3を取外して内容物を飲食する際には、容器本体1のフランジ部13に口をつけることになるが、刻設凹部31cの終点p3は接続部7よりも下方であるから、接続部7よりも下方から容器本体1が露出している部分があることになり、この部分からフランジ部13に口をつけるようにすれば、外装体4が邪魔になることがない。尚、断熱容器Aの他の構成は第一実施形態と同様である。
図15および図16に基づいて第三実施形態を説明する。図15は断熱容器Aの斜視図、図16は断熱容器Aの外装体4に用いるシート体Sの平面図である。第三実施形態の外装体4も第二実施形態の外装体4と同様に、蓋外装部22を含めて断熱シート25と熱収縮性フィルム26との積層構造からなる。開封手段30は、切取りミシン目線30dと、帯状体としての開封用テープ(ティアテープ)70と、この開封用テープ70を引き剥がすための摘み片71とから構成されている。
切取りミシン目線30dは周壁外装部20に高さ方向で対に、且つ周方向全部に亙って形成されている。この切取りミシン目線30d間の領域R1内で、且つ周壁外装部20(断熱シート25)の裏面側には仮想線で示すように、前記開封用テープ70が接着剤でもって固着されている。切取りミシン目線30dおよび開封用テープ70の高さ方向位置は、容器本体1のフランジ部13よりも下方に相当する位置にあり、蓋外装部22と周壁外装部20との境界部分R2である。切取りミシン目線30dは、同一高さ平面にある複数の刻設凹部31dとその間の連続部からなり、刻設凹部31dは外装体4を貫通する孔である。
さらに、周壁外装部20に開封用テープ70を径方向外方に引き剥がす際に手指で摘まれる前記摘み片71が設けられている。この摘み片71は、周壁外装部20の開封用テープ70に高さ方向で対応する部位で、U字形のスリット72を刻設することでなる。このスリット72は周壁外装部20を径方向内方に貫通している。スリット72の高さ方向幅は開封用テープ70よりわずかに大きく設定されている。尚、開封用テープ70は一般に用いられるもので、ポリプロピレン等の合成樹脂からなっている。
開封用テープ70はシート体Sの製造工程において断熱シート25の幅方向所定位置に貼着される。シート体Sの製造は、上記と同様に熱収縮性フィルム26に接着剤40を塗布して断熱シート25と熱収縮性フィルム26とを接着することで行われる。開封用テープ70を設ける境界部分R2とは、より好ましくはシート体Sから外装体4を製造して容器本体1を外装した際に、容器本体1の接続部11よりも下になるで、飲食のために口をつけた際に周壁外装部20の上端部が邪魔にならない位置である。尚、切取りミシン目線30dおよびU字形のスリット72は、断熱シート25と熱収縮性フィルム26とを接着した後の工程で形成される。
第三実施形態における外装体4を有する断熱容器Aにおいて、蓋外装部22を開封するには、摘み片71を手指で把持してこれを径方向外方に引くようにする。そうすると、開封用テープ70の端部が摘み片71とともに径方向外方に引かれ、周壁外装部20には切取りミシン目線30dが形成されているから、切取りミシン目線30dに沿うように外装体4の蓋外装部22が開封され、蓋部材3を取外すことができる。
そして、周壁外装部20が断熱シート25と熱収縮性フィルム26との積層構造であっても、断熱シート25の発泡の配向により横方向へは裂け易いから、刻設凹部31dで挟まれる範囲を手指の力で容易に開封して蓋部材3を取外すことができる。
また、蓋外装部22を設けるために特別にシュリンクフィルムを設けてこれで容器本体1を被覆しシュリンクフィルムを熱収縮させるといった工程を行うことなしに蓋外装部22を設けることができるから、シュリンクフィルムを被せるといった工程を省略するすることができ、またシュリンクフィルムを省略することができ、その分だけコストを下げることができる。
さらに、蓋外装部22が熱収縮して蓋部材3の外周部3Aを側方および上方から被覆することで、蓋部材3が外れたり蓋部材3が簡単に開けられたりすることを防止できるようになる。あるいは蓋外装部22で蓋部材3を被覆することにより、開口部2に塵埃等が付着することを防止できる。
尚、上記第一実施形態では、切取りミシン目線30bの高さ位置を周壁外装部20と蓋外装部22との境界に設定した。しかし、切取りミシン目線30bの高さ位置はこれに限定されるものではなく、図17で示すように周壁外装部20に掛かる位置に設定してもよい。切取りミシン目線30bが周壁外装部20に掛かっていても、断熱シート25における発泡の配向により横方向へは裂け易いから、切取りミシン目線30bに沿って手指の力で容易に蓋外装部22を開封することができる。
上記第一実施形態では、対向する刻設凹部31aをハの字形をなすようしているが、これに併せて蓋外装部22の上方部24における切取りミシン目線30aどうしを径方向外方側を径方向内方側に比べて周方向に離間させるようハの字に設定することも考えられる。この場合も、切取りミシン目線30aの間の領域を手指で摘んで径方向外方に引いた力が切取りミシン目線30a間に収束されにくいことから、径方向外方に引いた力が刻設凹部31aの連続部32aにかかることになり、蓋外装部22の上方部24が、径方向内外の刻設凹部31aに沿うように切取りミシン目線30aから切断されることになる。
さらに、上記第一実施形態では、切取りミシン目線30aの刻設凹部31aをハの字形をなすよう形成したがこれに限定されるものではく、切取りミシン目線30aの長手方向は蓋外装部22の上方部24においては径方向に沿い、側方部23においては上下方向に沿うよう形成してもよい。また刻設凹部31aは、単純な切目状に形成とすることも可能である。これら何れの場合も、上記実施形態と同様、蓋外装部22の上方部24が、径方向内外の刻設凹部31aに沿うように切取りミシン目線30aから容易に切断されることになる。
上記各実施形態において、蓋部材3は、合成樹脂を材料として射出成形により成形した樹脂成形品とし、弾性により容器本体1の開口部2に嵌合するものとしたがこれに限定されるものではない。例えば、アルミ箔と合成樹脂フィルムや紙等のラミネート材とが積層されたシール蓋(図示しない)とすることも可能である。この場合、蓋部材3は天板部13a上に剥離可能に貼着し、収容物を収容した容器本体1を密閉するようになる。このような蓋部材3を用いた断熱容器Aであっても、断熱シート25と熱収縮性フィルム26との積層構造を有する外装体4でもって容器本体1を外装することで、シュリンクフィルムを省略でき、さらに、開封手段を設けることで蓋外装部22を容易に開封することが可能となる。
各実施形態における刻設凹部31a〜31dは、熱収縮性フィルム26あるいは外装体4を貫通しなくても、熱収縮性フィルム26あるいは外装体4に傷を付与することで、その部分が他の部分に比べて脆弱になっていればよい。尚、この発明において積層構造を有するとは、シート体Sの全部または一部が断熱シート25と熱収縮性フィルム26の積層部分を有する構造を意味する。そして、開封手段30は外装体4、特に蓋外装部22が断熱シート25と熱収縮性フィルム26との積層構造であっても、熱収縮性フィルム26の単層構造であっても有用であり、何れにしても上記実施形態の開封手段30を用いれば、蓋外装部22を容易に開封することができる。
各実施形態における切取りミシン目線30b,31bはシート体Sを熱加工(熱収縮)させる前にシート体Sに形成するものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、シート体Sを熱加工して外装体4を成形した後に切取りミシン目線30b,31bを形成するようにしてもよい。この場合、切取りミシン目線30a,31bは当然にシート体Sの熱収縮の影響を受けることがなくなるから、シート体Sの熱収縮率を考慮して切取りミシン目線30a,31bを形成する必要がなくその分だけ外装体4の設計が容易になり、さらに設計の自由度を向上させることができ、開封性を重視した外装体4の設計が可能になる。
上記各実施形態では、断熱シート25は熱収縮性を有する発泡ポリスチレン等の発泡樹脂から形成したものを用いたがこれに限定されるものではなく、それ自体が熱収縮性を有しない材料、例えば紙や不織布などを用いてもよい。この場合は、紙や不織布などそれ自体が熱収縮性を有していなくても、熱収縮性フィルム26が熱収縮することで熱収縮性フィルム26とともに蓋部材3の外周部3Aを側方および上方から被覆するよう変形させることができる。
A…断熱容器、S…シート体、S2…筒状体、1…容器本体、2…開口部、3…蓋部材、3a…環状当接部、3b…筒状部、4…外装体、5…周壁、6…底部、7…接続部、8…上部周壁部、9…下部周壁部、12…大径部、13…フランジ部、13a…天板部、13b…垂下部、19…環状嵌合部、20…周壁外装部、21…底壁外装部、22…蓋外装部、23…側方部、24…上方部、24a…内周縁部、25…断熱シート、26…熱収縮性フィルム、27…斜壁部、28…水平環状部、29…円板部、30…開封手段、30a,30b…切取りミシン目線、31a…刻設凹部、32a…連続部、42…接着剤塗布ローラ、40…接着剤、41…非接着中間領域、41a…延長部、43…圧着ローラ、45…切除中間領域、48…巻取りローラ、60…第一筒状部、61…第二筒状部、70…開封用テープ、71…摘み片