JP2006177470A - 内燃機関のクランクシャフト - Google Patents

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Abstract

【課題】クランクシャフト4の前後方向の寸法を短縮し、内燃機関の小型化を図る。
【解決手段】クランクシャフト4は、複数のメインジャーナル13とクランクピン5とを有し、メインジャーナル13とクランクピン5とがクランクウェブ14によって接続されている。クランクウェブ14の内側の端面14aには、クランクピン5と同心状に環状凹部16が形成されている。クランクピン5に回転自在に取り付けられるロアリンク6のコントロールピン用ピンボス部6aは、軸方向寸法が大となっているが、このピンボス部6aの位置と環状凹部16の位置とが対応しており、ピンボス部6a両端部は環状凹部16内を通過する。従って、各メインジャーナル13の間隔を広げる必要がなく、前後方向の小型化が図れる。
【選択図】図3

Description

この発明は、内燃機関のピストンクランク機構を構成するクランクシャフトの改良に関する。
レシプロ式内燃機関のピストンクランク機構の一種として、本出願人が先に提案した特許文献1〜3等の複リンク式ピストンクランク機構が公知となっている。これは、ピストンのピストンピンに連結されるアッパリンクと、このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、を備えている。そして、上記アッパリンクと上記ロアリンクとは、アッパピンを介して互いに回転可能に連結され、上記コントロールリンクと上記ロアリンクとは、コントロールピンを介して互いに回転可能に連結されている。この複リンク式ピストンクランク機構は、上記コントロールリンクの機関本体側の揺動支点の位置を偏心カムにより変化させることで、可変圧縮比機構として利用することができる。
このような複リンク式ピストンクランク機構を用いた内燃機関においては、従来の単リンク式ピストンクランク機構を備えた内燃機関よりも運動部品の種類が多いため、2部品を回転可能に連結する個所は多くなる。
具体的には、ピストンとアッパリンクとはピストンピンを介して一般的な単リンク式ピストンクランク機構におけるピストンとコネクティングロッドと同様に連結され、また、アッパリンクとロアリンクとはアッパピンを介して連結され、コントロールリンクとロアリンクとはコントロールピンを介して連結されている。
これらのピンを介する回転可能な連結部位は、従来の一般的な単リンク式ピストンクランク機構におけるピストンピン周辺の構造と全く同一の構造とすることも可能であるが、部位によっては、従来のようなピストンピン周辺の構造が採れない場合がある。すなわち、複リンク式ピストンクランク機構を有する内燃機関は部品構成が複雑であるため、各部品の生存空間が一般的に狭くなる傾向があり、特に内燃機関前後方向には寸法の余裕が少なくなる部位があり、回転連結部において、ピンの長さに加えてピンを抜け止めするための両端のスナップリングおよびスナップリング溝外側の土手部分の寸法を確保できない場合がある。
特許文献3では、このような軸方向寸法に余裕がない部位において、外径がピン孔内径より大きいフランジ部と該フランジ部と同軸の雄ねじ部とを有するワッシャを、ピンの両端に形成された雌ねじにねじ込み、両端のワッシャのフランジ部によってピンの軸方向の抜け止めを行う構造が提案されている。
特開2001−227367号公報 特開2002−61501号公報 特開2003−322056号公報
上記の複リンク式ピストンクランク機構を有する内燃機関においても、一般的な単リンク式ピストンクランク機構を有する内燃機関においても、一般的にクランクシャフトに要求される性能のうちの一つに、ねじりおよび曲げに対する剛性の強化が上げられる。クランクピンに対して、クランクシャフト以外の主運動系部品からの慣性力や燃焼に起因する荷重が入力されることにより、クランクシャフトは、曲げ変形やねじり変形を起こす。クランクシャフトの変形により、クランクシャフトの耐久性の悪化、騒音の悪化、フリクションの悪化等が発生しうるが、とりわけねじり変形はクランクシャフトのねじり共振を引き起こし、前記の不具合を顕著に発生することが多い。
特に、複リンク式ピストンクランク機構を備える内燃機関においては、このピストンクランク機構の力学的特性によってクランクピンへ入力される荷重が従来の単リンク式ピストンクランク機構を有する内燃機関よりも大きくなり、ねじり変形や曲げ変形が大きくなる。すなわち、一般的な単リンク式ピストンクランク機構を備える内燃機関においては、ピストンからの燃焼荷重がコネクティングロッドのみを介してクランクピンに入力されるのに対し、上記のような複リンク式ピストンクランク機構を備える内燃機関では、燃焼荷重はアッパリンクとロアリンクを介してクランクピンに入力され、その際に、ロアリンクにおいて、コントロールピンを支点、アッパピンを力点、クランクピンを作用点とする梃子の原理が働き、燃焼荷重が増幅されてクランクピンに入力されるのである。
また、内燃機関の前後長をなるべく小さくするために、各メインジャーナル間の距離はなるべく小さくすることが求められている。クランクピンの長さはクランクピンに連結されるロアリンクもしくはコネクティングロッドの寸法に依存するため、メインジャーナル間距離をなるべく小さく設計しようとすると、クランクウェブの厚さ(クランクシャフト軸方向の寸法)をなるべく小さくするようにクランクシャフトを設計しなければならない。
特に、V型内燃機関等で一つのクランクピンに複数の気筒のロアリンクもしくはコネクティングロッドを連結しなければならない場合、クランクウェブの厚さに対する要求はますます厳しくなる。
さらに、クランクシャフトには、良好な回転バランスを維持することも求められている。一般的に、クランクピンおよび該クランクピンに連結される運動部品の質量に起因する回転アンバランスをキャンセルするために、クランクピンと反対の位相にカウンタウェイトが設置されるが、クランクシャフト全体を小型化するためにはカウンタウェイトの外径をなるべく小さくする必要が有り、その場合にはクランクピン側の質量をなるべく小さくすることでバランスを改善する必要がある。特に複リンク式ピストンクランク機構を有する内燃機関においては、クランクピンに連結されるロアリンクの質量が一般的な単リンク式ピストンクランク機構におけるコネクティングロッドよりも大きくなるために、上記のバランス確保の問題はより切実なものとなる。
本発明はクランクシャフトに求められる上記の課題をより高い次元で達成することを目的になされたものである。
請求項1に係る発明は、内燃機関の軸受部に回転自在に支持されるメインジャーナルと、ピストンに連係したリンク部品が回転自在に取り付けられるクランクピンと、を備え、上記メインジャーナルと上記クランクピンとがクランクウェブを介して接続された内燃機関のクランクシャフトにおいて、上記クランクウェブのクランクピン側の端面に、クランクピン中心と同心状に環状の凹部を形成したことを特徴とする。
従って、上記の凹部により、クランクウェブと、クランクピンに回転可能に結合されるリンク部品(例えば一般的なコネクティングロッドや前述した複リンク式ピストンクランク機構におけるロアリンク等)との内燃機関前後方向の干渉を避けることができ、クランクウェブのクランクシャフト軸方向の厚さおよびメインジャーナル間の間隔を小さくすることが可能になり、ひいては内燃機関を前後方向に小型化することが可能になる。
また、クランクピン近傍のクランクウェブを軽量化できるため、クランクシャフトの回転バランスを良好にすることが容易になる。
本発明の一つの態様では、請求項2のように、一つのクランクピンに、複数のリンク部品が回転可能に連結される。
例えばV型8気筒内燃機関のように一つのクランクピンに複数のリンク部品(例えばコネクティングロッド)が連結される構成では、内燃機関前後方向の部品生存空間が逼迫する傾向が強い。本発明では、上述したように、クランクウェブの凹部によって、上述したように、リンク部品との干渉を回避できる。また、クランクピン側の質量が増加するために一つのクランクスローあたりのクランクシャフトの回転バランスが悪化する傾向が強いが、上述のように、凹部により、クランクシャフトの回転バランスを良好にすることが容易になる。
本発明のクランクシャフトは、請求項3のように、ピストンのピストンピンに一端が連結されるアッパリンクと、このアッパリンクの他端が揺動可能に連結され、かつ上記クランクピンに回転自在に取り付けられるロアリンクと、一端が機関本体側へ揺動可能に支持され、他端が上記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、を備えた複リンク式ピストンクランク機構に適用することができる。
この場合、クランクウェブとロアリンク、クランクウェブとアッパピン、クランクウェブとコントロールピン、の内燃機関前後方向の干渉を避けることが可能になる。これらの部品は、単リンク式ピストンクランク機構のコネクティングロッドよりも一般に内燃機関前後方向に大きな寸法を持つため、干渉を避ける効果は特に有効性を発揮する。特にアッパピンとコントロールピン、ならびに、これらのピンを支承するためにロアリンクまたはアッパリンクまたはコントロールリンクに形成されるボア部は、複リンク式ピストンクランク機構の各構成部品において、最も内燃機関前後方向の寸法が大きくなる部位であるため、これらの部位での部品干渉を避けることにより内燃機関を前後方向に効率的に小型化できる。
請求項4の発明では、上記の凹部におけるクランクウェブのクランクシャフト軸方向の厚さが、クランクウェブの同方向の最大厚さの2/3以上である。このように構成することで、凹部を形成したことによるクランクシャフトの曲げ剛性およびねじり剛性の低下を最小限に抑制することが可能になる。
請求項5の発明では、環状をなす上記凹部の内周縁の半径が、クランクピン中心とメインジャーナル中心との距離と同程度以上である。従って、クランクシャフトの剛性に最も寄与するメインジャーナル中心とクランクピン中心とを結ぶ部位には、凹部が最小限しか形成されないことになり、クランクシャフトの曲げ剛性およびねじり剛性の低下を最小限に抑制することが可能になる。
請求項6の発明では、上記ピストンのストロークが、クランクピン中心とメインジャーナル中心との距離の2倍より大きい。つまり、クランクピンとピストンとの間に、複リンク機構等のストローク増大機構を有することになり、ピストンのストロークの必要量を実現するためのクランクアーム長さが単リンク式ピストンクランク機構用のクランクシャフトよりも相対的に短くなる。従って、クランクピンとメインジャーナルとのオーバーラップが大きくなるため、クランクシャフトの剛性にクランクウェブの厚さが寄与する割合が相対的に小さくなり、クランクウェブに凹部を設けても剛性の低下を最小限に抑制することが可能になる。
請求項7の発明では、メインジャーナル中心とクランクピン中心との距離が、メインジャーナルの半径の120%以下であり、かつクランクピンの半径が、メインジャーナル中心とクランクピン中心との距離の65%以上である。従って、クランクピンとメインジャーナルとのオーバーラップが大きくなるため、クランクシャフトの剛性にクランクウェブの厚さが寄与する割合が相対的に小さくなり、クランクウェブに凹部を設けても剛性の低下を最小限に抑制することが可能になる。
請求項8の発明では、クランクピン中心から上記凹部の半径方向の幅の中央までの距離が、クランクピン中心から上記アッパピン中心までの距離と略一致する。
従って、特にアッパピンおよびアッパピンを保持するピンボス部とクランクウェブとの干渉を回避でき、高出力内燃機関でアッパピン荷重が増えアッパピンの長さを長くしなければならない場合においても、内燃機関の前後方向の寸法を抑制することが可能になる。
請求項9の発明では、本発明のクランクシャフトは、上記アッパピンの端部に、該アッパピンのピン孔からの脱落を防止するために、半径方向へ突出した凸部を備えた複リンク式ピストンクランク機構に適用される。
この構成では、フランジ部等からなる凸部により、アッパピンをピン孔に圧入せずともアッパピンの脱落を防止でき、アッパリンクとロアリンクとの間の回転運動に伴うフリクションロスを低減することができる。なおこの場合に、アッパピン端部の凸部はピン孔の最大幅(ピン軸方向寸法)よりも内燃機関前後方向に突出することになるが、その場合も上記凸部とクランクウェブとの干渉は凹部を形成したことにより避けることができる。
請求項10の発明では、クランクピン中心から上記凹部の半径方向の幅の中央までの距離が、クランクピン中心から上記コントロールピン中心までの距離と略一致する。
従って、特にコントロールピンおよびコントロールピンを保持するピンボス部とクランクウェブとの干渉を回避でき、高出力内燃機関でコントロールピン荷重が増えコントロールピンの長さを長くしなければならない場合においても、内燃機関の前後方向の寸法を抑制することが可能になる。
請求項11の発明では、本発明のクランクシャフトは、上記コントロールピンの端部に、該コントロールピンのピン孔からの脱落を防止するために、半径方向へ突出した凸部を備えた複リンク式ピストンクランク機構に適用される。
この構成では、コントロールピンをピン孔に圧入せずともコントロールピンの脱落を防止でき、コントロールリンクとロアリンクとの間の回転運動に伴うフリクションロスを低減することができる。なおこの場合に、コントロールピン端部の凸部はピン孔の最大幅(ピン軸方向寸法)よりも内燃機関前後方向に突出することになるが、その場合も上記凸部とクランクウェブとの干渉は凹部を形成したことにより避けることができる。
請求項12の発明では、1クランクスローを構成する2つのクランクウェブのクランクシャフト軸方向の厚さの合計が、両者間のクランクピンの長さ以下である。これにより、クランクウェブの厚さを最小に構成できるため内燃機関前後方向の寸法が最小限になる。
本発明によれば、クランクピンに回転可能に取り付けられるコネクティングロッド等のリンク部品とクランクウェブとの干渉を凹部により避けることができ、クランクシャフトひいては内燃機関の前後方向の寸法を小型化することができる。しかも、クランクピン近傍のクランクウェブを軽量化できるため、クランクシャフトの回転バランスを良好にすることが容易になり、カウンタウェイトを含めた小型軽量化が図れる。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。始めに、図5および図6に基づいて、この実施例のクランクシャフトが用いられる複リンク式ピストンクランク機構について説明する。
このピストンクランク機構は、前述した特許文献1等と同様に可変圧縮比機構として適用されるものであって、クランクシャフト4は、複数のメインジャーナル13とクランクピン5とを備えており、シリンダブロック12のバルクヘッドとベアリングキャップとからなる主軸受部11(11a〜11e)に、メインジャーナル13が回転自在に支持されている。上記クランクピン5は、メインジャーナル13から所定量偏心しており、ここにロアリンク6が回転自在に連結されている。
上記ロアリンク6は、クランクピン5への組み付けのために、クランクピン5中心を通る分割面に沿って2部材に分割可能に構成されており、略中央のクランクピン軸受部に上記クランクピン5が嵌合している。
アッパリンク3は、下端側がアッパピン9によりロアリンク6の一端に回動可能に連結され、上端側がピストンピン2によりピストン1に回動可能に連結されている。上記ピストン1は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック12のシリンダ内を往復動する。
ロアリンク6の運動を拘束するコントロールリンク8は、上端側がコントロールピン10によりロアリンク6の他端に回動可能に連結され、下端側が制御軸7を介して機関本体の一部となるシリンダブロック12の下部に回動可能に連結されている。詳しくは、制御軸7は、回転可能に機関本体に支持されているとともに、その回転中心から偏心している偏心カム部を有し、この偏心カム部に上記コントロールリンク8下端部が回転可能に嵌合している。上記制御軸7は、図示せぬエンジンコントロールユニットからの制御信号に基づいて作動する図示せぬ圧縮比制御アクチュエータによって回動位置が制御される。
上記のような複リンク式ピストンクランク機構を用いた可変圧縮比機構においては、特許文献1等に開示されているように、上記制御軸7が圧縮比制御アクチュエータによって回動されると、偏心カム部を介してコントロールリンク8の下端の揺動支持位置が変化する。そして、上記コントロールリンク8の揺動支持位置が変化すると、ピストン1の行程が変化し、ピストン上死点(TDC)におけるピストン1の位置が高くなったり低くなったりする。これにより、機関圧縮比が変化する。
図6(図5のA−A線にほぼ沿った断面図)に示すように、この実施例は、直列4気筒内燃機関であって、クランクシャフト4は、長手方向の5箇所にメインジャーナル13を有し、シリンダブロック12の5箇所の主軸受部11a〜11eに、それぞれ回転自在に支持されている。
次に、図1および図2に基づいて、本発明に係るクランクシャフト4の要部を説明する。
図1はクランクシャフト4の側面図であり、直列4気筒機関用のクランクシャフト4の1気筒分を抜き出して図示したものである。図2は図1のクランクシャフト4をクランクピン5の長手方向中央で切断した図1のB−B線に沿った断面図である。
クランクシャフト4は、上述したようにシリンダブロック12の主軸受部11にメインジャーナル13が支持され、クランクピン5にロアリンク6が回転自由に取り付けられる。本実施例の場合は、クランクシャフト4は、例えば鍛造等によって、4気筒分すべてが連続した単一の材料から形成されている。クランクピン5はメインジャーナル13に対し偏心しており、このクランクピン5とメインジャーナル13とは、クランクウェブ14によって一体に接続されている。クランクウェブ14のクランクピン5とメインジャーナル13の中心17を挟んで反対となる角度位置に、カウンタウェイト15が形成されており、クランクピン5とロアリンク6の質量に起因する回転中心17周りの回転アンバランスをなるべく釣り合わせるように構成されている。
そして、一対のクランクウェブ14の互いに対向する端面14aつまりクランクウェブ14のクランクピン5側の端面14aに、クランクピン5の中心18と同心状に環状の凹部16が形成されている。この凹部16は、クランクシャフト4の軸方向に窪んだ溝状をなすものであって、図2に示すように、完全な環状には連続しておらず、クランクウェブ14の両側面に端部が開放された円弧状をなしている。このような凹部16を形成することにより、メインジャーナル13の回転中心17を中心としてクランクピン5側に位置する部位の質量を低減することができ、クランクシャフト4の回転バランスをより良好にすることができる。
図3は、上記クランクシャフト4をメインジャーナル13の回転中心17とクランクピン5の中心18とを通る平面に沿って切断した断面図(すなわち図2のC−C断面)である。なお、図3にはクランクピン5に連結されるロアリンク6も図示してあり、ロアリンク6のコントロールピン10中心が図2のC−C線に一致した位置関係で図示している。ロアリンク6のコントロールピン10両端部を支持する二股状ピンボス部6aの軸方向の全長(外側の端面の間の距離)は、クランクピン5に連結されるロアリンク6中央の軸受ハウジング部6bの軸方向寸法よりも長くなっており、つまり、図3の左右に突出している。従って、従来技術のクランクシャフトであれば一対のクランクウェブ14の内側端面14a同士の間隔をコントロールピン用ピンボス部6aの全長よりも広くしなければならないが、本実施例では、環状の凹部16の半径方向の幅の中央の点が、コントロールピン10の中心の位置と略一致している。換言すれば、クランクピン5の中心18からの半径が互いに略一致している。従って、環状の凹部16内をコントロールピン用ピンボス部6aの端部が通過することになり、互いに対向する一対の環状凹部16の底面の間の間隔を、コントロールピン用ピンボス部6aの幅よりも広くすれば良いため、環状凹部16の深さの分だけクランクシャフト4の長さを短縮することができ、ひいては内燃機関全体を前後方向に小型化することが可能になる。特に、軸受部位にかかる面圧を最適化するためには、コントロールピン用ピンボス部6aの軸方向長さは、クランクピン軸受ハウジング6bの軸方向寸法よりも長くなる傾向があるため、複リンク式ピストンクランク機構を備えた内燃機関においては環状凹部16による小型化効果は有効性が高い。
なお、本実施例ではロアリンク6のコントロールピン用ピンボス部6aとクランクウェブ14端面14aとの位置関係に着目して環状凹部16を形成したが、アッパピン用ピンボス部についても同様の課題が存在しうる。従って、この場合は環状凹部16の半径方向の幅の中央がクランクピン5の中心18からアッパピン9中心までの距離と一致するように環状凹部16を形成すれば、アッパピン用ピンボス部の軸方向長さを確保しつつ内燃機関全体を小型化することが可能になる。
また、上記の環状凹部16の形状には幾つかの特徴がある。図3において、環状凹部16が形成された部位のクランクウェブ14の厚さt1は、環状凹部16が形成されない部位におけるクランクウェブ14の一般厚さt2の2/3以上とされている。また、環状凹部16の内周縁つまり内周側の境界面21の半径(クランクピン5の中心18からの半径)は、クランクピン5の中心18からメインジャーナル13の回転中心17までの距離よりも長い。これらの形態的な特徴により、環状凹部16を形成したにもかかわらず、クランクシャフト4のねじり剛性および曲げ剛性に最も寄与するクランクピン5とメインジャーナル13との連結部位22には充分な部材の肉厚を確保することができ、軽量化やバランス改善および小型化の効果を充分に得つつも、剛性の低下を最小限に抑制することが可能になる。特に本実施例ではクランクウェブ14の一般部の厚さt2は、両側のクランクウェブ14を合計してもクランクピン5の長さよりも短くなるように薄く形成されており、凹部16を上記の特徴に合致しない形状で形成すると剛性の低下が許容できないレベルに達する恐れがある。
また上記実施例では、環状凹部16のみならずクランクシャフト4全体の形状にも特徴がある。本実施例では複リンク式ピストンクランク機構を用いているため、内燃機関のピストンストロークは、メインジャーナル13の中心17とクランクピン5の中心18との距離の2倍以上になっており、さらにメインジャーナル13の中心17とクランクピン5の中心18との距離がメインジャーナル13の半径の120%以下であり、かつクランクピン5の半径がメインジャーナル13の中心17とクランクピン5の中心18との距離の65%以上になるように設計されている。これらの特徴により、クランクピン5とメインジャーナル13とを連結する連結部位22には、さらに充分な部材の肉厚を確保することができ、クランクシャフトのねじりおよび曲げ剛性を充分に高くすることが可能になっている。
次に、図4は単リンク式ピストンクランク機構に適用した本発明の第2実施例の説明図であり、図3と同様にクランクシャフト4をメインジャーナル13の中心17とクランクピン5の中心18とを通る平面で切断した断面図である。第2実施例のクランクシャフト4の基本的な構成は第1実施例と同様であるが、第2実施例は、このクランクシャフト4をバンク角90°のV型8気筒内燃機関に適用したものであり、クランクピン5に2組のコネクティングロッド23を回転可能に連結した点が異なっている。2組のコネクティングロッド23のうち一方は右バンクの気筒のピストンに、他方は左バンクの気筒のピストンに連結されている。なお、左右バンクの2つのコネクティングロッド23は一般にクランクシャフト4に対して異なる角度を取るが、本図では便宜上両者ともコネクティングロッド23をロッド本体とキャップとの締結面に沿って切断した断面図として図示している。V型内燃機関の前後方向の寸法を小型化しようとした場合、各バンクの気筒のボア間のピッチを小さくすることも勿論であるが、左バンクと右バンクとの気筒中心の位置の前後方向のオフセット量を小さくすることも必要である。両バンクの気筒中心のオフセット量はすなわちクランクピン5に連結される複数のコネクティングロッド23の中心間距離であるため、内燃機関の小型化のためにはコネクティングロッド23はなるべく薄く形成しなければならない。クランクピン5に嵌合するコネクティングロッド23大端部の内周側の軸受部23aの厚さ(軸方向寸法)は、クランクピン5を大径化すれば軸受部の最大面圧を下げることが出来るため薄くすることが可能であるが、ロッド本体とキャップとを連結する外周側の締結部23bの厚さ(軸方向寸法)はねじの締結強度に依存して決定されるため、極端に薄くすることは困難である。本実施例では、軸受部23aと締結部23bとを前後(軸方向)にオフセットした構造とし、締結部23bの軸方向に突出した部分23cとクランクピン5と同心状の環状凹部16との位置を一致させることにより、各メインジャーナル13の間隔を長くすること無く一対のコネクティングロッド23を配置することが可能になる。また、第1実施例の場合と同様に、環状凹部16が形成されたことによりクランクピン5側の重量が軽減されるため、クランクシャフト4の回転バランスが改善される。V型内燃機関においては1つのクランクピン5に複数のコネクティングロッド23が連結されるために、1つのクランクピンに1つのコネクティングロッドが連結される直列4気筒などの内燃機関よりもクランクシャフト4の回転バランスが悪化する傾向にあるため、環状凹部16によるバランスの改善効果はV型内燃機関においてより有効である。
この発明に係るクランクシャフトの第1実施例を示す要部の側面図。 図1のB−B線に沿った断面図。 ロアリンクを組み付けた状態で示す図2のC−C線に沿った断面図。 この発明に係るクランクシャフトの第2実施例を示す図3と同様の断面図。 第1実施例のクランクシャフトが用いられる複リンク式ピストンクランク機構の構成説明図。 図5のA−A線に沿った断面図。
符号の説明
4…クランクシャフト
5…クランクピン
6…ロアリンク
10…コントロールピン
14…クランクウェブ
16…凹部

Claims (12)

  1. 内燃機関の軸受部に回転自在に支持されるメインジャーナルと、ピストンに連係したリンク部品が回転自在に取り付けられるクランクピンと、を備え、上記メインジャーナルと上記クランクピンとがクランクウェブを介して接続された内燃機関のクランクシャフトにおいて、
    上記クランクウェブのクランクピン側の端面に、クランクピン中心と同心状に環状の凹部を形成したことを特徴とする内燃機関のクランクシャフト。
  2. 一つのクランクピンに、複数のリンク部品が回転可能に連結されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のクランクシャフト。
  3. 上記ピストンのピストンピンに一端が連結されるアッパリンクと、このアッパリンクの他端が揺動可能に連結され、かつ上記クランクピンに回転自在に取り付けられるロアリンクと、一端が機関本体側へ揺動可能に支持され、他端が上記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、を備えた複リンク式ピストンクランク機構に適用されることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のクランクシャフト。
  4. 上記の凹部におけるクランクウェブのクランクシャフト軸方向の厚さが、クランクウェブの同方向の最大厚さの2/3以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のクランクシャフト。
  5. 環状をなす上記凹部の内周縁の半径が、クランクピン中心とメインジャーナル中心との距離と同程度以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関のクランクシャフト。
  6. 上記ピストンのストロークが、クランクピン中心とメインジャーナル中心との距離の2倍より大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関のクランクシャフト。
  7. メインジャーナル中心とクランクピン中心との距離が、メインジャーナルの半径の120%以下であり、かつクランクピンの半径が、メインジャーナル中心とクランクピン中心との距離の65%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関のクランクシャフト。
  8. クランクピン中心から上記凹部の半径方向の幅の中央までの距離が、クランクピン中心から上記アッパピン中心までの距離と略一致することを特徴とする請求項3記載の内燃機関のクランクシャフト。
  9. 上記アッパピンの端部に、該アッパピンのピン孔からの脱落を防止するために、半径方向へ突出した凸部を備えた複リンク式ピストンクランク機構に適用されることを特徴とする請求項8記載の内燃機関のクランクシャフト。
  10. クランクピン中心から上記凹部の半径方向の幅の中央までの距離が、クランクピン中心から上記コントロールピン中心までの距離と略一致することを特徴とする請求項3記載の内燃機関のクランクシャフト。
  11. 上記コントロールピンの端部に、該コントロールピンのピン孔からの脱落を防止するために、半径方向へ突出した凸部を備えた複リンク式ピストンクランク機構に適用されることを特徴とする請求項10のクランクシャフト。
  12. 1クランクスローを構成する2つのクランクウェブのクランクシャフト軸方向の厚さの合計が、両者間のクランクピンの長さ以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の内燃機関のクランクシャフト。
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