JP2006316341A - 鋳造用アルミニウム合金および同アルミニウム合金鋳物 - Google Patents

鋳造用アルミニウム合金および同アルミニウム合金鋳物 Download PDF

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Abstract

【課題】 鋳造時におけるアルミニウム合金と金型との焼付きを防止できると共に、優れた耐力と伸びとを有する鋳造用アルミニウム合金と、当該合金で鋳造された靱性の高いアルミニウム合金鋳物とを提供する。
【解決手段】 Si:6.0〜11.0重量%,Mg:0.1〜0.5重量%,Cr:0.1〜0.5重量%を含有し、残部がAl及びFeを0.42重量%以下に抑えた不可避不純物からなることを特徴とする鋳造用アルミニウム合金。このように焼付き防止材として所定量のCrを用いることで鋳造性、耐力および伸びに優れたアルミニウム合金を得ることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、成形性と機械的特性とに優れた鋳造用アルミニウム合金および当該合金を利用したアルミニウム合金鋳物に関する。
アルミニウム合金は、軽量であると共に、優れた熱伝導性および高い耐蝕性などの諸特性から、自動車や産業機械、航空機、家庭電化製品その他各種分野において、その構成部品素材として広く使用されている。このうち特に自動車の分野においては、環境問題への対応など(具体的には、車体の軽量化による燃費の向上等)からアルミニウム合金の採用意欲が旺盛であり、このようなニーズに応えるべく様々な技術が開発されている。その一例として、9.5〜11.5重量%のSi,0.1〜0.5重量%のMg,0.5〜0.8重量%のMn,最大0.15重量%のFe,最大0.03重量%のCu,最大0.15重量%のTi,30〜300ppmのSrおよび残部がAlで構成されたダイカスト合金が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
かかる合金によれば、必要な機械的特性を有した自動車構成部品(例えば自動車ホイール,足回り部品およびボディ部品など)を成形性よく鋳造することができる。
特許第3255560号公報
しかしながら、自動車構成部品へのアルミニウム合金の採用を更に拡大させるためには、鋳造時の成形性(鋳造性)を低下させることなく機械的特性を更に向上させなければならない。具体的には、自動車の車体には走行中に大きな振動荷重が作用しており、また、衝突時には極めて大きな衝撃が作用する。このような荷重や衝撃に対応するため、自動車構成部品を形成するアルミニウム合金は強度のみならず優れた耐力および伸び(すなわち靱性)を備えていなければならない。また、自動車部品を効率よく経済的に製造するためには鋳造時にアルミニウム合金と金型との焼付きを防止して鋳造性を向上させなければならない。
ここで、上述した従来のアルミニウム合金では、鋳造時の焼付き防止のためにMnを添加しているが、Mnを添加すると合金の伸びを阻害するようになる。このように合金の伸びが低下すると、当該合金によって鋳造された自動車構造部品の靱性が低下し、長期間振動荷重が与えられることや衝突時の衝撃によって当該部品が容易に破損するようになる。なお、かかる現象は部品鋳造時の冷却速度が遅い時あるいは遅い部分で顕著となる。
そこで、部品すなわち鋳造品の伸びを向上させるべくMnの添加量を低減すると、今度は鋳造時にアルミニウム合金と金型との間で焼付きが生じ、成形性が低下するようになる。つまり、従来の技術では、鋳造性を維持しつつ合金の伸びを向上させることができないという問題があった。
それゆえに、この発明の主たる課題は、鋳造時におけるアルミニウム合金と金型との焼付きを防止できると共に、優れた耐力と伸びとを有する鋳造用アルミニウム合金と、当該合金で鋳造された靱性の高いアルミニウム合金鋳物とを提供することである。
請求項1に記載した発明は、「Si:6.0〜11.0重量%,Mg:0.1〜0.5重量%,Cr:0.1〜0.5重量%を含有し、残部がAl及びFeを0.42重量%以下に抑えた不可避不純物からなる」ことを特徴とする鋳造用アルミニウム合金である。
この発明では、Siを6.0〜11.0重量%配合しているので、伸びの低下を抑えつつ、アルミニウム合金溶湯の流動性を向上させることができる。また、Mgを0.1〜0.5重量%配合しているので、伸びの低下を抑えつつ、アルミニウム合金の耐力を向上させることができる。さらに、Mnに替えてCrを0.1〜0.5重量%配合しているので、伸びの低下を抑えつつ、鋳造時におけるアルミニウム合金と金型との焼付きを防止することができる。そして、不可避不純物のうちFeを0.42重量%以下に抑えているので、Al-Si-Feからなる針状晶の晶出に起因するアルミニウム合金の靱性低下を抑えることができる。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の鋳造用アルミニウム合金において、「Na,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種を30〜200ppm添加した」ことを特徴とするものであり、請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の鋳造用アルミニウム合金において、「Sbを0.05〜0.20重量%添加した」ことを特徴とするものである。
これらの発明では、共晶Siの粒子を細かくすることができ、アルミニウム合金の靱性や強度をより一層向上させることができる。
請求項4に記載した発明は、「請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミニウム合金で鋳造された」ことを特徴とするアルミニウム合金鋳物である。
請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミニウム合金で鋳造された鋳物は、鋳造性よく量産できると共に、耐力と伸びとに優れているため、自動車用構造部品など長期間繰返し振動荷重が与えられ、且つ衝突時に衝撃が加わる部材に最適である。
本発明によれば、鋳造時におけるアルミニウム合金と金型との焼付きを防止できると共に、優れた耐力と伸びとを有する鋳造用アルミニウム合金と、当該合金で鋳造された靱性の高いアルミニウム合金鋳物とを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体例を示しながら詳述する。
本発明の鋳造用アルミニウム合金は、主として6.0〜11.0重量%のSi,0.1〜0.5重量%のMg,0.1〜0.5重量%のCrを含有し、残部がAl及びFeを0.42重量%以下に抑えた不可避不純物などによって構成されている。
Siは、アルミニウム合金を溶融して鋳造する際に、その流動性を向上させるためのものである。
アルミニウム合金全体の重量に対するSiの配合割合は、上述したように6.0〜11.0重量%の範囲であることが好ましい。Siの配合割合が6.0重量%未満の場合には、アルミニウム合金の溶融温度および鋳造温度が高くなると共に、アルミニウム合金を溶融した際の流動性が低下するため鋳造時に十分な湯流れ性が確保できず、逆に、Siの配合割合が11.0重量%より多い場合には、アルミニウム合金の溶融時の流動性は十分なものとなるが、伸びが低下するようになるからである。なお、鋳造時における溶湯の流動性を考慮すると、Siの配合割合は10.0〜11.0重量%が最適となる。
Mgは、主としてアルミニウム合金中のAl母材に固溶した状態で存在し、アルミニウム合金に耐力および引張強さを付与するためのものである。
アルミニウム合金全体の重量に対するMgの配合割合は、上述したように0.1〜0.5重量%の範囲であることが好ましい。Mgの配合割合が0.1重量%未満の場合には、耐力および引張強さといった機械的特性の向上が認められず、逆に、Mgの配合割合が0.5重量%より多い場合には、アルミニウム合金の伸びが急激に低下するようになるからである。
Crは、主としてアルミニウム合金が溶融している時には溶融状態で、また、固体の時にはAl相に固溶した状態あるいはAl-Si-Cr相やAl-Si-Cr-Fe相として晶出した状態で存在し、アルミニウム合金鋳造時におけるアルミニウム合金と金型との焼付きを防止するためのものである。
アルミニウム合金全体の重量に対するCrの配合割合は、上述したように0.1〜0.5重量%の範囲であることが好ましい。Crの配合割合が0.1重量%未満の場合には、アルミニウム合金を鋳造する際にアルミニウム合金と金型との間で焼付きが生じるようになり、逆に、Crの配合割合が0.5重量%より多い場合には、鋳造時の焼付きは解消するものの、アルミニウム合金の伸びが低下するようになるからである。
ここで、図1は、Si:10重量%、Mg:0.2重量%および不可避不純物(但しFe:0.08重量%)を含むアルミニウム合金に0〜0.56重量%の範囲でCrを配合して試験合金(4水準)を調製し、この試験合金を重力鋳造にて「舟金型切りだしJIS4号試験片」に成形すると共に、当該試験片(鋳物)をT5処理した後、伸びを測定した結果である(なお、T5処理の詳細および伸びの測定方法については後述する。)。
この図が示すように、溶湯の冷却速度が遅い重力鋳造の場合、Cr配合割合が0.35重量%を超えるとアルミニウム合金の伸びが急激に低下する。しかしながら、溶湯の冷却速度が速い加圧鋳造(ダイカストなど)の場合には、Cr配合割合が0.5重量%以下であれば重力鋳造の場合のように伸びが著しく低下することはなく、0.2%耐力が150MPa以上で且つ伸びが5%以上の鋳物を得ることができる。つまり、焼付き易い条件下でダイカストを行なう際には0.35重量%以上で且つ0.5重量%以下のCrを添加することが、伸びの低下を抑えた有効な焼付き防止対策となる。
本発明のアルミニウム合金には、上述した各成分(Si,Mg,Cr)の他に母材となるAlおよび不可避不純物が含まれているが、特に不可避不純物として含まれるFeの含有量を0.42重量%以下に抑えている。
Feは鋳造時における焼付き防止効果を有することが知られており、一般のダイカスト用アルミニウム合金には0.5重量%以上添加されている。しかしながら、このFeはAl-Si-Feからなる針状晶を晶出し、アルミニウム合金の靱性を低下させる。このため、本発明では、Feによるアルミニウム合金の靱性低下を防止すべく、不可避不純物のFeの含有量を0.42重量%以下に抑える一方、上述したように焼付き防止材としてCrを0.1〜0.5重量%配合し、鋳造時における焼付きの発生を防止している。なお、得られる鋳物の伸びを重視する場合には、Feの含有量を0.15重量%以下とするのが好ましい。
以上の配合割合に従って、Si,MgおよびCrを配合すると共に、不可避不純物中のFeの含有量を調整すると、鋳造時におけるアルミニウム合金と金型との焼付きを防止できると共に、優れた耐力と伸びとを有する鋳造用アルミニウム合金を得ることができる。
なお、上述した各元素成分のほかに、Na,Sr,CaおよびSbから選ばれる少なくとも1種を改良処理材として添加するようにしてもよい。このような改良処理材を添加することによって共晶Siの粒子を細かくすることができ、アルミニウム合金の靱性や強度をより一層向上させることができる。
アルミニウム合金全体の重量に対する改良処理材の添加割合は、当該改良処理材がNa,SrおよびCaの場合には30〜200ppm、Sbの場合には0.05〜0.20重量%の範囲であることが好ましい。改良処理材の添加割合が30ppm(Sbの場合には0.05重量%)未満の場合には、アルミニウム合金中の共晶Siの粒子を微細化するのが困難となり、逆に、改良処理材の添加割合が200ppm(Sbの場合には0.20重量%)より多い場合には、アルミニウム合金中の共晶Siの粒子は十分に微細化されており、これ以上添加量を増やしても添加効果が上がらなくなるからである。
本発明のアルミニウム合金を製造する際には、まず、Al,Si,Mg,Crおよび不可避不純物中のFeの各元素成分が上述した所定の割合となるように配合した原料を準備する。続いて、この原料を前炉付溶解炉や密閉溶解炉などの溶解炉に投入し、これらを溶解させる。溶解させた原料すなわちアルミニウム合金の溶湯は、必要に応じて脱水素処理および脱介在物処理などの精製処理が施される。そして、精製された溶湯を所定の鋳型などに流し込み、固化させることによって、アルミニウム合金の溶湯を合金地金インゴットなどに成形する。
また、本発明のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金鋳物を鋳造する際には、砂型鋳造法,金型鋳造法,低圧鋳造法およびダイカスト法などあらゆる鋳造法を用いることができる。なお、上述したようにCrの配合割合が0.35重量%を超える場合、金型の焼付きを効果的に防止できるが、砂型鋳造法や金型鋳造法などの重力鋳造法では鋳物の伸びが急激に低下する。したがって、かかる場合には、鋳造品を効率よく量産できるダイカスト法を用いるのが好適である。
そして、これらの鋳造法によって得られたアルミニウム合金鋳物は、必要に応じて溶体化処理および時効処理などが施される。このようにアルミニウム合金鋳物に溶体化処理および時効処理などを施すことによってアルミニウム合金鋳物の機械的特性を改良することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における各機械的特性(引張強さ,伸び,0.2%耐力)は(株)島津製作所社製の万能試験機(UMH−10)で測定した。
まず初めに、本発明合金をダイカスト法で鋳造した例について説明する。
[実施例1及び2]
Siの配合割合を10重量%,Mgの配合割合を0.12重量%,Crの配合割合を0.29重量%,Feの存在割合を0.08重量%、そして残部をAlとすることによって、本発明におけるアルミニウム合金の元素組成の範囲内となるように配合した溶湯を調製した。続いて、この溶湯を真空ダイカストではなく、通常のダイカストマシンにて射出速度5m/秒(ゲート速度100m/秒)でダイカスト鋳造し、ASTM(American Society for Testing and Material)規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、作製した丸棒試験片をT5処理して機械的特性測定用のサンプルとした。得られたサンプルの機械的特性を表1に示す。
なお、T5処理とは、溶体化処理は行なわずに鋳造温度から急冷し、機械的特性の改善あるいは寸法安定化のために、その後人工時効処理する熱処理方法である。具体的な熱処理条件(人工時効処理)として、実施例1については160℃で5時間加熱した後に空冷し、実施例2については170℃で3時間加熱した後に空冷した。
[実施例3及び4]
Mgの配合割合を0.21重量%,Crの配合割合を0.32重量%とした以外は、実施例1と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。なお、具体的な熱処理条件(人工時効処理)として、実施例3については170℃で3時間加熱した後に空冷し、実施例4については150℃で5時間加熱した後に空冷した。得られたサンプルの機械的特性を表1に示す。
[実施例5]
Siの配合割合を10重量%,Mgの配合割合を0.21重量%,Crの配合割合を0.32重量%,Feの存在割合を0.08重量%、そして残部をAlとすることによって、本発明におけるアルミニウム合金の元素組成の範囲内となるように配合した溶湯を調製した。続いて、この溶湯を真空ダイカストではなく、通常のダイカストマシンにて射出速度5m/秒(ゲート速度100m/秒)でダイカスト鋳造し、ASTM規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、作製した丸棒試験片をT6処理して機械的特性測定用のサンプルとした。得られたサンプルの機械的特性を表1に示す。
なお、T6処理とは、溶体化処理を行った後、再加熱して人工時効処理する熱処理方法である。具体的には、490℃で3時間加熱した後に水冷(溶体化処理)し、さらに170℃で4時間加熱した後に空冷(人工時効処理)した。
[実施例6及び7]
Mgの配合割合を0.42重量%とした以外は、実施例5と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。なお、具体的な熱処理方法として、実施例6では480℃で6時間加熱した後に水冷(溶体化処理)し、さらに160℃で4時間加熱した後に空冷(人工時効処理)した。また、実施例7では490℃で3時間加熱した後に水冷(溶体化処理)し、さらに170℃で2時間加熱した後に空冷(人工時効処理)した。得られたサンプルの機械的特性を表1に示す。
[比較例1及び2]
Siの配合割合を9.93重量%,Mgの配合割合を0.11重量%,Mnの配合割合を0.60重量%,Feの存在割合を0.08重量%、そして残部がAlとなるように配合した溶湯を調製した。続いて、この溶湯を真空ダイカストではなく、通常のダイカストマシンにて射出速度5m/秒(ゲート速度100m/秒)でダイカスト鋳造してASTM規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、作製した丸棒試験片をT5処理して機械的特性測定用のサンプルとした。なお、具体的な熱処理条件(人工時効処理)として、比較例1については160℃で5時間加熱した後に空冷し、比較例2については170℃で3時間加熱した後に空冷した。得られたサンプルの機械的特性を表2に示す。
[比較例3及び4]
Siの配合割合を9.85重量%,Mgの配合割合を0.21重量%,Mnの配合割合を0.59重量%とした以外は、比較例1及び2と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。なお、具体的な熱処理条件(人工時効処理)として、比較例3については170℃で3時間加熱した後に空冷し、比較例4については150℃で5時間加熱した後に空冷した。得られたサンプルの機械的特性を表2に示す。
[比較例5]
Siの配合割合を9.85重量%,Mgの配合割合を0.21重量%,Mnの配合割合を0.59重量%,Feの存在割合を0.08重量%、そして残部がAlとなるように配合した溶湯を調製した。続いて、この溶湯を真空ダイカストではなく、通常のダイカストマシンにて射出速度5m/秒(ゲート速度100m/秒)でダイカスト鋳造し、ASTM規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、作製した丸棒試験片をT6処理して機械的特性測定用のサンプルとした。なお、具体的な熱処理条件としては、490℃で3時間加熱した後に水冷(溶体化処理)し、さらに170℃で2時間加熱した後に空冷(人工時効処理)した。得られたサンプルの機械的特性を表2に示す。
[比較例6]
Siの配合割合を9.87重量%,Mgの配合割合を0.40重量%,Mnの配合割合を0.58重量%とした以外は、比較例5と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。なお、具体的な熱処理条件としては、490℃で3時間加熱した後に水冷(溶体化処理)し、さらに170℃で2時間加熱した後に空冷(人工時効処理)した。得られたサンプルの機械的特性を表2に示す。
Figure 2006316341
Figure 2006316341
表1および2より、同じ熱処理条件どうしを比較した場合、焼付き防止材としてCrを用いた実施例1〜7のアルミニウム合金は、焼付き防止材としてMnを用いた比較例1〜6のアルミニウム合金に比べて、同等の耐力を有しているにもかかわらず、伸びが向上していることが窺える(図2参照)。つまり、同じ熱処理条件であれば、焼付き防止材をMnからCrに替えることによってアルミニウム合金の靱性を向上させることができる。
なお、上述した各実施例1〜7では、Crを0.3重量%配合すると共に、射出速度5m/秒(ゲート速度100m/秒)にてダイカスト鋳造を行なったが、その際、アルミニウム合金と金型との間に焼付きは全く生じなかった。一方、表1には示していないが、上述した各実施例のCrの配合割合を0.2重量%に低減し、射出速度5m/秒(ゲート速度100m/秒)にてダイカスト鋳造を行なった場合には、アルミニウム合金と金型との間で焼付きが生じた。しかしながら、射出速度を2.0m/秒(ゲート速度40m/秒)に落とすことによって当該焼付きは解消した。
続いて、本発明合金を重力鋳造法で鋳造した例について説明する。
[実施例8]
Siの配合割合を10.42重量%,Mgの配合割合を0.20重量%,Crの配合割合を0.21重量%,Feの存在割合を0.07重量%,Srの配合割合を0.013重量%、そして残部をAlとすることによって、本発明におけるアルミニウム合金の元素組成の範囲内となるように配合した溶湯を調製した。続いて、この溶湯を重力鋳造法にて舟金型切りだしJIS4号試験片に成形した。そして、得られた試験片をT5処理して機械的特性測定用のサンプルとした。なお、具体的な熱処理条件(人工時効処理)としては170℃で5時間加熱した後に空冷した。得られたサンプルの機械的特性を表3に示す。
[実施例9]
Mgの配合割合を0.40重量%,Srの配合割合を0.012重量%,Feの存在割合を0.08重量%とした以外は、実施例8と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。得られたサンプルの機械的特性を表3に示す。
[実施例10]
熱処理方法としてT6処理、具体的には525℃で4時間加熱した後に水冷(溶体化処理)し、さらに160℃で4時間加熱した後に空冷(人工時効処理)した以外は、実施例8と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。得られたサンプルの機械的特性を表3に示す。
[比較例7]
Siの配合割合を10.62重量%,Mgの配合割合を0.22重量%,Mnの配合割合を0.58重量%,Feの存在割合を0.08重量%,Srの配合割合を0.009重量%、そして残部をAlとした溶湯を調製した。続いて、この溶湯を重力鋳造法にて舟金型切りだしJIS4号試験片に成形した。そして、得られた試験片をT5処理して機械的特性測定用のサンプルとした。なお、具体的な熱処理条件(人工時効処理)としては170℃で5時間加熱した後に空冷した。得られたサンプルの機械的特性を表3に示す。
[比較例8]
Siの配合割合を10.48重量%,Mgの配合割合を0.40重量%,Mnの配合割合を0.57重量%,Feの存在割合を0.07重量%とした以外は、比較例7と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。得られたサンプルの機械的特性を表3に示す。
[比較例9]
熱処理方法としてT6処理、具体的には525℃で4時間加熱した後に水冷(溶体化処理)し、さらに160℃で4時間加熱した後に空冷(人工時効処理)した以外は、比較例7と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。得られたサンプルの機械的特性を表3に示す。
Figure 2006316341
表3より、上述した実施例1〜7および比較例1〜6と同様に、焼付き防止材としてCrを用いた実施例8〜10のアルミニウム合金は、焼付き防止材としてMnを用いた比較例7〜9のアルミニウム合金に比べて、同等の耐力を有しているにもかかわらず、伸びが向上していることが窺える。特に、図3に示すように、冷却速度が遅い重力鋳造を用いた実施例8〜10および比較例7〜9では、冷却速度が速いダイカスト鋳造を用いた実施例1〜7および比較例1〜6に比べてCr配合による伸びの向上効果がより顕著なものとなっている。
続いて、Siの配合割合とFeの含有割合とを調整した例について説明する。
[実施例11]
Siの配合割合を10.1重量%,Mgの配合割合を0.22重量%,Crの配合割合を0.30重量%,Feの存在割合を0.13重量%、そして残部をAlとすることによって、本発明におけるアルミニウム合金の元素組成の範囲内となるように配合した溶湯を調製した。続いて、この溶湯を真空ダイカストではなく、通常のダイカストマシンにて射出速度5m/秒(ゲート速度100m/秒)でダイカスト鋳造し、ASTM規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、作製した丸棒試験片をT5処理(170℃で3時間加熱した後に空冷)して機械的特性測定用のサンプルとした。得られたサンプルの機械的特性を表4に示す。
[実施例12]
Siの配合割合を10.0重量%,Mgの配合割合を0.23重量%,Feの存在割合を0.30重量%とした以外は、実施例11と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。得られたサンプルの機械的特性を表4に示す。
[実施例13]
Siの配合割合を10.3重量%,Mgの配合割合を0.20重量%,Crの配合割合を0.29重量%,Feの存在割合を0.42重量%とした以外は、実施例11と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。得られたサンプルの機械的特性を表4に示す。
[比較例10]
Siの配合割合を12.5重量%,Mgの配合割合を0.22重量%,Crの配合割合を0.40重量%,Feの存在割合を0.15重量%、そして残部がAlとなるように配合した溶湯を調製した。続いて、この溶湯を真空ダイカストではなく、通常のダイカストマシンにて射出速度5m/秒(ゲート速度100m/秒)でダイカスト鋳造してASTM規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、作製した丸棒試験片をT5処理(170℃で3時間加熱した後に空冷)して機械的特性測定用のサンプルとした。得られたサンプルの機械的特性を表4に示す。
[比較例11]
Siの配合割合を12.6重量%,Mgの配合割合を0.23重量%,Feの存在割合を0.43重量%とした以外は、実施例11と同じ条件にして機械的特性測定用のサンプルを作製した。得られたサンプルの機械的特性を表4に示す。
Figure 2006316341
表4より、本発明の元素組成の範囲内となるように配合した実施例11〜13のアルミニウム合金では、Feの存在割合を0.13重量%から0.42重量%へと増加させた場合、Feの存在割合の増加に伴って伸びは若干低下するが5%を切ることはなく、0.2%耐力は向上する。つまり、Feの存在割合が0.42重量%以下の範囲内であれば、0.2%耐力が150MPa以上で且つ伸びが5%以上の鋳物(ダイカスト品)を得ることができる。これに対し、Siの配合割合を11重量%よりも多い12重量%台とした比較例10及び11では、伸びが5%を切るようになり、Feの存在割合が0.42重量%以下の範囲内で増加した場合であっても0.2%耐力の向上は認められない。つまり、本発明の元素組成の範囲内から外れたものでは、靱性の高いアルミニウム合金鋳物を得ることができない。
本発明のアルミニウム合金は自動車構成部品のみならず、例えば産業機械や家電製品など、あらゆる機器の構成部品素材として広く利用可能であり、特に長期間繰返し振動荷重が与えられ、且つ衝突時に衝撃が加わる部品の材料に好適である。
重力鋳造品におけるCr含有量と伸びとの関係を示すグラフである。 実施例および比較例(ダイカスト鋳造)における伸びと0.2%耐力との関係を示すグラフである。 実施例および比較例(重力鋳造)における伸びと0.2%耐力との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. Si:6.0〜11.0重量%,Mg:0.1〜0.5重量%,Cr:0.1〜0.5重量%を含有し、残部がAl及びFeを0.42重量%以下に抑えた不可避不純物からなることを特徴とする鋳造用アルミニウム合金。
  2. Na,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種を30〜200ppm添加したことを特徴とする請求項1に記載の鋳造用アルミニウム合金。
  3. Sbを0.05〜0.20重量%添加したことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造用アルミニウム合金。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミニウム合金で鋳造されたことを特徴とするアルミニウム合金鋳物。
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