JP2006188562A - プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物及びそれを用いた積層材料 - Google Patents

プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物及びそれを用いた積層材料 Download PDF

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邦宣 高橋
Hagumu Kozai
育 香西
Shinichi Kitade
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Shigeo Mizukami
茂雄 水上
Takao Tayano
孝夫 田谷野
Toshihisa Ishihara
稔久 石原
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Abstract

【課題】ポリプロピレン系積層表面材料において、押出ラミネーション成形性を改良して、ネックインを小さくし、高速での製膜を可能とし、低温でのヒートシール性を有し、透明性や強度もバランス良く向上させべたつきやブリードアウトも低減する樹脂材料を実現する。
【解決手段】成分(A)プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体98〜60wt%及び成分(B)高圧法低密度ポリエチレン2〜40wt%を含有して、成分(A)が以下の条件(i)を満たす、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
(i)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、10℃以下に2つのピークを有し、高温側のピーク温度(℃)のTg1と低温側のピーク温度(℃)のTg2とにおける温度差が30℃未満であること。

Description

本発明は、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物及びそれを用いた積層材料に関し、詳しくは特定の非相溶性プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体に高圧法低密度ポリエチレンを配合してなる樹脂組成物であって、押出ラミネーション成形性に極めて優れ、当樹脂組成物を押出ラミネーション成形により表面層にシーラント層として積層したフィルムは積層包装材料として非常に有用であり、積層材料の表面層として透明性やシール性などの諸物性を良好とする、新規な樹脂組成物に係わるものである。
積層フィルムや積層シートなどの積層材料は、基材層と表面層の双方の異種の特性を併せ活かす複合材料として、あらゆる技術分野において重用され汎用されている。
そのなかでも、金属や樹脂あるいは紙布や木材ないしは無機質材などの各種の基材に、樹脂材料とりわけポリオレフィン系樹脂を積層した積層材料は、オレフィン系樹脂をフィルム状に押出しラミネートして積層体とする押出ラミネーション成形により簡易に経済的に製造することができて、ポリオレフィン系樹脂を積層することで熱融着性(ヒートシール性)やガス透過遮蔽性及び防水性や防錆性などの多くの特性を付与することができ、あるいは、複数の基材の接着層となり得る特徴により、食品や医薬及び電子機器などの包装資材、各種の工業用資材、建築資材、電子材料などとして産業上において広く用いられている。
積層材料において非常に有用なポリオレフィン系樹脂においては、ポリプロピレン系樹脂は、防湿性や耐ガス透過性及び耐油性や耐熱性あるいは耐衝撃性や腰の強さ、さらには透明性などの諸性質でポリエチレン系樹脂よりも優れており、各種の用途に非常に広く用いられているが、そのために樹脂として要求される性能は、積層成形性をはじめ様々なフィルム品質としての特性など多岐にわたっており、未だに多くの面で改良を要するものである。
そのなかで、積層用材料としてのポリプロピレン系樹脂における最大の問題点としては、ラミネーション(表面フィルム層成形 以下、「ラミ」と略称する。)時にネックイン(押出溶融樹脂幅より成形ラミ幅が狭くなる欠点)が大きくて、押出成形性が劣るという点が挙げられている。
この欠点は、ポリプロピレン系樹脂が一般には直鎖状ポリマーであり、成形時のひずみに対する応力の増大(ストレインハードニング)が殆ど生じずひずみを緩和できないことに由来する。その結果、押出ラミネーション成形のような製膜速度が極めて速い成形法においては、ネックインが大きくなりラミ製品幅が不足するという問題が生じやすく、この解決のために溶融粘度を増加させると、膜切れや膜幅変動が生じ製膜(ラミ)速度を上げられなくなり生産性が低下してしまう。
それゆえに、これらの相反する問題をバランスよく改良して、ネックインが小さく、かつ、高速で製膜することができるラミネーション用ポリプロピレン系樹脂が強く要望されている。
かかる問題に対処して要望に応えるために、押出ラミネーション成形性が良好である、高圧ラジカル重合により製造された分岐ポリマーの低密度ポリエチレン(以下、「高圧法ポリエチレン」と称する。)を、ポリプロピレン系樹脂に配合することは、従来から当該業者に広く用いられており一般的な手法である(特許文献1及び2を参照)。また、高圧法ポリエチレンをポリプロピレン系樹脂に配合しネックインや高速製膜性などを改良する際に、MFIを特定し無定形樹脂を使用する手法(特許文献3を参照)、同様にMFIを特定し無定形樹脂を使用して、高速製膜性に加えて包装材料として重要なヒートシール性も向上させる手法も開示されている(特許文献4を参照)。
しかし、ポリプロピレン系樹脂と高圧法ポリエチレンは相溶性が低いため、高圧法ポリエチレンを添加することで押出成形性は改良されるものの充分ではなく、また、相溶性が悪く屈折率も異なることから、ラミ物性として重要である透明性が悪化するという問題が生じてしまう。
ポリプロピレン系樹脂と高圧法ポリエチレンの相溶性が低いことから派生する問題への対処のために、いわゆるプロピレンとエチレンのブロックコポリマーを使用することも考えられるが、押出成形性と強度は改良されるものの充分とはいえず、逆に、透明性は顕著な悪化を示すこととなる。
自由端の長鎖分岐を有するプロピレン単独重合体が良好な押出ラミネート性を示し、ネックインが改良されることも提示されているが(特許文献5を参照)、フィッシュアイなどの欠陥を派生する欠点が避けられない。また、ポリプロピレン樹脂に、不飽和カルボン酸などによりグラフト変性された二種のポリプロピレンを配合した組成物を用いて、ラミネート成形性を改良することも開示されているが(特許文献6を参照)、特殊な樹脂を必要とするし、ラミ成形性の改良も充分とはいえない。
ところで、押出ラミ成形性の向上の要望の他に、積層フィルムなどの最近のシーラント用材料においては、製袋などに多く用いられるヒートシール工程を高速化し生産性を向上させるために、低温でヒートシールが可能であることが強く望まれている。
一般に、ヒートシール温度は融点と強い相関を持つことが当該業者に知られており、ポリプロピレン系樹脂のヒートシール温度を下げるために、代表的手法としてエチレンを共重合させて融点を下げた場合には、製品表面のべたつきやブリードアウト(低分子量成分や添加剤などの滲出)が大きな問題となる。特に、広くポリプロピレン系樹脂の製造に用いられているチーグラー・ナッタ系触媒による製造法では、触媒活性点が複数種あることから低結晶低分子量成分を多く含み、それがべたつきやブリードアウトをさらに悪化させる原因となってきた。
これに対し、メタロセン系触媒による製造法では触媒活性点が均一であることから、べたつきやブリードアウトが低減され、低温ヒートシール性が得られ、押出ラミ高速成形性に優れた、プロピレン−エチレンランダム共重合体と高圧法ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体の樹脂組成物も提案されているが(特許文献7を参照)、べたつきやブリードアウトは確かに抑制されるものの、強度の点は従来と大きな変化はなく、分子量及び組成分布の狭さによりラミ成形性はむしろ悪化し、高圧法ポリエチレンを配合してもラミ成形性の改良がなされているとはいえず、高圧法ポリエチレンを加えることによる透明性の悪化が顕著であるといわざるをえない。
特開昭52−121060号公報(特許請求の範囲、第1頁左下欄) 特開昭54−148829号公報(特許請求の範囲(1)、第2頁右下欄) 特開昭57−57740号公報(特許請求の範囲、第2頁左下欄) 特開昭59−49921号公報(特許請求の範囲、第2頁左下欄) 特開昭62−121704号公報(特許請求の範囲1,18,19、第8頁右上欄〜左下欄) 特開平7−188482号公報(要約) 特開2001−323119号公報(要約、特許請求の範囲の請求項4)
背景技術の段落0004〜段落0007において記述したとおりに、ポリプロピレン系樹脂積層材料においては、押出ラミネーション成形性を改良して、ネックインを小さく、かつ、高速での製膜を可能とすることへの多くの手法が提示されて、押出ラミネーション成形性は向上されているとしても、透明性やベタツキ性などが低下しており、これらをバランス良く向上させるには未だ充分な対処がなされているとはいえず、また、シーラント用材料としては、ヒートシール工程を高速化し生産性を向上させるために、低温でヒートシールを可能とすることへの要望が高いが、他の諸性能を低下させずに低温でのヒートシール性が充分に実現されているとも未だいえない状況を鑑みて、本願の発明は、ポリプロピレン系樹脂積層材料において、押出ラミネーション成形性を改良して、ネックインを小さくし、かつ、高速での製膜を可能とすること、また、シーラント用材料としての、ヒートシール工程を高速化し生産性を向上させるために、低温でのヒートシールを可能とすることへの要望に応え、併せて、透明性や強度などをもバランス良く向上させベタツキやブリードアウトも可及的に低減することを、発明が解決すべき課題とするものである。
本願の発明者らは、上記の発明の課題を解決するために、ポリプロピレン系樹脂積層材料における、押出ラミネーション成形性を改良して、ネックインを小さく、かつ、高速での製膜を可能とすること、及び、シーラント用材料としての、低温でのヒートシールを可能とすること、さらに、透明性や強度などをもバランス良く向上させベタツキやブリードアウトも可及的に低減することなどへの、多面的な対処をすることを目指して、ポリプロピレン樹脂材料の変性及び高圧法ポリエチレンとの樹脂組成物や他成分との樹脂組成物の改質、また、組成物成分の物性規定、さらには押出ラミネーション成形の成形手法などについて多角的に考察し、実験的にも検討を重ねた。
そして、それらの考察と検討の過程において、高圧法ポリエリレンの優れた押出ラミネーション成形性からして、ポリプロピレン系樹脂と高圧法ポリエチレンの組み合わせの組成物が上記の課題の解決に基本的に有効で最適であると認識して、さらに、その組成物の改良について検討を続けた。
その結果、ポリプロピレン系樹脂組成物のネックインを減少させ、高速製膜性を向上させるための重要な新しい知見を得ることができた。
すなわち、ポリプロピレン系樹脂において高圧法ポリエチレンを添加することでネックインを小さくさせることができるが、ポリプロピレンとポリエチレンは相溶性が低いため、通常、高圧法ポリエチレンはポリプロピレン系樹脂中にドメインとして存在し、成形時にひずみが加わっても界面張力により高圧法ポリエチレンは充分に変形することができず、その改良効果を発揮しきれていない。この状況において、ポリプロピレン系樹脂成分として特定のブロック共重合体を用いることで、ブロック共重合体のドメイン中に高圧法ポリエチレンは取り込まれ、ブロック共重合体のマトリクスとドメイン、ブロック共重合体のドメインとその中に取り込まれた高圧法ポリエチレンの各々の界面の相溶性が比較的高くなることで、高圧法ポリエチレンのラミ成形時のひずみは増大し、ネックインが顕著に改良されることが認識された。
しかし、一般のマトリクスとドメインに相分離した構造を持つブロック共重合体は透明性と光沢が低く、また、べたつきやブリードアウトが顕著であるという問題を有しているし、相分離していず透明性に優れるポリプロピレン系樹脂であっても高圧法ポリエチレンを添加することで透明性は悪化してしまうという問題が残されている。
これに対し、ブロック共重合体のうち各成分がガラス転移温度により特定される適度な相溶性を持つプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を用いると、ブロック共重合体単独での透明性は劣るものの、驚くべきことに高圧法ポリエチレンを加えた組成物とした際には、高圧法ポリエチレンを内部に取り込んだドメインが製膜時に極めて大きく変形し、ドメインが極めて細い針状に配向した形態を取ることで、ラミ成形性だけでなく透明性と光沢が顕著に改良されるという事実を見い出すことができた。
さらに、このようなガラス転移温度を持つブロック共重合体を得るためには、メタロセン系触媒による重合などにより、各成分の組成を充分に制御し組成分布の狭いプロピレン−エチレンランダム共重合体を製造できることが必要となることから、併せて低分子量成分の生成が抑制されることでベタツキやブリードアウトも改良されることが明らかとなった。
このような組成分布の狭い特定の成分により構成されるブロック共重合体を製造するためには、触媒系としてはメタロセン系触媒が適当であり、重合法として逐次多段重合を用いることが最も適切である。
ところで、本願の発明者らは、メタロセン系触媒を用いた逐次多段重合によるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体において、固体粘弾性測定や温度昇温溶離分別法などの物性特定により、透明性や柔軟性及び耐熱性やヒートシール性あるいは機械的強度やベタツキ性などの各種の性能について研究を行っており、当共重合体やその製法及び当共重合体と他成分との組成物などにおいて、上記の各種の性能について優れた改良成果を得ているので、かかる成果を利用して、当共重合体を高圧法ポリエチレンと組み合わせれば、本願発明の課題の解決を進捗できるとも考え、その組み合わせ組成物について検討を深めて、段落0011〜0012における知見を併せて、本願の発明を実現するに至った。
そして、従来技術として段落0005において記載したように、押出ラミネーション成形性が良好である、高圧ラジカル重合により製造された分岐ポリマーの低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)を、ポリプロピレン系樹脂に配合して、ネックインや高速製膜性などを改良する場合に、ポリプロピレン系樹脂と高圧法ポリエチレンは相溶性が低いため、高圧法ポリエチレンを添加することでラミ成形性は改良されるものの充分ではなく、また、相溶性が悪く屈折率も異なることから、ラミ物性として重要である透明性が悪化するという問題が生じてしまうが、上記のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体においては、固体粘弾性測定や温度昇温溶離分別法などの物性特定により、プロピレン−エチレン共重合体成分における高結晶性成分と低結晶成分がマトリクスとドメインに相分離し部分的に相溶している樹脂成分が得られるので、これに高圧法ポリエチレンを組み合わせ組成物とすれば押出ラミネーション成形性と共に透明性もバランスよく向上できる結果をえることができ、本発明を具現化することとなった。
当プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体においては、固体粘弾性測定や温度昇温溶離分別法などの物性特定により、プロピレン−エチレン共重合体成分における高結晶性成分と低結晶成分がマトリクスとドメインに相分離し部分的に相溶しており、さらに高圧法ポリエチレンを組み合わせて樹脂組成物として、高圧法ポリエチレンを当共重合体のドメイン中に取り込み、ポリプロピレン系樹脂積層材料として使用するのである。
一方、段落0011に記述したように、本願の発明者らは、別途先に、メタロセン系触媒を用いた逐次多段重合によるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体において、示差走査型熱量計(DSC)による融解ピーク温度や固体粘弾性測定(DMA)及び温度昇温溶離分別法(TREF)などの物性特定により、特にDMAによるtanδ曲線の2つのピークにより非相溶性(部分相溶性)に特定される共重合体の発明を完成し、先の発明として出願しているところであるが(特願2004−136947)、かかる共重合体にさらに高圧法ポリエチレンを配合して新規な樹脂組成物としたものを本願の基本的な発明とし、この発明を上述のように、ポリプロピレン系樹脂積層材料にの改良に使用するのである。
しかして、本願の基本的な発明は、成分(A)プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体98〜60wt%及び成分(B)高圧ラジカル重合により製造された低密度ポリエチレン2〜40wt%を含有して、成分(A)が、固体粘弾性測定(DMA)により得られるtanδ曲線の条件により部分相溶性の要件を満たす、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物からなる発明である。
そして、付加的な要件として、メタロセン系触媒を用いて、エチレン含量が1〜7wt%であり、示差走査型熱量計により測定される105〜145℃の融解ピーク温度TmAを有す、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜80wt%、成分(A1)に含まれるエチレン含量よりも12〜20wt%エチレンを多く含む低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜20wt%、逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体において、固体粘弾性測定(DMA)及び温度昇温溶離分別法(TREF)などの物性特定もなし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる分子量規定、23℃キシレン可溶成分の固有粘度、成分(B)のメルトフローレートと密度及びGPCによる分子量規定などがなされている。
さらに、かかるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物を、押出ラミネート成形により基材の表面に積層してなる積層フィルム又は積層シートの発明をも主要な構成としている。
なお、本願の発明と関連した先行技術を鑑みると、メタロセン系触媒により(A)プロピレン以外のコポリマー含量1〜20wt%を有するプロピレンコポリマー及び(B)プロピレン以外の少なくとも1種のコポリマー含量5〜95wt%を有するプロピレンコポリマーを、2段あるいは多段重合して得られるプロピレンコポリマー組成物について開示があり(PCT WO03/106523 第29頁クレーム1を参照)、相分離構造を取りながらドメイン粒径が小さいことで柔軟性と透明性に優れることなどが示されている(同第1頁1行、第2頁37〜38行参照)。
一方、本願の発明はポリプロピレン系シーラント樹脂組成物の押出ラミネーション成形性を改良するために、分岐高分子である高圧法ポリエチレンを配合する際に従来生じていた、透明性の悪化を抑制し、成形性改良効果をさらに増大するために、固体粘弾性測定(DMA)により得られるtanδ曲線のピークにより特定化される部分的に相溶しながらマトリクスとドメインに分かれた相分離構造を有するプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を用いることでドメイン内に高圧法ポリエチレンが取り込まれ、成形時のひずみに対する高い追従性を発揮させることが有効であるとの新たな発明に基づいている。
上記の先行技術は、ブロック共重合体の透明性の改良を主たる課題とし、本願発明における押出ラミネーション成形用のポリプロピレン系シーラント材料として、当該用途に用いられる従来のポリプロピレン系樹脂に高圧法ポリエチレンを配合する発想、及び実際に高圧法ポリエチレンを配合した樹脂組成物にした場合に、著しく成形性の改良が成され、かつ、透明性悪化の問題を回避しうる、という予想外の結果を示唆するものではない。
以上において、本願の発明の創作の経緯と、発明の構成の特徴及び先行技術との相違などについて、概括的に記述したので、ここで本願の発明の構成全体を記載すると、本願の発明は次の発明単位群からなるものである。[1]及び[11]に記載の発明が基本的な発明であり、それら以外の発明は基本的な発明に付随的な要件を加え、あるいは実施態様化するものである。
[1]成分(A)プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体98〜60wt%及び成分(B)高圧ラジカル重合により製造された低密度ポリエチレン2〜40wt%を含有して、成分(A)が以下の条件(i)を満たすことを特徴とする、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
(i)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、10℃以下にtanδ曲線が2つのピークを有し、高温側のピーク温度(℃)のTg1と低温側のピーク温度(℃)のTg2とにおける、Tg2とTg1の温度差(=Tg1−Tg2)が30℃未満であること。
[2]成分(A)が、メタロセン系触媒を用いて、エチレン含量が1〜7wt%であり、示差走査型熱量計(DSC)により測定される105〜145℃の融解ピーク温度Tm(A1)を有す、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜80wt%、成分(A1)に含まれるエチレン含量よりも12〜20wt%エチレンを多く含む低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体エラストマー成分(A2)を70〜20wt%、逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であることを特徴とする、[1]におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
[3]成分(A)が以下の条件(ii)を満たすことを特徴とする、[1]又は[2]におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
(ii)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃から140℃の温度範囲における温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dwt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、成分(A1)に由来する高温側に観測されるピークT(A1)が65〜90℃の範囲にあり、成分(A2)に由来する低温側に観測されるピークT(A2)が45℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されないこと。
[4]成分(A)が以下の条件(iii)を満たすことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
(iii)TREF溶出曲線において、全プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が95℃未満であり、ピークT(A1)からT(A4)までの温度差ΔT(=T(A4)−T(A1))が5℃以下の範囲を取ること。
[5]成分(A)が以下の条件(iv)を満たすことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
(iv)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、高温側のピーク温度(℃)のTg1が、成分(A1)のガラス転移温度(℃)のTg(A1)より8℃以上低下していること。
[6]成分(A)が以下の条件(v)を満たすことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
(v)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる重量平均分子量Mwが100,000〜400,000の範囲にあり、分子量が5,000以下の成分量W(M≦5,000)が全体の0.8wt%以下であること。
[7]成分(A)が以下の条件(vi)を満たすことを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
(vi)23℃キシレン可溶成分の、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]cxsが1〜2[dl/g]の範囲にあること。
[8]成分(B)の190℃におけるメルトフローレート(MFR:190℃ 21.18N荷重)が1〜50g/10分であり、密度が0.916〜0.930g/cmであることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
[9]成分(B)が1種類以上の高圧法低密度ポリエチレンであって、少なくとも1種類の高圧法低密度ポリエチレンのゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が6以上であることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
[10]成分(A)と成分(B)が有機過酸化物の存在下に、一括混練されてなることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
[11]〜[10]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物を、押出ラミネート成形により基材の表面に積層してなる積層フィルム又は積層シート。
[12][11]における基材が2軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする積層フィルム。
[13][1]〜[10]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物を、シーラント材として基材の表面に積層してなる包装材料。
本願の発明におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体組成物は、押出ラミネーションのフィルム成形時にネックインが小さく、さらに、製膜速度を上げても膜切れや膜幅の変動が生じ難いため、押出ラミ成形性に極めて優れ、併せて、押出ラミ成形性の改良とバランスして、ラミフィルムにおいて、透明性や光沢などの光学的特性が高く、高い強度と柔軟性を呈し、低温ヒートシールが可能であり、ベタツキやブリードアウトも抑制されているという顕著な効果を奏するものである。
このような樹脂組成物を押出ラミネーション成形することにより得られた積層フィルム又は積層シートは、シーラント材として有用であり、包装材料などの各種の用途に有効に利用できる。
以下において、本願の発明についての発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
1.樹脂組成物の構成
本願発明は、成分(A)プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体98〜60wt%と成分(B)高圧ラジカル重合により製造された低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)2〜40wt%を含有する、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物である。
ここで、成分(B)は押出ラミ成形性を付与するために重要な成分であり、ひずみに対して応力の増大が顕著ないわゆるストレインハードニングの大きい、長鎖分岐を有する高圧ラジカル重合により製造された低密度ポリエチレンであることが必要である。成分(B)が長鎖分岐を有しない直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)やその他の直鎖状ポリマーである場合にはストレインハードニングは小さくネックインの改良効果は得られない。
成分(B)の含有量に関しては、2wt%未満の場合には成形性改良効果が小さいため、製膜時のネックインが大きく安定性も低い。ネックインを抑制し、製膜安定性を向上させるために成分(B)は2wt%以上、好ましくは5wt%以上の割合を取る。
一方で、成分(B)の含有量が多くなりすぎると透明性の悪化や強度の低下といった問題や、OPPに代表されるポリプロピレン系樹脂からなる基材との接着不良が生じるため、成分(B)は40wt%以下、好ましくは30wt%以下、より好ましくは20wt%以下である。
2.成分(A)について
(1)固体粘弾性測定(DMA)による特定
イ.ピークTg1とTg2による特定
本願発明に用いられるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)は、固体粘弾性測定(DMA測定)において特定化されたガラス転移温度を有することが基本的に必要である。
本願発明のブロック共重合体組成物に用いられるブロック共重合体成分(A)に必要とされる重要な要件のひとつは、ブロック共重合体成分(A)がマトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取ることであり、これは固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、マトリクスとドメインそれぞれの非晶緩和に由来する2つのピークを10℃以下に有し、高温側のピークをTg1(℃)、低温側のピークをTg2(℃)とした時に、Tg1−Tg2が30℃未満であることで特定化される。
成分(A)が単一の相を示す場合にはTgは1ピーク(一山)となるため、本願発明においてTgが2つのピークを有するということは、大略の相分離構造を有することを明確に規定するものである。(なお、一般にポリプロピレン系樹脂では、結晶緩和に由来するα分散によるtanδピークが60℃程度にも観測されるが、本願発明においては、10℃以下の非晶部のガラス転移によるピークのみを対象とする。)
本願発明に用いられるブロック共重合体成分(A)は2つのピーク温度の温度差Tg1−Tg2が30℃未満であるが、これは、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)がマトリクスとドメインに分かれた相分離構造を有しながら、双方の相溶性がある程度保たれていることを特定化するものである。
すなわち、プロピレン−エチレンランダム共重合体において、Tgはエチレン含量によって変化し、高温側のTg1はエチレン含量の少ないマトリクスを形成する成分に由来し、低温側のTg2はエチレン含量の多いドメインを形成する成分に由来しているが、一般にプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の各成分の相溶性は、双方のエチレン含量の差が大きいほど低く、Tg1−Tg2も大きくなり、Tg1−Tg2が大きい場合にはマトリクスとドメインの相溶性は極めて低い。一方で、双方のエチレン含量の差が小さ過ぎる場合には相溶化してしまい単一相を形成し、本願発明の成分(A)として要求される相分離構造を取ることができない。
本願発明におけるTg1−Tg2<30℃の規定は、相分離構造は取るが、両成分は部分的には相溶化できる程度の、比較的低い相溶性を有する範囲を規定するものである。
高圧法ポリエチレン成分(B)を、このような固体粘弾性測定により得られるガラス転移温度Tgにより特定化されたブロック共重合体成分(A)と組み合わせることで、本願発明の目的である高い押出ラミネーション成形性とラミフィルム品質が発揮されるが、これは以下の理由によるものと推察される。
すなわち、一般にプロピレン系樹脂とエチレン系樹脂は相溶性が極めて低く、本願発明のようなプロピレン系樹脂とエチレン単独重合体である高圧法ポリエチレンとの相溶性は通常は極めて低い。そして、成形性を改良するためにストレインハードニングを示す高圧法ポリエチレンを加えても、高圧法ポリエチレンはその相溶性の低さからポリプロピレン系樹脂中で相分離しドメインを形成し、ドメインの界面張力は極めて大きい。このとき、押出ラミ成形時には溶融樹脂には大きな伸張変形が加わるが、高圧法ポリエチレンのドメインは変形に充分に追従することができず、加わるひずみはある程度以上増加できない。その結果、(伸張変形時の応力の増加はひずみ量が大きい領域で顕著であるため)高圧法ポリエチレンドメインのストレインハードニング効果は充分に発揮されることが無く、ネックインの抑制効果が小さく、さらにドメインの粒径が大きいためマトリクスとの屈折率差による散乱で透明性は悪化してしまう。
一方で、本願発明のようにポリプロピレン系樹脂として固体粘弾性測定において2つのピークを有することで特定化される相分離構造を取るブロック共重合体を用いると、ブロック共重合体中の、より多くのエチレンユニットを含むドメイン中に、高圧法ポリエチレンはサブドメインとして取り込まれる。このとき、マトリクスとドメイン、ドメインとサブドメインである高圧法ポリエチレンは、各々比較的相溶性が高いため界面張力が小さく、成形時のひずみに対する追従性が大きく向上する。その結果、高圧法ポリエチレン成分(B)に加わるひずみ量は増大し、ストレインハードニングによりネックインは抑制され、さらに、ドメインの粒径が微細化することで透明性も改良される。
そこで、本発明において用いられる成分(A)は、高圧法ポリエチレンをドメイン中にサブドメインとして取り込み、マトリクスとドメイン、ドメインとサブドメインの相溶性を高い範囲に維持することが必要であり、これは成分(A)に対するDMA測定により得られるTgが10℃以下に2つのピークを有し、両ピークの温度差Tg1−Tg2が30℃未満であることにより実現される。
ロ.DMAによる付加的要件
成分(A1)と成分(A2)は部分的に相溶しているため、マトリクスを形成するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)単独でのガラス転移温度Tg(A1)に対し、ブロック共重合体のマトリクスにはドメインを形成する比較的エチレン含量が多い成分が一部相溶化することでそのガラス転移温度Tg1は低下を示し、Tg(A1)より8℃以上低下していることが好ましい。
マトリクスとドメインに相分離した構造において、ドメインが配向することで光の散乱は減少し透明性は改良されるが、各相の屈折率差も透明性に対し大きな影響を与える。プロピレン−エチレンランダム共重合体の屈折率は結晶化度により変化するが、ブロック共重合体においてドメインはほぼ結晶性がないのに対し、マトリクスの結晶性が高いと、両者の屈折率差は大きくなり透明性は悪化する。
このとき、成分(A1)中に成分(A2)が部分的に相溶することで、マトリクスの結晶化度は低下し、透明性は改良される。
成分(A2)の一部が成分(A1)に相溶であると、成分(A1)単独でのガラス転移温度Tg(A1)に対し、ブロック共重合体のマトリクスのガラス転移温度は低下するため、本願の発明に用いられるブロック共重合体成分(A)において、Tg1は成分(A1)単独でのガラス転移温度Tg(A1)に対し大きく低下する。
そこで、本願発明においては、成分(A2)が成分(A1)中に部分的に相溶化していることを明確に規定するために、ブロック共重合体のTg1がTg(A1)より8℃以上低下していることを付加的要件とする。
ハ.DMA測定法
DMA測定は、具体的には、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行なう。
ここでは、周波数は1Hzを用い、測定温度は−60℃からステップ状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。また、歪みの大きさは0.1〜0.5%程度が推奨される。
ここで、得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率と損失弾性率を求め、これらの比で定義される損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)を温度に対してプロットしグラフ化すると、マトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取るブロック共重合体においては、約10℃以下の温度領域で各々異なるピークを示す。ピーク温度のうち高温側に示されるピーク温度(℃)をTg1、低温側に現れるピーク温度(℃)をTg2として定義する。なお、図2に、実施例1において使用されるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体のTgを示すグラフが例示されている。
(2)重合触媒と重合法による特定
本願発明に用いられるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)は、結晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)と、低結晶性あるいは非晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次多段重合することより得られる、通称でのブロック共重合体であることが好ましい。
このブロック共重合体は、各段階で製造される重合体あるいは共重合体の混合物であるが、一般にプロピレンブロック共重合体と称されており、各ブロック体は機械的に混合した組成物よりはミクロな相分離構造、あるいは、共連続構造を取っている。ここで成分(A1)の結晶性とは、共重合体において立体規則性が高くプロピレン単独重合体あるいは比較的エチレンが少ないプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、ラメラを形成することができ(ラメラの存在はDSCなどにより確認される)、成分(A2)の低結晶性あるいは非晶性とは、TREFなどの結晶性を評価する各種の手法において、成分(A1)に比べ結晶性が低いか、結晶性が観測できないポリマーを意味する。
また、各重合段階で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体は各々エチレン含量が異なる、プロピレンとエチレンがランダムに共重合されたポリマーになっている。
このようなブロック共重合体成分(A)は、前述した固体粘弾性挙動を有することが必要であり、各成分の組成分布を狭く制御することが好ましいため、その製造に際してはメタロセン系触媒を用いて逐次多段重合することが好適である。
チーグラー・ナッタ系触媒では触媒の活性点の種類が複数あるため、生成したプロピレン−エチレン共重合体の結晶性及び分子量分布が広く、各成分のエチレン含量の差が小さいと各成分は相溶化してしまうし、相溶化しないようにエチレン含量の差を大きくすると、両成分の相溶性は顕著に悪化するため、本願発明に必要な固体粘弾性挙動を発揮する領域に制御することが困難である。さらに、低結晶・低分子量成分を多く生成することで、フィルムとしての使用に際しベタツキやブリードアウトが強く見られ、ブロッキングや外観不良などの問題も発生しやすいという欠点を有しており、また、低分子量成分の生成を抑制するために、成分(A2)の平均分子量を大きくしても低結晶性成分の生成は抑制され難いためベタツキやブリードアウトの改良が不充分であって、さらに成分(A2)の分子量が高いことでブツやフィッシュアイなどと称される外観不良が発生しやすくなるばかりでなく、成分(A1)に比べ成分(A2)の粘度が高すぎることで、成形時にドメインの変形が進行せず成形性改良効果が小さいなどの多くの問題を呈することとなる。
したがって、本発明では、チーグラー・ナッタ系触媒によるブロック共重合体の上記の諸欠点を解消するために、メタロセン系触媒による重合方法を選択することが好ましい。
(3)結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)
結晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)は、ブロック共重合体の耐熱性を発揮し、ベタツキやブロッキングを抑制するために必要な成分である。
示差走査型熱量計(DSC)による融解ピーク温度Tm(A1)が105〜145℃であり、さらに、成分(A1)がブロック共重合体成分(A)中に占める割合W(A1)は30〜80wt%の範囲にあることを付加的要件とする。
イ.DSC融解ピーク温度Tm(A1)
ブロック共重合体中の成分(A1)は、結晶性の尺度であるDSCにより得られる融解ピーク温度Tm(A1)が105〜145℃の範囲にあることを付加的要件とするが、Tm(A1)が低くなり過ぎると、耐熱性が悪化すること、結晶化が遅くなることでフィルム成形時にフィルムがロールへ取られやすくなるという問題を生じることから、Tm(A1)は105℃以上、好ましくは110℃以上である。
一方、成分(A1)のTm(A1)が高過ぎると透明性が悪化するだけでなく、製袋時の加工性にも問題を生じる。当該業者によく知られるように、一般的に融点が高くなるとヒートシール温度は上昇するが、特にOPPシーラントとしての使用に際してOPP層とシーラント層の融点差が小さい場合にはシール面の外観不良が生じる。そこで、Tm(A1)は145℃以下、好ましくは140℃以下、より好ましくは135℃以下、さらにより好ましくは130℃以下であることが必要である。
融解ピーク温度Tm(A1)は、重合の第1工程終了後に少量サンプリングした成分(A1)に対し、常法により、示差走査型熱量計による融解ピーク温度として測定される。
ロ.成分(A1)の割合W(A1)
ブロック共重合体中に占める成分(A1)の割合をW(A1)と定義すると、本願発明においてW(A1)は30〜80wt%の範囲を取ることを、付加的要件とする。したがって、成分(A2)の割合をW(A2)と定義したとき、W(A2)は70〜20wt%となる。
W(A1)が30wt%に満たない場合には、ブロック共重合体の耐熱性が顕著に低下し、さらに、ベタツキやブロッキングも悪化する。好ましい範囲は50wt%以上である。一方、80wt%を超え成分(A1)の量が多過ぎる、すなわち成分(A2)の量が少な過ぎる場合には、成形性と耐衝撃性を充分に発揮できないため、W(A1)は80wt%以下、すなわちW(A2)が20wt%以上であることが必要であり、好ましくは70wt%以下である。
以上から、成分(A1)の割合W(A1)は80〜30wt%、好ましくは70〜50wt%であり、成分(A2)の割合W(A2)は20〜70wt%、好ましくは30〜50wt%である。
ハ.成分(A1)中のエチレン含量E(A1)
成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)は、製造に用いる触媒や重合条件により変化するが、基本的には成分(A1)中のエチレン含量E(A1)により本願発明の範囲となるように制御され、また、Tg1も成分(A1)中のエチレン含量E(A1)により決定される。
本願発明のTm(A)及びTg1を所定の範囲とするために、成分(A1)中のエチレン含量は1〜7wt%、さらには2〜6wt%の範囲であることが好ましい。
(4)低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)
低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、ブロック共重合体の強度や柔軟性を向上させるだけでなく、前述したように高圧法ポリエチレンをドメインとして取り込み、ひずみへの追従性を向上させるための重要な成分である。
イ.成分(A2)中のエチレン含量E(A2)
メタロセン系触媒によって製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体は組成分布が狭いため、本願発明のようなエチレン含量の異なる成分(A1)及び(A2)からなるブロック共重合体においては、各成分のエチレン含量の差を大きくし過ぎると両成分の相溶性が低下し、前述したTg1−Tg2が本発明の範囲を取ることができず、透明性が著しく悪化し、ラミ成形性改良効果が低下する。一方、各成分のエチレン含量の差が小さすぎると両成分は完全に相溶化してしまい、成分(B)との相溶性が低下してラミ成形性改良効果が小さくなる。
そこで、本発明のブロック共重合体においては、相分離構造を取りながら、成分(A1)と成分(A2)が部分的に相溶化しTg1−Tg2が30℃以下となるよう、成分(A2)中のエチレン含量E(A2)を、成分(A1)のエチレン含量E(A1)より12〜20wt%多い範囲とすることが必要である。すなわち、成分(A2)と成分(A1)に含まれるエチレン含量の差をE(gap)=E(A2)−E(A1)とすると、E(gap)は12〜20wt%の範囲を取るのが好ましい。
ロ.成分(A2)の割合W(A2)
W(A2)については、段落0031においてW(A1)の特定の際に記載されたとおりである。
(5)各成分のエチレン含量E(A1)とE(A2)、及び各成分量W(A1)とW(A2)の測定
成分(A1)と(A2)の各エチレン含量及び成分量は、重合時の物質収支(マテリアルバランス)によって計算することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析(分別法)を用いることが望ましい。
イ.温度昇温溶離分別(TREF)による各成分量の測定
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布を温度昇温溶離分別法(TREF)により評価する手法は、当該業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Po
lym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,
8,1639−1654(1995)
本願発明におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)は、成分(A1)と(A2)各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン系触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから両成分の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く分別することが可能である。
TREF溶出曲線(温度に対する溶出量のプロット)において、成分(A1)と(A2)は結晶性の違いにより各々T(A1)とT(A2)にその溶出ピークを示し、その差は充分大きいため、中間の温度T(A3)(={T(A1)+T(A2)}/2)においてほぼ分離が可能である。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(A2)の結晶性が非常に低いあるいは非晶性成分の場合には本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある。(このとき測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(A2)の濃度は検出される。)
このとき、T(A2)は測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することができないため、このような場合にはT(A2)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(A3)までに溶出する成分の積算量をW(A2)wt%、T(A3)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)wt%と定義すると、W(A2)は結晶性が低いあるいは非晶性の成分(A2)の量と殆ど対応しており、T(A3)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は結晶性が比較的高い成分(A1)の量とほぼ対応している。なお、TREF溶出曲線の実例は、実施例1に使用される重合体における実例として図1に例示されている。
ロ.TREF測定方法
本願発明においては、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃から140℃の温度範囲における温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dwt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線は、具体的には以下のように測定を行うことにより得ることができる。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
ハ.各成分中のエチレン含量E(A1)とE(A2)の測定
(i)成分(A1)と(A2)の分離
先のTREF測定により求めたT(A3)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(A3)における可溶成分の成分(A2)と、T(A3)における不溶成分の成分(A1)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecules 21 314−319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いた。
(ii)分別条件
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(A3)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(A3)に保持したまま、T(A3)のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(A3)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次いで、10℃/時間の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(A3)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
(iii)13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A1)と(A2)それぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した、13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX-400又は同等の装置(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/mL
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17 1950 1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は下表の通りである。表中Sααなどの記号はCarmanら(Macromolecules 10 536 (1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 2006188562
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) (1)
[PPE]=k×I(Tβδ) (2)
[EPE]=k×I(Tδδ) (3)
[PEP]=k×I(Sββ) (4)
[PEE]=k×I(Sβδ) (5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} (6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。したがって、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 (7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、以下の微小なピークを生じる。
Figure 2006188562
正確なエチレン含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本願発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ系触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100 ここでXはモル%表示でのエチレン含有量である。
また、ブロック共重合体全体のエチレン含量E(W)は、上記より測定された成分(A1)と(A2)それぞれのエチレン含量E(A1)とE(A2)及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A1)とW(A2)wt%から以下の式により算出される。
E(W)={E(A1)×W(A1)+E(A2)×W(A2)}/100 (wt%)
(6)TREF溶出曲線による結晶性分布の付加的要件
各成分の量を特定するために用いたTREF溶出曲線を用いることで、本願発明の成分(A)の結晶性分布において付加的な特徴を見い出すことができる。
イ.溶出ピーク温度T(A1)
TREF溶出曲線における成分(A1)の溶出ピーク温度T(A1)が高いほど、成分(A1)は結晶性が高くなるが、このとき、成分(A1)の結晶性が高くなるとそれに伴い透明性は悪化する。本発明においてT(A)は90℃以下であることが望ましく、最も好適なのは78℃以下である。
一方、T(A1)が低くなりすぎると、耐熱性を維持することができず、特に煮沸による殺菌に充分耐えうる耐熱性を発揮せしめるには、T(A1)は65℃以上の範囲を取ることが必要である。
ロ.溶出終了温度T(A4)
T(A1)が低くとも高結晶側に結晶性分布を持つ場合には成分(A)の結晶化度は増加し、さらに核生成頻度が低下するため透明性は悪化する。そこで、TREF溶出曲線において高温側への結晶性の広がりは抑制されることが好ましい。
この高結晶側へ結晶性の広がりが少ないほうが好ましくて、ピーク温度T(A1)に対し、成分(A1)全体の溶出終了温度T(A4)(但し、TREF測定における誤差を考えると全て溶出する温度を定義することは困難であるので、本願発明においては全体の99wt%が溶出する温度を溶出終了温度T(A4)と定義する)は高くないほうが好ましく、本発明のより好ましい要件としてT(A4)は95℃未満であり、最も好適なのは80℃未満である。さらに、溶出ピークから終了までの温度差ΔT(=T(A4)−T(A1))は5℃以下の範囲を取ることが好ましい。
(7)分子量に関する付加的要件
イ.分子量の規定
本願発明におけるブロック共重合体成分(A)は、低分子量成分が少ないことを付加的な特徴とする。
低分子量成分、特に、その分子量が絡み合い点間分子量に満たない成分は、成形体の表面にブリードアウトし、ベタツキ性や透明性などを悪化させると考えられる。
ポリプロピレンの絡み合い点間分子量は、Journal of Polymer Science:Part B:Polyer Physics; 37 1023−1033(1999)に記載されるように、約5,000である。
したがって、本願発明におけるブロック共重合体は、低分子量成分が少なく、重量平均分子量が5,000以下の成分量は、0.8wt%以下、好ましくは0.5wt%以下であることを特徴とする。
重量平均分子量の下限は、特にないが、Mw≦5,000の成分が0.8wt%を超えない範囲において、あまり分子量を低くしすぎると、成形性の問題や強度の低下が生じるため、100,000以上の範囲にあることが好ましい。上限は400,000であり、これ以上では成形性などが低下する。
ロ.分子量測定
本願発明においては、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mα においては以下の数値を用いる。
PS : K=1.38×10−4 α=0.7
PE : K=3.92×10−4 α=0.733
PP : K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製 GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A IR検出器(測定波長 :3.4
2μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製 試料はo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定により得られた分子量に対する溶出割合のプロットから、分子量5,000以下の成分量も求めることができる。
(8)固有粘度[η]cxsに関する付加的要件
本願発明のブロック共重合体成分において、低結晶性あるいは非晶性の成分(A2)は(A1)マトリクス中にドメインを形成するが、Tgで規定される相溶性を適当な範囲に制御しても、成分(A1)に比べ粘度が高すぎると充分に配向することができない場合がある。一方、フィルムのベタツキやブリードアウトが特に問題となるのも(A2)成分である。
ベタツキは分子量が低いほど悪化することは当該業者によく知られているが、ベタツキを悪化させないために成分(A2)の平均的な分子量を大きくするとそれに伴い粘度は上昇してしまう。したがって、成分(A2)は平均的な分子量をそれほど大きくしなくても低分子量成分が少ないものであることが望ましい。
このようなベタツキに対し最も影響が大きいのは、(A2)成分のうち常温のキシレンに可溶な成分(CXS成分)であるため、固有粘度[η](dl/g)の測定は、CXS成分に対して行うことが好ましい。
ここで、CXS成分は、ブロック共重合体をp−キシレンに130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置し、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させることにより得られ、得られたCXS成分の固有粘度[η]cxsを、デカリンを溶媒として用い、温度135℃でウベローデ型粘度計を用いて測定することができる。
このとき、本願発明のブロック共重合体は、ブリードアウトしやすい分子量5,000以下の成分の生成を増加させることが無いため、従来のチーグラー・ナッタ系触媒では、製造上の問題やブロッキングなどの悪化により実用上問題のあった、CXS成分の固有粘度[η]cxsが2以下の領域であっても、格別な物性の悪化を引き起こすことなく、製造し利用することができる。
このようなCXS成分の固有粘度を下げながら分子量5,000以下の成分を増加させないブロック共重合体は、ベタツキの悪化が少ないにもかかわらずドメインの配向が極めて大きく成形性や透明性に優れるだけでなく、引張破断伸びが大きく、引張破断強度が高いという物性面での特徴を持ち、さらに、ブツやフィッシュアイと称される外観不良の発生が少ないという効果を示す。
3.プロピレン−エチレンランダムブロック重合体成分(A)の製造方法
(1)メタロセン系触媒による製造
本願発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を製造する方法としては、メタロセン系触媒を使用することが最も好適である。
すなわち、本願発明に用いられる成分(A)は、それを構成する成分(A1)及び(A2)の組成や分子量の分布が精密に制御されることが必要であり、分子量及び結晶性の分布が狭いことが好ましい。したがって、本願発明に用いられるブロック共重合体成分(A)の製造に際しては、分子量及び結晶性の分布を狭くできるメタロセン系触媒を用いて重合されることが好ましく、チーグラー・ナッタ系触媒では本願発明の優れたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を得ることは困難である。
(2)メタロセン系触媒
メタロセン系触媒の種類は、本願発明の性能を有する共重合体を生成できる限りは、特に限定はされるものではないが、本願発明の要件を満たすために、例えば、下記に示すような成分(a)と(b)及び必要に応じて使用する成分(c)からなるメタロセン系触媒を用いることが好ましい。
成分(a):一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1
種のメタロセン遷移金属化合物
成分(b):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成

(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)固体酸微粒子
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(c):有機アルミニウム化合物
イ.成分(a)
成分(a)としては、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C4−a−aR)(C4−b−bR)MeXY (1)
[ここで、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を示し、Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。R、Rは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を示す。a 及びb は置換基の数である。]
詳しくは、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、例えば、2価の炭化水素基、シリレン基ないしオリゴシリレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基あるいはオリゴシリレン基、又は炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などが例示される。この中でも好ましいものは2価の炭化水素基と炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。
とRは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したRとRは、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
以上において記載した成分(a)の中で、本願発明のプロピレン系重合体の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基あるいはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物であり、特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、あるいはゲルミレン基で架橋された2,4−位置換インデニル基、2,4−位置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。
非限定的な具体例としては、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−イソプロピル−4−(3,5−ジイソプロピルフェニル)インデニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−プロピル−4−フェナントリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロビフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も好適な化合物として例示される。
なお、触媒成分は本願発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本願発明の有効範囲が制限されることが無いのは自明のことである。
ロ.成分(b)
成分(b)としては、上述した成分(b−1)〜成分(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
成分(B)の非限定的な具体例としては、成分(b−1)として、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−2)として、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−3)として、アルミナ、シリカアルミナ、塩化マグネシウムなどを、成分(b−4)として、モンモリロナイト、ザコウナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などが挙げられる。これらは、混合層を形成しているものでもよい。
上記成分(b)の中で特に好ましいものは、成分(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
ハ.成分(c)
必要に応じて成分(c)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、
一般式 AlR3−a
(式中、Rは、炭素数1から20の炭化水素基、Xは、水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
ニ.触媒の形成
成分(a)と成分(b)及び必要に応じて成分(c)を接触させて触媒とする。その接触方法は特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
1)成分(a)と成分(b)を接触させる
2)成分(a)と成分(b)を接触させた後に成分(c)を添加する
3)成分(a)と成分(c)を接触させた後に成分(b)を添加する
4)成分(b)と成分(c)を接触させた後に成分(a)を添加する
5)三成分を同時に接触させる
本願発明で使用する成分(a)と(b)及び(c)の使用量は任意である。例えば、成分(b)に対する成分(a)の使用量は、成分(b)1gに対して、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。成分(b)に対する成分(c)の使用量は、成分(c)1gに対し、好ましくは遷移金属の量が0.001〜100mmol、特に好ましくは0.005〜50mmolの範囲である。したがって、成分(a)に対する成分(c)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは10−3〜10、特に好ましくは10−2〜10の範囲内である。
本願発明の触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。予備重合温度と時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(b)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
(2)重合方法
本願発明に用いられる成分(A)を製造するに際しては、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)と低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次重合することが必要である。ここで逐次重合するということは、成分(A1)を重合した後で成分(A2)を重合することを意味する。
本願発明は成分(A2)が比較的多く、分子量が低く単独ではべたつきやすい共重合体を用いる場合があるので、反応器への付着などの問題を防止するため、さらに前述したように品質面からも、成分(A1)を重合した後で成分(A2)を重合する方法を用いることが必要である。
逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。
バッチ法の場合には時間と伴に重合条件を変化させることにより単一の反応器を用いて成分(A1)と成分(A2)を個別に重合することが可能である。複数の反応器を並列に接続して用いてもよい。
連続法の場合には成分(A1)と成分(A2)を個別に重合する必要から2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、成分(A1)と成分(A2)のそれぞれについて複数の反応器を直列及び/又は並列に接続して用いてもよい。
重合プロセスは、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法を用いることができる。バルク法と気相法の中間的な条件として超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく気相法に含める。
低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は炭化水素などの有機溶媒や液化プロピレンに溶けやすいため、成分(A2)の製造に際しては気相法を用いることが望ましい。
結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)の製造に対してはどのプロセスを用いても特に問題はないが、比較的結晶性の低い成分(A1)を製造する場合には、付着などの問題を避けるために気相法を用いることが望ましい。
したがって、連続法を用いて、まず結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)をバルク法もしくは気相法にて重合し、引き続き低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を気相法にて重合することが最も望ましい。
重合温度は通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。
重合圧力は選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際窒素などの不活性ガスを共存させてもよい。
第一工程で成分(A1)、第二工程で成分(A2)の逐次重合を行う場合、第二工程にて系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する場合には、第二工程のエチレン−プロピレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については各種技術検討がなされており、一例として特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などを例示することができる。本願発明にも当該手法を適用することが望ましい。
4.成分(A)の構成要素の制御方法
次に各要素の制御方法を具体的に説明する。本願発明においては、発明の各要素を制御して、本願発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を製造することができる。
(1)成分(A1)について
結晶性プロピレン-エチレンランダム共重合体成分(A1)については、E(A1)、T(A1)、Tm(A1)及びTg(A1)を制御する必要がある。
本願発明の成分(A1)はプロピレン−エチレンランダム共重合体であるので、成分(A1)中のエチレン含量E(A1)を多くするほどT(A1)は低くなり、E(A1)を少なくするほどT(A1)は高くなる。そこで、T(A1)が本発明の範囲を満たすようにするためには、E(A1)とT(A1)との関係を把握し、E(A1)を所定の範囲になるように制御すればよい。
供給するエチレン量比とプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量の関係は、使用するメタロセン系触媒の種類によって異なるが、適宜にエチレンの供給量比を調整することによって任意のエチレン含量E(A1)を有する成分(A1)を製造することができる。例えば、E(A1)を1〜10wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.001〜0.3の範囲に、好ましくは0.005〜0.2の範囲とすればよい。
本願発明では、成分(A1)の結晶性分布が狭いために、T(A1)とTm(A1)及びTg(A1)は、ほぼ1対1の対応関係となり、T(A1)が高いほどTm(A1)、Tg(A1)は高くなり、T(A1)が低いほどTm(A1)、Tg(A1)も低くなり、本願発明の成分(A1)の好ましい様態はプロピレン−エチレンランダム共重合体であるので、成分(A1)中のエチレン含量E(A1)を多くするほど、Tm(A1)とTg(A1)は低くなり、E(A1)を少なくするほどTm(A1)とTg(A1)は高くなる。
そこで、Tm(A1)とTg(A1)が本願発明の範囲を満たすようにするためには、E(A1)とこれらの関係を把握し、E(A1)を所定の範囲になるように制御すればよい。
(2)成分(A2)について
低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)については、E(A1)とT(A2)及び[η]cxsを制御する必要がある。
本願発明の成分(A2)はプロピレン−エチレンランダム共重合体であるので、成分(A2)中のエチレン含量E(A2)を多くするほどT(A2)は低くなり、E(A2)を少なくするほどT(A2)は高くなる。
そこで、T(A2)が本願発明の範囲を満たすようにするためには、E(A2)とT(A2)との関係を把握し、E(A2)を所定の範囲になるように制御すればよい。そして、E(A2)を制御するためには、E(A1)と同様に、第二工程におけるプロピレンに対するエチレンの供給量比を制御すればよい。例えば、E(A2)を12〜30wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.01〜5の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲とすればよい。
[η]cxsについては、成分(A2)の分子量Mw(A2)を変化させることにより制御することができる。したがって、[η]cxsを制御するためには、常法通り第二工程におけるモノマーに対する水素の供給量比を制御すればよい。
また、一般にメタロセン触媒は重合温度が高いほど得られるポリマーの分子量が低くなる傾向があるため、重合温度を変化させる事によっても[η]cxsを制御することが可能である。また、水素供給量比と重合温度の両方を組み合わせて[η]cxsを制御することもできる。
(3)成分(A1)と成分(A2)の割合について
成分(A1)の量W(A1)と成分(A2)の量W(A2)は、成分(A1)を製造する第一工程の製造量と成分(A2)の第二工程の製造量の比を変化させることにより制御することができる。例えばW(A1)を増やしてW(A2)を減らすためには、第一工程の製造量を維持したまま第二工程の製造量を減らせばよく、第二工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより容易に制御することができる。逆も又同様である。
実際に条件を設定する際には、活性減衰を考慮する必要がある。すなわち、本願発明にて実施するエチレン含量E(A1)及びE(A2)の範囲においては、一般にエチレン含量を高くするためにプロピレンに対するエチレン供給量比を高くすると重合活性が高くなり、同時に活性減衰が大きくなる傾向にある。したがって、第二工程の活性を維持するために第一工程の重合活性を抑制する必要があり、具体的には、 第一工程にてエチレン含量E(A1)を下げ、生産量W(A1)を下げ、必要に応じて、重合温度を下げる及び/又は重合時間(滞留時間)を短くする。 第二工程にてエチレン含量E(A2)を上げ、生産量W(A2)を上げ、
必要に応じて、重合温度を上げる及び/又は重合時間(滞留時間)を長くする、
といった方法で条件を設定すればよい。
(4)Tgについて
本願発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体では、固体粘弾性測定により測定される特定のTgを示すことが必要である。各成分のTgは各々に含まれるエチレン含量によって制御され、エチレン含量が多いほどTgは低くなる。
本願発明においては、各成分がマトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取ることが必要であり、さらに、各成分が部分的に相溶することも必要である。
このとき、成分(A1)と成分(A2)の相溶性もエチレン含量によって変化し、両成分のエチレン含量の差が小さすぎると、相溶化によりTgは単一のピークを示し、大きすぎると両成分は完全に相分離してしまうため、成分(A1)中のエチレン含量E(A1)と成分(A2)中のエチレン含量E(A2)の差E(gap)(=E(A2)−E(A1))を12〜20wt%の範囲にすることが必要となる。
そこで、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)のエチレン含量E(A1)に応じて、低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)のE(A2)を適正範囲に入るよう、成分(A2)重合時のプロピレンに対するエチレンの供給重量比を設定することで、所定のE(gap)を有する重合体を得ることが可能である。
さらに、E(gap)が本範囲を満たすものであっても、成分(A1)と成分(A2)の組成分布が広い場合には相溶性が変化し、本発明のTg挙動を取ることができない。本願発明のような逐次重合を行う系においては、組成性分布を狭くするためにはメタロセン触媒を用いるだけでは必要十分ではない。より具体的には、メタロセン触媒を用いるだけでは成分(A2)の組成分布を狭くするための必要十分条件には成らない。最終的なプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を望ましい物性を持ったものに調整するためには、成分(A1)と成分(A2)はそれぞれ異なった特定のポリマー組成を有する必要がある。つまり、第一工程と第二工程ではそれぞれのポリマー組成に対応する重合条件、特にモノマーガス組成をそれぞれ異なる特定の値に保つ必要がある。したがって、採用するプロセスにおいて成分(A2)の組成分布が広い場合は、第一工程から第一工程に対応する特定のモノマーガス混合物を第二工程に持ち込まないように移送工程を調整することが必要である。具体的には、移送工程に於けるパージ量を増やしたり、窒素などの不活性ガスで希釈若しくは置換することにより、成分(A2)の組成分布を狭くすることができる。
このようにして得られた組成分布の狭い成分(A1)と(A2)からなるブロック共重合体の各成分のエチレン含量を所定の範囲にすることで、Tgは制御される。
(5)T(A4)について
制御された成分(A1)は結晶性分布が狭いため、TREF溶出曲線においてピーク温度T(A1)に対する広がりが小さく、99wt%溶出温度T(A4)はピーク温度より5℃以下高い範囲を取る。
そこで、T(A1)を成分(A1)中のエチレン含量E(A1)により制御し、適当な範囲にせしめ、結晶性分布を狭く制御することでT(A4)は本発明の範囲内に制御することができる。逆に、成分(A1)と(A2)の組成分布が狭くなるように制御しない場合には本願発明の範囲を取ることができない。
(6)重量平均分子量Mw及び低分子量成分の割合について
本願発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体では、成分(A1)の粘度[η]A1、成分(A2)の粘度[η]A2、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の粘度[η]wの間には見かけ上、粘度の混合則が概ね成立する。すなわち、{W(A1)+W(A2)}×Log[η]w
=W(A1)×Log[η]A1+W(A2)×Log[η]A2
が概ね成立する。
一般にMwと[η]の間には一定の相関があるから、まず最初に柔軟性や耐熱性などの観点から、[η]A2、W(A1)、W(A2)を設定しておけば、上記の式に従って[η]A1を変化させることによってMwを自在に制御することができる。当然ながら、[η]A1は[η]A2と同様の方法により制御することが可能である。
一般的に、メタロセン系触媒を用いることによりチーグラー・ナッタ系触媒よりも、組成及び分子量の分布の狭いポリマーを得ることができ、その結果、低分子量成分の少ないポリマーが得られる場合が多いことは当該業者によく知られた事実である。しかし、本願発明のような逐次重合を行う系においては、組成分布と同様に分子量分布を狭くするためにはメタロセン触媒を用いるだけでは必要十分ではない。すなわち、最終的なプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体が低分子量成分W(M≦5000)の少ない、望ましい物性を持ったものに調整するためには、第一工程から第二工程へ移送する時間を短くしたり、移送工程に於いて第一工程に対応するモノマーガス混合物を窒素などの不活性ガスで完全に置換したりすることにより、W(M≦5000)を小さく制御することができる。
5.成分(B)について
(1)成分(B)の機能
成分(B)は主としてエチレンホモポリマーであり、高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンである。高圧ラジカル重合により製造されたポリエチレンは長鎖分岐を持ち、日本レオロジー学会誌19.174−180(1991)などに示されるように、伸張変形時に顕著な応力の増大を示すことが知られている。このような伸張変形時の応力の増大は、フィルム成形時のネックインを減少させ、製膜の安定化をもたらす。
(2)メルトフローレートMFR
成分(B)として用いられる低密度ポリエチレンのMFR(JIS−K6922−2:1997付属書(190℃ 21.18N荷重)に準拠して測定した値)は、好ましくは1〜50g/10分、より好ましくは3〜30g/10分である。
MFRが上記範囲未満では、低密度ポリエチレンの分散性が悪くなるので好ましくなく、上記範囲を超えるとネックインの改良効果が充分でないので好ましくない。
(3)密度
成分(B)に用いられる低密度ポリエチレンは主としてエチレンからなり、その密度は分岐が増加するほど低下するため、分岐の尺度として密度(JIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定した値)は、好ましくは0.916〜0.930g/cm、より好ましくは0.918〜0.925g/cmである。
密度が上記範囲を越えると相溶性が悪化して透明性や加工性が悪化して好ましくなく、上記範囲未満のものは製造が困難である。
(4)分子量
成分(B)に用いられる低密度ポリエチレンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上である。
Mw/Mn値が6未満の低密度ポリエチレン樹脂を用いても、押出ラミネート加工性の改良効果は少ない。Mw/Mn値の上限は特に限定されないが、10程度、好ましくは9程度である。
なお、Mw/Mnの測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行った。測定条件は段落0050〜0051の記載と同様であり、係数α及びKはPE値を用いた。
(5)ポリエチレンの種類
高圧法で製造された低密度ポリエチレンは、主としてエチレンのみからなるエチレンホモポリマーであるが、成形性改良効果を発揮するための伸張粘度の増大を示すことが重要であり、少なくとも1種類の低密度ポリエチレンが上記条件を満たす限りは、他の1種又は2種類以上の低密度ポリエチレンの混合物であってもよい。
さらに、α−オレフィンなどの他の共重合成分を少量含有する共重合体であってもよい。また、かかる共重合体とエチレンホモポリマーとの混合物であってもよい。このような低密度ポリエチレンは、一般にいわゆる高圧法で製造されるものであるが特に制限はなく、また、市販されているものを適宜使用することができる。
6.組成物の製造について
本願発明の樹脂組成物は、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)と高圧法により製造された低密度ポリエチレン成分(B)を溶融混練して製造される。
(1)混練方法
溶融混練には、従来公知のあらゆる方法を用いることができるが、通常、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の混練押出機にて実施することができる。これらの中でも一軸又は二軸の混練押出機により混合あるいは溶融混練を行うことが好ましい。
一般的な混練の温度は180〜270℃程度であるが、樹脂組成物の熱劣化を防止するために窒素シールを行いながら混練することも可能である。また、混練機は上述したものを二種以上を組み合わせることもできる。
(2)有機過酸化物によるレオロジーコントロール
樹脂組成物の造粒時には、さらに有機過酸化物を配合することが好ましい。ラミフィルムの成形速度を向上させていったときにある速度以上でフィルムの幅や厚みに変動が生じ製品を得ることができなくなる延展性悪化の問題に対し、その原因は定かではないものの、一般的に分子量分布が狭い方が高速安定性に優れる。
本願発明に用いられるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分において、その製造に推奨されるメタロセン系触媒を用いた場合、得られるポリマーの分子量分布は一般的に狭く高速時の製膜安定性に優れるが、さらに有機過酸化物を配合して造粒を行うことで分子鎖の切断が起こり、これは確率的に高分子量のものほど生じやすいため、より分子量分布は狭くなり非常に延展性の優れた組成物を得ることができる。また、低密度ポリエチレン成分(B)は、有機過酸化物により分子鎖の切断と架橋が同時に起こるが平均的には架橋されることが多く、より伸張変形時の応力増大が向上することで製膜安定性も向上するものと考えられる。
使用される有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びケトンパーオキサイドが使用される。例えば、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどが含まれ、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエイトシクロヘキサノンパーオキサイドなども含まれる。これらで例示されている有機過酸化物のうち1種あるいは数種を同時に用いてよい。さらに上記記載の有機過酸化物の他、アゾ化合物、過硫酸塩化合物などラジカル発生物質も使用できる。
有機過酸化物の配合割合は、樹脂組成物100重量部に対し0.001〜0.1重量部程度が好ましい。
有機過酸化物の配合割合が上記範囲よりも低い場合は高速加工性などの改良効果が充分に得られない。また上記範囲よりも高い場合は材料強度が低下したり、臭いや変色が派生したり、安定的なフィルム加工が難しくなるので好ましくない。
有機過酸化物の添加は、成分(A)と(B)を配合する時に同時に行うことができ、さらに、成分(A)と(B)のみを溶融混練した後で有機過酸化物を加えて再混練することもできる。
(3)付加的成分
本願発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物においては、成分(A)と成分(B)の他に、付加的成分(任意成分)を本願発明の効果を著しく損なわない範囲内で配合することもできる。
この付加的成分としては、従来公知のポリオレフィン樹脂用配合剤として使用される核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤といった各種添加剤を加えることができる。
これら添加剤の配合量は、一般に0.0001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物(旭電化(株)製 商品名NA21)などを挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}などを挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学(株)製)などを挙げることができる。
ヒンダードアミン系の安定剤の具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などを挙げることができる。
滑剤の具体例としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスステアロイドなどの高級脂肪酸アミド、シリコンオイル、高級脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
帯電防止剤としては、高級脂肪酸グリセリンエステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミド脂肪酸モノエステルなどを挙げることができる。
成分(A)と成分(B)樹脂以外の樹脂やゴムとして、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・ブテン系ゴム、エチレン・ヘキセン系ゴム、エチレン・オクテン系ゴムなどを本願発明の効果を著しく損なわない範囲内で配合することもできる。これらの樹脂やゴムは、最大30重量%、好ましくは20重量%まで配合することができる。
これらの付加的成分は、成分(A)と成分(B)を溶融混練する際に添加してもよいし、成分(A)と成分(B)各々に添加してもよい。さらには溶融混練後に直接添加、あるいは、本願発明の効果を著しく損なわない範囲においてマスターバッチとして添加することも可能である。また、これらの複合的な手法により添加してもよい。
7.用途及び成形法
(1)用途
イ.積層材料としての有用性
本願発明の樹脂組成物の用途としての、積層フィルムや積層シートなどの積層材料は、基材層と本願発明の樹脂組成物表面層の双方の異種の特性を併せ活かす複合材料として有用である。
本願発明の新規な樹脂組成物は、特定のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体に高圧法ポリエチレンを配合しているので、ネックインのないラミフィルムとして製造され、光学的な特性として透明性や光沢が高く、機械的な特性として高い強度と柔軟性を有し、熱的な特性として耐熱性に富み低温ヒートシールが可能であり、物理的な特性としてガス遮蔽性及びベタツキやブリードアウトも抑制され、化学的な特性として耐薬品性や耐油性に優れており、ラミフィルムや積層シートなどとして、特に、シーラント材として卓越しているものであるといえる。
ロ.具体的な用途例
本願発明の樹脂組成物からなる押出ラミネーションフィルムは、軟質包装材料として好適に用いることができる。包装の形態としては三方シール袋や四方シール袋、スティック包装袋の様な小袋包装の他、ポーションパック、トレイパック、パウチ包装、ひねり包装、クリップ包装、液体充填包装などがある。さらに、カップ、トレイなどの蓋材料として用いることもできる。
これら包装形態を用いて包装される内容物としては、粉末コーヒーや砂糖及び医薬の様な粉末、一般的な菓子類や錠剤、ボトルや電子部品などの様な固形物、洗剤やジュース及び醤油などの液体もの、米飯、豆腐、納豆などの食料品など多岐にわたる。
(2)成形法
本願発明の樹脂組成物は、好ましくは、押出ラミネーション加工法によって基材の上に積層することができる。押出ラミネート加工方法とは、溶融した樹脂をTダイスより垂れ流し、冷却ロールとゴムロールの間で任意の基材の上に熱時圧着固化させて積層体を得る加工法である。
これらの加工法は特に制限されるものではなく、公知の方法に従って実施することができる。例えば、逐次押出ラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押出法を用いることも可能である。
さらに、基材上には予めコロナ放電処理やプラズマ処理を行ったり、必要に応じて基材上にアンカーコート剤を塗布しながら押出ラミネートを行うことも可能である。
積層体を構成する基材層としては、紙、金属箔、セロファン、織布、不織布、高分子重合体のフィルム、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのオレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリルなどのビニル共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネートなどのフィルムを挙げることができる。
さらに上記フィルム1種類単独でも、2種類以上の複合使用でもよく、基材の種類によっては延伸加工を行ったものでもよい。一軸又は二軸延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエチエンテレフタレートフィルム、延伸ポリスチレンフィルムなども用いられる。上記基材上にポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどをコーティングしたものや、アルミ、アルミナやシリカ、又はアルミナ及びシリカの混合物を蒸着した基材を用いてもよい。
本願の発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例及び比較例を掲げて説明するが、本願の発明の構成と効果をより明確にするために好適な実施の例などを記述するものであって、本願の発明の構成が合理的で有意性を有することを実証するものである。
以下の製造例において得られた成分(A)及び成分(B)の諸物性の測定方法は、次のとおりである。
[成分(A)の諸物性の測定方法]
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210 A法 条件M に従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称加重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mm
(2)TREF
測定条件は、段落0039に詳述されている。
〔装置〕
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ × 150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
〔測定条件〕
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速 :1mL/分
(3)固体粘弾性測定
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。
成分(A)単独での測定には、下記条件によりプレス成形された厚み1mm、10mm幅×18mm長のシートを用いた。
〔装置及び測定条件〕
装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
〔試験片の作成〕
A.射出成型条件
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm
保持圧力:800kgf/cm
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
B.プレス成形条件
予熱:180℃ 2分間
加圧:180℃ 10MPa 3分間
冷却:30℃ 10MPa 3分間
(4)DSC
セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度をTmとした(単位:℃)。昇温時の吸熱曲線の面積からdHmを求めた。
(5)GPC
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
なお、測定法は、段落0050〜0051において詳述した方法による。
(6)常温キシレン可溶成分(CXS)
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、23℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥しCXSを回収して秤量する。
(7)極限粘度(固有粘度と同義)
ウベローデ型粘度計を用いデカリンを溶媒として、温度135℃で測定した。
(8)エチレン含有量の算出
段落0040〜0046において詳述した方法による。
[成分(B)の諸物性の測定方法]
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210 A法 条件D に従い、以下の条件で測定した。
試験温度:190℃
公称加重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mm
(2)密度
MFR測定時に得られた押出ストランドを用い、JIS−K7112 D法に準拠して密度勾配管法で行った。
[成分(A)の製造例]
〔製造例PP−1(重合製造例A−1)〕
(1)予備重合触媒の調製
(珪酸塩の化学処理)10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm 粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(珪酸塩の乾燥)先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。仕様、乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状 内径50mm 加温帯550mm(電気炉) かき上げ翼付き回転数:2rpm 傾斜角:20/520 珪酸塩の供給速度:2.5g/分 ガス流速:窒素96リットル/時間 向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(触媒の調製)内容積1リットルの攪拌翼のついたガラス製反応器に乾燥珪酸塩20gを導入し、混合ヘプタン116ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)84mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを200mlに調製した。次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)0.96mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム218mg(0.3mM)と混合ヘプタン87mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)3.31mlを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して500mlに調製した。
(予備重合/洗浄)続いて、窒素で充分置換を行った内容積1.0リットルの攪拌式オートクレーブに、先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを240mlデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液0.95ml、さらに混合ヘプタンを560ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを560ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mモル/リットル、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液17.0ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。
この予備重合触媒を用いて、以下の手順に従ってプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の製造を行った。
(2)第一工程
撹拌及び温度制御装置を有する内容積3Lのオートクレーブをプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、エチレン38g、水素80ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、45℃に昇温しその温度を維持した。上記の予備重合触媒をn−ヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)40mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を45℃に維持して75分重合を継続した。その後、常圧まで残モノマーをパージし、さらに精製した窒素で完全に置換した。生成したポリマーを一部サンプリングして分析したところ、エチレン含有量3.7wt%、MFR16.4g/10分、DSC融解ピーク温度Tm(A)123.4℃、ガラス転移温度TgA1.9℃であった。
(3)第二工程
別途、撹拌および温度制御装置を有する内容積20Lのオートクレーブを用いて、第二工程で使用する混合ガスを調製した。調製温度は80℃、混合ガス組成はエチレン52.95vol%、プロピレン46.96vol%、水素900volppmであった。第一工程にてポリマーを一部サンプリングした後、この混合ガスを3Lのオートクレーブに供給し、第二工程の重合を開始した。重合温度は80℃、圧力2.5MPaにて21分重合を継続した。その後、エタノールを10ml導入して重合を停止した。回収したポリマーはオーブンで充分に乾燥した。収量は310g、活性は7.3kg/g−触媒、エチレン含有量10.9wt%、MFR16.6g/10分であった。
(4)添加剤配合
重合製造例A−1で得られたブロック共重合体パウダーに、下記の酸化防止剤及び中和剤を添加し、充分に撹拌混合した。
酸化防止剤:テトラキス{メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン500ppm、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト500ppm
中和剤:ステアリン酸カルシウム500ppm
(5)造粒
添加剤を加えた共重合体パウダーを、以下の条件により溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を、冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することで成分(A)の原料ペレット(PP−1)を得た。
押出機:日本製鋼所社製TEX−30二軸押出機
スクリュー:口径30mm L/D=42
押出機設定温度:ホッパ下から 40,120,160,200,220,220(ダイ)℃
スクリュー回転数:300rpm
吐出量:スクリューフィーダーにて20kg/時 に調整
(6)分析
得られたPP−1ペレットを用いて、TREF、エチレン含量、DSC、GPC、CXS、CXSの[η]、固体粘弾性、屈折率の測定を行った。測定により得られた各データを表2に示す。得られた測定結果からPP−1は成分(A)として全ての要件を満たすといえる。
ここで、TREF測定結果について、図1に溶出曲線を例示する。また、固体粘弾性測定結果について、図2に温度に対する貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’と損失正接tanδの変化を例示する。
〔製造例PP−2〜7(重合製造例A−2〜7)〕
重合製造例A−1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を製造した。重合条件および重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーを、製造例PP−1と同様の添加剤配合、造粒条件により、PP−2〜7の原料ペレットを得た。各種分析結果を表4に示す。
[成分(B)]
成分(B)としては、日本ポリエチレン(株)より市販されている高圧法低密度ポリエチレンのグレード名LC720を用いた。
分析の結果、190℃におけるMFR=9g/10分、密度=0.921g/cm、Mw/Mn=9であった。
[実施例−1]
成分(A)としてPP−1を、成分(B)としてLC720を、各々92wt%、8wt%となるよう配合し、得られた混合物に対して0.02重量部のジ−t−ブチルパーオキサイドを加えてスーパーミキサーで充分に撹拌し混合した。
(造粒)上記成分(A)と(B)及び有機過酸化物の混合物ペレットを、以下の条件により溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を、冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することで樹脂組成物原料ペレットを得た。
押出機:日本製鋼所社製TEX−30二軸押出機
スクリュー:口径30mm L/D=42
押出機設定温度:ホッパ下から 40,120,160,200,220,220(ダイ)℃
スクリュー回転数:300rpm
吐出量:スクリューフィーダーにて20kg/時 に調整
(押出ラミネーション成形)得られた樹脂組成物原料ペレットを、口径90mmφの押出機に装着したTダイスから押し出される樹脂の温度が280℃になるように設定した押出しラミネート装置を用い、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅1100mm、ダイリップ開度0.7mmで、引き取り加工速度が150m/分の場合に被覆厚みが15μmになるように押出量を調整して溶融押し出し、幅1000mm、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に、引き取り速度を150m/分、被覆厚み15μmで押出しラミネート加工を行い、積層体を得た。
(成形性評価)さらに、押出ラミネーション成形性を評価するために、同じ成形機を用いて、厚みが15μmで一定となるように吐出量を変化させながら製膜速度を増加させていき、幅の変動と膜切れが生じる限界速度を評価した。このときの限界速度を延展性[m/min](上限は250m/min)とする。
また、このときのネックインの大きさを評価するために得られたフィルムの製品幅を測定した。得られたフィルムの幅が狭いほどネックインは大きく、幅が広いほどネックインは小さい。延展性が大きく、ネックインが小さいほど押出ラミネート成形性は良好である。評価結果を表5に示す。
(物性評価)
透明性 得られたフィルムの透明性を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K−7136(ISO 14782) JIS K−7361−1準拠
測定機:曇り度計NDH2000(日本電色工業株式会社製)
フィルム厚み:基材層(OPP)20μm シーラント層15μm
試験片の作成方法:押出ラミネーション成形
状態の調節:成形後に室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:5
評価項目:曇り度(Haze)
ヒートシール特性 得られたフィルムのヒートシール特性を以下の条件により評価した。
測定機:東洋精機製 熱傾斜試験機
フィルム厚み:基材層(OPP)20μm シーラント層15μm
試験片の作成方法:押出ラミネーション成形
状態の調整:成形後に室温23℃、湿度50%に調整された恒温室内に24時間
放置してからヒートシール実施、さらにヒートシール後に同条件で24時間放置してからヒートシール強度測定
試験片の数:5
ヒートシールバー温度設定:70℃から150℃まで5℃間隔で設定
ヒートシール圧力:2kg/cm
ヒートシール時間:1秒
引張試験機:ORIENTEC製 テンシロン
引張試験片の作成方法:状態調整後のヒートシールされたフィルムを幅15mm
の短冊とした
引張速度:500mm/分
ここで、ヒートシール強度が300g/15mmに到達する温度をHS温度、評価した温度域内で測定された最も高い強度をHS強度とする。
ブロッキングの評価 試験片のブロッキングを以下の方法で評価した。
室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内で、得られたフィルムを2枚重ねて鉄板の間に挟み、鉄板に1kgの加重をかけ10分放置した後、鉄板の間から取り出し、そのときの試験片のくっつき具合でベタツキを評価した。
表中の記号は以下の状態を示す。
○:フィルムはくっ付かず、すぐに剥がれた
△:フィルムはくっ付いていたが、手で剥がすことができた
×:フィルムは密着しており、粘着テープを用いないと剥がすことができなかった。
ブリードアウトの評価 試験片のブリードアウトを以下の方法で評価した。
射出成型により得られたフィルムを40℃の恒温槽内に24時間放置し、そのときの試験片の表面状態によりブリードアウトを評価した。
表中の記号は以下の状態を示す。
○:サンプルにはブリードアウトが無く、放置前と状態に変化はなかった
△:サンプルには若干のブリードアウトが見られるが、顕著ではない
×:サンプルには多くのブリードアウトが見られ、表面に顕著な白化が生じた
以上の各物性評価の評価結果を表3に示す。
[実施例−2〜4]
表5に示すように、成分(A)と成分(B)を各比率で配合し、実施例−1と同様に造粒し成形して、評価した。
[比較例−1]
表5に示すように、成分(B)を配合せず、PP−1単独で、造粒し成形した。成形速度20m/minにおいてフィルム幅に変動が発生し、実施例1と同じ条件ではフィルムを製造することができなかった。
[比較例−2〜4]
表3に示すように、成分(A)と成分(B)を各比率で配合し、実施例−1と同様に造粒し成形して評価した。
Figure 2006188562
Figure 2006188562
Figure 2006188562
[実施例と比較例との対照による考察]
以上の各実施例と各比較例とを対照して考察すれば、本願発明の構成における各規定を満たす、本願発明の新規なプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物による実施例−1〜4においては、膜切れや膜幅の変動が生じにくいため製膜速度を高めることができ、また、ネックインが小さいことから極めてラミ成形性に優れ、透明性が高く、低温ヒートシールが可能でヒートシール強度が強いことから、シーラント材料としての適性が卓越しており、さらに、製品のベタツキ性が無く、ブリードアウトが抑制されていることが明白であり、本願発明の成分(A)及び成分(B)各々の要件などの本願発明の構成要件の各規定が合理的で実験データにより確証されていることが理解される。
比較例−1は、成分(B)の配合がされていないため、成形性が悪く、成形速度を上げると膜幅の変動が生じサンプルを得ることができない。
比較例−2は、成分(A)のガラス転移温度Tgが単一のピークを持ち単一相となっているため、成分(B)を配合することで成形性は改良されるものの延展性とネックインとも充分ではなく、さらに、成分(B)により透明性の悪化が生じ、ヒートシール強度も低い。
比較例−3では、成分(A)のTg1とTg2が30℃以上離れており、そのため成分(B)を配合することで成形性は改良されるものの効果に劣り、透明性が極めて悪く、またベタツキやブリードアウトも悪化する。
比較例−4では、成分(A)が成分(A2)を有さないため、成分(B)を配合しても成形性改良効果が充分でなく、透明性とヒートシール強度も劣る。
製造例PP−1における溶出量曲線と溶出量積算を示すグラフ図である。 製造例PP−1における固体粘弾性測定を示すグラフ図である。

Claims (13)

  1. 成分(A)プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体98〜60wt%及び成分(B)高圧ラジカル重合により製造された低密度ポリエチレン2〜40wt%を含有して、成分(A)が以下の条件(i)を満たすことを特徴とする、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
    (i)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、10℃以下にtanδ曲線が2つのピークを有し、高温側のピーク温度(℃)のTg1と低温側のピーク温度(℃)のTg2とにおける、Tg2とTg1の温度差(=Tg1−Tg2)が30℃未満であること。
  2. 成分(A)が、メタロセン系触媒を用いて、エチレン含量が1〜7wt%であり、示差走査型熱量計(DSC)により測定される105〜145℃の融解ピーク温度Tm(A1)を有す、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜80wt%、成分(A1)に含まれるエチレン含量よりも12〜20wt%エチレンを多く含む低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜20wt%、逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
  3. 成分(A)が以下の条件(ii)を満たすことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
    (ii)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃から140℃の温度範囲における温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dwt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、成分(A1)に由来する高温側に観測されるピークT(A1)が65〜90℃の範囲にあり、成分(A2)に由来する低温側に観測されるピークT(A2)が45℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されないこと。
  4. 成分(A)が以下の条件(iii)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
    (iii)TREF溶出曲線において、全プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が95℃未満であり、ピークT(A1)からT(A4)までの温度差ΔT(=T(A4)−T(A1))が5℃以下の範囲を取ること。
  5. 成分(A)が以下の条件(iv)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
    (iv)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、高温側のピーク温度(℃)のTg1が、成分(A1)のガラス転移温度(℃)のTg(A1)より8℃以上低下していること。
  6. 成分(A)が以下の条件(v)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
    (v)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる重量平均分子量Mwが100,000〜400,000の範囲にあり、分子量が5,000以下の成分量W(M≦5,000)が全体の0.8wt%以下であること。
  7. 成分(A)が以下の条件(vi)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
    (vi)23℃キシレン可溶成分の、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]cxsが1〜2[dl/g]の範囲にあること。
  8. 成分(B)の190℃におけるメルトフローレート(MFR:190℃ 21.18N荷重)が1〜50g/10分であり、密度が0.916〜0.930g/cmであることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
  9. 成分(B)が1種類以上の高圧法低密度ポリエチレンであって、少なくとも1種類の高圧法低密度ポリエチレンのゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が6以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
  10. 成分(A)と成分(B)が有機過酸化物の存在下に、一括混練されてなることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物を、押出ラミネート成形により基材の表面に積層してなる積層フィルム又は積層シート。
  12. 請求項11における基材が2軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする積層フィルム。
  13. 請求項1〜請求項10のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物を、シーラント材として基材の表面に積層してなる包装材料。
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