JP2006118549A - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 油圧緩衝器の大型化を回避しつつピストン径を大型化可能な油圧緩衝器を提供することである。
【解決手段】 シリンダ10とシリンダ10を覆う外筒13とを備え複筒型に形成される油圧緩衝器において、シリンダ10と外筒13との間の隙間Aに連通されるリザーバ室Rが外筒13の外周の一部もしくは全周にわたって連設されて形成され、リザーバ室Rの容積確保がなされるので、隙間Aの断面積を小さくすることができ、ピストン径を大きくしても油圧緩衝器の大型化が回避される。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリンダ10とシリンダ10を覆う外筒13とを備え複筒型に形成される油圧緩衝器において、シリンダ10と外筒13との間の隙間Aに連通されるリザーバ室Rが外筒13の外周の一部もしくは全周にわたって連設されて形成され、リザーバ室Rの容積確保がなされるので、隙間Aの断面積を小さくすることができ、ピストン径を大きくしても油圧緩衝器の大型化が回避される。
【選択図】 図1
Description
この発明は、油圧緩衝器の改良に関し、特に、シリンダとシリンダを覆う外筒を備え複筒型に形成される油圧緩衝器の改良に関する。
従来、この種油圧緩衝器は、たとえば、図4に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に移動自在に挿入されシリンダ1内を2つの油室2,3に区画するピストン4と、ピストン4の一端に連結されるピストンロッド5と、シリンダ1を覆う外筒6とを備えて構成されている。
そして、この油圧緩衝器の伸縮時に過不足となるシリンダ1内へピストンロッド5が侵入する体積分あるいはシリンダ1内からピストンロッド5が退出する体積分の作動油や油温変化で増減する体積分の作動油を、上記シリンダ1と外筒6との間の隙間で形成したリザーバ室7で補償するようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平05−248471号公報(段落番号0024から0026まで,図1)
ここで、圧縮行程で発生されるいわゆる圧側減衰力を大きくしたい場合、油室2と油室3における受圧面積差を大きくすることが考えられる。
受圧面積差を大きくする場合、ピストンロッド5の座屈を念頭におけばピストン径を大きくする方法が採用されうるが、ピストン径を大型化すると、当然のこととして、シリンダ径も大きくなる。
その一方で、特に油圧緩衝器が車輌用に供される場合には、車室を大きく確保したいがために、小型化が要請されており、油圧緩衝器の外径となる外筒径を大きくすることは避けなければならない。
したがって、上述のようにピストンの大型化するとシリンダ径が大きくなるが、そのような状況下であっても外筒径の大型化を避けなくてはならない制約がある場合、従来油圧緩衝器では、必然的にシリンダと外筒との間の隙間で作られるリザーバ室の容積が減少することなる。
しかし、シリンダ径が大きくなるということはシリンダ内に充填される作動油量が増加するので、リザーバ室で補償すべき作動油の体積量が増加する傾向となり、これを容積減少が必然となったリザーバ室で補償するには容積不足となりかねない結果となる。
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、油圧緩衝器の大型化を回避しつつピストン径を大型化可能な油圧緩衝器を提供することである。
上記した目的を達成するために、本発明は、シリンダとシリンダを覆う外筒とを備え複筒型に形成される油圧緩衝器において、シリンダと外筒との間の隙間に連通されるリザーバ室が外筒の外周の一部もしくは全周にわたって連設されることを特徴とする。
また、他の発明は、シリンダとシリンダを覆う外筒とを備え複筒型に形成される油圧緩衝器において、シリンダと外筒との間の隙間に連通されるリザーバ室が外筒の外周の一部或いは全周を膨出させて形成されることを特徴とする。
各請求項の本発明によれば、シリンダと外筒とで作られる隙間は、リザーバ室が外筒の外周側に設けられ容積確保がなされ、シリンダ内で過不足となる作動油を確実に補償することができるので、リザーバ室と油室とを連通する通路としての役割を果たせば足りることとなる。
したがって、隙間は通路としての機能を果たせばよいから、油圧緩衝器を横に切ってできる隙間の環状断面における面積を従来緩衝器に比較して小さくすることが可能となり、ピストン径拡大に伴ってシリンダ径を大きくしたとしても、外筒径を大きくせずに済むこととなる。
よって、油圧緩衝器の外筒径を大型化せずにピストン径を大きくすることができ、これにより油圧緩衝器を従来緩衝器と同程度の大きさに留めながらも高減衰力を発生可能となる。
以下に、図示した一実施の形態に基づいて、この発明を説明する。図1は、一実施の形態における油圧緩衝器を示す縦断面図である。図2は、一実施の形態の一変形例における油圧緩衝器の縦断面図である。図3は、一実施の形態の他の変形例における油圧緩衝器の縦断面図である。
一実施の形態における油圧緩衝器の基本構造は、図1に示すように、シリンダ10と、シリンダ10内に摺動自在に挿入され、シリンダ10内を油室R1と油室R2とに区画するピストン11と、ピストン11の一端に連結されるピストンロッド12と、シリンダ10を覆う外筒13と、外筒13の外周に連設されるリザーバ室Rとを備えて構成されている。
以下、詳細に説明すると、シリンダ10は、筒状に形成され、その上端には環状のロッドガイド14が嵌着されており、下端にはベースバルブ15を形成するバルブボディ16が嵌着されている。
また、シリンダ10内にはピストン11が摺動自在に挿入され、このピストン11の図1中上端にはピストンロッド12が連結され、さらに、ピストンロッド12は、ロッドガイド14の軸心部に摺動自在に挿入されている。
他方、外筒13は、この実施の形態の場合、有底筒状に形成され、その内部にはシリンダ10が挿入されるが、外筒13の底部で上記バルブボディ15を支持すると共に外筒13における上端開口部をカシメてその上端内方にロッドガイド14を固定し、これによりシリンダ10は外筒13に位置決められて固定されている。
そして、シリンダ10内にはピストン11により夫々作動油が充填される図1中上方の油室R1と図1中下方の油室R2が区画され、この2つの油室R1,R2はピストン11に設けた流路17によって連通されている。
なお、上記流路17の途中には減衰力発生要素18が設けられており、この減衰力発生要素18は、具体的には、オリフィスやリーフバルブ等で構成され、作動油が油室R1,R2を交流して通過する時に、作動油に所定の流動抵抗を与える。
転じて、外筒13の外周には、環状の下方懸架バネ受け19が結合されるとともに、外縁が下方懸架バネ受け19の下面に結合されるとともに内縁が外筒13の外周に結合される環状部材20が設けられ、上記下方懸架バネ受け19と環状部材20とでリザーバ室Rが形成され、すなわち、リザーバ室Rは、外筒13の外周に連設されて形成され、このリザーバ室Rは密封状態とされ、所定量の気体および作動油が充填されている。
また、外筒13のリザーバ室Rに対向する部位には、外筒13の軸方向上下に配置される複数の通孔21,22が開口されており、この通孔21,22によりリザーバ室Rは、外筒13とシリンダ10とで作られる隙間Aに連通されている。
そして、上記隙間Aは、シリンダ10の下端に嵌着されたバルブボディ16に内設される流路23を介して油室R2に連通され、また、該流路23の途中には減衰力発生要素24が設けられており、上記減衰力発生要素18と同様に、作動油が隙間Aと油室R2とを交流する際、作動油に所定の流動抵抗を与えるようになっている。
上記したように、外筒13の下方懸架バネ受け19が設けられる部位にリザーバ室Rが形成されるが、このような位置にリザーバ室Rを形成しても、もともと下方懸架バネ受けが設けられる部位であるから油圧緩衝器の大型化には繋がらないという利点がある。
なお、図示したところでは、下方懸架バネ受け19の下方に環状部材20を結合するとしているが、下方懸架バネ受け19が担持する懸架バネ(図示せず)の内径と緩衝しなければ、下方懸架バネ受け19の上方に環状部材を結合してリザーバ室Rを形成してもよく、この場合には、懸架バネ内方、言わば従来緩衝器においてデッドスペースとなる部位にリザーバ室Rが形成されることになるから、この場合には、懸架バネを含めた全体においても油圧緩衝器の大型化が回避される。
上記構成の油圧緩衝器にあっては、たとえば、シリンダ10内にピストンロッド12が侵入する、すなわち、圧縮行程時には、油室R1は拡張され、油室R2は縮小されて、作動油は上記油室R1,R2を交流するが、ピストンロッド12がシリンダ10内に侵入する体積分の作動油がシリンダ10内で過剰となる。
そして、過剰となった作動油は、ベースバルブ15を通過して隙間Aを介してリザーバ室R内に流入することとなる。
逆に、油圧緩衝器が伸長、すなわち、ピストンロッド12がシリンダ10から退出する際は、シリンダ10内の作動油がピストンロッド12退出体積分の作動油がリザーバ室Rから補償される。
ここで、シリンダ10と外筒13とで作られる隙間Aは、リザーバ室Rが外筒13の外周側に設けられて容積確保がなされ、シリンダ10内で過不足となる作動油を確実に補償することができるので、リザーバ室Rと油室R2とを連通する通路としての役割を果たせば足りることとなる。
したがって、隙間Aは通路としての機能を果たせばよいから、油圧緩衝器を横に切ってできる隙間Aの環状断面における面積を従来緩衝器に比較して小さくすることが可能となり、ピストン径拡大に伴ってシリンダ10径を大きくしたとしても、外筒13径を大きくせずに済むこととなる。
よって、油圧緩衝器の外筒径を大型化せずにピストン径を大きくすることができ、これにより油圧緩衝器を従来緩衝器と同程度の大きさに留めながらも高減衰力を発生可能となる。
また、油圧緩衝器の大型化が回避されるので、油圧緩衝器を車両に取付ける際の作業も容易となり、車両における車室広さを確保することが可能である。この取付作業においても、外筒13の下方懸架バネ受け19が設けられている位置にリザーバ室Rを形成しているから、リザーバ室Rが作業の邪魔とはならない点で利点がある。
なお、本発明では、上記したように外筒13の外周側にリザーバ室Rを設けることで油圧緩衝器の大型化を招かずに高減衰力を発揮可能となる利点があるが、裏を返せば、高減衰力を発揮する必要が無い場合には、外筒径を従来緩衝器より小径にできるのであるから、油圧緩衝器を小型化可能ということにも通ずるのである。
さらに、本実施の形態のように通孔21,22が外筒13の軸方向上下に配置されているので、隙間A内に流入した作動油を、確実にリザーバ室R内に導くことができ、隙間A内の圧力が異常に高圧となることが回避され、油圧緩衝器が想定外の減衰力を発生してしまうことが防止されている。
なお、上記したところでは、通孔21,22を用いてリザーバ室Rと隙間Aとを連通しているが、図2に示すように、外筒13の軸方向に沿う長孔たるスリット25を用いて連通するとしても、隙間A内の圧力の異常上昇を防止することが可能となる。
また、リザーバ室Rは、下方懸架バネ受け19と環状部材20とで外筒13の外周全周にわたって形成されているが、リザーバ室Rの容積確保がなされるのであれば、外周の一部分のみに形成されてもよく、また、リザーバ室Rの形成において、下方懸架バネ受け19と環状部材20で形成することに換えて、図3に示すように、外筒30の外周の一部もしくは全周を膨出させてリザーバ室Rを形成してもよく、この場合にも油圧緩衝器のいたずらな大型化を避ける意味で外筒30を膨出している部位に下方懸架バネ受け31を設けるとよい。
なお、本発明の油圧緩衝器にあっては、外筒の上半分程度を拡径してリザーバ室を形成した油圧緩衝器に比較してロッドガイドの大型化を招かず、リザーバ室Rの容積確保も容易である点で有利となる。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
10 シリンダ
11 ピストン
12 ピストンロッド
13,30 外筒
14 ロッドガイド
15 ベースバルブ
16 バルブボディ
17,23 流路
18,24 減衰力発生要素
19,31 下方懸架バネ受け
20 環状部材
21,22 通孔
A 隙間
R リザーバ室
R1,R2 油室
11 ピストン
12 ピストンロッド
13,30 外筒
14 ロッドガイド
15 ベースバルブ
16 バルブボディ
17,23 流路
18,24 減衰力発生要素
19,31 下方懸架バネ受け
20 環状部材
21,22 通孔
A 隙間
R リザーバ室
R1,R2 油室
Claims (5)
- シリンダとシリンダを覆う外筒とを備え複筒型に形成される油圧緩衝器において、シリンダと外筒との間の隙間に連通されるリザーバ室が外筒の外周の一部もしくは全周にわたって連設されることを特徴とする油圧緩衝器。
- シリンダとシリンダを覆う外筒とを備え複筒型に形成される油圧緩衝器において、シリンダと外筒との間の隙間に連通されるリザーバ室が外筒の外周の一部或いは全周を膨出させて形成されることを特徴とする油圧緩衝器。
- リザーバ室は、外筒に設けた下方懸架バネ受けと、外縁が下方懸架バネ受けに結合されるとともに内縁が外筒の外周に結合される環状部材で形成されることを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器。
- 外筒に、リザーバ室に対向し、かつ、外筒の軸方向上下に配置される2つ以上の通孔を設けたことを特徴とする請求項1または3に記載の油圧緩衝器。
- 外筒に、リザーバ室に対向し、かつ、外筒の軸方向上下に沿う少なくとも1つ以上の長孔を設けたことを特徴とする請求項1または3に記載の油圧緩衝器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004305065A JP2006118549A (ja) | 2004-10-20 | 2004-10-20 | 油圧緩衝器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004305065A JP2006118549A (ja) | 2004-10-20 | 2004-10-20 | 油圧緩衝器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006118549A true JP2006118549A (ja) | 2006-05-11 |
Family
ID=36536629
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004305065A Pending JP2006118549A (ja) | 2004-10-20 | 2004-10-20 | 油圧緩衝器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006118549A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100902992B1 (ko) | 2008-03-17 | 2009-06-15 | 윤충열 | 차량용 다기능 쇽업소버의 구조 |
WO2010125856A1 (ja) * | 2009-04-28 | 2010-11-04 | カヤバ工業株式会社 | 複筒型液圧緩衝器 |
-
2004
- 2004-10-20 JP JP2004305065A patent/JP2006118549A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100902992B1 (ko) | 2008-03-17 | 2009-06-15 | 윤충열 | 차량용 다기능 쇽업소버의 구조 |
WO2010125856A1 (ja) * | 2009-04-28 | 2010-11-04 | カヤバ工業株式会社 | 複筒型液圧緩衝器 |
JP2010255808A (ja) * | 2009-04-28 | 2010-11-11 | Kayaba Ind Co Ltd | 複筒型液圧緩衝器 |
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