JP2006142917A - 衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材およびその溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 自動車などに適用される衝撃吸収部材の圧潰形態及び溶接強度との観点からレーザ溶接部形状の最適化を図り、衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材およびその溶接方法を提供する
【解決手段】少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材において、前記ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された溶接ビードの1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.2以上0.95以下であり、かつ前記フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が1.0以上、3.0以下である衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材およびその溶接方法。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材において、前記ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された溶接ビードの1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.2以上0.95以下であり、かつ前記フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が1.0以上、3.0以下である衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材およびその溶接方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車用部材等に用いられる衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材およびその溶接方法に関する。特に、衝撃吸収特性を向上させた溶接部材およびその衝撃吸収特性の向上方法に関する溶接方法に関する。
現在、自動車業界は、自動車の衝突における乗員の安全確保を目的とし、衝突安全性に優れた車体の開発に取り組んでいる。優れた衝突安全性とは、自動車が走行時に持っていた運動エネルギを、乗員の操縦空間を大きく損なうことなく、周囲の骨格部材が大変形を起こし、ひずみエネルギや熱エネルギに効率良く変換できる性能と言える。例えば車体前部の両側には、エンジンを挟む形で閉断面構造の衝撃吸収部材があり、これはフロントサイドメンバと称される。一例としてフロントサイドメンバ斜視図を図1に示す。図1に示すフロントサイドメンバは、ハット形状に曲げ加工された鋼板1と鋼板2が重ね合わされたフランジ部3に溶接部4が形成され接合された部材長手方向に垂直な断面で閉断面構造の部材形状をなす。このフロントサイドメンバは自動車が物体に正面から衝突する際、部材長手方向に蛇腹状に潰れ、衝撃のエネルギを効率よく吸収する。一般に衝突の際にフロントサイドメンバが途中で横倒れを起こしたり、溶接部で容易に破断したりすると、部材長手方向で規則的な蛇腹状の圧潰は生じないため、衝撃吸収特性は著しく劣化してしまう。
従来、抵抗スポット溶接を用いて衝撃吸収部材を製造する場合の衝撃吸収特性を向上させる方法として、スポット溶接の溶接間隔を縮める、もしくは高張力鋼板を使用することが有効であることが知られている。通常抵抗スポット溶接部の間隔は通常25〜60mmの範囲内とし、抵抗スポット溶接部のサイズは3t0.5〜6t0.5(t=板厚)の範囲にすることで、衝突時に溶接部が容易に破断せず、部材自体が衝撃を吸収することが可能となる。しかし、抵抗スポット溶接はそもそも点状の溶接部を形成することを前提とするプロセスであり、間隔を縮め、多数の抵抗スポット溶接点を形成することは生産効率の点で好ましくない。さらに、溶接部間隔を縮めると先に形成された溶接部に電流が流れる分流現象が生じ、溶接部サイズの制御が困難となる。
一方、自動車用部品を溶接する際に自動車車体の軽量化、剛性や衝突安全性の向上を狙い、抵抗スポット溶接に代わってレーザ溶接の適用が拡大しつつある。レーザ溶接は抵抗スポット溶接に比べて狭いビード幅で良好な溶け込み深さが得られるため、溶接部を形成するフランジ幅の短縮や高速での連続溶接による生産性向上が可能であるなどの特徴が挙げられる。
レーザ溶接などにより衝撃吸収部材(溶接部材)を製造する際に、当該溶接部材の衝撃吸収特性の改善方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
即ち、車体パネルとハットセクション部材とで閉断面に形成された車体フレーム構造において、ハットセクション部材のフランジ部の長手方向に多数の切り欠き部を並設し、衝突時に切欠部で順次変形させることで規則的に蛇腹変形させ、衝撃吸収特性を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、パネルとハット状フレーム部材のフランジ部とを溶接して閉断面を形成するフレーム構造において、フランジ部の幅方向の側縁端をレーザなどの高エネルギービーム溶接によりフランジ部の長手方向に断続的に溶接する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、フランジとn個の角部とを有する板厚tの第1部材と第2部材とからなる長尺筒状の溶接強度部材においてフランジに隣接する角部の中央からフランジの幅方向に有効幅a=4nt0.46の範囲内に溶接部を設け、溶接部はフランジの長手方向に所定ピッチ(間隔)で断続的に形成することによって、衝撃吸収特性を向上させる方法が記載されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、これらの方法は、圧潰モード制御の観点からフランジ部の長手方向の溶接部位における溶接長と溶接ピッチ(間隔)やフランジ部の幅方向の溶接部位における溶融(ビード)幅を最適化する方法ではなく、圧潰時に横倒れや溶接部の破断を抑制し、規則的な圧潰形態を維持することにより従来に比べて衝撃吸収特性を安定して向上させることは困難であった。
ハット断面形状の鋼板とフラット形状の鋼板またはハット断面形状の鋼板とをフランジ部でレーザ溶接した衝撃吸収部材において、フランジ部に形成する溶接部の幅方向の溶融幅が板厚の1.4〜3.0倍になるようにフランジ端部の長手方向を連続溶接することで衝撃吸収特性を向上させる方法も知られている(例えば、特許文献4参照)。この方法はフランジ部に長手方向に連続した溶接部を形成し接合強度を高めることにより衝撃吸収特性の向上を図るものである。しかし、本発明者らの圧潰試験結果によれば、フランジ部をレーザで連続溶接した衝撃吸収部材は、衝突時に座屈進展途中で部材が横倒れを引き起こす確率が高くなるため、安定して優れた衝撃吸収特性が得られないことが判った。
上記のように、従来から溶接方法や溶接部形状(溶融幅や長さ)を変更することで、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性を向上させる方法が種々提案されている。しかし、いずれも圧潰モード制御と溶接部強度の観点から十分に溶接部形状が適正化されておらず、レーザ溶接を利用した衝撃吸収部材の衝撃吸収特性を飛躍的にかつ安定して向上することは困難であった。
ますます要求が高まっている自動車の衝突安全性向上を推し進めていくには、衝撃吸収部材の構造とともに、衝撃吸収部材の圧潰形態に大きな影響を及ぼす溶接部の強度およびそれを決める溶接部形状の最適化技術の実用化が強く望まれている。
本発明は、前述のような従来技術の現状に鑑みて、自動車などに適用される衝撃吸収部材の圧潰形態及び溶接強度との観点からレーザ溶接部形状の最適化を図り、衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材およびその溶接方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1) 少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材において、前記ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された溶接ビードの1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.2以上0.95以下であり、かつ前記フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が1.0以上、3.0以下であることを特徴とする衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材。
(2) 前記フランジ部の板厚tに対して、前記溶接ビードは、前記ハット型断面形状鋼板の縦壁部からフランジ幅方向の距離d=12×t0.5だけ離れた範囲内に形成したことを特徴とする(1)に記載の衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材。
(3) 前記ハット型断面形状鋼板における、フランジ部の板厚tと、ハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbとの平均長さD=(a+b)/2との比(t/D)が0.020以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材。
(4) 少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材を溶接する方法において、1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.2以上0.95以下であり、かつ前記フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が1.0以上、3.0以下となるように、レーザ溶接により前記ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って溶接ビードを断続的に形成することを特徴とする衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材の溶接方法。
(5) 前記フランジ部の板厚tに対して、前記溶接ビードは、前記ハット型断面形状鋼板の縦壁部からフランジ幅方向の距離d=12×t0.5だけ離れた範囲内に形成することを特徴とする(5)に記載の衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材の溶接方法。
(6) 前記ハット型断面形状鋼板における、フランジ部の板厚tと、ハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbとの平均長さD=(a+b)/2との比(t/D)が0.020以下であることを特徴とする(4)または(5)に記載の衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材の溶接方法。
本発明によれば、レーザ溶接を用いて製造した衝撃吸収部材の圧潰形態と溶接強度を適正化し、従来に比べて優れた衝撃吸収特性を有する衝撃吸収部材およびその溶接方法を提供することができる。
本発明の自動車などに用いられる衝撃吸収部材への適用によって、自動車部品などの溶接構造体の信頼性と安全性とを一層向上させ、また、溶接効率に優れたレーザ溶接により生産性も改善することが可能となるため、自動車分野など産業への貢献は大きい。
以下に本発明の実施形態を説明する。
なお、以下の説明において、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的や作用効果を達成する限りにおいて、以下の実施形態や条件に限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明は、例えば、図1に示すような実施形態で実施される。ハット型に曲げ加工されたハット型断面形状鋼板1と平面状の鋼板2を重ね合わせ、フランジ3の重ね合わせ部分に対して、レーザビーム(図示せず)を鋼板面と概ね垂直な方向に照射し、少なくとも鋼板重ね合わせ面を含む厚み領域を溶融し、凝固させることによりビード4を形成し接合する。その結果、部材長手方向に垂直な断面でハット形状の閉断面構造を有する衝撃吸収部材を製造することができる。なお、フランジ3の重ね合わせ部分におけるレーザ溶接によるビード4の形成は、例えば、レーザビーム(図示せず)の集光光学系(図示せず)を所定速度でフランジ3表面上の狙い位置を溶接線方向に沿って移動させることで形成される。このレーザ溶接時には、集光光学系と共に移動するロール状のクランプ、あるいはフランジと面接触する形状の非移動式クランプで押さえる(図示せず)ことにより、フランジ3における鋼板重ね合わせ面の隙間が大きい場合の溶融部の落ち込み発生を防止し、健全な溶接部が形成できるため好ましい。
図1では、ハット型断面形状鋼板1のフランジ3と平面状の鋼板2を重ね合わせてレーザ溶接し衝撃吸収部材を製造する実施形態を示したが、図2の(b)に示すように、2つのハット型断面形状鋼板1のフランジ3同士を重ね合わせてレーザ溶接し衝撃吸収部材を製造する実施形態も採用できる。
本発明は、上記実施形態に示すようなレーザ溶接を用いて製造する衝撃吸収部材およびその溶接方法に適用されることを前提とする。
レーザ溶接は、抵抗スポット溶接、マッシュシーム溶接などのように一対の電極で重ね合わせた鋼板を面側から挟んだ後、通電し重ね合わせ面間に溶接部を形成する方法と比較して、重ね合わせた鋼板の何れか片側から高エネルギ密度レーザビームの照射により、狭いビード幅でも良好な溶け込み深さを維持し、かつ溶接変形を小さくでき、高速での連続溶接や溶接用フランジ幅の極小化が可能となる。本発明では、後述する衝撃吸収部材の衝撃吸収特性の向上とともに、レーザ溶接の上記利点を活かし、衝撃吸収部材の軽量化および生産性向上を実現するために、衝撃吸収部材を製造する際に溶接方法として、レーザ溶接を適用する。
また、本発明では、後述する衝撃吸収部材の衝撃吸収特性向上のための主要構成要件として、少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材において、前記ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された溶接ビードの1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.2以上0.95以下であり、かつ前記フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wが板厚tの1.0倍以上、3.0倍以下であることを特徴とする。
なお、溶接ビードの1箇所当たりの溶接長Lは、図3に示すハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された各溶接ビードの溶接長の平均値であり、溶接ピッチλは、図3に示す隣接する各溶接ビード中心間の間隔の平均値として求められる。
また、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性は、例えば、衝撃吸収部材の長手方向(軸方向)に荷重を付加する圧潰試験における荷重および変位の測定値を基に図4に示すような荷重―変位曲線(実線)を作成し、荷重―変位曲線の所定変位範囲における荷重の積分値として求められる、衝撃吸収エネルギを基に評価できる。つまり、衝撃吸収部材の圧潰試験における吸収エネルギの測定値の大小により、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性の良・不良を評価できる。
このような本発明の作用によりレーザ溶接された衝撃吸収部材の衝撃吸収特性を十分かつ安定して向上させるためには、以下の条件を規定する必要がある。以下に本発明で規定する条件の限定理由について説明する。
(溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)
本発明者らは、少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材をレーザ溶接する際に、ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された溶接ビードの1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が衝撃吸収部材の衝撃吸収特性に与える影響について詳細に検討した。
図7に衝撃吸収部材の溶接ビードにおける溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)と衝撃吸収エネルギの関係を示す。
なお、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性は、図4に示すような衝撃吸収部材の圧潰試験結果における荷重―変位曲線(実線)から衝撃吸収エネルギを求め、溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.1の条件における衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギの測定値(基準=1.0)に対する相対比として評価した。
また、衝撃吸収部材の溶接ビードにおける溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が1.5とした。
溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.2未満の場合には、衝撃吸収部材の圧潰時に非溶接部が開きながら座屈が進展し、衝撃吸収部材の一部に変形しない直線状の部分が残り、即ちフランジの座屈抵抗の減少と加工硬化領域(変形領域)減少に伴う部材強度上昇代の低減に起因し衝撃吸収エネルギを十分に向上することはできない。この原因は、局所的に変形応力が低下することで、衝撃吸収部材の平均圧潰荷重が低下し衝撃吸収エネルギも減少したと考えられる。
一方、溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.95を超える場合には、衝撃吸収部材が圧潰途中で衝撃吸収部材の長手方向(軸方向)から傾き、横転して衝撃吸収エネルギが低下する確率が上昇する。実際の自動車の正面衝突を考慮すると、衝撃吸収部材の軸方向と荷重負荷方向は必ずしも一致しないことがあるため、L/λが0.95を超えると、実車でも衝撃吸収部材が横倒れして衝撃吸収特性が低下する可能性が高い。
以上の理由から、本発明において少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材をレーザ溶接する際に、ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された溶接ビードの1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)を0.2以上、0.95以下とする。
(溶融幅Wと板厚tの比(W/t))
次に、本発明者らは、少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材に形成された溶接ビードにおけるフランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が衝撃吸収部材の衝撃吸収特性に与える影響について詳細に検討した。
次に、本発明者らは、少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材に形成された溶接ビードにおけるフランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が衝撃吸収部材の衝撃吸収特性に与える影響について詳細に検討した。
図6に衝撃吸収部材の溶接ビードにおける溶融幅Wと板厚tの比(W/t)と衝撃吸収エネルギの関係を示す。
なお、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性は、図4に示すような衝撃吸収部材の圧潰試験結果における荷重―変位曲線(実線)から衝撃吸収エネルギを求め、溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が0.7の条件における衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギの測定値(基準=1.0)に対する相対比として評価した。
なお、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性は、図4に示すような衝撃吸収部材の圧潰試験結果における荷重―変位曲線(実線)から衝撃吸収エネルギを求め、溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が0.7の条件における衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギの測定値(基準=1.0)に対する相対比として評価した。
また、衝撃吸収部材の溶接ビードにおける溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)は0.5とした。
溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が1.0未満の場合には、溶接部の強度が不足して衝撃吸収部材の圧潰中に溶接部で破断し、不整な圧潰モードが発生する(規則的な蛇腹変形が生じない)ことで衝撃吸収部材の平均圧潰荷重が低下し、その結果、衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギが低下する。
一方、溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が3.0を超える場合には、レーザ溶接時に溶融金属が部分的に垂れ落ちる、あるいは完全に溶け落ちてしまうため、良好な溶接部は得られない。この場合、溶接部の強度が低下するだけでなく、部品外観の点でも不良と判断される。
以上の理由から、本発明において少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材をレーザ溶接する際に、ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された溶接ビードのフランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)を1.0以上、3.0以下とする。
(L/λとW/tの関係)
さらに、発明者らは、上記衝撃吸収部材の溶接ビードにおける1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、および、重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)と、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性の関係について詳細に検討した。
さらに、発明者らは、上記衝撃吸収部材の溶接ビードにおける1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、および、重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)と、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性の関係について詳細に検討した。
図5に衝撃吸収部材の溶接ビードにおける溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、および、重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)と、衝撃吸収特性および圧潰形態との関係を示す。
なお、衝撃吸収部材を形成するハット型断面形状鋼板およびフラット鋼板は何れも、板厚が1.2mm、引張強さが294MPaのものを用い、衝撃吸収部材のハット型断面にける幅方向の長さ(横壁長さ)aは60mm、高さ方向の長さ(縦壁長さ)bは40mmとした。
図中の記号は、○は衝撃吸収特性に優れる(衝撃吸収特性がL/λ=0.1、W/t=0.7での衝撃吸収エネルギに対する相対比で1.05以上)場合、□は衝撃吸収部材の横倒れが発生し衝撃吸収特性が低下する場合、△は圧潰中に衝撃吸収部材の溶接部で剥離する場合、×は溶接時に溶接部の一部が溶け落ちて溶接不良となる場合を示す。
この結果から、衝撃吸収部材の溶接ビードにおける溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)を0.2以上0.95以下とし、かつ、フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)を1.0以上3.0以下とすることにより、衝撃吸収部材の良好な圧潰形態を安定して維持でき、衝撃吸収特性を十分に向上することができる。
これらの理由から、本発明では、少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材をレーザ溶接する際に、ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成されたの1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)を0.2以上、0.95以下とし、かつ、溶接ビードのフランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)を1.0以上、3.0以下とする。
本発明では、上述したように、上記衝撃吸収部材の溶接ビードにおいて上記溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)と、上記溶融幅Wと板厚tの比(W/t)を上記適正範囲に制御し溶接することで良好な圧潰形態を安定して維持でき、衝撃吸収特性が十分に高い衝撃吸収部材を製造することができる。
さらに、本発明では、衝撃吸収部材の良好な圧潰形態をより安定して維持し、衝撃吸収特性をより向上するために、上記規定に加えて、さらに、以下の理由で溶接ビード位置、ハット型断面形状を以下のように適正に制御するのが好ましい。
(溶接ビード位置:縦壁部からのフランジ幅方向距離d)
本発明者らは、圧潰試験の解析結果から上記衝撃吸収部材の衝撃吸収特性はハット型断面形状におけるフランジ部に隣接するR部(角部)の寄与が大きく、図2の(a)に示すように、フランジ部に形成する溶接ビードの位置をフランジ部の板厚tに対して、ハット型断面形状鋼板の縦壁部からフランジ幅方向に距離d=12t0.5だけ離れた範囲内とすることが衝撃吸収部材の衝撃吸収特性を安定して向上させるために好ましいことを確認した。
本発明者らは、圧潰試験の解析結果から上記衝撃吸収部材の衝撃吸収特性はハット型断面形状におけるフランジ部に隣接するR部(角部)の寄与が大きく、図2の(a)に示すように、フランジ部に形成する溶接ビードの位置をフランジ部の板厚tに対して、ハット型断面形状鋼板の縦壁部からフランジ幅方向に距離d=12t0.5だけ離れた範囲内とすることが衝撃吸収部材の衝撃吸収特性を安定して向上させるために好ましいことを確認した。
フランジ部に形成する溶接ビードの位置がハット型断面形状鋼板の縦壁部からフランジ幅方向に距離dより過大であると、ハット型断面形状のフランジ部に隣接するR部(角部)終端と溶接ビードの位置までの距離が大きくなり、圧潰中に衝撃吸収部材のR部近傍での変形を拘束できなくなるため、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性は低下する。また、衝撃吸収部材を構成する鋼板の板厚tの増加に伴いR部近傍の座屈強度は増加し、また圧潰時にR部近傍が周囲の変形を拘束する範囲が拡大するため、溶接ビードを形成するフランジ幅方向の距離dの適正位置は、鋼板の板厚tの増加と共に増加する。
これらの理由から、本発明では、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性を安定して向上させるために、上記溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、および、上記溶融幅Wと板厚tの比(W/t)の上記規定に加えて、溶接ビードの形成する位置を、フランジ部の板厚tに対して、ハット型断面形状鋼板の縦壁部からフランジ幅方向の距離d=12×t0.5だけ離れた範囲内とすることが好ましい。
(板厚tと平均辺長D(=(a+b)/2)の比(=t/D))
本発明者らは、圧潰試験の解析結果から上記衝撃吸収部材の圧潰モードは、上述したフランジ部に形成する溶接ビードの形状だけでなく、衝撃吸収部材の幾何形状、特に、ハット型断面形状鋼板のハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbの影響を受けることを確認した。
本発明者らは、圧潰試験の解析結果から上記衝撃吸収部材の圧潰モードは、上述したフランジ部に形成する溶接ビードの形状だけでなく、衝撃吸収部材の幾何形状、特に、ハット型断面形状鋼板のハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbの影響を受けることを確認した。
図4に衝撃吸収部材の圧潰試験におけるコンパクトモード(実線)およびノンコンパクトモード(点線)の荷重−変位曲線を示す。また、図8に衝撃吸収部材の圧潰試験におけるコンパクトモードおよびノンコンパクトモードの圧潰形態を示す。
圧潰試験の解析結果から、ハット型断面形状鋼板において、フランジ部の板厚tと、ハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbとの平均長さD=(a+b)/2との比(t/D)が0.020以上の場合には、衝撃吸収部材の圧潰時には、図4の実線の荷重−変位曲線に示すような規則的な蛇腹変形、いわゆるコンパクトモード(図8の(b)、参照)となる。一方、上記t/Dが0.020以下の場合、つまり、フランジ部の板厚tに対して、ハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbとの平均長さD=(a+b)/2が過度に大きくなると、圧潰時に衝撃吸収部材の局所に応力が集中し、衝撃吸収部材において塑性変形を生じない直線状の部分が残るノンコンパクトモード(図8の(a)、参照)の圧潰形態となる。このようなノンコンパクトモードでの圧潰時には、図4の一点鎖線で示すような周期性の無い荷重―変位曲線となる。
本発明では、上述したフランジ部に形成する溶接ビードの形状を適正に制御することにより、衝撃吸収部材の圧潰形態がコンパクトモード、または、ノンコパクトモードの何れの場合でも、衝撃吸収特性を向上させる効果が得られる。特に、本発明の上記溶接ビード形状の規定により、ノンコパクトモードで圧潰する際に、フランジ部の鋼板重ね合わせ面に対して平行方向あるいは垂直方向の変形を拘束し、フランジの座屈荷重を大幅に向上できるので、本発明を利用し特に優れた吸収エネルギを得るには、上記溶接ビード形状の規定に加えて、上記t/Dを0.020以下とするのが好ましい。
本発明は、上述したように、レーザ溶接時の溶接ビード形状を制御することで衝撃吸収部材の良好な圧潰形態を安定して維持し、衝撃吸収特性を十分に向上するものであるから、衝撃吸収部材を構成する鋼板の強度を特に規定する必要はない。なお、本発明者らは、引張強さ(TS)が270〜1470MPaの範囲の鋼材をレーザ溶接して作製した衝撃吸収部材の圧潰試験において、本発明の適用による衝撃吸収特性の向上効果が得られることを確認している。
もちろん、本発明の目的および主旨を逸脱しない範囲において、衝撃吸収部材に用いる鋼材の機械的特性や種類を適宜変更することができることは言うまでもない。
一般に衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギの絶対値は用いる鋼材の引張強度TSの増加に伴い上昇するため、衝撃吸収部材の重量増を招くことなく、高い衝撃吸収特性を得る目的で、引張強度TSの高い高張力鋼板を利用することもできる。
さらに、衝撃吸収部材に用いる鋼材として、高張力鋼板の中でもTRIP(Transformatin Induced Plasticity)鋼やDP(Dual Phase)鋼を利用することで、同強度の鋼材の中でも特に優れた衝撃吸収特性を得ることができる。これらの鋼材は変形時の加工硬化特性が高いため、座屈が進展する箇所の応力レベルが変形開始直後に上昇し、従って部材全体の荷重レベルや衝撃吸収エネルギが向上することとなる。また、急激に応力レベルの上昇する座屈部から、強度の低い座屈部周囲へ変形が容易に伝播することで、横倒れが発生しにくくなる長所も認められる。
また、本発明において、鋼材の板厚も特に限定する必要はないが、自動車部品として静的な荷重に対する十分な強度・剛性を確保する目的で、衝撃吸収部材に用いる鋼材の板厚を0.6mm以上とすることもできる。
以下に本発明について実施例を挙げて説明する。
引張強さが280MPaクラス、板厚tが1.2mmの鋼板を用い、図2の(a)に示した断面形状に曲げ加工し、ハット型断面形状鋼板を作製した。このハット型断面形状鋼板と、同じ引張強さ、板厚のフラット鋼板を重ね合わせた後、図3に示すようにフランジ部の重ね合わせ部分を長手方向に断続的にレーザ溶接して、図1に示すような衝撃吸収部材を作製した。この際、レーザ溶接によりフランジ部に形成する溶接ビードの条件は、表1または表2に示すように、1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)、溶接ビード位置とハット型断面形状鋼板の縦壁部からのフランジ幅方向距離d、ハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbとの平均長さD=(a+b)/2との比(t/D)を種々変えて行なった。レーザ溶接にはYAGレーザを用い、加工点出力を3.0kW、焦点位置のビーム直径を0.6mmφの一定とし、溶接速度を調節し、溶接ビードの溶融幅Wを調整した。なお、溶融幅Wとは、フランジ部の鋼板重ね合わせ面における溶接ビードの幅を指し、溶接後、溶接部断面観察から測定した。溶接時のシールドはセンターシールドトーチを用いて行い、シールドガスとして窒素ガスを用いた。レーザ溶接時のビームの焦点位置は、フランジ部の鋼板表面とした。
表1は、衝撃吸収部材サイズがハット型断面の幅方向の長さ(横壁長さ)a:120mm、高さ方向の長さ(縦壁長さ)b:80mm、フランジ幅c:20mm、衝撃吸収部材の長手方向(軸方向)の長さ:300mmの場合の試験結果を示す。表2は、衝撃吸収部材サイズは、ハット型断面の幅方向の長さ(横壁長さ)a:60mm、高さ方向の長さ(縦壁長さ)b:40mm、フランジ幅c:20mm、衝撃吸収部材の長手方向(軸方向)の長さ:300mmの場合の試験結果を示す。
なお、衝撃吸収部材の圧潰試験は、110kgの錘を自由落下させ、14m/sec(50km/h)の速度で溶接部材に衝突させた。衝撃吸収部材の衝撃吸収特性は、衝撃吸収部材の圧潰試験により得られた図4に示すような荷重−変位曲線の荷重(反力)を150mm変位まで積分して、吸収エネルギを求め、表1に示したNo.8、あるいは表2に示したNo.12の吸収エネルギを基準(=1)とし、この基準値に対する吸収エネルギ比を基に評価し、吸収エネルギが基準値に対して5%以上向上したものを「OK」(良好)、それ以下のものを「NG」(不良)とした。
但し、本実施例の総合評価は、衝撃吸収特性評価(吸収エネルギ比)の結果が「OK」(良好)であっても、同条件で圧潰試験を複数回行って、圧潰時に衝撃吸収部材が横転した割合(横倒れ率)が30%を超えたものはNG(不良)と評価した。
また、表1または表2において、dはハット型断面形状鋼板の縦壁から溶接ビード止端部までのフランジ幅方向の距離を示す。溶接ビード位置の条件式:d≦12×t0.5の評価は、この条件式を満足する場合を○、満足しない場合を×とした。
ハット型断面の幅方向の長さ(横壁長さ)a:120mm、高さ方向の長さ(縦壁長さ)b:80mmの衝撃吸収部材の試験結果を表1に示す。
No.1〜4は本発明例であり、レーザ溶接ビードにおける1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が本発明の規定範囲内を満足しているため、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性の評価結果は「OK」(良好)であり、優れた衝撃吸収特性を得ることができた。
一方、表1のNo.5〜8は1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)の何れかが本発明の規定範囲を外れた比較例である。
一方、表1のNo.5〜8は1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)の何れかが本発明の規定範囲を外れた比較例である。
No.5はW/tが本発明範囲内であるが、L/λが本発明範囲から外れるため、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性が優れるが、圧潰試験における横倒れ率が33%と多発し基準値を超えたためNGと判定した。
No.6はL/λが0.15で本発明範囲から外れ、溶接部の剥離が部分的に生じ、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性が不良であった。
No.7はL/λが本発明範囲内であるが、W/tが発明範囲から外れ、圧潰試験中に溶接部が一部剥離し、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性が不良であった。
No.8はL/λが本発明範囲内であるが、W/tが発明範囲から外れ、圧潰試験中に溶接部が一部剥離した。
ハット型断面の幅方向の長さ(横壁長さ)a:60mm、高さ方向の長さ(縦壁長さ)b:40mmの衝撃吸収部材の試験結果を表2に示す。
No.9およびNo.10は本発明例であり、レーザ溶接ビードにおける1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が本発明の規定範囲内を満足しているため、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性の評価結果は「OK」(良好)であり、優れた衝撃吸収特性を得ることができた。
が。
が。
一方、No.11および12は1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)、フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)の何れかが本発明の規定範囲を外れた比較例である。
No.11はW/tが本発明範囲内であるが、L/λが本発明範囲から外れ、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性が優れるが、圧潰試験における横倒れ率が40%と基準値を超えたためNGと判定した。
No.12はW/tが本発明範囲内であるが、L/λが本発明範囲から外れ、溶接部の剥離が部分的に生じた。
1 ハット型断面形状鋼板
2 フラット鋼板
3 フランジ
4 溶接ビード
5 R部(角部)
t:板厚
a:ハット型断面の幅方向の長さ(横壁長さ)
b:ハット型断面の高さ方向の長さ(縦壁長さ)
c:フランジ幅
d:縦壁部と溶接ビード間の距離
W:溶融幅
L:溶接長
λ:溶接ピッチ
2 フラット鋼板
3 フランジ
4 溶接ビード
5 R部(角部)
t:板厚
a:ハット型断面の幅方向の長さ(横壁長さ)
b:ハット型断面の高さ方向の長さ(縦壁長さ)
c:フランジ幅
d:縦壁部と溶接ビード間の距離
W:溶融幅
L:溶接長
λ:溶接ピッチ
Claims (6)
- 少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材において、前記ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って断続的に形成された溶接ビードの1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.2以上0.95以下であり、かつ前記フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が1.0以上、3.0以下であることを特徴とする衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材。
- 前記フランジ部の板厚tに対して、前記溶接ビードは、前記ハット型断面形状鋼板の縦壁部からフランジ幅方向の距離d=12×t0.5だけ離れた範囲内に形成したことを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材。
- 前記ハット型断面形状鋼板における、フランジ部の板厚tと、ハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbとの平均長さD=(a+b)/2との比(t/D)が0.020以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材。
- 少なくとも一方がハット型断面形状鋼板からなる閉断面構造の衝撃吸収部材を溶接する方法において、1箇所当たりの溶接長Lと溶接ピッチλの比(L/λ)が0.2以上0.95以下であり、かつ前記フランジ部の重ね合わせ面での溶融幅Wと板厚tの比(W/t)が1.0以上、3.0以下となるように、レーザ溶接により前記ハット型断面形状鋼板のフランジ部の長手方向に沿って溶接ビードを断続的に形成することを特徴とする衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材の溶接方法。
- 前記フランジ部の板厚tに対して、前記溶接ビードは、前記ハット型断面形状鋼板の縦壁部からフランジ幅方向の距離d=12×t0.5だけ離れた範囲内に形成することを特徴とする請求項4に記載の衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材の溶接方法。
- 前記ハット型断面形状鋼板における、フランジ部の板厚tと、ハット型断面の幅方向の長さaと高さ方向の長さbとの平均長さD=(a+b)/2との比(t/D)が0.020以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材の溶接方法。
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