JP2006086070A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高出力が得られるとともに組み立て時の部品点数を削減した、軽量・小型・薄型化を達成した、生産性が高く、製造コストの低い直接メタノール燃料電池を提供。
【解決手段】 触媒層と集電層を有するアノード極、触媒層と集電層を有するカソード極およびアノード極とカソード極との間に設けられた多孔質基体にプロトン伝導性有機物質を含む複合膜からなる電極−電解質膜接合体が筐体内に内臓されてなり、アノード極側の集電層とカソード極側の集電層が筐体の内側に形成されている燃料電池。
【選択図】 図1

Description

本発明は、触媒層と集電層を有するアノード極、触媒層と集電層を有するカソード極および前記アノード極とカソード極との間に設けられたプロトン伝導性高分子電解質膜からなる電極−電解質膜接合体が筐体内に内臓されてなる燃料電池に関する。
燃料電池にはいくつもの種類があるが、直接メタノール燃料電池は、燃料としてのメタノール水溶液を改質して水素ガスを取り出すこと無く、液体のまま直接供給することによって発電できるという特徴を持っているため、燃料をガス化または改質して供給する従来からの固体高分子型燃料電池と比べて、発電システムとしての構造がシンプルで、小型化、軽量化が容易であり、分散型電源、ポータブル電源としての用途が注目されている。
この様な直接メタノール燃料電池は、電解質膜にプロトン伝導性固体高分子膜を用い、この電解質膜を介して、拡散層となる多孔性カーボンペーパー上に触媒を塗布してなるカソード極とアノード極を接合し、アノード極側には燃料としてのメタノール水溶液を供給するための流路溝を有するアノード極側セパレータが設けられ、カソード極側には酸化剤ガスとしての空気を供給するための流路溝を有するカソード極側セパレータが設けられた構造を取っている。アノード極にメタノール水溶液を供給し、カソード極に空気を供給すると、アノード極ではメタノールと水との酸化反応によって炭酸ガスが生成すると共に水素イオンと電子が放出され(CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-)、カソード極では電解質膜を通過してきた前記水素イオンと空気との還元反応によって水が生成する(6H++(3/2)O2+6e-→3H2O)。カソード極とアノード極を繋ぐことにより外部回路に電気エネルギーを得ることができる。従って、直接メタノール燃料電池の全反応は、メタノールと酸素から水と二酸化炭素が生成する反応である。
上記直接メタノール燃料電池は、電極−電解質膜接合体の構造によってその電池特性が支配される。即ち、アノード極における酸化反応とカソード極における還元反応は、アノード極およびカソード極に含まれる触媒と電解質膜との界面で進行するため、アノード極およびカソード極と電解質膜との界面の接合性並びに、電極−電解質膜接合体中へのメタノールおよび酸素の拡散・供給と、生成する二酸化炭素および水の電極−電解質膜接合体からの排出性は、反応効率と電力の出力の面で重要な因子となる。
従来より、電解質膜として、プロトン伝導性イオン交換膜が知られ、特にスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜が広く検討されている。
従来の燃料電池の電極−電解質膜接合体の作製方法としては、例えば、カーボンペーパーに塗設したアノード極およびカソード極触媒層と電解質膜とを、接合する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、燃料電池組み立て時の部品点数の削減と製造コストの低減を目的に、筐体の内側に集電体と燃料および空気の流路を形成し、その筐体と電極−電解質膜接合体を重ね合わせ組み立てる方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開平9−219206号公報 特開2004−178849号公報
プロトン伝導性膜を直接メタノール燃料電池等の固体高分子形燃料電池の新たな用途として実用化を図るには、プロトン伝導性が高く、メタノール透過性が低い膜の開発が不可欠である。また、特に直接メタノール燃料電池としての性能向上を図る上では薄膜化が必須であり、膜の物理的強度も要求される。
直接メタノール燃料電池には、1)電解質膜として、プロトン伝導性が高く、メタノール透過性が低い膜、2)アノード極、カソード極での物質移動、拡散性が高いこと、3)電極−電解質膜接合体および集電層と触媒層との各界面での抵抗が小さいこと、4)部品点数が少なく、軽量・小型・薄型化を達成し、安価に製造できることが求められる。
ところが上記特許文献1に記載の電解質膜では、プロトン伝導性は高いが、メタノールの透過性も高く、高出力が得られない。また、特許文献2においては、部品点数が少なく、小型・軽量ではあるが、特許文献1と同様な電解質膜を用いているため、高出力が得られていない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、電極−電解質膜接合体および集電層と触媒層との各界面を良好に形成して抵抗を下げ、且つ、電極反応および物質移動を促進し、さらに、電解質膜として高いプロトン伝導性を維持しつつメタノール透過性の低い膜を用いることにより、高出力が得られるとともに組み立て時の部品点数を削減した、軽量・小型・薄型化を達成した、生産性が高く、製造コストの低い直接メタノール燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、以下の記載のいずれか1項の構成により、前記目的を達成することができた。
請求項1記載の燃料電池は、触媒層と集電層を有するアノード極、触媒層と集電層を有するカソード極および前記アノード極とカソード極との間に設けられたプロトン伝導性高分子電解質膜からなる電極−電解質膜接合体が筐体内に内臓されてなる燃料電池において、
前記プロトン伝導性高分子電解質膜は、多孔質基体にプロトン伝導性有機物質を含む複合膜であり、かつ前記アノード極側の集電層と前記カソード極側の集電層は、それぞれ前記筐体の内側に形成されていることを特徴とするものである。
請求項2記載の燃料電池は、請求項1記載の燃料電池において、前記アノード極および前記カソード極は、前記触媒層と前記集電層の間に拡散層が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3記載の燃料電池は、請求項1または2に記載の燃料電池において、前記アノード極の集電層は、前記筐体と接する面側に燃料を供給するための流路が形成されていることを特徴とするものである。
請求項4記載の燃料電池は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記カソード極の集電層は、前記筐体と接する面側に酸化剤ガスを供給するための流路が形成されていることを特徴とするものである。
請求項5記載の燃料電池は、請求項1乃至4記載のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記多孔質基体が、SiO2、ZrO2、TiO2、Al23およびB23、並びにTi、Al、B、Zrの水酸化物から選ばれる少なくとも一種から形成されてなることを特徴とするものである。
請求項6記載の燃料電池は、請求項5記載の燃料電池において、前記SiO2が非晶質シリカであることを特徴とするものである。
本発明によれば、良好な発電効率が得られ、さらに部品点数が少なく、小型、軽量、薄型化を達成し、生産性の高い燃料電池が得られる。
本発明に係る燃料電池の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池の一つのセルの断面図である。本発明においては、多孔質基体にプロトン伝導性有機物質を含む複合膜およびその両側にアノード極側触媒層とカソード極側触媒層が配置された構造をセルという。プロトン伝導性高分子電解質膜1は、多孔質基体にプロトン伝導性有機物質を含む複合膜であり、その両側にアノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3が配置されている。また、筐体4、5の内側には、それぞれ集電層6が形成されている。このとき集電層を形成すると同時に、燃料流路8と酸化ガスとして空気を用いた空気流路9が形成されている。また、ガスケット7を配置することで液漏れを防いでいる。
図1では、燃料流路8と酸化ガスとして空気を用いた空気流路9が形成されている例を示したが、本発明においては必須のものではない。また、ガスケット7も必要に応じて配置すればよい。
図2は、図1においてアノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3および集電層6の間に拡散層10、11を配置した実施形態を表している。拡散層10、11を配置することにより気体(水素および空気)と触媒との接触を高めることができるので、本発明においては好ましい実施形態である。
図3は、図1のセルを複数個配置した実施例の外観図である。1セルから取り出せる起電力は1Vに満たないため、単セルを直列に配置して多セルにして大きな電圧を得る。本発明の好ましい実施形態としては、このように単セルを直列に配置して多セルとした場合である。図3においては、複数個の単セルを平面に配置しているが、単セルを直列に何層も重ねた多層セルとしてもよい。
図4は、アノード極側の筐体4の内面側の模式図であり、燃料入り口から燃料流路8に燃料が供給され、各セルに燃料が供給される。このとき燃料流路8は、集電層6に形成されている。燃料は、図示していない燃料ポンプにより供給される。
図5は、カソード極側の筐体5の内面側の模式図であり、空気入り口から空気流路9に空気が供給され、各セルに空気が供給される。このとき空気流路9は、集電層6に形成されている。空気は、図示していない空気ポンプにより供給される。この空気流路9は、排水のための流路も兼ねている。
本発明の燃料電池に採用できる燃料としては、水素ガス、メタノール、エタノール、1−プロパノール、ジメチルエーテル、アンモニア等が挙げられるが、メタノールが好ましい。また、本発明においては、酸化剤ガスとして空気を使用することが好ましい。
以下に、それぞれの構成部分について、さらに詳しく説明する。
(プロトン伝導性高分子電解質膜)
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜1は、有機または無機材料からなる多孔質基体にプロトン伝導性有機物質を含む複合膜である。
プロトン伝導性有機物質としては、プロトン伝導性を有するモノマーやポリマーが用いられる。プロトン伝導性モノマーとしては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエタンジスルホン酸等のフッ素化スルホン酸の誘導体、(HO)2OP(CF2)PO(OH)2、(HO)2OP(CF22PO(OH)2等のフッ素化二リン酸の誘導体、(CF3SO2CH2SO2CF2CF22、CF3SO2NHSO249等のフッ素化スルホニル酸の誘導体が挙げられる。また、同様な性質を有するプロトン伝導性ポリマーとしては、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂等が挙げられる。ナフィオン112(商品名、デュポン社製)、ナフィオン117(商品名、デュポン社製)やDOW膜(商品名、ダウ・ケミカル社製)等として入手できる。
その他にスルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレン等のスルホアルキル化プラスチック系電解質等が有る。なお、これらの電解質材料のスルホン酸当量としては0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂程度、好ましくは0.7〜1.6ミリ当量/g乾燥樹脂である。スルホン酸当量が0.5ミリ当量/g乾燥樹脂より小さい場合はイオン伝導抵抗が大きくなり、2.0ミリ当量/g乾燥樹脂より大きい場合には水に溶解しやすくなる。
また、フッ素系電解質材料として、例えば、
一般式 CF2=CF−(OCF2CFX)m−Oq−(CF2)n−A
(式中、m=0〜3、n=0〜12、q=0または1、X=FまたはCF3、A=スルホン酸型官能基)で表されるフロロビニル化合物とテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレンまたはパーフロロアルキルビニルエーテルの如きパーフロロオレフィンとの共重合体が挙げられる。フロロビニル化合物の好ましい例としては、例えば、CF2=CFO(CF2)aSO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)aSO2F、CF2=CF(CF2)bSO2F、CF2=CF(OCF2CF(CF3))cO(CF22SO2F(ここに、a=1〜8、b=0〜8、c=1〜5の整数)を用いることもできる。
多孔質基体としては、有機多孔質基体と無機多孔質基体がある。
有機多孔質基体としての有機材料としては、ポリフロロカーボン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ脂環式オレフィン、ポリオキシメチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリパラアミド、ポリメタアミド、フェノール樹脂等の高分子にイオン導電性を付与した材料が挙げられる。
ポリフロロカーボンにイオン導電性を付与した高分子としては、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレン、パーフロロアルコキシビニルエーテルの如きパーフロロオレフィンの単独または共重合体のスルホン化物等が挙げられる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエ
チレン−パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル等のスルホン化物等が挙げられる。
また、充填するプロトン伝導性有機物質と有機多孔質基体としての有機材料は同系統の材料であることが、両者の接着性等の相性や寿命の観点から好ましい。例えば、ポリパーフルオロカーボンスルホン酸系プロトン伝導性有機物質に対してはPTFE、FEPまたはPFAなどのパーフルオロカーボン重合体のスルホン化物等が特性上好ましい。芳香族炭化水素系プロトン伝導性有機物質に対してはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィッド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール、ポリベンズイミダゾールのスルホン化物等が特性上好ましい。
無機多孔質基体としての無機材料としては、シリカ(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ホウ素(B23)、チタニア(TiO2)、アルミナ(Al23)等や、Ti、Al、BおよびZrの水酸化物、そしてそれらの任意組み合わせが挙げられる。本発明においては、シリカ(SiO2)が好ましい。また、シリカ(SiO2)の中でも非晶質シリカが好ましく、乾式法、湿式法、エアロゲル法いずれの製法によるものでも良いが、取扱いのしやすさより湿式法のコロイダルシリカが好ましい。
無機材料の平均粒子径は30nm以上2μm未満が好ましく、より好ましくは40nm以上1μm未満である。
無機多孔質基体は、可燃性支持体上に無機微粒子および可燃性有機微粒子を含む分散液を積層し、次いで分散液を積層した可燃性支持体を焼成することにより得られる。
可燃性支持体としては、濾紙などの紙、不織布などの布、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子フィルム等、可燃性であれば任意の素材で形成した支持体を用いることができる。支持体の表面は平滑であることが好ましい。平滑であれば、得られるプロトン伝導性膜の面も平滑となり、固体高分子形燃料電池の電解質とした場合に、電極とプロトン伝導性膜との界面での接触が密となる。支持体の表面粗さは特に制限はないが、無機微粒子および可燃性有機微粒子を含む分散液を積層する面の表面粗さRzが3μm以下であることが好ましい。表面粗さRzは、JISのRz(最大高さ)に相当する十点平均面粗さのことをいい、粗さの曲面から基準面積分だけ抜き取った部分の平均面を基準面として、最高から5番目までの山の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均値との距離を入力換算したものである。測定には、例えば、東京精密(株)製の触針式の3次元粗さ計(サーフコム570A−3DF)を用いることができる。また、無機微粒子および可燃性有機微粒子を含む分散液を積層することによる支持体の反り(カール)、たわみなどを防ぐために、分散液を積層する面とは反対側の面に、バッキング層を設けることが好ましい場合もある。
可燃性有機微粒子としては、最終的には燃えて無くなるものであれば任意の素材の有機微粒子を用いることができるが、分散液に用いる分散媒としての溶媒に膨潤しないものが好ましい。本発明においては、分散媒としては安全面の観点から水が好ましいので、可燃性有機微粒子としては、水に溶解ないしは膨潤しない、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、等のポリマービーズを用いることができる。好ましくは、スチレン樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン系樹脂である。ポリマービーズの粒径は20nm以上2μm未満が好ましく、さらに好ましくは100nm以上1.5μm未満である。
以下に、無機微粒子および可燃性有機微粒子を含む分散液の調製方法について説明する。
無機微粒子と可燃性有機微粒子の使用割合は無機多孔質基体の空隙率をどのくらいにしたいかによっても異なるが、概ね、無機微粒子を35〜95体積%、可燃性有機微粒子を5〜65体積%の割合で用いる(無機微粒子と可燃性有機微粒子の体積の総和を1とする)。また、分散液の濃度としては、固形分濃度として5〜80質量%、好ましくは10〜40質量%となるように調製する。
分散媒としては水系溶媒が好ましい。水系溶媒としては、水およびアルコール類など各種既知のものが使用できるが、水または水を主成分とする混合溶媒が好ましく使用される。
無機微粒子と可燃性有機微粒子を分散する分散助剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の各種の界面活性剤を用いることができる。
分散する分散方法としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等が挙げられ、これらは単独であるいは適宜組み合わせて用いることができる。
本発明においては、多孔質基体の空隙率は、特に制限はないが、概ね10〜70%であることが好ましく、より好ましくは20〜40%である。多孔質基体の空隙率をこの範囲内に調整することにより、高いプロトン伝導性、低いメタノール透過性、十分な薄膜化に耐えられるだけの物理的強度が更に良くなる。
空隙率は、単位面積当S(cm2)あたりの質量W(g)、平均厚みt(μm)および密度d(g/cm3)から次式により算出することができる。
空隙率(%)=(1−(104・W/(S・t・d)))×100
多孔質基体の平均膜厚は、特に制限はないが、通常は500μm以下であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは50〜200μmである。膜厚は1/10000シックネスゲージで測定できる。平均膜厚は任意の箇所を5点を測定し、その平均を算出することにより求めることができる。
可燃性支持体上に無機微粒子および可燃性有機微粒子を含む分散液を積層する工程としては、分散液を減圧吸引濾過器を用いてメンブレンフィルタでろ過を行い、ろ紙上に無機微粒子および可燃性有機微粒子を含む層を堆積させ乾燥する方法、あるいは、分散液を可燃性支持体に塗布して乾燥する方法などがある。本発明においては、分散液を可燃性支持体に塗布する方式が好ましい。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、エクストルージョン法等よく知られた塗布方式を採用することができる。
無機微粒子から形成された無機多孔質膜を形成するには、無機微粒子および可燃性有機微粒子を含む分散液を積層した可燃性支持体を、窒素雰囲気中で電気炉で加熱処理して焼成すればよい。加熱処理は、例えばケイ化モリブデンといった発熱体を備えた電気炉を用いて行うことができ、1000℃以下、より好ましくは400〜950℃で行われる。加熱のための時間は、目的とする無機多孔質膜の大きさにより適宜設定することが可能であり、具体的には例えば2時間程度の加熱時間とすることができる。加熱時間が長すぎると焼結が進行しすぎて、平均細孔径が小さくなるおそれがある。焼成工程の後に、冷却を行うが、この冷却の温度については特に制限はないが、取扱いの容易性といった点では、無機多孔質膜を室温にまで冷却することが好ましい。無機多孔質膜を得るための加熱処理における昇温速度および降温速度は、適宜設定することができる。昇温速度および降温速度の双方について200〜300℃/hとすることが好ましい。
本発明においては、多孔質基体の形状はプロトン伝導性有機物質が充填できる形状であれば、特に制限は無い。そのような形状としては、例えば、フィルム状、フィブリル状、織布状、不織布状、スポンジ状、粒状、ウイスカ状が挙げられる。好ましくはフィルム状である。
多孔質基体にプロトン伝導性有機物質を充填する方法は、特に限定されるものでない。例えば、多孔質基体にプロトン伝導性ポリマー溶液を塗布する方法、多孔質基体をプロトン伝導性ポリマー溶液に浸漬する方法などにより、多孔質基体の空隙にプロトン伝導性有機物質を充填することができる。その際、超音波を使用したり、減圧にすることによりプロトン伝導性有機物質を空隙に充填し易くすることができる。
また、重合性のプロトン伝導性有機物質を多孔質基体の空隙に充填させ、In−situ重合することもできる。具体的には、多孔質基体の細孔表面をプラズマ、紫外線、電子線、ガンマ線等のエネルギーにより活性化した後、その表面上にイオン交換基を持つモノマーを接触させ、または塗布し、多孔質基体表面上および空隙内部においてグラフト重合反応を生じさせ、空隙を実質的にプロトン伝導性ポリマーで充填する、あるいは、重合性のプロトン伝導性有機物質を気化させてプラズマ重合を行う、などの方法を行っても良い。また、重合性のプロトン伝導性有機物質に重合開始剤を添加して加熱するなどにより重合することもできる。
(触媒層)
本発明に用いるアノード極側触媒層2およびカソード極側触媒層3について以下に説明する。触媒層は、電池反応の反応場となる層であり、主成分は、触媒金属あるいは触媒金属担持カーボンと高分子電解質である。触媒金属としては、公知の触媒金属を用いることができる。例えば、貴金属触媒として、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、金、銀、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マガジン、バナジウムまたはこれらの多元合金を用いることができ、白金および白金合金から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらの貴金属触媒をカーボン粒子に担持させた貴金属触媒担持カーボン粒子を用いることができる。
カーボン粒子としては、活性炭、カーボンブラック、グラファイトおよびそれらの混合物を好ましく採用することができる。例えばカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられ、Denka BLACK(電気化学工業社製)、Valcan XC−72(キャボット社製)、Black Pearl 2000(同前)、Ketjen Black EC300J(ケェチェンブラック・インターナショナル社製)等市販のものを採用することができる。また、そのカーボン粒子に親水化処理をしても良い。特に、カルボキシル化合物で処理してカルボキシル化したものまたはスルホン化物で処理してスルホン化したものが好ましい。
貴金属触媒をカーボン粒子に担持させるには、例えばカーボンブラック分散液に白金やルテニウム等の貴金属触媒の塩を加え、ヒドラジン等を用いて還元し、濾過、乾燥することで得られる。また、更に熱処理を行っても良い。市販のValcan XC−72に白金或いは白金−ルテニウム触媒を担持させたもの(田中貴金属(株)製)等を用いることもできる。
触媒層用の電解質材料としては、プロトン伝導性高分子電解質膜に用いられる様なイオン導電性を有する電解質であれば特に制限は無く、例えば、フッ素系電解質材料、部分フッ素系電解質材料、炭化水素系電解質材料等が挙げられる。この触媒層における貴金属触媒担持カーボンと高分子電解質の比率は、必要とされる電極特性に応じて適宜決められるべきもので、特に限定されるものではないが、貴金属触媒担持カーボン/高分子電解質の質量比率で5/95〜95/5が好ましく、40/60〜85/15がさらに好ましいものである。また、触媒層には、種々の添加物を加えることもできる。例えば、電子伝導性向上のための炭素などの導電剤や、結着性向上のための高分子バインダー、撥水性向上のための撥水性付与剤等の添加物などがあるが、特に限定されることなく用いることができる。撥水性付与剤としては、テフロン(登録商標)の様なポリテトラフロロエチレン(PTFE)、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体等の含フッ素樹脂が挙げられる。
(拡散層)
本発明に用いられる拡散層10、11について説明する。拡散層は、触媒層への反応ガスの供給および電子の授受を行い、その電子を集電層と受け渡しするための層であり、一般に、多孔質かつ電子伝導性を有する材料が用いられる。この拡散層は、必ずしも必要ではないが、あればより効果的に反応物質の供給と電子の授受を行うことができる。その材質は、多孔質かつ電子伝導性を有するものであれば良く、好ましくは、多孔質のカーボンクロス、カーボンペーパー等を用いる。
(筐体および集電層)
本発明に用いられる筐体4、5および集電層6について説明する。集電層6は、触媒層ないしは拡散層からの電子を集める電極の役割をするものであり、導電性材料が用いられる。集電層6に用いられる導電性材料としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金、銀、銅およびこれらの化合物または合金、導電性炭素材料等を挙げることができる。
集電層6に用いられる導電性材料は、導電性材料を含む導電性ペーストまたは導電性接着剤を塗布する、または、導電性材料自体をスパッタリング、蒸着、メッキ、溶射といった方法により、燃料電池の筐体4、5に形成することができる。また、集電層6を筐体4、5に形成する際、筐体4、5の内面を部分的にマスキングしてもよい。また、集電層6をパターン状に形成することにより、燃料流路8および空気流路9を作製することができる。
筐体4、5は、ガラス、プラスチック、金属、シリコン等を単独又は複合して用いることができ、燃料、例えば水素やメタノールが実質的に不透過である素材であれば、制限は無い。また、筐体表面4、5に溝を形成し、その後、集電層6を形成することで、燃料流路8および空気流路9を作製することもできる。このように集電層6をパターン状に形成または、筐体5への溝形成によりできる空気流路9は、排水のための流路も兼ねている。
(プロトン伝導性高分子電解質膜と触媒層、拡散層との接合体)
アノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3およびプロトン伝導性高分子電解質膜1との接合体の作製方法としては、アノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3に用いるインクをプロトン伝導性高分子電解質膜1に直接塗設する方法、拡散層10、11に用いる基材にアノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3を塗設したものでプロトン伝導性高分子電解質膜1を挟持する方法、支持体に塗設した後プロトン伝導性高分子電解質膜1や拡散層10、11に転写する方法等が挙げられる。しかし、これらの方法に限定されるものではない。
拡散層10、11に用いられる基材としては、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば、特に限定されることなく用いることが可能である。拡散層10、11に用いる基材としては、例えば、導電性無機物質を主とするものが挙げられる。この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛および膨張黒鉛等の炭素材、前述のナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等が挙げられる。拡散層10、11に用いる基材の導電性無機物質の形態は特に限定されず、例えば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、ガス透過性の点から繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)、特に炭素繊維が好ましい。
無機導電性繊維を用いた拡散層10、11の基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。例えば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など、特に限定されること無く用いられる。
不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法によるもの等、特に限定されること無く用いられる。また編物であっても構わない。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法等による不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布等が好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布を用いるのが好ましい。
拡散層用基材に炭素繊維からなる無機導電性繊維を用いた場合、炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示される。なかでも、PAN系炭素繊維が好ましい。さらに、拡散層10、11に用いる基材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液等を用いて撥水化処理を行うことができる。
転写方法による接合の場合には、転写基材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、あるいは表面をフッ素やシリコーン系の離型剤処理したガラス板や金属板などが用いられ、さらに、接合性を高めるため、ホットプレス処理を施してもよい。
塗設による接合の方法としては、ロッドコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドコーター、スプレーコーター、スピンコーター、ディップコーター、ロールコーター等のコーターを用いる方法や刷毛塗りなどが挙げられる。
プロトン伝導性高分子電解質膜1とアノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3との接合体を製造する方法としては、カーボン粒子に担持させた白金触媒粉をポリテトラフロロエチレン懸濁液と混合し、拡散層10、11としてのカーボンペーパーに塗布し、熱処理してアノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3を形成した後、プロトン伝導性高分子電解質膜1と同一の電解質溶液をアノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3に塗布し、プロトン伝導性高分子電解質膜1とホットプレスして一体化する方法がある。
(筐体との接合)
筐体4、5を締結ボルトで固定することにより、アノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3又は拡散層10、11と集電層6が密着し、電子の受け渡しを効率よく行うことができる。このとき、ガスケット7を筐体4、5の間に挟むことにより、液漏れを防止するとともに平面上で隣り合う電解質膜−電極接合体同士が接触するのを防ぐことができる。また、このガスケット7は、燃料流路8の一部を構成してもよい。接合方法としては、締結ボルトの他に、嵌め合わせ方式やクリップ等による圧着、接着剤による固定などがあるが、アノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3又は拡散層10、11と集電層6とが密着するものであれば、これらの方式に限定するものではない。
実施例により、本発明の燃料電池を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、かかる実施例に制限されるものでないことはいうまでもない。
[触媒担持カーボンの作製]
(カソード極用白金担持カーボン)
アセチレンブラック8g、純水200gを混合する。次いで、白金として2gの塩化白金酸水溶液を添加して、60℃に昇温する。温度が一定になった後に、2mol/lの水酸化ナトリウム溶液でpH10に調整して、3質量%ヒドラジン溶液を滴下して塩化白金酸の還元を行った。還元終了後にガラスフィルターでろ過洗浄し、乾燥することで白金担持カーボンを得た。このカーボンの白金担持量は20質量%であった。
(アノード極用白金ルテニウム担持カーボン)
カソード極用白金担持カーボンの作製と同様にしてアノード極用白金ルテニウム担持カーボンを作製した。ただし、この場合は白金として2gの塩化白金酸水溶液の代わりに、白金として2.6gの塩化白金酸およびルテニウムとして2.1gの塩化ルテニウムの水溶液を用いて、白金ルテニウム担持カーボンを得た。このカーボンの白金担持量は20質量%であった。
[触媒層および集電層用インクの作製]
(アノード極用触媒インクの作製)
白金ルテニウム担持カーボン、ナフィオン117溶液(デュポン社製)、テフロン(登録商標)分散液PTFE31−J(三井デュポンフロロケミカル社製)を、固形分質量比でそれぞれ40:55:5の混合物を作製し、これに水および2−プロパノールを加え、超音波で均一に分散し、カソード極用触媒インクを作製した。
(カソード極用触媒インクの作製)
アノード極用触媒インクの作製において、白金ルテニウム担持カーボンを白金担持カーボンに代えた以外はアノード極用触媒インクの作製と同様の操作を行い、カソード極用触媒インクを作製した。
(集電層用インクの作製)
ケッチェンブラックEC(ライオン社製)、テフロン(登録商標)分散液PTFE31−J(三井デュポンフロロケミカル社製)、ナフィオン117溶液(デュポン社製)を固形分質量比でそれぞれ80:10:10の混合物を作製し、これに水および2−プロパノールを加え、超音波で均一に分散し、集電層用インクを作製した。
[拡散層用基板の作製]
厚さ0.36mmのカーボンペーパー(東レ製:TGP−H−120)の一方の面に、テフロン(登録商標)分散液PTFE31−J(三井デュポンフロロケミカル社製)を塗設、自然乾燥後、窒素ガス雰囲気下で300℃、10分間処理し、拡散層用基板を作製した。
[複合膜の作製]
(プロトン伝導性高分子電解質分散液の作製)
ナフィオン117溶液(デュポン社製)に、水、2−プロパノールおよび予め破砕した固体状のナフィオン(デュポン社製)を加え、0.5mmのジルコニアビーズを用いて分散し、ナフィオン固形分が50質量%のプロトン伝導性高分子電解質分散液を作製した。
(無機多孔質基体の作製)
500nmの平均粒子径を持つスチレン/ジビニルベンゼンポリマー粒子と20nmの1次粒径を持つコロイダルシリカを体積比で50:50の割合で界面活性剤を含む水中にて高速ホモジナイザーを用いて攪拌、分散させた。その後、減圧吸引濾過器を用いて孔径0.025μmのメンブレンフィルタで濾過を行った。得られた濾紙状試料を乾燥した後、950℃の恒温箱に入れ焼成し、空隙率52%、平均膜厚100μmの無機多孔質基体を作製した。平均膜厚は1/10000シックネスゲージで任意の箇所を5点測定し、その平均を算出して求めた。
(無機多孔質基体からなる複合膜の作製)
上記で作製した無機多孔質基体に、下記の方法でプロトン伝導性有機物質を充填し無機多孔質基体からなる複合膜を作製した。
イソプロピルアルコール:水=4:1中にモノマーとして2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と架橋剤としてN,N’メチレン−ビスアクリルアミドと重合開始剤としてAIBN(N,N’−アゾビスイソバレロニトリル)を質量比で100:20:1となるよう混合した。無機多孔質基体をテフロン(登録商標)シート上に置き、混合液を無機多孔質基体に含浸させた。この状態でゆっくり加熱し60℃で2時間保温し、更にゆっくり加熱し80℃で2時間保温した。
(有機多孔質基体からなる複合膜の作製)
上記で作製した無機多孔質基体に代えて、膜厚50μmのポリテトラフロロエチレンの多孔質膜を用いた以外は、無機多孔質基体からなる複合膜の作製と同様にして有機多孔質基体からなる複合膜を作製した。ポリテトラフロロエチレンの多孔質膜は、ポリテトラフロロエチレン粉末を室温で50μmになるように圧縮成形し、次いで300〜350℃の恒温槽内で焼結して製作した。
[燃料電池セルの作製]
(試料−1)
カソード極およびアノード極用触媒インクを、ポリプロピレンフィルム(東レ社製:トレファン0−2500)上に塗設、乾燥し、カソード極およびアノード極触媒層を作製した。なお、触媒付き量が、両極とも白金として2.0mg/cm2となるように塗設した。この触媒層を、上記で作製した無機多孔質基体からなる複合膜の両面に転写し、ホットプレス(140℃、20kg/cm2)処理した(以下、試料−1のMEAという)。
また、厚さ3mmのアクリル製筐体の内部に、集電層用インクを乾燥後の膜厚が0.02mmとなるように塗設して集電層を形成し、集電層付きアクリル製筐体を作製した。
試料−1のMEAの触媒層と集電層付きアクリル製筐体の集電層が電気的に接続するように、試料−1のMEAを筐体にはめ込み固定して、試料−1の燃料電池セルを作製した。
(試料−2)
厚さ3mmのガラス製筐体の内部に、膜厚が0.3μmとなるように白金をスパッタリングして集電層を形成し、集電層付きガラス製筐体を作製した。
試料−1のMEAの触媒層と集電層付きガラス製筐体の集電層が電気的に接続するように、試料−1のMEAを筐体にはめ込み固定して、試料−2の燃料電池セルを作製した。
(試料−3)
カソード極およびアノード極用触媒インクを、上記で作製した無機多孔質基体からなる複合膜の両側の表面に直接塗布、乾燥し、カソード極およびアノード極触媒層が無機多孔質基体からなる複合膜に設けられた試料(以下試料−3のMEAという)を作製した。なお、触媒付き量は、カソード極、アノード極ともに白金として2.0mg/cm2となるように塗設した。
試料−1において、試料−1のMEAの代わりに試料−3のMEAを用いた以外は試料−1の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−3の燃料電池セルを作製した。
(試料−4)
試料−2において、試料−1のMEAの代わりに試料−3のMEAを用いた以外は試料−2の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−4の燃料電池セルを作製した。
(試料−5)
カソード極およびアノード極用触媒インクを前記で作製した拡散層用基板に、触媒付き量が両極とも白金として2.0mg/cm2となるように塗設した。この触媒層が設けられた拡散層で試料−1のMEAを挟持し、ホットプレス(140℃、20kg/cm2)処理し処理した(以下、試料−5のMEAという)。
試料−1において、試料−1のMEAの代わりに試料−5のMEAを用いた以外は試料−1の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−5の燃料電池セルを作製した。
(試料−6)
試料−2において、試料−1のMEAの代わりに試料−5のMEAを用いた以外は試料−2の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−6の燃料電池セルを作製した。
(試料−7)
厚さ3mmのアクリル製筐体の内部のMEAと接する部分に燃料および排水用流路となる溝(深さ0.8mm)を形成し、この面に集電層用インクを乾燥後の膜厚が0.02mmとなるように塗設し、集電層を形成し、燃料および空気流路(排水用流路も兼ねる)が設けられた集電層付きアクリル製筐体を作製した。
試料−5のMEAが燃料および排水用流路が設けられた集電層付きアクリル製筐体の集電層が電気的に接続するように、試料−5のMEAを筐体にはめ込み固定して、試料−7の燃料電池セルを作製した。
(試料−8)
試料−1において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、前記で作製した有機多孔質基体からなる複合膜を用いた以外は、試料−1の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−8の燃料電池セルを作製した。
(試料−9)
試料−2において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、前記で作製した有機多孔質基体からなる複合膜を用いた以外は、試料−2の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−9の燃料電池セルを作製した。
(試料−10)
試料−3において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、前記で作製した有機多孔質基体からなる複合膜を用いた以外は、試料−3の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−10の燃料電池セルを作製した。
(試料−11)
試料−4において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、前記で作製した有機多孔質基体からなる複合膜を用いた以外は、試料−4の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−11の燃料電池セルを作製した。
(試料−12)
試料−5において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、前記で作製した有機多孔質基体からなる複合膜を用いた以外は、試料−5の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−12の燃料電池セルを作製した。
(試料−13)
試料−6において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、前記で作製した有機多孔質基体からなる複合膜を用いた以外は、試料−6の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−13の燃料電池セルを作製した。
(試料−14)
試料−7において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、前記で作製した有機多孔質基体からなる複合膜を用いた以外は、試料−7の燃料電池セルの作製と同様にして、試料−14の燃料電池セルを作製した。
(比較試料−1)
試料−1において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、ナフィオン112(デュポン社製)を用いた以外は、試料−1の燃料電池セルの作製と同様にして、比較試料−1の燃料電池セルを作製した。
(比較試料−2)
試料−2において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、ナフィオン112(デュポン社製)を用いた以外は、試料−2の燃料電池セルの作製と同様にして、比較試料−2の燃料電池セルを作製した。
(比較試料−3)
試料−5において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、ナフィオン112(デュポン社製)を用いた以外は、試料−5の燃料電池セルの作製と同様にして、比較試料−3の燃料電池セルを作製した。
(比較試料−4)
試料−6において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、ナフィオン112(デュポン社製)を用いた以外は、試料−6の燃料電池セルの作製と同様にして、比較試料−4の燃料電池セルを作製した。
(比較試料−5)
試料−7において、無機多孔質基体からなる複合膜の代わりに、ナフィオン112(デュポン社製)を用いた以外は、試料−7の燃料電池セルの作製と同様にして、比較試料−5の燃料電池セルを作製した。
[評価]
上記で作製した各試料および比較試料に係る燃料電池セルを用いて、温度25℃、大気圧下における燃料の流速を6ml/分、空気の流速を1000ml/分とした条件で、アノード極側に1モルのメタノール水溶液を、カソード極側に空気を供給し、電流−電圧特性を測定した。代表値として、電圧が0.3Vおよび0.5Vの時の電流値で出力を評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2006086070
本発明に係る試料(試料1〜試料14)は、比較試料1〜比較試料5に比べて高出力が得られている。本発明に係る試料は、比較試料5に対しても優れていることから、電解質膜として多孔質基体にプロトン伝導性有機物質を含む複合膜を用いたことによる効果と、集電層をそれぞれ筐体の内側に形成したことにより、集電層と触媒層の接触界面での抵抗を小さくできたことによる相乗的な効果が得られているものと思われる。
また、表1に結果から、多孔質基体としては有機多孔質基体よりも無機多孔質基体の方が優れていること、集電層としては白金をスパッタリングしたものよりも集電インクを塗布して形成した方が優れていることがわかる。さらに、触媒層と集電層の間に拡散層を設ける、燃料及び酸化剤ガスを供給するための流路を形成することにより、より高出力も燃料電池が得られることがわかる。
本発明の燃料電池の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の燃料電池の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の燃料電池の一実施形態を示す概略図である。 アノード極側の筐体の内面を示す概略図である。 カソード極側の筐体の内面を示す概略図である。
符号の説明
1 プロトン伝導性高分子電解質膜
2 アノード極側触媒層
3 カソード極側触媒層
4 アノード極側筐体
5 カソード極側筐体
6 集電層
7 ガスケット
8 燃料流路
9 空気流路
10、11 拡散層

Claims (6)

  1. 触媒層と集電層を有するアノード極、触媒層と集電層を有するカソード極および前記アノード極とカソード極との間に設けられたプロトン伝導性高分子電解質膜からなる電極−電解質膜接合体が筐体内に内臓されてなる燃料電池において、
    前記プロトン伝導性高分子電解質膜は、多孔質基体にプロトン伝導性有機物質を含む複合膜であり、かつ前記アノード極側の集電層と前記カソード極側の集電層は、それぞれ前記筐体の内側に形成されていることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記アノード極および前記カソード極は、前記触媒層と前記集電層の間に拡散層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記アノード極の集電層は、前記筐体と接する面側に燃料を供給するための流路が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
  4. 前記カソード極の集電層は、前記筐体と接する面側に酸化剤ガスを供給するための流路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  5. 前記多孔質基体が、SiO2、ZrO2、TiO2、Al23およびB23、並びにTi、Al、B、Zrの水酸化物から選ばれる少なくとも一種から形成されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池。
  6. 前記SiO2が非晶質シリカであることを特徴とする請求項5記載の燃料電池。
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