JP5509008B2 - プロピレン系樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関し、特に耐衝撃性、引張伸び、ウェルド強度、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性に優れたプロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関する。
プロピレン系重合体は、成形加工性、剛性に優れ、またリサイクル性や耐熱性にも優れていることから、各種の方法で成形加工され、食品容器、キャップ、医療用器具、医療用容器、包装用フィルム、文具向けシート、衣装ケース、日用品、自動車部品、電気部品等の各種用途に幅広く使用されている。これらの用途では、プロピレン系重合体もしくはその組成物に対して、より優れた耐衝撃性、剛性、透明性と成形加工性等が強く求められる。
プロピレン系重合体は、剛性や耐熱性、ガスバリヤー性の点ではプロピレン単独重合体が、透明性の点ではエチレン、ブテン等とプロピレンとのランダム共重合体が、耐熱性、耐衝撃性の点からはエチレン、ブテン等とプロピレンとのブロック共重合体が、好適であり、状況に応じて適宜選択的に用いられている。
しかし、プロピレン系重合体は、耐衝撃性の点において十分でない場合がある。このような場合、プロピレン系重合体に改質材として他の重合体を添加し耐衝撃性を向上しているのが現状である。改質材の中でもエチレン系重合体が比較的安価であり、かつ耐衝撃性の改良効果も高いため、最も広く用いられる。例えば、特許文献1では、結晶性ポリプロピレンに密度が0.93〜0.88g/cmのエチレン系共重合体をブレンドすることによって衝撃強度の改良を図っている。しかし、プロピレン系重合体とエチレン系重合体とを併用した場合には、両者の相溶性が不十分であるため、2つの重合体が微細かつ均一に分散しないために、耐衝撃性は改良されるものの、引張伸びが十分に改良されないのみならず、衝撃白化、ウェルド部の強度低下、透明性や光沢感の低下、耐傷付き性低下、耐傷付き性の低下などの様々な不具合の発生が抑制しがたいのが現状であった。
特開2000−72938号公報
本発明の目的は、上記課題を解決し、耐衝撃性、引張伸び、ウェルド強度、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性に優れたプロピレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物から成形されてなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、プロピレン系重合体に対し、特定の改質材を組み合わせて用いることにより、各成分が互いに微細かつ均一に分散し、その結果、本発明の目的は、各成分が互いに微細かつ均一に分散することにより、耐衝撃性、引張伸び、ウェルド強度、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性に優れた樹脂組成物、および成形品になり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン系重合体(ア)30〜98重量部、エチレン系重合体(イ)1〜40重量部および下記(i)〜(v)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)1〜30重量部(ただし、(ア)、(イ)および(ウ)の合計は100重量部である。)を含有し、エチレン系重合体(イ)が、メタロセン触媒を用いて重合されたことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量が7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)を30〜95wt%、第2工程で成分(A)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を70〜5wt%逐次重合したものであること
(ii)メルトフローレート(MFR:230℃ 2.16kg)が、0.5〜100g/10分の範囲にあること
(iii)DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が、110〜150℃の範囲にあること
(iv)GPC法により測定された分子量分布(Mw/Mn)が、1.5〜4の範囲にあること
(v)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有すること
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系共重合体(ア)が、プロピレン単独重合体もしくは、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンの含有量が0〜7wt%であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第1または2の発明のプロピレン系樹脂組成物を用いた成形品が提供される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(ア)に対して、改質材としてエチレン系重合体(イ)とプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)とを特定量配合することを特徴とする。このような改質剤をそれぞれ特定量組み合わせて使用することにより、各重合体が互いに微細かつ均一に分散し、従来のプロピレン系樹脂組成物では実現し得なかった優れた耐衝撃性、引張伸び、ウェルド強度、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性のバランスを有する材料を得ることができる。
TREFによる成分(A1)および(A2)の溶出量及び溶出量積算を示す図である。 実施例の製造例1および2で使用した重合装置のフローシート図である。
本発明は、プロピレン系重合体(ア)を30〜98重量部、エチレン系重合体(イ)を1〜40重量部と、前記条件(i)〜(v)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)を1〜30重量部(ただし、(ア)、(イ)および(ウ)の合計は100重量部)を含有し、エチレン系重合体(イ)が、メタロセン触媒を用いて重合されたことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物である。
プロピレン重合体(ア)は、この重合体の特性を維持するために、少なくとも30重量部以上、98重量部以下の範囲にあることが必要である。一方、エチレン系重合体(イ)は、本発明の樹脂組成物に適切な耐衝撃性を付与するために、少なくとも1重量部以上40重量部以下の範囲にあることが必要である。
さらに、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)は、プロピレン系重合体(ア)とエチレン系共重合体(イ)との相溶性を改善する成分であり、その効果を発現するためには、少なくとも1重量部以上、30重量部以下の範囲にあることが必要である。
以下、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分、樹脂組成物の製造方法、成形品について詳細に説明する。
[1]プロピレン系重合体(ア)
本発明のプロピレン系樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体(ア)は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン系共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)であっても、あるいはこれらの混合物であってもよい。
ただし、優れた透明性を発現させるためには、プロピレン単独重合体、もしくは、エチレンおよびまたは炭素数4〜12のα−オレフィンとプロピレンとのランダム共重合体が好ましい。それらの中でも、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体のような二元又は三元共重合体が好ましく例示できる。
共重合体とする場合のコモノマー含有量は、7wt%以下が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。コモノマーが多すぎると融点が低下して耐熱性が大幅に低下したり、低結晶性成分が増加してベタツキ性能が悪化したり、生産性が大幅に悪化する可能性があるためである。
また、プロピレン系重合体(ア)においては、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.3〜200g/10分であることが好ましい。メルトフローレートが0.3g/10分を著しく下回ると、押出成形時の押出負荷が増大し、表面の平滑性が損なわれ、成形品の外観が悪化する恐れがある。逆に、200g/10分を著しく上回ると、エチレン系重合体(イ)やプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)との分散性が悪化して耐衝撃性や透明性が発現しにくくなる恐れがある。より好ましいメルトフローレートは、0.5〜100g/10分であり、さらには1〜50g/10分である。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(ア)を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載のもの等)が使用できる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(ア)を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、これらの重合法の1種または2種以上を組み合わせて多段重合を行って重合することもできる。さらには、2種以上のプロピレン系重合体を機械的に混合もしくは溶融混練することによっても製造することができる。
プロピレン系樹脂組成物中のプロピレン系重合体(ア)の量は、成分(ア)、成分(イ)および成分(ウ)の合計量100重量部に対して、30〜98重量部の範囲であることが必要であり、好ましくは50〜98重量部である。
プロピレン系重合体(ア)の含有量が少なすぎると、曲げ弾性率等の所望の機械物性等が得られない。一方で、98重量部より多くなると、耐衝撃性や引張伸び等が悪くなる。
[2]エチレン系重合体(イ)
本発明のプロピレン系樹脂組成物で用いられるエチレン系重合体(イ)は、高密度ポリエチレン(HDPE)であっても、低密度ポリエチレン(LDPE)であっても、超低密度ポリエチレン(VLDPE)であっても、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であっても、あるいはこれらの混合物であってもよい。また、各種のコモノマーとの共重合体であってもよい。共重合体の場合は、エチレンと、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンを共重合して得られる共重合体であって、α−オレフィンとしては、炭素数3〜20、のもの、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン等を好ましく例示できる。
これらのうち、優れた耐衝撃性を付与するためには、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのように、密度が低いものが好ましく、具体的には密度が0.93程度以下のものが耐衝撃性の改良の点で好ましく、より好ましくは0.86〜0.92である。
また、エチレン系重合体(イ)においては、JIS K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが、0.3〜50g/10分であることが好ましい。メルトフローレートが0.3g/10分を著しく下回ると、組成物中でプロピレン系重合体(ア)への相溶性が著しく低下し組成物の中で微細かつ均一に分散しづらくなるため、凝集による異物が発生し成形品の外観が損なわれたり、耐衝撃性や引張伸びなどの諸物性が発現しにくくなったりする恐れがある。逆に50g/10分を大きく上回ると、耐衝撃性の改良効果が低下する恐れがある。より好ましいメルトフローレートは、0.5〜30g/10分であり、さらには1〜20g/10分である。
本発明で用いられるエチレン系重合体(イ)を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、ラジカル開始剤、金属酸化物触媒、チーグラー触媒、あるいは、メタロセン触媒が使用できる。
エチレン共重合体(イ)を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、オートクレーブ重合法、チューブラー重合法、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法等が使用できる。また、これらの重合法の1種または2種以上を組み合わせて多段重合を行って重合することもできる。さらには、2種以上のエチレン系重合体を機械的に混合もしくは溶融混練することによっても製造することができる。
エチレン共重合体(イ)として、メタロセン触媒を用いた場合には、分子量および結晶性の分布が狭いため、低分子量かつ低結晶性の成分が組成物中の他の重合体との界面に存在して界面接着強度を低下させて引張伸びなどの諸物性を低下させる恐れが少ないため、より好ましい。
メタロセン触媒としては、エチレン−α−オレフィン共重合体等の重合に用いられる公知の各種触媒を用いることが出来る。具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35006号、特開平3−163088号の各公報などに記載されているメタロセン系触媒を例示できる。
メタロセン触媒による具体的な重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法などが挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。
なお、エチレン共重合体(イ)は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製商品名アフィニティー(AFFINITY)及びエンゲージ(ENGAGE)、日本ポリエチレン社製商品名カーネル(KERNEL)、エクソンモービル社製商品名エグザクト(EXACT)などが挙げられる。
プロピレン系樹脂組成物中のエチレン共重合体(イ)の量は、成分(ア)、成分(イ)および成分(ウ)の合計量100重量部に対して、1〜40重量部の範囲であることが必要であり、好ましくは3〜40重量部である。
エチレン共重合体(イ)の含有量が少なすぎると、耐衝撃性の改良効果が十分ではなく、40重量部より多くなると、剛性や耐熱性が低下する。
[3]プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)
本発明で用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)は、逐次重合により得られ、第1工程で、プロピレン単独又はエチレン含量が7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)を30〜95wt%、第2工程で、第1工程よりも3〜20wt%多いエチレン量を含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を70〜5wt%逐次重合することで得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体であり、以下に説明する条件(i)〜(v)を満たすものである。
なお、ここでいうプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)とは、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)(以下、成分(A)という。)と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)(以下、成分(B)という。)を逐次重合することより得られる、通称でのブロック共重合体であり、必ずしも成分(A)と成分(B)とが完全にブロック状に結合されたものでなくても良い。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)は、プロピレン系重合体(ア)ともエチレン系重合体(イ)とも容易に分散することを特徴とする成分であり、これにより、組成物全体を微細かつ均一な分散体とするためにきわめて重要な働きを有している。
(i)プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)の構成要素
・成分(A)中のエチレン含量:[E]A
第1工程で製造される成分(A)は、プロピレン系重合体(ア)への相溶化効果を発現させるための成分である。そのため、プロピレン系重合体(ア)に近い結晶性を有することが好ましい。プロピレン系重合体(ア)はコモノマー含有量が0〜7wt%のプロピレン単独重合体もしくはランダム共重合体であるため、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)中の成分(A)のエチレン含量[E]Aも0〜7wt%程度であることが好ましい。[E]Aが7wt%を超えると、プロピレン系共重合体(ア)との相溶性が悪化して分散化性能が悪化する上、プロピレン系共重合体(ア)の結晶性を低下させてしまい剛性や耐熱性をも著しく低下させてしまう懸念があるため好ましくない。
・成分(B)中のエチレン含量:[E]B
第2工程で製造される成分(B)は、エチレン系共重合体(イ)との相溶性を発現させるための成分である。エチレン系共重合体(イ)との相溶性を上げるためには、[E]Bが高くエチレン系共重合体(イ)に近いほど好ましいが、あまりに高すぎると、プロピレン−エチレンブロック共重合体中(ウ)の中で、成分(A)と成分(B)とが相分離してしまい、その結果、組成物全体の中で、プロピレン系重合体(ア)から成る相とエチレン系重合体(イ)からなる相とに分離してしまう。その結果、組成物全体が均一かつ微細な分散体とはならなくなってしまうため、機械物性、透明性などが大幅に低下するため好ましくない。
そのような課題に対応するため、成分(B)のエチレン含量の範囲は、成分(A)のエチレン含量との差[E]B−[E]A(以下、「[E]gap」ともいう。)によって規定される。[E]B−[E]Aは、3〜20wt%の範囲であることが必要であり、好ましくは6〜18wt%、更に好ましくは8〜16wt%である。
[E]gapが3wt%未満の場合、エチレン系重合体(イ)との相溶化効果が充分でなく好ましくない。また、20wt%を超えると第1工程で製造される成分(A)との相溶性が悪くなり、組成物全体が不均一な分散体となってしまう結果、耐衝撃性や引張伸びなどの機械物性が大幅に低下するとともに透明性も悪化するため好ましくない。
・成分(A)の割合:W(A)および成分(B)の割合:W(B)
プロピレン−エチレンブロック共重合体を構成する成分(A)の割合であるW(A)および成分(B)の割合であるW(B)の含有量比は、W(A)が30〜95wt%でありW(B)が70〜5wt%の範囲にある必要がある。
W(A)の割合が30wt%未満であると、プロピレン系樹脂(ア)との相溶性が悪化する。他方、W(A)の割合が95wt%を超えるとエチレン系樹脂(イ)との相溶性が不十分となる。いずれの場合においても、組成物全体が均一かつ微細な分散体とはならなくなってしまうため、諸物性が大幅に低下する。好ましくは、W(A)の割合が40〜80wt%、更に好ましくは50〜70wt%の範囲である。
・[E]Aと[E]B及び各成分量W(A)とW(B)の特定
成分(A)、(B)の各エチレン含量([E]A、[E]B)及び量(W(A)とW(B))は、製造時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析を用いることが望ましい。
・温度昇温溶離分別(TREF)による各成分量W(A)とW(B)の特定
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布をTREFにより評価する手法は、当該業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)は、成分(A)と(B)各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから、双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く判別することが可能である。
具体的な方法を、図1のTREFによる溶出量及び溶出量積算を示す図を用いて、説明する。
TREF溶出曲線(温度に対する溶出量のプロット)において、成分(A)と(B)は結晶性の違いにより各々溶出ピーク温度T(A)とT(B)にその溶出ピークを示し、その差は十分大きいため、中間の温度T(C)(={T(A)+T(B)}/2)において、ほぼ分離が可能である。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(B)の結晶性が非常に低いあるいは非晶性成分の場合には、本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある。この場合には、測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(B)の濃度は検出される。
このとき、T(B)は、測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することが出来ないため、このような場合にはT(B)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(C)までに溶出する成分の積算量をW(B)wt%、T(C)以上で溶出する部分の積算量をW(A)wt%と定義すると、W(B)は結晶性が低いあるいは非晶性の成分(B)の量とほとんど対応しており、T(C)以上で溶出する成分の積算量W(A)は結晶性が比較的高い成分(A)の量とほぼ対応している。TREFによって得られる溶出量曲線と、そこから求められる上記の各種の温度や量の算出の方法は、このように図1に例示されるように行う。
・TREF測定方法
本発明においては、TREFの測定は、具体的には以下のように測定を行う。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
・各成分中のエチレン含量[E]Aと[E]Bの特定
・・成分(A)と成分(B)の分離
先のTREF測定により求めたT(C)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(C)にける可溶成分(B)とT(C)における不溶成分(A)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecules、21 314〜319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いた。
・・分別条件
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(C)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(C)に保持したまま、T(C)のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(C)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次いで10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒(o−ジクロロベンゼン)を20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(C)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーをろ過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
・・13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A)と(B)それぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により、以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX−400または同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/mL
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数: 5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules,17 1950 (1984)等を参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は下表の通りである。表中Sαα等の記号は、Carmanら(Macromolecules,10 536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 0005509008
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、およびEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules,15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) (1)
[PPE]=k×I(Tβδ) (2)
[EPE]=k×I(Tδδ) (3)
[PEP]=k×I(Sββ) (4)
[PEE]=k×I(Sβδ) (5)
[EEE]=k×[I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4] (6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。従って、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1(7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明のプロピレンランダム共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/または1,3−結合)が含まれ、それにより、以下の微小なピークを生じる。
Figure 0005509008
正確なエチレン含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まないチーグラー触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここでXは、モル%表示でのエチレン含有量である。
また、プロピレン−エチレンブロック共重合体全体のエチレン含量[E]Wは、上記より測定された成分(A)と(B)それぞれのエチレン含量[E]Aと[E]B及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A)とW(B)wt%から以下の式により算出される。
[E]W={[E]A×W(A)+[E]B×W(B)/100 (wt%)
(ii)メルトフローレート(MFR)
本発明で使用されるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、更に好ましくは2〜35g/10分である。MFRが0.5g/10分未満では成形が困難になり、100g/10分を超えると耐衝撃性が期待できなくなる。
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン−エチレンブロック共重合体の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する水素添加量を制御したりすることにより、容易に調整を行なうことができる。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、加熱温度230℃、荷重2.16kgで測定する値である。
(iii)融解ピーク温度(Tm)
本発明で使用されるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)の示差走査熱量計(DSC)により測定された融解ピーク温度(Tm)は、110〜150℃の範囲である必要があり、120〜140℃であるのが好ましい。Tmが110℃未満の場合には、組成物が溶融状態から冷却固化する際の速度を遅らせ、成形性を悪化させる恐れがある。一方、150℃を超えると耐衝撃性の改良効果が小さくなる恐れがある。融解ピーク温度(Tm)を調整するには、重合反応系へ供給するエチレンの量を制御することにより容易に調整することができる。
ここで、Tmの具体的測定は、示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とする。
(iv)分子量分布(Mw/Mn)
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)のゲルパーミエーション(GPC)法により測定された分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4の範囲である必要があり、1.8以上3以下であることが好ましい。Mw/Mnが1.5未満のものは現在の重合技術では得難く、4を超えると製品(組成物)がべたつく恐れがある。プロピレン−エチレンブロック共重合体の分子量分布を調整する方法は、狭くするには、後述のメタロセン系触媒を用いたり、プロピレン−エチレンブロック共重合体を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練したりすることにより調整することができる。広くするには、2種以上のメタロセン触媒成分を併用させた触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合することにより調整することができる。
ここで、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)で求められ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定して得られるものとする。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000
各々が0.5mg/mlとなるようにo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2ml注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS : K=1.38×10−4 α=0.7
PP : K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:WATERS社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:
FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料はo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を用いて1mg/mlの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
(v)tanδ曲線のピークによる規定
本発明においては、相溶化によりプロピレン系樹脂組成物全体を均一かつ微細な分散体とすることが最大の課題である。そのためには、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)が、プロピレン系重合体(ア)、エチレン系重合体(イ)のそれぞれと相溶するとともに、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)を構成する成分(A)と成分(B)とが相分離していないことが極めて重要である。相分離の条件は、エチレン含量のみならず、分子量や組成によっても影響を受けるため、上記のエチレン含量に関する規定に加えて、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線のピークに関する規定が必要となる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体が相分離構造を取る場合には、成分(A)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(B)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。逆に相溶性である場合には、両成分は分子のオーダーで混合しており、両成分のガラス転移温度の中間的な温度に単一のピークを有する。すなわち、相分離構造を取っているかどうかは、固体粘弾性測定における温度−tanδ曲線において判別可能であり、透明性を維持するためには、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することが必要である。
固体粘弾性測定とは、具体的には、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。ここでは、周波数は1Hzを用い測定温度は−60℃から段階状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。また、歪みの大きさは0.1〜0.5%程度が推奨される。得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”を求め、これの比で定義される損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)を温度に対してプロットすると、0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。一般に0℃以下でのtanδ曲線のピークは、非晶部のガラス転移を観測するものであり、本発明においては、本ピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)として定義する。
(4)プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法
・メタロセン系触媒
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)を製造する方法は、メタロセン系触媒の使用を必須とするものである。
プロピレン−エチレンランダム共重合体(ウ)において、分子量および結晶性の分布が広いと、プロピレン系重合体(ア)、エチレン系重合体(イ)と混合された際、これらの重合体との界面に不適切な成分が存在する結果相溶化効果が阻害されてしまう可能性がある。このような現象を防止するため、本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)においては、分子量および結晶性分布が狭くなるメタロセン系触媒を用いて重合されることが必要である。
メタロセン系触媒の種類は、本発明の性能を有する共重合体を生成できる限りは、特に限定はされるものではないが、本発明の要件を満たすために、例えば、下記に示すような成分(a)、(b)、及び必要に応じて使用する成分(c)からなるメタロセン系触媒を用いることが好ましい。
成分(a):下記の一般式で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物
成分(b):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分
(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体、
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)固体酸微粒子
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(c):有機アルミニウム化合物
・・成分(a)
成分(a)としては、下記一般式で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C−aR)(C−bR)MeXY
[ここで、Qは2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を示し、Meはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、XおよびYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示し、XおよびYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。R、Rは水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基を示す。a及びbは置換基の数である。]
詳しくは、Qは2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、例えば、2価の炭化水素基、シリレン基ないしオリゴシリレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基あるいはオリゴシリレン基、又は炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などが例示される。この中でも好ましいものは2価の炭化水素基と炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。
とRは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したRとRは、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
以上において記載した成分(a)の中で、本発明に用いられるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(ウ)の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基あるいはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物であり、特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、あるいはゲルミレン基で架橋された2,4−位置換インデニル基、2,4−位置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。
非限定的な具体例としては、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−イソプロピル−4−(3,5−ジイソプロピルフェニル)インデニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−プロピル−4−フェナントリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロビフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も好適な化合物として例示される。なお、触媒成分は本発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本発明の有効範囲が制限されることが無いのは自明のことである。
・・成分(b)
成分(b)としては、上述した成分(b−1)〜成分(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
また、成分(b)の非限定的な具体例としては、成分(b−1)として、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−2)として、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−3)として、アルミナ、シリカアルミナ、塩化マグネシウムなどを、成分(b−4)として、モンモリロナイト、ザコウナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などが挙げられる。これらは、混合層を形成しているものでもよい。
上記成分(B)の中で特に好ましいものは、成分(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
・・成分(c)
必要に応じて成分(c)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、
一般式 AlR3−a
(式中、Rは、炭素数1から20の炭化水素基、Pは水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
・触媒の形成
成分(a)と成分(b)および必要に応じて成分(c)を接触させて触媒とする。その接触方法は特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
1)成分(a)と成分(b)を接触させる
2)成分(a)と成分(b)を接触させた後に成分(c)を添加する
3)成分(a)と成分(c)を接触させた後に成分(b)を添加する
4)成分(b)と成分(c)を接触させた後に成分(a)を添加する
その他、三成分を同時に接触させてもよい。
本発明で使用する成分(a)と(b)及び(c)の使用量は任意である。例えば、成分(b)に対する成分(a)の使用量は、成分(b)1gに対して、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。成分(b)に対する成分(c)の使用量は、成分(b)1gに対し、好ましくは遷移金属の量が0.001〜100μmol、特に好ましくは0.005〜50μmolの範囲である。したがって、成分(a)に対する成分(c)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは10−5〜50、特に好ましくは10−4〜5の範囲内である。
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)で使用される触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。
使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合温度と時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(B)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行うことも可能である。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
・重合方法
・・逐次重合
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)を製造実施するに際しては、成分(A)と成分(B)とを逐次重合することが必要である。逐次重合により、エチレン含量が互いに異なる成分(A)と成分(B)とが分子レベルで微分散する。このようにして得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)を用いることにより、プロピレン系重合体(ア)とエチレン系重合体(イ)とが非常に均一かつ微細に分散したプロピレン系共重合体を得ることができる。これは成分(A)と成分(B)とを個別に重合した後に溶融混練したのでは得られない効果である。
なお、本発明では、成分(B)として分子量が低く単独ではべたつきやすい共重合体を用いる場合があるので、反応器への付着等の問題を防止するために、成分(A)を重合した後で成分(B)を重合する方法を用いることが必要である。
逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。
バッチ法の場合には時間と共に重合条件を変化させることにより単一の反応器を用いて成分(A)と成分(B)を個別に重合することが可能である。本発明の効果を阻害しない限り、複数の反応器を並列に接続して用いても良い。
連続法の場合には、成分(A)と成分(B)を個別に重合する必要から2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、本発明の効果を阻害しない限り成分(A)と成分(B)のそれぞれについて複数の反応器を直列及び/又は並列に接続して用いても良い。
・・重合プロセス
重合プロセスは、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法を用いることができる。バルク法と気相法の中間的な条件として超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく気相法に含める。
成分(B)は炭化水素等の有機溶媒や液化プロピレンに溶けやすいため、成分(B)の製造に際しては気相法を用いることが望ましい。成分(A)の製造は、どのプロセスを用いても特に問題はないが、比較的結晶性の低い成分(A)を製造する場合には、付着等の問題を避けるために気相法を用いることが望ましい。
従って、連続法を用いて、まず成分(A)をバルク法もしくは気相法にて重合し、引き続き成分(B)を気相法にて重合することが最も望ましい。
・・その他の重合条件
重合温度は通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。
重合圧力は選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際、窒素などの不活性ガスを共存させてもよい。
第1工程で成分(A)、第2工程で成分(B)の逐次重合を行う場合、第2工程にて系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する場合には、第2工程のエチレン−プロピレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については各種技術検討がなされており、一例として特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などを例示することができる。本発明にも当該手法を適用することが望ましい。
(5)プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)の構成要素の制御方法
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)の各要素は、以下のように制御され、本発明の共重合体に必要とされる構成要件を満たすよう製造することができる。
・成分(A)
成分(A)については、エチレン含量[E]Aと溶出ピーク温度T(A)を制御する必要がある。
本発明では、[E]Aを所定の範囲に制御するためには、第1工程における重合槽に供給するプロピレンとエチレンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量の関係は、用いるメタロセン触媒の種類によって異なるが、供給比率の調整により必要とするエチレン含量[E]Aを有する成分(A)を製造することができる。
例えば、[E]Aを7wt%未満に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.3以下の範囲、好ましくは0.2以下の範囲とすればよい。
このとき、成分(A)は結晶性分布が狭く、T(A)は[E]Aの増加に伴い低下する。
そこで、T(A)が本発明の範囲を満たすようにするためには、[E]Aとこれらの関係を把握し、目標とする範囲を取るよう調整する。
・成分(B)
成分(B)については、エチレン含量[E]Bと溶出ピーク温度T(B)を制御する必要がある。
本発明では、[E]Bを所定の範囲に制御するためには、[E]Aと同様に、第2工程におけるプロピレンに対するエチレンの供給量比を制御すればよい。例えば、[E]Bを3〜27wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.005〜6の範囲、好ましくは0.01〜3の範囲とすればよい。
このとき、成分(B)もエチレン含量の増加に伴い若干結晶性分布の増加が見られるものの、成分(A)と同様に、T(B)は[E]Bの増加に伴い低下する。
そこで、T(B)が本発明の範囲を満たすようにするためには、[E]BとT(B)との関係を把握し、[E]Bを所定の範囲になるように制御すればよい。
・W(A)とW(B)
成分(A)の量W(A)と成分(B)の量W(B)は、成分(A)を製造する第1工程の製造量と成分(B)の製造量の比を変化させることにより制御することができる。例えば、W(A)を増やしてW(B)を減らすためには、第1工程の製造量を維持したまま第2工程の製造量を減らせばよく、それは、第2工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより容易に制御することができる。その逆もまた同様である。
実際に条件を設定する際には、活性減衰を考慮する必要がある。すなわち、本発明にて実施するエチレン含有量[E]A及び[E]Bの範囲においては、一般にエチレン含有量を高くするためにプロピレンに対するエチレン供給量比を高くすると重合活性が高くなり、同時に活性減衰が大きくなる傾向にある。したがって、第2工程の活性を維持するために第1工程の重合活性を抑制する必要があり、具体的には、第1工程にてエチレン含有量[E]Aを下げ、生産量W(A)を下げ、必要に応じて、重合温度を下げる及び/又は重合時間(滞留時間)を短くする、あるいは第2工程にてエチレン含有量[E]Bを上げ、生産量W(B)を上げ、必要に応じて、重合温度を上げる及び/又は重合時間(滞留時間)を長くするような方法で条件を設定すればよい。
・tanδ曲線の単一ピーク
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)は、固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において求められるtanδ曲線がピークを示す温度であるガラス転移温度Tgが、0℃以下で単一のピークを持つ必要がある。Tgが単一のピークを持つためには、成分(A)中のエチレン含有量[E]Aと成分(B)中のエチレン含有量[E]Bの差の[E]gap(=[E]B−[E]A)を20wt%以下、好ましくは16wt%以下にし、実際の測定においてTgが単一のピークとなる範囲まで[E]gapを小さくすればよい。
成分(A)中のエチレン含有量[E]Aに応じて、成分(B)中のエチレン含量[E]Bを適正範囲に入るよう、成分(B)の重合時のプロピレンに対するエチレンの供給重量比を設定することで、所定の[E]gapを有するプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)を得ることができる。
また、本発明に用いられるような相分離構造を取らないプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)のTgは、成分(A)中のエチレン含有量[E]Aと成分(B)中のエチレン含有量[E]B、及び両成分の量比の影響を受ける。本発明においては、成分(B)の量は5〜70wt%であるが、この範囲においてTgは成分(B)中のエチレン含有量[E]Bの影響をより強く受ける。
すなわち、Tgは非晶部のガラス転移を反映するものであるが、本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)において、成分(A)は結晶性を持ち比較的非晶部が少ないのに対し、成分(B)は低結晶性あるいは非晶性であり、そのほとんどが非晶部であるためである。したがって、Tgの値は、ほぼ[E]Bによって制御され、[E]Bの制御法は前述したとおりである。
(6)プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)の含有量
プロピレン系樹脂組成物中のプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)の量は、前記成分(ア)、成分(イ)および成分(ウ)の合計量100重量部に対して、1〜30重量部の範囲であることが必要であり、好ましくは3〜30重量部である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)の含有量が少なすぎると、相溶化効果が小さくなるため耐衝撃性や引張伸びの改善効果が低下し、40重量部より多くなると、剛性、耐熱性等が悪くなる。
(7)添加剤
本発明においては、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、造核剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
造核剤の具体例としては、公知の造核剤が使用できる。例えばソルビトール系核剤、オクタノール系核剤、アミド系造核剤、有機リン酸塩系核剤および芳香族リン酸エステル類、タルクなど既知の造核剤を使用する事ができる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:協和化学工業(株)の下記一般式(1)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(下記一般式(2)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO ・・・・(1)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO ・・・・(2)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
滑剤の具体例としては、既知の滑剤が挙げられるが、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、下記式(3)や下記一般式(4)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、下記一般式(5)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
Figure 0005509008
Figure 0005509008
[式中のRとRは、炭素数14〜22のアルキル基]
Figure 0005509008
さらに、その他に、帯電防止剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、アンチブロッキング剤、有機過酸化物等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明のプロピレン系重合体(ア)と、エチレン系重合体(イ)と、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)からなるプロピレン系樹脂組成物は、この組成物の特性を最大限維持しながら、他の特性または機能を付与する為に、それ以外の重合体、共重合体、エラストマーを任意にブレンドすることができる。具体的には、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマー、エチレン−ブテン共重合体エラストマー、エチレン−ヘキセン共重合体エラストマー、エチレン−オクテン共重合体エラストマー、プロピレン−エチレン共重合体エラストマーまたはプラストマー、スチレン系ゴム、天然ゴム、ジエン系ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、多糖類、天然樹脂などの、各種樹脂、エラストマー、またはプラストマーを該プロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、1〜30重量部程度任意にブレンドすることが可能である。
同様に、フィラーとして、アルミナ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、石膏、タルク、マイカ、カオリン、クレー、酸化チタン、アルミナのような各種無機質フィラーを1〜30重量部、好ましくは、1〜10重量部を任意に添加することもできる。
(8)プロピレン樹脂組成物の製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(ア)と、エチレン系重合体(イ)と、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)、および必要に応じて用いる他の添加剤等とを、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合(ドライブレンド)することにより得ることができる。あるいは、ドライブレンドされた後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で180〜280℃程度の温度範囲でさらに溶融混練(メルトブレンド)することにより得ることもできる。さらには、プロピレン系重合体(ア)、エチレン系重合体(イ)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)のそれぞれに対して必要な添加剤等を加えてドライブレンドとメルトブレンドとを個別に行った後、各重合体をドライブレンドすることにより得ることもできる。
(9)成形品
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形機、押出成形機、フィルム成形機、ブロー成形機、繊維成形機等各種の成形機により成形することにより得られるものである。特に、耐衝撃性が必要であり、同時に、引張伸び、ウェルド強度、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性が求められる用途に好適である。
具体的には、食品容器(プリン容器、ゼリー容器、ヨーグルト容器、その他のデザート容器、惣菜容器、茶碗蒸し容器、インスタントラーメン容器、米飯容器、レトルト容器、弁当容器等)、飲料容器(飲料ボトル、チルドコーヒー容器、ワンハンドカップ容器、その他の飲料容器等)、キャップ(ペットボトルキャップ、1ピースキャップ、2ピースキャップ、インスタントコーヒーのキャップ、調味料キャップ、化粧品容器キャップ等)、医薬品容器(輸液バッグ、血液バッグ、プレフィルドシリンジ、キット製剤、目薬容器、薬液容器、薬剤容器、液体の長期保存容器、プレススルーパッケージ、ストリップパッケージ、分包、プラスチックバイアル等)、その他各種容器(インク容器、化粧品容器、シャンプー容器、洗剤容器等)、医療用器具(ディスポーザブルシリンジおよびその部品、カテーテル・チューブ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、試験管、検査キット、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース等)、日用品(衣装ケース、バケツ、洗面器、バス・トイレタリー用品、筆記用具、文房具、コンテナ、玩具、調理器具、その他各種ケース等)、自動車部品(インパネ、バンパー、灯体等)、電気・電子部品(各種電気機器の部材・筐体、半導体搬送容器、光学部品、各種情報メディアケース、太陽電池封止材等)、建材、産業資材品、フィルム、繊維、シート、などが好ましく挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例において、用いた物性測定は以下の方法で行い、プロピレン系重合体(ア)、エチレン系重合体(イ)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)、および他の添加剤としては以下のものを使用した。
[1.測定法]
(1)TREF
TREF測定方法は前述した通りであり、装置と条件は以下の通りである。
<装置>
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー社製デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル
光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
<測定条件>
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
(2)試験片の作成
東芝機械製EC−100射出成形機により、成形温度220℃、金型温度40℃において、JISファミリー金型を用いて、各種試験片を成形した。
(3)固体粘弾性測定
射出成形により得られた成形シートから10mm×18mm×2mmtの短冊状に切り出したものを試験片として用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
(4)各成分量の算出
TREFを用いて、前述した方法によって算出した。
(5)エチレン含有量の算出
13C−NMRにより組成を検定したエチレン・プロピレンランダムコポリマーを基準物質として733cm−1の特性吸収体を用いる赤外分光法により、ランダムコポリマー中のエチレン含量を測定した。試験片は、ペレットをプレス成形により約500ミクロンの厚さのフィルムとしたものを用いた。
(6)tanδ曲線のピーク
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
<試験片の作成条件>
規格番号:JIS−K7152(ISO294−1)
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm
保持圧力:800kgf/cm
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
(7)MFR:JIS K7210に準拠して温度230℃、荷重21.2Nにて測定した。ただし、ポリエチレン系重合体に関しては測定温度を190℃とした。
(8)融解ピーク温度:DSC試験機としてセイコーインスツルメント社製RDC220Uを用い、サンプル5.0mgを採り、200℃で5分間保持後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度を測定した。
(9)分子量分布:前述の方法で測定した。
(10)密度:JIS K7112−1980「プラスチックの密度と比重の測定方法」に準拠して、密度勾配管法にて測定した。
(11)曲げ弾性率:JIS K7203−1982「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に準拠して23℃で測定した。この値はプラスチックの固さもしくは柔軟性の指標である。
(12)アイゾット(IZOD)衝撃強度:JIS K7110−1984「硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法」に準拠して、ノッチ付き試験片を用いて23℃で測定した。この値が高いほど、衝撃を付与した際の強度が強く、割れにくいことを示す。
(13)引張特性:JIS K7113−1981「プラスチックの引張試験方法」に準拠して、厚さ2mmのシートから打ち抜いた2号試験片を用いて23℃、引張速度50mm/分で測定した。一般には引張伸びが大きいほど変形を受けても破壊しづらいことを示す。
(14)ウェルド強度:2方向のゲートから樹脂が流入し、試験片の中央で双方からの樹脂が突き合わさる形状の金型を用いて成形された引張試験片を用いて、前述の方法で引張試験を行った。この試験片を用いた際の引張伸びが、通常の引張伸びよりも著しく小さくなる場合には、突き合わせ部(ウェルド部)での強度が低下していることを示す。
(15)ロックウェル硬さ:JIS K7202−1982「プラスチックのロックウェル硬さ試験法」に準拠して、Rスケールを用いて、23℃で測定した。この値が高いほど成形品の表面が硬く、傷が付きにくいことを示す。
(16)耐傷付き性:
引掻試験機(HEIDON社 トライボギアTYPE18L)に先端部半径150μmで円錐型のサファイア製の引掻針を装着して異なる荷重をかけた状態で、厚さ2mmの平板状の試験片を積載した移動台を一定の速度(600mm/分)で移動することにより、試験片表面に接触した引き掻き針を直線状に滑らせ、試験片表面に引掻き傷をつけた。その後、共焦点レーザー顕微鏡(キーエンス社 V9700)を用いて試験片の観察を行い、試験片にうろこ状の痕跡が観察され始める最小の荷重を傷が付き始める荷重として記録した。この値が大きいほど強い圧力を受けても傷が付きにくいことを示す。
(17)耐白化性:厚さ2mmの試験片にデュポン式衝撃落下試験機を用いて、30cmの高さから異なる重さの荷重を落下させた。その際、試験片が破壊もしくは白化する最小の重さの荷重を記録し、耐白化性の指標とした。この値が大きいほど強い衝撃を受けても白化しづらいことを示す。
(18)光沢:JIS K7105−1981「プラスチックの光学的特性試験法」に準拠して、厚さ2mmの試験片を用いて、入射角、反射角とも60°にて光沢度を測定した。この値が大きいほど成形品に光沢感があり、意匠性に優れていることを示す。
(19)ヘイズ:JIS K7105−1981「プラスチックの光学的特性試験法」に準拠して、厚さ2mmの試験片を用いて、ヘイズ(曇価)を測定した。この値が小さいほど成形品が透明であり、意匠性に優れていることを示す。
[2.使用材料]
(1)プロピレン系重合体(ア)
・プロピレン−エチレンランダム共重合体(以下「RPP1」という。):
日本ポリプロ社製商品名「ノバテックMG03BQ」 チーグラー・ナッタ触媒による
MFR:30g/10分、エチレン含量=2.3wt%
(2)エチレン系重合体(イ)
・エチレン−ヘキセン共重合体(以下「PE1」という。):
日本ポリエチレン社製商品名「カーネルKS571」 メタロセン触媒による
MFR(190℃)12、密度0.907
・エチレン−ヘキセン共重合体(以下「PE2」という。):
日本ポリエチレン社製商品名「カーネルKS340T」 メタロセン触媒による
MFR(190℃)3.5、密度0.880
(3)プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)
下記の製造例1および製造例2により、本発明の要件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−1)および(PP−2)を得た。また、下記の製造例3により、プロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−3)を得た。PP−3は、本発明の要件を満たさないものである。
(製造例1:PP−1の製造)
・触媒の製造
珪酸塩の化学処理:
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=50μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。
触媒の調製:
内容積3リットルの撹拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で撹拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0lに調製した。次に、調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。並行して、〔(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕(特開平10−226712号公報実施例に従って合成した。)2180mg(3mmol)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間撹拌した。
予備重合:
続いて、窒素で十分置換を行った内容積10リットルの撹拌式オートクレーブに、ノルマルヘプタン2.1リットルを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄み約3リットルをデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5.6リットル添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5.6リットル除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23ミリモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液17.0ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが2.1gを含む予備重合触媒が得られた。
・重合
(i)第1重合工程
図2に示すフローシートの重合装置を用いた。
攪拌羽根を有する横型重合器1(L/D=3.7、内容積100L)に、あらかじめ35kgのシーズポリマーを導入後、窒素ガスを3時間流通させた。その後、プロピレン、エチレンおよび水素を導入しながら65℃まで昇温した。反応器の圧力を2.2MPaGとし、ガス中のエチレン/プロピレン(モル比)=0.06、水素/プロピレン(モル比)=0.0002となるように条件調整をした後、上記予備重合触媒を0.9g/hr(予備重合されたポリマーも含んだ量)、有機アルミ化合物としてトリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr一定となるように供給した。反応温度65℃、反応圧力2.2MPaG、上記のエチレン/プロピレン、水素/プロピレンの条件を維持するようにして、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の製造を実施した。
反応熱は、配管3から供給される原料プロピレンの気化熱により除去した。重合器から排出される未反応ガスは、配管4を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器1に還流した。本重合で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)は、重合体の保有レベルが反応容積の65容積%となるように、配管5を通して重合器1から間欠的に抜き出し、第2重合工程の重合器10に供給した。このとき、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の生産量は7kg/hrであった。配管5からプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の一部を抜き出して分析用サンプルとした。
(ii)第2重合工程
攪拌羽根を有する横型重合器10(L/D=3.7、内容積100L)に、第1重合工程からのプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)を間欠的に供給し、プロピレンとエチレンの共重合を行った。反応条件は攪拌速度18rpm、反応温度70℃、反応圧力2.1MPaGであり、ガスのエチレン/プロピレン(モル比)=0.43、水素/プロピレン+エチレン(モル比)=0.0003となるように調整した。プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)の重合量を調整するための重合活性抑制剤として酸素ガスを配管7より供給した。
反応熱は配管6から供給される原料プロピレンの気化熱により除去した。重合器から排出される未反応ガスは、配管8を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器10に還流した。第2重号工程で生成されたプロピレン系ブロック共重合体(PP−1)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容積%となるように、配管9を通して重合器10から間欠的に抜き出した。
(iii)プロピレン系ブロック共重合体(PP−1)の分析結果
上記で得られたプロピレン系ブロック共重合体(PP−1)のMFRは6g/10分、融解ピーク温度Tmは133℃、成分(A)の含有量は56wt%、成分(B)の含有量は44重量%、成分(A)のMFRは6g/10分、エチレン含量は1.8重量%、成分(B)中のエチレン含有量は11重量%であった。製造条件およびPP−1の物性等を表3に示す。
(製造例2:PP−2の製造)
製造例1において、第1重合工程における水素/プロピレン(モル比)を0.0005、予備重合触媒のフィード量を0.6g/hr、第2重合工程におけるエチレン/プロピレン(モル比)を0.4とした以外は、製造例1と同様にして、プロピレン系ブロック共重合体(PP−2)を製造した。
上記で得られたプロピレン系ブロック共重合体(PP−2)のMFRは20g/10分、成分(A)の含有量は56wt%、成分(B)の含有量は44重量%、Tmは133℃、成分(A)のMFRは42g/10分、エチレン含量は1.8重量%、成分(B)中のエチレン含有量は10重量%であった。製造条件およびPP−2の物性等を表3に示す。
(製造例3:PP−3の製造)
製造例1において、第1重合工程における水素/プロピレン(モル比)を0.0005、予備重合触媒のフィード量を0.6g/hr、第2重合工程におけるエチレン/プロピレン(モル比)を0.85とした以外は、製造例1と同様にして、プロピレン系ブロック共重合体(PP−3)を製造した。
上記で得られたプロピレン系ブロック共重合体(PP−3)のMFRは20g/10分、成分(A)の含有量は56wt%、Tmは133℃、成分(B)の含有量は44重量%、成分(A)のMFRは42g/10分、エチレン含量は1.8重量%、成分(B)中のエチレン含有量は20重量%であった。また、固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に2つのピークを有するものであった。製造条件およびPP−3の物性等を表3に示す。
Figure 0005509008
(3)造核剤
・有機リン酸金属塩化合物系造核剤
ADEKA製商品名「アデカスタブNA−21」(以下「NA1」と表記する。)
(4)中和剤
・ステアリン酸カルシウム(以下「CaSt」と表記する。)
(5)酸化防止剤
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:
テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン
BASF社製商品名「イルガノックス1010」(「以下「IR1010」と表記。)
・リン系酸化防止剤:
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェル)フォスファイト
BASF社製商品名「イルガフォス168」(以下「IF168」と表記。)
(実施例1〜4、比較例1〜5)
上記した各成分を、表4に記載の配合割合(全て重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度230℃でダイから押し出しペレット化した。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度20℃、射出圧力600kg/cm及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成した。得られた試験片を用い、物性を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0005509008
表4より明らかなように、実施例1および2は、プロピレン系重合体(ア)、エチレン系重合体(イ)に、本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)2種類を各10重量部配合したものである。プロピレン系重合体(ア)のみの比較例1に比べ、透明性を保持しつつ耐衝撃性が向上し、物性バランスの優れたものが得られる事が判る。
また、比較例2は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)を用いずに、プロピレン系重合体(ア)とエチレン系重合体(イ)の2種のみを配合したものであるが、この系と比べると、実施例1、2は、耐衝撃性はほぼ同等であるものの、引張破壊伸びが良好である上、ウェルドありの試験片でも引張破壊伸びの低下が見られないことがわかる。さらに、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性の点でも大きく優れており、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)により、組成物全体が微細かつ均一な分散体となっていることにより、物性バランスが大幅に改良されていることがわかる。
比較例3は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)の代わりに、本特許の要件を満たさないプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−3)を使用したものであるが、引張伸び、ウェルド強度、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性の改良効果が、実施例1、2に比べて劣ることがわかる。
実施例3、4、および比較例4、5は、実施例1、2および比較例2の系におけるエチレン系重合体(イ)の種類を変えたものである。ここで用いたエチレン系重合体(イ)は、MFRが低いため、プロピレン系重合体(ア)に対する分散性はさらに悪化している。その結果、比較例4,5では、比較例2,3に比べて引張伸び、ウェルド強度、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性がさらに低下しているが、実施例3、4では、これらの全項目においてかなりの改善が見られることがわかる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物及びその成形品は、耐衝撃性に優れたもので、公知の成形方法によって、容易に耐衝撃性が必要であり、同時に、引張伸び、ウェルド強度、表面硬度、耐傷付き性、耐白化性、光沢、透明性にも優れた成形品を提供することができる。また、本発明のプロピレン系樹脂組成物及びその成形品は、その優れた物性バランスにより、食品容器、キャップ、医療用器具、医療用容器、包装用フィルム、文具向けシート、衣装ケース、日用品、自動車部品、電気部品等の用途に極めて有用である。

Claims (3)

  1. プロピレン系重合体(ア)30〜98重量部、エチレン系重合体(イ)1〜40重量部および下記(i)〜(v)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(ウ)1〜30重量部(ただし、(ア)、(イ)および(ウ)の合計は100重量部である。)を含有し、エチレン系重合体(イ)が、メタロセン触媒を用いて重合されたことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    (i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量が7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)を30〜95wt%、第2工程で成分(A)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を70〜5wt%逐次重合したものであること
    (ii)メルトフローレート(MFR:230℃ 2.16kg)が、0.5〜100g/10分の範囲にあること
    (iii)DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が、110〜150℃の範囲にあること
    (iv)GPC法により測定された分子量分布(Mw/Mn)が、1.5〜4の範囲にあること
    (v)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有すること
  2. プロピレン系共重合体(ア)が、プロピレン単独重合体もしくは、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンの含有量が0〜7wt%であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いた成形品。
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