JP2006105104A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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克直 竹内
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広道 村上
Shuichi Hanai
修一 花井
Zenichi Shinpo
善一 新保
Shigetaka Yoshikawa
重孝 吉川
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Abstract

【課題】ウォータポンプでのキャビテーションの発生を抑えてウォータポンプの耐久性を確保すること。
【解決手段】冷却装置10は、エンジン1の冷却水循環経路11,12と、その循環経路11,12におけるラジエータ13と、冷却水循環経路11,12にて冷却水を圧送するウォータポンプ14と、ラジエータ13の冷却水流量を調整する流量制御弁16とを備える。電子制御装置(ECU)30は、エンジン1の暖機時に冷却水循環経路11,12の冷却水流れを遮断するように流量制御弁16を全閉に制御する。ここで、ECU30は、流量制御弁16が全閉となって冷却水循環経路11,12における冷却水流れを遮断する状態であり、かつ、エンジン回転速度が所定の基準回転速度(5000rpm)を超えたときには、冷却水流れを許容するために流量制御弁16の弁開度を全閉から若干開側へ制御する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、ウォータポンプにより圧送される冷却水を、冷却水循環経路を通じて循環させることによりエンジンを冷却する冷却装置であって、冷却水循環経路のラジエータを通過する冷却水流量を流量調整手段により調整するようにしたエンジンの冷却装置に関する。
従来の車両等には、エンジンの冷却装置が搭載される。この種の冷却装置として、例えば、下記の特許文献1に記載される水冷式の冷却装置がある。この冷却装置は、エンジン本体のウォータジャケットを含む冷却水循環経路と、その冷却水循環経路に設けられるラジエータ、ウォータポンプ及び流量調整弁と、その流量調整弁の開度を制御する電子制御装置(ECU)とを備える。この冷却装置において、ウォータポンプが作動することにより、冷却水循環経路を冷却水が循環し、エンジン本体と冷却水との間で熱の受け渡しが行われる。エンジン本体から冷却水へ奪われる熱は、冷却水がラジエータを通過する過程で放熱される。ここで、エンジンの冷却水温度が目標冷却水温度となるようにECUが流量調整弁の開度を制御することにより、冷却水循環経路における冷却水温度を制御して、エンジンの冷却度合いを制御するようになっている。
加えて、この冷却装置は、エンジンの冷間始動時には、エンジンの暖機性を確保するために、流量調整弁を全閉に制御することにより、ウォータポンプ、ウォータジャケット及びラジエータ等に流入する冷却水流量を低減させるようになっている。
特開2003−172141号公報(第2,8頁、図1,4,5) 特開2003−286843号公報(第2,5頁、図2,4)
ところが、特許文献1に記載の冷却装置は、エンジンの冷間始動時に、冷却水流量を低減させるために、流量調整弁を全閉に制御するようになっている。このため、エンジン回転速度が高くなっているときに流量調整弁が全閉になったのでは、ウォータポンプの前後差圧が増大してキャビテーションが発生するおそれがある。ここで、「キャビテーション」は、流路の流水断面が急変したりすることにより、その近くに空洞部ができて渦を起こす現象をいう。このキャビテーションが騒音や振動の原因となり、ウォータポンプの耐久性を悪化させる懸念がある。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ウォータポンプでのキャビテーションの発生を抑えてウォータポンプの耐久性を確保することを可能としたエンジンの冷却装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンの冷却水が循環する冷却水循環経路と、冷却水循環経路に設けられるラジエータと、冷却水循環経路にて冷却水を圧送するウォータポンプと、ラジエータを通過する冷却水流量を調整するための流量調整手段とを備え、エンジンの暖機時に冷却水循環経路の冷却水流れを遮断するように流量調整手段を制御するようにしたエンジンの冷却装置であって、流量調整手段が冷却水流れを遮断する状態であり、かつ、エンジンの回転速度が所定の基準回転速度を超えたときに、冷却水流れを許容するために流量調整手段を制御する暖機時制御手段を備えたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、ウォータポンプにより圧送される冷却水は、冷却水循環経路を循環する間にラジエータを通過し、そのラジエータを通過する冷却水流量は流量調整手段により調整される。そして、エンジンの暖機時には、冷却水循環経路の冷却水流れを遮断するように流量調整手段が制御されることにより、ラジエータを通過する冷却水流量が減少し、エンジンから冷却水へ奪われる熱量が低減する。
ここで、流量調整手段により冷却水流れが遮断された状態で、エンジンの回転速度が高くなったのでは、ウォータポンプの前後差圧が増大してキャビテーションが発生するおそれがある。この発明では、流量調整手段が冷却水流れを遮断する状態であり、かつ、エンジンの回転速度が所定の基準回転速度を超えたときには、冷却水流れを許容するために流量調整手段が暖機時制御手段により制御されるので、ウォータポンプの前後差圧の増大が抑えられる。
請求項1に記載の発明によれば、ウォータポンプでのキャビテーションの発生を抑えることができ、これによってウォータポンプの耐久性を確保することができる。
以下、この発明におけるエンジンの冷却装置を具体化した一実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態におけるエンジンシステムを概略構成図により示す。車両に搭載された多気筒のエンジン1は、シリンダブロック及びシリンダヘッド等からなるエンジン本体2を備える。エンジン本体2には、各気筒(シリンダ)の燃焼室に対応して燃料噴射弁及び点火装置(共に図示略)が設けられる。また、エンジン本体2には、各気筒毎にピストン(図示略)が設けられ、各ピストンに連動するクランクシャフト3が設けられる。エンジン本体2には、各燃焼室に空気を取り込むために吸気通路4が設けられる。また、エンジン本体2には、各燃焼室から排気ガスを排出するために排気通路5が設けられる。吸気通路4には、エアクリーナ6及びスロットルボディ7が設けられる。エアクリーナ6は、吸気通路4を通じて各燃焼室に取り込まれる空気を清浄化する。スロットルボディ7には、吸気通路4を流れる空気量(吸気量)を調節するために開閉されるスロットルバルブ8と、そのバルブ8を開閉駆動するためのモータ9が設けられる。
エンジン本体2の各燃焼室には、燃料噴射弁から噴射される燃料が供給される。各燃焼室では、点火装置が作動することにより、燃料と空気との可燃混合気が爆発・燃焼する。この燃焼エネルギーを受けてピストンが動作することにより、クランクシャフト3が回転してエンジン1に動力が発生する。各燃焼室で生じた燃焼後の排気ガスは、排気通路5を通じて外部へ排出される。エンジン1で発生した燃焼エネルギーの一部は熱としてエンジン本体2に残留する。この残留熱によりエンジン本体2が過熱状態となるのを防止するために、エンジン1には、水冷式の冷却装置10が設けられる。
この冷却装置10は、エンジン本体2に設けられるウォータジャケット11を含む。ウォータジャケット11の入口11a及び出口11bは、ラジエータ通路12を介してラジエータ13に接続される。ウォータジャケット11の入口11aの近傍には、ウォータポンプ(W/P)14が設けられる。ウォータポンプ14は、プーリ及びベルト等を介してクランクシャフト3に駆動連結され、エンジン1の運転に連動して作動する。ウォータポンプ14は、ラジエータ通路12を流れる冷却水を吸引してウォータジャケット11へ吐出する。この冷却水の吸引・吐出により、冷却水がウォータポンプ14を起点として、ラジエータ通路12を図1に矢印で示す時計方向に循環する。この循環中に、冷却水は、ウォータジャケット11を通過する過程で、エンジン本体2から熱を吸収して昇温する。昇温した冷却水は、ラジエータ13を通過する過程で熱を放出して温度を下げる。
ラジエータ通路12には、ラジエータ13を迂回するバイパス通路15が接続される。バイパス通路15の一端(図1の右端)は、ラジエータ通路12において、ラジエータ13とウォータジャケット11の出口11bとの間に接続される。バイパス通路15の他端(図1の左端)は、ラジエータ通路12において、ラジエータ13とウォータポンプ14との間に接続される。上記したウォータジャケット11及びラジエータ通路12により本発明における冷却水循環経路が構成される。
バイパス通路15の他端とラジエータ通路12との接続部分には、流量制御弁16が設けられる。この流量制御弁16は、ステップモータを駆動源として構成され、その弁開度ODVを制御することにより、ラジエータ通路12及びバイパス通路15を流れる冷却水の流量を調整する。ここで、流量制御弁16は、弁開度ODVが大きくなるほどラジエータ通路12を通る冷却水流量が多くなるように構成される。
この実施形態では、流量制御弁16として、例えば、特開2003−286843号公報に開示される流量制御弁と同様の構造を備えた流量制御弁が適用される。図2には、この流量制御弁16の流量特性をグラフに示す。このグラフは、横軸に流量制御弁の弁開度ODVに相当するステップモータのステップ数を、縦軸に冷却水流量をそれぞれ示す。冷却水流量として、ラジエータ通路12からウォータポンプ14へ流れる「ラジエータ側流量」と、バイパス通路15からウォータポンプ14へ流れる「バイパス側流量」との二つがあり、それぞれ実線と破線で示す。このグラフで、ステップ数が「0」のときは、流量制御弁16の弁開度ODVが「全閉」となる。また、ステップ数が「239」のときは、流量制御弁16の弁開度ODVが「全開」となる。更に、ステップ数が「25」のときから、ラジエータ側流量及びバイパス側流量が共に増加を開始する。このグラフから明らかなように、ラジエータ側流量は、ステップ数の増加(開度増加)に対して増加傾向を示す。また、バイパス側流量は、ステップ数の増加(開度増加)に対して増加と減少を示す。この実施形態で、流量制御弁16は、本発明における流量調整手段に相当する。
この流量制御弁16により、ラジエータ通路12における冷却水流量を調整することにより、エンジン本体2を冷却するための冷却水温度が制御される。すなわち、流量制御弁16の弁開度ODVを制御してラジエータ通路12における冷却水流量を多くすることにより、エンジン本体2に流れる冷却水のうち、ラジエータ13で冷却される冷却水の割合が大きくなり、エンジン本体2を冷却する冷却水温度が低くなる。また、流量制御弁16を制御してラジエータ通路12における冷却水流量を少なくすることにより、エンジン本体2に流れる冷却水のうち、ラジエータ13で冷却される冷却水の割合が小さくなり、エンジン本体2を冷却する冷却水温度が高くなる。
ラジエータ13には、ラジエータ13を通過した後の冷却水温度(ラジエータ出口水温T2)を検出するためのラジエータ出口水温センサ21が設けられる。ここで、ラジエータ出口水温T2は、ラジエータ通過後の冷却水温度に相当する。エンジン本体2には、ウォータジャケット11の出口11bを通過した後の冷却水温度(エンジン出口水温TO)を、エンジン本体2の冷却水温度として検出するためのエンジン出口水温センサ22が設けられる。ここで、エンジン出口水温TOは、エンジン通過後の冷却水温度に相当する。
この冷却装置10は、バイパス通路15とは別に、ラジエータ13を迂回するようにラジエータ通路12に設けられる複数の受放熱回路を更に含む。これら受放熱回路として、スロットルボディ温水回路31、EGRクーラ回路32、温水加熱式のホットエアインテーク回路33、ヒータ回路34及びオイルクーラ回路35が設けられる。
スロットルボディ温水回路31は、スロットルボディ7に接続され、同回路31を冷却水(温水)が流れる過程でスロットルボディ7が暖められる。これにより、極寒時等におけるスロットルバルブ8の作動を安定化させる。
EGRクーラ回路32は、スロットルボディ温水回路31の下流側に直列に接続される。EGRクーラ回路32の一部は、EGR装置36に沿って設けられる。周知のようにEGR装置36は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を低減するために、排気ガスの一部を吸気通路4へ再循環させて可燃混合気の最高燃焼温度を低下させるものである。EGR装置36は、EGR通路37、EGR弁38及びEGRチャンバ39を含む。EGR通路37は、排気通路5と吸気通路4との間に設けられる。EGR弁38は、EGR通路37の途中に設けられ、EGR通路37を流れるEGRガスの流量を調整するよう構成される。EGRチャンバ39は、EGR通路37の下流側に設けられ、EGRガスを各気筒に均等に導くように構成される。EGRクーラ回路32を流れる冷却水により、EGRチャンバ39、EGR弁38及び吸気通路4が冷却される。
ホットエアインテーク回路33はエアクリーナ6に接続される。この回路33は、エアクリーナ6の近傍に設けられたヒータコア(図示略)を含み、そのヒータコアを冷却水が通過する過程で吸気通路4に吸入される空気が暖められる。
ヒータ回路34は、車室用暖房装置のヒータコア40に接続される。このヒータ回路34を流れる冷却水が、熱源としてヒータコア40に導かれることにより、車室用暖房装置が機能する。
オイルクーラ回路35は、エンジン1の潤滑装置における潤滑油と、自動変速機における作動油(オートマチック・トランスミッション・フルード:ATF)を冷却するためのオイルクーラ41に接続される。このオイルクーラ41に冷却水が流れることにより、高温時に潤滑油やATFが速やかに冷やされる。このオイルクーラ41は、潤滑油やATFの温度が低いときには、オイルウォーマとしても機能する。
上記した各受放熱回路の上流部は、ウォータジャケット11の出口11bとラジエータ13との間においてラジエータ通路12に接続される。これらの受放熱回路の下流部は、互いに合流してウォータポンプ14に接続される。各受放熱回路の合流部42の近傍には、その合流部42における冷却水温度を合流部水温T3として検出するための合流部水温センサ23が設けられる。ここで、合流部水温T3は、各回路通過後の冷却水温度に相当する。
車両には、エンジン1の運転状態を検出するための各種センサが設けられる。すなわち、運転席に設けられるアクセルペダル43には、アクセルセンサ24が設けられる。アクセルセンサ24は、アクセルペダル43の踏み込み量(アクセル開度)ACCPを検出する。スロットルボディ7に設けられるスロットルセンサ25は、スロットルバルブ8の開度(スロットル開度)TAを検出する。スロットルボディ7より下流の吸気通路4に設けられる吸気圧センサ26は、吸気通路4における吸気圧PMを検出する。クランクシャフト3に対応して設けられる回転速度センサ27は、クランクシャフト3の回転角度(クランク角度)及び回転速度(エンジン回転速度)NEを検出する。
この冷却装置10は、エンジン1の運転状態に応じてエンジン1の冷却度合いを制御するために、エンジン1の運転状態に基づいて流量制御弁16の弁開度ODVを制御し、ウォータジャケット11、ラジエータ通路12及びバイパス通路15における冷却水循環流量を調整する。この制御を司るために、冷却装置10は電子制御装置(ECU)30を備える。ECU30には、ラジエータ出口温度センサ21、エンジン出口水温センサ22、合流部水温センサ23及び流量制御弁16が接続される。また、ECU30には、エンジン1の運転状態を取り込むために、アクセルセンサ24、スロットルセンサ25、吸気圧センサ26及び回転速度センサ27が接続される。加えて、ECU30には、イグニションスイッチ(IGSW)28が接続される。イグニションスイッチ28は、エンジン1を始動、停止させるために操作される。
この実施の形態において、ECU30は冷却水温度制御を実行するものであり、本発明における暖機時制御手段に相当する。周知のように、ECU30は中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ECU30は、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMと、外部入力回路及び外部出力回路等とをバスにより接続してなる論理演算回路を構成する。ROMは、冷却水温制御等に関する所定の制御プログラムを予め記憶したものである。RAMは、CPUの演算結果を一時記憶するものである。バックアップRAMは、予め記憶したデータを保存するものである。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ等21〜28からの検出信号に基づき所定の制御プログラムに従い冷却水温度制御等を実行する。
次に、ECU30が実行する冷却水温度制御の内容につき図3〜5のフローチャートに従って説明する。
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU30は、ステップ100で、イグニションスイッチ(IGSW)28がオンされるのを待って、ステップ110で、初期設定を実行する。ここで、ECU30は、初期設定として、流量制御弁16の開度位置確認処理(弁体の突き当て制御)、流量制御弁16の初期開度設定処理、AD処理及びRAMのデータリセット等が行う。
この実施形態では、初期開度設定処理として、図4にフローチャートで示すような処理が行われる。すなわち、図4のルーチンにおいて、ECU30は、ステップ111で、エンジン出口水温センサ22により検出されるエンジン出口水温TOを読み込む。
次に、ステップ112で、ECU30は、読み込まれたエンジン出口水温TOが所定の基準温度th1より低いか否かを判断する。この実施形態で、基準温度th1として、例えば、高温に相当する「100±2℃」を当てはめることができる。
ステップ112の判断結果が肯定である場合、エンジン1の冷却水温度が未だ高温でないことから、冷却水温度を高めるために、ECU30は、ステップ113で、流量制御弁16を全閉に制御する。換言すると、ECU30は、例えば、エンジン1の冷間始動時などにおいて、エンジン1を暖機するために、流量制御弁16を全閉にしてウォータジャケット11及びラジエータ通路12等における冷却水流れを遮断する。
これに対し、ステップ112の判断結果が否定である場合には、冷却水温度が既に高温に達していることから、冷却水温度の上昇を押さえるために、ECU30は、ステップ114で、流量制御弁16を全開に制御する。換言すると、ECU30は、エンジン1が高温状態になっている場合には、流量制御弁16を全開にしてウォータジャケット11及びラジエータ通路12等における冷却水流れを最大限に許容する。
つまり、図4のルーチンでは、ECU30は、エンジン1を始動させるときにイグニションスイッチ28がオンされたとき、そのときのエンジン1の温度状態を示すエンジン出口水温TOに基づいて流量制御弁16を制御する。具体的には、ECU30は、エンジン出口水温TOに応じて流量制御弁16を強制的に全開又は全閉に制御する。詳細には、ECU30は、エンジン出口水温TOが基準温度th1未満であるときは、流量制御弁16を全閉に制御し、エンジン出口水温TOが基準温度th1以上であるときは、流量制御弁16を全開に制御する。
続いて、図3のルーチンに戻り、ステップ120で、ECU30は、エンジン1の始動が完了するのを待って、処理をステップ130へ移行する。この実施形態で、ECU30は、吸気圧センサ26及び回転速度センサ27の検出値に基づいてエンジン1の始動が完了したことを判断する。
ステップ120で、エンジン1の始動が完了している場合、ステップ130で、ECU30は、エンジン1の運転状態等を読み込む。すなわち、ECU30は、エンジン出口水温センサ22、吸気圧センサ26及び回転速度センサ27により検出されるエンジン出口水温TO、吸気圧PM及びエンジン回転速度NEを、エンジン1の運転状態を示すパラメータとして読み込む。
次に、ステップ140で、ECU30は、目標エンジン出口水温Ttを設定する。この実施形態で、ECU30は、目標エンジン出口水温Ttを、エンジン1の運転状態に応じて設定する。例えば、エンジン1がアイドル運転状態である場合、ECU30は、目標エンジン出口水温Ttを、発進時のノッキング対策等のために若干低めの温度(例えば「90℃」)に設定する。一方、エンジン1が部分負荷(パーシャル)運転状態にある場合、ECU30は、目標エンジン出口水温Ttを、フリクションロス低減のために高めの温度(例えば「100℃」)に設定する。また、エンジン1が全負荷(WOT)運転状態にある場合、ECU30は、目標エンジン出口水温Ttを、充填率を高めるために低めの温度(例えば「80℃」)に設定する。上記した目標エンジン出口水温Ttに関する各値(90℃、100℃、80℃)は、一例に過ぎない。
次に、ステップ150で、ECU30は、フィードバック(F/B)制御許容フラグXFBOKが「1」であるか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、冷却水温度のフィードバック制御が既に許容されているものとして、ECU30は、処理をステップ160へ移行する。一方、この判断結果が否定である場合、ECU30は、処理をステップ210へ移行する。
ステップ210で、ECU30は、今回読み込まれたエンジン出口水温TOがフィードバック(F/B)制御開始水温に達したか否かを判断する。この実施形態では、フィードバック制御開始水温として、例えば「100℃」を当てはめることができる。この判断結果が肯定である場合、フィードバック制御を許容するために、ECU30は、ステップ220で、フィードバック制御許容フラグXFBOKを「1」に設定し、処理をステップ160へ移行する。
ステップ150又はステップ220から移行してステップ160では、ECU30は、目標エンジン出口水温Ttを維持しているか否かを判断する。すなわち、今回設定された目標エンジン出口水温Ttが前回の目標エンジン出口水温Ttとほぼ同じであるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU30は、ステップ230で、目標エンジン出口水温Ttを変更するための移行制御を実行し、処理をステップ120へ戻す。
一方、ステップ160の判断結果が肯定である場合、ECU30は、ステップ170で、流量制御弁16の指令開度ODCを算出する。この指令開度ODCの算出内容を、図5に示すフローチャートに従って説明する。
先ず、ステップ171で、ECU30は、回転速度センサ27及び吸気圧センサ26の検出値から得られるエンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEに基づいて冷却損失熱量QWを算出する。この算出に際し、ECU30は、図6に示すような関数データ(マップ)を参照する。このマップは、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEに対する冷却損失熱量QWの関係を予め定めたものである。このマップは、エンジン出口水温TOの各値毎に用意されている。このマップにおいて、冷却損失熱量QWは、エンジン回転速度NEが低いときは少なく、エンジン回転速度NEが高くなるに連れて多くなる。これは、エンジン回転速度NEが高いほど単位時間当りに燃焼室に供給される燃料が増え、エンジン本体2で発生する熱量が多くなり、これに伴いエンジン本体2から冷却水に奪われる熱量が多くなるためである。また、このマップにおいて、冷却損失熱量QWは、エンジン負荷LEが小さいときは少なく、エンジン負荷LEが大きくなるに連れて多くなる。ただし、エンジン回転速度NEが高い領域では、エンジン負荷LEが大きくなるに連れて冷却損失熱量QWの増加度合いが緩やかになる。これは、前述したようにエンジン回転速度NEの上昇により単位時間当たりに供給される燃料が増え、その燃料増量に伴う冷却効果により燃焼室の温度が下がり、エンジン本体2から冷却水に奪われる熱量が減少するためである。
上記したエンジン負荷LEに代えてエンジン負荷率を用いることもできる。エンジン負荷率は、最大負荷に対する負荷割合を示すパラメータである。この場合も、図6に準ずるマップを使用することができる。
上記した冷却損失熱量QWは、基本的には、エンジン本体2からの発熱量に左右されることから、エンジン負荷LEとしては、エンジン本体2からの発熱量に関係するパラメータ、例えば、1燃焼サイクル当たりの燃料噴射量、吸気量等を用いることができる。吸気量については、別途実行される燃料噴射制御において、吸気量に応じた量の燃料が噴射されることから、エンジン本体2からの発熱量に間接的に関係するパラメータであると言える。その他、エンジン負荷LEとして、吸気圧センサ26により検出される吸気圧PM、スロットルセンサ25により検出されるスロットル開度TA等を用いることも可能であるが、この場合には、適宜に補正を行うことが望ましい。
次に、ステップ172で、ECU30は、流量制御弁16の弁開度ODV及びエンジン回転速度NEに基づいて合流部42における冷却水流量(合流部流量)V3を算出する。この算出に際して、ECU30は、図7に示すような関数データ(マップ)を参照する。このマップは、流量制御弁16の弁開度ODV及びエンジン回転速度NEに対する合流部流量V3の関係を予め定めたものである。このマップにおいて、弁開度ODVが小さな領域では、弁開度ODVが大きくなるに連れて合流部流量V3は緩やかに少なくなる。弁開度ODVが中から大の領域では、弁開度ODVにかかわらず合流部流量V3は略一定となる。また、合流部流量V3はエンジン回転速度NEが低いときは少なく、エンジン回転速度NEが高くなるに連れて多くなる。ここで、合流部流量V3は、回路通過後の冷却水流量に相当する。上記した弁開度ODVとして、例えば、ECU30が前回の制御周期で流量制御弁16に用いた指令開度ODCを適用するとができる。
次に、ステップ173で、ECU30は、今回得られた各種パラメータ、すなわち、合流部流量V3、合流部水温T3及びエンジン出口水温TOに基づいて受放熱熱量Qetcを算出する。ECU30は、下記の計算式(1)に従って全受放熱回路における受放熱熱量Qetc(各回路31〜35における受放熱熱量の総和)を算出する。下記の計算式(1)の中で、「C」は、温度を流量に変換するための係数であり、例えば、冷却水の比熱と密度との積によって決定される。
Qetc=C・V3・(TO−T3) ・・・(1)
次に、ステップ174で、ECU30は、今回得られた各種パラメータ、すなわち、冷却損失熱量QW、目標エンジン出口水温Tt、ラジエータ出口水温T2及び受放熱熱量Qetcに基づいて要求ラジエータ流量V2を算出する。ECU30は、下記の計算式(2)に従ってこの流量V2を算出する。下記の計算式(2)の中で、「C」は、上記と同じく冷却水の比熱と密度との積等によって決定される係数である。
V2=(QW−Qetc)/{C・(Tt−T2)} ・・・(2)
次に、ステップ175で、ECU30は、算出される要求ラジエータ流量V2及びエンジン回転速度NEに基づいて流量制御弁16に対する指令開度ODCを算出する。この算出に際して、ECU30は、図8に示すような関数データ(マップ)を参照する。このマップは、要求ラジエータ流量V2及びエンジン回転速度NEに対する指令開度ODCの関係を予め定めたものである。このマップにおいて、指令開度ODCは、要求ラジエータ流量V2が少ないときは小さく、要求ラジエータ流量V2が多くなるに連れて大きくなる。また、指令開度ODCは、エンジン回転速度NEが低いときは、要求ラジエータ流量V2がわずかに変化しても大きく変化する。これに対し、指令開度ODCは、エンジン回転速度NEが高くなるときは、要求ラジエータ流量V2が多く変化しなければあまり変化しない。上記のようにして、ECU30は、流量制御弁16の指令開度ODCを算出する。
次に、図3のルーチンに戻り、ステップ180で、ECU30は、流量制御弁16に対する指令開度ODCが「0stp」で、かつ、回転速度センサ27で検出されるエンジン回転速度NEが「5000rpm」以上であるか否かを判断する。すなわち、ECU30は、流量制御弁16がウォータジャケット11及びラジエータ通路12等における冷却水流れを遮断する全閉状態であり、かつ、エンジン回転速度NEが所定の基準回転速度である「5000rpm」を超えているか否かを判断する。この判断結果が否定である場合は、ECU30は、処理をステップ200へ移行する。一方、この判断結果が肯定である場合には、処理をステップ190へ移行し、ECU30は、流量制御弁16に対する指令開度ODCを「30stp」に設定する。
そして、ステップ180又はステップ190から移行してステップ200で、ECU30は、ステップ170で算出される指令開度ODC、又はステップ190で設定される指令開度ODCに基づいて流量制御弁16を駆動制御(フィードバック制御)した後、処理をステップ120へ戻す。ここで、処理がステップ180からステップ200へ移行した場合、ステップ200で流量制御弁16の開度ODVを制御することにより、ラジエータ13を通る冷却水流量が調整され、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttに収束することになる。一方、ステップ190からステップ200へ移行した場合、ECU30は、ウォータジャケット11及びラジエータ通路12等における冷却水流れを若干許容するために流量制御弁16の弁開度ODVを全閉から若干開側に制御する。
一方、ステップ210の判断結果が否定である場合、未だフィードバック制御を許容できないことから、ECU30は、処理をステップ240へ移行する。
ステップ240で、ECU30は、フィードバック(F/B)制御前処理を実行する。すなわち、ECU30は、流量制御弁16の開度ODVを所定値にオープンループ制御する。ここで、フィードバック制御前処理では、冷却水温度(エンジン出口水温TO)がフィードバック制御開始水温よりも低く設定された所定温度に達するまでは、流量制御弁16の弁開度ODVを全閉状態にすることで、エンジン1の暖機を促進する。また、冷却水温度(エンジン出口水温TO)が所定温度に達すると、流量制御弁16の弁開度ODVをフィードバック制御で要求される弁開度に近付けるとともに、ラジエータ出口水温センサ21によりラジエータ出口水温T2を正確に検出できるようにする。
つまり、ECU30は、エンジン1の冷却水温度がフィードバック制御開始水温より低いときは、フィードバック項の更新を禁止し、流量制御弁16の弁開度ODVを所定値にオープンループ制御する。また、ECU30は、この所定値をエンジン1の冷却水温度に基づいて設定することにより、フィードバック制御開始時の流量制御弁16の弁開度ODVをある開弁側の値にする。
次に、ステップ250で、ECU30は、流量制御弁16に対する指令開度ODCが「0stp」で、かつ、回転速度センサ27で検出されるエンジン回転速度NEが「5000rpm」以上であるか否かを判断する。すなわち、ECU30は、流量制御弁16がウォータジャケット11及びラジエータ通路12等における冷却水流れを遮断する全閉状態であり、かつ、エンジン回転速度NEが所定の基準回転速度である「5000rpm」を超えているか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU30は、ステップ120の処理へ戻る。この判断結果が肯定である場合、ECU30は、処理をステップ260へ移行する。
そして、ECU30は、ステップ260で、流量制御弁16に対する指令開度ODCを「30stp」に設定し、ステップ270で、その設定された指令開度ODCに基づいて流量制御弁16を駆動制御する。すなわち、ECU30は、ウォータジャケット11及びラジエータ通路12等における冷却水流れを若干許容するために、流量制御弁16の弁開度ODVを全閉から若干開側に制御するのである。その後、ECU30は、ステップ120の処理へ戻る。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンの冷却装置によれば、エンジン本体2から冷却水へ奪われる冷却損失熱量QWが、エンジン1の運転状態に基づいてECU30により算出される。また、受放熱回路(各回路31〜35)と冷却水との間で受け放される受放熱熱量Qetcが、エンジン出口水温TO、合流部水温T3及び合流部流量V3に基づいてECU30により算出される。また、エンジン出口水温TOを目標エンジン出口水温Ttにするために、ラジエータ13で要求される冷却水の要求ラジエータ流量V2が、上記のようにそれぞれ算出される冷却損失熱量QW及び受放熱熱量Qetc、並びに、目標エンジン出口水温Tt及びラジエータ出口水温T2に基づいてECU30により算出される。そして、その算出される要求ラジエータ流量V2に基づいてECU30により指令開度ODCが算出され、その指令開度ODCに基づいて流量制御弁16が駆動制御される、すなわち、流量制御弁13の弁開度ODVが制御される。これにより、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttに近付けられる。
すなわち、この実施形態の冷却装置10では、エンジン1の冷却水はウォータジャケット11及びラジエータ通路12を循環する間にラジエータ13を通過し、そのラジエータ13を通過する冷却水流量は流量制御弁16により調整される。そして、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttとなるように流量制御弁16が制御されることにより、エンジン1の冷却度合いが制御される。一方、エンジン1の暖機時等には、ウォータジャケット11及びラジエータ通路12の冷却水流れを遮断するように流量制御弁16の弁開度ODVが制御されることにより、ラジエータ13を通過する冷却水流量が減少し、エンジン1から冷却水へ奪われる熱量が低減する。
ここで、流量制御弁16が全閉になることでウォータジャケット11及びラジエータ通路12における冷却水流れが遮断された状態で、エンジン回転速度NEが高くなったのでは、ウォータポンプ14の前後差圧が増大してキャビテーションが発生するおそれがある。
これに対し、この実施形態の冷却装置10では、流量制御弁16が全閉となり冷却水流れを遮断する状態であり、かつ、エンジン回転速度NEが所定の基準回転速度である「5000rpm」を超えたときには、冷却水流れを許容するために流量制御弁16がECU30により制御されるので、ウォータポンプ14の前後差圧の増大が抑えられる。このため、ウォータポンプ14でのキャビテーションの発生を抑えることができ、これによってウォータポンプ14の耐久性を確保することができる。
この他、この実施形態では、上記したようにエンジン1の運転状態に関するパラメータとして、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEが、流量制御弁16の弁開度ODVの制御に反映される。このため、単に冷却水の温度のみに基づいて流量制御弁16の弁開度ODVの制御が行われる場合とは異なり、実際のエンジン出口水温TOを、そのときどきのエンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEに適した目標エンジン出口水温Ttに制御することができる。例えば、エンジン1が高出力となる場合には、エンジン出口水温TOを低くして各気筒の冷却効率を高めることができる。また、エンジン1が低燃費で運転される場合には、エンジン出口水温TOを高くして各気筒内での燃焼効率を向上させることができる。このため、上記した高出力及び低燃費という相反する性能を両立させながらエンジン性能を向上させることができる。
この実施形態では、冷却損失熱量QWを算出するために、エンジン1の運転状態に関するパラメータとして、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEが適用される。このように、エンジン本体2からの発熱を左右するエンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEをパラメータとして計算に適用することで、冷却損失熱量QWを精度よく算出することができる。また、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEの両者に基づいて冷却損失熱量QWを算出するので、エンジン回転速度NE又はエンジン負荷LEを単独で適用した場合に比べて、冷却損失熱量QWの算出精度の向上を図ることができる。
この実施形態では、冷却損失熱量QWがエンジン1の運転状態を示すエンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEに基づいて算出され、その算出される冷却損失熱量QWが要求ラジエータ流量V2の算出に反映される。そして、その算出される要求ラジエータ流量V2に基づいて流量制御弁16の弁開度ODVが制御される。このため、エンジン1の運転状態が変化して冷却損失熱量QWが変化しても、その冷却損失熱量QWの変化に応じて流量制御弁16の弁開度ODVを制御することができ、エンジン出口水温TOを目標エンジン出口水温Ttに応答性よく制御することができる。
ここで、冷却水温度と目標冷却水温度との偏差(水温差)のみに基づいて流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するような場合では、エンジン本体2における冷却損失熱量QWの変化に対応できないことから、本実施形態のような制御に関する良好な応答性を得ることは困難である。このため、この実施形態では、前述したエンジン1の高出力運転時には、エンジン出口水温TOを速やかに低下させることができ、エンジン1の低燃費運転時には、エンジン出口水温TOを速やかに上昇させることができ、高出力及び低燃費の両立を実現する上で発生する制御ロスを低減することができる。
ここで、仮に、エンジン1の運転状態から流量制御弁16の指令開度ODCを直接算出し、その算出される指令開度ODCに基づいて流量制御弁16の弁開度ODVを制御しようとすると、流量特性の異なる流量制御弁を用いた場合には、それら流量制御弁毎に指令開度ODCを改めて算出する必要が生じ、汎用性に欠けることになる。これに対し、この実施形態では、ラジエータ出口水温T2に対する要求ラジエータ流量V2を一旦算出し、その算出される要求ラジエータ流量V2に基づいて流量制御弁16の指令開度ODCを算出するようにしている。このため、流量特性の異なる流量制御弁を用いた場合でも、流量制御弁毎に流量特性に応じた指令開度ODCを改めて算出する必要がなくなる。
ところで、この実施形態では、ラジエータ13を迂回するようにラジエータ通路12に複数の受放熱回路(各回路31〜35)が設けられるので、冷却水が各回路31〜35を通過する過程で、各部と冷却水との間で熱の受け放し(受放熱)が行われる。この受放熱後の冷却水は、合流部42からウォータポンプ14を介してラジエータ通路12を通り、再びエンジン本体2のウォータジャケット11を通過する。各回路31〜35での受放熱熱量Qetcが多い場合は、その受放熱熱量Qetcを考慮しなければエンジン出口水温TOを狙いの目標エンジン出口水温Ttへ収束させることは難しく、冷却水温度にオーバシュートやアンダシュートが起きる懸念がある。ここで、「オーバシュート」は、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttに達した後に、その目標エンジン出口水温Ttを維持することができずに上昇する現象である。また、「アンダシュート」は、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttに達した後に、その目標エンジン出口水温Ttを維持することができずに下降する現象である。
このように冷却水温度にオーバシュートやアンダシュートが多く起きる場合には、エンジン本体2等の各構成部品の耐熱性を考慮して各構成部品の正常動作を保障しようとすると、目標エンジン出口水温Ttを下げる必要がある。その反面、目標エンジン出口水温Ttを単に下げると、エンジン出口水温TOが低くなることから、エンジン1や自動変速機でフリクションが増大してエンジン1の燃費悪化を招くおそれがある。
これに対し、この実施形態では、全受放熱回路(各回路31〜35の全部)における受放熱熱量Qetc が算出され、その算出される受放熱熱量Qetc が要求ラジエータ流量V2の算出に反映される。従って、各回路31〜35における受放熱熱量Qetcが変化しても、目標エンジン出口水温Ttに対するエンジン出口水温TOの収束性が向上する。このため、冷却水温度制御におけるオーバシュートやアンダシュートを少なくすることがき、エンジン本体2等の構成部品に係る耐熱性を考慮して目標エンジン出口水温Ttを下げる必要がなくなる。この結果、目標エンジン出口水温Ttの低下に伴うフリクションの増大、延いては、エンジン1の燃費悪化を抑制することができる。
この実施形態では、合流部水温T3とエンジン出口水温TOとの水温差dTが小さいときは、各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が少なく、その逆に水温差dTが大きいときは、各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が多い。また、合流部流量V3が少ないときは、各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が少なく、合流部流量V3が多いときは、各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が多い。この点つき、この実施形態では、合流部流量V3、合流部水温T3及びエンジン出口水温TOに基づいて各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が算出される。従って、上記のように受放熱熱量Qetc を左右するパラメータとしての合流部流量V3、合流部水温T3及びエンジン出口水温TOが計算に適用されるので、受放熱熱量Qetcを精度よく算出することができる。このため、要求ラジエータ流量V2を精度よく算出することができ、流量制御弁16を精度よく制御することができる。
この実施形態では、流量制御弁16の制御量である弁開度ODV及びエンジン回転速度NEに基づいて合流部流量V3が算出されるので、ラジエータ通路12などの冷却水循環経路における冷却水流量に応じて受放熱熱量Qetcがより正確に算出される。この結果、要求ラジエータ流量V2をより一層正確に算出することができ、流量制御弁16の指令開度ODCをより一層正確に算出することができ、流量制御弁16をより一層正確に制御することができる。これにより、エンジン出口水温TOを目標エンジン出口水温Ttへより一層好適に収束させることができ、エンジン1の冷却水温度の制御性をより一層向上させることができる。
尚、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
(1)前記実施形態では、受放熱回路として複数の回路、すなわち、スロットルボディ温水回路31、EGRクーラ回路32、ホットエアインテーク回路33、ヒータ回路34及びオイルクーラ回路35を設けた。これに対し、これら全ての回路31〜35を受放熱回路としなくてもよく、各回路31〜35の少なくとも一つを受放熱回路として設けることもできる。この場合も、基本的には、前記実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
(2)前記実施形態では、複数の受放熱回路(各回路31〜35の全部)を備えた冷却装置において、それら受放熱回路における受放熱熱量Qetc を算出し、その受放熱熱量Qetcを要求ラジエータ流量V2の算出に反映させるようにした。これに対し、受放熱回路を持たない冷却装置において、受放熱熱量Qetcを算出することなく、要求ラジエータ流量V2を算出する冷却装置に具体化することもできる。
エンジンシステムを示す概略構成図。 流量制御弁の流量特性を示すグラフ。 冷却水温度制御の内容を示すフローチャート。 冷却水温度制御の内容の一部を詳しく示すフローチャート。 冷却水温度制御の内容の一部を詳しく示すフローチャート。 エンジン回転速度とエンジン負荷に対する冷却損失熱量の関係を示すマップ。 弁開度とエンジン回転速度に対する合流部流量の関係を示すマップ。 要求ラジエータ流量とエンジン回転速度に対する指令開度の関係を示すマップ。
符号の説明
1…エンジン
10…冷却装置
11…ウォータジャケット(冷却水循環経路)
12…ラジエータ通路(冷却水循環経路)
13…ラジエータ
14…ウォータポンプ
16…流量制御弁(流量調整手段)
30…ECU(暖機時制御手段)

Claims (1)

  1. エンジンの冷却水が循環する冷却水循環経路と、前記冷却水循環経路に設けられるラジエータと、前記冷却水循環経路にて冷却水を圧送するウォータポンプと、前記ラジエータを通過する冷却水流量を調整するための流量調整手段とを備え、前記エンジンの暖機時に前記冷却水循環経路の冷却水流れを遮断するように前記流量調整手段を制御するようにしたエンジンの冷却装置であって、
    前記流量調整手段が前記冷却水流れを遮断する状態であり、かつ、前記エンジンの回転速度が所定の基準回転速度を超えたときに、前記冷却水流れを許容するために前記流量調整手段を制御する暖機時制御手段を備えたことを特徴とするエンジンの冷却装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010019087A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Toyota Motor Corp 冷却水循環装置
JP2016125431A (ja) * 2015-01-06 2016-07-11 新潟原動機株式会社 内燃機関の給気温度制御装置
JP2018168755A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 株式会社Subaru 冷却装置
CN112177752A (zh) * 2020-08-21 2021-01-05 东风汽车集团有限公司 一种发动机热管理模块的控制方法和控制***

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