JP2006229134A - 光増幅媒体とその製造方法および光増幅器 - Google Patents

光増幅媒体とその製造方法および光増幅器 Download PDF

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Abstract

【課題】 Niドープガラスを用いて、レーザ発振あるいは光増幅作用を示す波長範囲が格段に広く、その中心波長が光通信波長域にとって重要な1.1〜1.7μm帯にあるようなレーザあるいは光増幅器に使用できる光学特性を備えた広帯域光増幅媒体および光増幅器を提供する。
【解決手段】(a)SiO2が40モル%以上、(b)Li2Oが40モル%以下、(c)Ga23とLi2Oを合わせた組成分が15モル%以下で、(a)(b)(c)の合計が100モル%となる組成のガラスを使用し、発光種として添加したNiを取り込む微小領域だけを限定的に結晶化する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発光種としてNiを添加したガラスを用いた広帯域光増幅媒体とその製造方法および光増幅器に関し、たとえば光計測、光加工、光通信などに応用される。
ガラス中に含有せしめた発光イオンの誘導放出を利用した光増幅器としては、発光種イオンとして希土類元素のNd、Er、Pr等を用いたものが提案されている。しかしながら、これらの発光媒質は全て希土類イオンであり、その誘導放出はマトリックスガラスとの相互作用の小さい4f軌道電子間に基づくため、増幅可能波長域が狭いという問題があった。
一方、本発明で提案する遷移金属元素のNiイオンは、誘導放出としてマトリックスガラスとの相互作用の大きい3d軌道電子間に基づくため、増幅波長域の拡大が望める。
従来、遷移金属イオンによる光通信への応用は、主としてCrイオンを中心に展開され、これまでにCr3+、Cr4+イオンをドープしたYAGまたはY2SiO5およびMg2SiO4等の単結晶レーザの実用例や、Cr4+を発光イオン種に用いた本発明者等による光通信用光増幅器の提案(特許文献1,2)等があるものの、その数は極めて少なく、現状は今後の研究開発の進展が強く待たれている段階にある。また、その他の遷移金属イオンに至っては、その多くが研究途上にあり、光増幅器への誘導放出の応用例はほとんどないといって良い。
一般に、光増幅用活性イオン種として遷移金属イオンの適用を阻む理由は、遷移金属活性イオン種の不安定性と、熔融ガラスをファイバに加工するファイバ製造技術の困難性とにある。これらの問題を解決するには、前者では遷移金属が構成する多価イオン中から酸化ポテンシャルの高い活性イオンを合成する技術の確立を、後者ではホストガラス組成の熱的安定性および化学的安定性を改善し、光通信媒体用への光ファイバ製造技術の確立を図るという技術的な課題がある。
上述したCr4+イオンによるYAGまたはY2SiO5およびMg2SiO4等の単結晶レーザの実用例は、いずれも結晶格子中にCrイオンを含有させたものであり、光通信媒体用の光ファイバあるいは所定の光導波路に加工できないという欠点がある。
遷移金属イオンの光通信への応用は、イオン価数制御技術の確立とともにホストガラスの熱的安定性および化学的安定性の確立がキーポイントになる。
遷移金属イオンドープガラスについてはこれまでに多くの実用例があるが、そのほとんどは着色応用が中心であり、光通信への応用例は極めて少ない。Niドープガラスに関しても、報告されている実用例はいずれもNi2+の着色応用に関連したものであり、本発明が提案するNiドープガラスによる光増幅器の応用については、本発明者等による特許文献3が先行例としてあるが、それ以外の先行例はほとんどなかった。
また、非特許文献1に、Cr3+を添加したLi2O−Ga23−SiO2ガラスでCr3+の発光が起こることが述べられているが、Ni2+の添加で発光が起こることは述べられていないし、最適なホストガラス組成領域も言及されていない。
本発明に係るNiドープガラスは、ホストガラス中にNiを含んだ微結晶粒(大きさは数nmから数十nm)を生成させ、この微結晶中のNiイオンによる誘導放出を利用してレーザあるいは光増幅器を招来するものであり、従来、報告されているNiドープガラスとは発光イオン種および発光形態(発光条件)とその応用目的が大きく異なる。
本発明は、レーザあるいは光増幅特性を具備するガラス組成物を用いた広帯域光増幅媒体とその製造方法および光増幅器に関するものである。
特願平7−118080号 特願平7−118081号 特開2000−53442 I.YAMAGUCHI et al., J. Mater, Science, vol.31 133541, 1996.
一般に、ドーパントの電子状態制御は、ホストガラス組成と、ガラス合成時およびその後に行われる再加熱処理により行われる。Niイオンも他の発光種イオンと同様に、ホストガラス組成やガラス合成時の雰囲気ガスにより種々の価数状態を形成するが、Niイオンの場合、Ni2+の酸化ポテンシャルが格段に高いため、酸化還元平衡条件を制御させても、ガラス中に形成されるNiイオンのほとんどはNi2+である。
いずれにせよ、従来のNiドープガラスは、特許文献3に提案のものも含めて、レーザや光増幅などへの応用を考慮した場合、発光効率および発光波長帯域が共に不十分であった。
本発明の目的は、Niドープガラスを用いて、レーザ発振あるいは光増幅作用を示す波長範囲が格段に広く、その中心波長が光通信波長域にとって重要な1.1〜1.7μm帯にあるようなレーザあるいは光増幅器に使用できる光学特性を備えた広帯域な光増幅媒体とその製造方法および光増幅器を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段(1)〜(8)を提供する。
(1) 発光種としてNiを添加したガラスを用いた光増幅媒体であって、上記Niが添加されたホストガラスは、
(a)SiO2が40モル%以上、
(b)Li2Oが40モル%以下、
(c)Ga23とLi2Oを合わせた組成分が15モル%以下で、
(a)(b)(c)の合計が100モル%となる組成を有し、上記Niを取り囲む微小領域だけが限定的に結晶化された透明ガラスであることを特徴とする光増幅媒体。
(1) 上記手段(1)において、上記Niが添加されたホストガラスは、
(a)SiO2が40モル%以上、
(c)Ga23とLi2Oを合わせた組成分が15モル%以下で、
(a)と(c)の合計が100モル%となる組成を有し、上記Niを取り囲む微小領域だけが限定的に結晶化された透明ガラスであることを特徴とする光増幅媒体。
(3)上記手段(1)または(2)において、Niの添加量が1重量%以下であることを特徴とする光増幅媒体。
(4)上記手段(1)〜(3)のいずれかに記載の光増幅媒体をコアとする光ファイバを用いたことを特徴とする光増幅媒体。
(5)上記手段(1)または(2)に記載の組成を有するガラスを、そのガラス転移温度以上で結晶成長温度以下の温度でアニールすることを特徴とする広帯域光増幅媒体の製造方法。
(6)上記手段(5)において、上記手段(1)または(2)に記載の組成を有するガラスを用いて所定の光導波路を作製した後、上記ガラスをそのガラス転移温度以上で結晶成長温度以下の温度でアニールすることを特徴とする広帯域光増幅媒体の製造方法。
(7)上記手段(5)において、上記手段(1)または(2)に記載の組成を有するガラスをコアとする光ファイバを作製し、この光ファイバの作成後に、コアガラス転移温度以上で結晶成長温度以下の温度でアニールすることを特徴とする光増幅媒体の製造方法。
(8)上記手段(1)〜(6)のいずれかに記載の光増幅媒体を用いた光増幅器であって、励起光源として波長0.6μmから1.4μmの光を用いることを特徴とする広帯域光増幅器。
本発明の上記以外の目的および構成については、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
上記手段(1)によれば、発光種であるNiをLi2O−Ga23−SiO2のガラス結晶中で高効率に光誘導放出を行わせることができるとともに、ガラスの結晶化はNiを含む微小領域(ナノサイズの領域)だけであって、ガラス全体は結晶化していないことにより、ガラスの透明度を確保して広帯域かつ高効率の動作に適した増幅媒体が可能になる。また、そのための微小領域での結晶化(ナノ結晶化)が可能である。
これにより、Niドープガラスを用いて、レーザ発振あるいは光増幅作用を示す波長範囲が格段に広く、その中心波長が光通信波長域にとって重要な1.1〜1.7μm帯にあるようなレーザあるいは光増幅器に使用できる光学特性を備えた広帯域光増幅媒体が可能になる。上記手段(2)〜(4)は上記効果をさらに高める上でそれぞれに有効である。
また、上記手段(5)〜(7)によれば、上記手段(1)〜(4)の広帯域光増幅媒体を種々の利用形態にて好状態で効率的に作製することができる。
さらに、上記手段(8)によれば、たとえば既存の高出力半導体レーザを用いてレーザ発振や光増幅を高効率に行わせることができる。たとえば、光通信におけるレーザ発振や光増幅では、その励起光源として発振波長が0.6μmから1.4μmの間の半導体レーザが使用され、さらにその波長範囲内で高出力のものが数多く提供されているが、これをそのまま本発明品で活用することができる。
上記以外の作用/効果については、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
本発明者等は、前記目的を達成するため、遷移金属イオンを活性イオンとするガラスの発光作用を検討していたところ、SiO2−Ge23−Li2Oを組成とする多成分ガラスにNiを添加し、大気または酸素ガスとH2、He、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスのうちから選ばれる少なくとも1種のガスとの混合ガスによる酸化還元平衡の制御によりガラス合成とアニールを行ったところ、発光波長範囲が1.1〜1.7μm帯のブロードな発光特性を発現することを見出した。
これらのガラス組成物では、1.1〜1.7μmの範囲の広い波長帯域で強い発光が得られ、これを光増幅器に構成すれば、これまでになく波長範囲の広い光増幅が可能である。
また、従来のNi添加ZnO−Al23−SiO2系ガラスの発光と比較して10倍以上の発光効率を持っていることが確認できた。
すなわち、本発明は、SiO2−Ge23−Li2Oガラス組成物中にNiイオンを添加して含有させ、これを大気等の酸素雰囲気ガス中でガラス合成することにより、ガラスに具備されるNiイオンによる広帯域発光特性を用いて、実用通信波長に適用可能な1.1〜1.7μmの広帯域な光増幅器を提供することができる。
以下、さらに本発明を詳細に説明する。
[[ガラス組成]]
本発明の光増幅媒体を構成する基本的なガラス組成物の組成領域[A]は次の通りである。
(a)SiO2が40モル%以上、
(b)Li2Oが40モル%以下、
(c)Ga23とLi2Oを合わせた組成分が15モル%以下で、
(a)(b)(c)の合計が100モル%となる。
これを基本組成とする。
図1はこの組成領域[A](斜線部分)を示す。
上記の基本組成のうち、ナノ結晶化がうまく進み、とくに量子効率のよい特性を実現する組成領域[B]は次の通りである。
(a)SiO2が40モル%以上、
(c)Ga23とLi2Oを合わせた組成分が15モル%以下で、
(a)と(c)の合計が100モル%となる。
図2はこの組成領域[B](網目部分)を示す。
上記組成にNiが添加されたガラスを加熱してアニールすることにより、Niを含む微小領域に粒径が10nm前後の微結晶を生成させることができる。この微結晶はNiが結晶種となったかのように、Niを取り囲んだ微小領域に限定的に形成される。Niはその微結晶中に取り込まれた状態で高効率に励起・発光することができる。
この場合、ガラスには微結晶が生成されるが、その微結晶はNiを取り囲んだナノサイズの極小領域だけに生成され、ガラス全体としての結晶化は行われないので、ガラスの透明性は失われない。この透明性は光増幅媒体としての適性を備える上で極めて重要な要件である。
ガラス合成は、雰囲気ガスとして酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを用い、酸素濃度の制御下で行い、ガラス中にNi2+を生成させる。次いで行うアニールにより、LiGa58の結晶(微結晶)を析出させ、この結晶にNiを取り込ませる。これにより、Ni2+が光学的に活性化され、室温で広帯域の発光が起きるようになる。
図3は、ガラス10中に析出した微結晶12中にNi11が取り込まれた状態を模式的に示す。同図に示すように、ガラス10中には、Ni11だけを取り囲むように微小な結晶12が析出・生成されている。各微結晶12の粒サイズdは数nmから数十nmであって、ガラス10の透明度に影響しない。つまり、ガラス10の透明性を確保できるような結晶12が、そのガラス10中に限定的に生成されている。
アニール時の雰囲気ガス組成は、雰囲気中の酸素分圧を制御する必要はとくになく、大気ガスまたは1〜100%酸素雰囲気ガスでよい。アニール時間は0.5時間から15時間程度で、アニール温度は650℃から700℃程度がよい。
アニール時間が上記よりも長いとガラスの結晶化が進み過ぎて透明度が悪くなる。また、アニール温度が650℃未満だと結晶化(微結晶の析出)が進み難く、700℃を超えると結晶化が進み過ぎてガラスの光透過性が悪くなってしまう。
図4は、本発明に係るガラスの示差走査熱量(Differential Scanning Calorimetry:DSC)曲線を示す。ガラス透明度を確保しながらNiを取り込む微結晶だけを限定的に析出させるためには、同図に示すように、ガラス転移温度以上で結晶化温度(結晶成長温度)以下でアニールを行うとよい。
図5は、アニール前とアニール後のガラス10の内部状態変化を模式的に示す。同図に示すように、アニール前は、添加されたNi11がガラス10中に分散しているだけであるが、アニール後は、そのNiが結晶種となったかのように微結晶(サイズd=数nm〜数十nm)12が析出している。この微結晶12中に取り込まれたNi11は広帯域かつ高効率の発光が可能である。
アニールは、ガラスを光導波路に加工する前の材料段階で行ってもよいが、所定の光導波路を作製した後で行うことができる。光導波路の作製後であれば、同じ材料を使用しても、その光導波路の形状や使用目的等に応じた最適条件でアニールを行うことができる。あるいは、最終製品ごとに最適なアニール条件を設定することができる。たとえば、上記組成を有するガラスをコアとする光ファイバを作製する場合は、その光ファイバの作成後に、コアガラス転移温度以上で結晶成長温度以下の温度でアニールを行うとよい。
図6は、組成領域[B]のガラスを用いた光増幅媒体の発光スペクトル特性を示す。この光増幅媒体は、組成領域[B]のガラスにNiを添加し、このNi添加ガラスにアニールを行ったものであって、波長1.06μmのYAGレーザで励起したときの室温での発光スペクトルは1100nmから1700nmの広範囲に及んだ。
[実施例1]
組成領域[B]を有するガラス組成物を以下の方法により合成した。
まず、ホストガラスのガラス原料であるSiO2、Ga23、Li2O等の酸化物粉末を秤量した後、ドーパント剤であるNiO酸化物を上記ホストガラス組成原料に1000ppm重量%加えた。これを瑪瑙乳鉢中で十分に混合した後、所定の量を白金製の坩堝に入れ、雰囲気ガスに大気ガスを用い、このガス気流中の電気炉にて、室温から2℃/min〜20℃/minの昇温速度で加熱し、1000℃で1時間保持してガラス原料中の水分および吸着酸素を脱気させた後、2℃/min〜20℃/minの昇温速度で1500〜1600℃まで加熱制御した。同温度で60〜90分間保持し、熔融合成した。熔融合成したガラス融液は鉄板上に流し出し、室温まで自然冷却した。
次に、雰囲気ガスを空気ガスまたは酸素ガスとする電気炉中において650〜700℃で10時間保持し、その後、室温まで徐冷した。徐冷したガラスは10mm×20mm×2mmの板状に切り出し、切削面を6000番相当まで研磨した。
[[発光特性]]
合成したNiドープガラスの蛍光測定は、発振波長が1.06μmのYAGレーザ光を励起光に用い、冷却Geを検出器とした分光光学系を用いて行った。1100〜1700nmまでの波長範囲を測定したところ、図6に示すような蛍光スペクトル(発光スペクトル)が得られた。
ここで、Niの濃度を1重量%以上にすると、濃度消光が激しく起こり、レーザ媒質としては不適であることが判った。Ni濃度を1000ppm重量%としたとき、量子効率は9%以上あり、従来知られているZnO−Al23−SiO2系のガラスよりも10倍以上の量子効率を得られることが判った。また、量子効率をできるだけ高く保つには、Niの濃度が5000ppm重量%以下であることが望ましいことが、量子効率の測定により判った。5000ppm重量%以下では量子効率を5%以上に保てた。
[[レーザ特性]]
合成したガラスを直径2mm、長さ20mmに切断後、端面を研磨して中心波長1.4μmの狭帯域フィルタを備えたレーザ共振器内に固定した。片側より1.06μmのYAGレーザ光を200mW入射したところ、100mWの出力が得られた。この時の発振波長は1.4μm、線幅は0.01μm以下であった。また、組成領域[B]のガラス組成物は何れもレーザ発振した。
[[光ファイバ製造および光増幅]]
ロッドインチューブ法を用いて光ファイバを作製した。クラッドガラスにはNiドーパントを含まない64SiO2−23Ga23−13Li2O(モル%)組成のガラスを用い、コアガラスにはNiを1000ppm重量%添加した50SiO2−30Ga23−20Li2O(モル%)組成のガラスを用いた。この場合、コアとクラッドの屈折率差は2.5%であり、カットオフ波長は1.0μmであった。
この光ファイバ(長さ5m)を680℃で10時間アニールした後、波長1.06μmで出力500mWのレーザ光を入射したところ、1.1μmから1.7μmの波長域で5dB以上の信号利得を確認できた。
[実施例2]
実施例1では組成領域[B]のガラスを用いたが、実施例2では組成領域[A]のガラスを用いてレーザ発振および光増幅を行わせた。
コアとして50SiO2−30Ga23−20Li2O(モル%)組成のガラスにNiを1000ppm重量%添加したものを用い、クラッドとして70SiO2−10Ga23−20Li2O(モル%)組成のガラスを用いて光ファイバを作製した。この光ファイバ(長さ5m)を650℃で10時間アニールした後、励起光として波長0.98μmの光を用いたレーザ発振と、光増幅の動作をそれぞれ検証したところ、波長1.3μmでレーザ発振現象を、1.1μm〜1.7μmの波長域で光増幅現象をそれぞれ確認することができた。
図7はNi添加およびアニール後の上記ガラスの吸収スペクトルを示し、図8はそのガラス中のNiのエネルギー準位図を示す。同図に示すように、励起光としては、Ni23232遷移吸収が起こる波長600nmから1400nmの光が使用できる。しかし、あまり長波長では、3232の発光遷移(誘導放出)を引き起こすため、光増幅域は狭くなる。励起光の波長としては、高出力半導体レーザや固体レーザで得やすい800nm帯、980nm帯が実用的である。
以上、本発明をその代表的な実施例に基づいて説明したが、本発明は上述した以外にも種々の態様が可能である。たとえば、本発明はコアとクラッドからなる光ファイバ以外の光導波路にも適用可能である。たとえば、積層構造あるいは非同軸状の構造を有する光導波路を用いた光増幅やレーザに適用可能である。また、ロッドなどのバルク状態でレーザ発振や光増幅を行わせる用途にも好適に適用できる。
Niドープガラスを用いて、レーザ発振あるいは光増幅作用を示す波長範囲が格段に広く、その中心波長が光通信波長域にとって重要な1.1〜1.7μm帯にあるようなレーザあるいは光増幅器に使用できる光学特性を備えた広帯域光増幅媒体および光増幅器を得ることができる。
本発明による光増幅媒体の基本材料となるガラスの組成領域[A]を示す図である。 本発明による光増幅媒体の基本材料となるガラスのさらに好適な組成領域[B]を示す図である。 本発明による光増幅媒体の微視状態を模式適に示す図である。 本発明に係るガラスの示差走査熱量(DSC)曲線を示すグラフである。 本発明に係るガラスのアニールによる状態変化を模式的に示す図である。 本発明に係るガラスを用いた光増幅媒体の発光スペクトル特性を示すグラフである。 本発明に係るガラスを用いた光増幅媒体の吸収スペクトル特性を示すグラフである。 本発明の光増幅媒体におけるNiのエネルギー準位図である。
符号の説明
10 ガラス
11 Ni
12 微結晶
d 微結晶の粒サイズ(数nm〜数十nm)

Claims (8)

  1. 発光種としてNiを添加したガラスを用いた光増幅媒体であって、上記Niが添加されたホストガラスは、
    (a)SiO2が40モル%以上、
    (b)Li2Oが40モル%以下、
    (c)Ga23とLi2Oを合わせた組成分が15モル%以下で、
    (a)(b)(c)の合計が100モル%となる組成を有し、上記Niを取り囲む微小領域だけが限定的に結晶化された透明ガラスであることを特徴とする光増幅媒体。
  2. 請求項1において、上記Niが添加されたホストガラスは、
    (a)SiO2が40モル%以上、
    (c)Ga23とLi2Oを合わせた組成分が15モル%以下で、
    (a)と(c)の合計が100モル%となる組成を有し、上記Niを取り囲む微小領域だけが限定的に結晶化された透明ガラスであることを特徴とする広帯域光増幅媒体。
  3. 請求項1または2において、Niの添加量が1重量%以下であることを特徴とする光増幅媒体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光増幅媒体をコアとする光ファイバを用いたことを特徴とする光増幅媒体。
  5. 請求項1または2に記載の組成を有するガラスを、そのガラス転移温度以上で結晶成長温度以下の温度でアニールすることを特徴とする光増幅媒体の製造方法。
  6. 請求項5において、請求項1または2に記載の組成を有するガラスを用いて所定の光導波路を作製した後、上記ガラスをそのガラス転移温度以上で結晶成長温度以下の温度でアニールすることを特徴とする光増幅媒体の製造方法。
  7. 請求項5において、請求項1または2に記載の組成を有するガラスをコアとする光ファイバを作製し、この光ファイバの作成後に、コアガラス転移温度以上で結晶成長温度以下の温度でアニールすることを特徴とする光増幅媒体の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の光増幅媒体を用いた光増幅器であって、励起光源として波長0.6μmから1.4μmの光を用いることを特徴とする広帯域光増幅器。

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