JP2006057139A - 被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄 - Google Patents

被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄 Download PDF

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Abstract

【課題】被削性と機械的性質との両機能を満足させることの可能な被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄を提供する。
【解決手段】球状黒鉛鋳鉄は、質量比で、C:3.0〜4.2%、Si:2.0〜3.5%、Mn:0.51〜1.00%、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Mg:0.02〜0.06%、Cu:0.2〜1.5%、Ni:0.4〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるものである。この球状黒鉛鋳鉄は、鋳放しで、疲労強度300MPa以上、引張強さ700MPa以上、耐力400MPa以上、伸び7%以上の優れた機械的性質と、良好な被削性とを発揮することが可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄に関するものである。
従来、球状黒鉛鋳鉄として、特許文献1に記載されたものが知られている。この球状黒鉛鋳鉄は、質量比で、C:3.2〜3.8%、Si:2.0〜2.8%、Mn:0.3%以下、Mg:0.02〜0.06%、Sn:0.03〜0.08%、Cu:0.5〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるものである(特許文献1の請求項1参照)。また、この球状黒鉛鋳鉄に対し、質量比で、Ni:0.5〜2.0%を含有させたものも知られている(特許文献1の請求項2参照)。これらの球状黒鉛鋳鉄は、基地組織が主にパーライトとなっているため、鋳放しで高い疲労強度が発揮されるようになっている。
特開2003−221638号公報(請求項1及び請求項2)
しかしながら、上述した従来技術に係る球状黒鉛鋳鉄では、鋳放しで高い疲労強度が発揮されるものの、被削性は十分でなく、しかもSnが0.03〜0.08質量%含有されているため、粒界に偏析が生じて球状黒鉛鋳鉄の被削性を更に悪化させてしまうおそれがあった。また、球状黒鉛鋳鉄中のMnの含有量が0.3質量%以下では、球状黒鉛鋳鉄からなる鋳物(製品など)の肉厚差に起因して組織のバラツキが大きくなるため、所望とする機械的性質が発揮されないおそれもあった。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被削性と機械的性質との両機能を満足させることの可能な被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、球状黒鉛鋳鉄用溶湯に対し、Snを含有しないようにすると共に、Mnを積極的に含有させるだけでなくCu及びNiも含有させて、球状黒鉛鋳鉄中のFe、C、Si、Mn、P、S、Mg、Cu及びNiの含有量を所定量となるように調製することで、球状黒鉛鋳鉄が優れた被削性及び機械的性質を発揮できるということを見出し、本発明を完成するに至った。なお、一般に、球状黒鉛鋳鉄における機械的性質の強度が高い場合には、切削加工時の被削性が悪化して加工コストが増大するという問題があるが、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、その問題を解消し、球状黒鉛鋳鉄の高強度化とその高強度化に相反する被削性とを両立して被削性及び機械的性質の両機能を十分に発揮できるという点で、本発明の技術的意義は大きい。
本発明の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄は、質量比で、C:3.0〜4.2%、Si:2.0〜3.5%、Mn:0.51〜1.00%、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Mg:0.02〜0.06%、Cu:0.2〜1.5%、Ni:0.4〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることをその要旨としている(請求項1)。
ここで、Cは、組織中に黒鉛及び炭化物を生成するための元素である。Cの含有量を3.0〜4.2質量%に設定したのは、3.0質量%未満の場合、鋳造性が悪化して、湯廻り不良、引け巣又は黒鉛球状化不良などの鋳造欠陥が発生し易くなるからであり、4.2質量%を超える場合、粗大な初晶黒鉛が晶出してカーボンドロスが発生し易くなるからである。
また、Siは、黒鉛の晶出を容易にし、鋳造性を良好にするための元素である。Siの含有量を2.0〜3.5質量%に設定したのは、2.0質量%未満の場合、黒鉛化が不十分となってチルが晶出し易くなり被削性に悪影響を及ぼすだけでなく、鋳造性も悪化してしまうからであり、3.5質量%を超える場合、黒鉛の晶出量が過多となると共に、フェライト化が促進されることで所望とする強度が得られなくなるおそれがある。Siの含有
量が多い(高Si)と、靭性が悪化するおそれもある。
Mnは、基地組織中のパーライトを安定させ、引張強さ、耐力及び疲労強度を向上させるのに必要な元素である。Mnの含有量を0.51〜1.00質量%に設定したのは、0.51質量%未満の場合、基地組織中の偏析が十分でないため所望とする疲労強度を確保することが困難であり、肉厚感度が敏感なため所望とする引張強さが得られないおそれがあり、1.00質量%を超える場合、被削性に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。Mnの含有量は、0.55〜0.90質量%であることが好ましく、0.57〜0.80質量%であることがより好ましい。
更に、Pの含有量を0.1質量%以下に設定したのは、0.1質量%を超えると、鋳造性が悪化して鋳造欠陥が発生したり、チルが晶出して被削性に悪影響を及ぼしたりしてしまうからである。Sの含有量を0.02質量%以下に設定したのは、0.02質量%を超えると、黒鉛の球状化が悪化するからである。Mgの含有量を0.02〜0.06質量%に設定したのは、0.02質量%未満の場合、黒鉛球状化不良が発生してしまうおそれがあり、0.06質量%を超える場合、チルが晶出して被削性に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
Cuは、基地組織中のパーライトを安定させ、引張強さを高めるのに必要な元素である。Cuの含有量を0.2〜1.5質量%に設定したのは、0.2質量%未満の場合、引張強さを高める効果が低いからであり、1.5質量%を超える場合、引張強さを高める効果が頭打ちとなると共に経済的でないからである。Cuの含有量は、0.25〜0.95質量%であることが好ましく、0.29〜0.85質量%であることがより好ましい。
Niは、基地組織を強化すると共に、被削性を向上させるのに必要な元素である。Niの含有量が0.4質量%未満の場合では、基地組織強化及び被削性向上の効果を期待できない。また、Niの含有量が3質量%までは、強度向上及び被削性向上の効果が得られるものの、Niの含有量が多くなるのに伴い、肉厚感度が敏感になって材質が不安定になってしまう。更に、Niの含有量が1.5質量%を超える場合では、疲労強度を向上させる効果が少ないと共に、経済的ではない。従って、Niの含有量を0.4〜1.5質量%に設定した。Niの含有量は、0.5〜1.3質量%であることが好ましく、0.55〜0.95質量%であることがより好ましい。
また、本発明の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄は、鋳放しで、疲労強度が300MPa以上であることが好ましい(請求項2)。更に、本発明の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄は、鋳放しで、引張強さが650MPa以上であることが好ましい(請求項3)。加えて、本発明の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄は、鋳放しで、耐力が400MPa以上であることが好ましい(請求項4)。併せて、本発明の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄は、鋳放しで、伸びが7%以上であることが好ましい(請求項5)。
本発明によれば、球状黒鉛鋳鉄は、質量比で、C:3.0〜4.2%、Si:2.0〜3.5%、Mn:0.51〜1.00%、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Mg:0.02〜0.06%、Cu:0.2〜1.5%、Ni:0.4〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなるから、球状黒鉛鋳鉄の被削性の向上が図られると共に、球状黒鉛鋳鉄の優れた機械的性質(例えば、疲労強度、引張強さ、耐力、伸び、靭性など)が発揮される。すなわち、本発明の球状黒鉛鋳鉄を例えば切削加工等した場合には、切削工具等の刃(刃部)の摩耗量が抑制され、本発明の球状黒鉛鋳鉄を例えば製品として使用した場合には、製品の必要とされる機械的性質を十分に発揮することが可能となる。
本発明の球状黒鉛鋳鉄によれば、優れた被削性と高い機械的性質との両機能を発揮することができる。本発明の球状黒鉛鋳鉄は、優れた被削性を有しているため、切削加工具の刃の摩耗量を抑制でき、ひいては切削加工コストの増大を抑制できる。また、本発明によれば、球状黒鉛鋳鉄中のMnの含有量を0.51〜1.00質量%に設定したため、この球状黒鉛鋳鉄からなる鋳物(製品など)の肉厚差に起因した組織のバラツキを小さくする
ことができる。このように肉厚差に起因した組織のバラツキを小さくすることで、本発明の球状黒鉛鋳鉄は優れた機械的性質を発揮することが可能となり、高強度化が要求される製品(例えば自動車部品など)として好適に用いることができる。
本発明の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄質量は、鉄(Fe)を主成分として、3.0〜4.2質量%の炭素(C)、2.0〜3.5質量%のケイ素(Si)、0.51〜1.00質量%のマンガン(Mn)、0.1質量%以下のリン(P)、0.02質量%以下の硫黄(S)、0.02〜0.06質量%のマグネシウム(Mg)、0.2〜1.5質量%の銅(Cu)、0.4〜1.5質量%のニッケル(Ni)と、不可避的不純物とを含有している必要がある。
この球状黒鉛鋳鉄は、その基地組織が主にパーライトとなっており、鋳鉄中の黒鉛形状は球状をなしている。球状黒鉛鋳鉄の基地組織を占めるパーライトの割合としては、60〜100%を例示することができる。このように球状黒鉛鋳鉄における基地組織のパーライトの割合が60〜100%の範囲内にあると、球状黒鉛鋳鉄は、所望とする強度を発揮することが可能となる。また、球状黒鉛鋳鉄中の黒鉛粒径が細かいと球状黒鉛鋳鉄の疲労強度を向上させることが可能であり、球状黒鉛鋳鉄中の黒鉛粒数が多いと被削性を向上させることが可能である。このような場合、黒鉛粒径としては、30μm以下を例示でき、黒鉛粒数としては、50個/mm2以上を例示できる。
本発明に係る被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄は、鋳放しで、疲労強度が300MPa以上であることが好ましく、引張強さが650MPa以上であることが好ましく、耐力が400MPa以上であることが好ましく、伸びが7%以上であることが好ましい。従って、この球状黒鉛鋳鉄において、機械的性質の疲労強度、引張強さ、耐力及び伸びの好ましい各条件を全て満たすこと、すなわち、鋳放しで、疲労強度が300MPa以上、引張強さが650MPa以上、耐力が400MPa以上、伸びが7%以上であることは、より好ましい。
疲労強度の実用上の上限値は、330MPaであり、引張強さの実用上の上限値は、900MPaであり、耐力の実用上の上限値は、550MPaであり、伸びの実用上の上限値は、15%である。従って、疲労強度は300〜330MPaであることがより好ましく、引張強さは650〜900MPaであることがより好ましく、耐力は400〜550MPaであることがより好ましく、伸びは7〜15%であることがより好ましい。なお、本明細書及び特許請求の範囲での「疲労強度」とは、金属材料の回転曲げ疲れ試験方法(JIS Z 2274)に準じた球状黒鉛鋳鉄の回転曲げ疲れ試験において、球状黒鉛鋳鉄の繰返し数が10回における繰返し応力のことをいう。また、本明細書及び特許請求の範囲での「耐力」とは、応力−ひずみ線図からオフセット法を用いると共に、永久伸びの値を0.2%に規定して求めた0.2%耐力のことをいう。
上述した被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄の製造方法は、一例として、まず、少なくとも鉄、炭素、ケイ素、マンガン、リン及び硫黄を含有した溶融金属(溶湯)に対して、マグネシウム等を含有した球状化剤を添加すると共に、銅、ニッケル及び新たなマンガンを複合添加する。そして、これらの添加により、溶融金属中の鉄、炭素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄、マグネシウム、銅、ニッケル及び不可避的不純物を前記所定含有量となるように調製し、次いで調製された溶融金属を鋳型に注湯して鋳造することにより球状黒鉛鋳鉄を製造する。
以下、本発明を具体化した実施例1〜3、及び、比較例1〜3について説明する。
まず、実施例1では、球状黒鉛鋳鉄用溶融金属(溶湯)として、鉄を主成分とすると共に、表1に示す成分組成となるように調製されたものを用意した。なお、表1においては、Fe及び不可避的不純物の成分組成(質量%)を省略してある。そして、この調製された溶湯を1インチYブロック形状のキャビティを有する砂型に注湯(注湯温度:1360〜1420℃)して鋳造した。鋳造後、砂型から1インチブロック形状の供試材を取り出し、この供試材からJIS1号試験片(d=12mm、R=36mm、L〔平行部〕=50mm、D=15mm)を切り出し加工した。最後に、この試験片を用い、回転曲げ疲れ試験方法(JIS Z 2274)に準じて試験を行うことにより、試験片(実施例1)の疲労強度(繰返し数が10回における繰返し応力)を求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、実施例1の疲労強度は、305MPaであった。
Figure 2006057139
Figure 2006057139
また、上記のように調製された溶湯を1インチYブロック形状のキャビティを有する砂型に注湯(注湯温度:1360〜1420℃)して鋳造した後、砂型から1インチブロック形状の供試材を取り出し、この供試材からJIS4号試験片(D=14mm、R=15mm、L〔標点距離〕=50mm、P〔平行部〕=60mm)を切り出し加工した。次に、この試験片を用いて、金属材料引張試験方法(JIS Z 2201−1980)に準じて試験を行うと共に、オートグラフ測定機(島津製作所製)に応力−ひずみ線図を描かせ、その応力−ひずみ線図から引張強さ(最大応力)、耐力(0.2%耐力)及び伸び(破断伸び)を各々求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、実施例1において、引張強さは679MPa、耐力は401MPa、伸びは12.9%であった。
更に、上記のように調製された溶湯を砂型内へ注湯(注湯温度:1360〜1420℃)して鋳造することにより、外径145mm、内径100mm、長さ300mmの円筒状のテストピースを得た。そして、このテストピースに対し、被削性評価試験を行った。被削性評価試験においては、超硬コーティングが施されたサンドビック製の刃部を備えた切削工具を用いて、切削速度150m/min、送り量0.4mm/rev、切込量0.5mmとなるように設定し、テストピースの外周面における9点の切削加工距離(1021m、2013m、2976m、3911m、4817m、5695m、6543m、7363m、8155m)まで切削した。そして、各9点における切削工具の刃部の摩耗量をそれぞれ測定した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、被削性評価試験における実施例1の試験結果は、切削加工距離1021mでは刃部摩耗量が0.048mm、切削加工距離2013mでは刃部摩耗量が0.063mm、切削加工距離2976mでは刃部摩耗量が0.071mm、切削加工距離3911mでは刃部摩耗量が0.079mm、切削加工距離4817mでは刃部摩耗量が0.095mm、切削加工距離5695mでは刃部摩耗量が0.111mm、切削加工距離6543mでは刃部摩耗量が0.119mm、切削加工距離7363mでは刃部摩耗量が0.125mm、切削加工距離8155mでは刃部摩耗量が0.132mmであった。
実施例2でも、球状黒鉛鋳鉄用溶融金属(溶湯)として、鉄を主成分とすると共に、表1に示す成分組成となるように調製されたものを用意した。そして、実施例1の場合と同様にして、試験片(実施例2)を作製し、実施例2の試験片の疲労強度を求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、実施例2の疲労強度は、306MPaであった。また、実施例1の場合と同様にして、実施例2の試験片の引張強さ(最大応力)、耐力(0.2%耐力)及び伸び(破断伸び)を各々求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、実施例2において、引張強さは736MPa、耐力は429MPa、伸びは10.1%であった。
更に、実施例2についても、実施例1と同様の条件にて被削性評価試験を行った。その結果を図1に示す。図1に示すように、被削性評価試験における実施例2の試験結果は、切削加工距離1021mでは刃部摩耗量が0.079mm、切削加工距離2013mでは刃部摩耗量が0.111mm、切削加工距離2976mでは刃部摩耗量が0.135mm、切削加工距離3911mでは刃部摩耗量が0.143mm、切削加工距離4817mでは刃部摩耗量が0.159mm、切削加工距離5695mでは刃部摩耗量が0.167mm、切削加工距離6543mでは刃部摩耗量が0.173mm、切削加工距離7363mでは刃部摩耗量が0.183mm、切削加工距離8155mでは刃部摩耗量が0.198mmであった。
実施例3でも、球状黒鉛鋳鉄用溶融金属(溶湯)として、鉄を主成分とすると共に、表1に示す成分組成となるように調製されたものを用意した。そして、実施例1の場合と同様にして、試験片(実施例3)を作製し、実施例3の試験片の疲労強度を求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、実施例3の疲労強度は、310MPaであった。また、実施例1の場合と同様にして、実施例3の試験片の引張強さ(最大応力)、耐力(0.2%耐力)及び伸び(破断伸び)を各々求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、実施例3において、引張強さは844MPa、耐力は503MPa、伸びは7.1%であった。
更に、実施例3についても、実施例1と同様の条件にて被削性評価試験を行った。その
結果を図1に示す。図1に示すように、被削性評価試験における実施例3の試験結果は、切削加工距離1021mでは刃部摩耗量が0.065mm、切削加工距離2013mでは刃部摩耗量が0.089mm、切削加工距離2976mでは刃部摩耗量が0.097mm、切削加工距離3911mでは刃部摩耗量が0.105mm、切削加工距離4817mでは刃部摩耗量が0.121mm、切削加工距離5695mでは刃部摩耗量が0.137mm、切削加工距離6543mでは刃部摩耗量が0.161mm、切削加工距離7363mでは刃部摩耗量が0.226mm、切削加工距離8155mでは刃部摩耗量が0.306mmであった。
(比較例1)
比較例1でも、球状黒鉛鋳鉄用溶融金属(溶湯)として、鉄を主成分とすると共に、表1に示す成分組成となるように調製されたものを用意した。そして、実施例1の場合と同様にして、試験片(比較例1)を作製し、比較例1の試験片の疲労強度を求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、比較例1の疲労強度は、238MPaであった。また、実施例1の場合と同様にして、比較例1の試験片の引張強さ(最大応力)、耐力(0.2%耐力)及び伸び(破断伸び)を各々求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、比較例1において、引張強さは477MPa、耐力は333MPa、伸びは22.3%であった。
更に、比較例1についても、実施例1と同様の条件にて被削性評価試験を行った。その結果を図1に示す。図1に示すように、被削性評価試験における比較例1の試験結果は、切削加工距離1021mでは刃部摩耗量が0.040mm、切削加工距離2013mでは刃部摩耗量が0.081mm、切削加工距離2976mでは刃部摩耗量が0.081mm、切削加工距離3911mでは刃部摩耗量が0.089mm、切削加工距離4817mでは刃部摩耗量が0.097mm、切削加工距離5695mでは刃部摩耗量が0.105mm、切削加工距離6543mでは刃部摩耗量が0.105mm、切削加工距離7363mでは刃部摩耗量が0.113mm、切削加工距離8155mでは刃部摩耗量が0.113mmであった。
(比較例2)
比較例2でも、球状黒鉛鋳鉄用溶融金属(溶湯)として、鉄を主成分とすると共に、表1に示す成分組成となるように調製されたものを用意した。そして、実施例1の場合と同様にして、試験片(比較例2)を作製し、比較例2の試験片の疲労強度を求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、比較例2の疲労強度は、275MPaであった。また、実施例1の場合と同様にして、比較例2の試験片の引張強さ(最大応力)、耐力(0.2%耐力)及び伸び(破断伸び)を各々求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、比較例2において、引張強さは659MPa、耐力は458MPa、伸びは3.7%であった。
更に、比較例2についても、実施例1と同様の条件にて被削性評価試験を行った。その結果を図1に示す。図1に示すように、被削性評価試験における比較例2の試験結果は、切削加工距離1021mでは刃部摩耗量が0.081mm、切削加工距離2013mでは刃部摩耗量が0.113mm、切削加工距離2976mでは刃部摩耗量が0.121mm、切削加工距離3911mでは刃部摩耗量が0.137mm、切削加工距離4817mでは刃部摩耗量が0.137mm、切削加工距離5695mでは刃部摩耗量が0.161mm、切削加工距離6543mでは刃部摩耗量が0.234mm、切削加工距離7363mでは刃部摩耗量が0.306mm、切削加工距離8155mでは刃部摩耗量が0.395mmであった。
(比較例3)
比較例3でも、球状黒鉛鋳鉄用溶融金属(溶湯)として、鉄を主成分とすると共に、表1に示す成分組成となるように調製されたものを用意した。そして、実施例1の場合と同様にして、試験片(比較例3)を作製し、比較例3の試験片の疲労強度を求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、比較例3の疲労強度は、302MPaであった。また、実施例1の場合と同様にして、比較例3の試験片の引張強さ(最大応力)、耐力(
0.2%耐力)及び伸び(破断伸び)を各々求めた。その結果を表2に示す。表2に示したように、比較例3において、引張強さは745MPa、耐力は448MPa、伸びは6.9%であった。
更に、比較例3についても、実施例1と同様の条件にて被削性評価試験を行った。その結果を図1に示す。図1に示すように、被削性評価試験における比較例3の試験結果は、切削加工距離1021mでは刃部摩耗量が0.097mm、切削加工距離2013mでは刃部摩耗量が0.097mm、切削加工距離2976mでは刃部摩耗量が0.121mm、切削加工距離3911mでは刃部摩耗量が0.153mm、切削加工距離4817mでは刃部摩耗量が0.298mm、切削加工距離5695mでは刃部摩耗量が0.347mm、切削加工距離6543mでは刃部摩耗量が0.403mm、切削加工距離7363mでは刃部摩耗量が0.484mm、切削加工距離8155mでは刃部摩耗量が0.669mmであった。
表2の試験結果から、疲労強度については、実施例1〜3の全ての疲労強度が300MPa以上(実施例1では305MPa、実施例2では306MPa、実施例3では310MPa)を満たしているものの、比較例のうち比較例1及び2が疲労強度300MPa以上を満たしていないことがわかる。また、引張強さについては、表2から理解できるように、実施例1〜3の全ての引張強さが650MPa以上(実施例1では679MPa、実施例2では736MPa、実施例3では844MPa)を満たしているものの、比較例のうち比較例1だけが引張強さ650MPa以上を満たしていないことがわかる。更に、耐力については、表2から理解できるように、実施例1〜3の全ての耐力が400MPa以上(実施例1では401MPa、実施例2では429MPa、実施例3では503MPa)を満たしているものの、比較例のうち比較例1だけが耐力400MPa以上を満たしていないことがわかる。加えて、伸びについては、表2から理解できるように、実施例1〜3の全ての伸びが7%以上(実施例1では12.9%、実施例2では10.1%、実施例3では7.1%)を満たしているものの、比較例のうち比較例2及び3が伸び7%以上を満たしていないことがわかる。従って、実施例1〜3については、機械的性質の疲労強度300MPa以上、引張強さ650MPa以上、耐力400MPa以上、伸び7%以上という全ての条件をそれぞれ満足していることを確認できた。
一方、被削性評価試験の図1の試験結果から、実施例1,2,3と比較例2,3とを比較した場合、切削加工距離6543m、7363m、8155mにおいて、実施例1〜3の方が切削工具の刃部摩耗量が少ないことがわかる。このことから、実施例1〜3の球状黒鉛鋳鉄の被削性は十分に優れていると言える。なお、比較例1の被削性は、実施例1の被削性と略同等で優れているが、比較例1の機械的性質(疲労強度、引張強さ及び耐力)は十分でない(表2参照)。また、比較例3の被削性について言及すれば、切削加工距離が3911mを超えると切削工具の刃部磨耗量が急激に増大し、それ以降の切削加工距離が長くなるのに伴って刃部磨耗量の増大は顕著なものとなる。
以上のことから、実施例1〜3の球状黒鉛鋳鉄は、被削性及び機械的性質に優れていることを確認できた。また、比較例1の球状黒鉛鋳鉄は、被削性に優れているものの、機械的性質(疲労強度、引張強さ及び耐力)が不十分であり、比較例2の球状黒鉛鋳鉄は、被削性及び機械的性質(疲労強度及び伸び)が共に不十分であり、比較例3の球状黒鉛鋳鉄は、機械的性質(伸びだけが不十分)に比較的優れているものの、被削性が極めて悪いということも確認できた。
実施例1〜3及び比較例1〜3の被削性評価試験において、切削加工距離(m)に対する刀部摩耗量(mm)の関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 質量比で、C:3.0〜4.2%、Si:2.0〜3.5%、Mn:0.51〜1.00%、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Mg:0.02〜0.06%、Cu:0.2〜1.5%、Ni:0.4〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄。
  2. 鋳放しで、疲労強度が300MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄。
  3. 鋳放しで、引張強さが650MPa以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄。
  4. 鋳放しで、耐力が400MPa以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄。
  5. 鋳放しで、伸びが7%以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の被削性及び機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄。
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