JP2006199708A - 肝疾患治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 効果が高く、副作用の心配がなく、摂取が容易な肝疾患の予防および/または治療のための薬剤および食品を提供する。
【解決手段】 天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000のペプチドを含む薬剤、およびそのペプチドを含む食品である。この薬剤を服用し、またはこの食品を摂取することによって、肝疾患の予防または治療効果が発揮される。
【選択図】 なし

Description

肝疾患、高脂血症および糖尿病の患者数は多く社会的に大きな問題となっている。肝疾患、高脂血症および糖尿病は独自の原因によって発生するものがある。例えば、ウイルス性肝炎のように感染による肝疾患、遺伝的な欠陥に起因する原発性の高脂血症、遺伝的なインスリンの分泌不足に糖尿病などである。しかし、脂肪肝、アルコール性肝炎のような肝疾患、食事性の高脂血症および食事性の糖尿病は、澱粉、脂肪、アルコール性飲料等の過摂取、生活習慣と密接に関係する場合が多いので、肝疾患、高脂血症および糖尿病は併発することも多い。
本発明は肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療剤、並びに肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療用食品に関する。詳細には、L−グルタミンに富むペプチドを含むことを特徴とする肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療剤およびそのペプチドを含有する食品に関する。
肝疾患の代表例としては、脂肪肝、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変などの炎症性肝炎が挙げられる。肝疾患の治療のため、グリチルリチン製剤、ポリエンホスファチジルコリン、マロチラート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、チオプロニン、プロトポルフィリンナトリウム、メチルメチオニンスルホニウムクロリド、インターフェロン、ウルソデスオキシコール酸、小柴胡湯、肝臓加水分解物、グルタチオンなどが使用されている。しかしながら、これらの薬剤は、肝疾患を速やかに改善する効果が低く、治療に長時間を要することが多い。また、肝疾患をある程度速やかに改善することが可能な場合であっても、改善後のGOT値、GPT値、γ−GTP値が正常とされている値の上限止まりであることが多い。さらに、肝疾患の治療効果がある場合であっても、副作用がある等の問題があった。
このように、肝疾患に関し、日常的に摂取が容易であり、その治療効果が優れ、且つ安全性が高い予防または治療のための薬剤、および飲食品の開発が望まれている。
高脂血症は血液中の総コレステロールもしくは中性脂肪またはその両者が一定の基準値を超えた場合に付けられる病名であり、遺伝的な欠陥に起因する原発性高脂血症と、食事性のもの、糖、タンパク質、脂肪などの代謝異常、肝疾患の原疾患に続発して生じる続発性高脂血症がある。高脂血症の診断の目安として、一般的に総コレステロールの基準値として220mg/dl以上、中性脂肪の基準値として150mg/dl以上が採用されている。
高脂血症の原因のうち、最も問題とされるのは、肉類などコレステロールや中性脂肪に富む高脂肪食、高炭水化物食、アルコール摂取等のエネルギーの過剰摂取により生じる続発性高脂血症である。高脂血症は動脈硬化の原因となり、さらには心筋梗塞、脳血栓症等の重篤な病気を引起すため放置できない。このため、プラバスタチンナトリウム、コレスチミド、シンバスタチン、ニコチン酸、クロフィブラート系薬剤等の薬剤を用いて血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させる薬物療法が行われている。しかし、これらの薬剤には、副作用や服用時の不快感、投与終了後の再発などの問題がある。
また、高脂質血症の治療として食事療法や運動療法が行われているが、これらの療法は、その効果が現れるまでには長期間かかるため、いずれも長期にわたって継続する必要がある。このため、日常的に摂取が容易であり、コレステロールや中性脂肪を低下させる作用に優れ、且つ安全性が高い高脂血症の予防治療のための薬剤、および、飲食品の開発が望まれていた。これまで食品に添加しうるものとして、茶、赤ワイン、カカオ豆等に含まれるポリフェノールの一種が高コレステロール血症予防作用を有することが報告されている(例えば、特開平11−308978号公報および日本栄養・食糧学会誌,39(6),第495〜500頁,1986年参照)。
糖尿病は、インスリン分泌不全、インスリン抵抗性等による慢性の高血糖を特徴とする疾患群であり、その発症には遺伝的、環境的要因が関与している。糖尿病には、膵臓β細胞が何らかの原因で破壊されるか機能不全となり、インスリンを分泌できなくなり高血糖を発症するI型(インスリン依存型)糖尿病、インスリン分泌量の減少、組織におけるインスリン感受性の低下などによるII型(インスリン非依存型)糖尿病、そして妊娠に伴い分泌されるホルモンの作用によりインスリンの作用が低下して発症する妊娠糖尿病がある。これら糖尿病のうち90%を占めるのがインスリン非依存型であり、遺伝素因のほかに、エネルギーの過剰摂取、偏食、運動不足、ストレスなどが原因と考えられている。
いずれにしても、慢性的な高血糖状態は糖尿病自体を悪化させるだけでなく、神経障害、網膜症、腎臓障害などの合併症を発症させ、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害等の重篤な疾患の原因となる。また、妊娠糖尿病は、子宮内胎児死亡や新生児死亡の原因となる。
糖尿病の予防または治療として重要なことは、血糖値のコントロールであり、そのために栄養指導、運動療法、薬物療法が行われている。栄養指導や運動療法は糖尿病の予防または治療に有効な手段であるが、その効果が現れるまでには長期間かかるため、長期間にわたり厳密な食事制限や運動を継続する必要がある。また、運動療法は低血糖状態を引起こす場合があるだけでなく、患者によっては却って合併症を悪化させる場合があり、注意が必要である。
薬物療法としては、主にインスリン療法と経口糖尿病治療薬療法の2つが挙げられる。インスリン療法は主にインスリン依存性糖尿病の患者に行われているが、日常的にインスリンを注射するだけでなく、インスリンの注射量をコントロールする必要がある。また、経口糖尿病治療薬には、スルホニル尿素系治療薬(SU剤)、ビグアナイド系(BG剤)、α−グリコシダーゼ阻害薬、塩酸ピオグリタゾン等のインスリン抵抗性改善薬が知られているが、低血糖症状の他、乳酸アシドーシス(気分が悪い・嘔吐・腹痛・昏睡)、肝障害等の副作用があり、また併用薬についても注意が必要である。このため、日常的に摂取が容易であり、血糖値を低下させる作用に優れ、かつ安全性が高い糖尿病の予防または治療のための薬剤、および飲食品の開発が望まれていた。
一方、L−グルタミンまたはこれを含むペプチドを小麦蛋白質から得る方法は知られている(例えば、特許2019439号公報および特許第2985193号公報参照)。また、L−グルタミンまたはこれを含むペプチドが腸粘膜の構造および機能の維持、並びに免疫機能減損の改善等に有用であることが報告されている(例えば、特開平5−236909号公報およびEP756827−A2参照)。しかし、L−グルタミンに富むペプチドが、GOT値、GPT値、γ−GTP値を正常にし、血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させ、血糖値を低下させて、肝疾患、高脂血症および/または糖尿病を予防および/または治療しうる作用を有することはこれまで知られていない。
本発明の課題は、効果が高く、副作用の心配がなく、摂取が容易であり、且つ価格的にも安全性の面からも長期間服用ができる肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療剤、並びに肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療効果のある食品を提供することである。
本発明者等は、L−グルタミンに富むペプチドの投与が、肝疾患患者のGOT値、GPT値、γ−GTP値を短期間の間に正常値またはそれに近い値に改善すること、L−グルタミンに富むペプチドの投与が、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、動脈硬化指数を短期間に正常値またはそれに近い値にまで改善することおよび、L−グルタミンに富むペプチドの投与が、血糖値を短期間に正常値またはそれに近い値にまで改善することを見出した。
したがって、本発明は、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチドを含むことを特徴とする肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療剤に関する。当該ペプチドは、L−グルタミン含有量が20〜40質量%で、平均分子量が500〜20,000であるのが好ましく、小麦粉グルテンを原料として製造されたペプチドが特に好ましい。
なお、以下の記載において、本発明のグルタミン含有量の高いペプチドを「グルタミンペプチド」と称する。また、本明細書において、用語「ペプチド」および「グルタミンペプチド」は、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成されるペプチドを意味する。故に、用語「L−アミノ酸」または「アミノ酸」は、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸を意味する。
さらに本発明は、その肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療効果のあるペプチドを含む食品に関する。本発明のグルタミンペプチドを飲食品に含有させることにより、日常生活においてグルタミンペプチドをより容易に摂取できる。
本発明において肝疾患とは、脂肪肝、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変などの炎症性肝炎であるが、病名がはっきりしていないがGOT、GPT、γ−GTP等の肝機能の指標に異常がみられる症状をも包含する。
GOT(Glutamic Oxaloacetic Transaminase)は、心筋、肝臓、骨格筋、腎臓などの組織や臓器の細胞中に多く存在し、蛋白質を分解してアミノ酸を形成する酵素である。正常な状態でも、人の体を構成する細胞では生成と崩壊が同時に起こっているため、健康人の血液中にも常に所定量のGOTが含まれている。健常な成人の血液中でのGOT含有量(正常値)は、一般に5〜40IU/リットルとされているが、前記した心筋、肝臓、骨格筋、腎臓などの組織や臓器に異常が生ずると、血液中に多量のGOTが放出されるようになる。そのため、GOT値は臓器や体の組織での疾病の有無を診断する際の重要な指針の一つとされている。
また、GPT(Glutamic Pyruvic Transaminase)は、GOTと同様にアミノ酸形成に関与する酵素であり、肝細胞に特異的に多く存在し、腎臓には肝臓の1/3程度存在し、その他の臓器での存在量は少ない。成人の血液中の主常なGPT値は一般に5〜42IU/リットルとされているが、血液中のGPT含有量(GPT値)は肝細胞の変性や壊死などの肝障害に敏感に反応して増加することから、肝疾患の診断を行う際の重要な指標の一つとされている。
γ−GTP(γ−Glutamyl Transpeptidase)は、GOTおよびGPTと同様に蛋白質を分解する酵素であり、腎臓に最も多く存在し、次いで膵臓、肝臓、牌臓、小腸にも含まれる。γ−GTPは、肝細胞の中でも毛細胆管側、胆管上皮、腸上皮細胞などの酵素の分泌と吸収に関連した部位に多く存在する。成人の血液中でのγ−GTP値の正常値は一般に50IU/リットル以下(0〜50IU/リットル)とされている。γ−GTPは、肝臓に対して毒性を示すアルコールや薬剤などが肝細胞を破壊したときや、結石、ガンなどで胆管が閉塞して内部がつまったときに血液中に多く放出される。γ−GTPは、特にアルコールに敏感に反応し、しかも肝臓や胆道に病気があると、他の酵素よりも早く異常値を示すため、γ−GTP値は、GOT値およびGPT値と共に、肝疾患の指標として一般に広く用いられている。
本発明において高脂血症とは、血液中のコレステロールまたは中性脂肪その両方が一定の基準値を超えた病態を意味し、高脂血症の病態には、高コレステロール血症および中性脂肪血症が包含される。故に、本発明の高脂血症の予防または治療剤は、コレステロールや中性脂肪が一定の基準値を超えた病態を治療または予防するために投与または服用される。ここで、高脂血症の指標には、総コレステロール値(遊離コレステロールとエステル化されたコレステロールの合計)や中性脂肪値(トリグリセリド値ともいう)のみならず、LDLコレステロール値(低比重リポ蛋白コレステロール値)等も用いられる。
本発明において糖尿病とは、血糖値が一定の基準値を超えた病態を意味する。故に、本発明の糖尿病の予防または治療剤は、血糖値が一定の基準値を超えた病態を治療または予防するために投与または服用される。なお、糖尿病の指標として、血糖値(例えば空腹時血糖値)の他に、グリコヘモグロビン A1c(Hb A1c)および1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(1,5−AG)等が用いられる。
Hb A1cは、ヘモグロビン A(Hb A)にグルコースが結合したものであり、これには不安定型Hb A1cと安定型Hb A1cがある。安定型Hb A1cはグルコースとの結合が安定であり、過去4ヶ月の血糖値の動きを知ることができるが、通常は過去1〜2ヶ月の平均血糖値の動きを調べるために用いられている。Hb A1cの正常値は4.3〜5.8%の範囲であり、6.0%以上の場合には何らかの治療が必要とされている。
1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(1,5−AG)は、ブドウ糖の一部が還元された単糖類である。1,5−AGの正常範囲は14μg/mL以上であるが、高血糖による尿糖***に応じて直ちに減少し、血糖状態が改善するとともに、ゆっくりと回復する。このため、過去5〜7日間ぐらいまでの短期間の血糖の変化を知ることができ、また食事などの影響は受けないため随時評価することができる。
これら血糖値、Hb A1cおよび1,5−AGの指標の測定法については、糖尿病の治療の分野において広く知られており、また基準も定められている。このため、これに準じた測定器および試験キットが市販されており、これらのいずれを用いて測定してもよい。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるグルタミンペプチドは、L−グルタミン含有量が少なくとも15質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチドであれば特に制限されず、天然もしくは組換え蛋白質の部分的加水分解物、化学合成もしくは遺伝子工学的に作製したペプチド、またはこれらの組合せであってもよい。
グルタミンペプチドにおけるL−グルタミン含有量が15質量%未満であると、疾患の十分な予防および/または治療効果が期待できなくなる。L−グルタミン含有量の上限は特に限定されないが、60質量%を超えると天然蛋白質からの調製が困難になるため、入手や調製の容易性および経済性の面から60質量%以下であるのが好ましく、20〜40質量%であるのがより好ましい。
グルタミンペプチド中のL−グルタミン含有量は、アミド態窒素置換法により測定したアミド態窒素含有量から求めたアミド態窒素含有L−アミノ酸含有量に基づく算出法や、グルタミンペプチドが合成物である場合は合成時におけるL−グルタミンの使用割合などから求めることができる。
また、グルタミンペプチドの平均分子量が200未満であると、苦味を呈して味が不良になる。一方、グルタミンペプチドの平均分子量が100,000を超えると、水を加え
た時に粘稠な塊を形成し、取り扱い性が劣るようになる。グルタミンペプチドの平均分子量は200〜100,000であれば特に制限されないが、500〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。
本明細書でいうグルタミンペプチドの平均分子量は、ゲル濾過法によって測定したときの平均分子量であり、その詳細については以下の実施例の項に記載するとおりである。
本発明で用いるグルタミンペプチドは、L−グルタミン含有量が少なくとも15質量%であれば、L−グルタミン以外のL−アミノ酸の種類およびその組成比などは特に制限されない。
グルタミンペプチドは、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸からなるために、ヒトや動物に対する安全性の点で優れているが、本発明のペプチドとして、食品に含まれる蛋白質を加水分解して得られるグルタミンペプチド、特に小麦グルテンを加水分解して得られるグルタミンペプチドを用いるのが、安全性、入手および調製の容易性、経済性などの点から好ましい。
本発明で好ましく用いられるグルタミンペプチドは、25〜50質量%のL−グルタミンを含有する小麦グルテンをプロテアーゼ、酸、アルカリなどにより平均分子量が200〜100,000の範囲内にある加水分解物が生成するような条件下で加水分解することによって製造することができる。
小麦グルテンは通常25〜50質量%のL−グルタミンを含有しており、そのため平均分子量が200〜100,000の範囲内になるような条件下で小麦グルテンを加水分解し、必要に応じて分画などを行うことにより、L−グルタミン含有量が15〜60質量%の範囲内のグルタミンペプチドを比較的容易に得ることができる。
小麦グルテンは水に不溶で且つ水に対する分散性に劣るが、小麦グルテンを加水分解して得られるグルタミンペプチドは、低分子化しているために水に対する分散性に優れている。
小麦グルテン由来のグルタミンペプチドは、例えば小麦グルテンをプロテアーゼを用いるかまたはプロテアーゼとアミラーゼを用いて加水分解する方法によって製造することができる(特許2019439号公報および特許第2985193号公報参照)。その際のプロテアーゼとしては、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリシプシン、ヒイロタケ起源の酸性プロテアーゼ、アスペルギルス起源の酸性プロテアーゼ、パパイン、ブロメラインなどのような種々のプロテアーゼを用いることができる。小麦グルテンをプロテアーゼで加水分解する際に、アミラーゼを併用すると、小麦グルテンに含まれている澱粉質や繊維質等の不純物が分解除去されて、高純度のグルタミンペプチドを高収率で得ることができる(特許第2985193号公報を参照)。
本発明のグルタミンペプチド、例えば小麦グルテン由来のグルタミンペプチドは、従来から既に市販されている(例えば日清ファルマ株式会社製の「グルタミンペプチドGP−1」、DMV社製の「グルタミンペプチドGPA」など)。これらのグルタミンペプチドはそのまま用いてもよいし、また場合により加水分解、分画などの処理を施してもよい。
本発明の肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防または治療剤および食品は、通常の場合、グルタミンペプチドの質量として成人1日当たり1〜40gの範囲で投与される。一般的な1日当たり投与量は、6〜10gである。しかし、本発明において用いるペプチドは、天然物に由来する安全性の高いものであり、その投与量をさらに増やすこともできる。投与量は効果などを見ながら適宜増減するのが望ましい。1日当たりの投与量を1回に投与または摂取することもできるが、数回に分けて投与するのが望ましい。
本発明の肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療剤は、定法により錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤などの経口製剤とすることができる。その際には、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、香味剤、着色剤、界面活性剤、コーティング剤等を用いることができる。
賦形剤としては、ブドウ糖、白糖、乳糖、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、結晶セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、各種澱粉、カルボキシメチルスターチナトリウム、デキストリン、シクロデキストリン、カルボキシビニルポリマー、りん酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
結合剤としては、トラガント、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、アルファー澱粉、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ボリビニルアルコールなどが挙げられる。崩壊剤としては、澱粉、界面活性剤、胃酸と反応してガスを発生する炭酸水素ナトリウムなどがあげられる。滑沢剤としては、たとえばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウなどがあげられる。
香味剤としては、クエン酸等の酸味剤、サッカリン等の甘味剤、ペパーミント等の香料が挙げられる。着色剤としては、食用として使用が認められている色素が用いられる。
界面活性剤としては、たとえばボリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルペート類、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。コーティング剤としては、たとえばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
本発明のグルタミンペプチドを食品に含有させることより、摂取がさらに容易となる。そのような食品としては、例えばパン、うどんなどの麺類、クッキー、せんべいなどの炭水化物系食品、お茶類、スープ類、ふりかけ、バター、ジャムなどのスプレッド類、流動食、ジュース類、ゼリー状飲料等の形態が挙げられる。健康食品、機能性食品として、一日当たりの投与量が管理できる形にするのが望ましい。本発明の食品は、肝疾患、高脂血症および/または糖尿病を予防または治療する効果を有する。
下記の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されない。
なお、ペプチド(グルタミンペプチド)の平均分子量、ペプチドにおけるグルタミン含有量は次の方法で測定した。
ペプチドの平均分子量:
ペブチドの水溶液を孔径0.45μmのメンブランフイルターで濾過しゲル濾過にて分子量を測定した。カラムとして、日本バイオラッドラボラトリーズ社製「バイオシルSEC125−5」を使用した。測定条件は、測定波長280nm、溶出液0.2mMリン酸緩衝液(pH6.0,0.1%SDS)、流速0.2ml/分であった。また、分子量の標準
として、オボアルブミン(分子量44kDa)、ミオグロブリン(分子量17kDa)およびビタミンB12(分子量1.35kDa)を使用した。
ペプチド中のグルタミン含有量:
アミド態窒素を含有するアミノ酸は、グルタミンとアスパラギンの2つであるが、小麦蛋白質では、そこに含まれるアミド態窒素含有アミノ酸のうちの95質量%以上がグルタミンである。すなわち、小麦グルテン中のアミド態窒素含有アミノ酸量を、そのままグルタミン含有量としても、大きな誤差にならない。したがって、小麦グルテン中のアミド態窒素含有アミノ酸量を、そのままグルタミン含有量とした。
グルタミンペプチドに含まれるアミド態窒素の含有量を、Wilcoxによる化学物質中のアミドの定量法[Meth. Enzymol.,11,36−65(1967)]に従って求めた。具体的には、コンウェイのフラスコ中にグルタミンペプチドを入れ、そこに1Nの塩酸を加えて、グルタミンペプチド中のアミド態窒素をアンモニアとして遊離させ、発生したアンモニアを衛生検査指針[日本薬学会編「衛生試験法・注解」,p274−276,金原出版(1990)]に従って定量し、定量したアンモニア量からペプチドに含まれるアミド態窒素量を求め、これに基づきグルタミン含有量としてアミド態窒素含有アミノ酸の含有量を算出した。
製造例1.グルタミンペプチドの製造
(1)反応釜に、イオン交換水9,700kg、無水クエン酸38kgおよび小麦グルテン(活性グルテン,Weston Foods Limited製)1,500kgを仕込み、45℃に加温した後、プロテアーゼ(天野製薬株式会社製「プロテアーゼMアマノ」)2.2kgおよびアミラーゼ(阪急バイオインダストリー株式会社製「液化酵素T」)1.1kgを加えて、45℃で5時間加水分解反応を行い、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液を用いて液のpHを4.4〜4.5に調整して5時間保って酵素処理を行った。
(2)次いで、液を80℃に20分間保ってプロテアーゼを失活させた後、65℃に冷却し、そこにアミラーゼ(阪急バイオインダストリー株式会社製「液化酵素T」)0.5kgを加えて小麦グルテン中に含まれていた澱粉質および繊維質を加水分解させた後、液を90℃に20分間保ってアミラーゼを失活させた。
(3)次に、液を10℃以下に冷却した後、再度55℃に加熱し、そこに活性炭(武田薬品工業株式会社製「タケコール」)100kgを加えて55℃で30分間攪拌した。
(4)液温を45℃にし、濃過助剤(昭和化学工業株式会社製「ラヂオライト」)を加えて、加圧濾過装置を使用して濾過を行い、濾液7,000リットル(7m3)を回収した。(5)上記(4)で回収した濾液をBrix値が20〜40になるまで減圧下で濃縮した後、プレートヒーターを使用して110℃で20秒間加熱して殺菌し、次いで55℃まで冷却した。
(6)上記(5)で得られた液を、噴霧乾燥装置を使用して送風温度160℃、排風温度80℃の条件下に噴霧乾燥して、小麦グルテンの加水分解物であるグルタミンペプチド粉末約1,000kgを得た。
(7)上記(6)で得られたグルタミンペプチド粉未を60メッシュ篩(目開き0.246mm)を用いて分級し、60メッシュ篩を通過した微粉(グルタミンベプチド微粉)を回収した。
(8)上記(7)で回収したグルタミンペプチド(微粉)の平均分子量およびグルタミン含有量を測定したところ、平均分子量は約8,000およびグルタミン含有量は32質量%であった。
製造例2〜4.グルタミンペプチドの製造
製造例1と同様な方法で、下記の表1に示す性状のグルタミンペプチドを得た。
Figure 2006199708
実施例1.錠剤の製造
製造例1で得られたグルタミンペプチド83.8g、結晶セルロース(旭化成株式会社製)10gおよびポリビニルピロリドン(BASF社製)5gを混合し、これにエタノール30mlを添加して、湿式法により常法に従って類粒を製造した。それにより得られた類粒を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて打錠用顆粒未とし、打錠機を用いて打錠し、1錠が1gの錠剤100個を製造した(錠剤1錠当たりのグルタミンペプチド含有量0.838g)。
実施例2.シロップ剤の製造
精製水400gを煮沸し、これにかき混ぜながら白糖750gおよび製造例1で得られたグルタミンペプチド100gを加えて溶解し、熱時に布ごしし、これに精製水を加えて全量を1000mlとしてシロップ剤を製造した(シロップ剤100ml当たりのグルタミンペプチド含有量10g)。
実施例3.顆粒剤の製造
グルタミンペプチドGP−1(平均分子量7,000、L−グルタミン含有量32質量%;日清ファルマ株式会社製)76g、乳糖(DMV社製)13.3g、結晶セルロース(旭化成株式会社製)6.7gおよびポリビニルピロリドン(BASF社製)4gを混合し、これにエタノール30mlを添加して、湿式法により常法に従って顆粒を製造し、乾燥後、整粒して顆粒剤を得た(顆粒剤10g当たりのグルタミンペプチド含有量7.6g)。
実施例4.流動食の製造
約65℃の純水750gにカゼインナトリウム(DMV社製)40g、マルトデキストリン(三和デンプン社製)160gおよびグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ株式会社製)25gを添加して溶解させ、次いでビタミンミックス5gおよびミネラル微量の各成分混合液を添加した。混合液をホモミキサー(特殊機化工業製)に投入し、約8000rpmにて15分間粗乳化した。得られた乳化液を約20℃に冷却し、香料を添加後、最終メスアップを行った。この液をパウチへ本液230g充填後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って濃厚流動食を得た。流動食230g当たりのグルタミンペプチド含有量は約5gであった。
実施例5.パンの製造
小麦粉(強力粉)150gとドライイースト2gを混ぜる。他に、グルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ株式会社製)20g、砂糖20g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混ぜる。これを小麦粉に加え、良く手でよくこねた後、バター約40gを加えてよくこね、20個のロールパン生地を作る。次いで、発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約15分焼き、ロールパンを製造した。このロールパンは、1個当たりグルタミンペプチドを約1g含有していた。
実施例6.パスタ用ミートソースの製造
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、同時にグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ株式会社製)5gを加えて加温し、パスタ用ミートソースを作成した。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行ってグルタミンペプチドを含有するパスタ用ミートソースを得た。
実施例7.うどんの製造
小麦粉(中力粉)300gに対して、水150gにグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ株式会社製)15g、食塩15gを分散させ、良く混ぜこねて寝かす。この後、生地を延伸し、幅約5mmで切断してうどんを製造した。これを沸騰したお湯で約10分茹でたところ、外観、味、食感ともに良好であった。このうどんは、1食分当たりグルタミンペプチドを約5g含有していた。
以下に、本発明のグルタミンペプチドの肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の治療について、試験例によって説明する。
[肝疾患に関する試験]
以下に、本発明のグルタミンペプチドの肝疾患に関する薬理試験について述べる。
肝疾患の治療効果の指標とした、GOT値、GPT値、γ−GTP値の測定法は、つぎのとおりである。
GOT値:日本臨床化学会(JSCC)の標準化対応法であるUV法〔「臨床化学」18、231−249頁(1989)〕に従って測定した。
GPT値:JSCCの標準化対応法であるUV法〔「臨床化学」18、250−262頁(1989)〕に従って測定した。
γ−GTP値:JSCCの標準化対応法である比色法〔「臨床化学」24、106−121頁(1995)〕に従って測定した。
[脂肪肝に関する試験例1]
被験者A:男性(58才)
投与薬剤:実施例3の顆粒剤
投与量:グルタミンペプチド 約9.9g/日
試験方法:全身倦怠と食欲不振を訴えていた脂肪肝の被験者にグルタミンペプチドを1日3回毎食後に内服させ、投与前、投与開始1週間後、3週間後にGOT、GPTおよびγ−GTPを測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2006199708
[脂肪肝に関する試験例2]
被験者B:男性(60才)
投与薬剤:実施例2のシロップ剤
投与量:グルタミンペプチド 約6g/日
試験方法:倦怠感と食欲不振を訴えていた脂肪肝の被験者にグルタミンペプチドを1日3回毎食後に内服させ、投与前、投与開始3週間後GOT、GPTおよびγ−GTPを測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2006199708
[C型慢性肝炎に関する試験例1]
被験者C:男性(49才)
投与薬剤:実施例2のシロップ剤
投与量:グルタミンペプチド 約8g/日
試験方法:C型慢性肝炎の被験者にグルタミンペプチドを1日2回(朝・晩)内服させ、投与前、投与開始3週間後にGOT、GPTおよびγ−GTPを測定した。その結果を表4に示す。
Figure 2006199708
[C型慢性肝炎に関する試験例2]
被験者D:男性(51才)
投与薬剤:実施例3の顆粒剤
投与量:グルタミンペプチド 約8g/日
試験方法:C型慢性肝炎の被験者にグルタミンペプチドを1日2回(朝・晩)内服させ、投与前、投与開始4週間後にGOT、GPTおよびγ−GTPを測定した。その結果を表5に示す。
Figure 2006199708
上記試験例において、いずれの被験者においても肝機能の指標であるGOT、GPTおよびγ−GTPが低下し、肝機能の改善が認められた。これらの結果は、本発明のグルタミンペプチドが肝疾患の予防または治療に対する優れた薬理作用を有することを示している。
[高脂血症に関する試験]
以下に、グルタミンペプチドの高脂血症に関する薬理試験について述べる。
高脂血症の被験者にその症状に応じて特定量のグルタミンペプチドを経口投与し、一定期間後に総コレステロール値、中性脂肪値、LDLコレステロール値、動脈硬化指数等を測定し、高脂血症の改善作用を評価した。なお、血液中の総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、動脈効果指数は次の方法で測定した。
総コレステロール値:臨床検査受託機関である株式会社エスアールエル(東京)にて、酵素法[宇治ら,日本臨床,Vol.53,増刊,第615頁(1995)]によって測定した。
LDLコレステロール値:臨床検査受託機関である株式会社エスアールエル(東京)にて、酵素的測定法[菅野ら,医学と薬学,Vol.3,No.3,第635頁(1997)]によって測定した。
中性脂肪値:臨床検査受託機関である株式会社エスアールエル(東京)にて、酵素法(遊離グリセロール消去法)[渋谷ら,日本臨床,Vol.53,増刊,第606頁(1995)]によって測定した。
動脈硬化指数:臨床検査受託機関である株式会社エスアールエル(東京)にて、HDLコレステロール値を選択阻害法(直説法)[中井ら,日本臨床,Vol.53,増刊,第617頁(1995)]によって測定し、下記の式より動脈硬化指数を算出した。
動脈硬化指数=(総コレステロール値−HDLコレステロール値)÷(HDLコレステロール値)
[高脂血症に関する試験例1]
被験者E:男性(58才)
投与薬剤:実施例3の顆粒剤
投与量:グルタミンペプチド 10g/日
試験方法:被験者にグルタミンペプチドを1日3回毎食後に内服させ、投与前、投与開始1週間後、3週間後および3ヶ月後に総コレステロール、中性脂肪を測定した。その結果を表6に示す。
Figure 2006199708
[高脂血症に関する試験例2]
被験者F:男性(60才)
投与薬剤:実施例3の顆粒剤
投与量:グルタミンペプチド 6g/日
試験方法:被験者にグルタミンペプチドを1日3回毎食後に内服させ、投与前、投与開始3週間後および3ヶ月後に総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、動脈硬化指数を測定した。その結果を表7に示す。
Figure 2006199708
上記試験例において、いずれの被験者においても高脂血症の指標である総コレステロール値、中性脂肪値、LDLコレステロール値、動脈硬化指数が低下し、高脂血症の改善が認められた。これらの結果は、本発明のグルタミンペプチドが高脂血症の予防または治療に対する優れた薬理作用を有することを示している。
[糖尿病に関する試験]
以下に、グルタミンペプチドの糖尿病に関する薬理試験について述べる。
糖尿病の被験者にその症状に応じて特定量のグルタミンペプチドを経口投与し、一定期間後に空腹時血糖値、Hb A1cおよび1,5−AGを測定し、糖尿病の改善作用を評価した。なお、血糖値、Hb A1cおよび1,5−AGの測定法はつぎのとおりである。
血糖値:血糖値の測定法として、グルコースオキシダーゼ(GOD)法、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)法などの酵素電極法、ヘキソキナーゼ(HX)法、グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ(GOD/POD)法などの酵素比色法が一般的であるが、本実施例では臨床検査受託機関である株式会社エスアールエル(東京)にてGDH法[前川ら,日本臨床,vol.53,増刊,第527頁(1995)]によって測定した。
Hb A1c:Hb A1cの標準法として高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)、ラテックス凝集法(LA法)、アフィニティー法が知られているが、本実施例では臨床検査受託機関である株式会社エスアールエル(東京)にてLA法[老籾,日本臨床,vol.48,増刊,第315頁(1990)]によって測定した。
1,5−AG:本実施例では臨床検査受託機関である株式会社エスアールエル(東京)
にて酵素法[川合,日本臨床,vol.47,増刊,第439頁(1989)]によって測定した。
[糖尿病に関する試験例]
被験者G:男性(67才)
投与薬剤:実施例3の顆粒剤
投与量:グルタミンペプチド 10g/日
試験方法:被験者にグルタミンペプチドを1日3回毎食後に内服させ、投与前、投与開始1ヶ月後および3ヶ月後に空腹時血糖値、Hb A1cおよび1,5−AGを測定した。その結果を表8に示す。
Figure 2006199708
上記試験例において、被験者は糖尿病の指標である空腹時血糖値、Hb A1cおよび1,5−AG値に顕著な改善が認められた。この結果は、本発明のグルタミンペプチドが糖尿病の予防または治療に対する優れた薬理作用を有することを示している。
[脂肪肝および高脂血症の併発に関する試験例1]
被験者H:男性(68才)
投与薬剤:実施例3の顆粒剤
投与量:グルタミンペプチド 約8g/日
試験方法:倦怠感と食欲不振を訴えていた、脂肪肝と高脂血症を併発している被験者にグルタミンペプチドを1日2回(朝・晩)内服させ、投与前、投与開始4週間後および3ヶ月後にGOT、GPT、γ−GTP、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、動脈硬化指数を測定した。その結果を表9に示す。
Figure 2006199708
[脂肪肝および高脂血症の併発に関する試験例2]
被験者I:男性(50才)
投与薬剤:実施例3の顆粒剤
投与量:グルタミンペプチド 約8g/日
試験方法:脂肪肝の兆候が見られ、高脂血症である被験者にグルタミンペプチドを1日2回(朝・晩)内服させ、投与前、投与開始4週間後および3ヶ月後にGOT、GPT、γ−GTP、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、動脈硬化指数を測定した。その結果を表10に示す。
Figure 2006199708
上記試験例において、いずれの被験者においても肝機能の指標であるGOT、GPT、γ−GTP、および高脂血症の指標である総コレステロール値、中性脂肪値、LDLコレステロール値、動脈硬化指数が低下し、肝機能および高脂血症の改善が認められた。これらの結果は、本発明のグルタミンペプチドが脂肪肝と高脂血症を併発している場合にも優れた効果があることを示している。
[高脂血症および糖尿病の併発に関する試験例]
被験者J:女性(74才)
投与薬剤:実施例3の顆粒剤
投与量:グルタミンペプチド 6g/日
試験方法:被験者にグルタミンペプチドを1日3回毎食後に内服させ、投与前、投与開始2週間後、4週間後および3ヶ月後に総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、空腹時血糖値、Hb A1cおよび1,5−AGを測定した。その結果を表11に示す。
Figure 2006199708
上記試験例において、高脂血症の指標である総コレステロール値、中性脂肪値、LDLコレステロール値が低下し、糖尿病の指標である空腹時血糖値、Hb A1cおよび1,5−AG値に顕著な改善が認められた。この結果は、本発明のグルタミンペプチドが高脂血症と糖尿病を併発している場合にも優れた効果があることを示している。
本発明によれば、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチドを含むことを特徴とする肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療剤、並びにそのペプチドを含有する食品が提供される。
本発明の薬剤または食品を投与または摂取することにより肝疾患、高脂血症および/または糖尿病が短期間で顕著に改善される。また、本発明において用いるグルタミンペプチドは安全性に優れており、長期間投与するのに適している。このため、本発明の薬剤および食品は、肝疾患、高脂血症および/または糖尿病の予防および/または治療に極めて有用である。

Claims (6)

  1. 天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチドを含むことを特徴とする肝疾患の予防および/または治療剤。
  2. L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が7000〜100,000である請求項1記載の肝疾患の予防および/または治療剤。
  3. L−グルタミン含有量が20〜40質量%で、平均分子量が500〜20,000のペプチドである請求項1記載の肝疾患の予防および/または治療剤。
  4. 小麦グルテンを原料として製造されたペプチドである請求項1〜3のいずれかに記載の肝疾患の予防および/または治療剤。
  5. 肝疾患が脂肪肝またはC型慢性肝炎である請求項1〜4のいずれかに記載の肝疾患の予防および/または治療剤。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のペプチドを含有することを特徴とし肝疾患の予防および/または治療用である旨の表示を付した飲食品。
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