JP2006069218A - ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム - Google Patents

ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性と透明性とを有し、さらに、機械特性を有するポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムを提供することにある。
【解決手段】面配向度Δpが3.0×10−3〜30×10−3、フィルムを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が20J/g以上および{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.75以上であるポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムであって、前記ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に、蒸着法またはスパッタ−法によって、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層が設けられていることを特徴とするポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム。
【選択図】なし

Description

食品包装等に好適なガスバリア性を有する生分解性のフィルムを提供する。
食品包装、電子材料、医用材料包装等の用途においては、大気中の水蒸気や酸素、あるいは、その他の気体が内容物を変成させることを防ぐために、気体透過率が小さいガスバリア性のフィルムが用いられる。
ガスバリア性のフィルムとしては、ポリアミドやエチレンポリビニルアルコール共重合体の積層フィルム、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等に金属、特に、アルミニウムを真空蒸着したフィルムが様々な分野で使用されている。また、アル
ミニウムは不透明であり、内容物を透視する必要がある場合には、酸化ケイ素等の無機酸化物を真空蒸着したフィルムが提案されている。
一方、近年環境問題の高まりから、これらフィルム製品に限らずプラスチック加工品全般に対して、自然環境中に棄却された場合、経済的に分解・消去し、最終的に自然環境に悪影響を及ぼさないことが求められている。
従来のプラスチックフィルム製品は、自然環境中で長期に渡って安定であり、しかも嵩比重が小さいため、廃棄物埋め立て地の短命化を促進したり、自然の景観や野生生物の生活環境を損なうといった問題点が指摘されていた。
そこで、今日注目を集めているのが、生分解性プラスチック材料である。生分解性プラスチックは、土壌中や水中で、加水分解や生分解により、徐々に崩壊・分解が進行し、最終的には微生物の作用により無害な分解物となることが知られている。
実用化され始めている生分解性プラスチックは脂肪族ポリエステル、変成ポリビニルアルコール、セルロースエステル化合物、デンプン変成体およびこれらのブレンド体に大別される。
脂肪族ポリエステルとしては、微生物産出系重合体としてポリ(ヒドロキシ酪酸/吉草酸)が、合成系重合体としてポリカプロラクトンや脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの縮合体が、そして、半合成系重合体としてポリ乳酸系重合体が、それぞれ代表的に知ら
れている。
これらの生分解性プラスチックは各々に固有の特徴を有し、これらに応じた用途展開が考えられるが、この中でも、ポリ乳酸系重合体は、他の生分解性プラスチックと比較して、透明性・剛性・耐熱性・加工性等が秀でていることから、従来硬質PVCやPETが使用されてきた硬質透明フィルム用途への展開が図られようとしている。
ところが、ポリ乳酸系重合体を初めとする生分解性プラスチックから作られたフィルムはガスバリア性が乏しく、広い分野に普及する上での実用上の大きな障害となっていた。そこで、特開平6−8370号には、ガスバリア性のポリ乳酸フィルムが開示されているが、この技術では、ポリ乳酸フィルムの大きな長所である透明性について検討されていない。また、フィルムの機械物性も十分ではなく、用途は限定される。
一方、PETフィルムやOPPフィルム等の汎用プラスチックフィルムにおいては、例えば特開平4−337067号、特開平4−353531号に、透明性を維持したままガスバリア性フィルムを得る方法が開示されているが、これらの方法では、工程で発生する熱のためにフィルムの変形や溶融が発生し、ポリ乳酸フィルムを始めとする生分解性フィルムに適用することは不可能であった。
特開平6−8370号 特開平4−337067号 特開平4−353531号
上述したように、従来知られている技術ではガスバリア性を備え、さらに、透明性を有しているポリ乳酸系フィルムは提供されていない。そこで、本発明の目的はガスバリア性と透明性とを有し、さらに、機械特性を有するポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムを提供することにある。
本発明の本旨は、面配向度Δpが3.0×10−3〜30×10−3、フィルムを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が20J/g以上および{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.75以上であるポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムであって、前記ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に、蒸着法またはスパッタ−法によって、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層が設けられていることを特徴とするポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムである。
ここで、前記無機酸化物の層は、ケイ素酸化物SiO(X:1.5〜2)の層であり、該ケイ素酸化物の層がSiOとSiOとを混合したものを加熱し、蒸着法によって形成されることが好ましい。
また、本発明のポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムは、面配向度Δpが3.0×10−3〜30×10−3、フィルムを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が20J/g以上および{(ΔHm−ΔHc)/ΔHmが0.75以上であるポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムであって、前記ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層が設けられていることができる。
また、本発明のポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムは、面配向度Δpが3.0×10−3〜30×10−3、フィルムを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が20J/g以上および{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.75以上であるポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムであって、前記ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に、ケイ素酸化物SiO(X:1.5〜2)の層が設けられていることができる。
本発明によればガスバリア性を有するポリ乳酸系生分解性フィルムを得ることができる。
発明を実施するための形態
本発明に用いられるポリ乳酸系重合体とは、ポリ乳酸または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、もしくはこれらの組成物であり、本発明の効果を阻害しない範囲で他の高分子材料が混入されても構わない。また、成形加工性、シートや加工品の物性を調整する目的で、可塑剤、滑剤、無機フイラー、紫外線吸収剤などの添加剤、改質剤を添加することも可能である。
乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸が挙げられ、他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などが代表的に挙げられる。
これらの重合法としては、縮合重合法、開環重合法など、公知のいずれの方法を採用することも可能であり、さらには、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わ
ない。重合体の重量平均分子量としては、50,000から1000,000の範囲が好ましく、かかる範囲を下まわると実用物性がほとんど発現されないなどの問題を生じる。また上まわる場合には、溶融粘度が高くなりすぎ成形加工性に劣る。
いずれの場合においても、ポリ乳酸系重合体が本来的に有する脆性を大幅に改良し、そのフィルム強度をより向上させるために、ポリ乳酸系フィルムの面配向度Δpを3.0×10−3〜30×10−3に調整することが重要である。また、後述する熱処理(熱固定)の効果を発現させ、フィルムに熱寸法安定性を付与する上でも、大きな意味を持つ。
ΔPは、フィルムの厚み方向に対する面方向の配向度を表わし、通常直交3軸方向の屈折率を測定し以下の式で算出される。
ΔP={(γ+β)/2}−α (α<β<γ)
ここで、γ、βがフィルム面に平行な直交2軸の屈折率、αはフィルム厚さ方向の屈折率である。
ΔPは結晶化度や結晶配向にも依存するが、大きくはフィルム面内の分子配向に依存する。つまりフィルム面内、特にフィルムの流れ方向および/またはそれと直交する方向の1または2方向に対し、分子配向を増大させることにより、無配向シート・フィルムでは1.0×10−3以下であるΔPを本発明で規定する3.0×10−3以上に増大させることができる。
ΔPを増大させる方法としては、既知のあらゆるフィルム延伸法に加え、電場や磁場を利用した分子配向法を採用することもできる。
通常は、Tダイ・Iダイ・丸ダイ等から溶融押し出ししたシート状物または円筒状物を冷却キャストロールや水、圧空等により急冷し非晶質に近い状態で固化させた後、ロール法・テンター法・チューブラー法等により一軸または二軸に延伸する方法が、工業的に望ましく採用される。
延伸条件としては、延伸温度50〜100℃、延伸倍率1.5倍〜5倍、延伸速度100%/分〜10000%/分が一般的ではあるが、この適正範囲は重合体の組成や、未延伸シートの熱履歴によって異なってくるので、ΔPの値を見ながら適宜決められる。
こうして延伸されたポリ乳酸系フィルムは、本来的に有する脆性が大幅に改良され、機械強度が向上している。得られた延伸フィルムは熱収縮性のフィルムである。
ところが、上記フィルムにガスバリア性を付与するために、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層を設けると、その際に発生する熱でフィルムが収縮してしまい、均一な無機層を得ることができない。さらには、フィルムがたわみ、フィルムそのものが得ることができないことがある。
ポリ乳酸系フィルムに熱寸法安定性を付与するためには、面配向度Δpが3.0×10−3〜30×10−3のフィルムを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)を20J/g以上かつ{(Δ
Hm−ΔHc)/ΔHm}を0.75以上に制御することが重要である。
すなわち、これらの条件を下回る場合は、フィルムの熱寸法安定性が不良であり、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層を設ける工程で発生する熱により収縮してしまい、ガスバリア性フィルムを得ることができない。かかる条件を上回れば、熱寸法
安定性が良好となり、実用上支障がなくなる。
ΔHm、ΔHcは、フィルムサンプルの示差走査熱量測定(DSC)により求められるもので、ΔHmは昇温速度10℃/分で昇温したときの全結晶を融解させるのに必要な熱量であって、重合体の結晶融点付近に現れる結晶融解による吸熱ピークの面積から求められる。またΔHcは、昇温過程で生じる結晶化の際に発生する発熱ピークの面積から求められる。
ΔHmは、主に重合体そのものの結晶性に依存し、結晶性が大きい重合体では大きな値を取る。ちなみに共重合体のないL−乳酸またはD−乳酸の完全ホモポリマーでは、60J/g以上であり、これら2種の乳酸の共重合体ではその組成比によりΔHmは変化する。ΔHcは、重合体の結晶性に対するその時のフィルムの結晶化度に関係する指標であり、ΔHcが大きいときには、昇温過程でフィルムの結晶化が進行する。すなわち重合体が有する結晶性を基準にフィルムの結晶化度が相対的に低かったことを表す。逆に、ΔHcが小さい時は、重合体が有する結晶性を基準にフィルムの結晶化度が相対的に高かったことを表す。
すなわち、(ΔHm−ΔHc)を増大させるための1つの方向は、結晶性が高い重合体を原料に、結晶化度の比較的高いフィルムをつくることである。フィルムの結晶化度は、重合体の組成に少なからず依存し、重合体そのもののΔHmを20J/g以上にするには、L−乳酸とD−乳酸から共重合体を作るケースにおいては、その組成比を100:0〜94:6の範囲内または0:100〜6:94の範囲内に調製することが好ましい。また、ΔHcを低下させるためには、すなわちフィルムの結晶化度を高めるためにはフィルムの成形加工条件を選定する必要がある。
成形加工工程、特にテンター法2軸延伸においてフィルムの結晶化度を上げるためには、延伸倍率を上げ配向結晶化を促進する、延伸後に結晶化温度以上の雰囲気で熱処理するなどの方法が有用である。なお、ΔPが大きいほど結晶化温度が低下する傾向があり、本発明の場合には鋭意検討した結果少なくとも70℃以上で、好適には90℃〜170℃の範囲で3秒以上熱処理することで熱寸法安定性が付与できる。この範囲内で熱処理温度が高いほど、また熱処理時間が長いほど熱寸法安定性は向上する。
フィルムの厚みは特に限定されないが、用途に応じて、5μm〜1mmの範囲で選択される。
本発明では、得られたポリ乳酸系フィルムの少なくとも片面に、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層を設けることにより、ガスバリア性を付与する。具体的には、Si、Al、Ti、Zr、Ta、NbまたはSn等の酸化物、窒化物あるいは酸化窒化物等が好適である。
上記無機物のうち価格が安価なことから好んで使用されるのは、組成式SiOで表わされるケイ素酸化物である。SiOにおいて、Xが1.5未満ではフィルムが黄色から茶色に着色し、光線透過率が低下する。また、Xが2.0を上回る場合には耐ゲルボ性、すなわちガスバリアの屈曲の耐久性が低下する。すなわちSiOにおいて、Xが1.5〜2.0の範囲にあるとガスバリア性に加えて、光線透過率と耐ゲルボ性も改善される。
層の形成方法としては、蒸着法・スパッター法・イオンプレーティング法・化学気相成長(CVD)法・ゾルゲル法を挙げることができる。このうち、経済上最も好ましいのは蒸着法であり、工程で熱が発生しにくいのは化学気相成長(CVD)法とゾルゲル法である。本発明のポリ乳酸系フィルムを用いれば、いずれの方法でも層を設けることが可能である。
無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物層の化学組成の制御は、形成方法や装置により異なるが、蒸着物質やターゲット物質の選択、さらには雰囲気気体の種類と量により、決定される。
例えば蒸着法で、SiO層を持つポリ乳酸系フィルムを得るには、真空チャンバー中で、所定の割合でSiOとSiOを混合したるつぼを熱線加熱・アーク蒸発・レーザー加熱・高周波加熱・電子ビーム加熱等の方法により加熱し、るつぼ上にフィルムを置く。必要に応じ、真空チャンバー中に巻き出し・巻き取り機を設置し、フィルムを連続で処理できるようにすることもできる。
また、例えばスパッター法で、SiO層を持つポリ乳酸系フィルムを得るには、ターゲット物質としてSiを用い、真空チャンバー中のスパッターガス中の酸素濃度を調整する。また、窒素、酸素と窒素の混合ガスを用いれば、それぞれ窒化物、酸化窒化物を得る
ことができる。さらには、バイアススパッター・マグネトロンスパッター・イオンビームスパッター方式を用いると、より純度の高い層を得ることができる。
無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物層の層厚は、化学組成により異なるが、5〜200nmの範囲が好適である。5nm未満では、ガスバリア性が不十分になり、逆に200nmを超えると屈曲破壊を起こしやすくなり、耐ゲルボ性が低下する。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す測定値は次に示すような条件で測定を行い、算出した。
(1)ΔP
アッベ屈折計によって直交3軸方向の屈折率(α、β、γ)を測定し、次式で算出した。
ΔP={(γ+β)/2}−α (α<β<γ)
γ:フィルム面内の最大屈折率
β:それに直交するフィルム面内方向の屈折率
α:フィルム厚さ方向の屈折率

なお、本発明においては、ΔPはポリ乳酸系重合体フィルムについて規定するものであるので、共押出などにより積層後、延伸・熱処理された場合には、必要に応じ、ポリ乳酸系重合体フィルム層以外のフィルム層を除去し、ポリ乳酸系重合体フィルムについて測定する。
(2)熱分析
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)を用い、原料ペレット、もしくはポリ乳酸系フィルム層のフィルムサンプル10mgをJIS−K7122に基づき、昇温速度10℃/分で昇温した時のサーモグラムから、結晶融解熱量ΔHm,結晶化熱量ΔHcを求め、
(ΔHm−ΔHc),{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}
の値を算出した。
(3)光線透過率
反射・透過率計HR−100(村上色彩技術研究所(株)製)を用い、JIS−K7105に基づいて測定した。
(4)ガスバリア性(酸素透過率・水蒸気透過率)
酸素透過率は、ガス透過測定装置M−C3((株)東洋精機製)を用い、JIS−Z0208に準拠して、23℃,0%RHで測定した。単位はcc/m・24h・atmである。水蒸気透過率はパーマトランW3/31(モダンコントロールズ社製)を用い、JIS−K7126に準拠して、40℃,90%で測定した。単位は、g/m・24h・atmである。
(5)耐ゲルボ性
ゲルボフレックステスター(理学工業(株)製)を用い、MIL−B131Hに準拠して、20℃,65%RHの雰囲気下、40往復/minの速度で試験を行った後、酸素透過率を上述した方法と同様の方法で測定した。
(実施例1)
重量平均分子量20万のポリL−乳酸((株)島津製作所製ラクティ1012)を60mmφ単軸押出機でTダイ押出した後、キャストロールで急冷してシートを得た。このシートを三菱重工業(株)製フィルムテンターを用い、70℃で2.5倍縦延伸、70℃で2.5倍横延伸をした後、120℃で30秒熱処理(熱固定)を行い、厚み20μmのポリ乳酸フィルムを得た。得られたフィルムのΔpは14.8、(ΔHm−ΔHc)は45J/g、{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}は0.90であった。
電子ビーム加熱方式真空蒸着機(レイボルド社製)を用いて、SiO:SiO=1:2混合物を原料とし、真空度5×10−5の空気雰囲気下で、連続的に蒸着処理した。尚、SiO層は片面にのみ設けた。処理中フィルムにトラブルが発生することなく、厚み500AのSiO1.67層を形成することができた。得られた試料の光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率を測定して表1に示した。さらに、耐ゲルボ性については表2に示した。
(実施例2〜4)
実施例1で使用したポリ乳酸系フィルムに、高周波スパッタリング装置ILC−3104(日電アネルバ(株)製)を用いターゲット物質とスパッターガスを選択して、表1に示す化学組成を有する層を片面に設けた実施例2〜4の試料を得た。得られた試料の光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率を測定して表1に示した。
(比較例1)
熱処理を行わない以外は実施例1と同様の方法で、厚み20μmのポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムのΔpは10.5、(ΔHm−ΔHc)は35J/g、{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}は0.69であった。前記フィルムを実施例1と同様の方法で、蒸着処理したところ工程中でフィルムが収縮して、無機酸化物の層を形成することができなかった。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で、延伸工程なしにTダイ押出するのみで、厚み20μmのポリ乳酸系フィルムを得た。このフィルムのΔpは、0.1、(ΔHm−ΔHc)は10J/g、{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}は0.17であった。このフィルムを実施例1と同様の方法で、蒸着処理したところ工程中でフィルムが柔軟化してシワを発生し、無機酸化物の層を形成することができなかった。
(比較例3)
実施例1で使用したポリ乳酸系フィルムの光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率を
測定して表1に示した。
(実施例5〜7)
実施例1で得られたポリ乳酸系フィルムを用い蒸着処理するにあたり、SiO:SiOの混合比と真空チャンバー中の酸素濃度を変化させることにより、形成されるSiO層のXを変化させ、表2に示す組成を有する層を片面に有する実施例5〜7の試料を得た。各試料の光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率、耐ゲルボ性について表2に示した。
Figure 2006069218
Figure 2006069218
表1より明らかなように、Δp、(ΔHm−ΔHc)および{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が本発明の範囲内にあり、ポリ乳酸系生分解性フィルムの少なくとも一方の面に、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層が設けられている実施例1〜4のフィルムは光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率ともに優れたポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムである。
一方、Δp、(ΔHm−ΔHc)および{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が本発明の範囲外である比較例1,2は蒸着中にフィルムが収縮あるいはシワが生じて、無機酸化物の層を形成することができなかった。Δp、(ΔHm−ΔHc)および{(ΔHm−ΔH
c)/ΔHm}が本発明の範囲内にあるが、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層が設けられていない比較例3は酸素透過率、水蒸気透過率が高くガスバリア性を有していない。
表2にはSiO層のXの値を変化させたものを示している。実施例1,6のフィルムのようにX=1.5〜2の範囲では、光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率の他に、さらに耐ゲルボ性も優れたポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムである。
一方、X=1.3の実施例5はガスバリア性、耐ゲルボ性が優れているが、光線透過率が若干劣るため、極めて高い透明性が必要とされる仕様には適していない。また、X=2.2の実施例7はガスバリア性、光線透過率が優れているが、耐ゲルボ性が若干劣るため、耐ゲルボ性が必要とされる仕様には適さない。
以上説明したように、本発明によればガスバリア性を有するポリ乳酸系生分解性フィルムを得ることができる。

Claims (2)

  1. 面配向度Δpが3.0×10−3〜30×10−3、フィルムを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が20J/g以上および{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.75以上であるポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムであって、前記ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に、蒸着法またはスパッタ−法によって、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層が設けられていることを特徴とするポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム。
  2. 前記無機酸化物の層が、ケイ素酸化物SiO(X:1.5〜2)の層であり、該ケイ素酸化物の層がSiOとSiOとを混合したものを加熱し、蒸着法によって形成されることを特徴とするポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム。
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WO2023025267A1 (zh) * 2021-08-26 2023-03-02 康美包(苏州)有限公司 包装用阻隔层、片状复合层及其包装容器

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