JP2006097508A - ベーン式バキュームポンプ - Google Patents

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Junichi Kawahara
淳一 川原
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Abstract

【課題】 ベーン先端部の耐久性を向上させる。
【解決手段】 略短円柱形状をなすポンプ室12が形成されたハウジング10と、ポンプ室12内に偏心状態で配設されるロータ14と、ロータ14に対して放射状かつ移動可能に取り付けられる複数のベーン16と、を含んで構成され、ロータ14の偏心方向に位置するポンプ室12の内周面12Aに、ポンプ室12の内面及び隣接する2つのベーン16により区画される閉塞空間18に残留する潤滑油を逃がすべく、その周方向に延びる潤滑油逃がし溝20が形成されたベーン式バキュームポンプにおいて、潤滑油逃がし溝20の幅を、ロータ14の回転方向に向けて徐々に狭くする。潤滑油逃がし溝20は、ポンプ室12の周方向に延びる直線に線対称な形状、具体的には、台形形状又は二等辺三角形形状とすればよい。そして、ベーン16とポンプ室12との接触面積を増加させ、ベーン16の面圧上昇を抑制する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、駆動軸と一体的に回転するロータに対して放射状にベーンが取り付けられたベーン式バキュームポンプにおいて、ベーン先端部の耐久性を向上させる技術に関する。
自動車などの車両においては、ブレーキなどの負圧源として、特開平8−14174号公報(特許文献1)に記載されるようなベーン式バキュームポンプが搭載されている。ベーン式バキュームポンプは、略短円柱形状をなすポンプ室内に偏心状態で配設されたロータに放射状の溝を設け、この溝にベーンを移動可能に挿入した構成となっている。そして、ロータが回転すると、遠心力によりベーンがポンプ室内周面に押し付けられてシール機能が発揮されつつ、ポンプ室内面及び隣接する2つのベーンにより区画される閉塞空間の容積が増減することで、空気を吸入,圧縮及び吐出して負圧を発生させる。
このとき、ベーンとポンプ室との間の潤滑は、空気と共に閉塞空間に吸入される潤滑油によって行われる。閉塞空間に吸入された潤滑油は、潤滑に寄与した後、その大部分が空気と共に吐出されるが、その一部が吐出されずに閉塞空間内に残留してしまう。閉塞空間内に潤滑油が残留していると、潤滑油が難圧縮性流体であることから、閉塞空間の内圧が必要以上に上昇してしまうおそれがある。このため、ロータの偏心方向に位置するポンプ室内周面には、閉塞空間に残留した潤滑油を逃がすべく、その周方向に略均一幅で延びる潤滑油逃がし溝が形成されている。
特開平8−14174号公報
ところで、ポンプ室内にロータが偏心状態で配設されているため、その偏心方向に位置するロータの溝では、ベーンの挿入長さが長くなってその内圧が上昇してしまう。このため、ベーンには、ロータ回転によって発生する遠心力に加え、その溝の内圧による力が同一方向に作用する。そして、潤滑油逃がし溝が形成されたポンプ室内周面においては、ベーンとポンプ室内周面との接触面積が小さくなることから、ロータが回転するにつれて、ベーン先端部の面圧が徐々に上昇して摩耗が進行し、その耐久性を低下させてしまうおそれがあった。
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、ポンプ室内周面に形成された潤滑油逃がし溝の形状を見直すことにより、その機能を確保しつつベーン先端部の面圧を低下させて耐久性を向上したベーン式バキュームポンプを提供することを目的とする。
このため、請求項1記載の発明では、略短円柱形状をなすポンプ室が形成されたハウジングと、該ポンプ室内に偏心状態で配設されるロータと、該ロータに対して放射状かつ移動可能に取り付けられる複数のベーンと、を含んで構成され、前記ロータの偏心方向に位置するポンプ室内周面に、該ポンプ室内面及び隣接する2つのベーンにより区画される閉塞空間に残留する潤滑油を逃がすべく、その周方向に延びる潤滑油逃がし溝が形成されたベーン式バキュームポンプにおいて、前記潤滑油逃がし溝の幅を、前記ロータの回転方向に向けて徐々に狭くしたことを特徴とする。
請求項2記載の発明では、前記潤滑油逃がし溝は、前記ポンプ室の周方向に延びる直線に線対称な形状であることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、前記潤滑油逃がし溝は、台形形状又は二等辺三角形形状であることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、エンジン回転などを駆動源としてロータが回転すると、ベーンも一体的に回転して遠心力が作用する。このため、ベーンはロータの半径外方へと移動し、その先端部がポンプ室内周面へと押し付けられ、ベーンとポンプ室との間のシール機能が発揮される。また、ポンプ室に対してロータが偏心状態で配設されているため、ロータの回転に伴って、ポンプ室内面及び隣接する2つのベーンにより区画される閉塞空間の容積が増減する。このため、容積が増減する閉塞空間において空気を吸入,圧縮及び吐出することで、負圧を発生させることができる。
一方、ロータの偏心方向に位置するポンプ室内周面では、潤滑油逃がし溝の幅がロータの回転方向に向けて徐々に狭くなるように形成されているため、ロータが回転するにつれて、ベーンとポンプ室内周面との接触面積が徐々に増加する。このため、ベーン先端部の面圧上昇が抑制されることとなり、その摩耗進行が抑制されて耐久性を向上させることができる。また、ベーンに対する潤滑油逃がし溝が接触する位置が変化するため、例えば、段付き形状にベーン先端部が偏摩耗することも防止できる。
請求項2又は請求項3に記載の発明によれば、潤滑油逃がし溝は、ポンプ室の周方向に延びる直線に線対称な形状、具体的には、台形形状又は二等辺三角形形状をなしているため、潤滑油逃がし溝を容易に形成することができる。
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
図1は、本発明を適用したベーン式バキュームポンプの構成を示す。
ハウジング10の内部には、略短円柱形状をなすポンプ室12が形成される。ポンプ室12には、略短円柱形状をなすロータ14が偏心状態かつ回転自由に配設される。ロータ14の外周面及び両側面には、その駆動軸14Aを中心として略同一角度の位相差をもって放射状に延びる複数の溝14Bが形成される。なお、本実施形態では、溝14Bは、略90°の位相差をもって4つ形成されているが、5つ以上形成するようにしてもよい。ロータ14の溝14Bには、カーボンなどからなる略直方体形状のベーン16が、その長手方向に移動可能な状態で挿入される。また、ハウジング10の周壁には、潤滑油が混入された空気をポンプ室12に吸入するための吸入ポート(図示せず)、並びに、圧縮された空気及び潤滑油を吐出するための吐出ポート(図示せず)が夫々形成されている。
一方、ロータ14の偏心方向、図示のものでは下方に位置するポンプ室12の内周面12Aには、ポンプ室12の内面及び隣接する2つのベーン16により区画される閉塞空間18に残留する潤滑油を逃がすべく、その周方向に延びる潤滑油逃がし溝20が形成される。潤滑油逃がし溝20は、ポンプ室12の周方向に延びる直線に線対称な形状であって、ロータ14の回転方向に向けて徐々に幅が狭くなる形状、具体的には、図2に示すような台形形状、又は、図3に示すような二等辺三角形状に形成される。
次に、かかる構成からなるベーン式バキュームポンプの作用について説明する。
エンジン回転などが駆動軸14Aに伝達されロータ14が回転すると、その溝14Bに挿入されたベーン16も一体的に回転し、ベーン16には遠心力が作用する。このため、ベーン16はロータ14の半径外方へと移動し、その先端部がポンプ室12の内周面12Aへと押し付けられ、ベーン16とポンプ室12との間のシール機能が発揮される。
また、ポンプ室12に対してロータ14が偏心状態で配設されているため、ロータ14の回転に伴って閉塞空間18の容積が増減する。このため、閉塞空間18の容積が増加する位置、即ち、その内圧が負圧になる位置に開口した吸入ポートを介して、潤滑油を混入した空気が吸入される。潤滑油と共に吸入された空気は、閉塞空間18の容積が徐々に減少することで圧縮されつつ、閉塞空間18の容積が最小となる位置に開口した吐出ポートから吐出される。このとき、空気に混入した潤滑油は、ベーン16の先端部とポンプ室12の内周面12Aとの間の潤滑を行い、その大部分が吐出ポートから空気と共に吐出される。また、閉塞空間18に残留した一部の潤滑油は、ポンプ室12の内周面12Aに形成された潤滑油逃がし溝20へと入り込み、閉塞空間18の内圧が必要以上に上昇することが抑制される。そして、ベーン式バキュームポンプは、このような吸気,圧縮及び吐出行程を連続して行うことで、ブレーキなどの負圧源としての負圧を発生させる。
ポンプ室12に対するロータ14の偏心方向に位置するベーン16は、ポンプ室12の内周面12Aとロータ14との間隔が狭まることから、遠心力に抗して半径内方へと押し戻され、ロータ14の溝14Bに対する挿入長さが長くなってその内圧が上昇する。そして、ベーン16には、前述した遠心力に加えて、ロータ14の溝14Bの内圧による力が同一方向に作用し、その先端部における面圧が上昇する。
しかし、潤滑油逃がし溝20は、図2又は図3に示すように、ロータ14の回転方向に向けて徐々に幅が狭くなる形状に形成されているので、ロータ14が回転するにつれて、ベーン16とポンプ室12の内周面12Aとの接触面積が徐々に増加し、その面圧上昇が抑制されることとなる。このため、ベーン16の先端部の摩耗進行が抑制され、その耐久性を向上させることができる。また、ベーン16に対する潤滑油逃がし溝20が接触する位置が変化するため、例えば、段付き形状にベーン16先端部が偏摩耗することも防止でる。なお、潤滑油逃がし溝20の幅が徐々に狭くなっても、ロータ14が回転するにつれて、閉塞空間18に残留する潤滑油量が少なくなるので、潤滑油を逃がす機能が損なわれることはない。
さらに、潤滑油逃がし溝20は、ポンプ室12の周方向に延びる直線に線対称な形状、具体的には、台形形状又は二等辺三角形形状をなしているため、潤滑油逃がし溝20を容易に形成することができる。
本発明を適用したベーン式バキュームポンプの構成図 潤滑油逃がし溝の第1実施形態を示し、(A)は上面図、(B)は断面図 潤滑油逃がし溝の第2実施形態を示し、(A)は上面図、(B)は断面図
符号の説明
10 ハウジング
12 ポンプ室
12A 内周面
14 ロータ
16 ベーン
18 閉塞空間
20 潤滑油逃がし溝

Claims (3)

  1. 略短円柱形状をなすポンプ室が形成されたハウジングと、
    該ポンプ室内に偏心状態で配設されるロータと、
    該ロータに対して放射状かつ移動可能に取り付けられる複数のベーンと、
    を含んで構成され、
    前記ロータの偏心方向に位置するポンプ室内周面に、該ポンプ室内面及び隣接する2つのベーンにより区画される閉塞空間に残留する潤滑油を逃がすべく、その周方向に延びる潤滑油逃がし溝が形成されたベーン式バキュームポンプにおいて、
    前記潤滑油逃がし溝の幅を、前記ロータの回転方向に向けて徐々に狭くしたことを特徴とするベーン式バキュームポンプ。
  2. 前記潤滑油逃がし溝は、前記ポンプ室の周方向に延びる直線に線対称な形状であることを特徴とする請求項1記載のベーン式バキュームポンプ。
  3. 前記潤滑油逃がし溝は、台形形状又は二等辺三角形形状であることを特徴とする請求項2記載のベーン式バキュームポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109406225A (zh) * 2018-12-12 2019-03-01 青岛海颐天仪器有限公司 用于大气中烟气及颗粒物采集的真空采样泵
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