JP2006173520A - レーザ割断方法および該方法により割断可能な被割断部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 構造体を表面に設けた被割断部材をレーザ光の内部への集光により割断する際の、内部加工領域の形成のばらつきを抑える。
【解決手段】 被割断部材10の表面に入射するレーザ光LBの光束の中に、被割断部材の表面に設けられた構造体2Fが入らないようにレーザ光を被割断部材の表面に照射する。被割断部材の内部へ向かって照射されるレーザ光束側の構造体2Fの端部の高さをh、レーザ光が被割断部材の外部で表面12の垂線となす角度をθ1、レーザ光が被割断部材の内部で表面12の垂線となす角度をθ2、被割断部材の表面12のレーザ光照射面から内部のレーザ集光点Aまでの距離をLとした場合において、割断線Cと構造体2Fとの間の距離をaとすると、a>h×tanθ1+L×tanθ2とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、レーザ割断部材内部にレーザ光を集光させて、レーザ割断部材表面が複数の領域に分離されるようにレーザ割断部材を割断するレーザ割断方法および該方法により割断可能なレーザ割断部材に関するものである。
被割断部材内部にレーザ光を集光させて割断することで被割断部材の表面を複数の領域に分離する技術がある。その一例として例えば、シリコンウエハ等の半導体基板をチップ状に精密切断する等の場合に、従来、幅数十〜数百μmの円周形状のブレードを高速回転させ、ブレード表面の研磨材が基板を研削することによって切断するブレードダイシング法が知られている。この際、切断に伴う発熱や磨耗を低減させるために、切断面には冷却水を噴射するが、切断に伴って発生する基板自体の切屑や研磨材の微粒子、基板と加工テーブルを固定する粘着テープの粘着剤粒子等のゴミが冷却水に混ざって広範囲に飛散する。特に、基板が半導体基板の場合には、その基板表面には微細な機能素子が多数形成されているので、機能素子そのものの信頼性に重大な影響を及ぼすおそれがある。
この問題を解決するためには、切断に冷却水を用いず、ドライな環境で実施できることが望ましい。そこで、基板内部に吸収性の高いレーザ光を集光することによって基板を切断する加工方法が提案され、例えば特許文献1および特許文献2に開示された方法は、被加工材料である基板に対して透過性の高い特定波長のレーザ光を、ガラス基板やシリコン基板の内部に集光して形成した内部改質層を切断の起点とするもので、基板表面に溶融領域を形成しないため、ゴミの少ない切断を可能とするものである。
特開2002−192370号公報 特開2002−205180号公報 特開2003−334675号公報
しかし、上述したレーザ割断方法では、レーザ光は対物レンズを透過した後、被割断部材内部に集光されるように照射する必要があるが、表面に構造体が形成されている被割断部材の内部にレーザ光を集光して割断しようとしたところ、被割断部材の内部にレーザ光照射により形成された内部加工領域の大きさにばらつきが発生し、大きさが所望の大きさより小さかった内部加工領域や加工領域そのものが形成されない部分が発生することがあり、これにより、被割断部材の割断・分離が阻害されたり、予期しない位置で割断・分離されてしまうという問題が発生した。これは、被割断部材の内部深くにレーザ光を集光させて加工する場合において顕著であった。
特に、特許文献1及び2に開示されているものは、厚さ350μmのシリコン基板であって、その表裏面には半導体回路や配線パターン、或いは電極といった構造体を何ら形成していないものであり、このようなシリコン基板を用いて、レーザ光をシリコン基板内部に集光させて内部改質層を形成して割断したものに過ぎない。つまり、これまでは、被割断部材としてシリコン基板を割断する場合には、どれくらいまでの厚さの基板が割断できるかについて、レーザ光の波長、エネルギー、パルスの周波数といった照射条件の探求にばかり注目されてきたのである。
しかしながら、実際には、このようなシリコン基板を割断する場合には、その表面には半導体回路等の素子が多数配列されたものであるのが通常である。そして、このようなシリコン基板をレーザ光の照射で割断を行なう場合には、シリコン基板表面に形成された構造体と構造体との間に露出しているシリコン基板の表面に割断線が想定され、その割断線に沿ってレーザ光が照射されることになる。このときに、レーザ光が照射される表面に設けられている構造体の存在を考慮しなければならない。特に、基板があまり厚くないものである場合と、比較的厚い基板の場合とでは、構造体の基板表面からの高さも良好な基板割断に重大な影響を与えることになる。特に、シリコン基板よりも厚い被割断部材を割断する場合には、上述のような問題が特に顕著となる。
本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、特に、被割断部材の表面に設けられた構造体の表面からの高さに着目してなされたものである。このような本発明は、表面に構造体が形成された被割断部材の、構造体と構造体との間をレーザ光の照射により割断する際に、確実であって割断を意図した場所で割断・分離が行なえるレーザ割断方法および該方法により割断可能な被割断部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のレーザ割断方法は、表裏対向する面のそれぞれに複数の構造体を設けた被割断部材に対し、一方の面からレーザ光を入射して当該被割断部材の内部の所定の深さの集光点へ集光させることで内部加工領域を形成し、前記被割断部材の表面が複数の領域に分離されるように割断線に沿って当該被割断部材を割断するレーザ割断方法であって、前記一方の面に設けられた前記構造体同士の間隔が他方の面に設けられた前記構造体同士の間隔よりも広く、入射するレーザ光の光束の中に、前記構造体が入らないようにレーザ光を前記被割断部材に照射することを特徴とする。さらに、前記被割断部材の内部へ向かって照射されるレーザ光束側の前記構造体端部の高さをh、レーザ光が前記被割断部材の外部で前記表面の垂線となす角度をθ1、レーザ光が前記被割断部材の内部で前記表面の垂線となす角度をθ2、前記被割断部材の表面のレーザ光照射面から内部のレーザ集光点までの距離をLとした場合において、前記割断線と前記構造体との間の距離をaとすると、a>h×tanθ1+L×tanθ2であることを特徴とする。
また、本発明の被割断部材は、表面に設けられた第1の構造体と、前記表面と対向する裏面に設けられた複数の第2の構造体と、を有し、前記第1の構造体間と前記第2の構造体間とを結んだ割断線に沿って割断される被割断部材であって、当該被割断部材は、レーザ光を前記表面から内部へ集光することで割断される部材であり、前記被割断部材の内部へ向かって照射されるレーザ光束側の前記第2の構造体の端部の高さをh、レーザ光が前記被割断部材の外部で前記裏面の垂線となす角度をθ1、レーザ光が前記被割断部材の内部で前記裏面の垂線となす角度をθ2、前記裏面のレーザ光照射面から内部のレーザ集光点までの距離をLとした場合において、前記割断線と前記第2の構造体との間の距離をaとすると、a>h×tanθ1+L×tanθ2であることを特徴とする。
本発明によれば、表面に構造体が形成された被割断部材の内部にレーザ光を集光させて割断を行なう際に、所望の内部加工領域が形成でき、予定の位置で割断を行なうことができる。
以下に、本発明の実施の形態について、各図面を参照しながら説明する。なお、本発明を説明するにあたって、本発明に係る被割断部材として、その内部にレーザ光の集光を行なって割断を行なうに際してより割断精度の求められる形態の被割断部材を用いて本発明を説明する。
図1(a)に示す被割断部材は、シリコン基板10の表側表面11に第1構造体1Fと裏側表面12に第2構造体2Fを形成し、表側に第1構造体1Fと裏側に第2構造体2Fとを有する素子Eをシリコン基板10に碁盤の目状に多数配置形成したものである。図1(b)に示すように、シリコン基板10の表面には、素子Eと素子Eとの間に、各素子をシリコン基板10から分離するための割断がなされる位置となる割断線Cが想定されている。なお、以下において割断線とは、割断後の断面の上に任意の方向に存在するものとする。例えば、基板表面に沿った割断線や、基板の厚さ方向に沿った割断線という場合もあり得るものである。
さらに、図1(b)のA−A線における断面を模式的に示したものが図1(c)である。素子Eの第1構造体1Fは、インク等の液体を吐出する液体吐出へッド(インクジェットヘッド)を駆動するロジック回路1、流路形成部材2、吐出口3を有し、他方、素子Eの第2構造体2Fは、配線用電極であるバンプ4を有している。そして、第1構造体1Fと第2構造体2Fとの間にはシリコン基板10を表裏貫通する貫通電極6が構成されており、バンプ4とロジック回路1とを電気導通することで、電気信号や駆動用電力をヘッド外からロジック回路1へ供給できるようになっている。
第1構造体1Fは、流路形成部材2がその大きさのほとんどを占める構造体であり、1枚のシリコン基板10から多数の素子Eを得る必要上、各第1構造体1F間の間隔は後工程で行なわれる割断に差し支えのない範囲で狭く設定されている。これに対して、第2構造体2Fの大きさを決定する部材はバンプ4であることから、各第2構造体2F間の間隔は第1構造体1F間の間隔よりも大きいものである。その結果として、第1構造体1Fと割断線Cとの距離は、第2構造体2Fと割断線Cとの距離よりも小さいものとなる(図1(c)参照)。構造体間の間隔は、それが広いほうが、それだけ、入射角に一定の角度を有するレーザ光を構造体に当たらないように被割断部材の内部深くに集光することが可能となる。このような構造上の理由により、レーザ光LBはシリコン基板10の裏面12の側からその内部へ照射されて集光させることになる。
次に図2を用いて本発明の実施の形態を説明する。
表面に構造体が形成されている被割断部材の内部にレーザ光を集光して割断する際に生じることのあった内部加工領域の大きさのばらつきや加工形成不良といった現象は、本発明者らの実験・検討により、被割断部材の表面に形成された構造体が、レーザ光を照射し被割断物内部に集光させる際に、レーザ光束の一部が表面の構造体に遮られたり、その構造体を透過する際にレーザパワーの損失が発生し、集光点でのエネルギーが小さくなってしまうため、被割断物内部に形成する内部加工領域の大きさにばらつきが生じたものであることが分かった。
そこで、このような現象が発生することなく、良好な割断を行なうためには、被割断部材の表面に入射するレーザ光の光束の中に、その被割断部材の表面に設けられた構造体が入らないようにレーザ光を被割断部材の照射表面に当てればよいことが分かった。すなわち、レーザ光を被割断部材の照射表面に垂直に照射する場合を考えてみると、レーザ光LBの光束側方の第2構造体の端からレーザ光LBの光束までの裏側表面12に沿った最短許容距離をα、レーザ光束側の第2構造体端部の最も高い部位の高さをh、レーザ光LBが基板外部で裏側表面12の垂線となす角度をθ1、レーザ光LBが基板内部で裏側表面12の垂線となす角度をθ2、割断位置での基板厚さをt、レーザ光LBの出射側表面に最も近い集光点Aと出射側表面との距離をr、レーザ光照射面(レーザ光に照射された被割断部材表面であって、レーザ光入射面ともいう。)からレーザ集光点Aまでの距離をLとした場合において、割断線Cと第2構造体2Fとの間の距離をaとすると、L<t−rであってa≧h×tanθ1+L×tanθ2+αの関係が成り立つように決定された条件の下にレーザ光の照射・集光を行なえば、良好な割断を行なうことができる。ここで、αは各構造物の製造誤差や、レーザ光LBの照射系の位置精度上の誤差を考慮したものであるので、少なくとも、L<t−rであってa>h×tanθ1+L×tanθ2であれば良い。
つぎに、シリコン基板10の内部の所定の深さの位置に、第2構造体2Fと第2構造体2Fとの間に想定されている割断線Cを狙ってレーザ光LBを照射・集光させる。そして、内部加工領域と形成された内部亀裂14(14a〜14c)を形成するとともに、レーザ光LBを基板内部に集光させながら割断線Cに沿って走査(相対移動)させることで、割断線Cに沿って帯状に並ぶ複数の亀裂からなる亀裂群を形成する。
このような亀裂群の形成後またはその前に、割断線C(C、C)に沿って基板の裏側表面12にケガキ等による線状加工部である凹状の表面加工痕13を形成する表面加工を行う。
表面加工痕13の形成とレーザ光LBとによる内部加工領域形成後に、割断のための外力をシリコン基板10に作用させると、表面加工痕13に応力が集中して表面加工痕13と内部亀裂14cとが亀裂で連結するため、裏側表面12に発生する実際の割断線が割断線Cから外れることがない。
図1の(a)、(b)に示すシリコン基板10は、図1(c)に示すように、表面が(100)面の単結晶シリコンで、厚さ200μmのシリコンウエハ10を基体とし、シリコンウエハ10の表側表面11には、インク等液体吐出用のエネルギー発生体を駆動するロジック回路1、配線等を内蔵したエポキシ樹脂製の構造体である流路形成部材2、インク吐出口3が配置され、第1構造体1Fを構成している。そして、対応する裏側表面12にはシリコン基板内部を貫通する貫通電極6でロジック回路1と電気的に接続された配線やバンプ4が設けられており、第2構造体2Fを構成している。
このように液体吐出用のエネルギー発生体等を内蔵した流路形成部材3の直下に、開口部である液体供給口(インク供給口)5をシリコンウエハ(シリコン基板)10のドライエッチングにより形成する。流路形成部材2は、製造工程の終盤でシリコンウエハ10を各素子チップEに割断できるように、互いに割断線Cを挟んで配置される。割断線Cはシリコンウエハ10の結晶方位に沿って形成され、隣接する流路形成部材2の間隔S1は最小で20μm程度である。裏面12側に配置されている配線又はバンプ4の間隔S2は150μmであり、S1と比較すると大きい。
ここで、素子Eは、図1に示すようにシリコンウエハ10上にオリエンテーションフラット10bの方向と素子Eの短辺が平行になるように形成されている。各素子Eの形状は、例えば、短辺が0.5mm以上1.0mm以下、長辺が25mm以上35mm以下である。
図5は、シリコン基板10を個々の素子チップEに分離する割断プロセスを説明するフローチャートであり、このプロセスは、ステップ1のテープマウント工程、ステップ2のウエハ補正工程、ステップ3の表面凹部加工工程(表面加工痕形成工程)、ステップ4の内部亀裂形成工程(内部加工領域形成工程)、ステップ5の割断工程、ステップ6のリペア工程、ステップ7のピックアップ工程の7工程からなる。
以下に各工程を順に説明する。
〔テープマウント工程〕
図6に示すように、シリコン基板10は、まず、割断までの工程で素子Eがシリコン基板10から分離するのを防止するためのテープマウントを行う。テープマウントは、ダイシングフレームMが貼り付けられた、粘着層201をテープ基材202の上に保持したダイシングテープTに、シリコン基板10のインク吐出口3やロジック回路1からなる第1構造体1Fが形成された表側表面11を貼り付けることによりなる。これは割断線Cとシリコン表面に設けられた構造体との間隔が広い、第2構造体2Fが設けられた裏面表面12側からレーザ光LBを照射する為である。
ダイシングテープとしては、紫外線硬化型あるいは感圧型粘着剤が塗工された粘着テープや、自己粘着層を有する粘着テープを用いる。シリコン基板10上に流路形成部材2を有する第1構造体1Fは20μmの厚さを有しており、かつ、インク吐出口3が形成された流路形成部材の最上面は液体の吐出を安定させる為に撥水処理が施されており、紫外線によって粘着性が低下する特性をもつ粘着材との密着性はあまりよくない。そこで、シリコン基板10の表側表面11にダイシングテープTを貼り付けるためには、粘着層201の厚さが40μmのものを使用する。これにより、シリコン基板10や撥水処理がなされていない流路形成部材2の側面にも粘着層201が接することができ、後述の素子Eの分離が容易に行なうことができる。
〔ウエハ補正(ソリ矯正)工程〕
上述のようにシリコン基板10の表面に形成される樹脂層である流路形成部材2は硬化時に熱収縮を起こすため、シリコン基板10の全体が図7(a)に示すように変形している。このように変形した状態で、後述のレーザ照射を行うと裏面表面12で局部的に入射角度が異なり、精度よく加工することができない。したがって、予めこの変形を矯正しておく必要がある。そこで、図7(b)に示すように、ダイシングテープTの側からシリコン基板10を吸着ステージDを用いて吸引することで、シリコン基板10を平坦化し、その変形を矯正する。
〔表面凹部加工工程〕
続いてシリコン基板10の各素子Eの割断を精度よく行うために、基板の裏面表面12に、割断線Cに亀裂の伝播を誘導する凹部である表面加工痕13を形成する。すなわち、割断線Cに沿って表面加工痕13を形成することで、外力による割断の際に応力集中が起こり、割れが表面加工痕13へ誘導される。または表面加工痕13が起点となり、割れが内部に進行する。従って、ロジック回路1等を破壊するような不必要な割れを生じることがない。
表面加工痕13の形成は図8に示すように、割断線Cに沿って超硬刃、ダイヤモンド刃等の工具40を用いたスクライバーにてケガキを入れればよい。表面加工痕13は、幅2μm以上、深さ1μm以上が好ましい。ただし、内部亀裂14を加工するレーザ光LBの光路を妨げない大きさにする必要がある。加工深さは、割断時に表面加工痕13と亀裂14との間において応力集中を起こす深さが適している。
なお、表面加工痕13は、レーザ光LBによる内部亀裂形成工程の後に形成してもよく、この場合は内部亀裂形成時にレーザ光LBのケラレの影響(表面加工痕ができた表面の凹部斜面が照射されたレーザ光を反射して基板内部へ到達するレーザ光量が減少する現象)が無いため、より効率良く内部亀裂形成を行うことができる。
〔内部亀裂形成工程〕
図10に示す加工装置50を用いて図3に示した内部亀裂(内部加工領域)14を形成する。この加工装置50は、光源51、ビーム拡大系51a、ミラー51b等を有する光源光学系と、顕微鏡対物レンズ52a、ミラー52b等を有する集光光学系52と、Xステージ53a、Yステージ53b、微動調整ステージ53c等を有する自動ステージ53と、ワークWであるシリコン基板10のオリエンテーションフラット10b(図1参照)によるアライメントを行う図示しないアライメント光学系を備えている。
光源51としては、パルスYAGレーザの基本波(1064nm)を使用する。パルス幅は15nsec〜1000nsec前後で、周波数は10KHz〜100KHzである。このレーザの励起源は半導体レーザであり、レーザのパワーは半導体レーザへの注入電流で変化させることができる。この注入電流の電流量、周波数を変化させることでパルス幅を変えることが可能である。
レーザ光の選定は、シリコン基板の分光透過率より決定される。そのため、集光点にて強電界が形成可能でシリコン透過性がある波長域の光であれば、上述のものでなくても構わない。
光源51から出射したレーザ光LBは、ビーム拡大系51a等を経て集光光学系52に入射する。
集光光学系52の顕微鏡対物レンズ52aは、例えば倍率20NA0.42あるいは倍率50NA0.55のものを用いる。また、シリコンの屈折率を考慮し、顕微鏡観察にも適用可能なシリコン内部加工に最適な集光レンズを用いることもできる。集光光学系52によってワークWに集光されたレーザ光LBは、図4に示すように、自動ステージ53上のワークWであるシリコン基板10の裏側表面12の第2構造体2Fと第2構造体2Fとの間から入射する。
このときの光学条件は、裏側表面12に表面加工痕13が存在してもかまわないように設定される。すなわち、表面加工痕13によるエネルギー損失を考慮してパワーを上げるか、表面加工痕13を避けて入射するように光束を選定する等の方策をとる。基板の裏側表面12から入射したレーザ光LBの光束は、シリコン基板10内を屈折して、内部の所定の深度Lの集光点Aに集光して内部亀裂14を生じる。この内部亀裂14は、レーザ光LBの集光点Aから基板表面に近づく方向及び離れる方向に延在する亀裂であって、集光点の材料を改質(溶解、結晶構造の変化、亀裂を含む。)した内部加工領域に形成されたものである。
実験によれば、図3に示す最上端の内部亀裂14cの亀裂先端は基板の裏側表面12より10μm以上離れるように、集光位置や、使用するレーザ波長等に応じて加工条件を設定することが望ましい。加工中に不用意に内部亀裂14cと裏側表面12との連結が生じたり、レーザ照射条件によっては裏側表面12が損傷してしまうことがあるので、これらの発生を防ぐためである。
集光点Aの深度Lはシリコン基板10であるワークWあるいは集光光学系52のいずれかを光軸方向に移動させ、集光位置をずらすことで制御できる。シリコン基板10の波長1064nmに対する屈折率をnとし、機械的な移動量(シリコン基板10あるいは集光光学系52のいずれかを光軸方向に移動させた時の移動量)をpとした時、集光点Aの光学的な移動量はnpである。シリコン基板10の屈折率は波長1.1μm〜1.5μmで3.5近傍であり、実際に実験で測定した屈折率の値とも比較すると、nは3.5に近いものであった。つまり、機械的な移動量が100μmであると、レーザ光LBの集光点Aは、表面より350μmの位置に形成される。
また、屈折率が3.5近傍であるということは反射率が大きいことを示している。一般に垂直入射での反射は((n−1)/(n+1)) であるからシリコン基板では30%程度となる。残りのエネルギーが内部に到達するが、シリコン基板の光吸収も存在するので、集光点での最終的なエネルギーはさらに小さくなる。厚さ200μmのシリコン基板にて実測したところ、約30%程度の透過率であった。
集光点Aにレーザ光LBが集光すると、部分的にシリコンの結晶状態が変化し、その結果、内部亀裂14が走ることになる。実験結果では、その亀裂長さdは2μm〜100μm程度であった。ここで、レーザ光LBによる基板内部の内部加工領域14の大きさ、例えば、亀裂長さdは、レーザ光LBの発振パルス幅を変化させることで、変えることができる。半導体レーザ励起YAGレーザでは、半導体レーザへの注入電流および発振周波数を変化させることで、亀裂長さdを変えることができる。実験結果より、レーザのパルスエネルギーを2μJ〜100μJ、パルス幅を15nsec〜1000nsecの範囲内で変化させたとき、2μm〜100μmの範囲内でその長さを変えた亀裂を形成することが可能であった。
このとき、レーザ光LBをシリコン基板10の裏側表面12に対して垂直に照射する場合には、レーザ光LBの光束側方の第2構造体の端からレーザ光LBの光束までの裏側表面12に沿った最短許容距離をα、レーザ光束側の第2構造体端部の最も高い部位の高さをh、レーザ光LBが基板外部で裏側表面12の垂線となす角度をθ1、レーザ光LBが基板内部で裏側表面12の垂線となす角度をθ2、割断位置での基板厚さをt、レーザ光LBの出射側表面に最も近い集光点Aと出射側表面との距離をr、レーザ光照射面からレーザ集光点Aまでの距離をLとした場合において、割断線Cと第2構造体2Fとの間の距離をaとすると、L<t−rであってa≧h×tanθ1+L×tanθ2+αの関係が成り立つように決定された条件の下にレーザ光の照射・集光を行う。ここで、レーザ光LBの集光点が出射側表面に近づき過ぎると、出射側表面にレーザ光LBの照射によって直接形成された亀裂が出射側表面に達してしまい、基板の微小な破砕紛や溶融物を出射側表面に噴出してしまうので、集光点Aと出射側表面とは一定の間隔を維持することが必要となる。よって、L<t−rの関係が満たされることが好ましいものである。
例えば、表側表面11に厚さが200μmのシリコン基板上の片面に高さ75μmである流路形成部材2を設計上の最小値である20μm間隔で形成し、その対応する裏面側の表面12に高さ20μmのバンプ4を形成する。ここで第2構造体2Fとして考えるバンプ4の間隔は割断線Cを跨ぐ箇所において150μmとして形成すると、割断線Cからバンプ4までの距離は75μmとなる。このシリコン基板10に対して、後述する割断工程において裏側表面12の側からレーザ光LBを照射する。このとき、対物レンズ52aのNAを0.6とすることにより、シリコン基板10に照射されたレーザ光LBが基板外部で割断線Cとなす角度を33°とすることができ、基板内部でのレーザ光LBが割断線Cとなす角度はシリコンに対する光の屈折率から約9°となる。そして、レーザ光源としてパルス幅として15nsec〜1000ns前後、パルス周波数として10KHz〜100KHzのYAGレーザの基本波(1064nm)を使用することで、シリコン基板10の内部に形成される内部加工領域の裏側表面12の表面からの深さ方向の長さを60μm程度にすることができる。ここで、レーザ光LBの集光点が可能な限り入射側表面である裏側表面12から最も深い位置に設定して形成された亀裂と出射側表面11との距離として10μmを確保した場合(上述したように、亀裂が出射側表面に到達させないため。)には、h×tanθ1+L×tanθ2の値は約43μmとなる。ここで表面に沿った最短許容距離αを10μmと設定すると、それを加えた寸法は約53μmとなる。この値は、割断線から片側のバンプまでの距離である75μm以下であり、a≧h×tanθ1+L×tanθ2+αの関係、少なくともa>h×tanθ1+L×tanθ2の関係を満たすことができる。
これにより、表面に各種構造体が形成されているシリコン基板10等の被割断部材の内部にレーザ光LBを集光して割断する際に生じることのあった内部加工領域の大きさのばらつきや加工形成不良といった現象は、シリコン基板10の表面に形成された各構造体が、レーザ光LBの基板内部への集光の際に、レーザ光LBの光束の一部が表面の構造体に遮られることがなくなったため、あるいはその構造体をレーザ光LBが透過することがなくなったため、集光点へ所望のエネルギーを伝達することができるようになり、発生しなくなった。
次に内部加工領域を形成するレーザ光の基板表面への照射位置を基板表面に沿って相対移動させ、内部加工領域を基板表面に沿った方向に形成する。具体的には、シリコン基板10の内部の一点から内部亀裂14を形成し、集光点Aを割断線Cに沿って相対移動させることで割断線Cの直下の内部加工を行う。なお、図1に示すように、シリコン基板10の割断線Cには、オリエンテーションフラット10bを基準にして互いに直交する2方向の割断線C、Cがある。
シリコン基板10であるワークWは、XY方向に移動可能な自動ステージ53に載置され、ワークWを乗せた自動ステージ側または集光光学系側に光軸方向(深さ方向)に移動可能なZステージ52cを設け、集光光学系52とワークWの間隔を可変とする。
XY方向の移動速度はレーザ発振周波数と亀裂形状などを考えて決定され、通常周波数10KHz〜100KHzでは移動速度は10mm/sec〜100mm/secが目安となっている。移動速度が100mm/secを越えると、内部加工領域(亀裂)は移動方向に対してとびとびになり、同じ割断線上の隣接する亀裂の間隔が著しく広くなる等、後の割断に影響を与える。
また、集光光学系52は、ワーク照射点と共役になるように観察用カメラ52dを有し、一方シリコン基板10の反射率は30%程度あるため、これを無視しては観察用カメラ52dの素子が損傷してしまう。そのため、レーザの出力に応じたフィルターを配置している。観察用の照明は、ケーラー照明が形成できるように集光に使用している顕微鏡対物レンズ52aの入射瞳の位置に光源を形成できるようにリレーレンズを用いる。また、照明もフィルターを通して行い、照明用光学素子の損傷を極力排除するものである。
上述の観察光学系以外にもAF光学系54を導入し、ワークWとの間隔を測定する。AF光学系54は、観察用カメラ52dで得られた画像のコントラストを求めその値から、ピントや傾きを計測するものである。実際にはこのコントラストを測定するためにワークWまでの距離を微小送りしながら計測し、最良位置を決定する。なお、AF動作はシリコン基板10であるワークWの平行度など見て動作するか否かを判定する。
なお、1つの集光点Aで形成される亀裂長さdは2μm〜100μmであり、対象となるシリコン基板の厚さは200μmであるので、このシリコン基板を割断するためには複数回の内部加工を行うことが良好な割断を行なう上で有効である。また、1つのポイントでの内部加工の順番は、レーザ光LBの入射側の基板表面から遠い側(奥側)よりはじめて、入射側表面に近づけてゆく。ここで、内部亀裂を形成する内部加工時には、基板表面の近傍で形成される内部亀裂が表面加工痕を有する基板表面へ到達するような加工は行わないものとする。具体的には、裏側表面12に最も近い内部亀裂14cの亀裂群は、裏側表面12から10μm〜100μmの深さで、しかも表面加工痕13と連通しない位置に設けられる。
また、内部加工においては、目的に応じて亀裂が形成された領域が基板厚さに対して占める割合と、亀裂の位置を変化させることが有効である。たとえば、亀裂が形成された領域が基板厚さに対して占める割合を変化させることで、割断に必要な外力を変えることができる。200μmの厚さのシリコン基板内部に亀裂を形成する場合、亀裂群の形成された領域が基板厚さに対して占める割合が40%以下であるものを割断する為に必要であった外力をW[N]とすると、亀裂が形成された領域が基板厚さに対して占める割合が70%以上であるものを割断する為に必要であった外力は、約0.6W[N]であった。割断工程において比較的小さな外力にて基板を割断する為には、亀裂が形成された領域が基板厚さに対して占める割合を大きくすることが望ましく、たとえば、70%以上であることが望ましい。また、レーザ光LBの照射によるシリコン基板10の内部加工後、割断のためのステーションへ加工後のシリコン基板10を搬送する際に、この段階では未だ素子Eがシリコン基板10から分離しない方が好ましいが、そのために不用意な割れを発生させない等、ハンドリング安定性を重視する場合は、亀裂が形成された領域が基板厚さに対して占める割合を減らすことが有効である。たとえば50%〜70%とすることが望ましい。
亀裂(内部加工領域)が形成された領域が基板厚さに対して占める割合が同一である場合においても、亀裂を等間隔に形成した場合と、基板内において亀裂が相対的に近接または連続した領域と、亀裂が相対的に離れている領域とを有するように形成する場合がある。ここで、亀裂を等間隔に形成した場合は、基板搬送において基板内部に意図しない応力集中が発生しにくく、不用意な割れが発生しないという利点がある。亀裂(内部加工領域)14a〜14cを等間隔に形成した場合を図9(a)に示す。
他方、基板内において亀裂(内部加工領域)が相対的に近接または連続した領域と、亀裂が相対的に離れている領域とを有するように形成する場合は、図9(b)に示すように、亀裂14bと亀裂14cとが相対的に近接または連続した領域を、レーザ光LBの入射側の面付近に形成することができる。また、逆に、レーザ光LBの入射側とは反対の面付近に、亀裂14aと亀裂14bとが相対的に接近または連続した領域を形成することもできる。特に、図9(b)に示すように、表面加工痕13付近に形成された亀裂14b、14cが相対的に近接または連続した領域を形成することで、割断工程にて、表面加工痕13を起点に応力を集中するように外力を加えれば、容易にシリコン基板10から素子Eを割断・分離できる。
また、図9(c)に示すように、レーザ光LBの照射方向(基板の厚さ方向)に沿って亀裂14a〜14cを密に形成し、基板内部に亀裂同士が互いに近接または連結した領域のみを形成することも可能である。亀裂が形成された領域が基板厚さに対して占める割合が同じである場合、図9(c)のような亀裂を形成した場合には、亀裂を等間隔に形成した場合(図9(a))や、亀裂が相対的に近接または連続した領域と、亀裂が相対的に離れている領域とを有するように形成した場合(図9(b))より、小さな外力で基板の割断が可能である。
〔割断工程〕
各割断線Cごとに表面加工痕13および複数の内部亀裂(内部加工領域)14a、14b、14cを形成したシリコン基板10は、少なくとも表面加工痕13と表面直下の内部亀裂12cとは連結しておらず、したがって、レーザ加工後のシリコン基板10の個々の素子Eは割断・分離されていない。この状態のシリコン基板10を素子チップEに割断する手順は以下のように行う。
図11に示すように、表面加工痕13と内部亀裂14(14a、14b、14c)とを形成後のシリコン基板10を、ダイシングテープTにマウントしたまま、シリコン基板10の表側表面11(ダイシングテープTが貼付された側のシリコン基板の面)が上となるように、割断装置のシリコーンゴムあるいはフッ素ゴムなどの弾力性のあるゴムシート60上に置く。なお、シリコン基板10の基板の裏側表面12がゴムシート60に接することで裏側表面12に汚れが付着することを避けるために、内部亀裂形成後のシリコン基板10の裏側表面12に、バックグラインドなどに用いられる市販の保護テープを貼付してもよい。
割断は、ステンレスのローラー61でダイシングテープTを介してシリコン基板10を圧迫することでなされる。まず、シリコン基板10の割断線Cの1つ、好ましくは第一割断方向がローラー軸と略平行になるようにシリコン基板10をゴムシート60上に置く。ローラー61を転がしながらシリコン基板10を圧迫すると、ローラー61の直下のゴムシート60は沈み込むように変形する。シリコン基板10は、ゴムシート60側すなわち表面側に伸び方向の応力が作用する。この応力は、基板の裏側表面12の最も弱い個所、すなわち割断線C上の表面加工痕13を広げるように作用する。
この結果、表面加工痕13を起点として亀裂が発生し、内部亀裂14cから内部亀裂14aへと亀裂が連結されることによって表側表面11へに至り、割断線C に沿ってシリコン基板10が割断される。この亀裂の進行はシリコン基板10の結晶方位に沿って起こるが、割断は表面加工痕13との連結により行われるため、裏側表面12上の割断線Cから大きくずれることはない。ローラー61の進行に伴い、第一割断方向の割断線Cに沿ってシリコン基板10は順次割断が終了する。ローラー61の進行は、シリコン基板10の端部から他方の端部へ向けて行う方法や、シリコン基板10の中央付近をローラー61の圧迫の開始点としてシリコン基板10の端部へ向けて行う方法などいずれでもよい。
次に、シリコン基板10を90°回転し、第二割断方向の割断線Cとローラー61の軸とが略平行となるようにする。第1割断方向と同様にローラー61でシリコン基板10を圧迫し、第二割断方向にて表面加工痕13を起点とする亀裂を生じさせ、表側表面11へ到達させる。
以上の工程により、シリコン基板10は個々の素子チップEに分離される。
図11に示した割断工程は、硬質のローラーによるゴムシートの変形に伴う応力をシリコン基板の表面に作用させるものであるが、ロジック素子やノズル層の破壊が伴わないように、ローラーによるシリコン基板の圧迫荷重やゴムシートの厚さ、ゴム硬度を選ぶことが必要である。また、併せて適切なダイシングテープや表面の保護テープの材質、厚さを選定することも必要である。
また、基板の厚さに対して形成した内部亀裂14の長さが占める割合が大きく、たとえば75%以上となるような場合においては、割断線C付近に引っ張り応力を加え、割断線Cに沿って素子を分離する方法もある。
割断線C付近に引っ張り応力を与えるためには、シリコンウエハ10を貼り付けてあるシートを拡張させる手段を用いることで可能である。たとえば、市販されているウエハエキスパンダを用いて拡張することで可能である。一般にウエハマウント用各種シートは素子のピックアップ作業を容易にするため、粘着力を低下させる手段を有している。たとえば紫外線硬化型の粘着層を有するシートは紫外線を照射することにより、粘着力を低下することができる。この粘着力を低下させる手段は素子の分離が確実に行われた後に実施することで、シートを拡張した際、未分離箇所がある基板の一部がシートから離れてしまうことがなくなり、未分離箇所を減らすことができる。また、素子の形状により、素子の長辺に与える引張り応力を、素子の短辺に与える応力と比較し、大きくすることで割断工程における素子の未分離箇所を減らすことができる。素子の短辺に与える応力と比較し素子の長辺に与える応力を大きくする手法の1例として、図12に示すように、ダイシングフレームを部品62で固定し、円筒治具63にてダイシングシートTをダイシングフレームと相対的に移動させることで、放射状にシートを拡張して、シートに所定のテンションを与えた後に、シリコン基板の幅に対して十分大きな直径を有する部品64の側面を素子の長辺方向と平行となるように押し付けることで可能である。
〔リペア工程〕
割断工程にて表面加工痕13と内部亀裂14による亀裂が新たな亀裂で連結されるとともに、更に亀裂は裏面側へも到達し、シリコン基板10は各素子チップに分離される。
しかし、偶発的に完全分離が成されていない場合は再割断する必要がある。再割断の方法としては例えば図13に示した機構を用いて割断が成されていない素子Eのみ、個別に応力を加えて完全に割断する。
〔ピックアップ工程〕
割断工程およびリペア工程にて分離された素子Eであるロジック素子部は、図13に示すように吸着コレット65およびピックアップピン66によって搬出され、個別に収納される。この際,エキスパンダーなどにより素子の間隙を広げてピックアップすることは、ピックアップの作業をより容易に行うことができる。また、ピックアップの際に発生する微小な粉塵を吸引除去することは素子チップEの動作信頼性向上にとって有効である。
基板の厚さが厚い場合や、部材への熱的影響によりレーザ照射回数が制限される等の理由において、亀裂を形成する基板断面に対して、内部亀裂14を形成した領域を50%〜70%程度しか加工ができない場合には、ロジック回路1等が設けられた表側表面11の方に表面加工痕13を形成しておくことが、基板10を精度よく割断するのに有効である。特に、各第1構造体1F間は各第2構造体2F間よりも狭いため、基板の表側表面11に至る内部からの亀裂の位置の誤差は裏面側の場合よりも、より高精度である必要がある。そのため、以下のステップにて基板の分離を行うことが有効である。
図14に示すように、ステップ1の第2構造体側(裏側表面)テープマウント工程、ステップ2のウエハ補正工程、ステップ3の表面線状加工工程(第1構造体側(表側表面)加工工程)、ステップ4のテープ剥離工程、ステップ5の第1構造体側(表側表面)テープマウント工程、ステップ6の内部亀裂形成工程、ステップ7の割断工程、ステップ8のリペア工程、ステップ6のピックアップ工程の7工程からなる。実施例1からの変更点を中心に説明する。
まず、ダイシングフレームMが貼り付けられた、粘着性を有するダイシングテープTをシリコン基板10の第2構造体2Fが設けられた裏側表面12に貼り付け、紫外線硬化型の粘着層をもつダイシングテープTの側からシリコン基板10を吸着ステージDにて吸引することで、シリコン基板10を平坦化し、変形を矯正する。
そして、第1構造体1Fと第1構造体1Fとの間の割断線Cに沿って超硬刃、ダイヤモンド刃等の工具40を用いたスクライバーにてケガキを入れることにより、基板の表側表面11に表面加工痕13を形成する。
その後、ダイシングテープTに紫外線を照射し粘着力を低下させる。粘着力が低下したところで、シリコン基板10をダイシングテープTから剥離する。
剥離されたシリコン基板10の第1構造体が設けられた表側表面11を、ダイシングフレームMが貼り付けられた、粘着性を有するダイシングテープTに貼り付ける。その後、第2構造体2Fと第2構造体2Fとの間からレーザ光LBを照射し、内部亀裂14を形成する。
割断工程は、実施例1とは異なり、表面加工痕13は表側表面11に形成されているので、表側表面11がゴムシート60に接するように、裏側表面12が上となるように置く。このとき、ローラー61で裏側表面12から押圧するが、裏側表面12に設けられた第2構造体2Fを保護するための保護テープを貼付するのが好ましい。
割断は、ステンレスのローラー61でダイシングテープTを介してシリコン基板10を圧迫することでなされ、その後、リペア工程、ピックアップ工程を経て、基板10から各素子Eを割断・分離する。
一実施の形態によるシリコン基板を説明するもので、(a)はその斜視図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大斜視図、(c)は(b)の断面を示す部分断面図である。 実施例を説明する模式図である。 内部加工領域が形成された基板断面の模式図である。 内部加工領域形成の様子を示す基板断面の模式図である。 シリコン基板を割断するプロセスを示すフローチャートである。 テープマウント工程を説明する図である。 シリコン基板の平坦化工程を説明する図である。 表面加工痕を形成する説明図である。 (a)は亀裂を等間隔で形成した断面模式図であり、(b)は亀裂を相対的に近接または連続して形成した領域と離れて形成した領域とを有する断面模式図であり、(c)は亀裂を相対的に近接または連続して形成した領域のみを有する断面模式図である。 レーザ光を照射する加工装置を示す模式図である。 (a)はローラーによる割断工程を説明する図であり、(b)はローラで割断されるシリコン基板の断面を示す模式図である。 拡張による素子の分離を説明する図である。 リペア工程およびピックアップ工程を説明する図である。 シリコン基板を割断する他のプロセスを示すフローチャートである。
符号の説明
1 ロジック回路
1F 第1構造体
2 流路形成部材
3 吐出口
4 バンプ
5 液体供給口
6 貫通電極
11 表側表面
12 裏側表面
13 表面加工痕
14、14a、14b、14c 内部亀裂(内部加工領域)
1F 第1構造体
2F 第2構造体

Claims (10)

  1. 表裏対向する面のそれぞれに複数の構造体を設けた被割断部材に対し、一方の面からレーザ光を入射して当該被割断部材の内部の所定の深さの集光点へ集光させることで内部加工領域を形成し、前記被割断部材の表面が複数の領域に分離されるように割断線に沿って当該被割断部材を割断するレーザ割断方法であって、
    前記一方の面に設けられた前記構造体同士の間隔が他方の面に設けられた前記構造体同士の間隔よりも広く、入射するレーザ光の光束の中に、前記構造体が入らないようにレーザ光を前記被割断部材に照射することを特徴とするレーザ割断方法。
  2. 被割断部材の内部へ向かって照射されるレーザ光束側の構造体端部の高さをh、レーザ光が前記被割断部材の外部で前記表面の垂線となす角度をθ1、レーザ光が前記被割断部材の内部で前記表面の垂線となす角度をθ2、前記被割断部材の表面のレーザ光照射面から内部のレーザ集光点までの距離をLとした場合において、前記割断線と前記構造体との間の距離をaとすると、a>h×tanθ1+L×tanθ2であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ割断方法。
  3. 割断位置での被割断部材の厚さをt、レーザ光の出射側表面に最も近い集光点と出射側表面との距離をr、レーザ光入射面からレーザ集光点までの距離をLとした場合において、前記割断線と前記構造体との間の距離をaとすると、L<t−rであるようにレーザ光を前記被割断部材の内部に集光させることを特徴とする請求項2に記載のレーザ割断方法。
  4. 被割断部材の内部に内部加工領域を形成する前に、当該被割断部材を割断する際に応力を集中させるための凹部を該被割断部材表面に形成することを特徴とする請求項2または3に記載のレーザ割断方法。
  5. 被割断部材の内部に内部加工領域を形成した後に、当該被割断部材を割断する際に応力を集中させるための凹部を該被割断部材表面に形成することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のレーザ割断方法。
  6. 被割断部材に外力を与えることによって内部加工領域と被割断部材表面の凹部とに至る亀裂が形成されることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のレーザ割断方法。
  7. 表面に設けられた第1の構造体と、前記表面と対向する裏面に設けられた複数の第2の構造体と、を有し、前記第1の構造体間と前記第2の構造体間とを結んだ割断線に沿って割断される被割断部材であって、
    当該被割断部材は、レーザ光を前記表面から内部へ集光することで割断される部材であり、前記被割断部材の内部へ向かって照射されるレーザ光束側の前記第2の構造体の端部の高さをh、レーザ光が前記被割断部材の外部で前記裏面の垂線となす角度をθ1、レーザ光が前記被割断部材の内部で前記裏面の垂線となす角度をθ2、前記裏面のレーザ光照射面から内部のレーザ集光点までの距離をLとした場合において、前記割断線と前記第2の構造体との間の距離をaとすると、a>h×tanθ1+L×tanθ2であることを特徴とする被割断部材。
  8. 第2の構造体間の間隔の方が第1の構造体間の間隔よりも広いことを特徴とする請求項7に記載の被割断部材。
  9. 第1の構造体間に、当該被割断部材を割断する際に応力を集中させるための凹部が該被割断部材表面に形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の被割断部材。
  10. 第2の構造体間に、当該被割断部材を割断する際に応力を集中させるための凹部が該被割断部材表面に形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の被割断部材。
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