JP2006211799A - 電力変換システムおよびそれが用いられたリニア駆動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 電流検出回路のオフセットが変化しても、負荷に流れる正確な電流値を算出することができる電力変換システム等を提供する。
【解決手段】 一般に、電力変換システムの駆動時には、電力変換システムの停止時に比較にして、電流検出回路Aの温度が上昇する。そのため、電流検出回路Aのオフセットが変化する。したがって、マイクロコンピュータ1000の電流算出部の算出結果がオフセットの変化分だけ実際に負荷に流れる電流値と異なる。一方、本発明の電力変換システムによれば、マイクロコンピュータ1000は、電流検出回路Aのオフセットを電力変換システムの駆動時に測定する。そのため、マイクロコンピュータ1000は、常に、実際のオフセットの値を認識し、実際に負荷に流れる電流値を正確に把握することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 一般に、電力変換システムの駆動時には、電力変換システムの停止時に比較にして、電流検出回路Aの温度が上昇する。そのため、電流検出回路Aのオフセットが変化する。したがって、マイクロコンピュータ1000の電流算出部の算出結果がオフセットの変化分だけ実際に負荷に流れる電流値と異なる。一方、本発明の電力変換システムによれば、マイクロコンピュータ1000は、電流検出回路Aのオフセットを電力変換システムの駆動時に測定する。そのため、マイクロコンピュータ1000は、常に、実際のオフセットの値を認識し、実際に負荷に流れる電流値を正確に把握することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、インバータ回路とそれを制御するマイクロコンピュータとを備えた電力変換システムおよびそれが用いられたリニア駆動システムに関するものである。
従来から、直流電力を交流電力に変換し、負荷に交流電力を供給するインバータ回路と、インバータ回路をPWM(Pulse Width Modulation)制御するマイクロコンピュータとを備えた電力変換システムが用いられている。また、電力変換システムにおいては、負荷に流れる電流値を測定する電流検出回路にオペアンプが含まれている。オペアンプは、負荷を流れる電流が流れる抵抗器(シャント抵抗)の両端の電位差を増幅し、マイクロコンピュータは、その電位差から負荷に流れる電流値を算出する。これにより、電力変換システムは、負荷に流れる電流値を把握している。
前述のオペアンプは、負荷に電流が流れていないときにおいても、所定の電圧の信号を出力している。このオペアンプの所定の電圧は、オフセットと呼ばれる。オペアンプのオフセットは、予めマイクロコンピュータに記憶されている。マイクロコンピュータは、電流検出時には、検出されたオペアンプの出力電圧の値からオフセットに相当する電圧の値を引いた電位差に対応する電流値を算出する。この電流値が実際に負荷に流れる電流値である。つまり、マイクロコンピュータは、測定された電流値を予め記憶されたオフセットに基づいて補正する。
特開平2−114863号公報
上記従来の電力変換システムにおいては、オフセットの値は、予め測定された値であって、マイクロコンピュータに固定値として記憶されているものである。一方、電力変換システムの駆動時にオペアンプの温度が上昇すると、実際のオフセットは変化する。つまり、従来のマイクロコンピュータは、オフセットの値が変化している場合においても、測定されたオペアンプの出力電圧から予め測定されたオフセットの固定値が引き算され、負荷に流れる電流が算出される。したがって、電力変換システムの駆動時にオペアンプの温度が大きく変化すると、マイクロコンピュータが算出する電流値と実際に負荷に流れる電流値とが大きく異なってしまう。
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、電流検出回路(オペアンプ)のオフセットが変化しても、負荷に流れる正確な電流値を算出することができる電力変換システムおよびそれが用いられたリニア駆動システムを提供することである。
本発明の電力変換システムは、直流電力を交流電力に変換し、負荷に交流電力を供給するインバータ回路と、負荷に流れる電流値を算出するための信号を出力する電流検出回路と、インバータ回路をPWM制御するマイクロコンピュータとを備えている。マイクロコンピュータは、前述の信号を用いて負荷に流れる電流値を算出する電流算出部を有している。電流算出部は、PWMによって生成される電圧パルス同士または電流パルス同士の間のタイミングにおいて、電流検出回路のオフセットを測定し、そのオフセットに基づいて電流値を補正する。
一般に、電力変換システムの駆動時には、電力変換システムの停止時に比較にして、電流検出回路の温度が上昇する。そのため、電流検出回路のオフセットが変化する。したがって、電流算出部の算出結果の電流値がオフセットの変化分だけ実際に負荷に流れる電流値と異なる。一方、本発明の電力変換システムによれば、電流検出回路のオフセットが電力変換システムの駆動時に測定される。そのため、マイクロコンピュータは、常に、実際のオフセットの値を認識し、実際に負荷に流れる電流値を正確に把握することができる。
また、電流算出部は、交流電圧の波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングであって、電圧パルス同士の間隔がオフセットを測定可能な程度の大きさを有するタイミングにおいてのみ、オフセットを測定するものであってもよい。
上記の構成によれば、マイクロコンピュータは、所定のタイミングにおいてのみオフセットを測定するため、その負担が軽減される。
また、電流算出部は、電流の波形が負から正へゼロクロスするタイミングまたはその前後のタイミングであって、電流パルス同士の間隔がオフセットを測定可能な程度の大きさを有するタイミングにおいてのみ、オフセットを測定するものであってもよい。
上記の構成によっても、マイクロコンピュータは、所定のタイミングにおいてのみオフセットを測定するため、その負担が軽減される。
また、マイクロコンピュータは、負荷に印加される交流電圧を検出する電圧検出回路と、電圧検出回路を用いて検出された交流電圧に関するデータと電流検出回路を用いて検出された電流に関するデータとを用いて、交流電圧の波形と電流の波形との位相差を算出する位相差算出部とをさらに含んでいてもよい。さらに、電流算出部は、位相差が所定値以下である場合には、交流電圧の波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングであって、電圧パルス同士の間隔がオフセットを測定可能な程度の大きさを有するタイミングにおいてのみ、オフセットを測定し、位相差が所定値よりも大きい場合には、電流の波形が負から正へゼロクロスするタイミングまたはその前後のタイミングであって、電流パルス同士の間隔がオフセットを測定可能な程度の大きさを有するタイミングにおいてのみ、オフセットを測定するものであってもよい。
上記の構成によれば、位相差が小さい場合には、交流電圧の波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングにおいてオフセットが測定され、位相差が大きい場合には、電流の波形の負から正へのゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングにおいてオフセットが測定される。つまり、位相差に応じて、正確なオフセットを測定し易いタイミングが選択され、そのタイミングにおいてオフセットが測定される。したがって、マイクロコンピュータの負担を軽減しながら、正確なオフセットを効率的に測定することができる。
本発明のリニア駆動システムは、前述の電力変換システムと、負荷として用いられるリニアモータとを備えている。電力変換システムは、リニアモータに印加される電圧を検出する電圧検出回路をさらに備えている。マイクロコンピュータは、電圧検出回路の出力信号に基づいて算出された電圧値と、電流検出回路の出力信号に基づいて算出された電流値とを用いて、リニアモータの可動子のストロークを算出するストローク算出部を有している。
上記の構成によれば、リニアモータに流れる電流値が正確に算出されるため、可動子のストロークが正確に算出される。その結果、可動子のストロークが大きくなり過ぎることがより確実に防止される。したがって、可動子が他の部位に衝突して損傷することがより確実に防止される。
本発明によれば、電流検出回路のオフセットの値が変化しても、負荷に流れる正確な電流値を算出することができる電力変換システムおよびそれが用いられたリニア駆動システムが得られる。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態の電力変換システムおよびリニア駆動システムを説明する。
(実施の形態1)
次に、図1〜図5を用いて、実施の形態のインバータ回路およびマイクロコンピュータを説明する。
次に、図1〜図5を用いて、実施の形態のインバータ回路およびマイクロコンピュータを説明する。
図1に示すように、本実施の形態においては、IPM(Intelligent Power Module)200が用いられる。IPM200には、インバータ回路100が内蔵されている。インバータ回路100は、4つのスイッチング素子を有し、図1に示すような態様で、スターリング冷凍機40に内装されたリニアモータMに接続されている。4つのスイッチング素子は、トランジスタGu、Gx、Gv、およびGyであり、それぞれには、ソース電極とドレイン電極との間にフライホイールダイオードが接続されている。
図1から分かるように、トランジスタGuとトランジスタGxとは直列に接続されているとともに、トランジスタGvとトランジスタGyとは直列に接続されている。トランジスタGuおよびGxと、トランジスタGvおよびGyとは、並列に接続されている。また、リニアモータMは、一方の端子がトランジスタGuとトランジスタGxとの間のノードに接続され、かつ、他方の端子がトランジスタGvとトランジスタGyとの間のノードに接続されている。
また、インバータ回路100に対して並列に、平滑コンデンサCおよび平滑コンデンサCCからなる直列回路が接続されている。この直列回路に整流回路Dの出力側が接続されている。この整流器Dの入力側に交流電源Gが接続されている。また、平滑コンデンサCに直列に平滑コンデンサCCが設けられている。
さらに、リニアモータMに電圧検出回路Vが接続され、電圧検出回路Vの出力端子がマイクロコンピュータ1000のU相電圧センサ入力ポートおよびV相電圧センサ入力ポートのそれぞれに接続されている。
また、平滑コンデンサCCとリニアモータMとの間には、電流検出回路Aが設けられ、電流検出回路Aの出力端子がマイクロコンピュータ1000の電流センサ入力ポートに接続されている。
電圧値および電流値の取得手法は、次のようなものである。電圧値の取得に関しては、リニアモータMの両端子間の電圧が、電圧検出回路Vによって分圧され、マイクロコンピュータ1000のV相電圧センサおよびU相電圧センサのポートに入力される。V相電圧センサおよびU相電圧センサのポートは、その分圧された電圧値をA/D変換し、実際の電圧値を算出する。また、電流値の取得に関しては、シャント抵抗Sの両端の電位差がオペアンプを含む電流検出回路Aによって増幅され、その増幅された電位差の値が、マイクロコンピュータ1000の電流算出部(電流センサ)に入力され、A/D変換され、電流値が算出される。
図2は、PWMインバータ制御用のタイマが1つ(1チャンネル)内蔵されたリニアモータ制御用のマイクロコンピュータ1000の構成を説明するためのブロック図である。
図2に示すように、本実施の形態のマイクロコンピュータ1000は、発振器としてのクロック回路と、演算手段としてのCPU(Central Processing Unit)と、書替え可能な記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)と、読出専用のROM(Read Only Memory)とを備えている。ROMには、スイッチング素子としてのトランジスタを4つ制御するためのプログラムが格納されている。
また、RAMは、ROMに格納されたプログラムに従ってCPUで行なわれた演算結果を一時的に記憶するための記憶手段であり、レジスタなどの一時記憶手段も含まれていてもよい。さらに、クロックは、発振器から送信されてきた信号を用いて、後述するタイマを動作させるための基本となるクロックパルスを形成するためのものである。
また、マイクロコンピュータ1000には、アップ/ダウンタイマ1の2つの相それぞれに対応した2つのレジスタが設けられている。このレジスタによって後述する設定値が決定される。この設定値は、PWM制御における信号波(sin波)の振幅および周波数を決定するものである。また、設定値は、目標とする交流波形を構成するピーク時の電圧パルスのデューティ比、すなわち交流電圧の最大電圧値、および、目標とする交流波形の周波数が入力されれば、マイクロコンピュータ1000によって自動的に算出される。
また、U相とV相との位相角の差は、180度となるように、前述のROM内のプログラムが設定されている。U相コントロール回路から出力されたPWM制御信号は、トランジスタGuおよびGxのそれぞれのゲート電極に送信される。また、V相コントロール回路から出力されたPWM制御信号は、トランジスタGvおよびGyのそれぞれのゲート電極に送信される。
本実施の形態においては、アップ/ダウンタイマ1のそれぞれのレジスタの設定値は、キャリア周期ごとに変更される。つまり、アップ/ダウンタイマ1のキャリア周期ごとの設定値は、電圧パルスの値と時間との関係を示すグラフがサイン波を描くように、順次変化する。
なお、U相のPWM制御信号とV相のPWM制御信号とは、交流波形の半周期ごとに、交互に出力されている。
したがって、本実施の形態においては、U相の電圧パルスを出力しているタイミングにおいて、リニアモータMに正電圧が印加され、V相の電圧パルスを出力しているタイミングにおいて、リニアモータMに負電圧が印加される。
また、アップ/ダウンタイマの谷間のタイミング、すなわちアップダウンタイマの最低値のタイミングにおいて、後述する電流検出回路Aのオフセットが測定される。本実施の形態においては、アップダウンタイマの最低値のタイミングにおいて電流検出回路Aのオフセットが測定されるが、シャント抵抗Sを流れる電流パルス同士の間のタイミング(電流検出回路Aが出力する電流パルス同士の間のタイミング)またはリニアモータMに印加される電圧パルス同士の間のタイミングであって、電流検出回路Aのオフセットを測定することが可能なタイミングでれば、いずれのタイミングにおいてオフセットが測定されてもよい。また、シャント抵抗Sを流れる電流パルスを構成する個々のパルスとリニアモータMに印加される電圧パルスを構成する個々のパルスとは、大きさおよび符号は異なっていても、互いのパルスの出力タイミングは一致している。
また、1サイクルの前半においては、図3(a)に示すように、トランジスタGuおよびGyのみによって波形が形成される。1サイクルの後半においては、図3(b)に示すように、トランジスタGvおよびGxのみによって波形が形成され、1サイクルの全体では、図3(c)に示すように、前述のU相の波形とV相の波形とは、180°位相がずれた状態で、交互に出力される。
次に、図4〜図7を用いて、本実施の形態の電流検出回路(オペアンプ)Aのオフセットの測定タイミングを説明する。なお、図4〜図7における電流波形とは、リニアモータMに流れる電流の波形であり、電圧波形とは、リニアモータMに印加される電圧の波形である。また、電圧パルスとは、図1の電圧検出回路Vによって出力され、マイクロコンピュータ1000のV相電圧センサおよびU相電圧センサのポートに入力されるパルスである。また、電流検出回路Aが出力する電流パルスは、シャント抵抗Sを流れる電流パルスに対応している。また、図4〜図7における矢印は、オフセットの測定タイミングを示している。
図4において矢印で示すように、オフセットの測定タイミングは、負荷としてのリニアモータMに印加される電圧パルス同士の間のタイミングの全て、すなわち、電圧パルスが形成されていないタイミングの全てである。また、図4に示すオフセットの測定タイミングは、観点を変えれば、図5において矢印で示すように、電流検出回路Aが出力する電流パルス同士の間のタイミングの全て、すなわち、シャント抵抗Sに流れる電流パルスの同士の間のタイミングの全てである。
前述の図4および図5に示す例では、マイクロコンピュータ1000は、オフセットの測定が可能なタイミングの全てにおいて、オフセットの測定を行なう。そのため、マイクロコンピュータ1000の負担が大きい。そこで、図6に示すように、オフセットの測定タイミングは、電圧波形がゼロクロスするタイミングまたはその前後のタイミングであることが望ましい。このようにするのは、電圧波形がゼロクロスするタイミングまたはその前後のタイミングは、比較的、電圧パルス同士の間隔が大きいので、オフセットを測定できないという不都合が生じるおそれがないためである。ただし、電圧パルスのそれぞれの幅が狭く、かつ、パルス同士の間隔が大きい場合には、ゼロクロスのタイミングからかなりずれたタイミングであっても、オフセットを測定することが可能である。たとえば、電圧波形のゼロクロスの前後の位相角が±20度程度の範囲であれば、いずれのタイミングにおいてオフセットを算出することが可能である。
また、図7に示すように、オフセットの測定タイミングは、電流波形の負から正へのゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングであってもよい。オフセットの測定は電流波形の負から正へのゼロクロスのタイミングで行なうことが最も望ましいが、前述のように、電流パルスのそれぞれの幅が狭く、かつ、電流パルス同士の間隔が大きい場合には、ゼロクロスのタイミングからかなりずれたタイミングであっても、オフセットを測定することが可能である。
また、通常、電圧波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングでは、電圧パルス同士の幅が大きいため、オフセットを測定することが容易である。しかしながら、電圧波形と電流波形との位相差が大きくなると、電圧波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングで電圧波形が乱れ、オフセットを正確に測定することが困難になる。この場合、電流波形の負から正へのゼロクロスが明確になるため、電流波形の負から正へのゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングでオフセットを測定することが容易になる。
したがって、電圧波形と電流波形との位相差が小さい場合には、電圧波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングでオフセットを測定することが望ましいが、電圧波形と電流波形との位相差が大きい場合には、電流波形の負から正へのゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングでオフセットを測定するとよい。したがって、後述するように、基準となる位相差と実際の位相差との比較結果に応じて、図6に示すように、電圧波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングでオフセットを測定するか、または、図7に示すように、電流波形の負から正へのゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングでオフセットを測定するかを決定することが望ましい。
次に、図8を用いて、本実施の形態のスターリング冷凍システムを説明する。
図8に示すように、スターリング冷凍機40においては、2つの部分で構成されている円筒形状のシリンダ3内に、円柱形のピストン1およびディスプレーサ2が嵌め込まれている。ピストン1とディスプレーサ2とは、圧縮空間9を介して設けられ、共通の駆動軸として軸Yを有している。
ディスプレーサ2の先端側に膨張空間10が形成されている。圧縮空間9と膨張空間10とはヘリウム等の作動媒体が流通する媒体流通路11を介して連通している。媒体流通路11内には、再生器12が設けられている。再生器12は、作動媒体の熱を蓄積するとともに、蓄積した熱を作動媒体に供給する。シリンダ3の略中間には鍔部(フランジ)3aが設けられている。鍔部3aにはドーム状の耐圧容器4が取り付けられることによって密閉されたバウンス空間(背面空間)8が形成されている。
ピストン1は後端側で支持バネ5と一体化されている。ディスプレーサ2はピストン1の軸心孔1aを貫通するロッド2aを介して支持バネ6と一体化されている。支持バネ5と支持バネ6とはボルトおよびナット22により固定されている。後述するように、ピストン1が往復運動すると、ディスプレーサ2は、ピストン1に対して所定の位相差を有する状態で往復運動を行なう。
バウンス空間8内のシリンダ3の外側には内側ヨーク18が嵌め込まれている。内側ヨーク18には隙間19を介して外側ヨーク17が対向している。外側ヨーク17の内側には駆動用コイル16が嵌め込まれている。隙間19には環状の永久磁石15が移動可能に設けられ、永久磁石15はカップ状のスリーブ14を介してピストン1と一体化されている。内側ヨーク18、外側ヨーク17、駆動用コイル16、および永久磁石15によって、ピストン1を軸Yに沿って移動させるリニアモータ13(M)が構成されている。
駆動用コイル16は、耐圧容器4を貫通したリード線20および21を介してインバータ回路100に接続され、リニアモータ13(M)はインバータ回路100を介してマイクロコンピュータ1000によって駆動制御される。
上記のスターリング冷凍機40においては、リニアモータ13(M)によってピストン1が往復運動させられると、ピストン1に対して所定の位相差を有する状態でディスプレーサ2も往復運動する。これにより、圧縮空間9と膨張空間10との間を作動媒体が移動して、逆スターリングサイクルが形成される。
上述の本実施の形態のスターリング冷凍機40は、インバータ回路100から所定の交流駆動電圧がリニアモータ13(M)に印加されると、ピストン1がその所定の交流駆動電圧に対応した周期およびストロークで往復運動を行なう。従って、交流駆動電圧を制御することにより、ピストン1の往復運動のストロークを制御することが可能である。
次に、上記本実施の形態のフリーピストン型スターリング冷凍機の動作原理をより詳細に説明する。
ピストン1は、支持バネ5に弾性的に支持され、リニアモータ13により駆動される。そのため、ピストン1の位置と時間との関係が正弦波を描くように運動する。その結果、圧縮空間9内の作動ガスも、その圧力と時間との関係が正弦波を描くように変動する。圧縮空間9内で圧縮された作動ガスは、まず高温部(圧縮空間9)から熱を放出する。次に、作動ガスは、ディスプレーサ2の周囲に設けられた再生器12で冷却された後、再生器12から低温部(膨張空間10)へ流入する。膨張空間10内の作動ガスは、ディスプレーサ2の動きにより膨張し、その温度が低下する。
マイクロコンピュータ1000からインバータ回路100へ出力されるPWM制御信号は、デジタル信号すなわちパルス波形である。このパルス波形は、インバータ回路100においてアナログ信号すなわち正弦波に変換される。この正弦波の周波数が、スターリング冷凍機40のピストン1の周波数になる。
なお、デジタル信号をアナログ信号に変換するときには、上述したようにPWMが用いられる。つまり、マイクロコンピュータ1000から順次出力される複数のパルスは、その幅が、小さいものから大きなものへと除々に変化し、ピークの幅になった後、除々に小さなものへと戻っていくように構成されている。それにより、交流波形が生成される。
また、マイクロコンピュータ1000は、具体的には、前述のスターリング冷凍機40のストロークXを次のような手法によって算出する。
図9および図10を用いて、マイクロコンピュータ1000がスターリング冷凍機40のピストン1のストロークXを算出する方法を説明する。図9は、リニアモータ13(M)に印加される電圧V、リニアモータ13(M)の駆動用コイル16に流れる電流I、リニアモータ13の駆動用コイル16に発生する誘起電圧E、および、ピストン1の変位Tの関係を示す図である。図10は、リニアモータ13の等価回路図であり、誘起電圧Eによって生じる電流Iの方向と、電圧Vによって生じる電流の方向とは逆である。
図9に示すように、電流Iは、リニアモータ13のインダクタンス(図10に示すL)の影響で、電圧Vよりもθだけ位相が遅れている。ここで、リニアモータ13に作用する推力の大きさは、電流Iの値に推力定数αを乗じた値となる。また、図11に示す等価回路図から分かるように、誘起電圧Eは、次の式(1)で表される。
E=V−R×I×cosθ−L×sinθ×(dI/dt)・・・(1)
したがって、モータ巻線抵抗Rが予め分かっていれば、電圧Vと電流Iとを用いて誘起電圧Eを計算することができる。なお、位相差θは、電圧Vがピークの時の位相の値と電流Iがピークの時の位相の値との差を算出することによって得られる。
したがって、モータ巻線抵抗Rが予め分かっていれば、電圧Vと電流Iとを用いて誘起電圧Eを計算することができる。なお、位相差θは、電圧Vがピークの時の位相の値と電流Iがピークの時の位相の値との差を算出することによって得られる。
本実施の形態においては、前述の誘起電圧Eおよび電圧Vの周波数fを用いて、次の式(2)からストロークXを検出する。
X=2×[V−R×I×cosθ−L×sinθ×(dI/dt)]/(2×π×f×α)・・・(2)
このように、位相差θ、モータ巻線抵抗R、電圧V、電流I、周波数f、および推力定数αが分かっていれば、ストロークXを算出することができる。
このように、位相差θ、モータ巻線抵抗R、電圧V、電流I、周波数f、および推力定数αが分かっていれば、ストロークXを算出することができる。
なお、前述のストロークXの算出方法は、特開2003−314919号公報および特開2003−65244号公報において詳細に開示されている。
次に、図11を用いて、スターリング冷凍機40のストロークを算出するストローク算出処理の説明がなされる。
図11に示すストロークXの算出処理においては、まず、S1において、電流波形のピークの位相と電圧波形のピークの位相との差である位相差θが算出される。電圧波形は、電圧検出回路Vによって検出され、電流波形は、電流検出回路Aによって検出される。
次に、S2において、位相差θが所定値K以下であるか否かが判別される。S2において、位相差θが所定値K以下であれば、S3において、図6に示す電圧波形のゼロクロスのタイミングに、電流検出回路AのオフセットOが測定される。一方、S2において、位相差θが所定値Kより大きければ、S4において、図7に示す電流波形のゼロクロスのタイミングに、電流検出回路AのオフセットOが測定される。
次に、S5において、電流検出回路Aが出力している電流Iの値が測定される。その後、S6において、電流Iの値がオフセットOを用いて補正される。具体的には、オフセットに対応する電流値が、測定された電流Iの値から引き算される。その結果、オフセットが変化した後の実際の電流値が算出される。
次に、S7において、U相およびV相電圧センサによって得られた電圧パルスの信号を用いて電圧Vの値が算出される。次に、S8において、位相差θ、電圧V、電流Iの値、および巻線抵抗値Rを用いて、誘起電圧Eが算出される。その後、S9においては、ストロークXが前述の(2)式:X=2×[V−R×I×cosθ−L×sinθ×(dI/dt)]/(2×π×f×α)を用いて算出される。
つまり、マイクロコンピュータ1000は、図1に示す電圧検出回路Vおよび電流検出回路Aによって得られる電圧波形および電流波形から、電流Iの値、電圧Vの値、位相差θを特定し、それらの値と予め決定されているモータ巻線抵抗R、周波数fおよび推力定数αの値と、ROMに記憶されている前述の式(1)および式(2)の演算を行なうためのデータとを用いて、ピストン1のストロークXを常に算出することができる。
その後、S10において、ストロークXが所定値より大きいか否かが算出され、ストロークXが所定値より大きければ、電圧Vの値が小さくなるように、PWMの電圧パルスの幅のそれぞれを小さくする制御が実行される。これにより、ストロークXが所定値より大きくなることがないため、可動子としてのピストン1が他の部位に衝突してしまうことが防止される。
本実施の形態においては、リニア駆動システムの一例としてリニアモータMを有するスターリング冷凍機が示されているが、リニアモータを有する他のリニア駆動システムにおいて前述の衝突防止処理が実行されても、リニアモータの損傷を防止することが可能である。リニア駆動システムの他の一例としては、リニア圧縮機が考えられる。リニア圧縮機に前述の衝突防止処理が用いられれば、リニア圧縮機のピストンとシリンダ内壁との衝突が防止される。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
40 スターリング冷凍機、100 インバータ回路、1000 マイクロコンピュータ。
Claims (5)
- 直流電力を交流電力に変換し、負荷に前記交流電力を供給するインバータ回路と、
前記負荷に流れる電流値を算出するための信号を出力する電流検出回路と、
前記インバータ回路をPWM(Pulse Width Modulation)制御するマイクロコンピュータとを備え、
前記マイクロコンピュータは、前記信号を用いて前記負荷に流れる電流値を算出する電流算出部を有し、
前記電流算出部は、
前記PWMによって生成される電圧パルス同士または電流パルス同士の間のタイミングにおいて、前記電流検出回路のオフセットを測定し、該オフセットに基づいて電流値を補正する、電力変換システム。 - 前記電流算出部は、前記交流電圧の波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングであって、前記電圧パルス同士の間隔が前記オフセット測定可能な程度の大きさを有するタイミングにおいてのみ、前記オフセットを測定する、請求項1に記載の電力変換システム。
- 前記電流算出部は、前記電流の波形が負から正へゼロクロスするタイミングまたはその前後のタイミングであって、前記電流パルス同士の間隔が前記オフセット測定可能な程度の大きさを有するタイミングにおいてのみ、前記オフセットを測定する、請求項1に記載の電力変換システム。
- 前記マイクロコンピュータは、
前記負荷に印加される交流電圧を検出する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路を用いて検出された交流電圧に関するデータと前記電流検出回路を用いて検出された電流に関するデータとを用いて、前記交流電圧の波形と前記電流の波形との位相差を算出する位相差算出部とをさらに含み、
前記電流算出部は、
前記位相差が所定値以下である場合には、前記交流電圧の波形のゼロクロスのタイミングまたはその前後のタイミングであって、前記電圧パルス同士の間隔が前記オフセット測定可能な程度の大きさを有するタイミングにおいてのみ、前記オフセットを測定し、
前記位相差が前記所定値よりも大きい場合には、前記電流の波形が負から正へゼロクロスするタイミングまたはその前後のタイミングであって、前記電流パルス同士の間隔が前記オフセット測定可能な程度の大きさを有するタイミングにおいてのみ、前記オフセットを測定する、請求項1に記載の電力変換システム。 - 請求項1に記載の電力変換システムと、
前記負荷として用いられるリニアモータとを備えたリニア駆動システムであって、
前記電力変換システムは、前記リニアモータに印加される電圧を検出する電圧検出回路をさらに備え、
前記マイクロコンピュータは、前記電圧検出回路の出力信号に基づいて算出された電圧値と、前記電流検出回路の出力信号に基づいて算出された電流値とを用いて、前記リニアモータの可動子のストロークを算出するストローク算出部を有する、リニア駆動装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011510461A (ja) * | 2008-01-24 | 2011-03-31 | オスラム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 少なくとも1つの光源を駆動制御するための電子安定器および方法 |
CN112513591A (zh) * | 2018-06-15 | 2021-03-16 | 克朗斯股份公司 | 用于识别长定子线性马达***的运输元件的载荷的方法和设备 |
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2005
- 2005-01-27 JP JP2005019130A patent/JP2006211799A/ja not_active Withdrawn
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