JP2006182052A - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 反力抜けを防止でき、良好な操舵感が得られる反力制御を実現できる車両用操舵制御装置を提供する。
【解決手段】 ヨーレートφを検出するヨーレートセンサ10および横加速度Ygを検出する横加速度センサ11と、ハンドル1へ入力される操舵トルクtを検出するラック軸力センサ7と、ハンドル1の操舵角を検出する操舵角センサ2と、を備え、制御コントローラ9は、車両挙動状態量(ヨーレートψ,横加速度Yg等)と操舵トルクに対する操舵角の周波数に応じた伝達関数(周波数特性)D*(s)に基づいて反力アクチュエータ3の出力を決定し、伝達関数D*(s)のゲインが最大となる周波数近傍におけるゲインの最大値を、車両挙動状態量のみに基づいてのみ決定される場合の伝達関数K・Xvehicleのゲインよりも小さくなるように設定した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハンドルへの操作を入力する操舵入力機構と、操向輪を転舵する操向輪転舵機構との間を機械的に非連結とした、いわゆるステア・バイ・ワイヤ方式による車両用操舵制御装置の技術分野に属する。
従来の車両用操舵制御装置としては、操舵角に応じて算出される操舵反力F1に係数K1を乗じた値と、横加速度による反力分とヨーレートによる反力分の線形和により算出される操舵反力F2に係数K2を乗じた値と、操舵速度に応じて算出される操舵反力F3に係数K3を乗じた値と、の和(K1×F1+K2×F2+K3×F3)を反力アクチュエータの出力とすることにより、車速の高低にかかわらず好適な操舵反力を発生させ、良好な操舵フィーリングの確保を図っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−175853号公報
しかしながら、上記従来の車両用操舵制御装置にあっては、所定の操舵周波数帯域で反力抜け(手応えの低下)が発生するという問題があった。すなわち、操舵トルクに対する操舵角の周波数特性(ゲイン)が最大値(極大点)付近の周波数では、定常状態(極低周波数)よりもゲインが大きく、少ない操舵トルクで定常状態と同じ操舵角が得られるため、反力抜けが発生する。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、反力抜けの発生を防止でき、良好な操舵感を得られる反力制御を実現できる車両用操舵制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明の車両用操舵制御装置では、
ハンドルへの操作を入力する操舵入力機構と、操向輪を転舵する操向輪転舵機構との間を機械的に非連結とし、
前記操舵入力機構に設けられた反力アクチュエータと、前記操向輪転舵機構に設けられた転舵アクチュエータと、を制御する転舵制御手段を有する車両用操舵制御装置において、
車両挙動状態量を検出する操舵挙動状態量検出手段と、
前記ハンドルへ入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
を備え、
前記転舵制御手段は、前記車両挙動状態量と、操舵トルクに対する操舵角の周波数に応じた伝達関数とに基づいて前記反力アクチュエータの出力を決定し、
前記伝達関数を、そのゲインが最大となる周波数近傍におけるゲインの最大値が、前記車両挙動状態量のみに基づいて前記反力アクチュエータの出力が決定される場合における前記伝達関数のゲインの最大値よりも小さくなるような特性に設定したことを特徴とする。
本発明にあっては、ゲインが最大となる周波数近傍におけるゲインの最大値が小さくなるように反力アクチュエータの伝達関数を設定することにより、周波数特性のゲインの最大値付近に発生する反力抜けを防止でき、良好な操舵感が得られる反力制御を実現できる。
以下に、本発明の車両用操舵制御装置を実現するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のステア・バイ・ワイヤシステムの構成図である。
実施例1のステア・バイ・ワイヤシステムは、ハンドル1と、操舵角センサ(操舵角検出手段)2と、反力アクチュエータ3と、前輪(操向輪)4と、ステアリングギヤ機構5と、転舵アクチュエータ6と、ラック軸力センサ(操舵トルク検出手段)7と、転舵角センサ8と、制御コントローラ(転舵制御手段)9と、ヨーレートセンサ(車両挙動状態量あ検出手段)10と、横加速度センサ(車両挙動状態量検出手段)11と、を備えている。
反力アクチュエータ3は、例えば、減速機付きの電動モータが用いられ、この反力アクチュエータ3の出力である反力トルクと、ドライバによる操舵トルクによりハンドル1が回転する。実施例1では、ドライバがハンドル1に加えるトルクを操舵トルクと呼称し、操舵トルクと反力トルクの和をステアリングトルクと呼称する。よって、ステアリングトルクは、ハンドル1に加わる外部トルクの和とみなすことができる。
転舵アクチュエータ6は、例えば、減速機付きの電動モータが用いられ、この転舵アクチュエータ6の出力はステアリングギヤ機構5を介して前輪4を転舵させる。転舵に伴う路面反力は、ラック軸力センサ7により検出される。
ヨーレートセンサ10は、車両の重心を通る鉛直線のまわりの回転角の変化速度であるヨーレート(ヨー角速度)を検出する。横加速度センサ11は、車両の横方向加速度を検出する。
ハンドル1、操舵角センサ2、反力アクチュエータ3によりハンドル1への操作を入力する操舵入力機構Aが構成され、ステアリングギヤ機構5、転舵アクチュエータ6により前輪4を転舵する操向輪転舵機構Bが構成されている。そして、操舵入力機構Aと、操向輪転舵機構Bとは、機械的に非連結となっている。
図2は、制御コントローラ9のソフトウェア構成を示すブロック図である。
制御コントローラ9は、転舵角制御部91と反力制御部92から構成されている。
転舵角制御部91は、目標転舵角算出部91aと、転舵角サーボ制御部91bとを備えている。目標転舵角算出部91aは、操舵角センサ2により検出された操舵角θに応じて目標転舵角δ*を算出する。転舵角サーボ制御部91bは、転舵角センサ8により検出される実転舵角δが目標転舵角δ*に一致するように、転舵アクチュエータ6を制御する。
反力制御部92は、目標反力トルク生成部92aと、反力アクチュエータ制御部92bとを備えている。目標反力トルク生成部92aは、車両挙動状態量であるヨーレートセンサ10により検出されたヨーレートφおよび横加速度センサにより検出された横加速度Ygと、操舵角センサ2により検出された操舵角θとに基づいて、目標反力トルクFを生成する。
反力アクチュエータ制御部92bは、目標反力トルクを出力するように、反力アクチュエータ3の電流値または電圧値を制御する。
次に、作用を説明する。
[目標転舵角算出]
目標転舵角算出部91aでは、目標転舵角δ*を、下記の式(1)を用いて生成する。
δ*=(Gff(s)・θ)/ns …(1)
ここで、nsはステアリングギヤ比を表している。Gff(s)は定常ゲインが1の伝達関数を表す。括弧内のsはラプラス演算子を表し、Gffが動特性を持つことを意味する。
一般的に、この動特性を適切に設定することにより、ステアリングレスポンスが向上することが知られている。また、低速での取り回しを向上させるため、車速によりステアリングギヤ比nsを変化させることも知られている。
[目標反力トルク生成]
目標反力トルク生成部92aでは、目標反力トルクFを、下記の式(2)を用いて生成する。
F=K・Xvehicle+(Gdm(s)・Gff(s)・Gyy(s))・θ/ns …(2)
ここで、
Kはゲイン
vehicleは車両挙動状態量(ラック軸力やヨーレート等)
dm(s)は、転舵角δに対するK・Xvehicleの伝達関数
である。
上記式(2)において、右辺第1項は車両挙動を感知するために必要な項であり、特開2003−175853号公報に記載された、K2×F2(横加速度とヨーレートの反力分)に相当する。
また、第2項中のGyy(s)は、下記の式(3)で計算される。
yy(s)=ns・Gdm(s)-1・Gff(s)-1・D(s)*-1・G(s)-1・(D(s)*−G(s))−1 …(3)
ここで、D*(s)は、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の操舵トルクに対する操舵角θの伝達関数を求め、ゲインが最大(極大)となる周波数近傍のゲインを小さくしたときの伝達関数である。
また、G(s)は、ステアリングトルク(操舵トルクと反力トルクの和)に対する操舵角の伝達関数であり、このG(s)は、粘性やフリクションが無いと近似した場合には、下記の式(4)で表される。
G(s)=1/(Ih・s2)…(4)
ここで、Ihはハンドル慣性モーメント、sはラプラス演算子である。
[反力抜け防止作用]
実施例1では、図3に示すように、操舵トルクtに対する操舵角θの周波数応答のゲインの最大値(極大値)が、反力トルクFをK・Xvehicleとした時の最大値よりも小さくなるように、D*(s)を設定する。
ここで、操舵トルクtを入力、操舵角θを出力とするシステムのブロック線図を図4に示す。図4から明らかなように、上述の式(2)と、下記の式(5),(6)の関係式が成立する。
θ=G(s)・u …(5)
u=t+F …(6)
ここで、
Fは反力トルク(=反力アクチュエータ3の出力)
uはステアリングトルク(操舵トルクtと反力トルクFの和)
tは操舵トルク(=ドライバがハンドル1に加えるトルク)
である。
上記式(5),(6)および式(2),(3)より、操舵トルクtに対する操舵角θの伝達特性は、下記の式(7)となる。
θ=D*(s)・t …(7)
よって、図3が操舵トルクtに対する操舵角θの伝達特性を表すことを意味する。すなわち、最大値が反力トルクFをK・Xvehicleとした時の最大値よりも小さくなるようにD*(s)を設定することにより、ハンドル抜けが防止され、良好な操舵感が得られることになる。
以下に、式(7)の導出方法を補足する。
式(2)は、Gdm(s)の定義および式(3)より、下記の式(8)のように変形される。
Figure 2006182052
…(8)
これを式(5),(6)に代入する。
θ=G(s)・(t+F)
=G(s)・{t+D*(s)-1・G(s)-1・(D*(s)−G(s))θ}
=G(s)・t+D*(s)-1・(D*(s)−G(s))θ
=G(s)・t+θ−D*(s)-1・G(s)・θ …(9)
この式(9)を整理することにより、操舵トルクtに対する操舵角θの伝達特性を示す上述の式(7)が得られる。
[極大点付与作用]
次に、D*(s)の設定例を、図5に示す。
図5中の点線は、反力トルクFをK・Xvehicleと設定した時の操舵トルクに対する操舵角の伝達特性を表している。
図5において、D*(s)の特性は、下記の式(10)で表される。
*(s)={wn/(s2+2ζ・wn+wn 2)}・D0 …(10)
ただし、
wnは、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の、操舵トルクtに対する操舵角θの周波数特性の共振周波数
0は、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の、操舵トルクtに対する操舵角θの周波数特性の定常ゲイン
ζは、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の、操舵トルクtに対する操舵角θの周波数特性のゲイン最大値をGmaxとしたとき、D*(s)のゲイン最大値がGmaxより小さくなるような減衰係数
である。
図5中の複数の実線は、減衰係数ζを変化させた時のD*(s)を示している。減衰係数ζを所定範囲内で変化させても、ゲインが極大となる周波数帯域以外のゲイン特性はほとんど変化しない、逆に述べると、反力抜けが生じる周波数帯域のみ、その特性を補正できる。そして、図5から解るように、減衰係数ζを大きくするに連れて、極大値は減少し、所定値以上では極大値が存在しなくなる。すなわち、反力抜けは発生しなくなる。
ここで、減衰係数ζを1とした場合、周波数応答では、低周波の部分は、1次遅れの特性を示し、高周波の部分では、2次遅れの特性が現れる。よって、減衰係数ζを1とすることによって、D*(s)のゲインにピーク(極大値)が発生しなくなるため、反力抜けの発生を防止できる。
また、反力抜けが発生していた従来車両に慣れ親しんできたドライバが違和感を覚えないように、ある程度の極大を残すことも考えられる。この場合には、減衰係数ζをゼロよりも大きく1よりも小さな値とすることで、D*(s)のゲインにピークを作ることができる。よって、減衰係数ζを1よりも小さな値に設定することによって、反力抜けを生じさせない理想特性と、車両挙動状態量を反力トルクとしてドライバに伝える従来特性の融合とを効果的に実現することができる。
[操舵角に基づく反力トルク補正作用]
式(2)に示した目標反力トルクFの生成式において、右辺の第2項は、定常状態ではゼロである(図5から解るように、式(2)による反力と従来の反力トルクF=K・Xvehicleの定常項は同じである。よって、それらの差である第2項の定常ゲインはゼロである。)。
式(2)の第2項は、従来の反力トルクに対する補正となっているが、それが働くのは操舵角θが変化した時のみであり、それは操舵角θに基づいて構成される。その結果、補正は車両挙動状態量センサ(ヨーレートセンサ10および横加速度センサ11)を用いないため、これら車両挙動状態量センサの検出エラーに起因する補正異常が生じない。操舵角θを検出する操舵角センサ2は、エンコーダ等を用いてディジタルに検出できるため、ノイズが無く、また車両挙動変化に伴うオフセットも生じないため、より正確な補正が実現される。
車両挙動状態量センサの検出エラーを例示すると、例えば、ヨーレートセンサ10では、車両挙動によっては重心点周りの本来のヨーレート以外が検出される可能性がある。また、横加速度センサ11では、路面カントでオフセットが生じる。
より理解を深めるために、反力値は理論上(センサの測定誤差は無い意味)では一致するものの、その構成法が異なる例を、以下に示す。式(2)を変形すると、下記の式(11)が得られる。
F={ns・Gdm(s)-1・Gff(s)-1・D*(s)-1・G(s)-1・(D*(s)−G(s))}・K・Xvehicle …(11)
すなわち、反力トルクFは車両挙動状態量のみにより生成され、操舵トルクtに対する操舵角θの伝達関数は、式(2)の反力式の場合と同じくD*(s)である。しかしながら、この構成では車両挙動Xvehicleのセンサ検出エラーが反力に反映される。
以下に、式(11)の導出方法を補足する。
式(2)、Gdm(s)の定義および式(3)より、Fは下記の式(12)のように表現される。
Figure 2006182052
…(12)
結論は、操舵トルクtに対する操舵角θの伝達関数が共にとなる式(2)と式(11)の反力生成式において、車両挙動状態量に依存せず、操舵角のみに基づく式(2)が望ましいということである。
また、式(3)から明らかなように、ステア・バイ・ワイヤのステアリングギヤ比の過渡制御Gff(s)を設定しても反力抜けが生じないことも効果の一つである。
[従来車両の課題]
特開2003-175853号公報に記載の技術は、ステア・バイ・ワイヤ動作時に車速の高低にかかわらず好適な反力トルクを発生させることにより、良好な操舵フィーリングを確保することを狙いとしている。さらに詳細に述べると、以下のようになる。
反力トルクFは、下記の式(13)で表される。
F=K1・F1+K2・F2+K3・F3 …(13)
ここで、反力トルクFとは、ドライバがハンドルを操舵するとき、手応え感や路面インフォメーションを感じるために、反力アクチュエータが発生させるトルクである。
これらの準備の元、式(13)に現れる変数を説明する。
F1は操舵角に応じて算出される反力トルク、F2は横加速度Ygとヨーレートφに応じて算出される反力トルク、F3はドライバの運転操作(操舵角速度もしくは操舵角加速度等の操舵の動き)に応じて算出される反力トルク、K1〜K3は補正ゲインである。
K2・F2はステア・バイ・ワイヤを搭載しない一般の車両の路面反力に相当するものであり、ドライバが車両挙動を感知するのに必須な項である。別の言い方を借りれば、ステアリング機構に要求される"ステアリングインフォメーション"を実現している項と言える。
上記従来技術が問題としていることは、ヨーレートセンサ、もしくは横加速度センサの分解能や、路面カントによる横加速度センサのずれに起因するK2・F2の劣化、それに伴う操舵フィーリングの悪化である。そして、この従来技術では、横加速度Ygの検出値と推定値の偏差に応じて、係数K1〜K3の大きさを補正し、良好な操舵フィーリングを確保するものである。
しかしながら、上記従来技術の制御では、所定の操舵周波数帯域では反力が抜ける、別な言い方をすれば、手応えが低下する問題があった。図6に、反力の発生メカニズムを示す操舵系全体のシステムを図示する。図6の反力制御ブロックが、上述の式(13)を表している。
操舵トルクに対する操舵角の周波数特性(ゲイン)を図7に示す。図7において、仕様1はヨーレートφの定数倍を反力トルクとする仕様、仕様2は仕様1に対し、K1の割合を大きくした仕様、仕様3は仕様1に対し、K3の割合を大きくした仕様である。いずれの仕様とも、ゲインの極大点が存在する。
ゲインの極大点では、定常状態(極低周波域)よりもゲインが大きいため、少ない操舵トルクで同じ操舵角が得られる。その結果、反力抜けが発生する。極大点は、車両挙動に伴う反力K2・F2により発生する。
この理由を説明する。図8に、操舵角や操舵角速度のみに基づいて反力を構成した時の、操舵トルクに対する操舵角の周波数応答(ゲイン)を示す。図8に示すように、極大点は存在せず、反力抜けが生じていないことが解る。ただし、この結果、ドライバは反力から車両挙動を感じることができなくなる。
[実施例1の操舵制御作用]
これに対し、実施例1では、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の操舵トルクに対する操舵角θの伝達関数を求め、ゲインが極大となる周波数近傍のゲインを小さくしたときの伝達関数D*(s)に基づいて、反力アクチュエータ3の反力トルクFを決定することにより、周波数特性のゲインの極大点付近に発生する反力抜けを防止している。
さらに、実施例1では、伝達関数D*(s)を式(10)に示した2次遅れ特性とし、式(10)の減衰係数ζを0<ζ<1に設定している。これにより、伝達関数D*(s)に極大点が設定されるため、反力抜けを防止しつつ、ドライバに反力トルクFとして車両挙動を伝えることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用操舵制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) ハンドル1への操作を入力する操舵入力機構Aと、前輪4を転舵する操向輪転舵機構Bとの間を機械的に非連結とし、操舵入力機構Aに設けられた反力アクチュエータ3と、操向輪転舵機構Bに設けられた転舵アクチュエータ6と、を制御する制御コントローラ9を有する車両用操舵制御装置において、ヨーレートφを検出するヨーレートセンサ10および横加速度Ygを検出する横加速度センサ11と、ハンドル1へ入力される操舵トルクを検出するラック軸力センサ7と、ハンドル1の操舵角を検出する操舵角センサ2と、を備え、制御コントローラ9は、ヨーレートφおよび横加速度Ygと操舵トルクに対する操舵角θの周波数特性に応じた伝達関数D*(s)に基づいて反力トルクFを決定し、伝達関数D*(s)を、そのゲインが最大となる周波数近傍におけるゲインの最大値が、車両挙動状態量(ヨーレートφ,横加速度Yg等)のみに基づいて決定される場合の伝達関数K・Xvehicleのゲインの最大値よりも小さくなるような特性に設定したため、ハンドル抜けを防止でき、良好な操舵感が得られる。
(2) 伝達関数D*(s)を、2次遅れ特性とするため、伝達関数D*(s)のゲインに極大値(ピーク)を設定でき、ハンドル抜けを防止しつつ、車両挙動状態量を反力としてドライバへ伝えることができる。
(3) 伝達関数D*(s)を、減衰係数ζに基づいて設定するため、減衰係数ζを可変することにより、所望の周波数応答を設定することができる。
(4) 減衰係数ζを、ゼロよりも大きく1よりも小さな値に設定することにより、伝達関数D*(s)が2次遅れ特性となるため、反力抜けを生じさせない理想特性と、車両挙動状態量を反力トルクとしてドライバに伝える従来特性の融合とを効果的に実現することができる。
(5) 減衰係数ζを、1とした場合には、伝達関数D*(s)が1次遅れ特性となり、極大値(ピーク)が無くなるため、反力抜けを最も効果的に防止できる。
(6) 反力アクチュエータ3の反力トルクFを、式(2)で表される特性に設定したため、反力トルクFの補正が車両挙動状態量(ヨーレートφ,横加速度Yg等)に依存されず、車両挙動状態量を検出するセンサ(ヨーレートセンサ10,横加速度センサ11)の検出エラーや車両挙動変化に伴うオフセットが生じず、より正確な補正が実現される。
(7) 伝達関数D*(s)を、式(10)で表される2次遅れ特性に設定したため、減衰係数ζを0<ζ<1とした場合には、伝達関数D*(s)のゲインに極大値(ピーク)を設定され、ハンドル抜けを防止しつつ、車両挙動状態量を反力としてドライバへ伝えることができる。また、減衰係数ζを1とした場合には、極大値(ピーク)が無くなり、反力抜けを最も効果的に防止できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
実施例1のステア・バイ・ワイヤシステムの構成図である。 実施例1の制御コントローラ9のソフトウェア構成を示すブロック図である。 実施例1の操舵トルクに対する操舵角の周波数特性図である。 実施例1のシステムブロック線図である。 実施例1の操舵トルクに対する操舵角の周波数特性を2次系にした場合の図である。 従来の操舵系全体のシステムを示すブロック図である。 従来の操舵トルクに対する操舵角の周波数特性図である。 従来の操舵トルクに対する操舵角の周波数特性図である(車両挙動状態量を考慮しない場合)。
符号の説明
1 ハンドル
2 操舵角角センサ(操舵角検出手段)
3 反力アクチュエータ
4 前輪(操向輪)
5 ステアリングギヤ機構
6 転舵アクチュエータ
7 ラック軸力センサ(操舵トルク検出手段)
8 転舵角センサ
9 制御コントローラ(転舵制御手段)
91 転舵角制御部
91a 目標転舵角算出部
91b 転舵角サーボ制御部
92 反力制御部
92a 目標反力トルク生成部
92b 反力アクチュエータ制御部
10 ヨーレートセンサ(車両挙動状態量検出手段)
11 横加速度センサ(車両挙動状態量検出手段)

Claims (7)

  1. ハンドルへの操作を入力する操舵入力機構と、操向輪を転舵する操向輪転舵機構との間を機械的に非連結とし、
    前記操舵入力機構に設けられた反力アクチュエータと、前記操向輪転舵機構に設けられた転舵アクチュエータと、を制御する転舵制御手段を有する車両用操舵制御装置において、
    車両挙動状態量を検出する操舵挙動状態量検出手段と、
    前記ハンドルへ入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    を備え、
    前記転舵制御手段は、前記車両挙動状態量と、操舵トルクに対する操舵角の周波数に応じた伝達関数とに基づいて前記反力アクチュエータの出力を決定し、
    前記伝達関数を、そのゲインが最大となる周波数近傍におけるゲインの最大値が、前記車両挙動状態量のみに基づいて前記反力アクチュエータの出力が決定される場合における前記伝達関数のゲインの最大値よりも小さくなるような特性に設定したことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記伝達関数を、2次遅れ特性とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両用操舵制御装置おいて、
    前記伝達関数を、減衰係数に基づいて設定することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  4. 請求項3に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記減衰係数を、ゼロよりも大きく1よりも小さな値に設定したことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  5. 請求項3に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記減衰係数を、1としたことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  6. 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記反力アクチュエータの出力である反力トルクFを、以下の式で表される特性に設定したことを特徴とする車両用操舵制御装置。
    F=K・Xvehicle+Kθ(s)・θ
    ただし、Kはゲイン、Xvehicleは車両挙動状態量(路面反力、ヨーレート、横加速度等)、θは操舵角、sはラプラス演算子であり、Kθ(s)は以下の式、
    θ(s)=(Gdm(s)・Gff(s)・Gyy(s))/ns
    ただし、
    dm(s)は、転舵角δに対するK・Xvehicleの伝達関数
    ns/Gff(s)は、ステアリングギヤ比(操舵角θを転舵角δで除した値)
    yy(s)=ns・Gdm(s)-1・Gff(s)-1・D(s)*-1・G(s)-1・(D(s)*−G(s))−1
    G(s)は、ステアリングトルク(操舵トルクと反力トルクの和)に対する操舵角の伝達関数
    *(s)は、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の操舵トルクに対する操舵角θの伝達関数を求め、その伝達関数のゲインが最大となる周波数近傍のゲインを小さくしたもの
    である。
  7. 請求項2または請求項3に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記伝達関数をD*(s)としたとき、この伝達関数D*(s)を、以下の式で表される特性に設定したことを特徴とする車両用操舵制御装置。
    *(s)={wn/(s2+2ζ・wn+wn 2)}・D0
    ただし、
    wnは、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の、操舵トルクに対する操舵角θの周波数特性の共振周波数
    0は、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の、操舵トルクに対する操舵角θの周波数特性の定常ゲイン
    ζは、反力トルクFをK・Xvehicleとした場合の、操舵トルクに対する操舵角θの周波数特性のゲイン最大値をGmaxとしたとき、D*(s)のゲイン最大値がGmaxより小さくなるような値
    である。
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