JP2000171844A - 光波長変換素子並びにそれを使用したコヒ―レント光発生装置及び光情報処理装置 - Google Patents

光波長変換素子並びにそれを使用したコヒ―レント光発生装置及び光情報処理装置

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JP2000171844A
JP2000171844A JP11134986A JP13498699A JP2000171844A JP 2000171844 A JP2000171844 A JP 2000171844A JP 11134986 A JP11134986 A JP 11134986A JP 13498699 A JP13498699 A JP 13498699A JP 2000171844 A JP2000171844 A JP 2000171844A
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 チューニングカーブの最大値近傍に広い平坦
部を有する位相整合特性(ピークフラットな位相整合特
性)を有する光波長変換素子、或いは、位相整合波長の
波長許容度を広い範囲に渡って安定して可変できる光波
長変換素子を提供する。 【解決手段】 光波長変換素子が、基本波と高調波とに
対してほぼ等しい位相整合条件を有する2つ以上の非線
形光学結晶と、各々の該非線形光学結晶の間に配置され
た位相調整部と、を備え、該位相調整部は、該非線形光
学結晶とは異なる分散特性を有し、且つその屈折率或い
は長さの少なくとも一方が変調可能であるように構成さ
れている。或いは、光波長変換素子が、非線形光学結晶
と、該非線形光学結晶の一部に形成した屈折率変調部
と、を備え、該屈折率変調部は、該非線形光学結晶の全
長の1/2以下の長さの領域に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コヒーレント光源
を応用した光情報処理或いは光応用計測分野に使用され
る波長変換素子、並びにそれを使用したコヒーレント光
発生装置、及びそのコヒーレント光発生装置を用いた光
情報処理装置に関する。
【0002】本発明はまた、半導体レーザと光波長変換
素子とが組み合わされて構成されている短波長光源、並
びにそのような短波長光源を使用する光ディスクシステ
ムに関する。
【0003】
【従来の技術】非線形光学効果を利用した光波長変換素
子は、波長変換により光の波長を変換することでレーザ
光源の使用波長の拡大が図れるため、多くの分野で利用
されている。例えば、第2高調波を利用した波長変換で
は、レーザ光を、半分の波長の第2高調波に波長変換
し、従来は難しかった短波長の光の実現を可能にする。
更に、パラメトリック発振を利用すると、単一波長の光
源から連続的に波長の異なる光を発生することが可能と
なり、波長可変光源を実現できる。また、和周波数を利
用すれば、波長の異なる2つの光を第3の波長の光に変
換することができる。
【0004】このような非線形光学効果を利用した光の
波長変換には、変換する前の基本波と変換後の高調波と
の間で、位相整合条件が成立する必要がある。このため
の手法としては、例えば、結晶の複屈折を利用して基本
波と高調波との間で結晶中の伝搬速度を揃える複屈折率
法、非線形グレーティングを利用して位相整合をとる擬
似位相整合法などがある。
【0005】ところが、実際には、これらの位相整合条
件を満足する波長の許容度が極端に狭いため、基本波の
波長を非常に高い精度で制御する必要があり、出力を安
定させることが困難である。
【0006】そこで、これらの波長許容度を広げて、光
波長変換の安定性を増す検討が行われた。図33には、
波長許容度の拡大を目的とした従来の光波長変換素子の
構成図を示す(特願平3−16198号参照)。以下に
は、0.84μmの波長の基本波P1に対する波長0.
42μmの2次高調波P2の発生について、図33を参
照して詳しく述べる。
【0007】図33の構成では、LiNbO3基板11
01に光導波路1102が形成され、更に光導波路11
02には、周期的に分極の反転した層1103(分極反
転層)が形成されている。基本波P1と発生する高調波
P2との伝搬定数の不整合を分極反転層1103の周期
構造で補償することにより、高効率に第2高調波P2を
発生することができる。
【0008】このように周期的な分極反転層1103に
より波長変換を行う光波長変換素子は、高い変換効率を
持つ反面で、波長変換が可能となる位相整合波長許容度
が非常に狭い。そこで、図33の構成では、光導波路1
102の伝搬定数を部分的に変えることにより、光波長
変換素子の波長許容度の拡大を図っている。光導波路1
102の伝搬定数を変えると、光導波路1102におけ
る位相整合波長が変化する。位相整合条件とは、波長変
換素子において波長変換が可能となる条件のことで、こ
の条件が成立する入射光の波長のことを位相整合波長と
いう。そこで、光導波路1102の幅を領域A,B,
C,Dと部分的に変化させると、それぞれの領域におけ
る光導波路1102の幅に応じて、位相整合波長が異な
ってくる。そのため、入射光の波長が変わっても、異な
る光導波路幅を有する領域A〜Dの何れかで位相整合条
件が成立するため、素子全体の位相整合波長が増大す
る。その結果、光波長変換素子の波長許容度が増加し、
安定な波長変換素子が作製できる。各領域A〜Dの間の
位相整合条件は、各領域A〜Dのにおける光導波路11
02の深さ、或いは、各領域A〜Dの間の分極反転層1
103の周期を変えても実現できて、これらの場合でも
同様に、波長許容度の大きな光波長変換素子が得られ
る。
【0009】更に、周期状の分極反転構造と位相制御部
とを組み合わせた構成についても、報告されている(特
願平4−070726号)。図34には、そのような手
法によって許容度拡大を実現した従来の光波長変換素子
の構成を示す。
【0010】図34に示された光波長変換素子は、非線
形光学結晶1101の上に、複数の分極反転領域110
5と、分極反転領域1105の間に形成された位相制御
部1106と、を備える。各分極反転領域1105にお
ける位相整合条件の差を利用し、位相整合波長許容度の
拡大を図るとともに、各分極反転領域1105の間で発
生する位相不整合を位相制御部1106により調整する
ことで、基本波P1の波長変動に対する高調波P2の出
力変動の低減を図っている。
【0011】更に、分極反転領域1105の数を増大さ
せることで、更に広い波長範囲に渡って、位相整合波長
許容度の拡大が可能である。例えば、分極反転領域11
05が3分割構造(n=3)及び4分割構造(n=4)
を有する場合の基本波波長と第2高調波(SHG)出力
との関係を示したチューニングカーブを、図35(a)
及び(b)にそれぞれ示す。これより、分割数を増すこ
とで、波長許容度を大幅に拡大できることがわかる。
【0012】更に、分極反転の周期構造を変調すること
で位相整合波長許容度の拡大を可能にする試みも、報告
されている。
【0013】例えば、栖原らによりIEEE Journal of Qu
antum Electronics、vol.26、pp.1265−
1276、1990に報告されているように、分極反転
の周期構造をチャープ状に変化させることで、位相整合
波長の許容度を拡大する方法が報告されている。具体的
には、ここでは、分極反転の周期を距離に比例して増大
させる線形チャープ構造による位相整合波長許容度の拡
大方法が、提案されている。この場合には、位相ズレが
線形に変化する分極反転構造により、位相整合カーブの
大幅な増大が可能である。
【0014】一方、近年、波長780nm帯の近赤外半
導体レーザや波長670nmの赤色半導体レーザを用い
た光ディスクシステムの開発が活発である。光ディスク
の高密度化を実現するためには、小さなスポット形状を
再生することが望まれる。そのためには、集光レンズの
高NA(開口数)化や光源の短波長化が必要となる。
【0015】光源の短波長化技術として、近赤外半導体
レーザと擬似位相整合(以下、「QPM」と記す)方式
の分極反転型光導波路デバイス(山本、他:Optics Let
ters、Vol.16、No.15、第1156頁、1991)とを用いた第
2高調波発生(以下、「SHG」と記す)技術がある。
【0016】分極反転型光波長変換素子を用いた短波長
光源(SHGブルーレーザ)の概略構成図を、図15に
示す。
【0017】図15において、38は、0.85μm帯
の100mW級AlGaAs系波長可変型DBR(分布
ブラッグ反射型:distributed Bragg reflector)半導
体レーザ、39は、NA=0.5のコリメートレンズ、
40は、NA=0.5のフォーカシングレンズ、41は
光波長変換素子である。波長可変型DBR半導体レーザ
38は、発振波長を固定するためのDBR部と実際にレ
ーザ発振を起こす活性部とを含み、DBR部には、発振
波長を可変するために内部ヒータが形成されている。D
BR部に対する電流注入を行うことにより、発振波長を
可変することができる。典型的には、注入電流100m
Aに対して2nmの波長可変領域が得られる。
【0018】次に、光波長変換素子41の構成について
説明する。
【0019】光波長変換素子41は、xカットMgドー
プLiNbO3基板42の上に形成されたプロトン交換
光導波路43と、2次元電界印加法により作製された周
期的分極反転領域44とを含む。周期的分極反転領域4
4を形成するためには、まず周期3.2μmの櫛形電極
及び平行電極を+X基板42の上面に形成し、また、+
X基板42の裏面にボトム電極としてTa膜を蒸着す
る。そして、基板42の上面及び裏面の間に4Vの電圧
を印加しながら、パルス幅100msで0.4Vのパル
ス電圧を+X基板42の上面に印加し、これによって周
期的分極反転領域44を形成する。
【0020】次に、電極をエッチング除去した後にスト
ライプ状のマスクを形成し、ピロリン酸中でプロトン交
換して光導波路43を形成する。光導波路43は、典型
的には幅4μm、深さ2μm、長さ10mmである。光
導波路43の端面には、無反射コートが施されている。
【0021】上記の構成を有する光導波路素子41の基
本波波長に対する波長変換特性を評価したところ、典型
的には、ブルー光(高調波光)の出力レベルが半分にな
る半値全幅が0.08nmとなる。
【0022】波長可変型DBR半導体レーザ38から出
射されたレーザ光は、コリメートレンズ39とフォーカ
シングレンズ40とにより、光波長変換素子41の光導
波路43に結合される。典型的には、100mWのレー
ザ出力に対して、70mWのレーザ光が光導波路43に
結合する。波長可変型DBR半導体レーザ38のDBR
部への注入電流量を制御し、発振波長を光波長変換素子
41の位相整合波長の許容波長範囲内に固定することに
より、約15mWのブルー光(高調波光)が得られる。
【0023】ブルー光(高調波光)出力を安定化させる
ために、上記の構成に更に制御回路を付加することがあ
る。その場合には、まず、出力されるレーザ光強度が設
定値(例えば100mW)になるように、制御回路から
活性部に対して電流注入を行う。その後に、波長変換に
より得られた高調波光出力を光検出器により検出し、高
調波光出力を安定化する。光検出器としては、Si−P
INフォトダイオードが用いられ得る。
【0024】より具体的には、DBR部へ注入する電流
を変化させて波長可変型DBR半導体レーザの発振波長
を可変すると、その発振波長は、モードホップを繰り返
しながら注入電流の増加に対して長波長側に波長シフト
する。そこで、注入電流を0mA〜100mAの範囲で
可変して発振波長をスキャンしながら、光検出器から出
力される信号を検出し、ブルー光(高調波光)出力が最
大になるDBR注入電流Idbrを制御回路に記憶す
る。例えば、注入電流Idbr=50mAであるときに
高調波光の最大出力5mWが得られたとすると、次に、
注入電流Idbrを50mAよりも10mA低い40m
Aまで下げた後に、再び記憶された電流値(50mA)
までDBR電流Idbrを上昇させて、レーザ光の発振
波長を波長変換素子の位相整合波長に固定する。
【0025】以上のような操作によって、5mWの最大
ブルー光(高調波光)出力5mWが安定して得られる。
【0026】このように、半導体レーザから出力される
レーザ光を基本波光として光波長変換素子に入力して高
調波光に波長変換する短波長光源では、高効率波長変換
を実現するためには位相整合条件を満たす必要があり、
一般にその許容波長幅は小さい。そのため、半導体レー
ザと光波長変換素子とを組み合わせて構成されている短
波長光源においては、基本波を供給する半導体レーザと
して、波長可変型DBR半導体レーザが用いられる。波
長可変型DBR半導体レーザには、波長を固定して可変
するためのDBR領域が形成されており、このDBR領
域へ電流注入を行うことにより、2nm程度の波長可変
範囲を実現できる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、分極反
転層を基本とした光波長変換素子において、素子を2つ
以上の領域に分割し、各領域間の位相整合条件を変える
ことにより波長変換素子変換素子の波長許容度を増大さ
せる方法では、各領域における位相整合波長が異なるた
め、広い波長範囲において第2高調波が発生する。しか
し、従来の光波長変換素子では、比較的広い範囲に波長
許容範囲を拡大するのは容易であるが、それに伴う波長
変換素子の変換効率の低下が激しい。例えば、位相整合
波長許容度を10倍に拡大すれば、変換効率は1/10
に低下し、高効率の出力特性を有したまま安定な高調波
出力を得ることができない。
【0028】また、従来の光波長変換素子における光導
波路全体に電圧を印加する構成においては、高効率の変
換特性を実現するには、印加電圧分布に高い均一性が要
求される。このため、高効率な変換特性を達成したまま
で、位相整合波長を変化させることが難しい。更に、光
波長変換素子の全体を一定の温度にするには、広い面積
の温度を制御する必要があり、消費電力が大きくなる。
【0029】更に、光波長変換素子の位相整合波長を可
変して安定な出力を得るには、印加電圧により波長を制
御し、特定の波長を選択した後に、印加電圧を固定する
必要がある。ところが、LiNbO3やLiTaO3など
の電気光学効果を有する材料においては、DCドリフト
の問題があり、一定の電圧を印加すると電極間に印加電
圧を打ち消す電荷が発生して、印加電圧が徐々に変化す
るという問題が発生する。このため、一定のDC電圧を
導波路全体に安定に印加するのが難しいとともに、均一
な電界分布を光導波路全体に渡って形成することも困難
である。
【0030】更に、電気光学効果により変化可能な屈折
率は10-4程度であるために、これによって得られる変
調可能な位相整合波長の範囲が、0.1nm程度以下に
限定される。
【0031】一方、短波長光源に関して、波長可変型D
BR半導体レーザ及び分極反転型光波長変換素子が組み
合わされている短波長光源において、波長可変型DBR
半導体レーザは、モードホップ(モード間隔:0.11
nm)を繰り返しながら長波長側に発振波長が変化す
る。一方、分極反転型光波長変換素子は、10nmの素
子長に対して、その動作特性(チューニングカーブ特
性)における位相整合波長の許容波長幅が、半値全幅で
0.08nmであり、出力レベルがピーク出力レベルの
95%となる波長幅が0.02nmと小さい。
【0032】図16(a)及び(b)では、このような
波長可変型DBR半導体レーザの各モードの発振波長A
と分極反転型光波長変換素子のチューニングカーブ特性
Bとの関係を、横軸に波長、縦軸に高調波光出力をとっ
た図に模式的に示している。
【0033】図16(a)のように、波長可変型DBR
半導体レーザのある発振モードの波長が分極反転型光波
長変換素子のチューニングカーブ特性のピークの近傍に
ある場合には、DBR領域への注入電流を制御すること
により、波長可変型DBR半導体レーザの発振波長を、
最大変換効率が得られる位相整合波長(図中の特性Bの
ピークに相当する)に固定することが可能である。しか
し、図16(b)のように両者が大きくずれている場合
には、波長可変型DBR半導体レーザの縦モード間隔が
例えば0.11nmであるために、最大変換効率の50
%程度の変換効率しか得られない。このような場合に
は、何らかの方法で、波長可変型DBR半導体レーザの
発振波長を最大変換効率が得られる位相整合波長に調整
する必要がある。
【0034】上記の目的のための一つの方法として、波
長可変型DBR半導体レーザにおける駆動電流(活性部
への注入電流)を変換させると、その発振波長は0.0
1nmオーダで変化する。例えば、AlGaAs系の波
長可変型DBR半導体レーザでは、0.02nm/10
mAで変化する。
【0035】しかし、図16(a)及び(b)を参照し
て上記で説明したように、従来の光波長変換素子では、
出力レベルがピーク出力の95%となる波長幅が±0.
01nmであるので、基本波光や高調波光の出力を一定
にするために駆動電流を定出力駆動(Auto Power Contr
ol:APC駆動)させると、発振波長も変化する。すな
わち、制御ループは発散方向にあって、収束できない。
例えば、基本波光出力を5%変化させることによって高
調波光出力を10%程度変化させようとすると、発振波
長は0.02nm程度変化して、変換効率が20%程度
低下する。その結果として、波長可変型DBR半導体レ
ーザと分極反転型光波長変換素子との組合せとして構成
される従来の短波長光源においては、APC駆動による
制御の実施は、実際には非常に困難である。
【0036】或いは、電子冷却素子などにより、波長可
変型DBR半導体レーザ及び分極反転型光波長変換素子
が搭載されているモジュール全体の温度を制御して、波
長可変型DBR半導体レーザの発振波長を最大変換効率
が得られる位相整合波長に調整することも可能である。
【0037】これに関して、図17には、波長可変型D
BR半導体レーザ及び分極反転型光波長変換素子の動作
特性の温度依存性を示す。典型的には、温度上昇と共に
波長可変型DBR半導体レーザの発振波長は0.068
nm/℃で長波長側にシフトし、一方、Mg:LiNb
3基板の上の分極反転型光波長変換素子の位相整合波
長は、0.055nm/℃で長波長側にシフトする。そ
のため、モジュールの温度を変化させると、発振波長と
位相整合波長との相対関係は0.013nm/℃の関係
で変化する。この関係を利用すると、波長可変型DBR
半導体レーザの発振波長と分極反転型光波長変換素子の
位相整合波長とが図16(b)のような関係にあるとき
であっても、モジュール温度を例えば3℃程度上昇させ
ることにより、波長可変型DBR半導体レーザの発振波
長を分極反転型光波長変換素子の位相整合波長のピーク
に固定することが可能となる。
【0038】しかし、DBR領域への電流注入による波
長可変速度がミリ秒オーダであるのに対して、上記のよ
うなペルチエ素子による温度制御速度は、秒オーダであ
る。光ディスクやディスプレイなどの機器への応用時
に、光源の立ち上げ時間は短いことが望まれることを考
慮すれば、上記の応答速度特性は満足いくものではな
い。更に、ペルチエ素子を動作させるためには数Vオー
ダ及び数Aオーダのパワー印加する必要であり、光源の
消費電力が大きくなる。これも、民生での応用を考える
と望ましいことではない。
【0039】また、分極反転型光波長変換デバイスの基
本波波長に対する高調波光出力の関係(位相整合波長カ
ーブ、すなわちチューニングカーブ)は、一般にsin
c関数の形状を有しており、位相整合波長のピーク近傍
においても、そのチューニングカーブ特性には平坦部が
存在しない。このため、モジュールの僅かな温度変化に
対して高調波の出力変動が生じるので、常にモジュール
温度を制御する必要がある。
【0040】このように、光波長変換素子と波長可変型
DBR半導体レーザとを組み合わせて構成されている短
波長光源において、一般の波長可変型DBR半導体レー
ザではその波長可変特性が不連続であり、0.1nm程
度のモードホップを繰り返しながら波長可変することか
ら、得られる高調波光出力を常時安定化することは極め
て困難である。特に、APC駆動により高調波光出力光
を安定化することは、非常に困難である。
【0041】これに対して、位相部を形成した3電極
(活性部、位相部、DBR部)タイプの波長可変型DB
R半導体レーザも開発されているが、その出力と波長を
安定に制御することも、やはり困難である。
【0042】更に、光波長変換素子の素子長を短くする
ことによる位相整合の許容波長幅の拡大も検討されてい
るが、半導体レーザのモードホップ間隔まで許容波長幅
を拡大するためには素子長を数mm程度まで短くする必
要があり、変換効率の大幅な低減につながることから、
実用的ではない。
【0043】上記に加えて、更に、出力安定化における
もう一つの課題として、基本波波長及び位相整合波長の
安定化の問題がある。
【0044】具体的には、温度変化等の変動要因に対し
て基本波の波長及び光波長変換素子の位相整合波長が変
動する場合、この変動量をモニターし、基本波の波長に
フィードバックをかけて出力を安定化する必要がある。
しかし、従来の光波長変換素子には、位相整合状態を最
適化するためのモニター機能を搭載するという概念が与
えられていなかった。また、従来の構造では、この機能
を搭載することが難しいという構造上の問題があった。
【0045】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、(1)チューニングカ
ーブの最大値近傍に広い平坦部を有する位相整合特性
(ピークフラットな位相整合特性)を有する光波長変換
素子を提供すること、(2)位相整合波長の波長許容度
を広い範囲に渡って安定して可変できる光波長変換素子
を提供すること、(3)上記のような光波長変換素子と
半導体レーザとを用いてコヒーレント光発生装置を構成
することで、半導体レーザにおける発振波長の変動を安
定化し、安定な出力特性を有するコヒーレント光発生装
置を提供すること、(4)光ディスクシステムやディス
プレイシステムなどの機器に応用可能な、任意の環境温
度或いは動作状態において安定した高調波光出力特性を
実現する、波長可変型DBR半導体レーザと分極反転型
光波長変換素子とを組み合わせて構成される短波長光源
を提供すること、並びに、(5)上記のようなコヒーレ
ント光発生装置或いは短波長光源を用いた光情報処理装
置を提供すること、を目的とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】本発明の短波長光源は、
少なくとも光波長変換素子と波長可変型半導体レーザと
を含み、該光波長変換素子は、該波長可変型半導体レー
ザの出力光を基本波光として受け取り、該基本波光の波
長に対する波長変換によって得られる高調波光を出力
し、且つ、該光波長変換素子の該高調波光の出力特性
は、最大出力の近傍で平坦部を有しており、該波長可変
型半導体レーザの発振波長が、該光波長変換素子の該出
力特性の該平坦部に固定されていて、そのことによっ
て、上記の目的が達成される。
【0047】ある実施形態では、前記波長可変型半導体
レーザの前記発振波長が前記光波長変換素子の前記出力
特性の前記平坦部に固定されている間は、前記高調波光
の出力レベルが一定値になるように、該波長可変型半導
体レーザの駆動電流が制御される。
【0048】ある実施形態では、上記の短波長光源は、
前記波長可変型半導体レーザの前記発振波長を制御する
制御回路と、前記高調波光の出力を検出する光検出器
と、を更に備えており、該制御回路は、該光検出器が検
出する該高調波光の出力が前記出力特性における前記平
坦部での出力レベルに保持されるように、該波長可変型
半導体レーザの該発振波長を制御する。
【0049】ある実施形態では、上記の短波長光源は、
前記波長可変型半導体レーザの前記発振波長を制御する
制御回路と、前記高調波光の出力を検出する第1の光検
出器と、前記波長可変型半導体レーザの出力光を検出す
る第2の光検出器と、を更に備えており、該制御回路
は、該第2の光検出器が検出する該波長可変型半導体レ
ーザの出力光が所定の一定値に保持されるように、該波
長可変型半導体レーザの駆動電流を制御し、且つ、該第
1の光検出器が検出する該高調波光の出力が前記出力特
性における前記平坦部での出力レベルに保持されるよう
に、該波長可変型半導体レーザの該発振波長を制御す
る。
【0050】ある実施形態では、上記の短波長光源は、
前記波長可変型半導体レーザの前記発振波長を制御する
制御回路と、前記高調波光の出力を検出する光検出器
と、を更に備えており、該波長可変型半導体レーザは、
所定の値の電流によって定電流駆動され、該光検出器が
検出する前記高調波光の出力が、前記出力特性における
前記平坦部での出力レベルに保持され、且つ、該高調波
光の出力が所定の一定値に保持されるように、該波長可
変型半導体レーザの駆動電流が制御される。
【0051】ある実施形態では、前記出力特性における
前記平坦部が、前記波長可変型半導体レーザの前記駆動
電流の増加時には前記高調波光の出力が増加し、且つ該
波長可変型半導体レーザの該駆動電流の減少時には該高
調波光の出力が減少する範囲である。
【0052】例えば、前記波長可変型半導体レーザの前
記発振波長の制御のために注入される注入電流の異なる
レベルIN及びIN+1(但し、IN+1>IN)に対して、波
長変換により得られる前記高調波光の出力をそれぞれP
N及びPN+1とすれば、前記制御回路は、該注入電流の増
加時に、(PN+1−PN)>0であり且つ(PN+1−PN
の絶対値が最大値となる該注入電流の異なるレベルIN
及びIN+1に対して、該注入電流をIdbr=IN+1+Δ
Iとなる値に設定し得て、これによって該波長可変型半
導体レーザの該発振波長を所定の値に固定することがで
きる。或いは、前記制御回路は、該注入電流の減少時
に、(PN+1−PN)<0であり且つ(PN+ 1−PN)の絶
対値が最大値となる該注入電流の異なるレベルIN及び
N+1に対して、該注入電流をIdbr=IN−ΔIとな
る値に設定し得て、これによって該波長可変型半導体レ
ーザの該発振波長を所定の値に固定することができる。
【0053】好ましくは、前記光波長変換素子は、2つ
以上の非線形光学結晶と、隣接する該非線形光学結晶の
間に配置された位相調整部と、を備える。その場合に
は、前記基本波光が、該光波長変換素子の該非線形光学
結晶により前記高調波光に波長変換され、該非線形光学
結晶の各々の位相整合条件が互いにほぼ等しい。
【0054】ある実施形態では、前記光波長変換素子に
は、2つの前記非線形光学結晶と1つの前記位相調整部
とが設けられており、該位相調整部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β2ω:該位相調整部における前記高調波光の伝搬定数 βω :該位相調整部における前記基本波の伝搬定数 なる関係を満足している。
【0055】他の実施形態では、前記光波長変換素子に
は、3つの前記非線形光学結晶と2つの前記位相調整部
とが設けられており、該位相調整部の各々の長さt1及
びt2が、 t1=(2n+α1)π/(β2ω−2・βω) t2=(2m+α2)π/(β2ω−2・βω) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 m=0、1、2、3、……、 t1+t2=2Jπ/(β2ω−2・βω) J=0、1、2、3、……、 β2ω:該位相調整部における前記高調波光の伝搬定数 βω :該位相調整部における前記基本波の伝搬定数 なる関係を満足している。
【0056】好ましくは、前記出力特性の前記平坦部の
波長幅が、前記波長可変型半導体レーザの前記発振波長
の縦モード間隔よりも広い。
【0057】前記波長可変型半導体レーザは、少なくと
も活性領域と分布ブラッグ反射(distributed Bragg re
flector:DBR)領域とを含み、該活性領域及び該DB
R領域の各々に独立した電極が設けられている半導体レ
ーザであり得る。
【0058】例えば、前記光波長変換素子が、周期的分
極反転構造を有する擬似位相整合方式の光波長変換素子
であり得る。
【0059】前記光波長変換素子は、光導波路を有し得
る。
【0060】前記光波長変換素子は、LiTaxNb1-x
3基板(0≦x≦1)の上に作製され得る。
【0061】前記波長可変型半導体レーザの駆動電流が
変調されていてもよい。
【0062】前記波長可変型半導体レーザは、外部反射
鏡から特定波長の光が光帰還するように構成され得て、
該特定波長の光を可変することによって、該波長可変型
半導体レーザの発振波長が可変されてもよい。
【0063】本発明の他の局面によれば、上記のような
本発明の短波長光源と、集光光学系と、を備え、該短波
長光源から出射されるコヒーレント光を該集光光学系に
より集光している光情報処理装置が、提供される。
【0064】本発明の光波長変換素子は、基本波と高調
波とに対してほぼ等しい位相整合条件を有する2つ以上
の非線形光学結晶と、各々の該非線形光学結晶の間に配
置された位相調整部と、を備え、該位相調整部は、該非
線形光学結晶とは異なる分散特性を有し、且つその屈折
率或いは長さの少なくとも一方が変調可能であるように
構成されていて、そのことによって、前述の目的が達成
される。
【0065】本発明の他の光波長変換素子は、非線形光
学結晶と、該非線形光学結晶の一部に形成した屈折率変
調部と、を備え、該屈折率変調部は、該非線形光学結晶
の全長の1/2以下の長さの領域に形成されていて、そ
のことによって、前述の目的が達成される。
【0066】ある実施形態では、前記屈折率変調部とそ
の他の部分の境界近傍に設けられた位相調整部を更に有
し、該屈折率変調部の長さが前記非線形光学結晶の全長
の15%〜40%である。
【0067】ある実施形態では、前記非線形光学結晶と
して2つ以上の非線形光学結晶を有し、該2つ以上の非
線形光学結晶の間に位相調整部が配置されており、前記
屈折率変調部は該2つ以上の非線形光学結晶の何れかに
設けられていて、該2つ以上の非線形光学結晶が互いに
ほぼ等しい位相整合条件を満足している。
【0068】前記非線形光学結晶が周期状の分極反転構
造を有していてもよい。
【0069】例えば、前期非線形光学結晶の個数が3つ
以上であって、該3つ以上の非線形光学結晶の互いの長
さの差が40%以下である。
【0070】前記位相調整部が液晶から構成されていて
もよい。
【0071】或いは、前記位相調整部が可塑性の材料に
より形成されており、該位相調整部の長さが微動台によ
り調整されていてもよい。
【0072】前記非線形光学結晶が光導波路を有し、該
光導波路内で前記光の波長が変換されていてもよい。
【0073】前記非線形光学結晶が共振器構造内に配置
されていてもよい。
【0074】本発明の他の局面によれば、上記のような
本発明の光波長変換素子と、レーザ光源と、を備え、該
レーザ光源の光が該光波長変換素子により波長変換され
ているコヒーレント光発生装置が、提供される。
【0075】前記レーザ光源は波長可変機能を有してい
てもよい。
【0076】好ましくは、前記光波長変換素子の位相整
合波長の可変範囲が、前記レーザ光源の縦モード間隔よ
り広い。
【0077】例えば、前記レーザ光源は半導体レーザで
ある。
【0078】本発明の他の局面によれば、上記のような
本発明のコヒーレント光発生装置と、集光光学系と、を
備え、該コヒーレント光発生装置から出射されるコヒー
レント光を該集光光学系により集光している光情報処理
装置が、提供される。
【0079】本発明の光波長変換素子は、2つ以上の非
線形光学結晶と、隣接する該非線形光学結晶の間に配置
された位相調整部と、を備えており、該非線形光学結晶
の各々の位相整合条件が互いにほぼ等しく、そのことに
よって、前述の目的が達成される。
【0080】好ましくは、前記非線形光学結晶の内部で
基本波が高調波に変換され、該基本波の波長と該高調波
の出力との間の関係を示す特性曲線において、該高調波
の出力の最大値近傍で、該特性曲線が平坦部を有してい
る。
【0081】ある実施形態では、前記非線形光学結晶の
内部で波長λの基本波が波長λ/2の高調波に変換さ
れ、前記位相調整部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β2ω:該位相調整部における該高調波の伝搬定数 βω :該位相調整部における該基本波の伝搬定数 なる関係を満足している。
【0082】ある実施形態では、前記非線形光学結晶の
内部で波長λ1の第1の光及び波長λ2の第2の光と波
長λ3の第3の光との間での波長変換が行われ、該各々
の波長は、 1/λ3=1/λ1+1/λ2 なる関係を満たし、且つ、前記位相調整部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β3−β2−β1) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β1:該位相調整部における該第1の光の伝搬定数 β2:該位相調整部における該第2の光の伝搬定数 β3:該位相調整部における該第3の光の伝搬定数 なる関係を満足している。
【0083】例えば、前記非線形光学結晶の数が2つ
で、前記αの値がα=0.9〜1.1の範囲にある。
【0084】好ましくは、記非線形光学結晶の数が2つ
で、前記αの値がα=0.95〜1.05の範囲にあ
る。
【0085】ある実施形態では、3つの前記非線形光学
結晶と2つの前記位相調整部とが設けられており、該位
相調整部の各々の長さt1及びt2が、 t1+t2=(2n+α)π/(β3−β2−β1) n=0、1、2、……、 なる関係を満足している。
【0086】ある実施形態では、3つの前記非線形光学
結晶と2つの前記位相調整部とが設けられており、該位
相調整部の各々の長さt1及びt2が、 t1+t2=2nπ/(β2ω−2・βω) n=0、1、2、……、 なる関係を満足している。
【0087】例えば、前記位相調整部の各々の長さt1
及びt2が、 t1=(2n+α1)π/(β2ω−2・βω) t2=(2n+α2)π/(β2ω−2・βω) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 なる関係を満足している。
【0088】好ましくは、前記α1の値がα1=0.7
〜1.3の範囲である。
【0089】ある実施形態では、前記位相調整部の各々
の長さt1及びt2が、 t1=(2n+α1)π/(β3−β2−β1) t2=(2n+α2)π/(β3−β2−β1) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 なる関係を満足している。
【0090】好ましくは、前記α1の値がα1=0.7
〜1.3の範囲である。
【0091】前記非線形光学結晶が単一の結晶からなっ
ており、前記位相調整部が該結晶の内部に設けられてい
てもよい。
【0092】或いは、前記非線形光学結晶と前記位相調
整部とがお互いに接着されていてもよい。
【0093】本発明の光波長変換素子は、非線形光学結
晶と、該非線形光学結晶に形成され且つ2つ以上の領域
に分割されている周期状分極反転構造と、該周期状分極
反転構造の該分割された領域の間に配置されている位相
調整部と、を備えており、該周期状分極反転構造の周期
が、該分割された領域の間でお互いにほぼ等しく、その
ことによって、前述の目的が達成される。
【0094】好ましくは、前記周期状分極反転構造の内
部で基本波が高調波に変換され、該基本波の波長と該高
調波の出力との間の関係を示す特性曲線において、該高
調波の出力の最大値近傍で、該特性曲線が平坦部を有し
ている。
【0095】ある実施形態では、前記非線形光学結晶の
内部で波長λの基本波が波長λ/2の高調波に変換さ
れ、前記周期状分極反転構造の前記周期Λが、 Λ=2mπ/(β2ω−2・βω) m=1、2、3、……、 なる関係をほぼ満たし、前記位相調整部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β2ω:該位相調整部における該高調波の伝搬定数 βω :該位相調整部における該基本波の伝搬定数 なる関係を満足している。
【0096】ある実施形態では、前記非線形光学結晶の
内部で波長λ1の第1の光及び波長λ2の第2の光と波
長λ3の第3の光との間での波長変換が行われ、該各々
の波長は、 1/λ3=1/λ1+1/λ2 なる関係を満たし、且つ、前記周期状分極反転構造の前
記周期Λが、 Λ=2mπ/(β2ω−2・βω) m=1、2、3、……、 なる関係をほぼ満たし、且つ、前記位相調整部の長さt
が、 t=(2n+α)π/(β3−β2−β1) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β1:該位相調整部における該第1の光の伝搬定数 β2:該位相調整部における該第2の光の伝搬定数 β3:該位相調整部における該第3の光の伝搬定数 なる関係を満足している。
【0097】例えば、前記非線形光学結晶の数が2つ
で、前記αの値がα=0.9〜1.1の範囲にある。
【0098】ある実施形態では、3つの前記非線形光学
結晶と2つの前記位相調整部とが設けられており、該位
相調整部の各々の長さt1及びt2が、 t1+t2=(2n+α)π/(β3−β2−β1) n=0、1、2、……、 なる関係を満足している。
【0099】ある実施形態では、3つの前記非線形光学
結晶と2つの前記位相調整部とが設けられており、該位
相調整部の各々の長さt1及びt2が、 t1+t2=2nπ/(β2ω−2・βω) n=0、1、2、……、 なる関係を満足している。
【0100】例えば、前記位相調整部の各々の長さt1
及びt2が、 t1=(2n+α1)π/(β2ω−2・βω) t2=(2n+α2)π/(β2ω−2・βω) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 なる関係を満足している。
【0101】好ましくは、前記α1の値がα1=0.7
〜1.3の範囲である。
【0102】ある実施形態では、前記位相調整部の各々
の長さt1及びt2が、 t1=(2n+α1)π/(β3−β2−β1) t2=(2n+α2)π/(β3−β2−β1) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 なる関係を満足している。
【0103】好ましくは、前記α1の値がα1=0.7
〜1.3の範囲である。
【0104】前記基本波の伝搬損失が前記高調波の伝搬
損失のほぼ半分であってもよい。
【0105】前記第1、第2、及び第3の光の伝搬損失
がお互いにほぼ等しくてもよい。
【0106】前記非線形光学結晶が光導波路を有し、該
光導波路内で光の波長変換が行われてもよい。
【0107】本発明の光波長変換素子は、非線形光学結
晶を有し、該非線形光学結晶の内部で、波長λの基本波
が波長λ/2の高調波に変換され、該非線形光学結晶に
おける該基本波の伝搬損失が該高調波の伝搬損失のほぼ
半分であって、そのことによって、前述の目的が達成さ
れる。
【0108】ある実施形態では、前記非線形光学結晶が
光導波路を有し、該光導波路内で前記基本波から前記高
調波への波長変換が行われ、前記伝搬損失は、該光導波
路内における伝搬損失である。
【0109】本発明の光波長変換素子は、非線形光学結
晶を有し、該非線形光学結晶の内部で、波長λ1の第1
の光及び波長λ2の第2の光と波長λ3の第3の光との
間での波長変換が行われ、該各々の波長は、 1/λ3=1/λ1+1/λ2 なる関係を満たし、且つ、該非線形光学結晶における該
第1、第2、及び第3の光の伝搬損失がお互いにほぼ等
しく、そのことによって、前述の目的が達成される。
【0110】ある実施形態では、前記非線形光学結晶が
光導波路を有し、該光導波路内で前記波長変換が行わ
れ、前記伝搬損失は、該光導波路内における伝搬損失で
ある。
【0111】前記非線形光学結晶が光入射部と光出射部
とを有しており、該光入射部及び光出射部の少なくとも
一方に反射防止膜が設けられていてもよい。
【0112】本発明のコヒーレント光発生装置は、発振
波長を可変する機能を有する半導体レーザと、該半導体
レーザの出射光を基本波として受け取って、該基本波に
対する波長変換を行って高調波を出力する光波長変換素
子と、を備え、該基本波の波長と該高調波の出力との間
の関係を示す特性曲線において、該高調波の出力の最大
値近傍で該特性曲線が平坦部を有し、該平坦部の幅が、
該半導体レーザの縦モード間隔よりも広く設定されてい
て、そのことによって、前述の目的が達成される。
【0113】或いは、本発明のコヒーレント光発生装置
は、発振波長を可変する機能を有する半導体レーザと、
該半導体レーザの出射光を基本波として受け取って、該
基本波に対する波長変換を行って高調波を出力する、本
発明による光波長変換素子と、を備え、該基本波の波長
と該高調波の出力との間の関係を示す特性曲線におい
て、該高調波の出力の最大値近傍で該特性曲線が平坦部
を有し、該平坦部の幅が、該半導体レーザの縦モード間
隔よりも広く設定されていて、そのことによって、前述
の目的が達成される。
【0114】或いは、本発明のコヒーレント光発生装置
は、本発明の光波長変換素子と、レーザ光源と、を備
え、該レーザ光源の出射光が該光波長変換素子によって
波長変換されるように構成されていて、そのことによっ
て、前述の目的が達成される。
【0115】前記レーザ光源が、発振波長を可変する機
能を有する半導体レーザであってもよい。
【0116】前記半導体レーザが高周波重畳されていて
もよい。
【0117】好ましくは、前記光波長変換素子の位相整
合波長許容度が、前記レーザ光源の縦モード間隔よりも
広く設定されている。
【0118】本発明のコヒーレント光発生装置は、非線
形光学結晶と、波長可変レーザ光源と、第1及び第2の
光検出器と、を備え、該非線形光学結晶の内部で、該波
長可変レーザ光源からの第1の光が第2の光に波長変換
され、該第1の光検出器は、該第1或いは第2の光のう
ちの選択された光について、該非線形光学結晶から散乱
される散乱光の強度を測定し、該第2の光検出器は、該
非線形光学結晶の出射部近傍における該選択された光の
強度を測定し、該第1及び第2の光検出器の測定結果に
基づいて、該波長可変レーザ光源の発振波長を制御し、
そのことによって、前述の目的が達成される。
【0119】ある実施形態では、前記非線形光学結晶は
光波長変換素子に含まれており、該光波長変換素子には
位相調整部が設けられていて、前記第1の光検出器が該
位相調整部の近傍に設けられている。
【0120】本発明の光情報処理装置は、本発明による
コヒーレント光発生装置と、集光光学系と、備え、該コ
ヒーレント光発生装置から出射されるコヒーレント光
を、該集光光学系により集光しており、そのことによっ
て、前述の目的が達成される。
【0121】
【発明の実施の形態】非線形光学結晶を用いて光波長変
換を行う場合、結晶の複屈折率を利用する複屈折位相整
合以外に、非線形分極の方向を周期的に反転させた周期
的分極反転を利用して、非線形グレーティングにより基
本波と高調波との間の位相速度の差を擬似的に補償する
方法がある。この方法を擬似位相整合方式という。擬似
位相整合は、分極反転周期により、位相整合条件を任意
に制御できる。
【0122】本発明では、この分極反転型光波長変換素
子の一部分に位相調整部を形成することで、基本波波長
に対する高調波光出力特性(チューニングカーブ特性)
において、ピーク出力レベルの近傍が平坦である(すな
わち、平坦部を有する)特性を実現する。
【0123】光導波路型擬似位相整合方式の分極反転型
光波長変換素子の特徴として、 (1)光導波路型であるので、長い相互作用長を実現で
き、分割構造の光波長変換に有効である。 (2)分極反転領域は、半導体プロセスにより均一且つ
高精度に形成できるとともに、同時に位相調整部も形成
できるので、デバイスの設計及び形成が容易に達成され
る。 などの点が挙げられる。
【0124】(第1の実施形態)本実施形態では、基本
波波長に対する高調波光出力特性(チューニングカーブ
特性)においてピーク出力近傍が平坦部を有する光波長
変換素子と、2電極(活性部及びDBR部)を有する波
長可変型DBR半導体レーザを組み合わせて構成される
短波長光源について、その構成と動作方法を説明する。
【0125】まずはじめに、基本波波長に対する高調波
光出力特性(チューニングカーブ特性)においてピーク
出力近傍が平坦部を有する光波長変換素子の構成、及び
その作製方法について説明する。
【0126】非線形光学効果による光波長変換では、基
本波を波長変換して高調波を発生する。基本波から高調
波への高効率の波長変換を可能にするには、2つの光の
位相速度が一致する位相整合条件を満足する必要があ
る。ところが、位相整合条件を満足する基本波波長の許
容範囲は、一般に非常に狭い。
【0127】これを解決する方法として、本実施形態の
光波長変換素子では、同一の位相整合条件を有する非線
形光学結晶の間に位相調整部を設けることで、位相整合
波長の許容度を拡大する構造を有している。これによっ
て、広い許容波長幅を有し、且つチューニングカーブ特
性においてピーク出力近傍で平坦部を有することができ
る。更に、許容波長幅の拡大による波長変換効率の低下
を最小限に抑え、許容波長幅の拡大と高効率特性とを同
時に達成できる。
【0128】本実施形態の光波長変換素子100の具体
的な構造を、図1を参照して説明する。
【0129】図1に示すように、光波長変換素子100
は、互いにほぼ等しい位相整合条件を満足する複数の非
線形光学結晶、ここでは例えば3つの非線形光学結晶
1、2、及び3を含む。更に、各々の非線形光学結晶
1、2、及び3の間には、位相調整部4及び5が挿入さ
れている。
【0130】このような構造を有する光波長変換素子1
00に基本波光6を入射すると、光波長変換素子100
により波長変換されて高調波光7が出射する。非線形光
学結晶1、2、及び3の内部で基本波光6と高調波光7
との位相整合条件が成立している場合には、 β2ω=2・βω (但し、β2ω:高調波の伝搬定数、βω:基本波の伝
搬定数)となり、基本波光6と高調波光7とは等しい位
相速度で伝搬している。
【0131】光波長変換素子が、従来のように、位相整
合条件を満足する単一の非線形光学結晶から構成される
場合、すなわち位相調整部を有さない場合には、基本波
光波長に対する高調波光(SHG)出力特性は、図2
(a)に示されるようになる。具体的には、光波長変換
素子の位相整合状態を示すチューニングカーブ特性はs
inc関数となり、そのピーク部分はかなり狭く、許容
波長幅が極端に狭い。
【0132】これに対して、図1に示す本発明の光波長
変換素子100の基本波光波長に対する高調波(SH
G)光出力特性は、図2(b)に示されるようになる。
これより、チューニングカーブ特性の最大値近傍のピー
クにおいて、高調波(SHG)光の出力強度は非常に平
坦で、その出力変動は数%以内である。なお、図2
(b)の縦軸に示す高調波(SHG)光の出力強度の目
盛りは、図2(a)における従来例での高調波(SH
G)光のピーク出力強度を1として、規格化されてい
る。
【0133】更に、基本波光波長に対する高調波光出力
レベルがピークレベルから5%低下する波長範囲(許容
波長幅)は、図2(a)に比べて図2(b)では約6倍
に拡大されている。また、図2(b)において、許容波
長幅拡大に伴って変換効率が低下するものの、依然とし
て図2(a)で得られる変換効率の29%のレベルが達
成可能であり、高効率波長変換が実現される。
【0134】このように、光波長変換素子において、互
いに等しい位相整合条件を有する非線形光学結晶1、2
及び3の間に位相調整部4及び5を設けることで、平坦
なピークを有するチューニングカーブ特性が得られ、且
つ比較的高い変換効率を実現することができる。
【0135】具体的には、本発明によれば、基本波波長
に対する高調波光出力特性(チューニングカーブ特性)
におけるピーク出力近傍に平坦部を有する光波長変換素
子として、2分割及び3分割の光導波路型擬似位相整合
方式光波長変換素子とを形成する。図3(a)には、2
分割構造の光波長変換素子110、図3(b)には3分
割構造の光波長変換素子120を示す。
【0136】図3(a)の2分割構造の光波長変換素子
110においては、基板内に分極反転領域8及び9が形
成されており、分極反転領域8及び9の間には位相調整
部10が形成されている。一方、図3(b)の3分割構
造の光波長変換素子120においては、基板内に分極反
転領域11、12、及び13が形成されており、分極反
転領域11、12、及び13の間には位相調整部14及
び15が形成されている。なお、ここでいう分極反転領
域8〜13とは、複数の個別の分極反転領域が所定の間
隔(分極反転周期Λ)で周期的に形成されている領域
を、総称的に指すものとする。
【0137】それぞれの場合において、分極反転周期Λ
は、 Λ=2mπ/(β2ω−2・βω) (1) なる関係を満足している。但し、m=0、1、2、3、
……、であり、β2ωは位相調整部における高調波光の
伝搬定数、βωは位相調整部における基本波光の伝搬定
数である。
【0138】各分極反転領域8〜13における位相整合
条件を等しくするためには、各領域8〜13における分
極反転周期を同じに設定する。
【0139】更に、位相調整部の距離tは、図3(a)
に含まれる2分割構造の光波長変換素子110において
は式(2)で表される関係を満足するように設定する。
【0140】 t=(2n+1)π/(β2ω−2・βω) (2) 但し、n=0、1、2、3、……、である。
【0141】式(2)において、チューニングカーブ特
性の対称性が5%以内に収まるのはα=0.95〜1.
05の範囲であり、αがこの範囲に設定されている限り
は、使用上は問題ない。好ましくは、α=1とする。α
が上記の範囲を外れてチューニングカーブ特性の対称性
が劣化すると、そのピーク近傍における平坦部が傾きを
有するようになり、APC動作が不可能になったり高調
波光出力の変動が大きくなったりするなど、好ましくな
い影響が発生する。
【0142】また、位相調整部10の両側に位置する分
極反転領域8及び9の長さを、分極反転領域8の長さL
1の素子全体長Lに対する比率L1/L(%)が約17
%になるように設定する(従って、分極反転領域9の長
さはL−L1−tに設定される)場合に、チューニング
カーブ特性におけるピーク出力近傍の平坦部が、最もフ
ラットになる。
【0143】一方、図3(b)に含まれる3分割構造の
光波長変換素子120においては、各位相調整部14及
び15の距離t1及びt2は、式(3)及び式(4)で
表される関係を満足するように設定する。
【0144】 t1=(2n+α1)π/(β2ω−2・βω) (3) t2=(2m+α2)π/(β2ω−2・βω) (4) 但し、n及びm=0、1、2、3、……、である。
【0145】ここで、α1+α2=2であるので、上記
の式(3)及び式(4)は、J=0、1、2、3、…
…、とすれば、 t1+t2=2Jπ/(β2ω−2・βω) (5) となる。
【0146】α1=0.79及びα2=1.21近傍
で、チューニングカーブ特性におけるピーク出力近傍の
平坦部が、ほぼフラットな特性を示す。また、対称性が
5%以内に収まるのは、α1=0.7〜0.9の範囲で
あり、このときα2=2−α1に設定する。
【0147】また、上記の条件が満たされる場合に、分
極反転領域11及び13が同じ長さL1を有するように
し、更に素子全体長Lに対する比率L1/L(%)が約
13.8%である場合に、チューニングカーブ特性にお
けるピーク出力近傍の平坦部が、最もフラットになる。
【0148】以上の設計指針に基づいて、実際に光波長
変換素子を設計・作成した。
【0149】素子全体長はL=10mmに設定し、位相
整合波長の中心波長は852nmに設定した。また、分
極反転周期は3.2μmとした。2分割構造に関して
は、t=1.6μm及びL1=1.7mmとし、3分割
構造に関しては、t1=1.3μm、t2=1.9μ
m、及びL2=1.38mmとした。
【0150】上記の設計値を有する2分割構造及び3分
割構造の光波長変換素子110及び120における、基
本波光波長に対する高調波光出力特性(チューニングカ
ーブ特性)のシミュレーション結果を、図4(a)及び
(b)に示す。但し、図4(a)及び(b)における縦
軸の高調波光出力の目盛りは、位相調整部を有さない従
来の光波長変換素子で得られる高調波光出力のピーク強
度の値を1として、規格化されている。
【0151】位相調整部を有さない従来の光波長変換素
子では、チューニングカーブ特性における平坦部の許容
波長幅(ピーク出力レベルから出力レベルが5%低下す
る波長幅)が、典型的には0.02nmであるのに対し
て、2分割構造では、図4(a)に示すように、チュー
ニングカーブ特性における平坦部の許容波長幅が0.0
6nmであり、ピーク出力は、位相調整部がない場合と
同じ10mm長の光波長変換素子で得られる値の45%
の値が得られた。また、3分割構造では、図4(b)に
示すように、チューニングカーブ特性における平坦部の
許容波長幅が0.12nmであり、ピーク出力は、位相
調整部がない場合と同じ10mm長の光波長変換素子で
得られる値の29%の値が得られた。なお、上記では、
高調波光出力特性(チューニングカーブ特性)における
平坦部を、「出力レベルがピーク出力レベルから5%低
下する波長幅」と定義しているが、これは、一般的な光
ディスクシステムなどの応用を考えた場合に光源に許さ
れるパワー変動が数%以内、大きく見積もっても5%以
内であるためである。
【0152】本実施形態における光波長変換素子は、従
来の分極反転型光波長変換素子と同様の方法で作製され
る。
【0153】具体的には、図5に示される構成を有する
短波長光源に含まれる光波長変換素子18は、xカット
MgドープLiNbO3基板の上に形成されたプロトン
交換光導波路と、2次元電界印加法により作製された周
期的分極反転領域とを含む。周期的分極反転領域を形成
するためには、周期3.2μmの櫛形電極及び平行電極
を+X基板の上面に形成し、また、+X基板の裏面にボ
トム電極としてTa膜を蒸着する。そして、基板の上面
と裏面との間に4Vの電圧を印加しながら、パルス幅1
00msで0.4Vのパルス電圧を+X基板の上面に印
加し、分極反転領域を形成する。次に、電極をエッチン
グ除去した後にストライプ状のマスクを形成し、ピロリ
ン酸中でプロトン交換して光導波路を形成する。光導波
路は、典型的には幅4μm、深さ2μm、長さ10mm
である。光導波路の端面には、無反射コートが施されて
いる。
【0154】このようにして作製された光波長変換素子
18について、基本波波長に対する高調波光出力特性
(チューニングカーブ特性)をTi:Al23レーザを
用いて測定したところ、高調波光出力特性(チューニン
グカーブ特性)におけるピーク近傍の平坦部の波長幅
は、2分割構造では0.06nm、3分割構造では0.
13nmであり、図4(a)及び(b)を参照して説明
したシミュレーション結果にほぼ一致する結果が得られ
た。また、光導波路への入射パワー50mWに対して、
2分割構造では2.5mW、3分割構造では1.5mW
の高調波光(波長:426nm)の出力が、それぞれが
得られた。
【0155】次に、高調波光出力特性(チューニングカ
ーブ特性)における平坦部の波長幅が0.13nmであ
るような上記の位相調整部を有する3分割の分極反転型
光波長変換素子と、2電極タイプ(活性部とDBR部)
の波長可変型DBR半導体レーザとを組み合わせて構成
される短波長光源について、図5を参照して説明する。
図5は、そのような短波長光源150の概略構成図であ
る。
【0156】光波長変換素子18と波長可変型DBR半
導体レーザ19とは、電子冷却素子20とサーミスタ2
01とにより一定温度に保持されたモジュール21に固
定されている。波長可変型DBR半導体レーザ19から
出射されたレーザ光は、コリメートレンズ22とフォー
カスレンズ23とにより、光波長変換素子18の上の光
導波路に結合される。光波長変換素子18はxカット基
板上に形成されているため、半導体レーザ19と同じT
Eモードの光を伝搬することができるので、半波長板を
使用せずに光結合することができる。
【0157】光波長変換素子18に結合されたレーザ光
は、周期的分極反転領域により高調波光に波長変換さ
れ、光導波路の出射端面より高調波(SHG)光が出射
される。具体的には、波長851nmで出力100mW
の波長可変半導体レーザ19に対して、70mWの光が
光導波路内に結合した。
【0158】動作時には、波長可変型DBR半導体レー
ザ19のDBR部に電流注入を行って、波長可変型DB
R半導体レーザ19の発振波長を、光波長変換素子18
の位相整合波長852nmに一致させる。具体的には、
DBR部への注入電流が50mAの場合に、発振波長は
852nmに可変されて、5mWのブルー光(426n
m)が得られた。
【0159】波長可変型DBR半導体レーザの波長可変
特性は、一般に不連続である。例えば、本実施形態で用
いられた波長可変型DBR半導体レーザ19では、その
活性領域の長さが約1mm程度あることから、その発振
波長は、0.11nmの間隔でモードホップを繰り返し
ながら変化する。
【0160】ここで、DBR部への注入電流と発振波長
との関係を、図6に示す。具体的には、DBR部への注
入電流が増加するにつれて、波長幅0.01nmに相当
する連続部と波長幅0.1nmに相当する不連続部とを
繰り返しながら、長波長側にシフトしていく。更に、D
BR部への注入電流の増加時と減少時とでは、異なる波
長特性(ヒステリシス特性)を示す。
【0161】次に、図7(a)及び(b)、並びに図8
(a)及び(b)を参照して、波長可変型DBR半導体
レーザの発振波長と光波長変換素子の基本波光波長に対
する高調波光出力特性(チューニングカーブ特性)との
関係を説明する。
【0162】図7(a)及び(b)は従来の光波長変換
素子における特性を示す図であり、図8(a)及び
(b)は本発明の光波長変換素子における特性を示す図
である。各図は、横軸に波長、縦軸に高調波光出力をと
って特性を模式的に示している。
【0163】従来の光波長変換素子では、チューニング
カーブ特性のピーク出力近傍での平坦部の幅が0.02
nmと小さい。このため、図7(a)のように、波長可
変型DBR半導体レーザのある発振モードの波長が分極
反転型光波長変換素子の位相整合波長範囲のピークの近
傍にある場合には、ピーク出力15mWが得られるが、
図7(b)のように両者が大きくずれている場合には、
例えば8mWの出力しか得られず、同じ基本波光出力
(半導体レーザ出力)に対して常に同じ高調波光出力を
安定に得ることは、困難である。安定してピーク出力を
得るためには、モジュール全体の温度或いは活性部への
注入電流を制御する必要があり、その結果として、制御
系の複雑化や、温度制御に伴う応答速度(立ち上がり速
度)の遅れが発生して、実用上の大きな問題となる。
【0164】一方、本実施形態による3分割構造の分極
反転型光波長変換素子では、チューニングカーブ特性に
おいて、出力レベルがピークレベルから5%だけ低下す
る平坦部の波長幅が約0.13nmであって、この幅
は、組み合わせて使用される波長可変型DBR半導体レ
ーザの縦モード間隔よりも大きい。従って、図8(a)
のように波長可変型DBR半導体レーザのある発振モー
ドの波長が分極反転型光波長変換素子の位相整合波長範
囲のピークの近傍にある場合だけではなく、図8(b)
のように両者が大きくずれている場合においても、ほぼ
同じ5mWの高調波光出力が得られる。
【0165】これにより、本発明によれば、波長可変型
DBR半導体レーザの出力が一定になるように定電流駆
動(Auto Current Control:ACC駆動)させてDBR
部への注入電流を制御するだけで、基本波の波長を光波
長変換素子のピーク位相整合波長に固定することが可能
となり、高調波光出力の安定化制御を著しく簡素化する
ことができる。また、温度制御による出力制御を必要と
しないので、高速の立ち上がり制御が可能となる。
【0166】次に、制御方法について簡単に説明する。
【0167】図9は、短波長光源24に制御回路26が
付加された構成のブロック図であり、図10は、図9の
構成に対する制御方法のフローチャート図である。
【0168】図9において、短波長光源24から出射さ
れた高調波光P2ωは、光検出器25により検出され、
制御回路26にフィードバックされる。制御回路26
は、短波長光源24に含まれる波長可変型DBR半導体
レーザの活性部及びDBR部への注入電流(Idbr及
びIop)を制御する。
【0169】まず、波長可変型DBR半導体レーザの活
性部への注入電流(すなわち駆動電流)Iopを、一定
の値に設定する。次に、DBR部への注入電流Idbr
を0〜100mAの範囲でスキャニングする。このと
き、同時にブルー光出力(高調波光出力)P2ωを光検
出器で検出して、最大のブルー光(高調波光)出力が得
られる注入電流値I’dbrが得られたら、その値を制
御回路中のメモリ部に記憶する。次に、再びDBR部へ
の注入電流Idbrを0mAに戻し、この後にDBR部
への注入電流Idbrを、先に得られたI’dbrの値
に設定する。
【0170】これにより、波長可変型DBR半導体レー
ザの発振波長を、光波長変換素子の高調波光出力特性
(チューニングカーブ特性)における出力ピーク近傍の
平坦部に安定に固定することができて、100mWの半
導体レーザ出力に対して安定に高調波光出力5mWを得
ることができる。なお、DBR部への注入電流を0mA
に戻すのは、波長可変型DBR半導体レーザの波長可変
時のヒステリシス特性を回避するためである。
【0171】或いは、波長可変型DBR半導体レーザの
出力が一定になるようにACC駆動させる代わりに、波
長可変型DBR半導体レーザの後部にフォトダイオード
を設置してAPC駆動させることにより、更に高調波光
出力を安定化することができる。この点を、以下に更に
説明する。
【0172】一般に、波長可変型DBR半導体レーザ
は、活性部への注入電流の変化に対して発振波長が0.
02nm/10mAで波長シフトする。そのため、従来
の短波長光源の構成では、波長可変型DBR半導体レー
ザをAPC駆動することが不可能である。これに対し
て、本実施形態のようにチューニングカーブ特性におけ
るピーク出力近傍の平坦部が0.13nmの波長幅を有
する光波長変換素子を用いる場合には、波長可変型DB
R半導体レーザをAPC駆動しても、その発振波長は光
波長変換素子の出力特性(チューニングカーブ特性)の
平坦部に存在する。従って、波長可変型DBR半導体レ
ーザのAPC駆動が可能となり、高調波光出力を安定化
できる。
【0173】更に、波長可変型DBR半導体レーザの発
振波長が光波長変換素子の出力特性(チューニングカー
ブ特性)の平坦部に固定されているときには、高調波光
出力に対するAPC駆動も可能である。
【0174】第2高調波発生時には、位相整合関係が維
持されていれば、基本波光出力の2乗の関係で高調波光
出力が変化する。本実施形態では、チューニングカーブ
特性の平坦部を、ピーク出力からの出力レベルの低下が
5%である波長幅と定義したが、波長可変型DBR半導
体レーザの発振波長が光波長変換素子のチューニングカ
ーブ特性の平坦部に存在する状態では、基本波光出力の
増加に対して高調波光出力が増加する一方で、基本波出
力の低下に対しては高調波光出力が低下する。従って、
基本波光となるレーザ光を出射する波長可変型DBR半
導体レーザの駆動電流(活性領域への注入電流)を制御
することによって、高調波光出力が一定値になるように
制御できる。これにより、高調波光出力が更に安定化さ
れる。
【0175】高調波光出力をAPC駆動できるのは、光
波長変換素子のチューニングカーブ特性の平坦部の波長
幅が、半導体レーザの発振波長における縦モード間隔よ
りも大きいことによるものであり、本発明の大きな効果
の一つである。これは、特に光ディスクなどのシステム
への応用時には、サーボシステムなどを安定に動作させ
ることが可能になるために非常に都合がよく、その実用
的効果は大きい。
【0176】本実施形態によれば、短波長光源を構成す
る分極反転型光波長変換素子が、その基本波波長に対す
る高調波光出力特性(チューニングカーブ特性)のピー
ク出力近傍において平坦部を有し、その出力レベルがピ
ーク出力レベルに対して95%以上である部分の波長幅
(許容波長幅)が、典型的には0.13nmである。こ
の値は、短波長光源を構成する波長可変型DBR半導体
レーザのモードホップ間隔(典型的には0.11nm)
より大きいため、DBR部への注入電流量を調整するこ
とにより、波長可変型DBR半導体レーザの発振波長を
常に上記平坦部に固定することが可能である。従って、
あらゆる条件においても安定した高調波光出力を得るこ
とができ、その実用的効果は大きい。
【0177】上記では、2つの位相調整部を有する3分
割構造の分極反転型光波長変換素子を用いたケースを説
明してきたが、1つの位相調整部を有する2分割構造の
分極反転型光波長変換素子を用いる場合には、チューニ
ングカーブ特性の平坦部において、出力レベルがピーク
出力レベルから5%低下する波長幅(許容波長幅)が
0.06nmである。しかし、先述のように、活性領域
長が約1mmである波長可変型DBR半導体レーザで
は、発振縦モードの間隔が約0.11nmあり、発振波
長を常に0.06nmの許容波長幅内に固定すること
は、困難である。
【0178】そのような場合には、チューニングカーブ
特性におけるピーク出力近傍の平坦部の定義を、上記の
ように「出力レベルがピーク出力レベルから5%低下す
る部分」とする代わりに、システムの要求条件に応じて
適切に変更すればよい。例えば、システムが20%程度
の出力変動を許容する場合には、上記の特性の平坦部
を、「出力レベルがピーク出力レベルから20%低下す
る部分」とすればよい。或いは、トレランスを考慮し
て、出力レベルの低下分をやや小さい値に設定し、例え
ば「出力レベルがピーク出力レベルから15%低下する
部分」と、上記の特性の平坦部を定義してもよい。2分
割構造の分極反転型光波長変換素子の高調波光出力特性
(チューニングカーブ特性)において、ピーク出力に対
して出力レベルが15%程度低下する平坦部の波長幅
(許容波長幅)は0.11nm以上あり、先述の発振縦
モードの間隔よりも大きいので、出力変動が比較的大き
くてもよいシステムに対しては有効に利用することがで
きる。
【0179】或いは、活性領域の長さを長くすることに
より、縦モード間隔を小さくすることができる。例え
ば、活性領域の長さが1.5mmである波長可変型DB
R半導体レーザでは、その縦モード間隔が0.07nm
となり、分極反転型光波長変換素子の出力特性におい
て、ピーク出力に対して出力レベルが5%低下する許容
波長幅0.06nmとほぼ同程度となる。これにより、
高調波光出力を安定化することができる。
【0180】(第2の実施形態)本実施形態では、より
安定に高調波光出力を得るための制御回路による制御方
法について説明する。
【0181】前述のように、活性領域の長さが1mmで
ある波長可変型DBR半導体レーザでは、図6に実線で
示すように、DBR部への注入電流の増加に伴って、そ
の発振波長が波長幅0.01nmの連続部と波長幅0.1
nmの不連続部とを繰り返しながら、長波長側にシフト
していく。また、注入電流の減少時には、図6に点線で
示すように、発振波長は同様の繰り返しを含みながら短
波長側にシフトし、結果として、図6に示すようなヒス
テリシス特性を生じる。この場合、例えば図6の中のA
点(DBR部への注入電流の増加時及び減少時にモード
ホップが生じた直後の点)がモードホップを生じ難い安
定点となり、電流増加時のB点や電流減少時のC点が、
モードホップを生じ易い不安定点となる。上記の点を、
図11(a)〜(d)に示すような波長可変型DBR半
導体レーザのDBR部への注入電流Idbrに対する高
調波光出力の変化を示す図で考察する。
【0182】図11(a)〜(d)は、注入電流Idb
rを変化させたときの高調波光出力の変化を示す。図中
の点線部は、モードホップが生じる注入電流Idbrの
値を示す。また、隣接する点線の間隔は、注入電流Id
brの可変時に連続的に変化する波長変化分に相当し、
具体的には0.01nmである。
【0183】モードホップ後の注入電流Idbrの値が
安定点になるので、注入電流Idbrの上昇時には、図
中のA点、C点、E点、及びG点が安定点となり、注入
電流Idbrの下降時には、図中のB点、D点、F点、
及びH点が安定点となる。
【0184】安定動作を実現するDBR部への注入電流
Idbrの設定は、具体的には以下のように行う。すな
わち、DBR部への注入電流Idbrの異なるレベルI
N及びIN+1(但し、IN+1>IN)に対して、異なるレベ
ルの高調波光出力PN及びP N+1が得られるものとして、
注入電流の増加時及び減少時の各々について、以下の条
件を満足する注入電流Idbrを求める。
【0185】まず、電流上昇時においては、 (1)PN+1−PN>0 (2)PN+1−PNが最大 (3)Idbr=IN+1+ΔI の3つの条件を満たすように、注入電流Idbrを設定
する。このとき、実際には、図11(a)ではA’点、
図11(b)ではC’点、図11(c)ではE’点、図
11(d)ではG’点に、注入電流Idbrが固定され
る。
【0186】一方、電流上昇時においては、 (1)PN+1−PN<0 (2)PN−PN+1が最大 (3)Idbr=IN−ΔI の3つの条件を満たすように、注入電流Idbrを設定
する。このとき、実際には、図11(a)ではB’点、
図11(b)ではD’点、図11(c)ではF’点、図
11(d)ではH’点に、注入電流Idbrが固定され
る。
【0187】ここで、上記の関係に含まれるΔIは、図
11(a)〜(d)に示されているように、本来の安定
点(例えば点A)と実際に注入電流Idbrが固定され
る点(例えば点A’)との間の間隔を示す。この間隔Δ
Iは、確実な動作を実現するために設けられるものであ
って、モードホップを生じる電流値の半分以下に設定さ
れることが望ましい。例えば、本実施形態では5mA毎
にモードホップを繰り返すので、ΔI=2mA程度のと
きに安定な動作が実現される。
【0188】安定な動作を可能にする注入電流Idbr
の値が求められた後には、ヒステリシスを回避するため
に、注入電流Idbrを、注入電流上昇時には0mA
に、注入電流減少時には100mAに一旦戻し、その後
に再び求められた値まで注入電流Idbrの値を増加或
いは減少させて、最終的に安定点に固定する。
【0189】波長可変型DBR半導体レーザと光波長変
換素子とが組み合わされて構成されている短波長光源に
おいて、光波長変換素子の出力特性におけるピーク出力
近傍の平坦部の波長幅(許容波長幅)が波長可変型DB
R半導体レーザの縦モード間隔と同程度であるような場
合に上記の制御を行うことにより、高調波光出力の安定
化が図れて、より実用的な短波長光源が供給される。
【0190】(第3の実施形態)本実施形態では、基本
波波長に対する高調波光出力特性(チューニングカーブ
特性)においてピーク出力近傍が平坦部を有する3分割
構造の分極反転型光波長変換素子と、2電極(活性部及
びDBR部)を有する波長可変型DBR半導体レーザを
組み合わせて構成され、モジュール温度を一定にするた
めの電子冷却素子を必要としない短波長光源について、
その構成と動作方法を説明する。
【0191】MgドープLiNbO3基板の上に形成さ
れた分極反転型光波長変換素子と長さ約1mmのAlG
aAs系活性領域を有する波長可変型DBR半導体レー
ザとを組み合わせて構成される短波長光源は、一般に先
に図17に示したような動作特性の温度依存性を示し、
モジュール温度の上昇に伴って、波長可変型DBR半導
体レーザの発振波長と分極反転型光波長変換素子の位相
整合波長とが、何れも長波長側にシフトする。従って、
一般には、電子冷却素子によりモジュール温度を一定に
保持していない場合には、環境温度変化に伴って位相整
合波長と発振波長との間にずれが発生して、波長変換に
より得られる高調波光出力も大きく変動する。
【0192】これに対して本実施形態では、高調波光出
力を検出し、波長可変型DBR半導体レーザの発振波長
が光波長変換素子の高調波光出力特性(チューニングカ
ーブ特性)における平坦部に固定されるように、波長可
変型DBR半導体レーザの発振波長を制御して、高調波
光出力を安定化する。
【0193】図12Aには、本実施形態における電子冷
却素子を有しない短波長光源300の概略構成図を示
す。
【0194】光波長変換素子28と波長可変型DBR半
導体レーザ27とは、モジュール29に固定されてい
る。モジュール29には、更に温度検出用のサーミスタ
37が設置されている。光波長変換素子28は、3分割
構造の分極反転領域と光導波路とを有しており、AlG
aAs系(発振波長:851nm及び出力100mW)
の波長可変型DBR半導体レーザ27から出射されたレ
ーザ光は、コリメートレンズ30とフォーカスレンズ3
1とにより、基本波光として光波長変換素子28の上の
光導波路に結合される。光波長変換素子28はxカット
基板上に形成されているため、半導体レーザ27と同じ
TEモードの光を伝搬することができるので、半波長板
を使用せずに光結合することができる。
【0195】光波長変換素子28に結合されたレーザ光
(基本波光)は、周期的分極反転領域により高調波光に
波長変換されて、光導波路の出射端面から出射される。
【0196】出射された高調波光P2ωは、ビームスプ
リッタ33で反射して光検出器35に導かれる。光検出
器35からは、高調波光成分P2ωの検出レベルを示す
信号が、制御回路36にフィードバックされる。制御回
路36は、この光検出器35からの信号に基づいて、波
長可変型DBR半導体レーザ27の発振波長を制御する
目的で、波長可変型DBR半導体レーザ27の活性部及
びDBR部への注入電流(Iop及びIdbr)を制御
する。
【0197】上記のような構成を有する本実施形態の短
波長光源200では、具体的には、波長851nmで出
力100mWの波長可変半導体レーザ28に対して、7
0mWの光が光導波路内に結合した。
【0198】動作時には、波長可変型DBR半導体レー
ザ27のDBR部に電流注入を行って、波長可変型DB
R半導体レーザ27の発振波長を、光波長変換素子28
の位相整合波長852nmに一致させる。具体的には、
DBR部への注入電流が50mAの場合に、波長可変型
DBR半導体レーザ27の発振波長は852nmに可変
されて、光波長変換素子28の高調波光出力特性(チュ
ーニングカーブ特性)の平坦部に固定され、5mWのブ
ルー光(426nm)が得られた。
【0199】図13は、本実施形態の短波長光源300
の構成について、サーミスタ29にて温度をモニタしな
がら高調波光出力を安定化する制御方法のフローチャー
トを示す図である。
【0200】まず、第2の実施形態と同様の制御方法に
より、波長可変型DBR半導体レーザ27の発振波長
を、光波長変換素子28の高調波光出力特性(チューニ
ングカーブ特性)の平坦部(出力レベルがピーク出力レ
ベルから5%だけ低下する波長幅=許容波長幅)に固定
する。その後に環境温度変化によって発振波長と位相整
合波長との関係がずれると、高調波光出力が低下する。
このとき、環境温度(モジュール温度)の変化(例えば
TからT’への変化)を検出すれば、DBR部への注入
電流を増加させるべきか或いは減少させるべきかが判定
できる。例えば、温度が上昇した場合(すなわち、T<
T’)には、波長可変型DBR半導体レーザの発振波長
が長波長側にシフトし、発振波長が平坦部の許容波長幅
から外れた時点で高調波光出力が低下する。そこで、D
BR部の温度を低下させるようにDBR部への注入電流
を減少することにより、発振波長を再び平坦部に位置す
るように制御することが可能となる。一方、温度が低下
した場合(すなわち、T>T’)には、DBR部の温度
を増加させるようにDBR部への注入電流を増加させれ
ばよい。
【0201】光波長変換素子の高調波光出力特性におけ
る平坦部の波長幅が0.13nmである場合には、波長
可変型DBR半導体レーザの発振波長が平坦部に固定さ
れている温度範囲は±5℃程度である。このような関係
を予測するとともに、更に環境温度を検出することによ
り、発振波長を出力特性の平坦部に固定することができ
る。例えば、環境温度が増加した場合には発振波長が位
相整合波長よりも大きくなるが、DBR部への注入電流
Idbrを減少させると、再び特性の平坦部に発振波長
を固定することができる。
【0202】これにより、0℃〜60℃の環境温度範囲
において、出力変動±10%以内で高調波光出力5mW
を得ることができた。なお、本実施形態では、図6のモ
ードホップ間隔に相当する注入電流Idbrの値が5m
Aであるので、図11(a)〜(d)を参照して先に説
明した△Iに相当する△I'を、5mAに設定してい
る。
【0203】或いは、温度モニタが設けられていない場
合においても、第2の実施形態と同様の制御方法を高調
波光出力の低下時に繰り返すことにより、高調波光出力
の安定化が同様に実現できる。この場合には、図13に
示すフローチャートに従った制御方法と比較して、高調
波光出力の低下時に制御によって再び特性の平坦部に発
振波長を固定するまでに必要とする時間が長くなるが、
制御回路の簡素化が図れる。従って、この制御方法は、
出力変動時の調整時間を比較的長くしても問題が生じな
いようなシステムに含まれる装置に対して、適してい
る。
【0204】上記では、2つの位相調整部を有する3分
割構造の分極反転型光波長変換素子を用いたケースを説
明してきたが、1つの位相調整部を有する2分割構造の
分極反転型光波長変換素子を用いても、光波長変換素子
の高調波光出力特性(チューニングカーブ特性)のピー
ク出力近傍の平坦部を「出力レベルがピーク出力レベル
から20%低下する部分」と考えた上で図13に示した
制御方法を適用することによって、上記で説明したもの
と同様に高調波光出力の安定化を図ることができる。こ
の制御方法は、出力変動が比較的大きくてもよいシステ
ムに対して、有効に利用することができる。
【0205】或いは、活性領域の長さを長くすることに
より、波長可変型DBR半導体レーザの発振縦モード間
隔を小さくすることができる。例えば、活性領域の長さ
が1.5mmである波長可変型DBR半導体レーザで
は、その縦モード間隔が0.07nmとなり、分極反転
型光波長変換素子の出力特性において、ピーク出力に対
して出力レベルが5%低下する許容波長幅0.06nm
とほぼ同程度となる。これにより、高調波光出力を安定
化することができる。
【0206】本実施形態では、波長可変型DBR半導体
レーザの出力が一定になるようにACC駆動させている
が、その代わりに、波長可変型DBR半導体レーザの後
部にフォトダイオードを設置してAPC駆動させること
により、更に高調波光出力を安定化することができる。
すなわち、波長可変型DBR半導体レーザの発振波長が
光波長変換素子の高調波光出力特性の平坦部に固定され
て高調波光出力が安定化されているときに、更に高調波
光出力を安定化するために、ある一定値に収束するよう
に半導体レーザの駆動電流をAPC駆動すれば、高調波
光出力のより一層の安定化が達成される。第2高調波の
発生では、基本波光出力変動の2乗の関係で高調波光出
力を制御することができ、基本波光出力が変動しても発
振波長は上記特性の平坦部に存在するため、高調波光出
力が一定になるように基本波光出力を制御できる。これ
により、高調波光出力が更に安定化される。
【0207】高調波光出力をAPC駆動できるのは、光
波長変換素子のチューニングカーブ特性の平坦部の波長
幅が、半導体レーザの発振波長における縦モード間隔よ
りも大きいことによるものであり、本発明の大きな効果
の一つである。これは、特に光ディスクなどのシステム
への応用時には、サーボシステムなどを安定に動作させ
ることが可能になるために非常に都合がよく、その実用
的効果は大きい。
【0208】(第4の実施形態)上記で説明した本発明
の第1及び第2の実施形態では、波長可変型DBR半導
体レーザ及び光波長変換素子が搭載されているモジュー
ルの温度が電子冷却素子により一定に保持されているの
で、半導体レーザをACC駆動する場合でも、基本波で
ある半導体レーザ出力はほぼ一定に保持される。これに
対して、本発明の第3の実施形態のように、モジュール
温度の制御が行われずに環境温度の変化に伴って変化す
る場合には、半導体レーザ出力も環境温度の変化に伴っ
て大きく変化する。このような場合に半導体レーザをA
CC駆動すると、高温では半導体レーザ出力が低下する
一方で、低温ではその出力が向上する。更に、温度変化
に伴ってモジュールの形状が変化することの影響で、半
導体レーザから光波長変換素子の光導波路への光結合効
率が変化する。
【0209】本実施形態では、上記のようなモジュール
温度の制御を行わない場合における課題を解決するため
に、光波長変換素子において変換されず光導波路から出
射される基本波光成分を光検出器で検出して、その検出
レベルが一定になるように、波長可変型DBR半導体レ
ーザをAPC駆動させる。更に、これにあわせて、波長
可変型DBR半導体レーザのDBR部への注入電流を制
御することによって、その発振波長を分極反転型光波長
変換素子の位相整合波長内に固定して、高調波光出力を
安定化させる。
【0210】本実施形態で用いられる波長可変型DBR
半導体レーザは、活性部への注入電流の変化に対して、
発振波長が0.02nm/10mAでシフトする。その
ため、従来はAPC駆動することが不可能であった。こ
れに対して、本実施形態では、チューニングカーブ特性
におけるピーク出力近傍の平坦部が0.13nmの波長
幅を有する光波長変換素子を用いる。この場合には、波
長可変型DBR半導体レーザをAPC駆動しても、その
発振波長は光波長変換素子の出力特性(チューニングカ
ーブ特性)の平坦部に存在する。従って、波長可変型D
BR半導体レーザのAPC駆動が可能となり、高調波光
出力を安定化できる。
【0211】更に、波長可変型DBR半導体レーザの発
振波長が光波長変換素子の高調波光出力特性の平坦部に
固定されて高調波光出力が安定化されているときに、更
に高調波光出力を安定化するために、ある一定値に収束
するように半導体レーザの駆動電流をAPC駆動すれ
ば、高調波光出力のより一層の安定化が達成される。第
2高調波の発生では、基本波光出力変動の2乗の関係で
高調波光出力を制御することができ、基本波光出力が変
動しても発振波長は上記特性の平坦部に存在するため、
高調波光出力が一定になるように基本波光出力を制御で
きる。これにより、高調波光出力が更に安定化される。
【0212】高調波光出力をAPC駆動できるのは、光
波長変換素子のチューニングカーブ特性の平坦部の波長
幅が、半導体レーザの発振波長における縦モード間隔よ
りも大きいことによるものであり、本発明の大きな効果
の一つである。これは、特に光ディスクなどのシステム
への応用時には、サーボシステムなどを安定に動作させ
ることが可能になるために非常に都合がよく、その実用
的効果は大きい。
【0213】図12Bには、本実施形態における短波長
光源400の概略構成図を示す。
【0214】光波長変換素子28と波長可変型DBR半
導体レーザ27とは、モジュール29に固定されてい
る。光波長変換素子28は、3分割構造の分極反転領域
と光導波路とを有しており、AlGaAs系(発振波
長:851nm及び出力100mW)の波長可変型DB
R半導体レーザ27から出射されたレーザ光は、コリメ
ートレンズ30とフォーカスレンズ31とにより、基本
波光として光波長変換素子28の上の光導波路に結合さ
れる。光波長変換素子28はxカット基板上に形成され
ているため、半導体レーザ27と同じTEモードの光を
伝搬することができるので、半波長板を使用せずに光結
合することができる。
【0215】光波長変換素子28に結合されたレーザ光
(基本波光)は、周期的分極反転領域により高調波光に
波長変換される。変換された高調波(SHG)光P2ω
は、光導波路の出射端面から、変換されなかった基本波
光成分Pωと共に出射される。
【0216】出射された基本波光Pω及び高調波光P2
ωは、誘電体多層膜から構成される波長選択ミラー32
によって、分離される。これにより、基本波光成分Pω
は光検出器34に導かれ、光検出器34からは、基本波
光成分Pωの検出レベルを示す信号が、制御回路36に
フィードバックされる。一方、高調波光成分P2ωは、
ビームスプリッタ33で反射して光検出器35に導かれ
る。光検出器35からは、高調波光成分P2ωの検出レ
ベルを示す信号が、制御回路36にフィードバックされ
る。制御回路36は、これらの光検出器34及び35か
らの信号に基づいて、波長可変型DBR半導体レーザ2
7の発振波長を制御する目的で、波長可変型DBR半導
体レーザ27の活性部及びDBR部への注入電流(Io
p及びIdbr)を制御する。
【0217】但し、本実施形態では、上記の制御にあた
ってサーミスタ37からの信号は使用しない。
【0218】図14は、本実施形態の短波長光源400
の構成について、高調波光出力を安定化する制御方法の
フローチャートを、波長可変型DBR半導体レーザの出
力(基本波光の出力)を50mWに設定した場合を例に
とって示す図である。
【0219】まず、光波長変換素子の光導波路に結合す
る波長可変型DBR半導体レーザの出力を一定にするた
めに、光導波路からの基本波光出力Pωを検出する光検
出器34での検出信号が一定レベルに維持されるよう
に、波長可変型DBR半導体レーザの活性部への注入電
流(すなわち駆動電流)Iopを制御する。この制御
は、一般にミリ秒オーダで行われる。
【0220】次に、波長可変型DBR半導体レーザの発
振波長を、光波長変換素子の高調波光出力特性(チュー
ニングカーブ特性)における出力ピーク近傍の平坦部に
固定するために、DBR部への注入電流Idbrを制御
する。具体的には、注入電流Idbrを0〜100mA
の範囲でスキャニングする。このとき、同時にブルー光
(高調波光)出力P2ωを光検出器35で検出して、最
大のブルー光(高調波光)出力が得られる注入電流値
I’dbrが得られたら、その値を制御回路中のメモリ
部に記憶する。次に、再びDBR部への注入電流Idb
rを0mAに戻し、この後にDBR部への注入電流Id
brを、先に得られたI’dbrの値に設定する。
【0221】これにより、波長可変型DBR半導体レー
ザの発振波長を、光波長変換素子の高調波光出力特性
(チューニングカーブ特性)における出力ピーク近傍の
平坦部に安定に固定することができて、50mWの半導
体レーザ出力に対して安定に高調波光出力1.5mWを
得ることができる。なお、DBR部への注入電流を0m
Aに戻すのは、波長可変型DBR半導体レーザの波長可
変時のヒステリシス特性を回避するためである。
【0222】本実施形態の短波長光源400で使用して
いる波長可変型DBR半導体レーザ27では、その発振
縦モードの間隔は典型的には0.11nmである。これ
に対して、光波長変換素子28の高調波光出力特性(チ
ューニングカーブ特性)の平坦部の波長幅は、典型的に
は0.13nmである。この点を考慮して、波長可変型
DBR半導体レーザ27の発振波長を、光波長変換素子
28の高調波光出力特性(チューニングカーブ特性)に
おける出力ピーク近傍の平坦部に固定するためのDBR
部への注入電流Idbrの制御にあたっては、基本波光
の検出周期よりも長い周期で(具体的には数秒毎に)高
調波光出力を検出して、高調波光出力のレベルがピーク
出力よりも3%低下したときに、実施する。
【0223】以上のような制御方法によって、0〜60
℃までの温度範囲に対して、安定して1.5mWのブル
ー光(高調波光)出力を得ることができる。
【0224】本実施形態のように、光波長変換素子28
の光導波路に結合する波長可変型DBR半導体レーザ2
7からの出力光(基本波光)を一定に制御することによ
り、環境温度変化に伴って半導体レーザ27の出力光の
レベルやその光導波路への結合効率が変化しても、光波
長変換素子28から得られる高調波光出力を一定に保持
することが可能であり、その実用的効果は大きい。
【0225】本実施形態において、電子冷却素子などを
使用したモジュール29の温度制御を行わない短波長光
源400にて光波長変換素子28からの高調波光出力を
安定化できるのは、光波長変換素子28として、その高
調波光出力特性(チューニングカーブ特性)のピーク近
傍の平坦部の波長幅が波長可変型DBR半導体レーザ2
7の発振縦モードの間隔よりも大きい光波長変換素子を
使用しているためであり、本発明の大きな効果の一つで
ある。
【0226】更に、波長可変型DBR半導体レーザ27
の発振波長が光波長変換素子28の出力特性(チューニ
ングカーブ特性)の平坦部に固定されているときには、
高調波光出力に対するAPC駆動も可能である。
【0227】図14のフローチャートで(I)として示
している箇所では、高調波光出力P2ωを検出してい
る。第2高調波発生時には、基本波光出力の2乗の関係
で高調波光出力を制御することが可能で、基本波光出力
が変動しても発振波長は上記特性の平坦部に存在するた
め、高調波光出力が一定になるように基本波光出力を制
御できる。これにより、高調波光出力が更に安定化され
る。高調波光出力をAPC駆動できることは、特に光デ
ィスクなどのシステムへの応用時に、サーボシステムな
どを安定に動作させることが可能になるために非常に都
合がよく、その実用的効果は大きい。
【0228】なお、本実施形態の上記の説明では、波長
可変型DBR半導体レーザ27の発振波長を光波長変換
素子28の高調波光出力特性(チューニングカーブ特
性)における出力ピーク近傍の平坦部に固定するための
DBR部への注入電流Idbrの制御を、高調波光出力
のレベルがピーク出力よりも3%低下したときに実施し
ているが、このしきいレベルはシステム上の条件を考慮
して設定すればよい、例えば、10%程度までの出力変
動が許されるシステムにおいては、高調波光出力のレベ
ルがピーク出力よりも10%低下したときに上記の制御
を実施するように設定しても、上記で説明したものと同
様の出力安定化が実施できる。
【0229】また、DBR部への注入電流Idbrの制
御を、第2の実施形態にて説明した制御方法を用いて実
施することによって、波長可変型DBR半導体レーザ2
8の発振波長を光波長変換素子28の高調波光出力特性
(チューニングカーブ特性)の平坦部に固定しても、上
記と同様の出力安定化が実現できる。
【0230】以上の各実施形態では、周期的分極反転領
域と光導波路とを有する分極反転型光波長変換素子と波
長可変型DBR半導体レーザとを組み合わせて構成され
ている短波長光源を例にとって、本発明を説明してきて
いる。分極反転型光波長変換素子では、半導体プロセス
によって、位相調整部を精度良く設計且つ作製できる。
また、光導波路内の素子長方向において、均一な位相整
合条件を容易に維持できる。これらより、高調波光出力
特性におけるチューニングカーブのピーク出力近傍に平
坦部を有する本発明の光波長変換素子を、容易に精度良
く作製することができる。また、LiNbO3やLiT
aO3などの誘電体結晶(これらは、LiTaxNb1-x
3(0≦x≦1)と総称的に表記され得る)は、直径
が2インチや3インチである結晶がCZ法により容易に
作製できることから、上記の半導体プロセスによって本
発明の光波長変換素子を形成するために適した材料であ
る。
【0231】また、以上の各実施形態では、光導波路型
擬似位相整合方式の分極反転型光波長変換素子を例にと
って本発明を説明してきている。しかしながら、更に高
出力の高調波光出力光を得る目的で、出力がワット級で
ある半導体レーザの出力を基本波として光導波路型光波
長変換素子に結合させると、結合される光のパワー密度
が大きすぎるために素子の光学的損傷が生じる可能性が
ある。これに対して、バルク型擬似位相整合方式の分極
反転型光波長変換素子を使用すれば、上記のような場合
でもパワー密度を低減することができて、ワット級の高
調波光出力の発生を実現できる。バルク型擬似位相整合
方式の分極反転型光波長変換素子においても、上記の各
実施形態での設計と同様に、高調波光出力特性(チュー
ニングカーブ特性)におけるピーク出力近傍に平坦部を
有するような光波長変換素子を設計・作製することが可
能であり、上記の各実施形態で説明したような制御を行
うことにより、高調波光出力の安定化が実現できる。
【0232】また、屈折率分散を有する膜を非線形光学
結晶の間に形成することで位相調整部を形成しても、高
調波光出力特性(チューニングカーブ特性)のピーク出
力近傍に平坦部を有する光波長変換素子を実現すること
ができる。この場合には、KTP結晶やKNbO3結晶
など屈折率分散を利用して位相整合を実現する結晶を用
いて光波長変換素子を作製しても、上記で説明した本発
明の効果が得られる。これより、波長可変半導体レーザ
の出力を基本波光として利用する、安定な短波長光源を
実現できる。
【0233】(第5の実施形態)第1〜第4の実施形態
で説明したような、高調波出力が一定になるようにAP
C駆動される短波長光源(青色光源)は、光源が変調動
作される場合においても、上記と同様の効果を奏する。
本実施形態では、この点を、基本波波長に対する高調波
出力特性がピークフラットな特性を示す3分割構造の分
極反転型光波長変換素子と、2電極型(活性部及びDB
R部を有する)の波長可変型DBR半導体レーザとから
構成される短波長光源を例にとって、以下に説明する。
【0234】図18には、図12Bに示した本実施形態
の短波長光源400の構成について、上記の手法に従っ
て高調波光出力を安定化する制御方法のフローチャート
を、波長可変型DBR半導体レーザの出力(基本波光の
出力)を100mWに設定した場合を例にとって示す。
【0235】まず、光波長変換素子の光導波路に結合す
る波長可変型DBR半導体レーザの出力を一定にするた
めに、光導波路からの基本波光出力Pωを検出する光検
出器34での検出信号が一定レベルに維持されるよう
に、波長可変型DBR半導体レーザの活性部への注入電
流(すなわち駆動電流)Iopを制御する(第1の制
御)。この制御は、一般にミリ秒オーダで行われて、光
導波路からの基本波光出力Pωが一定になるように調整
される。これによって、基本波出力に対するAPC駆動
を行う。
【0236】次に、波長可変型DBR半導体レーザの発
振波長を、光波長変換素子の高調波光出力特性(チュー
ニングカーブ特性)における出力ピーク近傍の平坦部に
固定するために、DBR部への注入電流Idbrを制御
する(第2の制御)。具体的には、注入電流Idbrを
0〜100mAの範囲でスキャニングする。このとき、
同時にブルー光(高調波光)出力P2ωを光検出器35
で検出して、最大のブルー光(高調波光)出力が得られ
る注入電流値I’dbrが得られたら、その値を制御回
路中のメモリ部に記憶する。次に、再びDBR部への注
入電流Idbrを0mAに戻し、この後にDBR部への
注入電流Idbrを、先に得られたI’dbrの値に設
定する。
【0237】これにより、波長可変型DBR半導体レー
ザの発振波長を、光波長変換素子の高調波光出力特性
(チューニングカーブ特性)における出力ピーク近傍の
平坦部に安定に固定することができて、例えば、100
mWの半導体レーザ出力に対して、安定に高調波光ピー
ク出力14mW(duty%=33%、平均光出力4.7m
W)を得ることができる。なお、DBR部への注入電流
を0mAに戻すのは、波長可変型DBR半導体レーザの
波長可変時のヒステリシス特性を回避するためである。
なお、本実施形態の短波長光源400で使用している波
長可変型DBR半導体レーザ27では、その発振縦モー
ドの間隔は典型的には0.11nmである。
【0238】次に、ブルー光(高調波光)出力P2ωが
所望の設定値P2ω(0)になるように、駆動電流Io
pを再び調整する(第3の制御)。先に述べた第1の制
御では、基本波光出力Pωを光検出器34で検出した
が、この第3の制御では、ブルー光(高調波光)出力P
2ωを光検出器34で検出し、フィードバックして出力
制御を行う。なお、図18のフローチャートで(II)
として示している箇所では、高調波光出力の検出値を設
定値P2ω(0)と比較している。設定値P2ω(0)
としては、例えば、高調波光ピーク出力が15mW(du
ty%=33%、平均光出力5mW)になるように、AP
C制御を行う。
【0239】上記の制御方法によっても、光波長変換素
子28の光導波路に結合する波長可変型DBR半導体レ
ーザ27の発振波長が、光波長変換素子28の波長整合
特性カーブにおけるピーク近傍の平坦部に固定されてい
るので、動作電流の増加に対してブルー光(高調波光)
出力も増加し、APC動作が実現される。以上のような
制御の結果、ブルー光(高調波光)の平均出力を5mW
に制御し、そのピーク出力を15mWに安定して制御で
きる。
【0240】このように、基本波波長に対する高調波出
力特性がピークフラットな特性を示す光波長変換素子と
波長可変型DBR半導体レーザとから構成される短波長
光源は、変調動作時であってもブルー光(高調波光)の
ピーク出力を安定化させることが可能であり、その実用
的効果は大きい。
【0241】なお、本実施形態では、第3の制御とし
て、ブルー光(高調波光)出力に対するAPC駆動を行
っているが、ピーク出力を高精度に制御する必要がない
場合には、第1及び第2の制御によってピーク出力を安
定化させても良い。但し、この場合には、基本波光出力
がどの程度のレベルであるかを、あらかじめ認識してお
く必要がある。
【0242】上記で説明したように変調ピーク光出力が
制御された短波長光源は、光ディスクドライブやフォト
プリンタなどの光情報処理装置に搭載されると、特に大
きな効果を発揮する。
【0243】図19には、本実施形態の短波長光源を利
用して構成された、相変化型光ディスクを用いた情報記
録再生システムの構成を、模式的に示す。
【0244】図19の構成では、本実施形態の特徴を有
する短波長光源45から出た光は、レンズ46によって
コリメートされ、偏光ビームスプリッタ47及びλ/4
板57を透過後に、対物レンズ49により、光ディスク
50の上に集光される。光ディスク50からの反射光
は、対物レンズ49でコリメートされ、更にλ/4板5
7を透過後に、偏光ビームスプリッタ47反射されて光
検出器48に導かれて、ここで信号が読みとられる。
【0245】相変化型光ディスクでは、記録層を構成す
る材料のアモルファス状態と結晶状態との屈折率の差に
よって、情報(マーク)を記録する。このとき、記録マ
ークは、結晶状態の記録層をレーザで照射して、照射部
分の温度を融点以上に上昇させ、その後に急冷すること
によってアモルファス状態に変化させて、形成される。
また、記録マークの消去は、レーザ照射によって、アモ
ルファス部が結晶状態に変化する温度(融点以下)まで
記録層の温度を上昇させて、行われる。
【0246】このように、相変化型光ディスクでは記録
層の熱現象によって記録マークの形成が行われるので、
均一な記録マークを形成するためには、記録時及び消去
時に照射されるレーザ出力を高精度に制御する必要があ
る。図18に示すフローチャートに従ってブルー光ピー
ク出力が制御された本実施形態の短波長光源を用いれ
ば、均一な記録マークの形成及び消去が可能になって、
安定した記録再生システムを実現することができる。
【0247】これに対して、高調波光出力特性がピーク
フラットな特性を有さない光波長変換素子を用いて構成
される短波長光源では、変調時のピーク出力を制御する
ことが困難であり、20dB以上の信号強度でマーク消
去を行うことができないが、本実施形態の短波長光源を
使用すれば、マーク長0.3μmの単一信号記録におい
て、約30dBの消去率、及び50dB以上の信号強度
での均一なマーク形成を、実現できる。
【0248】一方、図20には、本実施形態の短波長光
源を利用して構成された、フォトプリンタシステムの構
成を、模式的に示す。
【0249】この構成では、赤色レーザ光源51、緑色
コヒーレント光源52、及び本実施形態に従って変調時
の出力が安定化されたブルー光源(短波長光源)53
が、光源として使用されている。各光源51〜53から
出射された光は、ポリゴンミラー54によって、その方
向が制御され、更にFθレンズ55によってカラーペー
パ56の上に集光される。これによって、デジタル画像
データが、カラーペーパ56の上に描かれる。このと
き、各光源51〜53の出力は、高精度に制御される必
要があるが、図18に示すフローチャートに従ってブル
ー光ピーク出力が安定化された本実施形態の短波長光源
をブルー光源53として用いれば、高精細の画像をカラ
ーペーパ56の上に描くことができる。
【0250】なお、以上の本実施形態の説明では、光源
変調時に得られる効果を説明しているが、第1〜第4の
実施形態で説明したように連続光において出力安定化制
御が行われている短波長光源は、光源を変調する必要が
ない用途、例えば、光ディスクの再生や外部変調器を用
いて構成されているフォトプリンタにおいて、大きな実
用的効果を発揮する。
【0251】上記の第1〜第5の実施形態では、波長可
変型半導体レーザとして、2電極を有する波長可変型D
BR半導体レーザを例にとって説明しているが、これに
代えて、ある特定波長の光を外部共振器ミラーから帰還
させるように構成されている波長可変型半導体レーザの
出射光を基本波光として用いて、短波長光源を構成する
場合においても、上記と同様の効果を得ることができ
る。その場合には、反射型グレーティング、狭帯域バン
ドパスフィルタ、或いはエタロンなどが、波長選択性光
学素子として、用いられる。
【0252】更に本発明は、非線形光学効果を利用した
光波長変換素子における出力の安定化を目的とし、高効
率特性を維持したまま位相整合波長を安定に可変する素
子構造を提案するものである。ポイントは等しい位相整
合条件を有する非線形光学結晶間に位相調整部を設け、
位相調整部の屈折率或いは長さを可変することで位相整
合波長を安定に変化させる機能を持たせた点である。実
施の形態を用いてそれぞれ説明する。
【0253】(第6の実施形態)まず最初に、波長変換
素子における位相整合波長可変の原理について、説明す
る。
【0254】図21(a)に、本発明の光波長変換素子
の構成を示す。図21(b)は、本発明の光波長変換素
子の位相整合特性を表している。
【0255】本発明の光波長変換素子は、位相整合条件
の等しい2つの結晶1001及び1002とこれらの2
つの結晶1001及び1002の間に設けた位相調整部
1003とから、構成される。非線形光学結晶1001
の側から入射された基本波P1は、非線形光学結晶10
01、位相調整部1003、及び非線形光学結晶100
2の順に通過し、この間に高調波P2に変換される。
【0256】ここで、基本波P1と高調波P2との波長
をそれぞれλ及びλ/2とし、第2高調波P2の発生を
例にとって考える。
【0257】位相整合条件が成立している場合、非線形
光学結晶1001及び1002の内部において、基本波
及び高調波が感じる屈折率Nw及びN2wは等しい。位
相調整部1003において、同様にNw=N2wの関係
が満足された場合は、位相調整部1003の存在に関係
なく、結晶1001で発生した基本波と高調波の関係が
維持されたまま、非線形光学結晶1002内でも位相整
合し、位相整合波長の可変は発生しない。ところが、位
相調整部1003に非線形光学結晶1001及び100
2とは異なる分散関係を有する材料を設けると、非線形
光学結晶1002で発生する基本波と高調波の位相関係
は、非線形光学結晶1001におけるものとは異なり、
干渉効果を生じる。
【0258】このときの位相整合特性の計算結果を、図
22に示す。位相調整部1003における位相関係Ph
=λ/2(N2w−Nw)の変化量をΔPhとしたと
き、ΔPhの変化とともに、図22に示されるように、
位相整合特性(位相整合カーブ)のピーク値が変化(シ
フト)する。ΔPh/Phの変化が約0.5で、変換効
率は約半分に低下する。
【0259】これより、本願発明者らは、位相調整部1
003のΔPhを可変することで、変換効率は低下する
が、位相整合波長を変化させることができることを、新
たに見出した。
【0260】なお、非線形光学結晶として周期状分極反
転構造を有する、擬似位相整合型の光波長変換素子を用
いることも可能である。このような場合には、位相整合
条件の等しい条件は、分極反転構造の周期を等しくする
ことで達成できる。
【0261】次に、位相整合波長の可変範囲の拡大につ
いて検討した。
【0262】前述したように、位相調整部1003のΔ
Phを可変することで位相整合波長を変化させることが
できるが、得られる位相整合波長の変化量が限られてい
る。これに関して、変化量の拡大について検討した結
果、光波長変換素子の波長可変範囲は、位相調整部10
03の数を増やすことで拡大可能なことを見出した。こ
の点を、LiNbO3結晶に周期状分極反転構造を形成
した光波長変換素子を例にとって、説明する。
【0263】図23に、本発明の光波長変換素子の構成
図を示す。
【0264】この素子では、LiNbO3結晶に周期状
の分極反転構造を形成した結晶1001及び1002の
間に、位相調整部として液晶1006を設けている。液
晶1006に電圧を印加することで、その屈折率を可変
することができる。分極反転構造の周期は約3.2μm
で、位相整合波長の中心は約852.5nmである。液
晶1006の屈折率を変化させることにより、ΔPhが
生じて、位相整合波長を可変することができる。
【0265】更に、非線形光学結晶の分割数を増やして
位相調整部を複数設けて、位相整合波長可変の範囲と結
晶の分割数との関係について、検討した。図24は、位
相調整部を複数設けた場合の、位相整合波長と変換効率
との関係である。
【0266】これより、分割数を増加させると、波長可
変な位相整合波長範囲が拡大する。素子長が10mmの
場合、波長可変な範囲(半値全幅)は、2分割構造で約
0.14nm、3分割構造で約0.2nm、5分割構造
で約0.34nmとなり、結晶の分割数に比例して増大
する。
【0267】LiNbO3結晶の場合、波長可変範囲
は、以上の結果より容易に決定できる。すなわち、Li
NbO3結晶を用いた素子長10mmの素子において、
波長可変範囲として半値全幅でΔλだけ必要な場合、分
割数をΔλ/0.07nmとすればよい。また、素子長
がLの場合には、分割数は(Δλ/0.07nm)×
(10mm/L)で概算できる。このように、分割数を
増加させることで、容易に波長可変範囲が増大できる。
【0268】また、MgOをドープしたLiNbO3
晶の場合も、ほぼ同様の結果が得られた。
【0269】次に、複数の結晶のそれぞれの長さについ
て検討した。
【0270】2分割構造において、位相調整部の両端の
結晶長の長さが異なる場合の波長可変特性について検討
したところ、位相調整部に位置は、あまり波長可変特性
に影響を与えないことが分かった。一方、位相調整部の
数が増大すると、各結晶長の長さの差が、位相整合波長
の可変特性に影響を与えることが分かった。具体的に
は、3分割以上の構造においては、各結晶の長さのバラ
ツキが増大すると、位相整合波長の可変範囲が縮小す
る。例えば、各結晶の長さのバラツキが10%以内なら
ば、位相整合波長の可変特性に影響を与えないが、40
%以上のバラツキがあると、位相整合波長の可変範囲が
10%程度減少することが分かった。更にバラツキが増
大すると、波長可変範囲は、より小さくなる。
【0271】これより、分割された各結晶の長さのバラ
ツキは、40%以内に抑制することが望ましい。更に高
効率な特性を達成するには、上記のバラツキを10%以
内に抑制することが、より好ましい。
【0272】また、位相整合波長可変な波長変換素子の
構成として、微動ステージを用いた構成も可能である。
【0273】ピエゾ素子を用いた微動台を用いて結晶間
距離を精密に制御したところ、位相整合波長を精密にコ
ントロールできた。このときに重要な点は、結晶間に、
分散特性を有する材料を挿入することである。気体中で
は基本波と高調波との間の分散の差がほとんどないた
め、位相調整部の距離を変えても、ΔPhが発生しな
い。これに対して、マッチングオイル等の液体や可塑性
の材料を用いれば、ΔPhを生じさせて位相整合波長を
可変することができる。
【0274】分割数を増加させたときのΔPhと変換効
率との関係を求めると、分割数に関係なく、ΔPh/P
hの値が約0.5程度になると、変換効率は約50%ま
で低下する。これより、位相調整部によるΔPhの値の
可変範囲は、ΔPh/Phの値が約0.5程度までの範
囲になるようにすることが好ましい。位相調整部におけ
る可変範囲がこの値を越えると、変換効率の低下が激し
くなる。
【0275】このように、位相調整部の可変範囲を増大
させることは、変換効率の低下を招くので、好ましくな
い。従って、波長可変範囲の増大は、結晶の分割数を増
やして位相調整部の数を多くすることによって達成する
ことが好ましい。
【0276】位相整合波長可変な波長変換素子は、第2
高調波発生のほか、パラメトリック発生等に応用可能で
ある。周期状分極反転構造によりパラメトリック発生を
行う波長変換素子は波長可変光源として応用されている
が、従来は、発生波長を可変するために異なる分極反転
周期構造の素子が必要であり、連続的な波長可変を行う
ことが難しい。第2高調波は、パラメトリック発生の一
種であり、同様の素子構造で位相整合波長を可変でき
る。本発明をパラメトリック発生に利用すると、連続波
長可変の素子が構成できるため、有用である。更に、本
発明は、パラメトリック発生の応用として、和周波発生
や差周波発生などの波長変換にも、同様に適用可能であ
る。
【0277】なお、本実施形態では、光波長変換が、基
本波のシングルパス(単一通過)の場合について説明し
たが、共振器内に光波長変換素子を挿入して高効率化を
図る場合に、より効果的である。
【0278】例えば、2つの共振器ミラーにより構成さ
れた共振器内に、非線形光学結晶或いは周期状の分極反
転構造を有する非線形光学結晶を挿入し、共振器内で基
本波を共振させることで共振器内の基本波のパワーを増
大させて、変換効率の向上が図れる。しかし、この構成
において、基本波の共振条件と位相整合条件とを同時に
満足するように、共振器長、結晶の長さ、結晶の位置、
屈折率などを制御することは難しい。これに対して、本
実施形態の構造を用いた光波長変換素子を共振器内に挿
入すれば、これらの問題が解決できる。具体的には、基
本波の共振条件を満足させるように共振器のミラー間隔
を調整した状態で、位相整合条件が満たされるように位
相調整部を調整することで、高効率の波長変換が容易に
実現できる。
【0279】更に、共振器内で基本波と高調波とを同時
に共振させるダブル共振構造も、容易に実現できる。ダ
ブル共振構造では、共振器内で基本波及び高調波が同時
に共振条件を満足し、且つ位相整合条件も達成しなけれ
ばならない。このため、非常に厳しい屈折率、共振器
長、波長安定性が要求される。本発明の光波長変換素子
を用いれば、共振器内で基本波と高調波の位相関係を制
御できるため、ダブル共振条件も容易に満足することが
可能である。
【0280】このように、共振器構造内に本発明の光波
長変換素子を挿入することは、実用上、効果的である。
【0281】なお、位相調整部は、屈折率分散の異なる
材料から構成されていればよいが、更に光波長変換素子
の特性を高めるためには、その屈折率、特に基本波に対
する屈折率が、非線形光学材料にほぼ等しい材料を用い
ることが望まれる。結晶間に屈折率の異なる材料を挿入
すると、その屈折率差からフレネル反射が生じ、基本波
或いは第2高調波の伝搬損失となる。従って、屈折率の
近い材料を用いることで、位相制御におけるフレネル損
失を低減することができる。
【0282】なお、位相調整部を非線形光学材料と等し
い屈折率を有する材料で構成することが難しい場合(適
当な材料が無い場合)には、位相調整部と非線形光学結
晶との界面に、反射防止膜を堆積することが望ましい。
【0283】例えば、LiNbO3やLiTaO3などの
高非線形材料は、屈折率が2以上と高い値を有する。こ
のため、位相調整部を、これらと等しい屈折率を有する
材料で構成することが難しい。そこで、反射防止膜とし
て、厚さ約140nmのSiO2膜を堆積することで、
界面における基本波の反射率を0.1%以下に抑えるこ
とが可能となる。このような反射防止膜を用いれば、位
相調整部におけるフレネル損失を低減し、光波長変換素
子の変換効率を増大することができる。
【0284】反射防止膜として単層膜を用いる場合は、
基本波或いは高調波の一方にしか機能しない。フレネル
反射による損失の影響は、基本波の減衰による影響が、
高調波による影響より大きいため、単層の反射膜を用い
る場合は、基本波に対する反射防止膜を形成することが
好ましい。一方、多層膜の反射防止膜を用いれば、基本
波及び高調波の両方に反射防止膜機能を有することが可
能である。従って、反射防止膜として多層膜を用いて、
基本波及び高調波の両方に対する反射防止機能を有する
方が、好ましい。
【0285】なお、上記の説明では、バルク状の結晶に
おける波長変換素子について述べたが、非線形光学結晶
に光導波路を構成する場合も、同様の構成が実現でき
る。光導波路は、導波光間で光波長変換を行うことで光
の閉じ込めを強化し且つ長い相互作用長を実現できるた
め、高効率の波長変換が可能であり、有効である。
【0286】次に、分極反転周期が各領域間で異なる場
合に、位相整合波長の可変特性に与える影響について解
析した。
【0287】位相調整部で隔てられた第1の分極反転領
域と第2の分極反転領域との間で分極反転周期がわずか
に異なる場合を仮定して、計算を行った。その結果、
0.02%以上の分極反転周期の差がある場合には、波
長可変範囲はあまり変化しないが、変換効率の最大値が
低下する事が分かった。これより、変換効率を高めるに
は、分極反転周期の差を0.02%以下に抑える必要が
ある。
【0288】これと同様に、位相整合条件の等しい2つ
の結晶における位相整合波長の差が与える影響について
も、同様の精度が要求される。すなわち、位相整合波長
がほぼ等しい結晶としては、位相整合波長の差が0.0
2%以下であることが望ましい。
【0289】(第7の実施形態)本実施形態では、本発
明の光波長変換素子を用いた位相整合波長の許容度拡大
について、述べる。
【0290】位相整合波長のほぼ等しい結晶間に位相調
整部を挿入する構造により、位相整合波長の許容幅を大
幅に拡大することができる。例えば、結晶を3分割して
位相調整部を2カ所に挿入するとき、各々の位相調整部
の厚みをt1及びt2とし、位相調整部における基本波
と高調波の伝搬定数をそれぞれβω及びβ2ωとする
と、位相調整部の厚みがt1+t2=2nπ/(β2ω
−2・βω)、(但し、n=0、1、2、3、...)
の値をほぼ満足するときに、波長変換素子の位相整合特
性は、図25に示すように、ピークフラットな特性(ピ
ークフラットな位相整合カーブ)を示す。位相整合波長
がピークフラット化すれば、基本波の波長変動が生じて
も、安定な出力特性が得られる。
【0291】しかし、設計に従って実際に分極反転構造
を形成し、光波長変換素子の位相整合特性を測定する
と、図25に示すようなピークフラットな位相整合特性
を有する光波長変換素子を得ることが非常に難しく、歩
留まりが悪いことが判明した。実際に光波長変換素子を
作製すると、図26(a)及び(b)に示すように、ピ
ークフラットな部分が傾いたり、複数のピークが存在し
たりするなど、設計と異なる特性が得られる場合がほと
んどであり、歩留まりは数%であった。この原因は、設
計通りの位相整合特性を実現するには、伝搬定数の均一
性及び分極反転周期の均一性に対して、非常に高い値
が、素子長全域に渡って要求されるからである。設計値
に近い値を実現するには、屈折率変動で0.01%以下
の均一性が必要であり。例えば、導波路型の素子でこの
条件を実現しようとすると、光導波路の線幅を0.05
μm以下の精度で、光導波路の厚みに換算すると数オン
グストローム以下の精度で制御する必要である。素子長
10mmに渡ってこの精度を達成することは、現実的に
難しい。
【0292】そこで、本願発明者らは、位相調整部にお
ける基本波と高調波の位相関係を調整することで、この
問題の解決を図った。即ち、作製誤差による位相整合特
性の位相整合カーブ(チューニングカーブ)の不均一性
を、位相調整部によって調整することで補償した。その
結果、ピークフラットな位相整合特性を有する素子の歩
留まりを、数%から50%以上に大幅に向上させること
に成功した。位相調整部の特性が固定されている場合に
は、作製精度のみで歩留まりが決定してしまうが、位相
調整部の屈折率或いは長さを変化させることで、チュー
ニングカーブを制御することが可能であり、歩留まりが
向上した。
【0293】更に、位相調整部により、出力変調も可能
になる。具体的には、チューニングカーブの形を変える
ことが可能であるから、基本波の波長を固定した状態で
位相調整部を変化させることで、出力を100%〜0%
まで、自由に調整することができる。
【0294】なお、本実施形態では、非線形光学結晶に
ついて説明したが、非線形光学結晶に光導波路を形成し
た場合も、同様の効果が得られる。光導波路を用いれ
ば、更なる高効率化が可能であるとともに、位相調整部
を光導波路上に集積化できる。この場合には、電気光学
効果を利用して印加電界により位相調整部の屈折率を変
化させたり、温度により位相調整部の屈折率を変化させ
たりすることが、可能である。また、液晶を光導波路の
一部のクラッド層として用いて、この部分を位相調整部
とし、液晶の屈折率を変えることで、位相調整部の実効
屈折率を変化させることも可能である。
【0295】更に、本実施形態では、位相整合条件を満
足する非線形光学結晶を用いているが、周期状の分極反
転構造を有する結晶、或いは光導波路も、同様に使用で
きる。分極反転構造を用いる場合、位相整合条件は擬似
位相整合条件になるが、上記と同様の特性を得ることが
できる。分極反転を用いれば、任意の波長に位相整合可
能であり、高効率の特性を実現できるため、有用であ
る。
【0296】(第8の実施形態)ここでは、光波長変換
素子の位相整合状態を制御する方法として、非線形光学
結晶の一部の位相整合状態を変化させる方法について、
説明する。
【0297】本実施形態における光波長変換素子の構成
を、図27に示す。基板1007は、XカットのMg
O:LiNbO3基板であり、周期3.2μmの分極反
転構造1008が、素子長10mmに渡って形成されて
いる。更に、プロトン交換処理及びアニール処理によ
り、分極反転構造1008の上に光導波路1009が形
成されている。例えば、光導波路1009の幅は5μ
m、深さは2.5μmである。位相整合波長は850n
mであり、高調波として、第2高調波の光(波長425
nm)を出射する。変換効率は、1000%/Wであっ
た。
【0298】更に、図27の構成では、光導波路100
9の入射部の近傍に、長さ3.3mmに渡って薄膜ヒー
タ1010を形成し、屈折率変調部としている。ヒータ
1010により、光導波路1009の温度分布を変え
て、屈折率を変化させることが可能となる。
【0299】温度を変えたときの位相整合特性の変化
を、図28(a)及び(b)を参照して説明すると、図
28(a)は、ヒータ1010に電流を流さない場合、
即ち温度を変化させない場合の位相整合特性であり、図
28(b)は、ヒータ1010の温度を約10℃変えた
時の位相整合特性である。このように温度を変えること
で、変換効率は400%/W程度に低下したが、位相整
合波長の許容度が増大して、ピークフラットな位相整合
特性が実現できた。
【0300】次に、ヒータ1010の長さを変えて、位
相整合特性とヒータ1010の長さとの関係を観測した
ところ、位相整合波長許容度を拡大するには、ヒータ1
010の長さを素子全長の15%〜40%にする必要が
あった。更に、ピークフラットな位相整合波長特性を実
現するには、ヒータ1010の長さを素子全長の約30
%とし、これを±5%程度の精度で実現する必要であ
る。
【0301】また、ヒータ1010の作製位置に注意す
る必要がある。具体的には、ヒータ1010は、素子の
両端近傍に形成する必要がある。ヒータ1010を素子
の中心近傍に形成しても、位相整合波長許容度の拡大は
効率よく行われない。但し、ヒータ1010は、光導波
路1009の端面近傍からは、数μm程度離す必要があ
る。ヒータ1010を光導波路1009の端面に形成す
ると、光導波路1009に光を結合する際に、ヒータ1
010を構成する端面近傍の金属部分に基本波が吸収さ
れて、温度上昇により端面が破壊される。従って、ヒー
タ1010は、端面から僅かに離れた部分に形成しなけ
ればならない。
【0302】次に、屈折率変調を用いた他の光波長変換
素子の構成について述べる。
【0303】第7の実施形態で述べたように、位相整合
特性の等しい結晶と位相調整部とにより光波長変換素子
の波長許容度の拡大が可能であるが、その作製には、高
い精度が要求される。これを解決する方法として、位相
調整部を変調することで位相整合特性をコントロールす
る方法を述べたが、それに代えて、結晶の一部に屈折率
変調部を形成することで、同様に位相整合特性を制御で
きる。
【0304】図29は、上記の手法に従って構成される
本発明の光波長変換素子の構成を示す斜視図である。具
体的には、2分割構造によって波長許容度が拡大された
素子を形成している。
【0305】図29の構成では、MgOドープしたX板
のLiNbO3基板1007の上に、周期3.2μmの
分極反転構造1008が、10mmに渡って形成されて
いる。素子端部から約1.6mm離れた部分には、1.
6μmに渡って分極反転構造1008を設けずに、ここ
を位相調整部1011とする。更に、端部と位相調整部
1011との間の基板表面には、長さ約1.6mmの薄
膜ヒータ10が形成されている。
【0306】このような構成で、ヒータ1010の温度
を上げないときの位相整合特性は、僅かにピークフラッ
トな特性からずれているが、ヒータ1010の温度を約
3℃程度上昇させると、理想的なピークフラットな特性
を実現できる。これより、位相調整部1011を有さな
い構造に比べて、約1/3の温度変化で、所望の制御が
可能である。このように、位相調整部1011を有する
構造は、屈折率の僅かな変化でピークフラットな位相整
合特性に制御できるため、有効である。
【0307】上記のように、薄膜ヒータ等による屈折率
変調により光波長変換素子の位相整合特性を変調する構
成は、半導体レーザと光波長変換素子の直接結合により
短波長光源を実現した場合に、特に有効である。この場
合には、基台上にて、光導波路型の光波長変換素子と半
導体レーザとを直接結合させて固定することで、小型の
コヒーレント光源が実現できる。更に、本発明に従って
光波長変換素子の波長許容度を拡大することで、安定な
出力特性が実現できる。
【0308】但し、光源として高出力の半導体レーザを
用いると、基台を通じて半導体レーザからの熱が光波長
変換素子に伝わり、光波長変換素子の入射部近傍に熱の
分布が形成される。この熱分布により、光波長変換素子
の位相整合特性が変化して、設計した位相整合特性が得
られないことがある。
【0309】この問題を解決するために、光波長変換素
子の入射部近傍に光導波路の屈折率を調整するヒータ
(調整ヒータ)を堆積し、これを用いて位相整合特性を
調整した結果、半導体レーザから熱が伝達される場合で
も、上記の調整ヒータの温度を調整することで、ピーク
フラットな波長許容度特性が実現されて、安定な出力特
性が得られた。また、形成した調整ヒータは、光波長変
換素子の1/2以下の領域を占める程度の小さいもので
あり、占有面積が小さいために、消費電力を従来の1/
2以下に低減できる。
【0310】上記のようなヒータを用いる方法を、位相
調整部の屈折率を変化させる方法と併用しても、位相整
合特性を変調できる。
【0311】なお、本実施形態では、屈折率変調部とし
て薄膜ヒータ1010を用いているが、他に、液晶を用
いたクラッド層も利用できる。液晶によりクラッド部を
形成し、電界により液晶部の屈折率を変化させること
で、光導波路の実効屈折率を変えることができる。液晶
を用いると、消費電力が少なくなるので有効である。そ
の他に、電気光学効果を利用して結晶に電界を印加する
ことで、光導波路の実効屈折率を変えることができる。
【0312】なお、上記では、非線形光学結晶の分割数
が2である光波長変換素子を用いたが、更に分割数の多
い素子にも、本発明は適用できる。分割数を増やせば、
許容度のより広い素子が形成できるため、有効である。
【0313】(第9の実施形態)ここでは、半導体レー
ザと光波長変換素子からなるコヒーレント光発生装置
(コヒーレント光源とも称する)において、常に安定な
出力特性の実現が可能な構造について述べる。
【0314】具体的には、本実施形態では、半導体レー
ザと光波長変換素子によりコヒーレント光源を構成する
場合に、光波長変換素子から出射する高調波出力を安定
化させるために、最低不可欠な光波長変換素子の位相整
合波長の可変範囲を明らかにしている。
【0315】図30に、本実施形態によるコヒーレント
光源の構造を示す。この構成は、光波長変換素子102
1と半導体レーザ1022とから構成されて、光波長変
換素子1021は、本発明による位相調整部1003で
分離された入射部1023と出射部1024とを有す
る。半導体レーザ1022は、出射波長を可変できる機
能を有しており、光波長変換素子1021の位相整合条
件を満足する波長に出射波長を合わせることで、出力の
安定化を図っている。
【0316】この様な構成において、光波長変換素子1
021から出射される高調波の出力安定化のために必要
な特性について、検討した。
【0317】半導体レーザの発振波長は、グレーティン
グフィードバックや波長フィルターを利用した光フィー
ドバックにより、可変できる。また、半導体レーザにお
ける光導波路の一部にDBRグレーティングを集積化
し、DBRグレーティングの反射波長を温度やプラズマ
効果を利用して可変することによっても、半導体レーザ
の発振波長を可変することが可能である。しかし、半導
体レーザは、半導体レーザの共振器構造に起因する縦モ
ード間隔でしか発振しないため、その発振波長は、飛び
飛びの発振波長でのみ可変となる。例えば、0.1nm
程度の間隔で、発振波長を制御できる。
【0318】一方、光波長変換素子は、通常、波長許容
度の非常に狭い特性を有する。例えば、素子長10mm
のLiNbO3で作製した導波路型光波長変換素子など
では、0.1nm以下の半値全幅を有する。このときの
光波長変換素子の位相整合特性と、半導体レーザの発振
波長との関係を、図31(a)及び(b)に模式的に示
す。図31(a)及び(b)において、1625は半導
体レーザの発振モード(縦モード)であり、1626が
光波長変換素子のチューニングカーブである。
【0319】図31(a)においては、チューニングカ
ーブ1626のピークと半導体レーザの発振モード16
25が重なっている。この場合、半導体レーザの縦モー
ド1625をチューニングカーブ1626のピークの位
置に調整することで、最大の高調波出力が得られる。と
ころが、図31(b)に示すように、チューニングカー
ブ1626のピークが半導体レーザの縦モード1625
の中央近傍に位置する場合、半導体レーザの発振波長を
調整しても、高調波の出力を最大にすることができなく
なる。従って、このようなコヒーレント光源において
は、半導体レーザの波長を調整しても、安定な高調波出
力が得られない。
【0320】これを解決するには、光波長変換素子の位
相整合波長をチューニングして、半導体レーザの発振波
長の中心に、位相整合波長を調整する必要がある。即
ち、光波長変換素子には、用いる半導体レーザの発振波
長の縦モード間隔より広い波長範囲に渡って、位相整合
波長を可変できる特性が要求される。
【0321】この点を、周期状分極反転構造を有するL
iNbO3結晶を5分割した構造(位相調整部を4ヶ所
有する構造)からなる光波長変換素子で、確認した。こ
の構造における位相整合波長の可変範囲は、半値全幅で
0.34nmであるが、半導体レーザの縦モード間隔で
ある0.1nmの範囲で位相整合波長を可変させた場合
は、中心の位相整合波長から±0.05nmだけ位相整
合波長が変化しても、出力の低下は5%程度であった。
従って、環境温度の変化により位相整合波長が大きく変
化した場合においても、半導体レーザの発振波長と光波
長変換素子の位相整合波長とを同時に制御することで、
出力を5%の変動以内に安定化させることができる。こ
の結果、出力の安定なコヒーレント光源が実現できる。
【0322】更に、パラメトリック発振を利用しても、
波長可変レーザの可変波長領域の拡大が可能である。
【0323】周期状の分極反転構造を有する光波長変換
素子とレーザ光源を用いれば、パラメトリック発振が可
能である。パラメトリック発振によれば、波長λ3の基
本波を入力すると、1/λ3=1/λ1+1/λ2の関
係を満足する波長λ2のシグナル光及び波長λ1のアイ
ドラー光を発生することが可能である。これより、波長
λ3の基本波を用いて、上記の条件を満足する波長を有
する光を、波長可変しながら出力することができて、波
長可変なレーザ光源が実現できる。
【0324】このようなパラメトリック発振を可能にす
る構成としては、従来より、周期状分極反転構造を有す
る光波長変換素子によって高効率の波長変換が可能であ
り、例えばLiNbO3を用いた光波長変換素子が商品
化されている。しかし、従来のパラメトリック発生を利
用したコヒーレント光源では、周期の異なる分極反転構
造を複数形成し、分極反転周期を変えることで発振波長
を可変しているために、発振波長は離散的に可変であ
り、連続的に波長変換を行うことは難しかった。これに
対して、本発明の光波長変換素子を用いれば、位相整合
波長を連続的に可変させることが可能となるため、連続
的に発振波長を変えることが可能なコヒーレント光源を
実現できる。更に、周期の異なる複数の分極反転構造と
組み合わせることにより、広い範囲に渡って連続的に位
相整合波長を連続可変できるコヒーレント光源が実現で
きる。また、高効率で且つ変換効率の変動が小さい安定
な出力特性も、実現できる。
【0325】(第10の実施形態)ここでは、本発明に
よって構成される光情報処理装置について、説明を行
う。
【0326】図32に、本発明の光情報処理装置の構成
を示す。図32において、第9の実施形態に示した特徴
を有するコヒーレント光発生装置1640から出た出力
10mWのビームは、ビームスプリッタ1641を透過
し、レンズ1642により、情報再生媒体である光ディ
スク1643に照射される。光ディスク1643からの
反射光は、逆にレンズ1642によりコリメートされ、
ビームスプリッタ1641で反射されて、光検出器16
44で信号が読みとられる。更に、コヒーレント光発生
装置1640の出力を強度変調することで、光ディスク
1643に情報を書き込むことができる。
【0327】本発明によれば、コヒーレント光発生装置
1640を構成する光波長変換素子の位相整合波長を安
定して可変することで、出力の安定化が図れて、外部の
温度変化に対しても5%以下の出力変動に抑えることが
できる。
【0328】更に、高出力の青色光の発生が可能となる
ため、読み取りだけでなく、上記のように、光ディスク
1643へ情報を書き込むことも可能となる。また、半
導体レーザを基本波光源として用いることで、非常に小
型になるため、民生用の小型の光ディスク読み取り/記
録装置にも利用できる。
【0329】続いて、以下では、本発明に従って構成さ
れる、非線形光学効果を利用した光波長変換素子におけ
る出力の安定化を目的とした素子構造、並びにそれを用
いたコヒーレント光源及び光情報処理装置を説明する。
【0330】(第11の実施形態)以下ではまず、広い
波長領域において第2高調波の発生が可能な本発明によ
る光波長変換素子の構造を、説明する。
【0331】第1の実施形態で説明したように、本発明
の光波長変換素子は、広い許容波長幅を有し、且つチュ
ーニングカーブ特性においてピーク出力近傍で平坦部を
有する。これによって、基本波の波長変動に対する出力
変化が非常に小さい。更に、許容波長幅の拡大による波
長変換効率の低下を最小限に抑え、許容波長幅の拡大と
高効率特性とを同時に達成できる。
【0332】本発明による光波長変換素子の具体的な構
造を、図36を参照して説明する。ここに示される構成
は、第1の実施形態の構成(図1参照)と同じであり、
対応する構成要素には同じ参照符号を付しているので、
その詳細な説明は、ここでは省略することがある。
【0333】図36に示すように、光波長変換素子は、
互いにほぼ等しい位相整合条件を満足する複数の非線形
光学結晶、例えば3つの非線形光学結晶1、2、及び3
を含み、各々の非線形光学結晶1、2、及び3の間に
は、厚さがそれぞれt1及びt2である位相調整部4及
び5が挿入されている。
【0334】従来技術において、位相整合条件の異なる
結晶を組み合わせる方法が提案されている。これは、位
相整合条件の異なる結晶を組み合わせて、それぞれの結
晶における位相整合波長を足し合わせて、波長許容度の
拡大を図る方法である。しかし、位相整合条件の異なる
結晶を組み合わせると、互いに異なる位相整合条件をそ
れぞれの結晶が有しているため、結晶の長さや光の波長
がわずかに変動した場合に、それぞれの結晶で発生した
基本波と高調波の位相関係が大きく変動する。これが干
渉効果となって、高調波の出力が基本波の波長変化によ
り大きく変動する。これを解決するには、各結晶におけ
る基本波と高調波の位相関係が、等しく変化する構成が
望まれる。すなわち、位相整合条件の等しい結晶を用い
て、位相整合波長許容度を拡大する必要がある。
【0335】そこで、本願発明者らは、位相整合条件の
等しい結晶からなる構造で位相整合波長を拡大する方法
について種々検討した結果、各結晶長の長さを最適化
し、同時に結晶間に位相調整部を設ける構成により、こ
れを実現できることを見出した。
【0336】同一の位相整合条件を有する結晶におい
て、位相調整部が無い場合には、結晶内で全域にわたり
基本波と高調波の位相は整合しているが、位相整合波長
許容度は極端に狭くなる。これに対して、結晶間に位相
調整部を設けると、この部分で基本波と高調波の間に位
相差が生じる。しかし、位相調整部で発生した基本波と
高調波の位相差は、次の結晶を伝搬する間に、大きさが
保たれる。更に、基本波の波長変動に対しても、それぞ
れの結晶における位相整合状態は等しく変化し、位相調
整部における位相差もほとんど変化しない。これは、位
相調整部の前後の結晶において位相整合条件が等しく、
基本波と高調波間の位相速度の関係が等しいからであ
る。従って、位相調整部で発生した位相差は、結晶の長
さに関係なく保たれ、基本波の波長変動に対する位相整
合条件のズレも同時に起こる。これより、各結晶で発生
した高調波には、それぞれ位相調整部により位相差が生
じているが、その関係は基本波の波長が変化しても常に
一定となり、それぞれの結晶で発生する高調波間の干渉
効果の変動が、端に低減される。その結果、基本波の波
長に対する高調波の出力変動を大幅に低減でき、位相整
合特性を非常に平坦な特性にすることが可能となる。
【0337】以上の説明は、本願の第1の実施形態の構
成にも適用される。
【0338】図37(a)は、図2(a)としても示し
た、位相調整部を有さない従来の構成における位相整合
特性(チューニングカーブ特性)、すなわち、基本波光
の波長に対する高調波光(SHG)の出力特性であり、
第1の実施形態で図2(a)を参照して説明した特徴を
有する。
【0339】次に、図37(b)は、位相整合条件が異
なる結晶を複数組み合わせて位相整合波長の許容度を拡
大を図った従来の光波長変換素子におけるチューニング
カーブ特性である。これは3つの位相整合波長の異なる
結晶を組み合わせた場合であり、波長許容度は図37
(a)に比べかなり広がっているものの、高調波出力が
基本波の波長変動に対して大きく変動する。特に、出力
のピーク近傍での出力変動が大きく、ピークの最大値に
比較して10%以上の出力変動が見られる。これは、各
結晶の位相整合波長が異なるためである。
【0340】これに対して、図37(c)は、本発明の
光波長変換素子で得られる位相整合特性(チューニング
カーブ特性)であり、第1の実施形態で説明した図2
(b)と同じ特徴を有する特性である。第1の実施形態
でも説明したように、本発明の構成によれば、チューニ
ングカーブ特性の最大値近傍のピークにおいて、高調波
(SHG)光の出力強度は非常に平坦で、その出力変動
は数%以内である。更に、基本波光波長に対する高調波
光出力レベルがピークレベルから5%低下する波長範囲
(許容波長幅)は、図37(a)に比べて図37(c)
では約6倍に拡大されている。また、図37(c)にお
いても、許容波長幅拡大に伴って変換効率が低下するも
のの、依然として図2(a)で得られる変換効率の29
%のレベルが達成可能である(図37(b)では約12
%のレベルまで低下する)。
【0341】このように、本発明によれば、互いに等し
い位相整合条件を有する結晶間に位相調整部を設けるこ
とで、平坦なピークを有するチューニングカーブが得ら
れ、かつ従来より高い波長変換効率を実現することがで
きる。
【0342】次に、光波長変換素子を構成する非線形光
学結晶の位相整合条件について述べる。
【0343】図1や図36に示す本発明の光波長変換素
子は、位相整合条件の等しい非線形光学結晶を、位相調
整部を介して接合することで構成されている。そこで、
各結晶の位相整合条件の差がどれほど許容されるか、検
討した。
【0344】各結晶間の位相整合条件の差は、各結晶に
おける位相整合波長の差で表せる。そこで、位相整合条
件の異なる結晶を組み合わせた場合のチューニングカー
ブの変化を、観測した。その結果、位相整合波長が0.
1%異なる結晶を組み合わせて光波長変換素子を作製す
ると、チューニングカーブの対称性が得られず、ピーク
フラットなチューニングカーブを得るのは困難になっ
た。位相整合波長の差が増大するに従って、この傾向は
顕著になった。
【0345】上記のような検討の結果、ピークフラット
なチューニングカーブが実現できる位相整合波長の誤差
は、各結晶間で0.02%以下と非常に厳しいことが明
らかになった。すなわち、広い波長許容度を有し且つピ
ークフラットなチューニングカーブを実現するには、非
線形光学結晶間の位相整合波長の誤差は、0.02%以
下に低減することが望ましい。
【0346】次に、本発明の光波長変換素子の設計につ
いて、あらためて説明する。
【0347】結晶内で基本波と第2高調波に対する伝搬
損失が無視できるほど小さく、2つの伝搬ビームがほぼ
等しい形状で伝搬していると仮定したときに、図38
(a)に示される2分割構造の光波長変換素子における
位相調整部の距離tが、第1の実施形態に関連して説明
した以下の式(2)を満たすとき、チューニングカーブ
特性がピークフラットな特性を有する。
【0348】 t=(2n+1)π/(β2ω−2・βω) (2) 但し、β2ωは位相調整部における高調波光の伝搬定
数、βωは位相調整部における基本波光の伝搬定数、n
=0、1、2、3、……、である。
【0349】上記の式(2)をより一般的に表せば、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) (2a) となる。図38(b)には、上記の式(2a)における
αの値を変化させた場合のチューニングカーブを描いて
いる。これより、2分割構造の場合にはα=1が最適で
あり、αの値がこれより増加しても減少しても、位相整
合特性の波長依存性の対称性が崩れていく。第1の実施
形態において説明したように、チューニングカーブの対
称性の差が5%以内に収まるのはα=0.95〜1.0
5の範囲であり、この範囲であれば使用上、問題無い。
更に、位相調整部の長さを最適化すると、α=0.9〜
1.1の範囲でチューニングカーブの対称性が5%以内
におさまり、ほぼフラットなピークを有するようにな
る。
【0350】次に、結晶の長さについて検討した。
【0351】2つの結晶の長さについて、全長に対する
一方の長さを変えた場合の位相整合特性の関係を、図3
9(a)及び(b)を参照して説明すると、図39
(a)は、素子全長に対する一方の結晶の長さの割合と
チューニングカーブのピーク近傍部分の凹部の大きさ及
び波長許容度(チューニングカーブにおいて、SHG出
力が最大値から5%低下する波長の幅に設定する)の関
係を示す。結晶長の値が素子全長の約17%より大きく
なると、凹部が増大し始め、波長許容度も、この近傍で
大きく増大する。従って、チューニングカーブのピーク
近傍での凹部の発生を極力抑えるには、結晶長の長さを
素子全長の約17%程度以下にする必要がある。その一
方で、許容度を2倍以上に拡大するには、結晶長の長さ
を素子全長の13%以上にする必要がある。
【0352】これより、結晶長の長さを素子全長の約1
3%〜約17%に設定して、チューニングカーブのピー
ク近傍での凹部の発生を抑えることが好ましい。この範
囲を外れると、チューニングカーブにピークが2つ以上
存在することになるが、この場合、出力特性をフィード
バックして基本波波長を制御し第2高調波の安定化を図
る場合のピーク検出において、2つのピーク間での位相
整合波長の特定が難しくなり、出力の安定化が難しくな
る場合が有るからである。
【0353】更に、ピークの凹部の影響を考えない場合
には、第2高調波の最大値が95%以下に低下しないよ
うに、図39(b)から、結晶長の長さを全体の約13
%〜約18%に設定することが好ましい。
【0354】図39(b)には、素子全長に対する素子
長の割合をパラメータとして、幾つかのチューニングカ
ーブを描いている。これより、結晶長が増大すると、ピ
ーク近傍の凹部が増大する。結晶長が素子全長の17%
になると、チューニングカーブのピーク近傍がほぼフラ
ットになり、安定で広い位相整合特性が実現できること
が示されている。2分割構造において、伝搬損失が無視
できる場合には、位相調整部の位置は、短い結晶と長い
結晶との位置関係には依存せず、良好なチューニングカ
ーブが得られる。
【0355】以上の結果、互いに位相整合条件のほぼ等
しい2つ以上の結晶を位相調整部を介して接合して位相
整合波長許容度の拡大を図るにあたっては、それぞれの
結晶の長さの一方が、素子全長の13〜18%にするこ
とが好ましい。
【0356】但し、上記の検討は、基本波と高調波の伝
搬損失があまり大きくないとの仮定の下に計算した値で
あり、実際の素子に適用して伝搬損失が大きい場合の実
験を行った結果、結晶の長さが素子全長に対して5〜3
0%の間の値を取るときに、ピークフラットなチューニ
ングカーブが得られた。従って、一方の結晶長の長さ
は、素子全長の5〜30%の範囲に設定することが好ま
しい。
【0357】以上の結果、2分割構造では、結晶間に設
ける位相調整部の厚さtが、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) (2a) の関係を満足し、且つα=0.9〜1.1の範囲である
ときに、ピークフラットな位相整合特性を有する構造が
実現できる。但し、上記のαの範囲は、結晶における伝
搬損失の値が比較的小さい場合に適用できる範囲であ
り、結晶の伝搬損失が大きい場合、或いは伝搬光のパワ
ー密度が場所により異なる場合には、α=0.5〜1.
5の範囲が有効である。
【0358】次に、3つの非線形光学結晶と2つの位相
調整部(厚さt1及びt2)とが組み合わされている3
分割構造では、各位相調整部の距離t1及びt2が、先
に第1の実施形態に関連して説明した以下の式(3)及
び式(4): t1=(2n+α1)π/(β2ω−2・βω) (3) t2=(2m+α2)π/(β2ω−2・βω) (4) 但し、n及びm=0、1、2、3、……、を満たし、更
にα1+α2=2であるのでJ=0、1、2、3、…
…、としたときに、 t1+t2=2Jπ/(β2ω−2・βω) (5) が成立するときに、チューニングカーブ特性がピークフ
ラットな特性を有する。
【0359】上記の式(3)〜式(5)の関係から外れ
ると、チューニングカーブが左右非対称になり、ピーク
フラット部の傾斜がきつくなって、平坦な出力特性を得
るのが難しい。また、第1の実施形態にて説明したよう
に、α1=0.79及びα2=1.21近傍で、チュー
ニングカーブ特性におけるピーク出力近傍の平坦部が、
ほぼフラットな特性を示す。また、対称性が5%以内に
収まるのは、α1=0.7〜0.9の範囲であり、この
ときα2=2−α1に設定する。α1及びα2の値が入
れ替わっても、同様の特性を示す。
【0360】次に、結晶の長さについて検討した。
【0361】3分割構造では、ピークフラットなチュー
ニングカーブが得られるのは、中心の結晶に対して、両
側の結晶の長さが等しい場合であった。そこで、結晶の
全長に対する両側の結晶の長さの割合と位相整合特性と
の関係を図40(a)及び(b)を参照して説明する
と、図40(a)は、素子全長に対する一方の結晶の長
さの割合とチューニングカーブのピーク近傍部分の凹部
の大きさ及び波長許容度の関係を示す。結晶長の値が素
子全長の約13%より大きくなると、凹部が増大し始
め、波長許容度も、この近傍で大きく増大する。従っ
て、チューニングカーブのピーク近傍での凹部の発生を
極力抑えるには、結晶長の長さを素子全長の約14%程
度以下にする必要がある。その一方で、許容度を2倍以
上に拡大するには、結晶長の長さを素子全長の10%以
上にする必要がある。
【0362】これより、結晶長の長さを素子全長の約1
0%〜約14%に設定して、チューニングカーブのピー
ク近傍での凹部の発生を抑えることが好ましい。この範
囲を外れると、チューニングカーブにピークが2つ以上
存在することになるが、これに伴う問題点は2分割構造
に関して前述した通りである。
【0363】更に、ピークの凹部の影響を考えない場合
には、第2高調波の最大値が95%以下に低下しないよ
うに、図40(b)から、結晶長の長さを全体の約13
%〜約15%に設定することが好ましい。
【0364】図40(b)には、素子全長に対する素子
長の割合をパラメータとして、幾つかのチューニングカ
ーブを描いている。これより、結晶長が増大すると、ピ
ーク近傍の凹部が増大する。結晶長が素子全長の13.
8%になると、チューニングカーブのピーク近傍がほぼ
フラットになり、安定で広い位相整合特性が実現できる
ことが示されている。
【0365】以上の結果、3分割構造では、結晶間に設
ける位相調整部の厚さt1及びt2が前述の式(3)〜
式(5)の関係を満たし、且つα1=0.7〜0.9の
範囲の位相調整部を介した接合として、両端の各結晶の
長さが素子全長の約13%〜約15%であるときに、ピ
ークフラットな位相整合特性を有する構造が実現でき
る。
【0366】但し、上記の検討は、基本波と高調波の伝
搬損失があまり大きくないとの仮定の下に計算した値で
あり、実際の素子に適用して伝搬損失が大きい場合の実
験を行った結果、結晶の長さが素子全長に対して8〜2
5%の間の値を取るときに、ピークフラットなチューニ
ングカーブが得られた。従って、一方の結晶長の長さ
は、素子全長の8〜25%の範囲に設定することが好ま
しい。また、上記のα1の範囲は、結晶における伝搬損
失の値が比較的小さい場合に適用できる範囲であり、結
晶の伝搬損失が大きい場合、或いは伝搬光のパワー密度
が場所により異なる場合には、α1=0.5〜1.5の
範囲が有効である。
【0367】以上の検討により得られた、本発明によっ
て2分割構造及び3分割構造を用いて光波長変換素子を
形成した場合の位相整合特性、具体的にはSHG出力の
大きさ及び位相整合波長許容度を、分割なしの場合の値
を1として、以下の表1にまとめる(非線形光学素子の
全長が等しいとする)。
【0368】
【表1】
【0369】このように、本発明の構成により、SHG
出力の低下を抑えながら、位相整合波長許容度を大幅に
拡大できる。
【0370】以上、非線形光学効果による第2高調波の
場合の位相調整部による波長許容度の設計について述べ
たが、上記の設計は、第2高調波以外の高調波発生、例
えば、和周波を発生する場合やパラメトリック発振の場
合にも、同様の設計が適用できる。第2高調波発生が和
周波発生及びパラメトリック発振の一種であることは、
これまでの実施形態に関連して説明した通りであり、第
2高調波における関係は、和周波及びパラメトリック発
振に適用可能である。
【0371】従って、第2高調波の発生における位相調
整部の厚みtの式: t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) (2a) において、β2ωの代わりにβ3、βωの代わりにβ
1、βωの代わりにβ2を代入すると、上記の式(2
a)は、 t=(2n+α)π/(β3−β1−β2) (2b) となり、この式(2b)を式(2)と同じ条件で満足す
ることで、同様の波長許容度拡大特性が得られる。但
し、n=0、1、2、3、・・・、であり、β1は位相
調整部における波長λ1の光の伝搬定数、β2は位相調
整部における波長λ2の光の伝搬定数、β3は位相調整
部における波長λ3の光の伝搬定数である。
【0372】αの値及び結晶の長さtが満たすべき条件
も、第2高調波の場合に関して上述した条件と全く同じ
であり、同様の設計により、位相整合波長許容度の拡大
が可能となる。これによって、和周波発生或いはパラメ
トリック発振における波長許容度の拡大が可能な光波長
変換素子の構造が、実現される。
【0373】また、差周波発生にも、本発明の同様の構
造が適用できる。差周波発生においては、λ3の波長の
光とλ2の波長の光とを非線形光学結晶に入射して、λ
1の波長の光を出射する。このときのλ1、λ2、λ3
の関係は、和周波発生での光の波長の関係と等しく、従
って、上記に示した位相調整部の設計を適用して、位相
整合波長許容度を拡大することができる。
【0374】なお、位相調整部は、先述の、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) (2a) なる関係を満足する厚さ及び屈折率分散を有する膜であ
ればよいが、更に光波長変換素子の特性を高めるために
は、非線形光学材料の屈折率にほぼ等しい屈折率を有す
る材料を用いることが望ましい。すなわち、結晶間に屈
折率の異なる材料を挿入すると、その屈折率差から界面
でフレネル反射が生じて、基本波或いは第2高調波の伝
搬損失となる。従って、位相調整部を、非線形光学結晶
に近い屈折率を有する材料で構成すれば、位相調整部に
おけるフレネル損失を低減することができる。
【0375】更に、位相調整部と非線形光学結晶とは、
接着固定することが望ましい。非線形光学結晶を波長変
換素子に用いるには、高い精度の安定性が必要であり、
温度や振動による変動が発生すると、結晶間での光の位
相状態が変化して、特性が劣化する。非線形光学結晶と
位相調整部とを接着固定することで、これらの問題を回
避できる。
【0376】また、同一の結晶内に位相調整部を形成す
ることが、更に望ましい。従来の構造は、位相整合条件
の異なる結晶を組み合わせて形成されているため、同一
の結晶上に位相整合条件の異なる部分を形成することは
困難であるが、本発明の構成では、位相調整部を部分的
に形成することで、光波長変換素子を構成することがで
きる。例えば、拡散やイオン変換によって結晶の一部の
組成を変えて、位相調整部を形成することができる。
【0377】更に、非線形光学結晶上に光導波路を形成
し、その光導波路の一部にイオン交換、金属拡散、或い
はクラッド部の付加などによって、位相調整部を容易に
形成することができる。光導波路は基板表面に存在する
ために、位相調整部の形成が容易であるとともに、光導
波路内の光パワー密度が高いので、高効率の波長変換が
実現できる。
【0378】なお、位相調整部を、非線形光学材料と等
しい屈折率を有する材料で構成することが困難である場
合に、位相調整部と非線形光学材料との界面に反射防止
膜を堆積することが望ましいことは、第6の実施形態に
関連して既に説明したが、このように反射防止膜を挿入
する場合は、反射防止膜における基本波と第2高調波の
伝搬定数の差を、考慮する必要がある。具体的には、位
相調整部の両側に反射防止膜を堆積する場合、反射防止
膜の厚みをt12、そこにおける基本波と第2高調波の
伝搬定数をβa及びβ2a、位相調整部の厚さをt1
1、そこにおける基本波と第2高調波の伝搬定数をβω
及びβ2ωとすると、 2×t12×(β2a−2×βa)+t1(β2ω−2
×βω)=(2n+α)×π なる関係を満足しなければならない。反射防止膜が多層
膜からなる場合には、上記のβa及びβ2aの値は、各
膜の平均値でよい。
【0379】上記の説明では、バルク状の結晶における
波長変換素子について述べたが、非線形光学結晶に光導
波路を構成する場合も、同様の構成が実現できる。光導
波路では、導波光間で光波長変換を行うことで光の閉じ
込めを強化し、かつ長い相互作用長を実現できるため、
高効率の波長変換が可能であり、有効である。
【0380】なお、以上の説明では、分割構造の設計と
して2分割構造及び3分割構造における最適化について
詳細に述べたが、分割数を更に増やすと、許容度をさら
に拡大することが可能となる。但し、位相整合波長許容
度を拡大すると、許容度の拡大に比例して変換効率が低
下する結果となるので、高効率で且つ広い許容度を得る
には、2分割構造或いは3分割構造が適当である。
【0381】更に、本願発明者らは、前述した位相調整
部の概念を、擬似位相整合に適用できることを見出し
た。
【0382】すなわち、図41に示すように、基板内に
分極反転領域11、12、及び13が形成され、分極反
転領域11、12、及び13の間に位相調整部14及び
15が形成されている構成において、分極反転周期Λ
が、 Λ=2mπ/(β2ω−2・βω) (1) なる関係を満足するように構成する。但し、m=0、
1、2、3、……、であり、β2ωは位相調整部におけ
る高調波光の伝搬定数、βωは位相調整部における基本
波光の伝搬定数である。
【0383】各分極反転構造における位相整合条件を等
しくするため、分極反転周期を等しく設定する。更に、
位相調整部の距離tの設計には、結晶を組み合わせた構
造と同じく、式(2)で表される関係を満たすような設
計の適用が可能である。
【0384】擬似位相整合では、分極反転構造及び位相
調整部が、分極反転周期構造を変えるだけで容易に実現
できる。すなわち、フォトリソグラフィ法によるパター
ニング技術を利用して周期状分極反転構造が製造でき
て、分極反転周期構造の間に位相調整部を有する構造
を、容易に作製できる。更に、位相調整部の距離につい
ても、精確に制御が可能である等の利点を有する。加え
て、位相調整部における伝搬損失がほとんど発生しない
ため、高効率の光波長変換素子の作製が容易である。結
晶を組み合わせて光波長変換素子を構成する場合、位相
整合特性の異なる材料を位相調整部として結晶間に設け
る必要があるため、位相調整部の厚みを精密に制御する
必要があり、結晶接合間での損失が生じる。ところが、
擬似位相整合の場合、位相調整部も分極反転部も同じ結
晶からなるため、接合による損失や屈折率の違いからく
るフレネル反射が全くない。
【0385】次に、分極反転周期が各領域間で異なる場
合に、チューニングカーブに与える影響について解析し
た。
【0386】第1の分極反転領域と第2の分極反転領域
の間で分極反転周期がわずかに異なる場合を仮定し、計
算を行った結果、0.02%以上の分極反転周期の差が
ある場合は、チューニングカーブの対称性は大きく崩
れ、ピーク近傍での平坦性が得られない事が分かった。
ピークが平坦なチューニングカーブを実現するには、分
極反転周期の差を0.02%以下に抑える必要がある。
【0387】以上のように本実施形態では、等しい分極
反転周期構造を有する複数の分極反転領域の間に位相調
整部を設けることで、従来の光波長変換素子と異なり、
基本波の波長変動に対する高調波の出力変動が極端に小
さく、かつ広い波長許容度を有する特性が実現できた。
更に、実際の分極反転領域の長さの関係、及び位相調整
部の距離等の最適設計の値についても、明らかになっ
た。
【0388】(第12の実施形態)ここでは、光波長変
換素子内部における欠陥、或いは位相整合を利用したチ
ューニング等に対して、安定な位相整合波長特性を有す
る光波長変換素子の構造を、説明する。
【0389】具体的には、本願発明者は、光波長変換素
子内部における基本波と高調波の伝搬損失が光波長変換
素子の特性に大きな影響を与えることを発見し、基本波
と高調波の伝搬損失が適当な関係を有するときに、この
影響を飛躍的に低減できることを見出した。
【0390】まず最初に、伝搬損失がある場合の光波長
変換素子の位相整合特性について、検討した。
【0391】これまでに示した検討では、光波長変換素
子における基本波及び高調波の伝搬損失がほとんど無視
できる程小さい場合を想定しているが、実際の光波長変
換素子の構成、特に光導波路を利用する構成では、比較
的に大きな伝搬損失が存在する。そこで、伝搬損失が存
在する場合における光波長変換素子のチューニングカー
ブについて検討を行った。
【0392】図42(a)には、基本波の伝搬損失のみ
が存在する場合の計算結果、図42(b)には、高調波
の伝搬損失のみが存在する場合の計算結果を、それぞれ
示す。これより、基本波の伝搬損失に対しては右肩下が
りのチューニングカーブになり、高調波の伝搬損失に対
しては右肩上がりのチューニングカーブになる。
【0393】更に、基本波の伝搬損失が多いと、出射部
の近傍における位相調整部の影響が小さくなってくる。
これは、伝搬するに従って基本波が減衰し、出射部近傍
において発生する高調波の強度が小さくなるためであ
る。例えば、2分割構造では、一方の結晶の長さが素子
全長の約17%である場合が適切であり、位相調整部
は、出射部或いは入射部の何れかの近傍に形成される。
例えば、基本波の伝搬損失が多い場合には、位相調整部
を入射部の近傍に形成することが、伝搬損失の影響をう
け難いために、望ましい。
【0394】本願発明者らは、図42(a)及び(b)
に示すように、基本波の伝搬損失b1によるチューニン
グカーブの非対称性の発生と、高調波の伝搬損失b2に
よるチューニングカーブの非対称性の発生とが、逆の効
果を示すことに着目した。すなわち、伝搬損失を基本は
及び高調波の間で最適化すれば、チューニングカーブの
対称性を補正できると考えた。そこで、基本波及び高調
波の伝搬損失とチューニングカーブとの関係を様々に検
討した結果を、図43に示す。これより、基本波及び高
調波の伝搬損失b1及びb2がb2=2×b1なる関係
を満足するときに、基本波及び高調波の伝搬損失に関係
なく、基本波の波長に対して対称な形状を有するチュー
ニングカーブが実現できることを見いだした。このよう
に、基本波及び高調波の伝搬損失の関係を最適化するこ
とで、伝搬損失に起因して発生するチューニングカーブ
の非対称性を、ほとんど無視し得る程度まで小さくする
ことができる。
【0395】実際には、高調波の伝搬損失b2が6dB
/cm以下と小さい場合には、b2=0.5×b1〜
1.5×b1の範囲で、ほぼ対称なチューニングカーブ
が得られることが確認され、この範囲の伝搬損失を有す
る光波長変換素子を製作することが好ましいことが分か
った。
【0396】更に、上述したb2=2×b1なる関係
は、光波長変換素子における位相整合波長許容度の拡大
を目的としてピークフラットなチューニングカーブを得
るために見いだした条件であるが、位相整合条件を満足
する光波長変換素子においては、非常に重要な意味があ
る。
【0397】光波長変換素子の位相整合特性は、伝搬損
失によって大きな影響を受け、変換効率の低下の他に、
チューニングカーブの非対称性の発生など、素子設計が
複雑化する。例えば、上記の位相整合波長許容度の拡大
においても、設けるべき位相調整部の位置や大きさが、
伝搬損失の影響を受ける。その他に、光波長変換素子に
おいて、光の伝搬方向に機能素子を集積化する場合、例
えば、電極を集積化して光の強度を変調する場合やグレ
ーティング素子を集積化して高調波或いは基本波の一部
の回折を利用する場合には、得られる集積化素子の特性
は、基本波及び高調波の伝搬損失の影響を受ける。これ
は、光波長変換素子のどの位置に他の素子を集積化する
かによって、伝搬損失による基本波及び高調波の光強度
の関係が異なるからである。
【0398】また、結晶欠陥や屈折率の不均一性が存在
して伝搬定数が部分的に異なる部分が存在する場合や、
疑似位相整合型の素子において分極反転周期の欠陥や乱
れが存在する場合には、チューニングカーブが理論的な
形状を外れるが、この場合に見、基本波を入射部側から
入れる場合と出射部側から入れる場合とで、位相整合特
性が大きく異なる。この非可逆的な特性により、逆伝搬
時の素子特性は、性伝搬時の素子特性から大きく異な
る。例えば、共振構造内に光波長変換素子を挿入して高
効率の波長変換を行う共振器型の光波長変換素子や反射
型の光波長変換素子では、正方向と逆方向とでチューニ
ングカーブ特性が異なるために、変換効率の低下の大き
な原因となっていた。
【0399】これに対して、本発明に従って、光波長変
換素子の基本波及び高調波の伝搬損失b1及びb2が、
前述のb2=b1×2なる関係を満たせば、光波長変換
素子に機能素子を集積化する際に伝搬損失の影響を無視
することが可能になり、素子設計が非常に容易になる。
これは、基本波の伝搬損失が光波長変換特性に与える入
射光伝搬方向に沿った変化と、高調波の伝搬損失による
変化とが、お互いに相殺するためである。これによっ
て、光波長変換素子は、入射光の伝搬方向に対して可逆
的な特性を有して、逆方向の伝搬光を利用する場合で
も、欠陥や不均一性の影響をほとんど受けない光波長変
換素子が実現される。
【0400】以上の説明では、波長λの基本波を波長λ
/2の第2高調波に波長変換する構成において、伝搬損
失の最適関係を説明したが、同様に、3つの波長λ1、
λ2、及びλ3の光が関与するパラメトリック変換、和
周波発生や差周波発生においても、光の伝搬損失に最適
な関係が存在する。具体的には、各波長λ1、λ2、及
びλ3の伝搬損失がお互いに等しい場合に、伝搬損失に
よる素子特性の伝搬距離依存性が無視できる。従って、
3波長間の波長変換時には、各波長における伝搬損失を
等しくすることが好ましい。但し、各伝搬損失が6dB
/cm以下と比較的小さい場合には、各伝搬損失の間の
差が20%以内であれば、良好な特性が得られる。
【0401】(第13の実施形態)ここでは、半導体レ
ーザと光波長変換素子からなるコヒーレント光発生装置
(コヒーレント光源とも称する)において、常に安定な
出力特性の実現が可能な構造について述べる。
【0402】具体的には、本実施形態では、半導体レー
ザと光波長変換素子によりコヒーレント光源を構成する
場合に、光波長変換素子から出射する高調波出力を安定
化させるために、最低不可欠な光波長変換素子の波長許
容度及びチューニングカーブ特性を明らかにしている。
【0403】図44に、本実施形態によるコヒーレント
光源の構造を示す。この構成は、光波長変換素子621
と半導体レーザ622とから構成されて、光波長変換素
子621は、入射部623と出射部624を有する。半
導体レーザ622は、出射波長を可変できる機能を有し
ており、光波長変換素子621の位相整合条件を満足す
る波長に出射波長を合わせることで、出力の安定化を図
っている。
【0404】この様な構成において、光波長変換素子6
21から出射される高調波の出力安定化のために必要な
特性について、検討した。
【0405】半導体レーザの発振波長は、グレーティン
グフィードバックや波長フィルターを利用した光フィー
ドバックにより、可変できる。また、半導体レーザにお
ける光導波路の一部にDBRグレーティングを集積化
し、DBRグレーティングの反射波長を温度やプラズマ
効果を利用して可変することによっても、半導体レーザ
の発振波長を可変することが可能である。しかし、半導
体レーザは、半導体レーザの共振器構造に起因する縦モ
ード間隔でしか発振しないため、その発振波長は、飛び
飛びの発振波長でのみ可変となる。例えば、0.1nm
程度の間隔で、発振波長を制御できる。
【0406】一方、光波長変換素子は、通常、波長許容
度の非常に狭い特性を有する。例えば、素子長10mm
のLiNbO3で作製した導波路型光波長変換素子など
では、0.1nm以下の半値全幅を有する。このときの
光波長変換素子の位相整合特性と、半導体レーザの発振
波長との関係を、図45(a)及び(b)に模式的に示
す。図45(a)及び(b)において、625は半導体
レーザの発振モード(縦モード)であり、626が光波
長変換素子のチューニングカーブである。
【0407】図45(a)においては、チューニングカ
ーブ626のピークと半導体レーザの発振モード625
が重なっている。この場合、半導体レーザの縦モード6
25をチューニングカーブ626のピークの位置に調整
することで、最大の高調波出力が得られる。ところが、
図45(b)に示すように、チューニングカーブ626
のピークが半導体レーザの縦モード625の中央近傍に
位置する場合、半導体レーザの発振波長を調整しても、
高調波の出力を最大にすることができなくなる。従っ
て、このようなコヒーレント光源においては、半導体レ
ーザの波長を調整しても、安定な高調波出力が得られな
い。
【0408】これを解決するには、光波長変換素子のチ
ューニングカーブの平坦部分が、少なくとも半導体レー
ザの縦モード625の間隔より広いことが要求される。
チューニングカーブの平坦部分が半導体レーザの縦モー
ド625の間隔より広い場合、すなわち、図46(a)
及び(b)に示すチューニングカーブ636の場合に
は、チューニングカーブ636のピークと半導体レーザ
の縦モード625との位置関係に関わらず、高調波の最
大出力が得られる。これによって、半導体レーザの波長
を可変することで、出力の安定化を図ることができる。
【0409】次に、半導体レーザからの出力を変調し、
コヒーレント光源から出射する高調波出力を変調するこ
とを試みた。その結果、半導体レーザの発振波長のチャ
ーピングの問題が明らかになった。半導体レーザのチャ
ーピングとは、半導体レーザの出力を変調すると、出力
強度に比例して半導体レーザの活性層の温度が変化し、
これによって、半導体レーザの発振波長が変動する現象
である。
【0410】例えば、図47(a)に示すように、半導
体レーザの出力を一定の状態Aから特定の周波数で変調
する状態Bにすると、状態Aと状態Bでは、平均の光強
度が異なる。これによって、状態A及びBで、半導体レ
ーザ活性層の温度が異なり、発振波長は、状態Aから状
態Bに変わった瞬間に、数10μsオーダで変化する。
このときのコヒーレント光源からの高調波出力をモニタ
ーすると、図47(b)に示すように、出力が徐々に変
化する。
【0411】これに対して、先に図46(b)に示した
ように半導体レーザの縦モード間隔より広い波長許容度
を有する光波長変換素子を用いて半導体レーザの変調特
性を測定したところ、図47(c)に示すように、安定
な変調特性が得られた。この特性を更に分析すると、半
導体レーザの発振波長のチャーピング波長は、最大で、
半導体レーザの縦モード間隔だけ変化することを見出し
た。すなわち、光フィードバックで半導体レーザの発振
波長を安定化させても、半導体レーザの活性層の温度が
変化することで、発振モードの波長が変動する。このた
めに、発振波長が、最大で縦モード間隔だけ変動する。
これを安定化させるためには、光波長変換素子のチュー
ニングカーブがピーク近傍で平坦部を有し、かつ平坦部
が半導体レーザの縦モード間隔より大きいことが重要で
あることが分かった。
【0412】ここで注意しなければならないのは、光波
長変換素子における波長許容度と変換効率とが、トレー
ドオフの関係にあることである。すなわち、波長許容度
を増大させるに従って、光波長変換素子の変換効率は低
下する。従って、光波長変換素子の波長許容度の拡大
は、必要最小限にとどめる必要がある。
【0413】以上の結果、半導体レーザの波長を制御し
てコヒーレント光源を安定化させるには、光波長変換素
子のチューニングカーブがピーク近傍で平坦であり、か
つ平坦な部分が半導体レーザの縦モード間隔より大きい
必要がある。チューニングカーブの平坦性は、コヒーレ
ント光源に要求される出力変動の範囲に依存する。通常
のレーザ光源では5%程度の出力変動が許されるが、こ
のような場合には、半導体レーザの縦モード間隔に相当
する波長範囲におけるチューニングカーブの平坦度は、
5%以下であればよい。一方、更に厳しい特性が要求さ
れる用途においては、より平坦なチューニングカーブが
要求される。
【0414】上記の検討結果に基づいて、先の実施形態
に示した光波長変換素子と半導体レーザによりコヒーレ
ント光源を構成し、出力の安定化実験を行った。しか
し、半導体レーザの波長調整することで光波長変換素子
の位相整合波長に一致させ、高調波出力の安定化を図っ
たところ、出力が大きく変動し、設計通りの安定化が得
られない場合があることが明らかになった。そこで、高
調波出力変動の要因について更に検討を行うため、図4
8に示すように、基本波の波長を連続的に変化させて、
高調波出力の変化を観測した。
【0415】その結果、光波長変換素子の許容度の範囲
で、高調波出力が細かく変動していることが明らかにな
った。この原因を検討したところ、基本波及び高調波が
光波長変換素子の入射部端面及び出射部端面でフレネル
反射し、この光が互いに干渉することで、高調波出力を
不安定にしていることが明らかになった。すなわち、入
射部及び出射部における端面反射光が互いに干渉し、か
つ波長の変化により光波長変換素子の光路長が変化する
ことで、端面反射光の干渉度合いが変化して、出力を不
安定にしている。更に、基本波出力を変調して高調波の
出力を変調する場合にも、同様の出力変動が観測され
た。
【0416】このように、半導体レーザを変調すると、
半導体レーザの波長が変化するため、波長許容度を拡大
した光波長変換素子を用いても出力の安定化が難しく、
高調波の雑音レベルを大幅に増大させる。この問題を解
決するためには、端面反射による干渉を防止する方法と
して、入射部または出射部の少なくとも何れか一方に、
高調波及び基本波に対する反射防止膜を形成する。端面
に反射防止膜を堆積することでフレネル反射を防止し、
端面反射による干渉効果を低減できる。その結果、非常
に安定な出力特性を有するコヒーレント光源を実現でき
る。
【0417】更に、基本波に対する反射防止膜は、入射
部及び出射部ともに形成するのが望ましい。半導体レー
ザでは、外部に出射した光が再び活性層内に戻ること
で、雑音の増大や出力の変動などの問題が発生する。こ
れを防止するために、基本波に対する反射防止膜は、出
射部及び入射部の両方に形成することが望ましい。一
方、高調波に対する反射防止膜は、入射部または出射部
のどちらか一方でよいが、出射部に形成するのが望まし
い。これは、出射部に高調波の反射防止膜を形成するこ
とで、端面のフレネル反射による損失を防止し、より高
出力の高調波を得ることができるためである。
【0418】従って、望ましい構成としては、出射部に
は、基本波及び高調波ともに反射防止効果を有する反射
防止膜を形成し、入射部には、基本波に対する反射防止
膜を形成する。
【0419】入射部及び出射部における端面反射の干渉
効果により高調波出力が不安定になる問題を解決する他
の方法として、半導体レーザの駆動電流に高周波を重畳
する方法がある。
【0420】端面反射光が干渉を起こす原因として、光
のコヒーレンスが高いために、互いに光が干渉しあうこ
とがある。そこで、この点を克服するために、コヒーレ
ンスを低下させて、干渉度を低減させることが考えられ
る。これは、半導体レーザの駆動電流を高い周波数で変
調することでコヒーレンスを低下させる方法であって、
数100MHz以上の高い周波数で変調を加える。この
とき、半導体レーザの発振波長がシングルモードからマ
ルチモードになって広がるが、このようなマルチモード
化は、DBRグレーティング等を用いて強い光フィード
バックを活性層内に帰還することで、防止できる。
【0421】このように、半導体レーザに高周波を重畳
することで、端面干渉を低減して、高調波出力の安定性
を確保することができる。
【0422】更に、高周波重畳には、光波長変換素子の
効率を大幅に増大させるという特徴がある。光波長変換
素子の効率は、基本波のパワーに比例して増大する。半
導体レーザを高周波重畳で駆動すると、尖塔値の高いパ
ルス列発振となり、各ピークの値が数倍から10倍以上
に増加する。このため、高強度のパルス光の波長変換と
なり、変換効率が大幅に増大する。実験では、2〜3倍
以上の変換効率向上が観測された。この点からも、高周
波重畳した半導体レーザを用いることは、有効である。
【0423】更に、高周波重畳によって半導体レーザの
発振波長の幅がわずかに広がる場合にも、波長許容度を
拡大した光波長変換素子においては、半導体レーザの発
振波長より広い波長許容度を実現することができるた
め、全ての光を効率よく波長変換することが可能とな
り、高効率で光波長変換が行える。
【0424】(第14の実施形態)ここでは、半導体レ
ーザと光波長変換素子とから構成されるコヒーレント光
源において、半導体レーザの発振波長と光波長変換素子
の位相整合波長との間のずれを検出するための構成を説
明する。具体的には、光波長変換素子からの高調波出力
の散乱光を検出して、光波長変換素子の位相整合状態を
検出する。
【0425】波長可変型半導体レーザと光波長変換素子
とを用いてコヒーレント光源を構成し、安定した出力を
得るためには、半導体レーザの発振波長が、光波長変換
素子の位相整合波長に一致している必要がある。更に、
出力の安定化のためには、半導体レーザの発振波長と光
波長変換素子の位相整合波長との間のずれを常にモニタ
して、検出結果を半導体レーザの発振波長にフィードバ
ックし、ずれを低減する必要がある。更に、両者のずれ
が大きくなって高調波出力がほとんど0になった場合に
は、位相整合波長を探して、半導体レーザの発振波長を
再び位相整合波長に固定する必要がある。本実施形態で
は、上記のような半導体レーザの発振波長と光波長変換
素子の位相整合波長との間のずれを検出する構成を、説
明する。
【0426】図49には、本発明によるコヒーレント光
源の構成を示す。波長可変半導体レーザ631の光(基
本波)606は光波長変換素子632に入射して、高調
波633に変換される。高調波633の出力の強度は、
出射部近傍に配置された光検出器634で検出され、一
方、光波長変換素子632からの高調波の散乱光は、フ
ィルタ635を介して光検出器639で検出される。
【0427】光波長変換素子の内部における光伝搬距離
と高調波強度との関係を図50を、参照して説明する。
図50の曲線aは、半導体レーザの発振波長と光波長変
換素子の位相整合波長とが一致している場合、曲線b
は、両者がわずかにずれた場合、曲線cは、両者が大き
くずれた場合の特性である。図49の構成では、光検出
器634及び639のそれぞれにおける検出レベルの差
分から、光波長変換素子の位相整合状態を知ることでき
る。更に、光波長変換素子632からの高調波の散乱光
を検出する光検出器639を複数設ければ、位相整合状
態を更に正確に精確に測定できる。位相整合状態を測定
して、その結果を半導体レーザの発振波長にフィードバ
ックすることで、図50に曲線aにて示される最適な位
相整合状態を常に実現して、コヒーレント光源の出力の
安定化を実現することができる。
【0428】次に、先の実施形態で説明した位相調整部
を有する光波長変換素子の用いたコヒーレント光源にお
いて、出力安定化を達成できる構成について、図51を
参照して説明する。図51の構成では、半導体レーザの
発振波長と光波長変換素子の位相整合波長との間のずれ
の大きさと方向とを、同時に検出することができる。
【0429】この構成では、波長可変半導体レーザ63
1の光(基本波)606は光波長変換素子632に入射
して、高調波633に変換される。高調波633の出力
の強度は、出射部近傍に配置された光検出器634で検
出され、一方、光波長変換素子632からの高調波の散
乱光は、フィルタ635を介して光検出器639で検出
される。
【0430】図51の構成が、図49の構成から異なっ
ている点は、光波長変換素子632が位相調整部637
を有し、散乱光を検出するための光検出器639が位相
調整部637の近傍に配置されている点である。
【0431】図49の構成では、図50に曲線bで示さ
れるように、半導体レーザの発振波長と光波長変換素子
の位相整合波長とが最適状態(曲線a)からわずかにず
れたときに、最適状態(曲線a)に戻すために、半導体
レーザの発振波長を長波長側に調整すればよいのか或い
は短波長側に調整すればよいのかが、決定できない。こ
のため、ずれが発生したときに瞬時に調整することがで
きないので、半導体レーザの発振波長を長波長側及び短
波長側の両方に変化させて、得られる高調波出力が大き
くなる方を選択して調整していく必要があり、調整に時
間を有するという問題点がある。
【0432】これに対して、図51の構成に含まれる光
波長変換素子の位相整合特性(チューニングカーブ)を
図52(a)に、また、図52(a)にA〜Eとして示
した各波長における光伝搬距離と高調波強度との関係
を、図52(b)に示す。これより、チューニングカー
ブのピークフラット部分においても、図52(b)の特
性が大きく異なっている。そこで、例えば出射端近傍で
の高調波強度P21と、それより手前に位置する位相調
整部近傍での高調波強度P22とを測定し、両者を比較
すれば、位相整合波長ではP21=P22となり、P2
1>P22であれば基本波波長>高調波波長であり、P
21<P22であれば基本波波長<高調波波長である。
これより、位相調整部に光検出器を接地することによっ
て、半導体レーザの発振波長と光波長変換素子の位相整
合波長との間のずれの大きさと、その方向(どちらが大
きくなっているか)とを、同時に且つ精確に検出するこ
とができる。従って、この結果を半導体レーザにフィー
ドバックして、その発振波長(出射光の波長)を制御す
れば、常に最適な位相整合状態を保つことができる。
【0433】なお、上記の説明における出射部近傍での
光検出器634での高調波の検出は、光波長変換素子か
ら出射される高調波を直接に測定しても、或いはその散
乱光を検出しても、どちらでも良い。
【0434】また、上記の説明では、高調波成分に関す
る測定(散乱光の検出)を行っているが、これに代えて
基本波成分に関する測定を行っても、位相整合状態を同
様に観察することができる。基本波成分による測定時に
は、上記の高調波成分に関する場合とは逆の傾向が見ら
れ、高調波出力が増大する部分では基本波は減衰し、高
調波出力が減衰する部分では基本波は増大する。基本波
は高調波に比べて出力レベルが大きいので、観測が容易
である。
【0435】なお、上記の説明では、バルク型光学結晶
を使用して光波長変換素子を構成しているが、周期状分
極反転構造が形成されている光波長変換素子を用いて
も、同様の特性が得られる。
【0436】(第15の実施形態)ここでは、光波長変
換素子を用いたコヒーレント光発生装置について述べ
る。
【0437】前述した実施形態による光波長変換素子の
構成により、高効率で安定な光波長変換素子の実現が可
能となる。そこで、本光波長変換素子を用いたコヒーレ
ント光発生装置として、短波長光源の作製を試みた。こ
の短波長光源は、波長850nm帯の半導体レーザと、
集光光学系と、光波長変換素子より構成され、半導体レ
ーザから出射された光を、集光光学系により光波長変換
素子の導波路端面に集光し、導波モードを励起する。光
波長変換素子の他の導波路端面より、波長変換されたS
HG光が出射する。
【0438】本発明によって変換効率が高い光波長変換
素子が実現したため、上記のような構成を有する本実施
形態の短波長光源(コヒーレント光発生装置)では、出
力100mW程度の半導体レーザを用いて、10mWの
青色SHG光が得られた。また、用いた波長変換素子は
波長許容度が拡大されており、かつフラットなチューニ
ング特性を有するため、波長変動に対して安定な出力特
性が得られる。この結果、出力変動を5%以下に抑える
ことができる。
【0439】400nm帯の波長は、印刷製版、バイオ
エンジニアリング、蛍光分光特性などの特殊計測分野
や、光ディスク分野など、広い応用分野において望まれ
ている。本発明の光波長変換素子を用いた短波長光源
は、出力特性及び動作安定性の両面から、これらの応用
分野での実用化が可能である。
【0440】なお、本実施の形態では、半導体レーザの
光を集光光学系を用いて光導波路に結合させたが、半導
体レーザと光導波路を直接結合させることも可能であ
る。具体的には、TEモード伝搬の光導波路を用いる
と、光導波路内の電界分布を、半導体レーザの導波モー
ドと等しくすることが可能となるため、集光レンズなし
でも高効率で結合できる。実験では、結合効率80%で
直接結合が可能であり、レンズ結合とほぼ同等の結合特
性が得られることを確認した。直接結合を用いると、小
型で低価格の光源が実現でき、有望である。
【0441】更に、パラメトリック発振を利用しても、
波長可変レーザの可変波長領域の拡大が可能である。
【0442】周期状の分極反転構造を有する光波長変換
素子とレーザ光源を用いれば、パラメトリック発振が可
能である。パラメトリック発振によれば、波長λ3の基
本波を入力すると、1/λ3=1/λ1+1/λ2の関
係を満足する波長λ2のシグナル光及び波長λ1のアイ
ドラー光を発生することが可能である。これより、波長
λ3の基本波を用いて、上記の条件を満足する波長を有
する光を、波長可変しながら出力することができて、波
長可変なレーザ光源が実現できる。
【0443】このようなパラメトリック発振を可能にす
る構成において、本発明の光波長変換素子を用いれば、
広い波長許容度を有する光波長変換素子が実現できるた
め、安定な出力を得ることができる。
【0444】更に、従来のパラメトリック発振で問題と
なっていた波長可変範囲の拡大を、実現できる。
【0445】周期Λの分極反転構造を用いてパラメトリ
ック発振を行った場合、Λ=2mπ/(β3−β1−β
2)の関係を満足する波長λ1の光と波長λ2の光が発
生可能である。しかし、従来技術では、Λの条件を満足
する波長許容度が狭いため、同一の周期構造内で発生条
件を満足する波長の条件が狭く、波長可変の範囲が極端
に狭いという問題があった。これに対して、本発明の光
波長変換素子を用いると、位相整合波長許容度の拡大
が、ピークフラットなチューニングカーブで実現する。
これによって基本波の波長変動に対する許容度が拡大さ
れるが、パラメトリック発振の場合は、シグナル光及び
アイドラー光に対する波長許容をも、拡大することが可
能となる。従って、従来の光波長変換素子では難しかっ
た出力波長の可変波長範囲を、大幅に拡大できる。
【0446】更に、ピークフラットなチューニングカー
ブを有しているため、出力強度をほぼ一定に保ったまま
で、発振波長を可変できる。
【0447】(第16の実施形態)ここでは、本発明に
よって構成される光情報処理装置について、説明を行
う。
【0448】図53に、本発明の光情報処理装置の構成
を示す。図53において、先の実施形態に示した特徴を
有するコヒーレント光発生装置640から出た出力10
mWのビームは、ビームスプリッタ641を透過し、レ
ンズ642により、情報再生媒体である光ディスク64
3に照射される。光ディスク643からの反射光は、逆
にレンズ642によりコリメートされ、ビームスプリッ
タ641で反射されて、光検出器644で信号が読みと
られる。更に、コヒーレント光発生装置640の出力を
強度変調することで、光ディスク643に情報を書き込
むことができる。
【0449】本発明によれば、コヒーレント光発生装置
640を構成する光波長変換素子の許容度が拡大されて
いるので、出力の安定化が図れて、外部の温度変化に対
しても5%以下の出力変動に抑えることができる。
【0450】更に、高出力の青色光の発生が可能となる
ため、読み取りだけでなく、上記のように、光ディスク
643へ情報を書き込むことも可能となる。また、半導
体レーザを基本波光源として用いることで、非常に小型
になるため、民生用の小型の光ディスク読み取り/記録
装置にも利用できる。
【0451】光ディスク643への書き込みには出力を
変調する必要があるが、本発明の光情報処理装置では、
半導体レーザの出力強度を変調することで、コヒーレン
ト光発生装置640からの出力変調を行っている。半導
体レーザの波長を変調すると発振波長が変動するが、前
述のように、光波長変換素子がフラットピークな位相整
合特性を有するために、半導体レーザの変調による高調
波出力の不安定性は発生しない。その結果、安定な変調
出力特性が得られて、低ノイズの特性が実現される。
【0452】更に、光波長変換素子の光導波路幅を最適
化することで、出力ビームのアスペクト比の最適化が行
える。例えば、光導波路上に光導波路幅より狭い高屈折
率層を有する導波路構造を設けることで、出射ビームの
アスペクト比を1:1に近づけることが可能となる。こ
れによって、ビーム成形プリズムなどを用いずに光ピッ
クアップの集光特性を向上させることが可能になって、
高い伝達効率、優れた集光特性、低価格化が実現でき
る。更に、ビーム成形時に発生する散乱光のノイズが低
減できて、ピックアップの簡素化が実現される。
【0453】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、光波長
変換素子と波長可変型半導体レーザとを組み合わせて構
成される短波長光源において、光波長変換素子は波長可
変型半導体レーザの出力光を基本波光として受け取り、
基本波光の波長に対する波長変換によって得られる高調
波光を出力し、且つ、光波長変換素子の高調波光の出力
特性は、最大出力の近傍で平坦部を有しており、波長可
変型半導体レーザの発振波長が光波長変換素子の該出力
特性の平坦部に固定されるように、波長可変型半導体レ
ーザの発振波長を可変するための注入電流を制御する。
これによって、得られる高調波光出力を一定に保持する
ことができる。
【0454】また、波長可変半導体レーザの発振波長が
上記特性の平坦部に固定されているので、高調波光出力
が一定になるように波長可変型半導体レーザの駆動電流
を制御する定出力駆動(APC駆動)が可能となる。
【0455】更に、光導波路に結合する基本波光出力を
一定になるように制御し、且つ波長可変型半導体レーザ
の発振波長が上記特性の平坦部に固定されるように波長
可変するための注入電流を制御することにより、環境温
度の変化に伴う温度変化を補償するための温度制御が実
施されない場合でも安定な高調波光出力が得られる短波
長光源が実現される。これによって、様々な分野への適
用が可能になり、大きな実用的効果が得られる。
【0456】また、本発明によれば、複数の非線形光学
結晶と各結晶間に設けた位相調整部とからなる光波長変
換素子において、位相調整部における基本波と高調波と
の間の位相差を変調することで、変換効率の低下を抑え
て、広い波長範囲において位相整合波長を可変すること
が可能となる。これによって、光波長変換素子の出力安
定化を図ることができるため、その実用効果は大きい。
【0457】また、本発明によれば、複数の非線形光学
結晶と各結晶間に設けた位相調整部とからなる光波長変
換素子において、各非線形光学結晶の位相整合条件をお
互いに等しくすることで、光波長変換素子の位相整合波
長許容度を大幅に拡大し、且つピークフラットな位相整
合特性(チューニングカーブ)を実現できる。これによ
って、光波長変換素子の出力安定化を図ることができる
ため、その実用効果は大きい。
【0458】光波長変換素子が周期状分極反転構造を有
する場合には、周期状分極反転構造をお互いに等しい周
期を有する複数の領域に分割し、その分割された領域の
間に位相調整部を挿入することで、光波長変換素子の位
相整合波長許容度を大幅に拡大し、且つピークフラット
な位相整合特性(チューニングカーブ)を実現できる。
これによって、光波長変換素子の出力安定化を図ること
ができるため、その実用効果は大きい。
【0459】また、本願発明では、光波長変換素子にお
ける基本波の伝搬損失と高調波の伝搬損失との関係を最
適化することで、伝搬損失によって発生していた伝搬長
に対する光波長変換素子の位相整合特性(チューニング
カーブ)の変動を、大幅に低減できることを見いだし
た。これによって、光波長変換素子の設計が容易になる
とともに、光波長変換素子に集積化される機能素子の特
性に対する伝搬損失の影響を、大きく低減させる。更
に、光波長変換素子の入出力特性における伝搬方向可逆
性が実現されるので、可逆特性を利用した共振器型光波
長変換素子や反射型光波長変換素子における効率を、大
きく改善することができる。
【0460】更に、光波長変換素子と半導体レーザとに
より構成するコヒーレント光発生装置(コヒーレント光
源)における出力安定化が、実現される。光波長変換素
子の位相整合波長を可変して、半導体レーザの発振波長
に合わせることが可能となるので、高出力のコヒーレン
ト光源が得られて、その実用効果は大きい。
【0461】或いは、光波長変換素子の位相整合波長許
容度を半導体レーザの縦モード間隔よりも広く設定し、
且つ位相整合波長許容度内でチューニングカーブがピー
クフラットな形状を有するように構成することで、半導
体レーザの発振波長を光波長変換素子の位相整合波長許
容度内に常に安定して設定することが可能になる。この
結果、コヒーレント光の出力変動が抑制されて、安定し
て出力特性を有するコヒーレント光源が提供される。
【0462】また、本発明によれば、光波長変換素子と
半導体レーザとにより構成するコヒーレント光発生装置
(コヒーレント光源)において、光波長変換素子による
高調波の散乱光を検出して、これに基づいて、半導体レ
ーザの発振波長と光波長変換素子の位相整合波長との間
のずれを検出することができる。この検出されたずれを
半導体レーザにフィードバックして、半導体レーザの発
振波長を光波長変換素子の位相整合波長に一致させるこ
とで、コヒーレント光源の出力を常に安定させることが
可能になる。
【0463】更に、本発明に従って構成される位相調整
部を有する光波長変換素子を用いれば、半導体レーザの
発振波長と光波長変換素子の位相整合波長との間のずれ
の大きさ及び方向を、同時に検出できる。従って、フィ
ードバックによる波長安定化が更に容易になって、短時
間での波長安定化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光波長変換素
子の構成を模式的に示す図である。
【図2】(a)は、位相調整部を有さない従来の光波長
変換素子における高調波光出力特性のシミュレーション
結果を示す図であり、(b)は、図1に示す本発明の光
波長変換素子における高調波光出力特性のシミュレーシ
ョン結果を示す図である。
【図3】(a)は、2分割構造を有する本発明の分極反
転型光波長変換素子の構成を模式的に示す図であり、
(b)は、3分割構造を有する本発明の分極反転型光波
長変換素子の構成を模式的に示す図である。
【図4】(a)は、2分割構造を有する本発明の分極反
転型光波長変換素子における高調波光出力特性のある測
定結果を示す図であり、(b)は、3分割構造を有する
本発明の分極反転型光波長変換素子における高調波光出
力特性のある測定結果を図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における短波長光源の
構成を模式的に示す図である。
【図6】波長可変型DBR半導体レーザのDBR部への
注入電流と発振波長との関係を示す図である。
【図7】(a)及び(b)は、波長可変型DBR半導体
レーザの発振波長と従来の光波長変換素子の高調波光出
力特性との関係を示す図である。
【図8】(a)及び(b)は、波長可変型DBR半導体
レーザの発振波長と本発明の光波長変換素子の高調波光
出力特性との関係を示す図である。
【図9】制御回路が付加された本発明の短波長光源の構
成を説明するためのブロック図である。
【図10】図9の構成に対して高調波光出力の安定化の
ために実施される制御方法を説明するフローチャート図
である。
【図11】(a)〜(d)は、波長可変型DBR半導体
レーザのDBR部への注入電流に対する高調波光出力特
性を示す図である。
【図12A】本発明の第3の実施形態における短波長光
源の構成を模式的に示す図である。
【図12B】本発明の第4の実施形態における短波長光
源の構成を模式的に示す図である。
【図13】図12Aの構成に対して高調波光出力の安定
化のために実施される制御方法を説明するフローチャー
ト図である。
【図14】図12Bの構成に対して高調波光出力の安定
化のために実施される制御方法を説明するフローチャー
ト図である。
【図15】従来のある短波長光源の構成を模式的に示す
図である。
【図16】(a)及び(b)は、従来技術における波長
可変型DBR半導体レーザの発振波長と光波長変換素子
の高調波光出力特性との関係を示す図である。
【図17】波長可変型DBR半導体レーザの発振波長及
び光波長変換素子の位相整合波長の温度依存性を表す図
である。
【図18】本発明の第5の実施形態において、図12B
の構成に対して高調波光出力の安定化のために実施され
る制御方法を説明するフローチャート図である。
【図19】本発明の第5の実施形態の短波長光源を利用
して構成された、相変化型光ディスクを用いた情報記録
再生システムの構成を模式的に示す図である。
【図20】本発明の第5の実施形態の短波長光源を利用
して構成された、フォトプリンタシステムの構成を模式
的に示す図である。
【図21】(a)は、本発明の第6の実施形態における
光波長変換素子の構成を示す斜視図であり、(b)は、
(a)の光波長変換素子における位相整合特性を表す図
である。
【図22】図21(a)の光波長変換素子における位相
整合特性の変化を示す図である。
【図23】本発明の第6の実施形態における光波長変換
素子の構成を示す斜視図である。
【図24】本発明の第6の実施形態の光波長変換素子に
おける、位相調整部の数の変化に伴う位相整合特性の変
化を示す図である。
【図25】位相シフト構造の光波長変換素子における位
相整合特性を表す図である。
【図26】(a)は、位相シフト構造の光波長変換素子
における不均一な位相整合特性として、ピークフラット
部が傾いている場合を表す図であり、(b)は、位相シ
フト構造の光波長変換素子における不均一な位相整合特
性として、ピークフラット部に2つのピークが存在して
いる場合を表す図である。
【図27】本発明の第8の実施形態における光波長変換
素子の構成を示す斜視図である。
【図28】(a)は、図27の構成でヒータに温度を加
えない場合の位相整合特性を表す図であり、(b)は、
図27の構成でヒータの温度を調節する場合の位相整合
特性を表す図である。
【図29】本発明の第8の実施形態における他の光波長
変換素子の構成を示す斜視図である。
【図30】本発明のコヒーレント光発生装置の構造を示
す図である。
【図31】(a)は、光波長変換素子のチューニングカ
ーブの最大値と半導体レーザの発振波長とが一致してい
る場合の、半導体レーザの発振波長と位相整合特性の関
係を表す図であり、(b)は、発振波長がチューニング
カーブの最大値近傍からずれた場合における、半導体レ
ーザの発振波長と位相整合特性の関係を表す図である。
【図32】本発明の光情報処理装置の構成図である。
【図33】従来の光波長変換素子の構成図である。
【図34】従来の光波長変換素子の構成図である。
【図35】(a)は、従来の2分割構造光波長変換素子
における位相整合特性を表す図であり、(b)は、従来
の3分割構造光波長変換素子における位相整合特性を表
す図である。
【図36】本発明による光波長変換素子の具体的な構造
を示す図である。
【図37】(a)は、位相調整部を有さない従来の光波
長変換素子における高調波光出力特性のシミュレーショ
ン結果を示す図であり、(b)は、位相整合条件が異な
る結晶を組み合わせて構成した従来の光波長変換素子に
おける高調波光出力特性のシミュレーション結果を示す
図であり、(c)は、図36に示す本発明の光波長変換
素子における高調波光出力特性のシミュレーション結果
を示す図である。
【図38】(a)は、2分割構造の光波長変換素子を示
す図であり、(b)は、(a)の素子で得られるチュー
ニングカーブを描いた図である。
【図39】(a)は、2分割構造の光波長変換素子にお
ける素子全長に対する一方の結晶の長さの割合とチュー
ニングカーブのピーク近傍部分の凹部の大きさ及び波長
許容度の関係を示し、(b)は、2分割構造の光波長変
換素子における素子全長に対する素子長の割合をパラメ
ータとした幾つかのチューニングカーブを示す図であ
る。
【図40】(a)は、3分割構造の光波長変換素子にお
ける素子全長に対する一方の結晶の長さの割合とチュー
ニングカーブのピーク近傍部分の凹部の大きさ及び波長
許容度の関係を示し、(b)は、3分割構造の光波長変
換素子における素子全長に対する素子長の割合をパラメ
ータとした幾つかのチューニングカーブを示す図であ
る。
【図41】疑似位相整合型の本発明の光波長変換素子の
構成を示す図である。
【図42】(a)は、基本波の伝搬損失のみが存在する
場合の光波長変換素子のチューニングカーブの計算結果
を示す図であり、(b)は、高調波の伝搬損失のみが存
在する場合の光波長変換素子のチューニングカーブの計
算結果を示す図である。
【図43】基本波及び高調波の伝搬損失とチューニング
カーブとの関係を示す図である。
【図44】本発明のコヒーレント光発生装置の構造図で
ある。
【図45】(a)は、光波長変換素子のチューニングカ
ーブの最大値と半導体レーザの発振波長とが一致してい
る場合の、半導体レーザの発振波長と位相整合特性の関
係を表す図であり、(b)は、発振波長がチューニング
カーブの最大値近傍からずれた場合における、半導体レ
ーザの発振波長と位相整合特性の関係を表す図である。
【図46】(a)は、本発明のコヒーレント光発生装置
において、光波長変換素子のチューニングカーブの最大
値と半導体レーザの発振波長とが一致している場合の、
半導体レーザの発振波長と位相整合特性の関係を表す図
であり、(b)は、本発明のコヒーレント光発生装置に
おいて、発振波長がチューニングカーブの最大値近傍か
らずれた場合における、半導体レーザの発振波長と位相
整合特性の関係を表す図である。
【図47】(a)は、コヒーレント光発生装置における
基本波の変調出力を示す図であり、(b)は、従来の光
波長変換素子を用いたコヒーレント光発生装置の出力変
動を示す図であり、(c)は、本発明の光波長変換素子
を用いたコヒーレント光発生装置の出力変動を示す図で
ある。
【図48】コヒーレント光発生装置の基本波波長を変化
させた場合の出力特性を表す図である。
【図49】本発明の第14の実施形態におけるコヒーレ
ント光源の構成を示す図である。
【図50】光波長変換素子の内部における光伝搬距離と
高調波強度との関係を示す図である。
【図51】本発明の第14の実施形態におけるコヒーレ
ント光源の他の構成を示す図である。
【図52】(a)は、図51の構成に含まれる光波長変
換素子の位相整合特性を示す図であり、(b)は、
(a)に示す複数の波長における光伝搬距離と高調波強
度との関係を示す図である。
【図53】本発明の光情報処理装置の構成図である。
【符号の説明】
1、2、3 非線形光学結晶 4、5 位相調整部 6 基本波光 7 高調波光 100 光波長変換素子 8、9 分極反転領域 10 位相調整部 11、12、13 分極反転領域 14、15 位相調整部 16、17 光導波路 110、120 光波長変換素子 18 光波長変換素子 19 波長可変型DBR半導体レーザ 20 電子冷却素子 21 モジュール 22 コリメートレンズ 23 フォーカスレンズ 201 サーミスタ 150 短波長光源 24 短波長光源 25 光検出器 26 制御回路 27 波長可変型DBR半導体レーザ 28 光波長変換素子 29 モジュール 30 コリメートレンズ 31 フォーカスレンズ 32 波長選択ミラー 33 ビームスプリッタ 34 光検出器 35 光検出器 36 制御回路 37 サーミスタ 300、400 短波長光源 38 波長可変型DBR半導体レーザ 39 コリメートレンズ 40 フォーカシングレンズ 41 光波長変換素子 42 MgドープLiNbO3基板 43 プロトン交換光導波路 44 周期的分極反転領域 45 短波長光源 46 レンズ 47 偏光ビームスプリッタ 48 光検出器 49 対物レンズ 50 光ディスク 57 λ/4板 51 赤色レーザ光源 52 緑色コヒーレント光源 53 短波長ブルー光源 54 ポリゴンミラー 55 Fθレンズ 56 カラーペーパ 621 光波長変換素子 622 半導体レーザ 623 入射部 624 出射部 625 半導体レーザの発振モード(縦モード) 626 光波長変換素子のチューニングカーブ 636 本発明による光波長変換素子のチューニングカ
ーブ 606 基本波 631 半導体レーザ 632 光波長変換素子 633 高調波 634 光検出器 635 フィルタ 639 光検出器 640 コヒーレント光発生装置 641 ビームスプリッタ 642 レンズ 643 光ディスク 644 光検出器 1001 非線形光学結晶 1002 非線形光学結晶 1003 位相調整部 1006 液晶 1007 MgO:LiNbO3基板 1008 分極反転構造 1009 光導波路 1010 ヒータ 1011 位相調整部 1021 光波長変換素子 1022 半導体レーザ 1023 入射部 1024 出射部 1025 半導体レーザの縦モード 1026 光波長変換素子のチューニングカーブ 1640 コヒーレント光発生装置 1641 ビームスプリッタ 1642 レンズ 1643 光ディスク 1644 光検出器 1101 LiNbO3基板(非線形光学結晶) 1102 光導波路 1103 分極反転層 1105 分極反転領域 1106 位相調整部

Claims (77)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも光波長変換素子と波長可変型
    半導体レーザとを含み、 該光波長変換素子は、該波長可変型半導体レーザの出力
    光を基本波光として受け取り、該基本波光の波長に対す
    る波長変換によって得られる高調波光を出力し、且つ、
    該光波長変換素子の該高調波光の出力特性は、最大出力
    の近傍で平坦部を有しており、 該波長可変型半導体レーザの発振波長が、該光波長変換
    素子の該出力特性の該平坦部に固定されている、短波長
    光源。
  2. 【請求項2】 前記波長可変型半導体レーザの前記発振
    波長が前記光波長変換素子の前記出力特性の前記平坦部
    に固定されている間は、前記高調波光の出力レベルが一
    定値になるように、該波長可変型半導体レーザの駆動電
    流が制御される、請求項1に記載の短波長光源。
  3. 【請求項3】 前記波長可変型半導体レーザの前記発振
    波長を制御する制御回路と、 前記高調波光の出力を検出する光検出器と、を更に備え
    ており、 該制御回路は、該光検出器が検出する該高調波光の出力
    が前記出力特性における前記平坦部での出力レベルに保
    持されるように、該波長可変型半導体レーザの該発振波
    長を制御する、請求項1に記載の短波長光源。
  4. 【請求項4】 前記波長可変型半導体レーザの前記発振
    波長を制御する制御回路と、 前記高調波光の出力を検出する第1の光検出器と、 前記波長可変型半導体レーザの出力光を検出する第2の
    光検出器と、を更に備えており、 該制御回路は、該第2の光検出器が検出する該波長可変
    型半導体レーザの出力光が所定の一定値に保持されるよ
    うに、該波長可変型半導体レーザの駆動電流を制御し、
    且つ、該第1の光検出器が検出する該高調波光の出力が
    前記出力特性における前記平坦部での出力レベルに保持
    されるように、該波長可変型半導体レーザの該発振波長
    を制御する、請求項1に記載の短波長光源。
  5. 【請求項5】 前記波長可変型半導体レーザの前記発振
    波長を制御する制御回路と、 前記高調波光の出力を検出する光検出器と、を更に備え
    ており、 該波長可変型半導体レーザは、所定の値の電流によって
    定電流駆動され、 該光検出器が検出する前記高調波光の出力が、前記出力
    特性における前記平坦部での出力レベルに保持され、且
    つ、 該高調波光の出力が所定の一定値に保持されるように、
    該波長可変型半導体レーザの駆動電流が制御される、請
    求項1に記載の短波長光源。
  6. 【請求項6】 前記出力特性における前記平坦部が、前
    記波長可変型半導体レーザの前記駆動電流の増加時には
    前記高調波光の出力が増加し、且つ該波長可変型半導体
    レーザの該駆動電流の減少時には該高調波光の出力が減
    少する範囲である、請求項1に記載の短波長光源。
  7. 【請求項7】 前記波長可変型半導体レーザの前記発振
    波長の制御のために注入される注入電流の異なるレベル
    N及びIN+1(但し、IN+1>IN)に対して、波長変換
    により得られる前記高調波光の出力をそれぞれPN及び
    N+1とすれば、前記制御回路は、該注入電流の増加時
    に、(PN+1−PN)>0であり且つ(P N+1−PN)の絶
    対値が最大値となる該注入電流の異なるレベルIN及び
    N+1に対して、該注入電流をIdbr=IN+1+ΔIと
    なる値に設定し、これによって該波長可変型半導体レー
    ザの該発振波長を所定の値に固定する、請求項2に記載
    の短波長光源。
  8. 【請求項8】 前記波長可変型半導体レーザの前記発振
    波長の制御のために注入される注入電流の異なるレベル
    N及びIN+1(但し、IN+1>IN)に対して、波長変換
    により得られる前記高調波光の出力をそれぞれPN及び
    N+1とすれば、前記制御回路は、該注入電流の減少時
    に、(PN+1−PN)<0であり且つ(P N+1−PN)の絶
    対値が最大値となる該注入電流の異なるレベルIN及び
    N+1に対して、該注入電流をIdbr=IN−ΔIとな
    る値に設定し、これによって該波長可変型半導体レーザ
    の該発振波長を所定の値に固定する、請求項2に記載の
    短波長光源。
  9. 【請求項9】 前記光波長変換素子は、2つ以上の非線
    形光学結晶と、隣接する該非線形光学結晶の間に配置さ
    れた位相調整部と、を備えており、 前記基本波光が、該光波長変換素子の該非線形光学結晶
    により前記高調波光に波長変換され、 該非線形光学結晶の各々の位相整合条件が互いにほぼ等
    しい、請求項1に記載の短波長光源。
  10. 【請求項10】 2つの前記非線形光学結晶と1つの前
    記位相調整部とが設けられており、 該位相調整部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β2ω:該位相調整部における前記高調波光の伝搬定数 βω :該位相調整部における前記基本波の伝搬定数 なる関係を満足している、請求項9に記載の短波長光
    源。
  11. 【請求項11】 3つの前記非線形光学結晶と2つの前
    記位相調整部とが設けられており、 該位相調整部の各々の長さt1及びt2が t1=(2n+α1)π/(β2ω−2・βω) t2=(2m+α2)π/(β2ω−2・βω) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 m=0、1、2、3、……、 t1+t2=2Jπ/(β2ω−2・βω) J=0、1、2、3、……、 β2ω:該位相調整部における前記高調波光の伝搬定数 βω :該位相調整部における前記基本波の伝搬定数 なる関係を満足している、請求項9に記載の短波長光
    源。
  12. 【請求項12】 前記出力特性の前記平坦部の波長幅
    が、前記波長可変型半導体レーザの前記発振波長の縦モ
    ード間隔よりも広い、請求項1に記載の短波長光源。
  13. 【請求項13】 前記波長可変型半導体レーザが、少な
    くとも活性領域と分布ブラッグ反射(distributed Brag
    g reflector:DBR)領域とを含み、該活性領域及び該
    DBR領域の各々に独立した電極が設けられている、請
    求項1に記載の短波長光源。
  14. 【請求項14】 前記光波長変換素子が、周期的分極反
    転構造を有する擬似位相整合方式の光波長変換素子であ
    る、請求項1に記載の短波長光源。
  15. 【請求項15】 前記光波長変換素子が光導波路を有す
    る、請求項1に記載の短波長光源。
  16. 【請求項16】 前記光波長変換素子がLiTaxNb
    1-x3基板(0≦x≦1)の上に作製されている、請求
    項1に記載の短波長光源。
  17. 【請求項17】 前記波長可変型半導体レーザの駆動電
    流が変調されている、請求項1に記載の短波長光源。
  18. 【請求項18】 前記波長可変型半導体レーザは、外部
    反射鏡から特定波長の光が光帰還するように構成されて
    おり、該特定波長の光を可変することによって、該波長
    可変型半導体レーザの発振波長が可変される、請求項1
    に記載の短波長光源。
  19. 【請求項19】 請求項1に記載の短波長光源と、 集光光学系と、を備え、 該短波長光源から出射されるコヒーレント光を、該集光
    光学系により集光している、光情報処理装置。
  20. 【請求項20】 基本波と高調波とに対してほぼ等しい
    位相整合条件を有する2つ以上の非線形光学結晶と、 各々の該非線形光学結晶の間に配置された位相調整部
    と、を備え、 該位相調整部は、該非線形光学結晶とは異なる分散特性
    を有し、且つその屈折率或いは長さの少なくとも一方が
    変調可能であるように構成されている、光波長変換素
    子。
  21. 【請求項21】 非線形光学結晶と、 該非線形光学結晶の一部に形成した屈折率変調部と、を
    備え、 該屈折率変調部は、該非線形光学結晶の全長の1/2以
    下の長さの領域に形成されている、光波長変換素子。
  22. 【請求項22】 前記屈折率変調部とその他の部分の境
    界近傍に設けられた位相調整部を更に有し、該屈折率変
    調部の長さが前記非線形光学結晶の全長の15%〜40
    %である、請求項21に記載の光波長変換素子。
  23. 【請求項23】 前記非線形光学結晶として2つ以上の
    非線形光学結晶を有し、 該2つ以上の非線形光学結晶の間に位相調整部が配置さ
    れており、 前記屈折率変調部は該2つ以上の非線形光学結晶の何れ
    かに設けられていて、 該2つ以上の非線形光学結晶が互いにほぼ等しい位相整
    合条件を満足している、請求項21に記載の光波長変換
    素子。
  24. 【請求項24】 前記非線形光学結晶が周期状の分極反
    転構造を有している、請求項20或いは21に記載の光
    波長変換素子。
  25. 【請求項25】 前期非線形光学結晶の個数が3つ以上
    であって、該3つ以上の非線形光学結晶の互いの長さの
    差が40%以下である、請求項20或いは23に記載の
    光波長変換素子。
  26. 【請求項26】 前記位相調整部が液晶から構成されて
    いる、請求項20、22或いは23に記載の光波長変換
    素子。
  27. 【請求項27】 前記位相調整部が可塑性の材料により
    形成されており、該位相調整部の長さが微動台により調
    整されている、請求項20、22或いは23に記載の光
    波長変換素子。
  28. 【請求項28】 前記非線形光学結晶が光導波路を有
    し、該光導波路内で前記光の波長が変換されている、請
    求項20或いは21に記載の光波長変換素子。
  29. 【請求項29】 前記非線形光学結晶が共振器構造内に
    配置されている、請求項20或いは21に記載の光波長
    変換素子。
  30. 【請求項30】 請求項20或いは21に記載の光波長
    変換素子と、 レーザ光源と、を備え、 該レーザ光源の光が、該光波長変換素子により波長変換
    されている、コヒーレント光発生装置。
  31. 【請求項31】 前記レーザ光源は波長可変機能を有す
    る、請求項30に記載のコヒーレント光発生装置。
  32. 【請求項32】 前記光波長変換素子の位相整合波長の
    可変範囲が、前記レーザ光源の縦モード間隔より広い、
    請求項30に記載のコヒーレント光発生装置。
  33. 【請求項33】 前記レーザ光源は半導体レーザであ
    る、請求項30に記載のコヒーレント光発生装置。
  34. 【請求項34】 請求項30に記載のコヒーレント光発
    生装置と、 集光光学系と、を備え、 該コヒーレント光発生装置から出射されるコヒーレント
    光を、該集光光学系により集光している、光情報処理装
    置。
  35. 【請求項35】 2つ以上の非線形光学結晶と、隣接す
    る該非線形光学結晶の間に配置された位相調整部と、を
    備えており、 該非線形光学結晶の各々の位相整合条件が互いにほぼ等
    しい、光波長変換素子。
  36. 【請求項36】 前記非線形光学結晶の内部で基本波が
    高調波に変換され、該基本波の波長と該高調波の出力と
    の間の関係を示す特性曲線において、該高調波の出力の
    最大値近傍で、該特性曲線が平坦部を有している、請求
    項35に記載の光波長変換素子。
  37. 【請求項37】 前記非線形光学結晶の内部で波長λの
    基本波が波長λ/2の高調波に変換され、前記位相調整
    部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β2ω:該位相調整部における該高調波の伝搬定数 βω :該位相調整部における該基本波の伝搬定数 なる関係を満足している、請求項35に記載の光波長変
    換素子。
  38. 【請求項38】 前記非線形光学結晶の内部で波長λ1
    の第1の光及び波長λ2の第2の光と波長λ3の第3の
    光との間での波長変換が行われ、該各々の波長は、 1/λ3=1/λ1+1/λ2 なる関係を満たし、且つ、前記位相調整部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β3−β2−β1) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β1:該位相調整部における該第1の光の伝搬定数 β2:該位相調整部における該第2の光の伝搬定数 β3:該位相調整部における該第3の光の伝搬定数 なる関係を満足している、請求項35に記載の光波長変
    換素子。
  39. 【請求項39】 前記非線形光学結晶の数が2つで、前
    記αの値がα=0.9〜1.1の範囲にある、請求項3
    7に記載の光波長変換素子。
  40. 【請求項40】 前記非線形光学結晶の数が2つで、前
    記αの値がα=0.95〜1.05の範囲にある、請求
    項38に記載の光波長変換素子。
  41. 【請求項41】 3つの前記非線形光学結晶と2つの前
    記位相調整部とが設けられており、 該位相調整部の各々の長さt1及びt2が、 t1+t2=(2n+α)π/(β3−β2−β1) n=0、1、2、……、 なる関係を満足している、請求項38に記載の光波長変
    換素子。
  42. 【請求項42】 3つの前記非線形光学結晶と2つの前
    記位相調整部とが設けられており、 該位相調整部の各々の長さt1及びt2が、 t1+t2=2nπ/(β2ω−2・βω) n=0、1、2、……、 なる関係を満足している、請求項38に記載の光波長変
    換素子。
  43. 【請求項43】 前記位相調整部の各々の長さt1及び
    t2が、 t1=(2n+α1)π/(β2ω−2・βω) t2=(2n+α2)π/(β2ω−2・βω) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 なる関係を満足している、請求項42に記載の短波長光
    源。
  44. 【請求項44】 前記α1の値がα1=0.7〜1.3
    の範囲である、請求項43に記載の光波長変換素子。
  45. 【請求項45】 前記位相調整部の各々の長さt1及び
    t2が、 t1=(2n+α1)π/(β3−β2−β1) t2=(2n+α2)π/(β3−β2−β1) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 なる関係を満足している、請求項41に記載の短波長光
    源。
  46. 【請求項46】 前記α1の値がα1=0.7〜1.3
    の範囲である、請求項45に記載の光波長変換素子。
  47. 【請求項47】 前記非線形光学結晶が単一の結晶から
    なっており、前記位相調整部が該結晶の内部に設けられ
    ている、請求項35に記載の光波長変換素子。
  48. 【請求項48】 前記非線形光学結晶と前記位相調整部
    とがお互いに接着されている、請求項35に記載の光波
    長変換素子。
  49. 【請求項49】 非線形光学結晶と、該非線形光学結晶
    に形成され且つ2つ以上の領域に分割されている周期状
    分極反転構造と、該周期状分極反転構造の該分割された
    領域の間に配置されている位相調整部と、を備えてお
    り、 該周期状分極反転構造の周期が、該分割された領域の間
    でお互いにほぼ等しい、光波長変換素子。
  50. 【請求項50】 前記周期状分極反転構造の内部で基本
    波が高調波に変換され、該基本波の波長と該高調波の出
    力との間の関係を示す特性曲線において、該高調波の出
    力の最大値近傍で、該特性曲線が平坦部を有している、
    請求項49に記載の光波長変換素子。
  51. 【請求項51】 前記非線形光学結晶の内部で波長λの
    基本波が波長λ/2の高調波に変換され、 前記周期状分極反転構造の前記周期Λが、 Λ=2mπ/(β2ω−2・βω) m=1、2、3、……、 なる関係をほぼ満たし、 前記位相調整部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β2ω−2・βω) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β2ω:該位相調整部における該高調波の伝搬定数 βω :該位相調整部における該基本波の伝搬定数 なる関係を満足している、請求項49に記載の光波長変
    換素子。
  52. 【請求項52】 前記非線形光学結晶の内部で波長λ1
    の第1の光及び波長λ2の第2の光と波長λ3の第3の
    光との間での波長変換が行われ、該各々の波長は、 1/λ3=1/λ1+1/λ2 なる関係を満たし、 且つ、前記周期状分極反転構造の前記周期Λが、 Λ=2mπ/(β2ω−2・βω) m=1、2、3、……、 なる関係をほぼ満たし、 且つ、前記位相調整部の長さtが、 t=(2n+α)π/(β3−β2−β1) 但し、α=0.5〜1.5 n=0、1、2、……、 β1:該位相調整部における該第1の光の伝搬定数 β2:該位相調整部における該第2の光の伝搬定数 β3:該位相調整部における該第3の光の伝搬定数 なる関係を満足している、請求項49に記載の光波長変
    換素子。
  53. 【請求項53】 前記非線形光学結晶の数が2つで、前
    記αの値がα=0.9〜1.1の範囲にある、請求項5
    1に記載の光波長変換素子。
  54. 【請求項54】 前記非線形光学結晶の数が2つで、前
    記αの値がα=0.9〜1.1の範囲にある、請求項5
    2に記載の光波長変換素子。
  55. 【請求項55】 3つの前記非線形光学結晶と2つの前
    記位相調整部とが設けられており、 該位相調整部の各々の長さt1及びt2が、 t1+t2=(2n+α)π/(β3−β2−β1) n=0、1、2、……、 なる関係を満足している、請求項52に記載の光波長変
    換素子。
  56. 【請求項56】 3つの前記非線形光学結晶と2つの前
    記位相調整部とが設けられており、 該位相調整部の各々の長さt1及びt2が、 t1+t2=2nπ/(β2ω−2・βω) n=0、1、2、……、 なる関係を満足している、請求項51に記載の光波長変
    換素子。
  57. 【請求項57】 前記位相調整部の各々の長さt1及び
    t2が、 t1=(2n+α1)π/(β2ω−2・βω) t2=(2n+α2)π/(β2ω−2・βω) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 なる関係を満足している、請求項56に記載の短波長光
    源。
  58. 【請求項58】 前記α1の値がα1=0.7〜1.3
    の範囲である、請求項57に記載の光波長変換素子。
  59. 【請求項59】 前記位相調整部の各々の長さt1及び
    t2が、 t1=(2n+α1)π/(β3−β2−β1) t2=(2n+α2)π/(β3−β2−β1) 但し、α1+α2=2 n=0、1、2、3、……、 なる関係を満足している、請求項55に記載の短波長光
    源。
  60. 【請求項60】 前記α1の値がα1=0.7〜1.3
    の範囲である、請求項59に記載の光波長変換素子。
  61. 【請求項61】 前記基本波の伝搬損失が前記高調波の
    伝搬損失のほぼ半分である、請求項37或いは51に記
    載の光波長変換素子。
  62. 【請求項62】 前記第1、第2、及び第3の光の伝搬
    損失がお互いにほぼ等しい、請求項38或いは52に記
    載の光波長変換素子。
  63. 【請求項63】 前記非線形光学結晶が光導波路を有
    し、該光導波路内で光の波長変換が行われる、請求項3
    5に記載の光波長変換素子。
  64. 【請求項64】 非線形光学結晶を有し、 該非線形光学結晶の内部で、波長λの基本波が波長λ/
    2の高調波に変換され、 該非線形光学結晶における該基本波の伝搬損失が該高調
    波の伝搬損失のほぼ半分である、光波長変換素子。
  65. 【請求項65】 前記非線形光学結晶が光導波路を有
    し、該光導波路内で前記基本波から前記高調波への波長
    変換が行われ、前記伝搬損失は、該光導波路内における
    伝搬損失である、請求項64に記載の光波長変換素子。
  66. 【請求項66】 非線形光学結晶を有し、 該非線形光学結晶の内部で、波長λ1の第1の光及び波
    長λ2の第2の光と波長λ3の第3の光との間での波長
    変換が行われ、該各々の波長は、 1/λ3=1/λ1+1/λ2 なる関係を満たし、 且つ、該非線形光学結晶における該第1、第2、及び第
    3の光の伝搬損失がお互いにほぼ等しい、光波長変換素
    子。
  67. 【請求項67】 前記非線形光学結晶が光導波路を有
    し、該光導波路内で前記波長変換が行われ、前記伝搬損
    失は、該光導波路内における伝搬損失である、請求項6
    6に記載の光波長変換素子。
  68. 【請求項68】 前記非線形光学結晶が光入射部と光出
    射部とを有しており、該光入射部及び光出射部の少なく
    とも一方に反射防止膜が設けられている、請求項35、
    49、64、或いは66に記載の光波長変換素子。
  69. 【請求項69】 発振波長を可変する機能を有する半導
    体レーザと、 該半導体レーザの出射光を基本波として受け取って、該
    基本波に対する波長変換を行って高調波を出力する光波
    長変換素子と、を備え、 該基本波の波長と該高調波の出力との間の関係を示す特
    性曲線において、該高調波の出力の最大値近傍で該特性
    曲線が平坦部を有し、該平坦部の幅が、該半導体レーザ
    の縦モード間隔よりも広く設定されている、コヒーレン
    ト光発生装置。
  70. 【請求項70】 発振波長を可変する機能を有する半導
    体レーザと、 該半導体レーザの出射光を基本波として受け取って、該
    基本波に対する波長変換を行って高調波を出力する、請
    求項35、49、64、或いは66に記載の光波長変換
    素子と、を備え、 該基本波の波長と該高調波の出力との間の関係を示す特
    性曲線において、該高調波の出力の最大値近傍で該特性
    曲線が平坦部を有し、該平坦部の幅が、該半導体レーザ
    の縦モード間隔よりも広く設定されている、コヒーレン
    ト光発生装置。
  71. 【請求項71】 請求項35、49、64、或いは66
    に記載の光波長変換素子と、レーザ光源と、を備え、該
    レーザ光源の出射光が該光波長変換素子によって波長変
    換される、コヒーレント光発生装置。
  72. 【請求項72】 前記レーザ光源が、発振波長を可変す
    る機能を有する半導体レーザである、請求項71に記載
    のコヒーレント光発生装置。
  73. 【請求項73】 前記半導体レーザが高周波重畳されて
    いる、請求項72に記載のコヒーレント光発生装置。
  74. 【請求項74】 前記光波長変換素子の位相整合波長許
    容度が、前記レーザ光源の縦モード間隔よりも広く設定
    されている、請求項71に記載のコヒーレント光発生装
    置。
  75. 【請求項75】 非線形光学結晶と、波長可変レーザ光
    源と、第1及び第2の光検出器と、を備え、 該非線形光学結晶の内部で、該波長可変レーザ光源から
    の第1の光が第2の光に波長変換され、 該第1の光検出器は、該第1或いは第2の光のうちの選
    択された光について、該非線形光学結晶から散乱される
    散乱光の強度を測定し、 該第2の光検出器は、該非線形光学結晶の出射部近傍に
    おける該選択された光の強度を測定し、 該第1及び第2の光検出器の測定結果に基づいて、該波
    長可変レーザ光源の発振波長を制御する、コヒーレント
    光発生装置。
  76. 【請求項76】 前記非線形光学結晶は光波長変換素子
    に含まれており、該光波長変換素子には位相調整部が設
    けられていて、前記第1の光検出器が該位相調整部の近
    傍に設けられている、請求項75に記載のコヒーレント
    光発生装置。
  77. 【請求項77】 請求項69、70、71或いは75に
    記載のコヒーレント光発生装置と、 集光光学系と、を備え、 該コヒーレント光発生装置から出射されるコヒーレント
    光を、該集光光学系により集光している、光情報処理装
    置。
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