JP2006206343A - AlN単結晶の表面平坦化方法およびAlN単結晶基板の作製方法 - Google Patents

AlN単結晶の表面平坦化方法およびAlN単結晶基板の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】AlN単結晶基板について表面平坦性を確保するとともに結晶品質を改善する方法を提供する。
【解決手段】AlN単結晶基板について、例えば平均粒径0.1μmのアルミナ砥粒を10重量%分散させてあり、かつpHがほぼ5から10の間の研磨液を用いて、平均研磨量が1μmとなるような研磨を行う。その後、1500℃以上、好ましくは1600℃以上の温度で該AlN単結晶基板を加熱するアニール処理を行う。これにより、AlN単結晶基板の表面平坦性が改善される。また、研磨処理によって生じる加工変質層がアニール処理によって除去されてなることから、基板上にデバイス層を形成すると、鏡面状態の表面を有し、かつ、研磨処理のみを行った基板に対して形成するよりも結晶品質のよいデバイス層を得ることが出来る。
【選択図】図2

Description

本発明は、AlN単結晶の、特にAlN単結晶基板の表面平坦化技術に関する。
AlNは熱伝導性に優れ、さらに紫外域での透明性を有することから、その単結晶は、III族窒化物半導体により高出力電子デバイスや高出力紫外発光デバイスを作製する際の下地基板としての利用が有望視されている。
AlN単結晶は、所定の基材上に、例えばMOCVD法、MBE法、HVPE法、昇華法、フラックス法などといった公知の単結晶育成手法を用いて作製することができる。作製されたAlN単結晶は、基材上に形成したものをそのままで、あるいは、基材を研削等により除去したうえで、種々のデバイスの下地基板として用いられる。
AlN単結晶がこうした下地基板として用いられる場合、通常、その表面は原子レベルで平坦であることが望まれる。ただし、表面にはピットの形成その他の要因により表面凹凸が生じていることがあり、こうした場合、表面に研磨処理を施すことによって平坦度を高めることが必要となる場合がある。
なお、研磨処理には種々の技法が広く知られているが、なかでも、III族窒化物の研磨に好適とされている技術も既に公知である(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
特開2004−281671号公報 特許3502319号公報
単結晶基板上にIII族窒化物半導体層を成長させてデバイスを作製するにあたって、上述したような研磨処理を行う場合、研磨処理の条件によっては、下地基板の表面の平坦化が実現されたとしても、表面近傍に研磨に起因した加工変質層が生じてしまう可能性がある。加工変質層が存在した状態で基板上にデバイス層を成長させると、加工変質層を起点としてデバイス層内に転位が発生してしまって良好なデバイス特性が得られない、という問題が生じ好ましくない。これを回避するには、加工変質層を残存させない研磨を行うか、あるいは、デバイス層の成長に先立って下地基板の結晶品質をあらかじめ向上させておいた上で、デバイス層を形成することが必要である。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された技術は、スクラッチや欠陥の低減といった表面平坦性の確保に関する技術であるものの、加工変質層の影響に関しての言及はみられない。また、特許文献1においては、表面平坦性の確保について具体的に開示があるのはGaNについてのみであり、AlNについて同様の効果を得るための具体的条件は必ずしも明確にはされていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、AlN単結晶基板について表面平坦性を確保するとともに結晶品質を改善する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、AlN単結晶の表面を平坦化する方法であって、AlN単結晶を研磨する研磨工程と、前記研磨工程を経たAlN単結晶を1500℃以上の温度で加熱する加熱工程と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の表面平坦化方法であって、前記研磨工程に用いる研磨液のpHが10以下である、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載の表面平坦化方法であって、前記研磨工程に用いる研磨液のpHが5以上である、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、AlN単結晶基板の作製方法であって、基材上にAlN単結晶を成長させる成長工程と、前記AlN単結晶の表面を研磨する研磨工程と、前記研磨工程を経たAlN単結晶を1500℃以上の温度で加熱する加熱工程と、を備えることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載のAlN単結晶基板の作製方法であって、前記研磨工程に用いる研磨液のpHが10以下である、ことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載のAlN単結晶基板の作製方法であって、前記研磨工程に用いる研磨液のpHが5以上である、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項6の発明によれば、研磨処理後のAlN単結晶基板に対しアニール処理を行うことによって、該基板の表面平坦性が改善される。また、その上にデバイス層を形成した場合に、研磨処理のみを行った基板に対して形成するよりも高い結晶品質を該デバイス層において実現できるようなAlN単結晶基板を得ることができる。
<処理対象の単結晶基板>
本実施の形態においては、後述する研磨処理およびアニール処理を行うことによって、AlN単結晶基板(以下、単に「基板」と称する)1の表面の平坦化を実現する。基板1としては、サファイア、SiC、AlNなどの所定の基材上に、例えばMOCVD法、MBE法、HVPE法、昇華法、フラックス法などといった公知の単結晶育成手法を用いてAlN単結晶をエピタキシャル形成したもの、あるいはこのようにAlN単結晶を形成した後、基材を研削加工によって除去したものなど、種々の態様のものが対象となりうる。
なお、基材については、紫外域での光デバイス用途の場合には、動作波長の光に対し透明な材料を用いることが望ましいとされる。最も望ましいのは、AlN単結晶を基材として用いることあるが、その融点、分解温度の高さから商業上望ましい大きさのAlNの単結晶を容易に得ることは困難である。したがって、AlNとは異種の単結晶を基材とし、その上にAlNをヘテロエピタキシャル成長させる手法が一般に用いられる。かかる場合、AlNの結晶構造との相性から鑑みると、サファイアが基材として最も好適とされる。また、高出力の光デバイスや、放熱性が必要な電子デバイスなどを用途とする場合には、高い熱伝導率を持つSiCが最も好適とされる。あるいは、いったん上述のような基材上にAlN単結晶をエピタキシャル成長させ、所定の温度でアニール処理を施したものを、基材として用いる態様であってもよい。もちろん、これらは例示であって、AlN単結晶基板を基材とする態様を除外するものではない。
なお、好ましくは、基材上への単結晶層の形成に先立って基材表面に対し所定の窒化処理を施すことにより、基材窒化層があらかじめ形成されたうえで単結晶層の形成がなされる。これは、基板1の転位密度をあらかじめ低く抑えることができるという効果がある。
また、後述するアニール処理の観点からは、基板1の基材は、アニール処理の温度帯で分解しないもの、あるいは、AlNと強く反応しないものであることが望ましい。アニール処理中に基材の結晶配列に乱れが生じるのを回避する必要があるからである。係る観点からは、融点の高いサファイア、SiCを基材の材料とする基板1が望ましい処理対象であるといえる。
なお、基板1を構成するAlN単結晶中に、意図する意図しないに関わらず、不純物、例えば、Si、Ge、Be、Mg、Ca、Zn、Cd、B、Ga、In、P、C、O、S、遷移金属、希土類などが微量存在していたとしても、本発明の効果が妨げられるものではない。
<研磨処理>
図1は、本実施の形態に係るAlN単結晶基板の研磨処理に用いる研磨装置10を例示する概略図である。研磨装置10は、所定の研磨液を用いたCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)による研磨を行う装置である。研磨装置10は、研磨すべき基板1を保持する回転ヘッド2を備える。また、研磨装置10は、円盤状のポリッシングパッド3を保持するテーブル5を備える。
研磨装置10において、基板1は、回転ヘッド2の先端部分(図1においては下端部分)に所定の手法により保持される。回転ヘッド2は、保持した基板1の研磨対象面1sとテーブル5に保持されたポリッシングパッド3の上面とが対向する位置に、配設されてなる。そして、研磨対象面1sをポリッシングパッド3に対し所定の圧力で押圧可能とされてなる。かつ、図示しない駆動手段の作用によって、回転ヘッド2の回転中心軸(図1においては上下方向)の回りに自転すると共にテーブル5の面内方向に揺動するように構成されている。
さらに、研磨装置10は、図示しない供給源から研磨液となるスラリーをポリッシングパッド3上に供給する供給ノズル4を備える。供給ノズル4は、テーブル5の中心軸線(図1においては上下方向)上に供給口4aが位置するように配設されてなり、図示しない所定の制御手段によって所望の流量でポリッシングパッド3上にスラリーを供給可能に構成されている。
ポリッシングパッド3としては、いわゆるスウェードタイプのものを用いることが出来る。係るポリッシングパッド3は、例えば、ポリウレタンよりなるベース部材と、ポリエステル繊維よりなる不織布にポリウレタンを含浸させてなる下地層と、ポリウレタン垂直発泡体よりなり、研磨時に直接に基板1と接触する表面層とが3層構造をなしている。なお、このようなスウェードタイプのものに代わり、スポンジ状のいわゆる発泡タイプのものをポリッシングパッド3として用いる態様であってもよい。
スラリーとしては、例えば水酸化カリウム水溶液を分散媒としてアルミナ粉末を砥粒として分散させてなるアルミナスラリーを研磨液として用いることができる。この場合、アルミナ粉末としては、平均粒径が0.1μm程度のものを用いるのが好適である。また、アルミナスラリー中におけるアルミナ粉末の混合割合は10重量%程度であればよい。なお、アルミナスラリーは、pHがほぼ5から10の間の研磨液を用いるのが、適正な研磨レートの維持と表面平坦性の確保とがなされるので好適である。pHが10を越える研磨液を用いるのは、AlNの溶解による基板1のエッチングが早く進行し過ぎてしまい、研磨レートの制御が困難となるとともに平坦な表面が得られず、不適である。また、pHが5を大きく下回るような研磨液の場合、研磨の進行が砥粒によるメカニカルな研磨のみに支配されてしまうことから、表面平坦性の良好な研磨を行うことは可能であるものの、高い研磨レートが得られず処理時間がかかる点においてやや望ましくない。
なお、本実施の形態に係る研磨処理に用いる研磨液は上述のアルミナスラリーに限定されるものではなく、Cr23、SiO2、CeO2、ベンガラを砥粒とするものやHCl、HNO3を分散媒とするものなど、他の研磨液を用いる態様であってもよい。
また、研磨処理においては、基板1の表面ができるだけ平坦化されることが望ましい。好ましくは、できるだけ欠陥が生じることなく概ね原子レベルの平坦性が実現されるように、換言すれば、表面粗さra値が、50Å以下、好ましくは10Å以下となるように研磨する。この程度以下のra値でなければ、後述する熱処理を加えても、平坦性を十分に回復させることができない。これを実現する研磨量(平均研磨量)は、研磨処理前の基板1の厚みや表面凹凸の程度にもよるが、1μm程度である。その際の研磨レートは、30nm/min程度が好適である。従って、本実施の形態に係る方法は、基板1の単結晶が少なくとも数μm程度の厚みを有する場合に好適であるといえる。
このような研磨処理によって基板1の表面近傍には加工変質層が形成されることになるが、該加工変質層は、次述するアニール処理を適切に行うことで除去される。
<アニール処理>
本実施の形態においては、研磨装置10によって研磨処理を施した基板1に対し、所定の加熱装置(熱処理炉)によって少なくとも1500℃以上に、好ましくは1600℃以上に加熱する熱処理(アニール処理)を行う。これにより、加工変質層が除去されて表面の平坦性がより向上する。また、アニール処理を行わない場合に比して、その上にデバイス層を形成した際の該デバイス層の転位密度が低減し、結晶品質が向上する。例えば、1650℃の熱処理によって、デバイス層において1×108/cm2以下、さらには1×107/cm2以下の転位密度を実現することも可能である。
ここで、加熱温度を少なくとも1500℃以上とするのは、係る温度範囲においてアニールを行うことで、デバイス層を形成した際の該デバイス層の転位密度が低減する、という効果が顕著に得られるからである。これは、係る温度における加熱によって、研磨処理により基板1の表面に形成されていた加工変質層が除去されることによると考えられる。なお、MOCVD法などで基材上にAlN単結晶を形成する際に用いられる温度がせいぜい1250℃であることから、それ以上の温度で加熱を行うことで、少なくとも転位の低減という効果を得ることはできる。MOCVD法などの成膜手法は、一般に非平衡反応によって成膜を行う手法であるので、基板1の単結晶には、熱平衡状態において存在する数よりも多くの結晶欠陥(転位など)が、いわば凍結されたような状態で存在していると考えられるが、1250℃以上に加熱することで、熱平衡状態に近づき、転位が低減されるものと推察される。
また、1400℃程度でも転位密度低減の効果はあるが、転位低減速度が遅いこと、さらには、表面平坦性の向上の効果が不十分であることなどから、1500℃以上とすることが望ましい。1500℃以上とすることにより、融点の高いAlNにおいても物質移動が活発に行われるようになるため、転位低減のみではなく、表面平坦性も向上することができる。1600℃以上とした場合、より平坦性向上の効果が高く、表面に原子ステップが確認できる程度の表面平坦性を実現することができる。
ところで、AlN単結晶の形成そのものを、本実施の形態に係る熱処理と同程度の高温下で行うことで結晶欠陥の抑制を図ろうとする場合、エピタキシャル成長の条件を好適に維持しつつ係る結晶欠陥の抑制を行うことになるため、その条件設定や成膜制御は一般に難しくなる。これに対して、本実施の形態においては、いったん基材上にAlNのエピタキシャル膜を何らかの方法で作製し、これを研磨処理した上で、作成温度(成膜温度)よりも高温に加熱することから、成膜自体の条件設定や制御に対して、特段の制限が要求されることがなく、品質の良いAlN単結晶を得ることができる、というメリットがある。
ただし、基材としてサファイアを用いる場合には、両者の界面にγ−ALONが形成されない温度範囲で熱処理を行うことが好ましい。γ−ALONが形成されてしまうと、界面より欠陥が発生して転位密度が多くなる上に、単結晶の表面粗さが大きくなり、デバイス応用が困難となってしまうからである。
熱処理中の雰囲気に関しては、AlNの分解を防ぐためにも窒素元素を含有する雰囲気であるのが望ましい。例えば、窒素ガス、アンモニアガスを含む雰囲気を用いることができる。熱処理時の圧力条件に関しては、減圧から加圧までどの圧力で行っても結晶品質が改善されることが、確認されている。また、この際、転位低減や表面平坦性向上の効果を促進するために、水素、水分、酸素といった微量の添加ガスを加えることもできる。
アニール処理を行う場合に、表面平坦性の向上に加えて基板1そのものの転位の低減という効果を得ようとするならば、熱平衡状態を目標とする熱処理を行うことになるので、アニール時間は長い方が望ましい。しかし、上述のような結晶品質の劣化が引き起こされることを避けるため、アニール時間は、単結晶の厚みに応じて適宜に設定する必要がある。なお、上述の基材窒化層が挿入されている場合、熱処理による結晶品質の改善をより短時間で実現することが出来る。
アニール処理による転位の低減効果は表面部分のみで見出されるものではない。例えば基板1が基材を含んでなる場合に、基材と単結晶膜界面の近傍0.1μm程度の部分においても、表面部分と同程度にその効果が見出される。これは、本実施の形態に係るアニール処理を行わない場合、膜厚が厚くなるのに従い、AlN単結晶の転位密度が表面側から漸次に減少していくのと対照的である。
加熱処理に用いる処理装置の内部には、ガス中の不純物を制御するための部材が配置されていてもよい。また、基板1を固定するための治具に本機能を持たせることもできる。
以上、説明したように、本実施の形態においては、研磨処理後のAlN単結晶基板に対しアニール処理を行うことによって、AlN単結晶基板の表面平坦性が改善される。また、研磨処理によって生じる加工変質層がアニール処理によって除去されてなることから、基板上にデバイス層を形成すると、鏡面状態の表面を有し、かつ、研磨処理のみを行った基板に対して形成するよりも結晶品質のよいデバイス層を得ることが出来る。
<変形例>
上述の実施の形態においては、基材にエピタキシャル成長させた単結晶を対象としているが、例えば、フラックス法、昇華法などにより作製されたバルクのAlN単結晶を適宜の厚みにスライスしたものについても、上述の実施の形態と同様の研磨処理及びアニール処理を施すことによる、表面平坦化が可能である。
以下に、上述の実施の形態について、いくつかの実施例および比較例を示す。図2は各実施例および比較例において得られた基板の評価値を一覧にして示す図である。
(実施例1)
(0001)面サファイア(c面サファイア)を基材とし、基材窒化層を形成した後、MOCVD法により、1200℃で(0001)面AlN単結晶層(以下、単に「単結晶層」と称する)を1μmの膜厚に形成した。引き続き、1050℃で単結晶層をさらに6μm形成して、基板1を得た。
X線ロッキングカーブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が120秒、(10−12)面の半値幅が700秒であった。なお、X線ロッキングカーブ測定は、オープンスリットを用い、ωスキャン法により行った。なお、X線ロッキングカーブ測定は、基板1の(単結晶層の)結晶性(結晶品質)を評価するために行うものである。(0002)面の半値幅は、AlNのc軸方向に対する結晶ゆらぎの傾き成分の評価指標であり、(10−12)面の半値幅は、AlNのc軸を中心とした結晶ゆらぎの回転成分の評価指標である。また、基板1の転位密度は6×109/cm2であった。
基板1の表面、つまりは単結晶層の表面をAFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)により観察したところ、非周期的な凸凹を備えていることが確認された。またAFM観察データから5μm×5μm領域の表面粗さ(ra値)を算出したところ100Åであった。すなわち、後からの単結晶層の成長に用いた作製条件は、原子レベルの平坦さに比して比較的大きな表面凹凸を生じさせる厚膜を形成する条件である。
次に、研磨装置10を用いて基板1に研磨処理を施した。研磨液としては、pHを5に調整した水溶液に平均粒径0.1μmのアルミナ砥粒を10重量%分散させたアルミナスラリーを用いた。また、ポリッシングパッド3には、スウェードタイプのものを用いた。これらの条件のもと、平均研磨量を1μmとなるように基板1を研磨した。研磨後の基板1についてX線ロッキングカ−ブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が120秒、(10−12)面の半値幅が700秒であり、研磨前と違いはみられなかった。また、基板1の転位密度は6×109/cm2であった。一方、表面をAFMにより観察したところ、5μm×5μm領域のra値は10Åであり、研磨液のpHが5の場合であっても、研磨処理により表面が平坦化されていることが確認された。
次に、研磨処理後の基板1を熱処理炉の反応室内の所定位置に配置して、1気圧に保持しつつ窒素ガスを供給し、最高温度1650℃にて10分間のアニール処理を行った。その後、基板1のX線ロッキングカ−ブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が120秒、(10−12)面の半値幅が350秒であった。また、基板1の転位密度は9×108/cm2であった。基板1の表面をAFMにより観察したところ、5μm×5μm領域のra値が5Åであることが確認された。アニール処理により結晶品質が改善することが確認された。
引き続いて、アニール処理後の基板1に対して、MOCVD法により、1200℃で2μm厚みのAlN層をさらに成長させた。これは、基板1の上にデバイス層を形成する場合を想定した処理である。その結果、AlN層の表面は鏡面となった。X線ロッキングカーブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が120秒、(10−12)面の半値幅が350秒であった。すなわち、形成したAlN層の結晶性は、アニール処理後の基板1と同等であった。また、転位密度は9×108/cm2であった。
(比較例1)
本比較例においては、実施例1における研磨処理後の基板1に対して、アニール処理を施すことなく、デバイス層に相当するAlN層を実施例1と同様に形成した。その結果、AlN層の表面は鏡面となった。このAlN層についてX線ロッキングカーブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が300秒以上、(10−12)面の半値幅が1200秒以上であった。また、転位密度は5×1010/cm2であった。なお、下地となっている研磨処理後の基板1からのX線回折の影響は、所定のピーク分離処理により解析的に除去している。この結果は、表面のAlN層の結晶品質が、研磨処理後の基板1よりも劣っていることを示すものである。
これら実施例1および比較例1の結果は、研磨処理によってAlN単結晶基板の平坦化は実現されるものの、そのままその上にデバイス層を形成しても、結晶品質の高いデバイス層を得ることは出来ないが、研磨処理後にアニール処理を行った上でデバイス層を形成することで、デバイス層の高結晶品質化が実現できることを示している。そして、アニール処理が有効であるということは、研磨処理によりいったん生じた加工変質層が、アニール処理によって除去されてなるものと考えられる。
(実施例2)
c面サファイアを基材とし、基材窒化層を形成した後、MOCVD法により、1200℃で単結晶層を1μmの膜厚に形成した。1650℃でいったんアニール処理を行った後、HVPE法を用いて、その上に単結晶層を300μmの厚みに形成した。その後、サファイア基材を研削加工により除去して、基板1を得た。X線ロッキングカーブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が100秒、(10−12)面の半値幅が200秒であった。また、基板1の転位密度は8×107/cm2であった。また、基板1の表面をAFMにより観察したところ、5μm×5μm領域のra値が30Åであることが確認された。
次に実施例1と同様の条件で研磨処理を行った。研磨処理後の基板1について、X線ロッキングカ−ブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が100秒、(10−12)面の半値幅が200秒であり、研磨前と違いはみられなかった。また、基板1の転位密度は8×107/cm2であった。一方、表面をAFMにより観察したところ、5μm×5μm領域のra値が10Åであり、研磨処理により表面が平坦化していることが確認された。
次に、実施例1と同様の条件でアニール処理を行った。アニール処理の後、基板1のX線ロッキングカ−ブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が100秒、(10−12)面の半値幅が150秒であった。また、基板1の転位密度は4×107/cm2であった。基板1の表面をAFMにより観察したところ、5μm×5μm領域のra値が5Åであることが確認された。アニール処理により結晶品質が改善することが確認された。
引き続いて、アニール処理後の基板1に対して、実施例1と同様にAlN層をさらに成長させた。その結果、AlN層の表面は鏡面となった。X線ロッキングカーブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が100秒、(10−12)面の半値幅が150秒であった。また、転位密度は4×107/cm2であった。すなわち、AlN層の結晶品質は、アニール処理後の基板1と同等であった。
(比較例2)
本比較例においては、実施例2における研磨処理後の基板1に対して、アニール処理を施すことなく、デバイス層に相当するAlN層を実施例2と同様に形成した。その結果、AlN層の表面は鏡面となった。このAlN層についてX線ロッキングカーブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が300秒以上、(10−12)面の半値幅が500秒以上であった。また、転位密度は4×109/cm2であった。
よって、これら実施例2および比較例2の結果も、実施例1および比較例1の結果と同様に、研磨処理後にアニール処理を行った上でデバイス層を形成することで、デバイス層の高結晶品質化が実現できることを示している。この結果からも、アニール処理が有効であるということは、研磨処理によりいったん生じた加工変質層が、アニール処理によって除去されてなるものと考えられる。
(比較例3)
研磨処理に使用するアルミナスラリーのpHを12に調整する以外は、実施例1と同様に基板1を作製した。
研磨処理後の基板1についてX線ロッキングカ−ブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が120秒、(10−12)面の半値幅が700秒であった。すなわち、研磨前から結晶品質は変化していなかった。また、基板1の転位密度は6×109/cm2であった。その表面を光学顕微鏡により観察したところ、六角錘状のピットが存在することが確認された。また、5μm×5μm領域のra値は60Åであった。
アニール処理後の基板についてX線ロッキングカ−ブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が120秒、(10−12)面の半値幅が350秒であり、アニール処理による結晶品質の改善が確認された。また、基板1の転位密度は9×108/cm2であった。その表面をAFMにより観察したところ、ピットが残存していることが確認された。また、5μm×5μm領域のra値は30Åであった。
そして、デバイス層に相当するAlN層を形成したところ、その表面は鏡面とはならなかった。このAlN層についてX線ロッキングカーブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が150秒、(10−12)面の半値幅が400秒であった。また、転位密度は1×109/cm2であった。
実施例1と比較例3とを併せ考えると、良好な研磨処理を行うには、研磨液であるアルミナスラリーのpHの調整が重要であり、pHが10を越えるような研磨液による研磨処理行った場合は、たとえその後にアニール処理を行ったとしても、デバイス層の結晶品質は向上しないことが確認された。
(比較例4)
本比較例においては、実施例1における研磨処理前の基板1に対して、研磨処理を施すことなく、アニール処理のみを行った後、デバイス層に相当するAlN層を実施例1と同様に形成した。その結果、研磨処理前の基板1と同様な非周期的な凸凹が残存し、AlN層の表面は鏡面とはならなかった。このAlN層についてX線ロッキングカーブ測定を行ったところ、(0002)面の半値幅が120秒、(10−12)面の半値幅が350秒であった。また、転位密度は9×108/cm2であった。
すなわち、研磨処理を経ることなくアニール処理のみを行った場合、結晶品質の劣化は生じないものの、表面平坦性については全く改善されないことが確認された。
研磨処理に用いる研磨装置10を例示する概略図である。 各実施例および比較例において得られた基板1等の評価値を一覧にして示す図である。
符号の説明
1 基板
1s 研磨対象面
2 回転ヘッド
3 ポリッシングパッド
4 供給ノズル
4a 供給口
5 テーブル
10 研磨装置

Claims (6)

  1. AlN単結晶の表面を平坦化する方法であって、
    AlN単結晶を研磨する研磨工程と、
    前記研磨工程を経たAlN単結晶を1500℃以上の温度で加熱する加熱工程と、
    を備えることを特徴とするAlN単結晶の表面平坦化方法。
  2. 請求項1に記載の表面平坦化方法であって、
    前記研磨工程に用いる研磨液のpHが10以下である、
    ことを特徴とするAlN単結晶の表面平坦化方法。
  3. 請求項2に記載の表面平坦化方法であって、
    前記研磨工程に用いる研磨液のpHが5以上である、
    ことを特徴とするAlN単結晶の表面平坦化方法。
  4. AlN単結晶基板の作製方法であって、
    基材上にAlN単結晶を成長させる成長工程と、
    前記AlN単結晶の表面を研磨する研磨工程と、
    前記研磨工程を経たAlN単結晶を1500℃以上の温度で加熱する加熱工程と、
    を備えることを特徴とするAlN単結晶基板の作製方法。
  5. 請求項4に記載のAlN単結晶基板の作製方法であって、
    前記研磨工程に用いる研磨液のpHが10以下である、
    ことを特徴とするAlN単結晶基板の作製方法。
  6. 請求項5に記載のAlN単結晶基板の作製方法であって、
    前記研磨工程に用いる研磨液のpHが5以上である、
    ことを特徴とするAlN単結晶基板の作製方法。
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