特許文献1に記載の燃料供給システムのEDUは、2つの駆動回路を有しており、EDUからインジェクタの駆動部への駆動電圧は、異なるグループに属する駆動部へは異なる駆動回路を介するので同時に加えることができるが、同じグループに属する駆動部へは同じ駆動回路なので同時に加えることはできない。
かかる構成においても、爆発行程がクランク回転角度180度の位相差で等間隔となる
4気筒の内燃機関であって、1気筒における1サイクル中にメイン噴射の1回だけ燃料噴射を行う内燃機関については、噴射時期が重なることがないため問題はないが、メイン噴射に加えて、ポスト噴射、ビゴム噴射等の副噴射を行い、1気筒における1サイクル中に複数回噴射(マルチ噴射)を行う場合については、同じグループに属する駆動部への駆動電圧を同時に加えることができないので、噴射時期が制限される場合がある。
図15に、4つの気筒が直列に配置された4ストローク・サイクルの内燃機関で、第1気筒(#1)→第3気筒(#3)→第2気筒(#2)→第4気筒(#4)の順にクランク角180度毎の等間隔で爆発行程を迎えるようになっている内燃機関であって、メイン噴射に加えて、ポスト噴射、ビゴム噴射等の副噴射を行う内燃機関の各気筒における噴射時期を示した。
メイン噴射は爆発上死点近辺で行うものであり、ビゴム噴射は吸気上死点近辺で行うものであるため、図15内に二点鎖線で示したように、#1のビゴム噴射と#2のメイン噴射の噴射時期が重なる。それゆえ、特許文献1に記載の燃料供給システムを、この内燃機関に適用する場合においては、1つのグループ内の一方のインジェクタが爆発上死点後の爆発行程初期に噴射する、つまりリタード側のメイン噴射である場合には、他方のインジェクタは吸気上死点後の吸気行程初期に噴射することはできない。したがって、かかる場合においては、図15に示すように、#1のビゴム噴射の噴射時期を吸気上死点前の排気行程後期とせざるを得なくなる等の制約を受けることとなる。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マルチ噴射を行う内燃機関に適用する場合でも、噴射時期に自由度を持たせることができる技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るインジェクタ駆動装置にあっては、爆発行程がクランク回転角度180度の位相差で等間隔となる4気筒の内燃機関を目標の運転状態にすべく燃料の噴射量および噴射時期を決定する制御装置からの噴射信号を受け、各気筒に備えられた4個のインジェクタの駆動部に駆動電圧を加えることにより前記噴射時期に前記噴射量の燃料を噴射するように各インジェクタを駆動させるインジェクタ駆動装置であって、前記4個のインジェクタのうち位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒に備えられた2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加える第1の駆動回路と、前記4個のインジェクタのうち他の2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加える第2の駆動回路とを備えることを特徴とする。
爆発行程がクランク回転角度180度の位相差で等間隔となる4個の気筒を有する内燃機関においては、ある気筒を基準にすると、その気筒に対してクランク回転角度180度の位相差となる気筒が2個存在し、クランク回転角度360度の位相差となる気筒が1個存在する。
そして、この内燃機関において、爆発上死点近辺に噴射するメイン噴射に加えて、吸気上死点近辺に噴射するビゴム噴射を行う場合、爆発上死点と吸気上死点とはクランク回転角度360度の位相差があるので、位相がクランク回転角度360度となる2個の気筒に備えられた2個のインジェクタの駆動部に対して、同じ駆動回路から駆動電圧を加えるようにすると、一方の気筒のメイン噴射の噴射時期と他方の気筒のビゴム噴射の噴射時期が重ならないようにしなければならなくなる。つまり、一方の気筒のメイン噴射の噴射時期を爆発上死点後に行うリタード側にした場合には、他方の気筒のビゴム噴射の噴射時期を吸気上死点よりも前に行わなければならなくなる。
本発明に係るインジェクタ駆動装置にあっては、4個のインジェクタのうち位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒に備えられた2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加える第1の駆動回路と、4個のインジェクタのうち他の2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加える第2の駆動回路を備える。すなわち、第1の駆動回路および第2の駆動回路はともに、位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒に備えられた2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加えるものである。したがって、内燃機関がメイン噴射に加えてビゴム噴射を行う場合においても、位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒においては噴射時期が重ならず、噴射時期が制限されないので、噴射時期に自由度を持たせることができる。
また、本発明に係るインジェクタ駆動装置にあっては、8気筒の内燃機関を目標の運転状態にすべく燃料の噴射量および噴射時期を決定する制御装置からの噴射信号を受け、8個の気筒のうち爆発行程がクランク回転角度180度の位相差で等間隔となる4個の気筒に備えられた4個のインジェクタの駆動部に駆動電圧を加えることにより前記噴射時期に前記噴射量の燃料を噴射するように各インジェクタを駆動させるインジェクタ駆動装置であって、前記4個のインジェクタのうち位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒に備えられた2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加える第1の駆動回路と、前記4個のインジェクタのうち他の2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加える第2の駆動回路とを備えることを特徴とする。
8個の気筒を有する内燃機関においては、爆発行程が90度の位相差で等間隔に生じるようにするのが一般的である。そして、8個の気筒のうち爆発行程が180度の位相差で等間隔となる4個の気筒に備えられた4個のインジェクタの駆動部に駆動電圧を加えることにより各インジェクタを駆動させるインジェクタ駆動装置においても、前記4個のインジェクタのうち位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒に備えられた2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加える第1の駆動回路と、前記4個のインジェクタのうち他の2個のインジェクタの駆動部に対して駆動電圧を加える第2の駆動回路とを備えることが好適である。これにより、内燃機関がメイン噴射に加えてビゴム噴射を行う場合においても、噴射時期が制限されないようにすることができるので、噴射時期に自由度を持たせることができる。
以上説明したように、本発明に係るインジェクタ駆動装置によれば、マルチ噴射を行う内燃機関に適用する場合でも、噴射時期に自由度を持たせることができる。
図1は、実施例1に係るインジェクタ駆動装置を備えた内燃機関1の概略構成図である。内燃機関1は、車両に搭載される直列4気筒の4サイクル・ディーゼルエンジンであり、第1気筒(#1)、第2気筒(#2)、第3気筒(#3)、第4気筒(#4)の4個の気筒2を備えている。
また、内燃機関1は、第1気筒(#1)→第3気筒(#3)→第4気筒(#4)→第2気筒(#2)→第1気筒(#1)→…の順に180度クランク角(以下、「CA」という。)の等間隔で爆発行程を迎えるようになっている。つまり、爆発行程がクランク回転角
度180度の位相差で等間隔に生じる。
そして、内燃機関1は、各気筒の燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタを備えており、#1にはインジェクタ31が、#2にはインジェクタ32が、#3にはインジェクタ33が、#4にはインジェクタ34が備えられている。このインジェクタ31〜34による燃料の噴射と停止を司る開閉弁の昇降は、ソレノイドの励磁作用を利用するアクチュエータ、あるいはピエゾアクチュエータにより行うものであることを例示することができ、これらを以下では駆動部という。また、各インジェクタは、コモンレール4と接続され、このコモンレール4は燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。
そして、内燃機関1には、該内燃機関1の運転状態を制御するための装置である電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)7が併設されている。このECU7は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路である。
ECU7には、エアフローメータ、空燃比センサ、排気温度センサ、クランクポジションセンサ及びアクセルポジションセンサ(図示省略)等の各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU7に入力されるようになっている。
また、ECU7には、高電圧を発生してインジェクタ31〜34を駆動する装置であるインジェクタ駆動ユニット(以下、「EDU(=Electronic Driver Unit)」という。)8が電気配線を介して接続され、当該EDU8はインジェクタ31〜34に電気配線を介して接続されている。そして、インジェクタ31〜34の開弁時期や閉弁時期の制御は、ECU7の燃料噴射制御に基づきEDU8を介してインジェクタ31〜34の駆動部に駆動電圧を加えることにより行なわれる。このように、EDU8がインジェクタ駆動装置として機能する。
ECU7は、一定時間毎に実行すべき基本ルーチンにおいて、各種センサの出力信号の入力、機関回転数の演算などを実行する。基本ルーチンにおいてECU7が入力した各種信号やECU7が演算して得られた各種制御値は、ECU7のRAMに一時的に記憶される。
更に、ECU7は、各種のセンサやスイッチからの信号の入力、一定時間の経過、あるいはクランクポジションセンサからのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理において、RAMから各種制御値を読み出し、内燃機関1を目標の運転状態にすべく、燃料噴射量の演算及び燃料噴射時期の演算などを行い、燃料の噴射量および噴射時期を決定する。
次に、EDU8の概略回路構成を図2に基づいて説明する。EDU8が駆動する駆動部31a〜34aは、各気筒にそれぞれ搭載されたインジェクタ31〜34に1対1に対応している。EDU8はユニット化されており、インジェクタ31〜34の駆動部31a〜34aへの通電を行うための接続端子51a,51b,52a,52b,52c,52dが設けてある。接続端子51a,51bは電源側のもので、接続端子52a〜52dは接地側のものである。接続端子51a〜52dは駆動部31a〜34aとワイヤハーネス53により接続される。
ワイヤハーネス53は電源側のケーブル54a,54bと接地側のケーブル55a,55b,55c,55dとからなる。電源側のケーブル54a,54bはインジェクタ側がそれぞれ二股に分かれており、ケーブル54aは駆動部31aを搭載したインジェクタ31と駆動部32aを搭載したインジェクタ32とからなるインジェクタ群に共通であり、ケーブル54bは駆動部33aを搭載したインジェクタ33と駆動部34aを搭載したイ
ンジェクタ34とからなるインジェクタ群に共通である。電源側のケーブル54a,54bの線端は電源側の接続端子51a,51bと1対1に対応して接続される。接地側のケーブル55a〜55dはインジェクタ31〜34の駆動部31a〜34aのそれぞれに1つずつ設けられ、それぞれの線端が接地側の接続端子52a〜52dと1対1に対応して接続される。
また、EDU8は、インジェクタ31〜34の駆動部31a〜34aに加える高電圧を発生する高電圧発生回路56を備えている。また、スイッチング素子57,58,59は、ECU7からの制御信号である噴射信号によりON・OFFし、インジェクタ31〜34の駆動部31a〜34aに、高電圧発生回路56にて発生させられた高電圧を加えるか、車載バッテリの給電による低電圧を加えるか、電圧を加えないかを制御する。
より具体的には、スイッチング素子57,58,59の各ゲートには、制御回路60からそれぞれ制御信号が入力しており、スイッチング素子59のいずれかをONして通電対象の駆動部31a〜34aが選択されるとともに、スイッチング素子57,58のゲートにはパルス状の制御信号が入力してスイッチング素子57,58をON・OFFし、駆動部31a〜34aへ駆動電圧を加えることにより駆動部31a〜34aへの通電を制御するようになっている。また、高電圧発生回路56には制御回路60からの制御信号が入力されるようになっており、その制御信号に応じて高電圧を発生するようになっている。
例えば、インジェクタ31から燃料噴射させるべく、制御回路60にECU7から図3(a)のような噴射信号が入力されると、制御回路60は、スイッチング素子59aをONして通電対象の駆動部31aを選択するとともに、図3(b)のような通電信号を、高電圧発生回路56,スイッチング素子57a,58aに出力する。その結果、インジェクタ31の+側の電圧が図3(c)のようになり、インジェクタ31の駆動部31aに図3(d)のような駆動電流が流れる。
そして、EDU8は、4つのインジェクタ31〜34の駆動部31a〜34aに対して駆動電圧を加える駆動回路を2つ有している。つまり、57a,58a,59a,59b等でインジェクタ31あるいは32の駆動部31aあるいは32aに駆動電圧を加える駆動回路を、57b,58b,59c,59d等でインジェクタ33あるいは34の駆動部33aあるいは34aに駆動電圧を加える駆動回路を形成している。それゆえ、異なるグループ、インジェクタ31あるいは32のいずれか一方と、インジェクタ33あるいは34のいずれか一方へ駆動電圧を同時に加えることができるが、同じグループであるインジェクタ31および32、またはインジェクタ33および34へ駆動電圧を同時に加えることはできない。
本実施例に係るEDU8は、上述したように内燃機関1が#1→#3→#4→#2→#1→…の順に180度CAの等間隔で爆発行程を迎えることに鑑み、メイン噴射の間隔が略180度CAとなる2個の気筒(位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒)である#1と#2に備えられたインジェクタ31,32を1つのグループにし、#3と#4に備えられたインジェクタ33,34を1つのグループにしている。
これにより、上述したようにメイン噴射の間隔が略360度CAとなる2個の気筒(位相がクランク回転角度360度異なる2個の気筒)である#1と#4に備えられたインジェクタを1つのグループにして#2と#3に備えられたインジェクタを1つのグループにした場合においては、メイン噴射に加えてポスト噴射,ビゴム噴射などの副噴射を行うマルチ噴射を行うと噴射時期が制限されるが、本実施例の場合においては、図4に示したように、#1と#2、または#3と#4で噴射時期が重ならないので、噴射時期が制限されることがない。これにより、噴射時期に自由度を持たせることができる。
なお、メイン噴射の間隔が略180度CAとなる2個の気筒(位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒)に備えられたインジェクタを同じグループにすることによりマルチ噴射を行う場合においても噴射時期が制限されることがないので、#1と#3に備えられたインジェクタを1つのグループに、#2と#4に備えられたインジェクタを1つのグループにしてもよい。
また、本実施例に係る内燃機関1は、#1→#3→#4→#2→#1→…の順に180度CAの等間隔で爆発行程を迎えるものを例示したが、内燃機関1が#1→#3→#2→#4→#1→…の順に180度CAの等間隔で爆発行程を迎えるものである場合においても、メイン噴射の間隔が略180度CAとなる2個の気筒(位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒)に備えられたインジェクタを同じグループにすることにより上述したのと同様の効果を得ることができる。すなわち、かかる場合には、#1と#3に備えられたインジェクタを1つのグループにして#2と#4に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#1と#4に備えられたインジェクタを1つのグループにして#2と#3に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。
図5に、本実施例に係るインジェクタ駆動装置を備えた内燃機関100の概略構成を示す。内燃機関100は、車両に搭載される4サイクル・ディーゼルエンジンであり、8個の気筒2の内、4個の気筒を1つの気筒群とした場合に2つの気筒群がV字形に備えられたエンジンであり、クランクシャフト21に対して左右に気筒が振り分けられて配置されている。
通常、クランクプーリ22側をフロント、トランスミッションの締結面側をリアとしたときに、フロント側からみて、左側に配置される気筒群を左バンク23、右側に配置される気筒群を右バンク24と呼ぶ。そして、各気筒の番号を、左バンク23のフロント側から第1気筒(#1)、第3気筒(#3)、第5気筒(#5)、第7気筒(#7)、右バンク24のフロント側から第2気筒(#2)、第4気筒(#4)、第6気筒(#6)、第8気筒(#8)と呼ぶ。
そして、内燃機関100は、各気筒の燃焼室に実施例1と同じインジェクタ31〜38を備えている。この各インジェクタは、コモンレール4と接続され、このコモンレール4は燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。
そして、内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための装置である電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)25が併設されている。このECU25は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路である。
ECU25は、実施例1に係るECU7と同様に、各種センサが電気配線を介して接続され、各種センサの出力信号がECU25に入力されるようになっている。また、ECU25には、実施例1に係るEDU8と同じ駆動回路を有するEDU8a,8bが電気配線を介して接続され、当該EDU8a,8bはインジェクタに電気配線を介して接続されている。そして、インジェクタの開弁時期や閉弁時期の制御は、ECU25の燃料噴射制御に基づきEDU8a,8bにより行なわれる。
ECU25は、実施例1に係るECU7と同様に、一定時間毎に実行すべき基本ルーチンにおいて、各種センサの出力信号の入力、機関回転数の演算などを実行する。基本ルーチンにおいてECU25が入力した各種信号やECU25が演算して得られた各種制御値は、ECU25のRAMに一時的に記憶される。更に、ECU25は、各種のセンサやス
イッチからの信号の入力、一定時間の経過、あるいはクランクポジションセンサからのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理において、RAMから各種制御値を読み出し、燃料噴射量の演算及び燃料噴射時期の演算などを行い、燃料の噴射量および噴射時期を決定する。
ところで、内燃機関100は、爆発行程の間隔を等間隔とするために、バンク角は90度を採用している。また、内燃機関100の2次振動を打ち消すために、クランクピンの配置は、2プレーンタイプを採用しており、4つのクランクピンは、90度間隔で配置される。このような2プレーンタイプのクランクシャフト21を有するV型8気筒内燃機関100における爆発行程の開始順序(以下、「爆発順序」という。)は、図6に示すように#1→#2→#7→#3→#4→#5→#6→#8→#1→…とし、メイン噴射による爆発間隔は90度とする。
この爆発順序を左右のバンク毎に見ると、左バンク23では、#1→#7→#3→#5→#1→…となり、その間隔は、180度→90度→180度→270度となる。一方、右バンク24では、#2→#4→#6→#8→#2→…となり、その間隔は、270度→180度→90度→180度となる。このように、左右のバンク毎で見ると爆発間隔は等間隔とならない。
そのため、図7に示すように、左バンク23近辺に備えられたEDU8aを左バンク23の気筒である#1、#3、#5、#7に接続し、右バンク24近辺に備えられたEDU8bを右バンク24の気筒である#2、#4、#6、#8に接続し、インジェクタ31〜38によりメイン噴射に加えてポスト噴射、ビゴム噴射等の副噴射を行うマルチ噴射を実行すると、EDU8a、8bからインジェクタ31〜38への通電間隔が短くなるためEDU8a、8bを充電する時間を十分に確保できないおそれがある。例えば、機関回転数が4000rpmである場合、クランクシャフト21は15msで1回転するので、メイン噴射の間隔が180度CAだとするとそのための通電間隔は7.5ms以下となり、90度CAだとすると通電間隔は3.75ms以下となってしまう。
かかる場合に、メインリタード噴射に加えてポスト噴射、ビゴム噴射を実行する場合のEDU8aを介して駆動電圧が加えられる気筒#1、#3、#5、#7の噴射時期を示したのが図8であるが、二点鎖線内に示すように通電間隔がかなり短くなっているのがわかる。そのため、二点鎖線内の期間において充電時間が十分に確保され難くなり、噴***度が悪化するおそれがある。あるいは、通電間隔を長くして充電時間を十分に確保するために、噴射時期が制約されるおそれがある。特に、内燃機関の回転数が高回転である場合に、これらの問題が顕著に現れる。
参考までに、本実施例に係るインジェクタを開弁させるのに必要なEDUからの駆動電流は約8.5アンペアであり、全くの空状態から当該電流を通電できるようにするためのEDUの充電時間は11ボルトで約3ms必要である。
そこで、本実施例に係る内燃機関100においては、#1→#7→#4→#6及び#2→#3→#5→#8に分けると爆発行程は180度の等間隔で開始することに着目し、図5に示したように、EDU8aを#1、#4、#6、#7に備えられたインジェクタ31,34,36,37に接続し、EDU8bを#2、#3、#5、#8に備えられたインジェクタ32,33,35,38に接続する。
このような構成において、メインリタード噴射に加えてポスト噴射、ビゴム噴射を実行する場合のEDU8aを介して駆動電圧が加えられるインジェクタを備える気筒#1、#4、#6、#7の噴射時期を示したのが図9であり、上述した図8の場合と比較すると通
電間隔が長くなる。これにより、噴***度が悪化することを防止でき、噴射時期の自由度も向上させることができる。また、爆発行程の間隔は180度の等間隔で開始する直列4気筒の内燃機関、例えば実施例1に係る内燃機関1と同じであることから、ECU25から噴射信号を出力するプログラム等を直列4気筒の内燃機関で使用しているものと同じにすることができる。
そして、EDU8aは、#1、#4、#6、#7に備えられたインジェクタに接続されており、かかる気筒においては#1→#7→#4→#6→#1→…の順に180度CAの等間隔で爆発行程を迎えるので、実施例1と同様に、メイン噴射の間隔が略180度CAとなる2個の気筒(位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒)に備えられたインジェクタを同じグループにすることにより、実施例1において説明したように、マルチ噴射を行う場合においても噴射時期が制限されないようにすることができる。すなわち、かかる場合には、図10に示したように#1と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにして#4と#6に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#1と#6に備えられたインジェクタを1つのグループにして#4と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。
一方、EDU8bは、#2、#3、#5、#8に備えられたインジェクタに接続されており、かかる気筒においては#2→#3→#5→#8→#2→…の順に180度CAの等間隔で爆発行程を迎えるので、メイン噴射の間隔が略180度CAとなる2個の気筒(位相がクランク回転角度180度異なる2個の気筒)に備えられたインジェクタを同じグループにすることにより、マルチ噴射を行う場合においても噴射時期が制限されないようにし、噴射時期に自由度を持たせることができる。すなわち、かかる場合には、#2と#3に備えられたインジェクタを1つのグループにして#5と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#2と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。
本実施例に係る内燃機関100として、爆発行程の開始順序(爆発順序)が#1→#2→#7→#3→#4→#5→#6→#8→#1→…で、爆発間隔が90度であるものを例示したが、内燃機関の仕様によっては、爆発行程の開始順序(爆発順序)を、図11のように#1→#8→#4→#3→#6→#5→#7→#2→#1→…とし、爆発間隔を90度とする場合がある。そして、かかる仕様の爆発順序を左右のバンク毎に見ると、左バンク23では、#1→#3→#5→#7→#1→…となり、その間隔は、270度→180度→90度→180度となる。右バンク24では、#8→#4→#6→#2→#8→…となり、その間隔は、90度→180度→270度→180度となる。このように、左右のバンク毎で見ると爆発間隔は等間隔とならない。一方、#1→#4→#6→#7→#1→…及び#8→#3→#5→#2→#8→…に分けると爆発行程は180度の等間隔で開始する。
そこで、かかる仕様においても、図5に示したように、EDU8aを#1、#4、#6、#7に備えられたインジェクタ31,34,36,37に接続し、EDU8bを#2、#3、#5、#8に備えられたインジェクタ32,33,35,38に接続する。これにより、通電間隔を十分に確保することができるので、噴***度が悪化することを防止できる。
そして、さらに、EDU8aは、#1と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにして#4と#6に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#1と#4に備えられたインジェクタを1つのグループにして#6と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。一方、EDU8bは、#2と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#8に備えられたインジェクタを1つのグルー
プにするか、#2と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。これにより、マルチ噴射を行う場合においても噴射時期が制限されないようにすることができるので、噴射時期に自由度を持たせることができる。
また、内燃機関の仕様によっては、爆発行程の開始順序(爆発順序)を、図12のように#1→#8→#7→#2→#6→#5→#4→#3→#1→…とする場合がある。そして、かかる仕様の爆発順序を左右のバンク毎に見ると、左バンク23では、#1→#7→#5→#3→#1→…となり、その間隔は、180度→270度→180度→90度となる。右バンク24では、#8→#2→#6→#4→#8→…となり、その間隔は、180度→90度→180度→270度となる。このように、左右のバンク毎で見ると爆発間隔は等間隔とならない。一方、#1→#7→#6→#4→#1→…及び#8→#2→#5→#3→#8→…に分けると爆発行程は180度の等間隔で開始する。
そこで、かかる仕様においても、図5に示したように、EDU8aを#1、#4、#6、#7に備えられたインジェクタ31,34,36,37に接続し、EDU8bを#2、#3、#5、#8に備えられたインジェクタ32,33,35,38に接続する。これにより、上述したのと同様の効果を得ることができる。
そして、さらに、EDU8aは、#1と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにして#4と#6に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#1と#4に備えられたインジェクタを1つのグループにして#6と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。一方、EDU8bは、#2と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#2と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。これにより、マルチ噴射を行う場合においても噴射時期が制限されないようにすることができるので、噴射時期に自由度を持たせることができる。
また、内燃機関の仕様によっては、爆発行程の開始順序(爆発順序)を、図13のように#1→#8→#7→#3→#6→#5→#4→#2→#1→…とする場合がある。そして、かかる仕様の爆発順序を左右のバンク毎に見ると、左バンク23では、#1→#7→#3→#5→#1→…となり、その間隔は、180度→90度→180度→270度となる。右バンク24では、#8→#6→#4→#2→#8→…となり、その間隔は、270度→180度→90度→180度となる。このように、左右のバンク毎で見ると爆発間隔は等間隔とならない。一方、#1→#7→#6→#4→#1→…及び#8→#3→#5→#2→#8→…に分けると爆発行程は180度の等間隔で開始する。
そこで、かかる仕様においても、図5に示したように、EDU8aを#1、#4、#6、#7に備えられたインジェクタ31,34,36,37に接続し、EDU8bを#2、#3、#5、#8に備えられたインジェクタ32,33,35,38に接続する。これにより、上述したのと同様の効果を得ることができる。
そして、さらに、EDU8aは、#1と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにして#4と#6に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#1と#4に備えられたインジェクタを1つのグループにして#6と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。一方、EDU8bは、#2と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#2と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。これにより、マルチ噴
射を行う場合においても噴射時期が制限されないようにすることができるので、噴射時期に自由度を持たせることができる。
また、内燃機関の仕様によっては、爆発行程の開始順序(爆発順序)を、図14のように#1→#5→#4→#3→#6→#8→#7→#2→#1→…とする場合がある。そして、かかる仕様の爆発順序を左右のバンク毎に見ると、左バンク23では、#1→#5→#3→#7→#1→…となり、その間隔は、90度→180度→270度→180度となる。右バンク24では、#4→#6→#8→#2→#4→…となり、その間隔は、180度→90度→180度→270度となる。このように、左右のバンク毎で見ると爆発間隔は等間隔とならない。一方、#1→#4→#6→#7→#1→…及び#5→#3→#8→#2→#5→…に分けると爆発行程は180度の等間隔で開始する。
そこで、かかる仕様においても、図5に示したように、EDU8Aを#1、#4、#6、#7に備えられたインジェクタ31,34,36,37に接続し、EDU8Bを#2、#3、#5、#8に備えられたインジェクタ32,33,35,38に接続する。これにより、上述したのと同様の効果を得ることができる。
そして、さらに、EDU8aは、#1と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにして#4と#6に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#1と#4に備えられたインジェクタを1つのグループにして#6と#7に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。一方、EDU8bは、#2と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにするか、#2と#8に備えられたインジェクタを1つのグループにして#3と#5に備えられたインジェクタを1つのグループにするのが好適である。これにより、マルチ噴射を行う場合においても噴射時期が制限されないようにすることができるので、噴射時期に自由度を持たせることができる。
なお、上述した実施例においては、内燃機関としてディーゼルエンジンを用いているが、気筒内に直接燃料を噴射するガソリンエンジンである場合においても、上述した構成にすることが好適である。