JP2006091163A - プラズマディスプレイパネル用複合機能フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記の条件を満足する反射防止層および近赤外線吸収層を有するプラズマディスプレイパネル用複合機能フィルムを提供する。
(1)反射防止層が、下記(i)および(ii)を有する積層からなる。
(i)導電性金属酸化物粒子と、アルコキシシリル基含有化合物、当該化合物の加水分解物および加水分解縮合物から選ばれる少なくとも一種とを含有する高屈折率層。
(ii)ポリシロキサンセグメントを有するフッ素含有オレフィン系重合体を含有する低屈折率層。
(2)近赤外線吸収層が、ノルボルネン系樹脂を含有する。
【選択図】 なし
Description
PDPに使用されている表示ガラスは、パネル自体の軽量化および薄肉化の要求から、薄肉化の傾向にあり、それに伴い破損しやすくなっている。このためガラスの破損防止や破損時のガラス飛散防止のため、ポリカーボネート製やアクリル製等の保護樹脂層をガラス上に設ける検討がなされている。またその際、保護樹脂層と表示ガラスとの界面で、光の反射によって多重反射像が形成され、画像の二重映りが起こる等素子特性に悪影響が出る場合があるため、二層の間に空隙を設けることにより多重反射を防止することが検討されている。
電磁波シールド材としては、金属ワイヤを格子状に編んだ金属メッシュが知られている。また、ポリエステルフィルム上に、無電解メッキ等の手段によりコーティングした金属メッシュ、あるいは超微細の金属メッシュ膜を形成するものもある。
また、近赤外線遮蔽材としては、ガラス等の透明基材の表面に銀等の金属を蒸着した近赤外線反射材や、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂に近赤外線吸収色素を添加した近赤外線吸収材などが使用されている。
この様に、PDPの前面板には、通常複層からなる機能層が存在するのが近年一般的となってきている。
(1)反射防止層が、下記(i)および(ii)を有する積層からなる。
(i)導電性金属酸化物粒子と、
アルコキシシリル基含有化合物、当該化合物の加水分解物および加水分解縮合物から選ばれる少なくとも一種とを含有する高屈折率層。
(ii)ポリシロキサンセグメントを有するフッ素含有オレフィン系重合体を含有する低屈折率層。
(2)近赤外線吸収層が、ノルボルネン系樹脂を含有する。
また、本発明の複合機能フィルムは、さらに、電磁波シールド層を有することが好ましい。
なお、本発明の複合機能フィルムは、支持フィルム上に、反射防止層および近赤外線吸収層を有する積層が形成されてなることが好ましい。
以下、本発明のプラズマディスプレイパネル用複合機能フィルムを構成する部材および製造方法について詳細に説明する。
本発明を構成する近赤外線吸収層は、ノルボルネン系樹脂を含有することを特徴とする。通常、ノルボルネン系樹脂に近赤外線吸収色素を溶解・分散させた層か、ノルボルネン系樹脂層に近赤外線吸収能を有する薄膜をコーティングした層が用いられる。
ノルボルネン系樹脂および近赤外線吸収色素を含有する層は、ノルボルネン系樹脂および近赤外線吸収色素を溶剤に溶解・分散させた組成物(以下、「特定組成物」ともいう)を調製し、当該組成物から溶剤を除去して溶融成形する方法、または、当該組成物をキャスティング(キャスト成形)する方法により、近赤外線吸収層を製造することができる。
単量体
本発明に用いられるノルボルネン系樹脂としては、下記式(1)で表される少なくとも1種のノルボルネン系化合物(以下、「特定単量体」ともいう)を含む単量体を(共)重合して得られた樹脂が挙げられる。特に、上記ノルボルネン系化合物を含む単量体を開環(共)重合し、さらに水素添加して得られた樹脂が好ましい。
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
さらに、極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基は、色素との過度の相互作用がないので好ましい。すなわち、本発明においては、上記特定単量体として、下記式(2)で表される極性基を1つ有する化合物が、得られる樹脂の耐熱性と吸水(湿)性とのバランスがとりやすく、好ましく用いることができる。
(式(2)中、Rは置換又は非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基を表し、nは0または1〜10の整数を表す。)
なお、前記式(1)において、前記式(2)で表される基が結合した炭素原子に炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基が結合していると、耐熱性と吸水(湿)性のバランスの点で好ましい。
上記具体例のうち、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンまたは8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンが、特定単量体として特に好ましい。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
本発明に用いられるノルボルネン系樹脂の重合方法については、開環重合もしくは付加重合によって重合することができる。このうち、開環重合により得られたノルボルネン系樹脂が好ましく、開環重合し、さらに水素添加して得られた樹脂が特に好ましい。
(A)W、MoおよびReを有する化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、化合物(A)という)と、
(B)デミングの周期律表IA族元素(たとえばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(たとえば、Mg、Caなど)、IIB族元素(たとえば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(たとえば、B、Alなど)、IVA族元素(たとえば、Si、Sn、Pbなど)、またはIVB族元素(たとえば、Ti、Zrなど)を有する化合物であって、この元素と炭素との結合またはこの元素と水素との結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、化合物(B)という)
との組み合わせからなる触媒である。また、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(C)をさらに添加したものであってもよい。
(1)単体ホウ素、BF3、BCl3、B(O-n-C4H9)3、(C2H5O3)2、BF、B2O3、H3BO3などのホウ素の非有機金属化合物、Si(OC2H5)4などのケイ素の非有機金属化合物;
(2)アルコール類、ヒドロパーオキシド類およびパーオキシド類;
(3)水;
(4)酸素;
(5)アルデヒドおよびケトンなどのカルボニル化合物およびその重合物;
(6)エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、オキセタンなどの環状エーテル類;
(7)N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アニリン、モルホリン、ピペリジンなどのアミン類およびアゾベンゼンなどのアゾ化合物;
(8)N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミンなどのN−ニトロソ化合物;
(9)トリクロルメラミン、N−クロルサクシノイミド、フェニルスルフェニルクロリドなどのS−ClまたはN−Cl基を含む化合物。
前記開環重合体は、特定単量体単独で、もしくは特定単量体と他の共重合性単量体とを開環重合させて得ることができるが、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなど、主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で単量体を開環重合させてもよい。
本発明で用いられる近赤外線吸収剤は、一般に透明樹脂に添加して用いられている近赤外線吸収剤であれば特に限定されないが、良溶媒100重量部に対し当該近赤外線吸収剤0.1重量部を溶解した溶液について、600〜2500nmの近赤外線波長領域の一部、または全域で前記良溶媒を対照とした光線透過率が50%以下、さらには30%以下となる化合物が好ましい。
具体的には、特開平6−200113号等にその構造式が開示されている近赤外線吸収剤や、特開平8−225752号公報、特開平8−253693号公報、特開平9−1111138号公報、特開平9−157536号公報、特開平9−176501号公報、特開平9−263658号公報、特開2000−212546号公報、特開2002−200711号公報などにその構造や製造方法が開示されているフタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物を挙げることが出来る。また、例えば、市販品の近赤外線吸収剤、SIR−103、SIR−114、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−152、SIR−159、SIR−162、PA−1001、PA−1005(以上、三井化学ファイン製)、Kayasorb IR−750、Kayasorb IRG−002、Kayasorb IRG−003、 IR−820B、Kayasorb IRG−022、Kayasorb IRG−023、Kayasorb CY−2、Kayasorb CY−4、Kayasorb CY−9(以上、日本化薬製)、CIR−1080、CIR−1081(以上、日本カーリット製)、YKR−3080、YKR−3081(以上、山本化成製)、イーエクスカラーIR−10、IR−12、IR−14(以上、日本触媒製)等も用いることが出来る。
特定組成物の調製に用いることのできる溶剤としては、上述したノルボルネン系樹脂を溶解できるものであれば特に限定されるものではない。係る溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールなどのセロソルブ系溶媒;ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサンなどのシクロオレフィン系溶媒;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン含有溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;1−ペンタノール、1−ブタノールなどのアルコール系溶媒などを挙げることができる。
なお、近赤外線吸収色素は、必ずしも溶剤に溶解する必要はなく、単独では溶剤中に縣濁した状態であっても、本発明のノルボルネン系樹脂が存在すると相互作用により均一に分散または溶解させることができ、成形体としたときに所望の機能を得ることができる。もちろん、近赤外線吸収色素に対する溶解性が高い溶剤を選択した方が好ましいことは自明である。
近赤外線吸収層の形成に用いられる特定組成物は、上述のノルボルネン系樹脂、近赤外線吸収色素および溶剤を含むものであって、その調製方法は特に限定されるものではなく、各成分を所望の組成比で適宜タンク等に添加し、必要に応じて加熱しながら、撹拌等を行うことにより調製することができるが、ノルボルネン系樹脂を予め溶剤に溶解した溶液の形態で用いると、近赤外線吸収色素が、組成物中に短時間で均一に分散しやすい傾向があるため好ましい。ここで、前記ノルボルネン系樹脂の溶液は、粒状あるいはフレーク状等固形の樹脂を溶剤に溶解して調整してもよいが、重合反応溶液を使用することも可能である。なお、重合反応溶液を用いる場合には、重合触媒および水素添加触媒の残滓あるいは未反応の単量体を予め除去する等、前処理がなされていることが好ましい。
近赤外線吸収層は、上述の特定組成物から溶剤を除去し、溶融成形する方法、または、特定組成物をキャスティング(キャスト成形)する方法により製造することができる。
(1)溶融成形
近赤外線吸収フィルムを、特定組成物から溶剤を除去し、溶融成形する方法により製造する場合、特定組成物から溶剤を除去すると、前記ノルボルネン系樹脂と近赤外線吸収色素を含む熱可塑性樹脂組成物が得られる。係る熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、溶融押出成形あるいはブロー成形等の溶融成形を適用することが可能である。
このような方法で得られるフィルムは、ノルボルネン系樹脂と近赤外線吸収色素とを溶融混練りして得られた熱可塑性樹脂組成物から得られるフィルムと比較して、熱履歴が少なく樹脂や色素の劣化が少なく、ゲルや焼けに起因する異物が少ない等の特徴を有しており、光学用途のフィルムを得る上では大きな利点を有している。
近赤外線吸収層は、特定組成物を適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去することにより製造することもできる。例えば、上述した基板、基板上に形成された後述する衝撃吸収層または電磁波シールド層の上に、特定組成物を塗布して溶剤を乾燥させることにより、近赤外線吸収層を得ることができる。また、スチールベルト、スチールドラムあるいはポリエステルフィルム等の基材の上に、特定組成物を塗布して溶剤を乾燥させ、その後基材から塗膜を剥離することにより、近赤外線吸収層を得ることもできる。さらに、ガラス、石英あるいは透明プラスチック製の光学部品に特定組成物をコーティングして溶剤を乾燥させることにより、元の光学部品に近赤外線カットフィルター機能を付与した、近赤外線吸収層を得ることもできる。
近赤外線吸収層は、ノルボルネン系樹脂フィルム上に近赤外線吸収能を有する薄膜をコーティングした、積層構造のものであってもよい。
ノルボルネン系樹脂フィルムの形成方法は、上述した溶融成形またはキャスティングに準じた方法が挙げられる。
近赤外線吸収能を有する薄膜としては、上述した近赤外線吸収色素や、金属、金属酸化物、金属錯体、金属塩等を含有する薄膜が挙げられる。
本発明の複合機能フィルムに用いられる反射防止層は、高屈折率層と低屈折率層と、好ましくはハードコート層とを有する積層からなる。通常、その実施形態としては、基材(近赤外線吸収層または電磁波シールド層、通常は近赤外線吸収層)上に、(ハードコート層)/高屈折率層/低屈折率層の順で積層されてなる。
以下、各層の形成材料と形成方法について、詳細に説明する。
本発明で用いられる高屈折率層は、
(i-1)導電性金属酸化物粒子と、
(i-2)アルコキシシリル基含有化合物、当該化合物の加水分解物および加水分解縮合物から選ばれる少なくとも一種(以下、「アルコキシシリル基含有化合物類」ともいう)
とを含有する高屈折率材料から得られる。好ましくは、導電性金属酸化物粒子とアルコキシシリル基含有化合物が、有機溶媒中であらかじめ反応していることが好ましい。また、高屈折率材料には、さらに
(i-3)分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ含む多官能性(メタ)アクリル化合物および
(i-4)放射線重合開始剤
が含有されることが好ましい。
本発明に用いられる導電性金属酸化物粒子の粉体抵抗は、100Ω・cm以下、好ましくは、50Ω・cm以下である。
導電性金属酸化物粒子の1次粒子径は、乾燥粉末をBET吸着法によって求めた値として0.1μm以下であり、好ましくは、0.01μm〜0.001μmである。0.1μmを超えると、組成物中で沈降が発生したり、塗膜の平滑性が低下する。
これら導電性金属酸化物粒子は、粉体又は有機溶媒に分散した状態で用いることができるが、均一分散性が得やすいことから、有機溶媒中に分散した状態で組成物を調製することが好ましい。
その表面に酸化ケイ素を担持してなる導電性金属酸化物粒子の市販品としては、例えば、石原産業(株)製 商品名:SN−100P(ATO)、及びSNS−10M、FSS−10M等を挙げることができる。
エーテル類としては、例えば、ジブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等を挙げることができる。
炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N―メチルピロリドン等を挙げることができる。
本発明で用いられるアルコキシシリル基含有化合物類は、アルコキシシリル基含有化合物、当該化合物の加水分解物および加水分解縮合物から選ばれる少なくとも一種であり、好ましくはアルコキシシリル基含有化合物が上述した導電性金属酸化物粒子と反応したものが、高屈折率材料中に存在する。当該高屈折率材料を用いて得られる高屈折率層中では、アルコキシシリル基含有化合物は、加水分解物または加水分解縮合物として存在していてもよい。
重合性不飽和基としては、例えばアクリル基、ビニル基およびスチリル基を好ましいものとして挙げることができる。またアルコキシシリル基としては水もしくは加水分解触媒の存在下に加水分解しうる基が好ましい。
好ましい製造方法としては、例えば、メルカプトアルコキシシランとジイソシアネート類との反応によりチオウレタン結合で結合した中間体を製造後、残存するイソシアネートと水酸基含有の(メタ)アクリレート類とを反応させることによりウレタン結合で結合した生成物とする方法を挙げることができる。
ジイソシアネートに対する水酸基含有(メタ)アクリレート類のモル比が1.0未満であると、ゲル化することがあり、1.5を超えると、高屈折率性が低下することがある。
これら触媒の添加量はジイソシアネート類との合計に対して、0.01重量%〜1重量%である。
導電性金属酸化物粒子とアルコキシシリル基含有化合物との反応操作としては、アルコキシシリル基含有化合物を導電性金属酸化物粒子の存在下、加水分解することにより行うことができる。当該加水分解における水の添加量は、アルコキシシリル基含有化合物中の全アルコキシ当量に対して、好ましくは、0.5〜1.5当量であり、アルコキシシリル基含有化合物100重量部に対して0.5〜5.0重量%添加することが好ましい。用いる水はイオン交換水又は蒸留水が好ましい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、蟻酸、蓚酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の有機酸や、テトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を挙げることができる。
塩基としては、例えば、アンモニア水、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができるが、好ましい触媒は、酸であり、より好ましくは有機酸である。これら触媒の添加量はアルコキシシリル基含有化合物100重量部に対して、好ましくは、0.001重量部〜1重量部、さらに好ましくは0.01重量部〜0.1重量部である。
脱水剤としては、有機カルボン酸オルトエステル及びケタールであり、具体的には、例えば、オルト蟻酸メチルエステル、オルト蟻酸エチルエステル、オルト酢酸メチルエステル、オルト酢酸エチルエステル等及びアセトンジメチルケタ−ル、ジエチルケトンジメチルケタ−ル、アセトフェノンジメチルケタ−ル、シクロヘキサノンジメチルケタ−ル、シクロヘキサノンジエチルケタ−ル、ベンゾフェノンジメチルケタ−ル等を挙げることができる。中でも、好ましくは有機カルボン酸オルトエステル類であり、さらに好ましくはオルト蟻酸メチルエステル、オルト蟻酸エチルエステルである。
本発明で用いる高屈折率材料には、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ含む多官能性(メタ)アクリル化合物が含有されることが好ましい。当該多官能性(メタ)アクリル化合物は、好ましくは分子内に3〜10個、さらに好ましくは3〜8個の(メタ)アクリロイル基を有する。かかる多官能性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2ーヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明に用いられる高屈折率材料には、放射線重合開始剤が含有されることが好ましい。放射線重合開始剤としては、放射線照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであればよく、必要に応じてさらに光増感剤を用いることもできる。このような放射線重合開始剤としては、放射線照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであればいずれでもよい。なお、本発明で「放射線」という語は、赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
高屈折率層は、基材(適用部材)に高屈折率材料を塗布し、硬化させることにより形成される。高屈折率材料の塗布方法としては特に制限はなく、溶媒、導電性金属酸化物粒子、アルコキシシリル基含有化合物の種類および製造条件、添加する多官能(メタ)アクリレートの種類、その他添加剤により塗布性を広範囲に調整することができる。適用できる塗布方法としては、ロールコート、バーコート、スピンコート、カーテンコート、スプレーコート、フローコート、ディッピング、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の方法を適用することができる。
加熱硬化の場合、30〜200℃の範囲内の温度で、1〜180分間加熱するのが好ましい。また、高屈折率材料に放射線重合開始剤が含有される場合は、放射線を照射して、塗膜を硬化させることが好ましい。当該放射線の線源としては、組成物を塗布後短時間で硬化させ得るものである限り特に制限はない。
なお、高屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、したがって、その他の高屈折率膜は1.6未満の屈折率の値を有していても良い。
本発明で用いられる低屈折率層は、
(ii-1)ポリシロキサンセグメントを有するフッ素含有オレフィン系重合体
を含有する低屈折率材料から得られる。また、当該低屈折率材料には、
(ii-2)熱硬化性化合物および
(ii-3)硬化触媒
がさらに含有されることが好ましい。
本発明で用いるフッ素含有オレフィン系重合体は、主鎖中にポリシロキサンセグメントを有し、好ましくは水酸基を含有する単量体由来の構造単位を10〜50モル%含有してなるものである。
また、フッ素含有オレフィン系重合体は、好ましくはフッ素含量が30質量%以上、より好ましくは40〜60質量%のものであり、さらにゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって得られるポリスチレン換算による数平均分子量が、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000〜500,000のものである。ここに、フッ素含量は、アリザリンコンプレクソン法により測定された値、数平均分子量は、展開溶剤としてテトラヒドロフランを用いたときの値である。
フッ素含有オレフィン系重合体において、(d)成分由来の構成単位の割合は、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは0.1〜5モル%である。
フッ素含有オレフィン系重合体において、(e)成分由来の構成単位の割合は、好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは5〜35モル%である。
熱硬化性化合物としては、例えば、各種アミノ化合物や、ペンタエリスリトール、ポリフェノール、グリコール等の各種水酸基含有化合物、その他を挙げることができる。
硬化触媒としては、例えば熱酸発生剤を挙げることができる。熱酸発生剤は、当該液状樹脂組成物の塗膜等を加熱して硬化させる場合に、硬化反応を促進させることができる物質であり、またその加熱条件を、より穏和なものに改善することができる物質である。この熱酸発生剤としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等のための硬化剤として使用されている前述の各種酸類やその塩類を利用することができる。具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
通常、低屈折率材料は、フッ素含有オレフィン系重合体の製造に用いた溶剤、あるいはフッ素含有オレフィン系重合体と熱硬化性化合物との反応に用いた溶剤による溶液として得られ、従ってそのままで溶剤を含有するものである。
また、低屈折率材料の塗布性等を改善すること等の目的で、別途溶剤を添加し、配合することができる。好ましい溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類を挙げることができる。さらに、低屈折率材料には、フッ素含有オレフィン系重合体を溶解し得ない溶剤、例えば、水、アルコール類、エーテル類等の貧溶剤を、フッ素含有オレフィン系重合体が析出しない範囲で併用することができる。これにより、当該フッ素含有オレフィン系重合体の溶液が、良好な保存性と好ましい塗布性を有するものとなる場合がある。このような貧溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等を挙げることができる。
低屈折率材料には、塗布性および硬化後の膜物性の改善や、塗膜に対する感光性の付与等を目的として、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する種々のモノマーやポリマー、顔料又は染料等の着色剤、老化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤、熱酸発生剤、感光性酸発生剤、界面活性剤、重合禁止剤、溶剤等の各種の添加剤を含有させることができる。特に、形成される硬化膜の硬度及び耐久性の改善を目的として、熱酸発生剤又は光酸発生剤を添加することが好ましく、特に、硬化後の透明性を低下させず、かつその溶液に均一に溶解するものを選択して用いるのが好ましい。
低屈折率層は、高屈折率層と同様に、基材(高屈折率層)に低屈折率材料を塗布し、硬化させることにより形成される。低屈折率材料の塗布方法および硬化方法としては特に制限はなく、高屈折率材料の塗布方法として上述した方法を適用することができる。
また、低屈折率層を複数設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、したがって、その他の低屈折率層は1.6を超える場合があっても良い。
本発明で用いる反射防止層は、さらにハードコート層を有することが好ましい。ハードコート層としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の材料から構成するものが挙げられるが、本発明で用いる近赤外線吸収層との接着性に優れたものとして、下記の組成物から得られるハードコート層が好ましく用いられる。
(iii-1)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子と、重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子(以下、「架橋性粒子」ともいう) 並びに
(iii-2)脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類
を含有する樹脂組成物。
上記樹脂組成物はさらに、
(iii-3)(iii-2)以外の、分子内に2以上の重合性不飽和基を含む化合物や、
(iii-4)放射線重合開始剤
を含有することが好ましい。
架橋性粒子は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子と、重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子である。
酸化物粒子の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは球状である。酸化物粒子の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは10〜1000m2/gであり、さらに好ましくは100〜500m2/gである。
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:アルミナゾル−100、−200、−520;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株) 製 商品名:SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製 商品名:ニードラール等を挙げることができる。
本発明に用いられる脂環構造含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、エステル置換基中に飽和炭化水素による環状構造を含有する(メタ)アクリル酸エステル類であれば特に制限はないが、例えば、シクロへキサン環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、テトラシクロ[6.2.1.02,7.13,6]ドデカン環を有する(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。これらのうち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、テトラシクロ[6.2.1.02,7.13,6]ドデカン環を有する(メタ)アクリル酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの脂環構造含有(メタ)アクリル酸エステル類は、ノルボルネン系樹脂の表面との強固な密着性を確保する効果を有する。
本発明に用いられる、(iii-2)以外の、分子内に2以上の重合性不飽和基を含む化合物としては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。この中では、(メタ)アクリルエステル類が好ましい。
例えば、(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートおよびこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
この中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコ−ルジビニルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジビニルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジビニルエ−テル等を挙げることができる。
なお、本発明の組成物中には、必要に応じて、分子内に1の重合性不飽和基を有する化合物を含有させてもよい。
樹脂組成物においては、必要に応じて、放射線重合開始剤を配合することができる。当該放射線重合開始剤としては、高屈折率材料の成分として上述した放射線重合開始剤を用いることができる。
ハードコート層は、高屈折率層・低屈折率層と同様に、基材(近赤外線吸収層等)に上述した樹脂組成物を塗布し、硬化させることにより形成される。樹脂組成物の塗布方法および硬化方法としては特に制限はなく、高屈折率材料の塗布方法として上述した方法を適用することができる。
本発明の複合機能フィルムを構成することが好ましい衝撃吸収層は、ディスプレイパネルの表示内容の視認性を確保できる透明性を具備し、基板の押さえ付けや衝突等に由来する破損から防ぐことができるものであれば、その構成成分は特に限定されないが、特にエラストマーにより構成されるものが好ましい。なお、本明細書において、エラストマーには油展ゴムが含まれる。
また、上記重合体(P)は、トリブロック以上のブロックを有する共重合体であると、水素添加物とした場合に、更に形状保持性及び力学的性質により優れる成形体を得ることができる。従って、上記一般式において、m1は、2以上の整数であることが好ましい。
上記カップリング剤としては、1,2−ジブロモエタン、メチルジクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアナート、トリレンジイソシアナート、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、エポキシ化アマニ油、テトラクロロゲルマニウム、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ブチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン等が挙げられる。
上記エラストマーを架橋する方法については特に限定はなく、例えば、電子線照射、紫外線照射、及び架橋剤(例えば、有機過酸化物等)を用いる方法から選ばれる手段が挙げられる。
上記架橋を電子線照射により行う場合は、得られた成形体について、電子線照射装置により電子線照射することにより、架橋を形成することができる。また、紫外線照射の場合は、得られた成形体について、紫外線照射装置により紫外線照射することにより、必要に応じて配合された光増感剤の効果によって架橋を形成することができる。更に、架橋剤を用いる方法の場合は、得られた成形体について、通常、窒素雰囲気等、空気の存在しない雰囲気で加熱することにより、必要に応じて配合された有機過酸化物等の架橋剤、更には架橋助剤の効果によって架橋を形成することができる。
具体的には、例えば滑剤としては、パラフィン系滑剤、炭化水素系滑剤、金属セッケン等が挙げられる。また、可塑剤としては、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体、フマル酸誘導体、クエン酸誘導体等の各種脂肪酸誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。更に、軟化剤としては、パラフィン系プロセスオイル等の石油系軟化剤、エチレン−α−オレフィン系コオリゴマー及びギルソナイト等の鉱物油系軟化剤、オレイン酸やリシノール酸等の脂肪酸等の1種又は2種以上が挙げられる。また、液状オリゴマーとしては、ポリイソブチレンやシリコーンオイル等の1種又は2種以上が挙げられる。特に、携帯電話等、屋外で使用されるプラズマディスプレイパネル等に使用される場合は、上記液状材料として、パラフィン系プロセスオイル、パラフィン系合成油、水添パラフィン系オイル等のように、二重結合がないオイル又は二重結合を有する成分が少ない(具体的には20質量%以下、更には10質量%以下)オイルの1種又は2種以上を用いると、耐候性に優れた衝撃吸収層とすることができるので好ましい。
上記液状材料を用いる場合のその使用量は、上記エラストマーに含有される重合体の全量を100質量部とした場合、好ましくは50〜5000質量部、さらに好ましくは50〜3000質量部、特に好ましくは50〜2000質量部である。
本発明の複合機能フィルムを構成することが好ましい電磁波シールド層としては、一般に、金属メッシュが好適に用いられる。金属メッシュとしては、金網や、金属パターンが挙げられ、特に金属パターンが好ましい。
本発明の複合機能フィルムは、好ましくは、上述した各層からなる積層を支持フィルム上に形成し、必要に応じて、積層上に第二の支持フィルムを重ね合わせて形成される。また、本発明の複合機能フィルムは、支持フィルム上に積層のうちの一部の層を形成し、第二の支持フィルム上に他の層を形成し、双方を重ね合わせて圧着する方法によっても、好適に形成することができる。
また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましい。これにより、後述する転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
基板材料としては、例えばガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの絶縁性材料からなる板状部材が挙げられる。この板状部材の表面に対しては、必要に応じて、シランカップリング剤などによる薬品処理;プラズマ処理;イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法などによる薄膜形成処理のような適宜の前処理を施されていてもよい。
これらの基板材料のうち、ガラス板が好ましい。ガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等が挙げられる。また、これらのガラスの低アルカリガラスおよび無アルカリガラス等が挙げられる。さらには、シリカガラスやソーダ石灰ガラス等が挙げられる。これらのうち、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスおよびこれらの低アルカリガラスが好ましく、更にはこれらの無アルカリガラスが好ましい。
図1に、本発明のプラズマディスプレイ複合機能フィルムの断面を模式的に示した。まず、支持フィルム1として厚さ50μmのポリエステルフィルムに、0.8mmの衝撃吸収層2を形成し、さらにその表面上に厚さ15μmの電磁波シールド層3を形成し、さらにその表面上に厚さ100μmの近赤外線吸収層4を形成し、さらにその上に、反射防止層5を積層した。反射防止層5の上には、第二の支持フィルム6として厚さ38μmのポリエステルフィルムを積層した。また、反射防止層は、図1に示す通り、厚さ3μmのハードコート膜7、厚さ0.1μmの高屈折率膜8および厚さ0.1μmの低屈折率膜9からなる積層とした。
この様にして得られた複合機能フィルムの支持フィルム1を剥離し、図2に示す様にPDP用前面板10の視認側に転写した。転写の後、第二の支持フィルム6は剥離除去した。
窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン(25kg)、テトラヒドロフラン(1.25g)、ブタジエン(1500g)、及びn−ブチルリチウム(4.5g)を加え、70℃からの断熱重合を行った。反応完結後、温度を15℃としてテトラヒドロフラン(350g)及び1,3−ブタジエン(3500g)を添加して断熱重合した。30分後、メチルジクロロシラン(3.23g)を添加し、15分反応を行った。反応が完結した後、n−ブチルリチウム2g、水素ガスを0.4MPa−Gの圧力で供給し、20分間撹拌し、リビングアニオンを水素化リチウムとした。反応溶液を90℃にし、特開2000−37632号公報記載のチタノセン化合物を使用して水添反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留により除去することによって、水素添加ジエン系重合体である水添ブロック重合体1を得た。得られた水添ブロック重合体1の水添率は98%、重量平均分子量は28万、水添前ポリマーの1段目のポリブタジエンブロックのビニル結合含量は14%、水添前ポリマーの2段目のポリブタジエンブロックのビニル結合含量は80%であった。その後、この水添ブロック重合体1及び鉱物油系軟化剤(出光興産株式会社製、品名「PW−90」)を100:800(重量比)の割合で混合して樹脂組成物を調製し、これを塗布して厚さ0.8mmの衝撃吸収層を作製した。
両面を粗化処理した厚さ15μmの電解銅箔を格子状にエッチング処理して、ライン幅20μm、ラインピッチ300μmの銅メッシュを作成し、電磁波シールド層とした。
(1)ノルボルネン系樹脂の合成
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(特定単量体)175部とトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン(共重合性単量体)75部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)41部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/l)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングズテン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6H5)3]3 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2 、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより水素添加反応させた。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却し、水素ガスを放圧した後、多量のメタノールを加えて水素添加重合体を析出させて回収した。
このようにして得られた水素添加重合体〔以下、「ノルボルネン系樹脂A」という。〕の水素添加率は実質上100%であった。
・分子量:東ソ−製のHタイプカラムが装着された、ウオターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型)を用い、o−ジクロロベンゼン溶媒、120℃の条件で、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
・水素添加率:Bruker社製の500MHz 1H−NMR(AVANCE500)を用いて測定した。
・ガラス転移温度(Tg):セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。
・飽和吸水率:ASTM D570に準拠し、試験片を23℃の水中に1週間浸漬させた後、試験片の重量変化より吸水率を測定した。
(1)で得たノルボルネン系樹脂A40gをトルエン60gに溶解してノルボルネン系樹脂Aのトルエン溶液を得た。次いで、このノルボルネン系樹脂Aのトルエン溶液にフタロシアニン系色素SIR−159(三井化学ファイン製)の0.4%トルエン溶液100gを添加して撹拌・混合し、フッ素樹脂製フィルター(ポアサイズ:1μm)で濾過した後脱泡して、特定組成物Aを得た。
特定組成物Aについて下記の通り保存安定性を評価した。
内容積100mlのガラス製耐圧ビンに組成物を80ml仕込んで密栓し、100℃の熱風オーブン中で1週間保存した。その後、オーブンから取り出して室温まで冷却して中身を取り出し、外観を観察するとともに分光透過率を測定して初期値と比較した。その結果、外観、分光透過率共に初期値と変化なく、保存安定性は良好であった。
特定組成物Aに多量のメタノールを添加して熱可塑性樹脂組成物を析出させて回収した。回収された熱可塑性樹脂組成物は、減圧乾燥機中で120℃に加熱し、24時間乾燥した。このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物を熱可塑性樹脂組成物Aとする。
熱可塑性樹脂組成物A中のトルエンおよびメタノールの量をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、いずれも0.1%以下であった。
特定組成物Aを、乾燥膜厚が100μmとなるようにポリエステルフィルム上にアプリケーターバーを用いて塗布し、その後常圧80℃で8時間、減圧乾燥機中100℃で24時間乾燥した。次いで、乾燥機から取り出して常温まで冷却し、ポリエステルフィルムを剥離してフィルム状の成形体A1を得た。得られた成形体A1の外観を観察したが、色ムラやブリード物は認められなかった。また、成形体A1をガスクロマトグラフィーで分析したところ、残留トルエン量は0.3%であった。
なお、全光線透過率は、スガ試験機社製のヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定し、分光透過率日立製作所社製の分光光度計(U−3410)を用いて測定した。
(1)ハードコート層の形成
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部、ジブチルスズジラウレート0.2部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート20.6部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間攪拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで重合性不飽和基とアルコキシシラン基とを1分子中に有するシラン化合物(以下、「シラン化合物(A)」ともいう)を得た。生成物中の残存イソシアネート量を分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。
窒素気流下、シラン化合物(A)8.7部、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST(数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%))91.3部(固形分27.4部)、イソプロパノール0.2部及びイオン交換水0.1部の混合液を、80℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで無色透明の架橋性粒子分散液を得た。分散液をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35%であった。
乾燥空気気流下、紫外線を遮蔽した容器中において、上記架橋性粒子分散液を70部(固形分24.5部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート20部、トリシクロデカンジイルジメチレンジアクリレート10部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.5部および2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1 1.5部を室温下、30分攪拌することでハードコート層形成用の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、バーコーターを用いて塗布した後、80℃の熱風式乾燥機中で3分間乾燥後、コンベア式水銀ランプを用いて1J/cm2の光量で照射し、ハードコート層を形成した。
(1)で得られたシラン化合物(A)8.1部、メチルエチルケトン溶媒ジルコニアゾル(平均粒径0.01〜0.05μm)、ジルコニア濃度30%)90.5部、イオン交換水0.1部の混合液を、60℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.3部とメチルエチルケトン41.2部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで重合性不飽和基とアルコキシシラン基とを1分子中に有する化合物と、ジルコニウムの粒子を反応させて得られる反応生成物の分散液を得た。
紫外線を遮蔽した容器中において、調製した上記分散液92部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.2部および2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン0.8部を室温下、30分攪拌することで均一溶液として高屈折率材料を調製した。
得られた高屈折率材料をワイヤーバーコータ(No.10)を用いて塗布し、40℃の赤外線乾燥炉中で一分間放置後、空気雰囲気下で0.3J/cm2の紫外線を照射して硬化させ、高屈折率層を形成した。
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル500g、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)75.4g、エチルビニルエーテル34g、ヒドロキシエチルビニルエーテル41.6g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープNE−30」(旭電化工業株式会社製)50g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)7.5g及び過酸化ラウロイル1.25gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフロロプロピレン99.1gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度31%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールと水の混合溶媒に投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gのフッ素含有オレフィン系重合体を得た。
得られたハードコート層付きの反射防止層における反射防止性を分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。すなわち、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止層の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率は1%以下であり、反射防止性に優れたものであった。また、波長550nmの光透過率(T%)を、分光光度計を用いて測定したところ、光透過率は95%以上であり、また、Haze計を用いて濁度(Haze値)を測定したところ、0.2と透明性に優れるものであった。
2.衝撃吸収層
3.電磁波シールド層
4.近赤外線吸収層
5.反射防止層
6.支持フィルム
7.ハードコート層
8.高反射防止層
9.低反射防止層
10.PDP用前面板
Claims (7)
- 下記の条件を満足する反射防止層および近赤外線吸収層を有することを特徴とする、プラズマディスプレイパネル用複合機能フィルム。
(1)反射防止層が、下記(i)および(ii)を有する積層からなる。
(i)導電性金属酸化物粒子と、アルコキシシリル基含有化合物、当該化合物の加水分解物および加水分解縮合物から選ばれる少なくとも一種とを含有する高屈折率層。
(ii)ポリシロキサンセグメントを有するフッ素含有オレフィン系重合体を含有する低屈折率層。
(2)近赤外線吸収層が、ノルボルネン系樹脂を含有する。 - さらに、衝撃吸収層を有する、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用複合機能フィルム。
- 衝撃吸収層がエラストマーを含有する層である、請求項2記載のプラズマディスプレイパネル用複合機能フィルム。
- さらに、電磁波シールド層を有する、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用複合機能フィルム。
- 近赤外線吸収層を構成するノルボルネン系樹脂が、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を開環重合し、さらに水素添加して得られた樹脂である、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用複合機能フィルム。
- 反射防止層が、さらにハードコート層を有する積層からなる、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用複合機能フィルム。
- 支持フィルム上に、反射防止層および近赤外線吸収層を有する積層が形成されてなることを特徴とする、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用複合機能フィルム。
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