JP2006173269A - 基板加工方法及びフィルム伸張装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 切断起点が二方向に形成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を低減できる基板加工方法及びフィルム伸張装置を提供する。
【解決手段】 フィルム伸張装置1は、伸張性フィルム40が貼着されたウェハ50を載置するための載置面20aを有するテーブル2と、X軸方向におけるテーブル2の両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルム40を保持する一対の第1の保持部11と、Y軸方向におけるテーブル2の両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルム40を保持する一対の第2の保持部12と、テーブル2の載置面20aと第1の保持部11との距離を拡大することにより、伸張性フィルム40をX軸方向に伸張させるシリンダ22と、テーブル2の載置面20aと第2の保持部12との距離を拡大することにより、伸張性フィルム40をY軸方向に伸張させるシリンダ21とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板加工方法及びフィルム伸張装置に関するものである。
各種半導体チップを製造する際には、チップ状に切断されたウェハから各半導体チップを容易に取り出す(ピックアップ)ために、各半導体チップ同士を離間する工程が必要となる。半導体チップ同士を離間するための装置としては、例えば特許文献1に開示されたテープ伸張装置がある。この装置では、ダイヤモンドカッターによりフルカットされた半導体チップ同士の間隔を、ウェハに予め貼着された伸張性テープを放射状に伸張させることによって拡げている。
また、ウェハを切断する方法としては、特許文献1に記載されたフルカットの他に、切断方向に沿った溝、亀裂、歪みなどの切断起点が形成されたウェハに外力を印加することにより、該切断起点を起点としてウェハを割断する方法がある。例えば特許文献1のテープ伸張装置を用いた場合、ダイヤモンドカッターを用いてウェハに溝を形成し、伸張性テープを伸張させることにより該溝を起点としてウェハを割断する方法が考えられる。
また、例えば特許文献2に記載された方法では、スクライブ溝が形成されたウェハを凹状曲面上に載置し、その上からウェハを押圧することによってウェハをチップ状に割断している。また、特許文献3に記載された方法では、ダイヤモンドソーなどを用いて溝を形成し、円弧状に突出した治具を溝が形成された面と反対の面側からウェハに押しあて、この治具を90°回転させて再度ウェハに押しあてることにより、ウェハをチップ状に割断している。また、特許文献4に開示された方法では、ウェハにケガキ線を形成し、延伸シートを貼着した後、円弧状に突出した治具を溝が形成された面と反対の面側からウェハに押しあてることによりウェハをバー形状に割断している。そして、ウェハを割断した後に延伸シートを伸張状態で保持することにより、バー形状の切断片同士の接触を防止している。
特開平5−21599 特開平11−111645 特開平8−213348 特開2002−184723
しかしながら、溝等の切断起点が形成されたウェハを割断する際に特許文献1の装置を用いると、以下の問題点が生じる。すなわち、この装置は伸張性テープを放射状に伸張させるので、伸張性テープの面内の全方向へ向けて同時にウェハが引っ張られることとなる。このため、切断起点の延伸方向に対して垂直な力だけでなく、様々な向きの力が切断起点に加わってしまい、ウェハにチッピング・引きちぎれ・膜剥がれ等の損傷が生じ易くなる。また、切断起点として例えば亀裂を形成した場合には、伸張性テープを伸張させたときに切断方向から逸れて亀裂が進展するおそれがある。亀裂が切断方向から逸れて進展すると、意図しない方向に分断されてしまう。
また、特許文献2〜4に記載された方法では、以下の問題点がある。すなわち、ウェハに形成された切断起点に沿って該ウェハを切断する際には、切断後の半導体チップ同士が再び接触しないことが好ましい。切断後の半導体チップ同士が接触すると、切断面が損傷するおそれがあるからである。特許文献2及び3に開示された方法では、ウェハを格子状に切断するために、互いに交差する二方向をそれぞれ個別に切断する必要があるので、一方向を切断後に湾曲状態を元に戻す際に、バー形状の切断片同士が接触してしまい切断面が損傷するおそれがある。また、特許文献4に開示された方法でも、ウェハを格子状に切断するためには、治具を回転させる際に延伸シートを一度平坦な状態に戻さなくてはならず、このときに切断面が損傷するおそれがある。
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、切断起点が二方向に形成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を低減できる基板加工方法及びフィルム伸張装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明による第1の基板加工方法は、基板を含む加工対象物を切断する基板加工方法であって、第1の方向及び第1の方向と交差する第2の方向に沿って切断起点が形成された加工対象物の一方の面に貼着された伸張性フィルムを、第1の方向に対して略垂直な第3の方向へ伸張することにより、第1の方向に沿った切断起点において加工対象物を切断する第1の伸張工程と、第3の方向への伸張性フィルムの伸張状態を維持しながら、第2の方向に対して略垂直な第4の方向へ伸張性フィルムを伸張することにより、第2の方向に沿った切断起点において加工対象物を切断する第2の伸張工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明による第2の基板加工方法は、基板を含む加工対象物を切断する基板加工方法であって、第1の方向及び第1の方向と交差する第2の方向に沿って切断起点が形成された加工対象物の一方の面に貼着された伸張性フィルムを、第1の方向に対して略垂直な第3の方向へ伸張する第1の伸張工程と、第2の方向に対して略垂直な第4の方向へ伸張性フィルムを伸張する第2の伸張工程とを備え、第1及び第2の伸張工程をそれぞれ複数段階に分けて交互に行うことにより、切断起点において加工対象物を切断することを特徴とする。
上記した第1及び第2の基板加工方法では、第1の方向に沿って形成された切断起点に対しては該第1の方向と略垂直な第3の方向に、第2の方向に沿って形成された切断起点に対しては該第2の方向と略垂直な第4の方向に、交互に伸張性フィルムを伸張することにより外力(引張応力)を印加している。これにより、切断起点に対して不要な方向に加わる力を低減し、チッピング・引きちぎれ・膜剥がれ等の損傷や切断直後の切断片同士の競り合いを防げる。また、伸張性フィルムを伸張させる際には、第3及び第4の方向のうち伸張方向とは異なる方向への伸張状態が維持されるので、切断片同士が再び接触することを防止できる。従って、上記第1または第2の基板加工方法によれば、切断起点が二方向(すなわち第1及び第2の方向)に形成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を防止できる。
なお、第1及び第2の基板加工方法において、第1及び第2の方向に沿って切断起点が形成されるとは、加工対象物の切断の起点となる要素が第1及び第2の方向に沿って連続して形成されている場合と、該要素が第1及び第2の方向に沿って断続的に形成されている場合とを含む意味である。また、第1及び第2の基板加工方法を行う際に、既に切断起点の一部において加工対象物が切断されていても構わない。このような場合でも、未切断の他の切断起点において加工対象物を完全に切断するために、上記第1及び第2の基板加工方法を適用することができる。
また、第1または第2の基板加工方法は、第1の伸張工程において、第3の方向へ伸張性フィルムを伸張させる際に、第3の方向への伸張速度よりも小さい伸張速度で第4の方向に伸張性フィルムを伸張させ、第2の伸張工程において、第4の方向へ伸張性フィルムを伸張させる際に、第4の方向への伸張速度よりも小さい伸張速度で第3の方向に伸張性フィルムを伸張させることを特徴としてもよい。
伸張性フィルムを伸張させる際には、伸張方向と交差する方向に伸張性フィルムの中央分が縮む傾向がある。伸張方向と交差する方向に伸張性フィルムが過度に縮むと、切断面を損傷するおそれがある。この基板加工方法によれば、伸張性フィルムを伸張させる際に伸張方向と交差する方向における伸張性フィルムの縮みを防いで伸張状態を好適に維持できるので、切断面の損傷をより効果的に防止できる。
また、第1または第2の基板加工方法は、切断起点のうち少なくとも一部が、基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより生じる多光子吸収によって基板の内部に形成された改質領域からなることを特徴としてもよい。或いは、第1または第2の基板加工方法は、切断起点のうち少なくとも一部が、基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより基板の内部に形成された溶融処理領域からなることを特徴としてもよい。
このように、多光子吸収という現象により形成される改質領域(または溶融処理領域)でもって加工対象物に切断起点を形成することにより、加工対象物を比較的小さな力で精度良く割って切断することができる。従って、この基板加工方法によれば、第3、第4の方向のそれぞれに伸張性フィルムを伸張させて、加工対象物を精度よく切断することができる。なお、ここでいう基板の内部とは、基板の表面をも含む意味である。さらに、集光点とは、レーザ光が集光した箇所のことである。そして、切断起点は、改質領域が連続的に形成されることで形成される場合もあるし、改質領域が断続的に形成されることで形成される場合もある。
また、第1または第2の基板加工方法は、切断起点のうち少なくとも一部が、基板に形成された溝からなることを特徴としてもよい。これにより、第3、第4の方向のそれぞれに伸張性フィルムを伸張させて、加工対象物を好適に切断することができる。
また、本発明による第1のフィルム伸張装置は、基板を含む加工対象物に貼着された伸張性フィルムを伸張させるフィルム伸張装置であって、伸張性フィルムが貼着された加工対象物を載置するための載置面を有するテーブルと、第3の方向におけるテーブルの両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルムを保持する一対の第1の保持部と、第3の方向と交差する第4の方向におけるテーブルの両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルムを保持する一対の第2の保持部と、テーブル及び第1の保持部のうち少なくとも一方を駆動することにより、テーブルの載置面と第1の保持部との距離を拡大して伸張性フィルムを第3の方向に伸張させる第1の駆動部と、テーブル及び第2の保持部のうち少なくとも一方を駆動することにより、テーブルの載置面と第2の保持部との距離を拡大して伸張性フィルムを第4の方向に伸張させる第2の駆動部とを備えることを特徴とする。
上記した第1のフィルム伸張装置では、先ず、第1の方向及び該第1の方向と交差する第2の方向に延びる切断起点が形成された加工対象物が、テーブルの載置面上に載置される。このとき、加工対象物は、第1の方向と第3の方向とが互いに略直交し、且つ第2の方向と第4の方向とが互いに略直交するように、載置面上に載置される。そして、第1の駆動部は、載置面と第1の保持部との距離を拡大することにより、伸張性フィルムを第3の方向に伸張させて外力(引張応力)を印加する。続いて、第2の駆動部は、載置面と第2の保持部との距離を拡大することにより、伸張性フィルムを第4の方向に伸張させて外力(引張応力)を印加する。このとき、第1の駆動部は、第3の方向への伸張性フィルムの伸張状態を維持する。第1及び第2の駆動部によるこれらの動作は、必要に応じて繰り返されることができる。
また、本発明による第2のフィルム伸張装置は、基板を含む加工対象物に貼着された伸張性フィルムを伸張させるフィルム伸張装置であって、第3の方向における加工対象物の両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルムを保持する一対の第1の保持部と、第3の方向と交差する第4の方向における加工対象物の両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルムを保持する一対の第2の保持部と、一対の第1の保持部同士の間隔を拡大することにより、伸張性フィルムを第3の方向に伸張させる第1の駆動部と、一対の第2の保持部同士の間隔を拡大することにより、伸張性フィルムを第4の方向に伸張させる第2の駆動部とを備えることを特徴とする。
上記した第2のフィルム伸張装置では、先ず、第1の方向及び該第1の方向と交差する第2の方向に延びる切断起点が形成された加工対象物に貼着された伸張性フィルムが、第1の方向と第3の方向とが互いに直交し、且つ第2の方向と第4の方向とが互いに直交するように、第1及び第2の保持部によって保持される。そして、第1の駆動部は、一対の第1の保持部同士の間隔を拡大することにより、伸張性フィルムを第3の方向に伸張させて外力(引張応力)を印加する。続いて、第2の駆動部は、一対の第2の保持部同士の間隔を拡大することにより、伸張性フィルムを第4の方向に伸張させて外力(引張応力)を印加する。このとき、第1の駆動部は、第3の方向への伸張性フィルムの伸張状態を維持する。第1及び第2の駆動部によるこれらの動作は、必要に応じて繰り返されることができる。
上記した第1または第2のフィルム伸張装置によれば、切断起点に対して不要な方向に加わる力を低減し、チッピング・引きちぎれ・膜剥がれ等の損傷や切断直後の切断片同士の競り合いを防げる。また、第1及び第2の駆動部の一方が伸張性フィルムを伸張させる際には、伸張方向とは異なる方向への伸張状態を他方の駆動部によって維持することができるので、切断片同士が再び接触することを防止できる。以上のことから、上記第1または第2のフィルム伸張装置によれば、切断起点が二方向に形成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を防止できる。
なお、第1のフィルム伸張装置においては、テーブルの載置面が平坦であることが好ましい。
また、第1または第2のフィルム伸張装置は、第1及び第2の駆動部がエアシリンダ、油圧シリンダ、またはモータのうち少なくとも一種類からなることを特徴としてもよい。例えば第1及び第2の駆動部がエアシリンダ或いは油圧シリンダからなる場合、空気圧(油圧)または空気量(油量)を調整することによって伸張性フィルムの伸張速度を制御することが可能である。また、第1及び第2の駆動部がモータからなる場合、モータのギヤ比を切り替えること等によって伸張性フィルムの伸張速度を制御することが可能である。従って、この第1または第2のフィルム伸張装置によれば、伸張性フィルムの伸張速度を加工対象物の構成材料などに応じて好適に制御することができる。
また、第1または第2のフィルム伸張装置は、第1及び第2の駆動部の作動時間を制御する制御部を更に備えることを特徴としてもよい。第1及び第2の駆動部がエアシリンダ、油圧シリンダ、またはモータのうち少なくとも一種類からなる場合、上述したように伸張性フィルムの伸張速度を制御することができるので、制御部が第1及び第2の駆動部の作動時間を制御することにより、伸張性フィルムの伸張量を容易に制御できる。
また、第1または第2のフィルム伸張装置は、第1及び第2の保持部の変位を検出する変位センサを更に備えることを特徴としてもよい。これにより、伸張性フィルムの伸張量を精度良く測定できる。
また、第1または第2のフィルム伸張装置は、第1及び第2の駆動部の作動量を、変位センサからの検出結果に基づいて制御する制御部を更に備えることを特徴としてもよい。これにより、伸張性フィルムの伸張量を容易に制御できる。
本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置によれば、切断起点が二方向に形成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を低減できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係るフィルム伸張装置の第1実施形態として、加工対象物であるウェハをチップ状に切断するためのフィルム伸張装置1の構成を示す切り欠き斜視図である。なお、図1には、説明を容易にする為にXYZ直交座標系も示されている。また、図2は、図1のZ軸方向から見たフィルム伸張装置1の平面図である。また、図3及び図4は、それぞれ図2のI−I線及びII−II線に沿った側面断面図である。
図1〜図4を参照すると、本実施形態のフィルム伸張装置1は、テーブル2、ベース板7、移動板8、一対の第1の保持部11、一対の第2の保持部12、シリンダ21及び22を備える。このフィルム伸張装置1は、第1の保持部11及び第2の保持部12によって伸張性フィルム40(図3及び図4参照)の端部を保持しつつ、第1の保持部11、第2の保持部12、及びテーブル2をZ軸方向に互いに独立に移動させることによって、伸張性フィルム40を伸張させる装置である。以下、フィルム伸張装置1の各構成について説明する。
テーブル2は、伸張性フィルム40(図3及び図4参照)が貼着された図示しないウェハを載置するための構成要素である。テーブル2は、天板20及びローラー23a〜23dを有する。天板20は、板状部材であり、ウェハを載置するための略正方形の平坦な載置面20aを有する。天板20は、載置面20aが図中のZ軸方向と直交するように配置されている。また、天板20は、載置面20aにおける対向する一対の辺がX軸方向と直交するように、且つ対向する他の一対の辺がY軸方向と直交するように配置されている。X軸方向及びY軸方向は、それぞれ本実施形態における第3及び第4の方向である。天板20は、シリンダ21の軸21a(図3及び図4参照)によって支持されている。
ローラー23a〜23dは、伸張性フィルム40が伸張する際に伸張性フィルム40とテーブル2の四辺との間の摩擦を回避するための構成要素である。ローラー23a〜23dは、円柱状の部材であり、該円柱の中心軸を回転軸として回転可能なように載置面20aの四辺にそれぞれ配設されている。ローラー23a及び23bの回転軸は、載置面20aにおけるX軸方向と直交する一対の辺とそれぞれ平行となるように、天板20の縁に固定されている。また、ローラー23c及び23dの回転軸は、載置面20aにおけるY軸方向と直交する一対の辺とそれぞれ平行となるように、天板20の縁に固定されている。
第1の保持部11は、X軸方向におけるウェハ(不図示)の両側に位置する伸張性フィルム40の一対の部位(本実施形態では、X軸方向における伸張性フィルム40の両端部)を保持するための一対の構成要素である。一対の第1の保持部11は、X軸方向においてテーブル2の両側に並んで配置されている。一対の第1の保持部11のうち一方は、フィルム支持台3及びフィルム固定板13を含んで構成されている。また、一対の第1の保持部11のうち他方は、フィルム支持台4及びフィルム固定板14を含んで構成されている。なお、伸張性フィルム40は、X軸方向において一対の第1の保持部11の間隔よりも長くてもよく、その場合には、X軸方向においてテーブル2の両側に位置する伸張性フィルム40の一対の部位を第1の保持部11が保持するとよい。
フィルム支持台3及び4は、図中のYZ平面に沿って延びる矩形板状の構成要素である。フィルム支持台3及び4は、Z軸方向と交差する一対の端面と、Y軸方向と交差する一対の端面とを有する。フィルム支持台3及び4におけるZ軸方向と交差する一対の端面のうちZ軸上方の端面は、載置面20aにおけるX軸方向と直交する辺に沿って配置されている。すなわち、フィルム支持台3及び4におけるZ軸上方の端面は、その長手方向がX軸方向と直交するように配置されている。
また、フィルム支持台3及び4は、天板20における載置面20aとは反対側の面に対向して設けられた移動板8によって互いに固定されている。移動板8は、XY平面に沿って延びる板状の部材であり、そのX軸方向における一端がフィルム支持台3の下端に固定されるとともに、他端がフィルム支持台4の下端に固定されている。移動板8の略中央部分は、後述するシリンダ22の軸22a(図3及び図4参照)に固定されている。以上の構成により、フィルム支持台3及び4は、移動板8を介してシリンダ22の軸22aによって支えられている。
フィルム固定板13及び14は、フィルム支持台3及び4のZ軸上方の端面に沿って延びる略長方形の板状の構成要素である。フィルム固定板13及び14は、ボルト31cによってそれぞれフィルム支持台3及び4に固定される。このとき、フィルム固定板13及び14は、図3に示すようにX軸方向における伸張性フィルム40の両端部をフィルム支持台3及び4との間に挟んで固定する。なお、フィルム支持台3及び4のZ軸上方の端面は、伸張性フィルム40をテーブル2の載置面20aに接触させるために載置面20aよりもZ軸下方に配置される。
第2の保持部12は、Y軸方向におけるウェハの両側に位置する伸張性フィルム40の一対の部位(本実施形態では、Y軸方向における伸張性フィルム40の両端部)を保持するための一対の構成要素である。一対の第2の保持部12は、Y軸方向においてテーブル2の両側に並んで配置されている。一対の第2の保持部12のうち一方は、フィルム支持台5及びフィルム固定板15を含んで構成されている。また、一対の第2の保持部12のうち他方は、フィルム支持台6及びフィルム固定板16を含んで構成されている。なお、伸張性フィルム40は、Y軸方向において一対の第2の保持部12の間隔よりも長くてもよく、その場合には、Y軸方向においてテーブル2の両側に位置する伸張性フィルム40の一対の部位を第2の保持部12が保持するとよい。
フィルム支持台5及び6は、図中のXZ平面に沿って延びる矩形板状の構成要素である。フィルム支持台5及び6は、Z軸方向と交差する一対の端面と、X軸方向と交差する一対の端面とを有する。フィルム支持台5及び6におけるZ軸方向と交差する一対の端面のうちZ軸上方の端面は、載置面20aにおけるY軸方向と直交する辺に沿って配置されている。すなわち、フィルム支持台5及び6におけるZ軸上方の端面は、その長手方向がY軸方向と直交するように配置されている。
また、フィルム支持台5及び6は、天板20と移動板8との間に配置されたベース板7に固定されており、このベース板7を支えている。ベース板7は、後述するシリンダ21及び22を支持するための板状の部材であり、XY平面に沿って延びている。そして、X軸方向におけるベース板7の一端がフィルム支持台5に固定されるとともに、他端がフィルム支持台6に固定されている。また、フィルム支持台5及び6におけるZ軸下方の端面は、フィルム伸張装置1が設置される面に接している。以上の構成により、フィルム支持台5及び6は、シリンダ21及び22を支えるとともに、シリンダ21の軸21aを介してテーブル2を、シリンダ22の軸22aを介して第1の保持部11を、それぞれ支えている。なお、フィルム支持台5及び6は、フィルム伸張装置1の機械的強度を確保するために、フィルム支持台5及び6の間にわたって設けられた梁部9a、9b、10a、及び10bによって互いに固定されている。
フィルム固定板15及び16は、フィルム支持台5及び6のZ軸上方の端面に沿って延びる略長方形の板状の構成要素である。フィルム固定板15及び16は、ボルト31cによってそれぞれフィルム支持台5及び6に固定される。このとき、フィルム固定板15及び16は、図4に示すようにY軸方向における伸張性フィルム40の両端部をフィルム支持台5及び6との間に挟んで固定する。なお、フィルム支持台5及び6のZ軸上方の端面は、伸張性フィルム40をテーブル2の載置面20aに接触させるために載置面20aよりもZ軸下方に配置される。
シリンダ22は、本発明における第1の駆動部の一形態であり、第1の保持部11を駆動することによってテーブル2の載置面20aと第1の保持部11との距離を拡大し、伸張性フィルム40をX軸方向に伸張させる構成要素である。また、シリンダ21は、本発明における第2の駆動部の一形態であり、テーブル2を駆動することによってテーブル2の載置面20aと第2の保持部12との距離を拡大し、伸張性フィルム40をY軸方向に伸張させる構成要素である。シリンダ21及び22は、軸21a及び22aがZ軸方向に沿うように、ベース板7の両面にそれぞれ固定されている。シリンダ21の軸21aの先端は、ボルト31a(図1及び図2参照)によってテーブル2の天板20の略中央部分に固定されている。シリンダ22の軸22aの先端は、ボルト31b(図3及び図4参照)によって移動板8の略中央部分に固定されている。
本実施形態のシリンダ21及び22は、エアシリンダまたは油圧シリンダからなる。シリンダ21及び22のそれぞれには図示しない管が接続されており、この管を通して空気またはオイルが供給・排気されることにより、軸21a及び22aがZ軸方向に移動する。シリンダ22の軸22aがZ軸下方に突出すると、ベース板7に対して相対的に移動板8がZ軸下方へ移動する。すなわち、一対の第1の保持部11に対して相対的にテーブル2がZ軸上方へ移動することとなり、テーブル2の載置面20aと第1の保持部11との距離がZ軸方向に拡大される。このとき、シリンダ21の軸21aを静止させることにより、一対の第2の保持部12とテーブル2との位置関係を保持することができる。
また、シリンダ21の軸21aがZ軸上方に突出すると、ベース板7に対して相対的にテーブル2がZ軸上方へ移動する。すなわち、一対の第2の保持部12に対して相対的にテーブル2がZ軸上方へ移動することとなり、テーブル2の載置面20aと第2の保持部12との距離がZ軸方向に拡大される。このとき、シリンダ22の軸22aを、シリンダ21の軸21aと同じ向きに同じ距離を移動させることにより、一対の第1の保持部11とテーブル2との位置関係を保持することができる。このように、本実施形態の構成によれば、テーブル2の載置面20aと第1の保持部11との距離、及びテーブル2の載置面20aと第2の保持部12との距離を、互いに独立して拡大することができる。
なお、本実施形態のシリンダ22は第1の保持部11を駆動しているが、テーブル2を駆動するか或いはテーブル2及び第1の駆動部11の双方を駆動することによって載置面20aと第1の保持部11との距離をZ軸方向に拡大する構成としてもよい。また、本実施形態のシリンダ21はテーブル2を駆動しているが、第2の保持部12を駆動するか或いはテーブル2及び第2の駆動部12の双方を駆動することによって載置面20aと第2の保持部12との距離をZ軸方向に拡大する構成としてもよい。
ここで、図5は、フィルム伸張装置1における、シリンダ21及び22を駆動するための構成を示すブロック図である。本実施形態のフィルム伸張装置1は、上記構成に加えて、更に制御部24及び変位センサ25、26を備えることが好ましい。
変位センサ25は、テーブル2の載置面20aに対する第1の保持部11の変位を検出するための手段である。また、変位センサ26は、テーブル2の載置面20aに対する第2の保持部12の変位を検出するための手段である。変位センサ25及び26は、例えば光学的な測距センサや、或いはスライドボリュームなどによって実現される。なお、変位センサ25及び26は、載置面20aに対する第1の保持部11の変位、及び載置面20aに対する第2の保持部12の変位をそれぞれ直接的に検出してもよく、或いは、変位センサ26が載置面20aに対する第2の保持部12の変位を検出し、変位センサ25が第2の保持部12に対する第1の保持部11の変位を検出するなどして、間接的に載置面20aに対する第1、第2の保持部11、12の変位を検出してもよい。
制御部24は、シリンダ21及び22の作動量を、変位センサ25及び26からの検出結果に基づいて制御する手段である。制御部24は、変位センサ25及び26によって検出される、載置面20aに対する第1、第2の保持部11、12の変位を参照する。そして、シリンダ21及び22に空気またはオイルを供給・排出するための弁を制御することによって、載置面20aに対する第1、第2の保持部11、12の位置が所定の位置となるように軸21a及び22aを作動させる。制御部24は、例えばプログラムを記憶した記憶装置と演算処理装置(CPU)とを有するコンピュータによって実現される。
なお、フィルム伸張装置1は、変位センサ25及び26を備えない構成でもよい。その場合、制御部24は、載置面20aに対する第1、第2の保持部11、12の位置が所定の位置となるように、シリンダ21及び22の作動時間を制御するとよい。シリンダ21及び22では、空気圧(油圧)または空気量(油量)によって軸21a及び22aの作動速度が定まる。従って、制御部24は、シリンダ21及び22の作動時間を制御することにより、軸21a及び22aの作動量、すなわち載置面20aに対する第1、第2の保持部11、12の変位を制御できる。
続いて、本実施形態に係る基板加工方法について、フィルム伸張装置1の動作とともに図6〜図20を参照しながら説明する。
図6は、本実施形態の加工対象物であるウェハ50を示す斜視図である。ウェハ50は、略円形で且つ平板状の加工対象物であり、主面50a及び裏面50bを有する。また、ウェハ50の側面の一部は、平坦なオリエンテーションフラット(OF)面50cとなっている。ウェハ50は、例えばSi系やGaAs系の半導体基板を含んでおり、主面50a側の半導体基板の面上には、エピタキシャル層、絶縁層、及び導電層を含む積層部が形成されている。或いは、ウェハ50は、例えばサファイア基板を含んでおり、主面50a側のサファイア基板の面上に、エピタキシャル層、絶縁層、及び導電層を含む積層部が形成されていてもよい。
本実施形態による基板加工方法は、まず、図7に示すようにウェハ50の主面50aにBG(BackGrind)テープ61を貼着する。このBGテープ61は、ウェハ50の裏面50bを研削(バックグラインド)する際に、ウェハ50の主面50a側に形成された積層部を保護するためのテープである。そして、ウェハ50の裏面50bをグラインダーを用いて研削し、ウェハ50を薄化する。
続いて、図8に示すように、ウェハ50の主面50a上(本実施形態ではBGテープ61上)にダイシングテープ62を貼着する。このダイシングテープ62はウェハ50よりも広く、その周囲が環状のダイシングリング63によって保持されている。そして、レンズ105とウェハ50の裏面50bとの間隔を調節し、ウェハ50の裏面50bから半導体基板(またはサファイア基板)の内部に集光点を合わせてレーザ光Lを照射することにより、該集光点において多光子吸収を生じさせ、基板の内部に改質領域を形成する。或いは、ウェハ50の裏面50bから半導体基板(またはサファイア基板)の内部に集光点を合わせてレーザ光Lを照射することにより、基板の内部に改質領域の一種である溶融処理領域を形成する。そして、この改質領域(溶融処理領域)を、OF50cと直交する第1の方向、及び該第1の方向と交差する(好ましくは、略直交する)第2の方向に沿って連続して或いは断続的に形成することにより、切断起点51を形成する。これにより、図9に示すように、切断起点51は、ウェハ50の裏面50b側または主面50a側から見て第1の方向(図中の矢印A)及び第2の方向(図中の矢印B)に沿って格子状に形成されることとなる。なお、多光子吸収による改質領域(溶融処理領域を含む)の形成過程については、後に詳しく説明する。
続いて、ウェハ50の裏面50bに伸張性フィルム40を貼着する(伸張性フィルム貼着工程)。図10(a)は、伸張性フィルム貼着工程を説明するための斜視図である。また、図10(b)は、図10(a)のIII−III線またはIV−IV線に沿った側面断面図である。前工程においてウェハ50に格子状の切断起点51を形成した後、図10(a)及び図10(b)に示すように、BGテープ61及びダイシングテープ62が貼着されたウェハ50をフィルム貼着装置65に取り付ける。フィルム貼着装置65は、真空チャック65a及び枠台65bを備える。真空チャック65aは、ウェハ50を吸引固定するための構成要素である。また、枠台65bは、伸張性フィルム40を保持する分離フレーム67a〜67d及び一体フレーム66を支持するための構成要素であり、真空チャック65aを取り囲むように配置されている。
伸張性フィルム貼着工程では、まず、矩形の枠である一体フレーム66を枠台65b上に固定する。そして、棒状の分離フレーム67a及び67bを、一体フレーム66における互いに対向する一対の辺に沿って一体フレーム66上に固定する。更に、棒状の分離フレーム67c及び67dを、一体フレーム66における他の一対の辺に沿って一体フレーム66上に固定する。続いて、BGテープ61及びダイシングテープ62が貼着された主面50aが真空チャック65aと対向するように、ウェハ50を真空チャック65aに吸引固定させる。このとき、ウェハ50に形成された切断起点51の形成方向のうち、OF50cと直交する第1の方向が分離フレーム67a及び67bに沿うように、且つ第1の方向と直交する(OF50cと平行な)第2の方向が分離フレーム67c及び67dに沿うように、ウェハ50を配置する。
続いて、ウェハ50の周囲に沿ってダイシングテープ62を切断し、ダイシングリング63を取り外す。そして、ウェハ50の裏面50bに伸張性フィルム40を貼着する。このとき、ウェハ50の裏面50bとともに分離フレーム67a〜67dも覆うように伸張性フィルム40をフィルム貼着装置65の上方から被せる。そして、ウェハ50の裏面50b及び分離フレーム67a〜67dに伸張性フィルム40を貼着する。
続いて、図11に示すように、フィルム貼着装置65上においてウェハ50を反転させ、伸張性フィルム40が貼着されたウェハ50の裏面50bを真空チャック65aに吸引固定させる。そして、ダイシングテープ62及びBGテープ61をウェハ50の主面50aから剥離除去する。なお、このときウェハ50を真空チャック65aに固定するのは、ダイシングテープ62及びBGテープ61を剥離する際にウェハ50が割れることを防止するためである。
続いて、ウェハ50に貼着された伸張性フィルム40を、上述したフィルム伸張装置1に取り付ける。図12(a)は、伸張性フィルム40をフィルム伸張装置1に取り付ける際の一工程(図10に示した一体フレーム66を取り外した状態)を示す斜視図である。また、図12(b)は、図12(a)のV−V線またはVI−VI線に沿った側面断面図である。まず、伸張性フィルム40の端部に固定された一体フレーム66及び分離フレーム67a〜67dを、分離フレーム67a〜67dがZ軸下方に位置するようにフィルム伸張装置1のフィルム支持台3〜6に載せる。なお、本実施形態ではフィルム支持台3及び4のそれぞれに分離フレーム67a及び67bを載せており、フィルム支持台5及び6のそれぞれに分離フレーム67c及び67dを載せている。このとき、伸張性フィルム40が貼着されたウェハ50は、主面50aをZ軸上方に向けてテーブル2の載置面20a上に載置される。また、ウェハ50は、切断起点51の形成方向のうちOF50cと直交する第1の方向AがX軸方向と略垂直となるように、且つ第1の方向Aと直交する(OF50cと平行な)第2の方向BがY軸方向と略垂直となるように、テーブル2の載置面20a上に載置される。その後、一体フレーム66を分離フレーム67a〜67dから取り外す。
図13(a)は、伸張性フィルム40をフィルム伸張装置1に取り付ける際の次の一工程を示す斜視図である。また、図13(b)は、図13(a)のVII−VII線及びVIII−VIII線に沿った端面図である。一体フレーム66を分離フレーム67a〜67dから取り外したのち、分離フレーム67a〜67dをフィルム固定板13〜16によってフィルム支持台3〜6に固定する。すなわち、分離フレーム67a上にフィルム固定板13を載せることによりフィルム固定板13とフィルム支持台3との間に分離フレーム67aを挟み、図1に示したボルト31cによってフィルム固定板13をフィルム支持台3に固定する。分離フレーム67b〜67dについても、分離フレーム67aと同様にしてフィルム固定板14〜16とフィルム支持台4〜6との間に挟み、固定する。これにより、X軸方向におけるウェハ50の両側に位置する伸張性フィルム40の一対の部位(本実施形態では、X軸方向における伸張性フィルム40の両端部)が、一対の第1の保持部11によって保持される。また、Y軸方向におけるウェハ50の両側に位置する伸張性フィルム40の一対の部位(Y軸方向における伸張性フィルム40の両端部)が、一対の第2の保持部12によって保持される。
続いて、伸張性フィルムを伸張させる工程(第1及び第2の伸張工程)について説明する。図14(a)は、図13(a)のVII−VII線に沿ったフィルム伸張装置1の端面図である。また、図14(b)は、図13(a)のVIII−VIII線に沿ったフィルム伸張装置1の端面図である。なお、図14(a)及び図14(b)は、ウェハ50に貼着された伸張性フィルム40をフィルム伸張装置1に取り付けた状態(初期状態)を示しており、テーブル2の載置面20aとフィルム支持台3〜6のZ軸上方の端面とが同じZ座標位置に維持されている。
まず、第1の伸張工程について説明する。この工程では、切断起点51の一形成方向である第1の方向A(図13(a)参照)に対して略垂直なX軸方向(第3の方向)へ伸張性フィルム40を伸張することにより、第1の方向Aに沿った切断起点51においてウェハ50を切断する。具体的には、シリンダ22の軸22aをZ軸下方に突出させることにより、一対の第1の保持部11をテーブル2の載置面20aに対して相対的にZ軸下方に移動させて、第1の保持部11と載置面20aとの距離をZ軸方向に拡大する。これにより、伸張性フィルム40のX軸方向における両端部が固定された第1の保持部11に対して、テーブル2の載置面20aがZ軸上方に突き出るかたちとなる。従って、載置面20a上の伸張性フィルム40がX軸方向に伸張され、ウェハ50に対してX軸方向に引張応力が印加される。
ここで、図15は、第1の伸張工程が完了した状態のフィルム伸張装置1を示す斜視図である。また、図16(a)は、図15のIX−IX線に沿ったフィルム伸張装置1の端面図である。また、図16(b)は、図15のX−X線に沿ったフィルム伸張装置1の端面図である。図15及び図16(a)に示すように、第1の伸張工程において載置面20a上の伸張性フィルム40がX軸方向に伸張された結果、第1の方向Aに沿って形成された切断起点51(図9参照)においてウェハ50が切断されて、バー状の複数の切断片52が生成される。また、このとき、図16(b)に示すように、シリンダ21の軸21aが静止しているのでテーブル2の載置面20aと第2の保持部12との相対位置関係は変化しない。従って、伸張性フィルム40はY軸方向には伸張されないので、ウェハ50にY軸方向の引張応力は生じない。
続いて、第2の伸張工程について説明する。この工程では、切断起点51の他の形成方向である第2の方向Bに対して略垂直なY軸方向(第4の方向)へ伸張性フィルム40を伸張することにより、第2の方向Bに沿った切断起点51においてウェハ50を切断する。具体的には、シリンダ21の軸21aをZ軸上方に突出させることにより、テーブル2の載置面20aを一対の第2の保持部12に対して相対的にZ軸上方に移動させて、第1の保持部12と載置面20aとの距離をZ軸方向に拡大する。これにより、伸張性フィルム40のY軸方向における両端部が固定された第2の保持部12に対して、テーブル2の載置面20aがZ軸上方に突き出るかたちとなる。従って、載置面20a上の伸張性フィルム40がY軸方向に伸張され、ウェハ50(切断片52)に対してY軸方向に引張応力が印加される。
ここで、図17は、第2の伸張工程が完了した状態のフィルム伸張装置1を示す斜視図である。また、図18(a)は、図17のXI−XI線に沿ったフィルム伸張装置1の端面図である。また、図18(b)は、図17のXII−XII線に沿ったフィルム伸張装置1の端面図である。図17及び図18(b)に示すように、第2の伸張工程において載置面20a上の伸張性フィルム40がY軸方向に伸張された結果、第2の方向Bに沿って形成された切断起点51(図9参照)においてウェハ50(切断片52)が切断されて、複数の半導体チップ53が生成される。また、このとき、図18(a)に示すように、シリンダ22の軸22aをシリンダ21の軸21aの突出量と同じ量だけZ軸上方へ収縮させることにより、第1の保持部11とテーブル2の載置面20aとの相対位置関係を略一定に維持する。これにより、伸張性フィルム40のX軸方向における伸張状態を維持できる。
なお、上述した方法においては第1及び第2の伸張工程をそれぞれ1回ずつ行っているが、本基板加工方法においては第1及び第2の伸張工程を複数段階に分けて交互に行ってもよい。その場合、1回目の第1及び第2の伸張工程においてウェハ50を完全に切断する必要はなく、複数段階の第1及び第2の伸張工程にわたって伸張性フィルム40を少しずつ伸張させ、結果的にウェハ50が完全に切断されていればよい。なお、2回目以降の第1の伸張工程においては、シリンダ21の軸21aを静止状態で保持することにより、前回までの第2の伸張工程における伸張性フィルム40のY軸方向の伸張状態を維持することができる。
第1及び第2の伸張工程においてウェハ50を切断した後、図19に示すように、伸張性フィルム40が伸張された状態のまま、ウェハ50を囲む環状のダイシングリング68を伸張性フィルム40の表面に貼着する。そして、テーブル2の四辺に沿って伸張性フィルム40を切断し、ウェハ50をフィルム伸張装置1から取り外す。このとき、ダイシングリング68によって伸張性フィルム40の伸張状態が維持されるので、切断された複数の半導体チップ53の離間状態が保たれる。最後に、図20に示すように、伸張性フィルム40をダイシングリング68の外縁に沿って切断する。こうして、ウェハ50から形成されて互いに離間された状態の複数の半導体チップ53が、後の工程に提供される。
以上に説明した本実施形態の基板加工方法及びフィルム伸張装置1の効果について説明する。本実施形態の基板加工方法及びフィルム伸張装置1では、第1の方向Aに沿って形成された切断起点51に対しては、該第1の方向Aと略垂直なX軸方向に伸張性フィルム40を伸張させることにより引張応力を印加している。また、第2の方向Bに沿って形成された切断起点51に対しては、該第2の方向Bと略垂直なY軸方向に伸張性フィルム40を伸張させることにより引張応力を印加している。そして、X軸方向及びY軸方向へのこれらの伸張動作を交互に行うことにより、ウェハ50を切断している。これにより、切断起点51に対して不要な方向(切断起点51の形成方向に対して斜めの方向)に加わる力を低減できるので、半導体チップ53におけるチッピング・引きちぎれ・膜剥がれ等の損傷や、切断直後の切断片52同士或いは半導体チップ53同士の競り合いを防げる。
また、フィルム伸張装置1が2つのシリンダ21及び22を備えることによって、伸張性フィルム40を伸張させる際に、互いに交差する二方向(X軸方向及びY軸方向)へそれぞれ独立して伸張させることができるとともに、伸張方向とは異なる方向への伸張状態を好適に維持できる。従って、X軸方向及びY軸方向への伸張動作を交互に行うことができるとともに、切断片52同士或いは半導体チップ53同士が切断後に再び接触することを防止できる。
以上、本実施形態の基板加工方法及びフィルム伸張装置1によれば、切断起点51が二方向(第1及び第2の方向)に形成されたウェハ50を切断する際に切断面の損傷を防止できる。
また、フィルム伸張装置1は、本実施形態のようにシリンダ21及び22としてエアシリンダまたは油圧シリンダを備えることが好ましい。これにより、空気圧(油圧)または空気量(油量)を調整することによって伸張性フィルム40の伸張速度を制御することが可能となるので、伸張性フィルム40の伸張速度をウェハ50の構成材料などに応じて好適に制御することができる。なお、本発明のおける第1及び第2の駆動部としては、本実施形態のようなシリンダ21及び22以外にも、例えばモータ(電気モータ)を用いることができる。この場合、モータのギヤ比を切り替えること等によって伸張性フィルム40の伸張速度を制御することができる。
また、フィルム伸張装置1は、シリンダ21及び22の作動時間を制御する制御部24を備えてもよい。フィルム伸張装置1がシリンダ21及び22としてエアシリンダまたは油圧シリンダを備える場合、上述したように伸張性フィルム40の伸張速度を制御することができるので、制御部24がシリンダ21及び22の作動時間を制御することにより、伸張性フィルム40の伸張量を容易に制御できる。また、フィルム伸張装置が第1及び第2の駆動部としてモータを備える場合であっても、該モータの作動時間を制御する制御部をフィルム伸張装置が備えることにより、伸張性フィルム40の伸張量を容易に制御できる。
また、フィルム伸張装置1は、本実施形態のように、テーブル2の載置面20aに対する第1の保持部11及び第2の保持部12の変位を検出する変位センサ25及び26を備えることが好ましい。これにより、伸張性フィルム40の伸張量を精度良く測定できる。また、この場合、フィルム伸張装置1は、シリンダ21及び22の作動量を、変位センサ25及び26からの検出結果に基づいて制御する制御部24を備えることが好ましい。これにより、伸張性フィルム40の伸張量を容易に制御できる。なお、フィルム伸張装置が第1及び第2の駆動部としてモータを備える場合であっても、本実施形態のような変位センサ、及び該変位センサからの変位検出結果に基づいてモータの作動量を制御する制御部を備えることにより、伸張性フィルム40の伸張量を容易に制御できる。
なお、本実施形態の第1の伸張工程においては、シリンダ22の軸22aを突出させることにより伸張性フィルム40をX軸方向に伸張させる際に、シリンダ21の軸21aを静止させている。本基板加工方法においては、第1の伸張工程の際に、シリンダ21の軸21aをシリンダ22の軸22aよりも小さい突出速度及び突出量で突出させてもよい。これにより、伸張性フィルム40は、X軸方向に伸張すると同時に、X軸方向への伸張速度よりも小さな伸張速度及び伸張量でY軸方向に伸張することとなる。また、第2の伸張工程においても、シリンダ21の軸21aを突出させ、且つシリンダ22の軸22aを収縮させることにより伸張性フィルム40をY軸方向に伸張させる際に、シリンダ22の軸22aの収縮速度及び収縮量をシリンダ21の軸21aの突出速度及び突出量よりも少なくしてもよい。これにより、伸張性フィルム40は、Y軸方向に伸張すると同時に、Y軸方向への伸張速度及び伸張量よりも小さな伸張速度及び伸張量でX軸方向に伸張することとなる。
伸張性フィルム40を伸張させる際には、伸張方向と交差する方向に伸張性フィルム40の中央部分が縮む傾向がある。伸張方向と交差する方向に伸張性フィルム40が過度に縮むと、ウェハ50の切断起点51に意図しない方向の応力が働き、切断面を損傷するおそれがある。従って、伸張性フィルム40をX軸方向に伸張させる際にX軸方向への伸張速度よりも小さな伸張速度でY軸方向に伸張させ、Y軸方向に伸張させる際にY軸方向への伸張速度よりも小さな伸張速度でX軸方向に伸張させることにより、伸張性フィルム40を伸張させる際に伸張方向と交差する方向における伸張性フィルム40の縮みを防ぐことができるので、切断面の損傷をより効果的に防止できる。
ここで、本実施形態の切断起点51(図8参照)の形成方法について、更に詳細に説明する。本実施形態の切断起点51は、前述したように多光子吸収による改質領域、または改質領域の一種である溶融処理領域によって形成される。そこで、まず、多光子吸収について説明し、続いて、レーザ加工による改質領域(溶融処理領域)の形成方法について説明する。
材料の吸収のバンドギャップEGよりも光子のエネルギーhνが小さいと光学的に透明となる。よって、材料に吸収が生じる条件はhν>EGである。しかし、光学的に透明でも、材料に照射されるレーザ光の強度を非常に大きくするとnhν>EGの条件(n=2,3,4,・・・)で材料に吸収が生じる。この現象を多光子吸収という。パルス波の場合、レーザ光の強度はレーザ光の集光点のピークパワー密度(W/cm2)で決まり、例えばピークパワー密度が1×108(W/cm2)以上の条件で多光子吸収が生じる。ピークパワー密度は、(集光点におけるレーザ光の1パルス当たりのエネルギー)÷(レーザ光のビームスポット断面積×パルス幅)により求められる。また、連続波の場合、レーザ光の強度はレーザ光の集光点の電界強度(W/cm2)で決まる。
このような多光子吸収を利用した改質領域形成の原理について、図21〜図26を参照して説明する。図21は、改質領域形成中のウェハ50の一部を拡大した平面図である。図22は、図21に示すウェハ50のXIII−XIII線に沿った断面図である。図23は、改質領域形成後のウェハ50の平面図である。図24は、図23に示すウェハ50のXIV−XIV線に沿った断面図である。図25は、図23に示すウェハ50のXV−XV線に沿った断面図である。
図21及び図22に示すように、ウェハ50の裏面50bには、ウェハ50を切断すべき所望の切断予定ライン55がある。切断予定ライン55は直線状に延びた仮想線であり、本実施形態ではOF50c(図9参照)に垂直な第1の方向Aと、第1の方向Aに略直交する第2の方向Bとに沿って想定される。本実施形態において改質領域を形成する際には、多光子吸収が生じる条件でウェハ50の基板内部に集光点Pを合わせてレーザ光Lをウェハ50に照射して改質領域56を形成する。なお、集光点とはレーザ光Lが集光した箇所のことである。また、ウェハ50の裏面50bは、該裏面50bにおいてレーザ光Lが散乱することを防ぐため、平坦かつ滑面であることが好ましい。
レーザ光Lを切断予定ライン55に沿って(すなわち矢印C方向に沿って)相対的に移動させることにより、集光点Pを切断予定ライン55に沿って移動させる。これにより、図23〜図25に示すように改質領域56が切断予定ライン55に沿ってウェハ50の基板内部にのみ形成され、この改質領域56でもって切断起点51が形成される。このとき、ウェハ50がレーザ光Lを吸収することによりウェハ50を発熱させて改質領域56を形成するのではない。ウェハ50にレーザ光Lを透過させウェハ50の内部に多光子吸収を発生させて改質領域56を形成している。よって、ウェハ50の裏面50bではレーザ光Lがほとんど吸収されないので、ウェハ50の裏面50bが溶融することはない。
ここで、多光子吸収により形成される改質領域としては、例えば次の(1)〜(3)がある。
(1)改質領域が1つ又は複数のクラックを含むクラック領域の場合
基板(例えばサファイア、ガラス、またはLiTaO3からなる圧電材料)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光を照射する。このパルス幅の大きさは、多光子吸収を生じさせつつ基板の表面に余計なダメージを与えずに、基板の内部にのみクラック領域を形成できる条件である。これにより、基板の内部には多光子吸収による光学的損傷という現象が発生する。この光学的損傷により基板の内部に熱ひずみが誘起され、これにより基板の内部にクラック領域が形成される。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns〜200nsが好ましい。
ここで、実験により求められた電界強度とクラックの大きさとの関係について説明する。実験条件は次ぎの通りである。
(A)基板:パイレックス(登録商標)ガラス(厚さ700μm)
(B)レーザ
光源:半導体レーザ励起Nd:YAGレーザ
波長:1064nm
レーザ光スポット断面積:3.14×10-8cm2
発振形態:Qスイッチパルス
繰り返し周波数:100kHz
パルス幅:30ns
出力:出力<1mJ/パルス
レーザ光品質:TEM00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
レーザ光波長に対する透過率:60パーセント
(D)基板が載置される載置台の移動速度:100mm/秒
なお、レーザ光品質がTEM00とは、集光性が高くレーザ光の波長程度まで集光可能を意味する。
図26は実験結果を示すグラフである。横軸はピークパワー密度であり、レーザ光がパルスレーザ光なので電界強度はピークパワー密度で表される。縦軸は1パルスのレーザ光により基板の内部に形成されたクラック部分(クラックスポット)の大きさを示している。クラックスポットが集まりクラック領域となる。クラックスポットの大きさは、クラックスポットの形状のうち最大の長さとなる部分の大きさである。グラフ中の黒丸で示すデータは集光用レンズ(C)の倍率が100倍、開口数(NA)が0.80の場合である。一方、グラフ中の白丸で示すデータは集光用レンズ(C)の倍率が50倍、開口数(NA)が0.55の場合である。ピークパワー密度が1011(W/cm2)程度から基板の内部にクラックスポットが発生し、ピークパワー密度が大きくなるに従いクラックスポットも大きくなることが分かる。
次に、クラック領域形成による基板(ウェハ)の切断のメカニズムについて図27〜図30を用いて説明する。図27に示すように、多光子吸収が生じる条件でウェハ50の基板内部に集光点Pを合わせてレーザ光Lをウェハ50に照射して切断予定ラインに沿って内部にクラック領域57を形成する。クラック領域57は1つ又は複数のクラックを含む領域である。このクラック領域57でもって切断起点が形成される。図28に示すように、人為的な力(例えば引張応力)をウェハ50に印加することにより、クラック領域57を起点として(すなわち、切断起点を起点として)クラックがさらに成長し、図29に示すようにクラックがウェハ50の主面50a及び裏面50bに到達し、図30に示すようにウェハ50が割れることによりウェハ50が切断される。
(2)改質領域が溶融処理領域の場合
基板(例えばシリコンのような半導体材料)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光を照射する。これにより基板の内部は多光子吸収によって局所的に加熱される。この加熱により基板の内部に溶融処理領域が形成される。溶融処理領域とは一旦溶融後再固化した領域や、まさに溶融状態の領域や、溶融状態から再固化する状態の領域であり、相変化した領域や結晶構造が変化した領域ということもできる。また、溶融処理領域とは単結晶構造、非晶質構造、多結晶構造において、ある構造が別の構造に変化した領域ということもできる。つまり、例えば、単結晶構造から非晶質構造に変化した領域、単結晶構造から多結晶構造に変化した領域、単結晶構造から非晶質構造及び多結晶構造を含む構造に変化した領域を意味する。基板がシリコン単結晶構造の場合、溶融処理領域は例えば非晶質シリコン構造である。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns〜200nsが好ましい。
シリコンウェハの内部で溶融処理領域が形成されることが実験により確認されている。実験条件は次の通りである。
(A)基板:シリコンウェハ(厚さ350μm、外径4インチ)
(B)レーザ
光源:半導体レーザ励起Nd:YAGレーザ
波長:1064nm
レーザ光スポット断面積:3.14×10-8cm2
発振形態:Qスイッチパルス
繰り返し周波数:100kHz
パルス幅:30ns
出力:20μJ/パルス
レーザ光品質:TEM00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
倍率:50倍
N.A.:0.55
レーザ光波長に対する透過率:60パーセント
(D)基板が載置される載置台の移動速度:100mm/秒
図31は、上記条件でのレーザ加工により形成された溶融処理領域において切断されたシリコンウェハの切断面写真である。シリコンウェハ58の内部に溶融処理領域59が形成されている。なお、上記条件により形成された溶融処理領域59の厚さ方向の大きさは100μm程度である。
溶融処理領域59が多光子吸収により形成されたことを説明する。図32は、レーザ光の波長とシリコン基板の内部の透過率との関係を示すグラフである。ただし、シリコン基板の表面側と裏面側それぞれの反射成分を除去し、内部のみの透過率を示している。シリコン基板の厚さtが50μm、100μm、200μm、500μm、1000μmの各々について上記関係を示した。
例えば、Nd:YAGレーザの波長である1064nmにおいて、シリコン基板の厚さが500μm以下の場合、シリコン基板の内部ではレーザ光が80%以上透過することが分かる。図31に示すシリコンウェハ58の厚さは350μmなので、多光子吸収による溶融処理領域59をシリコンウェハ58の中心付近に形成すると、シリコンウェハ58の表面から175μmの部分に形成される。この場合の透過率は、厚さ200μmのシリコンウェハを参考にすると、90%以上なので、レーザ光がシリコンウェハ58の内部で吸収されるのは僅かであり、ほとんどが透過する。このことは、シリコンウェハ58の内部でレーザ光が吸収されて、溶融処理領域59がシリコンウェハ58の内部に形成(つまりレーザ光による通常の加熱で溶融処理領域が形成)されたものではなく、溶融処理領域59が多光子吸収により形成されたことを意味する。
なお、溶融処理領域が形成された基板は、引張応力などの人為的な力が印加されることにより、溶融処理領域でもって形成される切断起点を起点として断面方向に向かって割れを発生させ、その割れが基板の表面と裏面とに到達することにより、結果的に切断される。また、溶融処理領域は基板内部にのみ形成され、切断後の切断面には、図31のように内部にのみ溶融処理領域が形成されている。基板の内部に溶融処理領域でもって切断起点を形成すると、切断時、切断ラインから外れた不必要な割れが生じにくいので、切断制御が容易となる。
(3)改質領域が屈折率変化領域の場合
基板(例えばガラス)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1ns以下の条件でレーザ光を照射する。パルス幅を極めて短くして、多光子吸収を基板の内部に起こさせると、多光子吸収によるエネルギーが熱エネルギーに転化せずに、基板の内部にはイオン価数変化、結晶化又は分極配向等の永続的な構造変化が誘起されて屈折率変化領域が形成される。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns以下が好ましく、1ps以下がさらに好ましい。
以上、多光子吸収により形成される改質領域として(1)〜(3)の場合を説明したが、基板の結晶構造やその劈開性などを考慮して切断起点を次のように形成すれば、その切断起点を起点として、より一層小さな力で、しかも精度良く基板を切断することが可能になる。
すなわち、シリコンなどのダイヤモンド構造の単結晶半導体からなる基板の場合は、(111)面(第1劈開面)や(110)面(第2劈開面)に沿った方向に切断起点を形成するのが好ましい。また、GaAsなどの閃亜鉛鉱型構造のIII−V族化合物半導体からなる基板の場合は、(110)面に沿った方向に切断起点を形成するのが好ましい。さらに、サファイア(Al)などの六方晶系の結晶構造を有する基板の場合は、(0001)面(C面)を主面として(1120)面(A面)或いは(1100)面(M面)に沿った方向に切断起点を形成するのが好ましい。
次に、上述した改質領域形成に使用されるレーザ加工装置について、図33を参照して説明する。図33はレーザ加工装置100の概略構成図である。
レーザ加工装置100は、レーザ光Lを発生するレーザ光源101と、レーザ光Lの出力やパルス幅等を調節するためにレーザ光源101を制御するレーザ光源制御部102と、レーザ光Lの反射機能を有しかつレーザ光Lの光軸の向きを90°変えるように配置されたダイクロイックミラー103と、ダイクロイックミラー103で反射されたレーザ光Lを集光する集光用レンズ105と、集光用レンズ105で集光されたレーザ光Lが照射されるウェハ50が載置される載置台107と、載置台107をX軸方向に移動させるためのX軸ステージ109と、載置台107をX軸方向と直交するY軸方向に移動させるためのY軸ステージ111と、載置台107をX軸及びY軸方向に直交するZ軸方向に移動させるためのZ軸ステージ113と、これら3つのステージ109,111,113の移動を制御するステージ制御部115とを備える。
この集光点PのX(Y)軸方向の移動は、ウェハ50をX(Y)軸ステージ109(111)によりX(Y)軸方向に移動させることにより行う。Z軸方向は、ウェハ50の裏面50bと直交する方向なので、ウェハ50に入射するレーザ光Lの焦点深度の方向となる。よって、Z軸ステージ113をZ軸方向に移動させることにより、ウェハ50の基板内部にレーザ光Lの集光点Pを合わせることができる。これにより、例えば、ウェハ50が基板及び該基板上に設けられた積層部を含むような場合でも、ウェハ50の基板内部の所望の位置に集光点Pを合わせることができる。
レーザ光源101はパルスレーザ光を発生するNd:YAGレーザである。レーザ光源101に用いることができるレーザとして、この他、Nd:YVO4レーザ、Nd:YLFレーザやチタンサファイアレーザがある。本実施形態では、ウェハ50の加工にパルスレーザ光を用いているが、多光子吸収を起こさせることができるなら連続波レーザ光でもよい。
レーザ加工装置100はさらに、載置台107に載置されたウェハ50を可視光線により照明するために可視光線を発生する観察用光源117と、ダイクロイックミラー103及び集光用レンズ105と同じ光軸上に配置された可視光用のビームスプリッタ119とを備える。ビームスプリッタ119と集光用レンズ105との間にダイクロイックミラー103が配置されている。ビームスプリッタ119は、可視光線の約半分を反射し残りの半分を透過する機能を有しかつ可視光線の光軸の向きを90°変えるように配置されている。観察用光源117から発生した可視光線はビームスプリッタ119で約半分が反射され、この反射された可視光線がダイクロイックミラー103及び集光用レンズ105を透過し、ウェハ50の切断予定ライン55等を含む裏面50bを照明する。
レーザ加工装置100はさらに、ビームスプリッタ119、ダイクロイックミラー103及び集光用レンズ105と同じ光軸上に配置された撮像素子121及び結像レンズ123を備える。撮像素子121としては例えばCCDカメラがある。切断予定ライン55等を含む裏面50bを照明した可視光線の反射光は、集光用レンズ105、ダイクロイックミラー103、ビームスプリッタ119を透過し、結像レンズ123で結像されて撮像素子121で撮像され、撮像データとなる。
レーザ加工装置100はさらに、撮像素子121から出力された撮像データが入力される撮像データ処理部125と、レーザ加工装置100全体を制御する全体制御部127と、モニタ129とを備える。撮像データ処理部125は、撮像データを基にして観察用光源117で発生した可視光の焦点をウェハ50の裏面50b上に合わせるための焦点データを演算する。この焦点データを基にしてステージ制御部115がZ軸ステージ113を移動制御することにより、可視光の焦点がウェハ50の裏面50bに合うようにする。よって、撮像データ処理部125はオートフォーカスユニットとして機能する。また、撮像データ処理部125は、撮像データを基にして裏面50bの拡大画像等の画像データを演算する。この画像データは全体制御部127に送られ、全体制御部で各種処理がなされ、モニタ129に送られる。これにより、モニタ129に拡大画像等が表示される。
全体制御部127には、ステージ制御部115からのデータ、撮像データ処理部125からの画像データ等が入力し、これらのデータも基にしてレーザ光源制御部102、観察用光源117及びステージ制御部115を制御することにより、レーザ加工装置100全体を制御する。よって、全体制御部127はコンピュータユニットとして機能する。
ここで、図34は、図33に示されたレーザ加工装置100を用いてウェハ50に切断起点を形成する方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態において、ウェハ50は、レーザ加工装置100の載置台107に、裏面50bが集光用レンズ105と対向するように配置される。すなわち、レーザ光Lは、ウェハ50の裏面50bから入射される。
図33及び図34を参照すると、まず、ウェハ50が有する基板の光吸収特性を図示しない分光光度計等により測定する。この測定結果に基づいて、ウェハ50が有する基板に対して透明な波長又は吸収の少ない波長のレーザ光Lを発生するレーザ光源101を選定する(S101)。
続いて、ウェハ50が有する基板の厚さ、材質、及び屈折率等を考慮して、ウェハ50のZ軸方向の移動量を決定する(S103)。これは、ウェハ50の裏面50bから所定距離内側の所望の位置にレーザ光Lの集光点Pを合わせるために、ウェハ50の裏面50bに位置するレーザ光Lの集光点Pを基準としたウェハ50のZ軸方向の移動量である。この移動量は全体制御部127に入力される。
続いて、ウェハ50を、裏面50bが集光用レンズ105側と対向するように、レーザ加工装置100の載置台107に載置する。そして、観察用光源117から可視光を発生させて裏面50bを照明する(S105)。照明されたウェハ50の裏面50bを撮像素子121により撮像する。撮像素子121により撮像された撮像データは撮像データ処理部125に送られる。この撮像データに基づいて撮像データ処理部125は、観察用光源117の可視光の焦点がウェハ50の裏面50bに位置するような焦点データを演算する(S107)。
この焦点データはステージ制御部115に送られる。ステージ制御部115は、この焦点データを基にして、観察用光源117の可視光の焦点がウェハ50の裏面50bに位置するように載置台107をZ軸方向に移動させる(S109)。なお、撮像データ処理部125は撮像データに基づいて、切断予定ライン55を含む裏面50bの拡大画像データを演算する。この拡大画像データは全体制御部127を介してモニタ129に送られ、これによりモニタ129に切断予定ライン55付近の拡大画像が表示される。
全体制御部127には予めステップS103で決定された移動量データが入力されており、この移動量データがステージ制御部115に送られる。ステージ制御部115はこの移動量データに基づいて、レーザ光Lの集光点Pの位置がウェハ50の裏面50bから所定距離内側となるように、Z軸ステージ113によりウェハ50をZ軸方向に移動させる(S111)。
続いて、レーザ光源101からレーザ光Lを発生させて、レーザ光Lをウェハ50の裏面50bに照射する。レーザ光Lの集光点Pはウェハ50の基板の内部に位置しているので、改質領域は基板の内部にのみ形成される。そして、切断予定ライン55に沿うようにX軸ステージ109やY軸ステージ111を移動させて改質領域を複数形成するか、あるいは切断予定ライン55に沿って連続して改質領域を形成することにより、切断予定ライン55に沿う切断起点を基板の内部に形成する(S113)。こうして、図8及び図9に示した切断起点51が形成される。
本実施形態のように、多光子吸収という現象により形成される改質領域(または溶融処理領域)でもってウェハ50に切断起点51を形成することにより、ウェハ50を比較的小さな力で精度良く割って切断することができる。従って、本実施形態の基板加工方法によれば、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに伸張性フィルム40を伸張させて、ウェハ50を精度よく切断することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明によるフィルム伸張装置の第2実施形態について説明する。図35(a)及び図35(b)は、本実施形態によるフィルム伸張装置1aの構成を示す端面図である。なお、図35(a)はフィルム伸張装置1aをY軸方向から見たときの端面図であり、図35(b)はフィルム伸張装置1aをX軸方向から見たときの端面図である。
図35(a)及び図35(b)を参照すると、本実施形態のフィルム伸張装置1aにおいて上記第1実施形態のフィルム伸張装置1と異なる点は、ベース板17の配置である。本実施形態のベース板17は、シリンダ22に対してZ軸下方に配置されている。すなわち、シリンダ22は、軸22aの突出方向がZ軸下方となるように、ベース板17上に固定されている。ベース板17の略中央部分にはシリンダ22の軸22aが挿通される貫通孔17aが設けられており、シリンダ22の軸22aは貫通孔17aを貫通して移動板8に固定されている。また、シリンダ21は、軸21aの突出方向がZ軸上方となるようにシリンダ22上に固定されている。
図36(a)及び図36(b)は、本実施形態のフィルム伸張装置1aを用いたときの第1の伸張工程を示す端面図である。また、図37(a)及び図37(b)は、本実施形態のフィルム伸張装置1aを用いたときの第2の伸張工程を示す端面図である。なお、図36(a)及び図37(a)はフィルム伸張装置1aをY軸方向から見たときの端面図であり、図36(b)及び図37(b)はフィルム伸張装置1aをX軸方向から見たときの端面図である。
本実施形態における第1の伸張工程では、図36(a)に示すように、シリンダ22の軸22aをZ軸下方に突出させることにより、一対の第1の保持部11をテーブル2の載置面20aに対して相対的にZ軸下方に移動させて、第1の保持部11と載置面20aとの距離をZ軸方向に拡大する。これにより、載置面20a上の伸張性フィルム40がX軸方向に伸張され、ウェハ50に対してX軸方向に引張応力が印加される。そして、この引張応力により、第1の方向に沿って形成された切断起点51(図9参照)においてウェハ50が切断されて、バー状の複数の切断片52が生成される。また、このとき、図36(b)に示すように、シリンダ21の軸21aが静止しているので載置面20aと第2の保持部12との相対位置関係は変化しない。従って、伸張性フィルム40はY軸方向には伸張されないので、ウェハ50にY軸方向の引張応力は生じない。
また、本実施形態における第2の伸張工程では、図37(b)に示すように、シリンダ21の軸21aをZ軸上方に突出させることにより、テーブル2の載置面20aを一対の第2の保持部12に対して相対的にZ軸上方に移動させて、第2の保持部12と載置面20aとの距離をZ軸方向に拡大する。これにより、載置面20a上の伸張性フィルム40がY軸方向に伸張され、ウェハ50(切断片52)に対してY軸方向に引張応力が印加される。そして、この引張応力により、第2の方向に沿って形成された切断起点51(図9参照)においてウェハ50(切断片52)が切断されて、複数の半導体チップ53が生成される。また、このとき、図37(a)に示すように、シリンダ22の軸22aをシリンダ21の軸21aの突出量と同じ量だけZ軸上方へ収縮させることにより、第1の保持部11とテーブル2の載置面20aとの相対位置関係を略一定に維持する。これにより、伸張性フィルム40のX軸方向における伸張状態を維持できる。
本発明によるフィルム伸張装置は、本実施形態のフィルム伸張装置1aのような構成を備えることによっても、上記第1実施形態のフィルム伸張装置1について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、上記した実施形態によるフィルム伸張装置1の第3実施形態について説明する。図38は、本実施形態によるフィルム伸張装置1bの構成を示す斜視図である。また、図39(a)は、図38に示したフィルム伸張装置1bの平面図である。また、図39(b)及び図39(c)は、それぞれ図39(a)のXVI−XVI線及びXVII−XVII線に沿った端面図である。なお、図38及び図39(a)〜図39(c)には、説明を容易にする為にXYZ直交座標系も示されている。
図38及び図39(a)〜図39(c)を参照すると、本実施形態のフィルム伸張装置1bは、一対の第1の保持部91、一対の第2の保持部92、第1の駆動部81、及び第2の駆動部82を備える。このフィルム伸張装置1bは、第1の保持部91及び第2の保持部92によって伸張性フィルム40の端部を保持しつつ、一対の第1の保持部91同士の間隔、及び一対の第2の保持部92同士の間隔を互いに独立に拡大することによって、伸張性フィルム40を伸張させる装置である。以下、フィルム伸張装置1bの各構成について説明する。
第1の保持部91は、X軸方向(第3の方向)におけるウェハ50の両側に位置する伸張性フィルム40の一対の部位(本実施形態では、X軸方向における伸張性フィルム40の両端部)を保持するための一対の構成要素である。一対の第1の保持部91は、X軸方向においてウェハ50の両側に並んで配置されている。一対の第1の保持部91のうち一方は、フィルム支持台83及びフィルム固定板93を含んで構成されている。また、一対の第1の保持部91のうち他方は、フィルム支持台84及びフィルム固定板94を含んで構成されている。
フィルム支持台83及び84は、図中のYZ平面に沿って延びる矩形板状の構成要素である。フィルム支持台84は、フィルム支持台83に対してX軸の正方向に配置されている。フィルム支持台83及び84は、Z軸方向と交差する一対の端面と、Y軸方向と交差する一対の端面とを有する。Z軸方向と交差する一対の端面のうちZ軸上方の端面は、フィルム支持台83及び84のそれぞれにおいて同じ高さ(Z軸方向位置)に配置されている。
フィルム固定板93及び94は、フィルム支持台83及び84のZ軸上方の端面に沿って延びる略長方形の板状の構成要素である。フィルム固定板93及び94は、図示しないボルトによってそれぞれフィルム支持台83及び84に固定される。このとき、フィルム固定板93及び94は、図39(b)に示すようにX軸方向における伸張性フィルム40の両端部をフィルム支持台83及び84との間に挟んで固定する。
第2の保持部92は、Y軸方向(第4の方向)におけるウェハ50の両側に位置する伸張性フィルム40の一対の部位(本実施形態では、Y軸方向における伸張性フィルム40の両端部)を保持するための一対の構成要素である。一対の第2の保持部92は、Y軸方向においてウェハ50の両側に並んで配置されている。一対の第2の保持部92のうち一方は、フィルム支持台85及びフィルム固定板95を含んで構成されている。また、一対の第2の保持部92のうち他方は、フィルム支持台86及びフィルム固定板96を含んで構成されている。
フィルム支持台85及び86は、図中のXZ平面に沿って延びる矩形板状の構成要素である。フィルム支持台86は、フィルム支持台85に対してY軸の正方向に配置されている。フィルム支持台85及び86は、Z軸方向と交差する一対の端面と、X軸方向と交差する一対の端面とを有する。Z軸方向と交差する一対の端面のうちZ軸上方の端面は、フィルム支持台85及び86のそれぞれにおいて同じ高さ(Z軸方向位置)に配置されている。
フィルム固定板95及び96は、フィルム支持台85及び86のZ軸上方の端面に沿って延びる略長方形の板状の構成要素である。フィルム固定板95及び96は、図示しないボルトによってそれぞれフィルム支持台85及び86に固定される。このとき、フィルム固定板95及び96は、図39(c)に示すようにY軸方向における伸張性フィルム40の両端部をフィルム支持台85及び86との間に挟んで固定する。
第1の駆動部81は、一対の第1の保持部91同士の間隔を拡大することによって、伸張性フィルム40をX軸方向に伸張させる構成要素である。第1の駆動部81は、2つのシリンダ81a及び81bによって構成されている。シリンダ81aは、その軸がX軸の負方向に突出するように配置されており、該軸の先端がフィルム支持台83に固定されている。また、シリンダ81bは、その軸がX軸の正方向に突出するように配置されており、該軸の先端がフィルム支持台84に固定されている。
第2の駆動部82は、一対の第2の保持部92同士の間隔を拡大することによって、伸張性フィルム40をY軸方向に伸張させる構成要素である。第2の駆動部82は、2つのシリンダ82a及び82bによって構成されている。シリンダ82aは、その軸がY軸の負方向に突出するように配置されており、該軸の先端がフィルム支持台85に固定されている。また、シリンダ82bは、その軸がY軸の正方向に突出するように配置されており、該軸の先端がフィルム支持台86に固定されている。
本実施形態のシリンダ81a、81b、82a、及び82bは、エアシリンダまたは油圧シリンダからなる。シリンダ81a及び81bの軸がそれぞれX軸負方向及び正方向に突出すると、フィルム支持台83及び84が外側へ移動して一対の第1の保持部91同士の間隔が拡大される。これにより、伸張性フィルム40がX軸方向に伸張される。このとき、シリンダ82a及び82bの軸を静止させることにより、一対の第2の保持部92同士の間隔を維持することができる。また、シリンダ82a及び82bの軸がそれぞれY軸負方向及び正方向に突出すると、フィルム支持台85及び86が外側へ移動して一対の第2の保持部92同士の間隔が拡大される。これにより、伸張性フィルム40がY軸方向に伸張される。このとき、シリンダ81a及び81bの軸を突出状態で静止させることにより、一対の第1の保持部91同士の間隔を維持し、伸張性フィルム40のX軸方向の伸張状態を維持できる。
なお、図示していないが、本実施形態のフィルム伸張装置1bは、第1実施形態と同様に、第1の保持部91及び第2の保持部92の変位を検出する変位センサと、第1の駆動部81及び第2の駆動部82の作動量を変位センサからの検出結果に基づいて制御する制御部とを備えることが好ましい。或いは、フィルム伸張装置1bは、第1の駆動部81及び第2の駆動部82の作動時間を制御する制御部を備えてもよい。
続いて、本実施形態に係る基板加工方法について、フィルム伸張装置1bの動作とともに説明する。なお、本実施形態における加工対象物であるウェハ50への切断起点の形成方法、ウェハ50への伸張性フィルム40の貼着方法、及びフィルム伸張装置1bへの伸張性フィルム40の取り付け方法については、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
まず、第1の伸張工程では、切断起点の一形成方向である第1の方向Aに対して略垂直なX軸方向(第3の方向)へ伸張性フィルム40を伸張させることにより、第1の方向Aに沿った切断起点においてウェハ50を切断する。具体的には、シリンダ81a及び81bの軸をそれぞれX軸の負方向及び正方向に突出させることにより、一対の第1の保持部91同士の間隔を拡大する。これにより、伸張性フィルム40がX軸方向に伸張され、ウェハ50に対してX軸方向に引張応力が印加される。その結果、第1の方向Aに沿って形成された切断起点においてウェハ50が切断されて、バー状の複数の切断片が生成される。また、このとき、シリンダ82a及び82bの軸が静止しているので一対の第2の保持部92同士の間隔は変化しない。従って、伸張性フィルム40はY軸方向には伸張されないので、ウェハ50にY軸方向の引張応力は生じない。
続いて、第2の伸張工程では、切断起点の他の形成方向である第2の方向Bに対して略垂直なY軸方向(第4の方向)へ伸張性フィルム40を伸張させることにより、第2の方向Bに沿った切断起点においてウェハ50を切断する。具体的には、シリンダ82a及び82bの軸をそれぞれY軸の負方向及び正方向に突出させることにより、一対の第2の保持部92同士の間隔を拡大する。これにより、伸張性フィルム40がY軸方向に伸張され、ウェハ50に対してY軸方向に引張応力が印加される。その結果、第2の方向Bに沿って形成された切断起点においてウェハ50が切断されて、複数の半導体チップが生成される。また、このとき、シリンダ81a及び81bの軸を第1の伸張工程における突出状態のまま静止させることによって、一対の第1の保持部91同士の間隔が維持される。従って、伸張性フィルム40のX軸方向への伸張状態が維持される。
なお、上述した方法においては第1及び第2の伸張工程をそれぞれ1回ずつ行っているが、本基板加工方法においても、第1実施形態と同様に第1及び第2の伸張工程を複数段階に分けて交互に行ってもよい。なお、この場合、2回目以降の第1の伸張工程においては、シリンダ82a及び82bの軸を突出状態で保持することにより、前回までの第2の伸張工程における伸張性フィルム40のY軸方向の伸張状態を維持することができる。
本実施形態による基板加工方法及びフィルム伸張装置1bによれば、第1実施形態と同様に、切断起点に対して不要な方向に加わる力を低減できるので、半導体チップにおけるチッピング・引きちぎれ・膜剥がれ等の損傷や、切断直後の切断片同士或いは半導体チップ同士の競り合いを防げる。また、フィルム伸張装置1bが2つの駆動部81及び82を備えることによって、伸張性フィルム40を伸張させる際に、互いに交差する二方向(X軸方向及びY軸方向)へそれぞれ独立して伸張させることができるとともに、伸張方向とは異なる方向への伸張状態を好適に維持できる。従って、X軸方向及びY軸方向への伸張動作を交互に行うことができるとともに、切断片同士或いは半導体チップ同士が切断後に再び接触することを防止できる。
(変形例)
次に、上記した各実施形態による基板加工方法の変形例として、加工対象物における様々な切断起点の態様について説明する。図40(a)は、本変形例における加工対象物であるウェハ50の構成を示す平面図である。また、図40(b)及び図40(c)は、共に図40(a)のXVIII−XVIII線に沿った側面断面図であり、それぞれ異なる態様の切断起点51a及び51bを表している。
図40(b)を参照すると、ウェハ50に形成された切断起点51aは、第1及び第2の方向に延びる矩形状断面の溝によって構成されている。このような溝は、例えばダイシングブレードを用いてウェハ50の表面を切削することにより形成される。或いは、ウェハ50の表面にレーザ光を照射し、ウェハ50の表面を溶融することによって形成されてもよい。また、図40(c)を参照すると、ウェハ50に形成された切断起点51bは、三角形断面の溝によって構成されている。このような溝は、例えばダイヤモンド針を用いてウェハ50の表面をけがくことにより形成される。
図41は、本変形例における別の態様の切断起点51cを示す拡大斜視図である。図41を参照すると、ウェハ50に形成された切断起点51cは、第1及び第2の方向に並ぶ複数の孔によって構成されている。このような複数の孔は、例えばウェハ50を第1または第2の方向に平行移動させながら、パルス状のレーザ光をウェハ50に周期的に照射し、ウェハ50を表面から裏面にかけて溶融することによって形成される。
切断起点は、前述した改質領域に限られず、本変形例のように溝や複数の孔によって構成されてもよい。これにより、第3、第4の方向のそれぞれに伸張性フィルム40を伸張させて、溝や複数の孔を起点としてウェハ50を好適に切断することができる。なお、これらの溝や複数の孔が切断起点の少なくとも一部を構成し、他の切断起点が改質領域等の別の形状によって構成されてもよい。
本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置は、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態では切断起点の形成方向である第1及び第2の方向が互いに略直交している例を示したが、第1及び第2の方向は、直交以外の様々な角度で交差していてもよい。このような場合でも、本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置によれば、第1及び第2の方向のそれぞれと略直交する第3及び第4の方向に交互に引張応力を印加し、切断面の損傷を低減できる。
本発明に係るフィルム伸張装置の第1実施形態として、加工対象物であるウェハをチップ状に切断するためのフィルム伸張装置の構成を示す切り欠き斜視図である。 図1のZ軸方向から見たフィルム伸張装置の平面図である。 図2のI−I線に沿ったフィルム伸張装置の側面断面図である。 図2のII−II線に沿ったフィルム伸張装置の側面断面図である。 フィルム伸張装置におけるシリンダを駆動するための構成を示すブロック図である。 加工対象物であるウェハを示す斜視図である。 ウェハを薄化する工程を示す図である。 ウェハに切断起点を形成する工程を説明する図である。 ウェハに形成された切断起点を示す平面図である。 (a)伸張性フィルム貼着工程を説明するための斜視図である。(b)図10(a)のIII−III線またはIV−IV線に沿った側面断面図である。 ダイシングテープ及びBGテープをウェハの主面から剥離除去する工程を示す図である。 (a)伸張性フィルムをフィルム伸張装置に取り付ける際の一工程を示す斜視図である。(b)図12(a)のV−V線またはVI−VI線に沿った側面断面図である。 (a)伸張性フィルムをフィルム伸張装置に取り付ける際の次の一工程を示す斜視図である。(b)図13(a)のVII−VII線及びVIII−VIII線に沿った端面図である。 (a)図13(a)のVII−VII線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。(b)図13(a)のVIII−VIII線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。 第1の伸張工程が完了した状態のフィルム伸張装置を示す斜視図である。 (a)図15のIX−IX線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。(b)図15のX−X線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。 第2の伸張工程が完了した状態のフィルム伸張装置を示す斜視図である。 (a)図17のXI−XI線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。(b)図17のXII−XII線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。 ダイシングリングを伸張性フィルムに貼着し、ウェハをフィルム伸張装置から取り外す工程を示す斜視図である。 伸張性フィルムをダイシングリングの外縁に沿って切断した状態を示す斜視図である。 改質領域形成中のウェハの一部を拡大した平面図である。 図21に示すウェハのXIII−XIII線に沿った断面図である。 改質領域形成後のウェハの平面図である。 図23に示すウェハのXIV−XIV線に沿った断面図である。 図23に示すウェハのXV−XV線に沿った断面図である。 電界強度とクラックスポットの大きさとの関係を示すグラフである。 クラック領域が形成されたウェハの一部を拡大した断面図である。 クラック領域を起点としてウェハが切断される様子を示す断面図である。 クラック領域を起点としてウェハが切断される様子を示す断面図である。 クラック領域を起点としてウェハが切断される様子を示す断面図である。 レーザ加工により形成された溶融処理領域において切断されたシリコンウェハの切断面写真である。 レーザ光の波長とシリコン基板の内部の透過率との関係を示すグラフである。 レーザ加工装置の概略構成図である。 図33に示されたレーザ加工装置を用いてウェハに切断起点を形成する方法を示すフローチャートである。 (a)、(b)第2実施形態によるフィルム伸張装置の構成を示す端面図である。 (a)、(b)第2実施形態のフィルム伸張装置を用いたときの第1の伸張工程を示す端面図である。 (a)、(b)第2実施形態のフィルム伸張装置を用いたときの第2の伸張工程を示す端面図である。 第3実施形態によるフィルム伸張装置の構成を示す斜視図である。 (a)図38に示したフィルム伸張装置の平面図である。(b)図39(a)のXVI−XVI線に沿った端面図である。(c)図39(a)のXVII−XVII線に沿った端面図である。 (a)変形例におけるウェハの構成を示す平面図である。(b)、(c)図40(a)のXVIII−XVIII線に沿った側面断面図である。 変形例における別の態様の切断起点を示す拡大斜視図である。
符号の説明
1,1a,1b…フィルム伸張装置、2…テーブル、3〜6…フィルム支持台、7…ベース板、8…移動板、11…第1の保持部、12…第2の保持部、13〜16…フィルム固定板、20…天板、20a…載置面、21,22…シリンダ、23a〜23d…ローラー、24…制御部、25,26…変位センサ、40…伸張性フィルム、50…ウェハ、51…切断起点、61…BGテープ、62…ダイシングテープ、63,68…ダイシングリング、65…フィルム貼着装置、66…一体フレーム、67a〜67d…分離フレーム。

Claims (13)

  1. 基板を含む加工対象物を切断する基板加工方法であって、
    第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って切断起点が形成された前記加工対象物の一方の面に貼着された伸張性フィルムを、前記第1の方向に対して略垂直な第3の方向へ伸張することにより、前記第1の方向に沿った前記切断起点において前記加工対象物を切断する第1の伸張工程と、
    前記第3の方向への前記伸張性フィルムの伸張状態を維持しながら、前記第2の方向に対して略垂直な第4の方向へ前記伸張性フィルムを伸張することにより、前記第2の方向に沿った前記切断起点において前記加工対象物を切断する第2の伸張工程と
    を備えることを特徴とする、基板加工方法。
  2. 基板を含む加工対象物を切断する基板加工方法であって、
    第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って切断起点が形成された前記加工対象物の一方の面に貼着された伸張性フィルムを、前記第1の方向に対して略垂直な第3の方向へ伸張する第1の伸張工程と、
    前記第2の方向に対して略垂直な第4の方向へ前記伸張性フィルムを伸張する第2の伸張工程と
    を備え、
    前記第1及び第2の伸張工程をそれぞれ複数段階に分けて交互に行うことにより、前記切断起点において前記加工対象物を切断することを特徴とする、基板加工方法。
  3. 前記第1の伸張工程において、前記第3の方向へ前記伸張性フィルムを伸張させる際に、前記第3の方向への伸張速度よりも小さい伸張速度で前記第4の方向に前記伸張性フィルムを伸張させ、
    前記第2の伸張工程において、前記第4の方向へ前記伸張性フィルムを伸張させる際に、前記第4の方向への伸張速度よりも小さい伸張速度で前記第3の方向に前記伸張性フィルムを伸張させることを特徴とする、請求項1または2に記載の基板加工方法。
  4. 前記切断起点のうち少なくとも一部は、前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより生じる多光子吸収によって前記基板の内部に形成された改質領域からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板加工方法。
  5. 前記切断起点のうち少なくとも一部は、前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより前記基板の内部に形成された溶融処理領域からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板加工方法。
  6. 前記切断起点のうち少なくとも一部は、前記基板に形成された溝からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板加工方法。
  7. 基板を含む加工対象物に貼着された伸張性フィルムを伸張させるフィルム伸張装置であって、
    前記伸張性フィルムが貼着された前記加工対象物を載置するための載置面を有するテーブルと、
    第3の方向における前記テーブルの両側にそれぞれ配置され、前記伸張性フィルムを保持する一対の第1の保持部と、
    前記第3の方向と交差する第4の方向における前記テーブルの両側にそれぞれ配置され、前記伸張性フィルムを保持する一対の第2の保持部と、
    前記テーブル及び前記第1の保持部のうち少なくとも一方を駆動することにより、前記テーブルの前記載置面と前記第1の保持部との距離を拡大して前記伸張性フィルムを前記第3の方向に伸張させる第1の駆動部と、
    前記テーブル及び前記第2の保持部のうち少なくとも一方を駆動することにより、前記テーブルの前記載置面と前記第2の保持部との距離を拡大して前記伸張性フィルムを前記第4の方向に伸張させる第2の駆動部と
    を備えることを特徴とする、フィルム伸張装置。
  8. 前記テーブルの前記載置面が平坦であることを特徴とする、請求項7に記載のフィルム伸張装置。
  9. 基板を含む加工対象物に貼着された伸張性フィルムを伸張させるフィルム伸張装置であって、
    第3の方向における前記加工対象物の両側にそれぞれ配置され、前記伸張性フィルムを保持する一対の第1の保持部と、
    前記第3の方向と交差する第4の方向における前記加工対象物の両側にそれぞれ配置され、前記伸張性フィルムを保持する一対の第2の保持部と、
    前記一対の第1の保持部同士の間隔を拡大することにより、前記伸張性フィルムを前記第3の方向に伸張させる第1の駆動部と、
    前記一対の第2の保持部同士の間隔を拡大することにより、前記伸張性フィルムを前記第4の方向に伸張させる第2の駆動部と
    を備えることを特徴とする、フィルム伸張装置。
  10. 前記第1及び第2の駆動部がエアシリンダ、油圧シリンダ、またはモータのうち少なくとも一種類からなることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載のフィルム伸張装置。
  11. 前記第1及び第2の駆動部の作動時間を制御する制御部を更に備えることを特徴とする、請求項10に記載のフィルム伸張装置。
  12. 前記第1及び第2の保持部の変位を検出する変位センサを更に備えることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載のフィルム伸張装置。
  13. 前記第1及び第2の駆動部の作動量を、前記変位センサからの検出結果に基づいて制御する制御部を更に備えることを特徴とする、請求項12に記載のフィルム伸張装置。
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