上記特許文献1には、窒化珪素系セラミックスを相互に接合するために、珪素(Si)とカルシウム(Ca)またはマグネシウム(Mg)とを含む合金を用いることが記載されている。この合金において、CaおよびMgは融点を低下させる役割を果たしていると考えられる。また、上記特許文献2には、同一組成のセラミック焼結体を相互に接合するために、そのセラミック焼結体の構成成分である金属或いはその合金を用いることが記載されている。これらの接合方法によれば、突き合わせた界面を加圧しつつ加熱して拡散接合する方法や、熱膨張差を利用する嵌め合わせ方法に比較して、複雑な形状であっても接合が容易で、しかも、接合面の精密加工が無用な利点がある。セラミック焼結体相互の隙間に溶融した金属や合金が入り込むことから、接合面の平滑性は要求されないのである。
しかしながら、特許文献1に記載された接合方法では、耐熱性が未だ十分では無かった。珪素系セラミックスの耐熱性を有効に利用するためには、接合部に少なくとも1000(℃)以上の耐熱性が求められるのである。一方、特許文献2に記載された接合方法では、接合部に介在させた金属を接合されるセラミック焼結体と同質化することにより高温強度および耐熱性が高められているが、これに具体的に記載されているのは、窒化アルミニウムおよび酸化アルミニウムのみであり、珪素系セラミックスを接合するために如何なる金属或いは合金を用いるかについては何ら明らかにされていなかった。上記特許文献2には、例えば、アルミナ・セラミックスや窒化アルミニウム・セラミックスを接合する場合にはアルミニウム(Al)を用いることが窒化珪素セラミックスを接合する場合には珪素(Si)を用いることが記載されている。ところが、融点が660(℃)と低いAlが用いられる場合には、接合が容易であると共に同質化処理によって高温強度や耐熱性を高める効果が認められるのに対し、Siは融点が1430(℃)と極めて高いことから接合が困難であった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、珪素系セラミックスを高い耐熱性を以て相互に接合できる接合材料、および高い耐熱性を有する珪素系セラミック接合体、並びにその接合体の製造方法を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の接合材料の要旨とするところは、珪素系セラミックスを相互に接続するために用いられる接合材料であって、Siを50(重量%)以上含み、残部が実質的にAlで構成されたことにある。
また、第2発明の接合体の要旨とするところは、珪素系セラミックスから成る2以上の部材が前記第1発明の接合材料で相互に接合されたことにある。
また、第3発明の製造方法の要旨とするところは、珪素系セラミックスから成る2以上の部材の接合部に前記請求項1に記載された接合材料を配し、100(Pa)以下の真空下においてその接合材料の融点よりも高温で加熱してその接合材料を溶融させることにより前記2以上の部材を一体化させることにある。
前記第1、第2発明によれば、Siは珪素系セラミックスの主構成元素であることから、第1発明の接合材料を用いて珪素系セラミックスを相互に接合するに際して、その相互間やその近傍にその接合材料を配置して加熱すると、珪素系セラミックスのとSiとの相互拡散によって、それら珪素系セラミックスおよび接合材料が一体化する。また、Alは珪素系セラミックスの焼結助剤として用いられるものであることから、上記のように接合するに際して、Siと同様に相互拡散が行われるので、珪素系セラミックスと接合材料との一体化が一層促進される。しかも、Siは融点が高いことから、単独で接合材料として用いることは困難であるが、それよりも低融点であってSiと共晶(共融混合物とも言う)を作るAlと共に用いると、接合材料の融点がその混合割合に応じて低下する。この結果、珪素系セラミックス相互が気密に接合されて一体化する。このとき、Alの混合割合が多くなるほど接合材料の融点は低下するが、Siの割合を接合材料全量のうちの50(重量%)以上に保てば、その融点を1000(℃)以上とすることができる。以上により、珪素系セラミックスを高い耐熱性を以て接合できる接合材料、および高い耐熱性を有する珪素系セラミック接合体が得られる。
また、第3発明の製造方法によれば、100(Pa)以下の真空中において前記接合材料の融点よりも高温で加熱してろう付け処理を施すので、接合材料中のSiおよびAlの酸化が好適に抑制され、延いては接合材料が好適に溶融させられる(すなわち、溶融不良が抑制される)。そのため、上述した接合作用が好適に発揮され、強固且つ気密に接合された珪素系セラミック接合体が得られる。すなわち、接合材料を十分に溶融させて珪素系セラミックスを相互に一体化させるためには、その接合材料の融点よりも高温で加熱する必要があるが、SiおよびAlは酸化し易いことから、加熱雰囲気中の真空度が低いと溶けにくくなる。上記のような真空下で処理すれば、酸素が十分に減じられていることから、これらの酸化が好適に抑制されるのである。
なお、本願において、「珪素系セラミックス」とは、珪素を主要な構成成分とするセラミックスであり、例えば、窒化珪素(Si3N4)、サイアロン(SiAlON)、炭化珪素(SiC)が挙げられる。接合される珪素系セラミックスは、相互の熱膨張係数の差異が小さいことが望ましく、同材質で構成されることが好ましい。
また、「実質的にAlで構成された」とは、Siの他は殆どがAlであるが、その他に微量の他の元素や不可避不純物を、Alによる焼結性向上作用を阻害しない範囲で含むことを許容する意味である。
因みに、前記特許文献2に記載されるSiにCaまたはMgを混合した接合材料に比較して気密性や一体性が高められる理由は、以下のように考えられる。すなわち、例えば珪素系セラミックスの一つである窒化珪素を接合する場合を考えると、接合界面に生成される金属窒化物の標準生成自由エネルギΔG°は、下記の表1に示される通りである(例えば、「ナイトライドセラミックス」(一ノ瀬昇・桑原秀行編著、日刊工業新聞社、1998年9月発行)等を参照。)。このΔG°が小さいほど窒素の解離分圧が小さくなるので熱力学的安定性が高くなるが、表1に示されるように、その値は、Ca3N2およびMg3N2がSi3N4と同程度であるのに対し、AlNはこれらに比較して著しく小さい。このため、窒化珪素を構成する窒素(N)のAl側すなわち接合材料側への拡散が生じ易くなるので、CaやMgを含む接合材料が用いられる場合に比較して、反応性に富み、一体化し易くなるものと考えられる。他の珪素系セラミックスにおいても、事情は同様である。
ここで、好適には、前記接合材料は、Siを60(重量%)以上の割合で含むものである。このようにすれば、融点が1100(℃)以上の接合材料が得られるため、この接合材料を用いることにより、例えば800(℃)以上の高温で使用可能な珪素系セラミック接合体を得ることができる。SiにAlを混合すると、その混合割合に応じて接合材料の融点が緩やかに変化するため、所望とする使用温度に応じて、それよりも十分に高い融点となるように混合割合を定めればよいのである。なお、金属材料は、一般に、その融点よりも遙かに低い温度で軟化し始める。そのため、接合材料の融点は、使用温度よりも少なくとも200(℃)以上、望ましくは300(℃)以上高い温度にする必要がある。例えば、Siを50(重量%)以上含む1000(℃)以上の融点を有する接合材料は、600(℃)以上の温度で使用される珪素系セラミック接合体の接合に用いることができる。
また、使用温度がそれほど高くない場合であっても、耐熱性を高めることにより、接合後の高温熱処理工程の効率を高め得る。例えば、ガス分離モジュール等に用いられる複数本の多孔質フィルタが緻密質の支持体で束ねられた構造体を製造するに際しては、ガスを分離するための多孔質フィルタを製造する1600(℃)以下で熱処理が施される工程と、緻密質支持体を製造する1400(℃)以上で熱処理が施される工程と、これらを一体化させる接合工程とが実施される。しかも、多孔質フィルタは、目的ガスの分離に最適な細孔を形成するために、徐々に細孔径の小さくなる複数層を積層する必要があるので、高温焼成が繰り返される。そのため、接合部の耐熱性を十分に高くできれば、複数本の多孔質フィルタを支持体に接合して一体化させた後にその積層工程を実施できることから、焼成処理効率が高められるのである。
また、好適には、前記接合材料は、Si、Alおよび他の微量元素から成る合金または混合物である。Alを含有することによる融点低下効果は、合金であっても混合物であっても得られるため、接合材料はこれらの何れであっても差し支えない。また、接合材料の形態は、粉末、ペースト状、粉末プレス成形体、金属リング等、接合する珪素系セラミックスの形状や接合面の形状等に応じて適宜の形状とすることができる。ペースト状とする場合には、例えば、Si、Al等の混合粉体をエチルセルロースやアクリル等の適宜の樹脂結合剤およびターピネオール等の適宜の溶剤等に分散させる。
また、前記接合体の製造方法において、好適には、前記ろう付け処理の温度は、前記接合材料の融点よりも10〜300(℃)の範囲内の温度だけ高い温度である。熱処理温度は、例えば、1000〜1400(℃)の範囲内の温度である。
また、好適には、前記接合体の製造方法は、前記ろう付け処理を施すに先立ち、所定濃度の水素(H2)を含む水素雰囲気下でそのろう付け処理の温度よりも十分に低い所定の前処理温度で処理する前処理工程を含むものである。このようにすれば、水素の還元作用によって、接合材料に含まれる金属の表面に酸化膜が生成されることが抑制されると共に既に生じている酸化膜が除去されることから、接合材料が一層容易に溶融させられる。
一層好適には、前記前処理における水素雰囲気は、水素を窒素または稀ガスで希釈することにより構成されたものである。
また、一層好適には、ろう付け処理は、同一の加熱室内において前記前処理に続いて連続的に実施されるものである。このようにすれば、前処理の後に空気中に取り出すことに起因して接合材料が再酸化されることが好適に抑制されるため、前処理を施す効果が一層顕著に得られる。
また、一層好適には、前記接合材料は有機成分と混合したペーストの形態で用いられ、前記所定の前処理温度は、その有機成分の分解温度よりも十分に高い温度である。すなわち、前記前処理は脱脂処理を兼ねるものである。このようにすれば、水素の還元作用によって有機成分が分解およびガス化されて除去されることから、接合材料に有機成分が混合されて用いられると共に酸化によるその分解やガス化が期待できない真空中のろう付け処理であっても、その有機成分に由来するカーボンの残留に起因する接合材料の溶融不足が好適に抑制される。また、多数の接合体を一つの加熱室内で処理する場合のように、加熱室内が有機成分を含む雰囲気になることに起因してその分解およびガス化が阻害され得る処理条件においても、水素雰囲気で前処理を施すことによってカーボンの残留延いては接合不良が好適に抑制される。なお、上記有機成分は、好適には、接合材料に対して1〜10(重量%)の範囲内の割合で混合される。
因みに、接合材料中に残留したカーボンはSi粒子とAl粒子との接触を阻害するので、これらの共晶の生成(すなわち合金化)が妨げられ、延いては接合材料の融点の低下が妨げられる。すなわち、接合材料が溶融し難くなる。また、接合材料が溶融しても、残留カーボンが金属粒子間に入ると溶融した金属の一体化が妨げられる。この結果、珪素系セラミックスの接合が困難になる。
一層好適には、前記所定濃度は、体積比(モル比)で1〜80(%)の範囲内の値である。このようにすれば、水素濃度が一層適切な範囲に定められているため、一層強固且つ気密性の高い接合体が得られる。なお、水素濃度が低くなるほど還元作用が弱くなるので、酸化膜除去作用(酸化膜の生成抑制作用を含む。以下において同じ。)や有機物分解作用を十分に得るためには1(%)以上の濃度とすることが好ましい。一方、水素濃度が高くなるほど金属に対する水素の溶解度が高くなることから、溶融した金属の凝固過程においてその金属に溶解した水素の放出に伴う欠陥生成を抑制するためには80(%)以下の濃度とすることが好ましい。
また、好適には、前記所定の前処理温度は、250〜450(℃)の範囲内の温度である。このようにすれば、前処理の温度が一層適切な範囲に定められているため、一層強固且つ気密性の高い接合体が得られる。なお、前処理温度が低くなるほど還元作用が弱くなるので、酸化膜除去作用や有機物分解作用を十分に得るためには250(℃)以上の温度とすることが好ましい。一方、前処理温度が高くなるほど金属に対する水素の溶解度が高くなることから、溶融した金属の凝固過程においてその金属に溶解した水素の放出に伴う欠陥生成を抑制するためには450(℃)以下の温度とすることが好ましい。
因みに、金属が気体に接すると、その気体分子が金属表面で原子に解離し、活性吸着された後に原子状態のままその金属内部に拡散して溶解する。そして、数々の気体のうち水素は、多くの金属に最も多く溶解することが知られている。アルミニウムも水素が多く溶解する金属の一つであり、その溶解度は温度の上昇に伴って増加する。また、水素濃度が高くなるほど水素分圧が高くなるので水素の溶解度は高くなる。しかしながら、気体の溶解は可逆的であるため、温度が下降して金属が凝固するときには、溶解度を超える量の気体が金属から放出される。これは脱ガス現象と称され、水素還元処理中にアルミニウムに溶解した水素がこの現象に従って放出される際には、しばしば欠陥を生じさせる。このような欠陥発生は、金属中への水素の溶解を抑制することで抑制できるため、水素還元処理すなわち前処理における温度および水素濃度は、十分な還元性が得られる範囲で可及的に低くすることが好ましいのである。
また、好適には、前記接合体の製造方法は、前記珪素系セラミックスの接合部に前記接合材料を設けた状態で、100〜0.001(Pa)の範囲内の真空下において、その接合材料の融点よりも十分に高い温度でろう付け処理を施すものである。SiおよびAlは酸化し易いことから表面に酸化被膜が形成され易く或いは既に形成されているため、加熱雰囲気中の還元性或いは真空度が低いと溶けにくくなる。一方、真空度が高すぎると、接合界面から金属成分(SiやAl等)が蒸発して欠陥が生じるため、接合部の気密性が失われ易くなる。なお、ろう付け処理の雰囲気は、真空が望ましく、Ar等の不活性ガス雰囲気は好ましくない。接合するためには、珪素系セラミックスおよび接合材料の表面をある程度活性化することが必要であるためと考えられる。なお、一層好適には、ろう付け処理の雰囲気は、70〜0.007(Pa)の範囲内、更に好適には、7〜0.007(Pa)の範囲内の真空雰囲気である。
また、好適には、前記接合体は、前記接合材料を用いて接合された後に、その接合体を構成する珪素系セラミックスのSi以外の成分、すなわち、窒化珪素においては窒素(N2)、サイアロンにおいては酸素および窒素、炭化珪素においては炭素(C)の雰囲気中において加熱することにより、その接合材料を珪素系セラミックスと同材質に変化させる同質化処理が施されたものである。このようにすれば、接合体表面の性状の一様性が高められるので、例えば、その表面に多孔質膜を積層して多孔質フィルタを製造する場合等においては、接合部におけるその多孔質膜の濡れ性が高められて膜の一様性が高められる利点がある。なお、上記同質化処理は、例えば1000〜1400(℃)程度の温度で実施され、多孔質膜形成は、例えば1000(℃)程度の温度で実施される。
また、好適には、前記接合体は、緻密質の珪素系セラミックスと、多孔質の珪素系セラミックスとが接合されたものである。本発明の接合材料は、多孔質体相互、緻密質体相互の接合にも適用されるが、このような緻密質のものと多孔質のものとを接合する場合にも好適に適用される。なお、少なくとも一方が多孔質体で構成される場合には、接合材料との濡れが良すぎると細孔内に多量に染みこむことによって接合強度が得られなくなる。そのため、本発明の接合材料は、そのような濡れすぎる現象が生じない組合せにおいて好適に用いられる。
本発明の接合材料および接合体は、高温耐久性に優れるため、例えば、加圧流動燃焼式複合発電や石炭ガス化複合発電等の1000(℃)程度の温度で使用される発電システム用除塵フィルタやガス分離用フィルタ、溶融炭酸塩型燃料電池発電システム等の800(℃)程度の温度で使用されるメンブレン・リアクタ、触媒担体、自動車等の内燃機関の摺動部品、熱風炉用耐摩耗性送風機のライニング部材等に用い得る。
例えば、ガス分離用フィルタやメンブレン・リアクタ等の用途では、多孔質セラミック筒体が緻密質セラミックス支持体に接合して用いられる。多孔質セラミック筒体は例えば一端が開放された有底筒状のもので構成され、例えばその開放端側が本発明の接合材料を用いて緻密質セラミック支持体の貫通孔に挿入された状態で接合される。或いは、両端が開放された筒状体で構成し、一端を緻密質セラミック支持体の貫通孔に挿入して接合すると共に、他端を緻密質セラミック支持体の有底穴または貫通孔に挿入して接合する。これらは接合体の一例であり、本発明は、その他の種々の態様で用いられる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の接合材料により接合された、すなわち本発明の製造方法によって製造された接合体の一例である多孔質円筒モジュール(以下、モジュールという)10の全体を示す斜視図であり、図2は、その長手方向に沿った断面を示す図である。これらの図において、モジュール10は、複数本、例えば7本の多孔質円筒12と、それら多孔質円筒12一端部に嵌め合わされたエンドキャップ18とを備えている。
上記の多孔質円筒12は、例えば、外径が12(mm)程度、内径が9(mm)程度、長さ寸法が500(mm)程度の大きさを備えて断面が円環状を成し、一端20が例えば半球状の閉塞端に構成され且つ他端22が開放されたものである。また、この多孔質円筒12は、例えば気孔率が15(%)以上、例えば35(%)程度の多孔質の窒化珪素セラミックスから成るものである。この窒化珪素中には、焼結助剤としてAl2O3(アルミナ)が含まれている。多孔質円筒12には、微細な多数の細孔がその周壁24の表面26から内面28まで連通して形成されており、その周壁24を例えば窒素や水素のような気体が透過し得るように構成されている。なお、多孔質円筒12の外周面(表面)26には、図3に示されるように、その多孔質円筒12を含めて外周側に位置するものほど平均細孔径が小さくなるようにそれぞれ窒化珪素から成る複数層(図示の例では3層)の多孔質膜60,62,64が設けられており、その外周面26は、全く露出していない。この最上層の多孔質膜64における平均細孔径が例えば0.5(nm)程度とされることにより、多孔質膜60〜64を含む多孔質円筒全体の通気性が制御されている。
また、前記のエンドキャップ18は、緻密質の窒化珪素セラミックスから成り、略円板状を成すものである。エンドキャップ18は、閉塞端20とは反対側の一面44から他面50に向かって厚み方向に貫通する例えば7個の貫通孔52,53を備えている。貫通孔52,53は、それぞれ一面44側における開口寸法が他面50側よりも小さくされることにより、内周部に向かって突き出した環状突部46を備えた段付き孔である。これら7個の貫通孔52、53は、1個(貫通孔53)がエンドキャップ18の中心に位置し、残る6個(貫通孔52)がその周囲の一円周上に一定の間隔で、すなわち例えば60度程度の間隔で配置されている。
前記多孔質円筒12は、このように構成されたエンドキャップ18の貫通孔52,53にその他端22側が嵌め入れられ、その他端22が環状突部46に突き当てられた状態で、封着材(すなわちろう材)56によって気密に固着されたものである。すなわち束ねられた状態で一体的に固定されている。この封着材56は、例えば、90(重量%)程度のSiと10(重量%)程度のAlとから構成されている。そのため、上記の多孔質円筒12の例えば開放された他端22から流入させられた気体は周壁24を通して流れ出ることとなる。
以上のように構成されたモジュール10は、よく知られたセラミック製造技術を用いて、図4に要部である接合工程を示す製造工程に従って製造される。まず、混合工程P1においては、前記封着材56を構成するためのろう材、バインダー、および溶剤を混合して接合材料ペーストを調製する。ろう材は、例えばSi粉末とAl粉末とを90:10の質量比で混合したものである。Si粉末としては、例えば平均粒径が15(μm)程度のもの等が用いられ、Al粉末としては、例えば平均粒径が18(μm)程度のもの等が用いられる。また、バインダーとしてはアクリル樹脂を、溶剤としてはターピネオールをそれぞれ用いた。ペーストを調製するに際しては、Si粉末およびAl粉末の混合粉末をアクリル樹脂系バインダーと混合し、ターピネオールを加えて粘性を調節した。
次いで、組付工程P2においては、予め製造した前述したような各特性を備えた緻密質のエンドキャップ18および多孔質円筒12に上記のペーストを塗布して、多孔質円筒12の開放端をエンドキャップ18の貫通孔52に差し込むことにより両者を組み付ける。エンドキャップ18は、例えば粉末プレス成形、冷間静水圧加圧成形(例えばラバープレス成形)、或いはホットプレス成形、および切削加工等によって成形され、多孔質円筒12は、例えば押出成形や冷間静水圧加圧成形(例えばラバープレス成形)、或いはホットプレス成形、および切削加工等によって成形される。また、原料は、所望とする気孔率に応じて焼結特性の異なるものや添加物を含むもの等が適宜用いられる。各部材の焼成温度は、緻密質のもの(すなわちエンドキャップ18)が例えば1700(℃)程度、多孔質のもの(すなわち多孔質円筒12)が1400(℃)程度であり、何れも例えばN2雰囲気下で焼成される。また、必要な寸法・形状精度を得るために、焼結後に適宜研削加工が施される。本実施例においては、所望の特性を備えた部品が得られるのであれば、その製法は問わない。
そして、ろう付け処理工程P3においては、例えば焼成炉内で加熱処理を施すことにより、封着材56で相互に固着する。接合のための焼成処理条件は、例えば、0.007(Pa)以下の真空下において1400(℃)で1時間程度の時間だけ加熱するものとした。この最高保持温度は、前記混合粉末の融点が1375(℃)程度であることから、これよりも十分に高い温度に定められている。本実施例においては、この混合粉末が請求の範囲に言う接合材料である。
図5は、上記のろう付け処理(すなわち焼成処理)における接合原理を説明する模式図である。本実施例においては、被接合体である多孔質円筒12やエンドキャップ18が全てAl2O3を焼結助剤としたSi3N4で構成される一方、接合材料がSiおよびAlの混合粉末で構成されることから、それらの界面においてはSi,N,Alの相互拡散が生じる。しかも、封着材56側に拡散したNは、SiやAlと結合してSi3N4やAlNを形成する。そのため、接合界面における焼結が進み、多孔質円筒12およびエンドキャップ18が封着材56を介して相互に強固に接合される。
上記のように接合したのち、接合体に窒化処理(すなわち同質化処理)を施し、更に、多孔質円筒12の表面26に前記の多孔質膜60〜64を順次に形成することにより、前記モジュール10が製造される。上記の窒化処理は、例えば窒素雰囲気中において1000〜1400(℃)程度の温度で加熱することにより、封着材56のうち露出部分を窒化すなわち窒化珪素に変化させるものである。この処理により、SiおよびAlの混合粉末から生成された封着材56が多孔質円筒12およびエンドキャップ18と同材質になるので耐熱性が高められる。しかも、多孔質膜60〜64の形成時にその濡れ性が高められるので、気密性や一体性が高められる。また、本実施例においては、接合工程の後に多孔質膜形成工程が実施されるのである。この多孔質膜60〜64の形成工程では、一層毎に例えば1300(℃)程度の最高保持温度で加熱する焼成処理が繰り返されるが、封着材56の融点は前述したように1375(℃)程度であって十分に高い耐熱性を有することから、この工程で何ら変質したり接合部から分離することはない。
要するに、本実施例によれば、封着材56の主成分であるSi,Alは窒化珪素の主構成元素や焼結助剤であることから、この封着材56を用いて窒化珪素から成る多孔質円筒12およびエンドキャップ18を相互に接合するに際して、その相互間に介在させられた封着材56は、Si,Al,Nの相互拡散によって、被接合体と一体化する。しかも、Siは融点が高いことから、単独で接合材料として用いることは困難であるが、それよりも低融点であってSiと共晶を作るAlと共に用いると、接合材料(封着材56)の融点がその混合割合に応じて低下する。この結果、窒化珪素から成る両部材が高い気密性を以て接合される。このとき、封着材56中のSiの割合が90(重量%)と十分に多くされているので、その融点は1375(℃)程度と高くなる。したがって、窒化珪素から成る多孔質円筒12およびエンドキャップ18を高い耐熱性を以て相互に接合できる。
ここで、封着材56すなわち接合材料の組成や接合処理条件を種々変更して接合状態等の評価を行った結果を説明する。評価に際しては、窒化珪素緻密質体から成る平板状の接合片70、窒化珪素多孔質体から成るチューブ状の接合片72を用意して、図6に示すように接合した。接合片70の大きさはφ24×t3(mm)程度であり、接合片72の大きさはφ12×φ9×L30(mm)程度であって、気孔率は35(%)程度である。なお、図6において74は接合材料である。評価結果を下記の表2に示す。
なお、表2において、実施例1〜9が本発明の範囲内にある実施例を、比較例1〜8が本発明の範囲内の接合材料であるが接合処理条件が不適切なものを、比較例9〜20が本発明の範囲外の比較例をそれぞれ表している。これらのうち比較例19,20は、従来からセラミックス等の接合に用いられているろう材である。
また、「融点」は、各接合材料の融点であり、「耐熱性」は、その融点が1000(℃)以上のものを「○」(すなわち十分な耐熱性を有する)、1000(℃)未満のものを「×」(すなわち耐熱性が不十分)として記載した。
また、「処理温度」は、接合処理時の最高保持温度であり、「真空度」は、その際の真空度を7×10-3(Pa)程度(すなわち5×10-5(Torr)程度)を高真空、0.7(Pa)程度(すなわち5×10-3(Torr)程度)を中真空、130(Pa)程度(すなわち1(Torr)程度)を低真空として分類したものである。但し、「Ar」と記載したものは、常圧すなわち0.1(MPa)程度においてアルゴンガス雰囲気で加熱した。なお、以下の各処理条件における真空度或いは圧力は、全てTorrで測定した値をPaに換算して示した。
また、「溶融状態」は、接合片70上に接合材料を塗布してそれぞれの条件で加熱した後の接合材料の溶融状態を評価したものであり、「○」は接合材料が溶融して接合片70上で広がり、周縁部における接触角が90度未満と十分に小さかったこと(すなわち、濡れたこと)を、「×」は溶けなかったか、溶けたが接触角が90度以上であったことをそれぞれ表している。
また、「気密性」は、図7に示すように接合部分をトルエン中に入れて接合片72の開放端から窒素ガス(N2)を押し込み、差圧0.15(MPa)または絶対圧力0.25(MPa)に耐えたもの、すなわち接合部74からの気体の漏れが見られなかったものを「○」(すなわち気密性十分)、耐えなかったものを「×」(すなわち気密性不十分)とした。
上記の表2に示されるように、Siの割合が少なくなるほど融点が低下する傾向があり、10(重量%)の比較例9〜18では、融点が595(℃)と著しく低くなる。この結果から、融点を1000(℃)以上として十分な耐熱性を得るためには、Siを50(重量%)以上にする必要のあることが明らかである。なお、実施例および比較例1〜13は混合粉末であるが、合金を用いた比較例14〜18の結果は同比の混合粉末である比較例9〜13と同様であった。
また、処理温度は、それぞれで用いられている接合材料に応じて定めている。融点が1050〜1375(℃)の範囲内にある実施例では、それよりも25〜350(℃)だけ高い温度で接合処理を施すことによって、好適な金属の溶融状態を得ることができ、接合部の気密性を確保できた。これに対して、比較例3,4,8では、処理温度が融点よりも低いことから、接合材料の溶融が不十分になって、気密性が得られないものと考えられる。また、比較例9〜11,14〜16では、処理温度が融点に対して著しく高いので、接合材料が蒸発し、或いは多孔質の接合片72に吸われてしまい、接合片70,72間の接合材料の量が不足することから気密性が得られないものと考えられる。
また、実施例では真空度を0.007(Pa)以下と高くしたことから、接合材料が十分に溶融して接合部の十分な気密性が得られている。これに対して、比較例1,2,5〜7は、大気圧或いはアルゴン雰囲気で処理したことから、接合材料が十分に溶融せず、気密性が得られなかった。すなわち、接合材料の成分であるSiは、大気中で容易に酸化することから、焼成処理前までの段階で既に表面に酸化被膜が形成されている。そのため、これを溶融させるためには、その酸化被膜を除去する必要があり、また、濡れ性を高めるために表面を活性化することが好ましい。これらは真空或いは還元雰囲気とすることにより達成されるので、大気圧やアルゴン雰囲気では接合材料が溶融せず、気密性も得られなかったのである。
次に、本発明の他の実施例の製造方法を説明する。図8は、本発明の他の実施例の製造方法の要部を説明するための工程図である。この製造方法においては、組付工程R2とろう付け処理工程R4との間に前処理工程R3が設けられている点が相違するが、その他は図4に示される製造工程と同様である。すなわち、混合工程R1、組付工程R2、およびろう付け処理工程R4は、それぞれ混合工程P1、組付工程P2、およびろう付け処理工程P3と同一条件で差し支えない。接合材料ペーストの構成は、例えば、ろう材組成をSi60(wt%)-Al40(wt%)、この混合粉末100(wt%)に対してアクリルを2(wt%)およびターピネオールを50(wt%)とした。
図8において、前処理工程R3では、組付工程R2において多孔質円筒12とエンドキャップ18とが組み付けられ且つ接合材料ペーストがそれらの接合部に配された組付け体を、例えばろう付け処理のための焼成炉の加熱室内に入れ、前処理を施す。この前処理は、例えば、200〜450(℃)程度の範囲内、例えば300(℃)程度の温度において、水素を含む雰囲気下、好適には1〜80(%)程度の濃度で水素を含み、残部が窒素または稀ガスである雰囲気下、例えば水素50(%)+窒素雰囲気で加熱処理を施すものである。ろう付け処理工程R4は、このような前処理を施した後、そのまま加熱室内に組付け体を入れたまま連続して実施される。処理条件は、例えば、0.13(Pa)、1300(℃)程度である。
上記の前処理工程R3において、処理された組付け体は、加熱されることによって接合材料ペースト中の有機成分が分解されて除去される(例えば焼失させられる)と共に、還元性のある水素雰囲気によってその接合材料ペースト中の金属成分すなわちSiおよびAlの酸化膜の生成が抑制され或いは既に生成されている酸化膜が除去される。これら接合材料の溶融や金属成分の一体化を阻害するものは、前記図4に工程が示される実施例においては、ろう付け処理工程P3の初期に除去されていたが、本実施例ではその前段階で除去されるのである。
なお、上記処理温度は、接合材料ペーストに含まれる有機成分すなわちアクリル樹脂やターピネオールが確実に分解し得ると共に、水素の還元作用が十分に得られる範囲で可及的に低い値に定められている。すなわち、これら有機成分の分解温度である280(℃)程度よりも高い温度であるが、必要以上に高くするとSiおよびAlに対する水素の溶解および放出に起因する欠陥が生じ易くなることから、上記のような上限値に定められるのである。
下記の表3は、上記前処理の効果を確かめるための試験結果をまとめたものである。この処理試験では、前記図6に示される評価用接合片70,72を用い、接合片70を1個と、接合片72を1個とを接合したものを1組として、一回に加熱室内に投入する組数すなわち処理数(個)を3〜15個の範囲で変更し、前処理の有無とろう付け処理後の接合強度との関係を調べた。ろう材はSi60(wt%)−Al40(wt%)とし、この混合粉体100(wt%)にバインダーとしてアクリルを2(wt%)、溶剤としてターピネオールを50(wt%)混合して接合材料ペーストを調製した。前処理温度は300(℃)、ろう付け処理は真空度0.13(Pa)、1300(℃)とした。接合強度の欄において、×は接合不可を、△は接合力不十分を、○は接合強度十分をそれぞれ意味する。この接合強度の評価は、引張り試験によって行い、接合界面で剥離した場合を×、ろう材部分が破壊した場合を△、セラミック部分が破壊した場合を○とした。
上記表3に示されるように、処理個数が3本程度と少ない場合には、前処理を施さなくとも十分な接合強度が得られる。しかしながら、処理数が多くなると前処理無しでは接合強度が低下する。すなわち、5個ではろう材の強度が不十分になってろう材部分が破壊し、15個では接合界面で剥離する。処理数が少ない場合には、ろう付け処理の際にろう材から除去される有機成分の量が少ないことから、加熱室内における有機成分ガスの分圧が低い値に留まるので、有機成分が十分に分解し延いてはカーボンが確実に除去されるが、処理数が多くなると、加熱室内において有機成分ガスの分圧が上昇し、有機成分の分解延いてはカーボンの除去が阻害されるためと考えられる。
これに対して、前処理を施した場合には、処理数が少ないときはもちろん、処理数が増えても何ら問題なく、高い接合強度を得ることができる。前処理を施すことによって、ろう付け処理の際にカーボンの残留が無く(或いは十分に少なく)、ろう材が酸化されていない(或いは表面の酸化皮膜が十分に除去されている)ためと考えられる。
すなわち、本実施例によれば、前処理工程R3を実施することにより、ろう付け処理工程R4において、有機成分に由来するカーボンが残留してSiおよびAlの溶融が不十分になることや、表面の酸化膜によって溶融が不十分になることが好適に抑制される。そのため、別々に製造した部品をろう付けによって接合して前記モジュール10を製造するに際して、処理数が多い場合、例えば3本を超える場合にも、十分に高い接合強度を得ることができる。
下記の表4は、上記の前処理条件の前処理温度および雰囲気を種々変更して接合強度を評価した結果をまとめたものである。ろう材の組成はSiを60(%)、Alを40(%)とし、バインダーとしてアクリル樹脂を混合粉体100(重量部)に対して2(重量部)添加した。ろう付け処理は0.13(Pa)程度の中真空下で加熱温度を1300(℃)とした。また、前処理温度は200〜500(℃)の範囲で変化させ、処理雰囲気は、空気、水素5(%)+窒素、水素50(%)+窒素、水素100(%)とした。また、1回の処理本数は5本である。接合強度の欄の記号の意味および評価方法は前記表3の場合と同一である。
表4に示されるように、前処理雰囲気が空気の場合には、酸素が含まれ且つ水素を殆ど含まない酸化雰囲気であることから、ろう材の酸化延いては溶融不足が生じ、何れの処理温度においても全く接合強度が得られなかった。
また、処理温度が200(℃)の場合には、還元作用が弱いので十分な接合強度が得られなかった。300〜400(℃)では、水素が含まれていれば、その割合の如何に拘らず、有機成分が好適に除去されてカーボンの残留が殆ど無く、また、金属表面に酸化被膜が形成されないことから、ろう材が溶融し易くなって十分な接合強度が得られた。
また、水素100(%)の雰囲気では、500(℃)の処理温度において接合強度がやや劣る結果となった。このような結果になったのは、温度がやや高めであることから、著しく水素濃度が高い雰囲気ではSiおよびAlの水素溶解量が増大して、溶解した水素がろう材の凝固時に放出される際に接合部に欠陥を発生させるためと考えられる。
なお、「前処理無し」は比較例として記載したものであって、前記表2の実施例5に相当する。すなわち、実施例5の接合処理条件によれば、気密性を得ることができる共に、処理本数が少ないときには接合強度も得られるが、本実施例のように処理本数が5本の場合には、接合強度が得られない。
したがって、上記表4の結果から、水素雰囲気中で前処理を施すことにより、何ら前処理を施さない場合に比較して接合強度が高められることが判る。また、前処理は、300〜400(℃)程度の温度で実施することが好ましく、5(%)以上の水素濃度で実施することが好ましい。なお、500(℃)程度の温度で前処理を施すことも可能であるが、その場合には、5〜50(%)程度の水素濃度が好ましい。
下記の表5は、一回の処理数を5個すなわち前処理が必要な処理数として、前処理条件を前記表4において良好な結果が得られた300(℃)、水素50(%)+窒素雰囲気に統一し、ろう材の組成およびろう付け処理条件を種々変更して、前処理を施した場合における気密性を確かめたものである。表5に示されていない条件は全て表4と同一とした。
上記の表5において、ろう付け処理時の真空度が130(Pa)程度と低く高圧(すなわち100(Pa)を超える低真空)の場合には、前処理を施した場合にも、前記表2の比較例5と同様に気密性を得ることができなかった。上記条件で前処理を施すと、前述したように有機成分が十分に除去されてカーボンの残留が抑制されると共に、金属表面の酸化被膜が除去される。このため、前処理後には溶融し易い状態になっているが、ろう付け処理時に低真空に曝されることから、ろう材が酸化されるので、溶融し難くなって気密性が得られないのである。
これに対して、0.13(Pa)以上の真空度すなわち100(Pa)以下の十分に低圧でろう付け処理すれば、前処理後の溶融し易い状態が好適に保たれるので、高い気密性が得られる。また、Siを60(%)含む組成だけでなく、Siを90(%)含む組成やSiを50(%)含む組成においても、十分に高い真空度で処理すれば高い気密性が得られることが判る。なお、Si50(%)のろう材組成において、900(℃)のろう付け処理温度では気密性が得られなかったのは、処理温度が融点よりも低いためである(前記表2の比較例8等を参照。)。
この評価結果から、1回の処理数が多く、前処理が必須となる場合にも、100(Pa)以下の真空度、例えば0.0013〜0.13(Pa)の範囲内の真空中において、ろう材の融点よりも十分に高い温度でろう付け処理を施すことにより、高い気密性が得られることが判る。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。