JP2006116805A - 防眩性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】防眩性、白ボケ改善、解像度を高いレベルで実現することのできる防眩性フィルム及びこれを効率よく簡便に製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】透明樹脂を含有してなる基材フィルム上に表面に凹凸を持つ防眩層を有し、前記凹凸が下記[1]〜[3]の要件を満たすことを特徴とする防眩性フィルム。
[1]凹凸の高さが0.1〜0.8μmである。
[2]凹凸の周期が4〜100μmの範囲にある。
[3]凹凸の平均傾斜角が3度以下である。

Description

本発明は、防眩性フィルム及びその製造方法に関し、さらに詳しくは液晶表示装置の偏光板保護フィルムに好適な防眩性フィルム及びその製造方法に関する。
近年、陰極線管(CRT)や液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などに代表される表示装置の最表面には、外光反射によるコントラストの低下、像の映りこみを防止するために、防眩性フィルムや反射防止フィルムが配置されることが多い。
このような防眩性フィルムの表面には、微細な凹凸が形成されている。このような凹凸を形成する方法としては、微細粒子を含有した樹脂をフィルム表面に塗布し、粒子の形状による突起を表面に形成する方法が一般的である。他に、サンドブラストやエッチング、賦型の凹凸を転写する方法などが報告されている。表面の凹凸により、外光を拡散反射し、像の映り込みを防止することができる。しかしながら、外光の散乱により、黒表示に白みがかかり、表示品位を低下させてしまう、いわゆる白ボケ現象が起こりやすいという問題がある。さらに、表面の凹凸により画素からの透過光も曲げられてしまうため、透過画像の鮮明性が低下するという問題もある。
例えば、特許文献1には、賦型の転写により、ピッチ30〜300μm、十点平均粗さ0.3〜3μmの表面凹凸を形成した防眩層が開示されている。しかしながらこのような賦型の転写により形成する方法によっては、設備導入が必要となる上、十点平均粗さ1μm以下の微細な凹凸を形成することが困難であり、実際に得られた防眩層は透過画像鮮明性の点で不十分である。
また、特許文献2には、表面に平均山谷間隔40μm以下、かつ平均傾斜角5度以上の微細な凹凸構造を有することを特徴とする防眩層が開示されている。これによれば、画素サイズの小さい大画面の表示装置においてもギラツキ現象の発生を防止しつつ、外光の表面反射による視認妨害の発生を有効に防止できると記載されている。しかしながら、高精細なディスプレイ用途としては、白ボケ現象の改善、透過画像鮮明性の点で不十分である。
特許文献3には、表面に凹凸を持つ防眩性フィルムおよび防眩性反射防止フィルムにおいて、突起部分の頂点の法線ベクトルを含む平面で突起を切断し、その法線と直角に左右に直線を500nm伸ばした時、左右いずれかの直線の終点が突起の稜線とぶつかった点と反対方向の直線を延長した直線が突起の稜線とぶつかった点と頂点の3点がつくる角度を頂点とし、これが170度以上である突起を50%以上含む防眩性フィルム及び防眩性反射防止フィルムが開示されている。これによれば、白味がよく、かつ透過画像鮮明性が良い防眩性フィルムおよび防眩性反射防止フィルムを提供することができると記載されている。また、このような突起を形成する方法としては、先ず微細粒子等で表面突起を形成した後、その突起の頂点部分にラビング処理、カレンダー処理等を施し、平坦化することが提案されている。しかしながら、このような方法は、ラビング処理装置、カレンダー処理装置等の新規導入が必要となると同時に、加工工程もより煩雑なものとなる。
特開昭64−19301号公報 特開2001−154006号公報 特開2001−281402号公報
従って、本発明の目的は、防眩性、白ボケ改善、解像度を高いレベルで実現することのできる防眩性フィルム及びこれを効率よく簡便に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、基材フィルムに塗布する塗布液に特定の微粒子を含有させ、界面活性剤を少なくすることにより、上記目的を達成しうることを見いだし、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、
(1)透明樹脂を含有してなる基材フィルム上に表面に凹凸を持つ防眩層があり、該凹凸が下記[1]〜[3]の要件を満たすことを特徴とする防眩性フィルム
[1]凹凸の高さが0.1〜0.8μmである
[2]凹凸の周期が4〜100μmの範囲にある
[3]凹凸の平均傾斜角が3度以下である;
(2)防眩層の上に屈折率が1.25〜1.37である低屈折率層を有する前記(1)に記載の防眩性フィルム;
(3)防眩層の屈折率が1.55以上である前記(1)又は(2)に記載の防眩性フィルム;
(4)防眩層が、活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂と、平均粒子径が5〜100nmである微粒子とからなる前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の防眩性フィルム;
(5)全光線透過率が90%以上であり、かつヘーズが10%以下である前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の防眩性フィルム;
(6)透明樹脂を含有してなる基材フィルム上に、直接又は他の層を介して、下記[4]〜[6]の要件を満たす塗布液を塗布することにより防眩層を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法;
[4]揮発性を有する有機溶剤の含有量が少なくとも20体積%である
[5]平均粒子径が5〜100nmである微粒子の含有量が少なくとも5体積%である
[6]界面活性剤の含有量が多くとも1000ppmである;
(7)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の防眩性フィルムを偏光子の少なくとも片方の面に備える偏光板。;
及び
(8)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の防眩性フィルム又は前記(7)に記載の偏光板を搭載してなる液晶表示装置;
がそれぞれ提供される。
本発明によれば、防眩性、白ボケ改善、解像度を高いレベルで実現可能な、特に液晶表示装置における偏光板保護フィルムに好適な防眩性フィルムを提供することができる。
本発明の防眩性フィルムは、透明樹脂を含有してなる基材フィルム上に表面に凹凸を持つ防眩層がある。
本発明に用いる基材フィルムに使用する透明樹脂としては、1mm厚で全光線透過率が80%以上のものであれば特に制限されず、例えば、脂環式構造を有する重合体樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレン系樹脂、鎖状ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。これらの透明樹脂は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性に優れ、複屈折が小さい点で、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、トリアセチルセルロース、ブチリルセルロース等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;又は脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましく、透明性、軽量性の観点から、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましく、寸法安定性、厚み制御性の観点からポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有する重合体樹脂がさらに好ましい。
脂環式構造を有する重合体樹脂は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
重合体の脂環式構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。本発明に使用される脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、もっとも好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると基材フィルムの透明性および耐熱性の観点から好ましい。
脂環式構造を有する重合体樹脂は、具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加型共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造を有する重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報などに開示されている公知の重合体から選ばれる。
本発明に用いる透明樹脂のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃である。ガラス転移温度がこのような範囲にある透明樹脂を含有してなる基材フィルムは、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
本発明に用いる基材フィルムは、透明樹脂の他に、他の配合剤を含んでいてもよい。配合剤としては、格別限定はないが、無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤等が挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択され、透明樹脂100重量部に対して、通常0〜5重量部、好ましくは0〜3重量部である。
基材フィルムの平均厚みは、機械的強度などの観点から、好ましくは30〜300μm、より好ましくは40〜200μmである。
また、基材フィルムの厚みのばらつきが、基材フィルム全幅にわたって前記平均厚みの3%以内であることが好ましい。基材フィルムの厚みのばらつきが前記範囲にあることにより、防眩層の密着性及びその上に積層する他の層の表面平滑性を向上させることができる。
本発明に用いる基材フィルムを成形する方法としては、溶液流延法又は溶融押出成形法が挙げられる。中でも、基材フィルム中の揮発性成分の含有量や厚みムラを少なくできる点から、溶融押出成形法が好ましい。さらに溶融押出成形法としては、ダイスを用いる方法やインフレーション法などが挙げられるが、生産性や厚み精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
基材フィルムを成形する方法として、Tダイを用いる方法を採用する場合、Tダイを有する押出機における透明樹脂の溶融温度は、透明樹脂のガラス転移温度よりも80〜180℃高い温度にすることが好ましく、ガラス転移温度よりも100〜150℃高い温度にすることがより好ましい。押出機における溶融温度が過度に低いと透明樹脂の流動性が不足するおそれがあり、逆に溶融温度が過度に高いと樹脂が劣化する可能性がある。
本発明に用いる基材フィルムとして、片面又は両面に表面改質処理を施したものを使用してもよい。表面改質処理を行うことにより、防眩層との密着性を向上させることができる。表面改質処理としては、エネルギー線照射処理や薬品処理などが挙げられる。
エネルギー線照射処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などが挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が特に好ましい。
薬品処理としては、重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸などの酸化剤水溶液中に、浸漬し、その後充分に水で洗浄する方法が挙げられる。浸漬した状態で振盪すると効果的であるが、長期間処理すると表面が溶解したり、透明性が低下したりするといった問題があり、用いる薬品の反応性、濃度などに応じて、処理時間などを調整する必要がある。
本発明においては、基材フィルムと後述する防眩層との間に、他の層を介してもよい。他の層としては、プライマー層が挙げられる。
プライマー層は、透明樹脂を含有してなる基材フィルムと防眩層との密着性の付与及び向上を目的として形成される。プライマー層を構成する材料としては、例えば、ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、これらの重合体に極性基を導入した変性物が挙げられる。これらの中で、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂に極性基を導入した変性物及び環化ゴムに極性基を導入した変性物を好適に用いることができる。
主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂としては、ポリブタジエン骨格又は少なくともその一部に水素添加したポリブタジエン骨格を有する樹脂が挙げられ、具体的には、ポリブタジエン樹脂、水添ポリブタジエン樹脂、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)、その水素添加物(SEBS共重合体)等が挙げられる。なかでも、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物に極性基を導入した変性物を好適に用いることができる。
重合体の変性物を得るために用いる極性基を導入するための化合物としては、カルボン酸又はその誘導体が好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸;塩化マレイル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸のハロゲン化物、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体;等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物による変性物は、密着性に優れるので、好適に用いることができる。不飽和カルボン酸又はその無水物の中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの不飽和カルボン酸等は、2種以上を混合して用い、変性することもできる。
プライマー層の厚みは特に制限されないが、通常0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
本発明において防眩層とは、液晶表示装置やCRTなどの表示装置の見やすさを向上させるために、例えば蛍光灯の光などが画面にうつるのを防ぐ働きをするもので、この光を乱反射させる物質を含む層をいい、有機樹脂材料を必須成分として含む。
防眩層を構成する有機樹脂材料としては、防眩層におけるバインダーとしての性質を有し、防眩層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、さらに透明性のあるものを特に制限なく使用できる。前記樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられるが、皮膜の強度、加工性の点で、熱硬化型樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましい。
熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられ、なかでも、表面硬度、耐繰り返し疲労性及び耐擦傷性に優れる観点から、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂が好ましい。
また、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
活性エネルギー線硬化型樹脂は、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーが、エネルギー線の照射により硬化してなる樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は紫外線又は電子線を用いる。
紫外線および電子線硬化型樹脂としては特に制限はなく、従来から使用されているものの中から、適宜選択して用いることができる。この紫外線硬化型樹脂は、光重合性プレポリマー、又は光重合性モノマー、光重合開始剤や光増感剤を含有するものである。また、電子線硬化型樹脂は、光重合性プレポリマー又は光重合性モノマーを含有するものである。
前記光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等が挙げられる。これらの光重合性プレポリマーは1種用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また,光重合性モノマーとしては、例えばポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明においては、プレポリマーとしてウレタンアクリレート系、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。また、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。
本発明においては、防眩層は、前記熱硬化型樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂と、微粒子とからなるものが好ましい。防眩層が、前記構成をとることにより、本発明における表面凹凸形状を実現することができる。
前記微粒子としては、平均粒子径が5〜100nm、好ましくは10〜50nmのものを用いる。平均粒子径は、500個の粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理することにより、又は動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる。ここでいう平均粒子径は、個数平均粒子径をさす。以下同様である。
より具体的には、上記粒子径を有する微粒子であればよいが、導電性微粒子が好ましい。前記微粒子として、導電性微粒子を用いることにより、帯電防止性、機械的強度に優れる防眩層を得ることができる。加えて、防眩層の屈折率を容易に制御することができる。
導電性微粒子は、導電性を有する微粒子であれば特に制約はないが、透明性に優れることから、金属酸化物の微粒子が好ましい。
導電性の金属酸化物としては、例えば、五酸化アンチモン、酸化スズ、リンがドープされた酸化スズ(PTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(ATO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、スズがドープされた酸化インジウム(ITO)、亜鉛がドープされた酸化インジウム(IZO)、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(AZO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム、アンチモン酸亜鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物微粒子は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性に優れること等から、五酸化アンチモン及び/又はリンがドープされた酸化スズの使用が好ましい。
また本発明においては、導電性の金属酸化物微粒子として、導電性を持たない金属酸化物微粒子に、導電性金属酸化物を被覆することによって、導電性を付与したものを使用することもできる。例えば、屈折率は高いが導電性を有しない酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子の表面に、前記導電性金属酸化物を被覆して導電性を付与して用いることができる。
本発明においては、防眩層における微粒子の含有量は、少なくとも30体積%であることが好ましく、40〜60体積%であることがさらに好ましい。前記微粒子の含有量が前記範囲よりも少ないと防眩層の表面凹凸の高さが不十分となり、逆に多いと防眩層の強度が不十分となる傾向がある。
本発明においては、防眩層の表面の凹凸の高さは、十点平均粗さRzで0.1〜0.8μm、好ましくは0.2〜0.7μmである。前記凹凸の高さが前記範囲より小さいと防眩性が不十分となり、逆に大きいと散乱が大きくなりすぎて、画像表示装置に用いたときヘーズが大きくなったり、画像鮮明性が低下したりし、さらに画像表示を黒表示にしたときの白味も強くなる。
防眩層の表面の凹凸の高さとして表される十点平均粗さRzは、JIS B0601−1994に準じて、例えば、ダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して凹凸構造面上を一定方向に3mmの長さで走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線として知見を得ることができる。あるいは光学干渉式表面粗さ測定機によっても測定することができる。
本発明においては、防眩層の表面の凹凸の周期の範囲は、通常4〜100μm、好ましくは10〜80μmである。前記凹凸の周期が前記範囲よりも小さいと防眩性が不十分となり、逆に大きいと画像表示装置に用いたときにギラツキが生じてしまう。
防眩層の周期は、前述の表面粗さ曲線における凹凸変化が微小な部分に基づいて表面粗さ曲線の凹凸変化が凸部として評価できる基準線を想定し、その基準線からの当該凸部の高さの平均を中心線として、表面粗さ曲線がその中心線を下から上(又は上から下)に通過する際の交点に基づきその交点間の距離の平均として定義することができる。
本発明においては、防眩層の平均傾斜角は、3度以下、好ましくは2度以下である。防眩層の平均傾斜角が前記範囲よりも大きいと、散乱が大きくなりすぎて、画像表示装置に用いたときヘーズが大きくなったり、画像鮮明性が低下したりし、さらに画像表示を黒表示にしたときの白味が強くなる。
平均傾斜角は、前述の表面粗さ曲線における前記した凹凸変化が微小な部分の勾配に基づいてその勾配の絶対値の平均として定義することができる。
本発明においては、防眩層の凸部を主面側からみたときの形状が、多角形の最密充填の形になっていることが好ましい。前記形状が、多角形の最密充填の形になっていることにより、防眩性と、白ボケ防止および透過画像鮮明性との両立が可能となる。多角形としては、五角形、六角形、八角形が挙げられる。前記形状は、これらが2種以上組み合わさったものでもよい。
本発明においては、防眩層の屈折率は、好ましくは1.55以上、より好ましくは1.60以上である。防眩層の屈折率がこの範囲にあると、防眩層上に低屈折率層を設けた場合に、外光の反射を抑制し、映り込みを防止することができる。屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメーターを用いて測定して求めることができる。
本発明においては、防眩層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「HB」以上の硬度を示すことが好ましい。防眩層の鉛筆硬度が前記範囲であることにより、防眩層がハードコート層を兼ねることができ、部材を薄くすることができる。
防眩層の厚みは、1〜30μmの範囲であることが好ましい。
本発明においては、防眩層の上に屈折率が1.25〜1.37である低屈折率層を有することが好ましい。低屈折率層を有することにより、本発明の防眩性フィルムに反射防止性を備えることができる。
本発明において、低屈折率層を構成する材料としては、屈折率が上記範囲である層を構成する材料であれば特に制限されないが、屈折率の制御が容易である点及び耐水性に優れる点で、エアロゲルが好ましい。
エアロゲルは、マトリックス中に微小な気泡が分散した透明性多孔質体である。気泡の大きさは大部分が200nm以下であり、気泡の含有量は通常10体積%以上60体積%以下、好ましくは20体積%以上40体積%以下である。
微小な気泡が分散したエアロゲルの具体例としては、シリカエアロゲル、中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体が挙げられる。
シリカエアロゲルは、米国特許第4402927号公報、米国特許第4432956号公報、米国特許第4610863号公報等に開示されているように、アルコキシシランの加水分解重合反応によって得られたシリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を、アルコールあるいは二酸化炭素等の溶媒(分散媒)の存在下で、この溶媒の臨界点以上の超臨界状態で乾燥することによって製造することができる。超臨界乾燥は、例えばゲル状化合物を液化二酸化炭素中に浸漬し、ゲル状化合物が含む溶媒の全部又は一部をこの溶媒よりも臨界点が低い液化二酸化炭素に置換し、この後、二酸化炭素の単独系、あるいは二酸化炭素と溶媒との混合系の超臨界条件下で乾燥することによって、行うことができる。また、シリカエアロゲルは、米国特許第5137279号公報、米国特許5124364号公報等に開示されているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記と同様にして製造しても良い。シリカエアロゲルの屈折率は、シリカエアロゲルの原料配合比によって自由に変化させることができる。
また、シリカエアロゲルを用いる場合において、上記のようにしてアルコキシシランの加水分解、重合反応によって得られたゲル状化合物を疎水化処理することによって、シリカエアロゲルに疎水性を付与することが好ましい。このように疎水性を付与した疎水性シリカエアロゲルは、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカエアロゲルの屈折率や光透過性等の性能が劣化することを防ぐことができるものである。
この疎水化処理は、ゲル状化合物を超臨界乾燥する前、あるいは超臨界乾燥中に行うことができる。疎水化処理は、ゲル状化合物の表面に存在するシラノール基の水酸基を疎水化処理剤の官能基と反応させ、疎水化処理剤の疎水基と置換させることによって疎水化するために行うものである。疎水化処理を行う手法としては、疎水化処理剤を溶媒に溶解させた疎水化処理液中にゲルを浸漬し、混合するなどしてゲル内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加熱して、疎水化反応を行わせる方法があげられる。
疎水化処理に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができるが、疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、疎水化処理前のゲルが含有する溶媒と置換可能なものであればよく、これらに限定されるものではない。また後の工程で超臨界乾燥が行われる場合、超臨界乾燥の容易な媒体、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、液化二酸化炭素などと同一種類もしくはそれと置換可能なものが好ましい。また疎水化処理剤としては例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
疎水化処理については、特開平5−279011号公報、特開平7−138375号公報に開示されている方法を用いることもできる。
中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体としては、特開2001−233611号公報、特開2003−149642号公報に開示されているような、微粒子の内部に空隙を持つ中空微粒子をバインダー樹脂に分散させた多孔質体が挙げられる。
バインダー樹脂としては中空微粒子の分散性、多孔質体の透明性、多孔質体の強度等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができ、例えば従来から用いられているポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体などの塗料用樹脂、またはアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物等が挙げられる。
これらの中でも微粒子の分散性、多孔質体の強度からアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物が好ましい。
低屈折率層として中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体を用いる場合には、低屈折率層の反射特性や防汚性を向上させることから、上記樹脂にフッ素樹脂を混合してもよい。
中空微粒子は、無機化合物の微粒子であれば、特に制限されないが、外殻の内部に空洞が形成された無機中空微粒子が好ましく、シリカ系中空微粒子の使用が特に好ましい。
無機化合物としては、無機酸化物が一般的である。無機酸化物としては、SiO、Al、B、TiO、ZrO、SnO、Ce、P、Sb、MoO、ZnO、WO等の1種又は2種以上を挙げることができる。2種以上の無機酸化物として、TiO-Al、TiO-ZrO、In-SnO、Sb-SnOを例示することができる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機中空微粒子としては、(A)無機酸化物単一層、(B)種類の異なる無機酸化物からなる複合酸化物の単一層、及び(C)上記(A)と(B)との二重層を包含するものを用いることができる。
外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよく、あるいは細孔が閉塞されて空洞が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。外殻は、内側の第1無機酸化物被覆層及び外側の第2無機酸化物被覆層からなる複数の無機酸化物被覆層であることが好ましい。外側に第2無機酸化物被覆層を設けることにより、外殻の細孔を閉塞させて外殻を緻密化したり、さらには、内部の空洞を密封した無機中空微粒子を得ることができる。特に第2無機酸化物被覆層の形成に含フッ素有機珪素化合物を用いる場合は、フッ素原子を含む被覆層が形成されるために、得られる粒子はより低屈折率となるとともに、有機溶媒への分散性もよく、さらに低屈折率層の防汚性付与にも効果があり好ましい。このような含フッ素有機珪素化合物としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等をあげることが出来る。
無機中空微粒子の平均粒子径は特に制限されないが、5〜2000nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。5nmよりも小さいと、中空によって低屈折率になる効果が小さく、逆に2000nmよりも大きいと、透明性が極端に悪くなり、拡散反射による寄与が大きくなってしまう。ここで、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径である。
上述のような無機中空微粒子の製造方法は、例えば、特開2001-233611号公報に詳細に記載されており、本発明に使用できる無機中空微粒子は、そこに記載された方法に基づいて製造することができ、また一般に市販されている無機中空微粒子を用いることもできる。
無機微粒子の配合量は、特に制限されないが、低屈折率層全体に対して、10〜30重量%であるのが好ましい。無機微粒子の配合量がこの範囲であるときに、低屈折率性と耐擦傷性を兼ね備えた光学積層フィルムを得ることができる。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.25〜1.37、さらに好ましくは1.30〜1.37である。低屈折率層の屈折率を前記範囲にすることにより、防眩性フィルムに反射防止性に加えて、耐擦傷性を付与することができる。
低屈折率層の屈折率は、防眩層の屈折率と同様の方法で測定することができる。
低屈折率層の厚みは、可視光線の吸収をよくするため、10〜1000nm、好ましくは30〜500nmである。
本発明においては、低屈折率層の上に防汚層を有していても良い。防汚層は、低屈折率層を保護し、かつ、防汚性能を高めるために設けるものである。
防汚層の形成材料としては、低屈折率層の機能が阻害されず、防汚層としての要求性能が満たされる限り特に制限はない。通常、疎水基を有する化合物を好ましく使用できる。
具体的な例としてはパーフルオロアルキルシラン化合物、パーフルオロポリエーテルシラン化合物、フッ素含有シリコーン化合物を使用することができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;等を用いることができる。防汚層の厚みは特に制限はないが、通常20nm以下が好ましく、1〜10nmであるのがより好ましい。
本発明の防眩性フィルムの製造方法は、透明樹脂を含有してなる基材フィルム上に、直接又は他の層を介して、下記[4]〜[6]の要件を満たす塗布液を塗布することにより防眩層を形成することを特徴とする。
[4]揮発性を有する有機溶剤の含有量が少なくとも20体積%である。
[5]平均粒子径が5〜100nmである微粒子の含有量が少なくとも5体積%である。
[6]界面活性剤の含有量が多くとも1000ppmである。
本発明の製造方法に用いる基材フィルムは、本発明の防眩性フィルムのところで説明したとおりである。
基材フィルムと防眩層との間に他の層を介する場合において、他の層としてはプライマー層が挙げられる。プライマー層を形成する材料は、本発明の防眩性フィルムのところで説明したとおりである。プライマー層の形成方法は特に制限されず、プライマー層形成用塗布液を公知の塗布方法により、基材フィルム上に塗布して形成する方法等が挙げられる。
本発明の製造方法において、防眩層を形成する塗布液に含まれる揮発性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;及びこれらの2種以上からなる組み合わせ;等が挙げられる。
これらの中でも、塗布液の対流を発生させ、表面凹凸を形成するために、ASTM.D3539.76に従い測定した酢酸n−ブチルの蒸発速度を1とした場合の相対蒸発速度で0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。このような有機溶剤としては、メタノール、エタノール、トルエン、n−ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
塗布液における有機溶剤の含有量は、20体積%以上であり、40体積%以上であることが好ましい。前記範囲より少ないと、塗布液の対流が十分に発生しないため、表面凹凸の高さが不十分となる。
本発明の製造方法において、防眩層を形成する塗布液に含まれる平均粒子径が5〜100nmである微粒子としては、本発明の防眩性フィルムのところで説明したとおりである。
微粒子の粒子径は、平均粒子径で、5〜100nmであり、好ましくは10〜50nmである。前記粒子径が、前記範囲よりも小さいと塗布液にチキソ性が付与されず、塗布した後に防眩層の表面に凹凸を形成させにくくする傾向にあり、逆に前記範囲よりも大きいと防眩層のヘーズが大きくなって、得られる防眩性フィルムを画像表示装置に用いたときに、画像鮮明性が低下してしまう。
塗布液における微粒子の含有量は、少なくとも5体積%であり、好ましくは7〜30体積%である。微粒子の含有量が、前記範囲よりも少ないと塗布液にチキソ性が付与されず、防眩層としての役割を果たす凹凸が表面に形成されない。
本発明の製造方法において、防眩層を形成するための塗布液に含まれる界面活性剤の含有量は、多くとも1000ppmであり、好ましくは多くとも500ppmであり、もっとも好ましくは0ppmである。界面活性剤の含有量が前記範囲よりも多いと、塗布液の対流が十分に発生せず、防眩層の表面に凹凸が形成されなくなる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が挙げられる。フッ素系の界面活性剤としては、スリーエム社製のフロラードFC−431等のパーフルオロアルキルスルホン酸アミド基含有ノニオン、大日本インキ社製のメガファックF−171、F−172、F−173、F−176PF、F−470、F−471等のパーフルオロアルキル基含有オリゴマー等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のオリゴマー等の各種の置換基で側鎖や主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
本発明の防眩層は、粒子径500nm以上の粒子が含まれないことが好ましい。平均粒子径が前記範囲にある粒子が含有されると、防眩層のヘーズが大きくなって、得られる防眩性フィルムを画像表示装置に用いたときに、画像鮮明性が低下してしまう。
防眩層を形成するための塗布液には、上記微粒子及び界面活性剤に加えて、防眩層を構成する有機樹脂材料が挙げられる。有機樹脂材料については、本発明の防眩性フィルムのところで説明したとおりである。
防眩層を形成するための塗布液の粘度は50mPa・s以下であることが好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。
粘度が前記範囲より大きいと、塗布液の対流が十分に発生せず、表面凹凸の高さが不十分となる。
前記塗布液の粘度は、JIS Z 8803に従い、単一円筒形回転粘度計により測定することができる。測定時の塗布液温度は、実際の塗布環境温度で行う。
防眩層を形成するための塗布液の塗工方法としては、特に制限されず、公知の塗工方法が採用できる。塗工方法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法等が挙げられる。塗布後の厚みは、塗布直後、溶剤乾燥前の溶液の状態で、平均厚みで10μm以上であることが好ましく、平均厚みで30μm〜100μmであることがより好ましい。塗布後の厚みが、前記範囲より薄いと、表面凹凸の高さが不十分となる。逆に塗布後の厚みが前記範囲より厚いと、表面凹凸高さ、周期が大きくなり、白ぼけが増し、透過画像鮮明性が悪化するため好ましく無い。
本発明の製造方法においては、防眩層を構成する塗布液を塗工した後、これを乾燥及び硬化させることにより、表面に凹凸を有する防眩層を形成することができる。本発明においては、上述した防眩層を構成する塗布液を塗工することにより、塗工の際、塗布液に対流が生じ、塗工層の表面に凹凸を容易に形成させることができる。
乾燥温度及び乾燥時間は、防眩層を構成する塗布液の溶剤や有機樹脂材料の種類、基材フィルムの種類に応じて適宜設定される。乾燥温度は、通常、室温から基材フィルムのガラス転移温度以下の範囲である。塗工時に塗布液が対流することで、表面凹凸が形成される。さらに乾燥により、溶剤が減少し残留した塗布液成分の粘度が増加することで、前記表面凹凸が固定化される。
防眩層の塗膜を得てこれを乾燥した後は、熱硬化型樹脂を含有する場合には加熱することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する場合には活性エネルギー線を照射することにより、それぞれ硬化させて防眩層を形成することができる。硬化させる条件は、防眩層を構成する有機樹脂材料の種類によって異なる。
有機樹脂材料が、熱硬化型樹脂である場合は、使用する熱硬化型樹脂に適した硬化条件で加熱して、硬化させればよい。
有機樹脂材料が、活性エネルギー線硬化型樹脂である場合は、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。電子線硬化の場合は、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeVのエネルギーを有する電子線が使用される。紫外線硬化の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が挙げられる。
本発明の製造方法において、防眩層の上に低屈折率層を形成する場合は、低屈折率層を構成する塗布液を防眩層の上に塗工し、次いで乾燥することにより得られる。
塗工方法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法等の公知の塗工方法が挙げられる。
低屈折率層を構成する材料が、中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体である場合の形成方法は特に制限されず、例えば、防眩層の上に少なくとも微粒子の内部に空隙を持つ中空微粒子をバインダー樹脂を含有してなる塗布液を公知の塗工方法により塗工し、必要に応じ乾燥・加熱処理を施す方法が挙げられる。必要に応じて行われる加熱の温度は、通常50〜200℃、好ましくは80〜150℃である。
本発明の製造方法において、低屈折率層の上に防汚層を形成する場合、防汚層の形成方法としては、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;が挙げられる。
本発明の防眩性フィルムは、全光線透過率が90%以上であり、かつヘーズが10%以下であることが好ましく、全光線透過率が92%以上であり、かつヘーズが5%以下であることがさらに好ましい。前記範囲からはずれると、防眩性フィルムを画像表示装置に用いたときに、画像鮮明性が低下してしまう傾向にある。
本発明の防眩性フィルムは、防眩性に優れ、低屈折率層を設けることにより、さらに反射防止性にも優れるので、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような表示装置に適用することができる。
本発明の防眩性フィルムは、上記表示装置の中でも液晶表示装置に用いることが好ましく、その中でも偏光子保護フィルムに用いることが好ましい。
本発明の偏光板は、本発明の防眩性フィルムを偏光子の少なくとも片方の面に備える。
偏光子としては、例えばポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の従来に準じた適宜なビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施したもので、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。偏光子の厚みは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
本発明の偏光板において、本発明の防眩性フィルムを偏光子の少なくとも片方の面に備えればよく、通常は片方のみに備える。本発明の防眩性フィルムを偏光子の片方のみに備える場合には、本発明の防眩性フィルムが表示装置における視認側になるように備えることが好ましい。
本発明の偏光板において、本発明の防眩性フィルムを偏光子の片方のみに備える場合には、偏光子のもう一方の面には保護フィルムを備えることが好ましい。この場合において、保護フィルムとしては、例えばトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂や脂環式構造を有する重合体樹脂からなるフィルムが挙げられるが、透明性、低複屈折性、寸法安定性などに優れる点から脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましい。脂環式構造を有する重合体樹脂としては、本発明の防眩性フィルムに用いる基材フィルムの部分で記載したものと同様のものが挙げられる。
本発明の偏光板においては、使用する保護フィルムは、等方性でもよく、複屈折性を有していてもよい。前記保護フィルムが、複屈折性を有している場合は、液晶表示装置の形成に際して積層する位相差板をこの保護フィルムが兼ねることができ、部材の薄型化が可能になる。前記複屈折性を有する保護フィルムを得る方法としては、基材フィルムを延伸する方法、基材フィルム上に液晶性化合物からなる光学異方層を積層する方法が挙げられる。
本発明の偏光板において、防眩性フィルムと偏光子との間、偏光子と保護フィルムとの間に、接着剤層又は粘着剤層を介してもよい。接着剤層に用いる接着剤又は粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性等の観点から、アクリル系のものが好ましい。
本発明の偏光板の厚みは、特に制限されないが、通常60μm〜2mmの範囲である。
本発明の防眩性フィルム又は偏光板を、液晶表示装置に用いる際には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型、VA(Vertical Alignment)、MVA(Multiple Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optical Compensated Bend)型等の半透過型、反射型等、あらゆる液晶セルに好ましく用いることができる。
本発明を、実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)凹凸の高さ
JIS B0601−1994に準拠し、十点平均粗さRzを測定し、これを凹凸の高さとした。具体的には、ダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して凹凸構造面上を一定方向に2.5mmの長さで走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線を得、その表面粗さ曲線から基準長さを0.8mmとして十点平均粗さRzを求めた。
(2)凹凸の周期
上述の(1)で得られた表面粗さ曲線における凹凸変化が微小な部分に基づいて表面粗さ曲線の凹凸変化が凸部として評価できる基準線を想定し、その基準線からの当該凸部の高さの平均を中心線として、表面粗さ曲線がその中心線を下から上(又は上から下)に通過する際の交点に基づきその交点間の距離の平均を凹凸の周期とした。
(3)凹凸の平均傾斜角
上述の(1)で得られた表面粗さ曲線における上述(2)における凹凸変化が微小な部分の勾配に基づいてその勾配の絶対値の平均を凹凸の平均傾斜角とした。
(4)屈折率
高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M−2000U)を用いて、測定波長245〜1000nm、入射角55度、60度及び65度で測定し、その測定値を元に算出した値を屈折率とした。
(5)全光線透過率及びヘーズ
JIS K7136に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業社製、ヘーズメーターNDH2000)を用いて測定した。全光線透過率は大きいほど、ヘーズは小さいほど優れる。
(6)白味
分光光度計(日本分光社製、分光光度計V550)を用い、防眩性フィルムに5度方向から光を照射し、正反対の5度方向から40度ずれた45度方向の散乱光の光量を測定した。測定は350nm〜700nmの波長域で行い、反射率が最も高い波長での測定値をもって白味の指標とした。白味は、測定値が小さいほど優れる。
(7)画像鮮明性
JIS K7105に準拠して、スガ試験機社製写像性測定装置ICM−1Tを用いて透過光の写像性を測定した。光学くし幅は2.0mmとした。画像鮮明性は、大きいほど優れる。
(8)防眩性
作成した防眩性フィルムにルーバー無しのむき出しの蛍光灯(8000cd/m)を映し、その反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
○:蛍光灯の輪郭が分からない
△:蛍光灯はぼやけているが、輪郭は識別できる
×:蛍光灯がほとんどぼやけていない
(9)塗布液粘度
JIS Z8803に従い、単一円筒形回転粘度計により測定した。測定時の塗布液温度は20℃、円筒外径は20mm、円筒回転速度は60rpmであった。
(製造例1)防眩層形成用塗布液1の調製
五酸化アンチモン微粒子(平均粒子径20nm)のメチルイソブチルケトンゾル(固形分濃度40%、触媒化成社製)100部に、紫外線硬化型ウレタンアクリレート(日本合成化学社製、紫光UV7000B)12部、及び光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)0.5部を混合し、紫外線硬化型の防眩層形成用塗布液1を調製した。
塗布液1の有機溶剤の含有量は77体積%、五酸化アンチモン微粒子の含有量は11体積%、界面活性剤の含有量は0ppm、塗布液1の粘度は10mPa・sであった。
(製造例2)防眩層形成用塗布液2の調製
五酸化アンチモン微粒子(平均粒子径20nm)のエタノールゾル(固形分濃度40%、触媒化成社製)100部に、シリコーン系ハードコート剤(固形分濃度28%、日本ダクロシャムロック社製、ゾルガードNP720)40部を混合し、熱硬化型の防眩層形成用塗布液2を調製した。
塗布液2の有機溶剤の含有量は83体積%、五酸化アンチモン微粒子の含有量は8体積%、界面活性剤の含有量は0ppm、塗布液2の粘度は7mPa・sであった。
(製造例3)防眩層形成用塗布液3の調製
五酸化アンチモン微粒子(平均粒子径20nm)のメチルイソブチルケトンゾル(固形分濃度40%、触媒化成社製)100部に、紫外線硬化型ウレタンアクリレート(日本合成化学社製、紫光UV7000B)12部、光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)0.5部、及びフッ素系界面活性剤(ネオス社製、フタージェント250)0.2部を混合し、紫外線硬化型の防眩層形成用塗布液3を調製した。
塗布液3の有機溶剤の含有量は77体積%、五酸化アンチモン微粒子の含有量は11体積%、界面活性剤の含有量は1775ppm、塗布液3の粘度は10mPa・sであった。
(製造例4)防眩層形成用塗布液4の調製
五酸化アンチモン微粒子(平均粒子径20nm)のメチルイソブチルケトンゾル(固形分濃度40%、触媒化成社製)100部に、紫外線硬化型ウレタンアクリレート(日本合成化学社製、紫光UV7000B)50部、光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)2部、及びメチルイソブチルケトン140部を混合し、紫外線硬化型の防眩層形成用塗布液4を調製した。
塗布液4の有機溶剤の含有量は83体積%、五酸化アンチモン微粒子の含有量は3体積%、界面活性剤の含有量は0ppm、塗布液4の粘度は15mPa・sであった。
(製造例5)低屈折率層形成用塗布液の調製
テトラメトキシシランのオリゴマー(商品名:メチルシリケート511、コルコート社製)とメタノールとを、重量比で47:75となるように混合してA液を調製した。次いで、水、アンモニア水(アンモニア28重量%)、メタノールを重量比で60:1.2:97.2となるように混合してB液を調製した。そして、A液とB液を重量比で16:17となるように混合して低屈折率層形成用塗布液を得た。
(製造例6)基材フィルムAの表面改質処理
ノルボルネン系重合体からなる基材フィルムA(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルムZF14−100、平均厚み100μm)の両面に、高周波発振機(コロナジェネレーターHV05−2、Tamtec社製)を用いて、出力電圧100%、出力250Wで、直径1.2mmのワイヤー電極で、電極長240mm、ワーク電極間1.5mmの条件で3秒間コロナ放電処理を行い、表面張力が0.072N/mになった基材フィルムaを得た。
(実施例1)防眩性フィルム1の製造
製造例6で得られた基材フィルムaの片面に、ワイヤーバーを用いて、製造例1で得られた防眩層形成用塗布液1を乾燥前の厚みが平均厚みで50μmになるように塗布し、この塗膜を20℃で1分間、100℃で1分間乾燥し、続いて紫外線照射(積算光量500mW/cm)することにより、防眩性フィルム1を得た。
得られた防眩性フィルム1について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)防眩性フィルム2の製造
防眩層形成用塗布液として、製造例2で得られた防眩層形成用塗布液2を用い、塗膜の乾燥を20℃で1分間、100℃で2分間行い、続いて80℃で2時間加熱した他は実施例1と同様の操作を行うことにより、防眩性フィルム2を得た。
得られた防眩性フィルム2について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)防眩性フィルム3の製造
基材フィルムaのかわりに、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン4300、厚み100μm、以下「基材フィルムb」と記す)を用いた他は実施例1と同様の操作を行うことにより、防眩性フィルム3を得た。
得られた防眩性フィルム3について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例4)防眩性フィルム4の製造
実施例1で得られた防眩性フィルム1をスピンコーターの回転室に入れ、このフィルム1の上に製造例5で得られた低屈折率層形成用塗布液を回転数700rpmの条件でスピンコーティングを10秒間行って、ゲル状の薄膜を形成させた。なお、スピンコーターの回転室は予めメタノール雰囲気になるようにしておいた。
次に、このゲル状の薄膜を、水と28%アンモニア水とメタノールを重量比で162:4:640となるように混合した組成の養生溶液中に5分間浸漬し、その後これを室温で1昼夜養生した。さらにこのように養生したゲル状の薄膜をヘキサメチルジシラザンの10%イソプロパノール溶液中に浸漬し、疎水化処理を行った。
この疎水化処理をしたゲル状の薄膜をイソプロパノール中へ浸漬して洗浄し、次いで、高圧容器中に入れ、高圧容器内を液化炭酸ガスで満たし、80℃、16MPa、2時間の条件で超臨界乾燥を行うことにより、防眩フィルム1の防眩層の上に厚み100nmのシリカエアロゲル薄膜(低屈折率層)からなる低屈折率層が形成された防眩性フィルム4を得た。
得られた防眩性フィルム4について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例5)防眩性フィルム5の製造
防眩性フィルム1のかわりに防眩性フィルム3を用いた他は、実施例4と同様の操作を行うことにより、防眩性フィルム5を得た。
得られた防眩性フィルム5について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)防眩性フィルム6の製造
防眩層形成用塗布液1のかわりに製造例3で得られた防眩層形成用塗布液3を用いた他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、防眩性フィルム6を得た。
得られた防眩性フィルム6について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例2)防眩性フィルム7の製造
防眩性フィルム1のかわりに比較例1で得られた防眩性フィルム6を用いた他は、実施例4と同様の操作を行うことにより、防眩性フィルム7を得た。
得られた防眩性フィルム7について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例3)防眩性フィルム8の製造
防眩層形成用塗布液1のかわりに、製造例4で得られた防眩層形成用塗布液4を用いた他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、防眩性フィルム8を得た。
得られた防眩性フィルム8について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例4)防眩性フィルム9の製造
製造例6で得られた基材フィルムaの片面に、ワイヤーバーを用いて、製造例1で得られた防眩層形成用塗布液1を乾燥後の厚みが150μmになるように塗布し、100℃で1分間乾燥後、紫外線照射(積算光量500mW/cm)することにより、防眩性フィルム9を得た。
得られた防眩性フィルム9について、上述の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2006116805
表1の結果から以下のことがわかる。本発明によれば、実施例に示すように、白味、画像鮮明性及び防眩性に優れる。
一方、表面の凹凸の高さが0.1μmより小さく、凹凸の周期が不明のもの(比較例1〜3)は、防眩性が劣る。また、表面の凹凸の高さが0.8μmより大きく、凹凸の周期が100μmより大きく、凹凸の平均傾斜角が3度よりも大きいもの(比較例4)は、ヘーズが大きく、画像鮮明性に劣る。

Claims (8)

  1. 透明樹脂を含有してなる基材フィルム上に表面に凹凸を持つ防眩層があり、該凹凸が下記[1]〜[3]の要件を満たすことを特徴とする防眩性フィルム。
    [1]凹凸の高さが0.1〜0.8μmである。
    [2]凹凸の周期が4〜100μmの範囲にある。
    [3]凹凸の平均傾斜角が3度以下である。
  2. 防眩層の上に屈折率が1.25〜1.37である低屈折率層を有する請求項1に記載の防眩性フィルム。
  3. 防眩層の屈折率が1.55以上である請求項1又は2に記載の防眩性フィルム。
  4. 防眩層が、活性エネルギー線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂と、平均粒子径が5〜100nmである微粒子とからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
  5. 全光線透過率が90%以上であり、かつヘーズが10%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
  6. 透明樹脂を含有してなる基材フィルム上に、直接又は他の層を介して、下記[4]〜[6]の要件を満たす塗布液を塗布することにより防眩層を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法;
    [4]揮発性を有する有機溶剤の含有量が少なくとも20体積%である
    [5]平均粒子径が5〜100nmである微粒子の含有量が少なくとも5体積%である
    [6]界面活性剤の含有量が多くとも1000ppmである
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性フィルムを偏光子の少なくとも片方の面に備える偏光板。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性フィルム又は請求項7に記載の偏光板を搭載してなる液晶表示装置。
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