先ず、本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示すブロック図である図1を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。放電ランプ(Ld)には、その放電始動のためのスタータ回路(Uz)が接続してある。図1の場合は、前記放電ランプ(Ld)の封体の外部に設けたトリガ電極(Et)に高電圧を印加する、いわゆる外部トリガ方式の場合を示すが、トリガ方式は、本発明の本質には無関係である。給電回路(Ux)は、前記放電ランプ(Ld)の主放電のための電極(E1,E2)を介して前記放電ランプ(Ld)に給電できるように接続する。前記給電回路(Ux)は、DC電源(Ps)からの電力を、例えば降圧チョッパや昇圧チョッパなどの方式のコンバータ(Uc)によって、前記放電ランプ(Ld)の給電に適合するように変換する機能を有する。
前記給電回路(Ux)の出力電流(IO)、すなわちランプ電流は出力電流検出手段(Ix)により検出され、出力電流検出信号(Si)が生成されて給電制御回路(Ua)に入力される。なお、前記出力電流検出信号(Si)が微弱信号である場合などは、必要に応じて増幅器などを設けるべきであるが、本発明の本質には無関係であるため省略してある。通常は、例えば前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)、すなわちランプ電圧は出力電圧検出手段(Vx)により検出され、出力電圧検出信号(Sv)が生成されて、同様に前記給電制御回路(Ua)に入力され、そして、前記給電制御回路(Ua)は、前記出力電圧検出信号(Sv)の大きさに応じて目標とする電力を実現するランプ電流の目標値を決定し、該目標値を実現するよう、ゲート駆動信号(Sg)を介して、フィードバック制御によって前記コンバータ(Uc)の能力調整を行う。
前記放電ランプ(Ld)に直列的に接続された、例えばFETから構成される電流制限素子回路(SWt)が設けられている。電流低減変調制御回路(Um)には、出力電流変調指令信号(Sq)が入力され、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、電流低減変調制御回路(Um)は、前記電流制限素子回路(SWt)が実質的に電流を制限しないよう飽和導通状態になるように、電流制限制御信号(Smt)を介して前記電流制限素子回路(SWt)を制御する。したがってこの状態では、放電ランプ点灯装置は、前記放電ランプ(Ld)を通常に点灯する。前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、前記電流低減変調制御回路(Um)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)の活性化されたときの前記出力電流検出信号(Si)の値を保持した上で、前記出力電流検出信号(Si)が、前記保持された値に1より小さい比例係数(K)を乗じた値に概ねなるように、前記電流制限素子回路(SWt)を制御する。この結果、前記給電回路(Ux)の出力電流(IO)が直ちに低減(遮断を含む)される。前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ると、前記電流低減変調制御回路(Um)は、前記電流制限素子回路(SWt)が実質的に電流を制限しないよう前記電流制限素子回路(SWt)を制御する状態に直ちに戻る。
以上述べたように、前記図1の本発明の放電ランプ点灯装置においては、ランプ電流の低減に際して、マイクロプロセッサや複雑な電力制御フィードバックループのような遅い回路の応答を待つことなく、前記出力電流変調指令信号(Sq)を活性および非活性に制御することにより、前記放電ランプ(Ld)に直列的に設けられた前記電流制限素子回路(SWt)を低減および低減解除するため、高速なランプ電流の低減および低減からの復帰が可能である。また、マイクロプロセッサやコンバータのような内部タイミングの存在する回路の応答を待つことなく動作するため、動作の遅れが最小限に抑えられ、ジッタが生じない。
前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間が短い場合は、以上述べた放電ランプ点灯装置の構成により、良好に機能するが、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間が比較的長くなる場合は、さらなる工夫を施すことが望ましい。その理由は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間においても、前記した、前記給電制御回路(Ua)は、前記出力電圧検出信号(Sv)の大きさに応じて目標とする電力を実現するランプ電流の目標値を決定し、該目標値を実現するよう、ゲート駆動信号(Sg)を介して、フィードバック制御によって前記コンバータ(Uc)の能力調整を行う動作が継続された場合、この動作と、前記電流低減変調制御回路(Um)によるランプ電流を低減する動作とが競合して、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)が上昇し、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ったときに、出力電流(IO)のオーバーシュートが生じる可能性があるからである。ただし、前記した、前記給電制御回路(Ua)は、前記出力電圧検出信号(Sv)の大きさに応じて目標とする電力を実現するランプ電流の目標値を決定し、該目標値を実現するよう、ゲート駆動信号(Sg)を介して、フィードバック制御によって前記コンバータ(Uc)の能力調整を行う動作は、系の安定のため、可能な限り動作速度を遅くしているため、前記したように、通常は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間が短い場合は問題にならない。
前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間が比較的長くなる場合は、前記した、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間において、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)が上昇しないよう、前記コンバータ(Uc)の動作を停止させることが、最も簡単で有効な方法である。何となれば、通常は、前記コンバータ(Uc)の出力段には、出力電圧を安定化するための平滑コンデンサが設けられており、この静電容量を十分大きく設定しておけば、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間における低減されたランプ電流を、この平滑コンデンサから供給することができるからである。ただし、この方法の場合は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ったときの前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間の長さや、その期間における出力電流(IO)の大きさに依存して、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化される直前よりも若干低下しているため、この低下分による出力電流(IO)の低下を回復させるための時間を要することになる。
前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間の長さや、その期間における出力電流(IO)の大きさに依存せずに、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ったときに、出力電流(IO)のオーバーシュートが生じたり、低下から回復するために時間を要する可能性がある点を改良するには、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間においても、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)が変化しないようにすることが効果的である。これを実現する構成として、前記給電制御回路(Ua)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、前記した、前記給電制御回路(Ua)は、前記出力電圧検出信号(Sv)の大きさに応じて目標とする電力を実現するランプ電流の目標値を決定し、該目標値を実現するために、前記出力電流検出信号(Si)に対する制御目標値を示す出力電流目標信号(St)と前記出力電流検出信号(Si)との差異が小さくなるように、前記ゲート駆動信号(Sg)を生成し前記コンバータ(Uc)を制御し、そして、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、前記出力電圧検出信号(Sv)と、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電圧検出信号(Sv)との差異が小さくなるように、前記ゲート駆動信号(Sg)を生成し前記コンバータ(Uc)を制御するようにすればよい。
前記した、前記出力電圧検出信号(Sv)と、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電圧検出信号(Sv)との差異が小さくなるように制御する具体的な回路としては、例えば、広義には、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときに、前記出力電圧検出信号(Sv)をホールドした上で、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、制御目標信号が前記出力電流目標信号(St)、制御対象信号が前記出力電流検出信号(Si)であったものを、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、制御目標信号が前記した出力電圧検出信号(Sv)がホールドされた信号、制御対象信号が前記出力電圧検出信号(Sv)となるように、制御目標信号と制御対象信号を切換える構成とする。
これにより、前記給電制御回路(Ua)の前記コンバータ(Uc)の能力調整に対するフィードバック制御機能によって、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、前記出力電圧検出信号(Sv)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの値が維持されることができるようになる。したがって、このように構成した本発明の放電ランプ点灯装置においては、前記出力電流変調指令信号(Sq)を活性および非活性に制御することにより、高速なランプ電流の低減および低減からの復帰が可能である上に、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性である期間の長さや、その期間における出力電流(IO)の大きさに依存せずに、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ったときに、出力電流(IO)のオーバーシュートが生じたり、低下から回復するために時間を要する点を改良することが可能である。
放電ランプの仕様に依存するが、ランプ電流の遮断時間には限度があり、それを超えて遮断を行った場合には、ランプが消灯したまま、遮断解除しても復帰できない現象が起こる。また、ランプ電流の低減の場合でも、低減率、もしくは低減率に依存した低減状態の継続期間には限度があって、それを超えてランプ電流の低減を行った場合には、放電の立ち消えが起こって消灯してしまい、同様に復帰できない現象が起こる。例えば、電極間距離が2mm以下、封入水銀量が1立方ミリメートルあたり0.15mg以上、封入ハロゲン量が1立方ミリメートルあたり10のマイナス6乗からマイナス2乗マイクロモルの仕様を有する高圧水銀ランプのランプ電流を遮断する場合、4msが限度となる。
このような現象が発生する可能性のあるような条件でランプ電流の低減や遮断を行う必要がある場合には、前記図1において破線で示されているように、前記放電ランプ(Ld)に印加される電圧を一時的に高めるための一時昇圧手段(Uh)を設けることにより、この現象を回避することができる。前記電流低減変調制御回路(Um)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ったときに、前記したように前記電流制限素子回路(SWt)を低減解除するとともに、前記一時昇圧手段(Uh)を動作させるための一時昇圧手段トリガ信号(Smh)を活性化するように構成するならば、前記放電ランプ(Ld)には、低減解除により前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)に加えて、前記一時昇圧手段(Uh)の作用により昇圧された電圧が印加される。
このときに印加すべき電圧に関する条件は、ランプの仕様や前記電流制限素子回路(SWt)の低減率や時間に依存するが、前記した無負荷開放電圧の程度のピーク電圧を有する、半値幅100ns程度のパルス電圧でも有効である。例えば、前記した仕様を有する高圧水銀ランプでは、典型的な定常ランプ電圧が100V程度、典型的な無負荷開放電圧が300V程度であるから、もし前記一時昇圧手段(Uh)を設置しない場合は、前記電流制限素子回路(SWt)の低減解除時にランプに印加される電圧は100V程度になるが、これを、前記一時昇圧手段(Uh)を設置して300V程度の電圧を印加することになり、効果は非常に大きい。
前記電流制限素子回路(SWt)は、言わば可変抵抗であるため、これに電流を流している期間は、電力が消費され発熱する。前記出力電流変調指令信号(Sq)が時間幅の短いパルスであることを前提として、前記電流制限素子回路(SWt)の放熱設計が行われているものにおいて、もし何らかの原因により、前記出力電流変調指令信号(Sq)の活性状態の期間が異常に長くなったり、異常な高頻度で活性状態になったりした場合には、前記電流制限素子回路(SWt)は、内部の温度上昇が過大になって破損する可能性がある。このような現象は、例えば、前記出力電流変調指令信号(Sq)が放電ランプ点灯装置の外部から供給されるものの場合に発生し易いと考えられる。
この問題から前記電流制限素子回路(SWt)を保護するための、出力電流変調指令信号補正回路(Uy)の構成を図2に示す。外部から供給される、正論理の原出力電流変調指令信号(Sqe)が活性化すると、バッファ(Gy01)を介し、またダイオード(Dy1)および充電抵抗(Ry1)を介してコンデンサ(Cy1)を充電する。前記原出力電流変調指令信号(Sqe)の活性状態の期間が長いほど、また頻度が高いほど前記コンデンサ(Cy1)の電圧は高くなる。逆に、前記原出力電流変調指令信号(Sqe)の非活性状態では、ダイオード(Dy2)および放電抵抗(Ry2)を介して前記コンデンサ(Cy1)を放電する。前記原出力電流変調指令信号(Sqe)の非活性状態の期間が長いほど、また頻度が高いほど前記コンデンサ(Cy1)の放電は進み、電圧は零ボルトに漸近する。
この回路は、前記コンデンサ(Cy1)の電圧が前記電流制限素子回路(SWt)の内部温度上昇値に対応づけられたシミュレーションモデルと考えられる。したがって、前記コンデンサ(Cy1)の静電容量と、前記充電抵抗(Ry1)および前記放電抵抗(Ry2)の抵抗値を適当に定めた上で、前記電流制限素子回路(SWt)の内部温度上昇値の上限値に対応する電圧を有する基準電圧信号源(Vy1)の電圧と、前記コンデンサ(Cy1)の電圧とを比較器(Cmy1)を用いて比較し、前記コンデンサ(Cy1)の電圧が前記基準電圧信号源(Vy1)の電圧より低い場合のみ、前記比較器(Cmy1)がハイレベルの信号を出力するように構成することができる。そして、ゲート回路(Gy02)によって、前記比較器(Cmy1)と前記原出力電流変調指令信号(Sqe)との論理積をとるように構成する。
このような回路構成により、前記電流制限素子回路(SWt)の内部温度上昇値が上限値以下であれば前記原出力電流変調指令信号(Sqe)は、そのまま出力電流変調指令信号(Sq)として伝達され、前記電流制限素子回路(SWt)の内部温度上昇値が上限値以上であれば、非活性化された出力電流変調指令信号(Sq)しか生成されないように動作するため、前記出力電流変調指令信号(Sq)の活性状態の期間が異常に長くなったり、異常な高頻度で活性状態になったりすることがなく、前記電流制限素子回路(SWt)の保護が達成される。
前記問題から前記電流制限素子回路(SWt)を保護するための、他の出力電流変調指令信号補正回路(Uy)の構成を図3に示す。外部から供給される、正論理の原出力電流変調指令信号(Sqe)は、予め定めた活性状態の継続時間の上限値に相当する、所定時間幅(τw)の正論理のパルス信号(Sqe’)を発生する、例えばモノステーブルマルチバイブレータによって構成された、タイマ回路(TMy1)に入力される。前記タイマ回路(TMy1)は、入力信号の立上りでトリガされて動作するものとしている。また、前記パルス信号(Sqe’)は、予め定めた非活性状態の継続時間の下限値に相当する、所定時間幅(τp)の負論理のパルス信号(Sqe”)を発生するタイマ回路(TMy2)に入力される。前記タイマ回路(TMy2)は、入力信号の立下りでトリガされて動作するものとしている。そして、前記原出力電流変調指令信号(Sqe)は、ゲート回路(Gy11)によって、前記パルス信号(Sqe”)との論理積をとられ、前記出力電流変調指令信号(Sq)が生成される。
前記図3の回路に関するタイミング図の一例を図4に示す。前記原出力電流変調指令信号(Sqe)のパルス(Pe1,Pe2,Pe4)は、前記パルス信号(Sqe”)がハイレベルの期間内に完結しているため、そのまま前記出力電流変調指令信号(Sq)のパルス(Po1,Po2,Po4)として出力される。前記原出力電流変調指令信号(Sqe)のパルス(Pe3,Pe6)は、予め定めた活性状態の継続時間の上限値を超えていることに起因して、前記パルス信号(Sqe”)がハイレベルの期間を超えている部分があるため、超えた部分が削られて、前記出力電流変調指令信号(Sq)のパルス(Po3,Po6)として出力される。前記原出力電流変調指令信号(Sqe)のパルス(Pe5)は、予め定めた非活性状態の継続時間の下限値を待たずに発生していることに起因して、前記パルス信号(Sqe”)がハイレベルとなる前の期間に存在するため、前記出力電流変調指令信号(Sq)においては、全体が削除されている。
このように、予め定めた上限値や下限値についての条件から外れる前記原出力電流変調指令信号(Sqe)のパルスの部分またはパルス全体が削除され、削除された部分に対応する期間については、前記電流制限素子回路(SWt)に電流を流さないように制御されるため、前記電流制限素子回路(SWt)の保護が達成される。
なお、前記図3の回路は、前記原出力電流変調指令信号(Sqe)の活性状態の継続時間が予め定めた上限値を超える期間を削除した前記出力電流変調指令信号(Sq)とする機能と、前記原出力電流変調指令信号(Sqe)の活性状態の発生頻度が予め定めた上限値を超える期間を削除した前記出力電流変調指令信号(Sq)とする機能との両方を備えるように構成してあるが、もし前者の機能が不要の場合は、前記タイマ回路(TMy1)を削除し、前記原出力電流変調指令信号(Sqe)を前記タイマ回路(TMy2)に直接入力するようにすればよく、もし前者の機能が不要での場合は、前記タイマ回路(TMy2)を削除し、前記タイマ回路(TMy1)の出力である前記パルス信号(Sqe’)を前記ゲート回路(Gy11)に直接入力するようにすればよい。
ところで、ここでは、予め定めた非活性状態の継続時間の下限値に関連する前記タイマ回路(TMy2)を用いた制御を行うことによって、活性状態の発生頻度が予め定めた上限値を超える前記原出力電流変調指令信号(Sqe)に対する前記電流制限素子回路(SWt)の保護を行うものとしているが、活性状態の発生頻度が高いほど、非活性状態の継続時間が短くなるため、前記図3の回路によって、前記した活性状態の発生頻度が予め定めた上限値を超える前記原出力電流変調指令信号(Sqe)に対する前記電流制限素子回路(SWt)の保護が達成されていることがわかる。このように、結果的に前記原出力電流変調指令信号(Sqe)の活性状態の発生頻度が予め定めた上限値を超える期間が存在する場合の保護ができるならば、前記原出力電流変調指令信号(Sqe)の頻度に相関する任意の量に基づいた制御が適用できる。
次に、発明を実施するための形態について、より具体的な構成を示した図面を用いて説明する。図5は、DC駆動方式による、前記図1に対応した、本発明の放電ランプ点灯装置の構成の、簡略化された一例を示すものである。
本発明の放電ランプ点灯装置において、降圧チョッパによるコンバータ(Uc)を基本とした給電回路(Ux)は、端子(T11,T12)からPFC等のDC電源より電圧の供給を受けて動作し、放電ランプ(Ld)への給電量調整を行う。前記給電回路(Ux)においては、FET等のスイッチ素子(Qx)によってDC電源よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(Lx)を介してコンデンサ(Cx)に充電が行われ、いま、電流制限素子回路(SWt)のスイッチ素子(Qs)がオン状態である場合を考えれば、この電圧が放電ランプ(Ld)に印加され、放電ランプ(Ld)に電流を流すことができるように構成されている。ここで、前記スイッチ素子(Qs)には、過電圧保護用のコンデンサ(Ct)が並列に設けられている。
なお、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間は、スイッチ素子(Qx)を通じた電流により、直接的にコンデンサ(Cx)への充電と負荷である放電ランプ(Ld)への電流供給が行われるとともに、チョークコイル(Lx)に磁束の形でエネルギーを蓄え、前記スイッチ素子(Qx)がオフ状態の期間は、チョークコイル(Lx)に磁束の形で蓄えられたエネルギーによって、フライホイールダイオード(Dx)を介してコンデンサ(Cx)への充電と放電ランプ(Ld)への電流供給が行われる。
前記降圧チョッパ型の給電回路(Ux)においては、前記スイッチ素子(Qx)の動作周期に対する、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間の比、すなわちデューティサイクル比により、前記放電ランプへの給電量を調整することができる。ここでは、あるデューティサイクル比を有するゲート駆動信号(Sg)が給電駆動回路(Ug)によって生成され、ゲート駆動回路(Gx)を介して、前記スイッチ素子(Qx)のゲート端子を制御することにより、前記したDC電源よりの電流のオン・オフが制御される。
スタータ回路(Uz)においては、抵抗(Rz)を介して、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)によってコンデンサ(Cz)が充電される。例えば、後述するマイクロプロセッサユニット(Mpu)などで生成されるトリガ信号(Sz)を受けてゲート駆動回路(Gz)を活性化すると、サイリスタ等よりなるスイッチ素子(Qz)が導通することにより、前記コンデンサ(Cz)がトランス(Tz)の1次側巻線(Pz)を通じて放電し、2次側巻線(Hz)に高電圧パルスを発生する。スタータ回路(Uz)の2次側巻線(Hz)に発生した高電圧は、放電ランプ(Ld)のトリガ電極(Et)に印加され、前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間の放電を始動することができる。
前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間を流れるランプ電流、すなわち前記給電回路(Ux)の出力電流(IO)と、電極(E1,E2)間に発生するランプ電圧、すなわち前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)とは、出力電流検出手段(Ix)と、出力電圧検出手段(Vx)とによって、検出できるように構成される。なお、前記出力電流検出手段(Ix)については、シャント抵抗を用いて、また前記出力電圧検出手段(Vx)については、分圧抵抗を用いて簡単に実現することができる。前記出力電流検出手段(Ix)よりの出力電流検出信号(Si)、および前記出力電圧検出手段(Vx)よりの出力電圧検出信号(Sv)は、給電制御回路(Ua)に入力される。
図6は、前記給電制御回路(Ua)の簡略化された構成を示すものである。該給電制御回路(Ua)は、主として電力制御回路(Up)および能力制御回路(Ud)から構成される。前記出力電圧検出信号(Sv)は、前記電力制御回路(Up)のなかのAD変換器(Adc)に入力されて、適当な桁数を有するディジタルのランプ電圧データ(Sxv)に変換され、マイクロプロセッサユニット(Mpu)に入力される。ここで、マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、CPUやプログラムメモリ、データメモリ、クロックパルス発生回路、タイムカウンタ、ディジタル信号の入出力のためのIO制御器などを含む。
マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記ランプ電圧データ(Sxv)を参照した計算や、その時点の系の状態に応じた条件判断に基づき、後述する能力制御回路(Ud)のための、チョッパ能力制御目標データ(Sxt)を、例えば定期的に更新する。前記チョッパ能力制御目標データ(Sxt)は、DA変換器(Dac)によって、アナログの出力電流目標信号(St)に変換され、能力制御回路(Ud)に入力される。
さらに、許容されるランプ電流の上限値を規定するためのランプ電流上限信号(Sk)が、ランプ電流上限信号発生回路(Usk)により発生され、能力制御回路(Ud)に入力される。
前記能力制御回路(Ud)内においては、前記出力電流目標信号(St)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad1)とダイオード(Dd1)を介して、さらに、前記ランプ電流上限信号(Sk)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad2)とダイオード(Dd2)を介して、ともにプルアップ抵抗(Rd1)の一端に接続され、チョッパ駆動目標信号(Sd2)が生成される。なお、前記プルアップ抵抗(Rd1)の他端は適当な電圧を有する基準電圧源(Vd1)に接続される。したがって前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、前記出力電流目標信号(St)に対応する信号(Sd3)または前記ランプ電流上限信号(Sk)に対応する信号(Sd4)のうちの、何れか大きくない方が選択された信号となる。
すなわち、前記電力制御回路(Up)が、例えば、定格電力に対応する定数を前記ランプ電圧データ(Sxv)で除算して、定格電力を達成するためのランプ電流の値を算出し、この値に対応するものとして生成するなど、何らかの方法で前記出力電流目標信号(St)を生成したとして、仮にこれが不適当であった場合でも、前記能力制御回路(Ud)内において、ハードウェア的に、ランプ電流が前記ランプ電流上限信号(Sk)を超えないように、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)が制限されることになる。
因みに、前記したAD変換器(Adc)やマイクロプロセッサユニット(Mpu)を介した制御は、動作速度が遅い(もしくは速いものとすると高コストとなる)ため、例えばランプの放電状態が急変するなどの事態が生じた場合には、その動作遅れによって、前記した出力電流目標信号(St)の不適当が発生し得るため、このような電流制限機能をハードウェア的に構成することは、ランプや給電装置の保護の観点からも有益なことである。
一方、前記出力電流検出信号(Si)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad3)とダイオード(Dd3)を介して、一端がグランド(Gndx)に接続されたプルダウン抵抗(Rd5)の他端に接続され、制御対象信号(Sd5)が生成される。
さらに、前記出力電圧検出信号(Sv)は、比較器(Cmv)によって、前記した無負荷開放電圧に対応する電圧を有する基準電圧源(Vd2)の電圧と比較され、もし、前記出力電圧検出信号(Sv)が、無負荷開放電圧より高い場合は、トランジスタ(Qd1)がオフまたは能動状態になり、適当な電圧源(Vd3)から、抵抗(Rd4)とダイオード(Dd4)を介して、前記プルダウン抵抗(Rd5)に電流を流すことにより、前記制御対象信号(Sd5)の水準を上げるように動作する。逆に前記出力電圧検出信号(Sv)が、無負荷開放電圧より低い場合は、前記トランジスタ(Qd1)がオン状態になるため、前記電圧源(Vd3)からの電流は短絡され、前記制御対象信号(Sd5)は、前記出力電流検出信号(Si)に対応するものとなる。何となれば、前記のプルダウン抵抗(Rd5)とダイオード(Dd3)、ダイオード(Dd4)よりなる回路は、各ダイオードのアノード側の信号(Sd6)と信号(Sd7)の何れか小さくない方に対応する電圧が選択されてプルダウン抵抗(Rd5)に発生するからである。
このように構成したことにより、たとえ出力電流がほとんど停止して、前記出力電流検出信号(Si)がほとんど入らない状態であっても、前記出力電圧検出信号(Sv)が、前記無負荷開放電圧より高くなろうとすると、前記制御対象信号(Sd5)が急速に上昇することにより、出力電圧(VO)は、概略無負荷開放電圧以下に、常にハードウェア的に制限される。
前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)で分圧されて、演算増幅器(Ade)の反転入力端子に入力される。一方、前記制御対象信号(Sd5)は、抵抗(Rh1)を介して前記演算増幅器(Ade)の非反転入力端子に入力される。そして、前記演算増幅器(Ade)の出力信号、すなわち能力信号(Sd1)は、積分コンデンサ(Cd1)とスピードアップ抵抗(Rd6)を介して反転入力端子にフィードバックされているため、前記演算増幅器(Ade)は、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)の抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)による分圧電圧に対する、前記制御対象信号(Sd5)の電圧の差を積分する、誤差積分回路としてはたらく。
時定数を決めるための抵抗(Rd0)とコンデンサ(Cd0)が接続された発振器(Osc)は、図7のaに示すような鋸歯状波信号(Sd0)を発生し、この鋸歯状波信号(Sd0)と、前記誤差積分回路の出力である前記能力信号(Sd1)とは、比較器(Cmg)で比較される。ただし比較に際しては、前記能力信号(Sd1)に対してオフセット電圧(Vd4)を加えた信号(Sd8)と前記鋸歯状波信号(Sd0)とが比較される。前記鋸歯状波信号(Sd0)の電圧が前記信号(Sd8)の電圧よりも高い期間においてハイレベルとなる前記ゲート駆動信号(Sg)が生成され、前記能力制御回路(Ud)から出力される。前記したように、前記信号(Sd8)は前記能力信号(Sd1)にオフセットを加えたものであるため、前記能力信号(Sd1)が仮に零であったとしても、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比は、100%より小さいある最大値、すなわち最大デューティサイクル比DXmax以下になるように構成されている。図7のaおよびbには、前記能力信号(Sd1)、およびこれに対してオフセットを加えた信号(Sd8)、前記鋸歯状波信号(Sd0)と前記ゲート駆動信号(Sg)の関係が示されている。
給電駆動回路(Ug)から出力された前記ゲート駆動信号(Sg)が、前記ゲート駆動回路(Gx)に入力されることにより、結果として、前記出力電流検出信号(Si)および前記出力電圧検出信号(Sv)が、スイッチ素子(Qx)の動作にフィードバックされたフィードバック制御系が完成する。なお、前記図6記載の能力制御回路(Ud)の構成に際しては、前記演算増幅器(Ade)や発振器(Osc)、比較器(Cmg)などが集積された市販の集積回路として、テキサスインスツルメンツ社製TL494などを利用することができる。
ランプ電流低減のための電流制御素子(Qt)として、例えばFETを用いて実現した電流制限素子回路(SWt)および電流低減変調制御回路(Um)とその周辺の簡略化した構成を図8に示す。抵抗(Rix)によって構成された出力電流検出手段(Ix)は、前記給電回路(Ux)の出力電流(IO)、すなわち前記電流制限素子回路(SWt)に流れる電流を検出して、前記出力電流検出信号(Si)を生成する。前記出力電流検出信号(Si)は、前記したように前記給電制御回路(Ua)に入力されるとともに、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(At1)を通じて、信号(Siu)として前記電流低減変調制御回路(Um)に入力される。該信号(Siu)は、抵抗(Rt6)を介して演算増幅器(At4)の反転入力端子に入力され、また、前記出力電流検出信号(Si)に対する目標値を表す変調電流目標信号(Sit)は、前記演算増幅器(At4)の非反転入力端子に入力される。前記演算増幅器(At4)から出力される原電流制御強度信号(Stg)は、トランジスタ(Qb1,Qb2)から構成されるバッファ回路、および電源(Vbg)、ゲート抵抗(Rb1)から構成されるゲート駆動バッファ(Bfg)を介して、電流制限制御信号(Smt)として前記電流制御素子(Qt)のゲート端子に入力される。
ここで述べた前記電流制御素子(Qt)に関する回路構成は、一般にソースフォロワ(バイポーラトランジスタの場合はエミッタフォロワ)と呼ばれるものになっており、前記電流制御素子(Qt)のソース電位、すなわち電流制限素子回路(SWt)側の前記抵抗(Rix)の端子電位が、前記電流制御素子(Qt)のゲート電位と概ね等しくなるように、不飽和導通状態(能動状態とも呼ばれる)になることにより、前記電流制御素子(Qt)自身が、そのインピーダンスを自動調整する機能を有する。ただし、FETの制御特性には、ゲートオフセットなどの非線形性を有するため、前記演算増幅器(At4)は、コンデンサ(Ct2)をフィードバックループに配置して誤差積分回路を構成させることにより、前記したFETの制御特性の非線形性や、前記ゲート駆動バッファ(Bfg)の非線形性を補正するように動作する。なお、前記コンデンサ(Cb1)の静電容量は、必要とされる電流低減および回復動作の高速性を満足できるように、小さい値とすることが望ましく、省略できる場合もある。前記コンデンサ(Ct2)を省略しないときは、(前記図6の積分コンデンサ(Cd1)と同様に)これと直列に、スピードアップ抵抗を挿入すると効果的である。
前記出力電流検出信号(Si)に対応する前記信号(Siu)は、トラック・ホールド回路(At2)(これはサンプル・ホールド回路と呼ばれることもある)に入力される。該トラック・ホールド回路(At2)は、その出力の信号(Sih)として、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、入力である前記信号(Siu)をそのまま出力し、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態になると、そのときの前記信号(Siu)をホールドして出力する。演算増幅器(At3)の非反転入力端子には、ホールドされた前記出力電流検出信号(Si)に対応する前記信号(Sih)が入力され、反転入力端子には前記演算増幅器(At3)の出力信号を抵抗(Rt2)と抵抗(Rt3)とで分圧した信号が入力されているため、前記演算増幅器(At3)による回路は、前記信号(Sih)に比例した信号を出力する非反転増幅器としてはたらく。前記変調電流目標信号(Sit)は、この前記演算増幅器(At3)の出力信号を、抵抗(Rt4,Rt5)で分圧されたものとして生成される。
前記出力電流変調指令信号(Sq)は、抵抗(Rt1)を介してトランジスタ(Qt2)に入力されている。ここでは、前記出力電流変調指令信号(Sq)はハイレベルのときに活性であるとして、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、前記トランジスタ(Qt2)はオン状態であるため、前記変調電流目標信号(Sit)は、前記トランジスタ(Qt2)のエミッタに接続された、適当な電圧を有する基準電源(Vt1)の電圧に固定される。ここで、該基準電源(Vt1)の電圧は、前記信号(Siu)の、通常あり得る最大値よりも高い電圧、すなわち、通常あり得る出力電流(IO)の最大値よりも大きい電流の前記変調電流目標信号(Sit)の値に対応する電圧とする。一方、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されると、前記トランジスタ(Qt2)はオフ状態になるため、前記変調電流目標信号(Sit)は、ホールドされた前記出力電流検出信号(Si)に対応する前記信号(Sih)に比例したものとなる。
以上のように構成された前記図5の放電ランプ点灯装置は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、前記電流制御素子(Qt)に流れる電流の制御目標値である前記変調電流目標信号(Sit)が十分大きい値であるから、前記電流制御素子(Qt)は、飽和導通状態になるように制御される。このため、前記電流制限素子回路(SWt)が実質的に電流を制限せず、したがって、放電ランプ(Ld)の通常の点灯が行われ、フィードバック制御により、例えば定格電力が維持される。
前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態になると、前記電流制御素子(Qt)に流れる電流の制御目標値である前記変調電流目標信号(Sit)が前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電流検出信号(Si)に比例した値になるため、前記電流制御素子(Qt)は、制御目標とする電流が流れるよう、前記電流低減変調制御回路(Um)において高速にフィードバック制御され、前記電流制限素子回路(SWt)によって前記放電ランプ(Ld)に流れる電流が高速で低減される。前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ると、前記変調電流目標信号(Sit)が十分大きい値に戻るため、前記電流制御素子(Qt)は、高速で飽和導通状態に戻るように制御される。
なお、ここでは、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電流検出信号(Si)を保持する構成として、トラック・ホールド回路(At2)を使用する例を記載したが、前記出力電流変調指令信号(Sq)の活性期間が十分短い場合は、例えば、前記出力電流検出信号(Si)が減少するときの応答速度を低下させたバッファ回路を使用して回路構成を簡素化することも可能である。
図9は、前記図8の構成を基本として改良を加える場合の、電流制限素子回路(SWt)および電流低減変調制御回路(Um)の構成の簡略化された一例を示すものである。電流制限素子回路(SWt)には、抵抗(Rts)と、FET等の補助スイッチ素子(Qts)とを並列接続したものを追加して設け、これらを前記電流制御素子(Qt)に直列に挿入してある。
前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、電流制限素子回路(SWt)は、実質的に電流を制限しないようにするために、前記補助スイッチ素子(Qts)が飽和導通状態になり、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、電流制限素子回路(SWt)は、電流を制限するために、前記補助スイッチ素子(Qts)が非導通状態になるよう、前記補助スイッチ素子(Qts)のゲート端子に補助スイッチ制御ゲート信号(Smts)を入力する。前記補助スイッチ制御ゲート信号(Smts)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)はハイレベルのときに活性であるとして、前記した、前記補助スイッチ素子(Qts)の導通・非導通状態の制御条件と整合させるために、論理反転ゲート(Gt1)を設け、ゲート駆動バッファ(Bfg)介して供給する。
このように構成することにより、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、電流制限のために前記電流制御素子(Qt)で発生する損失の一部を前記抵抗(Rts)に分担させることができ、また、前記電流制御素子(Qt)のソース負荷抵抗が大きくなるため、前記抵抗(Rts)が存在しない場合と比較して、同じ電流であっても前記電流制御素子(Qt)のソース電位の上昇が大きくなるため、ソースフォロワ回路のとしての動作が安定化できる利点がある。
なお、前記抵抗(Rts)の大きさは、電流制限のために、電流制限素子回路(SWt)に持たせたいインピーダンスの最小値よりも小さい必要があることは言うまでもないが、この条件のもとで前記抵抗(Rts)大きくするほど、前記電流制御素子(Qt)の損失を低下できる利点があるが、これをあまりに大きくすると、前記電流制御素子(Qt)のソース電位の上昇が過大になって、高い電圧の前記電流制限制御信号(Smt)を生成しなければならなくなるため配慮が必要である、
前記図8の構成においては、一つの前記出力電流検出手段(Ix)で生成された、一つの前記出力電流検出信号(Si)を、前記給電制御回路(Ua)と前記電流低減変調制御回路(Um)の両方で使用していたが、前記図9のような構成とした場合は、例えば、破線で示すように、前記抵抗(Rts)に発生する電圧降下を利用して、前記電流低減変調制御回路(Um)のための出力電流検出信号(Si’)を別途発生させるようにすることもできる。
図10は、前記した、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、前記出力電圧検出信号(Sv)と、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電圧検出信号(Sv)との差異が小さくなるように、前記ゲート駆動信号(Sg)を生成し前記コンバータ(Uc)を制御することを実現することができるよう、改良を行った給電制御回路(Ua)のブロック図である。前記図6に比して、この図の給電制御回路(Ua)には、制御対象切換回路(Uv)が追加され、前記図6の前記能力制御回路(Ud)に対して、端子(Tdi)から入力されていた前記出力電流検出信号(Si)の代わりに、前記制御対象切換回路(Uv)の出力である変調制御対象信号(Siv)を入力するように構成する。
図11は、前記制御対象切換回路(Uv)の簡略化された構成を示すものである。演算増幅器(Aj1)の非反転入力端子には前記出力電流検出信号(Si)が入力され、反転入力端子には、前記演算増幅器(Aj1)の出力の信号(Sia)を抵抗(Rj11,Rj12)で分圧した信号が入力されているため、前記演算増幅器(Aj1)による回路は非反転増幅器としてはたらく。
演算増幅器(Aj2)の非反転入力端子には前記出力電圧検出信号(Sv)が入力され、反転入力端子には、前記演算増幅器(Aj2)の出力の信号(Sva)を抵抗(Rj21,Rj22)およびフォトカプラのトランジスタ(Qj3)で分圧した信号が入力されているため、前記演算増幅器(Aj2)による回路は非反転増幅器としてはたらく。ここで、前記トランジスタ(Qj3)のインピーダンスを制御するLED(Dj0)に対し、抵抗(Rj20)を介して電流を流す信号(Sgc)の電圧を上げるほど、前記トランジスタ(Qj3)のインピーダンスが低下するため、前記演算増幅器(Aj2)による非反転増幅回路は前記信号(Sgc)でゲインを設定できるゲイン可変増幅器としてはたらく。
演算増幅器(Aj3)の非反転入力端子には抵抗(Rj13,Rj14)を介して前記信号(Sia)が入力され、反転入力端子には、抵抗(Rj23,Rj24)を介して前記信号(Sva)が入力され、また前記演算増幅器(Aj3)の出力である前記信号(Sgc)からコンデンサ(Cj1)を介してフィードバックされているため、前記演算増幅器(Aj3)による回路は、前記信号(Sia)と前記信号(Sva)との誤差を積分する誤差積分回路としてはたらく。以上のような前記演算増幅器(Aj1,Aj2,Aj3)による回路構成により、前記信号(Sva)が前記信号(Sia)と一致するよう、前記信号(Sgc)がフィードバック制御され、前記演算増幅器(Aj2)によるゲイン可変増幅器のゲインが自動調整される。
ただし、抵抗(Rj01)を介して前記出力電流変調指令信号(Sq)によりオン・オフが制御されるトランジスタ(Qj1)がオン状態になることによって、前記抵抗(Rj13,Rj14)の中点に接続されたダイオード(Dj3)、および前記抵抗(Rj23,Rj24)の中点に接続されたダイオード(Dj5)を介して前記演算増幅器(Aj3)による誤差積分回路への両方の入力信号がグランドに短絡されると、該誤差積分回路の積分動作が停止し、停止直前の前記信号(Sgc)がホールドされ、その結果、前記演算増幅器(Aj2)によるゲイン可変増幅器のゲインがホールドされることになる。
したがって前記出力電流変調指令信号(Sq)はハイレベルのときに活性状態であるとして、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、前記出力電圧検出信号(Sv)が増幅された前記信号(Sva)は、前記出力電圧検出信号(Sv)が変化しても、常に前記信号(Sia)に等しく維持され、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態になると、前記信号(Sva)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態になったときの状態を保持した上で、その後は、前記出力電圧検出信号(Sv)が変化すると、それに比例して変化するようになる。
一方、抵抗(Rj27)には、抵抗(Rj15,Rj16)とダイオード(Dj1)を介して前記信号(Sia)から、また抵抗(Rj25,Rj26)とダイオード(Dj2)を介して前記信号(Sva)から電流を流すようになっているが、前記抵抗(Rj15,Rj16)の中点に接続されたダイオード(Dj4)を介して、前記トランジスタ(Qj1)に接続されており、これは前記したように前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態ではグランドに短絡され、また、抵抗(Rj25,Rj26)の中点に接続されたトランジスタ(Qj2)は、論理反転ゲート(Gj1)と抵抗(Rj03)を介して前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態ではグランドに短絡される。したがって前記抵抗(Rj27)の電圧である前記変調制御対象信号(Siv)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、前記信号(Sia)が選択され、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態のときは、前記信号(Sva)が選択される。
ただし、ここで言う選択されるとは、選択された上で、前記抵抗(Rj15,Rj16,Rj25,Rj26,Rj27)の大きさで決まる分圧比が乗ぜられるとの意味である。この分圧比と、前記演算増幅器(Aj1)による非反転増幅器のゲインの積として、前記制御対象切換回路(Uv)全体のゲインを任意に設定することができるが、以降においては、説明の都合上、前記制御対象切換回路(Uv)全体のゲインを1に設定するものと仮定する。なお、前記抵抗(Rj15)と前記抵抗(Rj25)とが等しく、前記抵抗(Rj16)と前記抵抗(Rj26)とが等しいとする。
以上のような構成により、前記制御対象切換回路(Uv)の出力である前記変調制御対象信号(Siv)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、前記出力電流検出信号(Si)に常に等しく、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態のときは、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態になったときの前記出力電流検出信号(Si)の値が保持された上で、その値を初期値として前記出力電圧検出信号(Sv)に相関する信号となる。言い換えれば、前記変調制御対象信号(Siv)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では前記出力電流検出信号(Si)が、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態のときは前記出力電圧検出信号(Sv)が、それぞれ選択されて信号が出力されるが、前記出力電圧検出信号(Sv)が選択されるときは、前記変調制御対象信号(Siv)が不連続にならないようなゲインが乗ぜられて出力される。したがってもし、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態の期間中に前記出力電圧検出信号(Sv)が変化しなければ、前記変調制御対象信号(Siv)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態になる直前からの値を保持し続ける。
前記給電制御回路(Ua)の前記能力制御回路(Ud)は、前記変調制御対象信号(Siv)が前記出力電流検出信号(Si)または前記出力電圧検出信号(Sv)の何れに対応するものであるかを認識しないが、常に前記変調制御対象信号(Siv)が前記出力電流目標信号(St)と一致するような前記ゲート駆動信号(Sg)を生成するため、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されると、前記出力電圧検出信号(Sv)が、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化前の水準を維持するようにはたらく。
したがって前記図10に記載のように前記給電制御回路(Ua)を構成することにより、本発明の放電ランプ点灯装置は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、前記給電制御回路(Ua)は、前記出力電圧検出信号(Sv)の大きさに応じて目標とする電力を実現するランプ電流の目標値を決定し、該目標値を実現するよう、ゲート駆動信号(Sg)を介して、フィードバック制御によって前記コンバータ(Uc)の能力調整を行う機能に加えて、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、前記出力電圧検出信号(Sv)と、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電圧検出信号(Sv)との差異が小さくなるように、前記ゲート駆動信号(Sg)を生成し前記コンバータ(Uc)を制御することを実現することができる。その結果、前記した、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ったときに、出力電流(IO)のオーバーシュートが生じたり、低下から回復するために時間を要する可能性がある点が改良される。
なお、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に戻ったときに、前記電流制御素子(Qt)が飽和導通状態に戻り、出力電流(IO)の低減の解除動作が開始されてから、前記出力電流検出信号(Si)としての前記変調制御対象信号(Siv)が、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化される前の状態を回復するまでに遅延が生じる場合は、前記変調制御対象信号(Siv)に落ち込みが生じ、同様にオーバーシュートが発生する可能性がある。これを解決するため、前記図11の前記制御対象切換回路(Uv)においては、前記出力電流変調指令信号(Sq)の入力部に破線で示されているように、図12に記載のような、前記出力電流変調指令信号(Sq)に対する信号遅延回路(Uq)を必要に応じて追加するなどが望ましい。
該信号遅延回路(Uq)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態であるハイレベルに移行するときは、バッファ(Gq1)およびダイオード(Dq1)を介してコンデンサ(Cq1)を充電するとともに、シュミットバッファ(Gq2)を介して直ちに伝達するが、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態に移行するときは、抵抗(Rq1)を介して前記コンデンサ(Cq1)を放電するため、これらのCR時定数に依存した遅延をもって伝達するように動作する。
前記電力制御回路(Up)は、前記出力電圧検出信号(Sv)に基づいて前記出力電流目標信号(St)を決定するし、前記したように、前記図10の前記給電制御回路(Ua)によれば、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、前記出力電圧検出信号(Sv)と、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電圧検出信号(Sv)との差異が小さくなるように、前記ゲート駆動信号(Sg)を生成し前記コンバータ(Uc)を制御するため、基本的には前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)、すなわち前記出力電圧検出信号(Sv)は変化しないが、例えば前記電力制御回路(Up)における、前記出力電圧検出信号(Sv)の測定バラツキなどの何らかの理由により、前記電力制御回路(Up)が前記出力電圧検出信号(Sv)は変化させた場合は、動作が複雑になる。したがって、前記図10において破線で記載されているように、前記出力電流変調指令信号(Sq)を前記電力制御回路(Up)にも入力し、前記電力制御回路(Up)の前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)が前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態にあるときは、前記出力電圧検出信号(Sv)の更新を行わないように工夫することが望ましい。
なお、前記図11の前記制御対象切換回路(Uv)においては、前記出力電流変調指令信号(Sq)に基づく単なる選択、すなわち前記出力電流検出信号(Si)または前記出力電圧検出信号(Sv)を選択して単に前記変調制御対象信号(Siv)として出力する構成とはしなかった。もちろん、このような構成によっても、同様の機能は実現可能であるが、このようにする場合は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されると、前記出力電流目標信号(St)を、前記出力電圧検出信号(Sv)に適合する値に、直ちに変更しなければならない。前記出力電流目標信号(St)を、前記出力電圧検出信号(Sv)に適合する値は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されるときの、前記出力電圧検出信号(Sv)の値をホールドすれば簡単に得られるが、この信号と本来の出力電流目標としての信号との切換えが前記出力電圧検出信号(Sv)の生成のために発生するため、ここに記載した構成としたものである。
図13は、一時昇圧手段(Uh)の構成の、簡略化された一例を示すものである。出力電流変調指令信号(Sq)がハイレベルのときに活性状態であるとして、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態から非活性状態に戻るときに、所定時間幅のハイレベルのパルスを生成するよう、例えばモノステーブルマルチバイブレータによって構成された、タイマ回路(TMh1)により前記一時昇圧手段トリガ信号(Smh)を生成する。一方、コンデンサ(Ch)は、抵抗(Rh)を介して、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)によって充電される。前記電流制限素子回路(SWt)の遮断解除時に、一時昇圧手段トリガ信号(Smh)を受けてゲート駆動回路(Gh)を活性化すると、サイリスタ等よりなるスイッチ素子(Qh)が導通することにより、前記コンデンサ(Ch)がトランス(Th)の1次側巻線(Ph)を通じて放電し、2次側巻線(Sh)にパルスを発生する。このパルスは、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)に重畳されて、前記放電ランプ(Ld)に印加される。
なお、図14の回路部(Uzh)のように、前記図13の前記一時昇圧手段(Uh)と、前記図5の前記スタータ回路(Uz)とを複合し、スイッチ素子(Qh)およびゲート駆動回路(Gh)等を共通化することもできる。スタータ動作のための前記トリガ信号(Sz)と前記一時昇圧手段トリガ信号(Smh)とを論理和ゲート(Gzh)を用いて合成したことにより、前記トリガ信号(Sz)または前記一時昇圧手段トリガ信号(Smh)の何れが活性化されても前記ゲート駆動回路(Gh)が動作する。
ランプ始動時の、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)は無負荷開放電圧で、前記したように典型的には300V程度と比較的高いが、一方前記電流制限素子回路(SWt)の低減解除時の、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)は定常点灯ランプ電圧であり、前記したように典型的には100V程度と比較的低い。したがって、前記コンデンサ(Cz)や前記トランス(Tz)などのスタータの動作のための回路素子の定数は、無負荷開放電圧の出力電圧(VO)に基づき、また前記コンデンサ(Ch)や前記トランス(Th)などの一時昇圧手段の動作のための回路素子の定数は、定常点灯ランプ電圧の出力電圧(VO)に基づき設定する必要がある。
ただし、このような構成によると、始動時にも、一時昇圧手段のパルス電圧が前記放電ランプ(Ld)に印加されるが、これは、始動し易くなるように作用するため問題ではない。また、前記電流制限素子回路(SWt)の低減解除時にも、前記トランス(Tz)に電圧が発生するが、前記した事情により、前記給電回路(Ux)の出力電圧(VO)がスタータの動作のために必要な電圧よりも低く、ほとんど働かないため、これも問題にはならない。
もし、前記電流制限素子回路(SWt)の低減解除時に前記トランス(Tz)に電圧を発生させたくない場合は、放電ランプ(Ld)の始動完了後は、前記トランス(Tz)の前記1次側巻線(Ph)をスイッチ素子により短絡しておくか、前記1次側巻線(Ph)に電流が流れないようスイッチ素子により切断しておけばよい。
当然ながら、前記したように、前記比例係数(K)の値は、抵抗値などの回路定数に依存し、例えば、前記図8の回路の場合は、前記抵抗(Rt2)を可変抵抗とし、その抵抗値を調整することにより前記比例係数(K)の値を任意設定することは可能である。しかし、この方法では、放電ランプ点灯装置の稼動中に動的に設定変更する応用や、放電ランプ点灯装置が組み込まれる光学装置が、使用状況に応じた最適条件を自動的設定するなど応用には不向きである。
この点を改良する場合は、前記比例係数(K)を外部から入力される信号に基づき、設定を変更可能であるようにするために、前記電流低減変調制御回路(Um)は、前記出力電流検出信号(Si)またはホールドされた前記出力電流検出信号(Si)に対応する前記信号(Sih)を変換するための検出電流信号変換回路(Ai)をさらに有し、前記検出電流信号変換回路(Ai)は、自然数ビットの2値の変換ゲイン信号(M0,M1,…)のそれぞれのビットの真と偽に対応してオン状態とオフ状態が制御される複数個のスイッチ(Z0,Z1,…)を含み、前記変換ゲイン信号(M0,M1,…)のそれぞれのビットの真と偽の組み合せによってゲインが可変であるように構成すればよい。
図15は、前記比例係数(K)の値を、放電ランプ点灯装置の外部から入力される信号に基づき、設定を変更可能とするために、前記図8の前記演算増幅器(At3)に関して加える改良例についての簡略化された一例を示すものである。具体的には、前記抵抗(Rt2)の代わりに、抵抗(Rv0,Rv1,Rv2)を直列接続したものとし、これらの各抵抗に対して、スイッチとしてのフォトカプラトランジスタによるスイッチ(Z0,Z1,Z2)をそれぞれ並列に接続することにより、前記演算増幅器(At3)を、前記信号(Sih)を変換するための検出電流信号変換回路(Ai)として、ゲイン可変の非反転増幅回路に構成してある。
フォトカプラトランジスタによる前記スイッチ(Z0,Z1,Z2)それぞれのオンまたはオフは、3ビットの2値の変換ゲイン信号(M0,M1,M2)のそれぞれの真または偽の値によって、電源(Vm0)にアノードが接続されたフォトカプラのLED(Dm0,Dm1,Dm2)に対し、抵抗(Rm0,Rm1,Rm2)を介して電流を流す、または流さないの別を操作することにより設定することができる。したがって、前記変換ゲイン信号(M0,M1,M2)のそれぞれの真または偽の値により、前記抵抗(Rv0,Rv1,Rv2)それぞれを短絡する、またはしないの別を設定することができる。
例えば、前記抵抗(Rv1)の抵抗値を前記抵抗(Rv0)の2倍、前記抵抗(Rv2)の抵抗値をさらにその2倍に設定しておけば、DA変換器の理論に基づき、前記変換ゲイン信号(M0,M1,M2)を2進数表現したときの大きさに比例した、8種類の合成抵抗値を設定することができる。ただし、前記図15の構成例においては、合成抵抗値の最小値を設定するための抵抗(Rvz)を追加してある。
前記変換ゲイン信号(M0,M1,M2)は、外部の装置、例えば放電ランプ点灯装置が組み込まれる光学装置が設定するようにしてもよく、あるいは、例えば、EIA232などのインターフェイスを介して、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)が外部の装置から情報を受信し、これに基づき、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)が前記変換ゲイン信号(M0,M1,M2)を設定するようにしてもよい。
このように放電ランプ点灯装置を構成することにより、前記演算増幅器(At3)による増幅回路のゲインが前記変換ゲイン信号(M0,M1,M2)により可変となるため、前記比例係数(K)が、外部から入力される信号に基づき、設定を変更可能となる。なお、ここでは3ビットの場合の例について記載したが、当然、任意のビット数に構成することができる。
図16は、前記比例係数(K)の値を、放電ランプ点灯装置の外部から入力される信号に基づき、設定を変更可能とするために、前記図8の前記演算増幅器(At3)に関して加える改良例についての簡略化された他の一例を示すものである。
図16の検出電流信号変換回路(Ai)場合、前記変換ゲイン信号(M0,M1,M2)のそれぞれのビットの真と偽に対応してオン状態とオフ状態が制御されるスイッチ素子(Z0a,Z1a,Z2a)に対し、スイッチ素子(Z0b,Z1b,Z2b)のベースには論理反転ゲート(I0,I1,I2)が挿入されているため、スイッチ素子(Z0a)とスイッチ素子(Z0b)とは一方がオン状態であれば他方はオフ状態に、スイッチ素子(Z1a)とスイッチ素子(Z1b)とは一方がオン状態であれば他方はオフ状態に、スイッチ素子(Z2a)とスイッチ素子(Z2b)とは一方がオン状態であれば他方はオフ状態に、それぞれなる。
ここでは、DA変換器の理論に基づき、抵抗(R03,R05)の抵抗値は全て同じ、かつ抵抗(R01,R02,R04,R06)の抵抗値は全て同じで抵抗(R03,R05)の抵抗値の2倍であるようなラダー抵抗ネットワーク(RA0)を用いることが、前記変換ゲイン信号(M0,M1,M2)を2進数表現したときの大きさと変換特性の関係において好適である。また、DA変換用ICを使用して構成することも可能である。
なお、図16の検出電流信号変換回路(Ai)は、反転増幅器として構成されているため、前記図8にそのまま適用するのであれば、例えば、信号のグランドを出力電流検出手段(Ix)よりもランプ側に設定するなどすることにより、この回路の入力信号である出力電流検出信号(Si’)を、前記出力電流検出信号(Si)とは逆極性の信号とする必要がある。あるいは、他の反転増幅器で、入力信号または出力信号を反転する方法でもよい。
ここまでは、主としてDC駆動方式の放電ランプ点灯装置について説明したが、本発明の特徴は、ランプの種類には無関係であるため、AC駆動方式の放電ランプ点灯装置に対しても適用可能である。図17は、給電回路(Ux)の後段にフルブリッジ方式のインバータ(Ui)を設けた、AC駆動方式による、本発明の放電ランプ点灯装置の構成の簡略化された一例を示すものである。
FET等のスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)は、それぞれのゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)により駆動され、該ゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)は、フルブリッジインバータの対角要素のスイッチ素子(Q1,Q3)(Q2,Q4)が同時に(飽和)導通するよう、インバータ制御回路(Uf)からのインバータ制御信号(Sf1,Sf2)により制御される。縦に接続されるスイッチ素子(Q1,Q4)(Q2,Q3)が同時に導通して貫通電流が流れることがないよう、前記インバータ制御信号(Sf1,Sf2)の活性状態の切換わり部分には、両方が非活性状態になるデッドタイム(τd)を設ける。このような前記インバータ制御信号(Sf1,Sf2)を生成する前記インバータ制御回路(Uf)としては、例えば図18に記載のものを使用することができる。
図18において、インバータの極性反転タイミングを与える極性反転指令回路(OSCe)からの信号(Se01)は、例えばモノステーブルマルチバイブレータによって構成された、タイマ回路(TMe1)に入力され、前記したデッドタイム(τd)の期間に対応する信号(Se02)を生成する。該信号(Se02)は、入力端子が自身の反転出力に接続された遅延フリップフロップ(FFe1)のクロック信号入力端子に入力される。該遅延フリップフロップ(FFe1)の出力信号および反転出力信号は、それぞれNORゲート(Ge1,Ge2)のそれぞれの一方の入力端子に入力され、該NORゲート(Ge1,Ge2)のそれぞれの他方の入力端子には、前記信号(Se02)が入力される。これにより、インバータ制御信号として用いるために、前記した、活性状態の切換わり部分には、両方が非活性状態になるデッドタイム(τd)が設けられた、インバータ制御信号(Sf1,Sf2)が生成される。前記図17に記載の通常の前記インバータ(Ui)、また後述する図19に記載のインバータ(Ui’)におけるスイッチ素子のゲート制御のためには、前記インバータ制御信号(Sf1,Sf2)を使用することができる。
図17の構成により、放電ランプ(Ld’)の主放電のための電極(E1’,E2’)に交流的な放電電圧を印加して点灯することができる。放電ランプ(Ld)に流れる電流を低減するための電流制限素子回路(SWt)は、前記給電回路(Ux)と前記インバータ(Ui)との間に設ければよい。
また、前記図5に記載の前記スタータ回路(Uz)と、前記図13に記載の前記一時昇圧手段(Uh)とを実装するに際して、前記図17においては、1次側回路部(Uzh1)と2次側回路部(Uzh2)とに分割し、前記1次側回路部(Uzh1)を前記給電回路(Ux)と前記電流制限素子回路(SWt)との間に、前記2次側回路部(Uzh2)を前記インバータ(Ui)と前記放電ランプ(Ld’)との間に実装する構成をも記載してある。
このように分割する理由は、特に一時昇圧手段の2次側回路は高い電圧を発生するため、もし、これを前記インバータ(Ui)より前段に設けた場合は、前記インバータ(Ui)の前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)を破損する恐れがあるからである。また、前記1次側回路部(Uzh1)については、DCの給電を受ける必要があるため、前記電流制限素子回路(SWt)の状態や前記インバータ(Ui)の位相の影響を受けない部分に設置することが好都合だからである。なお、スタータ回路については、放電ランプ点灯装置を回路基板とランプハーネスとの接続端子(CN1)を図に記載の位置に設けることが好都合である。
前記図17の放電ランプ点灯装置は、前記図1の構成にインバータ(Ui)を追加して構成するものであったが、インバータ(Ui)を構成するスイッチ素子を、放電ランプ(Ld)に流れる電流を低減するための電流制限素子回路(SWt)の前記電流制御素子(Qt)と兼用することができ、これにより、放電ランプ点灯装置の低コスト化が可能となる。
これを行うには、放電ランプ(Ld)に給電する給電回路(Ux)と、前記給電回路(Ux)より後段に、前記放電ランプ(Ld)に印加される電圧の極性を繰り返し反転させるためのスイッチ素子を含む、繰り返し反転動作を行うインバータ(Ui)と、出力電流変調指令信号(Sq)が入力される電流低減変調制御回路(Um)とを有し、前記給電回路(Ux)は、該給電回路(Ux)の出力電流(IO)を検出し、出力電流検出信号(Si)を生成するための出力電流検出手段(Ix)を有し、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、前記電流低減変調制御回路(Um)は、前記インバータ(Ui)のうちの、前記繰り返し反転動作のために飽和導通状態となるスイッチ素子の少なくとも1個を不飽和導通状態に移行せしめることによって、前記出力電流検出信号(Si)が、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電流検出信号(Si)の値に対して比例係数(K)を乗じた値に概ねなるように制御するように構成すればよい。
図19は、給電回路(Ux)の後段にフルブリッジ方式のインバータ(Ui’)を設け、該インバータ(Ui’)のスイッチ素子(Q1,Q2)を放電ランプ(Ld)に流れる電流を低減するための電流制限素子回路(SWt)の電流制御素子としても兼用する、AC駆動方式による、本発明の放電ランプ点灯装置の構成の、簡略化された一例を示すものである。
前記インバータ(Ui’)のスイッチ素子(Q3,Q4)については、前記図17のものと同様に、それぞれのゲート駆動回路(G3,G4)が設けられ、インバータ制御回路(Uf)からのインバータ制御信号(Sf1,Sf2)に基づき、前記スイッチ素子(Q3,Q4)の(飽和)導通と非導通を制御する。しかし、スイッチ素子(Q1,Q2)については、インバータ制御信号(Sf1,Sf2)に基づき、前記スイッチ素子(Q1,Q2)の(飽和)導通と非導通を制御する機能に加えて、電流低減変調制御回路(Um’)からの電流制御強度信号(Sbf1,Sbf2)に基づいて、前記スイッチ素子(Q1,Q2)が不飽和導通状態になることにより、電流制限を制御するための電流制御ゲート駆動回路(Gn1,Gn2)を設ける。
図20に前記電流低減変調制御回路(Um’)および前記電流制御ゲート駆動回路(Gn1,Gn2)を含む部分の簡略化された構成の一例を示す。原電流制御強度信号(Stg)は、前記図8に記載されたものと同様の機能ブロック(Umc)において、前記と同様に、出力電流検出信号(Si)と出力電流変調指令信号(Sq)に基づいて生成される。
電流制御ゲート駆動回路(Gn1)には、通常のインバータ動作を司る前記インバータ制御信号(Sf1)が入力される。これの極性については、ここでは、これがハイレベルのときに、通常のインバータ動作のために前記スイッチ素子(Q1)を導通状態にし、これがローレベルのときに、通常のインバータ動作のために前記スイッチ素子(Q1)を非導通状態にするものと定義すれば、前記インバータ制御信号(Sf1)がハイレベルのときは、前記原電流制御強度信号(Stg)に従って前記スイッチ素子(Q1)が制御され、逆に前記インバータ制御信号(Sf1)がローレベルのときは、前記原電流制御強度信号(Stg)の状態によらず、前記スイッチ素子(Q1)が非導通状態にされるようにすればよいことがわかる。
そのため、ここで述べた前記インバータ制御信号(Sf1)の極性の整合のための論理反転ゲート(Gt21)を設け、前記インバータ制御信号(Sf1)がローレベルのときには、抵抗(Rt21)介してトランジスタ(Qt21)をオン状態にすることにより、抵抗(Rt11)介して前記機能ブロック(Umc)からの前記原電流制御強度信号(Stg)に接続された電流制御強度信号(Sbf1)の電圧は、グランドに短絡されて強制的に零ボルトにさせられ、一方、前記インバータ制御信号(Sf1)がハイレベルのときには、前記トランジスタ(Qt21)をオフ状態にすることにより、前記電流制御強度信号(Sbf1)の電圧は、前記原電流制御強度信号(Stg)に対応する電圧となるように構成する。
このように、前記電流制御強度信号(Sbf1)は、前記インバータ制御信号(Sf1)に従って、前記スイッチ素子(Q1)を非導通状態にする電圧と、前記原電流制御強度信号(Stg)に対応する電圧の何れかが選択されたものとなる。前記電流制御強度信号(Sbf1)は、前記図8に記載されたものと同様の機能ブロックであるゲート駆動バッファ(Bfg)に入力され、前記スイッチ素子(Q1)のゲートを駆動する。
ここまで、図20における前記スイッチ素子(Q1)に関して述べたものと全く同様に、前記スイッチ素子(Q2)に関しても回路を構成すればよい。なお、前記出力電流検出信号(Si)は、前記スイッチ素子(Q1,Q2)の何れが導通状態にあるかに無関係であるため、前記機能ブロック(Umc)は1個のみ設けてある。
このように放電ランプ点灯装置を構成することにより、前記図19の前記インバータ(Ui’)は、前記出力電流変調指令信号(Sq)が非活性状態では、インバータ制御回路(Uf)からのインバータ制御信号(Sf1,Sf2)に基づき、通常のフルブリッジインバータとして放電ランプ(Ld’)に交流的な放電電圧を印加して点灯し、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性状態では、前記スイッチ素子(Q1)または前記スイッチ素子(Q2)のうち、その時点で導通状態にあった方のスイッチ素子を、前記電流低減変調制御回路(Um’)が高速にフィードバック制御し、前記放電ランプ(Ld’)に流れる電流が、前記出力電流変調指令信号(Sq)が活性化されたときの前記出力電流検出信号(Si)の値に比例する所定値まで高速で低減される。
本明細書に記載の回路構成は、本発明の放電ランプ点灯装置の動作や機能、作用を説明するために、必要最少限のものを記載したものである。したがって、説明した回路構成や動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計時に遂行されることを前提としている。
とりわけ過電圧や過電流、過熱などの破損要因からFET等のスイッチ素子などの回路素子を保護するための機構、または、給電装置の回路素子の動作に伴って発生する放射ノイズや伝導ノイズの発生を低減したり、発生したノイズを外部に出さないための機構、例えば、スナバ回路やバリスタ、クランプダイオード、(パルスバイパルス方式を含む)電流制限回路、コモンモードまたはノーマルモードのノイズフィルタチョークコイル、ノイズフィルタコンデンサなどは、必要に応じて、実施例に記載の回路構成の各部に追加されることを前提としている。本発明になる放電ランプ点灯装置の構成は、本明細書に記載の回路方式のものに限定されるものではなく、また、記載の波形やタイミング図に限定されるものではない。
さらに、例えば、ランプ電圧に対応するランプ電圧検出信号をAD変換し、これに基づいて出力電流目標信号を設定するものについて説明したが、ランプ電流に対応するランプ電流検出信号についてもこれをAD変換し、得られた電流値が目標電流値に一致するように出力電流目標信号を補正して設定することにより、各回路素子パラメータのバラツキの影響を補正するような高精度化や高機能化、あるいは逆に、例えば、マイクロプロセッサユニットを廃して、より単純な制御回路に代えるような簡素化などの光源装置の構成の多様化のもとでも、本発明の効果は良好に発揮される。