JP2006089710A - 炭素系導電性フィラーおよびその組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、導電性フィラーをポリマー中に分散させた導電性プラスチックにおいて、従来と同一の配合量でより導電性に優れたプラスチックを得ること、少ない配合量で同等もしくはそれ以上の導電性を有する導電性プラスチックを得ること、及び各成形法で物性低下が少なく、安定した導電性を示す組成物を得ることにある。
【解決手段】 比表面積が10〜50m2/g、アスペクト比が65〜1000の気相法炭素繊維を含むことを特徴とする導電性樹脂用導電性フィラー及びそのフィラーを用いた導電性樹脂組成物。気相法炭素繊維としては、繊維径が50〜200nm、平均繊維長が10μm以上、アスペクト比が15〜1000、ラマン散乱スペクトルの1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I0=I1360/I1580)が0.1〜1であるものが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素系導電性フィラーおよびその組成物に関する。さらに詳しくは、マトリックス樹脂に添加した場合、容易に分散させることができ、それにより樹脂中に導電性ネットワークを容易に形成することができる導電性フィラー、及びそのフィラーを含む導電性樹脂組成物に関する。
従来、電気絶縁性である熱可塑性樹脂に導電性フィラーを混合し、導電性や帯電防止性などの特性を付与することは古くから行われており、そのために各種導電性フィラーが用いられている。一般に使用される導電性フィラーとしては、カーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維、炭素繊維等のグラファイト構造を有する炭素材料、金属繊維、金属粉末、金属箔等の金属材料、および金属酸化物、金属をコーティングした無機フィラーなどが挙げられる。
これらの中で導電性以外に、環境安定性(耐食性等)、金属粉による電気障害および摺動性(成形加工時の成形機のスクリューの摩耗等)等の問題が少ないとされる炭素系導電性フィラーを使用する試みがなされており、その使用領域が拡大する傾向を見せている。特に、少量の導電性フィラーの混合で高い導電性を得るためには、導電性フィラーの微細化、アスペクト比の増加、比表面積の増加などが有効であることが明らかになってきており、繊維状フィラーの繊維径を小さくし比表面積を大きくしたり(特許文献1等)、比表面積の非常に大きなカーボンブラックや中空炭素フィブリル(カーボンナノチューブ)を使用することが行われている。
しかしながら、カーボンブラックやカーボンナノチューブ(直径1〜40nm程度)は、比表面積が非常に大きい(カーボンブラックの比表面積:800m2/g、カーボンナノチューブの比表面積:250m2/g)。すなわち、単位質量当りの凝集エネルギーが大きいので、溶融樹脂中での凝集力が大きくなり、溶融樹脂中で均一に分散させるためには、高せん断力が必要となる。したがって、カーボンナノチューブの破断が生じたり、分散が凝集を伴ったものとなるため、これらの炭素材料を用いた場合には安定した導電性を得ることが非常に難しい。
なお、特許文献2には、繊維径が0.01〜5μmの気相法炭素繊維の黒鉛化物を1〜80質量%含有する樹脂組成物で構成された導電摺動部材用樹脂組成物が開示されているが、極めて広範な範囲を記載したものであって、追試しても実施できない範囲が含まれており、信憑性に乏しい。
また、特許文献3には、繊維直径が0.05〜2μm、長さが10μm以下の気相法炭素繊維を導電性フィラーとして使用することが記載され、その比表面積として10〜500m2/gが記載されているが、平均繊維長が10μmよりも短いことから、樹脂への分散性は良好なものの、導電性ネットワークを形成するためには充填量を増加させる必要がある。
特許第2641712号明細書 特開平2−298554号公報 特開昭64−65144号公報
本発明の目的は、上記の実状に鑑みなされたものであり、導電性フィラーの極少量の添加で安定した導電性ネットワークを形成すること、詳しくは、導電性フィラーをポリマー中に分散させた導電性プラスチックにおいて、従来と同一の配合量でより導電性に優れたプラスチックを得ること、少ない配合量で同等もしくはそれ以上の導電性を有する導電性プラスチックを得ること、及び各成形法で物性低下が少なく、安定した導電性を示す組成物を得ることにある。
本発明者らは、気相法炭素繊維の少量添加で安定した導電性ネットワークを形成するために、気相法炭素繊維の比表面積とアスペクト比を鋭意検討することにより、繊維の破断を伴わない低いせん断力で、溶融樹脂中に均一に分散することができる気相法炭素繊維を見出した。本発明は、この知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は、以下に示す導電性フィラー、それを用いた導電性樹脂組成物、その製造方法及びその用途を提供するものである。
[1]比表面積が10〜50m2/g、アスペクト比が65〜1000の気相法炭素繊維を含むことを特徴とする導電性樹脂用導電性フィラー。
[2]比表面積が15〜40m2/g、アスペクト比が110〜200の気相法炭素繊維を含むことを特徴とする導電性樹脂用導電性フィラー。
[3]気相法炭素繊維の繊維径が50〜200nm、平均繊維長が10μm以上、ラマン散乱スペクトルの1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I0=I1360/I1580)が0.1〜1である前記1または2に記載の導電性フィラー。
[4]マトリックス樹脂中に前記1〜3のいずれかに記載の導電性フィラーを含有してなる導電性樹脂組成物であって、前記導電性フィラーの含有量が1〜70質量%である導電性樹脂組成物。
[5]マトリックス樹脂が、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも1種である前記4に記載の導電性樹脂複合材組成物。
[6]マトリックス樹脂に気相法炭素繊維からなる導電性フィラーを溶融混合する前記4または5に記載の導電性樹脂組成物の製造方法であって、溶融混合時における前記気相法炭素繊維の破断を20%以下に抑えることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
[7]電子顕微鏡による観察で気相法炭素繊維の凝集塊が生じないように溶融混合する前記6に記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
[8]溶融混合が、同方向2軸押出機または加圧ニーダーにより行われる前記6または7に記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
[9]前記4または5に記載の導電性樹脂組成物を用いた合成樹脂成形体。
[10]前記4または5に記載の導電性樹脂組成物を用いた電気・電子部品用容器。
[11]前記4または5に記載の導電性樹脂組成物を用いた導電性摺動用部材。
[12]前記4または5に記載の導電性樹脂組成物を用いた導電性熱伝導性部材。
カーボンナノチューブはその凝集力が大きいため、高せん断力による混練が必要であり、そのため繊維の破断や凝集を伴った分散が生じて安定的な導電性を得ることが困難であったが、本発明では、特定の比表面積とアスペクト比に調整した気相法炭素繊維を用い、繊維の破断を伴わない低いせん断力で溶融樹脂中に均一に分散し、少量の添加で安定した導電性ネットワークを形成することを可能にしたものであり、産業上の利用価値は極めて大きい。
本発明に係る導電性樹脂組成物は、成形品からの炭素フィラーの脱離が少なく、樹脂本来が有する衝撃特性を損なうことなく、高い導電性のみならず、耐摺動性、高い熱伝導性、高い強度、高い弾性率、さらには成形時の高い流動性や成形品の表面平滑性を得ることができるとの特性を有する。
また、この導電性組成物から得られる成形品は機械的強度、塗装性、熱安定性、衝撃強度に優れ、かつ導電性、帯電防止性に優れているので、電気電子部品の搬送、包装用部品、電気電子分野やOA機器用部品、導電性摺動用部材、導電性熱伝導性部材、静電塗装用の自動車部品など、多くの分野に有利に適用できる。
本発明で使用する気相法炭素繊維は、比表面積が10〜50m2/g、好ましくは15〜40m2/gのものである。比表面積がこの範囲にあることにより、マトリックス樹脂に添加した場合、気相法炭素繊維を容易に分散させることができ、それにより樹脂中に導電性ネットワークを容易に形成することができる。
また、本発明で使用する気相法炭素繊維は、以下の物性値を有するものが好ましい。
・アスペクト比:65〜1000、好ましくは80〜500、特に好ましくは110〜200。一般にはアスペクト比が大きいときは耐衝撃性が大きくなるが、これが1000を超えるときは繊維同士の絡み合いがおきて導電性の低下、成形時の流動性の低下、さらには耐衝撃性の低下がおきる場合もある。また、アスペクト比が65より小さいと、樹脂に配合した場合、導電性が十分に向上しない。
・繊維径:50〜200nm、好ましくは70〜200nm、特に好ましくは70〜140nm。
・平均繊維長:10μm以上、好ましくは10〜100μm、特に好ましくは12〜50μm。
・ラマン散乱スペクトルの1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I0=I1360/I1580):0.1〜1、好ましくは0.1〜0.8。気相法炭素繊維の結晶化が進んだ黒鉛化品のピーク強度比0.1に近いが、黒鉛化していない炭素のピーク強度比2.0に近い。
本発明で用いる気相法炭素繊維は、不活性ガス、かつ高温雰囲気下に、触媒となる鉄と共にガス化された有機化合物を吹き込むことにより製造することができる(特開平7−150419号公報等)。
気相法炭素繊維は、製造したままでも、または例えば製造したものを800〜1500℃で熱処理したものでも、あるいは例えば製造したものを2000〜3000℃で黒鉛化処理したもののいずれもが使用可能である。
本発明において用いられるポリマー(マトリックス樹脂)としては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のどちらも使用することができ、特に制限はない。好ましいマトリックス樹脂は、成形加工時の粘度が低い樹脂であり、具体的には、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック、低分子量プラスチック、熱硬化性樹脂等である。また、高分子量プラスチックでも、成形加工温度を上昇させることが可能な場合は粘度を下げることができ、好適に使用できる。
熱可塑性樹脂としては、成形分野で使用される樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル(LCP)等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン−1(PB−1)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチレメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルフォン(PSU)、ポリエーテルスルフォン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール(ノボラック型など)フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂であってもよい。
また、更に耐衝撃性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエラストマーもしくはゴム成分を添加してもよい。エラストマーとしては、EPRやEPDMのようなオレフィン系エラストマー、スチレンとブタジエンの共重合体から成るSBR等のスチレン系エラストマー、シリコン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ブタジエン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ナイロン系エラストマー、エステル系エラストマー、フッ素系エラストマー、天然ゴムおよびそれらのエラストマーに反応部位(二重結合、無水カルボキシル基等)を導入した変性物のようなものが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、成形分野で使用される樹脂であれば特に制限はなく、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール(レゾール型)、ユリア・メラミン、ポリイミド等や、これらの共重合体、変性体、および、2種類以上ブレンドした樹脂などを使用することができる。また、更に耐衝撃性向上のために、上記熱硬化性樹脂にエラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であってもよい。
気相法炭素繊維の含有量は、導電性樹脂組成物中の1〜70質量%、好ましくは3〜60質量%、より好ましくは3〜50質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。
本発明に係る導電性樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、他の各種樹脂添加剤を配合することができる。樹脂添加剤としては、例えば、着色剤、可塑剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、発泡剤、難燃剤、防錆剤などが挙げられる。これらの各種樹脂添加剤は、本発明に係る導電性樹脂組成物を調整する際の最終工程で配合するのが好ましい。
導電性樹脂組成物を構成する各成分を混合・混練する際には、気相法炭素繊維の破断を極力抑えるように行うことが好ましい。具体的には、気相法炭素繊維の破断率を20%以下に抑えることが好ましく、15%以下が更に好ましく、10%以下が特に好ましい。破断率は、混合・混練の前後での炭素繊維のアスペクト比(例えば電子顕微鏡(SEM)写真像により測定)を比較することにより評価する。
気相法炭素繊維の破断を極力抑えるように混合・混練するには、例えば、以下のような手法を用いることができる。
一般に、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に無機フィラーを溶融混練する場合、凝集した無機フィラーに高せん断を加え、無機フィラーを破壊し、微細化して、溶融樹脂中へ無機フィラーを均一に分散させる。高せん断力を発生させる混練機としては、石臼機構を利用したものや、同方向2軸押出機でスクリューエレメント中に高せん断のかかるニーディングディスクを導入したものが数多く使用されている。しかし、このような混練機を使用すると、混練工程中において気相法炭素繊維を破断してしまう。また、せん断力の弱い単軸押出機の場合は、繊維の破断は抑えられるが、繊維の分散が均一にならない。したがって、繊維の破断を抑えながら、均一な分散をはかるためには、ニーディングディスクを使用しない同方向2軸押出機でせん断を低減したり、加圧ニーダーのような、高せん断がかからなくて、時間を掛けて分散が達成できるものや、単軸押出機において特殊なミキシングエレメントを使用することが望ましい。
また、無機フィラーを樹脂中に充填するためには、溶融樹脂と無機フィラーの濡れが大切であり、無機フィラーを溶融樹脂中に導入する場合、溶融樹脂と無機フィラーの界面に相当する面積を増すことが不可欠である。濡れ性を向上させる方法として、例えば、気相法炭素繊維の表面を酸化処理する方法がある。
本発明で使用する気相法炭素繊維が、嵩比重として0.01〜0.1g/cm3程度のふわふわした状態のものの場合には、空気を巻き込みやすいため、通常の単軸押出機や同方向2軸押出機では脱気が難しく、充填には困難を伴う。このような場合には、充填性が良好で、繊維の破断を極力抑える混練機として、バッチ式の加圧ニーダーが好ましい。バッチ式加圧ニーダーで混練したものは、固化する前に単軸押出機に投入して、ペレット化することができる。
本発明の導電性樹脂組成物は、例えば導電性フィラーを20質量%含む場合は、その体積固有抵抗値を102〜1012Ωcm、好ましくは104〜1010Ωcmとすることができる。
本発明の導電性樹脂組成物は、耐衝撃性とともに導電性や帯電防止性が要求される製品、例えばOA機器、電子機器、導電性包装用部品、導電性摺動用部材、導電性熱伝導性部材、帯電防止性包装用部品、静電塗装が適用される自動車部品などの製造用の成形材料として好適に使用できる。これら製品を製造する際には、従来から知られている導電性樹脂組成物の成形法によることが出来る。成形法としては、例えば、射出成形法、中空成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、トランスファー成形法などが挙げられる。
以下に本発明を実施例によって、詳しく説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されるものではない。
実施例1〜9、比較例1〜7
実施例および比較例の配合を表1に示す。配合表にしたがって、樹脂および導電性フィラーを溶融混練し、その混練物を射出成形して体積固有抵抗測定用の平板を作成した。
使用した樹脂、導電性フィラー、導電性フィラーの凝集塊測定方法、混練条件、成形条件、評価方法の詳細を以下に示す。各実施例および比較例の体積固有抵抗、凝集塊の有無評価、繊維の破断率を表1に併せて示す。
また、実施例3で得られた導電性樹脂組成物の電子顕微鏡写真(倍率:2000倍)を図1に示す。
[混練方法]
イ)熱可塑性樹脂
池貝製同方向2軸押出機(PCM30)を使用した。混練温度は270℃で行った。
ロ)熱硬化性樹脂
トーシン(株)製加圧ニーダー(混練容量10リットル)を使用し、温度は60℃に設定した。
[成形方法]
イ)熱可塑性樹脂
住友重機(株)製サイキャップ型締力75トン射出成形機を使用して、成形温度280℃、金型温度130℃にて、平板(100×100×2mm厚)を成形した。
ロ)熱硬化性樹脂
名機製作所(株)製射出成形機M−70C−TSを使用して、成形温度120℃、金型温度150℃にて、平板(100×100×2mm厚)を成形した。
[気相法炭素繊維]
イ)VGCF(登録商標):昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:150nm、平均繊維長:10μm、比表面積:13m2/g、アスペクト比:67、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:33)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ロ)VGCF−S:昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:100nm、平均繊維長:11μm、比表面積:20m2/g、アスペクト比:110、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:50)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ハ)VGNF(登録商標):昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:80nm、平均繊維長:10μm、比表面積:25m2/g、アスペクト比:125、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:63)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ニ)カーボンナノチューブ(CNT:中空炭素フィブリル):ハイペリオンキャタリシス(株)製PCマスターバッチ(RMB6015−00:CNT15質量%含有)を使用した。CNTの平均繊維径は10nm、平均繊維長は5μm、比表面積は250m2/g(カタログ値)、アスペクト比は500である。
[使用した合成樹脂]
イ)熱可塑性樹脂
ポリカーボネート樹脂(PC):帝人化成(株)製パンライトL−1225L。
ロ)熱硬化性樹脂
アリルエステル樹脂:昭和電工(株)製AA101(粘度630000cps(30℃))。有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド(日本油脂製:パークミルD)を使用した。
[評価物性の測定方法]
イ)体積固有抵抗:JIS K7194に準拠し、四探針法により測定した。
ロ)炭素繊維の凝集塊:同方向2軸押出機での混練時のストランドの破断面を電子顕微鏡(SEM)観察を2000倍で行い、繊維の凝集した塊の有無について以下の基準により評価した。
凝集塊のサイズ(長径)
0.5μm未満 ○
0.5〜5μm未満 △
5μm以上 ×
ハ)炭素繊維の破断率(%):以下の式により求めた。
炭素繊維の破断率(%)={1−(組成物成形品の炭素繊維のアスペクト比/混合・混
練する前の炭素繊維のアスペクト比)}×100
ここで、アスペクト比は、電子顕微鏡SEM観察により測定、算出した。
ニ)ラマン散乱スペクトル:1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I0=I1360/I1580)で測定した。
Figure 2006089710
実施例3の導電性樹脂組成物の電子顕微鏡写真。

Claims (12)

  1. 比表面積が10〜50m2/g、アスペクト比が65〜1000の気相法炭素繊維を含むことを特徴とする導電性樹脂用導電性フィラー。
  2. 比表面積が15〜40m2/g、アスペクト比が110〜200の気相法炭素繊維を含むことを特徴とする導電性樹脂用導電性フィラー。
  3. 気相法炭素繊維の繊維径が50〜200nm、平均繊維長が10μm以上、ラマン散乱スペクトルの1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I0=I1360/I1580)が0.1〜1である請求項1または2に記載の導電性フィラー。
  4. マトリックス樹脂中に請求項1〜3のいずれかに記載の導電性フィラーを含有してなる導電性樹脂組成物であって、前記導電性フィラーの含有量が1〜70質量%である導電性樹脂組成物。
  5. マトリックス樹脂が、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも1種である請求項4に記載の導電性樹脂複合材組成物。
  6. マトリックス樹脂に気相法炭素繊維からなる導電性フィラーを溶融混合する請求項4または5に記載の導電性樹脂組成物の製造方法であって、溶融混合時における前記気相法炭素繊維の破断を20%以下に抑えることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
  7. 電子顕微鏡による観察で気相法炭素繊維の凝集塊が生じないように溶融混合する請求項6に記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
  8. 溶融混合が、同方向2軸押出機または加圧ニーダーにより行われる請求項6または7に記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項4または5に記載の導電性樹脂組成物を用いた合成樹脂成形体。
  10. 請求項4または5に記載の導電性樹脂組成物を用いた電気・電子部品用容器。
  11. 請求項4または5に記載の導電性樹脂組成物を用いた導電性摺動用部材。
  12. 請求項4または5に記載の導電性樹脂組成物を用いた導電性熱伝導性部材。
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