以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
実施形態1.
図1〜図10を参照し、本発明の実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置100を説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置100の概略構成を示すブロック図である。図1において、100は異常電圧検出装置、10は組電池、11はリレー、12はインバータ、13はモータジェネレータである。異常電圧検出装置100、組電池10、リレー11、インバータ12及びモータジェネレータ13は、全て電動車両に搭載される。組電池10の直流電力は、インバータ12によって交流電力に変換され、モータジェネレータ13を駆動し、電動車両を走行させる。リレー11は、組電池10とインバータ12との間の電気的な接続を継断する。
組電池10は、N個(Nは2以上の正整数)の電池ブロックB1〜BNを直列接続したものである。図1ではN=20である。各電池ブロックB1〜BNは更に複数の二次電池セルb1〜bMの直列接続回路(Mは2以上の正整数)により構成されている。図1ではM=12である。この構成により、組電池10は、全体として240セルの組電池となる。実施形態1において、各セルb1〜bMは公称電圧1.2Vのニッケル−水素電池であり、各電池ブロックB1〜BNから14.4V、組電池10から総公称電圧288Vが得られる。なお、本明細書では、組電池10の高電位側を上位、低電位側を下位と呼び、最下位の電池ブロックをB1、最上位の電池ブロックをBNとする。
異常電圧検出装置100は、異常電圧検出部101〜10N、レベル変換回路111、112、入力端子と出力端子とが互いに電気的に絶縁されたフォトカプラP1〜PN、P11、P12、制御部150を有する。
異常電圧検出部10Nは、基準電圧発生回路R1N、分圧回路DN、コンパレータCNを有し、電池ブロックBNの電圧異常を検出する。実施形態1においては、異常電圧検出部10Nは電池ブロックBNの過充電を検出する。分圧回路DNは抵抗Rd1及びRd2を直列接続した回路である。分圧回路DNは、電池ブロックBNの電圧を分圧して降下した電圧である電池測定電圧VbNをコンパレータCNの反転入力端子に出力する。実施形態1において分圧回路DNは電池ブロックBNの端子間電圧を4分の1に分圧する。
基準電圧発生回路R1Nは、基準電圧源AN1、AN2及びAN3、スイッチS1Nを有する。図2は、基準電圧発生回路R1Nの回路図である。基準電圧源AN1、AN2及びAN3は、それぞれ異なるツェナー電圧を有するツェナーダイオードと抵抗と(ZD1とre1、ZD2とre2及びZD3とre3)によりそれぞれ構成される。実施形態1において、基準電圧源AN1は、電池ブロックBNがやや過充電された状態での電圧(18V)になったことを検出するための第1の基準電圧Vr1を発生する。第1の基準電圧Vr1は、電池ブロックBNの出力電圧18Vを入力した分圧回路DNが出力する電池測定電圧VbNに等しい。基準電圧源AN2は、電池ブロックBNがかなり過充電された状態での電圧(20V)になったことを検出するための第2の基準電圧Vr2を発生する。第2の基準電圧Vr2は、電池ブロックBNの出力電圧20Vを入力した分圧回路DNが出力する電池測定電圧VbNに等しい。基準電圧源AN3は、電池ブロックBNが復帰不可能な故障を生じる程度の過充電電圧(22V)になったことを検出するための第3の基準電圧Vr3を発生する。第3の基準電圧Vr3は、電池ブロックBNの出力電圧22Vを入力した分圧回路DNが出力する電池測定電圧VbNに等しい。実施形態1において、Vr1<Vr2<Vr3である。
スイッチS1Nは、制御部150からの2ビットの制御信号によって接点a、b、cのいずれかに切り換えられ、基準電圧源AN1、AN2又はAN3が出力する基準電圧を選択的にコンパレータCNの非反転入力端子に入力する。コンパレータCNは差動回路で構成され、電池ブロックBNの電圧で駆動される。コンパレータCNの反転入力端子には分圧回路DNの出力電圧VbNが与えられる。コンパレータCNは、電池ブロックBNの電池測定電圧VbNを3つの基準電圧Vr1、Vr2、Vr3と比較し、その比較結果の情報を含む異常検出信号dNを発生し、フォトカプラPNに出力する。フォトカプラPNの入力発光ダイオードのアノードは電池ブロックBNの正極端子に接続され、カソードはコンパレータCNの出力端子に接続される。
異常電圧検出部101〜10(N−1)は、異常電圧検出部10Nと同様の構成を有する。基準電圧源A11〜AN1はそれぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧(18V)を入力した分圧回路D1〜DNの出力電圧Vb1〜VbNと等しい電圧である第1の基準電圧Vr1を発生する。基準電圧源A12〜AN2はそれぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧(20V)を入力した分圧回路D1〜DNの出力電圧Vb1〜VbNと等しい電圧である第2の基準電圧Vr2を発生する。基準電圧源A13〜AN3はそれぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧(22V)を入力した分圧回路D1〜DNの出力電圧Vb1〜VbNと等しい電圧である第3の基準電圧Vr3を発生する。分圧回路D1〜DNは全て同じ分圧比を有する。コンパレータC1〜CN、基準電圧源A11〜AN1、A12〜AN2、A13〜AN3、スイッチS11〜S1Nはそれぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧で駆動される。
スイッチS11〜S1Nは、制御部150からの2ビットの制御信号によって同時に切り換えられる。すべてのコンパレータC1〜CNの非反転入力端子に、第1の基準電圧Vr1、第2の基準電圧Vr2又は第3の基準電圧Vr3が、同じタイミングで与えられる。コンパレータC1〜CNはそれぞれ、分圧回路D1〜DNの出力電圧Vb1〜VbNがスイッチS11〜S1Nによって選択されている基準電圧源が発生する電圧を超えた場合はローレベルの異常検出信号d1〜dNをそれぞれ発生してフォトカプラPNに出力し、その逆の場合はハイレベルの異常検出信号d1〜dNをそれぞれ発生してフォトカプラPNに出力する。
異常電圧検出部101〜10Nが出力する異常検出信号d1〜dN(コンパレータC1〜CNの出力)は、それぞれフォトカプラP1〜PNの入力発光ダイオードに入力される。フォトカプラP1〜PNは、異常検出信号d1〜dNを電気的に絶縁された状態で伝達する。実施形態1において、フォトカプラP1〜PNの各出力フォトトランジスタはワイヤードOR回路を構成し、制御部150に接続される。各異常検出信号d1〜dNは論理和演算される。少なくとも1つの電池ブロックの電池測定電圧Vb1〜VbNが、スイッチS11〜S1Nによって選択されている基準電圧源が発生する電圧を超えると、少なくとも1つのフォトカプラP1〜PNの出力フォトトランジスタがオンする。
制御部150は、スイッチ制御部151、表示部152及びリレー駆動部153を有する。制御部150は、各電池ブロックB1〜BNに係る異常検出信号d1〜dNの論理和である論理和信号dsを入力する。論理和信号dsは通常はハイレベルであり、少なくとも1つの電池ブロックの電圧が、スイッチS11〜S1Nによって選択されている基準電圧源が発生する電圧より高い電圧異常の状態ではローレベルとなる信号である。スイッチ制御部151は、フォトカプラP11、P12、レベル変換回路111及び112を介してスイッチS11〜S1Nに制御信号RC1、RC2を送信する。制御信号RC1、RC2は、スイッチS11〜S1Nを切り換えるための2ビットの信号の各ビットにそれぞれ対応する。表示部152は、組電池10の状態を表示する。表示部152は、例えばLEDである。リレー駆動部153は、リレー11を開閉駆動する。
制御部150のハード構成(図示しない)を説明する。制御部150は、CPU(中央演算処理装置)とメモリとI/Oポートとを有するマイクロコンピュータ及び周辺回路を有する。制御部150は、図示しない低電圧電源(例えば、公称電圧が12Vの鉛蓄電池)によって駆動される。
スイッチ制御部151は制御信号RC1及びRC2をフォトカプラP11及びフォトカプラP12にそれぞれ出力し、フォトカプラP11、P12の入力発光ダイオードを駆動する。フォトカプラP11、P12の出力フォトトランジスタは、それぞれレベル変換回路111及び112に制御信号RC1、RC2を伝達する。レベル変換回路111は、制御信号RC1の電圧レベルを異常電圧検出部101〜10Nの電源電圧に応じた電圧レベルに変換してN個の制御信号を発生して異常電圧検出部101〜10Nにそれぞれ出力する。レベル変換回路112は、制御信号RC2の電圧レベルを異常電圧検出部101〜10Nの電源電圧に応じた電圧レベルに変換してN個の制御信号を発生して異常電圧検出部101〜10Nにそれぞれ出力する。なお、レベル変換回路111及び112の構成は、任意である。
異常電圧検出部101〜10Nはそれぞれ2ビットの制御信号をレベル変換回路111及び112から入力し、電池ブロックB1〜BNの電圧を分圧回路D1〜DNで分圧した電池測定電圧Vb1〜VbNと2ビットの制御信号によって選択された基準電圧とを比較した結果に基づいて、異常検出信号d1〜dNを発生してフォトカプラP1〜PNにそれぞれ出力する。
制御部150は、I/Oポートを介して異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsを入力する。論理和信号dsは、所定のサンプリング周波数でA/D変換される。CPUは、メモリ内に記憶された異常検出用のプログラム(後述する)に基づいて、A/D変換されたデータを用いて異常検出処理を実施する。そして、スイッチS11〜S1Nの動作及びリレー11の開閉を制御するための制御信号を、I/Oポートを介して各スイッチS11〜S1N及びリレー11に出力する。制御部150は、フォトカプラP1〜PN、P11、P12によって、高電圧の組電池10から電気的に絶縁されている。なお、実際上、制御部150に組電池10の異常検出機能のみならず、充放電制御機能、電池ブロックB1〜BNの電圧測定機能を持たせることが多い。しかし、実施形態1においては、異常検出の機能についてのみ説明する。
図3〜図7を参照して、異常検出の方法を説明する。図3及び図4は、本発明の実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置100が行う異常検出の方法を示すフローチャートである。図5、図6、図7はそれぞれ、図3又は図4のステップS1、S4、S9におけるスイッチS11〜S1Nの動作を示すタイミングチャートである。図3、4のフローチャートの異常検出処理は、運転者が電動車両のイグニションスイッチ(図示しない)をオンし、制御部150に低電圧電源(図示しない)から電力が供給されると開始され、走行中は常に実行され、イグニションスイッチがオフされると終了する。
ステップS1でスイッチ制御部151は、スイッチS11〜S1Nを接点aにそれぞれ切り換えるための2ビットの制御信号RC1、RC2を発生する。図5に示すように、時間期間T1だけ、スイッチS11〜S1Nは接点aにそれぞれ切り換えられる。各コンパレータC1〜CNの非反転入力端子には第1の基準電圧Vr1が与えられる。制御部150は、各電池ブロックB1〜BNに係る異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsを入力し、A/D変換する。ステップS2で制御部150は、時間期間T1において論理和信号dsがローレベルであるときの信号数NS1を計数し、その信号数NS1を時間期間T1のサンプリング数NT1で除してなる電圧異常の時間的割合TR1を計算する。論理和信号dsのサンプリング周波数を十分に高い周波数に設定することにより、時間的割合TR1は、時間期間T1に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第1の基準電圧Vr1より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と実質的に同一となる。論理和信号dsのサンプリング周波数が低い場合には、検出精度は悪くなるが、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第1の基準電圧Vr1より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と概略対応する時間的割合TR1を検出できる。ステップS3で制御部150は、組電池10が電圧異常の状態であるか否かを、TR1が所定値Nth1以上か否かによって判断する。TR1<Nth1の場合はステップS2の処理を繰り返し、TR1≧Nth1の場合はステップS4に進む。実施形態1において、好ましくは、T1=1.0秒、Nth1=0.8である。
ステップS4でスイッチ制御部151は、スイッチS11〜S1Nを接点aと接点bとの間で交互に切り換えるための制御信号RC1及びRC2を時間期間T2だけ発生する。図6に示すように、時間期間T2の間、スイッチS11〜S1Nは時間期間taだけ接点aにそれぞれ切り換えられる動作と、時間期間tbだけ接点bにそれぞれ切り換えられる動作とを繰り返す。時間期間T2において、各コンパレータC1〜CNの非反転入力端子には第1の基準電圧Vr1と第2の基準電圧Vr2とが時間期間ta及びtbずつ交互に与えられる。実施形態1において、好ましくは、T2=2.0秒、ta=tb=0.2秒である。制御部150は、各基準電圧Vr1、Vr2における各電池ブロックB1〜BNの異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsを入力し、A/D変換する。制御部150は、スイッチS11〜S1Nが接点aに切り換えられたときの論理和信号dsがローレベルであるときの信号数NS2aを計数し、スイッチS11〜S1Nが接点bに切り換えられたときの論理和信号dsがローレベルであるときの信号数NS2bを計数する。ステップS5において制御部150は、信号数NS2aを時間期間T2/2のサンプリング数NT2で除算してなる電圧異常の時間的割合TR2aを計算するとともに、信号数NS2bを時間期間T2/2のサンプリング数NT2で除算してなる電圧異常の時間的割合TR2bを計算する。
論理和信号dsのサンプリング周波数を十分に高い周波数に設定することにより、時間的割合TR2aは、時間期間T2/2に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第1の基準電圧Vr1より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と実質的に同一となる。論理和信号dsのサンプリング周波数が低い場合には、検出精度は悪くなるが、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第1の基準電圧Vr1より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と概略対応する時間的割合TR2aを検出できる。論理和信号dsのサンプリング周波数を十分に高い周波数に設定することにより、時間的割合TR2bは、時間期間T2/2に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第2の基準電圧Vr2より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と実質的に同一となる。論理和信号dsのサンプリング周波数が低い場合には、検出精度は悪くなるが、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第2の基準電圧Vr2より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と概略対応する時間的割合TR2bを検出できる。
ステップS6で制御部150は、TR2aが所定値Nth2a以上か否か判断し、TR2a<Nth2aの場合はステップS1に戻り、TR2a≧Nth2aの場合はステップS7に進む。ステップS7で制御部150は、TR2bが所定値Nth2b以上か否か判断し、TR2b<Nth2bの場合はステップS4に戻り、TR2b≧Nth2bの場合はステップS8に進む。実施形態1において、好ましくは、Nth2a=Nth2b=0.8である。ステップS6及びステップS7において制御部150は、各電池測定電圧Vb1〜VbNを第1の基準電圧Vr1と比較して組電池10の電圧異常を検出したときに、第1の基準電圧Vr1よりも高い第2の基準電圧Vr2と比較して組電池10の電圧異常を検出している。
ステップS8で制御部150は、組電池10に対する充電電力を減少させる制御をインバータ12に対して行う。具体的には、制御部150は、モータジェネレータ13が発電機として機能する減速及び制動時の、回生ブレーキを抑制する。又は、インバータ12を、モータジェネレータ13が電動機として機能して組電池10の電力を消費するように制御する。更に表示部152は、例えば黄色のランプを点灯し、組電池10がかなり過充電されていることを表示して、ステップS9(図4)に進む。
ステップS9でスイッチ制御部151は、スイッチS11〜S1Nを接点bと接点cとの間で交互に切り換えるための制御信号RC1及びRC2を発生する。図7に示すように、時間期間T3の間、スイッチS11〜S1Nは時間期間tbだけ接点bにそれぞれ切り換えられる動作と、時間期間tcだけ接点cにそれぞれ切り換えられる動作とを繰り返す。時間期間T3において、各コンパレータC1〜CNの非反転入力端子には第2の基準電圧Vr2と第3の基準電圧Vr3とが時間期間tb及びtcずつ交互に与えられる。実施形態1において、好ましくは、T3=2.0秒、tb=tc=0.2秒である。制御部150は、各基準電圧Vr2、Vr3における各電池ブロックB1〜BNの異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsを入力し、A/D変換する。制御部150は、スイッチS11〜S1Nが接点bに切り換えられたときの論理和信号dsがローレベルであるときの信号数NS3bを計数し、スイッチS11〜S1Nが接点cに切り換えられたときの論理和信号dsがローレベルであるときの信号数NS3cを計数する。ステップS10において、制御部150は、信号数NS3bを時間期間T3/2のサンプリング数NT3で除算してなる電圧異常の時間的割合TR3bを計算するとともに、信号数NS3cを時間期間T3/2のサンプリング数NT3で除算してなる電圧異常の時間的割合TR3cを計算する。
論理和信号dsのサンプリング周波数を十分に高い周波数に設定することにより、時間的割合TR3bは、時間期間T3/2に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第2の基準電圧Vr2より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と実質的に同一となる。論理和信号dsのサンプリング周波数が低い場合には、検出精度は悪くなるが、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第2の基準電圧Vr2より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と概略対応する時間的割合TR3bを検出できる。
論理和信号dsのサンプリング周波数を十分に高い周波数に設定することにより、時間的割合TR3cは、時間期間T3/2に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第3の基準電圧Vr3より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と実質的に同一となる。論理和信号dsのサンプリング周波数が低い場合には、検出精度は悪くなるが、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第3の基準電圧Vr3より高い電圧異常の状態である時間期間の割合と概略対応する時間的割合TR3cを検出できる。ステップS11で制御部150は、TR3bが所定値Nth3b以上か否か判断し、TR3b<Nth3bの場合はステップS4(図3)に戻り、TR3b≧Nth3bの場合はステップS12に進む。ステップS12で制御部150は、TR3cが所定値Nth3c以上か否か判断し、TR3c<Nth3cの場合はステップS9に戻り、TR3c≧Nth3cの場合はステップS13に進む。実施形態1において、好ましくは、Nth3b=Nth3c=0.8である。ステップS11及びステップS12において制御部150は、各電池測定電圧Vb1〜VbNを第2の基準電圧Vr2と比較して組電池10の電圧異常を検出したときに、第2の基準電圧Vr2よりも高い第3の基準電圧Vr3と比較して組電池10の電圧異常を検出している。
第3の基準電圧Vr3で電圧異常が検出される場合は、組電池10を構成する電池ブロックB1〜BNのいずれかが、復帰不可能な故障を生じる程度の過充電状態である。ステップS13でリレー駆動部153は、リレー11をオフし、組電池10からモータジェネレータ13への電力供給を絶つ。更に表示部152は、例えば、赤色のランプを点灯し、組電池10が過充電状態であることを表示する。
実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置100は、各電池ブロックB1〜BNの電圧を分圧回路D1〜DNでそれぞれ分圧して降下した電池測定電圧Vb1〜VbNを、3つの基準電圧Vr1、Vr2、Vr3とそれぞれ比較し、各電池ブロックB1〜BNが電圧異常であるか否かを検出し、その検出結果の情報を含む異常検出信号d1〜dNをそれぞれ発生する。そして、各基準電圧Vr1、Vr2、Vr3において、異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsに基づいて、所定の時間期間に対する、組電池10が電圧異常の状態である時間的割合を算出し、その時間的割合に基づいて組電池10の電圧異常を検出する。異常電圧検出装置100は、各基準電圧Vr1、Vr2、Vr3において、組電池10の電圧異常を検出しそれぞれの電圧でユーザに組電池10の状態を表示する。異常電圧検出装置100は、基準電圧を変化させて段階的に電圧異常を検出することにより、組電池10の電圧異常の検出精度を向上させることができる。異常電圧検出装置100は、現在の組電池10の状態に応じて自動的に適切な基準電圧を設定し、組電池10の状態の変化を素早く検出できる。
図8は、図3のステップS4におけるスイッチS11〜S1Nの他の動作を示すタイミングチャートである。ステップS4において、スイッチS11〜S1Nを接点aに時間期間taaだけ切り換えた後、接点bに時間期間tba(=T2−taa)だけ切り換えてもよい。例えば、taa=tba=0.6秒とする。
図9は、図4のステップS9におけるスイッチS11〜S1Nの他の動作を示すタイミングチャートである。ステップS9において、スイッチS11〜S1Nを接点bに時間期間tbbだけ切り換えた後、接点cに時間期間tcb(=T3−tbb)だけ切り換えてもよい。例えば、tbb=tcb=0.6秒とする。
実施形態1の各異常電圧検出部101〜10Nにおいて、各コンパレータC1〜CNの反転入力端子には、各電池ブロックB1〜BNの電圧を分圧回路D1〜DNにより分圧して降下した電池測定電圧Vb1〜VbNをそれぞれ入力した。図10は、本発明の実施形態1の変形例に係る組電池のための異常電圧検出装置の一部を示す回路図である。図10に示すように、各コンパレータC1〜CNの反転入力端子に、各電池ブロックB1〜BNの正極端子を直接接続する構成としてもよい。この場合、電池測定電圧Vb1〜VbNはそれぞれ、各電池ブロックB1〜BNの正極端子電圧とする。
実施形態1の異常電圧検出装置100は、所定の時間期間に対する、論理和信号dsがローレベルであるときの信号数を計数し、その信号数を所定の時間期間のサンプリング数で除してなる電圧異常の時間的割合を計算した(図3のステップS2、S4、S5、S9、S10)。そして、その時間的割合を時間的割合の閾値と比較し、組電池10が電圧異常の状態であるか否か判断した。実施形態1において「電圧異常の状態」は、少なくとも1つの電池ブロックB1〜BNの電池測定電圧Vb1〜VbNが、スイッチS11〜S1Nによって切り換えられている基準電圧Vr1、Vr2又はVr3より高い状態である。これに代え、所定の時間期間に対する、論理和信号dsがローレベルであるときの信号数を計数し、その信号数を信号数の閾値と比較し、組電池が電圧異常の状態であるか否か判断しても良い。所定の時間期間に対する、論理和信号dsがローレベルである時間期間を検出し、その時間期間を時間期間の閾値と比較し、組電池が電圧異常の状態であるか否か判断しても良い。
実施形態2.
図3〜図7、図11を参照して、本発明の実施形態2に係る組電池のための異常電圧検出装置300を説明する。図11は、本発明の実施形態2に係る組電池のための異常電圧検出装置300の概略構成を示すブロック図である。図11において、図1と共通する部分には同一の符号を使用し、その説明を省略する。実施形態1に係る異常電圧検出装置100の基準電圧発生回路R11〜R1Nは、第1、第2及び第3の基準電圧Vr1、Vr2、Vr3を発生するために、それぞれ3つの基準電圧源A11〜A1n、A12〜AN2、A13〜AN3を備えていた。実施形態2は、各異常電圧検出装置において、第1、第2及び第3の基準電圧Vr1、Vr2、Vr3を発生する別の構成を示すものである。
図11において、300は異常電圧検出装置、10は組電池、11はリレー、12はインバータ、13はモータジェネレータである。異常電圧検出装置300、組電池10、リレー11、インバータ12及びモータジェネレータ13は、全て電動車両に搭載される。組電池10の直流電力は、インバータ12によって交流電力に変換され、モータジェネレータ13を駆動し、電動車両を走行させる。
異常電圧検出装置300は、異常電圧検出部301〜30N、レベル変換回路111、112、フォトカプラP1〜PN、P11、P12、制御部150を有する。実施形態2に係る異常電圧検出装置300は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100(図1)の異常電圧検出部101〜10Nを異常電圧検出部301〜30Nに置き換えたものである。
異常電圧検出部301は、基準電圧発生回路R31、分圧回路D1、コンパレータC1を有し、電池ブロックB1の電圧異常を検出する。実施形態2においては、異常電圧検出部301は電池ブロックB1の過充電を検出する。異常電圧検出部301は、実施形態1に係る異常電圧検出部101と、コンパレータC1の非反転入力端子に与えられる基準電圧の発生方法のみが異なる。基準電圧発生回路R31は、基準電圧源A1、スイッチS31、抵抗R0、R1、R2及びR3を有する。基準電圧源A1は、基準電圧源A11〜AN1、A12〜AN2及びA13〜AN3と同様に、ツェナーダイオードと抵抗とで構成される(図2参照)。抵抗R0の一端は基準電圧発生部A1の出力端子に接続され、他端はスイッチS31に接続される。抵抗R1、R2、R3の一端はそれぞれ電池ブロックB1の負極端子に接続され、他端はスイッチS31の接点a、b、cにそれぞれ接続される。基準電圧源A1が発生した電圧は、抵抗R0とスイッチS31で選択されている抵抗R1、R2、R3のいずれか1つの抵抗とで分圧され、コンパレータC1の非反転入力端子に与えられる。実施形態2において抵抗R1、R2、R3の抵抗値は、R1<R2<R3に設定されている。
実施形態2において、スイッチS31が接点aに切り換えられた場合、電池ブロックB1がやや過充電された状態での電圧(18V)を入力した分圧回路D1の出力電圧Vb1と等しい電圧である第1の基準電圧Vr1がコンパレータC1の非反転入力端子に入力される。スイッチS31が接点bに切り換えられた場合、電池ブロックB1がかなり過充電された状態での電圧(20V)を入力した分圧回路D1の出力電圧Vb1と等しい電圧である第2の基準電圧Vr2がコンパレータC1の非反転入力端子に入力される。スイッチS31が接点cに切り換えられた場合、電池ブロックB1が復帰不可能な故障を生じる程度の過充電電圧(22V)を入力した分圧回路D1の出力電圧Vb1と等しい電圧である第3の基準電圧Vr3がコンパレータC1の非反転入力端子に入力される。
以下、異常電圧検出部302〜30Nも、異常電圧検出部301と同様の構成を有する。それぞれの異常電圧検出部302〜30Nは、基準電圧源A2〜ANが発生した電圧を、抵抗R0と抵抗R1、R2及びR3のいずれか1つとで分圧し、コンパレータC2〜CNの非反転入力端子に与える。異常電圧検出部302〜30Nのそれぞれおいて、抵抗R1、R2及びR3のうち1つが、スイッチS32〜S3Nによって選択される。スイッチS31〜S3Nは、連動する。基準電圧源A1〜ANはそれぞれ対応する電池ブロックの電圧で駆動される。
制御部150のスイッチ制御部151は、フォトカプラP11、P12及びレベル変換回路111及び112を介して、スイッチS31〜S3Nに2ビットの制御信号RC1及びRC2を送信する。制御部150は、第1の基準電圧Vr1、第2の基準電圧Vr2及び第3の基準電圧Vr3を実施形態1に係る異常電圧検出装置と同様に切り換えながら、組電池10の電圧異常検出を行う(図3〜図7参照)。
実施形態2に係る異常電圧検出装置300は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100と同様の効果を奏する。更に、それぞれの異常電圧検出部301〜30Nは、1つの基準電圧源A1〜ANしか有さないので、実施形態1に係る異常電圧検出装置100に比べて安価に実現できる。
実施形態3.
図3〜図7、図12を参照して、本発明の実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置400を説明する。図12は、本発明の実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置400の概略構成を示すブロック図である。図12において、図1と共通する部分には同一の符号を使用し、その説明を省略する。異常電圧検出装置400は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100に、正常に異常検出処理を行えるか否かを検知する機能(以下、「異常検出機能の検査機能」ともいう。)を追加したものである。
図12において、400は異常電圧検出装置、10は組電池、11はリレー、12はインバータ、13はモータジェネレータである。異常電圧検出装置400、組電池10、リレー11、インバータ12及びモータジェネレータ13は、全て電動車両に搭載される。組電池10の直流電力は、インバータ12によって交流電力に変換され、モータジェネレータ13を駆動し、電動車両を走行させる。
異常電圧検出装置400は、異常電圧検出部401〜40N、レベル変換回路111、112、113、フォトカプラP1〜PN、P11、P12、P13、制御部450を有する。実施形態3に係る異常電圧検出装置400は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100(図1)の異常電圧検出部101〜10Nを異常電圧検出部401〜40Nに、制御部150を制御部450に置き換え、レベル変換回路113及び入力端子と出力端子とが互いに電気的に絶縁されたフォトカプラP13を追加したものである。
異常電圧検出部401は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100の異常電圧検出部101に電圧降下回路41を付け加えたものである。電圧降下回路41は、抵抗r1、抵抗r2及びスイッチS41を有する。抵抗r2とスイッチS41との直列接続回路の一端は電池ブロックB1の負極端子に接続され、他端はコンパレータC1の非反転入力端子に接続される。抵抗r1は、抵抗r2とスイッチS41との直列接続回路とコンパレータC1の非反転入力端子との共通接続点とスイッチS11との間に接続される。スイッチS41が開いている場合、異常電圧検出部401は異常電圧検出部101と同じ動作をする。スイッチS41が閉じている場合、コンパレータC1の非反転入力端子に、第1の基準電圧Vr1、第2の基準電圧Vr2及び第3の基準電圧Vr3のうち、スイッチS11で選択されている基準電圧が、抵抗r1及びr2によって分圧され降圧されて与えられる。
異常電圧検出部402〜40Nは、実施形態1に係る異常電圧検出装置100の異常電圧検出部102〜10Nに、電圧降下回路42〜4Nをそれぞれ付け加えたものである。電圧降下回路42〜4Nはそれぞれ、電圧降下回路41と同様に、抵抗r1、抵抗r2及びスイッチS42〜S4Nを有する。
制御部450は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100の制御部150に、電圧降下回路制御部454を付け加えたものである。電圧降下回路制御部454は、フォトカプラP13及びレベル変換回路113を介して、スイッチS41〜S4Nに1ビットの電圧降下回路制御信号TCを送信する。レベル変換回路113は、制御信号TCの電圧レベルを異常電圧検出部401〜40Nの電源電圧に応じた電圧レベルに変換してN個の制御信号を発生して電圧降下回路41〜4nにそれぞれ出力する。すべてのスイッチS41〜S4Nは、連動する。
制御部450は、運転者が電動車両のイグニションスイッチ(図示しない)をオフからオンに切り換え、低電圧電源(図示しない)が制御部450に電力の供給を開始した時、異常電圧検出部401〜40Nが正常に機能するか否かを検査する。異常電圧検出部401〜40Nが正常に機能している場合には、図3及び図4のフローチャートを実行し、通常の異常検出処理を行う。図3及び図4は、本発明の実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置400が行う異常検出の方法を示すフローチャートであり、既に説明した。なお、通常の異常検出処理時は、電圧降下回路41〜4NのスイッチS41〜S4Nは全て開いている。
実施形態3の異常電圧検出装置400は、各基準電圧Vr1、Vr2、Vr3を電圧降下回路41〜4Nによって各電池測定電圧Vb1〜VbNに対して相対的に降下させ、各電池測定電圧Vb1〜VbNを各基準電圧Vr1、Vr2、Vr3と比較することにより異常検出信号d1〜dNを発生する。制御部450は、異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsに基づいて、異常電圧検出装置400が正常に異常検出を行えるか否かを検知する。
異常電圧検出装置400が正常に異常検出を行えるか否かを検知する方法を説明する。なお、以下の異常検出機能の検査処理は、全ての電池ブロックB1〜BNが過充電に達していない状態(例えば、充電前又は電動車両の走行前)で行われる。はじめに第1の検査処理において、各異常電圧検出部401〜40NのスイッチS41〜S4Nを開き、スイッチS11〜S1Nを接点aにそれぞれ切り換える。各基準電圧源A11〜AN1が発生した第1の基準電圧Vr1は、そのまま各コンパレータC1〜CNの非反転入力端子にそれぞれ与えられる。電池ブロックB1〜BNの出力電圧が正常であり、基準電圧源A11〜AN1、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはハイレベルである。
次に、第2の検査処理において、各スイッチS41〜S4Nを開いたままで、スイッチS11〜S1Nを接点bにそれぞれ切り換える。電池ブロックB1〜BNの出力電圧が正常であり、基準電圧源A12〜AN2、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNが正常であれば、論理和信号dsはハイレベルである。次に、第3の検査処理において、スイッチS41〜S4Nを開いたままで、スイッチS11〜S1Nをそれぞれ接点cに切り換える。電池ブロックB1〜BNの出力電圧が正常であり、基準電圧源A13〜AN3、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはハイレベルである。
次に、第4の検査処理において、各異常電圧検出部401〜40NのスイッチS41〜S4Nを閉じ、スイッチS11〜S1Nを接点aにそれぞれ切り換える。各基準電圧源A11〜AN1が発生した第1の基準電圧Vr1は、抵抗r1及びr2によってそれぞれ分圧され、各コンパレータC1〜CNの非反転入力端子にそれぞれ与えられる。抵抗r1及びr2の抵抗値は、コンパレータC1〜CNの非反転入力端子に与えられる電圧が、反転入力端子に与えられる電圧に比べて十分小さくなる値に設定されている。従って、基準電圧源A11〜AN1、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはローレベルである。
次に、第5の検査処理において、スイッチS41〜S4Nを閉じたままで、スイッチS11〜S1Nを接点bにそれぞれ切り換える。基準電圧源A12〜AN2、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはローレベルである。次に、第6の検査処理において、スイッチS41〜S4Nを閉じたままで、スイッチS11〜S1Nを接点cにそれぞれ切り換える。基準電圧源A13〜AN3、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはローレベルである。
制御部450はスイッチS11〜S1N及びスイッチS41〜S4Nを、上記第1の検査処理〜第6の検査処理のように制御し、各検査処理における論理和信号dsのレベルが上記と同じ場合は異常電圧検出部401〜40Nが正常に機能していると判断する。一方、各検査処理における論理和信号dsのレベルが上記と異なる場合は、異常電圧検出部401〜40Nの少なくとも1つが故障していると判断する。制御部450は、異常電圧検出部401〜40Nの異常検出機能の検査結果を、ランプの点灯などによって表示部152に表示する。
実施形態3に係る異常電圧検出装置400は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100と同様の効果を奏すると共に、異常電圧検出装置400が正常に異常検出処理を行えるか否かを容易に検知できるという効果を奏する。なお、実施形態2に係る異常電圧検出装置300の異常電圧検出部301〜30Nに、電圧降下回路41〜4Nを取り付け、異常検出機能の検査機能を追加しても良い。
上記異常電圧検出装置400は、異常検出機能の故障の有無を検査する機能を有する。従って、異常検出機能が故障している場合に、検出手段が故障していることに気がつかないまま組電池10の使用を継続し、結果的に電池ブロックB1〜BNが過充電又は過放電されてしまう恐れがない。
実施形態3において、電圧降下回路制御部454が出力する電圧降下回路制御信号TCは1ビットである。1ビットの制御信号TCによっては、全ての異常電圧検出部401〜40Nをまとめて検査した結果しか得られない。電圧降下回路制御部454が出力する電圧降下回路制御信号TCをNビットとし、全ての異常電圧検出部401〜40Nを個別に検査することが更に好ましい。
実施形態4.
図13を参照して、本発明の実施形態4に係る組電池のための異常電圧検出装置500を説明する。図13は、本発明の実施形態4に係る組電池のための異常電圧検出装置の概略構成を示すブロック図である。図13において、図12と共通する部分には同一の符号を使用し、その説明を省略する。
実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置400において、組電池10を構成する最下位の電池ブロックB1の出力電圧レベルと、最上位の電池ブロックBNの出力電圧レベルとの電圧差は270V以上になる。従って、スイッチS11〜S1Nの切換を制御する制御信号RC1及びRC2の電圧レベル、及び電圧降下回路41〜4Nを構成するスイッチS41〜S4Nの開閉を制御する制御信号TCの電圧レベルを、各スイッチを開閉できる電圧レベルに変換するレベル変換回路111、112、113が必要である。実施形態3において、レベル変換回路111、112、113を最大で270V程度の耐電圧を有する高耐圧の回路素子によって構成すると、このような高耐圧の回路素子は高価であり且つ大きい故に、異常電圧検出装置の回路規模及びコストが増大するという問題が生じる。実施形態4に係る組電池のための異常電圧検出装置500においては、レベル変換回路513を、安価な低耐圧の回路素子によって構成した。
実施形態3において、電圧降下回路制御部454が出力する電圧降下回路制御信号TCは1ビットである。1ビットの制御信号TCによっては、全ての異常電圧検出部401〜40Nをまとめて検査した結果しか得られない。実施形態4に係る組電池のための異常電圧検出装置は、異常電圧検出部401〜40Nをそれぞれ検査できるようにしたものである。
図13において、500は異常電圧検出装置、10は組電池、11はリレー、12はインバータ、13はモータジェネレータである。異常電圧検出装置500、組電池10、リレー11、インバータ12及びモータジェネレータ13は、全て電動車両に搭載される。組電池10の直流電力は、インバータ12によって交流電力に変換され、モータジェネレータ13を駆動し、電動車両を走行させる。
異常電圧検出装置500は、異常電圧検出部401〜40N、レベル変換回路511、512、513、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502、フォトカプラPD、P1〜PN、制御部550を有する。実施形態4に係る異常電圧検出装置500は、実施形態3に係る異常電圧検出装置400(図12)にシリアル入力/パラレル出力レジスタ502を追加し、レベル変換回路111、112、113をレベル変換回路511、512、513に置き換え、制御部450を制御部550に置き換え、及びフォトカプラP11、P12、P13をフォトカプラPDに置き換えたものである。更に、スイッチS41〜S4Nを、npnトランジスタでそれぞれ構成した。
制御部550は、実施形態3に係る異常電圧検出装置400の制御部450にパラレル入力/シリアル出力レジスタ555を追加したものである。スイッチ制御部151は、スイッチS11〜S1Nを切り換えるための2ビットの制御信号RC1、RC2を発生する。電圧降下回路制御部454は、スイッチS41〜S4Nをそれぞれ切り換えるための電圧降下回路制御信号TC1〜TCNを発生する。パラレル入力/シリアル出力レジスタ555は、そのパラレル入力端子から、制御信号RC1、RC2、TC1〜TCNを入力し、これらをデータビットとする。パラレル入力/シリアル出力レジスタ555は、更にデータビットの先頭にスタートビットを付加し、データビットの後にストップビットを付加する。スタートビットは、例えば10の2ビットを有する。また、ストップビットは例えば10の2ビットを有する。
ここで、1はフォトカプラPDの発光ダイオードが発光するレベルであり、0はフォトカプラPDの発光ダイオードが消灯するレベルである。パラレル入力/シリアル出力レジスタ555は、スタートビット、データビット及びストップビットを有するシリアルデータ信号SEをフォトカプラPDの入力発光ダイオードに出力する。スタートビットは、受信側のシリアル入力/パラレル出力レジスタ502を自動的に起動させるための制御ビットである。ストップビットは、受信側のシリアル入力/パラレル出力レジスタ502を自動的に停止させるための制御ビットである。ストップビットを省略しても良い。
フォトカプラPDのフォトトランジスタは、シリアルデータ信号SEをシリアル入力/パラレル出力レジスタ502に電気的に絶縁された状態で伝達する。シリアル入力/パラレル出力レジスタ502はシリアルデータ信号SEを入力する。シリアル入力/パラレル出力レジスタ502は、シリアルデータ信号SEの先頭に付加されたスタートビットによって自動的に内蔵するクロック発振器503を起動させ、クロック発振器503が出力する所定のクロックでシリアルデータ信号SEを読み込む。具体的には、フォトカプラPDのフォトトランジスタがオンしたことによって、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502は、シリアルデータ転送が開始されることを検知する。次に、フォトカプラPDのフォトトランジスタがオンからオフに変化したタイミングで(スタートビットが1から0に変化したタイミングで)、クロック発振器503はクロックの出力を開始する。クロック発振器503が出力するクロックは、パラレル入力/シリアル出力レジスタ555がシリアルデータを送出した内部クロックと同一周波数であり、同期している。
シリアル入力/パラレル出力レジスタ502は制御用信号であるスタートビット及びストップビットを出力せず、シリアルデータ信号SEのデータビットのみをパラレル出力端子Y1〜YN、Y11、Y12からレベル変換回路513、511、512にそれぞれ出力する。パラレル出力端子Y1〜YNはそれぞれ電圧降下回路制御信号TC1〜TCNをレベル変換回路513に出力する。実施形態4においてはNは20である。パラレル出力端子Y1〜YNの中で、検査しようとしている異常電圧検出部に対応する電圧降下回路制御信号のみがハイレベルになる。パラレル出力端子Y11、Y12は2ビットの制御信号RC1、RC2をそれぞれレベル変換回路511、512に出力する。制御信号RC1、RC2は、それぞれレベル変換回路511、512を介して各異常電圧検出部401〜40Nに分配される。レベル変換回路511、512の構成は、入力信号が1ビットで出力信号がN個であることを除いて、レベル変換回路513の構成(後述)に類似する。
制御部550は、フォトカプラPD及びP1〜PNによって、高電圧の組電池10から電気的に絶縁されている。
以下、レベル変換回路513を説明する。レベル変換回路513は、昇圧回路L2、L3、…及びLNを有する。昇圧回路Lnは、パラレル出力端子Ynが出力した電圧降下回路制御信号TCnを最下位からn番目の電池ブロックに対応する電圧降下回路4nを制御する電圧にレベル変換する回路である。なお、図13には昇圧回路L2、L3、L4のみを示した。
フォトカプラPDを構成するフォトトランジスタのエミッタ端子、及びシリアル入力/パラレル出力レジスタ502のグラウンド端子は、最下位の電池ブロックB1の負極端子に接続される。電圧降下回路制御信号TC1〜TCNの電圧レベルは、組電池10の負極端子電圧を含む。シリアル入力/パラレル出力レジスタ502の出力端子Y1は、電圧降下回路41の入力端子(npnトランジスタS41のベース端子)に直接接続される。
昇圧回路L2は、npnトランジスタQ21とpnpトランジスタQ22とを備える。npnトランジスタQ21のベース端子は、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502の出力端子Y2と接続されており、昇圧回路L2の入力端子となっている。npnトランジスタQ21のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続され、コレクタ端子はpnpトランジスタQ22のベース端子と接続される。pnpトランジスタQ22のエミッタ端子は電池ブロックB2の正極端子と接続される。pnpトランジスタQ22のコレクタ端子は電圧降下回路42の入力端子(npnトランジスタS42のベース端子)と接続され、昇圧回路L2の出力端子となっている。
昇圧回路L3は、2組のnpnトランジスタとpnpトランジスタのペアL3−1及びL3−2を備える。ペアL3−1はnpnトランジスタQ21とpnpトランジスタQ22を備える。ペアL3−1は昇圧回路L2と同様の構成を有する。ペアL3−2はnpnトランジスタQ31とpnpトランジスタQ32を備える。ペアL3−1のnpnトランジスタQ21のベース端子は、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502の出力端子Y3と接続されており、昇圧回路L3の入力端子となっている。ペアL3−1のnpnトランジスタQ21のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続され、コレクタ端子はペアL3−1のpnpトランジスタQ22のベース端子と接続される。ペアL3−1のpnpトランジスタQ22のエミッタ端子は電池ブロックB2の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタQ31のベース端子と接続される。npnトランジスタQ31のエミッタ端子は電池ブロックB2の負極端子と接続され、コレクタ端子はpnpトランジスタQ32のベース端子と接続される。pnpトランジスタQ32のエミッタ端子は電池ブロックB3の正極端子と接続される。pnpトランジスタQ32のコレクタ端子は電圧降下回路43の入力端子(npnトランジスタS43のベース端子)と接続され、昇圧回路L3の出力端子となっている。
昇圧回路L4は、3組のnpnトランジスタとpnpトランジスタのペアL4−1、L4−2及びL4−3を備える。ペアL4−1はnpnトランジスタQ21とpnpトランジスタQ22を備える。ペアL4−1はペアL3−1と同様の構成を有する。ペアL4−2はnpnトランジスタQ31とpnpトランジスタQ32を備える。ペアL4−2はペアL3−2と同様の構成を有する。ペアL4−3はnpnトランジスタQ41とpnpトランジスタQ42を備える。ペアL4−1のnpnトランジスタQ21のベース端子は、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502の出力端子Y4と接続されており、昇圧回路L4の入力端子となっている。ペアL4−1のnpnトランジスタQ21のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続され、コレクタ端子はペアL4−1のpnpトランジスタQ22のベース端子と接続される。ペアL4−1のpnpトランジスタQ22のエミッタ端子は電池ブロックB2の正極端子と接続され、コレクタ端子はペアL4−2のnpnトランジスタQ31のベース端子と接続される。ペアL4−2のnpnトランジスタQ31のエミッタ端子は電池ブロックB2の負極端子と接続され、コレクタ端子はペアL4−2のpnpトランジスタQ32のベース端子と接続される。ペアL4−2のpnpトランジスタQ32のエミッタ端子は電池ブロックB3の正極端子と接続される。ペアL4−2のpnpトランジスタQ32のコレクタ端子はnpnトランジスタQ41のベース端子と接続される。npnトランジスタQ41のエミッタ端子は電池ブロックB3の負極端子と接続され、コレクタ端子はpnpトランジスタQ42のベース端子と接続される。pnpトランジスタQ42のエミッタ端子は電池ブロックB4の正極端子と接続される。pnpトランジスタQ42のコレクタ端子は電圧降下回路44の入力端子(npnトランジスタS44のベース端子)と接続され、昇圧回路L4の出力端子となっている。
以下同様に、n番目の昇圧回路Lnの入力端子はシリアル入力/パラレル出力レジスタ502のn番目の出力端子Ynに接続され、出力端子はn番目の電圧降下回路4nの入力端子(npnトランジスタS4nのベース端子)に接続される。昇圧回路Lnは、n−1組のnpnトランジスタとpnpトランジスタとを備える。従って、レベル変換回路513は、N(N−1)/2個のnpnトランジスタと、N(N−1)/2個のpnpトランジスタとを備える。実施形態4において、レベル変換回路513は190個のnpnトランジスタと190個のpnpトランジスタとを有する。
昇圧回路L2の動作を説明する。昇圧回路L2の入力端子の信号がハイレベルの場合、npnトランジスタQ21のベース端子にベース電流が流れるので、npnトランジスタQ21はオンする。これに伴い、pnpトランジスタQ22のベース電流が流れて、pnpトランジスタQ22もオンする。昇圧回路L2の出力端子(pnpトランジスタQ22のコレクタ端子)電圧は、電池ブロックB2の正極端子電圧(28.8V)近い電圧まで上昇する。即ち、昇圧回路L2からスイッチ42にハイレベルが出力される状態となる。
昇圧回路L2の入力端子の信号がローレベルの場合、npnトランジスタQ21はオンしないので、pnpトランジスタQ22のベース端子と電池ブロックB1の負極端子との間には電流が流れない。即ち、pnpトランジスタQ22はオフ状態であり、昇圧回路L2から電圧降下回路42にローレベル(電池ブロックB2の負極端子電圧(14.4V)近い電圧)が出力される状態となる。
以上説明したように、昇圧回路L2は、電池ブロックB2に係る入力信号TC2の電圧レベルを、トランジスタQ21、Q22の端子間電圧差を利用して、電圧降下回路42を動作させることができる電圧レベル、即ち電池ブロックB2の正極端子電圧又は負極端子電圧に変換し電圧降下回路42に出力する。昇圧回路L2は、入力信号TC2の電圧レベルを、電池ブロックB2の端子間電圧を単位電圧として、単位電圧だけ昇圧して電池ブロックB2の電圧レベルである変換電圧レベルに変換する。
昇圧回路L3の動作を説明する。昇圧回路L3の入力端子の信号がハイレベルの場合、npnトランジスタQ21のベース端子にベース電流が流れるので、npnトランジスタQ21はオンする。これに伴い、pnpトランジスタQ22のベース電流が流れて、pnpトランジスタQ22もオンする。npnトランジスタQ31のベース電流が流れるので、npnトランジスタQ31もオンする。これに伴い、pnpトランジスタQ32のベース電流が流れ、昇圧回路L3の出力端子(pnpトランジスタQ32のコレクタ端子)電圧は、電池ブロックB3の正極端子電圧(43.2V)近い電圧まで上昇する。即ち、昇圧回路L3からスイッチS43にハイレベルが出力される状態となる。
昇圧回路L3の入力端子の信号がローレベルの場合、npnトランジスタQ21はオンしないので、pnpトランジスタQ22のベース端子と電池ブロックB1の負極端子との間には電流が流れない。即ち、pnpトランジスタQ22はオフ状態である。同様に、npnトランジスタQ31及びpnpトランジスタQ32もオフ状態である。即ち、昇圧回路L3から電圧降下回路43にローレベル(電池ブロックB3の負極端子電圧(28.8V)近い電圧)が出力される状態となる。
以上説明したように、昇圧回路L3において、入力信号の電圧レベル(ハイレベル)はnpnトランジスタQ21及びpnpトランジスタQ22によって電池ブロックB2の正極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、更に、npnトランジスタQ31及びpnpトランジスタQ32によって電池ブロックB3の正極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、電圧降下回路43に出力される。昇圧回路L3は、入力信号の電圧レベルを、トランジスタQ21、Q22、Q31、Q32の端子間電圧差を利用して、電圧降下回路43を動作させることができる電圧レベル、即ち電池ブロックB3の両端電圧レベルに変換し電圧降下回路43に出力する。
以下、昇圧回路L4〜LNも、昇圧回路L2、L3と同様の動作をする。即ち、昇圧回路Lnにおいて、1組目のnpnトランジスタとpnpトランジスタによって入力信号の電圧レベルが電池ブロックB2の正極端子電圧レベルに上昇し、2組目〜(n−1)組目のnpnトランジスタとpnpトランジスタによって、更に電池ブロックの端子間電圧(14.4V)ずつ電圧レベルが上昇する。昇圧回路Lnの入力信号の電圧レベルは、電池ブロックBnの正極端子電圧レベル又は負極端子電圧レベルに変換される。
実施形態4に係る異常電圧検出装置500においては、各電池ブロックB1〜BNの端子間電圧を単位電圧とし、各昇圧回路L2〜LN(図13)は、制御信号TC2〜TCNの電圧レベルを、1単位電圧ずつ段階的に昇圧し、各電池ブロックB2〜BNの電圧レベルである変換電圧レベルにそれぞれ変換する。
異常電圧検出装置500が正常に異常検出を行えるか否かを検知する方法を説明する。なお、以下の異常検出機能の検査処理は、全ての電池ブロックB1〜BNが過充電に達していない状態(例えば、充電前又は電動車両の走行前)で行われる。始めに、第1の検査処理において、各異常電圧検出部401〜40NのスイッチS41〜S4Nをそれぞれ開き、スイッチS11〜S1Nを接点aにそれぞれ切り換える。各基準電圧源A11〜AN1が発生した第1の基準電圧Vr1は、そのままコンパレータC1〜CNの非反転入力端子にそれぞれ与えられる。電池ブロックB1〜BNの出力電圧が正常であり、基準電圧源A11〜AN1、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはハイレベルである。
次に、第2の検査処理において、スイッチS41〜S4Nを開いたままで、スイッチS11〜S1Nを接点bにそれぞれ切り換える。電池ブロックB1〜BNの出力電圧が正常であり、基準電圧源A12〜AN2、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNが正常であれば、論理和信号dsはハイレベルである。次に、第3の検査処理において、スイッチS41〜S4Nを開いたままで、スイッチS11〜S1Nを接点cにそれぞれ切り換える。電池ブロックB1〜BNの出力電圧が正常であり、基準電圧源A13〜AN3、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはハイレベルである。
次に、第4〜第6の検査処理において、異常電圧検出部401の異常検出機能の検査を行う。第4の検査処理において、異常電圧検出部401のスイッチS41を閉じ、スイッチS11〜S1Nを接点aにそれぞれ切り換える。各基準電圧源A11〜AN1が発生した第1の基準電圧Vr1は、抵抗r1及びr2によってそれぞれ分圧され、各コンパレータC1〜CNの非反転入力端子にそれぞれ与えられる。基準電圧源A11〜AN1、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはローレベルである。
次に、第5の検査処理において、スイッチS41を閉じたままで、スイッチS11〜S1Nを接点bにそれぞれ切り換える。基準電圧源A12〜AN2、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはローレベルである。次に、第6の検査処理において、スイッチS41を閉じたままで、スイッチS11〜S1Nを接点cにそれぞれ切り換える。基準電圧源A13〜AN3、分圧回路D1〜DN及びコンパレータC1〜CNの全てが正常であれば、論理和信号dsはローレベルである。
制御部450はスイッチS11〜S1N及びスイッチS41〜S4Nを、上記第1の検査処理〜第6の検査処理のように制御し、各検査処理における論理和信号dsのレベルが上記と同じ場合は異常電圧検出部401が正常に機能していると判断する。各検査処理における論理和信号dsのレベルが上記と異なる場合は、異常電圧検出部401が故障していると判断する。
制御部450は、異常検出部402〜40Nについても上記第4〜第6の検査処理と同様に検査処理によって、異常検出部401と同様に、順次異常検出機能の検査を行う。制御部450は、異常電圧検出部401〜40Nの異常検出機能の検査結果を、ランプの点灯などによって表示部152に表示する。
レベル変換回路513を構成する各pnpトランジスタ及び各npnトランジスタに印加される電圧は、電池ブロックの端子間電圧(14.4V)又はその2倍(28.8V)程度である。従って、レベル変換回路513は、耐圧が40V程度の既存の低耐圧の半導体素子を用いて容易にIC化可能である。実施形態4によれば、安価で小型な組電池のための異常電圧検出装置を提供することができる。更に、異常電圧検出装置500は、制御信号RC1,RC2及びTC1〜TCNを含むシリアルデータ信号SEを発生するので、1つのフォトカプラPDを用いて、制御信号RC1,RC2及びTC1〜TCNを伝達できる。実施形態4によれば、異常検出機能の検査機能を有さない異常電圧検出装置に、安価で小型な回路素子を追加するだけで、異常検出機能の検査機能を追加できる。
一般に、シリアル入力/パラレル出力レジスタは、シリアルデータ信号を入力するデータ入力端子と、リセット信号を入力するリセット端子と、クロックを入力するクロック入力端子とを有する。本発明のシリアル入力/パラレル出力レジスタ502はシリアルデータ信号SEを入力するデータ入力端子DATAのみを有し、リセット端子と、クロック入力端子とを有していない。シリアル入力/パラレル出力レジスタ502は、入力端子と出力端子とが互いに電気的に絶縁された1個の伝達素子PDを介して、シリアルデータ信号SEを入力する。実施形態4によれば、異常検出機能の検査機能を有さない異常電圧検出装置に、安価で小型な回路素子を追加するだけで、異常検出機能の検査機能を追加できる。
レベル変換回路513及びシリアル入力/パラレル出力レジスタ502を、実施形態2に係る異常電圧検出装置300のスイッチS31〜S3Nを制御するために使用しても良い。
実施形態4の構成に代えて、下記の構成であっても良い。制御部550がリセット信号を出力する。制御部550が出力するリセット信号は、パラレル入力/シリアル出力レジスタ555と、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502とに送られる。制御部550は、フォトカプラPRを介してシリアル入力/パラレル出力レジスタ502にリセット信号を送る。フォトカプラPRは、制御部550とシリアル入力/パラレル出力レジスタ502とを互いに電気的に絶縁した状態で、リセット信号を伝達する。
制御部550はリセット信号を出力すると、その立ち上がりエッジでパラレル入力/シリアル出力レジスタ555はパラレル端子に入力している2ビットの制御信号及びNビットの検査部駆動信号をシリアル出力レジスタに自動的にロードし、パラレル入力/シリアル出力レジスタ555とシリアル入力/パラレル出力レジスタ502とが内蔵するクロック発振器が同時に自動的にクロックの出力を開始する。パラレル入力/シリアル出力レジスタ555とシリアル入力/パラレル出力レジスタ502とが内蔵するクロック発振器の発振クロック周波数は同一であり、両者は同期している。パラレル入力/シリアル出力レジスタ555はシリアルデータを出力し、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502は、フォトカプラPDを介して入力したシリアルデータを正確に読み込む。
実施形態5.
図14を参照して、本発明の実施形態5に係る組電池のための異常電圧検出装置1000を説明する。図14は、本発明の実施形態5に係る組電池のための異常電圧検出装置1000の概略構成を示すブロック図である。図14において、図13と共通する部分には同一の符号を使用し、その説明を省略する。
実施形態4に係る異常電圧検出装置500においては、各電池ブロックB1〜BNの端子間電圧を単位電圧とした。各昇圧回路L2〜LN(図13)は、制御信号TC2〜TCNの電圧レベルを、1単位電圧ずつ段階的に昇圧し、各電池ブロックB1〜BNの電圧レベルである変換電圧レベルにそれぞれ変換した。実施形態5に係る異常電圧検出装置1000は、レベル変換回路1013は、制御信号TC3〜TCNの電圧レベルを、複数単位電圧ずつ段階的に昇圧し、各変換電圧レベルに変換する昇圧回路L300〜LN00を備える。
異常電圧検出装置1000は、実施形態4に係る異常電圧検出装置500(図13)のレベル変換回路513をレベル変換回路1013に置き換えたものである。そのほかの構成は、実施形態4に係る異常電圧検出装置500と同じである。
レベル変換回路1013の構成及び動作を説明する。レベル変換回路1013は、昇圧回路L2、L300、L400、L500、…及びLN00を有する。レベル変換回路1013は、レベル変換回路513の昇圧回路L3〜LNを、昇圧回路L300〜LN00に置き換えたものである。昇圧回路Ln00は、パラレル出力端子Ynが出力した電圧降下回路制御信号TCnを最下位からn番の電池ブロックに対応する電圧降下回路4nを制御する電圧にレベル変換する回路である。なお、図14には昇圧回路L2、L300、L400、L500のみを示した。以下、昇圧回路L300〜LN00の構成及び動作を説明する。
昇圧回路L300は、npnトランジスタQ33とpnpトランジスタQ34とを備える。npnトランジスタQ33のベース端子は、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502の出力端子Y3と接続されており、昇圧回路L300の入力端子となっている。npnトランジスタQ33のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続され、コレクタ端子はpnpトランジスタQ34のベース端子と接続される。pnpトランジスタQ34のエミッタ端子は電池ブロックB3の正極端子と接続される。pnpトランジスタQ34のコレクタ端子は電圧降下回路43の入力端子(npnトランジスタS43のベース端子)と接続され、昇圧回路L300の出力端子となっている。
昇圧回路L400は、2組のnpnトランジスタとpnpトランジスタのペアL4−4及びL4−5を備える。ペアL4−4はnpnトランジスタQ21とpnpトランジスタQ22を備える。ペアL4−4は昇圧回路L2と同様の構成を有する。ペアL4−5はnpnトランジスタQ43とpnpトランジスタQ44を備える。ペアL4−4のnpnトランジスタQ21のベース端子は、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502の出力端子Y4と接続されており、昇圧回路L400の入力端子となっている。ペアL4−4のnpnトランジスタQ21のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続され、コレクタ端子はペアL4−4のpnpトランジスタQ22のベース端子と接続される。ペアL4−4のpnpトランジスタQ22のエミッタ端子は電池ブロックB2の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタQ43のベース端子と接続される。npnトランジスタQ43のエミッタ端子は電池ブロックB2の負極端子と接続され、コレクタ端子はpnpトランジスタQ44のベース端子と接続される。pnpトランジスタQ44のエミッタ端子は電池ブロックB4の正極端子と接続される。pnpトランジスタQ44のコレクタ端子は電圧降下回路44の入力端子(npnトランジスタS44のベース端子)と接続され、昇圧回路L400の出力端子となっている。
昇圧回路L500は、2組のnpnトランジスタとpnpトランジスタのペアL5−1及びL5−2を備える。ペアL5−1はnpnトランジスタQ33とpnpトランジスタQ34を備える。ペアL5−1は昇圧回路L300と同様の構成を有する。ペアL5−2はnpnトランジスタQ51とpnpトランジスタQ52を備える。ペアL5−1のnpnトランジスタQ33のベース端子は、シリアル入力/パラレル出力レジスタ502の出力端子Y5と接続されており、昇圧回路L500の入力端子となっている。ペアL5−1のnpnトランジスタQ33のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続され、コレクタ端子はペアL5−1のpnpトランジスタQ34のベース端子と接続される。ペアL5−1のpnpトランジスタQ34のエミッタ端子は電池ブロックB3の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタQ51のベース端子と接続される。npnトランジスタQ51のエミッタ端子は電池ブロックB3の負極端子と接続され、コレクタ端子はpnpトランジスタQ52のベース端子と接続される。pnpトランジスタQ52のエミッタ端子は電池ブロックB5の正極端子と接続される。pnpトランジスタQ52のコレクタ端子は電圧降下回路45の入力端子(npnトランジスタS45のベース端子)と接続され、昇圧回路L500の出力端子となっている。
以下同様に、n番目の昇圧回路Ln00の入力端子はシリアル入力/パラレル出力レジスタ502のn番目の出力端子Ynに接続され、出力端子はn番目の電圧降下回路4nの入力端子(npnトランジスタS4nのベース端子)に接続される。
昇圧回路L300の動作を説明する。昇圧回路L300の入力端子の信号がハイレベルの場合、昇圧回路L300のnpnトランジスタQ33のベース端子にベース電流が流れるので、npnトランジスタQ33はオンする。これに伴い、昇圧回路L300のpnpトランジスタQ34のベース電流が流れて、pnpトランジスタQ34もオンする。昇圧回路L300の出力端子(pnpトランジスタQ34のコレクタ端子)電圧は、電池ブロックB3の正極端子電圧(43.2V)近い電圧まで上昇する。即ち、昇圧回路L300からスイッチS43にハイレベルが出力される状態となる。
昇圧回路L300の入力端子の信号がローレベルの場合、昇圧回路L300のnpnトランジスタQ33はオンしないので、昇圧回路L300のpnpトランジスタQ34のベース端子と電池ブロックB1の負極端子との間には電流が流れない。即ち、pnpトランジスタQ34はオフ状態である。即ち、昇圧回路L300から電圧降下回路43にローレベル(電池ブロックB3の負極端子電圧(28.8V)近い電圧)が出力される状態となる。
以上説明したように、昇圧回路L300において、入力信号の電圧レベル(ハイレベル)はnpnトランジスタQ33及びpnpトランジスタQ34の端子間電圧差を利用して電池ブロックB3の正極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、電圧降下回路43に出力される。昇圧回路L300は、入力信号の電圧レベルを、電圧降下回路43を動作させることができる電圧レベル、即ち電池ブロックB3の両端電圧レベルに変換し電圧降下回路43に出力する。昇圧回路L300は、電池ブロックB3に係る入力信号TC3の電圧レベルを、電池ブロックB1〜B3の端子間電圧を単位電圧として、その単位電圧の2倍の電圧だけ昇圧して、電池ブロックB3の電圧レベルである変換電圧レベルに変換する。
昇圧回路L400の動作を説明する。昇圧回路L400の入力端子の信号がハイレベルの場合、昇圧回路L400のnpnトランジスタQ21のベース端子にベース電流が流れるので、npnトランジスタQ21はオンする。これに伴い、昇圧回路L400のpnpトランジスタQ22のベース電流が流れて、pnpトランジスタQ22もオンする。npnトランジスタQ43のベース電流が流れるので、npnトランジスタQ43もオンする。これに伴い、pnpトランジスタQ44のベース電流が流れ、昇圧回路L400の出力端子(pnpトランジスタQ44のコレクタ端子)電圧は、電池ブロックB4の正極端子電圧(57.6V)近い電圧まで上昇する。即ち、昇圧回路L400からスイッチS44にハイレベルが出力される状態となる。
昇圧回路L400の入力端子の信号がローレベルの場合、昇圧回路L400のnpnトランジスタQ21はオンしないので、昇圧回路L400のpnpトランジスタQ22のベース端子と電池ブロックB1の負極端子との間には電流が流れない。即ち、pnpトランジスタQ22はオフ状態である。同様に、npnトランジスタQ43及びpnpトランジスタQ44もオフ状態である。即ち、昇圧回路L400から電圧降下回路44にローレベル(電池ブロックB4の負極端子電圧(43.2V)近い電圧)が出力される状態となる。
以上説明したように、昇圧回路L400において、入力信号の電圧レベル(ハイレベル)はペアL4−4によって電池ブロックB2の正極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、更に、ペアL4−5によって電池ブロックB4の正極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、電圧降下回路44に出力される。昇圧回路L400は、入力信号の電圧レベルを、トランジスタQ21、Q22、Q43、Q44の端子間電圧差を利用して、電圧降下回路44を動作させることができる電圧レベル、即ち電池ブロックB4の両端電圧レベルに変換し電圧降下回路44に出力する。昇圧回路L400は、電池ブロックB4に係る入力信号TC4の電圧レベルを、電池ブロックB1〜B4の端子間電圧を単位電圧として、単位電圧だけ昇圧した後、単位電圧の2倍の電圧だけ昇圧して、電池ブロックB4の電圧レベルである変換電圧レベルに変換する。
昇圧回路L500の動作を説明する。昇圧回路L500の入力端子の信号がハイレベルの場合、昇圧回路L500のnpnトランジスタQ33のベース端子にベース電流が流れるので、npnトランジスタQ33はオンする。これに伴い、昇圧回路L500のpnpトランジスタQ34のベース電流が流れて、pnpトランジスタQ34もオンする。npnトランジスタQ51のベース電流が流れるので、npnトランジスタQ51もオンする。これに伴い、pnpトランジスタQ52のベース電流が流れ、昇圧回路L500の出力端子(pnpトランジスタQ52のコレクタ端子)電圧は、電池ブロックB5の正極端子電圧(72.0V)近い電圧まで上昇する。即ち、昇圧回路L500からスイッチS45にハイレベルが出力される状態となる。
昇圧回路L500の入力端子の信号がローレベルの場合、昇圧回路L500のnpnトランジスタQ33はオンしないので、昇圧回路L500のpnpトランジスタQ34のベース端子と電池ブロックB1の負極端子との間には電流が流れない。即ち、pnpトランジスタQ34はオフ状態である。同様に、npnトランジスタQ51及びpnpトランジスタQ52もオフ状態である。即ち、昇圧回路L500から電圧降下回路45にローレベル(電池ブロックB5の負極端子電圧(57.6V)近い電圧)が出力される状態となる。
以上説明したように、昇圧回路L500において、入力信号の電圧レベル(ハイレベル)はペアL5−1によって電池ブロックB3の正極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、更に、ペアL5−2によって電池ブロックB5の正極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、電圧降下回路45に出力される。昇圧回路L500は、入力信号の電圧レベルを、トランジスタQ33、Q34、Q51、Q52の端子間電圧差を利用して、電圧降下回路45を動作させることができる電圧レベル、即ち電池ブロックB5の両端電圧レベルに変換し電圧降下回路45に出力する。
以下、昇圧回路L600〜LN00も、昇圧回路L2、L300、L400、L500と同様に動作する。pnpトランジスタとnpnトランジスタのペアで構成される回路は、入力される信号の電圧レベルがハイレベルの場合、その電圧レベルを電池ブロックの端子間電圧又は電池ブロックの端子間電圧の2倍だけ昇圧する。例えば、昇圧回路L2及び昇圧回路L400のペアL4−4は、入力される信号の電圧レベルを、電池ブロックの端子間電圧(実施形態においては14.4V)だけ昇圧する。昇圧回路L300、昇圧回路L400のペアL4−5、昇圧回路L500のペアL5−1及びL5−2は、入力される信号の電圧レベルを、電池ブロックの端子間電圧の2倍(実施形態においては28.8V)だけ昇圧する。電池ブロックB3よりも上位の電池ブロックのうち、奇数番目の電池ブロックB3、B5、B7、…に係る制御信号TC3、TC5、TC7、…は、電池ブロックの端子間電圧の2倍単位で順次昇圧され、最終的に上記電池ブロックの正極端子電圧を基準とするレベルにそれぞれ変換され、電圧降下回路43、45、47、…に出力される。電池ブロックB4よりも上位の電池ブロックのうち、偶数番目の電池ブロックB4、B6、B8、…に係る制御信号TC4、TC6、TC8、…は、電池ブロックの端子間電圧の2倍単位で順次昇圧され、最後に電池ブロックの端子間電圧だけ昇圧され、最終的に上記電池ブロックの正極端子電圧を基準とするレベルにそれぞれ変換され、電圧降下回路44、46、48、…に出力される。
レベル変換回路1013を構成する各pnpトランジスタ及び各npnトランジスタに印加される電圧は、電池ブロックの端子間電圧(14.4V)程度、2倍(28.8V)程度又は3倍程度(43.2V)である。従って、レベル変換回路1013は、耐圧が50V程度の既存の半導体素子を用いて容易にIC化可能である。実施形態5によれば、安価で小型な組電池のための異常電圧検出装置を提供することができる。
レベル変換回路1013の構成は、図14に示したものに限らない。実施形態4に係るレベル降下回路Lkにおいて、入力信号の電圧レベルを電池ブロックの端子間電圧(14.4V)又はその2倍(28.8V)ずつ上げた。これに代え、上位の電池ブロックに係るレベル降下回路では、電池ブロックの端子間電圧の3倍以上ずつ上げても良い。但し、電圧レベルの上昇幅は、昇圧回路を構成するpnpトランジスタ及びnpnトランジスタの耐圧レベルと電池ブロックの端子間電圧との兼ね合いで定められる。なお、レベル変換回路1013を構成するpnpトランジスタ及びnpnトランジスタを、他のスイッチ素子に置き換えても良い。
実施形態6.
図15を参照して、本発明の実施形態6に係る組電池のための異常電圧検出装置600を説明する。実施形態6に係る組電池のための異常電圧検出装置600は、異常電圧検出部401〜40Nに代えて異常電圧検出部601〜60Nを有する点で実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置400(図12)と異なるが、それ以外の点において実施形態6に係る組電池のための異常電圧検出装置600は、実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置400と同一である。実施形態6に係る異常電圧検出部601〜60Nの構成のみを説明する。
図15は、実施形態6に係る異常電圧検出部60n(nは1≦n≦Nを満たす任意の正整数)の概略的な構成を示す図である。異常電圧検出部601〜60Nの構成は全て同じである。異常電圧検出部60nの構成を説明する。実施形態3に係る異常電圧検出装置400は、各異常電圧検出部401〜40Nおいて3つの基準電圧Vr1、Vr2、Vr3をそれぞれ発生し、対応する電池ブロックB1〜BNの電圧から降下した電池測定電圧Vb1〜VbNと比較した。これに代えて、実施形態6に係る異常電圧検出部601〜60Nは、それぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧を3つの異なる分圧比で分圧し、その電圧を1つの基準電圧と比較する。
図15に示す異常電圧検出部60nは、基準電圧発生源An、分圧回路D61n、pnpトランジスタ62n、コンパレータCnを有し、電池ブロックBnの電圧異常(実施形態6においては、過充電。)を検出する。基準電圧発生源Anは、実施形態2に係る組電池のための異常電圧検出装置300の基準電圧発生源Anと同様、ツェナーダイオード(図示しない)と抵抗(図示しない)とで構成され、その出力端子はコンパレータCnの非反転入力端子に接続される。
分圧回路D61nの構成を説明する。電池ブロックBnの正極端子とコンパレータCnの反転入力端子との間に抵抗611、612の直列接続回路が接続されている。pnpトランジスタ62nが抵抗611と並列に接続されている。3つの抵抗613、614、615の一端がコンパレータCnの反転入力端子に接続されている。実施形態6において、3つの抵抗613、614、615の抵抗値は、抵抗613>抵抗614>抵抗615に設定されている。3点切換スイッチ63nの共通端子が、電池ブロックBnの負極端子に接続されている。3点切換スイッチの3つの端子a、b、cは、それぞれ抵抗613、614、615の他端に接続されている。なお、スイッチ631〜63Nは連動する。pnpトランジスタ621〜62Nは連動する。
電圧降下回路制御部454(図12参照)は制御信号TCに代えて、pnpトランジスタ62nのオンとオフとを切り換えるための制御信号TCaを発生する。制御信号TCaは、フォトカプラP13、レベル変換回路113を介してpnpトランジスタ62nのベースに入力される。スイッチ制御部151(図12参照)は、制御信号RC1及びRC2に代えて、スイッチ63nを切り換えるための制御信号RC1a及びRC2aを発生する。制御信号RC1a及びRC2aは、それぞれフォトカプラP11及びレベル変換回路111、フォトカプラP12及びレベル変換回路112を介してスイッチ63nに入力される。
異常電圧検出部60nの動作を説明する。通常動作において、制御信号TCaはハイレベルであって、pnpトランジスタ62nはオフである。この場合を説明する。スイッチ63nが制御信号RC1a、RC2aに応じて、抵抗613を接地する。抵抗613が接地されている場合、電池ブロックBnの電圧は抵抗611、612、613によって分圧されて、コンパレータCnの反転入力端子に出力される。分圧回路D61nが電池ブロックBnがやや過充電された状態での電圧(18V)を入力した時、コンパレータCnの反転入力端子に出力する電圧は、基準電圧源Anが出力する基準電圧と等しい。コンパレータCnは、電池ブロックBnの電圧が18Vより高い場合はローレベルの、低い場合はハイレベルの異常検出信号dnを発生して出力する。
スイッチ63nが制御信号RC1a、RC2aに応じて、抵抗614を接地する。pnpトランジスタ62nがオフであって、抵抗614が接地されている場合、電池ブロックBnの電圧は抵抗611、612、614によって分圧されて、コンパレータCnの反転入力端子に出力される。分圧回路D61nが電池ブロックBnがかなり過充電された状態での電圧(20V)を入力した時、コンパレータCnの反転入力端子に出力する電圧は、基準電圧源Anが出力する基準電圧と等しい。コンパレータCnは、電池ブロックBnの電圧が20Vより高い場合はローレベルの、低い場合はハイレベルの異常検出信号dnを発生してフォトカプラPnに出力する。
スイッチ63nが制御信号RC1a、RC2aに応じて、抵抗615を接地する。pnpトランジスタ62nがオフであって、抵抗615が接地されている場合、電池ブロックBnの電圧は抵抗611、612、615によって分圧されて、コンパレータCnの反転入力端子に出力される。分圧回路D61nが、電池ブロックBnが復帰不可能な故障を生じる程度に過充電された状態での電圧(22V)を入力した時、コンパレータCnの反転入力端子に出力する電圧は、基準電圧源Anが出力する基準電圧と等しい。コンパレータCnは、電池ブロックBnの電圧が20Vより高い場合はローレベルの、低い場合はハイレベルの異常検出信号dnを発生してフォトカプラPnに出力する。
各異常検出信号d1〜dNは論理和演算される。制御部450(図12参照)は、各電池ブロックB1〜BNに係る異常検出信号d1〜dNの論理和である論理和信号dsを入力する。
異常電圧検出装置600が正常に異常検出を行えるか否かを検知する(異常検出機能の検査)方法を説明する。実施形態6の異常電圧検出装置600は、各分圧回路D611〜D61Nが発生した3つの電池測定電圧を、pnpトランジスタ621〜62Nによって、基準電圧源A1〜ANが発生した基準電圧に対してそれぞれ相対的に変化させ、各電池測定電圧を基準電圧と比較することにより異常検出信号d1〜dNを発生する。制御部450は、異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsに基づいて、異常電圧検出装置600が正常に異常検出を行えるか否かを検知する。なお、異常検出機能の検査は、各電池ブロックB1〜BNが過充電に達していない状態、例えば充電前又は電動車両の走行前、で行われる。異常検出機能の検査時は、制御信号TCaはローレベルであって、pnpトランジスタ621〜62Nはオンである。抵抗611は短絡された状態となる。
はじめに、第1の検査処理において、pnpトランジスタ621〜62Nを導通させ、抵抗613を接地する。抵抗613が接地されている場合、分圧回路D61nが例えば12V(18Vより低い)を入力した時、pnpトランジスタ62n、抵抗612、613が分圧してコンパレータCnの反転入力端子に出力する電圧は、基準電圧源Anが出力する基準電圧と等しい。コンパレータCnは、電池ブロックBnの電圧が12Vより高いか否かという情報をフォトカプラPnに出力する。電池ブロックBnの電圧は標準で14.4Vである故に、基準電圧発生部A1〜AN、分圧回路D611〜D61N及びコンパレータC1〜CNが正常であれば、異常電圧検出部601〜60Nは、それぞれローレベルの異常検出信号d1〜dNを発生する。従って、論理和信号dsは、ローレベルである。
次に、第2の検査処理において、pnpトランジスタ621〜62Nを導通させたままで、抵抗614を接地する。基準電圧発生部A1〜AN、分圧回路D611〜D61N及びコンパレータC1〜CNが正常であれば、異常電圧検出部601〜60Nは、それぞれローレベルの異常検出信号d1〜dNを発生する。従って、論理和信号dsは、ローレベルである。次に、第3の検査処理において、pnpトランジスタ621〜62Nを導通させたままで、抵抗615を接地する。基準電圧発生部A1〜AN、分圧回路D611〜D61N及びコンパレータC1〜CNが正常であれば、異常電圧検出部601〜60Nは、それぞれローレベルの異常検出信号d1〜dNを発生する。従って、論理和信号dsは、ローレベルである。
制御部450はスイッチ631〜63N及びpnpトランジスタ621〜62Nを、上記第1の検査処理〜第3の検査処理のように制御し、各検査処理における論理和信号dsのレベルが上記と同じ場合は異常電圧検出部601〜60Nが正常に機能していると判断する。各検査処理における論理和信号dsのレベルが上記と異なる場合は、異常電圧検出部601〜60Nの少なくとも1つが故障していると判断する。制御部450は、異常電圧検出部601〜60Nの異常検出機能の検査結果を、ランプの点灯などによって表示部152に表示する。
実施形態6に係る異常電圧検出装置600は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100と同様の効果を奏すると共に、異常検出機能の検査を容易に行えるという効果を奏する。実施形態6において、電圧降下回路制御部454が出力する制御信号TCaは1ビットである。1ビットの制御信号TCaによっては、全ての異常電圧検出部601〜60Nをまとめて検査した結果しか得られない。電圧降下回路制御部454が発生する制御信号TCaをNビットとし、全ての異常電圧検出部601〜60Nを個別に検査することが更に好ましい。
実施形態3に係る異常電圧検出装置の異常電圧検出部401〜40Nを、実施形態6に係る異常電圧検出部601〜60Nに置き換えても良い。また、複数の基準電圧源を設け、スイッチ63n及びpnpトランジスタ62nの一方がその基準電圧発生源の出力する基準電圧を切り換え、他方が分圧回路D61nの分圧比を切り換える構成としても良い。
実施形態7.
図16を参照して、本発明の実施形態7に係る組電池のための異常電圧検出装置700を説明する。実施形態7に係る組電池のための異常電圧検出装置700は、異常電圧検出部101〜10Nに代えて異常電圧検出部701〜70Nを有する点で実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置100(図1)と異なるが、それ以外の点において実施形態7に係る組電池のための異常電圧検出装置700は、実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置100と同一である。実施形態7に係る異常電圧検出部701〜70Nの構成のみを説明する。
異常電圧検出部701〜70Nの構成は全て同じである。図16は、実施形態7に係る異常電圧検出装置700の異常電圧検出部70n(nは1≦n≦Nを満たす任意の正整数)の概略的な構成を示す図である。実施形態7に係る異常電圧検出部70nは、分圧回路Dnに代えて、分圧回路D71nを有する点で、実施形態1に係る異常電圧検出部10nと異なる。それ以外の点において実施形態7に係る組電池の異常電圧検出部70nは、実施形態1に係る組電池の異常電圧検出部10nと同一である。実施形態7に係る分圧回路D71nのみを説明する。
実施形態1において、分圧回路D1〜DNはそれぞれ抵抗Rd1、Rd2で構成され、電池ブロックB1〜BNの端子電圧を所定の割合で分圧した電圧をコンパレータC1〜CNの反転入力端子に出力した。図16に示すように、実施形態7に係る分圧回路D71n(nは1≦n≦Nを満たす任意の正整数)は、電池ブロックBnの両端に定電圧源721と定電流源722とを直列接続した構成を有する。定電圧源721と定電流源722との接続点の電位が、コンパレータCnの反転入力端子に入力される。定電圧源721は、一定の電圧Vconstの電圧降下を生じる。電池ブロックBnの両端電圧をVnとすると、分圧回路D71nは、電池測定電圧Vbn=(Vn−Vconst)をコンパレータCnの反転入力端子に出力する。
定電圧源721の構成は任意である。例えば、定電圧源721はツエナーダイオード又はバンドギャップリファレンス回路である。定電流源722の構成は任意である。例えば、定電流源722は、基準電流源に基づいて一定の電流を流すカレントミラー回路、又は簡略的には1個の抵抗である。定電圧源721を用いることにより、分圧回路D71nは、抵抗で構成された分圧回路Dn(nは1≦n≦Nを満たす任意の正整数)と比較して、消費電力を削減できる。異常電圧検出装置700は、分圧回路D71nにおいてほとんど電力を消費しない故に、組電池10を放置した時等における組電池10の残存容量低下を防止し、電池ブロックB1〜BNの過放電や電力の損失を防止できる。
実施形態7において、基準電圧源An1は、電池ブロックBnがやや過充電された状態での電圧(18V)になったことを検出するための第1の基準電圧Vr1を発生する。第1の基準電圧Vr1は、電池ブロックBnの出力電圧18Vを入力した分圧回路D71nが出力する電圧に等しい。基準電圧源An2は、電池ブロックBnがかなり過充電された状態での電圧(20V)になったことを検出するための第2の基準電圧Vr2を発生する。第2の基準電圧Vr2は、電池ブロックBnの出力電圧20Vを入力した分圧回路D71nが出力する電圧に等しい。基準電圧源An3は、電池ブロックBNが復帰不可能な故障を生じる程度の過充電電圧(22V)になったことを検出するための第3の基準電圧Vr3を発生する。第3の基準電圧Vr3は、電池ブロックBnの出力電圧22Vを入力した分圧回路D71nが出力する電圧に等しい。
定電流源722を取り除き、コンパレータCnの反転入力端子へ流れ込むシンク電流により、分圧回路D71nが、電圧(Vn−Vconst)をコンパレータCnの非反転入力端子に出力する構成としても良い。この場合、コンパレータCnの入力回路が入力電流を吸い込む構成であり、且つ定電圧源721が微弱な電流で正常に動作する構成である必要がある。この構成によれば、無駄な電流消費を削減できる。
実施形態7に係る分圧回路D71nを他の実施形態2〜6の分圧回路D1〜DN、D611〜D61Nに適用することも出来る。また、実施形態6に係る構成(図15)に代えて、電池ブロックBnの両端に複数個の定電圧源と定電流源とを直列接続し、制御信号RC1a、RC2a及びTCaに応じて、個々の定電圧源を短絡する構成としても良い。これにより、実施形態6と同様の効果が得られる。
実施形態8.
図17〜図19を参照して、本発明の実施形態8に係る組電池のための異常電圧検出装置1300を説明する。実施形態1〜実施形態7に係る異常電圧検出装置は、組電池10の過充電状態を検出した。実施形態8に係る異常電圧検出装置1300は、組電池10の過放電状態を検出する。図17は、本発明の実施形態8に係る組電池のための異常電圧検出装置1300の概略構成を示すブロック図である。図17において、図1と共通する部分には同一の符号を使用し、その説明を省略する。
異常電圧検出装置1300は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100の異常電圧検出部101〜10Nを異常電圧検出部1301〜130Nに置き換えたものである。それ以外の点において実施形態8に係る異常電圧検出装置1300は実施形態1に係る異常電圧検出装置100と同一である。
異常電圧検出部130Nを説明する。異常電圧検出部130Nは、基準電圧発生回路R1N、分圧回路DN、コンパレータCNを有し、電池ブロックBNの電圧異常を検出する。実施形態8においては、異常電圧検出部130Nは電池ブロックBNの過放電を検出する。分圧回路DNは抵抗Rd1及びRd2を直列接続した回路である。分圧回路DNは、電池ブロックBNの電圧を分圧して降下した電圧をコンパレータCNの非反転入力端子に出力する。実施形態8において分圧回路DNは電池ブロックBNの端子間電圧を4分の1に分圧する。
基準電圧発生回路R1Nは、基準電圧源AN1、AN2及びAN3、スイッチS1Nを有する。実施形態8において、基準電圧源AN1は、電池ブロックBNがやや過放電している状態での電圧(10V)になったことを検出するための第1の基準電圧Vr1を発生する。第1の基準電圧Vr1は、電池ブロックBNの出力電圧10Vを入力した分圧回路DNが出力する電圧に等しい。基準電圧源AN2は、電池ブロックBNがかなり過放電している状態での電圧(8V)になったことを検出するための第2の基準電圧Vr2を発生する。第2の基準電圧Vr2は、電池ブロックBNの出力電圧8Vを入力した分圧回路DNが出力する電圧に等しい。基準電圧源AN3は、電池ブロックBNが復帰不可能な故障を生じる程度の過放電電圧(6V)になったことを検出するための第3の基準電圧Vr3を発生する。第3の基準電圧Vr3は、電池ブロックBNの出力電圧8Vを入力した分圧回路DNが出力する電圧に等しい。実施形態8において、Vr1>Vr2>Vr3である。
スイッチS1Nは、制御部150からの2ビットの制御信号によって接点a、b、cのいずれかに切り換えられ、基準電圧源AN1、AN2又はAN3が出力する基準電圧を選択的にコンパレータCNの反転入力端子に入力する。コンパレータCNは差動回路で構成され、電池ブロックBNの電圧で駆動される。コンパレータCNの非反転入力端子には分圧回路DNの出力電圧VbNが与えられる。フォトカプラPNの入力発光ダイオードのアノードは電池ブロックBNの正極端子に接続され、カソードはコンパレータCNの出力端子に接続される。
異常電圧検出部1301〜130(N−1)は、異常電圧検出部130Nと同様の構成を有する。基準電圧源A11〜AN1はそれぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧(10V)を入力した分圧回路D1〜DNの出力電圧Vb1〜VbNと等しい電圧である第1の基準電圧Vr1を発生する。基準電圧源A12〜AN2はそれぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧(8V)を入力した分圧回路D1〜DNの出力電圧Vb1〜VbNと等しい電圧である第2の基準電圧Vr2を発生する。基準電圧源A13〜AN3はそれぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧(6V)を入力した分圧回路D1〜DNの出力電圧Vb1〜VbNと等しい電圧である第3の基準電圧Vr3を発生する。分圧回路D1〜DNは全て同じ分圧比を有する。コンパレータC1〜CN、基準電圧源A11〜AN1、A12〜AN2、A13〜AN3、スイッチS11〜S1Nはそれぞれ対応する電池ブロックB1〜BNの電圧で駆動される。
スイッチS11〜S1Nは、制御部150からの2ビットの制御信号によって同時に切り換えられる。すべてのコンパレータC1〜CNの反転入力端子に、第1の基準電圧Vr1、第2の基準電圧Vr2又は第3の基準電圧Vr3が、同じタイミングで与えられる。コンパレータC1〜CNはそれぞれ、分圧回路D1〜DNの出力電圧がスイッチS11〜S1Nによって選択されている基準電圧源が発生する電圧を下回った場合はローレベルの異常検出信号d1〜dNをそれぞれ発生してフォトカプラP1〜PNにそれぞれ出力し、その逆の場合はハイレベルの異常検出信号d1〜dNをそれぞれ発生してフォトカプラP1〜PNにそれぞれ出力する。
異常電圧検出装置1300は、実施形態1に係る異常電圧装置100と同様に、各異常検出信号d1〜dNを論理和演算し、論理和信号dsを発生する。論理和信号dsは通常はハイレベルであり、少なくとも1つの電池ブロックの電圧が、スイッチS11〜S1Nによって選択されている基準電圧源が発生する電圧を下回った電圧異常の状態ではローレベルとなる信号である。
図18及び図19を参照して、異常検出の方法を説明する。図18及び図19は、本発明の実施形態8に係る組電池のための異常電圧検出装置1300が行う異常検出の方法を示すフローチャートである。図18及び図19は、図3及び図4のS8及びS13を、S8a及びS13aにそれぞれ置き換えたものである。それ以外の点において実施形態8に係る異常電圧検出装置1300が行う異常検出の方法は、実施形態1に係る異常電圧検出装置100が行う異常検出の方法と同一である。以下、実施形態8に係る異常電圧検出装置1300が行う異常検出の方法のうち、実施形態1に係る異常電圧検出装置100が行う異常検出の方法と異なる箇所だけを説明する。
ステップS2において計算される時間的割合TR1は、時間期間T1に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第1の基準電圧Vr1より低い電圧異常の状態である時間期間の割合と等価である。ステップS3で制御部150は、組電池10が電圧異常の状態であるか否かを、TR1が所定値Nth1以上か否かによって判断する。
ステップS5において計算される時間的割合TR2aは、時間期間T2/2に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第1の基準電圧Vr1より低い電圧異常の状態である時間期間の割合と等価である。ステップS5において計算される時間的割合TR2bは、時間期間T2/2に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第2の基準電圧Vr2より低い電圧異常の状態である時間期間の割合と等価である。ステップS6及びステップS7において制御部150は、各電池測定電圧Vb1〜VbNを第1の基準電圧Vr1と比較して組電池10の電圧異常を検出したときに、第1の基準電圧Vr1よりも低い第2の基準電圧Vr2と比較して組電池10の電圧異常を検出している。
制御部150は、ステップS8a(図18)において組電池10に対する充電電力を増加させる制御を行う。具体的には、インバータ12を、モータジェネレータ13が電動機として機能するように制御し、発生した電力で組電池10を充電するように制御する。更に、表示部152は、例えば黄色のランプを点灯し、組電池10がかなり放電していることを表示する。
ステップS10において計算される時間的割合TR3bは、時間期間T3/2に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第2の基準電圧Vr2より低い時間期間の割合と等価である。時間的割合TR3cは、時間期間T3/2に対する、少なくとも一つの電池ブロックの電池測定電圧が第3の基準電圧Vr3より低い時間期間の割合と等価である。ステップS11及びステップS12において制御部150は、各電池測定電圧Vb1〜VbNを第2の基準電圧Vr2と比較して組電池10の電圧異常を検出したときに、第2の基準電圧Vr2よりも低い第3の基準電圧Vr3と比較して組電池10の電圧異常を検出している。
ステップS13a(図19)でリレー駆動部153は、リレー11をオフし、組電池10からモータジェネレータ13への電力供給を絶つ。更に表示部152は、例えば、赤色のランプを点灯し、組電池10が過放電状態であることを表示する。
実施形態8に係る組電池のための異常電圧検出装置1300は、各電池ブロックB1〜BNの電圧を分圧回路D1〜DNでそれぞれ分圧して降下した電圧Vb1〜VbNを、3つの基準電圧Vr1、Vr2、Vr3とそれぞれ比較し、各電池ブロックB1〜BNが電圧異常であるか否かを検出し、その検出結果の情報を含む異常検出信号d1〜dNをそれぞれ発生する。そして、各基準電圧Vr1、Vr2、Vr3において、異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsに基づいて、所定の時間期間に対する、組電池10が電圧異常の状態である時間的割合を算出し、その時間的割合に基づいて組電池10の電圧異常を検出する。異常電圧検出装置1300は、各基準電圧Vr1、Vr2、Vr3において、組電池10の電圧異常を検出しそれぞれの電圧でユーザに組電池10の状態を表示する。異常電圧検出装置1300は、基準電圧を変化させて段階的に電圧異常を検出することにより、組電池10の電圧異常の検出精度を向上させることができる。
上記の実施形態において、制御部は、各異常電圧検出部が出力する異常検出信号d1〜dNの論理和信号dsを1個の入力端子から入力した。これに代えて、制御部は、各異常電圧検出部が出力する異常検出信号d1〜dNをそれぞれ別個の入力端子から入力しても良い。
上記の実施形態において、pnpトランジスタ及びnpnトランジスタに代えて、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ及びNチャネル型MOS電界効果トランジスタを用いても良い。
上記の実施形態において、基準電圧源はツェナーダイオードで構成された。これに代え、基準電圧発生源をバンドギャップリファレンス回路を用いて構成しても良い。これにより、基準電圧源における消費電力を減らすことができる。
上記の実施形態において、入力端子と出力端子とが互いに電気的に絶縁され信号を伝達する伝達素子としてフォトカプラを使用したが、その他の伝達素子であっても良い。例えば磁気を発生する回路と磁気検知素子との組み合わせ、1次巻線と2次巻線とが互いに電気的に絶縁されたトランス(トランスは直流成分を伝達できないので、例えば本来のデータと相補データとをシリーズに送る等の方法を用いる。)等を用いることができる。本発明の異常電圧検出装置が電動車両に搭載される場合、好ましくは磁気等の外乱の影響を受けないフォトカプラを使用する。さらに好ましくは、発光ダイオードとフォトトランジスタとが別個のパッケージに収納された(一体化していない)フォトカプラを使用する。
組電池10の各セルb1〜bMを、ニッケル−水素電池以外の充放電可能な二次電池としても良い。例えば、組電池10を、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池又はリチウムイオン二次電池のセルから構成しても良い。
上記の実施形態の組電池のための異常電圧検出装置は電動車両に搭載されたが、電動車両以外の、組電池を電源として駆動する装置に搭載されても良い。
組電池の電圧異常状態の具体的内容は、電圧によって検知されるものであれば、任意である。典型的には、電池ブロックの過充電又は過放電である。電池の故障や劣化モードとしては、寿命やセルケースの欠損による内部抵抗上昇、セル短絡等も考えられるが、いずれも正常のセルより電圧が高く若しくは低くなることから、過充電若しくは過放電と同じ電圧挙動として検出可能である。