JP2006151810A - ジヒドロチエノキノリン誘導体及びそれを含む細胞接着阻害剤 - Google Patents
ジヒドロチエノキノリン誘導体及びそれを含む細胞接着阻害剤 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】細胞接着阻害剤として有用な化合物の提供
【解決手段】式(I):
【化1】
[式中、R1は式(II)又は(III ):
【化2】
【化3】
(式中、R3又はR4は炭素数1〜6の非置換又は置換低級アルキル基、炭素数6〜12の非置換又は置換アリール基、炭素数3〜11の非置換又は置換ヘテロアリール基、炭素数7〜14の非置換又は置換アラルキル基、炭素数4〜13の非置換又は置換ヘテロアリールアルキル基を示す)を示し;R2は水素原子、炭素数1〜6の非置換又は置換低級アルキル基、水酸基、炭素数1〜6の非置換又は置換アルコキシ基、炭素数2〜11の非置換又は置換アシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、非置換又は置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;Xは基-CONR5R6を示す)で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体並びにそれを含む細胞接着阻害剤。
【選択図】 図1
【解決手段】式(I):
【化1】
[式中、R1は式(II)又は(III ):
【化2】
【化3】
(式中、R3又はR4は炭素数1〜6の非置換又は置換低級アルキル基、炭素数6〜12の非置換又は置換アリール基、炭素数3〜11の非置換又は置換ヘテロアリール基、炭素数7〜14の非置換又は置換アラルキル基、炭素数4〜13の非置換又は置換ヘテロアリールアルキル基を示す)を示し;R2は水素原子、炭素数1〜6の非置換又は置換低級アルキル基、水酸基、炭素数1〜6の非置換又は置換アルコキシ基、炭素数2〜11の非置換又は置換アシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、非置換又は置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;Xは基-CONR5R6を示す)で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体並びにそれを含む細胞接着阻害剤。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なジヒドロチエノキノリン誘導体に関し、更に詳しくはジヒドロチエノキノリン誘導体もしくはその薬理学的に許容し得る塩を有効成分とする細胞接着分子であるICAM-1 (Intercellular adhesion molecule-1)とLFA-1(Leukocyte function-associated antigen-1)が関与する細胞間の接着及びシグナル伝達の阻害剤であり、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する各種の炎症性疾患、自己免疫疾患の予防又は治療薬及び移植拒絶反応の予防又は抑制薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内には血管内皮細胞、単球、好中球、リンパ球などの構造及び機能の異なる分化した細胞群が存在している。これらの細胞はサイトカインなどの液性因子を介しても間接的に影響しあうが、直接細胞同士が接触することにより相互作用する細胞間の調節機構が存在することが知られている。これに関与するのが細胞接着分子であり、現在までに蛋白質や複合糖質に分類される多種類の分子が見出されている。本特許に関連する接着分子であるICAM-1は1986年(非特許文献1)に、LFA-1は1991年(非特許文献2)に同定された蛋白質である。LFA-1はインテグリンファミリーに属する接着分子で、通常他のインテグリンと同様にリガンドとの結合能力を持たない状態で存在するが、PMA、抗原によるT細胞受容体(TCR)刺激、ケモカインなどのサイトカインや二価金属イオンを介するinside-outの刺激により、細胞外の三次構造が瞬時に変化することにより接着性を獲得する。活性化されたLFA-1は、リンパ球と抗原提示細胞、白血球相互、白血球と血管内皮細胞、及び細胞障害性リンパ球(CTL、NK細胞、LAK細胞)と標的細胞との接着に関与する。
【0003】
ICAM-1は、LFA-1のリガンドとして同定された分子で、5つの免疫グロブリン様領域からなる免疫グロブリンスーパーファミリーに属するタイプI膜蛋白質である。炎症時に白血球はこれらの細胞接着分子を介して血管内皮細胞と接着し、炎症局所に浸潤する。ICAM-1は、単球や血管内皮細胞に発現が認められ、サイトカインなどの刺激により、リンパ球、樹状突起細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、軟骨細胞、上皮細胞などで発現が誘導される。
【0004】
両接着分子間の接着並びにシグナル伝達の生理学的な機能解析により、ICAM-1及びLFA-1の接着は、炎症反応の際の炎症部位への好中球やTリンパ球の浸潤や、ナチュラルキラー(NK)細胞や細胞障害性Tリンパ球(CTL)が標的細胞に傷害を与える過程に関与することが確認されている。又、免疫反応においては抗原提示細胞からTリンパ球に抗原が提示され、主要組織適合抗原とT細胞受容体が接着する際に、免疫反応が成立するのに必須の副刺激シグナル(costimulatory signal)を伝達する分子であることが確認されている。従って、両接着分子に対する阻害剤は、抗炎症剤、自己免疫性疾患治療剤、移植拒絶反応の抑制剤としての有用性が期待できる。
【0005】
例えば、両接着分子に対する中和抗体の投与により、関節炎、心筋虚血再灌流障害、糸球体腎炎などの炎症反応や臓器移植時の拒絶反応が抑制されることが実験モデル動物で明らかにされている。しかし、抗体はその抗原性や経口投与が困難であるなどの理由により薬剤として必ずしも満足できるものではないので、低分子の細胞接着阻害剤が求められている。
【0006】
現在、多くの抗炎症剤が変形性関節症、腰痛症、慢性関節リウマチなどの慢性炎症性疾患や自己免疫性疾患の治療を目的として臨床的に使用されている。繁用されるNSAID(非ステロイド抗炎症剤)は、アラキドン酸代謝経路においてシクロオキシゲナーゼを阻害することによりプロスタグランジン類の産生を抑制するが、一般には直接細胞接着分子間の相互作用は阻害しない。また、ステロイド類は、複数の炎症性蛋白質や細胞接着分子の産生を遺伝子レベルで抑制するが、望ましくないホルモン作用や感染症の増悪、消化性潰瘍の発生、中枢作用などの重篤な副作用が現れることが知られており、長期投与ができないという問題がある。
【0007】
また、アトピー性皮膚炎などの免疫反応が関与する炎症性疾患や臓器移植後の拒絶反応を抑制する目的でFK506などの免疫抑制剤が使用されている。しかし、細胞接着分子間の相互作用を抑制することにより、特異的に免疫反応を抑制する薬剤としては、いまだに十分に有効なものは出現していない。
【0008】
従って、特異的に細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する細胞間の接着及びシグナル伝達を阻害する安全性の高い薬剤の開発が望まれており、多くの研究者により阻害物質の探索や分子設計がおこなわれている。例えば、非特許文献3〜11に示す総説、論文及び特許総説には細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1間の相互作用を阻害する低分子化合物が記載されている。
【0009】
しかしながら、現時点において、皮膚や臓器の移植後の拒絶反応を抑制することが明確に示された、十分に効果をもつものは見出されていない。
【0010】
又、本発明に含まれる基本骨格に類似した化合物が細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1間の相互作用を阻害することも、これまでに報告されていない。
本発明化合物に比較的類似した化合物群として、一般式[A]
【0011】
【化7】
【0012】
で表される化合物の呼吸器系疾患の治療薬に係る特許出願(特許文献1及び2参照)(ズィマ ソシエテ アノニム)がある。この場合、Xは二価基-S[-B-(Z)n]=CH-であって該基の硫黄原子Sは二環式環系のα又はβ位に直接結合している基を表し、Bは直接結合、アルキレン基又はアルケニレン基を表し;nは1であるか、又はBがアルキレン基又はアルケニレン基である場合には2又は3でもよく、Zは遊離もしくは機能的に変性されたカルボキシル基、生理的条件で開裂されうる被覆カルボキシル基であり、Yはメチレン基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基及びスルホニル基で表される化合物が請求項に含まれている。特に、Xに関してBが直接結合で、nが1、Zが被覆カルボキシ基である化合物は、Yの部分以外は本発明化合物に類似している。しかし、Yが窒素原子である化合物は、請求項、実施例及び製造法のいずれにおいても記載されていない。
【0013】
更に、ズィマ社の特許に関連した下記式の化合物については、気管支炎などの疾患の治療薬としての有用性が論文として報告されており(非特許文献12参照)、それ以外にも免疫反応の調節作用を有していることが述べられている。しかし、その内容を吟味すると、当該化合物が免疫学的防御反応を活性化する薬理学的特性を有していると説明されており、例えば細胞免疫試験において観察される遅延型の過敏反応を亢進させる効果が認められているが、これらの化合物について本発明において明示されるような細胞接着阻害活性、及びそれを介する免疫抑制作用については報告されていない。
【0014】
【化8】
【0015】
又、下記の一般式(B)において、Rが水素原子又はメトキシ基、Xが酸素原子又は硫黄原子、nが0.1及び2である化合物の合成法が報告されている(非特許文献13参照)が、Xが窒素原子である例は含まれていない。
【0016】
【化9】
【0017】
【特許文献1】
特開昭61−194081号公報
【特許文献2】
EP−193493A
【非特許文献1】
J. Immunol., 137, 1270, 1986
【非特許文献2】
Adv. Immunol., 9, 27, 1991
【非特許文献3】
Inhibitor of LFA-1/ICAM-1 interaction: from monoclonal antibod ies to small molecules, Drugs of the future, 2001, 26(8), 767- 778.
【非特許文献4】
Discovery of Novel p-Arylthio Cinnamides as Antagonists of LF A-1/CAM-1 Interaction. 1., J. Med. Chem., 2000, 43, 4025.
【非特許文献5】
Novel p-Arylthio Cinnamides as Antagonists of LFA-1/CAM-1 Inte raction. 2., J. Med. Chem., 2001, 44, 1202.
【非特許文献6】
Discovery of Potent Antagonists of LFA-1/CAM-1 Interaction. 3. , J. Med. Chem., 2001, 44, 2913.
【非特許文献7】
Discovery and SAR of Diarylsulfide Cyclopropylamide LFA-1/ICA M-1 Interaction Antagonist, Bioorg. & Med. Chem. Lett., 11, 97 3-976 (2001).
【非特許文献8】
Statins Selectively inhibit LFA-1 by binding to a novel regula tory integrin site, Nature Medicine, 7(6), 687-692 (2001).
【非特許文献9】
A Small Molecule Antagonist of LFA-1-Mediated Cell Adhesion, J . Immunol., 1999, 163, 5173-5177.
【非特許文献10】
Generation of an LFA-1 antagonist by the transfer of the ICAM- 1 immunoregulatory epitope to a small molecule, Science, 2002, 295, 5557, 1086-1089.
【非特許文献11】
G. Liu, Expert Opin. Ther. Patents, 11, 1383 (2001)
【非特許文献12】
Agents Actions, 1991, 33, 359-366
【非特許文献13】
Sulfur Letters, 9 , 271-277(1989)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する細胞間の接着及びシグナル伝達を阻害する新規な低分子化合物を提供し、又、当該化合物の作用によりICAM-1及びLFA-1両分子を介する炎症及び免疫反応に起因する種々の炎症性疾患、自己免疫性疾患に対する予防及び治療薬、並びに移植拒否反応の予防及び抑制薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、式(I):
【0019】
【化10】
【0020】
[式中、R1は式(II)又は(III ):
【化11】
【化12】
(式中、R3又はR4は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示す)を示し;
R2は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;
Xはアミド基を示す)で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体もしくはその薬理学的に許容し得る塩を有効成分とするICAM-1/LFA-1細胞接着阻害剤及びこれらの炎症性疾患、自己免疫性疾患の予防又は治療薬、移植拒絶反応の予防又は抑制薬が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明者らは細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1間の相互作用を阻害する物質について鋭意研究を重ねた結果、式(I)で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体もしくはその薬理学的に許容し得る塩が、ICAM-1発現細胞とLFA-1発現細胞間の接着を阻害し、更に、両接着分子間のシグナル伝達を特異的に阻害する抗体(抗LFA-1抗体:FD抗体)が有効性を示す皮膚移植モデルマウスにおいて、皮膚の移植後に観察される拒絶反応を強力に抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
本発明の有効成分であるジヒドロチエノキノリン誘導体は、分子内にアミノ基などの塩基性の原子やカルボキシル基などの酸性基が存在する場合、対応する塩の形で使用することが可能である。本発明において薬理学的に許容し得る塩としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸などの無機酸又はマレイン酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アジピン酸、パルミチン酸、タンニン酸などの有機酸、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属のような無機金属、リジンなどの塩基性アミノ酸との塩を挙げることができる。
【0023】
式(I)において、前述の如く、R1は式(II)又は(III )で表される基を示し、式(II)又は(III )において、R3又はR4は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示すが、炭素数1〜6の低級アルキル基の好ましい例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシルなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの飽和脂環式炭化水素基及びシクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチルなどの飽和脂環式炭化水素基―脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
【0024】
本発明において「置換されていてもよい」で表される置換基の一般的な例としては、例えばアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいアミノ及びシアノなどの置換基及びハロゲン原子などが挙げられる。従って、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基の好ましい例としては、トリフルオロメチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、カルボキシメチル、カルボキシエチルなどの基が挙げられる。
【0025】
炭素数6〜12のアリール基の好ましい例としては、フェニル、ナフチル、インデニル、などの芳香族炭化水素基が挙げられる。その場合、芳香環は例えばa)エステル化又はアミド化されていてもよいカルボキシル基、b)ニトロ基、c)ハロゲン原子、d)メトキシ、エトキシなどの置換されていてもよいアルコキシ基、e)メチル、エチルなどの置換されていてもよい低級アルキル基、f)フェニルなどのアリール基(その場合、芳香環は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基、メトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子やフッ素原子のようなハロゲン原子、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基などから選ばれた1〜2個の置換基で置換されていてもよい)、g)2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニルなどのヘテロアリール基、h)置換されていてもよいアミノ基、i)シアノ基、j)ニトロ基、k)ハロゲン原子からなる群から選ばれた1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
従って、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基の好ましい例としては、フェニル、1-ナフチル、4-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、2-メトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、4-アミノフェニル、4-モルフォリノフェニル、4-シアノフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-ニトロフェニル、4-カルボキシフェニル、4-エトキシカルボニルフェニル、4-(N-エチルアミノ)カルボニルフェニル、4-(N,N-ジエチルアミノ)カルボニルフェニル、4-(N-メチルピペラジノ)カルボニルフェニル、ビフェニル、4-(ピリジン-4-イル)フェニル、4-(ピリジン-3-イル)フェニル、1-ナフチルなどの基が挙げられる。
【0026】
置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基の好ましい例としては、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、2-チエニル、2-ピリミジニル、2-キノリル、3-イソキノリル、5-チアゾリルなどの基が挙げられる。
【0027】
置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基の好ましい例としては、ベンジル、4-ニトロベンジル、3-ニトロベンジル、4-メトキシベンジル、3-メトキシベンジル、4-クロロベンジル、2-フェネチル、3-フェニルプロピルなどの基が挙げられる。
【0028】
置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基の好ましい例としては、4-ピリジルメチル、3-ピリジルメチル、2-ピリジルメチル、2-(ピリジン-4-イル)エチル、2-(ピリジン-3-イル)エチル、2-キノリルメチル、3-イソキノリルメチルなどの基が挙げられる。
【0029】
式(I)の置換基R2は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示す。
【0030】
ここで、アルコキシ基とは、前記のアルキル基が酸素原子に結合した基をいい、アルコキシ基の好ましい例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基が挙げられる。また、アシルオキシ基とは、アシル基が酸素原子に結合した基をいい、アシル基の好ましい例としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、シクロプロピルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル、2-ピリジンカルボニル、3-ピリジンカルボニル、4-ピリジンカルボニルなどの基が挙げられる。特に好ましいR2としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
【0031】
式(I)の基-CONR5R6の好ましい例としては、R5及びR6が各々独立に水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示すか、又はR5及びR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、更に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい異項環基を示すか又はR5及びR6がそれらが結合している窒素原子と一緒になって、置換されていてもよい炭素原子及び窒素原子以外に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜8員環含窒素複素環基を示し、これらはその環上の炭素原子又は硫黄原子がオキシド化されていてもよい基などが挙げられる。
【0032】
これらの官能基における置換基R5及びR6の好ましい具体例としては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基としてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどの直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの飽和脂環式炭化水素基及びシクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルなどの飽和脂環式炭化水素基−脂肪族炭化水素基などが挙げられる。又、置換された炭素数1〜6のアルキル基としては、a)フェニル、ナフチルなどのアリール基(その場合、芳香環は例えばメチル、エチル、プロピルなどのアルキル基、塩素原子やフッ素原子のようなハロゲン原子、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基などから選ばれた1〜2個の置換基で置換されていてもよい)、b)2-ピリジル、3-ピリジル、2-ピリミジニルなどのヘテロアリール基、c)エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、d)水酸基、e)アルコキシ基、f)置換されていてもよいアミノ基、g)シアノ基からなる群から選ばれた基で置換されたアルキル基が挙げられ、特に好ましい具体例としては、例えば2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、2-(ジエチルアミノ)エチル、シアノメチル、シアノエチルなどの基が挙げられる。
【0033】
置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基の好ましい例としては、ベンジル、4-ニトロベンジル、3-ニトロベンジル、4-メトキシベンジル、3-メトキシベンジル、4-クロロベンジル、2-フェネチル、3-フェニルプロピルなどの基が挙げられる。
【0034】
置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基の好ましい例としては、フェニル、ナフチル、インデニルなどの芳香族炭化水素基が挙げられる。その場合、芳香環は例えばメチル、エチル、プロピルのようなアルキル基、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどのアルコキシ基、水酸基、アミノ、N-メチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、モルフォリノなどの置換されていてもよいアミノ基、塩素原子やフッ素原子のようなハロゲン原子、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基などから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい。
【0035】
また、例えばアミド化されたカルボキシル基としては、基-CONR5R6において、R5及びR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、更に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでもよい異項環を表す場合、異項環基の好ましい具体例としてはピペリジノ、ピロリジノ、モルホリノ、チオモルフォリノ、ピペラジノ、ホモピペラジノなどの基が挙げられる。これらは、その環上の炭素原子又は硫黄原子がオキシド化されていてもよく、また環上に、例えばメチル、エチル、プロピルのようなアルキル基、フェニル、4-メトキシフェニル、4-クロルフェニル、ナフチルのような置換されていてもよいアリール基、2-ピリジル、3-ピリジル、2-ピリミジルのような置換されていてもよいヘテロアリール基、カルボキシル基、カルバモイル、ジメチルアミノカルバモイルのような置換されてもよいカルバモイル基、ベンジル、4-クロルベンジル、2-ピリジルメチル、3-ピリジルメチルのようなアラルキル基又はヘテロアリール基などから選ばれた1〜2個の置換基を有していてもよい。
【0036】
また、本発明における好ましい化合物としては、前記式(I)のジヒドロチエノキノリン誘導体の、置換基R1を示す式(II)の置換基R3及び式(III )の置換基R4が各々独立に置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示す)であり;
式(I)の置換基R2は、水素原子、置換されてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;
式(I)の置換基Xは、アミド化されたカルボキシル基を示す化合物が挙げられる。
【0037】
式(I)の化合物の特に好ましい具体的化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
5-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-エトキシカルボニルベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-フルオロベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-ブロモベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-8-メトキシ-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-カルバモイルベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
N-(2-ヒドロキシエチル)-5-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
N-(2-アセトキシエチル)-5-アセチル-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(p-トルエンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-アミノベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-カルボキシベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(ピリジン-3-イル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(N-イソプロピルアミノカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(N,N-ジエチルアミノカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(4-メチルピペラジノカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[N-(2-ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(N-エチルアミノカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[N-(sec-ブチル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(t-ブトキシカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[N-(2-アミノエチル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[1-(ピロリジニル)アセチルアミノ]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[N-(4-メチルピペラジノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
【0038】
次に、本発明を実施するための化合物の製造法の具体例を説明する。しかし、本発明の有効成分である化合物の製造方法はこれらに限定されるものではない。
【0039】
一般製法
本発明に係る式(I)で示されるジヒドチエノキノリン誘導体は、例えば以下に示す方法に従って製造できる。文献記載の方法(例えばB. P. L. Southwick et al., J. Am. Chem. Soc., 75, 3413-3417, 1953.)、又はそれに準じた方法で得られる式(IV):
【0040】
【化13】
【0041】
(式中、R2は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示す)で表わされるアニリン誘導体を、式( V ) :
【0042】
【化14】
【0043】
(式中、R4aは置換されていてもよいアリール基を示す)で表わされる塩化スルホニル体とピリジンなどの溶媒中で、0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより、式(VI):
【0044】
【化15】
【0045】
[式中、R1aは式(VII)
【化16】
【0046】
(式中、R4aは前記定義に同じ)の基である]で表わされるスルホンアミド体を得ることができる。この場合、R4aが4-カルボキシフェニル基のようなカルボキシル基で置換されたアリール基である場合には、塩化メチレンなどの反応に関与しない溶媒中で、4-ジメチルアミノピリジンのような塩基の存在下に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩のような脱水縮合剤を用いて、エタノールなどのアルコール類と縮合することによりエステル体に変換した上で、次の変換反応に使用する。
【0047】
前記式(VI)の化合物は、例えば1,4-ジオキサンと水などの混合溶媒中、水酸化ナトリウムなどの塩基と室温 〜 100 ℃ の温度で攪拌するか、又はピリジンなどの反応に関与しない溶媒中でヨウ化リチウムなどの求核試薬と室温 〜 90 ℃ の温度で反応することにより一般式 (VIII) :
【0048】
【化17】
【0049】
(式中、R1aは前記式(VII)の基である)で表わされるカルボン酸体に変換することができる。
【0050】
次に、この化合物を、文献記載の方法(C/M. Brauholtz et al., J. Chem. Soc., 1958, 3368-3375.)、又はそれに準じた方法に従って、ベンゼンなどの反応に関与しない溶媒中、室温〜50℃の温度で五塩化リンなどの試薬と攪拌することにより酸クロリド体とした後、反応液中に四塩化スズなどの触媒を添加して、更に室温〜50℃の温度で攪拌することにより、式(IX):
【0051】
【化18】
【0052】
(式中、R1aは前記式(VII )の基である)
で表わされる2,3-ジヒドロ-1H-キノリン-4-オン骨格誘導体を得ることができる。
【0053】
この化合物は、例えばジメチルホルムアミド(DMF)とオキシ塩化リンを0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより調製したVilsmeier試薬に溶解後、0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより、式(X):
【0054】
【化19】
【0055】
(式中、R1aは前記式(VII )の基である)で表わされるアルデヒド体に変換した後、更に、アセトニトリルなどの反応に関与しない溶媒中で、無水炭酸カリウムなどの塩基の存在下に、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチルなどのチオグリコール酸エステル類又はそれらの金属メルカプチド塩と加熱還流することにより、式(XI):
【0056】
【化20】
【0057】
(式中、R1aは前記式(VII )の基であり、R2は前記定義の通りであり、Yはエステル化されたカルボキシル基を示す)で表わされるジヒドロチエノキノリン骨格誘導体に変換することができる。
【0058】
この化合物は、例えば1,4-ジオキサンと水などの混合溶媒中で、水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で、室温 〜 100 ℃ の温度で攪拌するか、又は、置換基Yがメトキシカルボニル基である場合には、ピリジンなどの反応に関与しない溶媒中で、ヨウ化リチウムなどの求核試薬と、室温 〜 90 ℃ の温度で反応することにより式 (XII) :
【0059】
【化21】
(式中、R1aは前記式(VII )の基であり、R2は前記定義の通りである)で表わされるカルボン酸体を得ることができる。
【0060】
この化合物は、式(XIII):
【化22】
【0061】
(式中、R5a及びR6aは各々独立に置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示すか、又はR5a及びR6aはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、更に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい異項環基を示す)で表わされるアミン類と、塩化メチレンなどの反応に関与しない溶媒中で、4-ジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下又は非存在下で、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの脱水縮合剤と、0 〜 50 ℃ の温度で縮合するか、又は前記化合物を、1,1-カルボニルジイミダゾールなどの試薬と0 〜 50 ℃ の温度で反応した後、反応液中に過剰量(好ましくは1〜10当量分)のアンモニア水溶液又は前記式(XIII)で表わされるアミン類を加えて、0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより、式(Ia):
【0062】
【化23】
【0063】
(式中、R1aは前記式(VII )の基であり、R2及びR4aは前記定義の通りであり、Xはアミド化されたカルボキシル基を示す)で表わされるアミド誘導体を得ることができる。
【0064】
この場合、R4aが4-エトキシカルボニルフェニルのようなエステル基で置換されたアリール基である場合、上述した方法と同様に、塩基性条件で加水分解反応をした後、アミド化反応をおこなうことにより、前記式(Ia)において、R1aが式(XIV):
【0065】
【化24】
【0066】
(式中、R5及びR6は前記定義の通りである)で表わされるジアミド体に変換することができる。
【0067】
また、R4aが4-ニトロフェニル基である場合には、DMFなどの反応に関与しない溶媒中で、無水炭酸カリウムなどの塩基の存在下に、エタンチオール、ベンゼンチオールなどのメルカプタン類と0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより、式(XV):
【0068】
【化25】
【0069】
(式中、R2、R5及びR6は前記定義の通りである)で表わされるジヒドロチエノキノリン誘導体を得ることができる。
【0070】
この化合物を、前記式 (V)又は式(XVI):
【0071】
【化26】
【0072】
(式中、R4a及びR3は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示す)で表される化合物と、ピリジンなどの溶媒中で、0 〜 50 ℃ の温度で、縮合することにより、前記式(I)で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体を得ることができる。
【0073】
前記式(I)で表される本発明化合物は、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する細胞間の接着及びシグナル伝達を抑制することができる。従って、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する血管内皮細胞と好中球間の接着を阻害することにより、炎症部位における好中球の浸潤を抑制することが可能であり、心筋虚血再灌流障害などの炎症性疾患に対する予防薬又は治療薬として使用できる。又、多くの自己免疫疾患においても、リンパ球の浸潤と、病巣における抗原提示能を有する細胞によるリンパ球の活性化が病態形成に関与することが報告されており、この過程にも細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1の関与が示唆されている。また、臓器や皮膚などの移植後に認められる拒絶反応がこれらの接着分子に対する抗体により抑制されることが確認されており、ICAM-1及びLFA-1間の接着及びシグナル伝達を阻害する本発明に係る化合物により移植後の拒絶反応を抑制することが可能である。従って、本発明化合物は、例えば乾癬、アトピー性皮膚炎、変形性関節症、慢性関節リウマチ、悪液質、多臓器不全、炎症性腸疾患、マラリア、クローン病、後天性免疫不全症候群、虚血性心疾患、喘息などの疾患に対する予防薬及び治療薬として有用であり、細胞、皮膚及び臓器を移植した後の拒絶反応の予防薬及び抑制薬としても有用である。
【0074】
本発明に係る化合物を上述の医薬組成物として使用する場合、例えば錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などの剤形で経口的に、又は水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との溶液、又は懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば本発明化合物と、生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、安定剤などとを、一般に認められた形態で混和することによって製造することができる。錠剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチンのような結合剤、コーンスターチのような膨化剤、結晶性セルロースのような賦形剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤などを用いることができる。カプセルの剤形である場合には、前述の組成物に更に液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物も、通常の処方を適用することができる。
【0075】
注射剤の水溶液としてはブドウ糖などを含む等張液などが挙げられ、ポリエチレングリコールのような適当な溶解補助剤などと併用してもよい。また、緩衝剤、安定剤、保存剤、酸化防止剤、無痛化剤などを配合してもよい。このようにして得られる製剤は、例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物に対して投与することができる。投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人においては1日につき約0.01〜100 mg、好ましくは約0.1〜50 mg、より好ましくは約1.0〜25 mgである。非経口的に投与する場合は、例えば、注射剤の場合、一般的に成人においては1日につき約0.001〜50 mg程度、好ましくは約0.01〜25 mg、より好ましくは約0.1〜10 mg程度を静脈注射により投与するのが好ましい。
【0076】
ICAM-1とLFA-1を介する細胞接着に対する化合物の阻害効果は、それ自体公知の方法又はそれらに準じた方法に従って、蛋白質と接着分子発現細胞間、又は接着分子発現細胞間の接着に対する抑制効果を直接、又は間接的に測定することにより調べることができる。また、ICAM-1とLFA-1を介する細胞障害性Tリンパ球(CTL)による、標的細胞に対する傷害の抑制効果は、それ自体公知の方法又はそれらに準じた方法に従って調べることができる。また、免疫反応における抗原提示反応の成立やT細胞の活性化にも、ICAM-1とLFA-1の相互作用の関与が示唆されている。ICAM-1とLFA-1を介するT細胞の分化、増殖に対する薬物の効果は、例えばそれ自体公知の方法(例えば、混合リンパ球反応)又はそれに準じた方法により調べることができる(M.W. Makgoba et al., Eur J. Immunol., 18(4), 637-640 (1988))。
【0077】
本発明化合物の広義の抗炎症作用を確認する方法としては、カラゲニンやアラキドン酸などにより惹起された浮腫を抑制する効果で調べることができる。例えば、カラゲニンで惹起した胸膜炎モデルにおいては、既に抗ICAM-1抗体の投与が有効であることが確認されており、それに準じた方法により阻害剤の効果を調べることができる(炎症 12, 313.)。本発明化合物の免疫抑制作用を評価する方法としては、各種の抗原で惹起した遅延型過敏反応などを抑制する効果で調べることができる(W. A. Werther et al., J. Immunol., 157, 4986 (1996))。
【0078】
更に、具体的な疾患に対しては、慢性関節リウマチ治療薬としての効果は、アジュバントやコラーゲンにより惹起された関節炎のモデル動物で薬効を評価することができる(Y. Iigo et al., J. Immunol., 147, 4167, 1991)。又、難治性炎症、例えばクローン病、肝炎、腎炎に対する治療薬としての効果は、それ自体公知か又はその方法に準じた方法に従って作製した動物モデルで薬効を推定することができる(K. Nishikawa et al., J. Exp. Med., 180, 95, 1994.;K. Kawasaki et al., J. Immunol., 150, 1074, 1993)。更に、臓器や皮膚などの移植後の拒絶反応の抑制剤としての効果は、例えばGVH(Graft versus Host)病や臓器移植モデル動物で薬効を評価することができる(A. B. Cosimi et al, J. Immunol.,142,2617, 1990.;M. Isobe et al, Science, 255, 1125, 1992)。
【0079】
このように、接着分子阻害剤の疾患治療薬としての効果は、公知の方法又はそれに準じた方法により作製可能な各種のモデル動物によって確認することができる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び実験例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明をこれらの実施例及び実験例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0081】
参考例 1 : N-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン
N-フェニル-β-アラニン メチルエステル(5.00 g, 27.93 mmol)のピリジン溶液(60 ml)に、氷冷下に塩化ニトロベンゼンスルホニル(6.50 g, 29.33 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、1時間加熱還流した。次いで、反応液を減圧濃縮した後、3% 塩酸水溶液で希釈し、エーテル抽出した。抽出液は、水、1規定水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をエーテルから再結晶し、N-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-N-フェニル-β-アラニン メチルエステル (9.05 g, 24.86 mmol, 89 %)を得た。該化合物(9.05 g, 24.86 mmol)をメタノール(70 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(25 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を水で希釈し、エーテルで洗浄した後、水層を濃塩酸で酸性にしてエーテル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物(6.90 g, 19.71 mmol, 79 %)を得た。(総収率:71 %)
【0082】
参考例2: N-(4- カルボキシベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン メチルエステル
N-フェニル-β-アラニン メチルエステル(5.0 g, 27.93 mmol)のピリジン溶液(100 ml)に、氷冷下にp-(クロロスルホニル)安息香酸(9.2 g, 40.03 mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。次いで、反応液を減圧濃縮した後、3% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をエーテルから再結晶し、標題化合物(5.9 g, 16.25 mmol, 58 %)を得た。
【0083】
参考例 3 : N-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン
N-フェニル-β-アラニン メチルエステル(5.0 g, 27.93 mmol)のピリジン溶液(100 ml)に、氷冷下に塩化4-フルオロベンゼンスルホニル (5.68 g, 29.28 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、更に1時間加熱還流した。次いで、反応液を減圧濃縮し、3% 塩酸水溶液で希釈した後、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をメタノール(75 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(25 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物 (6.3 g, 19.50 mmol, 70 %)を得た。
【0084】
参考例 4 : N-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン
N-フェニル-β-アラニン メチルエステル(5.0 g, 27.93 mmol)のピリジン溶液(100 ml)に、氷冷下に塩化4-ブロモベンゼンスルホニル (7.48 g, 29.33 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、更に1時間加熱還流した。次いで、反応液を減圧濃縮した後、3% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をメタノール(75 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(25 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物 (6.2 g, 16.15 mmol, 58 %)を得た。
【0085】
参考例 5 : N-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-N-(4- メトキシフェニル )- β - アラ ニン
N-(4-メトキシフェニル)-β-アラニン メチルエステル(8.5 g, 40.67 mmol)をピリジン(80 ml)及びベンゼン(20 ml)の混合溶液に溶解し、氷冷下に塩化4-ニトロベンゼンスルホニル (9.90 g, 44.67 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、更に1時間加熱還流した。次いで、反応液を水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液は、10% 塩酸水溶液、水、1規定水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をメタノール(75 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(25 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、N-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-N-(4-メトキシフェニル)-β-アラニン メチルエステル(12.50 g, 31.73 mmol, 78 %)を得た。該化合物をメタノール(100 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(50 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を水で希釈した後、エーテルで洗浄し、濃塩酸で酸性にして酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物 (9.8 g, 25.79 mmol, 81 %)を得た。(総収率:63 %)
【0086】
参考例 6 : N-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン メチルエステル
参考例2で得た化合物 (1.20 g, 3.3057 mmol)を塩化メチレン (100 ml)に溶解し、この溶液にエタノール(456 mg, 9.8979 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(524 mg, 4.2950 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (951 mg, 4.9608 mmol)を加え、室温にて16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物 (1.20 g, 3.0690 mmol, 93 %)を得た。
【0087】
参考例 7 : N-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン
参考例6で得られた化合物(221 mg, 0.5652 mmol)のピリジン溶液(10 ml)に、ヨウ化リチウム(76 mg, 0.5677 mmol)を加え、16時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮した後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、エーテルで洗浄した。次いで、水層を濃塩酸で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (128 mg, 0.3395 mmol, 60 %)を得た。
【0088】
参考例8: 1-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例1で得られた化合物(4.00 g, 11.43 mmol)のベンゼン溶液(40 ml)に、氷冷下に五塩化リン(2.38 g, 11.44 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、1時間加熱還流した。冷後、反応液に1,2-ジクロロエタン(100 ml)を加えた後、氷冷下に四塩化スズ(4.46 g, 17.15 mmol)を滴下し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を氷水で希釈し、塩化メチレン抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=4:1)で精製し、標題化合物 (650 mg, 1.96 mmol, 17 %)を得た。
【0089】
参考例9: 1-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例7で得られた化合物(1.36 g, 3.6074 mmol)のベンゼン溶液(50 ml)に、氷冷下に五塩化リン(825 mg, 3.9663 mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。次いで、反応液に氷冷下に四塩化スズ(1.41 g, 5.4230 mmol)を滴下し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し、標題化合物 (570 mg, 1.5877 mmol, 44 %)を得た。
【0090】
参考例 10 : 1-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例3で得られた化合物(5.00 g, 15.48 mmol)のベンゼン溶液(50 ml)に、氷冷下に五塩化リン(3.22 g, 15.4807 mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。次いで、反応液に氷冷下に四塩化スズ(6.03 g, 23.19 mmol)を滴下し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し、標題化合物 (2.50 g, 8.20 mmol, 53 %)を得た。
【0091】
参考例 11 : 1-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例4で得られた化合物(5.00 g, 13.02 mmol)のベンゼン溶液(50 ml)に、氷冷下に五塩化リン(2.71 g, 13.0288 mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。次いで、反応液に氷冷下に四塩化スズ(5.08 g, 19.54 mmol)を滴下し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し、標題化合物 (2.15 g, 5.87 mmol, 45 %)を得た。
【0092】
参考例 12 : 1-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-6- メトキシ -2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例5で得られた化合物(3.97 g, 10.4473 mmol)のベンゼン溶液(30 ml)に、氷冷下に五塩化リン(2.20 g, 10.5769 mmol)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応液を濃縮した後、1,2-ジクロロエタン(100 ml)に溶解し、氷冷下に塩化アルミニウム(1.67 g, 12.5563 mmol)を加えて、室温で更に6時間攪拌した。反応液を5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し、標題化合物 (2.01 g, 5.5524 mmol, 53 %)を得た。
【0093】
参考例 13 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 エチルエステル
参考例8で得られた化合物(1.42 g, 4.2771 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(2.70 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(1.19 ml)とジメチルホルムアミド(2.70 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査(908 mg)をアセトニトリル (90ml)に溶解し、チオグリコール酸エチル (274 mg, 2.6346 mmol)及び無水炭酸カリウム (1.33 g, 9.6376 mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した後、1時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (1.02 g, 2.2947 mmol, 54 %)を得た。
【0094】
参考例 14 : 5-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 メチルエステル
参考例9で得られた化合物(570 mg, 1.5877 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(1 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(0.88 ml)とジメチルホルムアミド(1.98 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をアセトニトリル (50ml)に溶解し、チオグリコール酸メチル (172 mg, 1.6205 mmol)及び無水炭酸カリウム (657 mg, 4.7608 mmol)を順次加え、6時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (566 mg, 1.2385 mmol, 78 %)を得た。
【0095】
参考例 15 : 5-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 エチルエステル
参考例10で得られた化合物(2.00 g, 6.5573 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(5 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(1.80 ml)とジメチルホルムアミド(4.10 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をアセトニトリル (200ml)に溶解し、氷冷下に無水炭酸カリウム (3.41 g, 24.71 mmol)及びチオグリコール酸エチル (675 mg, 6.4903 mmol)を順次加え、2時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (1.98 g, 4.7482 mmol, 72 %)を得た。
【0096】
参考例 16 : 5-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 エチルエステル
参考例11で得られた化合物(2.10 g, 5.7377 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(5 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(1.60 ml)とジメチルホルムアミド(3.50 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をアセトニトリル (200ml)に溶解し、氷冷下に無水炭酸カリウム (3.09 g, 22.39 mmol)及びチオグリコール酸エチル (612 mg, 5.8846 mmol)を順次加え、2時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (2.20 g, 4.6025 mmol, 80 %)を得た。
【0097】
参考例 17 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-8- メトキシ -4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 エチルエステル
参考例12で得られた化合物(1.01 g, 2.7900 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(2 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(0.52 ml)とジメチルホルムアミド(1.30 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をアセトニトリル (100ml)に溶解し、チオグリコール酸エチル (291 mg, 2.7980 mmol)及び無水炭酸カリウム (657 mg, 4.7608 mmol)を順次加え、6時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (1.07 g, 2.2573 mmol, 81 %)を得た。
【0098】
参考例 18 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例13で得た化合物 (714 mg, 1.6081 mmol)を1,4-ジオキサン(5 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(4.8 ml, 4.8 mmol)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮した後に水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (402 mg, 0.9663 mmol, 60 %)を得た。
【0099】
参考例 19 : 5-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例14で得た化合物 (743 mg, 1.6258 mmol)をピリジン(30 ml)に溶解し、ヨウ化リチウム(435 mg, 3.2499 mmol)を加えた後、16時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、飽和重炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、エーテルで洗浄した後、水層を濃塩酸で酸性にして酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (566 mg, 1.2776 mmol, 79 %)を得た。
【0100】
参考例 20 : 5-(4- カルボキシベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例14で得た化合物 (90 mg, 0.1969 mmol)を1,4-ジオキサン(2 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(2 ml)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (66 mg, 0.1590 mmol, 81 %)を得た。
【0101】
参考例 21 : 5-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例15で得た化合物 (1.00 g, 2.3980 mmol)を1,4-ジオキサン(20 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(7.2 ml, 7.2 mmol)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮した後に水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (879 mg, 2.2596 mmol, 94 %)を得た。
【0102】
参考例 22 : 5-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例16で得た化合物 (1.00 g, 2.0920 mmol)を1,4-ジオキサン(20 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(6.3 ml, 6.3 mmol)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮した後に水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (743 mg, 1.6511 mmol, 79 %)を得た。
【0103】
参考例 23 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-8- メトキシ -4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例17で得た化合物 (1.07 g, 2.2573 mmol)を1,4-ジオキサン(20 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(6.7 ml, 6.7 mmol)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮した後に水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (956 mg, 2.1434 mmol, 95 %)を得た。
実施例 1 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例18で得た化合物 (402 mg, 0.9663 mmol)をテトラヒドロフラン(30 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(176 mg, 1.0864 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (0.18 ml, 0.9 g/ml, 9.53 mmol)を加えて、室温で更に1時間攪拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (350 mg, 0.8425 mmol, 87 %)を得た。
【0104】
実施例 2 : 5-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例19で得た化合物 (566 mg, 1.2776 mmol)をテトラヒドロフラン(50 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(232 mg, 1.43 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (3 ml)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (420 mg, 0.9502 mmol, 74 %)を得た。
【0105】
実施例 3 : 5-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例21で得た化合物 (879 mg, 2.2596 mmol)をテトラヒドロフラン(30 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(411 mg, 2.5370 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (0.43 ml, 0.9 g/ml, 22.8 mmol)を加えて、室温で更に3時間攪拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (750 mg, 1.9329 mmol, 81 %)を得た。
【0106】
実施例 4 : 5-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例22で得た化合物 (743 mg, 1.6511 mmol)をテトラヒドロフラン(30 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(300 mg, 1.8518 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (0.31 ml, 0.9 g/ml, 16.4 mmol)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (690 mg, 1.5367 mmol, 73 %)を得た。
【0107】
実施例 5 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-8- メトキシ -4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例23で得た化合物 (956 mg, 2.1434 mmol)をテトラヒドロフラン(50 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(521 mg, 3.2160 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (0.4 ml, 0.9 g/ml, 21.18 mmol)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (720 mg, 1.6179 mmol, 75 %)を得た。
【0108】
実施例 6 : 5-(4- カルバモイルベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例20で得た化合物 (46 mg, 0.1108 mmol)をテトラヒドロフラン(10 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(40 mg, 0.2469 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (1 ml)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をエーテルで洗浄し、標題化合物 (35 mg, 0.0847 mmol, 76 %)を得た。
【0109】
実施例 7 : N-(2- ヒドロキシエチル )-5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例18で得た化合物 (200 mg, 0.4807 mmol)をテトラヒドロフラン(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(87 mg, 0.5370 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液にエタノールアミン(44 mg, 0.7213 mmol)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をエーテルで洗浄し、標題化合物 (108 mg, 0.2352 mmol, 49 %)を得た。
【0110】
実施例 8 : N-(2- アセトキシエチル )-5- アセチル -4,5- ジビドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例7で得られた化合物(108 mg, 0.2352 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(10 ml)に、炭酸カリウム(97 mg, 0.7028 mmol)とベンゼンチオール (39 mg, 0.3545 mmol)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査を分取用薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製しN-(2-ヒドロキシエチル)-5H-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド(60 mg, 0.2189 mmol, 93 %)を得た。該化合物(15 mg, 0.0547 mmol) をピリジン (1 ml)に溶解し、氷冷下に無水酢酸(1 ml )を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を濃縮して得た残査を分取用薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (12 mg, 0.0335 mmol, 61 %)を得た。
【0111】
実施例 9 : 5-(p- トルエンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例1で得られた化合物(200 mg, 0.4819 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(20 ml)に、炭酸カリウム(200 mg, 1.4492 mmol)とベンゼンチオール (80 mg, 0.7272 mmol)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド(80 mg, 0.3478 mmol, 72 %)を得た。該化合物(30.0 mg, 0.1304 mmol) をピリジン (1 ml)に溶解し、氷冷下に塩化m-トルエンスルホニル(27.0 mg, 0.1416 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を、5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査を分取用薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (32 mg, 0.0833 mmol, 64 %)を得た。(総収率:46 %)
【0112】
実施例 10 : 5-(4- アミノベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例1で得た化合物 (30 mg, 0.0722 mmol)を1規定塩酸水溶液(2 ml)とエタノール(6 ml)の混合溶液に溶解し、鉄粉(24 mg, 0.4301 mmol)を加えた後、3時間加熱還流した。反応液を濾過し、1規定水酸化ナトリウムを加えて塩基性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (18 mg, 0.0467 mmol, 65 %)を得た。
【0113】
実施例 11 : 5-(4- カルボキシベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例2で得た化合物 (300 mg, 0.6787 mmol)を1,4-ジオキサン(10 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(10 ml)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (250 mg, 0.6038 mmol, 89 %)を得た。
【0114】
実施例 12 : 5-[4-( ピリジン -3- イル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例4で得た化合物 (50 mg, 0.1113 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(DME)溶液(6 ml)に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(4.0 mg, 0.0346 mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(0.3 ml, 0.60 mmol)及びピリジン-3-ボロン酸 1,3-プロパンジオール サイクリックエステル(23 mg, 0.1419 mmol)のエタノール溶液(0.3 ml)を加えた後、6時間加熱還流した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (26 mg, 0.581 mmol, 52 %)を得た。
【0115】
実施例 13 : 5-[4-(N- イソプロピルアミノカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (31 mg, 0.0748 mmol)を塩化メチレン (5 ml)に溶解し、この溶液にイソプロピルアミン (8.8 mg, 0.1491 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (29 mg, 0.1512 mmol)を加え室温にて3時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (15 mg, 0.0329 mmol, 44 %)を得た。
【0116】
実施例 14 : 5-[4-(N,N- ジエチルアミノカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (30 mg, 0.0724 mmol)をテトラヒドロフラン(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(13 mg, 0.0802 mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応液にジエチルアミン (11 mg, 0.1503 mmol)を加えて、室温で更に6時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(30 mL)で希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (22 mg, 0.0469 mmol, 65 %)を得た。
実施例 15 : 5-[4-( 4 - メチルピペラジノカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (30 mg, 0.0724 mmol)を塩化メチレン (5 ml)に溶解し、この溶液にN-メチルピペラジン (14 mg, 0.1397 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (28 mg, 0.1460 mmol)を加え室温にて16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (20 mg, 0.0403 mmol, 56 %)を得た。
【0117】
実施例 16 : 5-{4-[N-(2- ヒドロキシエチル ) アミノカルボニル ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (31 mg, 0.0748 mmol)をテトラヒドロフラン(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(13 mg, 0.0802 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエタノールアミン (6.9 mg, 0.1131 mmol)を加えて、室温で更に4時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(30 mL)で希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(10% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (18 mg, 0.0393 mmol, 53 %)を得た。
【0118】
実施例 17 : 5-[4-(N- エチルアミノカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (30 mg, 0.0724 mmol)をテトラヒドロフラン(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(13 mg, 0.0802 mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にエチルアミン (23 mg, 70 %水溶液, 0.3577 mmol)を加えて、室温で更に6時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(30 mL)で希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (20 mg, 0.0453 mmol, 63 %)を得た。
【0119】
実施例 18 : 5-{4-[N-(sec- ブチル ) アミノカルボニル ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (10 mg, 0.0241 mmol)を塩化メチレン (3 ml)に溶解し、この溶液にsec-ブチルアミン (2.6 mg, 0.0355 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (9.3 mg, 0.0485 mmol)を加え室温にて16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (4.3 mg, 0.0091 mmol, 38 %)を得た。
【0120】
実施例 19 : 5-[4-(t- ブトキシカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (30 mg, 0.0724 mmol)を塩化メチレン (5 ml)に溶解し、この溶液に2-tert-ブチル-1,3-ジイソプロピルイソウレア (43 mg, 0.2150 mmol)を加え室温にて16時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (20 mg, 0.0425 mmol, 59 %)を得た。
【0121】
実施例 20 : 5-{4-[N-(2- アミノエチル ) アミノカルボニル ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド(トリフルオロメタンスルホン酸塩)
実施例11で得た化合物 (80 mg, 0.1932 mmol)を塩化メチレン (5 ml)に溶解し、この溶液にN-(t-ブトキシカルボニル)エチレンジアミン(41 mg, 0.2558 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (56 mg, 0.2921 mmol)を加え、室温にて16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、5-{4-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノエチル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド(39 mg, 0.0701 mmol, 36 %)を得た。該化合物 (11 mg, 0.0197 mmol)を塩化メチレン (2 ml)に溶解し、この溶液にトリフルオロ酢酸(3 ml)を加え室温にて6時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、残査を酢酸エチルから再結晶し、標題化合物 (4 mg, 0.0070 mmol, 36 %)を得た。(総収率:13 %)
【0122】
実施例 21 : 5-{4-[1-( ピロリジニル ) アセチルアミノ ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例10で得た化合物 (23 mg, 0.0597 mmol)をジメチルホルムアミド(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下に塩化クロロアセチル(26 mg, 0.1209 mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をジメチルホルムアミド(1 ml)に再度溶解し、この溶液にピロリジン(5.5 mg, 0.0774 mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (12 mg, 0.0241 mmol, 84 %)を得た。標題化合物を塩化メチレンに溶解し、過剰量の塩酸−1,4-ジオキサン溶液を加えた後、減圧濃縮し、エーテルから再結晶して塩酸塩(10 mg)に変換した。
【0123】
実施例 22 : 5-{4-[N-( 4 - メチルピペラジノカルボニル ) アミノ ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例10で得た化合物 (417 mg, 1.0831 mmol)をテトラヒドロフラン(50 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下トリエチルアミン(131 mg, 1.2970 mmol)及びクロロ炭酸p-ニトロフェニル(240 mg, 1.1910 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。その後、反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査(381 mg, 0.6927 mmol, 64 %)の一部(181 mg, 0.3290 mmol)をテトラヒドロフラン(20 ml)に溶解し、この溶液にN-メチルピペラジン(49 mg, 0.4900 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (90 mg, 0.1761 mmol, 54 %)を得た。標題化合物を塩化メチレンに溶解し、過剰量の塩酸−1,4-ジオキサン溶液を加えた後、減圧濃縮し、エーテルから再結晶して塩酸塩(88 mg)に変換した。(総収率:35 %)
【0124】
実験例1:細胞接着阻害活性の測定
ヒトICAM-1を導入したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)由来細胞を、96ウエルプレートに1×104個ずつ藩種し、10% FBSを含むα-MEM培地を用いて、5% CO2存在下、37 ℃で72 時間前培養した。一方、ヒト組織急性リンパ腫由来のU937細胞をまず蛍光試薬であるBCECF-AM (DOJINDO) で標識し、次にホルボールエステル 100 ng/ml で処理することによって同細胞上に発現している LFA-1 の活性化を惹起させ、直ちに前述した CHO 細胞を培養したプレートの各ウエルに、1×105個/50 μl ずつ添加した。また、これと同時に各被験化合物を最終濃度 0.78〜200 μM になるように 50 μl(マイクロリットル)ずつ加えて混合し、5% CO2 存在下、37 ℃で 30 分間インキュベーションした。次に、各ウエルを血清を含まない RPMI1640 培地で2回洗浄し、付着したU937細胞を 1% NP-40 を含む PBS 100 μl(マイクロリットル)で可溶化した後に、480/ 530 nm での蛍光強度を測定した。接着阻害活性算出にあたっては、ヒト ICAM-1 を組み込まないベクターを導入した CHO 細胞に対するU937の接着量を0 % とし、また各被験化合物の代わりに同量のDMSOを添加した場合の接着量を 100 % とした。
【0125】
【0126】
実験例 2 : 皮膚移植拒絶反応の抑制効果の検討
方法
レシピエントにC57BL/6マウス、ドナーにBALB/cマウスを用いて皮膚移植を行った。実施例17の化合物、FK506及び抗LFA-1抗体(FD)の単独及び併用効果の検討を行った。薬剤は移植後9日目までi.p.投与し、各群6〜8匹で実験を行った。
【0127】
結果
実施例17の化合物を50 mg/kg、FK506を2 mg/kg及び抗LFA-1抗体(FD)(FD抗体は移植後0,1,3,5,7日目に500μg/mouse, i.p.投与)、それぞれを単独又は併用投与した結果を以下の図1に示す。コントロール群では、8日目までに全例拒絶されたのに対して、抗LFA-1抗体(FD)、実施例17の化合物、FK506ともに拒絶反応を遅延する効果が認められた。この条件での効果は抗LFA-1抗体(FD)が最も強く、実施例17の化合物とFK506は同等の効果を示した。しかし、抗LFA-1抗体(FD)と実施例17の化合物の併用による相乗効果は認められなかった。
【0128】
実験例 3 : 皮膚移植拒絶反応の抑制効果の検討 ( 用量依存性の検討 )
方法
レシピエントにC57BL/6マウス、ドナーにBALB/cマウスを用いて皮膚移植を行った。実施例17の化合物を100, 20, 4 mg/kg/day投与,FK506を2 mg/kg/day投与した場合の効果の検討を行った。薬剤は移植後9日目までi.p.投与し、各群6〜8匹で実験を行った。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【0135】
【表7】
【0136】
【表8】
【0137】
【表9】
【0138】
【表10】
【0139】
【表11】
【0140】
【表12】
【0141】
結果
実施例17の化合物を100, 20, 4 mg/kg/day投与、FK506を2 mg/kgそれぞれを単独投与した。図2に示す通り、実施例17の化合物は、20, 4 mg/kg/day投与では効果は認められなかったが、100 mg/kg/day投与では、FK506を2 mg/kgした場合とほぼ同等の強い移植拒絶抑制効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例2の皮膚移植拒絶反応の抑制効果の評価結果を示すグラフ図である。
【図2】実験例3の皮膚移植拒絶反応の抑制効果の評価結果を示すグラフ図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なジヒドロチエノキノリン誘導体に関し、更に詳しくはジヒドロチエノキノリン誘導体もしくはその薬理学的に許容し得る塩を有効成分とする細胞接着分子であるICAM-1 (Intercellular adhesion molecule-1)とLFA-1(Leukocyte function-associated antigen-1)が関与する細胞間の接着及びシグナル伝達の阻害剤であり、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する各種の炎症性疾患、自己免疫疾患の予防又は治療薬及び移植拒絶反応の予防又は抑制薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内には血管内皮細胞、単球、好中球、リンパ球などの構造及び機能の異なる分化した細胞群が存在している。これらの細胞はサイトカインなどの液性因子を介しても間接的に影響しあうが、直接細胞同士が接触することにより相互作用する細胞間の調節機構が存在することが知られている。これに関与するのが細胞接着分子であり、現在までに蛋白質や複合糖質に分類される多種類の分子が見出されている。本特許に関連する接着分子であるICAM-1は1986年(非特許文献1)に、LFA-1は1991年(非特許文献2)に同定された蛋白質である。LFA-1はインテグリンファミリーに属する接着分子で、通常他のインテグリンと同様にリガンドとの結合能力を持たない状態で存在するが、PMA、抗原によるT細胞受容体(TCR)刺激、ケモカインなどのサイトカインや二価金属イオンを介するinside-outの刺激により、細胞外の三次構造が瞬時に変化することにより接着性を獲得する。活性化されたLFA-1は、リンパ球と抗原提示細胞、白血球相互、白血球と血管内皮細胞、及び細胞障害性リンパ球(CTL、NK細胞、LAK細胞)と標的細胞との接着に関与する。
【0003】
ICAM-1は、LFA-1のリガンドとして同定された分子で、5つの免疫グロブリン様領域からなる免疫グロブリンスーパーファミリーに属するタイプI膜蛋白質である。炎症時に白血球はこれらの細胞接着分子を介して血管内皮細胞と接着し、炎症局所に浸潤する。ICAM-1は、単球や血管内皮細胞に発現が認められ、サイトカインなどの刺激により、リンパ球、樹状突起細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、軟骨細胞、上皮細胞などで発現が誘導される。
【0004】
両接着分子間の接着並びにシグナル伝達の生理学的な機能解析により、ICAM-1及びLFA-1の接着は、炎症反応の際の炎症部位への好中球やTリンパ球の浸潤や、ナチュラルキラー(NK)細胞や細胞障害性Tリンパ球(CTL)が標的細胞に傷害を与える過程に関与することが確認されている。又、免疫反応においては抗原提示細胞からTリンパ球に抗原が提示され、主要組織適合抗原とT細胞受容体が接着する際に、免疫反応が成立するのに必須の副刺激シグナル(costimulatory signal)を伝達する分子であることが確認されている。従って、両接着分子に対する阻害剤は、抗炎症剤、自己免疫性疾患治療剤、移植拒絶反応の抑制剤としての有用性が期待できる。
【0005】
例えば、両接着分子に対する中和抗体の投与により、関節炎、心筋虚血再灌流障害、糸球体腎炎などの炎症反応や臓器移植時の拒絶反応が抑制されることが実験モデル動物で明らかにされている。しかし、抗体はその抗原性や経口投与が困難であるなどの理由により薬剤として必ずしも満足できるものではないので、低分子の細胞接着阻害剤が求められている。
【0006】
現在、多くの抗炎症剤が変形性関節症、腰痛症、慢性関節リウマチなどの慢性炎症性疾患や自己免疫性疾患の治療を目的として臨床的に使用されている。繁用されるNSAID(非ステロイド抗炎症剤)は、アラキドン酸代謝経路においてシクロオキシゲナーゼを阻害することによりプロスタグランジン類の産生を抑制するが、一般には直接細胞接着分子間の相互作用は阻害しない。また、ステロイド類は、複数の炎症性蛋白質や細胞接着分子の産生を遺伝子レベルで抑制するが、望ましくないホルモン作用や感染症の増悪、消化性潰瘍の発生、中枢作用などの重篤な副作用が現れることが知られており、長期投与ができないという問題がある。
【0007】
また、アトピー性皮膚炎などの免疫反応が関与する炎症性疾患や臓器移植後の拒絶反応を抑制する目的でFK506などの免疫抑制剤が使用されている。しかし、細胞接着分子間の相互作用を抑制することにより、特異的に免疫反応を抑制する薬剤としては、いまだに十分に有効なものは出現していない。
【0008】
従って、特異的に細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する細胞間の接着及びシグナル伝達を阻害する安全性の高い薬剤の開発が望まれており、多くの研究者により阻害物質の探索や分子設計がおこなわれている。例えば、非特許文献3〜11に示す総説、論文及び特許総説には細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1間の相互作用を阻害する低分子化合物が記載されている。
【0009】
しかしながら、現時点において、皮膚や臓器の移植後の拒絶反応を抑制することが明確に示された、十分に効果をもつものは見出されていない。
【0010】
又、本発明に含まれる基本骨格に類似した化合物が細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1間の相互作用を阻害することも、これまでに報告されていない。
本発明化合物に比較的類似した化合物群として、一般式[A]
【0011】
【化7】
【0012】
で表される化合物の呼吸器系疾患の治療薬に係る特許出願(特許文献1及び2参照)(ズィマ ソシエテ アノニム)がある。この場合、Xは二価基-S[-B-(Z)n]=CH-であって該基の硫黄原子Sは二環式環系のα又はβ位に直接結合している基を表し、Bは直接結合、アルキレン基又はアルケニレン基を表し;nは1であるか、又はBがアルキレン基又はアルケニレン基である場合には2又は3でもよく、Zは遊離もしくは機能的に変性されたカルボキシル基、生理的条件で開裂されうる被覆カルボキシル基であり、Yはメチレン基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基及びスルホニル基で表される化合物が請求項に含まれている。特に、Xに関してBが直接結合で、nが1、Zが被覆カルボキシ基である化合物は、Yの部分以外は本発明化合物に類似している。しかし、Yが窒素原子である化合物は、請求項、実施例及び製造法のいずれにおいても記載されていない。
【0013】
更に、ズィマ社の特許に関連した下記式の化合物については、気管支炎などの疾患の治療薬としての有用性が論文として報告されており(非特許文献12参照)、それ以外にも免疫反応の調節作用を有していることが述べられている。しかし、その内容を吟味すると、当該化合物が免疫学的防御反応を活性化する薬理学的特性を有していると説明されており、例えば細胞免疫試験において観察される遅延型の過敏反応を亢進させる効果が認められているが、これらの化合物について本発明において明示されるような細胞接着阻害活性、及びそれを介する免疫抑制作用については報告されていない。
【0014】
【化8】
【0015】
又、下記の一般式(B)において、Rが水素原子又はメトキシ基、Xが酸素原子又は硫黄原子、nが0.1及び2である化合物の合成法が報告されている(非特許文献13参照)が、Xが窒素原子である例は含まれていない。
【0016】
【化9】
【0017】
【特許文献1】
特開昭61−194081号公報
【特許文献2】
EP−193493A
【非特許文献1】
J. Immunol., 137, 1270, 1986
【非特許文献2】
Adv. Immunol., 9, 27, 1991
【非特許文献3】
Inhibitor of LFA-1/ICAM-1 interaction: from monoclonal antibod ies to small molecules, Drugs of the future, 2001, 26(8), 767- 778.
【非特許文献4】
Discovery of Novel p-Arylthio Cinnamides as Antagonists of LF A-1/CAM-1 Interaction. 1., J. Med. Chem., 2000, 43, 4025.
【非特許文献5】
Novel p-Arylthio Cinnamides as Antagonists of LFA-1/CAM-1 Inte raction. 2., J. Med. Chem., 2001, 44, 1202.
【非特許文献6】
Discovery of Potent Antagonists of LFA-1/CAM-1 Interaction. 3. , J. Med. Chem., 2001, 44, 2913.
【非特許文献7】
Discovery and SAR of Diarylsulfide Cyclopropylamide LFA-1/ICA M-1 Interaction Antagonist, Bioorg. & Med. Chem. Lett., 11, 97 3-976 (2001).
【非特許文献8】
Statins Selectively inhibit LFA-1 by binding to a novel regula tory integrin site, Nature Medicine, 7(6), 687-692 (2001).
【非特許文献9】
A Small Molecule Antagonist of LFA-1-Mediated Cell Adhesion, J . Immunol., 1999, 163, 5173-5177.
【非特許文献10】
Generation of an LFA-1 antagonist by the transfer of the ICAM- 1 immunoregulatory epitope to a small molecule, Science, 2002, 295, 5557, 1086-1089.
【非特許文献11】
G. Liu, Expert Opin. Ther. Patents, 11, 1383 (2001)
【非特許文献12】
Agents Actions, 1991, 33, 359-366
【非特許文献13】
Sulfur Letters, 9 , 271-277(1989)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する細胞間の接着及びシグナル伝達を阻害する新規な低分子化合物を提供し、又、当該化合物の作用によりICAM-1及びLFA-1両分子を介する炎症及び免疫反応に起因する種々の炎症性疾患、自己免疫性疾患に対する予防及び治療薬、並びに移植拒否反応の予防及び抑制薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、式(I):
【0019】
【化10】
【0020】
[式中、R1は式(II)又は(III ):
【化11】
【化12】
(式中、R3又はR4は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示す)を示し;
R2は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;
Xはアミド基を示す)で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体もしくはその薬理学的に許容し得る塩を有効成分とするICAM-1/LFA-1細胞接着阻害剤及びこれらの炎症性疾患、自己免疫性疾患の予防又は治療薬、移植拒絶反応の予防又は抑制薬が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明者らは細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1間の相互作用を阻害する物質について鋭意研究を重ねた結果、式(I)で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体もしくはその薬理学的に許容し得る塩が、ICAM-1発現細胞とLFA-1発現細胞間の接着を阻害し、更に、両接着分子間のシグナル伝達を特異的に阻害する抗体(抗LFA-1抗体:FD抗体)が有効性を示す皮膚移植モデルマウスにおいて、皮膚の移植後に観察される拒絶反応を強力に抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
本発明の有効成分であるジヒドロチエノキノリン誘導体は、分子内にアミノ基などの塩基性の原子やカルボキシル基などの酸性基が存在する場合、対応する塩の形で使用することが可能である。本発明において薬理学的に許容し得る塩としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸などの無機酸又はマレイン酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アジピン酸、パルミチン酸、タンニン酸などの有機酸、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属のような無機金属、リジンなどの塩基性アミノ酸との塩を挙げることができる。
【0023】
式(I)において、前述の如く、R1は式(II)又は(III )で表される基を示し、式(II)又は(III )において、R3又はR4は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示すが、炭素数1〜6の低級アルキル基の好ましい例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシルなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの飽和脂環式炭化水素基及びシクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチルなどの飽和脂環式炭化水素基―脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
【0024】
本発明において「置換されていてもよい」で表される置換基の一般的な例としては、例えばアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいアミノ及びシアノなどの置換基及びハロゲン原子などが挙げられる。従って、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基の好ましい例としては、トリフルオロメチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、カルボキシメチル、カルボキシエチルなどの基が挙げられる。
【0025】
炭素数6〜12のアリール基の好ましい例としては、フェニル、ナフチル、インデニル、などの芳香族炭化水素基が挙げられる。その場合、芳香環は例えばa)エステル化又はアミド化されていてもよいカルボキシル基、b)ニトロ基、c)ハロゲン原子、d)メトキシ、エトキシなどの置換されていてもよいアルコキシ基、e)メチル、エチルなどの置換されていてもよい低級アルキル基、f)フェニルなどのアリール基(その場合、芳香環は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基、メトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子やフッ素原子のようなハロゲン原子、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基などから選ばれた1〜2個の置換基で置換されていてもよい)、g)2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニルなどのヘテロアリール基、h)置換されていてもよいアミノ基、i)シアノ基、j)ニトロ基、k)ハロゲン原子からなる群から選ばれた1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
従って、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基の好ましい例としては、フェニル、1-ナフチル、4-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、2-メトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、4-アミノフェニル、4-モルフォリノフェニル、4-シアノフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-ニトロフェニル、4-カルボキシフェニル、4-エトキシカルボニルフェニル、4-(N-エチルアミノ)カルボニルフェニル、4-(N,N-ジエチルアミノ)カルボニルフェニル、4-(N-メチルピペラジノ)カルボニルフェニル、ビフェニル、4-(ピリジン-4-イル)フェニル、4-(ピリジン-3-イル)フェニル、1-ナフチルなどの基が挙げられる。
【0026】
置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基の好ましい例としては、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、2-チエニル、2-ピリミジニル、2-キノリル、3-イソキノリル、5-チアゾリルなどの基が挙げられる。
【0027】
置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基の好ましい例としては、ベンジル、4-ニトロベンジル、3-ニトロベンジル、4-メトキシベンジル、3-メトキシベンジル、4-クロロベンジル、2-フェネチル、3-フェニルプロピルなどの基が挙げられる。
【0028】
置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基の好ましい例としては、4-ピリジルメチル、3-ピリジルメチル、2-ピリジルメチル、2-(ピリジン-4-イル)エチル、2-(ピリジン-3-イル)エチル、2-キノリルメチル、3-イソキノリルメチルなどの基が挙げられる。
【0029】
式(I)の置換基R2は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示す。
【0030】
ここで、アルコキシ基とは、前記のアルキル基が酸素原子に結合した基をいい、アルコキシ基の好ましい例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基が挙げられる。また、アシルオキシ基とは、アシル基が酸素原子に結合した基をいい、アシル基の好ましい例としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、シクロプロピルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル、2-ピリジンカルボニル、3-ピリジンカルボニル、4-ピリジンカルボニルなどの基が挙げられる。特に好ましいR2としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
【0031】
式(I)の基-CONR5R6の好ましい例としては、R5及びR6が各々独立に水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示すか、又はR5及びR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、更に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい異項環基を示すか又はR5及びR6がそれらが結合している窒素原子と一緒になって、置換されていてもよい炭素原子及び窒素原子以外に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜8員環含窒素複素環基を示し、これらはその環上の炭素原子又は硫黄原子がオキシド化されていてもよい基などが挙げられる。
【0032】
これらの官能基における置換基R5及びR6の好ましい具体例としては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基としてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどの直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの飽和脂環式炭化水素基及びシクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルなどの飽和脂環式炭化水素基−脂肪族炭化水素基などが挙げられる。又、置換された炭素数1〜6のアルキル基としては、a)フェニル、ナフチルなどのアリール基(その場合、芳香環は例えばメチル、エチル、プロピルなどのアルキル基、塩素原子やフッ素原子のようなハロゲン原子、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基などから選ばれた1〜2個の置換基で置換されていてもよい)、b)2-ピリジル、3-ピリジル、2-ピリミジニルなどのヘテロアリール基、c)エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、d)水酸基、e)アルコキシ基、f)置換されていてもよいアミノ基、g)シアノ基からなる群から選ばれた基で置換されたアルキル基が挙げられ、特に好ましい具体例としては、例えば2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、2-(ジエチルアミノ)エチル、シアノメチル、シアノエチルなどの基が挙げられる。
【0033】
置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基の好ましい例としては、ベンジル、4-ニトロベンジル、3-ニトロベンジル、4-メトキシベンジル、3-メトキシベンジル、4-クロロベンジル、2-フェネチル、3-フェニルプロピルなどの基が挙げられる。
【0034】
置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基の好ましい例としては、フェニル、ナフチル、インデニルなどの芳香族炭化水素基が挙げられる。その場合、芳香環は例えばメチル、エチル、プロピルのようなアルキル基、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどのアルコキシ基、水酸基、アミノ、N-メチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、モルフォリノなどの置換されていてもよいアミノ基、塩素原子やフッ素原子のようなハロゲン原子、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基などから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい。
【0035】
また、例えばアミド化されたカルボキシル基としては、基-CONR5R6において、R5及びR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、更に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでもよい異項環を表す場合、異項環基の好ましい具体例としてはピペリジノ、ピロリジノ、モルホリノ、チオモルフォリノ、ピペラジノ、ホモピペラジノなどの基が挙げられる。これらは、その環上の炭素原子又は硫黄原子がオキシド化されていてもよく、また環上に、例えばメチル、エチル、プロピルのようなアルキル基、フェニル、4-メトキシフェニル、4-クロルフェニル、ナフチルのような置換されていてもよいアリール基、2-ピリジル、3-ピリジル、2-ピリミジルのような置換されていてもよいヘテロアリール基、カルボキシル基、カルバモイル、ジメチルアミノカルバモイルのような置換されてもよいカルバモイル基、ベンジル、4-クロルベンジル、2-ピリジルメチル、3-ピリジルメチルのようなアラルキル基又はヘテロアリール基などから選ばれた1〜2個の置換基を有していてもよい。
【0036】
また、本発明における好ましい化合物としては、前記式(I)のジヒドロチエノキノリン誘導体の、置換基R1を示す式(II)の置換基R3及び式(III )の置換基R4が各々独立に置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示す)であり;
式(I)の置換基R2は、水素原子、置換されてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;
式(I)の置換基Xは、アミド化されたカルボキシル基を示す化合物が挙げられる。
【0037】
式(I)の化合物の特に好ましい具体的化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
5-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-エトキシカルボニルベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-フルオロベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-ブロモベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-8-メトキシ-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-カルバモイルベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
N-(2-ヒドロキシエチル)-5-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
N-(2-アセトキシエチル)-5-アセチル-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(p-トルエンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-アミノベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-(4-カルボキシベンゼンスルホニル)-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(ピリジン-3-イル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(N-イソプロピルアミノカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(N,N-ジエチルアミノカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(4-メチルピペラジノカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[N-(2-ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(N-エチルアミノカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[N-(sec-ブチル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-[4-(t-ブトキシカルボニル)ベンゼンスルホニル]-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[N-(2-アミノエチル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[1-(ピロリジニル)アセチルアミノ]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
5-{4-[N-(4-メチルピペラジノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド
【0038】
次に、本発明を実施するための化合物の製造法の具体例を説明する。しかし、本発明の有効成分である化合物の製造方法はこれらに限定されるものではない。
【0039】
一般製法
本発明に係る式(I)で示されるジヒドチエノキノリン誘導体は、例えば以下に示す方法に従って製造できる。文献記載の方法(例えばB. P. L. Southwick et al., J. Am. Chem. Soc., 75, 3413-3417, 1953.)、又はそれに準じた方法で得られる式(IV):
【0040】
【化13】
【0041】
(式中、R2は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示す)で表わされるアニリン誘導体を、式( V ) :
【0042】
【化14】
【0043】
(式中、R4aは置換されていてもよいアリール基を示す)で表わされる塩化スルホニル体とピリジンなどの溶媒中で、0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより、式(VI):
【0044】
【化15】
【0045】
[式中、R1aは式(VII)
【化16】
【0046】
(式中、R4aは前記定義に同じ)の基である]で表わされるスルホンアミド体を得ることができる。この場合、R4aが4-カルボキシフェニル基のようなカルボキシル基で置換されたアリール基である場合には、塩化メチレンなどの反応に関与しない溶媒中で、4-ジメチルアミノピリジンのような塩基の存在下に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩のような脱水縮合剤を用いて、エタノールなどのアルコール類と縮合することによりエステル体に変換した上で、次の変換反応に使用する。
【0047】
前記式(VI)の化合物は、例えば1,4-ジオキサンと水などの混合溶媒中、水酸化ナトリウムなどの塩基と室温 〜 100 ℃ の温度で攪拌するか、又はピリジンなどの反応に関与しない溶媒中でヨウ化リチウムなどの求核試薬と室温 〜 90 ℃ の温度で反応することにより一般式 (VIII) :
【0048】
【化17】
【0049】
(式中、R1aは前記式(VII)の基である)で表わされるカルボン酸体に変換することができる。
【0050】
次に、この化合物を、文献記載の方法(C/M. Brauholtz et al., J. Chem. Soc., 1958, 3368-3375.)、又はそれに準じた方法に従って、ベンゼンなどの反応に関与しない溶媒中、室温〜50℃の温度で五塩化リンなどの試薬と攪拌することにより酸クロリド体とした後、反応液中に四塩化スズなどの触媒を添加して、更に室温〜50℃の温度で攪拌することにより、式(IX):
【0051】
【化18】
【0052】
(式中、R1aは前記式(VII )の基である)
で表わされる2,3-ジヒドロ-1H-キノリン-4-オン骨格誘導体を得ることができる。
【0053】
この化合物は、例えばジメチルホルムアミド(DMF)とオキシ塩化リンを0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより調製したVilsmeier試薬に溶解後、0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより、式(X):
【0054】
【化19】
【0055】
(式中、R1aは前記式(VII )の基である)で表わされるアルデヒド体に変換した後、更に、アセトニトリルなどの反応に関与しない溶媒中で、無水炭酸カリウムなどの塩基の存在下に、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチルなどのチオグリコール酸エステル類又はそれらの金属メルカプチド塩と加熱還流することにより、式(XI):
【0056】
【化20】
【0057】
(式中、R1aは前記式(VII )の基であり、R2は前記定義の通りであり、Yはエステル化されたカルボキシル基を示す)で表わされるジヒドロチエノキノリン骨格誘導体に変換することができる。
【0058】
この化合物は、例えば1,4-ジオキサンと水などの混合溶媒中で、水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で、室温 〜 100 ℃ の温度で攪拌するか、又は、置換基Yがメトキシカルボニル基である場合には、ピリジンなどの反応に関与しない溶媒中で、ヨウ化リチウムなどの求核試薬と、室温 〜 90 ℃ の温度で反応することにより式 (XII) :
【0059】
【化21】
(式中、R1aは前記式(VII )の基であり、R2は前記定義の通りである)で表わされるカルボン酸体を得ることができる。
【0060】
この化合物は、式(XIII):
【化22】
【0061】
(式中、R5a及びR6aは各々独立に置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示すか、又はR5a及びR6aはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、更に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい異項環基を示す)で表わされるアミン類と、塩化メチレンなどの反応に関与しない溶媒中で、4-ジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下又は非存在下で、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの脱水縮合剤と、0 〜 50 ℃ の温度で縮合するか、又は前記化合物を、1,1-カルボニルジイミダゾールなどの試薬と0 〜 50 ℃ の温度で反応した後、反応液中に過剰量(好ましくは1〜10当量分)のアンモニア水溶液又は前記式(XIII)で表わされるアミン類を加えて、0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより、式(Ia):
【0062】
【化23】
【0063】
(式中、R1aは前記式(VII )の基であり、R2及びR4aは前記定義の通りであり、Xはアミド化されたカルボキシル基を示す)で表わされるアミド誘導体を得ることができる。
【0064】
この場合、R4aが4-エトキシカルボニルフェニルのようなエステル基で置換されたアリール基である場合、上述した方法と同様に、塩基性条件で加水分解反応をした後、アミド化反応をおこなうことにより、前記式(Ia)において、R1aが式(XIV):
【0065】
【化24】
【0066】
(式中、R5及びR6は前記定義の通りである)で表わされるジアミド体に変換することができる。
【0067】
また、R4aが4-ニトロフェニル基である場合には、DMFなどの反応に関与しない溶媒中で、無水炭酸カリウムなどの塩基の存在下に、エタンチオール、ベンゼンチオールなどのメルカプタン類と0 〜 50 ℃ の温度で攪拌することにより、式(XV):
【0068】
【化25】
【0069】
(式中、R2、R5及びR6は前記定義の通りである)で表わされるジヒドロチエノキノリン誘導体を得ることができる。
【0070】
この化合物を、前記式 (V)又は式(XVI):
【0071】
【化26】
【0072】
(式中、R4a及びR3は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示す)で表される化合物と、ピリジンなどの溶媒中で、0 〜 50 ℃ の温度で、縮合することにより、前記式(I)で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体を得ることができる。
【0073】
前記式(I)で表される本発明化合物は、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する細胞間の接着及びシグナル伝達を抑制することができる。従って、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する血管内皮細胞と好中球間の接着を阻害することにより、炎症部位における好中球の浸潤を抑制することが可能であり、心筋虚血再灌流障害などの炎症性疾患に対する予防薬又は治療薬として使用できる。又、多くの自己免疫疾患においても、リンパ球の浸潤と、病巣における抗原提示能を有する細胞によるリンパ球の活性化が病態形成に関与することが報告されており、この過程にも細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1の関与が示唆されている。また、臓器や皮膚などの移植後に認められる拒絶反応がこれらの接着分子に対する抗体により抑制されることが確認されており、ICAM-1及びLFA-1間の接着及びシグナル伝達を阻害する本発明に係る化合物により移植後の拒絶反応を抑制することが可能である。従って、本発明化合物は、例えば乾癬、アトピー性皮膚炎、変形性関節症、慢性関節リウマチ、悪液質、多臓器不全、炎症性腸疾患、マラリア、クローン病、後天性免疫不全症候群、虚血性心疾患、喘息などの疾患に対する予防薬及び治療薬として有用であり、細胞、皮膚及び臓器を移植した後の拒絶反応の予防薬及び抑制薬としても有用である。
【0074】
本発明に係る化合物を上述の医薬組成物として使用する場合、例えば錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などの剤形で経口的に、又は水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との溶液、又は懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば本発明化合物と、生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、安定剤などとを、一般に認められた形態で混和することによって製造することができる。錠剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチンのような結合剤、コーンスターチのような膨化剤、結晶性セルロースのような賦形剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤などを用いることができる。カプセルの剤形である場合には、前述の組成物に更に液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物も、通常の処方を適用することができる。
【0075】
注射剤の水溶液としてはブドウ糖などを含む等張液などが挙げられ、ポリエチレングリコールのような適当な溶解補助剤などと併用してもよい。また、緩衝剤、安定剤、保存剤、酸化防止剤、無痛化剤などを配合してもよい。このようにして得られる製剤は、例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物に対して投与することができる。投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人においては1日につき約0.01〜100 mg、好ましくは約0.1〜50 mg、より好ましくは約1.0〜25 mgである。非経口的に投与する場合は、例えば、注射剤の場合、一般的に成人においては1日につき約0.001〜50 mg程度、好ましくは約0.01〜25 mg、より好ましくは約0.1〜10 mg程度を静脈注射により投与するのが好ましい。
【0076】
ICAM-1とLFA-1を介する細胞接着に対する化合物の阻害効果は、それ自体公知の方法又はそれらに準じた方法に従って、蛋白質と接着分子発現細胞間、又は接着分子発現細胞間の接着に対する抑制効果を直接、又は間接的に測定することにより調べることができる。また、ICAM-1とLFA-1を介する細胞障害性Tリンパ球(CTL)による、標的細胞に対する傷害の抑制効果は、それ自体公知の方法又はそれらに準じた方法に従って調べることができる。また、免疫反応における抗原提示反応の成立やT細胞の活性化にも、ICAM-1とLFA-1の相互作用の関与が示唆されている。ICAM-1とLFA-1を介するT細胞の分化、増殖に対する薬物の効果は、例えばそれ自体公知の方法(例えば、混合リンパ球反応)又はそれに準じた方法により調べることができる(M.W. Makgoba et al., Eur J. Immunol., 18(4), 637-640 (1988))。
【0077】
本発明化合物の広義の抗炎症作用を確認する方法としては、カラゲニンやアラキドン酸などにより惹起された浮腫を抑制する効果で調べることができる。例えば、カラゲニンで惹起した胸膜炎モデルにおいては、既に抗ICAM-1抗体の投与が有効であることが確認されており、それに準じた方法により阻害剤の効果を調べることができる(炎症 12, 313.)。本発明化合物の免疫抑制作用を評価する方法としては、各種の抗原で惹起した遅延型過敏反応などを抑制する効果で調べることができる(W. A. Werther et al., J. Immunol., 157, 4986 (1996))。
【0078】
更に、具体的な疾患に対しては、慢性関節リウマチ治療薬としての効果は、アジュバントやコラーゲンにより惹起された関節炎のモデル動物で薬効を評価することができる(Y. Iigo et al., J. Immunol., 147, 4167, 1991)。又、難治性炎症、例えばクローン病、肝炎、腎炎に対する治療薬としての効果は、それ自体公知か又はその方法に準じた方法に従って作製した動物モデルで薬効を推定することができる(K. Nishikawa et al., J. Exp. Med., 180, 95, 1994.;K. Kawasaki et al., J. Immunol., 150, 1074, 1993)。更に、臓器や皮膚などの移植後の拒絶反応の抑制剤としての効果は、例えばGVH(Graft versus Host)病や臓器移植モデル動物で薬効を評価することができる(A. B. Cosimi et al, J. Immunol.,142,2617, 1990.;M. Isobe et al, Science, 255, 1125, 1992)。
【0079】
このように、接着分子阻害剤の疾患治療薬としての効果は、公知の方法又はそれに準じた方法により作製可能な各種のモデル動物によって確認することができる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び実験例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明をこれらの実施例及び実験例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0081】
参考例 1 : N-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン
N-フェニル-β-アラニン メチルエステル(5.00 g, 27.93 mmol)のピリジン溶液(60 ml)に、氷冷下に塩化ニトロベンゼンスルホニル(6.50 g, 29.33 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、1時間加熱還流した。次いで、反応液を減圧濃縮した後、3% 塩酸水溶液で希釈し、エーテル抽出した。抽出液は、水、1規定水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をエーテルから再結晶し、N-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-N-フェニル-β-アラニン メチルエステル (9.05 g, 24.86 mmol, 89 %)を得た。該化合物(9.05 g, 24.86 mmol)をメタノール(70 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(25 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を水で希釈し、エーテルで洗浄した後、水層を濃塩酸で酸性にしてエーテル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物(6.90 g, 19.71 mmol, 79 %)を得た。(総収率:71 %)
【0082】
参考例2: N-(4- カルボキシベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン メチルエステル
N-フェニル-β-アラニン メチルエステル(5.0 g, 27.93 mmol)のピリジン溶液(100 ml)に、氷冷下にp-(クロロスルホニル)安息香酸(9.2 g, 40.03 mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。次いで、反応液を減圧濃縮した後、3% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をエーテルから再結晶し、標題化合物(5.9 g, 16.25 mmol, 58 %)を得た。
【0083】
参考例 3 : N-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン
N-フェニル-β-アラニン メチルエステル(5.0 g, 27.93 mmol)のピリジン溶液(100 ml)に、氷冷下に塩化4-フルオロベンゼンスルホニル (5.68 g, 29.28 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、更に1時間加熱還流した。次いで、反応液を減圧濃縮し、3% 塩酸水溶液で希釈した後、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をメタノール(75 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(25 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物 (6.3 g, 19.50 mmol, 70 %)を得た。
【0084】
参考例 4 : N-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン
N-フェニル-β-アラニン メチルエステル(5.0 g, 27.93 mmol)のピリジン溶液(100 ml)に、氷冷下に塩化4-ブロモベンゼンスルホニル (7.48 g, 29.33 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、更に1時間加熱還流した。次いで、反応液を減圧濃縮した後、3% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をメタノール(75 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(25 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物 (6.2 g, 16.15 mmol, 58 %)を得た。
【0085】
参考例 5 : N-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-N-(4- メトキシフェニル )- β - アラ ニン
N-(4-メトキシフェニル)-β-アラニン メチルエステル(8.5 g, 40.67 mmol)をピリジン(80 ml)及びベンゼン(20 ml)の混合溶液に溶解し、氷冷下に塩化4-ニトロベンゼンスルホニル (9.90 g, 44.67 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、更に1時間加熱還流した。次いで、反応液を水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液は、10% 塩酸水溶液、水、1規定水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をメタノール(75 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(25 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、N-(4-ニトロベンゼンスルホニル)-N-(4-メトキシフェニル)-β-アラニン メチルエステル(12.50 g, 31.73 mmol, 78 %)を得た。該化合物をメタノール(100 ml)及び10% 水酸化カリウム水溶液(50 ml)に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を水で希釈した後、エーテルで洗浄し、濃塩酸で酸性にして酢酸エチル抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物 (9.8 g, 25.79 mmol, 81 %)を得た。(総収率:63 %)
【0086】
参考例 6 : N-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン メチルエステル
参考例2で得た化合物 (1.20 g, 3.3057 mmol)を塩化メチレン (100 ml)に溶解し、この溶液にエタノール(456 mg, 9.8979 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(524 mg, 4.2950 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (951 mg, 4.9608 mmol)を加え、室温にて16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより、標題化合物 (1.20 g, 3.0690 mmol, 93 %)を得た。
【0087】
参考例 7 : N-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-N- フェニル - β - アラニン
参考例6で得られた化合物(221 mg, 0.5652 mmol)のピリジン溶液(10 ml)に、ヨウ化リチウム(76 mg, 0.5677 mmol)を加え、16時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮した後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、エーテルで洗浄した。次いで、水層を濃塩酸で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (128 mg, 0.3395 mmol, 60 %)を得た。
【0088】
参考例8: 1-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例1で得られた化合物(4.00 g, 11.43 mmol)のベンゼン溶液(40 ml)に、氷冷下に五塩化リン(2.38 g, 11.44 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した後、1時間加熱還流した。冷後、反応液に1,2-ジクロロエタン(100 ml)を加えた後、氷冷下に四塩化スズ(4.46 g, 17.15 mmol)を滴下し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を氷水で希釈し、塩化メチレン抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=4:1)で精製し、標題化合物 (650 mg, 1.96 mmol, 17 %)を得た。
【0089】
参考例9: 1-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例7で得られた化合物(1.36 g, 3.6074 mmol)のベンゼン溶液(50 ml)に、氷冷下に五塩化リン(825 mg, 3.9663 mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。次いで、反応液に氷冷下に四塩化スズ(1.41 g, 5.4230 mmol)を滴下し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し、標題化合物 (570 mg, 1.5877 mmol, 44 %)を得た。
【0090】
参考例 10 : 1-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例3で得られた化合物(5.00 g, 15.48 mmol)のベンゼン溶液(50 ml)に、氷冷下に五塩化リン(3.22 g, 15.4807 mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。次いで、反応液に氷冷下に四塩化スズ(6.03 g, 23.19 mmol)を滴下し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し、標題化合物 (2.50 g, 8.20 mmol, 53 %)を得た。
【0091】
参考例 11 : 1-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例4で得られた化合物(5.00 g, 13.02 mmol)のベンゼン溶液(50 ml)に、氷冷下に五塩化リン(2.71 g, 13.0288 mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。次いで、反応液に氷冷下に四塩化スズ(5.08 g, 19.54 mmol)を滴下し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し、標題化合物 (2.15 g, 5.87 mmol, 45 %)を得た。
【0092】
参考例 12 : 1-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-6- メトキシ -2,3- ジヒドロ -1H- キノリン -4- オン
参考例5で得られた化合物(3.97 g, 10.4473 mmol)のベンゼン溶液(30 ml)に、氷冷下に五塩化リン(2.20 g, 10.5769 mmol)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応液を濃縮した後、1,2-ジクロロエタン(100 ml)に溶解し、氷冷下に塩化アルミニウム(1.67 g, 12.5563 mmol)を加えて、室温で更に6時間攪拌した。反応液を5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し、標題化合物 (2.01 g, 5.5524 mmol, 53 %)を得た。
【0093】
参考例 13 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 エチルエステル
参考例8で得られた化合物(1.42 g, 4.2771 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(2.70 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(1.19 ml)とジメチルホルムアミド(2.70 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査(908 mg)をアセトニトリル (90ml)に溶解し、チオグリコール酸エチル (274 mg, 2.6346 mmol)及び無水炭酸カリウム (1.33 g, 9.6376 mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した後、1時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (1.02 g, 2.2947 mmol, 54 %)を得た。
【0094】
参考例 14 : 5-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 メチルエステル
参考例9で得られた化合物(570 mg, 1.5877 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(1 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(0.88 ml)とジメチルホルムアミド(1.98 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をアセトニトリル (50ml)に溶解し、チオグリコール酸メチル (172 mg, 1.6205 mmol)及び無水炭酸カリウム (657 mg, 4.7608 mmol)を順次加え、6時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (566 mg, 1.2385 mmol, 78 %)を得た。
【0095】
参考例 15 : 5-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 エチルエステル
参考例10で得られた化合物(2.00 g, 6.5573 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(5 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(1.80 ml)とジメチルホルムアミド(4.10 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をアセトニトリル (200ml)に溶解し、氷冷下に無水炭酸カリウム (3.41 g, 24.71 mmol)及びチオグリコール酸エチル (675 mg, 6.4903 mmol)を順次加え、2時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (1.98 g, 4.7482 mmol, 72 %)を得た。
【0096】
参考例 16 : 5-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 エチルエステル
参考例11で得られた化合物(2.10 g, 5.7377 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(5 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(1.60 ml)とジメチルホルムアミド(3.50 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をアセトニトリル (200ml)に溶解し、氷冷下に無水炭酸カリウム (3.09 g, 22.39 mmol)及びチオグリコール酸エチル (612 mg, 5.8846 mmol)を順次加え、2時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (2.20 g, 4.6025 mmol, 80 %)を得た。
【0097】
参考例 17 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-8- メトキシ -4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸 エチルエステル
参考例12で得られた化合物(1.01 g, 2.7900 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(2 ml)に、氷冷下にオキシ塩化リン(0.52 ml)とジメチルホルムアミド(1.30 ml)から調製したビルスマイヤー試薬を加え、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水で希釈し、エーテル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をアセトニトリル (100ml)に溶解し、チオグリコール酸エチル (291 mg, 2.7980 mmol)及び無水炭酸カリウム (657 mg, 4.7608 mmol)を順次加え、6時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸=3:1)で精製し標題化合物 (1.07 g, 2.2573 mmol, 81 %)を得た。
【0098】
参考例 18 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例13で得た化合物 (714 mg, 1.6081 mmol)を1,4-ジオキサン(5 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(4.8 ml, 4.8 mmol)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮した後に水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (402 mg, 0.9663 mmol, 60 %)を得た。
【0099】
参考例 19 : 5-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例14で得た化合物 (743 mg, 1.6258 mmol)をピリジン(30 ml)に溶解し、ヨウ化リチウム(435 mg, 3.2499 mmol)を加えた後、16時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、飽和重炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、エーテルで洗浄した後、水層を濃塩酸で酸性にして酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (566 mg, 1.2776 mmol, 79 %)を得た。
【0100】
参考例 20 : 5-(4- カルボキシベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例14で得た化合物 (90 mg, 0.1969 mmol)を1,4-ジオキサン(2 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(2 ml)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (66 mg, 0.1590 mmol, 81 %)を得た。
【0101】
参考例 21 : 5-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例15で得た化合物 (1.00 g, 2.3980 mmol)を1,4-ジオキサン(20 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(7.2 ml, 7.2 mmol)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮した後に水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (879 mg, 2.2596 mmol, 94 %)を得た。
【0102】
参考例 22 : 5-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例16で得た化合物 (1.00 g, 2.0920 mmol)を1,4-ジオキサン(20 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(6.3 ml, 6.3 mmol)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮した後に水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (743 mg, 1.6511 mmol, 79 %)を得た。
【0103】
参考例 23 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-8- メトキシ -4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボン酸
参考例17で得た化合物 (1.07 g, 2.2573 mmol)を1,4-ジオキサン(20 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(6.7 ml, 6.7 mmol)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮した後に水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (956 mg, 2.1434 mmol, 95 %)を得た。
実施例 1 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例18で得た化合物 (402 mg, 0.9663 mmol)をテトラヒドロフラン(30 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(176 mg, 1.0864 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (0.18 ml, 0.9 g/ml, 9.53 mmol)を加えて、室温で更に1時間攪拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (350 mg, 0.8425 mmol, 87 %)を得た。
【0104】
実施例 2 : 5-(4- エトキシカルボニルベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例19で得た化合物 (566 mg, 1.2776 mmol)をテトラヒドロフラン(50 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(232 mg, 1.43 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (3 ml)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (420 mg, 0.9502 mmol, 74 %)を得た。
【0105】
実施例 3 : 5-(4- フルオロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例21で得た化合物 (879 mg, 2.2596 mmol)をテトラヒドロフラン(30 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(411 mg, 2.5370 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (0.43 ml, 0.9 g/ml, 22.8 mmol)を加えて、室温で更に3時間攪拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (750 mg, 1.9329 mmol, 81 %)を得た。
【0106】
実施例 4 : 5-(4- ブロモベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例22で得た化合物 (743 mg, 1.6511 mmol)をテトラヒドロフラン(30 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(300 mg, 1.8518 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (0.31 ml, 0.9 g/ml, 16.4 mmol)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (690 mg, 1.5367 mmol, 73 %)を得た。
【0107】
実施例 5 : 5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-8- メトキシ -4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例23で得た化合物 (956 mg, 2.1434 mmol)をテトラヒドロフラン(50 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(521 mg, 3.2160 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (0.4 ml, 0.9 g/ml, 21.18 mmol)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (720 mg, 1.6179 mmol, 75 %)を得た。
【0108】
実施例 6 : 5-(4- カルバモイルベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例20で得た化合物 (46 mg, 0.1108 mmol)をテトラヒドロフラン(10 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(40 mg, 0.2469 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に28% アンモニア水溶液 (1 ml)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をエーテルで洗浄し、標題化合物 (35 mg, 0.0847 mmol, 76 %)を得た。
【0109】
実施例 7 : N-(2- ヒドロキシエチル )-5-(4- ニトロベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例18で得た化合物 (200 mg, 0.4807 mmol)をテトラヒドロフラン(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(87 mg, 0.5370 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液にエタノールアミン(44 mg, 0.7213 mmol)を加えて、室温で更に3時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をエーテルで洗浄し、標題化合物 (108 mg, 0.2352 mmol, 49 %)を得た。
【0110】
実施例 8 : N-(2- アセトキシエチル )-5- アセチル -4,5- ジビドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例7で得られた化合物(108 mg, 0.2352 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(10 ml)に、炭酸カリウム(97 mg, 0.7028 mmol)とベンゼンチオール (39 mg, 0.3545 mmol)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査を分取用薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製しN-(2-ヒドロキシエチル)-5H-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド(60 mg, 0.2189 mmol, 93 %)を得た。該化合物(15 mg, 0.0547 mmol) をピリジン (1 ml)に溶解し、氷冷下に無水酢酸(1 ml )を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を濃縮して得た残査を分取用薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (12 mg, 0.0335 mmol, 61 %)を得た。
【0111】
実施例 9 : 5-(p- トルエンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例1で得られた化合物(200 mg, 0.4819 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(20 ml)に、炭酸カリウム(200 mg, 1.4492 mmol)とベンゼンチオール (80 mg, 0.7272 mmol)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド(80 mg, 0.3478 mmol, 72 %)を得た。該化合物(30.0 mg, 0.1304 mmol) をピリジン (1 ml)に溶解し、氷冷下に塩化m-トルエンスルホニル(27.0 mg, 0.1416 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を、5% 塩酸水溶液で希釈し、酢酸エチル抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して得た残査を分取用薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (32 mg, 0.0833 mmol, 64 %)を得た。(総収率:46 %)
【0112】
実施例 10 : 5-(4- アミノベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例1で得た化合物 (30 mg, 0.0722 mmol)を1規定塩酸水溶液(2 ml)とエタノール(6 ml)の混合溶液に溶解し、鉄粉(24 mg, 0.4301 mmol)を加えた後、3時間加熱還流した。反応液を濾過し、1規定水酸化ナトリウムを加えて塩基性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (18 mg, 0.0467 mmol, 65 %)を得た。
【0113】
実施例 11 : 5-(4- カルボキシベンゼンスルホニル )-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例2で得た化合物 (300 mg, 0.6787 mmol)を1,4-ジオキサン(10 ml)と1規定水酸化ナトリウム水溶液(10 ml)の混合溶液に溶解し、室温で16時間攪拌した。反応液を水で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をヘキサンで洗浄し、標題化合物 (250 mg, 0.6038 mmol, 89 %)を得た。
【0114】
実施例 12 : 5-[4-( ピリジン -3- イル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例4で得た化合物 (50 mg, 0.1113 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(DME)溶液(6 ml)に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(4.0 mg, 0.0346 mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(0.3 ml, 0.60 mmol)及びピリジン-3-ボロン酸 1,3-プロパンジオール サイクリックエステル(23 mg, 0.1419 mmol)のエタノール溶液(0.3 ml)を加えた後、6時間加熱還流した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液は、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (26 mg, 0.581 mmol, 52 %)を得た。
【0115】
実施例 13 : 5-[4-(N- イソプロピルアミノカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (31 mg, 0.0748 mmol)を塩化メチレン (5 ml)に溶解し、この溶液にイソプロピルアミン (8.8 mg, 0.1491 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (29 mg, 0.1512 mmol)を加え室温にて3時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (15 mg, 0.0329 mmol, 44 %)を得た。
【0116】
実施例 14 : 5-[4-(N,N- ジエチルアミノカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (30 mg, 0.0724 mmol)をテトラヒドロフラン(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(13 mg, 0.0802 mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応液にジエチルアミン (11 mg, 0.1503 mmol)を加えて、室温で更に6時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(30 mL)で希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (22 mg, 0.0469 mmol, 65 %)を得た。
実施例 15 : 5-[4-( 4 - メチルピペラジノカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (30 mg, 0.0724 mmol)を塩化メチレン (5 ml)に溶解し、この溶液にN-メチルピペラジン (14 mg, 0.1397 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (28 mg, 0.1460 mmol)を加え室温にて16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (20 mg, 0.0403 mmol, 56 %)を得た。
【0117】
実施例 16 : 5-{4-[N-(2- ヒドロキシエチル ) アミノカルボニル ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (31 mg, 0.0748 mmol)をテトラヒドロフラン(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(13 mg, 0.0802 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエタノールアミン (6.9 mg, 0.1131 mmol)を加えて、室温で更に4時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(30 mL)で希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(10% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (18 mg, 0.0393 mmol, 53 %)を得た。
【0118】
実施例 17 : 5-[4-(N- エチルアミノカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (30 mg, 0.0724 mmol)をテトラヒドロフラン(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下1,1-カルボニルジイミダゾール(13 mg, 0.0802 mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にエチルアミン (23 mg, 70 %水溶液, 0.3577 mmol)を加えて、室温で更に6時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(30 mL)で希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (20 mg, 0.0453 mmol, 63 %)を得た。
【0119】
実施例 18 : 5-{4-[N-(sec- ブチル ) アミノカルボニル ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (10 mg, 0.0241 mmol)を塩化メチレン (3 ml)に溶解し、この溶液にsec-ブチルアミン (2.6 mg, 0.0355 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (9.3 mg, 0.0485 mmol)を加え室温にて16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (4.3 mg, 0.0091 mmol, 38 %)を得た。
【0120】
実施例 19 : 5-[4-(t- ブトキシカルボニル ) ベンゼンスルホニル ]-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
実施例11で得た化合物 (30 mg, 0.0724 mmol)を塩化メチレン (5 ml)に溶解し、この溶液に2-tert-ブチル-1,3-ジイソプロピルイソウレア (43 mg, 0.2150 mmol)を加え室温にて16時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (20 mg, 0.0425 mmol, 59 %)を得た。
【0121】
実施例 20 : 5-{4-[N-(2- アミノエチル ) アミノカルボニル ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド(トリフルオロメタンスルホン酸塩)
実施例11で得た化合物 (80 mg, 0.1932 mmol)を塩化メチレン (5 ml)に溶解し、この溶液にN-(t-ブトキシカルボニル)エチレンジアミン(41 mg, 0.2558 mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (56 mg, 0.2921 mmol)を加え、室温にて16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査を分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、5-{4-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノエチル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホニル}-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-c]キノリン-2-カルボキサミド(39 mg, 0.0701 mmol, 36 %)を得た。該化合物 (11 mg, 0.0197 mmol)を塩化メチレン (2 ml)に溶解し、この溶液にトリフルオロ酢酸(3 ml)を加え室温にて6時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、残査を酢酸エチルから再結晶し、標題化合物 (4 mg, 0.0070 mmol, 36 %)を得た。(総収率:13 %)
【0122】
実施例 21 : 5-{4-[1-( ピロリジニル ) アセチルアミノ ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例10で得た化合物 (23 mg, 0.0597 mmol)をジメチルホルムアミド(5 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下に塩化クロロアセチル(26 mg, 0.1209 mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をジメチルホルムアミド(1 ml)に再度溶解し、この溶液にピロリジン(5.5 mg, 0.0774 mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (12 mg, 0.0241 mmol, 84 %)を得た。標題化合物を塩化メチレンに溶解し、過剰量の塩酸−1,4-ジオキサン溶液を加えた後、減圧濃縮し、エーテルから再結晶して塩酸塩(10 mg)に変換した。
【0123】
実施例 22 : 5-{4-[N-( 4 - メチルピペラジノカルボニル ) アミノ ] ベンゼンスルホニル }-4,5- ジヒドロチエノ [3,2-c] キノリン -2- カルボキサミド
参考例10で得た化合物 (417 mg, 1.0831 mmol)をテトラヒドロフラン(50 ml)に溶解し、この溶液に氷冷下トリエチルアミン(131 mg, 1.2970 mmol)及びクロロ炭酸p-ニトロフェニル(240 mg, 1.1910 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。その後、反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査(381 mg, 0.6927 mmol, 64 %)の一部(181 mg, 0.3290 mmol)をテトラヒドロフラン(20 ml)に溶解し、この溶液にN-メチルピペラジン(49 mg, 0.4900 mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー(5% メタノール−塩化メチレン)で精製し、標題化合物 (90 mg, 0.1761 mmol, 54 %)を得た。標題化合物を塩化メチレンに溶解し、過剰量の塩酸−1,4-ジオキサン溶液を加えた後、減圧濃縮し、エーテルから再結晶して塩酸塩(88 mg)に変換した。(総収率:35 %)
【0124】
実験例1:細胞接着阻害活性の測定
ヒトICAM-1を導入したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)由来細胞を、96ウエルプレートに1×104個ずつ藩種し、10% FBSを含むα-MEM培地を用いて、5% CO2存在下、37 ℃で72 時間前培養した。一方、ヒト組織急性リンパ腫由来のU937細胞をまず蛍光試薬であるBCECF-AM (DOJINDO) で標識し、次にホルボールエステル 100 ng/ml で処理することによって同細胞上に発現している LFA-1 の活性化を惹起させ、直ちに前述した CHO 細胞を培養したプレートの各ウエルに、1×105個/50 μl ずつ添加した。また、これと同時に各被験化合物を最終濃度 0.78〜200 μM になるように 50 μl(マイクロリットル)ずつ加えて混合し、5% CO2 存在下、37 ℃で 30 分間インキュベーションした。次に、各ウエルを血清を含まない RPMI1640 培地で2回洗浄し、付着したU937細胞を 1% NP-40 を含む PBS 100 μl(マイクロリットル)で可溶化した後に、480/ 530 nm での蛍光強度を測定した。接着阻害活性算出にあたっては、ヒト ICAM-1 を組み込まないベクターを導入した CHO 細胞に対するU937の接着量を0 % とし、また各被験化合物の代わりに同量のDMSOを添加した場合の接着量を 100 % とした。
【0125】
【0126】
実験例 2 : 皮膚移植拒絶反応の抑制効果の検討
方法
レシピエントにC57BL/6マウス、ドナーにBALB/cマウスを用いて皮膚移植を行った。実施例17の化合物、FK506及び抗LFA-1抗体(FD)の単独及び併用効果の検討を行った。薬剤は移植後9日目までi.p.投与し、各群6〜8匹で実験を行った。
【0127】
結果
実施例17の化合物を50 mg/kg、FK506を2 mg/kg及び抗LFA-1抗体(FD)(FD抗体は移植後0,1,3,5,7日目に500μg/mouse, i.p.投与)、それぞれを単独又は併用投与した結果を以下の図1に示す。コントロール群では、8日目までに全例拒絶されたのに対して、抗LFA-1抗体(FD)、実施例17の化合物、FK506ともに拒絶反応を遅延する効果が認められた。この条件での効果は抗LFA-1抗体(FD)が最も強く、実施例17の化合物とFK506は同等の効果を示した。しかし、抗LFA-1抗体(FD)と実施例17の化合物の併用による相乗効果は認められなかった。
【0128】
実験例 3 : 皮膚移植拒絶反応の抑制効果の検討 ( 用量依存性の検討 )
方法
レシピエントにC57BL/6マウス、ドナーにBALB/cマウスを用いて皮膚移植を行った。実施例17の化合物を100, 20, 4 mg/kg/day投与,FK506を2 mg/kg/day投与した場合の効果の検討を行った。薬剤は移植後9日目までi.p.投与し、各群6〜8匹で実験を行った。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【0135】
【表7】
【0136】
【表8】
【0137】
【表9】
【0138】
【表10】
【0139】
【表11】
【0140】
【表12】
【0141】
結果
実施例17の化合物を100, 20, 4 mg/kg/day投与、FK506を2 mg/kgそれぞれを単独投与した。図2に示す通り、実施例17の化合物は、20, 4 mg/kg/day投与では効果は認められなかったが、100 mg/kg/day投与では、FK506を2 mg/kgした場合とほぼ同等の強い移植拒絶抑制効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例2の皮膚移植拒絶反応の抑制効果の評価結果を示すグラフ図である。
【図2】実験例3の皮膚移植拒絶反応の抑制効果の評価結果を示すグラフ図である。
Claims (11)
- 式(I):
R2は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;
R5及びR6は各々独立に水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示すか、又はR5及びR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、更に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい異項環基を示す]
で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体。 - R1が前記式(II)(但し、R3は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基又は置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基を示す)である請求項1に記載のジヒドロチエノキノリン誘導体。
- R1が前記式(III)(但し、R4は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基又は置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基を示す)である請求項1に記載のジヒドロチエノキノリン誘導体。
- R2が水素原子、メチル基、メトキシ基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のジヒドロチエノキノリン誘導体。
- 前記式(I)において、R5及びR6が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換されていてもよい炭素原子及び窒素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜8員環含窒素複素環基を示し、これらはその環上の炭素原子又は硫黄原子がオキシド化されていてもよい基である請求項1〜4のいずれか1項に記載のジヒドロチエノキノリン誘導体。
- 前記式(I)において、R1が前記式(III)(但し、R4は置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基又は置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基を示す)であり;
R2は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;
Xはアミド化されたカルボキシル基である請求項1〜5のいずれか1項に記載のジヒドロチエノキノリン誘導体。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のジヒドロチエノキノリン誘導体もしくはその薬理学的に許容し得る塩を有効成分とする細胞接着阻害剤。
- 炎症性疾患の予防又は治療薬である請求項7に記載の細胞接着阻害剤。
- 自己免疫性疾患の予防又は治療薬である請求項7に記載の細胞接着阻害剤。
- 移植拒絶反応の予防又は抑制薬である請求項7に記載の細胞接着阻害剤。
- 式(I):
R2は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基、水酸基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜11のアシルオキシ基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し;
R5及びR6は各々独立に水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換されていてもよい炭素数3〜11のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜14のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜13のヘテロアリールアルキル基を示すか、又はR5及びR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、更に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい異項環基を示す]
で表されるジヒドロチエノキノリン誘導体又はその薬理学的に許容し得る塩を有効成分とする、細胞接着分子ICAM-1及びLFA-1が関与する炎症性疾患、自己免疫疾患の予防もしくは治療薬又は移植拒絶反応の予防もしくは抑制薬。
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