JP2006171230A - 意図しない波長を有する光を抑制した波長変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】意図しない波長を有する光が容易に抑制され、かつ、波長変換によって得られる光の波長領域に制限のない波長変換素子を提供する。
【解決手段】第1の光(λ1)を第2の光(λ2)と第3の光(λ3)とに波長変換する(関係1/λ1=1/λ2+1/λ3(λ2<λ3)を満たす)波長変換素子は、少なくとも1つの非線形光学単結晶を含み、少なくとも一組の第1の領域と第2の領域と位相調整領域とを有する。少なくとも1つの分極反転領域を含む位相調整領域は、第1の領域と第2の領域との間に位置し、分極反転領域の分極反転幅の合計長は、λ1/2、(1/λ1+1/λ2)-1、(1/λ1+1/λ3)-1、(1/λ1+(1/(λ1/2))-1、(1/λ1+1/(λ2/2))-1、および、(1/λ1+1/(λ3/2))-1からなる群から少なくとも1つ選択される波長を発生する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に相当する。
【選択図】 図1
【解決手段】第1の光(λ1)を第2の光(λ2)と第3の光(λ3)とに波長変換する(関係1/λ1=1/λ2+1/λ3(λ2<λ3)を満たす)波長変換素子は、少なくとも1つの非線形光学単結晶を含み、少なくとも一組の第1の領域と第2の領域と位相調整領域とを有する。少なくとも1つの分極反転領域を含む位相調整領域は、第1の領域と第2の領域との間に位置し、分極反転領域の分極反転幅の合計長は、λ1/2、(1/λ1+1/λ2)-1、(1/λ1+1/λ3)-1、(1/λ1+(1/(λ1/2))-1、(1/λ1+1/(λ2/2))-1、および、(1/λ1+1/(λ3/2))-1からなる群から少なくとも1つ選択される波長を発生する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に相当する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、非線形光学単結晶を用いた波長変換素子に関する。より詳細には、本発明は、意図しない波長を有する光の発生を抑制した、非線形光学単結晶を用いた波長変換素子に関する。
優れた非線形光学定数および電気光学定数を有する非線形光学単結晶を用いた波長変換素子の研究が盛んに行われている。なかでも、良質な強誘電体単結晶の製造技術および分極反転形成技術の向上により、擬似位相整合方式を採用した波長変換素子の発展は目覚しい。
近年、例えば、光パラメトリック発振を利用した波長変換素子において、発振光(シグナル光およびアイドラ光)以外に意図しない波長を有する光が発生することが分かっている。
図5は、従来技術による光パラメトリック発振器によるポンプ光とシグナル光およびアイドラ光とのパワーを示す図である。
近年、例えば、光パラメトリック発振を利用した波長変換素子において、発振光(シグナル光およびアイドラ光)以外に意図しない波長を有する光が発生することが分かっている。
図5は、従来技術による光パラメトリック発振器によるポンプ光とシグナル光およびアイドラ光とのパワーを示す図である。
光パラメトリック発振器5000(挿入図)は、化学量論組成のタンタル酸リチウム単結晶からなる。タンタルリチウム単結晶は、26〜33μmの範囲の周期を有する周期分極反転構造5100を有している。このような光パラメトリック発振器5000に、波長1.064μmのポンプ光λpを入射すると、ポンプ光λpは、周期分極反転構造5100の周期に応じてシグナル光λsとアイドラ光λiとに変換される。シグナル光λsおよびアイドラ光λiの波長は、それぞれ、1.55μmおよび3.39μmである。
しかしながら、図5に示されるように、これらシグナル光λsおよびアイドラ光λi以外に、意図しない光(λAおよびλB)の発生が確認された。それら意図しない光λAおよびλBは、それぞれ、ポンプ光λpの第2高調波およびポンプ光λpとシグナル光λsとの和周波光である。ポンプ光λpの第2高調波は、532nmの波長を有し、ポンプ光λpとシグナル光λsとの和周波光は、630nmの波長を有する。この他の意図しない光の可能性として、ポンプ光λpとアイドラ光λiとの和周波光、ポンプ光λpとポンプ光λp、アイドラ光λiまたはシグナル光λsの第2高調波との和周波光があり得る。
また、これら組み合わせによって発生する意図しない光の他に、周期分極反転構造5100の製造上のバラツキによって意図しない光が発生する場合があり得る。
図5に示されるように、意図しない光(以降では、これらを総称して不要光と呼ぶ)は、非線形光学単結晶の光損傷および熱レンズ効果の発生、変換効率の低下等の深刻な問題を引き起こし得る。
このような不要光の発生を抑えるための技術がある(例えば、特許文献1を参照。)。
図6は、従来技術による不要光の発生を抑えた波長変換素子を示す図である。
波長変換素子6000は、任意の強誘電体単結晶である。任意の強誘電体単結晶は分極反転構造6100を有する。ここで、特定の強誘電体単結晶および特定の波長を有するポンプ光λpを用いて、不要光の発生を抑えて光パラメトリック発振させる場合の分極反転構造6100の周期ΛOPまたは分極反転比Rは、次の(1)または(2)のようにして決定される。
図6は、従来技術による不要光の発生を抑えた波長変換素子を示す図である。
波長変換素子6000は、任意の強誘電体単結晶である。任意の強誘電体単結晶は分極反転構造6100を有する。ここで、特定の強誘電体単結晶および特定の波長を有するポンプ光λpを用いて、不要光の発生を抑えて光パラメトリック発振させる場合の分極反転構造6100の周期ΛOPまたは分極反転比Rは、次の(1)または(2)のようにして決定される。
(1)不要光にとって高次の擬似位相整合条件を満たさないように、その高次の擬似位
相整合条件を避けるように周期ΛOPを選択する。詳細には、下記(a)の条件を満たし、かつ、条件(b)〜(d)のうち少なくとも1つを満たすように、周期ΛOPは決定される。
相整合条件を避けるように周期ΛOPを選択する。詳細には、下記(a)の条件を満たし、かつ、条件(b)〜(d)のうち少なくとも1つを満たすように、周期ΛOPは決定される。
(a)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光とによって決定されるコヒーレンス長をLaとし、次数をMaとすると、ΛOP=2×Ma×Laである。
(b)ポンプ光λpと、その第2高調波λp2とによって決定されるコヒーレンス長をLp2とし、次数をMp2とすると、ΛOP≠2×Mp2×Lp2である。
(c)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光との和周波光をλpsとし、ポンプ光λpと和周波光λpsとによって決定されるコヒーレンス長をLpsとし、次数をMpsとすると、ΛOP≠2×Mps×Lpsである。
(d)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光の第2高調波λs2との和周波光をλps2とし、ポンプ光λpと和周波光λps2とによって決定されるコヒーレンス長をLps2とし、次数をMps2とすると、ΛOP≠2×Mps2×Lps2である。
(b)ポンプ光λpと、その第2高調波λp2とによって決定されるコヒーレンス長をLp2とし、次数をMp2とすると、ΛOP≠2×Mp2×Lp2である。
(c)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光との和周波光をλpsとし、ポンプ光λpと和周波光λpsとによって決定されるコヒーレンス長をLpsとし、次数をMpsとすると、ΛOP≠2×Mps×Lpsである。
(d)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光の第2高調波λs2との和周波光をλps2とし、ポンプ光λpと和周波光λps2とによって決定されるコヒーレンス長をLps2とし、次数をMps2とすると、ΛOP≠2×Mps2×Lps2である。
ここで、条件(b)〜(d)のうち少なくとも1つを満たすことによって、不要光にとっての高次の擬似位相整合条件を避けることができる。この状態で条件(a)を満たせば、上記高次の擬似位相整合条件を避けた範囲から分極反転周期ΛOP選択することができる。この結果、不要光の発生を抑え、かつ、所望の光のみを発生させることができる。
(2)不要光を発生させる高次の擬似位相整合条件を満たす次数(この次数は、所望の光を発生させる擬似位相整合条件を満たす次数とは異なる値である)を求め、不要光の変換効率が理論上ゼロとなり、所望の光の変換効率が高くなる分極反転比率Rを決定する。詳細には、上記(a)の条件を満たし、かつ、下記条件(e)〜(g)のうち少なくとも1つを満たすように、周期ΛOPを決定する。次いで、選択された条件(e)〜(g)において変換効率が理論上ゼロとなるように分極反転比率Rを決定する。
(e)ポンプ光λpと、その第2高調波λp2とによって決定されるコヒーレンス長をLp2とし、次数をMp2とすると、ΛOP=2×Mp2×Lp2である。
(f)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光との和周波光をλpsとし、ポンプ光λpと和周波光λpsとによって決定されるコヒーレンス長をLpsとし、次数をMpsとすると、ΛOP=2×Mps×Lpsである。
(g)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光の第2高調波λs2との和周波光をλps2とし、ポンプ光λpと和周波光λps2とによって決定されるコヒーレンス長をLps2とし、次数をMps2とすると、ΛOP=2×Mps2×Lps2である。
(f)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光との和周波光をλpsとし、ポンプ光λpと和周波光λpsとによって決定されるコヒーレンス長をLpsとし、次数をMpsとすると、ΛOP=2×Mps×Lpsである。
(g)ポンプ光λpと、光パラメトリック発振によって得られる2つの光のうちの1つの光の第2高調波λs2との和周波光をλps2とし、ポンプ光λpと和周波光λps2とによって決定されるコヒーレンス長をLps2とし、次数をMps2とすると、ΛOP=2×Mps2×Lps2である。
ここで、条件(a)かつ条件(e)〜(g)のうち少なくとも1つを満たせば、所望の光を発生し、かつ、不要光を発生する分極反転周期ΛOPとともに、それぞれの次数が得られる。次いで、不要光の変換効率が理論上ゼロになる分極反転比Rを求めることで、所望の光のみを発生させることができる。
このように、図6によれば、不要光が発生しにくいように分極反転構造6100の周期または分極反転比が決定されるので、所望の光のみを得ることができる。
特開2002−250948号公報
しかしながら、特許文献1に記載される上記(1)の技術では、不要光が発生し得る波長を避けて分極反転周期ΛOPが決定されるため、得られる所望の光の波長領域が制限されてしまう。
一方、特許文献1に記載される上記(2)の技術では、得られる波長領域に制限はないものの、分極反転構造6100を形成する際に、決定された分極反転比Rに応じた分極反転領域の微細制御が困難であり得る。
したがって、本発明の目的は、意図しない波長を有する光(不要光)が、容易に抑制され、かつ、波長変換によって得られる光の波長領域に制限のない波長変換素子を提供することである。
本発明による第1の波長λ1を有する第1の光を第2の波長λ2を有する第2の光と第3の波長λ3を有する第3の光とに波長変換する波長変換素子であって、ここで、第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とは、関係1/λ1=1/λ2+1/λ3(λ1<λ2<λ3)を満たし、前記波長変換素子は少なくとも1つの非線形光学単結晶を含み、前記波長変換素子は、少なくとも一組の第1の領域と第2の領域と位相調整領域とを有し、前記位相調整領域は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、少なくとも1つの分極反転領域を含み、前記少なくとも1つの分極反転領域の分極反転幅それぞれの合計長は、波長λ1/2、波長(1/λ1+1/λ2)-1、波長(1/λ1+1/λ3)-1、波長(1/λ1+(1/(λ1/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1、および、波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1からなる群から少なくとも1つ選択される波長を有する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に相当し、これにより上記目的を達成する。
前記少なくとも1つの非線形光学単結晶は、実質的に定比組成のニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムであってもよい。
前記実質的に定比組成のニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムは、Mg、Zn、ScおよびInからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%含んでもよい。
前記第1の領域と前記第2の領域とは周期分極反転領域であってもよい。
前記第1の波長λ1が1.064μmであり、前記第2の波長λ2が1.55μmであり、前記第3の波長λ3が3.39μmである場合、前記分極反転幅は1.05、2.4、4、6.7、7.3、および、11.8μmからなる群から少なくとも1つ選択されてもよい。
本発明による第1の波長λ1を有する第1の光と第2の波長λ2を有する第2の光とを、第3の波長λ3を有する第3の光に波長変換する波長変換素子であって、ここで、第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とは、関係1/λ3=1/λ1±1/λ2を満たし、前記波長変換素子は、少なくとも1つの非線形光学単結晶を含み、少なくとも一組の第1の領域と第2の領域と位相調整領域とを有し、前記位相調整領域は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、少なくとも1つの分極反転領域を含み、前記少なくとも1つの分極反転領域の分極反転幅それぞれの合計長は、波長λ1/2、波長λ2/2、波長(1/λ1+1/λ3)-1、波長(1/λ2+1/λ3)-1、波長(1/λ1+1/(λ1/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1、波長(1/λ2+1/(λ1/2))-1、波長(1/λ2+1/(λ2/2))-1、および、波長(1/λ2+1/(λ3/2))-1からなる群から少なくとも1つ選択される波長を有する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に相当し、これにより上記目的を達成する。
第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とが、関係1/λ3=1/λ1+1/λ2を満たす場合、関係λ1>λ3および関係λ2>λ3であってもよい。
第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とが、関係1/λ3=1/λ1−1/λ2を満たす場合、関係λ1<λ2<λ3であってもよい。
前記少なくとも1つの非線形光学単結晶は、実質的に定比組成のニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムであってもよい。
前記実質的に定比組成のニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムは、Mg、Zn、ScおよびInからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%含んでもよい。
前記第1の領域と前記第2の領域とは周期分極反転領域であってもよい。
本発明によれば、第1の波長λ1を有する第1の光を第2の波長λ2を有する第2の光と第3の波長λ3を有する第3の光とに波長変換し、ここで、第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とは、関係1/λ1=1/λ2+1/λ3(λ1<λ2<λ3)を満たす波長変換素子を提供する。波長変換素子は少なくとも1つの非線形光学単結晶を含む。このように、複数の非線形光学単結晶を組み合わせて構成することができるので、広くユーザの要求に応じることができる。
波長変換素子は、少なくとも一組の第1の領域と第2の領域と位相調整領域とを有する。位相調整領域は、第1の領域と第2の領域との間に位置しており、少なくとも1つの分極反転領域を含む。分極反転領域それぞれの分極反転幅の合計長が、意図しない波長を有する非線形波長変換過程のコンストラクション長の奇数倍に相当するため、第1の領域で発生した意図しない波長を有する光と、第2の領域で発生した意図しない波長を有する光とが、位相調整領域を介してそれぞれ逆位相となり得る。その結果、意図しない波長を有する光が波長変換素子から発生するのを抑制することができる。
ここで、意図しない非線形波長変換過程の波長とは、波長λ1/2、波長(1/λ1+1/λ2)-1、波長(1/λ1+1/λ3)-1、波長(1/λ1+(1/(λ1/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1、および、波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1からなる群から少なくとも1つ選択される波長である。
意図しない波長を有する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に相当する分極反転幅を有する分極反転領域を少なくとも1つ形成すればよいので、高度な技術を必要としない。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。同様の要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による波長変換素子を示す図である。
波長変換素子100は、少なくとも1つの非線形光学単結晶を含む。非線形光学単結晶は、例えば、ベータバリウムボレイト(BBO)、リチウムトリボレート(LBO)、ポ
タジウムタイタニルフォスフェイト(KTP)、実質的に定比組成のニオブ酸リチウム(SLN)、実質的に定比組成のタンタル酸リチウム(SLT)、Mg、Zn、InおよびScからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%ドープしたSLT、および、Mg、Zn、InおよびScからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%ドープしたSLN等であり得るが、これらに限定されない。
図1は、本発明の実施の形態1による波長変換素子を示す図である。
波長変換素子100は、少なくとも1つの非線形光学単結晶を含む。非線形光学単結晶は、例えば、ベータバリウムボレイト(BBO)、リチウムトリボレート(LBO)、ポ
タジウムタイタニルフォスフェイト(KTP)、実質的に定比組成のニオブ酸リチウム(SLN)、実質的に定比組成のタンタル酸リチウム(SLT)、Mg、Zn、InおよびScからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%ドープしたSLT、および、Mg、Zn、InおよびScからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%ドープしたSLN等であり得るが、これらに限定されない。
なお、本明細書において、実質的に「定比組成である」とは、Li2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が完全に0.50ではないものの、コングルエント組成よりも化学量論比に近い組成(Li2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率=0.495〜0.5)を有しており、そのことに起因するデバイスの特性の低下が通常のデバイスの設計において問題にならない程度であることをいう。
同様に、SLTにおいて、実質的に「定比組成である」とは、Li2O/(Ta2O5+Li2O)のモル分率が完全に0.50ではないものの、コングルエント組成よりも化学量論比に近い組成(Li2O/(Ta2O5+Li2O)のモル分率=0.495〜0.5)を有しており、そのことに起因するデバイスの特性の低下が通常のデバイスの設計において問題にならない程度であることをいう。
波長変換素子100は、第1の領域110と第2の領域120と位相調整領域130とからなる一組140を含む。第1の領域110と第2の領域120とは、波長変換素子110に入射する光に対して複屈折整合または擬似位相整合のいずれかを満たす。詳細には、第1の領域110と第2の領域120とは、波長変換素子110に入射する第1の波長λ1を有する第1の光(ポンプ光とも呼ぶ)を、第2の波長λ2を有する第2の光(シグナル光とも呼ぶ)と第3の波長λ3を有する第3の光(アイドラ光とも呼ぶ)とに波長変換するように位相整合されている。
ここで、第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とは、関係1/λ1=1/λ2+1/λ3(λ1<λ2<λ3)を満たす。
第1の領域110と第2の領域120とが、複屈折整合を満たす場合、選択された非線形光学単結晶に応じて単結晶の切断面および研磨面を適宜選択すればよい。第1の領域110と第2の領域120とが、擬似位相整合を満たす場合、選択された非線形光学単結晶に所定の周期を有する周期分極反転構造を形成すればよい。
位相調整領域130は、第1の領域110と第2の領域120との間に位置する。第1の領域110および第2の領域120で発生し得る不要光には、ポンプ光の第2高調波、ポンプ光とシグナル光との和周波光、ポンプ光とアイドラ光との和周波光、ポンプ光とポンプ光の第2高調波との和周波光、ポンプ光とシグナル光の第2高調波との和周波光、ポンプ光とアイドラ光の第2高調波との和周波光とがあり得る。不要光の波長は、それぞれ、波長λ1/2、波長(1/λ1+1/λ2)-1、波長(1/λ1+1/λ3)-1、波長(1/λ1+1/(λ1/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1、および、波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1である。不要光は、上記に限定されず、ポンプ光、シグナル光、または、アイドラ光の組み合わせによって生じる任意の第2高調波および和周波光、ならびに、それらの組み合わせによって生じる第2高調波および和周波光が挙げられるが、実用上問題となる不要光は上述した組み合わせであり得る。
位相調整領域130は、1つの分極反転領域を含む。その1つの分極反転領域の分極反転幅は、上述の不要光の波長から少なくとも1つ選択された波長を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に等しい。例えば、ポンプ光の第2高調波のみが不要光として発生している場合、位相調整領域130は、波長λ1/2を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅を有する、1つの分極反転領域である。この場合の位相調整領域130の幅(すなわち上記コンストラクション長)は、選択された非線形光学単結晶に応じて決定されることに留意されたい。
なお、本明細書において、「コンストラクション長」とは、非線形光学材料の各点で発生した光(例えば、第二高調波)の強度が建設的(加算的)に足し合わせる距離を意味している。このようなコンストラクション長は、非線形光学材料の異なる2点で発生した光(例えば、第二高調波)それぞれの位相差がπとなる2点間の距離を意図したコヒーレンス長に等しい。
ポンプ光の第2高調波に加えて、ポンプ光とシグナル光との和周波光とが不要光として発生している場合、位相調整領域130は、波長λ1/2を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長の奇数倍と、波長(1/λ1+1/λ2)-1を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長の奇数倍との最小公倍数に相当する分極反転幅を有する1つの分極反転領域を含む。このように、位相調整領域130の分極反転領域の分極反転幅は、抑制されるべき少なくとも1つの不要光を発生する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に依存するが、1つの分極反転領域を設けるだけでよい。
なお、第1の領域110と第2の領域120とが周期分極反転構造を有している場合、これらの周期は、位相調整領域130の幅を考慮して算出され得ることに留意されたい。第1の領域110と第2の領域120との周期とは異なっていてもよい。また、第1の領域110と第2の領域120と位相調整領域130との材料は、必ずしも同一の非線形光学単結晶である必要はなく、異なる非線形光学単結晶を組み合わせて用いてもよい。これによりユーザの要求に広く応じることができる。
位相調整領域130は、第1の領域110と第2の領域120との間に設けられるため、第1の領域110で発生した不要光の位相と、第2の領域120で発生した不要光の位相とは、半波長だけずれている。この結果、第1の領域110で発生した不要光と第2の領域120で発生した不要光とは打ち消しあい、消滅し得る。このようにして、本発明による波長変換素子100は、第1の領域110と第2の領域120と位相調整領域130とからなる一組140によって不要光が抑制される。
本発明によれば、発生した不要光を位相調整領域130において消滅させるので、発振を制限する波長領域がない。したがって、波長変換素子100の設計に有利であり得る。
次に、このような波長変換素子100を用いた波長変換動作を説明する。ここでは、位相調整領域130は、不要光としてポンプ光の第2高調波を抑制するように形成された1つの分極反転領域であるものとする。
YAGレーザ、半導体レーザ等の任意の光源から発生された第1の波長λ1を有する第1の光(ポンプ光)が波長変換素子100に入射する。ポンプ光は、波長変換素子100の第1の領域110において第2の光(シグナル光)と第3の光(アイドラ光)とに波長変換される。同時に、第1の領域110で発生した不要光Aとしてポンプ光の第2高調波が発生し得る。
シグナル光、アイドラ光および不要光Aは、位相調整領域130を通過し、第2の領域120に入射する。位相調整領域130は、図1を参照して上述したように、不要光(ポンプ光の第2高調波)を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅を有する分極反転領域である。
シグナル光、アイドラ光および不要光Aは、第2の領域120を通過する。ここで、第2の領域120においても同様に不要光B(ここでは、ポンプ光の第2高調波)が発生する。この不要光Bは、位相調整領域130によってコンストラクション長だけずれたポンプ光の第2高調波であるため、不要光Aとは半波長(すなわち、π)位相がずれることになる。この結果、第1の領域110で発生した不要光Aと、第2の領域120で発生した不要光Bとは、打ち消しあい、消失し得る。最終的に、シグナル光および/またはアイドラ光が波長変換素子110から出射する。
以上説明してきたように、本発明による波長変換素子100は、不要光を抑制するので、不要光による損失が低減し得る。その結果、光損傷および熱レンズ効果が発生しない、高効率の波長変換素子100が提供され得る。
なお、波長変換素子100の第1の領域110のポンプ光の入射面、および、第2の領域120のシグナル光および/またはアイドラ光の出射面に反射防止膜を適宜設けてもよい。また、波長変換素子100の両端にミラーを設け、波長変換素子100を共振器として用いてもよい。このような反射防止膜、ミラーの設計は、当業者であれば適宜類推可能である。
図1では、位相調整領域130に分極反転領域を形成することによって、不要光の位相変調を行ったが、位相調整領域130の複屈折を利用することによって不要光の位相変調を行ってもよい。この場合、位相調整領域130は、少なくとも1つの非線形光学単結晶を含み、その少なくとも1つの非線形光学単結晶のそれぞれは、不要光それぞれの位相を半波長だけずらすように、切断面、研磨面等が調整され得る。
図1を参照して、波長変換素子100が光パラメトリック発振をする場合を説明してきたが、波長変換素子100は光パラメトリック発振に限定されない。例えば、本発明による波長変換素子100は、和周波発生および差周波発生にも適用可能である。
本発明による波長変換素子100を用いて和周波発生させる場合、第1の領域110と第2の領域120とは、波長変換素子110に入射する第1の波長λ1を有する第1の光と、第2の波長λ2を有する第2の光とを、第3の波長λ3を有する第3の光に波長変換するように位相整合されている。ここで、第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とは、関係1/λ3=1/λ1+1/λ2を満たす(ただし、λ1>λ3およびλ2>λ3)。
和周波発生させる場合に生じる不要光は、第1の光の第2高調波、第2の光の第2高調波、第1の光と第3の光との和周波光、第2の光と第3の光との和周波光、第1の光と第1の光の第2高調波との和周波光、第1の光と第2の光の第2高調波との和周波光と、第1の光と第3の光の第2高調波との和周波光と、第2の光と第1の光の第2高調波との和周波光と、第2の光と第2の光の第2高調波との和周波光、第2の光と第3の光の第2高調波との和周波光とが挙げられるが、これらに限定されない。
上述した不要光の波長は、それぞれ、波長λ1/2、波長λ2/2、波長(1/λ1+1/λ3)-1、波長(1/λ2+1/λ3)-1、波長(1/λ1+1/(λ1/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1、波長(1/λ2+1/(λ1/2))-1、波長(1/λ2+1/(λ2/2))-1、および、波長(1/λ2+1/(λ3/2))-1である。
不要光は、上記に限定されず、第1の光、第2の光、または、第3の光の組み合わせによって生じる任意の第2高調波および和周波光、ならびに、それらの組み合わせによって
生じる第2高調波および和周波光が挙げられるが、実用上問題となる不要光は上述した組み合わせであり得る。
生じる第2高調波および和周波光が挙げられるが、実用上問題となる不要光は上述した組み合わせであり得る。
和周波発生させる場合に生じる不要光を抑制するための位相調整領域130は、上述の不要光の波長から少なくとも1つ選択された波長を発生させる非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に等しい分極反転幅を有する1つの分極反転領域であればよい。
一方、本発明による波長変換素子100を用いて差周波発生させる場合、第1の領域110と第2の領域120とは、波長変換素子110に入射する第1の波長λ1を有する第1の光と、第2の波長λ2を有する第2の光とを、第3の波長λ3を有する第3の光に波長変換するように位相整合されている。ここで、第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とは、関係1/λ3=1/λ1−1/λ2を満たす(ただし、λ1<λ2<λ3)。
差周波発生させる場合に生じる、実用上問題となり得る不要光は、和周波発生させる場合に生じる不要光と同様であり得る。したがって、差周波発生させる場合に生じる不要光を抑制するための位相調整領域130は、上述の不要光の波長から少なくとも1つ選択された波長を有する光を発生させる非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に等しい分極反転幅を有する1つの分極反転領域であればよい。
図1を参照して、波長変換素子100の位相調整領域130が1つの分極反転領域からなる場合を示してきたが、本発明はこの構成に限定されない。図2を参照して、位相調整領域が複数の分極反転領域を含む場合を説明する。
図2は、本発明の実施の形態1によるさらに別の波長変換素子を示す図である。
波長変換素子200は、波長変換素子100(図1)と同様に少なくとも1つの非線形光学単結晶を含む。波長変換素子200は、第1の領域110と第2の領域120と位相調整領域210とからなる一組220を含む。第1の領域110および第2の領域120は、図1と同様であるため説明を省略する。
波長変換素子200は、波長変換素子100(図1)と同様に少なくとも1つの非線形光学単結晶を含む。波長変換素子200は、第1の領域110と第2の領域120と位相調整領域210とからなる一組220を含む。第1の領域110および第2の領域120は、図1と同様であるため説明を省略する。
位相調整領域210は、図1と同様に第1の領域110と第2の領域120との間に位置する。第1の領域110および第2の領域120で発生し得る不要光は、上述した通りである。
位相調整領域210は、第1の分極反転領域230と、第2の分極反転領域240と非分極反転領域250とを含む。第1の分極反転領域230の幅d1と、第2の分極反転領域240の幅d2との合計長は、不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に等しい。つまり、第1の分極反転領域230の幅d1と第2の分極反転領域240の幅d2とは、これら合計長がコンストラクション長になる限り任意の幅を有し得る。不要光が複数ある場合には、これら合計長は、それら不要光を発生する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数になる。非分極反転領域250の幅は、任意であり得る。なお、分極反転領域の数は、2つに限定されない。分極反転領域は、それら分極反転領域の合計長が、少なくとも1つの不要光を発生する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数になる限り、いくつ設けてもよい。
このように位相調整領域210に任意の数の分極反転領域を設けることができるので、不要光の抑制に対する微調整が容易であり得る。また、波長変換素子のパターンの設計において高い自由度を持たせることができる。なお、波長変換素子200における不要光の抑制動作も波長変換素子100(図1)のそれと同様であるため説明を省略する。
図1および図2を参照して、波長変換素子100および200が、第1の領域110と第2の領域120と位相調整領域130および210とからなる1つの組140および220を有する場合を示してきたが、本発明はこの構成に限定されない。図3を参照して、波長変換素子が複数組を有する場合を説明する。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2による波長変換素子と、波長変換素子の不要光の発生とを示す図である。
波長変換素子300の不要光の発生を示す図は、波長変換素子300の各領域において不要光の発生効率が異なっていることを示す。これは、波長変換素子300の製造上のバラツキによるものである。「製造上のバラツキ」とは、周期分極反転構造の分極反転幅のバラツキ、分極反転比のバラツキ、または、波長変換素子300を構成する非線形光学単結晶の材質のバラツキを意図する。
図3は、本発明の実施の形態2による波長変換素子と、波長変換素子の不要光の発生とを示す図である。
波長変換素子300の不要光の発生を示す図は、波長変換素子300の各領域において不要光の発生効率が異なっていることを示す。これは、波長変換素子300の製造上のバラツキによるものである。「製造上のバラツキ」とは、周期分極反転構造の分極反転幅のバラツキ、分極反転比のバラツキ、または、波長変換素子300を構成する非線形光学単結晶の材質のバラツキを意図する。
波長変換素子300は、第1の領域、第2の領域および位相調整領域からなる一組310、311、312および313を有する。それぞれの組の間には、さらなる位相調整領域320、321、322および323が位置する。これら一組310、311、312および313は、図1または図2を参照して説明した一組140または220と同様であり得る。
このように、各組における分極反転構造のバラツキの標準偏差が同程度になるように、波長変換素子300に複数の組310、311、312および313を設計してもよい。この結果、波長変換素子300は安定に不要光を抑制することができる。
また、組310を第1の領域とみなし、組311を第2の領域とみなすと、組310、311および位相調整領域320からなる組340において、組310および組311で発生する不要光を抑制することができる。同様に、組312を第1の領域とみなし、組313を第2の領域とみなすと、組312、313および位相調整領域322からなる組341において、組312および組313で発生する不要光を抑制することができる。さらに、組340を第1の領域とみなし、組341を第2の領域とみなすと、組340、341および位相調整領域321からなる組350において、組340および組341で発生する不要光を抑制することができる。
以下同様にして、本発明によれば、第1の領域110(図1または図2)と第2の領域120(図1または図2)と位相調整領域130(図1)または210(図2)とからなる最小の組140(図1)または220(図2)の組み合わせによって、階層的に不要光を抑制することができる。このような階層構造が可能であることによって、任意の不要光を容易に抑制することができるとともに、波長変換素子の設計に有利であり得る。
再度図1を参照する。波長変換素子100の非線形光学単結晶として、SLTを用いた。電界印加法を用いて、第1の領域110に周期30μmを有する周期分極反転領域を、第2の領域120に周期30μmを有する周期分極反転領域を、位相調整領域130に分極反転幅4μmを有する1つの分極反転領域を形成した。この位相調整領域130は、波長1.064μmを有する光に対して擬似位相整合するとともに、波長1.064μmの第2高調波532nmの光のコヒーレント長に相当する。第1の領域110、第2の領域120および位相調整領域130から得られる全体の平均周期は、30.4μmであった。波長変換素子100の素子長は、35mmであった。
このようにして得られた波長変換素子100に、第1の波長λ11.064μmを有す
る第1の光(ポンプ光)を入射させ、光パラメトリック発振させた。結果を図4に示し、後述する。
このようにして得られた波長変換素子100に、第1の波長λ11.064μmを有す
る第1の光(ポンプ光)を入射させ、光パラメトリック発振させた。結果を図4に示し、後述する。
(比較例1)
位相調整領域130を有さないことを除いて実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、作製された波長変換素子に第1の波長λ11.064μmを有する第1の光(ポンプ光)を入射させ、光パラメトリック発振させた。結果を図4に示す。
図4は、実施例1および比較例1による波長変換素子におけるポンプ光と不要光とのパワーの関係を示す図である。
位相調整領域130を有さないことを除いて実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、作製された波長変換素子に第1の波長λ11.064μmを有する第1の光(ポンプ光)を入射させ、光パラメトリック発振させた。結果を図4に示す。
図4は、実施例1および比較例1による波長変換素子におけるポンプ光と不要光とのパワーの関係を示す図である。
実施例1および比較例1の波長変換素子を光パラメトリック発振させたところ、いずれも第2の波長λ21.55μmを有する第2の光(シグナル光)と第3の波長λ33.39μmを有する第3の光(アイドラ光)とが観察された(図を明瞭にするため、シグナル光とアイドラ光とのパワーを省略する)。比較例1の波長変換素子からポンプ光の第2高調波である波長532nmの不要光が観察された(図4の黒丸)。一方、実施例1の波長変換素子からは、わずかながら不要光が観察されたものの、比較例1に比べて顕著な減少を示した。また、観察された不要光はデバイスの実用に問題となる程度ではなかった(図4の白丸)。これにより、位相成長領域130を設けた本発明による波長変換素子は、不要光を抑制することができることが示された。
なお、波長変換素子100の非線形光学単結晶として、SLN、SLT、Mg、Zn、ScおよびInからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%含む、SLNまたはSLTを用い、かつ、第1の波長λ11.064μmを有する第1の光(ポンプ光)を波長変換素子100に入射させて光パラメトリック発振させる場合、位相調整領域100に、
・波長(1/λ1+1/λ2)-1(すなわち、ポンプ光とシグナル光との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅6.7μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させることができ、
・波長(1/λ1+1/λ3)-1(すなわち、ポンプ光とアイドラ光との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅11.8μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させるこことができ、
・波長(1/λ1+1/(λ1/2))-1(すなわち、ポンプ光とポンプ光の第2高調波との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅1.05μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させるこことができ、
・波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1(すなわち、ポンプ光とシグナル光の第2高調波との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅2.4μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させるこことができ、
・波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1(すなわち、ポンプ光とアイドラ光の第2高調波との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅7.3μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させるこことができる。
・波長(1/λ1+1/λ2)-1(すなわち、ポンプ光とシグナル光との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅6.7μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させることができ、
・波長(1/λ1+1/λ3)-1(すなわち、ポンプ光とアイドラ光との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅11.8μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させるこことができ、
・波長(1/λ1+1/(λ1/2))-1(すなわち、ポンプ光とポンプ光の第2高調波との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅1.05μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させるこことができ、
・波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1(すなわち、ポンプ光とシグナル光の第2高調波との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅2.4μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させるこことができ、
・波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1(すなわち、ポンプ光とアイドラ光の第2高調波との和周波光)を有する不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当する分極反転幅7.3μmの分極反転領域を形成すれば、上記不要光を消失させるこことができる。
これらの分極反転幅を有する分極反転領域を位相調整領域130に組み合わせて形成してもよいし、単独で形成してもよい。
以上説明してきたように、本発明による波長変換素子は、少なくとも一組の第1の領域と第2の領域と位相調整領域とを有し、少なくとも1つの分極反転領域を含む位相調整領
域は、第1の領域と第2の領域との間に位置する。分極反転幅が、不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当するため、第1の領域で発生した不要光の位相と、第2の領域で発生した不要光の位相とが、逆位相となり得る。その結果、これらが互いに打ち消し合うので、不要光の発生が抑制され得る。このようにして光損傷および熱レンズ効果が発生しない、高効率の波長変換素子が提供され得る。
域は、第1の領域と第2の領域との間に位置する。分極反転幅が、不要光を発生する非線形波長変換過程のコンストラクション長に相当するため、第1の領域で発生した不要光の位相と、第2の領域で発生した不要光の位相とが、逆位相となり得る。その結果、これらが互いに打ち消し合うので、不要光の発生が抑制され得る。このようにして光損傷および熱レンズ効果が発生しない、高効率の波長変換素子が提供され得る。
100、200、300 波長変換素子
110 第1の領域
120 第2の領域
130、210、320、321、322、323 位相調整領域
140、220、310、311、312、313、340、341、350 一組
110 第1の領域
120 第2の領域
130、210、320、321、322、323 位相調整領域
140、220、310、311、312、313、340、341、350 一組
Claims (11)
- 第1の波長λ1を有する第1の光を第2の波長λ2を有する第2の光と第3の波長λ3を有する第3の光とに波長変換する波長変換素子であって、ここで、第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とは、関係1/λ1=1/λ2+1/λ3(λ1<λ2<λ3)を満たし、
前記波長変換素子は少なくとも1つの非線形光学単結晶を含み、
前記波長変換素子は、少なくとも一組の第1の領域と第2の領域と位相調整領域とを有し、
前記位相調整領域は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、
前記位相調整領域は、少なくとも1つの分極反転領域を含み、前記少なくとも1つの分極反転領域の分極反転幅それぞれの合計長は、波長λ1/2、波長(1/λ1+1/λ2)-1、波長(1/λ1+1/λ3)-1、波長(1/λ1+(1/(λ1/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1、および、波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1からなる群から少なくとも1つ選択される波長を有する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に相当する、波長変換素子。 - 前記少なくとも1つの非線形光学単結晶は、実質的に定比組成のニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムである、請求項1に記載の波長変換素子。
- 前記実質的に定比組成のニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムは、Mg、Zn、ScおよびInからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%含む、請求項2に記載の波長変換素子。
- 前記第1の領域と前記第2の領域とは周期分極反転領域である、請求項1に記載の波長変換素子。
- 前記第1の波長λ1が1.064μmであり、前記第2の波長λ2が1.55μmであり、前記第3の波長λ3が3.39μmである場合、前記分極反転幅は1.05、2.4、4、6.7、7.3、および、11.8μmからなる群から少なくとも1つ選択される、請求項3に記載の波長変換素子。
- 第1の波長λ1を有する第1の光と第2の波長λ2を有する第2の光とを、第3の波長λ3を有する第3の光に波長変換する波長変換素子であって、ここで、第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とは、関係1/λ3=1/λ1±1/λ2を満たし、
前記波長変換素子は少なくとも1つの非線形光学単結晶を含み、
前記波長変換素子は、少なくとも一組の第1の領域と第2の領域と位相調整領域とを有し、
前記位相調整領域は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、
前記位相調整領域は、少なくとも1つの分極反転領域を含み、前記少なくとも1つの分極反転領域の分極反転幅それぞれの合計長は、波長λ1/2、波長λ2/2、波長(1/λ1+1/λ3)-1、波長(1/λ2+1/λ3)-1、波長(1/λ1+1/(λ1/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ2/2))-1、波長(1/λ1+1/(λ3/2))-1、波長(1/λ2+1/(λ1/2))-1、波長(1/λ2+1/(λ2/2))-1、および、波長(1/λ2+1/(λ3/2))-1からなる群から少なくとも1つ選択される波長を有する非線形波長変換過程それぞれのコンストラクション長の奇数倍の最小公倍数に相当する、波長変換素子。 - 第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とが、関係1/λ3=1/λ1+1/λ2を満たす場合、関係λ1>λ3および関係λ2>λ3である、請求項6に記載の波長変換素子
。 - 第1の波長λ1と第2の波長λ2と第3の波長λ3とが、関係1/λ3=1/λ1−1/λ2を満たす場合、関係λ1<λ2<λ3である、請求項6に記載の波長変換素子。
- 前記少なくとも1つの非線形光学単結晶は、実質的に定比組成のニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムである、請求項6に記載の波長変換素子。
- 前記実質的に定比組成のニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムは、Mg、Zn、ScおよびInからなる群から選択される元素を0.1〜3.0mol%含む、請求項9に記載の波長変換素子。
- 前記第1の領域と前記第2の領域とは周期分極反転領域である、請求項6に記載の波長変換素子。
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