JP2006100463A - プリント配線板用層間絶縁層、プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

プリント配線板用層間絶縁層、プリント配線板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性、電気絶縁性、放熱性、接続信頼性および化学的安定性を低下させることなく、耐ヒートサイクル性および実装信頼性に優れたプリント配線板を極めて容易にしかも低コストで大量生産すること。
【手段】 硬化樹脂中に鱗片状粒子を分散させてなる層間絶縁層を基板上に形成し、光学的な転写方法や煩雑なエッチング処理を用いることなく、配線パターンやバイアホールに対応する凹凸を有するモールドを用いたインプリント法によって、配線パターンやバイアホールを層間絶縁層に容易かつ正確に転写できるプリント配線板の製造方法を提案する。
【選択図】 図11

Description

本発明は、プリント配線板用の層間絶縁材料を硬化してなる層間絶縁層、その層間絶縁層を有するプリント配線板、およびそのプリント配線板の製造方法に関する。
近年、プリント基板やLSIを実装する配線板は、電子工業の進歩に伴う電子機器の小型化あるいは信号伝送速度の高速化に応じて、ファインパターンによる高密度化および高い信頼性のものが求められている。
そのため、最近では、配線板に導体回路を形成する方法として、層間絶縁材料を基板表面に塗布して層間絶縁層を形成し、この層間絶縁層の表面を粗化した後、アディティブ法、あるいはセミアディティブ法で回路形成することが行われている。
このアディティブ法やセミアディティブ法で用いられる層間絶縁材料としては、熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂混合物に無機粒子等の球状粒子が添加された樹脂が広く用いられている(特許文献1を参照)。
このような無機粒子を添加する理由は、層間絶縁材料の熱膨張係数を小さくして、層間絶縁層や、ICとプリント配線板との間のバンプにクラックが入りにくくするためである。
これに対して、最近、プリント配線板に搭載するICチップは、その駆動周波数の高速化のため、ICの絶縁層に敢えて空気を含有させることが行われている。このような空気を含有したICの絶縁層は脆いため、層間絶縁層のさらなる低熱膨張率化が求められているが、それを達成するには、層間絶縁層をなす樹脂に対する球状の無機粒子の含有量を増やす必要がある。
しかしながら、球状粒子を増やしていくと熱膨張係数は下がるが、柔軟性が損なわれるため、層間絶縁層にクラックが生じるという問題や、粒子の含有量が多すぎると、バイアホール中に粒子が残ってしまい接続信頼性が低下するという問題がある。このようなバイアホールの接続信頼性に関する問題は、とくに開口径が70μm以下のバイアホールにおいて顕著となる。
また、上記層間絶縁層中の粒子は、その大きさが、5〜10μm程度であるため、層間絶縁材料を硬化してなる層間絶縁層表面に形成される凹凸も5〜10μm程度となってしまう。そのため、L/S=15μm/15μm以下のファインパターンを形成することが困難であると共に、層間絶縁層表面の凹凸の存在により、層間絶縁層の厚みを均一にすることが困難であるため、3GHz以上の高速信号を伝達する際のインピーダンス制御も困難であるという問題もある。
上述したアディティブ法あるいは、セミアディティブ法での回路形成において、一般に、微細加工が要求されるパターンの形成には、パターンを光学的に転写する方法が用いられている。例えば、感光性レジスト上に光マスクを直接的もしくは間接的に載せ、光マスクの背後から光を照射して光の透過部分のレジストを選択的に感光させることにより、光マスクのパターンを感光性レジストに転写する方法などがある。
従来のこのようなパターン形成方法は、光の回折性の影響により、光マスクパターンと1:1のパターン形成をすることができないという問題や、スプレイ現像時の圧力でレジストが飛んでしまうため、微細化には限界があるという問題などがある。
これに対し、S.Y.Chou等は、インプリント法と呼ばれる非常に簡易であるが大量生産に適し、上記従来方法よりも微細なパターンを転写しうる技術を提案している(特許文献2、非特許文献1を参照)。
上記S.Y.Chou等の提案しているインプリント法について、図19を用いて説明する。
(1) まず、表面にシリコン酸化膜204を形成してなるシリコン基板202を用意し、そのシリコン膜204の部分に、転写すべきパターンの鏡像に対応する反転パターンを形成する。シリコン酸化膜204へのパターンニングには、例えば、通常の電子ビーム転写法の技術などを用いることができる。こうして、表面に転写すべきパターンの鏡像に対応する凹凸203を設けてなるモールド200を形成する(図19(a))。
(2) 次に、パターン形成しようとするシリコン基板210上に、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの絶縁材料を塗布し、硬化させることによって、該シリコン基板210上に絶縁層212を形成する。さらに、絶縁層212を形成したシリコン基板210を約200℃程度に加熱し、絶縁層212を軟化させる。
(3) 上記シリコン基板210の絶縁層212の表面(塗布面側)に、上記(1)で形成したモールド200の凹凸203形成面側が対向するように重ね合わせた後、前記モールド200をシリコン基板210面に140気圧程度の圧力で押し付ける(図19(b))。
(4) 次いで、シリコン基板210にモールド200を圧着した状態で温度を約105℃程度まで降温して絶縁層212を硬化させ、その後、モールド200を取り除く。これにより、シリコン基板210上の絶縁層212には、モールド200の凹凸203パターンに対応する鏡像パターン、すなわちシリコン基板上に形成しようとするパターン214が形成される(図19(c))。
特許公開2003−73649号公報 米国特許第5,772,905号明細書 Applied Physics Letters, Vol. 67, No. 21, P3114-3116 (1995)
配線の微細化に当たっては、上述したようなインプリント法という新規な工法が提案されているが、このインプリント法を多層プリント配線板のパターン形成プロセスに適用する場合には、以下のような問題があった。
その第1は、多層プリント配線板を形成する層間絶縁層の材料として、上記インプリント法で用いられているPMMAなどの熱可塑性樹脂を用いて多層化しようとすると、多層化時のパターン形成工程において、下層の層間絶縁材料も同時に軟化してしまい、パターンの位置、形状および層間絶縁層の厚みを保持できず、多層化ができないという問題である。
例えば、第1層目の層間絶縁層にパターン形成する工程では、配線パターンやバイアホールを何らの問題もなく形成することができるが、第2層目の層間絶縁層を形成し、その第2層目の層間絶縁層に配線パターンを形成するには、その第2層目の層間絶縁層を軟化する工程が必要である。しかしながら、その第2層目の層間絶縁層のみを加熱することは困難であり、同時に第1層目の層間絶縁層もこの第2層目の層間絶縁層と同じ温度にまで温められてしまう。そうすると、第1層目の層間絶縁層も軟化することになる。
その結果として、第1層目の層間絶縁層は、第2層目の層間絶縁層の配線パターン形成時に加えられる圧力によって流動することになり、同時に、第1層目の層間絶縁層内に形成された配線パターンも動き、上層とのアライメントがずれたり、隣り合うパターン間でショートしたり、さらには圧力によって層間絶縁層が押し潰されて、層間の絶縁信頼性が低化するという問題があった。
第2の課題としては、層間絶縁層にモールドによって転写された配線パターン形成用の溝およびバイアホール形成用の溝の形状を、モールドを取り除いた後も保持することが難しいということが挙げられる。
それは、モールド除去後の工程に、層間絶縁層が軟化するような熱処理工程が存在するからである。とくに、このような熱処理工程で層間絶縁層が軟化すると、層間絶縁層に転写された溝形状が台形化し、配線パターン形成用溝およびバイアホール形成用溝に充填される導体回路間の間隔が狭くなり、絶縁信頼性の観点から配線パターンの微細化が困難になる。
第3の課題としては、上述したインプリント法では、熱可塑性樹脂からなる層間絶縁層と配線パターンとの間の良好な密着性を確保する工夫がなされていないということである。そのため、上記インプリント法をそのまま多層プリント配線板の作製に適用した場合、信頼性の高い多層プリント配線板を製造することができない。
例えば、モールドによって転写形成された配線パターン形成用の溝およびバイアホール形成用の溝の側壁及び底壁が平坦である場合、それらの溝内に充填される導体回路と層間絶縁層との密着力が十分でないという問題がある。さらに、配線パターンが微細になればなるほど、導体回路(銅など)と樹脂間の熱膨張係数の不整合に起因する導体回路の剥離が生じたり、導体回路と樹脂の界面からクラックが生じることがあり、信頼性に優れた多層プリント配線板を製造することができないという問題もある。
第4の課題としては、上記インプリント法をそのまま多層プリント配線板のパターン形成プロセスに適用した場合、層間絶縁層を軟化させるために、200℃程度まで加熱する工程が必要であり、モールドをこのような高い温度と常温との間で繰り返し使用すると、モールドの形状が復元しないという問題がある。
また、モールドを高温で使用するために発生する別の問題としては、モールドの寸法精度を出すのが極めて難しいということが挙げられる。すなわち、モールドの形状を層間絶縁層に転写するのは、200℃以上の高温領域であるが、モールドは常温で作製されるので、そのモールド形状を形成する際には、高温領域での熱膨張を考慮する必要があった。このようなモールドの作製工程における形状補正には、難易度の非常に高い工程が不可欠であり、更に、そのようにして作製されたモールドは、繰り返して何度も使うことができないため、非常に高価なものとなるという問題があった。
本発明は、従来技術が抱える上記問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、耐熱性、電気絶縁性、放熱性、接続信頼性および化学的安定性を低下させることなく、耐ヒートサイクル性および実装信頼性を改善することができるプリント配線板用層間絶縁層を提供することにある。
本発明の他の目的は、インピーダンス制御が容易で、電気的接続性が長期的に安定したプリント配線板を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、導体回路やバイアホール等の配線パターンと鏡像関係にあるような形状のモールドを用いたインプリント法によって、層間絶縁層内にバイアホールを含んだ微細な配線パターンを容易にかつ正確に転写形成でき、かつ層間絶縁層内に埋設形成された配線パターン間の絶縁性および層間接続性に優れた多層プリント配線板と、その多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
発明者は、上記目的の実現に向け鋭意研究を重ねた結果、以下の内容を要旨構成とする発明を完成させた。すなわち、本発明は、
(1) 基体上に形成され、硬化樹脂中に、鱗片状粒子を分散させてなることを特徴とするプリント配線板用層間絶縁層である。
本発明において、前記鱗片状粒子とは、粒子表面の長手方向の平均長さA(以下、単に「平均長さ」という)に対して厚さが極めて薄い粒子のことを指しており、平均長さAが0.01〜3μmの範囲、平均幅Bが0.01〜3μmの範囲、および厚みDが0.001〜1μmの範囲の粒子が用いられる。
また、前記鱗片状粒子は、その平均長さと平均幅の比(A/B)が1〜20の範囲内のものを用いることができる。
また、前記鱗片状粒子は、そのアスペクト比(平均長さA/厚みD)が20〜2000の範囲内のものを用いることができる。
また、前記鱗片状粒子の含有量は、樹脂を含んだ全体に対して1〜50wt%の範囲とすることができる。
また、前記鱗片状粒子は、層状珪酸塩の積層体からなり、広角X線回折測定法または透過型電子顕微鏡観察により求めた平均層間距離が3nm以上であり、かつ、前記積層体の一部または全部が5層以下であるような構成とすることができる。
本発明にかかる層間樹縁層をなす樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を用いることができる。
前記熱硬化性樹脂は、少なくともエポキシ基含有化合物と硬化剤とからなり、そのエポキシ基含有化合物は、共役ジエン構造を有するもの、前記硬化剤は、フェノール骨格を有するものとすることができる。
また、本発明は、
(2) 基板上に導体回路と層間絶縁層が交互に積層され、各層の導体回路はスルーホールおよび/またはバイアホールを介して互いに電気的に接続されてなるプリント配線板であって、
前記層間絶縁層は、前記(1)に記載されたような、硬化樹脂中に鱗片状粒子を分散させてなるものであることを特徴とするプリント配線板である。
また、本発明は、
(3) 基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールとが、これらと鏡像関係にある凸部を有するモールドを用いてインプリント法で形成されてなるプリント配線板において、
前記層間絶縁層は、前記(1)に記載されたような、硬化樹脂中に鱗片状粒子を分散させてなるものであることを特徴とするプリント配線板である。
また、本発明は、
(4) コア基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールとが、これらと鏡像関係にある凸部を有するモールドを用いてインプリント法で形成されてなる多層プリント配線板において、
前記層間絶縁層が、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂によって形成されていることを特徴とする多層プリント配線板である。
前記層間絶縁層としては、前記樹脂中に鱗片状粒子を混合させたものを用いることができる。
さらに、本発明は、
(5) 絶縁基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールを有する多層プリント配線板の製造に当たり、その製造工程の中に少なくとも下記(a)〜(e)の工程、すなわち、
(a)熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂からなる液状タイプあるいはドライフィルムタイプの層間絶縁材料を、前記絶縁基板上に塗布し、あるいは貼付して未硬化層間絶縁層を形成する工程、
(b)前記未硬化層間絶縁層を軟化させ、次いで、前記導体回路およびバイアホールと鏡像関係にある凸部を有するモールドを前記軟化された層間絶縁層に圧入することにより、該層間絶縁層に導体回路形成用凹部およびバイアホール形成用凹部あるいは貫通孔を形成する工程、
(c)前記軟化された層間絶縁層に形成された前記凹部および/または貫通孔の形状を保持できる程度に、該層間絶縁層の温度を降下あるいは上昇させ、その後、前記モールドを層間絶縁層から取り外す工程、
(d)前記モールドを取り外した層間絶縁層を加熱処理または紫外線照射した後、さらに加熱処理することによって硬化させ、硬化層間絶縁層とする工程、
(e)前記硬化層間絶縁層に形成された凹部および/または貫通孔内に導電材料を充填することによって、導体回路およびバイアホールを形成する工程、
を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である。
本発明において、前記層間絶縁材料としては、前記樹脂に鱗片状粒子を混合させてなるものを用いることができる
前記(5)に記載の製造方法において、工程(d)と工程(e)との間に、前記硬化層間絶縁層の表面を粗化液によって粗化して、硬化層間絶縁層表面に粗化層を形成する工程、
を介在させることができる。
さらに、本発明は、
(6) 絶縁基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールを有する多層プリント配線板の製造に当たり、その製造工程の中に少なくとも下記(a)〜(f)の工程、すなわち、
(a)粗化液に可溶性である樹脂粒子、エラストマー粒子、無機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子を、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂からなる樹脂マトリックス中に分散させてなる、液状タイプあるいはドライフィルムタイプの層間絶縁材料を、前記絶縁基板上に塗布し、あるいは貼付して未硬化層間絶縁層を形成する工程、
(b)前記未硬化層間絶縁層を軟化させ、次いで、前記導体回路およびバイアホールと鏡像関係にある凸部を有するモールドを前記軟化された層間絶縁層に対して圧入することにより、該層間絶縁層の表面に導体回路形成用凹部およびバイアホール形成用凹部あるいは貫通孔を形成する工程、
(c)前記軟化された層間絶縁層に形成された前記凹部および/または貫通孔の形状を保持できる程度に、該軟化された層間絶縁層の温度を降下あるいは上昇させ、その後、前記モールドを層間絶縁層から取り外す工程、
(d)前記モールドを取り外した層間絶縁層を加熱処理または紫外線照射した後、
さらに加熱処理することによって硬化させ、硬化層間絶縁層とする工程、
(e)前記硬化層間絶縁層の表面を粗化液によって粗化して、該硬化層間絶縁層表面に粗化層を形成する工程、
(f)前記硬化層間絶縁層に形成された前記凹部および/または貫通孔内に導電材料を充填することによって、導体回路およびバイアホールを形成する工程、
を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である。
さらに、本発明は、
(7) 絶縁基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールを有する多層プリント配線板の製造に当たり、その製造工程の中に少なくとも下記(a)〜(e)の工程、すなわち、
(a)熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1の樹脂からなる液状タイプあるいはドライフィルムタイプの層間絶縁材料を、前記絶縁基板上に塗布し、あるいは貼付して未硬化層間樹縁層を形成する工程、
(b)前記未硬化層間絶縁層を軟化させ、次いで、前記導体回路およびバイアホールと鏡像関係にある凸部を有し、かつ少なくともその凸部の表面に微細な凹凸を有するモールドを、前記軟化された層間絶縁層に対して圧入することにより、該層間絶縁層の表面に、アンカーが形成されてなる導体回路形成用凹部およびバイアホール形成用凹部または貫通孔を形成する工程、
(c) 前記軟化された層間絶縁層に形成された凹部および/または貫通孔の形状を保持できる程度に、前記層間絶縁層の温度を降下あるいは上昇させ、その後、前記モールドを層間絶縁層から取り外す工程、
(d)前記モールドを取り外した層間絶縁層を加熱処理または紫外線照射した後、さらに加熱処理することによって硬化させ、硬化層間絶縁層とする工程、
(e)前記硬化層間絶縁層に形成された前記凹部および/または貫通孔内に導電材料を充填することによって、導体回路およびバイアホールを形成する工程、
を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である。
本発明のプリント配線板用層間絶縁層によれば、硬化樹脂中に分散された粒子の形状が鱗片状であるため、球状粒子とは異なり、基板表面に対してあらゆる角度を有して分散している。そのため、絶縁層が膨張または収縮する際に、鱗片状粒子も同時に移動しようとするが、基板表面に対して異なる角度で分散されている粒子同士が衝突することにより、粒子間および粒子と樹脂との間に摩擦力が生じるので、絶縁層の膨張または収縮が抑制されるという効果(以下、「立体拘束効果」という)がある。
また、粒子形状が鱗片状であるために、粒子の表面積が球状粒子に比して大きく、粒子と樹脂との間の分子間力が相対的に大きいので、粒子と樹脂間の相互の結合力も相対的に大きくなる。したがって、鱗片状粒子は樹脂に比して、膨張または収縮の度合いが小さいため、樹脂の膨張または収縮が抑制されるという効果(以下、「抑制効果」という)がある。
本発明のプリント配線板用層間絶縁層は、熱膨張係数が相対的に大きな樹脂に熱膨張係数が相対的に小さな鱗片状粒子が分散されていることに加えて、鱗片状粒子を配合したことによる立体拘束効果と抑制効果とが相乗されることとなるので、粒子の混合量が球状粒子に比べて相対的に少なくても、熱膨張係数を相対的に小さくすることができる。したがって、このような層間絶縁層を有するプリント配線板や半導体装置搭載基板の耐ヒートサイクル性を向上させることができる。
特に、前記相乗効果は、樹脂がガラス転移温度(以下、単に「Tg」という)を越えた温度領域での熱膨張係数αに表れる。熱膨張係数は、Tgを越えると、Tg以下の熱膨張係数αに対して、通常3倍程度となるが、立体拘束効果と抑制効果の影響で、αを小さくすることができる。例えば、Pbフリー半田(例えば、Sn、Ag、Cu、Bi、In、Znから選ばれる1種または2種以上からなり融点が205℃を超え、300℃以下の半田)を介して電子部品を実装する場合、実装温度がTgを大きく越えるので、本発明の層間絶縁層を用いると実装信頼性が著しく向上する。
本発明にかかるプリント配線板は、主として熱硬化性樹脂からなる層間絶縁層に対し、導体回路(配線パターン)やバイアホールに対応する凸部を設けてなるモールドを用いるインプリント法によって、熱硬化性樹脂を主体とする層間絶縁層に、導体回路を形成するための凹部や、バイアホールを形成するための凹部あるいは貫通孔を容易にしかも正確に転写し、その転写された凹部および/または貫通孔にめっき等によって導体回路を埋設するようにしたので、配線パターン間の絶縁性や層間接続性に優れた微細な配線パターンを有する導体回路やバイアホールを形成することができる。また、導体回路が基板に埋設された形態であるため、平坦性に優れており、インピーダンス整合を容易に達成できる。
また、本発明の多層プリント配線板の製造方法によれば、導体回路やバイアホールを光学的な転写方法や煩雑なエッチング処理に頼ることなく、単にインプリント法で用いるモールドを、熱硬化性樹脂を主体とする軟化状態の樹脂層に圧入して形成することで、導体回路に対応する凹部やバイアホールに対応する凹部あるいは貫通孔を容易にしかも正確に形成することができる。しかも、凹部や貫通孔形成後は、加熱処理または紫外線照射と加熱処理の併用によって樹脂を完全に硬化させた後、めっき等によって埋設するだけであるから、導体回路やバイアホールの形状を正確に転写でき、配線パターンの微細化が実現できると共に、絶縁信頼性や層間接続性に優れた多層プリント配線板を、極めて容易にしかも低コストで製造することができる。
本発明にかかるプリント配線板用層間絶縁層は、基体上に形成された硬化樹脂中に鱗片状粒子を分散させたことに特徴がある。
本発明において、硬化樹脂中に分散されている鱗片状粒子とは、粒子表面の平均長さAに対して厚さが極めて薄い粒子のことを指しており、平均長さAが0.01〜3μmの範囲、平均幅Bが0.01〜3μmの範囲、および厚みDが0.001〜1μmの範囲の粒子が用いられる。
本発明の層間絶縁層は、鱗片状粒子が硬化樹脂中に分散されているので、樹脂の膨張または収縮を抑制する立体拘束効果と抑制効果を有している。したがって、樹脂中に分散する鱗片状粒子の含有量を少なくしても、球状粒子を分散している従来のプリント配線板用層間絶縁層と同等以上の特性(熱膨張係数、靭性、耐熱性、平滑性等、耐ヒートサイクル性)を付与することができる。その結果、バイアホールを形成しやすくなるので、層間絶縁層に開口径が70μm以下のバイアホールを形成した場合でも、そのバイアホールを介した電気特性や接続信頼性を向上させることができる。
本発明に用いる鱗片状粒子は、粒子の表面積が大きいので、レーザ照射によりバイアホール形成用開口を設ける際には、レーザエネルギーを吸収しやすい。そして厚みが薄いため、昇華しやすい。したがって、バイアホール内に粒子が残存しにくくなり、開口径が70μm以下、特に、開口径が60μm以下のバイアホールにおいて接続信頼性が著しく向上する。
また、本発明において、硬化樹脂中に分散されてなる粒子は、鱗片状であるため、樹脂中に分散した粒子同士は、球状粒子に比べて、接触状態が極めて密となる。そのため、硬化樹脂中の粒子同士を介して熱が伝わるので、電源層やグランド層で発生した熱や、ICで発生した熱は、外部に効果的に放熱される。
したがって、電源層やグランド層の電気抵抗が減少することになり、ICのトランジスタへの電源供給が瞬時に行なわれるので、駆動周波数が3GHz以上のICをプリント配線板に搭載しても誤動作が発生しにくいのである。
また、前記硬化樹脂中に分散されてなる粒子は、鱗片状であるため、機械的または熱的衝撃に対する耐衝撃性に優れている。硬化樹脂にクラックが発生して、粒子に到達した場合、さらにクラックが進行するには、クラックが粒子の表面を伝わる必要があるが、粒子が鱗片状である場合、粒子表面の距離が長くなり、クラックの進行を防止する効果がある。
本発明の層間絶縁層は、硬化樹脂中に含有される鱗片状粒子の存在により、立体拘束効果と抑制効果の相乗効果を有するので、層間絶縁層が変形しにくい。そのため、プリント配線板のコア基板とICチップとの間の熱膨張率差に起因する応力が、ICチップの脆い絶縁層に応力が伝達しない。それ故、実装時およびまたは使用時にICチップの絶縁層が破壊することがなく、信頼性が高い半導体搭載用のプリント配線板を提供することができる。
本発明の層間絶縁層において、鱗片状粒子の平均長さAあるいは平均幅Bは、0.01〜3μmの範囲であり、平均長さAと平均幅Bの比(A/B)は、1〜20の範囲であることが好ましい。その理由は、平均長さAあるいは平均幅Bが0.01μm未満であると、粒子の長さが小さすぎるため、立体拘束効果と抑制効果が小さくなるためであり、一方、平均長さAあるいは平均幅Bが3μmを超えると、粒子の長さが大きすぎるため、割れやすくなり、立体拘束効果と抑制効果が小さくなるからである。また、粒子の平均長さAと平均幅Bの比(A/B)が20を超える、即ち、平均長さAが平均幅Bの20倍を超えると、粒子が割れやすくなるためである。
このように、粒子が割れると、その割れた部分はクラックの起点となり、また、粒子の平均長さAが大きすぎると層状に粒子が配向しやすいので、立体拘束効果が小さくなる。前記範囲内であれば、立体拘束効果と抑制効果が効果的に発揮されるのである。
本発明の層間絶縁層において、鱗片状粒子の厚みDは、0.001〜1μmの範囲であることが好ましい。その理由は、粒子の厚みが、0.001μm未満であると、薄すぎて割れやすくなるので、立体拘束効果が小さくなる。また、粒子の強度が弱くなるので、硬化樹脂の膨張または収縮に合わせて粒子も膨張または収縮してしまうため、抑制効果も小さくなる。このため、収縮量、膨張量、α、αのいずれか1以上が大きくなる。収縮量、膨張量、α、αのいずれか1以上が大きくなると、層間絶縁層自体にクラックが入ったり、ICチップ等の電子部品と層間絶縁層との間で収縮量差または膨張量差が大きくなるため、電子部品またはプリント配線板のいずれかに断線が発生するからである。また、粒子が薄すぎるので、外力を受けると割れやすくなり、粒子の割れた部分を起点として層間絶縁層にクラックが入りやすくなるからである。
一方、粒子の厚みが、1μmを越えると、個々の粒子の重さが重くなるため同一含有量のときは相対量が減るので、結果として粒子の数が減ることになる。従って、粒子を混合することによる低熱膨張率化の効果が小さくなると共に、立体拘束効果と抑制効果も共に弱くなる。このため、収縮量、膨張量、α、αのいずれか1つ以上が大きくなり、層間絶縁層自体にクラックが入ったり、ICチップ等の電子部品と層間絶縁層との間で収縮量差または膨張量差が大きくなるため、電子部品またはプリント配線板のいずれかに断線が発生するからである。また、粒子が沈降し、層間絶縁層の物性が不均一となる。このため、層間絶縁層にクラックが発生したり、バイアホールの底部に粒子が残存しやすいので、接続信頼性が低下してしまうからである。
したがって、上記範囲内であれば、立体拘束効果と抑制効果が効果的に発揮されるため、層間絶縁材料を硬化してなる層間絶縁層の収縮量または膨張量を小さく抑える(αおよび/またはαが小さくなる)ことができ、その結果、層間絶縁層や、その層間絶縁層を有するプリント配線板または半導体搭載基板の耐ヒートサイクル性および実装信頼性が向上する。特に、開口径が60μm以下のバイアホールを介した接続信頼性も改善される。
さらに、本発明の層間絶縁材料において、鱗片状粒子のアスペクト比(A/D)は、20〜2000の範囲内であることが好ましい。その理由は、この範囲内であると、立体拘束効果と抑制効果が効果的に発揮されるからである。また、クラックが発生した場合、そのクラックは粒子に到達し、その粒子表面に沿って進行するが、アスペクト比が前記範囲内であると、粒子表面に沿って進行する距離が長くなるので、耐衝撃性が向上する。アスペクト比が20未満であると、立体拘束効果と抑制効果が共に小さくなり、収縮量、膨張量、α、αのいずれか1以上が大きくなる。耐衝撃性については、クラックが発生すると、クラックが粒子表面を伝わる距離が短くなるので、クラックの進行を防止する効果がなくなる。
一方、アスペクト比が2000を越えると、層状に粒子が配向しやすいので、立体拘束効果が小さくなる。また、表面積が大きくなりすぎて、粒子と樹脂との間の分子間力が大きくなりすぎるため、粒子を樹脂中に均一に分散できなくなる。その結果、層間絶縁材料の物性が不均一となり、弱いところでクラックが発生したり、収縮または膨張が大きい部分からICチップの絶縁層に応力が伝達され、ICチップが破壊したりする。また、粒子が偏在した部分にバイアホールが形成されると、接続信頼性が低下したり、開口径が60μm以下のバイアホールを形成できなくなる。さらに、鱗片状粒子が層状に並ぶことになり、クラックが発生した場合、粒子の短手方向に伝わって進行するので、耐衝撃性が低下する。
前記鱗片状粒子のアスペクト比は、100〜2000の範囲であることがより好ましい。この範囲内であると、電源層やグランド層で発生した熱や、ICで発生した熱を外部に効率的に放熱できるからである。アスペクト比が100未満では、長い粒子が少なくなるので、粒子同士が接触する確率が小さくなり、粒子を介して熱を外部に伝える効果が小さくなる。
一方、アスペクト比が2000を超えると、鱗片状粒子が層状に並ぶので、粒子同士が接触する確率が小さくなり、粒子を介して熱を外部に放熱する効果が小さくなる。駆動周波数が1GHzや3GHzで駆動するIC〔Front Side Bus(クロックのことで、以下、「FSB」という):100〜800MHz〕をプリント配線板に搭載して、同時スイッチングを繰り返しても上記範囲内のものでは、誤動作が起きないが、範囲外のものでは、例えば、1GHzのIC(FSB:100〜133MHz)では問題ないが、例えば、3GHzのIC(FSB:400〜800MHz)を搭載すると誤動作が発生する場合がある。シミュレーション結果によれば、上記範囲内であれば、FSBが10GHz程度の周波数を有するICを搭載しても誤動作は発生しない。
前記鱗片状粒子のアスペクト比は、100〜500の範囲であることがさらに好ましい。この範囲内であると、レーザ照射によりバイアホール形成する際に、バイアホール内部に粒子が残存することなく形成できるからである。アスペクト比が100未満になると、鱗片状粒子の短手面がレーザ光に対して向きやすくなるので、レーザエネルギーを吸収しにくくなる。一方、アスペクト比が500を超えると、バイアホール内壁にレーザ光により昇華した鱗片状粒子の痕跡が空洞部として残るため、クラックの発生原因となってしまうからである。また、このバイアホール内壁に形成される空洞部は、一般的に薄くて細長い形状であるため、めっき液が回り込み難いが、その空洞部にめっきが入り込んだ場合にも、クラック発生の原因となったり、隣接するバイアホール間の絶縁信頼性が低下する。さらには、レーザエネルギーが粒子間に伝達され、その熱により樹脂が昇華するので微小径のバイアホールを形成できない。
本発明の層間絶縁層において、鱗片状粒子の含有量は、1〜50wt%の範囲であることが好ましい。この範囲内であると、立体拘束効果と抑制効果が効果的に発揮されるからである。すなわち、鱗片状粒子の含有量が1wt%未満であると、粒子量が少なすぎるために、立体拘束効果と抑制効果が共に弱くなり、耐ヒートサイクル性および低熱膨張率化の効果が期待できない。一方、鱗片状粒子の含有量が50wt%を超えると、粒子を樹脂中に均一に分散できなくなったり、樹脂が脆くなったりする。また、開口径が60μm以下の微小なバイアホールを形成できなくなる。その結果、耐ヒートサイクル性や接続信頼性が低下するからである。
本発明における鱗片状粒子としては、鱗片状の絶縁体であれば、特に限定されることはないが、例えば、アルミナ、ジルコニアあるいはガラス等の鱗片状無機粒子の他に、層状珪酸塩等の積層体を用いることができる。
前記層状珪酸塩としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が用いられる。なかでも、モンモリロナイト、膨潤性マイカまたはヘクトライトが好適に用いられる。
前記層状珪酸塩は、天然物であってもよいし、合成物であってもよい。また、これらの鱗片状無機粒子は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記層状珪酸塩の積層体は、広角X線回折測定法または透過型電子顕微鏡観察により求めた(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、積層体の一部または全部が5層以下であることが好ましく、前記平均層間距離が3〜5nmの範囲内であり、かつ、一部または全部が5層以下に分散しているような積層体であることがより好ましい。
なお、本明細書において、層状珪酸塩の積層体の平均層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピークによる算出または透過型電子顕微鏡撮影より求めることができる。
前記「層状珪酸塩の積層体の平均層間距離が3nm以上である」ということは、「層状珪酸塩の積層体の層間が3nm以上に開裂していること」を意味しており、また、「層状珪酸塩の積層体の一部または全部が5層以下に分散している」ということは、「層状珪酸塩の積層体の一部または全部が5層以下の積層体となって樹脂中に分散している」ということを意味する。
前記層状珪酸塩の積層体の平均層間距離が3〜5nmの範囲内であると、層間絶縁層に応力が加わった時、層状になっている粒子が単層になりにくく、層間絶縁層の耐衝撃性が向上する。平均層間距離が3nm未満では、層間の相互作用が強すぎて、層状珪酸塩を5層以下で樹脂内に均一に分散できないためである。一方、平均層間距離が5nmを超えると、応力により層状珪酸塩の積層体が層毎に分離するため、その際に層間絶縁層にクラックが入ってしまうからである。
前記層状珪酸塩の積層体の一部または全部が5層以下に分散しているということは、具体的には、層状珪酸塩の積層体の10%以上が5層以下に分散している状態にあることが好ましいことを意味し、より好ましくは、層状珪酸塩の積層体の20%以上が5層以下に分散している状態である。
なお、層状珪酸塩の分散状態は、透過型電子顕微鏡を用いて5万〜10万倍で観察して、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層集合体の全層数(X)のうち5層以下で分散している積層集合体の層数(Y)を計測し、下記式(1)により算出することができる。
5層以下に分散している層状珪酸塩の割合A(%)
=(Y/X)×100 (1)
前記層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層していることが好ましく、そのことにより、上記効果を得ることができる。より好ましくは3層以下に分層していることであり、特に好ましくは単層状に薄片化していることである。
本発明の層間絶縁層において、層状珪酸塩の積層体の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、積層体の一部または全部が5層以下に分散している状態、即ち、樹脂中に層状珪酸塩が高分散している状態であれば、樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大し、立体拘束効果と抑制効果が大きくなる。
本発明の層間絶縁層を構成する樹脂としては、主骨格が低極性であって、末端基が熱硬化性およびまたは感光性を有するものが好ましい。その理由は、このような樹脂であると、主骨格部において樹脂と粒子間で分子間力が弱くなるので、表面積が大きい鱗片状無機粒子を多く、かつ均一に分散できるからである。
そのため、層間絶縁層は、αおよびαが均一に小さくなり、耐熱性、熱伝導率、耐ヒートサイクル性およびPbフリーの高温半田の実装信頼性が高いという効果を有する。また、主骨格が低極性なので、周波数3GHz以上の信号を遅延なく伝達できるという効果も有する。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、フラン系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アニリン系樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アリル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂等が用いられる。なかでもエポキシ系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂が好適に用いられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
なお、前記エポキシ樹脂とは、少なくとも1個のオキシラン環(エポキシ基)を有する有機化合物をいう。
前記エポキシ樹脂の中で、エポキシ化ポリブタジエン等の共役ジエン化合物を主体とする重合体またはその部分水添物の重合体の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したものが好適である。上述した樹脂は、極性が弱いため、3GHz以上の高速信号を伝送するのに適している。また、鱗片状無機粒子を均一に混合するのに適している。
前記熱硬化性樹脂に対して硬化剤を用いるが、その硬化剤としては、例えば、ポリフェノール系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、カルボン酸ヒドラジド類、ジアミノマレオニトリル類、ジシアンジアミド及びその誘導体層、イミダゾール類ポリアミンのナイロン塩及びリン酸塩、ルイス酸及びそのアミン錯体などが使用される。これらの硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合してもよい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、官能基変性されたポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂または官能基変性されたポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂等のポリフェニレンエーテル系樹脂または官能基変性されたポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶し得る熱可塑性樹脂との混合物;脂環式炭化水素系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステルイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂等が用いられる。なかでも、ポリフェニレンエーテル系樹脂、官能基変性されたポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂または官能基変性されたポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物、脂環式炭化水素系樹脂及び熱可塑性ポリイミド系樹脂等が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。
前記感光性を付与した熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂や尿素樹脂などのアミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ変成ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの熱硬化性樹脂の熱硬化に寄与する官能基の一部を感光基で置換したものなどが使用できる。
前記感光性を示す熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂の20〜80%アクリル化物、好ましくは20〜50%アクリル化物などが用いられる。その理由は、アクリル化率が20%未満だと、光硬化が不十分で、後の熱処理で層間絶縁材が軟化してしまうからであり、逆に80%を超えると、熱硬化が不十分となるからである。
前記感光性を付与された熱硬化型樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を複合して用いたものでもよい。
本発明にかかる層間絶縁層を構成するさらに他の樹脂例としては、感光性を付与された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂または感光性樹脂を用いることができる。
前記感光性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂や熱硬化性樹脂の官能基を100%アクリル化したものが好適である。
ここで、この感光性樹脂の光硬化因子として重要である光開始剤としては、ベンゾイソブチルエーテル,ベンジルジメチルケタール,ジエトキシアセトフェノン,アシロキシムエステル,塩素化アセトフェノン,ヒドロキシアセトフェノン等の分子内結合開裂型、ベンゾフェノン,ミヒラーケトン,ジベンゾスベロン,2−エチルアンスラキノン,イソブチルチオキサンソン等の分子内水素引抜型のいずれか1種以上が好適に用いられる。
光開始助剤としては、トリエタノールアミン,ミヒラーケトン,4,4-ジエチルアミノベンゾフェノン,2−ジメチルアミノエチル安息香酸,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル,4−ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル,4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル,4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル,重合性3級アミン等のいずれか1種以上が用いられる。
なお、この樹脂に用いられる増感剤としては、ミヒラーケトンやイルガキュア651 ,イソプロピルチオキサンソンなどが好適であり、上記光開始剤のなかには、増感剤として作用するものが好適である。
前記光開始剤と増感剤の組成比は、例えば、感光性樹脂100 重量部に対して、ベンゾフェノン/ミヒラーケトン=5重量部/0.5 重量部、イルガキュア184 /イルガキュア651 =5重量部/0.5重量部、イルガキュア907 /イソプロピルチオキサンソン=5重量部/0.5重量部が好適な組合せである。
また、感光性樹脂を構成する感光性モノマーあるいは感光性オリゴマーとしては、エポキシアクリレートやエポキシメタクリレート,ウレタンアクリレート,ポリエステルアクリレート,ポリスチリルメタクリレートなどが好適に用いられる。
本発明の層間絶縁層は、硬化樹脂中に鱗片状粒子を分散させているため、粒子間の接触状態が密な構成となっている。従って、基材上に層間絶縁層と導体回路とを交互に積層させ、各導体回路がスルーホールおよびまたはバイアホールを介して電気的に接続されてなるプリント配線板においては、導体回路を構成する電源層やグランド層で発生した熱や、ICで発生した熱が粒子を介して外部に伝達されやすいので、優れた放熱性を得ることができる。このため、プリント配線板上に実装されることがある、例えば、3GHz以上の駆動周波数で高速駆動されるICチップの誤動作が起こり難い。また、鱗片状粒子の長さまたは幅が3μm以下なので、層間絶縁層表面の凹凸が小さくなる。
すなわち、本発明にかかる層間絶縁層と導体回路とを基材上に交互に積層させ、各導体回路をスルーホールおよび/またはバイアホールを介して電気的に接続させてなるプリント配線板は、導体回路表面および層間絶縁層表面の平坦化や、層間絶縁層の厚みの均一化が容易となるので、3GHz以上の駆動周波数を有するICチップを搭載しても、インピーダンス制御が容易となり、信号にノイズが混入しにくい。また、基板表面が平坦となるので、実装信頼性が向上する。さらに、耐衝撃性や、バイアホールを介した接続信頼性、放熱性が向上する。
本発明にかかる多層プリント配線板は、基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールを、これらと鏡像関係にある凸部を有するモールドを用いたインプリント法によって形成したことに特徴があり、前記層間絶縁層として、上述したような硬化樹脂中に鱗片状粒子を分散させたものを用いることが好ましい。
前記層間絶縁層の熱膨張係数(α1、α2)は、硬化樹脂中に微細な鱗片状粒子を添加することによって、小さくすることができるので、線幅/線間(L/S)=12.5/12.5μm以下の微細な配線パターンでも、線間の絶縁信頼性に優れ、熱膨張係数差に起因する樹脂のクラックや配線パターンの断線が起こりにくい。
前記鱗片状粒子として、層状珪酸塩等の積層体を用いた場合、樹脂の硬度が導体の硬度に接近したものとすることができるので、樹脂と導体層の研磨条件が極端に異なることはない、即ち、層間絶縁層とそれに埋設された導体層表面の研磨性を接近させることができるので、それらの表面の平坦化が容易となる。その結果、一の層間絶縁層とそれに埋設された導体層上に形成される他の層間絶縁層の厚みを容易に均一化できるため、インピーダンス整合が容易となる。
また、前記プリント配線板上に3GHz以上の駆動周波数で高速駆動されるIC等を実装した場合、配線パターン自体が熱を持つようになるが、鱗片状粒子を介して効果的に放熱されるため、誤動作の発生が減少する。また、前記プリント配線板上に3GHz以上の駆動周波数を有するIC等を実装し、L/S=12.5/12.5μm以下の微細な配線パターンを形成すると、クロストークが発生しやすくなるが、配線間にはあらゆる方向を向いた鱗片状粒子が存在するため、クロストークが起きにくい。
前記インプリント法によって形成された多層プリント配線板において、コア基板上に形成される前記層間絶縁層は、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を用いて形成してもよい。
前記層間絶縁層を構成する材料として熱硬化性樹脂に着目した理由は、この樹脂は温度を上げていくと一旦軟化し、さらに熱を加えて温度を上げると、完全に硬化し、一旦熱硬化すると再度軟化することはないという特徴を有しており、このような特徴を有する熱硬化性樹脂あるいは少なくともこの樹脂を含んだ未硬化な混合樹脂を、インプリント法を適用する際の未硬化層間絶縁層の形成に用いれば多層化が容易になるからである。
本発明にかかる多層プリント配線板をインプリント法によって製造する一例について説明する。
まず、コア基板上に塗布または貼付した層間絶縁材からなる層(未硬化層間絶縁層)を加熱して軟化させた状態で、導体回路(配線パターン)形成用の凹部およびバイアホール形成用の凹部あるいは貫通孔(以下、これらの凹部あるいは貫通孔を、単に「溝」という)にそれぞれ対応する凸部を有するモールドを、前記未硬化層間絶縁層中に押し込み(圧入して)、導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝を形成する。
そして、これらの溝が形成された未硬化層間絶縁層を、溝形状が崩れない程度に温度を降下させ、あるいは上昇させ、その後、前記インプリント用モールドを未硬化層間絶縁層から取り外す。そして、モールドを取り外した後、さらに加熱して完全に硬化させるか、あるいは未硬化層間絶縁層に紫外線照射したのち、さらに加熱して完全に硬化させる。このような硬化処理の後に、転写された溝内にめっき処理等によって導体層を充填することによって、導体回路およびバイアホールを形成する。
なお、前記製造方法において、層間絶縁層を多層化する際には、導体回路やバイアホールが形成された層間絶縁層上に、他の層間絶縁材を塗布あるいは貼付して上層の未硬化層間絶縁層を形成し、その未硬化層間絶縁層を再度、加熱して軟化させ、その後、上述したのと同様にして、上層の層間絶縁層にモールドを押し込み、その未硬化層間絶縁層に第2の導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝を転写する。このとき、下層の層間絶縁層にも熱は加わるが、この部分はすでに、熱硬化あるいは光硬化していることから完全硬化しており、再び軟化するようなことはない。従って、下層導体回路の位置や形状および層間絶縁層の厚みは、そのまま保持されるので、各層毎に正確な配線パターンが形成された導体回路の多層化が可能となる。
本発明にかかる多層プリント配線板を製造する際に用いるインプリント用「モールド」とは、「層間絶縁層を形成する未硬化の絶縁樹脂材料に、導体回路の配線パターンに相当する導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝を転写するための凸部を有する型」である。
このモールドを形成する材料としては、金属またはセラミックを用いることができる。例えば、金属製のモールドとしては、ニッケル、銅、クロム等が、またセラミック製のモールドとしては、ガラス、シリコン、カーボン、窒化アルミニウム等を用いることができる。
また、インプリント法によってプリント配線板を製造する際に用いられる層間絶縁層は、前述したような熱硬化性樹脂および硬化剤を用いて形成することができる。
本発明にかかる多層プリント配線板において、前記未硬化層間絶縁層には、少なくとも一部に熱硬化性樹脂を用いることを条件として、この熱硬化性樹脂の他に、他の樹脂との複合樹脂から形成した層としてもよい。例えば、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を混合した樹脂であることが望ましい。このような複合樹脂中には、熱硬化性樹脂を含有しているので、熱硬化後に再軟化することはなく、熱硬化性樹脂と同様に上述したような利点を具えるからである。
前記熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを、必要に応じて溶剤に溶解させ均一混合することによって調製される。
このような溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF )や塩化メチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ノルマルメチルピロリドン(NMP )、メチルエチルケトン(MEK)などが使用できる。また、硬化開始温度未満の温度にて、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを加熱溶融させて混合させたものであってもよい。
前記複合樹脂において、熱可塑性樹脂の混合割合、即ち、複合樹脂における熱可塑性樹脂の含有量は、固形分で10〜70wt%程度が好ましく、15〜50wt%の範囲がより好ましい。その理由は、10wt%未満では、熱可塑性樹脂を混合することで期待される強靭化の効果を奏することができないからであり、70wt%を越えると、熱可塑性が支配的になり、インプリント法に適しない層間絶縁層となってしまうからである。
本発明にかかる多層プリント配線板において、上記未硬化層間絶縁層を構成する熱硬化性樹脂以外の樹脂としては、前述したような感光性を付与した熱硬化性樹脂を用いることができる。このような樹脂もまた、熱硬化成分と光硬化成分を含有しているので、熱硬化後あるいは光硬化後に再軟化することはなく、熱硬化性樹脂と同様に多層化が可能となる。
前記層間絶縁材として、熱硬化性樹脂単独、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂を用いて、微細な配線パターンを形成しようとする場合、上述した第2の課題が顕著になる。即ち、層間絶縁材は、モールドによって、配線パターン形成用の溝およびバイアホール形成用の溝が転写された後、熱硬化されるが、その際、最低溶融粘度を示す温度を通過する場合がある。例えば、モールド形状を層間絶縁材に転写する工程と熱硬化工程が別装置で行なわれるような場合である。このような場合には、未硬化層間絶縁層は一旦冷却された後に、加熱されることになり、最低溶融粘度を示す温度を通過する時に、未硬化層間絶縁層は軟化するので、転写された配線パターン形成用の溝およびバイアホール形成用の溝の形状が崩れやすくなる。
しかしながら、層間絶縁材として、前記感光性を付与した熱硬化性樹脂や、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂、または感光性樹脂を用いる場合には、層間絶縁材が光硬化成分を含有しているので、光硬化させることが可能となる。つまり、モールド除去後に未硬化層間絶縁層に光を照射すれば、未硬化層間絶縁層は、光硬化するので、その後の熱処理により形状を保持できない程度まで軟化することはない。従って、より微細な配線パターンを形成することが可能となる。
前記未硬化層間絶縁層に転写された導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝の形状を、モールドを除去後も良好に保持するためには、層間絶縁材として、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、あるいは感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂に、前述したような鱗片状粒子を混合させたものを用いることが好ましい。
その理由としては、鱗片状粒子を分散させてなる未硬化な層間絶縁層は、その樹脂中に分散された粒子の形状が鱗片状であるため、球状粒子とは異なり、基板表面に対してあらゆる角度を有して分散している。そのため、未硬化層間絶縁層が軟化して流動しようとしても、あらゆる角度で分散している粒子同士が衝突することにより、粒子と樹脂との間および粒子間で摩擦力等の力が働くため、未硬化層間絶縁層が軟化する温度であっても、樹脂が自由に動くことが難しくなる(立体拘束効果)。また、鱗片状粒子のため、球状粒子と比して表面積が大きいので、粒子と樹脂との間に働く分子間力も大きくなり、動き難い粒子が樹脂の動きを抑制する。そのため、外的に力を加えなければ、最低溶融粘度を示す温度を通過しても、層間絶縁層に転写された導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝の形状が崩れ難くなるからである。
前記樹脂中に混合される鱗片状粒子の平均長さあるいは平均幅は、0.01〜3μm程度のものが好ましく、0.01〜1μm程度のものがより好ましい。その理由は、0.01μm未満だと、粒子が微細すぎて立体拘束の効果が発揮されないからであり、一方、3μmを超えると、微細なパターンの形成が難しくなると共に、モールドを圧入してバイアホールに相当する溝を形成する時に、粒子が大きすぎてモールドによって押しのけることができずにバイアホールの底部に残留することになるため、層間接続不良の原因となるからである。
また、前記鱗片状粒子の平均長さXと平均幅Yの比(X/Y)は、1〜20程度のものが好ましく、1〜10程度のものがより好ましい。その理由は、鱗片状粒子の平均長さXが平均幅Yの20倍を超えると割れやすくなるからである。粒子が割れると、その割れた部分はクラックの起点となり、また、粒子の平均長さXが大きすぎると層状に粒子が配向しやすいので、立体拘束効果が小さくなる。前記範囲内であれば、立体拘束効果と抑制効果が効果的に発揮されるのである。
また、前記鱗片状粒子の厚みは、0.001〜1μm程度のものが好ましく、より好ましくは、0.005〜1μm程度のものがよい。その理由は、0.001μm未満だと、粒子厚みが薄いために、層間絶縁層を形成する工程中に割れてしまい、立体拘束効果が発揮できなくなり、逆に、1μmを超えると、個々の粒子の重さが重くなるため、同一含有量のときは相対的量が減るので、結果として粒子の数が減ることとなる。従って、立体拘束効果および抑制効果が減少するからである。
前記鱗片状粒子のアスペクト比(粒子の平均長さ/粒子の厚み)は、20〜2000程度のものが好ましく、100〜500程度がより好適である。その理由は、アスペクト比が20未満だと、立体拘束効果および抑制効果が小さすぎ、一方、2000を超えると、鱗片状粒子が層状に配向しやすくなるため、立体拘束効果が小さくなるからである。
前記鱗片状粒子のアスペクト比が100以上となると、モールド圧入時に、粒子と樹脂の分子間力により、移動しやすい樹脂と一緒に粒子がバイアホールから排除される。しかしながら、アスペクト比が500を超えると、バイアホール内で基板に対して垂直方向を向いて存在する粒子が、バイアホール外に押し出されるときの抵抗が高くなるため、バイアホール内に残存しやすくなる。従って、アスペクト比が100〜500の範囲であると、開口径が30〜60μmの小径バイアホールでも優れた接続信頼性を得ることができる。
さらに、前記鱗片状粒子の含有量は、1〜50wt%であることが好ましく、より好ましくは20〜50wt%の範囲である。その理由は、1wt%未満だと、立体拘束効果および抑制効果が発揮されないからであり、一方、50wt%を越えると、樹脂が脆くなり機械的強度が低下したり、最低溶融粘度が高くなったり、またバイアホールの底部に粒子が押しのけられずに残存し、その結果、層間接続不良のおそれがあるからである。
前記鱗片状粒子は、樹脂を膨潤させる膨潤液に浸漬した後、水洗いし、さらに樹脂を溶解させる粗化液に浸漬すると、樹脂が溶解する際に樹脂層から脱落してアンカーを形成するので、導体層と樹脂との間の密着強度を向上させる作用も有する。
本発明にかかる多層プリント配線板をインプリント法によって製造する際に、前記層間絶縁材料として、粗化液に可溶性の樹脂粒子やエラストマー粒子、無機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子を、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂からなる樹脂マトリックス中に分散されてなるものを用いてもよい。その理由は、層間絶縁層と導体層間の密着強度を良好に確保することができるからである。
前記粗化液とは、酸やアルカリ、酸化剤、水、有機溶剤などであり、これらの液の化学作用により、粒子状物質が溶解、分解を生じせしめるような液体である。このような粗化液としては、酸としては、硫酸、フッ酸、塩酸、ギ酸等を用いることができる。アルカリとしては、カセイソーダ、炭酸ソーダ、水酸化カリウム等を用いることができる。また、酸化剤としては、過マンガン酸、クロム酸、クロム硫酸等を用いることができる。さらに、有機溶剤としては、アセトン、DMF等を用いることができる。
前記粗化液に可溶性の樹脂粒子としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂のなかから選ばれるいずれか少なくとも1種が使用される。なかでも、前記エポキシ樹脂は、特性的にも優れており最も好適である。
前記粗化液に可溶性のエラストマー粒子としては、ポリブタジエンゴム、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、多硫系合成ゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴムやABS樹脂などのゴム系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、などのエラストマーを用いることができる。このようなエラストマー粒子を用いる理由は、層間絶縁材が低弾性となり、応力を吸収する効果が発生し、耐ヒートサイクル特性を向上させるからである。
また、前記粗化液に可溶性の無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルニア、酸化亜鉛、マグネシア、コージェライト、チタニアなどの酸化物、炭化ケイ素、炭化硼素などの炭化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素などの窒化物、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、硫酸バリウムなどの硫酸塩、タルクなどを用いることができる。このような無機粒子を用いる理由は、層間絶縁層の熱膨張率を低減させる効果があり、耐ヒートサイクル特性を向上させることができるからである。
特に、炭化ケイ素や窒化アルミニウムなどのように高熱伝導率の無機粒子を使用すると、接着剤層の熱伝導率を向上させることができる。
前記樹脂マトリックス中に分散される粒子の形状は、球形状、中空形状、解砕片状などの形状のものを使用することができ、その平均粒径は0.05〜10μmのものが望ましく、0.1μm〜5μmがより望ましい大きさである。その理由は、平均粒径10μmを超えると、アンカーが深くなりすぎて、100μm以下の、いわゆる微細な配線パターンを転写できなくなるからであり、一方、0.05μm未満になると、導体層と層間絶縁材間の密着強度を十分に確保できなくなるため、導体層が層間絶縁層から剥離したり、層間絶縁層にクラックが発生するからである。
前記粒子の配合量は、層間絶縁材の樹脂固形分100 に対して、重量比で5〜100 の割合であることが望ましく、10〜70がより望ましい範囲である。その理由は、重量比で5未満の場合は、アンカーを形成することができず、100 を超える場合は、混練が難しくなること、また相対的に耐熱性樹脂マトリックスの量が減り、接着剤層の強度が低下してしまうためである。
前記層間絶縁層表面の粗化処理は、層間絶縁層に配線パターン形成用の溝およびバイアホール形成用の溝を転写した後に行うことが望ましい。その理由は、層間絶縁層に形成された導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝の底壁だけでなく側壁をも粗化することができるためであり、それらの粗化面のアンカー効果により、層間絶縁層と導体回路との間の密着強度が増加し、導体回路の側壁もしくは角部等を起点とするクラックを防止することができるからである。
前記層間絶縁層と導体回路との密着強度を上げる他の方法としては、導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝とそれぞれ鏡像関係にあるような凸部を有するモールドの表面に、アンカー形成用の微細な凹凸を形成することである。
前記凹凸の大きさとしては、0.01〜3μm程度が望ましい。その理由は、3μmを超えると、アンカーが深くなり、20 μm以下の微細な配線パターンを転写できなくなるからであり、0.05μm未満になると導体回路と層間絶縁層との間の十分な密着強度を確保できないため、導体回路が層間絶縁層から剥離したり、層間絶縁層にクラックが発生するからである。
上述したように、本発明にかかる多層プリント配線板の特徴は、層間絶縁層を、従来のインプリント法で用いていた熱可塑性樹脂単独の絶縁材ではなく、熱硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂あるいは感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を用いることにあり、これらの熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂を含む樹脂は、いずれも比較的に低温で軟化するため、高温にしないとモールドを押し込むことができないという、従来のインプリント法における課題を有利に解決することができる。
本発明に用いられる前記樹脂の軟化温度は、60〜150℃の間で最低溶融粘度を示すような樹脂を用いることが望ましい。その理由は、60℃未満では、層間絶縁材を基板に塗布あるいは貼付した後の熱処理工程で軟化してしまうからであり、逆に、150℃を越えると、モールドの形状が劣化するからである。
以下、本発明にかかる多層プリント配線板を、層間絶縁材として熱硬化性樹脂単独、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂を用いて製造する具体的な方法の一例を説明する。
(1) 先ず、導体回路が形成されたコア基板上に、熱硬化性樹脂単独、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂からなる液状あるいはドライフィルムの層間絶縁材を塗布あるいは貼付して、未硬化層間絶縁層を形成する。
(2) 上記基板を、層間絶縁材が最低溶融粘度を示す温度±20℃まで昇温する。最低溶融粘度を示す温度±10℃が好適範囲である。このような温度設定は、低い圧力でモールドを押し込むために有利である。
(3) 前記コア基板上に形成した未硬化層間絶縁層に、導体回路およびバイアホールと鏡像関係にある凸部を有するモールドを、位置合わせした後、押し込んで、未硬化層間絶縁層に圧入させ、導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝を形成する。
(4) 溝が形成された前記未硬化層間絶縁層を、その最低溶融粘度を示す温度+5℃以上の温度で仮硬化させ、その後、未硬化層間絶縁層から前記モールドを取り外す。
(5) 次に、未硬化層間絶縁層の温度を上昇させ、上記樹脂を完全に熱硬化させる。
このような工程で、未硬化層間絶縁層に導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝を形成して、未硬化層間絶縁層を硬化させれば、モールドが圧入されていない状態で未硬化層間絶縁層の最低溶融粘度を通過することがないので、溝形状を常時、適正に維持することができる。
(6) 前記溝が形成された層間絶縁層の表面に触媒を付与した後、無電解銅めっき処理を施すことによって、底面や側面を含んだ表面全体に無電解銅めっき層を形成する。
(7) 前記無電解銅めっき層上に、電解銅めっき処理を施すことによって、層間絶縁層に形成した溝に完全に銅めっきを充填すると同時に、層間絶縁層の表面全体も銅めっきによって被覆された状態とする。
(8) 前記層間絶縁層の表面が露出するまで銅めっき層を研磨することによって、層間絶縁層に形成された導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝内に銅めっきが充填されてなる導体回路およびバイアホールを形成する。
なお、上述した例では、溝内にめっきを充填して導体回路およびバイアホールを形成したが、そのめっきに限定されるべきではなく、例えば、導電ペーストや半田等を印刷によって、導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝に充填させてもよいし、スパッタや蒸着等の物理的手法で溝内に導体層を充填形成してもよい。また、物理的手法とめっきの組み合わせによって形成してもよい。
また、モールドによって導体回路形成用溝およびバイアホール形成用溝を転写した後に、層間絶縁層の表面を化学的あるいは物理的なクリーニング処理を行なってもよい。ここで、化学的あるいは物理的なクリーニング処理を行なう目的は、溝の底部に樹脂等の残滓が残存している場合には、それに起因した層間の接続不良を引き起こすおそれがあるため、予めそれらの残存樹脂をクリーニングにより除去することにある。
なお、層間絶縁層を形成する樹脂内に粒子が混合されている場合には、モールドによる溝の転写後に、層間絶縁層の表面に粗化処理を施して粗面化することが好ましい。そのような粗化処理によって、粒子が粗化液に溶解したりあるいは樹脂層が粗化液に溶解されて、その樹脂層から粒子が脱落して、層間絶縁層の表面にアンカーが形成され、その結果、樹脂層と導体回路との密着性を改善することができるからである。したがって、バイアホール形成用溝の底部に残存する樹脂、粒子等の残滓は、粗化液によって溶解、除去されるので、敢えて特別なクリーニング処理を行わなくてもよい。
以下、本発明にかかる層間絶縁材層を用いた多層プリント配線板およびその製造方法について、実施例に基づいて詳細に説明する。
(A)鱗片状粒子含有混練物の作製
メチルエチルケトン(以下、「MEK」と言う)20gとキシレン80gの混合溶媒中に、鱗片状粒子(株式会社ホージュン社製、商品名「エスベンC」、分散時のアスペクト比:〜500、結晶サイズ:〜0.5μm)を15g添加し、三本ローラで混練して鱗片状粒子含有混練物とした。
(B)エポキシ樹脂含有溶液の作製
MEK6.8gとキシレン27.2gの混合溶媒に、固形エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、商品名「エピコート1007」)85gを添加、混合してエポキシ含有溶液とした。
(C)層間絶縁層用樹脂フィルムの作製
前記(A)で作製した鱗片状粒子含有混練物と、前記(B)で作製したエポキシ含有溶液と、硬化剤としてのジシアンジアミド(ビィ・ティ・アイ・ジャパン社製、商品名「CG−1200」、固形エポキシ分100gに対して3.3g)と、硬化触媒(四国化成社製、商品名「キュアゾール2E4HZ」、固形エポキシ分100gに対して3.3g)とを三本ローラで混練して接着剤溶液を得た。
この接着剤溶液をロールコータ(サーマトロニクス貿易社製)を使用して、ポリエチレンテレフタレートのシート上に塗布し、その後、160℃、5分間の条件で加熱乾燥し、溶媒を除去することによって、厚みが40μmの絶縁性フィルムを作製した。
この絶縁フィルムに含まれる鱗片状粒子を透過型電子顕微鏡(5万〜10万倍)を用いて観察したところ、分散時での最小結晶サイズ(粒子の最小幅あるいは最小長さのうち、いずれか小さい方)が、0.1μmであったので、本実施例での鱗片状粒子のアスペクト比は100〜500となる。
(D)多層プリント配線板の製造
図9に示すような多層プリント配線板の製造方法について、図1〜図8を参照して説明する。
(1)コア金属層形成
まず、図1(a)に示すような厚さ50〜400μmの金属板10に、表裏を貫通する開口12を設ける(図1(b))。この金属板の材質としては、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、鉄等の金属、またはこれらの合金等が用いられる。ここで、低熱膨張係数の36合金や42合金を用いるとコア基板の熱膨張係数をICの熱膨張係数に近づけることが可能となるので、熱ストレスを低減できる。
前記開口12は、パンチング、エッチング、ドリリング、レーザなどによって穿設され、その開口12を含む金属層10の全面には、電解めっきや、無電解めっき、置換めっき、スパッタ等によって、金属膜13を被覆してコア金属層とする(図1(c))。
なお、金属板10は、単層でも、2層以上の複数層でもよい。
また、金属板10に設けた開口12の角部に面取り加工を施して、その角部を曲面にすることが好ましい。それにより、応力が集中するポイントがなくなるので、角部周辺でのクラック発生を抑制することができる。
(2)内層の絶縁層および導体層の形成
前記開口12を設けた金属層10の全体を覆い、かつ開口12を埋めるような樹脂絶縁層14を形成すると共に、その樹脂絶縁層14上に導体層15を形成する。
この絶縁層を形成する材料としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、BT樹脂等の熱硬化性樹脂や、その熱硬化性樹脂をガラスクロス、アラミド不織布等の心材に含浸させたBステージのプリプレグ等を用いることができる。
具体的には、金属板10の両面に、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させてなる、厚さ30〜200μm程度のプリプレグを、金属膜13を覆った状態に配置させ、さらにそのプリプレグの外側に厚さ12〜275μmの銅等の金属箔を積層した後、その金属箔上から加熱加圧することによって、プリプレグの樹脂が開口12内に充填されると共に、金属板10の両面を被覆した状態で、プリプレグと金属箔とが圧着、一体化され、それによって、内層の絶縁層14および導体層15を形成する(図1(d))。
前記内層の絶縁層14は、金属層10の両面に樹脂液を塗布して開口12を充填する方法、あるいは樹脂液塗布に加えて、更に金属層10の両面に樹脂フィルムを加熱加圧して圧着させることによって形成することもできる。
前記内層の絶縁層14上に設けた導体層15は、金属箔から形成されているが、電解めっきや無電解めっき等によって厚付けして、2層以上の金属層から形成することもできる。
(3)内層の導体回路の形成
前記内層の導体層15に対してテンティング法を用いたエッチング処理を施して、信号回路16S、電源層16Pおよびグランド層16Eからなる内層の導体回路16を形成した(図1(e))。
これらの内層の導体回路16の厚さは、10〜250μmの範囲内であることが好ましく、30〜100μmの範囲内であることがより好ましい。その理由は、厚さが10μm未満では、導体の電気抵抗が大きすぎて、ICの電圧降下時に電源を瞬時に供給できない、即ち、ICの駆動電圧に瞬時に戻れないからであり、一方、厚さが250μmを超えると、回路形成部と回路非形成部の凹凸の影響で層間絶縁層の厚みが均一にならないからである。また、基板厚みが厚くなるのでループインダクタンスを小さくすることができない。
この実施例では、内層の導体回路の厚みを、60μmとした。
また、IC等の電子部品の電源と電気的に接続している電源用スルーホールがグランド層16Eを貫通する際、電源用スルーホールから延出する配線パターンを有しない方がよい。同様に、IC等の電子部品のグランドと電気的に接続しているグランド用スルーホールが、電源層16Pを貫通する際、グランド用スルーホールから延出する配線パターンを有しない方がよい。
このような構造にすることで、スルーホールピッチを狭くできる。また、スルーホールと内層導体回路間の間隔を狭ピッチとすることができるので、相互インダクタンスを減少させることができる。
なお、内層の導体回路は、エッチング処理により形成したが、アディティブ法によって形成することもできる。
(4)外層の絶縁層および導体回路の形成
前記(2)と同様にして、内層の導体回路を覆い、かつその回路間の隙間を埋めるための樹脂絶縁層18を形成し、その樹脂絶縁層18上に外層の導体回路20を形成した。
具体的には、前記(1)〜(3)で形成した基板の両面に、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させてなる、厚さ30〜200μm程度のプリプレグを配置させ、さらにそのプリプレグの外側に厚さ10〜275μmの銅等の金属箔を積層した後、その金属箔上から加熱加圧することによって、プリプレグの樹脂が導体回路間に充填されると共に、導体回路16の両面を被覆した状態で、プリプレグと金属箔とが圧着、一体化される。それによって、外層の絶縁層18および外層の導体回路20が形成される(図2(a))。
前記外層の絶縁層18は、内層の絶縁層14と同様に、基板の両面に樹脂液を塗布して、内層の導体回路を被覆すると共に、開口13を充填する方法、あるいは樹脂液塗布に加えて、更に樹脂フィルムを加熱加圧し圧着させることによって形成することもできる。また、このような加熱加圧による方法では、絶縁層表面を平坦にすることができる。
なお、この実施例では、金属板10をコアとして、その両面に内層の絶縁層14および導体回路を形成し、さらに、外層の絶縁層18および外層の導体回路20を形成したが、必ずしも金属板10をコアとして用いる必要はなく、片面または両面銅張積層板に回路形成したものを積層することによってコア基板を形成することもできる。
(5)めっきスルーホール用貫通孔の形成
上記(4)で形成したコア基板を貫通する開口径50〜400μmの貫通孔21を形成する(図2(b))。この貫通孔21は、金属板10に設けた開口12の位置に対応して形成され、ドリル加工や、レーザ加工、あるいはレーザ加工とドリル加工を併用することによって形成される。この貫通孔の形状としては、直線状の側壁を有するものであることが好ましく、必要に応じてテーパ状とすることもできる。
(6)めっきスルーホールの形成
前記(5)にて形成した貫通孔21の側壁に導電性を付与するために、側壁にめっき膜22を形成し、そのめっき膜22表面を粗化した後(図2(c))、貫通孔内に樹脂充填材24を充填することによって、めっきスルーホール26を形成した(図2(d))。
この貫通孔21に充填された樹脂充填材24は、仮乾燥した後、基板表面のめっき膜22上に付着した余分な樹脂充填材を研磨により除去し、さらに、150℃で1時間乾燥することによって、完全硬化させることが好ましい。
前記めっき膜22は、電解めっきや、無電解めっき、パネルめっき(無電解めっきと電解めっき)等によって形成され、そのめっき金属としては、銅、ニッケル、コバルト、リン等を含有する金属が用いられる。
また、めっき膜22の厚さは、5〜30μmの範囲であることが好ましい。
前記樹脂充填材24としては、例えば、樹脂材料に硬化剤、粒子等が含有されている絶縁性樹脂材料、あるいは、樹脂材料に金、銅等の金属粒子や、硬化剤などが含有されている導電性樹脂材料のいずれかを用いる。
前記絶縁性樹脂材料の樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂や、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、感光性を有する紫外線硬化樹脂、あるいは熱可塑性樹脂等が用いられる。これらの樹脂材料は、単一種類の樹脂を用いてもよいし、あるいはそれらの複数種類の樹脂を複合したものを用いることができる。
前記粒子としては、シリカ、アルミナ等の無機粒子、金、銀、銅等の金属粒子、あるいは樹脂粒子等が用いられる。これらの粒子は、単一種類の粒子を用いてもよいし、あるいはそれらの複数種類の粒子を混合したものが用いられる。
前記粒子の粒径は、0.1〜5μmの範囲であることが好ましく、同一径の粒子、あるいは粒径が異なる粒子を混合したものを用いることができる。
前記硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤などを用いることができる。それ以外にも、硬化安定剤、反応安定剤、粒子等を含んでもよい。
また、前記導電性樹脂材料としては、樹脂成分に金属粒子や硬化剤等を含有させてなる導電性ペーストが用いられる。
また、導電性ペーストに代えて、貫通孔21をめっき充填することも可能である。めっき充填した場合には、導電性ペーストのように、硬化収縮に伴って表層に凹部が形成されることがなくなる。
(7)コア基板の外層導体層および導体回路形成
前記(6)にてめっきスルーホール26を形成した基板の両面全体にめっき膜を被覆形成した(図3(a))後、テンティング法を用いたエッチング処理を施して、めっきスルーホール26の直上に蓋めっき層28を形成すると共に、信号層30S、電源層30Pおよびグランド層30Eからなる外層の導体回路30を形成した(図3(b))。
これらの外層の導体回路30の厚さは、10〜75μmの範囲内であることが好ましく、20〜40μmの範囲内であることがより好ましい。その理由は、厚さが10μm未満では、導体の電気抵抗が大きいためであり、75μmを超えると、コア基板上に形成する層間絶縁層を平坦にすることが難しくなったり、基板厚が厚くなるためである。
この実施例では、外層の導体回路30の厚みを、35μmとした。
前記(1)〜(7)の工程によって、基板両面の外層の導体回路30どうしがめっきスルーホール26を介して電気的に接続されると共に、内層の導体回路16と外層の導体回路30との間の電気的な接続もめっきスルーホール26を介して行われるような多層コア基板32が形成される。
(8)外層の導体回路に粗化層形成
前記多層コア基板32の両面に黒化処理および還元処理を行って、外層の導体回路30の側面および上面(スルーホールのランド表面を含む)に粗化層34を形成した(図3(c))。
(9)樹脂充填材の充填
前記多層コア基板32の外層の導体回路非形成部、即ち、外層の導体回路間の隙間に樹脂充填材36を充填した(図4(a))。この樹脂充填材は、前記(6)の工程にて、貫通孔21内に充填された樹脂充填材24と同一のものを用いることができる。
(10) 外層導体回路上面の研磨
前記樹脂充填を終えた基板の片面を、ベルトサンダー等の研磨により、外層の導体回路30の側面および上面に設けた粗化面34のうち、上面に設けた粗化層を除去すると共に、導体回路30の外縁部に樹脂充填材36が残らないように研磨し、次いで、上記研磨による傷を取り除くため、外層の導体回路30の上面にバフ等でさらに研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行なって平滑化した。次いで、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行って樹脂充填材36を硬化した(図4(b))。
なお、外層の導体回路間の隙間への樹脂充填材の充填は、必要に応じて省略することができ、この場合には、多層コア基板上に積層させる層間絶縁層の樹脂層によって、層間絶縁層の形成と外層の導体回路間の隙間の充填とを同時に行うこともできる。
(11)外層導体回路上面に粗化層形成
前記(10)の工程にて平滑化された外層の導体回路30S、30P、30Eの表面(スルーホールのランド表面を含む)に、エッチング液をスプレイで吹きつけて、外層の導体回路の上面に粗化層38を形成した(図4(c))。
(12)層間樹脂絶縁層の形成
前記粗化層38を形成した外層の導体回路表面に、前記(C)にて形成した樹脂フィルム40を載置し、仮圧着して裁断した後、さらに、真空ラミネーター装置を用いて基板表面に貼付けて、層間樹脂絶縁層42を形成した(図5(a))。
(13)バイアホール形成用開口の形成
次に、層間樹脂絶縁層上に、厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、波長10.4μmの炭酸ガスレーザを用いて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅10〜25μ秒、マスクの貫通孔の径1.0〜2.2mmφ、1〜3ショットの照射条件のもとで層間樹脂絶縁層42に、直径30〜70μmのバイアホール用開口44を形成した(図5(b))。
(14)粗化層の形成
前記バイアホール用開口44を設けた基板32を、膨潤液に浸漬し、水洗した後、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬することによって、層間樹脂絶縁層42の硬化樹脂中に分散している鱗片状粒子を層間樹脂絶縁層表面から脱落させて、バイアホール用開口44の内壁を含む層間樹脂絶縁層42の表面に粗化層46を形成した(図5(c)。この粗化層46の粗度は、0.01〜2μmであった。
(15)触媒核の付与
次に、上記処理を終えた基板32を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。その後、Oプラズマや、CFプラズマ等の物理的方法によって、バイアホール底部に残存する樹脂や粒子の残渣を除去するデスミア処理を施してもよい。
さらに、粗面化処理した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶縁層40の表面およびバイアホール用開口44の内壁面に触媒核を付着させた。
(16)無電解銅めっき膜の形成
次に、前記(15)の工程にて触媒を付与した基板32を、以下のような組成の無電解銅めっき水溶液中に浸漬して、粗化層46の表面全体に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅めっき膜48を形成し、バイアホール用開口44の内壁を含む層間樹脂絶縁層42の表面に導体層が形成された基板を得る(図4(d))。
(無電解銅めっき液)
硫酸銅: 0.03mol/l
EDTA: 0.200mol/l
HCHO: 0.18g/l
NaOH: 0.100mol/L
α、α'−ビピリジル: 100mg/l
ポリエチレングリコール: 0.10g/l
(めっき条件)
34℃の液温で40分
(17)めっきレジストの形成
前記無電解銅めっき膜48上に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、現像処理することにより、厚みが10〜30μmのめっきレジスト50を設けた(図6(a))。
(18)電解銅めっき膜の形成
次いで、電解銅めっき処理を施し、めっきレジスト50非形成部に、厚さ5〜25μmの電解銅めっき膜52を形成した(図6(b))。なお、今回は以下のめっき液と条件で行ない、20μmの電解銅めっき膜を得た。
(電解銅めっき液)
硫酸: 2.24 mol/l
硫酸銅: 0.26 mol/l
添加剤: 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、商品名:カパラシドGL)
(電解めっき条件)
電流密度: 1 A/dm
時間: 90±5 分
温度: 22±2 ℃
(19)導体回路およびバイアホールの形成
さらに、めっきレジスト50を5%程度のKOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜48を硫酸と過酸化水素との混合液でエッチング処理して溶解除去し、独立の導体回路54およびバイアホール56とした(図6(c)。
(20)粗化層の形成
次いで、前記(11)の工程と同様の処理を行い、上層の導体回路54及びバイアホール56の表面に粗化面58を形成した。この上層の導体回路54の厚みは、20μmとした(図6(d)。
(21)多層配線板の形成
前記(12)〜(20)の工程を繰り返すことにより、2層目の層間樹脂絶縁層60を形成し、その層間樹脂絶縁層60上に更なる上層の導体回路62およびバイアホール64を形成することによって、多層配線板を得た(図7(a))。
(22)ソルダーレジスト層の形成
次に、前記(21)で得た多層配線基板の両面に、市販のソルダーレジスト組成物を12〜30μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行ってソルダーレジスト層66を形成した(図7(b))。その後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層66に密着させ、1000mJ/cm の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口68を形成した(図7(c))。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層66を硬化させ、上層の導体回路62の表面が露出するような開口68を有し、厚さが10〜25μmのソルダーレジストパターン層を形成した。
(23)ニッケル−金層の形成
次に、ソルダーレジスト層66を形成した基板を、無電解ニッケルめっき液に浸漬して、開口68から露出する上層の導体回路62の表面に、厚さ5μmのニッケルめっき層を形成し、さらに、その基板を無電解金めっき液に浸漬して、ニッケルめっき層上に、厚さ0.03μmの金めっき層を形成し、ニッケル−金層70とした(図7(d)。このニッケル−金層以外にも、スズや、貴金属層(金、銀、パラジウム、白金など)の単層を形成してもよい。
(24)はんだバンプの形成
その後、前記基板の一方の面側(ICチップ実装側)には、前記ソルダーレジスト層66の開口68から露出する上層の導体回路62の表面に、スズ−鉛を含有する半田ペーストを印刷し、さらに他方の面側には、同様に、スズ−アンチモンを含有する半田ペーストを印刷した後、200℃でリフローすることにより外部端子を形成して、はんだバンプ72を有する多層プリント配線板を製造した(図8)。
前記多層プリント配線板には、半田バンプ72を介してICチップ74が実装され、さらにチップコンデンサ76が実装される。
なお、多層配線基板の裏面から表面までをバイアホールとスルーホールを介して電気的に接続する回路を形成し、さらにICを介してその回路に接続され、表面から裏面までを他のバイアホールとスルーホールを介して電気的に接続するような接続抵抗評価用パターンを5種類(第1〜第5パターン)作製した。接続抵抗評価用の第1のパターンは、開口径が30μmであるバイアホール100個を電気的に接続してなる閉回路によって形成し、同様に、開口径が40μm、50μm、60μmおよび70μmのバイアホールをそれぞれ100個含んでなる閉回路によって、接続抵抗評価用の第2〜第5パターンを形成した。
そして、ICチップ74およびチップコンデンサ76が実装された多層プリント配線板を、外部端子78を介してマザーボード80に取り付けた(図9)。
鱗片状粒子として、トピー工業株式会社製の商品名「NANOFIL」(分散後のアスペクト比:100〜500、粒子径:0.1〜0.5μm、最小粒子厚み:0.001μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
鱗片状粒子含有混練物およびエポキシ含有溶液を、以下の(A)〜(B)に従って作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A)鱗片状粒子含有混練物の作製
MEK33gとキシレン67gの混合溶媒中に、鱗片状粒子(株式会社ホージュン社製、商品名「エスベンC」(分散時のアスペクト比:〜500、結晶サイズ:〜0.5μm)を15g添加し、三本ローラで混練して鱗片状粒子含有混練物とした。
(B)エポキシ含有溶液の作製
MEK11gとキシレン23gの混合溶媒に、固形エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、商品名:「エピコート1007」)を85g添加、混合してエポキシ含有溶液とした。
鱗片状粒子含有混練物およびエポキシ含有溶液を、以下の(A)〜(B)に従って作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A)鱗片状粒子含有混練物の作製
MEK50gとキシレン50gの混合溶媒中に、鱗片状粒子(株式会社ホージュン社製、商品名「エスベンC」、分散時のアスペクト比:〜500、結晶サイズ:〜0.5μm)を15g添加し、三本ローラで混練して鱗片状粒子含有混練物とした。
(B)エポキシ含有溶液の作製
MEK17gとキシレン17gの混合溶媒に、固形エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、商品名「エピコート1007」)を85g添加、混合してエポキシ含有溶液とした。
絶縁性フィルムを、以下の(C)に従って作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(C)絶縁性フィルムの作製
小型押出機(日本製鋼所社製、商品名「TEX30」)中に、固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、商品名「エピコート1007」)85g、鱗片状粒子として株式会社ホージュン社製、商品名「エスベンC」15gをフィードし、100℃で溶融混練してストランド状に押出し、押出されたストランドをペレタイザーによりペレット化した。
このペレットをMEK/キシレン=1/4の混合溶媒に溶解し、硬化剤としてジシアンジアミド(ビィ・ティ・アイ・ジャパン社製、商品名「CG−1200」)を固形エポキシ分100gに対して3.3g、硬化触媒(四国化成社製、商品名「キュアゾール2E4HZ」)を固形エポキシ分100gに対して3.3gを、この溶液に加え充分に撹拌した後、脱泡して、絶縁樹脂組成物溶液を作製した。次いで、得られた絶縁樹脂組成物溶液を、ロールコータを用いて、ポリエチレンテレフタレートのシート上に塗布した状態で溶媒を除去して40μmの絶縁性フィルムとした。
鱗片状粒子の混合量を15gから20gに変更した以外は、実施例5と同様にして多層プリント配線板を製造した。
鱗片状粒子含有混練物およびエポキシ含有溶液を、以下の(A)〜(B)にしたがって作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A)鱗片状粒子含有混練物の作製
MEK80gとキシレン20gの混合溶媒中に、鱗片状粒子(株式会社ホージュン社製、商品名「エスベンC」、分散時のアスペクト比:〜500、結晶サイズ:〜0.5μm)を15g添加し、三本ローラで混練して鱗片状粒子含有混練物とした。
(B)エポキシ含有溶液の作製
MEK27.2gとキシレン6.8gの混合溶媒に、固形エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、商品名「エピコート1007」)を85g添加、混合してエポキシ含有溶液とした。
鱗片状粒子含有混練物およびエポキシ含有溶液を以下の(A)〜(B)にしたがって作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A)鱗片状粒子含有混練物の作製
MEK100g中に、鱗片状粒子(株式会社ホージュン社製、商品名「エスベンC」、分散時のアスペクト比:〜500、結晶サイズ:〜0.5μm)を15g添加し、三本ローラで混練して鱗片状粒子含有混練物とした。
(B)エポキシ含有溶液の作製
MEK34g中に、固形エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、商品名「エピコート1007」)を85g添加、混合してエポキシ含有溶液とした。
絶縁性フィルムの作製において、鱗片状粒子としてコープケミカル社製、商品名「ミクロマイカMK−100F」、アスペクト比:20〜30、粒径:1〜3μm)を用いた以外は、実施例5と同様にして多層プリント配線板を製造した。
鱗片状粒子として、株式会社ホージュン社製の商品名「オルガナイトD」、分散時のアスペクト:〜2000、分散時の結晶サイズ:〜2.0μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
透過型電子顕微鏡を用いて5万〜10万倍で分散時での最小結晶サイズを観察したところ、0.1μmであったので、本実施例でのアスペクト比は100〜2000となる。
固形エポキシ樹脂にエポキシ化ブタジエン(ダイセル化学社製 商品名「エポリード PB3600」)を用いた以外は、実施例3と同様にしてプリント配線板を作製した。
固形エポキシ樹脂の代わりに、エポキシ化ブタジエンとポリエーテルスルホン(PES)を用い、その配合比は、エポキシ化ブタジエン:ポリエーテルスルホン(PES)=3:2とした。それ以外は実施例3と同様にしてプリント配線板を作製した。
参考例1
絶縁性フィルムの作製において、鱗片状粒子として三洋貿易社製、商品名「ポリフィルDL」(アスペクト比:7〜10)を用いた以外は、実施例5と同様にして多層プリント配線板を製造した。
参考例2
鱗片状粒子として、コープケミカル株式会社製、商品名「ソマシフMPE」(アスペクト比:5000〜7000、平均粒径:5〜7μm、膨潤性粒子)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
比較例1
絶縁性フィルムの作製において、鱗片状粒子を用いなることなく、株式会社アドマッテクス社製、商品名「SO-E6」の球状シリカ粒子を用いたこと以外は、実施例5と同様にして多層プリント配線板を製造した。
以上説明したような実施例1〜12、参考例1〜2および比較例1にしたがって製造された多層プリント配線板について、耐ヒートサイクル性(接続信頼性)、鱗片状粒子の分散状態、および電気接続性を評価するための各試験を、以下のように実施した。
(評価試験1:熱膨張係数)
実施例1、2、9〜12、参考例1〜2および比較例1にしたがって作製した絶縁フィルムのα(ガラス転移温度Tg以下の熱膨張係数)およびα(ガラス転移温度Tgを超えた領域での熱膨張係数)を、Thermo Mechanical Analyzer(TMA)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
(評価試験2:耐衝撃試験)
実施例1、2、9〜12、参考例1〜2および比較例1にしたがって製造したプリント配線板を、ヒートサイクル試験機に投入して、以下の条件1および条件2にて耐衝撃試験を行なった。
条件1:-55℃×30分⇔125℃×30分を1サイクルとして3000回繰返した。
条件2:25℃×20sec⇔260℃×10secを1サイクルとして300回繰返した。
サイクル試験終了後、クラック発生の有無を光学顕微鏡(×10)による観察によって確認した。その結果を表1に示す。
なお、クラック発生が確認された場合は×、確認されなかった場合は○とした。この結果から、耐衝撃性は混合する粒子の形状で差が生じ、鱗片状粒子を混合することで耐衝撃性が向上することが確認できた。Tgを超えるヒートサイクル試験によれば、さらに鱗片状粒子のアスペクト比が耐衝撃性に有意であることが判明し、20〜2000が好適範囲であることが判明した。球状粒子の場合、α1、α2が鱗片状粒子を分散した層間絶縁層より大きいため、層間絶縁層がヒートサイクルに耐えられなくなるものと推察される。
Figure 2006100463
(評価試験3:ヒートサイクル試験1)
実施例1、2、9〜12、参考例1〜2および比較例1にしたがって製造したプリント配線板を、ヒートサイクル試験機に投入して、以下の条件1および条件2にて耐衝撃試験を行なった。
条件1:-55℃×30分⇔125℃×30分を1サイクルとして、1000回繰返した。
条件2:25℃×20sec⇔260℃×10secを1サイクルとして、100回繰返した。
サイクル試験終了後、接続抵抗の変化量を評価した。
なお、接続抵抗の変化量は、接続抵抗評価用の第1〜第5パターンの初期値とヒートサイクル後の抵抗値を測定し、変化量=(ヒートサイクル後の抵抗値−初期値)/初期値が±5%以内のものを〇、-5%を超え-10%以内または5%を超え10%以内のものを△、それ以外を×とした。
条件1での試験結果を表2−1に示し、条件2での試験結果を表2−2に示した。これらの結果から、バイアホールを介した接続抵抗信頼性は、条件1の60μmΦの結果および条件2の70μmΦの結果から、層間絶縁層に分散されている粒子の形状により差が生じることが判明し、球状粒子よりは鱗片状粒子が好適であることが判明した。また、表2−1と表2−2から、バイアホール径が微細化してくると、さらに鱗片状粒子のアスペクト比が有意になり100〜500が好適であることが判明した。そして、30μmΦの結果から、層間絶縁層の樹脂が低極性であると、バイアホール接続信頼性がさらに向上することが判明した。これは、樹脂が低極性のため、粒子が均一に分散し偏在しなくなるためと推察される。また、偏在した部位にバイアホールが形成されると、バイアホール底部に粒子が残存し易くなったり、層間絶縁層の熱膨張係数にバラツキが生じるからと推察される。
Figure 2006100463
Figure 2006100463
(評価試験4:鱗片状粒子の分散状態)
実施例1、3〜8、11、12における絶縁性フィルムから一部を取り出し硬化したものを、透過型電子顕微鏡を用いて5万〜10万倍で観察して、一定面積中において観察できる鱗片状粒子の数を計測(X)し、その内の完全分散している鱗片状粒子(単層で分散している鱗片状粒子)の数をY、5層以下で分散している鱗片状粒子の数をZとし、完全分散している鱗片状粒子の割合(%)=(Y/X)×100 、5層以下で分散している鱗片状粒子の割合(%)=(Z/X)×100で計算した。その結果を表3に示す。
(評価試験5:ヒートサイクル試験2)
実施例1、3〜8、11、12にしたがって製造したプリント配線板を、ヒートサイクル試験機に投入して、以下の条件にて耐衝撃試験を行なった。
条件:-55℃×30分⇔125℃×30分を1サイクルとして、1000回、2000回繰返した。サイクル試験終了後、接続抵抗の変化量を評価した。その結果を表3に示す。
なお、接続抵抗の変化量は、接続抵抗評価用の第3パターンの初期値とヒートサイクル後の抵抗値を測定し、変化量=(ヒートサイクル後の抵抗値−初期値)/初期値が±5%以内のものを〇、-5%を超え-10%以内または5%を超え10%以内のものを△、それ以外を×とした。
Figure 2006100463
TEM観察により、実施例5、6の層状珪酸塩には、層間距離が5nmを超えるものが含まれていた。長期のヒートサイクル試験において、層間距離が大きな粒子では層間剥離がおこり、接続抵抗の上昇につながったと考えられる。分散状態が良い(5層以下の粒子が85%以上)または、分散が悪い(5層以下の粒子が68%以下)方が、分散状態が中間のものに比べて、良好な結果を示した。これは、分散が良い状態の系では、すでに混練時で完全に層間が分離していて、その後の工程や試験で層間が分離しないものと推察される。
一方、分散状態が悪い場合は、層間の結合力が強いので、この場合も、その後の工程や試験で層間が分離しないものと推察される。これに比べ、分散が中間的なものは、混練時での分散が不充分なため、層間距離の大きなものが分散せず残ってしまう。それらの層間距離が大きな粒子は、加速試験により層間剥離がおこって、それにより、樹脂にクラック等が発生し抵抗上昇につながったと推察される。
(評価試験6:同時スイッチング試験)
実施例1〜12、参考例1〜2および比較例1にしたがって製造したプリント配線板に、駆動周波数が1GHzのICチップ(FSB:100〜133MHz)を搭載したときの誤動作の有無と、駆動周波数が3GHzのICチップ(FSB:400〜800MHz)を搭載したときの誤動作の有無を調べた。ここで、ICチップの誤動作の有無に関しては、ICチップのトランジスタの同時スイッチングを100回および300回繰り返し、その間に誤動作が発生したかどうかを確認した。その試験結果は表4に示す。なお、誤動作が1回でもあったものは×、無かったものは〇とした。
Figure 2006100463
同時スイッチングを繰り返すと、瞬間的に大量の電流が回路に流れるため、発熱が起こる。比較例およびアスペクト比が30以下の鱗片状粒子を分散した実施例では、層間絶縁層の熱伝達が悪いので、熱がプリント配線板に蓄積され回路が高抵抗となり、ICのトランジスタへの電源供給が不足し誤動作したものと思われる。この結果を基にシミュレーションを行ったが、本発明の層間絶縁層を用いれば、少なくともFSBが10GHzであるようなICまでは誤動作が発生しないという結果が得られた。
この実施例は、層間絶縁材として熱硬化性樹脂を使用した例である。
(A)層間絶縁層用フィルムの作製
(1) ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−1001」)40重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−154」)60重量部と、イミダゾール型硬化剤(四国化成製、商品名「2PHZ」)5重量部とブチルセロソルブアセテート75重量部とを三本ローラーで攪拌、混合してフィルム前駆体を調整した。
(2) このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の42〜45μm厚のフィルム状に塗布し、その後、80℃で2時間、120℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
(B)スルーホール充填用樹脂組成物の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、商品名「YL983U」、分子量:310)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO 球状粒子(アドテック社製、商品名「CRS 1101−CE」)72重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製、商品名「ペレノールS4」)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で30〜60Pa・sの樹脂充填材を調製した。なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名「2E4MZ−CN」)6.5重量部を用いた。
(C)多層プリント配線板の製造
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板100の両面に12μmの銅箔102がラミネートされている銅張積層板を出発材料として用いた(図10(a)参照)。
(2)まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっきおよび電気めっきとを順次に施した後、パターン状にエッチングすることにより、基板100の両面に下層導体回路104とスルーホール106を形成した。
(3)上記下層導体回路104とスルーホール106を形成した基板100をNaOH(10g/l)、NaClO (40g/l)、Na PO (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、下層導体回路104とスルーホール106の表面に粗化面108を形成した(図10(b)参照)。
(4)次に、上記(B)で作製したスルーホール充填用樹脂組成物を、下層導体回路間の隙間とスルーホール内に、スキージを用いて充填した後(図10(c)参照)、100℃、20分の条件で乾燥を行った。その基板表面を、下層導体回路104の表面およびスルーホール106のランド表面が露出するまで研磨して平坦化させ(図10(d)参照)、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行うことにより、充填用樹脂組成物を硬化させて樹脂充填材層110を形成し、スルーホール106とした。その後、導体回路104の表面とスルーホール106のランドの表面とを黒化処理する(図示せず)。
(5)次に、上記(A)で作製した層間絶縁材用樹脂フィルムを、温度50〜150℃まで昇温しながら、0.5MPaの圧力で真空圧着ラミネートして貼り付け、未硬化層間絶縁層112を形成した(図10(e)参照)。
(6)次に、上層の導体回路に相当する配線パターンおよびバイアホールを形成するための凸部114および116を有するモールド120を作製し(図11(a)参照)、そのモールド120を未硬化層間絶縁層112に、あらかじめ層間絶縁用樹脂フィルムの粘度を測定(測定装置名:アレス、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)しておき、その最低溶融粘度を示す温度に対して±10℃の範囲で、0.8MPaの圧力で3分間押し付けて圧入し(図11(b)参照)、その後、冷却して最低溶融粘度より30℃低い温度の時点で前記モールド120を層間絶縁層112から取り外した。(図11(c)参照)。
上記モールド120(たとえばニッケル製)は、上記配線パターン形成用溝に対応する凸部114の形状は、最小線幅:5μm、最小線間距離:5μm(L/S=5/5μm)の配線パターンを形成するような形状であり、突出量は20μmであるように形成されている。また、バイアホール形成用の溝に対応する凸部116の形状は、直径が30〜70μmの円筒形であり、突出量(バイアホールの深さに相当)は、45μmであるように形成されている。
なお、ここでは、絶縁抵抗が測定できるように、テストパターンとしてL/S=5/5μmの櫛歯パターンを形成するための溝に相当する凸部をモールド120に形成した。
(7)次に、基板100を150℃で3時間の熱処理を行ない、層間絶縁層112を完全に硬化させた。
(8)配線パターン形成用溝122およびバイアホール形成用溝124を転写した基板100を、膨潤液に浸漬し、次いで水洗した後、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬して、層間絶縁層112の表面(溝122、124の内壁面を含む)を粗化した(粗化層の図示は省略)。
(9)次に、上記処理を終えた基板100を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。さらに、層間絶縁層112の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間絶縁層112の表面(溝122、124の内壁面を含む)に触媒核を付着させた(図示せず)。すなわち、上記基板100を塩化パラジウム(PbCl )と塩化第一スズ(SnCl )とを含む触媒液中に浸漬し、パラジウム金属を析出させることにより触媒を付与した。
(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に、基板100を浸漬し、層間絶縁層112の表面(溝122、124の内壁面を含む)に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅めっき膜を形成した。
〔無電解めっき水溶液〕
硫酸銅 0.030 mol/l
EDTA 0.200 mol/l
HCHO 0.18 g/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 100 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
34℃の液温度で40分
(11)次に、以下のような電解めっき条件にて、上記(10)で得た無電解銅めっき膜上に、厚さ50μmの電解銅めっき膜を形成して、転写された溝122および124を完全に充填すると共に基板100の表面全体に導体層126を形成した(図11(d)参照)。
〔電解めっき液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤(アトテックジャパン社製、カパラシドGL)
19.5 ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 3A/dm
時間 75分
温度 22±2℃
(12)上記(11)でめっき形成した基板表面を、層間絶縁層112の表面が露出するまで研磨して平坦化し、配線パターン130を有する上層の導体回路132およびバイアホール134の上端を露出させた(図12(a)参照)。
(13)パターン形成した基板をNaOH(10g/l)、NaClO (40g/l)、Na PO (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、上層の導体回路132の表面に粗化面(図示を省略)を形成した。
(14)前記(13)で得た基板1に対して、上記(A)で作製した層間絶縁材用樹脂フィルムを、温度50〜150℃まで昇温しながら、0.5MPaで真空圧着ラミネートして貼り付け、未硬化層間絶縁層138を形成した(図12(b)参照)。
(15)次いで、さらに上層の導体回路に相当する配線パターンおよびバイアホールを形成するための凸部142および144を有する別のモールド140を、上記(6)と同様にして作製し(図12(c)参照)、そのモールド140を層間絶縁層138に最低溶融粘度を示す温度に対して、±10℃の温度範囲で、0.8MPaの圧力で3分間押し込んで圧入し(図13(a)参照)、その後冷却して、最低溶融粘度より30℃低い温度の時点でモールド140を層間絶縁層138から取り外した。(図13(b)参照)。
(16)上記モールド140によって溝が形成された層間絶縁層138に対して上記(7)〜(13)の工程を繰り返して、さらに上層の導体回路146、バイアホール148を形成した(図13(c)参照)。
(17)前記(16)で得た基板100の両面に、市販のソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、クロム層によってソルダーレジスト開口部の円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのソーダライムガラス基板を、クロム層が形成された側をソルダーレジスト層に密着させて載置し、1000mJ/cm の紫外線で露光し、DMTG現像処理した。そしてさらに、80℃で1時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時間の条件で加熱処理し、はんだパッドの上面、バイアホールとそのランド部分を開口した(開口径 180μm)ソルダーレジスト層150のパターン(厚み20μm)を形成した(図13(d)参照)。
(18)次に、ソルダーレジスト層150を形成した基板を、塩化ニッケル30g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/l、クエン酸ナトリウム10g/lからなるpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層(図示を省略)を形成した。さらに、その基板を、シアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/lからなる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層上に厚さ0.03μmの金めっき層(図示を省略)を形成した。
(19)そして、ソルダーレジスト層50の開口部にはんだペーストを印刷して、 200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)152を形成し、はんだバンプを有する多層プリント配線板を製造した(図14参照)。前記多層プリント配線板には、半田バンプ152を介してICチップが実装される。
上記(1)〜(19)の工程によって製造された多層プリント配線板は、配線パターンがL/S=5/5μmであるような凸部が形成されたモールド120および140を用いたが、これに加えて、L/S=2.5/2.5μm、7.5/7.5μm、10/10μm、12.5/12.5μmおよび15/15μmであるような配線パターンに対応した凸部を形成した異なるモールドを作製すると共に、これらの各モールドを用いて、上記(1)〜(19)の工程にしたがって、L/Sの異なる配線パターンを有する多層プリント配線板を製造した。
ただし、L/S=2.5/2.5μmは、ショートしていたため評価から除外した。
なお、上記(6)において、絶縁抵抗が測定できるように、L/S=7.5/7.5μm、10/10μm、12.5/12.5μmおよび15/15μmの櫛歯パターンをテストパターンとして各モールド120に形成し、上記(6)および(15)において、接続抵抗が測定できるように、バイアホールを介した連続するパターンを形成するための溝に相当する凸部を各モールド120および140に形成した。
バイアホールを介した連続する接続抵抗評価用パターンとしては、多層配線基板の裏面から表面までをバイアホールとスルーホールを介して電気的に接続する回路を形成し、さらにICを介してその回路に接続され、表面から裏面までを他のバイアホールとスルーホールを介して電気的に接続するような接続抵抗評価用パターンを5種類(第6〜第10パターン)作製した。接続抵抗評価用の第6のパターンは、開口径が30μmのバイアホールを100個、電気的に接続してなる閉回路によって形成し、同様に、開口径が40μm、50μm、60μmおよび70μmのバイアホールをそれぞれ100個含んでなる閉回路によって、接続抵抗評価用の第7〜第10パターンを形成した。
この実施例は、層間絶縁材として熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂を用いた例であり、層間絶縁材を、以下の(A)(1)〜(2)の工程で作製した層間絶縁材用フィルムを用いた以外は、実施例13と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A)層間絶縁材用フィルムの作製
(1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名「EOCN-104S」 、エポキシ当量220 、分子量5000)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名「Victrex」 、分子量17000 )40重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名「2E4MZ-CN」)5重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整してフィルム前駆体を作製した。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の50μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
この実施例は、層間絶縁材として感光性を付与した熱硬化性樹脂を用いた例である。
(A)層間絶縁材用フィルムの作製
(1) DMDG(ジメチルグリコールジメチルエーテル)に溶解したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を56重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名「2E4MZ-CN」)2重量部、感光性モノマーであるカプロラクトン変成トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成製、商品名「アロニックスM315」 )4重量部、光開始剤(チバガイギー社製、商品名「イルガキュア907」 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、商品名「DETX−S」)0.2 重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練してフィルム前駆体を得た。
(2) このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の42〜45μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
(B)スルーホール充填用樹脂組成物の調製
上記実施例13と同様なスルーホール充填用樹脂組成物を調製した。
(C)多層プリント配線板の製造
(1) 実施例13の(1)〜(6)と同様の工程を実施した。
(2) 次に、配線パターン形成用溝122およびバイアホール形成用溝124を形成した層間絶縁層の全面に、1500mJ/cmの紫外線を照射して、層間絶縁層112を光硬化し、その後、150℃で3時間熱処理を行なって層間絶縁層112を完全に硬化させた。
(3) 上記(2)で得た基板1を、60g/lの過マンガン酸を含む70℃の溶液に10分間浸漬して、層間絶縁層112の表面(溝の側壁・底壁を含む)を粗化した(粗化面の図示は省略)。
(4) 実施例13の(9)〜(19)と同様の工程を実施して、多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、層間絶縁材として熱硬化性樹脂に鱗片状粒子を混合したものを用いた例であり、層間絶縁材を以下の(A)〜(C)の工程で作製した層間絶縁層用フィルムを用いた以外は、実施例13と同様に多層プリント配線板を製造した。
(A)鱗片状粒子含有混練物の作製
メチルエチルケトン(以下、「MEK」と言う)20gとキシレン80gの混合溶媒中に、鱗片状粒子(株式会社ホージュン社製 商品名「エスベンC」、分散時のアスペクト比:〜500、結晶サイズ:〜0.5μm)を15g添加し、三本ローラで混練して鱗片状粒子含有混練物とした。
(B)エポキシ含有溶液の作製
MEK6.8gとキシレン27.2gの混合溶媒に、固形エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、商品名「エピコート1007」)85gを添加、混合してエポキシ含有溶液とした。
(C)層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製
前記(A)で作製した鱗片状粒子含有混練物と、前記(B)で作製したエポキシ含有溶液と、硬化剤としてのジシアンジアミド(ビィ・ティ・アイ・ジャパン社製、商品名「CG−1200」、固形エポキシ分100gに対して3.3g)と、硬化触媒(四国化成社製、商品名「キュアゾール2E4HZ」、固形エポキシ分100gに対して3.3g)とを、硬化後の層間絶縁層において鱗片状粒子が20wt%になるように調合し、三本ローラで混練して接着剤溶液を得た。
この接着剤溶液を、ロールコータ(サーマトロニクス貿易社製)を使用して、ポリエチレンテレフタレートのシート上に塗布し、その後、160℃、5分間の条件で加熱乾燥し、溶媒を除去することによって、厚みが40μmの絶縁性フィルムを作製した。
透過型電子顕微鏡を用いて5万〜10万倍で、分散時での最小結晶サイズを観察したところ、0.1μmであったので、本実施例でのアスペクト比は100〜500となる。
この実施例は、層間絶縁材として熱硬化性樹脂を用い、モールドの形状を層間絶縁層に転写する工程と熱硬化処理工程とを連続で処理する例である。
(A)層間絶縁材用フィルムの作製
上記実施例13と同様に、層間絶縁層用樹脂フィルム層を作製した。
(B)スルーホール充填用樹脂組成物の調製
上記実施例13と同様に、スルーホール充填用樹脂組成物を調製した。
(C)多層プリント配線板の製造
(1) 実施例13の(1)〜(5)と同様の工程を実施した。
(2) 次に、上層の導体回路に相当する配線パターンおよびバイアホールを形成するための凸部114および116を有するモールド120を作製し(図11(a)参照)、そのモールド120を層間絶縁層12に最低溶融粘度を示す温度±10℃内で、0.8MPaの圧力で3分間押し付けて挿入し(図11(b)参照)、そのままの状態で昇温して最低溶融粘度を示す温度+30℃の時点で、モールド120を層間絶縁層112から取り外した(図11(c)参照)。
上記モールド120の形状については、実施例1と同様であり、そのモールド120にテストパターン用の溝に相当する凸部を形成したことも同様である。
(3) 実施例1の(7)〜(14)と同様の工程を実施した。
(4) 次いで、さらに上層の導体回路に相当する配線パターンおよびバイアホールを形成するための凸部142および144を有する別のモールド140を作製し(図12(c)参照)、そのモールド140を層間絶縁層138に最低溶融粘度を示す温度±10℃内で、110℃で、0.8MPaの圧力で3分間押し込んで圧入し(図13(a)参照)、そのままの状態で昇温して最低溶融粘度を示す温度+30℃の時点で、モールド140を層間絶縁層138から取り外した(図13(b)参照)。
上記モールド140の形状については、実施例1と同様であり、そのモールド140にテストパターン用の溝に相当する凸部を形成したことも同様である。
(5) 実施例13の(16)〜(19)と同様の工程を実施して、多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、層間絶縁材として熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂に粗化液に対して可溶な粒子を混合したものを用いた例である。
(A)層間絶縁層用フィルムの作製
(1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名「EOCN-104S」 、エポキシ当量220 、分子量5000)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名「Victrex」 、分子量17000 )40重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名「2E4MZ-CN」)5重量部、エポキシ樹脂微粒子(東レ製、商品名:トレパール、平均粒径1.0μm)15重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整してフィルム前駆体を作製した。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の50μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
(B)
上記実施例13と同様に、スルーホール充填用樹脂組成物を調製した。
(C)多層プリント配線板の製造
(1)実施例13の(1)〜(7)と同様の工程を実施した。
(2)次に、層間絶縁層112を完全に硬化させてなる基板100を、800g/lのクロム酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬して、層間絶縁層112の表面(溝122、124の内壁を含む)を粗化した(粗化面の図示は省略)。
(3)実施例13の(9)〜(19)と同様の工程を実施して、多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、層間絶縁材として熱硬化性樹脂に粗化液に可溶な粒子と鱗片状粒子とを混合したものを用いた例である。
(A) 層間絶縁層用フィルムの作製
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−1001」)40重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−154」)60重量部と、イミダゾール型硬化剤(四国化成製、商品名「2PHZ」)5重量部と、膨潤性フッ素マイカ粒子(コープケミカル社製、商品名「MAE−100」、平均長さ:0.2μm、平均厚み:0.003μm)20wt%と、平均粒子1μmのSiO粒子20重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練してフィルム前駆体を得た。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の50μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
(B)スルーホール充填用樹脂組成物の調製
上記実施例13と同様に、スルーホール充填用樹脂組成物を調製した。
(C)多層プリント配線板の製造
(1)実施例13の(1)〜(7)と同様の工程を実施した。
(2)次に、層間絶縁層112を完全に硬化させてなる基板100を、60g/lの過マンガン酸を含む70℃の溶液に10分間浸漬して、層間絶縁層112の表面(溝122、124の内壁面を含む)を粗化した(粗化面の図示は省略)。
(3)実施例13の(9)〜(19)と同様の工程を実施して、多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、層間絶縁材として、光硬化性を付与した熱硬化性樹脂に鱗片状粒子を混合したものを用いた例であり、層間絶縁材を以下の(A)〜(C)の工程で作製した層間絶縁層用フィルムを用いた以外は、実施例15と同様に多層プリント配線板を製造した。
(A)鱗片状粒子含有混練物の作製
メチルエチルケトン(以下、「MEK」と言う)20gとキシレン80gの混合溶媒中に、鱗片状粒子(株式会社ホージュン社製 商品名「エスベンC」、分散時のアスペクト比:〜500、結晶サイズ:〜0.5μm)を15g添加し、三本ローラで混練して鱗片状粒子含有混練物とした。
(B)エポキシ含有溶液の作製
(1) DMDG(ジメチルグリコールジメチルエーテル)に溶解したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を56重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名「2E4MZ-CN」)2重量部、感光性モノマーであるカプロラクトン変成トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成製、商品名「アロニックスM315」 )4重量部、光開始剤(チバガイギー社製、商品名「イルガキュア907」 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、商品名「DETX−S」)0.2 重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整した。
(C)層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製
前記(A)で作製した鱗片状粒子含有混練物と、前記(B)で作製したエポキシ含有溶液と、硬化剤としてのジシアンジアミド(ビィ・ティ・アイ・ジャパン社製、商品名「CG−1200」、固形エポキシ分100gに対して3.3g)と、硬化触媒(四国化成社製、商品名「キュアゾール2E4HZ」、固形エポキシ分100gに対して3.3g)とを、硬化後の層間絶縁層において鱗片状粒子が20wt%になるように調合し、三本ローラで混練して接着剤溶液を得た。
この接着剤溶液を、ロールコータ(サーマトロニクス貿易社製)を使用して、ポリエチレンテレフタレートのシート上に塗布し、その後、160℃、5分間の条件で加熱乾燥し、溶媒を除去することによって、厚みが40μmの絶縁性フィルムを作製した。
この実施例は、層間絶縁材として熱硬化性樹脂に鱗片状粒子を混合したものを用いた例であり、実施例16の(C)に記載の鱗片状粒子の調合量を3wt%にした以外は、実施例16と同様にして多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、実施例21と同様に、層間絶縁材として、実施例16の(C)に記載の鱗片状粒子の調合量を5wt%にした以外は、実施例16と同様にして多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、実施例21と同様に、層間絶縁材として、実施例16の(C)に記載の鱗片状粒子の調合量を35wt%にした以外は、実施例16と同様にして多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、実施例21と同様に、層間絶縁材として、実施例16の(C)に記載の鱗片状粒子の調合量を50wt%にした以外は、実施例16と同様にして多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、実施例21と同様に、層間絶縁材として、実施例16の(C)に記載の鱗片状粒子の調合量を55wt%にした以外は、実施例16と同様にして多層プリント配線板を製造した。
この実施例は、層間絶縁材として粗化液に可溶性の粒子(平均粒径1μmのSiOを5重量部)を熱硬化性樹脂に混合したものを用いた例であり、実施例18の(A)に記載の層間絶縁層用フィルムを以下のようにして作製し、粗化液としてフッ酸を用いた以外は、実施例18とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A) 層間絶縁層用フィルムの作製
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:E−1001)40重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−154」)60重量部と、イミダゾール型硬化剤(四国化成製、商品名「2PHZ」)5重量部と、平均粒径1μmのSiO粒子5重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練してフィルム前駆体を得た。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の42〜45μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
この実施例は、層間絶縁材として粗化液に可溶性の粒子(平均粒径1μmのSiOを10重量部)を熱硬化性樹脂に混合したものを用いた例であり、実施例26の(A)に記載の層間絶縁層用フィルムを以下のようにして作製した以外は、実施例26とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A) 層間絶縁層用フィルムの作製
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−1001」)40重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−154」)60重量部と、イミダゾール型硬化剤(四国化成製、商品名「2PHZ」)5重量部と、平均粒径1μmのSiO粒子10重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練してフィルム前駆体を得た。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の42〜45μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
この実施例は、層間絶縁材として粗化液に可溶性の粒子(平均粒径1μmのSiOを70重量部)を熱硬化性樹脂に混合したものを用いた例であり、実施例26の(A)に記載の層間絶縁層用フィルムを以下のようにして作製した以外は、実施例26とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A) 層間絶縁層用フィルムの作製
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−1001」)40重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−154」)60重量部と、イミダゾール型硬化剤(四国化成製、商品名「2PHZ」)5重量部と、平均粒径1μmのSiO粒子70重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練してフィルム前駆体を得た。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の42〜45μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
この実施例は、層間絶縁材として粗化液に可溶性の粒子(平均粒径1μmのSiOを100重量部)を熱硬化性樹脂に混合したものを用いた例であり、実施例26の(A)に記載の層間絶縁層用フィルムを以下のようにして作製した以外は、実施例26とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A) 層間絶縁層用フィルムの作製
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−1001」)40重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−154」)60重量部と、イミダゾール型硬化剤(四国化成製、商品名「2PHZ」)5重量部と、平均粒径1μmのSiO粒子100重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練してフィルム前駆体を得た。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の42〜45μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
この実施例は、層間絶縁材として粗化液に可溶性の粒子(平均粒径1μmのSiOを3重量部)を熱硬化性樹脂に混合したものを用いた例であり、実施例26の(A)に記載の層間絶縁層用フィルムを以下のようにして作製した以外は、実施例26とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A) 層間絶縁層用フィルムの作製
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−1001」)40重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−154」)60重量部と、イミダゾール型硬化剤(四国化成製、商品名「2PHZ」)5重量部と、平均粒径1μmのSiO粒子3重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練してフィルム前駆体を得た。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の42〜45μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
この実施例は、層間絶縁材として粗化液に可溶性の粒子(平均粒径1μmのSiOを105重量部)を熱硬化性樹脂に混合したものを用いた例であり、実施例26の(A)に記載の層間絶縁層用フィルムを以下のようにして作製した以外は、実施例26とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
(A) 層間絶縁層用フィルムの作製
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−1001」)40重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名「E−154」)60重量部と、イミダゾール型硬化剤(四国化成製、商品名「2PHZ」)5重量部と、平均粒径1μmのSiO粒子105重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)30.0重量部を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練してフィルム前駆体を得た。
(2)このフィルム前駆体をロールコータ(サーマトロニクス貿易製)を使用して、ポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の42〜45μm厚のフィルム上に塗布し、その後、80℃で2時間、120 ℃で5時間、150 ℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
層間絶縁層フィルムを、実施例1の(A)鱗片状粒子含有混練物の作製、(B)エポキシ含有溶液の作製、(C)層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製にしたがって作製した以外は、実施例13とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
層間絶縁層フィルム作製に当たり、鱗片状粒子に実施例9のミクロマイカMK-100Fを用い、実施例5の絶縁性フィルムの作製にしたがって作製した以外は、実施例13とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
層間絶縁層フィルム作製に当たり、鱗片状粒子として実施例10のオルガナイトDを用い、実施例1の(A)鱗片状粒子含有混練物の作製、(B)エポキシ含有溶液の作製、(C)層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製にしたがって作製した外は、実施例13とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
層間絶縁材として、実施例11の層間絶縁層用フィルムを用いた以外は、実施例13とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
層間絶縁材とてし、実施例12の層間絶縁層用フィルムを用いた以外は、実施例13とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
実施例32において、信号回路に相当するモールドの凸部を変更し、信号回路を全てL/S=5/5μmで作製した以外は、実施例32とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
実施例32において、信号回路に相当するモールドの凸部を変更し、信号回路を全てL/S=12.5/12.5μmで作製した以外は、実施例32とほぼ同様にして多層プリント配線板を製造した。
比較例2
この比較例は、層間絶縁材として熱可塑性樹脂であるPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いた例であり、図10〜図14に示される実施例13とほぼ同様の工程にしたがって製造された。
(A)層間絶縁層用フィルムの作製
PMMAをポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の40〜45μm厚のフィルム上に塗布し、その後、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
(B)スルーホール充填用樹脂組成物の調製
上記実施例13と同様なスルーホール充填用樹脂組成物を調製した。
(C)多層プリント配線板の製造
(1) 実施例13の(1)〜(4)と同様の工程を実施した。
(2) 下層導体回路間の隙間とスルーホール内に充填用樹脂組成物を充填し、平坦化した基板表面に対して、上記(A)で作製したPMMAフィルムを、温度160℃、圧力1MPaで真空圧着ラミネートして貼付け、層間絶縁層112を形成した(図10(e)参照)。
(3) 次いで、上層の導体回路に相当する配線パターンおよびバイアホールを形成するための凸部を有するモールド120を、実施例13と同様に作製し(図11(a)参照)、そのモールド120をPMMAからなる層間絶縁層112に温度210℃で、14.2MPaにて3分間押し込んで圧入し(図11(b)参照)、その後冷却して、150℃の時点でモールド120を層間絶縁層112から取り外した。(図11(c)参照)。
上記モールド120の形状については、実施例13と同様であり、そのモールド120にテストパターン用の溝に相当する凸部を形成したことも同様である。
(4) 実施例13の(8)〜(13)と同様の工程を実施した。
(5) 次に、前記(4)で得た基板100に対して、上記(A)で作製した層間絶縁材用樹脂フィルムを、温度160℃、圧力1MPaで真空圧着ラミネートして貼付け、層間絶縁層138を形成した(図12(b)参照)。
(6)次いで、更に上層の導体回路に相当する配線パターンおよびバイアホールを形成するための凸部を有する別のモールド140を、上記(3)と同様にして作製し(図12(c)参照)、そのモールド140を温度210℃で、14.2MPaにて3分間押し込んで圧入し(図13(a)参照)、その後冷却して、150℃の時点でモールド140をPMMAからなる層間絶縁層138から取り外した。(図13(b)参照)。
なお、ここでも、接続抵抗が測定できるように、バイアホールを介した連続するパターンを形成するための溝に相当する凸部をモールドに形成した。
実施例13の(16)〜(19)と同様の工程を実施して、多層プリント配線板を製造した。
参考例3
層間絶縁用フィルムの作製は、鱗片状粒子として三洋貿易社製、商品名「ポリフィルDL」、アスペクト比:7〜10)を用い、実施例5に記載の方法で作製した。それ以外は実施例13と同様にしてプリント配線板を製造した。
参考例4
層間絶縁用樹脂フィルムの作製は、鱗片状粒子として、コープケミカル株式会社製、商品名「ソマシフMPE」(アスペクト比:5000〜7000、平均粒径:5〜7μm、膨潤性粒子)を用い、実施例1の(A)鱗片状粒子含有混練物の作製、(B)エポキシ含有溶液の作製、(C)層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製にしたがって作製した。それ以外は実施例13と同様にしてプリント配線板を製造した。
比較例3
絶縁性フィルムの作製は、鱗片状粒子を用いることなく、株式会社アドマッテクス社製、商品名「SO-E6」の球状シリカ粒子を用い、実施例5に記載の方法で作製した。それ以外は実施例13と同様にしてプリント配線板を製造した。
比較例4
比較例3において、信号回路に相当するモールドの凸部を変更し、信号回路を全てL/S=5/5μmで作製した。
比較例5
比較例3において、信号回路に相当するモールドの凸部を変更し、信号回路を全てL/S=12.5/12.5μmで作製した。
以上説明したような実施例13〜38、参考例3〜4および比較例2〜5にしたがって製造した多層プリント配線板について、絶縁抵抗、接続抵抗、配線パターンの仕上がり精度およびICの誤動作等の電気的特性の評価を行うに先立って、本発明において層間絶縁材として用いる、鱗片状粒子を混合した熱硬化性樹脂の粘度を、比較例2で用いたPMMAの粘度と比較する試験を、以下の手順にしたがって実施した。
(温度依存性)
(1) まず、上記実施例16の(C)で作製した層間絶縁層用樹脂フィルム(エポキシ樹脂に鱗片状粒子を混合させたもの)を、粘度測定用サンプルとして30mmφに切り出し、その切り出したサンプルを4℃/分で昇温しながら、樹脂の粘度を測定した(測定装置名:アレス、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)。
(2) 次に、上記比較例2で用いたPMMAをポリメチルペンテン(TPX)(三井石油化学工業製、商品名「オピュランX−88」、軟化点180℃)製の50μm厚のフィルム上に塗布し、その後、乾燥硬化させて厚さ40μmの層間絶縁層用樹脂フィルム層を形成した。
(3) 上記(2)で形成した層間絶縁層用フィルムから、粘度測定用サンプルとして、30mmφに切り出し、その切り出したサンプルを4℃/分で昇温しながら、樹脂の粘度を測定した(測定装置名:アレス、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)。これらの試験結果を、図15に示す。
この図から、比較例に用いた熱可塑性樹脂は、熱を加えると軟化しかしないが、実施例16で用いた樹脂は、軟化点を通過して、さらに熱を加えると完全硬化することがわかる。従って、実施例16のような樹脂を用いれば、多層化時の熱工程でも軟化しないので、多層化が可能なことが確認された。
(圧力依存性)
(1) 先ず、上記実施例16の(C)で作製した層間絶縁層用樹脂フィルムから、粘度測定用サンプルとして、30mmφに切り出し、その切り出したサンプルに加える圧力を変化させて、樹脂の粘度の変化を測定した。
(2) 実施例13の(A)で作製した層間絶縁層用樹脂フィルムから、粘度測定用サンプルとして、30mmφに切り出し、切り出したサンプルに加える圧力を変化させて、樹脂の粘度の変化を測定した。
これらの試験結果を、図16に示す。
この図からわかることは、鱗片状粒子を樹脂に混合すると、外力が加わっていないときは、粘度が高く(形状を保持し易い)、外力を加えると粘度が低下するので、樹脂層にモールドを圧入する際の圧力を低下させることができる。つまり、インプリント法に適した材料であることが確認された。
次に、上記実施例13〜31および比較例2にしたがって製造した多層プリント配線板について、熱硬化樹脂等からなる層間絶縁層にモールドを用いて形成した櫛歯パターンの絶縁抵抗、バイアホールを含んだ配線パターンの接続抵抗および配線パターンの仕上がり精度を調べる試験を実施した。これらの試験結果の全体的な評価を、(表5)に示す。絶縁抵抗および接続抵抗については、目標値よりも優れている場合には○、劣っている場合には×で示し、仕上がり精度については、モールドの凸部寸法からのズレが2μm以内である場合には○、それ以外の場合には×で示した。
表5から理解されるように、熱硬化樹脂等からなる層間絶縁層にモールドを用いて配線パターンを形成する本発明にかかる多層プリント配線板が、絶縁抵抗、接続抵抗および配線パターンの仕上がり精度のすべてにおいて、熱可塑性樹脂単独からなる樹脂絶縁層にモールドを用いて配線パターンを形成する従来技術にかかるパターン形成方法よりも格段に優れていることが確認された。
以下、絶縁抵抗、接続抵抗および仕上がり精度を調べる試験およびそれらの結果について、詳細に説明する。実施例13〜31および比較例2については、絶縁抵抗および接続抵抗を調べるための試験を実施すると共に、実施例13〜25および比較例2については、配線パターンの仕上がり精度を調べるための試験を実施し、更に、実施例16および比較例2については、モールドの寿命を調べる試験を実施した。
Figure 2006100463
(A)評価試験1:絶縁抵抗
実施例13〜31および比較例2について、櫛歯パターンのL/S毎(5/5、7.5/7.5、10/10、12.5/12.5、15/15μm)に対応したモールドを用いて製造した多層プリント配線板の初期値絶縁抵抗を、それぞれ測定したのち、HAST試験(高温・高湿・バイアス試験:85℃/85%/3.3V)に投入し、50時間後、100時間後、150時間後、200時間後の絶縁抵抗をそれぞれ測定した。
但し、実施例26〜31については、L/S=5/5μmのみに対応したモールドを用いて製造した多層プリント配線板について測定した。
これらの測定結果を(表6)〜(表10)に示す。ここで、HAST試験後の絶縁抵抗が、10Ω以上の場合は○、10Ω未満の場合には×とする。なお、50時間後の測定値が10Ω以上であることが絶縁抵抗についての目標値である。
Figure 2006100463
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Figure 2006100463
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上記評価試験1の結果から、実施例13〜31のすべてが、線幅/線間距離に無関係に、目標値である50時間後の絶縁抵抗10Ωを超えているが、比較例2では目標値未満であることが確認された。特に、線幅/線間距離が15/15μmである場合には、実施例13〜25について、200時間後の絶縁抵抗も目標値である10Ωを超え、線幅/線間距離が10/10μmである場合には、実施例15〜17および実施例19〜25について、100時間後の絶縁抵抗も目標値である10Ωを超えていることがわかる。
すなわち、層間絶縁材料として熱硬化性樹脂だけでなく、それに光硬化成分を少なくとも含有させた実施例15および20、層間絶縁材料として熱硬化性樹脂を用い、モールド形状の転写工程と熱硬化工程とを連続で処理した実施例17、熱硬化性樹脂に鱗片状粒子を少なくとも含有させた実施例16、19〜25では、絶縁抵抗が極めて優れていることがわかった。
したがって、本発明にかかる多層プリント配線板は、配線パターン間の絶縁性が、従来例に比べて大幅に優れていることが確認された。
(B)評価試験2:接続抵抗
実施例13〜31および比較例2について、バイアホールを介した連続する続抵抗評価用パターン(第8パターン)の初期値接続抵抗を測定したのち、ヒートサイクル試験(―55℃*5分⇔120℃*5分)に投入し、500サイクル、1000サイクル、1500サイクル、2000サイクル後の接続抵抗をそれぞれ測定した。
これらの測定結果を(表11)に示す。ここで、ヒートサイクル試験後の接続抵抗のシフト量が±5%以内である場合には〇、絶対値で5%を超え10%以内のものを△、±10%を超えた場合には×とした。なお、1000サイクル後、接続抵抗のシフト量が±10%以内であることが、接続抵抗の目標値である。
Figure 2006100463
実施例32〜36、参考例3〜4および比較例3について、第6〜第10の接続抵抗評価用パターンの初期値接続抵抗を測定したのち、ヒートサイクル試験(―55℃*30分⇔120℃*30分)に投入し、1000サイクル後の接続抵抗をそれぞれ測定した。
これらの測定結果を(表12)に示す。ここで、ヒートサイクル試験後の接続抵抗のシフト量が±5%以内である場合には〇、絶対値で5%を超え10%以内のものを△、±10%を超えた場合には×とした。
Figure 2006100463
上記評価試験2の結果から、実施例13〜31について、1000サイクル後の接続抵抗のシフト量が目標値を満たしているのに対して、比較例2については目標値を満たしていないことが確認された。
さらに、3〜50wt%の鱗片状粒子を含んだ熱硬化性樹脂から層間絶縁層を形成した実施例16、19〜24では、1500サイクル後にも接続抵抗のシフト量が±5%以内であり、接続抵抗が極めて優れていることがわかった。そして、実施例13と実施例26〜31の比較から、粗化面形成用粒子を含んだ樹脂で層間絶縁層を形成した多層プリント配線板の接続抵抗は良好であることもわかった。
したがって、本発明にかかる多層プリント配線板は、バイアホールを介した配線パターンの接続性が、従来例に比べて大幅に優れていることが確認された。
なお、上記実施例13、16、21〜25について、熱硬化性樹脂に含まれる鱗片状粒子の配合量(wt%)と、HAST試験100時間後のL/S=5/5μmの櫛歯パターンの絶縁抵抗と、1500サイクル後の接続抵抗評価用パターンの接続抵抗変化量との関係を図17に示す。
この図から分るように、鱗片状粒子の配合量が、3〜50wt%の範囲内である場合には、プリント配線板に要求される絶縁信頼性と接続信頼性を共に満足することが確認された。鱗片状粒子が多くなり50wt%を超えると線間絶縁が規格を下回っているが、これは層間絶縁層表面の粗度が大きくなりすぎて絶縁間隔が不十分となった。あるいは、鱗片状粒子の量が多すぎて、モールド圧入時に粒子が樹脂を過剰に押し、線間が狭くなったのではないかと推察される。一方、鱗片状粒子の配合量が、3wt%未満では、層間絶縁層の溝形状の保持が悪くなり、線間が狭くなったため、絶縁抵抗が低下しているものと推察される。また、接続抵抗に関しては、3wt%未満では、層間絶縁層表面の粗度が小さくなって、バイアホールが層間絶縁層から剥離したためと推察される。一方、50Wt%を超えると、バイアホールの底部に粒子が残渣として残り、バイアホール(図12(a)で符号134で示す)とバイアホールのパッド(図12(a)で符号104で示す)との間で剥離が生じたためと推察される。
また、表12に示す結果から、バイアホールを介した接続抵抗信頼性は、層間絶縁層に分散されている粒子の形状により差が生じることが判明し、球状粒子よりは鱗片状粒子が好適であることが判明した。また、バイアホール径が微細化してくると、さらに鱗片状粒子のアスペクト比が有意になり100〜500が好適であることがわかった。そして、30μmΦの結果から、層間絶縁層の樹脂が低極性であると、バイアホール接続信頼性がさらに向上することがわかった。これは、樹脂が低極性のため、粒子が均一に分散し偏在しなくなるためと推察される。偏在した部位の層間絶縁材にモールドを圧入すると、バイアホールの底部に粒子が残存しやすくなったり、層間絶縁層の熱膨張係数にバラツキが生じるためと考えられる。
(C)評価試験3:仕上がり寸法(精度)
実施例13〜25、および比較例2について、L/S=15/15μmに対応したモールドを用いて多層プリント配線板を製造した後に、目盛り付顕微鏡を用いて断面観察を行ない、実際に仕上った配線パターンの線幅および線間距離(L/S)を1000倍の倍率にて測定した。これらの測定結果を(表13)に示す。
上記評価試験3の結果から、各実施例13〜25の全てについて、L/S仕上がり寸法は、モールド寸法である15μm/15μmからのズレが2μm以内であり、特に、鱗片状粒子を混合した熱硬化性樹脂から層間絶縁層を形成した場合には、そのズレが1μm以内であり、非常に優れた仕上がり精度が得られた。
上記(A)〜(C)の電気的特性に関する各評価試験に加えて、本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法に用いられるモールドの寿命と、従来技術によるパターン形成方法で用いられるモールドの寿命とを比較する試験を、以下の手順によって行った。
Figure 2006100463
(実施例16によるモールドの寿命)
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂からなる絶縁性基板の両面に12μmの銅箔がラミネートされている銅張積層板を出発材料として用いた。
(2)上記基板を黒化処理した。
(3)上記基板に実施例16の(A)で作製した層間絶縁層用フィルムをラミネートした。
(4)上記(1)〜(3)の工程により作製した基材を100枚準備し、これらの基材に通し番号で1〜100までの番号を付けた。
(5)上記(4)で準備した基材から1と記載がある基材を取りだし、層間絶縁層に、L/S=15/15μmであるような配線パターンを形成するような凸部(突出量:20μm)を有するモールド(ニッケル製)を温度100℃、圧力0.8MPaで3分押し込んで圧入し、70℃まで冷却して、モールドをフィルム層から取り外した。
(6)その後、同一のモールドを使って、基材番号2から基材番号100まで順次に、上記(5)と同一条件にて、層間絶縁層にパターン形成した。
(7)パターン形成後、基材番号1、10、20、・・・90、100の基材について、顕微鏡を用いた断面観察を行ない、層間絶縁層に転写されたパターンのL/Sを測定した。
これらの結果を(表14)に示す。
Figure 2006100463
(比較例2によるモールドの寿命)
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂からなる絶縁性基板の両面に12μmの銅箔がラミネートされている銅張積層板を出発材料として用いた。
(2)上記基板を黒化処理した。
(3)上記基板に比較例2で用いたPMMAフィルムを貼付した。
(4)上記(1)〜(3)の工程で形成される基材を100枚準備し、これらの基材に通し番号で1〜100までの番号を付けた。
(5)上記(4)で準備した基材から、基材番号1の基材を取りだし、層間絶縁層に、L/S=15/15μmであるような配線パターンを形成するような凸部(突出量:20μm)を有するモールド(ニッケル製)を温度210℃、圧力14.2MPaにて3分間押し込んで圧入し、その後冷却して、150℃の時点でモールドを取り外した。
(6)その後、同一のモールドを使って、基材番号2から基材番号100まで順次、(4)と同一条件にて、層間絶縁層にパターン形成した。
(7)パターン形成後、基材番号1、10、20、・・・90、100の基材に対して、顕微鏡を用いた断面観察を行い、層間絶縁層に転写されたパターンのL/Sを測定した。
これらの結果を(表14)に示す。
上記比較試験の結果から明らかなように、比較例2のようなPMMA(熱可塑性樹脂)から層間絶縁層を形成した場合には、モールドを挿入する際の樹脂温度(210℃)や、圧力(14.2MPa)が、実施例16に比べて大幅に高いので、モールドに形成された凸部が、インプリントによって押し潰されることが確認された。特に、比較例2で用いたモールドは、100回のインプリントによって、仕上がり線幅がほぼ10μmも太くなるほど押し潰され、これに対して、実施例16で用いたモールドでは、仕上がり線幅が0.2μmしか太くなっていない。即ち、モールドの凸部の形状変化が従来のような方法に比べて著しく小さいので、モールドの長寿命化を図ることができるということがわかった。
(高速伝送評価)
実施例37〜38、比較例4〜5で作製したそれぞれのプリント配線板に、表15に示すような駆動周波数およびFSB(フロントサイド・バス)を有する5種類のICチップ(以下、「ICチップNo.1〜No.5」という)のいずれかを搭載し、以下のような試験を行った。
ICチップの信号電極と繋がっているプリント配線板の裏面の端子(入力端子;例えば、図13(d)中で符号148で示す)にテスト信号を入力し、その入力端子からプリント配線板のバイアホール、スルーホールを含む信号回路→ICチップ→プリント配線板のバイアホール、スルーホールを含む信号回路を通って裏面の端子(出力端子:例えば、図13(d)中の146)に到達した出力を、パルス・パターン・ジェネレータ/エラー・ディテクタ(例えば、アドバンテスト社製:商品名「D3186/3286」)を用いて測定した。その測定結果を、表16に示す。誤動作が観察された場合は×、誤動作が観察されなかった場合は○とした。
Figure 2006100463
Figure 2006100463
(表16)に示される結果より、燐片状粒子を分散してなる層間絶縁層に回路形成したプリント配線板では、いずれのICチップでも誤動作が観察されなかった。その理由は、回路の寸法精度が優れているためインピーダンス整合に優れているため、あるいは、各信号回路の抵抗値がほぼ同一となり信号伝送速度がほぼ同一となるためと推察している。または、信号回路間にあらゆる方向を向く燐片状粒子が存在しているためにクロストークが起こりにくいのではないかと推察している。この結果を基にシュミレーションを行ったが、本発明の層間絶縁層を用いれば少なくともFSBが10GHzのICチップまでは誤動作が発生しないという結果が得られた。
以上説明したように、本発明は、硬化樹脂中に鱗片状粒子を分散させてなるプリント配線板用の層間絶縁層であり、耐熱性、電気絶縁性、放熱性、接続信頼性および化学的安定性を低下させることなく、耐ヒートサイクル性および実装信頼性に優れたプリント配線板を提供する。また、本発明にかかる多層プリント配線板は、配線パターンやバイアホールの形成に光学的な転写方法や煩雑なエッチング処理を用いることなく、配線パターンに対応する凸部を有するモールドを用いたインプリント法により製造され、層間絶縁層内に配線パターンやバイアホールを容易かつ正確に転写できるので、絶縁信頼性や層間接続性に優れると共に配線パターンが微細化された多層プリント配線板を極めて容易にしかも低コストで大量生産するのに好適である。
(a)〜(e)は、本発明の実施例1にかかる多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 (a)〜(d)は、同じく、実施例1にかかる多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 (a)〜(c)は、同じく、実施例1にかかる多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 (a)〜(c)は、同じく、実施例1にかかる多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 5(a)〜(d)は、同じく、実施例1にかかる多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 (a)〜(d)は、同じく、実施例1にかかる多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 7(a)〜(d)は、同じく、実施例1にかかる多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 本発明の実施例1にかかる多層プリント配線板を示す図である。 本発明の実施例1にかかる多層プリント配線板にICチップが実装された状態を示す図である。 (a)〜(e)は、本発明の実施例13にかかる多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の実施例13にかかる多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施例13にかかる多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の実施例13にかかる多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。 本発明の実施例13にかかる多層プリント配線板を示す図である。 鱗片状粒子を混合した熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂(PMMA)の各粘度の温度依存性を示す図である。 鱗片状粒子を混合した熱硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂単独の各粘度の圧力依存性を示す図である。 熱硬化樹脂に混合される鱗片状粒子の配合量(wt%)と、HAST試験100時間後のL/S=5/5μmの櫛歯パターンの絶縁抵抗と、1500サイクル後のバイアホールを介した連続パターンの接続抵抗変化量との関係を示す図である。 同一モールドの使用回数(インプリント回数)と配線パターンの仕上がり幅の関係を示す図である。 (a)〜(c)は、従来のインプリント法による配線パターン形成方法を説明する図である。
符号の説明
10 金属層
12 開口
14 樹脂絶縁層
15 導体層
16 内層の導体回路
18 樹脂絶縁層
20 外層の導体回路
21 貫通孔
22 めっき膜
24 樹脂充填材
26 めっきスルーホール
28 蓋めっき層
30 外層の導体回路
32 多層コア基板
34 粗化層
36 樹脂充填材
40 樹脂フィルム
42 層間絶縁層
44 バイアホール用開口
46 粗化層
50 めっきレジスト
52 電解銅めっき膜
54 導体回路
56 バイアホール
62 上層の導体回路
64 バイアホール
72 はんだバンプ
74 ICチップ
76 チップコンデンサー

Claims (19)

  1. 基体上に形成され、硬化樹脂中に、鱗片状粒子を分散させてなることを特徴とするプリント配線板用層間絶縁層。
  2. 前記鱗片状粒子は、その平均長さが0.01〜3μmの範囲、平均幅が0.01〜3μmの範囲、厚みが0.001〜1μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  3. 前記鱗片状粒子は、その平均長さと平均幅との比が1〜20の範囲であることを特徴とする請求項2に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  4. 前記鱗片状粒子は、そのアスペクト比(粒子の平均長さ/粒子の厚み)が、20〜2000であることを特徴とする請求項2に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  5. 前記鱗片状粒子は、その含有量が、樹脂を含む全体に対して1〜50wt%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  6. 前記鱗片状粒子は、層状珪酸塩の積層体からなり、広角X線回折測定法または透過型電子顕微鏡観察により求めた平均層間距離が3nm以上であり、かつ、前記積層体の一部または全部が5層以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  7. 前記樹脂は、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  8. 前記熱硬化性樹脂は、少なくともエポキシ基含有化合物と硬化剤とからなることを特徴とする請求項7に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  9. 前記エポキシ基含有化合物は、共役ジエン構造を有することを特徴とする請求項8に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  10. 前記硬化剤は、フェノール骨格を有することを特徴とする請求項8に記載のプリント配線板用層間絶縁層。
  11. 基板上に導体回路と層間絶縁層が交互に積層され、各層の導体回路はスルーホールおよび/またはバイアホールを介して互いに電気的に接続されてなるプリント配線板であって、
    前記層間絶縁層が、請求項1〜10のいずれか1項に記載されているものであることを特徴とするプリント配線板。
  12. 基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールとが、これらと鏡像関係にある凸部を有するモールドを用いてインプリント法で形成されてなるプリント配線板において、
    前記層間絶縁層が、請求項1〜10のいずれか1項に記載されたものであることを特徴とするプリント配線板。
  13. コア基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールとが、これらと鏡像関係にある凸部を有するモールドを用いてインプリント法で形成されてなる多層プリント配線板において、
    前記層間絶縁層が、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂によって形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
  14. 前記樹脂中に鱗片状粒子を混合させてなることを特徴とする請求項13に記載の多層プリント配線板。
  15. 絶縁基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールを有する多層プリント配線板の製造に当たり、その製造工程の中に少なくとも下記(1)〜(5)の工程、すなわち、
    (1)熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂からなる液状タイプあるいはドライフィルムタイプの層間絶縁材料を、前記絶縁基板上に塗布し、あるいは貼付して未硬化層間絶縁層を形成する工程、
    (2)前記未硬化層間絶縁層を軟化させ、次いで、前記導体回路およびバイアホールと鏡像関係にある凸部を有するモールドを前記軟化された層間絶縁層に圧入することにより、該層間絶縁層に導体回路形成用凹部およびバイアホール形成用凹部あるいは貫通孔を形成する工程、
    (3)前記軟化された層間絶縁層に形成された前記凹部および/または貫通孔の形状を保持できる程度に、該層間絶縁層の温度を降下あるいは上昇させ、その後、前記モールドを層間絶縁層から取り外す工程、
    (4)前記モールドを取り外した層間絶縁層を加熱処理または紫外線照射した後、さらに加熱処理することによって硬化させ、硬化層間絶縁層とする工程、
    (5)前記硬化層間絶縁層に形成された前記凹部および/または貫通孔内に導電材料を充填することによって、導体回路およびバイアホールを形成する工程、
    を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  16. 前記層間絶縁材料は、前記樹脂に鱗片状粒子を混合させてなることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記工程(4)と工程(5)との間に、前記凹部を形成してなる前記硬化層間絶縁層の表面を粗化液によって粗化して、硬化層間絶縁層表面に粗化層を形成する工程を介在させてなることを特徴とする請求項15または16に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  18. 絶縁基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールを有する多層プリント配線板の製造に当たり、その製造工程の中に少なくとも下記(1)〜(6)の工程、すなわち、
    (1)粗化液に可溶性である樹脂粒子、エラストマー粒子、無機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子を、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂からなる樹脂マトリックス中に分散させてなる、液状タイプあるいはドライフィルムタイプの層間絶縁材料を、前記絶縁基板上に塗布し、あるいは貼付して未硬化層間絶縁層を形成する工程、
    (2)前記未硬化層間絶縁層を軟化させ、次いで、前記導体回路およびバイアホールと鏡像関係にある凸部を有するモールドを前記軟化された層間絶縁層に対して圧入することにより、該層間絶縁層に導体回路形成用凹部およびバイアホール形成用凹部あるいは貫通孔を形成する工程、
    (3)前記軟化された層間絶縁層に形成された前記凹部および/または貫通孔の形状を保持できる程度に、該軟化された層間絶縁層の温度を降下あるいは上昇させ、その後、前記モールドを層間絶縁層から取り外す工程、
    (4)前記モールドを取り外した層間絶縁層を加熱処理または紫外線照射した後、
    さらに加熱処理することによって硬化させ、硬化層間絶縁層とする工程、
    (5)前記硬化層間絶縁層の表面を粗化液によって粗化して、該硬化層間絶縁層表面に粗化層を形成する工程、
    (6)前記硬化層間絶縁層に形成された凹部および/または貫通孔内に導電材料を充填することによって、導体回路およびバイアホールを形成する工程、
    を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  19. 絶縁基板上の層間絶縁層に埋設状態で形成された導体回路およびバイアホールを有する多層プリント配線板の製造に当たり、その製造工程の中に少なくとも下記(1)〜(5)の工程、すなわち、
    (1)熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂、感光性を付与した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂および感光性樹脂から選ばれる少なくとも1の樹脂からなる液状タイプあるいはドライフィルムタイプの層間絶縁材料を、前記絶縁基板上に塗布し、あるいは貼付して未硬化層間樹縁層を形成する工程、
    (2)前記未硬化層間絶縁層を軟化させ、次いで、前記導体回路およびバイアホールと鏡像関係にある凸部を有し、かつ少なくともその凸部の表面に微細な凹凸を有するモールドを、前記軟化された層間絶縁層に対して圧入することにより、該層間絶縁層に、アンカーが形成されてなる導体回路形成用凹部およびバイアホール形成用凹部あるいは貫通孔を形成する工程、
    (3) 前記軟化された層間絶縁層に形成された凹部および/または貫通孔の形状を保持できる程度に、前記層間絶縁層の温度を降下あるいは上昇させ、その後、前記モールドを層間絶縁層から取り外す工程、
    (4)前記モールドを取り外した層間絶縁層を加熱処理または紫外線照射した後、さらに加熱処理することによって硬化させ、硬化層間絶縁層とする工程、
    (5)前記硬化層間絶縁層に形成された凹部および/または貫通孔内に導電材料を充填することによって、導体回路およびバイアホールを形成する工程、
    を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
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