JP2006176578A - マレイミド系共重合体組成物、その製造方法およびその成形体 - Google Patents

マレイミド系共重合体組成物、その製造方法およびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】未反応単量体及びその他の揮発性成分含有量が非常に少ない上、耐熱性が極めて高くかつ色相が良好なマレイミド系共重合体組成物とその工業的な製造方法ならびにその成形体を提供する。
【解決の手段】芳香族ビニル単量体単位55〜35質量部、マレイミド単量体単位45〜65質量部及びこれら単量体と共重合可能な単量体単位0〜10質量部からなるマレイミド系共重合体100質量部に対し液状ポリジエン0.01〜4質量部を添加し、かつマレイミド単量体の含有量が0.1〜300ppmであるマレイミド系共重合体組成物ならびのその製造方法ならびにその成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は諸物性のバランスに優れたマレイミド系共重合体組成物、その製造方法およびその成形体に関する。
従来からABS樹脂等の耐熱性を改良する目的で、マレイミド系共重合体が耐熱付与材として用いられている。マレイミド系共重合体を得る方法としては、マレイミド単量体、芳香族ビニル単量体およびその他共重合可能なモノマーを共重合して得る方法や、不飽和ジカルボン酸無水物、芳香族ビニル単量体およびその他共重合可能なモノマーを共重合した後、不飽和ジカルボン酸無水物基を1級アミン等でイミド化する事により得る方法がある。一方、マレイミド系共重合体に含まれるマレイミド系単量体等の揮発性成分は低分子量で反応性に富み、刺激性、臭気があるため、環境面等の問題から一般にそれらの残留量の低減が望まれている。そこで、重合終了後にマレイミド系共重合体をベントタイプスクリュー式押出機で造粒する際に、マレイミド単量体等の未反応単量体や溶剤を除去することが多く行われるが、樹脂温度を上げると溶剤の除去は効率よく行われるものの、樹脂温度が上がると樹脂の熱劣化による解重合を伴い、結果としてマレイミド系単量体の残存量を減らせないという問題がある。重合率を上げて、未反応マレイミド単量体を減らしたマレイミド系共重合体を用いても同様の状況となり、結果として揮発成分を少なくすることは難しかった。
この問題を解決するために、マレイミド単量体とディールスアルダー反応するジエン化合物をマレイミド系共重合体の製造時に添加して未反応マレイミド単量体の少ないマレイミド系共重合体を得る方法(特許文献1、特許文献2)が提案されている。この方法では重合直後の未反応マレイミド単量体は低減できるものの、造粒時に解重合してマレイミド単量体が新たに発生することや、反応によって生じたディールスアルダー反応付加体が低分子量であるため、刺激性、臭気の問題は解決できなかった。
特開平12−248010号公報 WO99/60040
溶剤に起因する揮発成分と造粒中の解重合で発生する揮発成分の両者を少なくしたマレイミド系共重合体を提供する。
すなわち本発明は、
1)芳香族ビニル単量体単位55〜35質量部、マレイミド単量体単位45〜65質量部及びこれら単量体と共重合可能な単量体単位0〜10質量部からなるマレイミド系共重合体100質量部に対し液状ポリジエン0.01〜4質量部を添加し、かつマレイミド単量体の含有量が0.1〜300ppmであるマレイミド系共重合体組成物。
2)液状ポリジエンの数平均分子量が500〜10000、および粘度が500〜5000mPa・sである1)のマレイミド系共重合体組成物。
3)マレイミド系共重合体のガラス転移温度が180〜230℃、重量平均分子量が60000〜200000である1)または2)のマレイミド系共重合体組成物。
4)マレイミド単量体以外の揮発性成分が0.1〜1000ppm、黄色度が5未満である1)〜3)のいずれかのマレイミド系共重合体組成物。
5)液状ポリジエンがポリブタジエンである1)〜4)のいずれかのマレイミド系共重合体組成物。
6)芳香族ビニル単量体と不飽和ジカルボン酸無水物との共重合体を第1級アミンでマレイミド化して製造したマレイミド系共重合体100質量部に、液状ポリジエンを0.01〜4質量部およびラジカル捕捉剤を0.01〜2質量部を添加するマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
7)液状ポリジエンがポリブタジエンである6)のマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
8)1%加熱減量温度が290℃を超えるラジカル捕捉剤を用いた6)または7)のマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
9)ラジカル捕捉剤を2種以上併用する6)〜8)のいずれかのマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
10)不飽和ジカルボン酸無水物基に対して0.01〜0.10モル当量のトリエチルアミン存在下で1.0〜1.4モル当量のアニリンを用いてマレイミド化する6)〜9)のいずれかのマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
11)マレイミド系共重合体に液状ポリジエンおよびラジカル捕捉剤を配合した後、ベントタイプスクリュー式押出機を用いて樹脂温度が360℃未満の温度で、かつ4000Pa以下の減圧下で揮発性成分を脱揮する6)〜10)のいずれかのマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
12)1)〜5)のいずれかのマレイミド系共重合体を成形してなる成形体。
13)6)〜11)のいずれかの製造方法で得られたマレイミド系共重合体組成物を成形してなる成形体である。
本発明により、マレイミド単量体含有量およびその他揮発性成分含有量のいずれも少なく、かつマレイミド単量体単位が多くて耐熱性の極めて高いマレイミド系共重合体組成物を得ることができ、電子レンジ加熱に対応できるような耐熱性が要求される各種成形体、食品容器、食品包装材料の耐熱付与材として好適に用いる事ができる。
マレイミド系共重合体は、芳香族ビニル単量体単位、マレイミド単量体単位を必須単位とするマレイミド系共重合体を有して、マレイミド系共重合体の製造時に芳香族ビニル単量体単位55〜35質量部、マレイミド単量体単位45〜65質量部及びこれら単量体と共重合可能な単量体単位0〜10質量部からなるマレイミド系共重合体100質量部に液状ポリジエンを添加し、ガラス転移温度が180〜230℃、マレイミド単量体の含有量が0.1〜300ppm、重量平均分子量が6〜20万である事を特徴とするマレイミド系共重合体である。
マレイミド系共重合体は、芳香族ビニル単量体単位、マレイミド単量体単位を必須単位とするマレイミド系共重合体と液状ポリジエンとを含有する。液状ポリジエンはマレイミド系共重合体の製造時あるいは製造後のいずれか一方で、或いは両方で添加しても良い。液状ポリジエンは固体状のポリジエンとは異なり、事前の溶解工程、粉砕工程が不要で直接反応缶に供給する事ができるため、本発明では液状ポリジエンを用いる事が望ましい。固体状ポリジエンを用いると、脱揮押出時の樹脂温度が著しく上昇し好ましくない傾向がある。
また、液状ポリジエンは、マレイミド系共重合体組成物をベントタイプスクリュー式押出機で造粒する際の熱劣化で発生するマレイミド単量体を効率的に捕捉する事ができる。
主として本発明で使用される液状ポリジエンは特に限定されるものではないが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2、3−ジメチルブタジエン)、ポリシクロヘキサジエン、ポリシクロペンタジエン、ポリクロロプレン等が挙げられる。これらの液状ポリジエンは、2種類以上併用しても良いが、単独で用いるのが好ましく、更にこれらの中で液状ポリブタジエンを単独で使用する事が最も好ましい。
マレイミド系共重合体製造時の液状ポリジエンの添加のタイミングは、特に限定されるものではなく、重合初期に重合性単量体混合物に対して添加しても良く、重合中或いは重合後の反応混合物に添加しても良い。また、揮発性成分を含むマレイミド系共重合体組成物をベントタイプスクリュー式押出機で造粒する際、液状ポリジエンを添加しても良い。
マレイミド系共重合体組成物は、製造時に液状ポリジエンを添加しているため、マレイミド系共重合体組成物中には液状ポリジエンや液状ポリジエン誘導体を含有する。ここで液状ポリジエン誘導体とは、液状ポリジエンを出発物質として得られる物質であれば特に限定されるものではないが、例えば液状ポリジエンに芳香族ビニル単量体、マレイミド単量体等の単量体がグラフト重合したグラフト重合生成物、グラフト重合生成物の熱分解物、液状ポリジエンとマレイミド単量体との反応物、フリーの液状ポリジエンの熱分解物等を挙げる事ができる。液状ポリジエン含有量や液状ポリジエン誘導体含有量はハロゲン付加法、ソックスレー抽出法、高速液体クロマトグラフィー-質量分析法、高速液体クロマトグラフィー-赤外分光分析装置、GPCなどにより定性定量する事ができる。
液状ポリジエンは、有機溶剤などの揮発性成分を含有しないものを指し、純度99%以上の液状ポリジエンを用いる事が好ましい。本発明で使用される液状ポリジエンの数平均分子量は500〜10000であり、好ましくは1000〜5000である。また、液状ポリジエンの粘度は、500〜5000mPa・sであり、1000〜3000mPa・sがより好ましい。
数平均分子量が10000を越える場合や粘度が5000mPa・sを越える場合は、ハンドリングが難しくなる場合があり、数平均分子量が500未満や粘度が500mPa・s未満の場合は、臭気が大きくなる可能性がある。
液状ポリジエンの添加量は、マレイミド系共重合体を100質量部に0.01〜4質量部である。好ましい添加量は0.5〜4質量部、特に好ましい添加量は2〜4質量部である。添加量が少ないと、マレイミド系共重合体組成物中のマレイミド単量体含有量の低減が不十分となる場合がある。また添加量が多いと、マレイミド系共重合体組成物の耐熱性が悪化する傾向がある。
マレイミド系共重合体中のマレイミド単量体単位は全単量体単位の45〜65質量部である事が必要である。好ましくは50〜65質量部、特に好ましくは53〜60質量部である。含有量が少ないと、得られるマレイミド系共重合体組成物の耐熱付与材としての機能が低下し、本発明の目的を達成できないことがある。含有量が多いと、得られるマレイミド系共重合体の耐熱性が向上するが、得られるマレイミド系共重合体組成物及びそれを用いた成形品の成形性が悪化することがある。
マレイミド系共重合体中のマレイミド単量体単位は、主に単量体の仕込み組成により制御する事ができ、マレイミド系共重合体のマレイミド単量体単位の含有量はNMR測定、元素分析、熱分解ガスクロマトグラフィー等により求める事ができる。
マレイミド系共重合体のガラス転移温度は、180〜230℃であり、好ましくは190〜220℃、更に好ましくは200〜220℃である。
ガラス転移温度が180℃より低いと、得られるマレイミド系共重合体組成物の耐熱性が低下しやすく、耐熱性を付与の効果が十分でないことがある。また230℃より高い場合は、得られるマレイミド系共重合体組成物を造粒する工程で樹脂温度が高くなり易く、樹脂の解重合を伴う熱劣化によりレイミド系共重合体中の揮発性成分が増加する傾向がある。マレイミド系共重合体のガラス転移温度は、マレイミド系共重合体中のマレイミド単量体単位の含有量やマレイミド系共重合体の分子量、可塑剤等の添加剤量により制御する事ができ、マレイミド系共重合体のガラス転移温度は示差走査熱量分析、動的粘弾性分析等により求める事ができる。
マレイミド系共重合中のマレイミド単量体は、0.1〜300ppmである。好ましくは0.1〜100ppm、更に好ましくは0.1〜70ppm、特に好ましくは0.1〜10ppmである。含有量が300ppmより多いと、得られるマレイミド系共重合体組成物の色相が悪化し、臭気が問題になる場合がある。
マレイミド系共重合体の重量平均分子量は、60000〜200000であり、好ましくは90000〜140000、更に好ましくは80000〜120000である。重量平均分子量が200000を越えるとベントスクリュータイプ押出機で造粒する工程において、マレイミド系共重合体が熱劣化し、揮発成分が増える可能性があり、重量平均分子量が60000より低いと、マレイミド単量体含有量、マレイミド単量体以外の揮発性成分含有量が増加する傾向がある。
マレイミド系共重合体組成物中のマレイミド単量体以外の揮発性成分含有量は、0.1〜1000ppmであり、好ましくは0.1〜800ppm、より好ましくは0.1〜500ppm、特に好ましくは0.1〜300ppmである。含有量が800ppmより多いと得られるマレイミド系共重合体組成物の用途が限定される場合がある。
マレイミド系単量体以外の揮発性成分としては、芳香族ビニル系単量体の単量体の他、マレイミド系単量体および芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体、これら単量体群から選ばれる任意の組み合わせの2量体から6量体程度のオリゴマー分、溶液重合法を採用する場合は使用される溶剤、後述するが後イミド化法を採用する場合はアミン類が挙げられる。これらの揮発性成分のうちオリゴマー類、非重合性溶剤類、アミン類についてはマレイミド系共重合体組成物の脱揮時の樹脂温度を320〜360℃程度とし、真空度を2000Pa程度にする事で数ppmオーダーまで十分に低減する事ができる。しかし、同様の脱揮条件下では、解重合を伴う樹脂の熱劣化によるマレイミド系共重合体組成物中の単量体、例えば芳香族ビニル系単量体が増加するため、本発明では、ラジカル捕捉剤を用いることが好ましい。
本発明のマレイミド系共重合体組成物中のマレイミド単量体残留量、芳香族ビニル系単量体残留量、及びその他の揮発性成分残留量はガスクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置、高速液体クロマトグラフィー等により定量する事ができる。
ラジカル捕捉剤は、主としてベントタイプスクリュー式押出機での造粒工程の熱劣化で発生する芳香族ビニル単量体等の単量体を低減する目的で用いられる。
本発明で使用されるラジカル捕捉剤は特に限定されるものではないが、例えばフェノール系化合物、有機リン系化合物、有機硫黄系化合物、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。これらのラジカル捕捉剤は単独で用いても良く、2種類以上を併用すると更に好ましい。これらのラジカル捕捉剤は、1%加熱減量温度が290℃を超えるものが好ましく、5%加熱減量温度が330℃を超えるラジカル捕捉剤が更に好ましい。
ラジカル捕捉剤の添加量は、0.01〜2質量部添加し、好ましい添加量は0.3〜2質量部、特に好ましい添加量は0.6〜2質量部である。添加量が0.01質量部より少ないと、揮発性成分低減が不十分となり、添加量が2質量部より多いと、マレイミド系共重合体の色相が悪化する傾向がある。
ラジカル捕捉剤の添加のタイミングは特に限定されないが、マレイミド系共重合体生成物組成物をベントタイプスクリュー式押出機で造粒する際に添加する事が好ましい。
マレイミド系共重合体生成物組成物のベントタイプスクリュー式押出機で造粒する工程における樹脂温度は、押出機内での溶融状態のマレイミド系共重合体の最大温度の事である。この樹脂温度は樹脂のガラス転移温度、溶融粘度、押出機のスクリュー回転数、押出機の加熱温度により調整可能である。マレイミド系共重合体組成物の製造方法における樹脂温度は、360℃未満である事が好ましく、好ましくは355℃未満、更により好ましくは350℃未満である。
芳香族ビニル単量体としては特に限定されるものではないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられるが、これらの芳香族ビニル単量体は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良いが、スチレン或いはα−メチルスチレンを単独で使用する事が特に好ましい。これら芳香族ビニル単量体単位は、マレイミド系共重合体組成物中35〜55質量部あることが必要である。好ましくは35〜50質量部、特に好ましくは40〜55質量部である。含有量が多いと、得られるマレイミド系共重合体組成物の耐熱付与材としての機能が低下し、本発明の目的を達成できないことがある。また含有量が少ないと、得られるマレイミド系共重合体組成物の耐熱性が向上するが、得られるマレイミド系共重合体組成物及びそれを用いた成形品の成形性が悪化することがある。
マレイミド系共重合体の重合様式においては特に限定がなく溶液重合、塊状重合等公知の方法で製造できるが、溶液重合がより好ましい。溶液重合で用いる溶剤は非重合性である事が好ましい。また、重合プロセスは回分式重合法、半回分式重合法、連続式重合法のいずれの方式であっても差し支えない。
マレイミド系共重合体の重合方法は特に限定されないが、好ましくはラジカル重合により得られる。重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスメチルプロピオニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル等の公知のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の有機過酸化物を用いることができる。これらの重合開始剤は2種類以上を併用しても差し支えないが、従来のスチレン系樹脂の製造において常用されているもの、例えば10時間半減期温度が70〜120℃であるアゾ化合物や有機過酸化物を用いるのが好ましい。使用量は特に限定されるものではないが、全単量体単位100質量部に対し0.1〜1.5質量部使用する事が好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0質量部である。0.1質量部未満であると、十分な重合速度が得られない場合がある。1.5質量部を超えると重合速度が増大し反応制御が困難になり、マレイミド系共重合体の目標分子量が得られない場合がある。
マレイミド系共重合体の製造には、必要に応じて連鎖移動剤を使用する事ができる。使用される連鎖移動剤としては特に限定されるものではないが、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンや2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。使用量は特に限定されるものではないが、全単量体単位100質量部に対し0.01〜0.8質量部使用する事が好ましく、更に好ましくは0.1〜0.5質量部である。0.01質量部未満であると本発明のマレイミド系共重合体の分子量が大きくなり、ABS樹脂等との混合性が悪化する場合がある。含有量が多いとマレイミド系共重合体の分子量が著しく低くなり、ABS樹脂等と混合後の物性が悪化する場合がある。
マレイミド系共重合体製造時の重合温度は好ましくは60〜150℃であり、さらに好ましくは70〜120℃である。60℃未満では十分な重合速度が得られず、重合に要する時間が長くなる事から生産性の面から好ましくない場合がある。重合温度が150℃を超えると、熱重合の割合が著しく増加するために十分な分子量が得られない場合がある。
非重合性溶剤の種類としては特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等の溶剤があり、揮発性、共重合体の溶解性等の取り扱い易さ等からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが特に好ましい。
マレイミド単量体単位の導入方法としては、マレイミド単量体を芳香族ビニル単量体やその他共重合可能な単量体と共重合する方法(直接法)、或いは不飽和ジカルボン酸無水物を芳香族ビニル単量体やその他共重合可能な単量体と予め共重合しておき、更に第1級アミンで不飽和ジカルボン酸無水物基を反応させる事により不飽和ジカルボン酸無水物基をマレイミド単量体単位に変換する方法(後イミド化法)がある。少量の不飽和ジカルボン酸が残り易い後イミド化法で得られたマレイミド系共重合体の方が、ABS樹脂との相溶性に優れていることが多く好ましい。マレイミド単量体単位としては特に限定されるものではないが、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド等が挙げられるが、これらのマレイミド単量体は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても差し支えないが、N−フェニルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミドを使用する事が特に好ましい。
後イミド化法に使用される第1級アミンとしては特に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、デシルアミン等のアルキルアミン類及びクロル又はブロム置換アルキルアミン、アニリン、トルイジン、ナフチルアミン等の芳香族アミンが挙げられるが、これらの中でアニリン、シクロヘキシルアミンが特に好ましい。また、これらの第1級アミンは単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても差し支えない。第1級アミンの添加量は特に限定されるものではないが、不飽和ジカルボン酸無水物基に対して大過剰(等モル以上)の第1級アミンを添加してイミド化を行えば、不飽和ジカルボン酸無水物基をマレイミド単量体単位に完全に変換する事ができる。マレイミド単量体単位を後イミド化法で導入する際、第1級アミンと不飽和ジカルボン酸無水物基との反応、特に不飽和ジカルボン酸無水物基からマレイミド基に変換する反応において、脱水閉環反応を向上させる目的で必要に応じて触媒を使用する事ができる。触媒の種類は特に限定されるものではないが、例えば第3級アミンを使用する事ができる。第3級アミンとしては特に限定されるものではないが、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N、N−ジメチルアニリン、N、N−ジエチルアニリン等が挙げられる。後イミド化法で不飽和ジカルボン酸無水物基に対して用いる第1級アミンの量は特に限定されないが1.0〜1.4モル当量、好ましくは1.0〜1.2モル等量である。
第3級アミンの添加量は特に限定されるものではないが、不飽和ジカルボン酸無水物基に対し、0.01〜0.10モル当量、好ましくは0.01〜0.04モル当量である。
イミド化反応の温度は好ましくは80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜200℃である。80℃未満の場合には反応速度が遅く反応完結までに長時間を要し生産性の面から好ましくない場合がある。一方、250℃を越える場合にはマレイミド系樹脂の熱劣化による物性低下をきたす場合がある。
マレイミド系共重合体は、芳香族ビニル単量体およびマレイミド単量体を必須単位とするが、これら2種の単量体と共重合可能な単量体単位を共重合しても差し支えない。共重合可能な単量体の種類は特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸等を挙げる事ができる。これらの単量体のうち、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物単量体が反応性に富み、種々の高分子反応に利用できる事からより好ましい。マレイミド系共重合体組成物中のこれらの単量体単位は0〜10質量部、好ましくは0〜8重量部、特に好ましくは0〜5質量部である。
マレイミド系共重合体組成物にはスチレン−アクリロニトリル共重合樹脂(SAN樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチレン共重合樹脂、アクリロニリル−アクリル系ゴム−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン系ゴム−スチレン共重合樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリウレタン等と混合することもでき、これら樹脂への耐熱付与材として用いる事ができる。
マレイミド系共重合体を後イミド化法で製造する場合は、不飽和ジカルボン酸無水物基などの反応性官能基含有量の調整が容易である事から、反応性官能基を利用して各種アロイの相溶化剤として用いる事もできる。
また、マレイミド系共重合体組成物をABS樹脂等の耐熱付与材や各種アロイの相溶化剤として使用する際に、さらに安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、ガラス繊維、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤等を添加しても差し支えない。
マレイミド系共重合体組成物の黄色度は特に限定されないが好ましくは5未満であり、更に好ましくは3.5未満、特に好ましくは2.5未満である。黄色度が高いと得られるマレイミド系共重合体組成物の色相が悪化する傾向があり、好ましくない場合がある。
以下本発明を実施例によって説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例1 攪拌機を備えた300lのオートクレーブ中にスチレン60.0kg、メチルエチルケトン11.2kg、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.16kg、液状ポリブタジエン(日本ゼオン社製ポリオイル110、数平均分子量1600、粘度800mPa・s)0.06kg、系内を窒素ガスで十分置換した後、缶内温を92℃に昇温した。別容器に調整した無水マレイン酸40kg、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.16kgをメチルエチルケトン126kgに溶解した溶液を均一な添加速度で5時間かけて添加した。添加後120℃に昇温し、更に1時間反応させた後、無水マレイン酸基に対して1.2モル当量のアニリン及び無水マレイン酸基に対して0.02モル当量のトリエチルアミンをそれぞれ添加した。その後缶内温を155℃まで昇温し、5時間反応を行った。反応終了後のイミド化反応液をベントタイプスクリュー式押出機に投入し、揮発分を除去してペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は358℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例2 液状ポリブタジエンを0.36kgとし、イミド化反応終了後のイミド化反応液にラジカル捕捉剤として住友化学社製スミライザーGA−80、化学名:3,9−ビス[2−[3−(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]2,4,8、10、テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン)を0.08kg添加した以外は実施例1と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は357℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例3 2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを0.25kg、液状ポリブタジエンを0.78kg、ラジカル捕捉剤を0.4kgに変更した以外は、実施例2と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は353℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例42、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを0.25kg、液状ポリブタジエンを0.78kg、ラジカル捕捉剤としてスミライザーGA−80を0.2kg、住友化学社製スミライザーTP−D、化学名:ペンタエリチリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート0.2kg添加した以外は実施例2と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は355℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例5 2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを0.25kg、液状ポリブタジエンを3.4kg、ラジカル捕捉剤としてスミライザーGA−80を0.8kg、スミライザーTP−Dを0.7kg添加した以外は実施例2と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は348℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例6 液状ポリブタジエン3.4kgを重合反応終了後に添加した以外は実施例5と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は348℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例7 液状ポリブタジエン3.4kgをイミド化反応終了後に添加した以外は実施例5と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は348℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例8 ラジカル補足剤としてスミライザーGA−80を1.5kgに変更した以外は実施例5と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は348℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例9 攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン53kg、メチルエチルケトン11.2kg、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.25kg、液状ポリブタジエン(日本ゼオン社製ポリオイル110、数平均分子量1600、粘度800mPa・s)3.4kg、系内を窒素ガスで十分置換した後、缶内温を92℃に昇温した。別容器に調整した無水マレイン酸47kg、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.16kgをメチルエチルケトン126kgに溶解した溶液を均一な添加速度で4時間かけて添加した。添加後120℃に昇温し、更に1時間反応させた後、無水マレイン酸基に対して1.2モル当量のアニリン及び無水マレイン酸基に対して0.02モル当量のトリエチルアミンをそれぞれ添加した。その後缶内温を155℃まで昇温し、5時間反応を行った。イミド化反応終了後のイミド化反応液にラジカル補足剤としてスミライザーGA−80を1.5kg添加した後、反応終了後のイミド化反応液をベントタイプスクリュー式押出機に投入し、揮発分を除去してペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は357℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例10 2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを0.05kgに変更した以外は実施例8と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は351℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例11 2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを0.02kgに変更した以外は実施例8と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は357℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例12 攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン63kg、メチルエチルケトン11.2kg、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.25kg、液状ポリブタジエン(日本ゼオン社製ポリオイル110、数平均分子量1600、粘度800mPa・s)3.4kg、系内を窒素ガスで十分置換した後、缶内温を92℃に昇温した。別容器に調整した無水マレイン酸37kg、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.16kgをメチルエチルケトン 126kgに溶解した溶液を均一な添加速度で6時間かけて添加した。添加後120℃に昇温し、更に1時間反応させた後、無水マレイン酸基に対して1.2モル当量のアニリン及び無水マレイン酸基に対して0.02モル当量のトリエチルアミンをそれぞれ添加した。その後缶内温を155℃まで昇温し、5時間反応を行った。イミド化反応終了後のイミド化反応液にラジカル補足剤としてスミライザーGA−80を0.8kg、スミライザーTP−Dを0.7kg添加した後、反応終了後のイミド化反応液をベントタイプスクリュー式押出機に投入し、揮発分を除去してペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は340℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例13 攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン66kg、メチルエチルケトン11.2kg、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.44kg、液状ポリブタジエン(日本ゼオン社製ポリオイル110、数平均分子量1600、粘度800mPa・s)3.4kg、系内を窒素ガスで十分置換した後、缶内温を92℃に昇温した。別容器に調整した無水マレイン酸34kg、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.16kgをメチルエチルケトン126kgに溶解した溶液を均一な添加速度で8時間かけて添加した。添加後120℃に昇温し、更に1時間反応させた後、無水マレイン酸基に対して1.2モル当量のアニリン及び無水マレイン酸基に対して0.02モル当量のトリエチルアミンをそれぞれ添加した。その後缶内温を155℃まで昇温し、5時間反応を行った。イミド化反応終了後のイミド化反応液にラジカル補足剤としてスミライザーGA−80を0.8kg、スミライザーTP−Dを0.7kg添加した後、反応終了後のイミド化反応液をベントタイプスクリュー式押出機に投入し、揮発分を除去してペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は320℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例14 液状ポリブタジエンを6.3kgに変更した以外は実施例5と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は320℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
実施例15 ラジカル補足剤として、スミライザーGA−80を2.5kgに変更した以外は実施例5と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は350℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
比較例1 液状ポリブタジエンを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は358℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
比較例2 攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン48kg、メチルエチルケトン137kg、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.3kg、液状ポリブタジエン(日本ゼオン社製ポリオイル110)0.06kg、無水マレイン酸52kg、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.16kgを添加した。系内を窒素ガスで十分置換した後、缶内温を92℃に昇温し、3時間反応させた。その後120℃に昇温し、更に1時間反応させた。その後無水マレイン酸基に対して1.2モル当量のアニリン及び無水マレイン酸基に対して0.02モル当量のトリエチルアミンをそれぞれ添加した。その後缶内温を155℃まで昇温し、5時間反応を行った。反応終了後のイミド化反応液にラジカル捕捉剤としてスミライザーGA−80を0.05kg添加した後、ベントタイプスクリュー式押出機に投入し、揮発分を除去してペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は370℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
比較例3 液状ポリブタジエンを10kg、ラジカル捕捉剤を0.05kgに変更した以外は実施例3と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は305℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
比較例4 攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン73kg、メチルエチルケトン11.2kg、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.3kg、液状ポリブタジエン(日本ゼオン社製ポリオイル110)0.03kg、系内を窒素ガスで十分置換した後、缶内温を92℃に昇温した。別容器に調整した無水マレイン酸27kg、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.16kgをメチルエチルケトン 126kgに溶解した溶液を均一な添加速度で9時間かけて添加した。添加後120℃に昇温し、更に1時間反応させた。その後、無水マレイン酸基に対して1.2モル当量のアニリン及び無水マレイン酸基に対して0.02モル当量のトリエチルアミンをそれぞれ添加した。その後缶内温を155℃まで昇温し、5時間反応を行った。反応終了後のイミド化反応液にラジカル捕捉剤としてスミライザーGA−80を0.02kgを添加した後、ベントタイプスクリュー式押出機に投入し、揮発分を除去してペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は305℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
比較例5 液状ポリブタジエンを0.005kg、ラジカル捕捉剤を0.05kgに変更した以外は、実施例2と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は355℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
比較例6 2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は365℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
比較例7 2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを1.5kgに変更した以外は実施例1と同様の方法により、ペレット状のマレイミド系共重合体を得た。脱揮時の樹脂温度は295℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
比較例8 攪拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン60.0kg、メチルエチルケトン11.2kg、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.16kg、固体状ポリブタジエンゴム(宇部興産社製UBEPOL―BR22H)を3.4kg添加し、ゴムを完全に溶解してゴムのスチレン溶液を作成した。攪拌機を備えた別のオートクレーブ中にゴムのスチレン溶液を全量、メチルエチルケトン11.2kg、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.3kg仕込み、系内を窒素ガスで十分置換した後、缶内温を92℃に昇温した。別容器に調整した無水マレイン酸40kg、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.16kgをメチルエチルケトン 126kgに溶解した溶液を均一な添加速度で5時間かけて添加した。添加後120℃に昇温し、更に1時間反応させた後、無水マレイン酸基に対して1.2モル当量のアニリン及び無水マレイン酸基に対して0.02モル当量のトリエチルアミンをそれぞれ添加した。その後缶内温を155℃まで昇温し、5時間反応を行った。反応終了後のイミド化反応液をベントタイプスクリュー式押出機に投入し、揮発分を除去してペレット状のマレイミド系共重合体組成物を得た。脱揮時の樹脂温度は371℃、真空度は2000Paであった。得られたマレイミド系共重合体組成物の分析結果を表1に示した。
Figure 2006176578
尚全ての実施例及び比較例のマレイミド系共重合体組成物において、無水マレイン酸単量体単位は確認できなかった(ND)。
各物性値の測定方法は以下の通りである。
(1)マレイミド単量体残留量、芳香族ビニル単量体残留量、その他揮発分残留量測定
下記記載の測定条件で測定を行った。
装置名:Agilent6890series(Agilent社製)
カラム:キャピラリーカラム(ジメチルポリシロキサン、架橋タイプ)
温度:オーブン:50℃、注入口:200℃、検出器:250℃
検出器:FID
手順:試料0.50g、n−オクタン0.001gを秤量し、メチルエチルケトンに溶解させ全体を25.0gにし、n−オクタンを内部標準として測定した。
(2)マレイミド系共重合体組成物中のマレイミド単量体単位及び無水マレイン酸単位の測定
・マレイミド単量体単位
下記記載の測定条件でNMRを測定し、175ppm付近のイミドカルボニル炭素シグナルの強度から、マレイミド系共重合体組成物中のマレイミド単量体単位を求めた。
装置名:AVANCE−300(BRUKER社製)
測定核種:C13
測定温度:110℃
試料濃度:10質量部
使用溶媒:DMSO−d6
積算回数:1万回
・無水マレイン酸単量体単位
中和滴定法にて実施した。
(3)ガラス転移温度
JIS K−7121に従い、DSC(示差走査熱量測定)装置により測定した。
(4)重量平均分子量
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作製し、重量平均分子量はPS換算値で表した。
(5)黄色度
マレイミド系共重合体組成物の黄色度は次に示すような方法により実施した。
装置:SZ−IIシグマ80 測色色差計(日本電色社製)
温度:23℃±2℃
溶媒:テトラヒドロフラン
測定モード:透過法

Claims (13)

  1. 芳香族ビニル単量体単位55〜35質量部、マレイミド単量体単位45〜65質量部及びこれら単量体と共重合可能な単量体単位0〜10質量部からなるマレイミド系共重合体100質量部に対し液状ポリジエン0.01〜4質量部を添加し、かつマレイミド単量体の含有量が0.1〜300ppmであるマレイミド系共重合体組成物。
  2. 液状ポリジエンの数平均分子量が500〜10000、および粘度が500〜5000mPa・sである請求項1記載のマレイミド系共重合体組成物。
  3. マレイミド系共重合体のガラス転移温度が180〜230℃、重量平均分子量が60000〜200000である請求項1または請求項2記載のマレイミド系共重合体組成物。
  4. マレイミド単量体以外の揮発性成分が0.1〜1000ppm、黄色度が5未満である請求項1〜請求項3のいずれか一項記載のマレイミド系共重合体組成物。
  5. 液状ポリジエンがポリブタジエンである請求項1〜請求項4のいずれか一項記載のマレイミド系共重合体組成物。
  6. 芳香族ビニル単量体と不飽和ジカルボン酸無水物との共重合体を第1級アミンでマレイミド化して製造したマレイミド系共重合体100質量部に、液状ポリジエンを0.01〜4質量部およびラジカル捕捉剤を0.01〜2質量部を添加するマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
  7. 液状ポリジエンがポリブタジエンである請求項6記載のマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
  8. 1%加熱減量温度が290℃を超えるラジカル捕捉剤を用いた請求項6または請求項7記載のマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
  9. ラジカル捕捉剤を2種以上併用する請求項6〜請求項8のいずれか一項記載のマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
  10. 不飽和ジカルボン酸無水物基に対して0.01〜0.10モル当量のトリエチルアミン存在下で1.0〜1.4モル当量のアニリンを用いてマレイミド化する請求項6〜請求項9のいずれか一項記載のマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
  11. マレイミド系共重合体に液状ポリジエンおよびラジカル捕捉剤を配合した後、ベントタイプスクリュー式押出機を用いて樹脂温度が360℃未満の温度で、かつ4000Pa以下の減圧下で揮発性成分を脱揮する請求項6〜請求項10のいずれか一項記載のマレイミド系共重合体組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜請求項5記載のいずれか一項記載のマレイミド系共重合体を成形してなる成形体。
  13. 請求項6〜請求項11記載のいずれか一項記載の製造方法で得られたマレイミド系共重合体組成物を成形してなる成形体。
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