JP2006240210A - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 テープモールド法におけるテープシワの発生を抑制することができるプラスチックレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】 所定の間隔で対向配置した2個の成形型2,3の側面に、テープ状基材上に粘着剤層が形成され、テープ状基材の基材厚が125μm〜200μmの粘着テープ4を巻いて成形型2,3を固定し、2個の成形型2,3と粘着テープ4で囲まれたキャビティ5を形成する成形型組立工程と、キャビティ5にレンズ原料Mを注入する注入工程と、レンズ原料Mを硬化する重合硬化工程により、プラスチックレンズL1を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラスチックレンズの製造方法に関し、特に、注型重合法によりプラスチックレンズを成形するプラスチックレンズの製造方法に関する。
光学性能に優れたプラスチックレンズを製造する場合、一般的に注型重合法が用いられる。注型重合法として、レンズの凸面を成形する成形型とレンズの凹面を成形する成形型を所定の間隔に対向して、成形型の外周側面を粘着テープで封止された成形用モールドに、原料組成物を注入し重合硬化するテープモールド法が広く知られている(図1参照)。
成形用モールドに注入された原料組成物は、重合硬化に際して体積が収縮する。特に、近年のレンズの高屈折率化に伴い、益々大きな収縮率の原料組成物が用いられようになっている。そのため、図2(a)の重合硬化された従来の成形用モールドの断面図に示すように、原料組成物Mが注入された成形用モールド11の重合硬化時に、成形型12,13の間隔が狭くなろうとする力が粘着テープ14に伝わり、粘着テープ14が成形用モールド11の厚み方向に押しつぶされて、部分的に凹んだ多数のテープシワ15が発生する。このテープシワ15は、図2(b)の成形された従来のプラスチックレンズの側面図に示すように、プラスチックレンズL2外周の側面にそのまま転写され、多数の凹み16が発生する。プラスチックレンズL2外周の側面に生じた凹み16は、プラスチックレンズL2の側面の厚みA(コバ厚)が厚いほど深く目立つものとなり、外観や外径精度を損ねるため、レンズ外周部を切削や研削などの外周整形加工によって取り除かれる。
こうしたテープシワに対応するために、原料組成物の重合硬化による収縮が最も大きい温度下で、伸び易い特性の粘着テープを用いることにより、レンズ側面のテープシワの発生を抑制したプラスチックレンズの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−202995号公報
しかしながら、特許文献1に示される製造方法によるプラスチックレンズは、テープシワの発生が多少改善されるものの十分でなく、レンズ側面の凹み等を取り除く外周整形加工が引き続き必要である。このため、注型重合法で用いる成形型の外径寸法をプラスチックレンズの仕上り外径寸法よりも約5mm程度大きく形成する必要がある。したがって、外周整形加工で取り除かれる原料組成物が無駄になり、製造コストの上昇を招くと共に、加工工程の増加によるレンズ面の傷などの不良発生により歩留りが低下するという課題がある。さらに、プラスチック廃棄物を発生させるという課題がある。
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、テープモールド法(注型重合法)におけるテープシワの発生を抑制することができるプラスチックレンズの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のプラスチックレンズの製造方法は、所定の間隔で対向配置した2個の成形型の側面に粘着テープを巻いて前記成形型を固定し、前記2個の成形型と前記粘着テープで囲まれたレンズを成形するキャビティを形成する成形型組立工程と、前記キャビティに原料組成物を注入する注入工程と、前記原料組成物を重合硬化させてプラスチックレンズを得る重合硬化工程を有するプラスチックレンズの製造方法において、前記粘着テープは、テープ状基材上に粘着剤層が形成された構造を有し、前記テープ状基材の基材厚が125μm〜200μmであることを特徴とする。
このプラスチックレンズの製造方法によれば、テープ状基材の厚さが125μm〜200μmの粘着テープが2個の成形型の側面に巻かれたキャビティに、原料組成物を注入し、重合硬化して成形される際に、重合硬化時における原料組成物の収縮で、成形型同士の間隔が厚み方向に狭くなろうとする力に潰されることなく耐えて、粘着テープのテープシワの発生を抑制することが可能となり、プラスチックレンズの仕上り外径と略同一外径の成形型を用いることで、仕上り外径に加工する外周整形が不要となる。
すなわち、原料組成物の使用量の削減と共に、環境面から外周切削粉(廃棄物)の削減、切削紛の燃焼処理の際に生じる排気ガスの削減、あるいは加工工程の増加によるレンズ面の傷などの不良発生により歩留り低下が防ぐことができる等の効果が得られる。したがって、こうした効果により、製造コストが削減された廉価なプラスチックレンズを市場に提供することができる。
また、本発明のプラスチックレンズの製造方法は、前記テープ状基材がポリハロゲン化ビニル、ポリエステル、ポリアミド類、ポリイミド類、あるいはポリカーボネート類のいずれかであることを特徴とする。
このプラスチックレンズの製造方法によれば、テープ状基材をポリハロゲン化ビニル、ポリエステル、ポリアミド類、ポリイミド類、あるいはポリカーボネート類のいずれかを用い、テープ状基材の厚さを125μm〜200μmとすることで、重合硬化して成形される際に、原料組成物の収縮で成形型同士の間隔が厚み方向に狭くなろうとする力に対して、潰されることなく耐えて、粘着テープのテープシワの発生を抑制することが十分に可能となり、プラスチックレンズの仕上り外径と略同一外径の成形型を用いることで、仕上り外径に加工する外周整形が不要となる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
先ず、図1を参照してテープモールド法について説明する。図1(a)は成形用モールドの外観模式図であり、同図(b)はレンズ原料の注入前の成形用モールドの断面図であり、同図(c)は成形されたプラスチックレンズの側面図である。
プラスチックレンズの成形に際して、成形用モールド1が成形型組立工程で組み立てられる。
成形用モールド1は、プラスチックレンズ(以降、レンズと表記する)の凸面を成形する円形のガラス製の成形型2と、レンズの凹面を成形する円形のガラス製の成形型3を準備する。これらの2個の成形型2,3の外径は、成形用モールド1に注入される原料組成物としてのレンズ原料Mが、重合硬化時に径方向に収縮する収縮量を考慮して、所定のレンズの仕上り外径寸法よりも約1mm大きく設定されている。
そして、2個の成形型2,3を所定の間隙に対向配置させ、成形型2,3の側面に粘着テープ4を1周より少し多く巻き付け、成形型2,3を固定するとともに、成形型2,3間の間隙を閉塞して、成形型2,3の各成形面と粘着テープ4とで囲まれたキャビティ5を形成する。
粘着テープ4は、テープ状基材上に粘着剤層が形成されている構造を有する。テープ状基材は、2個の成形型2,3を保持する十分な強度を有し、また液状のレンズ原料Mに侵されない耐薬品性を有し、さらに重合硬化時の加熱に対する十分な耐熱性を有しているのが好ましく、テープ基材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリカーボネート類などを例示することができる。このうち、ポリエチレンテレフタレートを好ましく用いることができる。また、粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系など一般的な接着テープに適用される粘着剤が挙げられる。
テープ基材の厚さは、2つの成形型2,3を保持する十分な強度を有し、かつ重合硬化時にレンズ原料の収縮に対する耐性(剛性)を有する、100μm〜220μm、好ましくは125μm〜200μmの範囲を用いる。厚さが100μm以下の場合には、重合硬化時のレンズ原料の収縮に対して、テープ基材の強度が耐えられず、部分的に凹んだ多数のテープシワが発生する(図2(a)参照)。厚さが220μm以上の場合には、成形型2,3の側面に巻き付ける作業性が著しく低下と共に、1周より少し多く巻き付けた重なり目から液漏れが発生し、成形されるレンズに気泡が発生する場合がある。なお、粘着テープ4は、幅25mm程度のテープ基材上に、厚み30μm程度の粘着剤層が形成されている。
次に、成形型組立工程で組み立てられた成形用モールド1は、注入工程において原料組成物としてのレンズ原料Mが注入される。
注入工程では、先ずエアーヒーターで加熱した圧縮空気が金属ノズルを介して、成形型2,3の外周側面に貼り付けられた粘着テープ4の所定の位置に吹き付けられて穴明けされ、レンズ原料を注入する注入口(図示せず)が形成される。そして、注入口から注入ノズルを介してキャビティ5内にレンズ原料Mが注入される。
レンズ原料としては、特に制限されず、例えばジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)を挙げることができる。また、高屈折率用のレンズ原料としては、2個以上のイソシアナート基を有するポリイソシアナートと2個以上の活性水素を有する化合物とを主成分とする重合性モノマーを主成分とするものを例示することができる。
2個以上のイソシアナート基を有するポリイソシアナートとしては、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、p−キシリレンジイソシアナート、テトラクロロ−m−キシリレンジイソシアナート、水添キシリレンジイソシアナート、水添ジフェニルメタンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、2,5−ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、3,9−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、4,8−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、4,9−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、ダイマー酸ジイソシアナート等のポリイソシアナート化合物及びそれらの化合物のアロファネート変性体、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアナトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(α,α−ジメチルイソシアナトメチル)ベンゼン、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメリック型ジフェニルメタンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートのビウレット化反応物、ヘキサメチレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンのアダクト生成物、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、イソシアヌレート変性体等が挙げられ、これらの化合物を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、2個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば2個以上の水酸基を有するポリオール、2個以上のチオール基を有するポリチオール、1分子中に水酸基とチオール基を各々1個以上有する化合物を挙げることができる。
2個以上の水酸基を有するポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロール、ジグリペロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デカン−ジメタノール、ビシクロ〔4,3,0〕−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカノール、スピロ〔3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1'−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、テトラブロムビスフェノールA等の芳香族ポリオール、ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2−ビス−(2−ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4'−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサンなどの硫黄原子を含有したポリオール等が挙げられる。
また、2個以上のチオール基を有するポリチオールとしては、例えば4−メルカプトメチル−3,6−ジチオ−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオナート)、テトラチオールを例示することができる。
また、1分子中に水酸基とチオール基を各々1個以上有する化合物としては、例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グルセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4'−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチルートリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
また、この他の高屈折率用の原料組成物として、分子内に1つ以上のジスルフィド結合(S−S)を有し、かつエポキシ基及び/又はチオエポキシ基を有する化合物を例示することができる。
これらの重合性組成物には、重合触媒を配合することができる。重合触媒としては、例えば、ウレタン化反応触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド等の錫化合物、三級アミンなどのアミン化合物、三級ホスフィン、ルイス酸が挙げられ、これらを単独あるいは併用して使用することができる。また、必要に応じて鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、ブルーイング剤、染料、顔料、レベリング剤、充填剤、内部離型剤などの種々の物質を添加することができる。
次に、注入工程においてレンズ原料Mが注入された成形用モールド1は、重合硬化工程において、レンズ原料Mの重合硬化が行われる。重合硬化は、モールド部5内のレンズ原料Mが加熱されて行われる。成形用モールド1を加熱炉内に載置し、例えば炉中の温度を30℃から120℃まで約20時間程かけて徐々に昇温して重合硬化される。
この重合硬化工程において、成形用モールド1に注入されたレンズ原料Mは、重合による収縮が生じる。キャビティ5は、径方向の寸法が長く、厚み方向の寸法が短いために、レンズ原料Mの径方向の収縮量が大きく、キャビティを構成する粘着テープは、中心側へ吸引されようとすると共に、成形型2,3間の間隔が狭くなろうとするが、粘着テープ4(テープ基材)の剛性により、成形型2,3間の間隔が狭くなることはなく、しかもテープシワが発生することもない。
その後、成形用モールド1は、成形型2,3から粘着テープ4を剥がし、成形型2,3を取り外してプラスチックレンズL1が得られる。
成形されたプラスチックレンズL1は、外径収縮分が補正され所定外径寸法で側面がほぼ平坦で滑らかな、かつ所定のレンズ心厚さ(レンズ中心部の厚さ)のプラスチックレンズL1が得られる。
なお、プラスチックレンズには、2個の成形型の成形面が最終の光学面に形成され、両面が転写されたフィニッシュレンズと、2個の成形型の一方の成形型の成形面のみに最終の光学面が形成され、他方の光学特性を有しない成形面側を研磨等により形状が作られるやや厚手のセミフィニッシュレンズとがあり、凸レンズと凹レンズ等があるが、いずれのプラスチックレンズの場合にも、同様に適用することができる。
以下、本実施形態に基づく実施例、および比較例を説明する。
(実施例)
テープ基材の厚さが125μmと200μmの2種類の粘着テープ4を用いて組み立てられた各成形用モールド1に、レンズ原料Mを注入して、外径75mm、レンズ心厚さ1.0mm、球面度数(S度数)−4.0のジオプトリのプラスチックレンズL1を成形する。なお、プラスチックレンズL1の成形は、各テープ基材の厚さ毎に100枚を完成させる。
先ず外径76mmのガラス製の2個の成形型2,3を準備した。レンズ仕上り外径と成形型の外径との寸法差1mmは、レンズ原料の重合硬化による外径収縮分を補正するために、成形型2,3の外径を予め1mm大きく設定した。
そして、成形用モールド1に注入するレンズ原料Mを調製した。レンズ原料Mは、原料組成物としてポリチオール化合物の4−メルカプトメチル−3,6−ジチオ−1,8−オクタンジチオール40gに、重合触媒としてジメチルスズジクロライド0.06g、内部離型剤0.15g、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール0.1g、重合触媒としてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.04gを、この順序に添加し、30分ほど十分に攪拌した。この後、ポリイソシアネート化合物として水添ジフェニルメタンジイソシアネート60gを混合し、30分ほど十分に攪拌した後、5mmHgの真空下で60分脱気を行った。
そして、成形型組立工程に移行し、準備した2個の成形型2,3を対向配置させ、成形型2,3の中心部の間隔を1.0mmに保持して、2個の成形型2,3の側面にテープ基材の厚さが200μmの粘着テープ4を一周より少し多く巻き付けて、成形用モールド1を組み立てた。同様にテープ基材の厚さが125μmの成形用モールド1を組み立てた。
そして、注入工程に移行して、組み立てられた各成形用モールド1の成形型2,3の外周側面に貼り付けられた粘着テープ4の所定の位置に穴明けして、レンズ原料Mを注入する注入口を形成した。その後、形成された注入口から注入ノズルを介してキャビティ5内に、調製したレンズ原料Mを注入した。各成形用モールド1(キャビティ5)に注入されたレンズ原料Mの使用量は、20.5gであった。
そして、重合硬化工程に移行して、レンズ原料Mが注入された各成形用モールド1を加熱炉内に載置して、炉中の温度を30℃から120℃まで約20時間程かけて徐々に昇温して各成形用モールド1に注入されたレンズ原料Mを重合硬化させた。
そして、各成形用モールド1が冷却の後、成形用モールド1を加熱炉内から取り出し、2個の成形型2,3と粘着テープ4を取り外して、屈折率1.67の高屈折率プラスチックレンズL1を得た。得られたプラスチックレンズL1は、外径が75mm、レンズ心厚さが1.0mmで、レンズ側面がほぼ平坦で滑らかであった。
(比較例)
テープ基材の厚さが38μm、50μm、75μmの3種類の粘着テープ4を用いて組み立てられた各成形用モールド1に、レンズ原料Mを注入して、前記実施例と同じ、外径75mm、レンズ心厚さ1.0mm、球面度数(S度数)−4.0のジオプトリのプラスチックレンズを成形する。なお、プラスチックレンズの成形は、実施例と同様に、各テープ基材の厚さ毎に100枚を完成させる。
プラスチックレンズの成形は、成形用モールドに注入されたレンズ原料Mの重合による収縮を想定して、外径80mmのガラス製の2個の成形型2,3を準備した。
そして、成形型組立工程に移行し、準備した2個の成形型2,3を対向させ、重合による収縮を想定して中心部の間隔を1.2mmに保持して、成形型2,3の側面にテープ基材の厚さが38μm、50μm、75μmの3種類の各粘着テープ4を巻き付けて、テープ基材の厚さが異なる3種類の成形用モールド1を組み立てた。
そして、注入工程に移行して、実施例と同様に、2個の成形型2,3の外周側面に貼り付けられた粘着テープ4の所定の位置に注入口を形成し、形成された注入口から調製したレンズ原料Mを注入した。各成形用モールド1(キャビティ5)に注入されたレンズ原料Mの使用量は、24.1gであった。
そして、重合硬化工程に移行して、レンズ原料Mが注入された各成形用モールド1を、実施例と同様の重合条件、および重合方法で重合硬化させた。その後、各成形用モールド1が冷却の後、加熱炉内から取り出した成形用モールド1は、側面に貼り付けられた粘着テープ4が厚み方向に押しつぶされて、部分的に凹んだ多数のテープシワ15(図2(a)参照)が発生していた。
そして、2個の成形型2,3と粘着テープ4を取り外して、得られたプラスチックレンズは、外径が80mm、レンズ心厚さが1.0mmで、側面に多数の凹み16(図2(b)参照)が生じた屈折率1.67の高屈折率プラスチックレンズであった。すなわち、得られたプラスチックレンズは、重合硬化時のレンズ原料Mの収縮により、側面に貼り付けられた粘着テープ4が、厚み方向に0.2mm程押しつぶされと共に、粘着テープ4にテープシワ15(図2(a)参照)が発生し、成形されたレンズの側面に多数の凹み16が生じたものと推測される。なお、側面に生じた凹み16の深さは、大きな凹み16で約2〜3mm程あり、その後、外周整形加工により凹み16を取り除き、レンズの仕上り外径寸法の75mmに整形される。
なお、コバ厚の厚いセミフィニッシュレンズの重合硬化時のつぶれ具合を実験的に確認した。レンズ心厚さ7.0mmのセミフィニッシュレンズを成形するに際して、外径80mmのガラス製の2個の成形型2,3に、テープ基材の厚さが75μmの粘着テープ4を用いて、成形用モールド1を組み立てた。組み立てられた成形用モールド1に実施例と同様のレンズ原料Mを注入して、重合硬化を行った。得られたプラスチックレンズは、成形用モールド1がレンズ原料Mの収縮により厚み方向に押しつぶされて、組み立てられた2個の成形型2,3の間隔に対して、レンズ心厚さが0.4mm程度薄く成形された。
以上の実施例および比較例で得られた、各100枚のプラスチックレンズの側面の凹みの発生状況を、目視により確認した。確認は、凹み具合を以下に示す3つのランクに層別した。その結果を表1に示す。
○;凹みが一つもないレンズ。
△;部分的に凹みがあるレンズ。
×;全周に凹みがあるレンズ。
Figure 2006240210
表1より、成形用モールド1を形成する粘着テープ4のテープ基材の厚さが、125μm〜200μmの粘着テープ4を用いることにより、成形モールド1に注入されたレンズ原料Mの重合硬化時におけるテープシワの発生を顕著に抑制したプラスチックレンズの製造方法が得られる。
以上に示した実施形態のプラスチックレンズの製造方法によれば、レンズ仕上り外径寸法+1mmの成形型で成形することが可能となり、外周整形加工が不要であることにより、以下のような効果が得られる。
(a)プラスチックレンズ原料Mの使用量の削減;約13%。
(b)外周切削粉(廃棄物)の削減;約13%。
(c)切削紛の燃焼処理の際に生じる排気ガスの削減;13%。
(d)成形型のガラス原材料の使用量の削減;約11%。
(e)粘着テープ4の使用量の削減;約5%。
(f)外周整形加工装置が不要。
(g)外周整形加工の不要に伴い、M/C電力使用量の削減、成形されるレンズ面の傷付き等の発生がないことによる歩留向上等。
したがって、こうした効果により、製造コストが削減された廉価なプラスチックレンズを市場に提供することができる。特に、近年のプラスチックレンズの高屈折率化に伴い、プラスチックレンズ原料の重合収縮率が益々大きくなり、しかも高価であるため、プラスチックレンズ原料の節減効果は多大である。
(a)は成形用モールドの外観模式図、(b)はレンズ原料の注入前の成形用モールドの断面図、(c)は成形されたプラスチックレンズの側面図。 (a)は重合硬化された従来の成形用モールドの断面図、(b)は成形された従来のプラスチックレンズの側面図。
符号の説明
1,11…成形用モールド、2,3,12,13…成形型、4,14…粘着テープ、5…キャビティ、15…テープシワ、16…凹み、M…原料組成物としてのレンズ原料、L1,L2…プラスチックレンズ。

Claims (2)

  1. 所定の間隔で対向配置した2個の成形型の側面に粘着テープを巻いて前記成形型を固定し、前記2個の成形型と前記粘着テープとで囲まれたレンズを成形するキャビティを形成する成形型組立工程と、前記キャビティに原料組成物を注入する注入工程と、前記原料組成物を重合硬化させてプラスチックレンズを得る重合硬化工程を有するプラスチックレンズの製造方法において、
    前記粘着テープは、テープ状基材上に粘着剤層が形成された構造を有し、前記テープ状基材の基材厚が125μm〜200μmであることを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
  2. 請求項1に記載のプラスチックレンズの製造方法において、
    前記テープ状基材がポリハロゲン化ビニル、ポリエステル、ポリアミド類、ポリイミド類、あるいはポリカーボネート類のいずれかであることを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
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