JP2006191012A - 光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法、光透過性電磁波シールド性フィルム、及びディスプレイ用フィルタ - Google Patents

光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法、光透過性電磁波シールド性フィルム、及びディスプレイ用フィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】製造時に黒化処理層表面に接触や擦過等が起こった場合にも、黒色の光沢ムラが発生しない光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】透明フィルム11上にメッシュ状の金属導電層12を形成する工程、該金属導電層12を黒化処理することによって該金属導電層12の少なくとも表面を黒化処理層とする工程、前記黒化処理層を還元処理することによって該黒化処理層の少なくとも表面を金属層とする工程、を含む、光沢ムラ防止処理がされた光透過性電磁波シールド性フィルムを製造する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、メッシュパターン状の金属導電層を備えた、光透過性電磁波シールド性を有する長尺フィルムの製造方法、該方法により製造された光透過性電磁波シールド性フィルム、及び該フィルムを含むディスプレイ用フィルタに関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)には通常必ず前面フィルタが使用される。この前面フィルタは、近赤外線カット、色再現性向上(発光色純度向上)、電磁波シールド、明所コントラスト向上(反射防止)、発光パネルの保護、発光パネルからの熱遮断等を目的としている。
PDPの発光パネルの発する近赤外線は、家庭用テレビやビデオ等に使用されるリモコンに誤作動を与えることを避けるために、これを低減することが必要である。またPDPの発光パネルの発する電磁波は、人体や精密機器への悪影響を避けるためにこれを低減することも必要である。さらにPDPの発光パネルからの発光を、人間の視覚にとって自然な色に感じられるように、フィルタでの補正によって色再現性向上(発光色純度向上)の工夫も求められている。またディスプレイの表示は、明るい室内等の明所においても外部からの光の反射等によって妨げられることなく、十分なコントラストで視認されることが望ましい。さらにはディスプレイ製品に直接に手で触れたような場合でも、使用者がその高温に驚かされるような事態を避けるために、PDPの発光パネルの発する熱が遮断されることが求められている。また製品が容易に破損することを避けるために、発光パネルは保護され、万一破損したような場合であってもその破片が飛散しないことが望ましい。
上記の目的に沿った典型的なPDP用前面フィルタの構造としては、例えば、透明基板に、反射防止層、電磁波シールド層、色調補正フィルタ層、近赤外線カット層が積層されたものがあり、これが発光パネルの前面にフィルタとして設置される。この積層の順序は目的に応じて変更される。
このPDP用前面フィルタでは、光透過性電磁波シールド層は、光透過性と電磁波シールド性を両立することが必要である。そのために、例えば、微細なメッシュ構造を有する導電性の層が使用される。この導電性のメッシュの部分によって電磁波がシールドされ、同時に光の透過は前記の開口部分によって確保されることになる。
光透過性電磁波シールド層は、種々の方法により製造されるが、好ましい製造方法として例えば以下のような方法がある。まず、透明基板に、水溶性インキでメッシュのネガパターンを印刷する。これに銅を薄く蒸着して、メッシュパターンの銅の薄膜を形成する。さらに水溶性インクを洗浄除去する(マスク蒸着処理)。特許文献1(特開2001−332889号公報)は、このような製造方法を開示している。
この方法によれば、得られるメッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド性フィルムは、メッシュの線幅が十分に小さく、開口率も高いものとすることができる。しかし、金属導電層の膜厚が小さいものとなるために、これを上述の光透過性電磁波シールド層に好適な導電性を付与するためには、この金属導電層の上にさらに電気メッキを行って、銅の膜厚を増加させ、十分な厚みの銅の層を形成する(メッキ処理)ことが望ましい。
このようにして得られる光透過性電磁波シールド性フィルムは、銅層の表面に金属光沢を残したままであるために、PDP用前面フィルタ等に使用すると外部光を反射して眩しさを感じさせる原因となる。そのため、PDP用前面フィルタの光透過性電磁波シールド層とするために、防眩性付与のための黒化処理が通常、行われる。すなわち、上記の金属銅の表面に酸化又は硫化等の処理を行って、防眩性の黒化処理層を形成する(黒化処理)。
これらのフィルム表面処理は、所定の大きさのシート状フィルムを1枚毎に逐次処理して行う、いわゆる枚葉式処理によって行われることが通常である。
特開2001−332889号公報
しかし、従来行われている枚葉式処理の場合には、シート状フィルムを処理槽中で処理するためにはシワやタルミのないように1枚ずつ手作業で枠へ固定しなければならないこと、使用される枠は実質的に消耗品として費消されること、上述のメッキ処理工程と黒化処理工程とは最適処理時間が一致しないために作業工程の同期が難しいこと等の困難があった。
また、上述のように、黒化処理は防眩処理として行われ、ディスプレイ用フィルタに使われた場合には、黒化処理層表面はユーザーから視認できる部分となる。このために黒化処理層表面の色や光沢は、ディスプレイ製品の外観及び視認性等の品質及び性能に直接に影響を与える。そこで、接触や擦過等による黒色の光沢ムラを発生させないために、ユーザーから視認される黒化処理層表面には直接に触れないように作業をする必要がある。これによってその後の作業、特にディスプレイ用フィルタへの加工は注意深く時間をかけねばならず、生産性を上げることができなかった。
本発明者等は、鋭意研究開発を行ってきた結果、上記困難を改善するためには、長尺フィルムのロールを搬送して行うべき(いわゆるロールトゥロール処理)であるという結論に至った。
ところが、上述した黒化処理を、金属層の酸化処理又は硫化処理で行った場合には、処理後の黒化処理層表面に接触や擦過等をしてしまうと黒色の光沢ムラが発生し易いという問題があり、長尺フィルムのロールを搬送して黒化処理を行う場合には特に、黒化処理後に搬送機構を通過させることにより黒色の光沢ムラが発生し易いという問題があることがわかった。そのため、品質の安定及び生産性の向上を意図した長尺フィルムの搬送処理であるにも関わらず、黒色の光沢ムラ発生のために、十分に意図を達成できないままであった。
さらに、首尾よく無傷で生産したとしても、上記のような黒化処理層表面は、指で強く擦った程度でも黒色の光沢ムラが発生するために、ディスプレイ用フィルタに使用するような場合に、その最前面に配置することができないものであった。
従って、本発明の目的は、上記の問題を解決し、製造時に接触や擦過等が起こった場合にも、黒化処理層表面に黒色の光沢ムラが発生しない光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記の問題を解決し、光透過性電磁波シールド性フィルムの製造において、長尺フィルムの黒化処理後の搬送機構の通過によっても黒色の光沢ムラを発生させない製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記方法により製造され、接触や擦過等をした場合にも黒化処理層表面に黒色の光沢ムラが発生しない光透過性電磁波シールド性フィルムを提供することにある。
また、本発明の目的は、上記光透過性電磁波シールド性フィルムを含むディスプレイ用フィルタを提供することにもある。
また、本発明の目的は、上記方法の実施に好適な光透過性電磁波シールド性フィルムの製造装置を提供することにある。
本発明者等は、上記目的が、以下の工程:
透明フィルム上にメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
該金属導電層を黒化処理することによって該金属導電層の少なくとも表面を黒化処理層とする工程、
前記黒化処理層を還元処理することによって該黒化処理層の少なくとも表面を金属層とする工程、
を含む、光沢ムラ防止処理がされた光透過性電磁波シールド性フィルムを製造する方法により達成されることを見いだした。
上記製造方法によれば、接触や擦過等をした場合にも黒化処理層表面に黒色の光沢ムラが生じることなく、取り扱いの容易な光透過性電磁波シールド性フィルムを得ることができる。この光透過性電磁波シールド性フィルムは、以後に積層材料を貼り合わせる工程を行うことも容易である。
このような方法で光沢ムラ防止処理が可能であるのは、上記還元処理によって、黒化処理により形成された黒色微結晶のうちで潰れたり剥がれたりし易い状態のものが再び強度と靭性のある金属薄膜を形成して安定に固定されたためと考えられる。すなわち、本発明者等は黒化処理層表面の光沢ムラ発生の原因は、黒化処理において生成した黒色微結晶が黒化処理層表面の接触や擦過等によって、潰れたり剥がれたりすることにあるとの洞察に至り、このような黒色微結晶の状態を予め均一に安定化しておくという発想から本発明を完成したものである。
光透過性電磁波シールド性フィルムの製造において、金属導電層に対して黒化処理を行うことは、本来は金属光沢による光の反射を低減して防眩効果を目的とするものであり、さらに併せて金属導電層の表面を「荒らす」ことによってその後の貼り合わせ等が好適に行われるようにすることをも目的とするものである。この点からすれば、黒化処理層表面に対して還元処理を行うことによって、再び金属層を形成することは、一見すると無意味にも思われる。ところが、本発明の方法によって形成された金属層では、その層が非常に薄いために光の反射は極めて小さく、そのために黒化処理による防眩効果は損なわれることなく、さらに黒化処理によって「荒らす」ことにより得られた貼り合わせ等のし易さも損なわれず、黒化処理により得られた利点を保ちつつ、黒化処理層表面に接触や擦過等をした場合にも、黒化処理層表面に黒色の光沢ムラが生じないという利点を付与されている。
前記還元処理が、少なくとも黒化処理層表面を還元剤水溶液に浸漬することにより行われることが好ましい。前記還元剤水溶液としては、シュウ酸、硫化水素、ヨウ化カリウム、過酸化水素、ジメチルアミノボランの水溶液を挙げることができ、特にシュウ酸水溶液を使用することが安全性及び経済性の点から好ましい。
前記金属導電層の厚みが1〜10μmの範囲、好ましくは2〜8μmの範囲、特に好ましくは3〜6μmの範囲にあることが好ましい。前記黒化処理層の厚みが前記金属導電層の表面から0.05〜2μmの範囲、好ましくは0.1〜1μmの範囲、特に好ましくは0.5〜0.9μmの範囲にあることが好ましい。前記還元処理による金属層の厚みが前記黒化処理層の表面から5〜100nmの範囲、好ましくは10〜100nmの範囲、特に好ましくは10〜90nmの範囲あることが好ましい。このような範囲とすることにより、金属光沢による光の反射を抑制し、防眩性を保ちつつ、光沢ムラ防止効果を発揮することが可能となる。
前記黒化処理が、前記金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理であることが好ましい。本発明の光沢ムラ防止処理は、接触や擦過等で光沢ムラが容易に生じるようになってしまったあらゆる黒化処理表面に使用可能なものであるが、このような黒化処理表面として、化学処理によって微結晶が成長して粗くなった表面に適しており、特に、金属表面に対する酸化処理及び硫化処理によって得られた黒化処理表面に好適である。
前記フィルムとして、長尺フィルムを使用することが好ましい。
前記金属導電層が、フィルム面両端部に沿って帯状に設けられた金属導電層、及びその間のフィルム面中央部に設けられたメッシュ状の金属導電層とからなるものが好ましい。前記メッシュ状の金属導電層が、5〜40μmの線幅のメッシュを有し、フィルム面上の開口率が75〜95%であることが好ましい。このように金属導電層が設けられた長尺フィルムの使用は、本発明の光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法に特に好適である。
前記金属導電層は、導電性を有する種々の金属、合金、金属化合物を使用することができるが、銀、銅又はアルミニウムを含んでなるものが好ましく、特に銅が好ましい。
前記メッシュ状の金属導電層が、透明フィルム上の第1金属導電層、及び該第1金属導電層上の第2金属導電層とからなり、第2金属導電層がメッキ処理による金属メッキ層であることが好ましい。メッシュ状の金属導電層は、公知の種々の方法で製造することもできるが、透明フィルム上にいったんメッシュ状の薄い金属導電層(第1金属導電層)を精緻に形成した後に、これに電気メッキ処理を行って、導電性を十分に確保できる厚みに増厚することが、精度や生産性の点から好ましい方法である。
さらに本発明は、上記の製造方法により製造された光透過性電磁波シールド性フィルムにもある。また本発明は、上記の製造方法により製造された光透過性電磁波シールド性フィルムを含むディスプレイ用フィルタにもある。
さらに本発明は、前記メッキ処理された金属導電層を有する長尺フィルムを黒化処理するために、少なくとも1つの黒化処理槽を備えた黒化処理装置、
前記黒化処理装置に隣接して設けられた、黒化処理された後の長尺フィルムの黒化処理された表面に還元処理をする手段を備えた光沢ムラ防止装置、
を含む、光透過性電磁波シールド性フィルム製造装置にある。この製造装置によって、本発明の光透過性電磁波シールド性フィルムの製造方法を好適に実施可能である。
本発明の好適な実施の態様において、前記メッキ処理前の金属導電層を有する長尺フィルムが、透明フィルム及び該透明フィルム上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有し、400〜2500mmの範囲にある幅を有するフィルムである。
本発明の製造方法によれば、接触や擦過等をした場合にも黒化処理層の黒色の光沢ムラが発生しない、取り扱い容易な光透過性電磁波シールド性フィルムを得ることができる。また本発明の製造方法によれば、搬送機構を通過させても黒色の光沢ムラが発生しないので、長尺フィルムの黒化処理により、品質の安定及び生産性の向上の実効を達成できる。さらに、以後に積層材料を貼り合わせる工程を行うことも容易である。本発明の光透過性電磁波シールド性フィルムは、十分な光透過性と電磁波シールド性とを有すると共に、防眩性、視認性、耐擦過性及び美的な外観とを同時に達成したものであり、高い生産性を有すると同時にディスプレイ用フィルタに使用する場合に、その最前面にも配置可能なものである。本発明のディスプレイ用フィルタは、上述の利点を備えたものである。また、本発明の光透過性電磁波シールド性フィルムの製造装置を使用すれば、長尺フィルムに対する上述の処理を効率よく行うことができる。
以下に、本発明の製造方法、光透過性電磁波シールド性フィルム、ディスプレイ用フィルタ、及び製造装置について説明する。
図1は、本発明の製造方法の一例を、フィルムの断面を示して説明した説明図である。まず、透明フィルム11の上に、メッシュ状の金属導電層12を形成する工程(図1の矢印(a))が行われる。次にこのメッシュ状の金属導電層12の表面は、金属光沢を強く有しているのでこれを取り除くために、黒化処理工程(図1の矢印(b))が行われる。この工程によりメッシュ状の金属導電層12は、その表面が黒化処理表面12bとなり、その内部が処理されない金属導電層(内部金属導電層12a)のままで残る。得られた黒化処理表面12bは、光沢ムラが生じやすい状態であるために、光沢ムラの防止処理として、黒化処理層を還元処理する工程(図1の矢印(c))が行われる。これによって該黒化処理層の少なくとも表面が金属層12cとなる。金属層12cによりこのフィルムは、接触や擦過等をした場合にも黒化処理層表面に黒色の光沢ムラが生じることがないものとなる。
図2の(i)及び(ii)は、それぞれ黒化処理層の還元処理をする工程(図1の矢印(c))の一例を説明するための説明図である。
図2の(i)は、フィルムの搬送方向を変えるロール(シンクロール)を備えていない還元処理手段の一例を示している。図2の(i)には、光沢ムラ防止処理されるフィルム21、フィルムを処理する還元処理槽23及び搬送のためのロール22の断面が示されている。還元処理槽には還元処理液が満たされており、図示されていない循環装置によって還元処理液が還元処理槽外槽23aから還元処理内槽23bへと常に汲み上げられ、フィルム21を常に還元処理液で浸しつつ、スリット23cから還元処理槽外槽23aへと流出する。フィルム21は、スリット23cを通じて還元処理内槽23bを通過し、還元処理液で還元処理を受ける。図2の(i)の装置においては、フィルム21は、搬送方向を変えられることなく液槽内部を通過するために、搬送方向の変更に伴って金属導電層等に損傷を受ける可能性がない利点を有する。
図2の(ii)は、フィルムの搬送方向を変えるロール(シンクロール)を備えた還元処理手段の一例を示している。図2の(ii)には、光沢ムラ防止処理されるフィルム21、フィルムを処理する還元処理槽27、搬送のためのロール25、及び液中ロール(シンクロール)29の断面が示されている。還元処理槽には還元処理液が満たされており、フィルム21は、還元処理槽27を通過し、還元処理液で還元処理を受ける。図2の(ii)の装置においては、フィルム21は、液中ロール(シンクロール)29によって搬送方向を変えられて液槽内部を通過するために、液槽内の処理経路の長さを長く確保する一方で、小型にまとめることを可能である。このシンクロールを複数設けることにより、液相内の処理経路の長さをさらに長く確保することも可能である。
光沢ムラ防止のための黒化処理層の還元処理は、種々の還元処理が可能であるが、本発明の好ましい実施の態様においては、少なくとも黒化処理層表面を還元処理液、特に還元剤水溶液に浸漬することにより行われる。この浸漬は、一般に使用される方法により行うことができるが、上述のように還元処理液の入った液槽にフィルムを通過させることにより行うことが生産性の点で好ましく、長尺フィルムを搬送して連続的に処理をすることが特に好ましい。
還元処理液としては、黒化処理層の表面を還元して所望の厚みの金属層とすることができる液体であれば使用することができる。黒化処理層の主な成分として、金属酸化物を含んでいる場合には、シュウ酸、硫化水素、ヨウ化カリウム、過酸化水素、及びジメチルアミノボランの水溶液等を使用することが好ましく、特に銅の酸化物を含んでいる場合には、シュウ酸の水溶液を使用することが好ましい。
前記金属導電層の厚みが1〜10μmの範囲、好ましくは2〜8μmの範囲、特に好ましくは3〜6μmの範囲にあることが好ましい。金属導電層の厚みが大きいほど導電性が高まりディスプレイ用フィルタとして使用した場合の電磁波シールド性に優れたものになる利点があるが、ディスプレイ用フィルタとして使用した場合の好適な視野角がより狭くなる欠点がある。厚みの均一性の確保は難しくなる。前記黒化処理層の厚みが前記金属導電層の表面から0.05〜2μmの範囲、好ましくは0.1〜1μmの範囲、特に好ましくは0.5〜0.9μmの範囲にあることが好ましい。黒化処理層の厚みが大きいほど防眩性はより確保されるが、表面は脆くなる。前記還元処理による金属層の厚みが前記黒化処理層の表面から5〜100nmの範囲、好ましくは10〜100nmの範囲、特に好ましくは10〜90nmの範囲あることが好ましい。還元処理による金属層の厚みが大きいほど光沢ムラ防止効果が高まるが、金属光沢も生じてくる。このため、上述の範囲とすることにより、金属光沢による光の反射を抑制し、防眩性を保ちつつ、光沢ムラ防止効果を発揮することが可能となる。
光沢ムラ防止処理工程に先だって行われるメッシュ状の金属導電層形成工程は、金属含有導電性インクをメッシュ状に印刷する方法、金属含有繊維のメッシュを貼付する方法、均一な面状に金属導電層をいったん形成した後にメッシュ状にエッチングする方法などの公知の方法を使用して行うことが可能である。しかし、透明フィルム上にいったんメッシュ状の薄い金属導電層(第1金属導電層)を精緻に形成した後に、これにメッキ処理を行って第2金属導電層を形成して、導電性を十分に確保できる厚みに増厚することが、メッシュ構造の精度と均一性、導電性、及び生産性の点から好ましい方法である。
このような第1金属導電層の形成の方法としては、例えば特許文献1(特開2001−332889号公報)に開示された方法がある。これを図3にフィルムの断面を示して説明する。すなわち、透明フィルム31上に、水溶性インキで印刷してメッシュのネガパターンである印刷ドット32を形成する(工程a1)。これに金属(例えば銅)を薄く蒸着して、金属薄膜33を形成する(工程a2)。さらに水溶性インクによる印刷ドット32を洗浄除去することで、同時にドット状に金属薄膜を除去してメッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の第1金属導電層)34を得る(工程a3)方法である(マスク蒸着処理法)。
第1金属導電層が形成される透明フィルムの材料としては、透明性と可とう性を備え、その後の処理に耐えるものであれば特に制限はなく、例えばポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる、これらの中で、加工処理(加熱、溶剤、折り曲げ)による劣化が少なく、透明性の高い材料であるPET、PC、PMMAが好ましい。
第1金属導電層の形成には、導電性を有してメッキ可能である金属であれば使用することができ、金属単体、合金、導電性金属酸化物等であってもよく、均一な金属薄膜又は一様に塗布された微細な微粒子等からなるものであってもよい。材料金属の例として、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、プラチナ、銅、チタン、コバルト、鉛等を挙げることができるが、好ましくは、銀、銅又はアルミニウムを含んでなるものである。このようなメッシュ状の金属導電層は、光透過性と電磁波シールド性の両立に好適である。第1金属導電層の厚みは、メッシュ構造等の形状を精度よく形成できる程度に薄く、第2金属導電層を形成できる程度に厚いものであればよい。このような厚みは一般に0.01〜1μmの範囲、好ましくは0.02〜0.1μmの範囲にある。電磁波シールド性の程度は、第1金属導電層と第2金属導電層をあわせた金属導電層の全体の厚みで決定されるため、この第1金属導電層の厚みが小さいものであったとしても、後の第2金属導電層による増厚で電磁波シールド性を補うことができる。
また、第2金属導電層を形成する処理は、メッキ処理、特に電気メッキ処理で行うことが好ましい。電気メッキされる金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。第2金属導電層の形成による増厚は、金属導電層全体として適切な電磁波シールド性を達成する厚みを形成するためになされるので、第1金属導電層として形成された厚みによって適切な第2金属導電層の厚みは変化するが、一般に1〜10μmの範囲であり、2〜8μmの範囲が好ましい。特に銅による処理の場合には、3〜6μmの範囲とすることが好ましい。金属導電層の厚さが1μm未満では電磁波シールド性が不十分であり、メッキ厚が10μmを超えるとメッキ層が幅方向に広がりやすくなり、線幅が太くなるために開口率を低下させる傾向にある。電気メッキ処理は、公知の装置で行うことができる。
黒化処理工程は、前記金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理によって行うことが好ましい。メッキ金属が銅である場合には、酸化処理及び硫化処理をあげることができ、特に酸化処理は、より優れた防眩効果を得ることができ、さらに廃液処理の簡易性及び環境安全性の点からも好ましい。この黒化処理は、例えば後述の装置で行うことができる。
電気メッキ処理された長尺フィルムを、黒化処理及び光沢ムラ防止処理する場合、黒化処理層及び還元処理を連続的に効率よく行う連続式フィルム表面処理装置は図4に示すように以下のように行われる。図4には、長尺フィルムの搬送方向を変えるロール(シンクロール)を備えていない黒化処理装置及び還元処理装置が示されている。これにより黒化処理層及び還元処理による表面の金属層を連続的に効率よく製造することができ、黒化処理層が擦過等により光沢ムラを生じることがない。
黒化処理槽には黒化処理液が満たされており、電気メッキ槽と同様に図示されていない循環装置によって黒化処理液が黒化処理槽外槽47aから黒化処理内槽47bへと常に汲み上げられ、長尺フィルム43を常に黒化処理液で浸しつつ、スリット47cから黒化処理槽外槽47aへと流出する。長尺フィルム43は、スリット47cを通じて黒化処理内槽47bを通過し、黒化処理液で黒化処理を受ける。黒化処理を受けた長尺フィルム43は必要に応じて設けられるロール45で支持されつつ、さらに還元処理のために搬送される。還元処理槽には還元処理液が満たされており、電気メッキ槽と同様に図示されていない循環装置によって還元処理液が還元処理槽外槽48aから還元処理内槽48bへと常に汲み上げられ、長尺フィルム43を常に還元処理液で浸しつつ、スリット48cから還元処理槽外槽48aへと流出する。長尺フィルム43は、スリット48cを通じて還元処理内槽48bを通過し、還元処理液で還元処理を受け、黒化処理層の少なくとも表面が金属層となる。
図4の連続式フィルム表面処理装置においては、長尺フィルム43は、送り出しロール41から搬送補助のフリーロール45を介して巻き取りロール42まで、搬送方向の変化を受けることなく搬送されるために、ロールによる搬送方向の変更に伴って金属導電層及びメッキ層等に損傷を受ける可能性がない利点を有する。
図5には、長尺フィルムの搬送方向を変えるロール(シンクロール)を備えた黒化処理層及び還元処理を連続的に行う連続式フィルム表面処理装置の一例が示されている。黒化処理槽には黒化処理液が満たされており、長尺フィルム53は、黒化処理槽57を通過し、黒化処理液で黒化処理を受ける。還元処理槽には還元処理液が満たされており、長尺フィルム53は、還元処理槽58を通過し、還元処理液で還元処理を受け、黒化処理層の少なくとも表面が金属層となる。
図5の連続式フィルム表面処理装置においては、長尺フィルム53は、液中ロール(シンクロール)59によって搬送方向を変えられて液槽内部を通過するために、液槽内の処理経路の長さを長く確保する一方で、装置全体を小型にまとめることを可能にしている。そして、電気メッキ槽及び黒化処理槽内に設けられた液中ロール59は、150mm以上の直径を有するロールとしているために、長尺フィルム53の搬送方向の変更に伴う金属導電層及びメッキ層等の損傷は極めて低減されたものとなっている。
上記の黒化処理槽内に設けられた搬送方向を変える液中ロール(シンクロール)は、これをさらに多数設置すれば、液槽内の処理経路の長さをさらに長く確保する一方で、装置全体を小型にまとめることを可能となる。
上記処理装置において、長尺フィルムを駆動するために、駆動ロールとしては、例えば巻き取りロールを使用することができ、上記いずれかのロールを駆動ロールとすることもできるが、別途駆動ロールを設置することが好ましい。
電気メッキ処理を行う装置における長尺フィルムへの給電は、給電ロールを用いて一般にそのフィルム面両端部に行われる。その給電は、長尺フィルムの上に形成された金属導電層の全体にを給電ロールに接触させて行うことも可能である。しかし、メッシュ状の金属層は、微細で損傷しやすい一方でその外観がディスプレイ用フィルタ等の視認性等の品質に直接に影響を与える。従って、長尺フィルム上に形成されたメッシュ状の金属導電層が、フィルム面中央部に設けられたメッシュ状の金属導電層、及びフィルム面両端部に沿って幅5〜90mm、好ましくは10〜90mm、特に好ましくは20〜80mmの帯状に設けられた金属導電層とからなる長尺フィルムを使用して、このフィルム面両端部にのみ給電ロールを接触させて、給電を行うことが、メッシュ状部分の保護のために望ましい。
電気メッキ装置の各陽極電極としては、公知のアノードバッグ及びメッシュバスケット(網籠)等に補充容易な形態の電極材料を入れて使用することができ、例えばチタン製のメッシュ状のバスケットにプラチナメッキをして使用して、その中に補充容易な形態にした陽極電極材料(例えば、球状、ブロック状等に形成した後述の金属)を投入したものとすることが好ましい。メッシュバスケット等に補充等して使用される陽極電極の材料としては、公知の電極材料を使用することができ、一般に球状及びブロック状等に形成されて使用され、一般に銅、銅合金、ニッケル、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。
電気メッキ槽のメッキ液は、公知のメッキ液を使用することができ、一般に硫酸銅、シアン化銅、ピロリン酸銅及び硫酸ニッケル等の水溶液等を使用することが可能であり、好ましくは、硫酸銅又はピロリン酸銅の水溶液であり、特に経済性の点から、硫酸銅水溶液を使用することが好ましい。
上記黒化処理として酸化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、ペルオキソ二硫酸と水酸化ナトリウムの混合水溶液等を使用することが可能であり、特に経済性の点から、次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液又は亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用することが好ましい。
上記黒化処理として硫化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には硫化カリウム、硫化バリウム及び硫化アンモニウム等の水溶液を使用することが可能であり、好ましくは、硫化カリウム及び硫化アンモニウムであり、特に低温で使用可能である点から、硫化アンモニウムを使用することが好ましい。
また、連続式フィルム表面処理装置にはさらに、各槽の前及び/又は後に、脱脂槽、純水洗浄槽、乾燥槽等を所望により設置することが可能である。
連続式フィルム表面処理装置で処理される長尺フィルムは、透明フィルム及び該透明フィルム上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有し、400〜2500mmの範囲、好ましくは500〜2000mmの範囲、特に好ましくは600〜2000mmの範囲にある幅を有するフィルムである。そしてメッシュ状の金属導電層が、5〜40μmの線幅のメッシュを有し、フィルム面上の開口率が75〜95%であることが好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタは、上記により製造された光透過性電磁波シールド性フィルムを、ガラス板等の透明基材に積層することにより製造することができる。
本発明の方法における光沢ムラ防止処理工程として、上述してきた黒化処理層の表面の還元処理の前処理として、以下に述べる加圧ロールによる加圧処理を行うことにより、光沢ムラ防止処理の効果を更に高めることが可能である。図6を使用してこの加圧ロールによる加圧処理(光沢ムラ防止処理)を説明する。
図6は、加圧ロールによる加圧処理工程の一例を説明するための説明図である。図6には、処理されるフィルム、及びフィルムを加圧処理するロールの断面が示されている。図6において、表面に黒化処理された金属導電層を有するフィルム61は、加圧ロール62aと加圧ロール62bの間を加圧されつつ通過する。これによって光沢ムラ防止効果が発揮され、黒化処理表面は接触や擦過等で光沢ムラが容易に生じないものとなる。この加圧処理は、単独の処理としても光沢ムラ防止効果を有するが、本発明の方法において、弱粘着性ロールによる加圧接触処理の前処理又は後処理として組み合わせて行うことにより、さらに高い効果の光沢ムラ防止処理とすることができる。この工程は長尺フィルムを搬送して行われる一連の連続式処理の一工程として行うことができるために、好適に組み合わせ可能である。
図6を用いて説明したような方法で光沢ムラ防止処理が可能であるのは、上記ロールによって黒化処理によって形成された黒色微結晶が均一に押し潰されたためと考えられる。すなわち、本発明者等は黒化処理層表面の光沢ムラ発生の原因は、黒化処理において生成した黒色微結晶が黒化処理層表面の接触や擦過等によって、潰れたり剥がれたりすることにあるとの洞察に至り、このような黒色微結晶を予め均一に安定化しておくという発想からこのような処理を考案したものである。
上記加圧ロールによる加圧処理において、加圧ロール表面による加圧は、一般に10〜300N/mの範囲、好ましくは20〜200N/mの範囲、特に50〜150N/mの範囲の線圧下で行うことが好ましい。光沢ムラ防止処理を確実に行うためには線圧は大きいほうが好ましい。しかしこの範囲より大きい線圧では、メッシュ状の金属導電層の割れや、加圧による防眩性の低下が生じる場合がある。
前記ロールとして、表面がクロムメッキ処理された鉄ロールを使用することが好ましい。また、前記ロールとして、表面がエンボス加工されたロールを使用することが好ましい。ロール表面のエンボス加工の凹凸は、一般に金属導電層のメッシュの線幅よりも小さな周期の繰り返し模様で形成されているものが好ましい。エンボス加工の凹凸の平均間隔(Sm)は好ましくは5μm以下であり、特に2μm以下であることが好ましく、凹凸の深さは、金属導電層の厚みよりも小さく金属導電層に割れや歪みを生じない範囲で深いものが好ましく、好ましくは平均粗さ(Ra)が0.01〜1μmの範囲、特に0.05〜0.5μmの範囲にあるものが好ましい。上記エンボス加工の凹凸の表面粗さはJIS規格B0601に準拠した測定方法での評価による。黒化処理をした表面であっても、ロール表面による加圧が大きすぎる場合には、再び眩しさを感じる程度の光沢を生じてしまう場合がある。しかし、上述のようにロール表面を処理して使用することにより、ロールでの加圧による防眩性の低下を防ぐことができ、結果としてより広い範囲の加圧が可能となる。これは、クロムメッキ処理やエンボス処理により、ロール表面が非平滑化されたことの効果であると考えられる。
上述の加圧ロールによる加圧処理は、本発明の製造方法の黒化処理層表面の還元処理による光沢ムラ防止処理に組み合わせて前処理として使用することが可能であり、本発明の製造装置の光沢ムラ防止処理装置は、黒化処理された後の長尺フィルムの黒化処理された表面に還元処理をする手段の前に、長尺フィルムを挟んで加圧しつつ通過させることができる平行に対向させた2本のロールを少なくとも1組設けた装置とすることができる。
本発明の方法における光沢ムラ防止処理工程として、上述してきた黒化処理層の表面の還元処理の前処理として、以下に述べる粘着性ロールによる加圧処理を行うことにより、光沢ムラ防止処理の効果を更に高めることが可能である。図7を使用してこの粘着性ロールによる加圧処理(光沢ムラ防止処理)を説明する。
図7は、粘着性ロールによる加圧処理工程の一例を説明するための説明図である。図7には、光沢ムラ防止処理されるフィルム、及びフィルムを処理するロールの断面が示されている。図7において、表面に黒化処理された金属導電層を有するフィルム71は、弱粘着ロール72aとバックアップロール72bの間を加圧下に通過する。フィルム71の黒化処理層表面が弱粘着性ロール72aの弱粘着性表面へ接触しながら加圧されることで、黒化処理によって形成された黒色微結晶のうちで潰れたり剥がれたりし易い状態のものが、この処理により黒化処理層表面から分離されて除去される。同時に、弱粘着性ロール72aの表面が、該弱粘着性ロール72aに平行に対向させた強粘着性表面を有する強粘着性ロール72cに、同期回転しながら接触することにより、弱粘着性ロール72aに付着した黒化処理層表面由来の剥離物は、強粘着性ロール72cへ移動する。これによって弱粘着性ロール72aの表面は、稼働状態を通じて、常に新たに黒化処理層表面の剥離物を吸着除去可能な状態に保たれ、連続した処理が可能となっている。このようにして光沢ムラ防止処理の工程が行われ、黒化処理表面は接触や擦過等で光沢ムラが容易に生じないものとなる。この工程は長尺フィルムを搬送して行われる一連の連続式処理の一工程として行うことができる。
このような方法で光沢ムラ防止処理が可能であるのは、上記弱粘着性ロールによって黒化処理によって形成された黒色微結晶のうちで潰れたり剥がれたりし易い状態のものが除去されたためと考えられる。すなわち、本発明者等は黒化処理層表面の光沢ムラ発生の原因は、黒化処理において生成した黒色微結晶が黒化処理層表面の接触や擦過等によって、潰れたり剥がれたりすることにあるとの洞察に至り、このような黒色微結晶を予め均一に安定化しておくという発想からこのような処理を考案したものである。
粘着性ロールによる光沢ムラ防止処理工程において、前記弱粘着性ロール表面による加圧は、バックアップロールの使用によって調整可能であり、一般に10〜300N/mの範囲、好ましくは20〜200N/mの範囲、特に50〜150N/mの範囲の線圧下で行うことが好ましい。光沢ムラ防止処理を確実に行うためには線圧は大きいほうが好ましい。しかしこの範囲より大きい線圧下では、金属導電層の割れや、加圧による防眩性の低下が生じる場合がある。
前記弱粘着性表面の粘着力は、ローリングボールタック試験によって評価値が60〜210mmの範囲、特に85〜160mmの範囲にあるものが好ましい。粘着力は大きいほど光沢ムラ防止処理効果は大きくなるが、粘着力が大きすぎるとスムースな搬送が妨げられ、場合によっては不必要に黒化処理表面を剥離し、メッシュ構造の損傷をもたらす。上述のローリングボールタック試験では、テスター産業製PI−1202型ローリングボールタックテスターを用い、直径11mmの鋼球(質量5.5g)を、角度21度の斜面上で長さ165mの斜面から転がり落とし、粘着性ロールと同じ材質の水平面上を停止するまでに進んだ距離を評価値とした。
弱粘着性ロールの表面の材質は、上記の範囲の粘着性を有するものであれば使用可能であるが、一般にゴムであり、ウレタンゴム、シリコンゴム、天然ゴム等が好ましく、特に耐久性の点から、ウレタンゴム及びシリコンゴムが好ましい。また、この場合の弱粘着性ロールの表面のJIS−Aに準拠するゴム硬度は、一般に10〜40の範囲、好ましくは10〜30の範囲、特に基材への密着性及びクッション性の点から15〜25の範囲にあることが好ましい。
前記強粘着性表面の粘着力が、ローリングボールタック試験によって50〜200mmの範囲、特に75〜150mmの範囲の評価値であるものが好ましく、弱粘着性表面の粘着力と強粘着性表面との粘着力の大きさの差は、ローリングボールタック試験によって好ましくは10mm以上、特に30mm以上の評価値の差を有することが好ましい。このような範囲の粘着力の強粘着性表面を有するロールを使用することによって、弱粘着性ロール表面に付着した黒色微結晶等を弱粘着性ロール表面から除去して、弱粘着性ロール表面が常に十分な光沢ムラ防止処理作用を発揮できる状態に保つことが可能である。
強粘着性ロールの表面の材質は、上記の範囲の粘着性を有するものであれば使用可能であるが、一般にゴムであり、ウレタンゴム、シリコンゴム、天然ゴム等が好ましく、特に耐久性の点から、ウレタンゴム及びシリコンゴムが好ましい。また、この場合の強粘着性ロールの表面のJIS−Aに準拠するゴム硬度は、弱粘着性ロールのゴム硬度よりも小さな値であって、一般に10〜40の範囲、好ましくは10〜30の範囲、特に基材への密着性及びクッション性の点から15〜25の範囲にあることが好ましく、弱粘着性表面と強粘着性表面とのJIS−Aに準拠するゴム硬度の差は、一般に5以上、好ましくは10以上である。
バックアップロールは、上記の範囲の線圧を与えることができるものであればどのような材質のものでも使用可能であるが、一般に金属又は金属化合物であり、価格や加工精度の点から鉄、鉄合金が好ましく、特に鉄が好ましい。バックアップロールの表面は、クロムメッキによる鏡面であることが好ましい。
上述の粘着性ロールによる加圧処理は、本発明の製造方法の黒化処理層表面の還元処理による光沢ムラ防止処理に組み合わせて前処理として使用することが可能であり、本発明の製造装置の光沢ムラ防止処理装置は、黒化処理された後の長尺フィルムの黒化処理された表面に還元処理をする手段の前に、長尺フィルムを挟んで加圧しつつ通過させることができる弱粘着性ロール及びバックアップロールを少なくとも1組設けた装置とすることができる。
また、上述の加圧ロールによる加圧処理と粘着性ロールによる加圧処理の両方を組み合わせて、本発明の製造方法の黒化処理層表面の還元処理による光沢ムラ防止処理の前処理として使用することが可能である。これによりより一層、光沢ムラ防止効果を高めることができる。加圧ロールによる処理と粘着性ロールによる処理は、いずれを先に行うことも可能であるが、黒化処理層表面の剥離物を除去した後に、加圧ロールにより加圧して黒化処理層表面を安定化して、黒化処理層表面の還元処理をすることが好ましい。したがって、本発明の製造装置の光沢ムラ防止処理装置は、黒化処理された後の長尺フィルムの黒化処理された表面に還元処理をする手段の前に、長尺フィルムを挟んで加圧しつつ通過させることができる弱粘着性ロール及びバックアップロールを少なくとも1組と、長尺フィルムを挟んで加圧しつつ通過させることができる平行に対向させた2本のロールを少なくとも1組とを設けた装置とすることができる。
本発明の方法における光沢ムラ防止処理工程として、上述してきた黒化処理層の表面の還元処理の後処理として、以下に述べる接着性透明樹脂の塗布を行うことにより、光沢ムラ防止処理の効果を更に高めることが可能である。図8を使用してこの接着性透明樹脂の塗布処理(光沢ムラ防止処理)を説明する。
図8は、接着性透明樹脂の塗布工程の一例を説明するための説明図である。図8には、光沢ムラ防止処理されるフィルム81、フィルムにコートされる接着性透明樹脂83a、フィルムにコートされた接着性透明樹脂の層83b、フィルムへ接着性透明樹脂をコートするコーターナイフ82の断面が示されている。
図8において、黒化処理層に還元処理がなされて金属層を表面に有しているフィルム81は、接着性透明樹脂83aをコータナイフ82によって均一に塗布される。塗布時にバックアップロール82bで支持される。塗布されて形成された接着性透明樹脂の層83bは、黒化処理層表面の金属層上を均一に被覆し、さらに、メッシュ状の金属導電層の間に開いている金属導電層のない透明フィルムの直接に露出した部分(開口部分)をも通常は包埋して被覆する。塗布された接着性透明樹脂は、その後に固化又は硬化される。黒化処理によって形成され表面を還元された黒色微結晶のうちで潰れたり剥がれたりし易い状態のものが、この処理により樹脂中に安定化される。このようにして光沢ムラ防止処理の工程が行われ、還元処理による金属層表面は被覆されて接触や擦過等でも光沢ムラが生じないことが確実となる。この工程は長尺フィルムを搬送して行われる一連の連続式処理の一工程として行うことができる。
このような方法で光沢ムラ防止処理が可能であるのは、上記接着性透明樹脂によって、黒化処理によって形成され表面を還元された黒色微結晶のうちで潰れたり剥がれたりし易い状態のものが樹脂中に包埋されて安定に固定されたためと考えられる。すなわち、本発明者等は黒化処理層表面の光沢ムラ発生の原因は、黒化処理において生成した黒色微結晶が黒化処理層表面の接触や擦過等によって、潰れたり剥がれたりすることにあるとの洞察に至り、このような表面を還元された黒色微結晶を予め均一に安定化しておくという発想からこのような処理を考案したものである。
塗布される接着性透明樹脂は、光透過性を低下させないような透明な樹脂であって、黒化処理層上に均一に塗布可能でその後に固化又は硬化可能であるものであれば、一般的なものを使用することができる。例えば、アクリル系、シリコン系、ウレタン系粘着剤などの粘着性樹脂、オレフィン樹脂、スチレン系ゴム等の熱可塑性エラストマー、及びこれらの樹脂に熱反応性架橋剤又は光反応性架橋剤等が配合された反応性接着性樹脂を使用することができる。加工のし易さ、厚み精度の点から、溶媒タイプのアクリル系粘着剤を使用することが好ましい。樹脂の固化又は硬化は、各樹脂に応じて、溶媒の蒸発(乾燥)、冷却、加熱(熱硬化)又は光照射(光硬化)等を使用することができる。なかでも、樹脂の溶媒の蒸発(乾燥)による固化は、複雑な設備を要しない点で優れている。
接着性透明樹脂の層が、ディスプレイ用フィルタ等において、そのまま表面に使用される場合には、耐久性や耐擦過性等を備えた硬度の大きなハードコート層とすることが好ましく、接着性透明樹脂としては、例えばUV硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を使用することができ、これらのなかで、透明性及び硬化反応性の点から特にUV硬化性アクリル樹脂を使用することが好ましい。
接着性透明樹脂の層上にさらに積層材料を重ねることにより、光透過性電磁波シールド性フィルムにさらに機能を付加して製造することができる。あるいは、ディスプレイ用フィルタ等の製造において、光透過性電磁波シールド性フィルム上には、反射防止フィルム等を積層することが好ましい。このような場合には、塗布された接着性透明樹脂の固化又は硬化の工程は、接着性透明樹脂の層の上に積層材料を重ねる工程の後に行うことが好ましい。これにより接着性透明樹脂が、積層材料の接着と光沢ムラ防止とを同時に果たすものとすることができる。接着性透明樹脂として感圧式の粘着剤樹脂を使用することもでき、この感圧式粘着剤の場合には、溶媒乾燥等による固化の後に積層材料との張り合わせを実施する。感圧式粘着剤を使用する場合には、固化する工程とは別に積層材料との張り合わせの工程を実施したい場合には有利であり、また張り合わせの工程においては加熱処理や光照射処理等の特別な処理を要しない点で優れている。
接着性透明樹脂は、一般に10〜100μmの範囲の厚み、好ましくは10〜50μmの範囲の厚み、特に15〜35μmの範囲の厚みを形成するように塗布することが好ましい。接着性透明樹脂が、塗布の後に乾燥又は硬化等して安定した後に、上記の範囲の厚みを形成するようにすることで、確実に光沢ムラ防止処理をすることができる。
上述の接着性透明樹脂の塗布処理は、本発明の製造方法の黒化処理層表面の還元処理による光沢ムラ防止処理に組み合わせて後処理として使用することが可能であり、本発明の製造装置の光沢ムラ防止処理装置は、長尺フィルムの黒化処理された表面に還元処理をする手段の後に、長尺フィルムの還元処理された表面に接着性透明樹脂を塗布する手段を設けた装置とすることができる。
さらに、接着性透明樹脂の塗布による後処理は、上述した加圧ロールによる加圧処理及び/又は粘着性ロールによる加圧処理による前処理と組み合わせて使用することが可能である。これによりより一層、光沢ムラ防止効果を高めることができる。したがって、本発明の製造装置の光沢ムラ防止処理装置は、上記の後処理を行う装置又は手段と、上述の前処理を行う装置又は手段とを、同時に設けた装置とすることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
透明フィルム上への金属導電層形成及び黒化処理は次のように行った。
ポリビニルアルコール樹脂(分子量3000)と硫酸バリウムの混合物(質量比 ポリビニルアルコール樹脂:硫酸バリウム=2:1)を、水とメタノールの混合溶液(質量比 水:メタノール=1:4)に溶解して、固形分量30wt%のポリビニルアルコール溶液を調整した。この溶液をインクとして用いて、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(長さ1000mm、幅780mm、厚さ250μm)に、グラビア印刷により正方形のドットを印刷した。これを乾燥後に銅を真空蒸着して、厚さ1000Åの銅層を得た。次いで、常温の水でドット部分を溶解除去し、水洗の後に乾燥して、メッシュ状の銅層(第1金属導電層)が形成された透明フィルムを得た。
上記ドットは、1個の大きさが1辺234μmの正方形状で、ドット同士の間隔が20μmであり、ドットの配列は正方格子状であり、ドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の金属導電層はドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μm、開口率は77%(面積比)であった。
次に、メッシュ状の銅層(第1金属導電層)が形成された透明フィルムに対して、下記組成のメッキ液浴中で金属銅を陽極電極として電気メッキを行った。
メッキ液組成
硫酸銅(五水和物): 200g/L
硫酸 : 50g/L
塩酸 : 20g/L
添加剤: pH調整剤
メッキ条件
浴温: 約30℃
時間: 10分間
陰極電流密度: 3〜4A/dm2 (陰極全体に対して電流20A)
この電気メッキ処理により、上記メッシュ状の銅層(第1金属導電層)の上にさらに、平均厚さ約4μmの銅層(第2金属導電層)が析出した。
次に、上記で得られたメッシュ状の金属導電層(第1金属導電層及び第2金属導電層)が形成された透明フィルムに対して、下記組成の黒化処理液中で黒化処理を行った。
黒化処理液組成(水溶液)
亜塩素酸ナトリウム: 10質量%
水酸化ナトリウム: 4質量%
黒化処理条件
浴温: 約60℃
時間: 5分間
この黒化処理により、メッシュ状の金属導電層の表面が黒化処理された透明フィルムを得た。得られた光透過性電磁波シールド性フィルムの表面の黒化処理された厚みは、平均約1.5μmであった。
光沢ムラ防止処理として、上記で得られた光透過性電磁波シールド性フィルムを、シュウ酸2%水溶液中に、30℃で2分間、浸漬し、次にこれを室温の蒸留水で洗浄した後に乾燥した。
[比較例1]
実施例1と同様に、メッシュ状の金属導電層の表面が黒化処理された透明フィルムを製造した。ただし、光沢ムラ防止処理は行わなかった。
[結果]
光沢ムラ防止処理された光透過性電磁波シールド性フィルム(実施例1)は、手指で直接に接触及び擦過した場合にも黒色の色調及び光沢は変化することなく、目視において手指の痕跡が残ることはなかった。このフィルムを蛍光X線分析装置で観察したところ、表面には非常に薄い銅の薄膜が形成されていた。しかし、この表面は一様な黒色が保たれ、金属光沢が目視されることはなかった。光沢ムラ防止処理されていない光透過性電磁波シールド性フィルム(比較例1)は、手指で直接に接触及び擦過した場合に、黒化処理表面の黒色の色調及び光沢は、その接触及び擦過した部分で視認できる程度に不可逆的に変化して、目視において手指の痕跡がはっきりと残った。
また、長尺フィルムに対しても上記実施例1と同様の処理を図4に記載の連続式フィルム表面処理装置を用いるロールトゥロール方式で行い、光沢ムラ防止処理された光透過性電磁波シールド性フィルムを製造した。製造されたフィルムはその後の搬送とロールによる巻き取りを通じて、黒化処理表面の表面は一様な黒色が保たれ、金属光沢が目視されることはなかった。一方、光沢ムラ防止処理されない光透過性電磁波シールド性フィルムを図4に記載の連続式フィルム表面処理装置を用いるロールトゥロール方式で光沢ムラ防止処理を行わなかった以外は同様に処理して製造したところ、製造されたフィルムはその後の搬送とロールによる巻き取りにおいて、ロールによる搬送や巻き取りの強弱を反映して、黒化処理表面の黒色の色調及び光沢に変化が生じている部分が生じているものであった。
図1は、本発明の製造方法の一例を、フィルムの断面を示して説明した説明図である。 図2は、黒化処理層の還元処理をする工程の一例を説明するための説明図である。 図3は、マスク蒸着処理法による第1金属導電層の形成をフィルムの断面を示して説明した説明図である。 図4は、長尺フィルムの搬送方向を変えるロールを備えていない連続式フィルム表面処理装置の一例の説明図である。 図5は、長尺フィルムの搬送方向を変えるロールを備えた連続式フィルム表面処理装置の一例の説明図である。 図6は、加圧ロールによる加圧処理工程の一例を説明するための説明図である。 図7は、粘着性ロールによる加圧処理工程の一例を説明するための説明図である。 図8は、接着性透明樹脂の塗布工程の一例を説明するための説明図である。
符号の説明
11 透明フィルム
12 メッシュ状の金属導電層
12b 黒化処理表面
12a 内部金属導電層
12c 光沢ムラ防止処理された黒化処理表面
13b 接着性透明樹脂の層
21 表面に黒化処理された金属導電層を有するフィルム
22 ロール
23a 還元処理槽外槽
23b 還元処理内槽
23c スリット
25 ロール
27 還元処理槽
29 搬送方向を変える液中ロール(シンクロール)
31 透明フィルム
32 印刷ドット
33 金属薄膜
34 メッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の第1金属導電層)
41 長尺フィルム送り出しロール
42 長尺フィルム巻き取りロール
43 長尺フィルム
45 搬送補助のフリーロール
47a 黒化処理槽外槽
47b 黒化処理槽内槽
47c 黒化処理槽内槽に開けられたスリット
48a 還元処理槽外槽
48b 還元処理内槽
48c スリット
51 長尺フィルム送り出しロール
52 長尺フィルム巻き取りロール
53 長尺フィルム
55 搬送補助のフリーロール
57 黒化処理槽
58 還元処理層
59 搬送方向を変える液中ロール(シンクロール)
61 表面に黒化処理された金属導電層を有するフィルム
62a 加圧ロール
62b 加圧ロール
71 表面に黒化処理された金属導電層を有するフィルム
72a 弱粘着性ロール
72b バックアップロール
72c 強粘着性ロール
81 表面に黒化処理された金属導電層を有するフィルム
82 コータナイフ
83a 接着性透明樹脂
83b 接着性透明樹脂の層

Claims (17)

  1. 透明フィルム上にメッシュ状の金属導電層を形成する工程、
    該金属導電層を黒化処理することによって該金属導電層の少なくとも表面を黒化処理層とする工程、
    前記黒化処理層を還元処理することによって該黒化処理層の少なくとも表面を金属層とする工程、
    を含む、光沢ムラ防止処理がされた光透過性電磁波シールド性フィルムを製造する方法。
  2. 前記還元処理が、少なくとも黒化処理層表面を還元剤水溶液に浸漬することにより行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記還元剤水溶液として、シュウ酸水溶液を使用する請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記金属導電層の厚みが1〜10μmの範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記黒化処理層の厚みが前記金属導電層の表面から0.05〜2μmの範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記還元処理による金属層の厚みが、前記黒化処理層の表面から5〜100nmの範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記金属導電層が、銀、銅又はアルミニウムを含んでなる請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記黒化処理が、前記金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記金属導電層が銅を含み、前記黒化処理が銅の酸化処理を含み、前記還元処理は酸化銅の還元処理を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記フィルムとして、長尺フィルムを使用する請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記金属導電層が、
    フィルム面中央部に設けられた、メッシュ状の金属導電層、及び、
    フィルム面両端部に沿って帯状に設けられた金属導電層、
    とからなる、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記メッシュ状の金属導電層が、5〜40μmの線幅のメッシュを有し、フィルム面上の開口率が75〜95%である請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記メッシュ状の金属導電層が、透明基材側にあるメッシュ状の底部金属導電層、及び該底部金属導電層に電気メッキ処理して形成されたメッキ層を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法により製造された光透過性電磁波シールド性フィルム。
  15. 請求項14に記載の光透過性電磁波シールド性フィルムを含むディスプレイ用フィルタ。
  16. メッキ処理された金属導電層を有する長尺フィルムを黒化処理するために、少なくとも1つの黒化処理槽を備えた黒化処理装置、
    前記電気メッキ装置に隣接して設けられた、電気メッキ装置でメッキ処理された後の長尺フィルムを黒化処理するために、少なくとも1つの黒化処理槽を備えた黒化処理装置、
    前記黒化処理装置に隣接して設けられた、黒化処理された後の長尺フィルムの黒化処理された表面に還元処理をする手段を備えた光沢ムラ防止装置、
    を含む、光透過性電磁波シールド性フィルム製造装置。
  17. 前記メッキ処理前の、金属導電層を有する長尺フィルムが、透明フィルム及び該透明フィルム上に設けられたメッシュ状の金属導電層を有し、400〜2500mmの範囲にある幅を有するフィルムである、請求項16に記載の光透過性電磁波シールド性フィルム製造装置。
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